JP6919850B2 - 抗がん活性を有する新規な分子 - Google Patents

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Description

本発明は、海藻から抽出される新規な分子、調製方法、およびがん細胞の増殖を阻害するための使用に関する。
がんはヒトの健康を重大な危険にさらす疾患である。毎年世界で約600万人ががんで死亡し、さらに1000万人がこの疾患に重篤に冒されている。世界保健機関の推定によると、21世紀には、がんは人類の「死因第1位」になる。
過去数十年間で、がんを処置する多くの方法が利用可能になり、それは主に手術、放射線治療、化学治療、ホルモン治療、遺伝子治療および免疫治療を含み、その中で、手術、放射線治療および化学治療が主要な手段になっている。化学治療とは、化学薬物投与によってがんを処置することを指す。これはがんの処置において最も急速に拡大している分野である。様々な標的を狙う多くの新規な医薬が臨床適用に準備されており、薬物作用機序および薬物動態の研究における開発によって、正常組織を保護しながら腫瘍細胞を死滅させるのにより適した臨床的投与経路および手段が出来ている。
がん細胞を阻害する天然由来の分子が探求され、タキソールまたはビンブラスチンなどの分子の発見に至った。臨床においてタクサス(taxus)およびビンカアルカロイドには有用性があるにもかかわらず、これらの治療には重大な制限がある。
がんを処置する場合の1つの主要な欠点は、あるタイプのがん細胞に対する選択性を実現させることである。ある特定のタイプのがん細胞に対する選択的活性を有する新規で強力な化合物を発見し、単離して、それにより、高選択的な抗がん分子を提供する必要性が依然としてある。
このような背景に対し、既に存在する化学治療薬の大群に加えるための新規な分子がきわめて望ましい。
本発明が対処しようとする主な態様は、ケトモルファ・カンナビナ(Chaetomorpha Cannabina)(CC)海藻から抽出される新規な分子を提供することである。
第1の態様によれば、式(I):
Figure 0006919850

で定義される化合物中に濃縮されている抽出物が提供される。
第1の態様によれば、濃縮または精製形態の式(I)で定義される化合物が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、in vitroまたはin vivoで、例えば哺乳動物において、がん細胞の増殖を阻害するための、本明細書に定義される抽出物または化合物の使用が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、哺乳動物のがんを処置するための組成物を製造するための、本明細書に定義される抽出物または化合物の使用が提供される。
さらなる態様によれば、本発明は、本明細書に定義される抽出物または化合物を、生理学的に許容される添加剤との混合で含む組成物を提供する。
さらなる態様によれば、本発明は、哺乳動物のがんを処置するための本明細書に定義される組成物の使用を提供する。
さらなる態様によれば、本発明は、がん細胞の増殖を阻害する方法であって、前記細胞に、増殖を阻害する濃度の本明細書に定義される抽出物、化合物または組成物を接触させるステップを含む方法を提供する。
さらなる態様によれば、本発明は、哺乳動物のがんを処置する方法であって、増殖を阻害する濃度の本明細書に定義される組成物を哺乳動物に投与するステップを含む方法を提供する。
さらなる態様によれば、本発明は、
a)ケトモルファ・カンナビナ(Chaetomorpha Cannabina)(CC)海藻由来のバイオマスを第1の溶媒と混合して、バイオマス:溶媒混合物を得るステップ、
b)SPEカラム内で種々の濃度の第2の溶媒を用いて前記混合物を溶離し、溶媒画分を回収するステップ、
c)Combiflashカラムで種々の濃度の第3の溶媒を用いてステップb)由来の前記メタノール画分を分画し、式(I)の化合物を含有する画分を回収し、任意選択で、前記画分から前記化合物を濃縮または精製するステップ
を含む、本明細書に定義される化合物を単離する方法を提供する。
抽出に使用するケトモルファ・カンナビナ(Chaetomorpha Cannabina)(CC)海藻の試料の写真である。 7種の細胞株の生存率に対する種々の濃度の粗製抽出物#1(NC77)のin vitro活性を示す。 ケトモルファ・カンナビナ(Chaetomorpha Cannabina)の粗製抽出物#1(NC77)の分画および細分画の方法を示す。 5種のがん細胞株の生存率に対する粗製抽出物#1(NC77)由来の画分(F1〜F5)のin vitro活性を示す。 NC77およびNC77−Fr−4画分から調製したFAMEのGCクロマトグラムを示す。 NC77抽出物のH−NMRプロファイルである。 NC77−Fr−4画分のH−NMRプロファイルである。 2つの異なる収穫日のNC77−Fr4の2つの試料間のHPLC比較を示す。 NC77の主成分の分画、細分画および精製のフローチャートである。 式(I)の化合物のUPLC−DAD/ELSD/HRMSプロファイルである。 式(I)の化合物のHRMSスペクトルである。 式(I)の化合物のH−NMRスペクトルである。 式(I)の化合物のCOSYスペクトルである。 式(I)の化合物のTOCSYスペクトルである。 式(I)の化合物のHSQCスペクトルである。 式(I)の化合物のHMBCスペクトルである。 式(I)の化合物のHRMSにおいて観察されたフラグメントイオンを示す。
略語および定義
略語
ビス−AAF−R110:ビス−アラニル−アラニル−フェニルアラニル−ローダミン110、CIMA:代謝活性の比色表示、GF−AFC:Gly−Phe−7−アミノ−4−トリフルオロメチルクマリン、HILIC:親水性相互作用液体クロマトグラフィー。C−18SPE:C−18カラムでの固相抽出。
定義
本明細書で使用する場合、単数形「1つの(a)」、「および(and)」、および「その(the)」は、文脈上、明らかに他の意味が示されていない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「1つの細胞(a cell)」と言えば、そのような細胞の複数を含み、「その培養物(the culture)」と言えば、1つまたは複数の培養物および当業者に公知のその均等物などヘの言及を含む。本明細書で使用するすべての技術用語および科学用語は、明らかに他の意味が示されていない限り、本発明が属する技術分野の当業者に広く理解されているのと同じ意味を有する。
本明細書で使用する「約(about)」または「およそ(around)」という用語は、示された数字の+または−10%の幅を指す。正確を期すると、約(about)という用語は、例えば90%と一緒に使用された場合、90%+/−9%、すなわち81%〜99%を意味する。もっと正確に言えば、約(about)という用語は、示された数字の+または−5%を指し、例えば90%は90%+/−4.5%、すなわち86.5%〜94.5%を意味する。pHに関連して使用された場合、「約(about)」という用語は+/−0.5pH単位を意味する。
本明細書および特許請求の範囲で使用する場合、「含むこと(comprising)」(ならびに「含む(comprise)」および「含む(comprises)」などのcomprisingの任意の形態)、「有すること(having)」(ならびに「有する(have)」および「有する(has)」などのhavingの任意の形態)、「含むこと(including)」(ならびに「含む(includes)」および「含む(include)」などのincludingの任意の形態)または「含有する(containing)」(ならびに「含有する(contains)」および「含有する(contain)」などのcontainingの任意の形態)という単語は包括的であり、または限定がなく、追加の、列挙されていない要素または方法ステップを排除しない。
本明細書で使用する場合、「疾患」および「障害」という用語は、互換的に使用される場合もあり、または特定の疾病または状態が既知の原因物質をもたない(そのため病因がまだ解明されていない)ことがあり、したがってそれはまだ疾患としてではなく、望ましくない状態または症候群としてしか認識されず、ある程度特定の一連の症状が臨床医によって確認されている、という点において異なる場合もある。
本明細書で使用する「対象」または「患者」という用語は、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくは、処置、観察または実験の目標であるヒトを指す。
「哺乳動物」には、ヒト、ならびに飼育動物、例えば実験動物およびペット(例えばネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウサギ)、および非飼育動物、例えば野生動物などの両方が含まれる。
本明細書で使用する「抽出物」という用語は、溶媒を海藻バイオマスに接触させることによって調製される組成物を意味し、本発明の手順に従って生成され、in vitroで1種または複数種のがん細胞株に対して阻害活性を示す。本発明の一態様において、抽出物は、in vivoでがん細胞の増殖に対して阻害活性を示す。本明細書で使用する場合、「抽出物」という用語は、粗製の、分画された、細分画された、分離された、単離された、濃縮された、または精製された、各抽出物を意味し、これらに限定されない。
「単離された」という用語は、本明細書では、化合物が自然界に発生する環境とは異なる物理的環境に存在することを指すために使用される。例えば、単離された分子は、それが天然に発生する複雑な細胞環境と比べて、例えば粗製抽出物中に、実質的に単離(例えば濃縮または精製)されている場合がある。単離された分子が濃縮される、または精製される場合、純度の絶対レベルは決定的なものではなく、当業者は、バイオマスが振り向けられるべき用途によって、純度の適切なレベルを容易に決定することができる。場合により、単離された分子は、組成物(例えば多くの他の物質を含有するある程度粗製の抽出物)または緩衝系の一部を形成し、それは例えば他の成分を含有し得る。別の場合には、単離された分子は精製されて、例えば、分光光度法で、NMRで、またはクロマトグラフィー(例えばLC−MS)で判定されるように、本質的に均質にされ得る。
「粗製物」という用語は、それが中に存在していた元の組成物の成分から完全には分離されていない化合物または分子を意味する。したがって、「分離すること」、「精製すること」または「単離すること」という用語は、生体試料の1種または複数種の夾雑(すなわち関連のない)成分を、試料の1種または複数種の他の所望の成分から除去する方法を指す。
本明細書に記載する分子は、医薬組成物として、添加物、例えば、薬学的に許容される添加剤、薬学的に許容される担体、および薬学的に許容されるビヒクルとともに製剤化することによって、または栄養機能食品製剤もしくは栄養製剤として、添加物、例えば、栄養機能的にまたは栄養学的に許容される添加剤、栄養機能的にまたは栄養学的に許容される担体、および栄養機能的にまたは栄養学的に許容されるビヒクルとともに、製剤化することができる。
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される」という用語は、生理学的に許容でき、ヒトに投与された場合に、通常、アレルギー反応または類似の望ましくない反応、例えば胃の不調およびめまいなどを起こさない、分子的実態および組成物を指す。好ましくは、本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される」という用語は、動物での、より特定するとヒトでの使用について、連邦政府もしくは州政府の規制当局に承認されている、または、米国薬局方もしくは他の一般に承認された薬局方に掲載されていることを意味する。
「担体」という用語は、本発明の化合物が一緒に投与され得る希釈剤、補助剤、添加剤またはビヒクルを指す。滅菌水または生理食塩水、ならびにブドウ糖水溶液およびグリセロール水溶液を、担体として、特に注射液用に使用することができる。好適な医薬担体は、E.W.Martin著「Remington’s Pharmaceutical Sciences」に記載されている。
本発明の分子および組成物は、栄養製剤、例えば医用または機能性食品、および健康補助食品を含む食品として調製することができる。「医用または機能性食品」は、通常食の一部として消費されるが、基本的な栄養機能を超えて、生理学的な有益性を有すること、および/または慢性疾患などの疾患もしくは状態のリスクを低減することが立証されているものと定義される。「健康補助食品」は、ヒトの食事を補うように意図されており、通常、丸剤、カプセル剤または錠剤などの製剤の形態で提供される製品と定義される。例として、以下に限定されるものではないが、健康補助食品では、次の成分:ビタミン、ミネラル、ハーブ、植物、アミノ酸、食事総摂取量を増加することによって食事を補うように意図されている食物中の物質のうち1種または複数種、および前述のいずれかの濃縮物、代謝産物、構成成分、抽出物または組合せを挙げることができる。健康補助食品はまた、食料品、例えば、健康を促進し、または疾患もしくは障害を予防するように設計された機能性食品に組み入れることもできる。医薬製剤として投与される場合、組成物は、予防または処置として、複数の方法のいずれかで患者に投与することができる。主題の組成物は、単独で、または他の医薬剤と組み合わせて投与することができ、その生理学的に許容される担体と組み合わせることができる。有効量および投与方法ならびに特定の製剤の狙いは、個々の対象、疾患の段階または状態、および当業者には明らかな他の要因によって変動し得る。医薬製剤の場合も栄養機能食品製剤の場合も、処置期間中、確実に望ましいレベルが維持されるように、主題の組成物の濃度をモニターすることができる(例えば、血漿中レベルをモニターすることができる)。
「栄養機能食品」という用語は、食品または食品の一部であり、疾患または状態の予防および処置を含む、医学上または健康上の有益性をもたらす任意の物質を指すために使用されてきた。したがって、栄養機能食品は、食品から単離または精製された製品であり、一般に、食品とは通常関係のない医薬形態で販売されている製品である。栄養機能食品は、生理学的な有益性を有すること、または慢性疾患に対する保護を付与することが立証されている。このため、「栄養機能食品」のラベルに該当する組成物は、単離された栄養素、健康補助食品および特定の食事から、遺伝子改変のデザイナーフーズ、ハーブ製品、ならびにシリアル、スープおよび飲料などの加工食品までの範囲とすることができる。より技術的な意味において、この用語は、食品から単離または精製され、一般に、食品とは通常関係のない医薬形態で販売されており、生理学的な有益性を有すること、または慢性疾患に対する保護を付与することが立証されている製品を指すために使用されてきた。栄養機能的に許容される好適な添加剤としては、液体溶液、例えば、植物由来ならびに/または動物由来および/もしくは魚類由来の油を含む溶液を挙げることができる。
「分子」および「化合物」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
本発明の特定の態様の詳細な説明
抗がん分子の代替源を提供するという目的で、ケトモルファ・カンナビナ(Chaetomorpha Cannabina)(CC)の溶媒抽出物から抽出され、単離された抗がん化合物が提供される。
抽出物
本発明の特定の実施形態によれば、上記の海藻由来の生理活性分子は100%MeOH画分中に見出され、式:
Figure 0006919850

で定義される。
抽出物の活性分子
特定の実施形態によれば、本発明は、式(I):
Figure 0006919850

で定義される化合物を、
そのラセミ混合物またはその鏡像異性体として提供する。
組成物
本発明の特定の実施形態によれば、本明細書に定義される化合物を、生理学的に許容される添加剤との混合で含む組成物が提供される。
使用および使用方法
別の実施形態によれば、本発明は、がん細胞の増殖を阻害するための、本明細書に定義される化合物の使用を提供する。特に、哺乳動物のがんを処置するための組成物を製造するための、本明細書に定義される抽出物の使用が提供される。
本発明の別の実施形態によれば、哺乳動物のがんを処置するための、本明細書に定義される組成物の使用が提供される。
特定の実施形態によれば、本発明は、がん細胞の増殖を阻害する方法であって、前記細胞に、増殖を阻害する濃度の本明細書に定義される化合物または本明細書に定義される組成物を接触させるステップを含む方法を提供する。
処置方法
より特定すると、哺乳動物のがんを処置する方法であって、増殖を阻害する濃度の本明細書に定義される組成物を前記哺乳動物に投与するステップを含む方法が提供される。最も特定すると、哺乳動物は愛玩動物またはヒトである。
抽出および単離の方法
特定の実施形態によれば、
a)ケトモルファ・カンナビナ(Chaetomorpha Cannabina)(CC)海藻由来のバイオマスを第1の溶媒と混合して、バイオマス:第1の溶媒混合物を得るステップ、
b)SPEカラム内で種々の濃度の第2の溶媒を用いて前記混合物を溶離し、第2の溶媒画分を回収するステップ、
c)Combiflashカラムで種々の濃度の第3の溶媒混合物を用いてステップb)由来の前記メタノール画分を分画し、主要成分を含有する画分を回収するステップ
を含む、本明細書に定義される化合物を抽出する方法が提供される。
別の実施形態によれば、本発明の方法は、ステップa)の前にヘキサンで脱脂するステップをさらに含む。
特定の実施形態によれば、本方法は、d)セミ分取HPLCカラムで第4の溶媒混合物を用いて前記画分を細分画して、化合物(I)中に濃縮されている亜画分を得るステップをさらに含む。
任意選択の実施形態によれば、本方法は、d’)前記亜画分の式(I):
Figure 0006919850

の化合物を濃縮または精製するステップをさらに含む。
別の実施形態によれば、本方法は、e)溶媒を除去することにより前記亜画分を乾燥して、式(I):
Figure 0006919850

の化合物中に濃縮されている乾燥抽出物を得るステップをさらに含む。
抽出用の溶媒
特に、分子は第1の溶媒で抽出される。より特定すると、抽出物の第1の溶媒は水またはアルコールであり、より一層特定すると、エタノール水溶液である。
特に、粗製抽出物はCCのエタノール水溶液抽出物である。より特定すると、粗製抽出物は、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%エタノール水溶液抽出物である。より一層特定すると、粗製抽出物は80%エタノール水溶液抽出物である。最も特定すると、粗製抽出物は予めヘキサンで脱脂した抽出物である。
特に、第2の溶媒は、メタノール、メタノール水溶液、またはメタノールとアセトニトリルとの混合物である。より特定すると、抽出物は粗製抽出物のC−18の第2の溶媒画分であり、特に、5%、10%、15%、20%、25%、30%、25%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%の第2の溶媒画分であり、特に、MeOH水溶液もしくは100%MeOH、またはCHCl:MeOH(1:1)の画分である。最も特定すると、画分は、30%MeOH水溶液画分〜100%MeOH画分である。
特に、第3の溶媒はメタノールまたはメタノール水溶液である。最も特定すると、抽出物はC−18画分のフラッシュカラム亜画分である。特に、亜画分は約40%MeOH亜画分である。
本発明をいかに成し、使用するかについて完全な開示および説明を当業者に提供するために以下の実施例を提示するが、本発明者らが自分達の発明であると考えているものの範囲の限定を意図するものではなく、下記の実施例がすべてまたは実施された実施例のみを表すことを意図するものでもない。使用した数(例えば、量、温度など)に関して正確を期するために努力がなされてきたが、多少の実験誤差および偏差は考慮されるべきである。他に指定のない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧ちょうどまたはその近辺である。
実施例−NewfoundlandおよびLabradorから収穫した海洋海藻から精製した化合物(I)の抗がん活性
実施例1−海藻採取および同定
海藻の採取プログラムを、Newfoundland、LabradorおよびQuebecの様々な地理的地域について、数回にわたる期間をかけて確立した。
一般的採取手順は以下のとおりとした。すなわち、海藻を潮間帯からナイフを用いて手作業で採取した一方で、スキューバダイバーらは潮下帯から海藻を採取した。試料を採集用ポリ袋に入れ、海水の冷却器に入れて実験室に運んだ。実験室に到着次第、各種を個別に洗浄して、着生のおよび外来性の物質(砂、イガイ類、等脚類など)を除去した。次いで試料を目視検査して、清浄であることを確認した。清浄でない場合、手作業でさらに洗浄して残留物を除去した。海藻を吸い取り乾燥し、最近似gまで秤量し(植物湿重量)、細断した。細断したバイオマスをエルレンマイヤーフラスコに移し、抽出物の調製まで−60℃で凍結した。
ケトモルファ・カンナビナ(Chetomorpha cannabina)の種々の試料のうち代表的な試料を写真撮影し(図1を参照)、−20℃で凍結し、Memorial University of Newfoundlandの藻類学者Dr.Robert Hooperによる種の確認も受けた。
実施例2.抽出物の調製
2.1 凍結乾燥
抽出用の試料を調製するため、海藻をまず凍結乾燥した。細断した海藻を含有するエルレンマイヤーフラスコ(−60℃で凍結しておいた)を凍結乾燥器に入れ、69×10−3mbarで72〜96時間凍結乾燥した。次いで、乾燥バイオマスの重量(g)を植物乾燥重量(g)として記録した。このステップは、海藻間の水の含量の差を説明するものであり、そうしない場合、生理活性成分の溶解度に影響を及ぼすことがある。第二に、植物代謝産物は乾燥形態で保管した場合に安定性が高いということもある。さらに、乾燥植物バイオマスを大規模に抽出する方が、新鮮なバイオマスを抽出するより、引き起こす問題を少なくすることができる。熱不安定性の化合物を保存するために、抽出のプロセス全体を通して低温条件が使用される。
2.2 試料の脱脂
海藻の脂質画分は、藻類乾燥物の1から5%までの変動があることが知られており、多価不飽和脂肪酸がその多くを占めている可能性がある。褐藻類および紅藻類は、特にエイコサペンタエン酸などの長鎖多価不飽和脂肪酸を豊富に含み(n3、C20:5)、緑藻類はあるレベルのαリノール酸を有し得る(n3、C18:3)。これらの多価不飽和脂肪酸はきわめて酸化しやすいため、分析中に脂質酸化生成物になる恐れがある。結果に影響を及ぼし得る上記の酸化プロセスを排除するため、化合物を抽出する前に試料を脱脂した。
凍結乾燥した海藻試料を粉砕して粉末にし、Waringブレンダー中で、周囲温度にて粉末をヘキサンとブレンドして(1:5、w/v、5分)脱脂した。脱脂した試料を風乾し、ポリエチレン袋に真空パックし、抽出するまで−20℃で保持した。
2.3 粗製物の抽出
化合物の抽出には様々な溶媒または溶媒系を使用することができる。一般に、エタノールは、その毒性が他の溶媒と比較して低いため、広く使用される。さらに、エタノール抽出物は、多くの研究で、抗酸化活性が最も高いことが立証されている。
化合物を、80%エタノール水溶液中に4℃で24時間抽出した。次いで、溶媒を減圧下にて37℃で45〜60分間除去し、得られた濃縮スラリーを、凍結乾燥器を使用して−80℃および69×10−3mbarで72〜96時間凍結乾燥した。乾燥抽出物を秤量し(抽出物乾燥重量、単位g)、スクリーニング用に調製するまで−60℃で保管した。
抽出収率を計算し、表1のように、乾燥抽出物のg/乾燥海藻のgとして表した。
Figure 0006919850
実施例3.海藻粗製抽出物の抗がんスクリーニング
3.1 バイオアッセイ誘導分画による精製
最初にCIMAアッセイによって、海藻抽出物を、in−vitroモデルにおけるその抗がん活性について評価した。その結果から、抗がんの可能性が最も高い抽出物を、バイオアッセイ誘導分画による精製のために選択した。
3.2 化合物の調製
抽出物の原液を、ジメチルスルホキシド(DMSO)中に10mg/mLで調製し、200μlずつに等分して、分析するまで−20℃で保管した。この調製により、培養中細胞に送達されるDMSOは決して1%を超えないことが確実になった。
3.3 CIMAアッセイ
調製した抽出物を、長期曝露条件(細胞を2×10細胞/ウェル(96ウェルプレート)で播種し、試験化合物とともに72時間インキュベートした)に従って査定した。各化合物を、0、10、25、50または100μg/mlの濃度範囲にわたって評価した。最初に細胞増殖を標準的な代謝活性の比色指標(CIMA)アッセイを使用して査定した。このアッセイでは、培養物中の細胞増殖の程度を判定するために、ミトコンドリアの活性を評価する代謝機能の測定値として、テトラゾールの還元を評価した。このアッセイは、生細胞中のミトコンドリアのレダクターゼ酵素によって黄色テトラゾリウム塩が紫色ホルマザンに還元されると、吸光度の変化を付与する変色が起こることに基づいている。6種のヒト細胞株を一次評価用に選択した:U373(膠芽腫−星細胞腫)、A549(肺癌)、THP−1(急性単球性白血病)、MCF7(乳腺癌)、SKOV3(卵巣腺癌)およびCCD1079SK(線維芽細胞、非がん性であるが増殖する)(図2および表2を参照)。表3は各抽出物のIC50を表す。
表2に示す結果から、抽出物#1(NC77)をさらなる分画用に選択し、同様の方法で評価した。
Figure 0006919850
Figure 0006919850
Figure 0006919850
3.4 分画
粗製抽出物#1を、C−18SPEカラム分離により、各15mlの、5%メタノール(画分1)、25%メタノール(画分2)、50%メタノール(画分3)、100%メタノール(画分4)およびメタノール:ジクロロメタン(1:1)(画分5)を使用して、5つの画分に分画した。抽出物を分画し、得られた画分を、CIMAアッセイを使用して評価した。バイオアッセイ誘導分画により、特定の生理活性に関与している化合物に関する詳細情報が得られた。
以下の量が図3に記載の方法から得られた。それを表4にまとめている。
Figure 0006919850
3.4.1 画分の結果
得られた画分を、CIMAアッセイを使用して評価した。バイオアッセイ誘導分画により、特定の生理活性に関与している化合物に関する詳細情報が得られた(表5)。表6は各画分のIC50を示す。
図4にも示すように、活性は画分3および4にあった。各画分について得られた収量を考慮すると、分画の結果により、抗がん活性がF4に分布していることが明白に示され、抽出物#1(画分4)の選択について優先度が確定した。したがって、NC77の画分4(0.34g)に、下記のようにさらに細分画を行った。
Figure 0006919850
Figure 0006919850
実施例4.抽出物#1(NC77)の画分4の細分画
バイオアッセイの結果(表5)に基づいて、さらなる細分画をするために画分4を選択した。したがって、第2の段階では、NC77−F4をジクロロメタン/メタノールに溶解し、セライトと混合し、回転蒸発によって乾燥した。試料を24g Teledyne ISCO High Performance GOLDシリカゲルカラムに充填し、CombiFlash(登録商標)Rf、Teledyne ISCOにてジクロロメタン/メタノールで溶離した。細分画を、溶媒A(CHCl)と溶媒B(1:1メタノール:水)との以下のような勾配、すなわち、2CV(カラム体積)で0%B、次いで17CVで40%Bへ、4CVで100%Bへの、全溶離として23CVで行った。
画分をTLCによってモニターし、一部を組み合わせ、RotavapおよびGenevacを使用して乾燥して、表7に示す5つの亜画分を得た。
Figure 0006919850
これらの亜画分に再度上記のバイオアッセイ評価を行った。結果を表8に%生存率として(3レプリケートの平均±標準偏差)、表9にLD50/IC50値で表している。最も活性な結果にはグレーで陰影をつけて、統計的な分析が示されている。最大DMSO濃度は100μg/mlで1%とし、5%SDSを既知の毒性誘導物質として使用した。
結果により、抗がん活性がNC77の画分4の亜画分F3およびF4に分布していることが明白に示された。
Figure 0006919850
Figure 0006919850
Figure 0006919850
実施例5.NC77およびNC77−F4の主成分の特性分析
5.1.試料の調製および分析:
FAMEの調製およびGC−MS分析
抽出物#1(NC77)およびその画分−4(NC77−Fr.4)をGC−MSで分析した。試料にナトリウムメトキシド溶液1mLおよびヘキサン1mLを添加して蓋を閉めた。反応バイアルを加熱ブロック(80℃)に15分間置き、バイアルを手作業にて5分間隔で振盪した。室温まで冷却してから飽和NaCl溶液1mLを添加し、手作業で数回振盪した。次いで、反応バイアルを20分間2,000rpmで遠心分離した。上部の溶液をGCバイアルに移した。GC−MS分析では、Agilentの5973質量選択検出器を備えた6890を使用した。カラムはAgilent DB−23(59m×0.25mm、0.15μm)、注入量1μLとした。オーブンプログラム:50℃で1分、25℃/分で170℃へ、2.75℃/分で215℃へ(12分保持)、40℃/分で230℃へ(3.11分保持)。全分析時間は37.65分とした。FID温度は280℃、水素流は40mL/分、空気流は400mL/分、メイクアップ流N2は20mL/分とした。分割比は2:1とした。キャリアガスはヘリウムとし、定圧(30psi)に保持した。MSDイオン化モードはEIとした。界面温度250℃、MS源230℃、MS Quad 150℃。質量範囲は50〜600m/zとした。
異なるバッチを比較するためのHPLC−DAD分析
Agilent Zorbax SB−C18(2.1×30mm 3.5μm)カラムで、Agilent HPLC 1100を使用して分離を行った。溶媒Aは10mMギ酸アンモニウム(pH3.2)とし、溶媒Bは90%アセトニトリルおよび10% 100mMギ酸アンモニウム(pH3.2)とした。勾配は12分で30%Bから100%Bへとし、0.1%ギ酸を含むアセトニトリルで2分間洗浄した。カラム温度は55℃とした。流速は0.5mL/分とした。
カロテノイドのHPLC−DAD/MS分析
Agilent 1200システムにて、YMCカロテノイドカラム、0.5μm(250×2mm)を32℃で使用して分析を行った。移動相:溶媒A 50mM AmAc/MeOH、溶媒B MTBE、勾配は40分で5から65%Bへ。流速は0.2mL/分とし、DAD検出器を450nmでモニターした。クロマトグラムのピークの同定を既知の標準物質(フコキサンチン、アスタキサンチン、ルテイン、ゼアキサンチン、カンタキサンチン、α−カロテンおよびβ−カロテン)とのRT比較に基づいて行った。標準物質はすべてChromadexから購入した。
UPLC−DAD/ELSD/HRMSおよびMS/MS
以下の機器を、LC−UV−ELSD−HRMSデータの取得のために使用した:Accela 1250ポンプ(Thermo Fisher Scientific);過熱したエレクトロスプレーイオン化プローブを備えたExactive卓上Orbitrap質量分析計(Thermo Fisher);Utimate 3000 DAD(Thermo Scientific Dionex)およびELSD 3300(Alltech)。分離は、Hypersil C18カラム(50×2.1mm、Thermo)にて行い、(A)0.1%ギ酸および(B)0.1%ギ酸のアセトニトリル溶液からなる移動相を使用して、4.2分で5%Bから100%Bへの直線勾配で、3.2分保持し、流速は400μL/分とした。
HRMSを、正極性または負極性において、25,000分解能で取得したが、各々を、全イオンフラグメンテーションについて衝突エネルギー50eVで、10,000分解能にてHCDスキャンした。以下の最適イオン源条件を使用した:シース流は15、補助ガス流速は3;スプレー電圧は3kV(負極では−2.5kV);キャピラリーおよび加熱器の温度はそれぞれ350℃および250℃である。
NMR
試料を100μLのCDCl中に再構成し、各試料を60μLずつ1.7mmのNMR管に移した。スペクトルはすべて、16Kで作動する1.7mm極低温プローブを備えたBruker Avance III 700MHz分光計で実施した。
5.2.NC77およびNC77−Fr.4の分析
事前に実施した予備プロファイリング作業では、脂質がNC77−Fr.4の主成分であることが示されていた。このため、この抽出物およびその生理活性画分中の脂肪酸組成物を突き止めるためにGC−MS分析を行った。
図5は、抽出物#1(NC77)および#1−F4(NC77−Fr.4)から調製したFAMEのGCクロマトグラムである。保持時間、およびNISTデータベース照合に基づいた仮同定を表10に示す。主な脂肪酸はパルミチン酸であることが示された。
Figure 0006919850
以前に調製し、試験しておいたNC77およびNC77−Fr.4の異なる2つのバッチのNMRおよびHPLCプロファイルと、新たな試料との比較もした。
図6および図7に示すように、2015年11月に調製した抽出物#1およびその画分4(NC77およびNC77−Fr.4)は、H−NMRプロファイルが、以前のバッチ(2015年6月)から観察されるものと同様である。脂質(脂肪酸)が主要成分であるようであった。
HPLCの比較を図8に示す。両者は主成分のプロファイルが同様であるようであった。
実施例6.NC77−F4−F13からの主成分の分画および精製
第2の一連の実験では、NC77を上記のように分画し、画分4を細分画したが、わずかに異なるプロトコールを用いてより良好な化合物分離を得た。要するに、3.14gの抽出物#1(NC77)をメタノールに溶解し、セライト上で混合し、Rotavapを使用して乾燥した。次いで、試料を、事前準備して平衡化したThermo Scientific SPEカラム(HYPERSEP C18 20G)に充填した。4つの画分は、SPEカラムを5%メタノール(Fr.1)、25%メタノール(Fr.2)、50%メタノール(Fr.3)および100%メタノール(Fr.4)で溶離することによって得た。
これまでのバイオアッセイの結果に基づき、画分−4(0.34g)にさらなる分画を行った。画分4をジクロロメタン/メタノールに溶解し、セライトと混合し、乾燥した。24g Teledyne ISCO High Performance GOLDシリカゲルカラムに試料を充填し、CombiFlash(登録商標)Rf、Teledyne ISCOにてジクロロメタン/メタノールで溶離した。溶離溶媒の勾配(AおよびB)は以下のとおりとした:2CV(カラム体積)で0%B、次いで15CVで40%Bへ、40%Bで2CV保持し、2CVで100%Bへ、100%Bで2CV保持した。全溶離体積を23CVとした。Aはジクロロメタンであり、Bはメタノール/ジクロロメタン(1:1)である。画分をTLCでモニターし、一部を組み合わせて、RotavapおよびGenevacを使用して乾燥した。
TLC分析に基づき、Fr.4の亜画分13(Fr.4−13、0.11g)が主要成分を含有していることを示したため、これを次の精製のために選択した。このステップでは、CombiFlash(登録商標)Rfによる12gシリカゲルカラムを使用した。溶媒(AおよびB)の勾配は、2CVで0%B、次いで25CVで100%Bへ、100%Bで2CV保持とした。全溶離を29CVとした。Aはジクロロメタンであり、Bは5%メタノールのジクロロメタン溶液である。再度、TLCに従って画分を選択的に組み合わせた。
3つの亜画分を、セミ分取HPLC(Agilent)を使用してさらに精製した。使用したカラムはZORBAX SB−C18(9.4×50mm、5μm)であり、移動相は水/アセトニトリルとした。分離を最適化するために、異なる試料に対して溶離勾配を変動させた。カラム温度は55℃、流速は5mL/分とした。
図9に示すように、上記の分画および精製により、全構造分析用に19試料が得られた。その中で、試料31−34−5(3.9mg)が純粋化合物であった。
実施例7.純粋化合物31−34−5の構造
7.1.化合物31−34−5(式(I))
UPLC−DAD/ELSD/HRMSデータ(図10)により、化合物31−34−5が純粋化合物であることが明らかになった。HRMS(図11)ピークはm/z335.21950(ポジティブモード、C1832Naの実測値、計算値は335.21983)およびm/z311.22283(ネガティブモード、C1831 の実測値、計算値は311.22223)、分子式C1832と確定。
H−NMR、COSY、TOCSYおよびHSQCスペクトル(図12〜15)は、2つのオレフィンメチン(δ5.79ppm)、3つの酸化メチン(δ5.34、4.09、3.67ppm)、11のメチレン(δ2.6−1.0ppm)、および1つの末端メチル基(δ0.87ppm)の存在を示した。
HMBC(図16)によってC−Hのキー相関が明らかとなり、化合物31−34−5の構造として12,13−ジヒドロキシ−10−オクタデセン−9−オリドを提案するに至った(矢印はHMBCのキー相関を示す)。
Figure 0006919850
C−10位、11位の二重結合は、オレフィンプロトンのカップリングJ値に基づいて、トランス型であると決定した。HRMS(図17)のフラグメントイオンでも構造を確定した。
データベースによる構造探索を基にすると、化合物31−34−5は新規な化合物である。これは、不飽和で酸化したオクタデカン酸またはステアリン酸(18:0)のエステル化によって形成される可能性のある脂肪酸誘導体である。フルスペクトルデータ割り当てを表11に挙げる。
Figure 0006919850
実施例8.式(I)の化合物のin vitro抗がん活性
化合物(I)のin vitro抗がん活性は表12に平均細胞生存率として表し、表13は同じデータであるが、倍率変化生存率±標準誤差として表している。
Figure 0006919850
Figure 0006919850
本発明は、本発明の実施のために好ましい形態を含めるために、本発明者が発見し、または提案する特定の実施形態に関して記載されてきた。本開示に照らせば、本発明が意図する範囲から逸脱することなく、例示された特定の実施形態において、多くの変形および変更がなされ得ることを、当業者は理解するであろう。このようなすべての変形は添付の特許請求の範囲内に含まれるものとする。
本明細書に引用している刊行物および特許出願はすべて、個々の刊行物または特許出願が具体的におよび個別に参照により援用されることを示すものとして、参照により本明細書に援用される。

Claims (18)

  1. 式(I):
    Figure 0006919850

    を有する化合物。
  2. そのラセミ混合物またはその立体異性体としての、請求項1に記載の化合物。
  3. in vitroでがん細胞の増殖を阻害するための、請求項1または2に記載の化合物の使用。
  4. 哺乳動物におけるがん細胞の増殖阻害に使用するための、請求項1または2に記載の化合物。
  5. 哺乳動物のがんの処置または予防に使用するための、請求項1または2に記載の化合物。
  6. 哺乳動物のがん処置または予防ための医薬品を製造するための、請求項1または2に記載の化合物の使用。
  7. 経口使用のための製剤中に組み入れられる、請求項1または2に記載の化合物。
  8. 前記経口製剤が、栄養機能食品製剤または栄養製剤である、請求項7に記載の化合物。
  9. 注射のための製剤中に組み入れられる、請求項1または2に記載の化合物。
  10. 請求項1または2に記載の化合物を、生理学的に許容される添加剤との混合で含む組成物。
  11. 前記添加剤が経口用に許容される、請求項10に記載の組成物。
  12. 前記添加剤が注射用に許容される、請求項10に記載の組成物。
  13. 哺乳動物におけるがんの処置または予防に使用するための、請求項10〜12のいずれか一項に記載の組成物。
  14. 哺乳動物のがんの処置または予防のための医薬品を製造するための、請求項10〜12のいずれか一項に記載の組成物の使用。
  15. 1種または複数種の他の治療剤と組み合わされる、請求項10〜13のいずれか一項に記載の組成物。
  16. 前記他の治療剤が抗がん剤である、請求項15に記載の組成物。
  17. 請求項1または2に記載の化合物の抗がん有効量を含む、経口投与のための、散剤、シロップ剤、ジェルキャップ、丸剤、カプセル剤または他のデバイス。
  18. 請求項1または2に記載の化合物を単離する方法であって、
    a)ケトモルファ・カンナビナ(Chaetomorpha Cannabina)(C.C.)海藻由来のバイオマスを80%エタノール水溶液と混合して、バイオマス:エタノール混合物を得るステップ、
    b)SPEカラム内で種々の濃度のメタノールを用いて前記混合物を溶離し、100%メタノール画分を回収するステップ、
    c)Combiflashカラムで種々の濃度のMeOH:CHClを用いてステップb)由来の前記メタノール画分を分画し、主要成分を含有する画分を回収するステップ
    d)セミ分取HPLCカラムで水/アセトニトリルを用いて前記画分を細分画して、亜画分を得るステップ、及び、
    e)前記化合物を前記亜画分から精製して、精製された前記化合物を得るステップ
    を含む、方法。
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