JP6919360B2 - 金属材料中のケイ素量を定量する方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属材料中のケイ素量を定量する方法、ケイ素成分を含む金属材料の溶解方法、および金属材料の溶解液に関する。
金属材料には、ケイ素成分(例えば、ケイ素やケイ素化合物など)が、特異的な金属性能を発現させる目的で添加物として意図的に添加されたり、もしくは、製造過程で精製されずに不純物として残留したりすることがある。
金属材料におけるケイ素の品位評価は、ケイ素の濃度や含有量に応じて、種々の定量方法が適用されている。
例えば、濃度が0.n%程度と高く、金属材料中で均一である場合には、蛍光X線などに代表される非破壊分析法での定量が可能である。
一方、濃度や含有量が極微量である場合や金属材料中でばらつく場合には、破壊分析法として、発光分光分析法や、化学的な処理によって金属材料を溶液化した後に、目的元素を直接もしくは選択的に分離する化学分析法により定量を行うことが可能である。化学分析法によれば、金属材料を溶液化することで、濃度を均一化できるので、濃度にばらつきのある材料であっても定量することが可能である。
一般に、金属材料に不純物として含まれるケイ素成分は極微量であるため、蛍光X線では定量が困難である。また蛍光X線以外の固体分析法では、不純物濃度が均一でない場合には、金属材料における代表的な数値として得られないおそれがある。そのため、不純物として混入する極微量のケイ素を定量する場合は、金属材料を溶解させ、その試料溶液を化学分析するのが一般的である。
金属材料を溶解させるときに、不純物がケイ素であれば、鉱酸により比較的容易に溶解できるが、ケイ素化合物として二酸化ケイ素やケイ酸塩などの酸化物であると、溶解させることが困難となる。そこで、溶解させるための助剤としてフッ化水素酸を用いる方法が提案されている(例えば、非特許文献1を参照)。具体的には、鉱酸とフッ化水素酸とを含む処理液に金属材料を添加して加熱することにより、金属成分とともに、ケイ素やケイ素化合物を溶解させて試料溶液を調製することができる。
ただし、フッ化水素酸は、試料溶液の測定装置において、石英からなる部材を腐食させてしまうおそれがある。そのため、フッ化水素酸を用いて溶解させた試料溶液を測定する場合、測定装置において試料溶液が通過する部材を、例えばフッ素樹脂やアルミナなどのフッ化水素酸に耐性を有する材料で構成する必要がある。
また、フッ化水素酸による腐食を抑制する目的で、フッ化水素酸を用いて溶解させた試料溶液にホウ素化合物を添加する方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。ホウ素化合物によれば、試料溶液中に残存するフッ化水素酸を不活性化し、その腐食効果を抑制(マスキング)することができる。
特開2000−310586号公報
JIS M8264:2006(クロム鉱石−けい素定量方法)
上述したように、金属材料中のケイ素量を精度よく定量するには、フッ化水素酸を用いてケイ素成分を溶解させる必要があり、フッ化水素酸を含む試料溶液を測定する場合は、フッ化水素酸に耐性を有する部材で構成された特別な測定装置を用いるか、もしくは、試料溶液にホウ素化合物を添加してフッ化水素酸をマスキングする必要がある。
このように、フッ化水素酸を用いる場合、特別な測定装置を用いたり、測定前に試料溶液を前処理したりする必要があるため、工程が複雑となる。
しかも、本発明者の検討によると、フッ化水素酸をマスキングする目的で添加するホウ素化合物には、その生成過程でケイ素が混入しているため、金属材料中の微量なケイ素量を精度よく定量することが困難であることが分かった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、鉱酸に溶解させにくいケイ素化合物などのケイ素成分を含む金属材料中のケイ素量を精度よく、かつ簡便に定量する技術を提供することを目的とする。
本発明者は、フッ化水素酸に代わる成分であって、鉱酸に溶解しにくいケイ素化合物を溶解することができ、かつ測定装置を腐食させないような成分について検討を行った。その結果、テトラフルオロホウ酸などの含ホウ素フッ化水素酸誘導体を用いるとよいことが見出された。
この誘導体は、フッ素およびホウ素を含み、酸性条件下で加熱したときにはフッ化物イオンを遊離させ、フッ化水素酸と同様にケイ素化合物を溶解させる一方、常温ではホウ素でフッ化物イオンをマスキングして不活性化させることができる。つまり、この誘導体は、金属材料を処理液中で加熱しながら溶解するときにはフッ化物イオンを発生させるが、金属材料を溶解させた処理液を冷却して分析に供するときにはフッ化物イオンを発生させない。
また、この誘導体は、純度が高いので、金属材料中の微量なケイ素量を精度よく定量することが可能となる。
したがって、鉱酸とともに含ホウ素フッ化水素酸誘導体を併用することにより、ケイ素化合物を溶解させ、金属材料中のケイ素量を精度よく、かつ簡便に定量することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の第1の態様は、
ケイ素成分を含む金属材料中のケイ素量を定量する方法であって、
前記金属材料を含ホウ素フッ化水素酸誘導体と鉱酸とを含む処理液に添加する添加工程と、
前記処理液を加熱することで、前記金属材料の金属成分とともに、前記含ホウ素フッ化水素酸誘導体から遊離するフッ化物イオンにより前記ケイ素成分を溶解させる溶解工程と、
前記溶解工程にて得られた処理液を冷却して試料溶液を調製する調製工程と、
前記試料溶液を分析する分析工程と、を有することを特徴とする、金属材料中のケイ素量を定量する方法が提供される。
本発明の第2の態様は、
ケイ素成分を含む金属材料中のケイ素量を定量する方法であって、
前記金属材料を鉱酸に添加し、少なくとも前記金属材料の金属成分を溶解させる第1の溶解工程と、
前記第1の溶解工程にて得られた処理液に含ホウ素フッ化水素酸誘導体を添加し、当該処理液を加熱することで、前記含ホウ素フッ化水素酸誘導体から遊離するフッ化物イオンにより、前記ケイ素成分を溶解させる第2の溶解工程と、
前記第2の溶解工程にて得られた処理液を冷却して試料溶液を調製する調製工程と、
前記試料溶液を分析する分析工程と、を有することを特徴とする、金属材料中のケイ素量を定量する方法が提供される。
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様の金属材料中のケイ素量を定量する方法において、
前記含ホウ素フッ化水素酸誘導体は、フッ素およびホウ素を含み、酸性条件下で加熱されたときにはフッ化物イオンを遊離させ、常温ではホウ素でフッ化物イオンをマスキングする。
本発明の第4の態様は、第1〜第3の態様の金属材料中のケイ素量を定量する方法において、
前記含ホウ素フッ化水素酸誘導体としてテトラフルオロホウ酸を用いる。
本発明の第5の態様は、第1〜第4の態様の金属材料中のケイ素量を定量する方法において、
前記分析工程では、ICP発光分光分析法、ICP質量分析法または原子吸光光度法により測定する。
本発明の第6の態様は、
ケイ素成分を含む金属材料を溶解する溶解方法であって、
含ホウ素フッ化水素酸誘導体と鉱酸とを含む溶解液に前記金属材料を添加し、加熱することにより、前記金属材料の金属成分とともに、前記含ホウ素フッ化水素酸誘導体から遊離するフッ化物イオンにより前記ケイ素成分を溶解させる、ケイ素成分を含む金属材料の溶解方法が提供される。
本発明の第7の態様は、
ケイ素成分を含む金属材料を溶解する溶解液であって、
含ホウ素フッ化水素酸誘導体と鉱酸とを含み、
加熱により、前記含ホウ素フッ化水素酸誘導体からフッ化物イオンを遊離させるように構成される、金属材料の溶解液が提供される。
本発明によれば、鉱酸に溶解させにくいケイ素化合物などのケイ素成分を含む金属材料中のケイ素量を精度よく、かつ簡便に定量することができる。
実施例1の金属材料中のケイ素量を定量する方法のフローチャートを示す図である。
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態について説明をする。
なお、本明細書において、金属材料とは、金属または合金を含む金属成分とケイ素成分とを含有するものである。ケイ素成分とは、特異的な金属性能を発現させるために添加物として意図的に添加されたり、もしくは金属材料の製造過程で生成されずに不純物として残留したりする、ケイ素やケイ素化合物を示す。ケイ素化合物としては、例えば、二酸化ケイ素やケイ酸塩などの酸化物や有機ケイ素化合物(トリメチルシリル基などSiを分子構造に有する化合物)を示す。
本実施形態では、金属材料中に不純物として残留する微量なケイ素成分(以下、ケイ素不純物ともいう)を定量する場合を例として説明する。
(準備工程)
まず、分析対象となる金属材料を準備する。金属材料としては、例えば、ケイ素不純物を含むNiCr合金などを用いることができる。
また、金属材料を溶解させるための容器を準備する。この容器としては、ケイ素量を精度よく定量する観点から、密閉型容器を用いることが好ましい。具体的に説明すると、後述するように、金属材料を処理液中で加熱して溶解させるときに、金属材料に含まれるケイ素やケイ素化合物は、フッ化水素酸との反応によりケイフッ化水素酸を形成して処理液に溶解することになる。この際、処理液の温度がケイフッ化水素酸の沸点を超えると、ケイフッ化水素酸が揮散し、ケイ素量が変動してしまうおそれがある。そのため、ケイ素量を精度よく定量するには、ケイフッ化水素酸の揮散を抑制できるような密閉型容器を用いることが好ましい。
(添加工程)
次に、密閉型容器に金属材料と金属材料の溶解液を添加して処理液を形成し、容器を密栓する。この溶解液としては、上述したように、含ホウ素フッ化水素酸誘導体および鉱酸を含む溶解液を用いる。
鉱酸としては、金属材料の金属成分を溶解可能な成分であればよく、例えば、塩酸、硝酸、過塩素酸、硫酸、およびこれらの混酸などを用いることができる。
含ホウ素フッ化水素酸誘導体は、フッ素およびホウ素を含み、酸性条件下で加熱したときにはフッ化物イオンを遊離させ、常温ではホウ素でフッ化物イオンをマスキングする化合物である。具体的には、含ホウ素フッ化水素酸誘導体は、鉱酸の存在下で加熱されることにより、フッ化水素酸と同様にフッ化物イオンを遊離させ、ケイ素不純物を溶解させることができる。一方、冷却により例えば常温(25℃)になると、フッ化物イオンをホウ素との反応によりマスキングしてホウフッ化物イオン(例えばBF )とすることで不活性化させる。このように作用する含ホウ素フッ化水素酸誘導体としては、例えば、テトラフルオロホウ酸などを用いることができる。
加熱前の処理液に含まれる含ホウ素フッ化水素酸誘導体は、フッ化物イオンがホウ素でマスキングされて不活性な形態となっている。そのため、処理液では、鉱酸により金属材料の一部、例えば金属成分やケイ素不純物のうちのケイ素などが溶解し始めるが、ケイ素不純物のうちのケイ素化合物(例えば、二酸化ケイ素やケイ酸塩などの酸化物)は溶解せずに、そのままの状態となる。
なお、添加工程において、含ホウ素フッ化水素酸誘導体の添加量は、特に限定されないが、金属材料に対して過剰量とすることが好ましい。
(溶解工程)
次に、添加工程にて得られた処理液を加熱する。これにより、金属成分とともに、ケイ素やケイ素化合物などのケイ素不純物を溶解させる。具体的には、処理液を加熱することで、鉱酸による金属成分の溶解が促される。それと同時に、処理液に含まれる含ホウ素フッ化水素酸誘導体は、鉱酸が存在する酸性条件下で加熱されることとなり、フッ化物イオンを遊離させる。このフッ化物イオンにより、鉱酸では溶解しにくいケイ素化合物が溶解されることになる。その結果、金属成分およびケイ素不純物が溶解する処理液を得る。
溶解工程では、含ホウ素フッ化水素酸誘導体がフッ化物イオンを遊離させるように、処理液の温度を100℃〜260℃の範囲内とすることが好ましい。加熱方法としては、特に限定されないが、例えば、ヒーターや高周波加熱装置などを用いて処理液を加熱するとよい。特に、高周波加熱装置を用いて加熱する場合、局所的に加熱できるので、応答性がよくなる。
(調製工程)
次に、溶解工程にて得られた処理液を常温まで冷却し、分析に供する試料溶液を調製する。冷却により、含ホウ素フッ化水素酸誘導体から遊離していたフッ化物イオンがホウ素にマスキングされてホウフッ化物イオン(例えばBF )となり、不活性な状態となる。そのため、本実施形態では、後述の分析工程にて試料溶液を分析装置で測定する際に、フッ化水素酸に耐性を有するフッ素樹脂などからなる試料導入装置を用いる必要がなく、一般的な試料導入装置を用いることができる。
(分析工程)
続いて、試料導入装置を用いて試料溶液を分析装置に導入し、試料溶液に含まれるケイ素量を分析する。この分析方法としては、ICP発光分光分析法、ICP質量分析法または原子吸光光度法が好ましい。より精度よく定量する観点からは、ICP発光分光分析法およびICP質量分析法においては、マトリックスマッチングを行い、試料溶液の組成の違いを補うようにすることが好ましい。また、分析する際に、好適な内部標準物質を試料溶液に一定量添加し、内部標準補正法を行うことが好ましい。
<第1の実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
本実施形態においては、ケイ素不純物を含む金属材料を溶解させるために、鉱酸とともに、含ホウ素フッ化水素酸誘導体として、例えばテトラフルオロホウ酸を含む溶解液を使用している。この溶解液によれば、金属材料を添加した処理液を加熱したときに、テトラフルオロホウ酸がフッ化物イオンを遊離できるので、ケイ素不純物のうち鉱酸で溶解しにくいケイ素化合物(二酸化ケイ素やケイ酸塩などの酸化物)を溶解させることができる。また、溶解後に得られる処理液を常温まで冷却することにより、遊離するフッ化物イオンをホウ素によりマスキングして不活性な状態に戻すことができる。そのため、冷却した処理液を試料溶液として分析に供する際には、フッ化水素酸に耐性を有する材料からなる試料導入装置などを用いる必要がない。したがって、本実施形態によれば、金属材料を溶解させ、ケイ素不純物に由来するケイ素量を精度よく、かつ簡便に定量することができる。
また、含ホウ素フッ化水素酸誘導体は、従来、フッ化水素酸を不活性化させるために添加したホウ素化合物のようにケイ素が混入していないので、金属材料に混入する微量なケイ素不純物を精度よく定量することができる。例えば、後述する実施例に示すように、濃度が20ppmというような極微量なケイ素を定量することができる。
また、金属材料を溶解させてケイ素量を分析しているので、ケイ素不純物の含有量もしくは濃度が均一に分布していないような金属材料であっても、ケイ素量をその代表値として精度よく求めることができる。
<第2の実施形態>
上述の第1の実施形態では、溶解工程として、含ホウ素フッ化水素酸誘導体および鉱酸を含む溶解液に金属材料を添加し、金属成分とともにケイ素不純物を同時に溶解させているが、本発明は、これに限定されない。例えば、以下に示すように、金属材料のうち、少なくとも金属成分を溶解させる第1の溶解工程と、ケイ素不純物を溶解させる第2の溶解工程とを設け、金属成分とケイ素不純物を別々に溶解させてもよい。
具体的には、第1の溶解工程として、まず、鉱酸に金属材料を添加し、この処理液を加熱する。これにより、金属材料のうちの金属成分を溶解する。このとき、ケイ素不純物のうち、鉱酸に溶解しやすいケイ素は溶解することもあるが、ケイ素化合物は溶解せず、処理液に残存することになる。
続いて、第2の溶解工程として、第1の溶解工程後の処理液に、含ホウ素フッ化水素酸誘導体として例えばテトラフルオロホウ酸を添加し、この処理液を加熱する。これにより、含ホウ素フッ化水素酸からフッ化物イオンを遊離させ、第1の溶解工程で溶け残ったケイ素化合物を溶解させる。
その後、第2の溶解工程にて得られた処理液を常温まで冷却し、試料溶液を調製する。その後は、上述の実施形態と同様にケイ素量を分析することができる。
<変形例>
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
上述の実施形態では、微量のケイ素不純物が混入する金属材料における微量なケイ素量を定量する場合について説明したが、本発明では、ケイ素量の定量対象範囲は特に限定されない。例えば、添加物として比較的多量のケイ素成分を含有させた金属材料についてもケイ素量を定量することができる。
以下、本発明をさらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
(実施例1)
分析対象であるNiCr合金材料から、2mm程度の形状にアロイ片(試験片)を2つ切り出した。これら試験片(サンプル1およびサンプル2)について、図1に示すようにケイ素量の定量を行った。具体的には、試験片を高周波加熱試料分解装置の専用容器に0.5g分、はかり取った。この容器内に、鉱酸として、少量の硝酸および塩酸の混酸を10mL、そして、あらかじめ濃度0.1%に調製したテトラフルオロホウ酸を0.1mL添加した。その後、容器を密閉し、高周波(マイクロ波)によって加熱分解を行い、試験片を溶解した。その後、処理液を常温まで冷却した。
得られた処理液に内部標準物質として濃度100mg/Lのイットリウム水溶液を0.5mL添加した後、50mLの樹脂製の全量フラスコに移し入れ、少量の純水を用いて定容した。これにより分析に供する試料溶液を調製した。
試料溶液のそれぞれについて、ICP発光分光分析装置を用いて測定し、別途調製した検量線系列を用いて、試験片に含まれるけい素量を測定した。その結果を、下記の表1に示す。
(参考例1)
また、上記定量値の正確さを評価するために、別の方法として、GD−MS(グロー放電質量分析法)により試験片に含まれるケイ素量を測定した。その結果を下記の表1に示す。なお、本実施例で用いるサンプル1およびサンプル2は、不純物濃度が均一であるため、固体分析法でも精度よく定量できることが確認されている。
Figure 0006919360
実施例1によれば、サンプル1および2は、いずれもケイ素量が20ppmであることが確認された。実施例1の定量結果を参考例1のGD−MSによる定量結果と比較したところ、いずれのサンプルもよく一致することが確認された。つまり、本実施例によれば、ケイ素量を精度よく定量できることが確認された。
以上のように、ケイ素不純物を含む金属材料を鉱酸とともに含ホウ素フッ化水素酸誘導体を併用して溶解することで、ケイ素不純物を良好に溶解させることができ、その溶液に含まれるケイ素量を測定することで、金属材料中のケイ素量を精度よく、かつ簡便に定量できる。

Claims (3)

  1. ケイ素成分を含む金属材料中のケイ素量を定量する方法であって、
    前記金属材料を、フッ素およびホウ素を含み、酸性条件下で加熱されたときにはフッ化物イオンを遊離させ、常温ではホウ素でフッ化物イオンをマスキングする含ホウ素フッ化水素酸誘導体と鉱酸とを含む処理液に添加する添加工程と、
    前記処理液を加熱することで、前記金属材料の金属成分とともに、前記含ホウ素フッ化水素酸誘導体から遊離するフッ化物イオンにより前記ケイ素成分を溶解させる溶解工程と、
    前記溶解工程にて得られた処理液を冷却して試料溶液を調製する調製工程と、
    前記試料溶液を分析する分析工程と、を有し、
    前記分析工程では、ICP発光分光分析法、ICP質量分析法または原子吸光光度法により測定することを特徴とする、金属材料中のケイ素量を定量する方法。
  2. ケイ素成分を含む金属材料中のケイ素量を定量する方法であって、
    前記金属材料を鉱酸に添加し、少なくとも前記金属材料の金属成分を溶解させる第1の溶解工程と、
    前記第1の溶解工程にて得られた処理液に、フッ素およびホウ素を含み、酸性条件下で加熱されたときにはフッ化物イオンを遊離させ、常温ではホウ素でフッ化物イオンをマスキングする含ホウ素フッ化水素酸誘導体を添加し、当該処理液を加熱することで、前記含ホウ素フッ化水素酸誘導体から遊離するフッ化物イオンにより、前記ケイ素成分を溶解させる第2の溶解工程と、
    前記第2の溶解工程にて得られた処理液を冷却して試料溶液を調製する調製工程と、
    前記試料溶液を分析する分析工程と、を有し、
    前記分析工程では、ICP発光分光分析法、ICP質量分析法または原子吸光光度法により測定することを特徴とする、金属材料中のケイ素量を定量する方法。
  3. 前記含ホウ素フッ化水素酸誘導体としてテトラフルオロホウ酸を用いることを特徴とする、請求項1又は2に記載の金属材料中のケイ素量を定量する方法。
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