JP6922393B2 - 圧力容器 - Google Patents

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Description

本発明は、圧力容器に関する。
各種のガス、液化ガス等を使用、輸送、貯蔵するための容器、特に輸送や移動を伴う容器としては、効率的な輸送もしくは移動のために、ガス、液化ガス等を大量に充填できる高圧仕様の圧力容器が求められる。また、輸送や移動にかかる燃費を削減するために圧力容器は軽量であることが望まれる。
従来、圧力容器としては金属製のものが主流であった。しかし、金属製の圧力容器は非常に重いことから、軽量な圧力容器として、樹脂製のライナと該ライナの外面を覆う補強層とを有する圧力容器が提案されている(特許文献1、2)。一般に、ライナにおいては、充填するガス、液化ガス等の漏出を防ぐ目的で、それらの透過性が低くなるように樹脂、厚み、積層構成等が選択される。補強層は、炭素繊維等の高強度の強化繊維を熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等のマトリックス樹脂で固めた層である。補強層により優れた耐圧性が得られる。
圧力容器には、通常、内容物の出し入れのためのバルブの設置部として、口金が設けられる。また、口金は、補強層を形成する際には支持部としても利用される。口金を支持するための治具やバルブの口金への取り付けには一般にネジ構造が利用される。そのため、ネジ構造の強度を確保する目的で、口金は合金鋼、アルミ合金等の金属製とされる。
特開平10−332082号公報 特許第4457359号公報
しかし、強化層に用いられる炭素繊維と口金との間には電位差があるため、ライナと補強層で形成した容器本体に金属製の口金を設けると、炭素繊維と口金の接触によって口金が腐食しやすい。そこで、航空機等の圧力容器では口金に耐腐食性のチタンが用いられる。しかし、チタン材は加工が困難なうえ、高価であるためコストが高騰する。また、産業用途等では、口金の表面に絶縁塗装や、酸化等の不動態化処理が行われる。しかし、絶縁塗装や不動態化処理を行う方法は、工程数が増加して製造が煩雑となるうえ、コストも増大する。また、特に不動態化処理ではその処理層が脆く傷つきやすいため、予期せず絶縁が破壊されることがあり、信頼性に欠ける。
本発明は、口金の腐食が抑制された低コストな圧力容器を提供することを目的とする。
本発明は、以下の構成を有する。
[1]円筒状の直胴部、及び前記直胴部の両端に設けられ、前記直胴部から離れるにつれて窄んだドーム部を有する容器本体と、
前記ドーム部の先端部に設けられた金属製の口金とを備え、
前記容器本体は、樹脂製のライナと、前記ライナの外側に設けられ、強化繊維及びマトリクス樹脂を含有する繊維強化樹脂材料からなる補強層とを含み、
前記ドーム部における前記補強層中の前記強化繊維の繊維体積含有率が45体積%以上55体積%以下であり、
前記直胴部における前記補強層中の前記強化繊維の繊維体積含有率が55体積%超65体積%以下である、圧力容器。
[2]前記マトリクス樹脂の電気抵抗が10〜1018Ωである、[1]に記載の圧力容器。
本発明の圧力容器は、口金の腐食が抑制されており、また低コストである。
本発明の圧力容器の一例を示した断面図である。 図1の圧力容器の口金部分を拡大した断面図である。 図1の圧力容器の口金を示した正面図である。
以下、本発明の圧力容器の一例を示して説明する。なお、以下の説明において例示される図の寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
本実施形態の圧力容器1は、図1に示すように、容器本体10と、金属製の口金12とを備えている。容器本体10は、円筒状の直胴部14と、直胴部14の両端に設けられ、直胴部14から離れるにつれて窄んだドーム部16とを有する。口金12は、一方のドーム部16の先端部に設けられている。
ドーム部16は、直胴部14の両端部を塞ぐように設けられており、アイソテンソイド(isotensoid)の形状が好ましい。ドーム部16の先端部は、直胴部14の中心軸上に位置している。
容器本体10は、樹脂製のライナ18と、ライナ18の外側に設けられ、強化繊維及びマトリクス樹脂を含有する繊維強化樹脂材料からなる補強層20とを含んでいる。
ライナ18の直胴部18aの厚みは、3mm以上12mm以下が好ましい。ライナ18の直胴部18aの厚みが前記範囲の下限値以上であれば、成形時に懸下したライナを保持しやすい。ライナ18の直胴部18aの厚みが前記範囲の上限値以下であれば、圧力容器を軽量化しやすい。
ライナ18の直胴部18aの外径Dは、300mm以上1000mm以下が好ましい。直胴部18aの外径Dが前記範囲の下限値以上であれば、ライナを金属製にする場合に比べて生産性が高く、経済的に有利となる。直胴部18aの外径Dが前記範囲の上限値以下であれば、補強層20が厚くなりすぎないため、補強層20のマトリクス樹脂に硬化性樹脂を用いる場合に硬化に長時間を要することを抑制しやすい。
ライナ18の直胴部18aの外径Dに対するライナ18の軸方向の長さLの比(L/D)は、2以上12以下が好ましい。L/Dが前記範囲の下限値以上であれば、容器本体10中のドーム部16の比率が充分に小さくなるため、単位長さあたりの容量を充分に大きくすることが容易になる。また必要な補強層20の量を低減することが容易になる。L/Dが前記範囲の上限値以下であれば、ライナ18の製造が容易であり、またライナ18にたわみが生じることを抑制しやすく、軽量化が容易になる。
ライナ18を形成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ナイロン樹脂、PPS樹脂、LCP樹脂、DCPD樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等が挙げられる。ライナを形成する樹脂としては、リサイクル材料を用いてもよい。ライナ18を形成する樹脂としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ライナ18の構造は、特に限定されず、単層構造であってもよく、複層構造であってもよい。複層構造としては、例えば、EVOH等を含有するガスバリア層と、先に挙げた樹脂を含有する層との複層が挙げられる。また、この場合、ガスバリア層と他の層とを接着するための接着層をそれらの中間に設けてもよい。
補強層20を形成する強化繊維としては、引張強度が高いものが好ましい。さらに引張弾性率が高いと高圧ガス充填時のライナや口金の変形を抑えることができ、充填と放出の繰り返しによる疲労に対して有効である。具体的には、強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維が好ましく、高強度かつ高弾性である点から、炭素繊維が特に好ましい。強化繊維としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
強化繊維の引張強度は、4000MPa以上が好ましく、5000MPa以上がさらに好ましい。なお、強化繊維の引張強度は、JIS R 7606「炭素繊維の引張特性の試験方法」に従って測定される。
強化繊維の引張弾性率は、230GPa以上が好ましく、250GPa以上がさらに好ましい。なお、強化繊維の引張弾性率は、JIS R 7606「炭素繊維の引張特性の試験方法」に従って測定される。
強化繊維の目付は、0.2g/m以上4g/m以下が好ましく、0.8g/m以上2g/m以下がよりに好ましい。強化繊維の目付が前記範囲の下限値以上であれば、ライナ18の外面に一度に巻き付けることができる繊維量が大きくなり、生産性に優れる。強化繊維の目付が前記範囲の上限値以下であれば、強化繊維同士の重なりによる繊維の蛇行等を起こさずにライナ18に巻き付けることが容易になる。
補強層20を形成するマトリクス樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリプロピレン樹脂、ナイロン樹脂、PPS樹脂、LCP樹脂、DCPD樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。マトリクス樹脂としては、熱可塑性樹脂よりも低粘度であり、強化繊維への含浸性が良好な点から、熱硬化性樹脂が好ましい。マトリクス樹脂としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
マトリクス樹脂の電気抵抗は、10〜1018Ωが好ましく、1010〜1014Ωがより好ましい。マトリクス樹脂の電気抵抗が前記範囲の下限値以上であれば、口金の腐食を抑制しやすい。マトリクス樹脂の電気抵抗が前記範囲の上限値以下であれば、マトリクス樹脂の劣化を抑えることができる。
なお、マトリクス樹脂の電気抵抗は、JIS C 2139「固体電気絶縁材料体積抵抗率及び表面抵抗率の測定方法」に基づき測定される。
圧力容器1においては、ドーム部16における補強層20中の強化繊維の繊維体積含有率(Vf)が45体積%以上55体積%以下であり、直胴部14における補強層20中の強化繊維の繊維体積含有率(Vf)が55体積%超65体積%以下である。このように、口金12の周囲のドーム部16における補強層20を、口金12から遠い直胴部14の補強層20よりも樹脂リッチにすることで、口金12は補強層20のマトリクス樹脂でコーティングされている状態になる。そのため、金属製の口金12と補強層20の強化繊維とが接触することが抑制され、それによって口金12の腐食が抑えられる。
ドーム部16における補強層20中の強化繊維の繊維体積含有率(Vf)は、45体積%以上55体積%以下であり、47体積%以上53体積%以下が好ましく、49体積%以上51体積%以下がより好ましい。Vfが前記範囲の上限値以下であれば、口金の周囲が樹脂リッチとなり、口金と強化繊維の接触を抑制できるため、口金の腐食を抑制できる。Vfが前記範囲の下限値以上であれば、充分な耐圧性が得られやすい。
直胴部14における補強層20中の強化繊維の繊維体積含有率(Vf)は、55体積%超65体積%以下であり、57体積%以上63体積%以下が好ましく、59体積%以上61体積%以下がより好ましい。Vfが前記範囲の下限値以上であれば、充分な耐圧性が得られやすい。Vfが前記範囲の上限値以下であれば、強化繊維が樹脂中で動くことを抑制しつつ硬化させることができる。
口金12は、図2及び図3に示すように、円筒状の筒部22と、筒部22の後端部の外面から全周にわたって張り出した第1フランジ部24と、筒部22における先端と第1フランジ部24との間の部分の外面から全周にわたって張り出した第2フランジ部26とを備えている。口金12は、第1フランジ部24がライナ18と補強層20で挟み込まれ、第1フランジ部24と第2フランジ部26で補強層20が挟み込まれるように、ドーム部16の先端部に取り付けられている。口金12の筒部22の中心軸と、容器本体10の直胴部14の中心軸とは一致している。
口金12の筒部22における容器本体10と接する筒部分22aを口金12の中心軸の先端側から見た形状は、多角形のそれぞれの角部が円弧状に丸み帯びた形状になっている。これにより、バルブの組み付けや取り外し時に負荷されるトルクに対して充分な耐性が得られやすく、該トルクによって補強層20が外れることを抑制しやすい。また、この例のように、筒部分22aの角部は円弧状に丸みを帯びた形状とすることが好ましい。これにより、補強層20の強化繊維が鋭く曲げられることを抑制できるため、強化繊維がより傷みにくくなる。
口金12における筒部分22aの角部の数は、4個以上12個以下が好ましく、6個以上12個以下がより好ましい。筒部分22aの角部の数が前記範囲の下限値以上であれば、補強層20の強化繊維が鋭く曲げられることを抑制できるため、強化繊維が傷みにくくなる。筒部分22aの角部の数が前記範囲の上限値以下であれば、バルブの組み付けや取り外し時に負荷されるトルクによって補強層20が外れることを抑制しやすい。
口金12の下部においては、筒部分22aの貫通孔にライナ18の一部が入り込み、口金12の下部の内面12aを覆った状態になっている。口金12のライナ18と接する下部の内面12aには、ライナ18との締結のためのメスネジが形成されている。メスネジのネジ形状は、特に限定されず、外れ防止の点から、口金12の中心軸方向において容器本体10の中央部側が先端部側よりも大きな角度をもつバットレスネジが好ましい。具体的には、口金12をその中心軸を通る面で切断した断面において、容器本体10の中央部側のネジ溝がと中心軸方向とがなす角度が90±10°で、先端側のネジ溝と中心軸方向とがなす角度が45±10°であるバットレスネジが好ましい。
口金12のライナ18との接着性の点から、口金12のライナ18と接する下部の内面12aには、接着剤が塗布されていることが好ましい。この場合、口金12の内面12aには、接着剤が塗布される前に、各部材と接着剤にそれぞれ適したプライマーが塗布されていてもよい。
口金12を形成する材料としては、口金に通常使用される公知の金属材料を使用でき、例えば、合金鋼、アルミニウム合金、真鍮等が挙げられる。
圧力容器1の外面には、耐衝撃性を付与するために各種の緩衝材を設置してもよい。緩衝材の素材としては、ゴム、エラストマー、発泡体等の素材自体が衝撃吸収性能を有するもの、形状に変形ないしは破壊する部位を有するものが利用できる。
圧力容器1の用途としては、特に限定されず、例えば、自動車の燃料容器や、他の場所で消費するための燃料ガスを輸送するための容器等が挙げられる。
圧力容器1の製造方法は、特に限定されない。
ライナ18の成形法としては、例えば、回転成形法、ブロー成形法等が挙げられる。なかでも、生産性、成形後の樹脂の物性に優れ、また大きな圧力容器であっても複数の部材を接合する必要がなく、簡便で経済的に有利な点から、ブロー成形法が好ましい。
ライナ18の外面には、口金12や補強層20との接着性を高めるために、必要に応じて接着樹脂や反応剤を塗布したり、ガスバーナー等の炎による酸化処理を行ったりしてもよい。
補強層20の形成には、長尺の強化繊維束にマトリクス樹脂組成物を含浸させ、形成された繊維強化樹脂材料をライナ18に巻き付けて積層するフィラメントワインディング(FW)法を採用することが好ましい。なお、長尺の強化繊維束にマトリクス樹脂組成物を含浸した繊維強化樹脂材料を予め準備し、該繊維強化樹脂材料をライナ18に巻き付ける方法や、強化繊維束のみをライナ18に巻き付けて積層した後にマトリクス樹脂組成物を含浸させる方法等を用いてもよい。
例えば、FW法では、強化繊維として炭素繊維を用いる場合、フィラメント数が3000〜60000程度の繊維束を1束又は複数束を引き揃えて、マトリクス樹脂組成物を含浸させた後、バンド状にして形成された繊維強化樹脂材料をライナ18に巻き付ける。繊維強化樹脂材料においては、幅方向において厚みが均一で繊維束間に隙間がないことが好ましい。
FW法において強化繊維束にマトリクス樹脂組成物を含浸させる態様としては、例えば、ピックアップローラを用いる態様が挙げられる。具体的には、マトリクス樹脂組成物が収容された樹脂槽からピックアップローラの表面にマトリクス樹脂組成物をピックアップさせつつ、該ピックアップローラの表面を強化繊維束が一定張力で通過するようにする。これにより、強化繊維束にマトリクス樹脂組成物が含浸されて繊維強化樹脂材料が形成される。ピックアップローラ表面に所定量のマトリクス樹脂組成物を付着させやすい点から、樹脂槽の温度管理をすることが好ましい。
繊維強化樹脂材料のバンド幅は、ライナの外径に対して1/15以上1/10以下であることが好ましい。バンド幅が前記範囲の下限値以上であれば、繊維強化樹脂材料をライナに短時間で隙間なく巻き付けることが容易になる。バンド幅が前記範囲の上限値以下であれば、巻き付ける際に繊維強化樹脂材料に掛かる張力によって巻き滑りが生じることを抑制しやすく、繊維強化樹脂材料を所望の位置に巻くことが容易になる。そのため、圧力容器の破裂強度等の物性が低下することを抑制しやすい。
巻き付け時に繊維強化樹脂材料に掛ける張力は、該繊維強化樹脂材料に含まれるすべての強化繊維束の繊維目付あたり、1〜100Nが好ましく、10〜50Nがより好ましい。張力が前記範囲内であれば、補強層におけるボイドを低減しやすく、強化繊維が蛇行することを抑制しやすく、またライナの変形を抑制しやすい。
FW法における繊維強化樹脂材料の巻き付け方法としては、例えば、フープ巻きとヘリカル巻きを適宜繰り返す方法が挙げられる。この場合、補強層には、繊維強化樹脂材料のフープ巻きにより形成されるフープ層と、繊維強化樹脂材料のヘリカル巻きにより形成されるヘリカル層が含まれる。フープ層は、直胴部の径方向の応力を受ける目的で設置する。ヘリカル層は、直胴部の中心軸方向の応力を受ける目的で設置する。圧力容器においては、補強層は、直胴部ではフープ層とヘリカル層の両方で構成され、ドーム部ではヘリカル層により構成される。
まず、ライナ18の直胴部18aにFW法のフープ巻きによって繊維強化樹脂材料を巻き付ける。ライナ18に接する最下層に形成されるフープ層は、強化繊維の交絡がなく、ライナとの密着性が高いためボイドの形成が充分に抑制される。最下層のフープ層の巻き付け開始位置は、ライナ18の直胴部18aとドーム部18bの境界とすることが好ましい。
ライナ18の直胴部18aを側面視したときのフープ層におけるライナ18の中心軸に対する強化繊維の巻き角度は、85〜90°が好ましい。
フープ層がライナ18に近い位置にあると補強層の強度を圧力容器の耐圧に利用する効率を上がる。一方、連続して積層されたフープ層の積層数が多すぎると、その上にヘリカル層を巻く際に乗り越えるフープ層の端部の段差が大きくなるため強化繊維が蛇行しやすくなる。そのため、圧力容器の強度が低下することを抑制しやすい点から、フープ層は幾つかのフープ層群に分割し、フープ層群とフープ層群の間にヘリカル層を設けることが好ましい。
ヘリカル層には、軸方向ヘリカル層、低角度ヘリカル層、中角度ヘリカル層及び高角度ヘリカル層が含まれていることが好ましい。
軸方向ヘリカル層は基本的に圧力容器における直胴部の中心軸方向の応力を受ける目的で設置する。そのため、軸方向ヘリカル層では、ドーム部16の先端部に設ける口金12を露出させつつ、繊維方向が極力軸方向に近づくように強化繊維を配向させる。
低角度ヘリカル層は、口金周辺部に強化繊維が集中しすぎることを抑制し、繊維強化樹脂材料の硬化時の異常反応を低減する目的で設置する。ライナ18の直胴部18aを側面視したときの低角度ヘリカル層におけるライナ18の中心軸に対する強化繊維の巻き角度は、軸方向ヘリカル層の繊維方向よりも5°から15°大きいことが好ましく、10°〜20°が好ましい。
高角度ヘリカル層は、ドーム部における周方向の応力負担、及び直胴部とドーム部の強化部分におけるフープ層の段差を解消する目的で設置する層である。ライナ18の直胴部18aを側面視したときの高角度ヘリカル層におけるライナ18の中心軸に対する強化繊維の巻き角度は、65°〜85°が好ましい。
中角度ヘリカル層は、ドーム部の強度を上げる目的で設置する。ライナ18の直胴部18aを側面視したときの中角度ヘリカル層におけるライナ18の中心軸に対する強化繊維の巻き角度は、低角度ヘリカル層の巻き角度と高角度ヘリカル層の巻き角度の間の角度である。
ヘリカル層では強化繊維の巻き角度が直胴部の軸方向に近いため、巻き付け時の張力が強化繊維を直胴部に対して径方向に抑え付ける方向にはあまり有効に働かず、余分なマトリクス樹脂やボイドを追い出す作用が少ない。ヘリカル層をフープ層で巻き締めることで、下層のヘリカル層の余分な樹脂が追い出され、たるみが生じることを抑制することができる。ヘリカル層、特に低角度ヘリカル層の上にはフープ層を配置することが好ましい。
一般にドーム部における補強層を形成するためのヘリカル巻きにおいては、口金周辺での繊維強化樹脂材料の交絡がはげしくなるため、ボイド等の樹脂不足部が発生し、口金と強化繊維が接触する可能性が高い。これに対し、本発明では、ドーム部の補強層を形成する繊維強化樹脂材料の繊維体積含有率と、直胴部の補強層を形成する繊維強化樹脂材料の繊維体積含有率を、それぞれ補強層におけるVfが45体積%以上55体積%以下、Vfが55体積%超65体積%以下の範囲となるように制御する。これにより、ドーム部に形成される補強層は樹脂リッチになるため、口金と強化繊維が接触することを抑制することができる。そのため、口金が腐食することが抑制される。
容器本体にラベル等を設ける場合には、補強層の最上層を形成する繊維強化樹脂材料の強化繊維としてガラス繊維を用い、最上層の直下にラベル等を配置して外部からラベル等を透視できるようにしてもよい。
FW法により繊維強化樹脂材料を巻き付ける際には、ライナ内部を加圧することが好ましい。これにより、巻き付け張力によるライナの変形を抑制でき、また既に巻き付けられた層の強化繊維が緩み、破裂強度が低下することを抑制することができる。巻き付け時のライナ内部の加圧は、巻き付け量が増えるに従って高くしてもよい。
繊維強化樹脂材料をライナに巻き付けた後、得られた圧力容器の前駆体を加熱炉に入れ、マトリクス樹脂組成物に適した所定温度で所定時間加熱し、マトリクス樹脂を硬化させて補強層を形成する。硬化プロファイル(時間−温度プログラム)としては、マトリクス樹脂組成物の硬化温度以下の温度で一旦保持し、未硬化物の温度を均一化するとともに、マトリクス樹脂組成物を低粘度化させて内部にあるボイドを追い出すことが好ましい。その後、ライナの熱変形が起こらず、マトリクス樹脂組成物が硬化する温度、保持時間にて硬化を行う。
硬化時には、ライナ内部を加圧して保持することが好ましい。また、硬化時には、未硬化のマトリクス樹脂が流動して偏在又は滴下することを防ぐために圧力容器の前駆体を回転させながら硬化させることが好ましい。
以上説明したように、本発明の圧力容器においては、ドーム部における補強層のVfが45体積%以上55体積%以下、直胴部における補強層のVfが55体積%超65体積%以下の範囲に制御されている。これにより、補強層における口金周辺が樹脂リッチになることで、口金と強化繊維とが接触することが抑制され、口金が腐食することが抑制される。
また、本発明では、口金の腐食を抑制するために口金にチタンを用いる必要がなく、口金表面に絶縁塗装や、酸化等の不動態化処理を行う必要もないため、コスト面でも有利である。
なお、本発明の圧力容器は、前記した圧力容器1には限定されない。例えば、本発明の圧力容器は、口金が1つだけ設けられたものには限定されず、直胴部の両端に位置する2つのドーム部のそれぞれの先端部に口金が設けられたものであってもよい。また、口金が設けられたドーム部と反対側のドーム部の先端部に、貫通孔がない以外は口金と同形状の支持部材が設けられた圧力容器であってもよい。本発明の圧力容器であれば、該支持部材が金属製の場合、該支持部材の腐食も抑制することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[実施例1]
図1に例示した圧力容器1と同形状の圧力容器を製造した。
具体的には、ライナの材料としては、密度0.945g/cmの高密度ポリエチレン(HDPE、Lyondellbasell社製の4261AGBD)を用いた。ブロー成形により、直胴部の厚さが7mm、直胴部の外径が720mm、L/Dが2.7となるライナを得た。
口金の材料としては、アルミニウム合金A7075を用いた。口金におけるライナと接触する面には、アクリル系接着剤(3M社製のDP8005)を塗布した。
強化繊維の繊維束としては、Mitsubishi Rayon Carbon Fiber and Composites社製の37−800−WD 30K(引張強度:5520MPa、引張弾性率:255GPa、目付:1.675g/m)を用いた。マトリクス樹脂組成物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、酸無水物硬化剤、硬化促進剤のエポキシ樹脂組成物(Huntsman社製のLY1564/917/960−1)を用いた。
8本の繊維束を引き揃え、前記エポキシ樹脂組成物が収容された樹脂槽に該繊維束を浸して繊維強化樹脂材料とし、ライナ上で該繊維強化樹脂材料からなるバンドの幅が45mmとなるようにして、表1に示す順序でフープ巻き、ヘリカル巻きの所定量をライナに巻き付けた。巻き付け時の繊維束に付与する張力は、繊維束の繊維目付あたり17Nとした。ライナ内部の圧力は、巻き付け開始時に0.1MPa、フープ巻き、ヘリカル巻きの各一層が終了した以降は0.3MPaとした。繊維強化樹脂材料を巻き付けた後、ライナ内部の圧力を0.3MPaで保持した状態で、65℃で45分加熱した。次いで、95℃の硬化炉で6時間加熱し、ライナ上に補強層が形成された圧力容器を得た。
なお、表1における角度は、ライナの直胴部を側面視したときのライナの中心軸に対する強化繊維(炭素繊維、CF)の巻き角度である。
Figure 0006922393
塩水噴霧装置(スガ試験機株式会社製キャス試験機 型式:CASSER−ISO−3)を用い、噴霧圧力70〜167kPa、噴霧量1.5±0.5mL/h、試験槽温度35℃の条件で噴霧溶液(50±5g/LのNaCl水溶液)を連続噴霧する環境下で、圧力容器を31日間保持した。その後、圧力容器を観察したところ、口金に腐食は見られなかった。
また、腐食試験後の圧力容器から、口金周辺のドーム部の補強層と、直胴部の補強層からそれぞれ試料片を8個ずつ切り出し、各々の試料片の密度から繊維体積含有率Vfを計算した。ドーム部における補強層のVf、及び直胴部における補強層のVfの測定結果を表2に示す。
Figure 0006922393
表2に示すように、Vfは45体積%以上55体積%以下の範囲であり、Vfは55体積%超65体積%以下の範囲であった。このように、Vf及びVfが本発明の条件を満たし、口金周辺のドーム部が直胴部に比べて樹脂リッチになっていることで、口金の腐食が制御されることが確認された。
1…圧力容器、10…容器本体、12…口金、14…直胴部、16…ドーム部、18…ライナ、20…補強層。

Claims (2)

  1. 円筒状の直胴部、及び前記直胴部の両端に設けられ、前記直胴部から離れるにつれて窄んだドーム部を有する容器本体と、
    前記ドーム部の先端部に設けられた金属製の口金とを備え、
    前記容器本体は、樹脂製のライナと、前記ライナの外側に設けられ、強化繊維及びマトリクス樹脂を含有する繊維強化樹脂材料からなる補強層とを含み、
    前記ドーム部における前記補強層中の前記強化繊維の繊維体積含有率が45体積%以上55体積%以下であり、
    前記直胴部における前記補強層中の前記強化繊維の繊維体積含有率が55体積%超65体積%以下である、圧力容器。
  2. 前記マトリクス樹脂が熱硬化性樹脂である、請求項1に記載の圧力容器。
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