JP6919782B2 - 車両のエンジン冷却制御装置 - Google Patents
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Description
しかし、エンジンを過給運転する車両の場合、すなわちエンジンの排気系にターボチャージャ(過給運転をする機器)といった機器が設けられる車両の場合、エンジンの運転が停止し、冷却水の循環やエンジンルームの冷却が止まると、エンジンの排熱エネルギーで作動していたターボチャージャは冷却されなくなるので、エンジンやターボチャージャの熱で急激にエンジンルームの雰囲気温度は上昇する。このため、エンジン運転停止時、エンジンルームに配置されている各種機器が熱的影響(熱害)を受けるおそれがある。
すなわち、エンジン運転停止時のエンジンや、ターボチャージャや、エンジンルームの温度は、エンジンの運転が停止するまでの車両運転状態、すなわちエンジン運転停止直近における車両の走行状態によりそれぞれ異なる。
つまり、熱害をもたらす要因となる、エンジン、ターボチャージャ(エンジン排気系に付く機器)、エンジンルームの温度は、低・中速走行からのエンジン運転停止時や、高速走行からのエンジン運転停止時など、エンジン運転が停止するまで直近の車両の運転状態に応じて異なる。
そこで、本発明の目的は、エンジン運転停止時、エンジンが停止する直前の直近の車両の走行状態に基づき、エンジン、エンジンの排気系に設けられる機器、エンジンルームの温度上昇が効果的に抑えられる車両のエンジン冷却制御装置を提供する。
図1(a)は自動車などの車両の前部を示し、図1(b)は同車両前部のエンジンルームに搭載されている各機器の構成を示していて、図1中1は同車両の車体、3は同車体1の前部に形成されたエンジンルーム、5は同エンジンルーム3内に収められたレシプロ式のエンジン(多気筒)である。ちなみに図1(a)中、符号Fは車両前側を示し、符号Rha車両後側を示している。
具体的にはメインラジエータ装置67は、例えば走行風入口9とエンジン5との間に配置されたメインラジエータ71と、同メインラジエータ71の熱交換部とエンジン5との間に配置された、複数の電動ファンでなるメインラジエータファン73とを有している。メインラジエータ71は、走行風入口9の片側の多くを占めるように配置される。そしてメインラジエータ71は、メインラジエータ71から延びるメイン通路75を介して、エンジン5のウォータポンプ23や冷却水路43と連通している。つまり、エンジン5は、ウォータポンプ23にて循環する冷却水(冷却媒体)にて冷却される。ちなみにメインラジエータファン73は、外気を冷却風としてメインラジエータ71を通じエンジンルーム3へ送風する。
具体的にはECU89には、エンジン5の冷却水温を検出するエンジン冷却水温センサ91(以下、E/G水温センサ91という:図1)、ターボチャージャ11の出口冷却水温を検出するターボチャージャ出口水温センサ93(以下、T/C水温センサ93という:図1)、ターボチャージャ11の出口排気ガスの温度を検出する排気温センサ95(図1)、車両の車速を検出する車速センサ97、車両走行中における路面勾配を検出する勾配センサ99、エンジン5をオンオフするイグニションキースイッチ101(以下、I/Gスイッチ101という)、メインラジエータファン73、サブラジエータファン81および循環ポンプ85などが接続される。
さらにECU89には、エンジン5の運転が停止すると、エンジン運転停止直前の過去の車両運転状態の履歴に基づき、その時点で求められるエンジンルーム3の冷却の度合い、すなわち冷却要求度合いを判定する判定機能(本願の判定手段に相当)が設定されている。この判定機能は、例えば車両運転履歴の情報を用いてエンジン運転停止前、過去10minにおける平均勾配と平均車速とを算出し、算出した平均勾配と平均車速とに基づき、エンジンルーム3の冷却要求具合いを判定する。
車両は、I/Gスイッチ101をオンして、エンジン5の運転を開始してから、アクセル操作やハンドル操作を行うことにより、走行する。この際、エンジン5の排熱エネルギーにより、ターボチャージャ11のタービンホイール53は駆動され、さらにコンプレッサホイール49は駆動される。すると、エンジン5へ吸入される吸入空気は、燃焼室29へ押し込まれ、ターボチャージャ11による過給運転が行われる。
車両走行を終え、ブレーキ操作で車両を停止させる。そして、停止直後にステップS1のようにI/Gスイッチ101をキーオフ操作して、エンジン5のアイドル運転を停止させたとする。
ステップS7は、車両の走行状態の履歴から、エンジン5の運転が停止するまでの過去10minにおける登り勾配の単位当たりの勾配平均degを算出し、同勾配平均を閾値α(例えば勾配3%:所定値)と対比する。この対比により、エンジン5が直近において、どれだけ負荷が強いられていたかが把握される。これにより、過給運転が強いられるエンジン5の負荷が大きい登坂走行などの場合と、エンジン5の負荷の小さい平坦路走行などの場合とに分けられる。
エンジンルーム3の通風具合の判定は、走行風が走行風入口9からエンジンルーム3へ導入する風速から割り出すことで行われる。そのため、ステップS9では、車両の走行状態の履歴から過去10minの平均車速を算出し、同平均車速を低・中車速の登坂走行を考慮した閾値β(例えば60km/h)と対比する。この対比により、登坂走行で平均車速が低いときや登坂走行で平均車速が比較的高いなど、直近の走行状態を考慮したエンジンルーム3の雰囲気温度の上昇具合が把握される。
熱的に最も厳しい場合は(エンジン負荷が大、走行風が期待できない)、ステップS9からステップS11へ進み、最も高い冷却能力でエンジンルーム3、エンジン5、ターボチャージャ11を冷却させるため、第1冷却モードを選択する。これにより、ECU89は、図4に示されるようにメインラジエータファン73、サブラジエータファン81、循環ポンプ85を運転する。
すると、所定時間(10min)を1サイクルとしたサブラジエータファン81の運転にしたがい、外気がエンジン5へ向けて送風され、エンジンルーム3に冷却風が導入される。と共に温度上昇が著しいターボチャージャ11に冷却水が循環し、ターボチャージャ11を重点に冷却する。
むろん、ステップS17のようにT/C出口冷却水温が閾値aに達すれば、十分にエンジンルーム3を含む機器の冷却が行われたと判定され、サブラジエータ装置69(第2冷却回路部)のサブラジエータファン81、循環ポンプ85の運転を終える。
ステップS9では、車両の走行状態の履歴から過去10minの平均車速を算出し、同平均車速を平坦走行を考慮した閾値β(例えば80km/h)と対比する。この対比により、高車速で走行するという、走行風が期待できるときのエンジンルーム3の雰囲気温度の上昇具合が把握される。
このエンジン運転停止の状況の中で、冷却要求度合いが大きい場合(例えば80km/hを下回る場合)は、エンジン5の温度上昇が、エンジンルーム3の温度上昇に関与していると判定される。この場合、ステップS21へ進み、第3冷却モードを選択し、メインラジエータファン73、サブラジエータファン81だけを運転する。
これにより、メインラジエータファン73とサブラジエータファン81との稼働で、エンジン5に冷却風を吹き付けるという、エンジン5を重点とした冷却だけで、エンジンルーム3の冷却は十分に行われ、エンジンルーム3の雰囲気温度は低下する。つまり、同エンジンルーム3の直近の状況に対応した冷却が行われる。
またステップS19で、エンジン5の温度上昇の関与が小さいと判定されると、ステップS27へ進み、第4冷却モードを選択して、サブラジエータファン81だけを運転する。
これにより、サブラジエータファン81の稼働で、エンジン5に冷却風を吹き付けるという冷却だけで、エンジンルーム3の冷却は十分に行われ、エンジンルーム3の雰囲気温度は低下する。つまり、同エンジンルーム3の直近の状況に対応した冷却が行われる。
なお、エンジン運転停止時、エンジン5の冷却水温が暖機運転を終えたことを判定する冷却水温の閾値aに達していなければ(ステップS3)、エンジン冷却は実行しない。またエンジン運転停止時、過去10minのエンジン5の平均排気温が、高負荷運転を判定する温度値を越え、さらに越えた時間の積算が所定積算値の閾値cを越えるという、エンジン5の運転が高負荷運転であることが明らかな場合(ステップS5)、無条件に最も高い冷却をもたらす第1冷却モードを実行させる。
しかも、車両が登坂走行したときの勾配情報、車両の車速情報を含む走行情報を履歴として残し、登坂走行後のエンジン運転停止時、エンジン停止直前の直近における平均勾配と平均車速とを算出して、同平均勾配と同平均車速とに基づき冷却要求度合いの判定を行い、同冷却要求度合いに基づきメインラジエータ装置67(第1冷却回路部)、サブラジエータ装置69(第2冷却回路部)を制御したことにより、登坂走行後、エンジン5の運転を停止した場合でも、適切にエンジンルーム3、エンジン5、ターボチャージャ11を冷却することができる。
加えて、サブラジエータ装置69は、インタークーラ冷却装置77を流用して構成したので、コストを抑えた簡単な構造ですむ。
5 エンジン
11 ターボチャージャ(エンジンの排気系に設けられる機器)
67 メインラジエータ装置(第1冷却回路部)
69 サブラジエータ装置(第2冷却回路部)
71 メインラジエータ
73 メインラジエータファン
79 サブラジエータ
81 サブラジエータファン
84 ターボ冷却回路(サブ冷却回路)
85 循環ポンプ
89 ECU(履歴手段、判定手段、制御手段)
Claims (7)
- エンジンルームに収められるエンジンと、
前記エンジンの冷却水を冷却するメインラジエータと、当該メインラジエータを通じて冷却風をエンジンルームへ送風するメインラジエータファンとを有する第1冷却回路部と、
前記エンジンの排気系に設けられる機器を冷却するサブラジエータと前記機器との間に循環ポンプで冷却媒体を循環させるサブ冷却回路と、前記サブラジエータを通じ冷却風をエンジンルームへ送風するサブラジエータファンとを有する第2冷却回路部と、
前記エンジンが運転してから停止するまでの車両の走行状態を履歴として記録する履歴手段と、
前記エンジンの運転が停止したとき、エンジン停止直前の直近の履歴情報に基づき冷却要求度合いを判定する判定手段と、
前記判定手段による冷却要求度合いの判定に基づき前記第1冷却回路部および前記第2冷却回路部を制御する制御手段とを具備し、
前記履歴手段は、前記車両が登坂走行したときの路面の勾配情報と車両の車速情報とを含む走行状態を履歴として記録し、
前記判定手段は、前記車両が登坂走行後にエンジンの運転が停止したとき、エンジン停止直前の直近における平均勾配と平均車速とを算出し、当該平均勾配と平均車速とに基づき冷却要求度合いの判定を行い、
前記制御部は、前記平均勾配と前記平均車速とにより判定された冷却要求度合いに基づき前記第1冷却回路部および前記第2冷却回路部を制御する
ことを特徴とする車両のエンジン冷却制御装置。 - 前記制御部は、前記判定された冷却要求度合いに基づき、
前記第1冷却回路部のメインラジエータファン、前記第2冷却回路部のサブラジエータファンおよび循環ポンプが運転する第1冷却モードと、
前記第2冷却回路部のサブラジエータファンおよび循環ポンプが運転する第2冷却モードと、
前記第1冷却回路部のメインラジエータファンと、前記第2冷却回路部のサブラジエータファンとが運転する第3冷却モードと、
前記第2冷却回路部のサブラジエータファンが運転する第4冷却モードと
のいずれかを選択するものである
ことを特徴とする請求項1に記載の車両のエンジン冷却制御装置。 - 前記制御部は、前記平均勾配が所定値より大きいとき、前記第1冷却モードまたは前記第2冷却モードを選択し、前記平均勾配が所定値以下のとき、前記第3冷却モードまたは前記第4冷却モードを選択する
ことを特徴とする請求項2に記載の車両のエンジン冷却制御装置。 - 前記機器は、前記エンジンを過給運転するターボチャージャである
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両のエンジン冷却制御装置。 - 前記エンジンは、前記ターボチャージャによって過給される吸入空気を冷却するインタークーラを有し、
前記第2冷却回路部のサブ冷却回路は、前記インタークーラを前記冷却媒体の循環で冷却させるインタークーラ冷却装置の流路をターボチャージャの冷却水路に連通させて構成される
ことを特徴とする請求項4に記載の車両のエンジン冷却制御装置。 - 前記エンジンは、前記ターボチャージャが車両の車室側に位置する横置きの姿勢で前記エンジンルーム内に収められる
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の車両のエンジン冷却制御装置。 - 前記第1冷却回路部のメインラジエータファンおよび前記第2冷却回路部のサブラジエータファンは、いずれも冷却風が前記エンジンに吹き付けられるように吹き出される配置としてある
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の車両のエンジン冷却制御装置。
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