JP6920091B2 - 層状ケイ酸塩と熱可塑性樹脂を含有する複合体およびその製造方法 - Google Patents

層状ケイ酸塩と熱可塑性樹脂を含有する複合体およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6920091B2
JP6920091B2 JP2017072528A JP2017072528A JP6920091B2 JP 6920091 B2 JP6920091 B2 JP 6920091B2 JP 2017072528 A JP2017072528 A JP 2017072528A JP 2017072528 A JP2017072528 A JP 2017072528A JP 6920091 B2 JP6920091 B2 JP 6920091B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layered silicate
vinylpyridine
complex
latex
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017072528A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017186558A (ja
Inventor
清 井川
清 井川
和紘 石垣
和紘 石垣
泰亮 湯川
泰亮 湯川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon A&L Inc
Original Assignee
Nippon A&L Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon A&L Inc filed Critical Nippon A&L Inc
Publication of JP2017186558A publication Critical patent/JP2017186558A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6920091B2 publication Critical patent/JP6920091B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

本発明は、広角X線回折測定および小角X線回折測定において長周期ピークが見られないほど、層状ケイ酸塩が熱可塑性樹脂にナノ分散した複合体およびその製造方法に関するものである。
モンモリロナイトのような層状ケイ酸塩を熱可塑性樹脂に分散させた複合体は、高剛性化、ガスバリヤ性、難燃性等を向上させる目的で研究されている。層状ケイ酸塩は親水性物質であり、そのままでは低極性の熱可塑性樹脂中に分散させることはできず、主な複合化の方法としては、溶融混合法、その場重合法、ラテックス法等が先行技術文献で例示されている。溶融混合法として、アンモニウム塩で有機化された層状ケイ酸塩を用いた検討が特許文献1に例示されているが、アンモニウム塩の熱安定性が低く、200℃以下で加熱時の重量減少を生じるため、成形加工温度の低いオレフィン系ポリマーに限定される。より具体的な問題点としては、スチレン系樹脂を用いた場合、成形品にアンモニウム塩の分解による黒点を生じたり、成形時にアミン臭が発生する。
また、その場重合法として、カチオン性乳化剤を用いる方法が特許文献2に例示されているが、乳化剤がアンモニウム系であり前述の溶融混合法と同様に成形加工温度が限定される。他方、ラテックス法として、製造方法が簡便で汎用性が高い方法であるが、特許文献3に例示されている陽イオン高分子電解質を用いる方法は、複合体のX線回折測定においてピークを生じており層状無機材料の分散が十分でなかった。
このように、層状ケイ酸塩と熱可塑性樹脂との複合体において、層状ケイ酸塩の分散性と熱安定性については未だ満足できるものでなかった。
特開2001−200135号公報
特開2005−48155号公報
特許2002−146211号公報
本発明の目的は、層状ケイ酸塩が熱可塑性樹脂中に、広角X線回折測定および小角X線回折測定において長周期ピークが見られないほどナノ分散し、さらに熱安定性に優れる複合体およびその製造方法を提供することにある。
本発明は、層状ケイ酸塩(A)とビニルピリジン変性共重合体(B)を含有する複合体であって、広角X線回折測定および小角X線回折測定でピークが検出されないことを特徴とする複合体を提供する。
上記層状ケイ酸塩(A)は、シランカップリング剤で処理されたものであることが好ましい。
ビニルピリジン変性共重合体(B)の層状ケイ酸塩(A)への吸着率が、80%を超えることが好ましい。
上記複合体は、示差走査熱量分析(以下、DSCと呼ぶ)においてアセトン不溶部にガラス転移温度が観察されないことが好ましい。
また、本発明は、上記複合体を用いて得られるシート、フィルム、射出成形体、ブロー成形体、発泡成形体も提供する。
さらに、本発明の複合体と熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物も提供する。
また、本発明は、上記複合体と熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物を用いて得られるシート、フィルム、射出成形体、ブロー成形体、発泡成形体も提供する。
さらに、本発明は、層状ケイ酸塩(A)とビニルピリジン変性共重合体(B)のラテックスを含有する混合物を、硫酸の存在下で凝固剤を用いて凝固した複合体粉末の製造方法であって、凝固剤が塩化ナトリウムを含み、凝固時のスラリーのpHが3以下である層状ケイ酸塩(A)とビニルピリジン変性共重合体(B)を含有する複合体粉末の製造方法を提供する。
本発明によれば、層状ケイ酸塩が熱可塑性樹脂中に広角X線回折測定および小角X線回折測定において長周期ピークが見られないほどナノ分散し、更に熱安定性、難燃性および弾性率のバランスに優れる複合体およびその製造方法を提供することができる。
以下、層状ケイ酸塩(A)、ビニルピリジン変性共重合体(B)について順次説明する。
本発明で使用する層状ケイ酸塩(A)は、水中で負電荷を有し、かつカチオンと交換するものが好ましい。適した層状ケイ酸塩としては、スメクタイト粘土、バーミキュライト、ハロイサイト、四ケイ素化フッ化雲母およびセピオライトからなる群から選ばれた1種類以上であることが好ましい。前記のスメクタイト粘土としては、モンモリロナイト、サポナイト、ステイブンサイト、ヘクトライト等が挙げられる。さらには、これらの中でも、モンモリロナイト、サポナイト、Na型四ケイ素化フッ化雲母、ステイブンサイトがさらに好ましく、天然品あるいは合成品を用いることができる。
これら層状ケイ酸塩のカチオン交換容量(CEC)は、30〜200ミリ等量/100gであることが好ましい。
本発明の層状ケイ酸塩(A)は、シランカップリング剤で処理されたものが好ましく、使用されるシランカップリング剤としては、官能基として、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基であるものが、良好に用いられる。
当該シランカップリング剤を使用することにより、層状ケイ酸塩の結晶端面の水酸基と反応させて疎水化することにより、本発明の複合体の層状ケイ酸塩の分散性を向上させることができ、さらに吸水性も低下させることができる。
そのため、本発明の複合体とポリエステル樹脂を含有する組成物を製造する場合に、溶融混合時のポリエステル樹脂の加水分解を抑制できる点で有用である。
本発明で使用されるビニルピリジン変性共重合体(B)は、ビニルピリジン単量体と他のビニル系単量体とを共重合して得られる。ビニルピリジン単量体としては、2−ビニルピリジンまたは4−ビニルピリジン等が挙げられ、これらを1種又は2種以上使用することができる。低価格および入手しやすいという工業的見地から2−ビニルピリジンが好ましい。
ビニルピリジンと共重合可能な他のビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル系単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フマロニトリル等のシアン化ビニル系単量体、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、ブロモフェニル(メタ)アクリレート、ジブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、モノクロルフェニル(メタ)アクリレート、ジクロルフェニル(メタ)アクリレート、トリクロルフェニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体、1,3ブタジエンのようなジエン系単量体、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ビニルピロリドンのような水溶性単量体等が挙げられ、1種又は2種以上用いることができる。
本発明で使用されるビニルピリジン変性共重合体(B)を重合するための手法に特に制限はなく、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法等を用いることが出来る。
中でも乳化重合法を用いることが好ましく、乳化剤としてはアニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤を用いることが好ましい。アニオン系乳化剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ソーダ、ラウリル硫酸ソーダ、ロジン酸ソーダ等が挙げられ、ノニオン系乳化剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等が挙げられる。
本発明で使用されるビニルピリジン変性共重合体(B)中のビニルピリジン単量体の含有量は、0.1重量%以上20重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以上15重量以下であることがさらに好ましく、1.0重量%以上10重量以下であることが特に好ましい。上記範囲であると、複合体中の層状ケイ酸塩(A)の分散性を向上させることができる。
本発明で使用される層状ケイ酸塩(A)とビニルピリジン変性共重合体(B)の比率は、層状ケイ酸塩(A)0.5〜40重量%、ビニルピリジン変性共重合体(B)60〜99.5重量%となることが好ましく、層状ケイ酸塩(A)1〜30重量%、ビニルピリジン変性共重合体(B)70〜99重量%となることがさらに好ましい(層状ケイ酸塩(A)とビニルピリジン変性共重合体(B)の合計を100重量%)。上記範囲であると、ビニルピリジン変性共重合体(B)の層状ケイ酸塩(A)への吸着率が高く、複合体中の層状ケイ酸塩(A)の分散性を向上させることができる 。
本発明の層状ケイ酸塩(A)とビニルピリジン変性共重合体(B)を含有する複合体は、広角X線回折測定および小角X線回折測定でピークが検出されないことを特徴とするものである。
広角X線回折測定は、複合体を熱プレスにより約1ミリ厚に成形したシートを用いて、室温で反射法により2θが2°〜10°の範囲を測定する。上記測定範囲でピークが検出されるかを評価する。
小角X線回折測定は、複合体を熱プレスにより約1ミリ厚に成形したシートを用いて、室温で透過法により2θが0.15°〜3.4°の範囲を測定する。上記測定範囲でピークが検出されるかを評価する。
広角X線回折測定および小角X線回折測定でピークが検出されないことは、層状ケイ酸塩(A)の面間隔であるd(001)が広がっており、分散性が良好であることを示す。
本発明の層状ケイ酸塩(A)とビニルピリジン変性共重合体(B)を含有する複合体は、層状ケイ酸塩(A)にビニルピリジン変性共重合体(B)が吸着していることが好ましい。吸着量(%)は、下記により求めることができ、80%を超えることが好ましく、100%以上であることがさらに好ましい。
上記範囲であると、層状ケイ酸塩(A)の複合体中の分散性を向上させることができる。
本発明の複合体は、アセトン分別した時のアセトン不溶部のDSCにおいて、ガラス転移温度が観察されないことが好ましい。DSCにおいてガラス転移温度が観察されないことは、層状ケイ酸塩がナノ分散することによって、吸着した(B)の高分子鎖の分子運動が層状ケイ酸塩層に拘束された層間化合物を形成しているためである。このような複合体の形態は、溶融状態のアセトン不溶部のパルス法NMRによる緩和時間測定によっても観測できる。
複合体がこのような形態をとることで、複合体の加熱時や溶融混合時の熱安定性の向上、あるいは燃焼試験時における層状ケイ酸塩を含む黒色のチャー形成による燃焼発熱速度または燃焼発熱量の低減において有効である。
本発明の他の実施形態は、層状ケイ酸塩(A)とビニルピリジン変性共重合体(B)のラテックスを含有する混合物を、硫酸の存在下で凝固剤を用いて凝固した複合体粉末の製造方法であって、凝固剤が塩化ナトリウムを含み、凝固時のスラリーのpHが3以下である層状ケイ酸塩(A)とビニルピリジン変性共重合体(B)を含有する複合体粉末の製造方法である。
ビニルピリジン変性共重合体(B)のラテックスは、凝固時に硫酸と接触させることによりカチオン化され、層状ケイ酸塩(A)と接触するとイオン交換により層状ケイ酸塩(A)に吸着する。このように層状ケイ酸塩(A)にビニルピリジン変性共重合体(B)が吸着することで層状ケイ酸塩の分散性を向上させることができる。
さらに、ビニルピリジン変性共重合体(B)のラテックスの粒子径をより小さくすることで、層状ケイ酸塩(A)との接触面積が増加し、より層状ケイ酸塩(A)の分散性を向上させることができる。
カチオン化に用いる酸としては、硫酸である必要があり、仮に塩酸を用いて凝固した場合、塩化ピリジウムが形成され、複合体粉末の含水率が高くなり、後工程で濾過できない不良現象が発生するため好ましくない。また、塩酸はSUS配管を腐食させるため、工業的な汎用性に欠ける。
硫酸の添加量は、凝固時のスラリーpHが3以下になるように添加する必要があり、ビニルピリジンの等電点であるpH2.0以下になるように調整することが最も好ましい。
硫酸の添加方法としては、層状ケイ酸塩(A)の水溶液に混合する方法、ビニルピリジン変性共重合体(B)のラテックスに混合する方法、凝固剤水溶液に混合する方法が挙げられる。層状ケイ酸塩(A)の水溶液に混合する方法では、pHの低下とともにカードハウス構造が形成されて、粘度が上昇し攪拌が困難になる傾向がある。ビニルピリジン変性共重合体(B)のラテックスに混合する方法では、pHが低下することによるショックによりラテックスの安定性が損なわれないように、徐々に無機酸を添加する必要があり、時間がかかりすぎる傾向がある。そのため、凝固剤水溶液に混合する方法が、もっとも簡便であり、好ましい。
凝固剤としては、1価の塩を含有することが好ましく、中でも安価な塩化ナトリウムが好ましい。2価の塩を用いた場合、層状ケイ酸塩の複合体中での分散性に劣る傾向にある。
凝固された複合体は、濾過、乾燥することで複合体粉末として得ることができる。
また、実施例の方法以外にスプレードライ法等により得ることもできる。
一般に、層間化合物である層状ケイ酸塩では、層間に水分を吸着する性質があるため複合体中で層が完全に剥離したナノ分散構造を取ることが、乾燥しやすさの点から好ましい。
本発明の複合体の熱安定性は、示差熱熱重量同時測定(以下、TG/DTAと呼ぶ)装置による5%重量減少温度で評価することができる。5%重量減少温度が高いほど、熱安定性に優れることを示す。
本発明の複合体は、単独でも使用できるがその他の熱可塑性樹脂と溶融混合して使用することできる。熱可塑性樹脂としては、特に限定はなく、ゴム強化スチレン系樹脂、非ゴム強化スチレン系樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ乳酸樹脂などが挙げられる。
更に、ゴム強化スチレン系樹脂の具体例としては、ゴム強化ポリスチレン樹脂(HIPS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン系ゴム・スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル・アクリル酸エステル系ゴム・スチレン共重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル・エチレンプロピレンジエンゴム・スチレン共重合体(AES樹脂)、メタクリル酸メチル・ブタジエン・スチレン共重合体(MBS樹脂)等が例示される。 非ゴム強化スチレン系樹脂の具体例としては、スチレン重合体(PS樹脂)、スチレン・アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、α−メチルスチレン・アクリロニトリル共重合体(αMS−ACN樹脂)、メタクリル酸メチル・スチレン共重合体(MS樹脂)、メタクリル酸メチル・アクリロニトリル・スチレン共重合体(MAS樹脂)、スチレン・N−フェニルマレイミド共重合体(St−NPMI樹脂)、スチレン・N−フェニルマレイミド・アクリロニトリル共重合体(St−AN−NPMI樹脂)等が例示される。
本発明の複合体には、必要に応じてヒンダードアミン系の光安定剤、ヒンダードフェノール系、含硫黄有機化合物系、含リン有機化合物系等の酸化防止剤、フェノール系、アクリレート系等の熱安定剤、ベンゾエート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系の紫外線吸収剤、有機ニッケル系、高級脂肪酸アミド類等の滑剤、リン酸エステル類等の可塑剤、ポリブロモフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノール−A、臭素化エポキシオリゴマー、臭素化等の含ハロゲン系化合物、リン系化合物、三酸化アンチモン等の難燃剤・難燃助剤、臭気マスキング剤、カーボンブラック、酸化チタン、顔料、及び染料等を添加することもできる。更に、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、炭素繊維、金属繊維等の補強剤や充填剤を添加することもできる。
本発明の複合体を溶融混合する際は、押出し機、ニーダー等の公知の混練装置を用いることができる。
本発明の複合体又は、本発明の複合体と熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物は、シート、フィルム、射出成形体、ブロー成形体、発泡成形体として用いることが好ましい。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。なお、実施例中にて示す「部」及び「%」は重量に基づくものである。また、結果を表1に示す。
評価方法を下記に示す。
広角X線回折測定
(株)リガク製Ultima 4(protectus)を用いて、反射法により2θが2°〜10°の範囲で、室温で測定した。測定には凝固したパウダーを熱プレスにより1ミリ厚に成形したシートを用いた。
小角X線回折測定
(株)リガク製Nano−Viewer小角散乱測定装置を用いて、透過法により2θが0.15°〜3.4°の範囲で、室温で測定した。測定には凝固したパウダーを熱プレスにより1ミリ厚に成形したシートを用いた。
マイクロ燃焼カロリメーター測定
凝固したパウダーを熱プレスにより1ミリ厚のシートに成形した後、約2g切り出し、Deatak社製マイクロ燃焼カロリメーターを用いて、UL746A−48Aに準拠して、酸素濃度20%v/v、昇温速度0.8℃/s、測定温度200℃〜800℃、燃焼温度900℃の条件で測定した。
本測定により難燃性の指標として、ピーク発熱量(HRR)(W/g)およびピーク温度(Tpeak)(℃)が得られる。ただし、本測定により得られたHRRの値は、不燃性の層状ケイ酸塩を除いた樹脂成分100%に換算して評価した。
また、天秤で、燃焼後の残渣量を測定して、その残存割合から層状ケイ酸塩含有量を求めた。
吸着率測定
凝固したパウダーを熱プレスにより1ミリ厚のシートに成形した後、約2g切り出し、アセトン50mlに溶解させた。溶解液を遠心分離器にかけて、不溶部を沈降させた。その後、不溶部と可溶部に傾斜法で分離し、可溶部はメタノールに沈殿した後、不溶部はそのまま遠心管から取り出して真空乾燥し、それぞれの重量を測定した。
吸着率(%)は、以下の式で求めた。
(不溶部の重量−層状ケイ酸塩の重量)/層状ケイ酸塩の重量×100・・・(式1)
なお、層状ケイ酸塩の重量は、分別に用いたサンプル量にマイクロ燃焼カロリーメーター測定から求めた燃焼残渣割合を乗じて計算した。
TG/DTA
セイコーインスツル(株)製 TG/DTA6300を用いて、空気雰囲気で昇温速度20℃/minで40℃から500℃に昇温して測定し、重量が初期の値から5%減少する時の温度である5%重量減少温度を求めた。
DSC
セイコーインスツル(株)製 DSC6200を用いて、窒素雰囲気で昇温速度20℃/minで40℃から200℃へ昇温して1st Runで測定した。ガラス転移温度の解析は、変化開始時の温度を接線法により求めることによって行った。
凝固性評価
凝固を実施して得られたウェットケーキは、含水率が多いとペースト状になり、凝固不良となる。目視によりウェットケーキがパウダー状の場合を○、ブロック状のものを△、ペースト状の場合を×とした。
外観評価
凝固したパウダーを90℃のオーブンで5時間乾燥した後、1ミリ厚のシートを210℃に加熱したプレスで作成し、目視にて透明性を判定した。透明性の良い物を○、透明性の悪い物を×、これらの中間のものを△とした。
曲げ弾性率測定
株式会社ユービーエム製 固体粘弾性測定装置 E4000に曲げ測定治具を用いて、30℃で貯蔵弾性率E‘を測定した。測定の周波数は10Hz。
層状ケイ酸塩(A)
A−1:クニピア−F(クニミネ工業製)
モンモリロナイト(シランカップリング剤処理なし)
カチオン交換容量115ミリ等量/100g、
平衡水分量8%
A−2:クニピア−Fに公知の方法により、シランカップリング剤であるKBM−5103(3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業製)を処理した。処理量はクニピア−F、100g当たり、KBM−5103を6gであった。平衡水分量2%
A−1、A−2ともに乾燥せずに、本実施例および比較例に供した。
2−ビニルピリジン変性共重合体(B−1)のラテックス
2−ビニルピリジン1.9部、スチレン73.1部、アクリロニトリル25部を、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを乳化剤として公知の乳化重合法に基づき重合を行い、数平均粒子径が200nmのラテックスを得た。重合度率は99%であり、回収装置で残留モノマーを除去した。得られたラテックスの固形分は47.3%、固有粘度は、0.48dl/g(溶媒:ジメチルホルムアミド、測定温度:30℃)であった。
2−ビニルピリジン変性共重合体(B−2)のラテックス
2−ビニルピリジン5部、スチレン70部、アクリロニトリル25部を、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを乳化剤として公知の乳化重合法に基づき重合を行い、数平均粒子径が150nmのラテックスを得た。重合度率は99%であり、回収装置で残留モノマーを除去した。ラテックスの固形分は47.0%、固有粘度は、0.5dl/g(溶媒:ジメチルホルムアミド、測定温度:30℃)であった。
スチレン−アクリロニトリル共重合体
スチレン75部、アクリロニトリル25部を、ロジン酸ナトリウムを乳化剤として用いた公知の乳化重合法に基づき重合を行い、スチレン−アクリロニトリル共重合体ラテックスを得た。ラテックスの固形分は45%、固有粘度は、0.58dl/g(溶媒:ジメチルホルムアミド、測定温度:30℃)であった。
実施例
層状ケイ酸塩水溶液の作製
プライミクス社製ホモジナイザーを用いて、クニピア−F(A−1)の粉末をイオン交換水に分散し、濃度5%の水溶液を作成した。処理条件は、回転数9000rpmで5分間行った。同様にして、シランカップリング剤処理したクニピア−F(A−2)の濃度5%の水溶液を得た。
実施例1
上記で作成したクニピア-F(A−1)の水溶液48.2部に2−ビニルピリジン変性共重合体(B−1)のラテックス51.8部を添加し、攪拌機で混合してマスターバッチ液を得た。
別の攪拌機の付いたSUS容器にイオン交換水420部、10%希硫酸6.6部、塩化ナトリウム9.8部を仕込み攪拌しながら100℃まで加熱した。加熱および攪拌を継続しながら、上記のマスターバッチ液を徐々に添加し、凝固を行った。凝固時のスラリーのpHは1.7であった。その後、当該スラリーを濾材で濾過し、更にイオン交換水で洗浄を行った。得られたウェットケーキは、乾燥機で乾燥しパウダーを得た。濾過時の濾液は透明であり、層状ケイ酸塩またはラテックスの流出によるロスは認められなかった。マイクロ燃焼カロリメーター測定から求めた層状ケイ酸塩の含有量は7.7%であった。
実施例2
実施例1の(B−1)を(B−2)に変えた以外は、実施例1と同様にして、層状ケイ酸塩を9.3%含有するパウダーを得た。
実施例3
実施例1の(A−1)を(A−2)の濃度5%の水溶液62.4部、(B−1)を(B−2)37.6部、イオン交換水295部、10%希硫酸4.8部、塩化ナトリウム7.3部に変更した以外は、実施例1と同様にして、層状ケイ酸塩を14.1%含有するパウダーを得た。
比較例1
実施例1の(A−1)の濃度5%の水溶液47.2部、(B−1)をスチレン−アクリロニトリル共重合体のラテックス52.8部、イオン交換水412部、10%希硫酸6.5部、塩化ナトリウム9.6部に変更した以外は、実施例1と同様にして、層状ケイ酸塩を8.0%含有するパウダーを得た。 凝固したウェットケーキはブロック状で、凝固性は良くなかった。
比較例2
実施例2において、10%希硫酸を使用しない以外は実施例2と同様にして凝固した。
得られたウェットケーキは、ペースト状で濾過不良を起こした。
比較例3
実施例2において、10%希硫酸および塩化ナトリウムを10%塩酸13.2部および無水塩化カルシウム4.9部に変更した以外は実施例2と同様にして凝固した。得られたウェットケーキは、ペースト状で濾過不良を起こした。
比較例4
層状ケイ酸塩(A−1)とビニルピリジン変性共重合体(B−2)をそれぞれ単独で凝固したパウダーをドライブレンドした。層状ケイ酸塩(A−1)の配合量は9%であった。
Figure 0006920091
(実施例1〜3、比較例1〜4)
実施例1〜3は、本発明の規定を満足し、層状ケイ酸塩とビニルピリジン共重合体ラテックスの凝固であり、吸着によるグラフト率が高いことから、層状ケイ酸塩がナノ分散した複合体が簡便な方法で得られた。また、アセトン不溶部にガラス転移温度を有さず、5%重量減少温度が高いため熱安定性が高く、そのシート外観は良好で難燃性の指標であるHRR値も低かった。
比較例1は、ビニルピリジンを含有しないスチレン‐アクリロニトリル共重合体であることから、吸着によるグラフト率が低く、層状ケイ酸塩とラテックスの凝固性が良好でなかった。さらに、層状ケイ酸塩の分散が悪い複合体となり、そのシート外観は実施例と比較し劣る結果となった。更に、貯蔵弾性率は実施例1に近かったが、5%重量減少温度は実施例より低かった。
比較例2〜3は、層状ケイ酸塩とビニルピリジン共重合体ラテックスの凝固性が悪く、複合体を製造することができなかった。
比較例4は、層状ケイ酸塩(A−1)の粉末とビニルピリジン変性共重合体(B−2)の粉末をドライブレンドしたものであり、ビニルピリジン変性共重合体が層状ケイ酸塩に吸着していないことから、層状ケイ酸塩の分散性に劣り、貯蔵弾性率は実施例に比べて低く、HRR値も高かった。
比較例1,4では、アセトン不溶部のDSCにおいてガラス転移温度が観察され、有効な層間化合物の構造を形成せず、またモンモリロナイトに吸着した水分のピークが見られ、吸湿性が高いことがわかる。
以上のとおり、工業的に簡便な製造方法により、層状ケイ酸塩のナノ分散複合体を製造することができ、また本発明の複合体は、透明性に優れ、更に熱安定性、難燃性および弾性率のバランスに優れる成形材料として有用な樹脂材料である。







Claims (1)

  1. 層状ケイ酸塩(A)と芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体及びビニルピリジン単量体からなるビニルピリジン変性共重合体(B)のラテックスを含有する混合物を、硫酸の存在下で凝固剤を用いて凝固した複合体粉末の製造方法であって、凝固剤が塩化ナトリウムを含み、凝固時のスラリーのpHが3以下である層状ケイ酸塩(A)とビニルピリジン変性共重合体(B)を含有する複合体粉末の製造方法。
JP2017072528A 2016-03-31 2017-03-31 層状ケイ酸塩と熱可塑性樹脂を含有する複合体およびその製造方法 Active JP6920091B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016072627 2016-03-31
JP2016072627 2016-03-31

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017186558A JP2017186558A (ja) 2017-10-12
JP6920091B2 true JP6920091B2 (ja) 2021-08-18

Family

ID=60046218

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017072528A Active JP6920091B2 (ja) 2016-03-31 2017-03-31 層状ケイ酸塩と熱可塑性樹脂を含有する複合体およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6920091B2 (ja)

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09301713A (ja) * 1996-05-13 1997-11-25 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 新規な変性粘土複合体、その製法、および変性粘土複合体と樹脂とからなる樹脂組成物、ならびにその製造方法
NL1006743C2 (nl) * 1997-08-08 1999-02-09 Tno Nanocomposiet-materiaal.
US7495051B2 (en) * 2004-09-27 2009-02-24 3M Innovative Properties Company Nanocomposite and method of making the same
US7625985B1 (en) * 2005-12-22 2009-12-01 The Goodyear Tire & Rubber Company Water-based process for the preparation of polymer-clay nanocomposites
EP2217527B1 (en) * 2007-11-21 2014-03-12 LG Chem, Ltd. Nanocomposites, polymer compositions comprising the same and preparation methods thereof
JP2009221371A (ja) * 2008-03-17 2009-10-01 Nippon Zeon Co Ltd ニトリル共重合体ゴム組成物の製造方法
JP6465104B2 (ja) * 2014-03-26 2019-02-06 日本ゼオン株式会社 ニトリル共重合体ゴム組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017186558A (ja) 2017-10-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102218409B1 (ko) 열가소성 수지 조성물
WO2014170406A1 (de) Thermoplastische formmassen auf basis von acrylnitril, styrol und butadien
EP2986649A1 (de) Thermoplastische formmassen auf basis von acrylnitril, styrol und butadien
US10189932B2 (en) Thermoplastic molding compounds with an optimized residual monomer content
KR20180090845A (ko) 개선된 특성을 갖는 abs 플라스틱을 생산하는 방법
US20210087379A1 (en) Thermoplastic moulding compound based on vinylaromatic copolymers for 3d printing
EP1777258B1 (en) Carbon nanotubes reinforced thermoplastic molding composition
JP6920091B2 (ja) 層状ケイ酸塩と熱可塑性樹脂を含有する複合体およびその製造方法
EP1777262A1 (en) Carbon nanotubes reinforced thermoplastic molding compositions and production process therefor
JPWO2016104259A1 (ja) 熱可塑性樹脂組成物、その製造方法およびその成形品
KR102592897B1 (ko) 개선된 가공 및 충격 강도를 갖는 충격 개질된 열가소성 성형 조성물의 생산 공정
KR102143893B1 (ko) 폴리비닐 클로라이드를 기재로 하는 열가소성 물질을 함유하고 히드록실 기로 개질된 가교 nbr 마이크로겔을 함유하는 조성물
JP2006348216A (ja) 高分子複合体の製造方法および熱可塑性樹脂組成物
JP4060102B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
CN111601829A (zh) 具有改善的表面质量的热塑性模塑组合物及其制品
JP2006169461A (ja) ポリカーボネートを含有する熱可塑性樹脂組成物
KR102214221B1 (ko) 최적화된 유동성-인성 비를 갖는 열가소성 성형 배합물
JP2017222803A (ja) 有機無機複合粒子及びそれを用いた熱可塑性樹脂組成物
KR101891836B1 (ko) 광산란이 감소된 성형 조성물
JP2003026742A (ja) グラフト共重合体ラテックスの製造方法
JP2005048155A (ja) 高分子複合材料およびその製造方法
US10683372B2 (en) Efficient copolymers having an agglomerating effect
JP4060111B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2012207074A (ja) 透明スチレン系熱可塑性樹脂組成物
TW202110989A (zh) 透明熱可塑性樹脂組成物、其製造方法及成形品、暨成形品之製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200128

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210121

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210202

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210331

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210706

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210726

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6920091

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150