図1は、本発明の実施例1に係る二次転写接離機構が適用される画像形成装置の要部構成を抽出して示した概略図である。
図1を参照すれば、この画像形成装置は、例えばプリンタ、複写機、スキャナ、ファクシミリ等の複数の機能を一つの筐体に纏めたデジタル複合機(MFP:MultiFunction Peripheral)仕様のものである。具体的には、二次転写ローラ6周辺の転写装置1を含む中間転写部を示している。
この中間転写部は、カラー画像を得るためにブラック(K)とシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)とのそれぞれの色のトナーに対応した4つの現像回転体である感光体ドラムを同一平面上に並設した4連タンデム型カラーの転写装置1を備える。また、これらの感光体ドラム上に現像手段により形成されたトナー像を重畳して中間転写ベルト7の外面上にオフセット転写する一次転写ローラ2を備える。更に、中間転写部では、それぞれの回転軸にベルト4が架け渡されてDCモータ3の回転駆動が伝達されて従動する中間転写斥力ローラ5と二次転写ローラ6とで中間転写ベルト7上に転写されたトナー像を記録媒体に二次転写するようになっている。ここで、記録媒体とは紙、コート紙、ラベル紙、OHPシート(オーバーヘッドプロジェクタシート)、フィルム等を含むシート類の総称であるとする。以下は記録媒体をシートとみなす。尚、ここでのDCモータ3及び中間転写斥力ローラ5は、後述するように二次転写ローラ6と中間転写ベルト7とを当接又は離間させる二次転写接離機構に含まれる。
上述した二次転写部では、中間転写ベルト7の速度を一定にすることが要求される。ところが、シートが二次転写用の中間転写斥力ローラ5と二次転写ローラ6との接触部(ニップ部)に突入したり、或いは離脱する際の衝撃によって中間転写ベルト7にトルク負荷が発生する。これにより、各感光体ドラムと中間転写ベルト7との間に速度差が発生してしまうことがある。このときの速度差が原因となり、シートに対する印刷画像に横筋状の濃度ムラを発生させ、印刷不良を引き起こしてしまうことがある。このような異常画像を生じさせる二次転写ローラ6や中間転写ベルト7の速度が一瞬だけ大きく低下する現象はショックジターと呼ばれている。そこで、ショックジターを低減させるために二次転写接離機構が設けられている。
図2は、上述した画像形成装置の転写装置1に備えられる二次転写接離機構の概略構成を示した斜視図である。図2(a)は中間転写ベルト7と二次転写ローラ6との離間時の対向軸受10の縮み状態に関する図、図2(b)は中間転写ベルト7と二次転写ローラ6との離間時の偏心カム9の回転位置に関する図である。図2(c)は中間転写ベルト7と二次転写ローラ6との当接時の対向軸受10の伸び状態に関する図、図2(d)は中間転写ベルト7と二次転写ローラ6との当接時の偏心カム9の回転位置に関する図である。
図2(a)を参照すれば、二次転写接離機構において、まずシート8が抜ける際には、シート8が抜ける少し前に制御手段(汎用的にはCPU機能を持つプリンタ部コントローラが担う)によりDCモータ3を駆動する。これに従動してベルト4と中間転写斥力ローラ5の回転軸11とが回転し、回転軸11に固定されている偏心カム9も回転する。このときの回転で偏心カム9がばね部材による対向軸受10を押し下げ、二次転写ローラ6と中間転写ベルト7(以下も同様に、中間転写斥力ローラ5を含めるようにみなしても良い)とが離間する。このとき、偏心カム9の回転位置は、図2(b)に示されるように長径が立ち上がって二次転写ローラ6の端部に接触した状態となる。これにより、シート8が抜ける際の衝撃を低減することができる。
図2(c)を参照すれば、二次転写接離機構において、シート8が突入する際には、シートが突入した少し後に上述した場合と同様に偏心カム9が回転し、今度は偏心カム9が対向軸受10から離れ、二次転写ローラ6と中間転写ベルト7とが当接する。このとき、偏心カム9の回転位置は、図2(d)に示されるように長径が立ち上がって二次転写ローラ6の端部から離間した状態となる。これにより、シート8の突入時に生じる衝撃を低減することができる。即ち、この二次転写接離機構では、搬送されるシート8を介して中間転写ベルト7が当接する中間転写斥力ローラ5と対向する二次転写ローラ6に中間転写ベルト7を当接又は離間させる基本機能を持つ。ここでの中間転写斥力ローラ5は第1のローラ、二次転写ローラ6は第2のローラとみなされても良い。中間転写斥力ローラ5の回転軸11の端部に取り付けられた偏心カム9は、制御手段によって制御されるDCモータ3を動力として回転する。偏心カム9は、通常回転軸11の両端部に取り付けられるが、回転軸11の片端部に取り付けられる構成とすることも可能である。この偏心カム9の回転によって中間転写ベルト7を搬送されるシート8を介して二次転写ローラ6に当接又は離間させることになる。
この二次転写接離機構によれば、シートが中間転写斥力ローラ5と二次転写ローラ6との接触部(ニップ部)へ突入するか、或いは抜ける際の衝撃によるショックジターを低減させることができる。ところが、離間した二次転写ローラ6と中間転写ベルト7とが接触又は離間する際の衝撃が新たなショックジター源として発生し、この影響で逆にショックジターを悪化させる虞がある。こうした対策として、実施例1に係る二次転写接離機構では駆動用として、制御手段により回転速度及び回転角度をフィードバック制御できるDCモータ3を用いている。このため、二次転写接離機構において、制御手段でフィードバック制御によりDCモータ3の回転速度及び回転角度を調整して偏心カム9の回転位置、並びに対向する二次転写ローラ6及び中間転写斥力ローラ5間での中間転写ベルト7に対する接離速度が変更される。制御手段は、対向する中間転写斥力ローラ5及び二次転写ローラ6の間で中間転写ベルト7が離間又は当接するタイミングにおいて、DCモータ3の回転速度を減速する。この結果、対向する二次転写ローラ6及び中間転写斥力ローラ5間で中間転写ベルト7を離間又は当接する際の衝撃を緩衝可能となっており、これによってショックジターを抑制することができる。因みに、ここでの二次転写接離機構と制御手段とを合わせた構成は、二次転写接離システムとみなすことができる。
図3は、上述した二次転写接離機構の二次転写ローラ6の軸に取付けられる回転位置検知機構を示した概略図である。図3(a)は二次転写接離機構の中間転写ベルト7への当接時の状態に関する図、図3(b)は二次転写接離機構の中間転写ベルト7への離間時の状態に関する図である。
図3(a)及び図3(b)を参照すれば、回転位置検知機構は、二次転写ローラ6の軸の一端部に取付けられたフィラー17と、フィラー17の回転時の進退する位置に対向して設けられた光学素子の発光素子18a及び受光素子18bと、から構成される。図3(a)の場合は二次転写ローラ6及び中間転写斥力ローラ5間で中間転写ベルト7を当接させている状態に該当する。この場合には、発光素子18aからの照射光が半円筒状のフィラー17本体に遮られて受光素子18bで検知されないため、制御手段でフィラー17有りと判定できる。図3(b)の場合は二次転写ローラ6及び中間転写斥力ローラ5間で中間転写ベルト7を離間させている状態に該当する。この場合には、発光素子18aからの照射光が半円筒状のフィラー17本体に遮られずに受光素子18bで検知されるため、制御手段でフィラー17無しと判定できる。そこで、制御手段では、フィラー17の有無を検知してから所定のタイミングで偏心カム9を停止位置(回転位置)を決定する。
図4は、上述した画像形成装置に備えられる制御手段によりDCモータ3を駆動させたときの二次転写接離機構における動作処理の一例を示した図である。図4(a)は二次転写接離機構への制御処理の一例を示したフローチャートである。図4(b)は二次転写接離機構の離間時の偏心カム9の停止位置(回転位置)を決定するタイミングを時間[ms]に対する電圧[V]の関係で示した図である。
図4(a)を参照すれば、二次転写接離機構への制御処理の一例では、中間転写ベルト7と二次転写ローラ6との当接、離間時の衝撃を緩和させることを目的とする。このため、まず通シート中に、二次転写接離機構をテスト駆動し、中間転写ベルト7と二次転写ローラ6とを離間、当接させる(ステップS1)。この後、二次転写ローラ6と中間転写ベルト7とが離間又は当接する瞬間のDCモータ3に係る負荷変動をフィードバック制御を用いて検知する(ステップS2)。因みに、ここでフィードバック制御から得られるフィードバック値の負荷変動は、例えば電流値、速度誤差、位置誤差、パルス幅変調(PWM)、トルク等が該当する。更に、このときのDCモータ3により検知した負荷変動によって偏心カム9の停止位置(回転位置)を決定する(ステップS3)。因みに、このときの偏心カム9の回転方向は、正転動作、逆転動作の何れでも構わない。この偏心カム9に係る物理量が離間のホームポジションに寄与する。
図4(b)を参照すれば、時刻t0の当接状態から時刻t1の離間状態に推移する制御では、時刻t1の離間時の負荷変動を検知し、その検知のタイミングからNパルス[pulsu]稼動させて時刻t2の離間状態のホームポジションで偏心カム9を停止する。因みに、時刻t1では二次転写ローラ6及び中間転写斥力ローラ5間の距離は0[mm]であるが、負荷変動検知位置となる。この負荷変動検知位置から所定のパルス数Nを駆動させてから偏心カム9を停止する制御となる。
図5は、上述した画像形成装置に備えられる制御手段によりDCモータ3を駆動させての二次転写接離機構における動作処理の他例を示した図である。図5(a)は二次転写接離機構への制御処理の他例を示したフローチャートである。図5(b)は図5(a)の制御処理における初期段階での二次転写接離機構のテスト駆動の細部を示したフローチャートである。
図5(a)を参照すれば、二次転写接離機構への制御処理の他例では、中間転写ベルト7と二次転写ローラ6との当接、離間時の衝撃を緩和させることを目的とする。このため、まず通シート中に、二次転写接離機構をテスト駆動し、中間転写ベルト7と二次転写ローラ6とを離間、当接させる(ステップS1)。この後、二次転写ローラ6と中間転写ベルト7とが離間又は当接する瞬間のDCモータ3に係る負荷変動をフィードバック制御を用いて検知する(ステップS2)。因みに、ここでもフィードバック制御から得られるフィードバック値の負荷変動は、例えば電流値、速度誤差、位置誤差、パルス幅変調(PWM)、トルク等が該当する。更に、このときのDCモータ3により検知した負荷変動によって偏心カム9の回転位置(停止位置)、離間、当接のスピード(速度)を決定する(ステップS3)。この偏心カム9に係る物理量がショックジターの軽減化に寄与する。
図5(b)を参照すれば、二次転写接離機構のテスト駆動では、スタート信号を取得すると、DCモータ3を駆動し、当接している中間転写ベルト7から二次転写ローラ6を離間させる(ホームポジション動作)(ステップS1‐1)処理を行う。次に、中間転写ベルト7を駆動する(ステップS1‐2)処理を行ってから二次転写ローラ6を駆動する(ステップS1‐3)処理を行う。更に、DCモータ3を駆動させ、偏心カム9を回転させることで中間転写ベルト7と二次転写ローラ6とを離間、当接させる(離間、当接検知位置を取得する)(ステップS1‐4)処理を行う。このようにして、起動時、スリープ復帰時、転写前後等で二次転写接離機構をテスト駆動する。
図6は、上述した図4(a)、図5(a)の制御処理に含まれるDCモータ3のフィードバック制御を行うためのDCモータ制御回路を例示した図である。
図6を参照すれば、このDCモータ制御回路は、モータ制御処理を行う電圧制御(CTL)部102、及びトルク推定処理を行うトルク推定処理部108を内蔵する中央演算処理装置としてのCPU101を備える。その他、電圧制御(CTL)部102からの制御電圧Vctlを受けてDCモータ3を駆動するためのスイッチング処理を行うモータドライバ103と、モータドライバ103により駆動されてモータトルクTを出力するDCモータ3と、を備える。また、DCモータ3からのモータトルクTと外部からの負荷トルクτとを加算する加算器104と、モータトルクTと負荷トルクτとの加算値からモータ回転速度ωdetを検知して出力するメカ回路105と、を備える。更に、モータ回転速度ωdetを積分(1/s)してモータ位置xdetを出力する積分(1/s)回路106を備える。加えて、モータドライバ103におけるシャント抵抗間電圧信号に基づいて電流を検知した電流検知信号をトルク推定処理部108へ出力する電流検知回路107を備える。
このうち、電圧制御(CTL)部102は、外部から目標速度(ωtgt)及び目標位置(xtgt)が入力される他、メカ回路105からモータ回転速度ωdet、及び積分(1/s)回路106からモータ位置xdetが入力される。そこで、電圧制御(CTL)部102では、これらの情報に基づいてモータ制御用の計算処理を行ってパルス幅変調(PWM)形式の制御電圧Vctlをモータドライバ103へ出力して電圧制御を行う。電圧制御(CTL)部102内では、具体的に云えば、速度フィードバック制御、位置フィードバック制御、速度フィードフォワード制御、位置フィードフォワード制御等が行われる。モータドライバ103では、上述したスイッチング処理を行う他、合成電流をシャント抵抗間電圧で検知することができる。メカ回路105には、測定センサとして2相エンコーダ等を適用する場合を例示できる。トルク推定処理部108は、電流検知回路107からの電流検知信号をアナログA/Dコンバータ(ADC)で受けてトルク推定処理を行う。このとき、モータ回転速度ωdetによって推定式を変更し、回転速度情報として目標速度ωt又はモータ回転速度ωdetを用いる。CPU101は、上述した制御手段としての機能を担う制御装置とみなせる。このCPU101は、二次転写接離機構による離間又は当接に際しての瞬間のタイミングをフィードバック制御から得られるフィードバック値の負荷変動に基づいて離間又は当接を検知する機能を持つ。二次転写接離機構と制御装置としてのCPU101とを合わせた構成は、上述したように接離機構システムと呼ばれても良い。即ち、図1に示す画像形成装置は、このような接離機構システムを備えて構成される。
図7は、上述した図4(a)、図5(a)の制御処理に含まれるDCモータ3に係る負荷変動をフィードバック制御を用いて検知するときの判定基準を説明するために示した図である。図7(a)はDCモータ3の時間Time[s]に対する変動波形の特性図、図7(b)は図7(a)の局部での閾値判定及び面積判定を示す図である。
図7(a)を参照すれば、ここでは図6に示したDCモータ制御回路によるフィードバック制御で得られる変動波形を示している。その変動波形における丸で囲った局部領域は、中間転写ベルト7と二次転写ローラ6とが離間又は当接する位置のタイミングであり、その際に大きな変動が生じていることが分かる。このような変動を図6に示したDCモータ制御回路のCPU101によりフィードバック制御から得られるフィードバック値として、例えば電流値、速度誤差、位置誤差、パルス幅変調(PWM)、トルク等の各物理値(以下、各値と呼ぶ)で検知する。
負荷変動検知の判定基準として、図7(b)のA.閾値判定では、CPU101がフィードバック制御により検知した各値の負荷変動が正負問わずに予め設定した所定の閾値を越えたときに離間又は当接の検知と判定する場合を例示できる。その他、図7(b)のB.面積判定(或る特定範囲)では、CPU101がフィードバック制御により検知した各値の或る特定範囲の負荷変動の面積が所定の閾値を越えたときに離間又は当接の検知と判定する。具体的には、フィードバック制御により検知した各値の全データの平均値を0とした場合、負荷変動が大きく生じている特定範囲及び0に囲まれた面積が設定した閾値を越えた場合に離間又は当接の検知として判定する。
図8は、図5(a)の制御処理に含まれる負荷変動に基づく偏心カム9の回転位置、並びに二次転写ローラ6と中間転写ベルト7との離間速度の決定の制御の一例を従来のステッピングモータを用いた場合を対比して説明する図である。具体的には、時間[ms]に対する中間転写斥力ローラ5及び二次転写ローラ6に係るローラ間距離[mm]の関係で特性図を示す。
図8を参照すれば、ここでは、図6及び図7を参照して説明したDCモータ制御回路でのフィードバック制御により負荷変動を検知した後の制御として、離間時の場合に絞って説明する。点線で示す従来のステッピングモータを用いた制御の場合には、当接状態に係る離間開始のタイミングfから離間状態に係る当接終了のタイミングgまで一定の速度でしか中間転写斥力ローラ5及び二次転写ローラ6を離間させることができない。一定の速度はタイミングf〜gの区間の傾きが該当する。
これに対し、実線で示すDCモータ3を用いた場合には、上述したフィードバック制御により、二次転写接離機構による二次転写ローラ6と中間転写ベルト7とが離間する瞬間のタイミングcをフィードバック値の負荷変動に基づいて検知できる。そこで、DCモータ制御回路のCPU101に係る制御では、この離間の検知と判定した瞬間のタイミングcをメモリ等の記憶手段に記憶する。また、二次転写接離機構による離間する瞬間のタイミングcの前後の所定時間以内の期間での速度を着目する。因みに、ここでの所定時間以内の期間はタイミングb〜dの区間が該当し、速度はタイミングb〜dの区間での傾きが該当する。更に、この速度について、中間転写ベルト7が二次転写ローラ6と当接している状態から中間転写ベルト7と二次転写ローラ6との接触圧(ニップ圧)を減少させる際の速度よりも遅くなるように二次転写接離機構を駆動させる。合わせて同時に中間転写ベルト7と二次転写ローラ6とが離間した後に距離を広げる際の速度よりも遅くなるように二次転写接離機構を駆動させる。因みに、ここでの接触圧を減少させる際の速度はタイミングa〜bの区間の傾きが該当し、距離を広げる際の速度はタイミングd〜eの区間の傾きが該当する。即ち、ここではフィードバック制御されたフィードバック値に基づいて負荷変動を検知した結果に応じてDCモータ制御回路でDCモータ3の回転速度及び回転角度を調整して二次転写接離機構による離間動作に際して緩衝させる。これにより、ショックジターを有効に抑制できる。
また、フィードバック制御により、二次転写接離機構による二次転写ローラ6と中間転写ベルト7とが当接する瞬間のタイミングについてもフィードバック値の負荷変動に基づいて検知できる。そこで、DCモータ制御回路のCPU101に係る制御では、当接の検知と判定した瞬間のタイミングを同様に記憶手段に記憶する。また、二次転写接離機構による当接する瞬間のタイミングの前後の所定時間以内の期間での速度を着目する。更に、この速度について、中間転写ベルト7が二次転写ローラ6と離間している状態から中間転写ベルト7を二次転写ローラ6に向けて移動させる際の速度よりも遅くなるように二次転写接離機構を駆動させる。合わせて同時に中間転写ベルト7が二次転写ローラ6に接触した後に規定の接触圧(ニップ圧)に達するまで加圧する際の速度よりも遅くなるように二次転写接離機構を駆動させる。即ち、ここではフィードバック制御されたフィードバック値に基づいて負荷変動を検知した結果に応じてDCモータ制御回路でDCモータ3の回転速度及び回転角度を調整して二次転写接離機構による当接動作に際して衝撃を緩衝させる。これにより、ショックジターを有効に抑制できる。
図9は、図5(a)の制御処理に含まれる負荷変動に基づく偏心カム9の回転位置、並びに二次転写ローラ6と中間転写ベルト7との離間速度の決定の制御の他例を従来のステッピングモータを用いた場合を対比して説明する図である。具体的には、時間[ms]に対する電圧[V]の関係で特性図を示す。
図9を参照すれば、ここでは、図6及び図7を参照して説明したDCモータ制御回路でのフィードバック制御により負荷変動を検知した後の制御として、ここでも離間時の場合に絞って説明する。点線で示す従来のステッピングモータを用いた制御の場合には、当接状態に係る離間開始のタイミングhから離間状態に係る当接終了のタイミングlまで一定の間隔でしかパルスを与えることができない。ここでの一定の間隔はタイミングh〜lの区間でのパルス波形が該当する。
これに対し、実線で示すDCモータ3を用いた場合には、上述したフィードバック制御により、二次転写接離機構による二次転写ローラ6と中間転写ベルト7とが離間する瞬間のタイミングjをフィードバック値の負荷変動に基づいて検知できる。ここでのタイミングjは中間転写斥力ローラ5及び二次転写ローラ6に係るローラ間距離が0mmであることを示す。そこで、DCモータ制御回路のCPU101に係る制御では、この離間の検知と判定した瞬間のタイミングjを略図するメモリ等の記憶手段に記憶する。また、二次転写接離機構による離間する瞬間のタイミングjの前後の所定パルス数(ここでは3パルス分が該当する)以内のパルス区間P[pulse]でのパルス間隔を着目する。ここでのパルス間隔はタイミングi〜kの区間でのパルス波形が該当する。更に、このパルス間隔について、中間転写ベルト7が二次転写ローラ6と当接している状態から中間転写ベルト7と二次転写ローラ6との接触圧(ニップ圧)を減少させる際のパルス間隔よりも広くなるように二次転写接離機構を駆動させる。合わせて同時に中間転写ベルト7と二次転写ローラ6とが離間した後に距離を広げる際のパルス間隔よりも広くなるように二次転写接離機構を駆動させる。ここでの接触圧を減少させる際のパルス間隔はタイミングh〜iの区間でのパルス波形が該当し、距離を広げる際のパルス間隔はタイミングk〜lの区間でのパルス波形が該当する。即ち、ここでもフィードバック制御されたフィードバック値に基づいて負荷変動を検知した結果に応じてDCモータ制御回路でDCモータ3の回転速度及び回転角度を調整して二次転写接離機構による離間動作に際して衝撃を緩衝させる。これにより、ショックジターを有効に抑制できる。
また、フィードバック制御により、二次転写接離機構による二次転写ローラ6と中間転写ベルト7とが当接する瞬間のタイミングについてもフィードバック値の負荷変動に基づいて検知できる。そこで、DCモータ制御回路のCPU101に係る制御では、当接の検知と判定した瞬間のタイミングを同様に記憶手段に記憶する。また、二次転写接離機構による当接する瞬間のタイミングの前後の所定パルス数以内のパルス区間でのパルス間隔を着目する。更に、このパルス間隔について、中間転写ベルト7が二次転写ローラ6と離間している状態から中間転写ベルト7と二次転写ローラ6とを接近させる際のパルス間隔よりも広くなるように二次転写接離機構を駆動させる。合わせて同時に中間転写ベルト7が二次転写ローラ6に接触した後に規定の接触圧に達するまで加圧する際のパルス間隔よりも広くなるように二次転写接離機構を駆動させる。即ち、ここでもフィードバック制御されたフィードバック値に基づいて負荷変動を検知した結果に応じてDCモータ制御回路でDCモータ3の回転速度及び回転角度を調整して二次転写接離機構による当接動作に際して衝撃を緩衝させる。これにより、ショックジターを有効に抑制できる。
上記図8及び図9を参照して説明した2つの制御により、従来のステッピングモータを用いた場合の制御よりも二次転写ローラ6と中間転写ベルト7との離間又は当接する瞬間の速度を遅くすることができる。このため、衝撃が抑えられてショックジターを軽減することができる。また、離間動作時間や当接動作時間も短縮することが可能となる。
図10は、上述した二次転写接離機構に備えられるDCモータ3の外観構成を示した斜視図である。
図10を参照すれば、このDCモータ3は、ブラシレスタイプのもので、モータ本体12のモータ回転軸16の周りにエンコーダディスク13が同軸状に取り付けられており、エンコーダディスク13近傍のモータ本体12にはフォトセンサ14が取り付けられている。その他、モータ本体12上の図示されない基板には、ドライバ回路やコネクタ15が取り付けられており、モータ信号とエンコーダ信号との入出力が行われるようになっている。
図11は、上述したDCモータ3に対する駆動装置及び負荷変動推定装置の細部構成を示した機能ブロック図である。
図11を参照すれば、この駆動装置及び負荷変動推定装置は、上述したCPU101の機能構成を具体的に示したもので、上位CPU120及び制御回路121の機能がモータドライバ103の機能と協働して構築されるものである。
具体的に云えば、上位CPU120内の目標信号生成手段130から制御回路121内の目標位置・速度計算回路131に対して回転方向、移動パルス数に係る信号が渡される。目標位置・速度計算回路131では、信号から得られた情報及び図示されないオシレータの時間情報から目標位置及び目標速度を導出して位置誤差速度誤差算出回路136へ送出する。また、制御回路121内のモータ位置・速度計算回路132では、DCモータ3に取り付けられたエンコーダディスク13に対して設置された2チャンネルのフォトセンサ14から出力されるエンコーダパルスA、エンコーダパルスBを計測する。ここでの2チャンネルのフォトセンサ14は、2組の発光素子と受光素子とを有し、各々パルス信号の位相差が所定量となるように配置されている。このため、モータ位置・速度計算回路132では、その位相差を利用して回転方向を検知することができ、その得られた情報及び図示されないオシレータの時間情報からモータ位置及びモータ速度を導出する。
位置誤差速度誤差算出回路136は、目標位置・速度計算回路131からの目標位置及び目標速度を示す信号とモータ位置・速度計算回路132からのモータ位置及びモータ速度を示す信号とに基づいて位置偏差、速度偏差を求める。そして、求めた位置偏差、速度偏差を位置・速度追従制御器133へ送出する。位置・速度追従制御器133では、目標位置とモータ位置とが一致し、且つ目標速度とモータ速度とが一致するように位置・速度を追従する制御を行う。また、位置・速度追従制御器133は必要に応じてパルス幅変調(PWM)、回転方向、スタートストップ、ブレーキといった各種信号をモータドライバ103へ送出する。モータドライバ103では、位置・速度追従制御器133から得られた各種信号とDCモータ3に設けられたホールIC134からのホール信号とに基づいてDCモータ3に供給するモータ電流とパルス幅変調(PWM)電圧とを制御する。二次転写ローラ6と中間転写ベルト7とが当接又は離間する際の負荷変動の検知は、位置誤差速度誤差算出回路136で算出された各種誤差やモータドライバ103に入力されるパルス幅変調(PWM)等に基づいて推定される。上位CPU120では、タイマ137や外部入力であるセンサ138の信号からトリガ検知部139がトリガを検知して目標信号生成手段130へ停止命令を送出する。この他、特性値推定部140が特性値を推定してトリガ検知部139へ送出してトリガ検知部139でのトリガ検知の決定用とする。
従来のステッピングモータを用いた二次転写接離機構への制御では、中間転写斥力ローラ5と二次転写ローラ6とに係るローラ同士が接離する瞬間のタイミングで回転速度を変更させることができない。このため、接離の瞬間の衝撃を示す負荷変動が大きくなってショックジターを十分に抑制できなかったが、実施例1に係る二次転写接離機構では、こうした短所を解消することができる。即ち、DCモータ3を用いた二次転写接離機構に対してDCモータ制御回路でのフィードバック制御のフィードバック値により二次転写ローラ6と中間転写ベルト7とが離間又は当接する瞬間の衝撃を示す負荷変動を検知する。そして、検知した負荷変動に応じてDCモータ3の回転速度及び回転角度を調整して二次転写接離機構における偏心カム9の回転位置、並びに二次転写ローラ6と中間転写ベルト7との接離速度を適宜変更する。これにより、二次転写ローラ6と中間転写ベルト7とが離間又は当接する際に衝撃を緩衝させることでショックジターを抑制する。この結果、負荷変動を検知するセンサを設けることなく廉価に二次転写ローラ6と中間転写ベルト7との接離時における負荷変動を検知できる。また、フィードバック制御を実行可能で中間転写斥力ローラ5と二次転写ローラ6とに係るローラ同士の接離速度を最適化してショックジターを十分に抑制できるようになる。
実施例1の二次転写接離機構の技術的要点は、搬送されるシート8を介して中間転写ベルト7に当接する中間転写斥力ローラ5と対向する二次転写ローラ6に中間転写ベルト7を当接又は離間させる接離機構を含む接離システムに係る接離方法として換言できる。この場合の接離方法は、接離ステップと減速ステップとを有する。接離ステップでは、中間転写斥力ローラ5の回転軸11の端部に取り付けられ、制御手段により制御されるDCモータ3を動力として回転する偏心カム9の回転によって、中間転写ベルト7を搬送されるシート8を介して二次転写ローラ6に当接又は離間させる。減速ステップでは、対向する中間転写斥力ローラ5及び二次転写ローラ6の間で中間転写ベルト7が離間又は当接するタイミングにおいて、CPU101がDCモータ3の回転速度を減速する。これにより、ショックジターを抑制することができる。
ところで、実施例1に係る二次転写接離機構は、負荷変動を検知するセンサを設けずに中間転写斥力ローラ5及び二次転写ローラ6或いは中間転写ベルト7同士が接触するタイミングで負荷変動を検知して偏心カム9の停止位置を決定する機能を持つ。この偏心カム9の停止位置はホームポジション(HP)と呼ばれる。係る機能によれば、中間転写斥力ローラ5及び二次転写ローラ6或いは中間転写ベルト7の接離による負荷変動のタイミングにばらつきが生じてしまうため、ホームポジションが毎回一箇所に定まらなくなる可能性がある。
図12は、上述したDCモータ3による二次転写接離機構の制御時の偏心カム9の回転角度θ[deg]に対するローラ中心間距離からローラ半径の和を減じた距離[mm]の関係を示した図である。但し、ここでのローラは中間転写斥力ローラ5及び二次転写ローラ6を示す。
図12を参照すれば、実施例1に係る二次転写接離機構をDCモータ3で駆動する場合、初期的な離間時にDCモータ3を起動したときの偏心カム9の回転角度θ0=0のホームポジション(HP)の位置から偏心カム9を一回転させる状態を想定する。こうした場合、中間転写斥力ローラ5及び二次転写ローラ6或いは中間転写ベルト7同士が接離する瞬間の偏心カム9の回転角度θ1、θ3で負荷変動を検知して記憶手段に記憶してホームポジションを決定する。因みに、偏心カム9の回転角度θ1は離間から当接へ推移するタイミングの角度であり、偏心カム9の回転角度θ3は当接から離間へ推移するタイミングの角度である。また、偏心カム9の回転角度θ2は接触(ニップ)位置の角度に該当し、偏心カム9の回転角度θ4は一回転したホームポジション(HP)の位置の角度(=360度)に該当する。ところが、こうした手法によれば、中間転写斥力ローラ5及び二次転写ローラ6或いは中間転写ベルト7同士が接離するタイミングで偏心カム9の回転角度θ0、θ1、θ3、θ4の各点に矢印方向範囲で示すようなばらつきが生じ、ホームポジション(HP)が一点に定まらない。接触(ニップ)位置についても同様に毎回ずれる可能性がある。そこで、以下に説明する二次転写接離機構では、ホームポジション(HP)が一点に定まり、接触位置についても固定されるように工夫を施す。
図13は、本発明の実施例2に係る二次転写接離機構の要部を実施例1の場合と対比して示す概略図である。図13(a)は実施例1の場合の偏心カム9及び二次転写ローラ6の離間時のホームポジションを示す図である。図13(b)は実施例2の一例に係る偏心カム9a及び二次転写ローラ6の離間時のホームポジションとその決定時の負荷変動検知位置とを示す図である。図13(c)は実施例2の他例に係る偏心カム9b及び二次転写ローラの離間時のホームポジションとその決定時の負荷変動検知位置とを示す図である。図13(d)は実施例2の別例に係る偏心カム9c及び二次転写ローラ6の離間時のホームポジションとその決定時の負荷変動検知位置とを示す図である。
図13(b)、図13(c)、図13(d)を参照すれば、偏心カム9a、9b、9cは図13(a)に示す偏心カム9と比べると、その一部に凸状又は凹状の変形部が形成されている様子が判る。実施例2に係る偏心カム9a、9b、9cの形状は、対向する中間転写斥力ローラ5及び二次転写ローラ6間で中間転写ベルト7を離間又は当接させる接離時の負荷変動よりも変形部でのカム衝突時の負荷変動が大きくなるように形成されている。そこで、図11に示した駆動装置及び負荷変動推定装置は、その大きな負荷変動に基づいて偏心カム9a、9b、9cの停止位置を決定する。これによって、負荷変動のばらつきに影響されずにホームポジションを一点に定めることができる。因みに、図13(a)に示す偏心カム9の場合には矢印の方向に回転し、一回転したときに大きな速度変動が生じないように滑らかな形状となっている。この場合には実施例1で説明したように中間転写斥力ローラ5及び二次転写ローラ6或いは中間転写ベルト7同士の接離時に負荷変動を検知してホームポジションを決定する。
具体的に云えば、図13(b)に示す偏心カム9aは一部に凸状の変形部が設けられている。偏心カム9aは、一回転中に丸印で囲った箇所に差し掛かった時点でホームポジションを決定するための負荷変動を検知する。このときの速度変動や位置誤差は回転速度目標値に対してマイナス側に大きくなる。また、図13(c)に示す偏心カム9bは一部に凹状の変形部が設けられている。偏心カム9bは、一回転中に丸印で囲った箇所に差し掛かった時点でホームポジションを決定するための負荷変動を検知する。このときの速度変動や位置誤差は回転速度目標値に対してプラス側に大きくなる。更に、図13(d)に示す偏心カム9cは局部を肉厚に変形させてその一部に鍔部状の変形部が設けられている。偏心カム9cは、離間から当接に推移するときに1回転弱回転させて使用する。回転中に丸印で囲った箇所に差し掛かった時点でホームポジションを決定するための負荷変動を検知する。回転し続けると鍔部状の変形部が二次転写ローラ6に突き当たり速度零、位置誤差零となって停止する。細部については後文で詳述する。因みに、CPU101は、このような負荷変動に基づくタイミングでDCモータ3の回転速度を減速する。
図14は、DCモータ3を駆動させての実施例2に係る二次転写接離機構への制御処理を示すフローチャートである。因みに、この制御処理は図13(b)に示す偏心カム9a、図13(c)に示す偏心カム9b、図13(d)に示す偏心カム9cの何れを適用した場合にも共通するDCモータ3を用いた駆動でのホームポジションを決定する内容となっている。
図14を参照すれば、この制御処理では、まず画像形成装置の起動後にDCモータ3を駆動させ、偏心カム9a、9b、9cを回転させる(ステップS1)。偏心カム9a、9b、9cの回転方向は正転動作、逆転動作の何れであっても構わない。次に、ローラ(中間転写斥力ローラ5及び二次転写ローラ6)、ベルト(中間転写ベルト7)同士が接離する際に発生する負荷変動より大きいカム衝突変動(速度変動・位置誤差)を図11に示した駆動装置及び負荷変動推定装置により検知(ステップS2)する。ここでは偏心カム9a、9b、9cの回転によりローラ(中間転写斥力ローラ5及び二次転写ローラ6)同士は接離動作を行う。この接離の瞬間に負荷変動が生じるが、接離時の負荷変動の大きさはホームポジションの決定には関与しない設定としている。そして、回転中にローラ(中間転写斥力ローラ5及び二次転写ローラ6)同士の接離時以上の負荷変動が発生する箇所に到達した時点で始めて閾値範囲を超えた変動を図11に示した駆動装置及び負荷変動推定装置により検知する。この閾値範囲はローラ(中間転写斥力ローラ5及び二次転写ローラ6)同士の接離時の負荷変動の最大ピーク値よりも高い値の範囲に設定されている。即ち、ここでのカム衝突変動の検知は、接離時に発生する負荷変動よりも大きい速度変動検知により衝突判定を行う以外、その後に行う位置誤差の検知を含んでいる。更に、位置誤差が検知された場合にはその位置誤差発生位置をホームポジションとするか、或いはそこから数パルス移動させた位置をホームポジションとする(ステップS3)。このようにして、画像形成装置における起動時、スリープ復帰時、自動再起動時、転写前後、前カバーOFF/ON等で二次転写接離機構をテスト駆動させてホームポジションを決定することができる。
図15は、図13(b)に示す偏心カム9aを適用した場合のDCモータ3に係る負荷変動及びカム衝突時変動をフィードバック制御を適用して検知するときの判定基準を説明するために示した図である。図15(a)はDCモータ3の時間に対する変動波形の特性図、図15(b)は図15(a)の局部での閾値判定及び面積判定を示す図である。
図15(a)を参照すれば、ここでは二次転写接離機構を図14で説明した制御処理に従ってDCモータ3で駆動した際の変動波形を示している。長丸形で囲った箇所は、偏心カム9aが回転し、変形部の凸状の段差が二次転写ローラ6に衝突するタイミングのカム衝突位置に該当する。このタイミングでは大きな変動を生じていることが分かる。この大きな変動を図11に示した駆動装置及び負荷変動推定装置により電流値、速度誤差、位置誤差、パルス幅変調(PWM)、トルク等の各値で検知する。ローラ(中間転写斥力ローラ5及び二次転写ローラ6)同士の接離時の負荷変動は発生タイミングにばらつきが生じるのに対し、この大きな変動はタイミングが一点に定まる。このため、ホームポジションを精度良く決定することができる。また、偏心カム9aの変形部の凸状箇所の段差が二次転写ローラ6に突き当たる動作であるため、その変動は目標速度、目標位置に対してマイナス側となる。
カム衝突時変動検知の判定基準として、図15(b)のA.閾値判定では、DCモータ3のフィードバック制御により検知した各値について、目標速度、目標位置に対してマイナス側に設定した閾値範囲内に入った場合を確認する。具体的には図11に示した駆動装置及び負荷変動推定装置により閾値範囲内に入った場合を偏心カム9aの変形部の段差が二次転写ローラ6に衝突したと判定する。この閾値範囲は、ローラ(中間転写斥力ローラ5及び二次転写ローラ6)同士の接離時の負荷変動の波形ピークP1値よりもマイナス側に大きい値の範囲に設定されている。カム衝突時変動の波形ピーク値P2はマイナス側にもっと大きくて閾値範囲内に入るため、ホームポジションを適確に決定できる。
その他、図15(b)のB.面積判定(或る特定範囲)では、フィードバック制御により検知した各値の或る特定範囲の負荷変動の面積が所定の閾値を越えたときに偏心カム9aの変形部の段差が二次転写ローラ6に衝突したと判定する。この判定も図11に示した駆動装置及び負荷変動推定装置により行われる。但し、ここでもローラ(中間転写斥力ローラ5及び二次転写ローラ6)同士が接離する際の変動成分よりも大きい値で所定の閾値を設定する。具体的には、フィードバック制御により検知した各値の全データの平均値を0とした場合、負荷変動が大きく生じている特定範囲及び0に囲まれた面積が所定の閾値を越えると偏心カム9aの変形部の凸部の段差の二次転写ローラ6への衝突とみなす。この速度変動検知による衝突判定の後には位置誤差の検知が行われる。そこで、位置誤差が検知された場合の位置誤差発生位置をホームポジションとするか、或いはそこから数パルス駆動させた位置をホームポジションとして決定することができる。このようにして、カム衝突時の負荷変動の発生位置を常に一点にすることができるため、カム衝突時の変動検知をローラ(中間転写斥力ローラ5及び二次転写ローラ6)同士の接離時の変動検知を行う場合よりも精度良く行うことができる。
図16は、図13(c)に示す偏心カム9bを適用した場合のDCモータ3に係るカム衝突時変動をフィードバック制御を適用して検知するときの判定基準(閾値判定及び面積判定)を説明するために示した図である。
図16を参照すれば、ここではDCモータ3の時間に対する変動波形の特性図を省略するが、図15(a)の場合とは逆で、変動が目標速度、目標位置に対してプラス側に変動する場合に該当する。図15(a)の場合と同様に偏心カム9bが回転して変形部が二次転写ローラ6に衝突し、変形部の凹状箇所が二次転写ローラ6に突入するタイミングでプラス側に大きな変動を生じる。この大きな変動を図11に示した駆動装置及び負荷変動推定装置により電流値、速度誤差、位置誤差、パルス幅変調(PWM)、トルク等の各値で検知する。ローラ(中間転写斥力ローラ5及び二次転写ローラ6)同士の接離時の負荷変動は発生タイミングにばらつきが生じるのに対し、この大きな変動はタイミングが一点に定まる。このため、ホームポジションを精度良く決定することができる。
カム衝突時変動検知の判定基準として、図16のA.閾値判定では、DCモータ3のフィードバック制御により検知した各値について、目標速度、目標位置に対してプラス側に設定した閾値範囲内に入った場合を確認する。具体的には図11に示した駆動装置及び負荷変動推定装置により閾値範囲内に入った場合を偏心カム9bの変形部が二次転写ローラ6に衝突し、変形部の凹状箇所が二次転写ローラ6に突入したと判定する。この閾値範囲は、ローラ(中間転写斥力ローラ5及び二次転写ローラ6)同士の接離時の負荷変動の波形ピークP1値よりもプラス側に大きい値の範囲に設定されている。ここでもカム衝突時変動の波形ピーク値P2はプラス側にもっと大きくて閾値範囲内に入るため、ホームポジションを適確に決定できる。
その他、図16のB.面積判定(或る特定範囲)では、フィードバック制御により検知した各値の或る特定範囲の負荷変動の面積が所定の閾値を越えたときに偏心カム9bの変形部の凹状箇所が二次転写ローラ6に衝突したと判定する。この判定も図11に示した駆動装置及び負荷変動推定装置により行われる。但し、ここでもローラ(中間転写斥力ローラ5及び二次転写ローラ6)同士が接離する際の変動成分よりも大きい値で所定の閾値を設定する。具体的には、フィードバック制御により検知した各値の全データの平均値を0とした場合、負荷変動が大きく生じている特定範囲及び0に囲まれた面積が所定の閾値を越えると偏心カム9bの変形部の凹状箇所の衝突の検知として判定する。この速度変動検知による衝突判定の後には位置誤差の検知が行われる。そこで、位置誤差が検知されたときの位置誤差発生位置をホームポジションとするか、或いはそこから数パルス駆動させた位置をホームポジションとして決定することができる。このようにして、負荷変動の発生位置を常に一点にすることができるため、カム衝突時の変動検知をローラ(中間転写斥力ローラ5及び二次転写ローラ6)同士の接離時の変動検知を行う場合よりも精度良く行うことができる。
図17は、図13(d)に示す偏心カム9cを適用した場合のDCモータ3に係るフィードバック制御を適用してカム衝突時変動を経ての位置誤差計算を説明するために偏心カム9cの時間[ms]に対する回転角度[deg]の特性を示した図である。
図17を参照すれば、偏心カム9cは図13(d)を参照して説明したように回転中に変形部の鍔状箇所が二次転写ローラ6に突き当たり、速度零、位置誤差零となって停止する。ここでは衝突の際の位置誤差の検知の様子を示している。具体的に云えば、時刻t0は起動する瞬間の偏心カム9cの位置を示している。この状態のときにはローラ(中間転写斥力ローラ5及び二次転写ローラ6)同士は離間している状態である。この状態から、図14を参照して説明した制御処理として、画像形成装置の電源をオンにして偏心カム9cを矢印の方向に駆動させる。図17中の時刻t0から時刻t1までの時間範囲では、DCモータ3の駆動で時間に対して一定の回転量(回転角度)が得られている。
そして、時刻t1の位置まで回転した際に丸印で囲った箇所のように偏心カム9cの変形部の鍔状箇所が二次転写ローラ6に突き当たる。このとき、これ以上回転できなくなるため、図17に示されるように回転量が急激に小さくなるか、或いは零になる。このときの位置誤差を図11に示した駆動装置及び負荷変動推定装置でDCモータ3のフィードバック制御により検知した電流値、速度誤差、位置誤差、パルス幅変調(PWM)、トルク等の各値から算出する。そして、目標回転位置からの位置誤差を計算し、その値が設定した閾値を超えているか否かで速度変動検知による衝突判定を行う。この速度変動検知による衝突判定の後には別途位置誤差の検知が行われる。そこで、位置誤差が検知されたときの位置誤差発生位置をホームポジションとするか、或いはそこから数パルス駆動させた位置をホームポジションとして決定することができる。このようにして、負荷変動の発生位置を常に一点にすることができるため、カム衝突時の変動検知をローラ(中間転写斥力ローラ5及び二次転写ローラ6)同士の接離時の変動検知を行う場合よりも精度良く行うことができる。
図18は、実施例1に係る二次転写接離機構と実施例2に係る二次転写接離機構との離間時におけるDCモータ3の駆動時間と離間距離との比較を時間[ms]に対するローラ中心間距離からローラ半径の和を減じた距離[mm]の関係で示した図である。図18(a)は実施例1に係る二次転写接離機構のホームポジションがずれる場合を示した図である。図18(b)は実施例1に係る二次転写接離機構と対比させて実施例2に係る二次転写接離機構のホームポジションが一点に定まる場合を示した図である。但し、ここでもローラは中間転写斥力ローラ5及び二次転写ローラ6を示す。
図18(a)を参照すれば、実施例1に係る二次転写接離機構では、図12を参照して説明したようにローラ(中間転写斥力ローラ5及び二次転写ローラ6)、ベルト(中間転写ベルト7)同士が接離するタイミングにばらつきが生じる。このため、ホームポジションが一点に定まらず、接触位置についても同様に毎回ずれる可能性がある。この対策には、当接が安定する終点のタイミングnを経て離間へ移行する変局のタイミングoから切り替え点のタイミングpを経て離間直後の変局のタイミングqに至るまでの時間範囲Δtを大きくし、接離する瞬間の速度を遅くする必要がある。因みに、離間直後の変局のタイミングqを経て離間が安定する始点のタイミングrに至ると離間が安定する。ここでの時間範囲Δtが大きければ画像形成装置に適用した場合にシートの搬送速度を速くすることができず、時間に余裕がないために生産性が低下してしまう。
これに対し、図18(b)を参照すれば、実施例2に係る二次転写接離機構では、上述したようにローラ(中間転写斥力ローラ5及び二次転写ローラ6)、ベルト(中間転写ベルト7)同士が接離するタイミングにばらつきが生じない。このため、ホームポジションが一点に定まり、接触位置についても同様に毎回ずれない。また、当接が安定する終点のタイミングsを経て離間へ移行する変局のタイミングtから切り替え点のタイミングpを経て離間直後の変局のタイミングwに至るまでの時間範囲Δt′は先の時間範囲Δtと比べて小さくなっている。時間範囲Δt′は接離前後で速度を遅くする範囲を狭く取ることができることを示している。また、タイミングnとタイミングsとの間、並びにタイミングrとタイミングxとの間における時間の余裕ができることも判る。因みに、離間直後の変局のタイミングwを経て離間が安定する始点のタイミングxに至ると離間が安定する。ここでの時間範囲Δt′が小さければ画像形成装置に適用した場合に時間の余裕ができるため、シート間を狭くしたり、シートの搬送速度を速くして生産性を向上させることができる。
尚、本発明は上述した実施の形態における各実施例で説明した主旨に限定されず、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記各実施例は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能であるが、これらは添付した特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。