JP6918307B2 - 同位体分析装置及び同位体分析方法 - Google Patents

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Description

本発明は、採取された試料について特段の化学処理等を行うことなく特定の元素の同位体の分析を行うことができる同位体分析装置、及びこのような同位体分析装置の原理となる同位体分析方法に関する。
従来、同位体分析は、質量数を識別する質量分析装置を利用しているが、質量分析では、同重体を識別することができないため、化学分離を基本とする試料の前処理工程により、特定元素成分を抽出し、クリーンな状態に調製しなければならない。一般に前処理工程は、1試料当たり2週間程度を要するため、迅速な分析には適しておらず、また、妨害元素に応じて新たに抽出法を開発しなければならない。
そのため、近年では、大型レーザーを用いて固体試料を直接気化させるレーザーアブレーション分光法(非特許文献1参照)が開発されてきた。このようなレーザーアブレーション分光法によれば、前処理を行わず同位体分析が可能となる。
M. Miyabe et al.," Laser ablation absorption spectroscopy for remote analysis of uranium",Hyperfine Interact (2013) 216:71-77,published online: 22 March 2013
レーザーアブレーション分光法によれば、前処理を行わず同位体分析が可能となるが、一方で、その感度は質量分析に比べ5桁程度劣っており精度が低い、という問題があった。また、試料が気化する際の高温高圧環境で、同位体スペクトルが干渉するため、同位体識別の精度も低い、という問題もあった。
また、レーザーアブレーション分光装置は、機器・設備が大型であり可搬性がない、という問題もあった。
また、従来のレーザーアブレーション分光法では、分析対象が高濃度試料に限定されている、という問題もあった。
上記のような問題点を解決するために、本発明に係る同位体分析装置は、入射側高反射ミラーと、前記入射側高反射ミラーとで対を成し、光キャビティーを形成する出射側高反射ミラーと、前記入射側高反射ミラーにレーザー光を入射するレーザー光入射部と、前記出射側高反射ミラーから出射する光を受光する光検出部と、前記光検出部の出力をスペクトル信号に変換するスペクトル信号変換部と、前記光キャビティーにプラズマ化した分析対象試料の気流を形成するプラズマ気流形成部と、からなり、前記光キャビティー内でドップラーフリースペクトルを発現させると共に、前記スペクトル信号変換部で得られる、特定元素の各同位体のドップラーフリースペクトル信号強度の比に基づいて同位体の分析を行うことを特徴とする。
また、本発明に係る同位体分析装置は、前記プラズマ気流形成部で用いるプラズマがレーザー維持プラズマであることを特徴とする。
また、本発明に係る同位体分析装置は、前記プラズマ気流形成部で用いるプラズマが誘導結合プラズマであることを特徴とする請求項2に記載の同位体分析装置。
また、本発明に係る同位体分析装置は、前記プラズマ気流形成部で用いるプラズマがアーク加熱プラズマであることを特徴とする。
また、本発明に係る同位体分析装置は、前記プラズマ気流形成部が、第1電極と、前記第1電極の近傍に対して気体を供給する気体供給部と、前記第1電極の近傍に対して分析対象試料を供給する試料供給部と、前記第1電極と離間して対向する第1円錐凹部と、前記第1円錐凹部から延在するスロート部と、前記スロート部から延在する第2円錐凹部とを有する、前記第1電極と極性が異なる第2電極と、前記第2電極の前記第2円錐凹部から連通するチャンバ部と、を有し、前記スロート部の中心軸と前記光キャビティーにおけるレーザー光の進行方向が略垂直であることを特徴とする。
また、本発明に係る同位体分析装置は、前記第1電極がカソードであり、前記第2電極がアノードであることを特徴とする。
また、本発明に係る同位体分析装置は、レーザー光源と、前記レーザー光源と前記レーザー光入射部との間の光路に配される第1ビームスプリッターと、前記第1ビームスプリッターによって分岐された光路に配されるエタロンと、を有することを特徴とする。
また、本発明に係る同位体分析装置は、前記レーザー光源と前記レーザー光入射部との間の光路に配される第2ビームスプリッターと、前記第2ビームスプリッターによって分岐された光路に配される光波長計と、を有することを特徴とする。
また、本発明に係る同位体分析装置は、前記レーザー光源が出射するレーザー光は縦モードシングルであることを特徴とする。
また、本発明に係る同位体分析装置は、前記チャンバ部の一方側に設けられる入射側ポートと、前記チャンバ部の他方側に設けられる出射側ポートと、を有し、前記入射側ポート及び前記出射側ポートにはブリュスター窓が配されることを特徴とする。
また、本発明に係る同位体分析方法は、一対の高反射ミラー間の光キャビティーに入射したレーザー光により前記光キャビティー内でドップラーフリースペクトルを発現させるステップと、前記光キャビティーにプラズマ化した分析対象試料の気流を形成するステップと、前記光キャビティーから出射した光をドップラーフリースペクトル信号に変換するステップと、特定元素の各同位体のドップラーフリースペクトル信号強度の比に基づいて同位体の分析を行うステップと、を有することを特徴とする。
本発明に係る同位体分析装置は、特定元素の各同位体のドップラーフリースペクトル信号強度の比に基づいて同位体の分析を行うので、本発明に係る同位体分析装置によれば、低濃度試料による分析でも高い精度で同位体の分析を行うことが可能となる。
また、本発明に係る同位体分析装置によれば、装置を小型化し可搬式とすることが可能となり、例えば、オンサイトでの分析を実現することができる。
また、本発明に係る同位体分析装置によれば、各同位体のスペクトルを判別することが可能となり、微量同位体の識別を行うことができるようになる。
また、本発明に係る同位体分析方法は、特定元素の各同位体のドップラーフリースペクトル信号強度の比に基づいて同位体の分析を行うので、本発明に係る同位体分析方法によれば、低濃度試料による分析でも高い精度で同位体の分析を行うことが可能となる。
本発明の実施形態に係る同位体分析装置1の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態に係る同位体分析装置1のカソード110とアノード120を抜き出して示す図である。 ドップラーフリースペクトルの原理を説明する模式図である。 ドップラーフリースペクトル発現の有無によるスペクトルの相違を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。 図1は本発明の実施形態に係る同位体分析装置1の概略構成を示す図である。
図1に示す本体部100の構成の中で、分析対象試料をプラズマ化し、さらにこのプラズマの気流を形成して、光キャビティー155へと導くことに関連する全ての構成を「プラズマ気流形成部」と称する。
ここで、本発明に係る同位体分析装置1のプラズマ気流形成部で用いるプラズマの発生方法は任意のものとすることができる。例えば、プラズマ気流形成部で用いるプラズマとしてレーザー維持プラズマを用いることもできるし、或いは、プラズマ気流形成部で用いるプラズマとして誘導結合プラズマを用いることもできるし、或いは、プラズマ気流形成部で用いるプラズマとしてアーク加熱プラズマを用いることができる。
以下、プラズマ気流形成部でアーク加熱プラズマを用いた場合を例に説明する。
本発明に係る同位体分析装置1の本体部100においては、カソードホルダー119によって支持されることで取り付けられているタングステン製のカソード110と、このカソード110と離間して配されている銅製のアノード120と、が設けられており、不図示の電源によりカソード110とアノード120と所定の直流電圧を印加することができるようになっている。
なお、本実施形態では、カソード110の材料としてタングステンを用いるようにしたが、用いる不活性ガスや試料によっては、表面酸化処理を施したジルコニウムなどを用いるようにしてもよい。
本体部100には、前記カソード110の近傍に対して不活性ガスaを供給することができるポートである気体供給部103が設けられている。また、本体部100には、気体供給部103の下流側に、カソード110の近傍に対して試料bを供給することができるポートである試料供給部105が設けられている。
また、アノード120から連通するチャンバ部107は不図示の真空ポンプなどにより排気ポート190から排気がなされている。これにより、カソード110とアノード120と間で放電が発生し、試料がプラズマ化すると共に、当該プラズマはアノード120から図示下方に向けて流れる超音速プラズマ流F(マッハ数1程度)となる。
本発明に係る同位体分析装置1は、チャンバ部107における超音速プラズマ流Fは低温低圧の気流であるので、圧力広がりも低減することができるため、分光における波長分解能は自然広がりに支配されるようになる。
ここで、本発明に係る同位体分析装置1のプラズマ生成部であるカソード110とアノード120のより詳細な構成について説明する。図2は本発明の実施形態に係る同位体分析装置1のカソード110とアノード120を抜き出して示す図である。
カソード110は、円柱状部111と、この円柱状部111から延在する円錐先端部113を有する形状となっている。一方、アノード120は、カソード110の円錐先端部113と離間して対向する第1円錐凹部121と、第1円錐凹部121から延在するスロート部122と、スロート部122から延在する第2円錐凹部124とを有する形状となっている。
円錐先端部113と第1円錐凹部121と間で発生したプラズマは、カソード110が配されている空間とチャンバ部107(10-1Pa程度)との間の圧力差により、φ1mm程度のスロート部122を通り、さらに末広ノズル状の第2円錐凹部124から図示下方に向けて流下される。
なお、本実施形態では、参照番号110で示した構成を「カソード」とし、参照番号120で示した構成を「アノード」として利用する例につき説明したが、本発明に係る同位体分析装置1においては、参照番号110で示した構成を「アノード」とし、参照番号120で示した構成を「カソード」として利用することも可能である。
チャンバ部107の一方側には入射側ポート130が、また、この入射側ポート130と対向する他方側には出射側ポート140が設けられている。入射側ポート130と出射側ポート140には、レーザー光のP偏向成分のみを透過する一対のブリュスター窓160が配されることが好ましい。ブリュスター窓160の設置により、レーザー光の反射による損失を低減することが可能となる。なお、ブリュスター窓160は必須の構成要件ではなく、入射側ポート130と出射側ポート140には石英ガラスなどからなる窓を設けるようにすることもできる。
一対のブリュスター窓160のチャンバ部107外には、入射側高反射ミラー151及び出射側高反射ミラー152が配されている。入射側高反射ミラー151、出射側高反射ミラー152としては、例えばLayertec社製の反射率が99.97%より大きいものを用いることができる。
本発明に係る同位体分析装置1は、光キャビティー155を構成する入射側高反射ミラー151、出射側高反射ミラー152の反射率の向上に伴い検出感度が向上する。
なお、本発明に係る同位体分析装置1は、光キャビティー155による検出感度の向上とともに、ロックインアンプで二次高調波を検波することにより、さらなる検出感度の向上が可能となる。20倍程度の信号強度の増幅が期待できる。
本発明に係る同位体分析装置1においては、入射側高反射ミラー151と、出射側高反射ミラー152とによって光共振器が形成されるようになっている。本発明では、このような光共振器における多重反射を利用し、超音速プラズマ流Fを構成する元素による吸収回数を増やすことで、出力信号を増幅し、レーザー吸収分光の高感度化を実現可能する。
アノード120の第2円錐凹部124から硫化する超音速プラズマ流Fは、入射側高反射ミラー151と出射側高反射ミラー152との対からなる光キャビティー155の空間まで到達し、入射側高反射ミラー151と出射側高反射ミラー152との間を略1軸上で往復するレーザー光に晒されることとなる。
入射側高反射ミラー151と出射側高反射ミラー152との間を往復するレーザー光は、入射側高反射ミラー151から入射するようになっている。次に、入射側高反射ミラー151から入射するレーザー光の生成について説明する。
入射側高反射ミラー151から入射されるレーザー光の光源としては、半導体レーザーなどのレーザー光源5を用いるが、その他の種類のレーザー光源を用いるようにしてもよい。ただし、超音速プラズマ流Fを構成する元素の吸収率を観測するために、レーザー光源としては、縦モードシングルのものを利用することが好ましい。
レーザー光源5から、出射したレーザー光は、アイソレータ10に入射される。アイソレータ10は、レーザー光を一方向だけに透過させ、レーザー光の反射などによる戻り光を防止するものである。このようなアイソレータ10により、戻り光がレーザー光源5に再入射することが無くなり、レーザー光源5を安定的に運用することが可能となる。
アイソレータ10から出射したレーザー光は、続いて、第1ビームスプリッター11に入射する。第1ビームスプリッター11に入射したレーザー光の一部は反射することで分岐され、この分岐光路上に設けられているエタロン20に入射する。続いて、エタロン20から出射したレーザー光は、フォトディテクタ21に入射する。フォトディテクタ21による検出情報は、オシロスコープ70に入力され、エタロンマーカーとして分析に供される。フォトディテクタ21としては、例えばThorlab 社製DET10A/Mを用いることができる。なお、本実施形態では、エタロン20から出射したレーザー光をフォトディテクタ21によって検出しているが、その他の検出器を用いるようにしてもよい。
超音速プラズマ流Fを構成する元素の吸収率を観測することによって得られる吸収信号はオシロスコープ70を用いて時間軸で観測しているが、スペクトル幅は波長(周波数)の単位であるために、解析時には波長軸に補正する必要がある。エタロン20は高反射ミラーを両側に設けた光キャビティーであり、決められた波長幅でレーザー光が強め合うことを利用している。
超音速プラズマ流Fを実際に観測する際に同位体スペクトルを高精度に判別するためには、この波長幅をプラズマの両端(入射側高反射ミラー151、出射側高反射ミラー152)のそれと同程度にする必要がある。市販のエタロンではGHzオーダーであることから、エタロン20では高反射ミラーを用いてMHzオーダーのエタロンマーカーを生成する。フォトディテクタ21からの出力は、吸収信号と同時にオシロスコープ70で観測される。
一方、第1ビームスプリッター11を透過したレーザー光は、続いて、第2ビームスプリッター12に入射する。第2ビームスプリッター12に入射したレーザー光の一部は反射することで分岐され、この分岐光路上に設けられている光波長計30に入射する。
レーザー光源5として利用している半導体レーザーは作動電流、温度による波長が異なるが、その波長を光源側で測定しているわけではない。そのため、電流、温度を制御しながら半導体レーザーの波長を分析対象の元素の波長に事前に合わせる必要があるため、光波長計30を使用する。
第2ビームスプリッター12を透過したレーザー光は、続いて、音響光学素子35に入射する。高反射ミラーの実効的な反射率を計測するためには、レーザー光を高速で遮断し、レーザー光の減衰を観測する必要がある。音響光学素子35は、その光スイッチとして使用される。音響光学素子35としては、Isomet社製の1205C-2などを用いることができる。
また、櫛信号ごとの吸収率を計測するために、上記の音響光学素子35によって、レーザー光を高速で遮断し、レーザー光の減衰を観測する。この減衰時間をリングダウンタイムと呼び、本発明においては、光キャビティー155内に吸収媒体が存在しない場合と存在する場合の差から吸収率を算出する。
音響光学素子35を通過したレーザー光は、入射側ファイバカプラ41に入射する。入射側ファイバカプラ41に入射したレーザー光は、光ファイバ40を経て、出射側ファイバカプラ42から出射する。光キャビティー155における共振条件を満たすには、レーザー光のビーム径を小さくする必要があるため、光ファイバ40としては、コア径の小さいシングルモードの光ファイバを使用することが好ましい。
レーザー光源5とチャンバ部107とが接近していると、チャンバ部107の排気に用いている機器の振動がレーザー光源5に影響を与えてしまう。そこで、本発明に係る同位体分析装置1において、光ファイバ40を利用することで、レーザー光源5とチャンバ部107との間に適当な距離を確保するようにしている。
出射側ファイバカプラ42から出射したレーザー光は、コリメートレンズ46やモードマッチングレンズ47などからなる光学系45を経て、入射側高反射ミラー151に照射する。入射側高反射ミラー151に照射されたレーザー光の一部は、入射側高反射ミラー151を透過しチャンバ部107内に出射され、出射側高反射ミラー152との間を1軸上で往復する。
なお、チャンバ部107内に入射される光を出射する前段の構成である光学系45を「レーザー光入射部」と称することがある。
入射側高反射ミラー151と出射側高反射ミラー152との間を往復するレーザー光であって、出射側高反射ミラー152に進入する光の一部は、出射側高反射ミラー152を透過しチャンバ部107外に出射され、光電子増倍管50に入射する。光電子増倍管50から出力される電気信号は、オシロスコープ70に入力される。なお、光電子増倍管50を「光検出部」と称することがある。
オシロスコープ70によって観測されたデータは、コンピューター80に入力され、データ分析がなされる。コンピューター80としては、例えば、演算機能、計時機能、データ蓄積機能、画像表示機能、発音機能、通信機能などを有する汎用のパーソナルコンピューターなどを用いることができる。オシロスコープ70及びコンピューター80の構成を「スペクトル信号変換部」として称することもある。
本実施形態においては、出射側高反射ミラー152から出射される光を光電子増倍管50で検出するように構成したが、出射側高反射ミラー152から出射される光の検出にはその他の構成を利用することもできる。
本発明に係る同位体分析装置1においては、超音速プラズマ流Fを構成する元素が光キャビティー155内でドップラーフリースペクトルを発現させるように制御することが特徴である。
図3はドップラーフリースペクトルの原理を説明する模式図である。また、図4はドップラーフリースペクトル発現の有無によるスペクトルの相違を示す図である。
図3においては、ランダムに運動する元素(超音速プラズマ流Fを構成する元素)と、その中を複数回往復するレーザー光を模式的に示している。各元素は様々な方向に運動しているが、レーザー光の進行方向に対して略垂直な方向に移動している元素は、ドップラー効果の影響を受けることがない。このため、図4に示すように、ドップラーフリースペクトルが発現することにより、吸収率の波長依存性には極小値が認められるようになる。これにより、分析対象となる元素に種々の同位体が存在するような場合には、それぞれの同位体の存在比率の分析を行い際の分解能が飛躍的に向上する。ここで略垂直とは、例えば90°±5°を言う。
そこで、本発明に係る同位体分析装置1においては、オシロスコープ70及びコンピューター80では、特定元素の各同位体のドップラーフリースペクトル信号強度の比に基づいて同位体の分析を行うようにする。
光キャビティー155内でドップラーフリースペクトルを発現させることができれば、従来温度に支配されるドップラー広がり(ガウス分布)に対して、100分の1程度まで波長分解能を向上できる自然広がりを検出することができる。この自然広がりは、ガウス分布の中に窪みとして、同位体ごとに発現するため、温度の影響を受けずに高精度な同位体スペクトルを検出することができる。
ここで、仮に、反射率99.99%の入射側高反射ミラー151、出射側高反射ミラー152を用いて光キャビティー155を構成した場合、光キャビティー155内部でレーザー光は10,000倍に増幅される。入射側高反射ミラー151から1μW/mm2のレーザー光を入射した場合、光キャビティー155内部では10mW/mm2の強度を有することとなる。一例として、アルゴンの吸収ライン842nmの場合を考えると、約230μW/mm2でレーザー光の効果が現れてくる。
この10倍の2.3mW/mm2まで光キャビティー155内部での強度を上げることで効果を顕著にみることができることが期待できる。なお、この計算には、圧力条件が必要となるため、チャンバ部107の圧力として10Paを用いている。
以上より、99.99%の入射側高反射ミラー151、出射側高反射ミラー152を用いた場合、0.2μW/mm2のレーザー光を光キャビティー155に入射することでドップラーフリースペクトルを発現させることができる。
以上、本発明に係る同位体分析装置1は、特定元素の各同位体のドップラーフリースペクトル信号強度の比に基づいて同位体の分析を行うので、本発明に係る同位体分析装置1によれば、低濃度試料による分析でも高い精度で同位体の分析を行うことが可能となる。
また、本発明に係る同位体分析装置1によれば、装置を小型化し可搬式とすることが可能となり、例えば、オンサイトでの分析を実現することができる。このような効果によれば、汚染土壌などのモニタリングを現地にて迅速に行うことが可能となる。
また、本発明に係る同位体分析装置1によれば、各同位体のスペクトルを判別することが可能となり、微量同位体の識別を行うことができるようになる。
また、本発明に係る同位体分析方法は、特定元素の各同位体のドップラーフリースペクトル信号強度の比に基づいて同位体の分析を行うので、本発明に係る同位体分析方法によれば、低濃度試料による分析でも高い精度で同位体の分析を行うことが可能となる。
1・・・同位体分析装置
5・・・レーザー光源
10・・・アイソレータ
11・・・第1ビームスプリッター
12・・・第2ビームスプリッター
20・・・エタロン
21・・・フォトディテクタ
30・・・光波長計
35・・・音響光学素子
40・・・光ファイバ
41・・・入射側ファイバカプラ
42・・・出射側ファイバカプラ
45・・・光学系(レーザー光入射部)
46・・・コリメートレンズ
47・・・モードマッチングレンズ
50・・・光電子増倍管
70・・・オシロスコープ(スペクトル信号変換部)
80・・・コンピューター(スペクトル信号変換部)
100・・・本体部
103・・・気体供給部
105・・・試料供給部
107・・・チャンバ部
110・・・カソード
111・・・円柱状部
113・・・円錐先端部
119・・・カソードホルダー
120・・・アノード
121・・・第1円錐凹部
122・・・スロート部
124・・・第2円錐凹部
130・・・入射側ポート
140・・・出射側ポート
151・・・入射側高反射ミラー
152・・・出射側高反射ミラー
155・・・光キャビティー
160・・・ブリュスター窓
190・・・排気ポート
a・・・不活性ガス
b・・・試料
F・・・超音速プラズマ流

Claims (11)

  1. 入射側高反射ミラーと、
    前記入射側高反射ミラーとで対を成し、光キャビティーを形成する出射側高反射ミラーと、
    前記入射側高反射ミラーにレーザー光を入射するレーザー光入射部と、
    前記出射側高反射ミラーから出射する光を受光する光検出部と、
    前記光検出部の出力をスペクトル信号に変換するスペクトル信号変換部と、
    前記光キャビティーにプラズマ化した分析対象試料の気流を形成するプラズマ気流形成部と、からなり、
    前記光キャビティー内でドップラーフリースペクトルを発現させると共に、
    前記スペクトル信号変換部で得られる、特定元素の各同位体のドップラーフリースペクトル信号強度の比に基づいて同位体の分析を行うことを特徴とする同位体分析装置。
  2. 前記プラズマ気流形成部で用いるプラズマがレーザー維持プラズマであることを特徴とする請求項1に記載の同位体分析装置。
  3. 前記プラズマ気流形成部で用いるプラズマが誘導結合プラズマであることを特徴とする請求項1に記載の同位体分析装置。
  4. 前記プラズマ気流形成部で用いるプラズマがアーク加熱プラズマであることを特徴とする請求項1に記載の同位体分析装置。
  5. 前記プラズマ気流形成部が、
    第1電極と、
    前記第1電極の近傍に対して気体を供給する気体供給部と、
    前記第1電極の近傍に対して分析対象試料を供給する試料供給部と、
    前記第1電極と離間して対向する第1円錐凹部と、前記第1円錐凹部から延在するスロート部と、前記スロート部から延在する第2円錐凹部とを有する、前記第1電極と極性が異なる第2電極と、
    前記第2電極の前記第2円錐凹部から連通するチャンバ部と、
    を有し、
    前記スロート部の中心軸と前記光キャビティーにおけるレーザー光の進行方向が略垂直であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の同位体分析装置。
  6. 前記第1電極がカソードであり、前記第2電極がアノードであることを特徴とする請求項5に記載の同位体分析装置。
  7. レーザー光源と、
    前記レーザー光源と前記レーザー光入射部との間の光路に配される第1ビームスプリッターと、
    前記第1ビームスプリッターによって分岐された光路に配されるエタロンと、
    を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の同位体分析装置。
  8. 前記レーザー光源と前記レーザー光入射部との間の光路に配される第2ビームスプリッターと、
    前記第2ビームスプリッターによって分岐された光路に配される光波長計と、
    を有することを特徴とする請求項7に記載の同位体分析装置。
  9. 前記レーザー光源が出射するレーザー光は縦モードシングルであることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の同位体分析装置。
  10. 前記チャンバ部の一方側に設けられる入射側ポートと、
    前記チャンバ部の他方側に設けられる出射側ポートと、を有し、
    前記入射側ポート及び前記出射側ポートにはブリュスター窓が配されることを特徴とする請求項5に記載の同位体分析装置。
  11. 一対の高反射ミラー間の光キャビティーに入射したレーザー光により前記光キャビティー内でドップラーフリースペクトルを発現させるステップと、
    前記光キャビティーにプラズマ化した分析対象試料の気流を形成するステップと、
    前記光キャビティーから出射した光をドップラーフリースペクトル信号に変換するステップと、
    特定元素の各同位体のドップラーフリースペクトル信号強度の比に基づいて同位体の分析を行うステップと、を有することを特徴とする同位体分析方法。
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