JP6917626B2 - 積層透明蛍光体および照明装置 - Google Patents

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本発明は、光の波長を変換する波長変換部材に用いられる蛍光体に関する。
白色LEDやプロジェクタなどの照明部材および表示部材などでは、青色LEDあるいは紫外LEDなどの励起光源からの光を、蛍光体を含む波長変換部材に照射して波長を変換することにより、所望の色を得る方法が広く用いられている。現行の波長変換部材としては、結晶蛍光体粉末を樹脂に分散ないし塗布(成膜)したものが広く用いられている。しかし、そのような波長変換部材では、より明るい光を得るため高出力化すると、励起光源の発熱や光による加熱により樹脂が劣化しやすく、透明性、放熱性に乏しいことから、高出力の励起光源には適さない。また、単結晶や透明セラミックスを用いた蛍光部材も存在するが、コストが高く、加工が難しいという問題がある。
これに対し、透明性、高耐候性、放熱性において現行の波長変換部材より優位な透明蛍光体が注目されている(例えば、特許文献1)。透明蛍光体は、所望の形状に加工しやすい点で、単結晶や透明セラミックスを用いた蛍光部材に対しても優位性がある。
特開2016−138020号公報
しかし、蛍光体を薄くすると、光の吸収率が低くなり、外部量子効率(入射光強度と蛍光強度の比)が小さいため、十分な変換効率が得られないという問題がある。
具体的には、蛍光の外部量子効率(ηEX)は以下の式(1)から計算される。
ηEX=IEM/IEX (1)
EM:蛍光光子数
EX:照射光子数
内部量子効率(ηINT)は、吸収光子数をIABSとすると、
ηINT=IEM/IABS (2)
となる。ここで、
ABS=IEX・(1−T) (3)
であるので、式(1)〜(3)より、透過率をTとすると、
ηEX=ηINT・IABS/IEX=ηINT・IEX・(1−T)/IEX
=ηINT・(1−T) (4)
となる。式(4)より、透過率を低減すれば外部量子効率は内部量子効率に漸近することが分かる。Lambert-Beer則より、下記式が成立する。
1−T=1−I/IEX−I/IEX−I/IEX
=1−exp(acl)−I/IEX−I/IEX
:透過光強度
:反射光強度
:散乱光強度
a:モル吸光係数
c:吸収イオンの濃度
l:光路長
内部量子効率の高い透明蛍光体は幾つか報告されているが、吸光係数が低いことによって透過率が大きくなり、外部量子効率を高くすることができないという問題がある。本明細書では、透明なガラスを想定しているので、Iはほとんど無視できるとする。外部量子効率を高めるためのアプローチとしては、
・光路長、吸収イオン濃度、モル吸光係数のいずれかを増大させることによる吸収量の増大
・反射光強度の低減
が挙げられる。
まず、吸収量の増大について、モル吸光係数(a)は、賦活イオンとホストで決まるので、変化させることができるパラメータは吸収イオンの濃度(c)である。しかし、吸収イオンの濃度(c)を上げると、濃度消光が起きて内部量子効率が激減するので有効なアプローチではない。
次に、反射光強度の低減について、透明蛍光体に反射防止構造を付与することで、反射によって失われる光を低減する技術は存在する。反射率(R)は以下の式により計算される。
R=(n−n/(n+n (1)
:周囲媒体の屈折率
:ガラス蛍光体の屈折率
よって、I/IEXは屈折率(n)に依存するが、n=1.0(空気)とすると、典型的な酸化物結晶の屈折率はn=1.5〜2.0程度であるため、この範囲であればI/IEXは0.2を越えることはない。そのため、反射光強度の低減効果だけでは、外部量子効率は、せいぜい20%強の増強しか見込めない。
以上のように、既存の結晶蛍光体を薄くしてしまうと充分な蛍光強度を得ることはできないという問題がある。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、高価な結晶蛍光体の厚みを大きくすることなく、透明ガラスと組み合わせることで発光効率の高い透明蛍光体を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、光の回折現象を利用して、入射光の光路長を増やすことで、透明蛍光体の発光効率を高めることができることを見出した。
本発明はかかる知見に基づいて完成したものであり、下記の態様を有する。
項1.
波長がλ(350nm≦λ≦470nm)の光を照射すると蛍光を発する透明蛍光体と、
前記透明蛍光体の外面の少なくとも一部に接合された光を透過するガラス体と、を備え、
前記ガラス体の前記透明蛍光体と接合している接合面の反対面には、光を回折させる回折構造が形成されている、積層透明蛍光体。
項2.
前記透明蛍光体および前記ガラス体は平板形状であり、
前記ガラス体は、前記平板形状の透明蛍光体の少なくとも一方の平板面に接合している、項1に記載の積層透明蛍光体。
項3.
前記回折構造は、所定の方向に配列された複数の突条である、項1または2に記載の積層透明蛍光体。
項4.
前記光の波長がλであり、
前記突条の間隔dは0.75×λ≦d≦2.00×λである、項3に記載の積層透明蛍光体。
項5.
前記光の波長がλであり、
前記突条の間隔dは0.90×λ≦d≦λである、項4に記載の積層透明蛍光体。
項6.
前記光の波長が400nm〜410nmであり、
前記突条の間隔は300nm〜800nmである、項3に記載の積層透明蛍光体。
項7.
前記光の波長が400nm〜410nmであり、
前記突条の間隔は365nm〜405nmである、項6に記載の積層透明蛍光体。
項8.
前記光の波長が450〜470nmであり、
前記突条の間隔は340nm〜900nmである、項3に記載の積層透明蛍光体。
項9.
前記光の波長が450〜470nmであり、
前記突条の間隔は405nm〜450nmである、項8に記載の積層透明蛍光体。
項10.
項1〜9のいずれかに記載の積層透明蛍光体と、
前記積層透明蛍光体に前記光を照射する光源と、を備えた、照明装置。
本発明によれば、入射光の光路長を増やすことで、透明蛍光体の発光効率を高めることができる。
(a)は、本発明の実施形態に係る積層透明蛍光体の断面図であり、図1(b)は、当該積層透明蛍光体の平面図である。 図1(a)に示す透明蛍光体およびガラス体の部分拡大断面図である。 (a)は、屈折率n=1.62の透明蛍光体における、回折光Ld1(s偏光)の回折角βと反射率との関係を示すグラフであり、(b)は、屈折率n=1.81のガラス体2に入射した光の波長λが405(nm)である場合の、回折角と突条の間隔との関係を示すグラフである。 (a)〜(c)は、積層透明蛍光体の製造工程を示す概略図である。 (a)および(b)は、積層透明蛍光体の変形例を示す断面図である。 図5(a)に示す透明蛍光体およびガラス体の部分拡大断面図である。 本発明の実施形態に係る照明装置の概略図である。 照明装置の変形例である。 突条の間隔と蛍光強度との関係を検証するための測定系の概略図である。 突条の間隔と蛍光強度との関係を示すグラフである。 突条の間隔と蛍光強度との関係を検証するための他の測定系の概略図である。 突条の間隔と蛍光強度との関係を示すグラフである。 光源側のみにガラス体が接合された透明蛍光体に、波長450nmのs偏光を垂直に入射させた場合の、透過光、透過方向への回折光、およびそれらの合計の強度と、突条の間隔との関係を示すグラフである。 透明蛍光体の光源の反対側のみにガラス体が接合された積層透明蛍光体に、波長450nmのs偏光を垂直に入射させた場合の、透過光、透過方向への回折光、およびそれらの合計の強度と、突条の間隔との関係を示すグラフである。 透明蛍光体の光源の反対側のみにガラス体が接合された積層透明蛍光体に、波長550nmのs偏光を垂直に入射させた場合の、透過光、透過方向への回折光、およびそれらの合計の強度と、突条の間隔との関係を示すグラフである。 透明蛍光体の光源と反対面に接合されたガラス体の出射面における光の電場分布シミュレーション結果を示す図である。 透明蛍光体の光源側のみにガラス体が接合された積層透明蛍光体に、波長450nmのs偏光を垂直に入射させた場合の、入射光への回折効率と突条の間隔との関係を示すグラフである。 透明蛍光体の光源の反対側のみにガラス体が接合された積層透明蛍光体に、波長450nmのs偏光を垂直に入射させた場合の、出射光への回折効率と突条の間隔との関係を示すグラフである。 透明蛍光体の光源側のみにガラス体が接合された積層透明蛍光体に、波長405nmのs偏光を垂直に入射させた場合の、回折効率と突条の間隔との関係を示すグラフである。 透明蛍光体の光源の反対側のみにガラス体が接合された積層透明蛍光体に、波長405nmのs偏光を垂直に入射させた場合の、回折効率と突条の間隔との関係を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照して説明する。なお、本発明は、下記の実施形態に限定されるものではない。
(透明蛍光体の構成)
図1(a)は、本実施形態に係る積層透明蛍光体10の断面図であり、図1(b)は、積層透明蛍光体10の平面図である。積層透明蛍光体10は、透明蛍光体1とガラス体2とを備えている。透明蛍光体1は、発光中心を含んだガラス蛍光体またはセラミックス蛍光体であり、通常、1.5〜2.0程度の屈折率を有する。発光中心としては、例えばEu,Ceなどの希土類イオンやCuなどの遷移金属イオン、Snなどの重金属イオンを含有した酸化物ガラスやフッ化物ガラスが挙げられる。これにより、透明蛍光体1は、波長がλ(本実施形態では、350nm≦λ≦470nm)の光を照射すると蛍光を発する。
さらに、透明蛍光体1の外面の少なくとも一部に、光を透過するガラス体2が接合している。本実施形態では、透明蛍光体1の上面1aにガラス体2が接合している。さらに、ガラス体2の透明蛍光体1と接合している接合面2bの反対面2aには、光を回折させる回折構造3が形成されている。
ガラス体2は、発光中心を含んでおらず、屈折率は透明蛍光体1の屈折率と等しいことが好ましいが、異なってもよい。本実施形態では、透明蛍光体1およびガラス体2は、屈折率が等しいものとして説明する。ガラス体2の材質は、融着により安定して透明蛍光体1に接合する材質であることが好ましく、具体的には、ガラス体2の透明蛍光体1に対する熱ひずみが0.0002以下であることが好ましい。熱ひずみεは以下の式により定義する。
ε=△α(T−Trt)E
ここで、△αはガラス体と蛍光体の熱膨張率の差、Tはガラス体のガラス転移点、Eはガラスのヤング率である。
透明蛍光体1およびガラス体2の形状および大きさは特に限定されないが、本実施形態では平面視矩形の平板形状であり、ガラス体2は透明蛍光体1の少なくとも一方の平板面に形成されている。図1(a)に示すように、回折構造3は、光が入射するガラス体2の反対面2aに形成されており、所定の方向(図1において左右方向)に配列された複数の突条3aである。突条3aの個数は特に限定されないが、通常は、多数(数万〜数十万個)形成される。突条3aの断面形状は特に限定されないが、本実施形態では、断面の外形が正弦曲線と近似している。
突条3aの間隔dは、隣り合う突条2aの中心間の距離(図1a参照)である。間隔dは、光の回折現象が生じるのであれば、特に限定されないが、光の波長がλである場合、0.75×λ≦d≦2.00×λであることが好ましく、0.90×λ≦d≦λであることがさらに好ましい。また、複数の波長の光が混ざっている白色光等の波長は、ピーク波長、あるいは光のエネルギーの30%以上の成分を含む波長と定義する。例えば、光の波長が400nm〜410nmである場合、300nm≦d≦800nmであることが好ましく、365nm≦d≦405nmであることが特に好ましい。また、光の波長が450nm〜470nmである場合、340nm≦d≦900nmであることが好ましく、405nm≦d≦450nmであることが特に好ましい。
突条3aの高さhは、光の回折現象に影響を与えない限り特に限定されず、例えば、間隔dの数分の1程度である。
(光の挙動)
図2は、図1(a)に示す透明蛍光体1およびガラス体2の部分拡大断面図であり、ガラス体2の反対面2aに光Lin(波長λ)が入射した場合の、光の挙動を示している。光Lin(波長λ)は、ガラス体2に入射する際に、複数の突条3aによって、回折光Ld1(波長λ)および透過光Lt(波長λ)となる。透過光Lt(波長λ)の一部は、ガラス体2から透明蛍光体1に進行し、透明蛍光体1の下面1bにおいて反射する(反射光Lr1(波長λ))。また、回折光Ld1(波長λ)については、回折角(回折光Ld1(波長λ)と透過光Lt(波長λ)との角度)が透明蛍光体1の臨界角以上である場合、回折光Ld1(波長λ)は、透明蛍光体1の界面において突条がない場合は全反射、突条がある場合は高い反射率で反射を繰り返すので、光路長が著しく増大する。これにより、外部量子効率が高くなり、透明蛍光体1とガラス体2とを合わせた積層透明蛍光体10の厚みを実用的な厚み程度とすれば、厚みを大きくすることなく、積層透明蛍光体10の発光効率を高めることができる。
透明蛍光体1およびガラス体2の臨界角θ(deg.)は、透明蛍光体1およびガラス体2の屈折率をn、空気の屈折率をnとすると、
sinθ=n/n (5)
により与えられる。例えば、n=1.62、n=1.00とすると、θ=39(deg.)である。
図3(a)は、屈折率n=1.62の透明蛍光体1における、回折光Ld1(s偏光)の回折角βと反射率との関係を示すグラフである。回折角βが臨界角θである39(deg.)以上であれば、反射率が1(全反射)になり、光路長が著しく増大するため好ましい。一方で、β>θであっても、βが大きいほど反射角が小さくなるので、積層透明蛍光体10の単位面積あたりの反射回数が小さくなり、その結果、光路長が小さくなる。よって、βはθより大きく、かつ、θに近いほど発光量が大きい。
また、突条2aの間隔をd、回折光Ld1(波長λ)の入射角をθi、回折次数をmとすると、透過方向の回折角θは、
Figure 0006917626
により与えられる。ここで、回折角βは透過方向と反射方向の両方に存在するので、これらを区別のため、透過方向の回折角をθ、反射方向の回折角をθとおいた。また、光がガラス蛍光体1から周囲媒体へ入射するときの反射方向の回折角θは、以下の式によって与えられる。
Figure 0006917626
:周囲媒体の屈折率
:ガラス蛍光体の屈折率
θi:入射光の面直角度
φi:入射光の面内角度
θ:透過回折の面直角度
φ:透過回折の面内角度
λ:波長
:x方向(光の入射方向の入射面に平行な成分)の突条の間隔
:y方向の突条の間隔
m:回折次数
m’:回折次数
回折角が臨界角を超える場合、回折光はガラス蛍光体内で反射を繰り返すため、見かけの光路長を顕著に増大させることができる。この時の条件は、前記突条が入射面にある場合は、〔数1〕および〔数2〕に示した式から、
Figure 0006917626
として与えられる。すなわち、垂直入射の場合は、
Figure 0006917626
として与えられる。また、前記突条が入射面の反対面にある場合は、
Figure 0006917626
として与えられる。すなわち、垂直入射の場合は、
Figure 0006917626
である。
図3(b)は、屈折率n=1.81のガラス体2に入射した光Linの波長λが405(nm)である場合の、回折角と突条3aの間隔dとの関係を示すグラフである。同グラフにおける破線は、屈折率n=1.81の透明蛍光体1の臨界角θ(=34(deg.))を示している。回折角が臨界角よりも大きければ(破線と曲線(特に1次回折曲線)との交点に対応する間隔よりもdが小さければ))、回折光Ld1はガラス蛍光体1を透過せずに内部で全反射を繰り返す。1次回折(m=1)における、この時の全反射の条件は、透過面が空気(n=1)、入射角θi=0(垂直入射)のとき、〔数3〕〜〔数6〕に示した式から、突条が入射面にある場合は、d≦n λとなり、突条が入射面の反対面にある場合は、d≦λとなる。例えば、波長λ=405(nm)でガラス蛍光体の屈折率が1.62のとき、突条が入射面にある場合はd≦1062(nm)、入射面の反対面にある場合はd≦405(nm)であることが好ましいが、回折角が臨界角に近いほど反射率は高くなるので、dがこれよりも多少大きくても、発光効率を高めることができる。なお、入射角θi≠0の場合については、後述する。
(積層透明蛍光体の製造方法)
本実施形態に係る積層透明蛍光体10は、ナノインプリント成型加工によって製造することができる。図4(a)〜(c)は、積層透明蛍光体10の製造工程を示す概略図である。
まず、平板状の透明蛍光体11およびガラス体12を作製し、図4(a)に示すように、透明蛍光体11およびガラス体12を重ね合わせて2つの型20,30の間に挟み込み、加熱する。これにより、透明蛍光体11とガラス体12とが融着する。また、型20には、多数の溝21が形成されているため、図4(b)に示すように、ガラス体12の一部が溝21に突出する。溝21によって、ガラス体12の一方面には、多数の突条が転写される。その後、型20および型30を取り外すことにより、図4(c)に示すように、多数の突条3aが形成されたガラス体2が透明蛍光体1に接合し、積層透明蛍光体10を製造することができる。
なお、ガラス体2に突条を形成する方法は、ナノインプリント成型加工に限定されず、例えば、電子線描画装置を用いて構造をレジストに描画した後にガラス体をエッチングする方法も可能である。しかし、量産性の観点では、ナノインプリント成型加工が望ましい。
(積層透明蛍光体の変形例)
図1に示す積層透明蛍光体10では、ガラス体2が面1aのみに接合しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、図5(a)に示す積層透明蛍光体10’のように、ガラス体2が透明蛍光体1の下面1bのみに接合してもよい。あるいは、図5(b)に示す積層透明蛍光体10”のように、ガラス体2が透明蛍光体1の上面1aおよび下面1bの両面に形成されてもよい。
図6は、図5(a)に示す透明蛍光体1およびガラス体2の部分拡大断面図であり、透明蛍光体1の上面1aに光Linが入射した場合の、光の挙動を示している。光Linの大部分は入射後に透過光Ltとなり、その一部はガラス体2の反対面2aにおいて反射する(反射光Lr1)。また、反対面2aに複数の突条3aが形成されていることにより、透過光Ltが反射する際に、回折現象によって回折光Ld1が生じる。この回折光Ld1の回折角(回折光Ld1と透過光Ltとの角度)が透明蛍光体1の臨界角以上である場合は反射率が高いので特に効果が大きい。このようにして、回折光Ld1は、透明蛍光体1およびガラス体2の界面において反射を繰り返すので、光路長が著しく増大する。これにより、外部量子効率が高くなり、透明蛍光体1とガラス体2とを合わせた積層透明蛍光体10’の厚みを実用的な厚み程度とすれば、厚みを大きくすることなく、積層透明蛍光体10’の発光効率を高めることができる。
なお、図5(b)に示す積層透明蛍光体10”では、図2および図6において説明した両方の挙動が生じるため、積層透明蛍光体10および積層透明蛍光体10’よりも発光効率を高めることができる。
(入射角の調整)
上述の形態では、入射光を積層透明蛍光体の入射面に対して垂直に入射させていたが、特に、入射光の指向性が強い場合、入射光を積層透明蛍光体の入射面に対して傾斜させてもよい。以下で示すように、入射光を積層透明蛍光体の入射面に対して所定の範囲で傾斜させたほうが、入射光を垂直に入射させた場合よりも蛍光強度が大きくなる場合もある。
図7は、本実施形態に係る照明装置100の概略図である。照明装置100は、積層透明蛍光体10、および、積層透明蛍光体10に光を照射する光源4を備えている。積層透明蛍光体10は、図1に示すものと同一であり、透明蛍光体1の光源側にガラス体2が接合されている。光源4は、レーザ光を出射するレーザ光源である。レーザ光の指向方向はガラス体2の入射面(図1に示す反対面2a)に対して傾斜しており、レーザ光と入射面とが角度θinをなしている。
照明装置100では、光源4からの光の波長がλである場合、入射角θinは、
θin=arcsin(mλ/nd−1) (6)
であることが好ましい。入射面1aのみに突条が形成されている場合、式(6)は、以下のように導出される。
レーザ光がガラス蛍光体1から周囲媒体へ透過するときの回折角は、以下の式によって与えられる。
Figure 0006917626
:周囲媒体の屈折率
:ガラス蛍光体の屈折率
θi:入射光の面直角度
φi:入射光の面内角度
θ:透過回折の面直角度
φ:透過回折の面内角度
λ:波長
:x方向(光の入射方向の入射面に平行な成分)の突条の間隔
:y方向の突条の間隔
m:回折次数
m’:回折次数
また、レーザ光がガラス蛍光体1から周囲媒体へ入射するときの反射方向の回折角は、以下の式によって与えられる。
Figure 0006917626
θ:反射回折の面直角度
φ:反射回折の面内角度
ここでは、突条が1次元であると仮定しているので、θ=0、φ=0とする。また、d=∞とするとθ=θとなり、回折しないので、突条の長さ方向の効果については無視する。反射方向の回折角が90°となる条件のとき、反射方向に最大の回折を示すと仮定すると、d=dであるため、回折効率が最大となる条件は上述の式(6)となる。
例えば、屈折率が1.62のときは臨界角θは39°であるから、回折角βが39°以上の場合に光を好適に閉じ込めることができる。とくに、回折角が90°となるときに最大の回折効率を示すとすると、光源4からの光の波長が400nm〜410nmで突条2aの間隔dが500nmのとき、θin=10°〜50°であることが好ましく、θin=13°であることが特に好ましい。
図8は、図7に示す照明装置100の変形例である照明装置100’の概略図である。照明装置100’は、照明装置100において、積層透明蛍光体10を積層透明蛍光体10’に置き換えたものである。積層透明蛍光体10’は、図5(a)に示すものと同一であり、透明蛍光体1の光源の反対側にガラス体2が接合されている。照明装置100’の他の構成は、照明装置100と同一である。
照明装置100’では、光源4からの光の波長がλnmである場合、入射角θinは、
θin=arcsin(mλ/nd−1) (6)
であることが好ましい。反対面1bのみに突条が形成されている場合、式(6)は、以下のように導出される。
レーザ光がガラス蛍光体1から周囲媒体へ透過するときの回折角は、以下の式によって与えられる。
Figure 0006917626
:周囲媒体の屈折率
:ガラス蛍光体の屈折率
θi:入射光の面直角度
φi:入射光の面内角度
θt透過回折の面直角度
φt:透過回折の面内角度
λ:波長
:x方向(光の入射方向の入射面に平行な成分)の突条の間隔
:y方向の突条の間隔
m:回折次数
m’:回折次数
また、レーザ光がガラス蛍光体1から周囲媒体へ入射するときの反射方向の回折角は、以下の式によって与えられる。
Figure 0006917626
θ:反射回折の面直角度
φ:反射回折の面内角度
ここでは、突条が1次元であると仮定しているので、θ=0、φ=0とする。また、d=∞とするとθ=θとなり、回折しないので、突条の長さ方向の効果については無視する。透過方向の回折角が臨界角以上になる条件のとき、見かけの光路長を顕著に増大させるとすると、その条件はθt≧θcである。θc=arcsin(n/n)と〔数7〕を利用して、これを満たす入射角は以下の式で与えられる。
Figure 0006917626
特に、垂直入射の場合、θiを0とおいて、下式のように整理される。
Figure 0006917626
同様に、入射面の反対面に上記突条がある場合、見かけの光路長を顕著に増大させる入射角は下式で与えられる。
Figure 0006917626
特に、垂直入射の場合、θiを0とおいて、下式のように整理される。
Figure 0006917626
ここでは、突条が1次元であると仮定しているので、θ=0、φ=0とする。また、d=∞とするとθ=θとなり、回折しないので、突条の長さ方向の効果については無視する。透過方向の回折角が90°となる条件のとき、反射方向に最大の回折を示すと仮定すると、回折効率が最大となる条件が以下の式で与えられる。
Figure 0006917626
θは、ガラス蛍光体1の内部からの入射角であり、周囲媒体側からの入射方向に対してスネルの法則により屈折しており、周囲媒体側からの入射角θ’(=θin)は以下の式により表わされる。
Figure 0006917626
このように、上述の式(6)が導出される。
例えば、屈折率が1.62のときは臨界角θは39°であるから、回折角βが39°以上の場合に光を好適に閉じ込めることができる。例えば、光源4からの光の波長が400nm〜410nmで突条2aの間隔dが500nmのとき、θin=10°〜40°であることが好ましく、θin=22°であることが特に好ましい。
なお、光源4がLED光源である場合、一般に指向性の強い光ではあるが、例えば配光角度は30°程度はあるため、入射光の光軸がガラス蛍光体1またはガラス蛍光体1’の入射面1aに対して垂直であっても、前記θin=10°〜40°で入射する成分も存在する。そのため、入射光の光軸がガラス蛍光体の入射面に対して傾斜するように光源4を必ずしも配置する必要はない。
(付記事項)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能であり、例えば、上記実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる形態も、本発明の技術的範囲に属する。
また、上記実施形態では、回折構造として、複数の突条を有する構造を説明したが、光を回折させる構造であれば、これに限定されない。例えば、モスアイ状のように周期的に突起構造を配置してもよい。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記の実施例に限定されない。
[比較例1、2、実施例1]
(透明蛍光体の製造)
以下の手順で、比較例1、2及び実施例1として、3種類の図1に示す積層透明蛍光体10を作製した。具体的には、図4(a)に示す透明蛍光体11として、10mm×10mm×0.2mmの透明YAG:Ceセラミックス(神島化学工業株式会社製)を用意した。透明蛍光体11の熱膨張係数α=78(10−7/℃@+100−300℃)であり、屈折率n=1.8293であった。また、表1に示す市販の3種類のガラスを10mm×10mm×2mmの平板状に切断、研磨することにより、図4(a)に示すガラス体12を3つ作製した(それぞれ比較例1、2及び実施例1に対応する)。
Figure 0006917626
表1において、εはガラス体12に対する熱ひずみであり、以下の式(9)で表わされる。
ε=(α11−α12)*(At12―Trt) (9)
α11:透明蛍光体11の熱膨張係数
α12:ガラス体12の熱膨張係数
At12:ガラス体12の屈伏点
rt:室温
ナノインプリント成型加工では、図4(a)に示す型20として、縦25mm×横25mm×厚さ2mmのSiCの型を用いた。型20には、中央部を含む6mm×6mmの領域に、回折構造を転写するための溝21が形成されており、溝21の間隔が300nm、500nm、および1500nmの3種類の型20を用意した。そして、東芝機械株式会社製のナノインプリント装置(型名:GMP−311)を用いて、透明蛍光体11およびガラス体12の積層体を真空下でガラス体12の屈伏点に加熱しながら、型20および型30によって10MPaの圧力で120秒間、押圧することで、透明蛍光体11およびガラス体12を融着するとともに、突条3aをガラス体12に転写した。これにより、突条3aの間隔が、300nm、500nm、および1500nmの3種類のガラス体2が透明蛍光体1に接合された積層透明蛍光体10を作製した。
その後、型20および型30を取り外したが、ガラス体12としてL−LAH85Vを用いたもの(実施例1)以外(比較例1、2)は、ガラス体2が透明蛍光体1から剥離し、積層透明蛍光体10は得られなかった。すなわち、熱ひずみが0.0002以下であるガラス体を用いることにより、ガラス体を透明蛍光体に好適に融着できることが分かった。
(突条の間隔と蛍光強度との関係)
続いて、図7に示す照明装置100を用いて、突条3aの間隔と蛍光強度との関係を検証した。透明蛍光体としては、上述の3種類の積層透明蛍光体10、および、従来の平坦な透明蛍光体を用いた。図9に示すように、ガラス体2側に光源4を配置した。光源4としては、波長450nmのレーザ光を出射するレーザ光源を用いた。光源4とガラス体2との間に、光源4からのレーザ光のs偏光のみを通過させる偏光板5を配置した。また、透明蛍光体1側を直径150mmの積分半球7で覆い、積分半球7によって透明蛍光体1からの蛍光を収集した。そして、積分半球7によって収集された蛍光の強度を、検出器6によって検出した。
図10は、図9に示す測定系における、突条3aの間隔dと、検出器6が検出した蛍光強度との関係を示すグラフである。同グラフから、間隔d=300nmおよび500nmである場合の蛍光強度が高くなっているが、理論上は、d=440nmの場合に蛍光強度が極大となる。なお、間隔が0nmに対応する蛍光強度は、従来の平滑な透明蛍光体から出射された蛍光の強度である。
同様の検証を、図8に示す照明装置100’を用いて行った。透明蛍光体としては、突条3aの間隔が、300nm、500nm、および1500nmの3種類の積層透明蛍光体10’、および、従来の平坦な透明蛍光体を用いた。図11に示すように、ガラス体2側に光源4を配置した。光源4、偏光板5、検出器6および積分半球7の構成は、図9に示すものと同一であった。
図12は、図11に示す測定系における、突条3aの間隔dと、検出器6が検出した蛍光強度との関係を示すグラフである。同グラフから、間隔d=300nmおよび500nmである場合の蛍光強度が高くなっているが、理論上は、d=440nmの場合に蛍光強度が極大となる。なお、間隔が0nmに対応する蛍光強度は、従来の平滑な透明蛍光体から出射された蛍光の強度である。
[実施例2]
(シミュレーション条件)
実施例2では、回折構造を形成することによる蛍光強度の増大を説明するため、光の挙動についてシミュレーションによる解析を行った。本実施例では、DiffractMod(RSoft製)のソフトウェアによる厳密結合波解析(Rigorous Coupled Wave Analysis, RCWA)を用いて解析した。具体的には、複数の突条を有する回折構造が形成された屈折率1.8のガラス体を平板状の透明蛍光体に接合して積層透明蛍光体を作製し、積層透明蛍光体に波長450nmのs偏光を入射させたとき(励起光の照射に相当)、および入射光と同じ波長の光が出射するとき(励起光が蛍光変換されずにガラス平板を透過したものに相当)、並びに、波長550nmの蛍光が出射するときの挙動を計算した。突条の間隔dは175nm〜2000nmの範囲で変化させ、突条の高さは130nmで固定した。突条の断面形状は幅がd/2の正弦波状で設定し、間隔に応じて前記正弦波の周期を変更した。
(垂直入射光に対する回折強度と突条の間隔との関係)
図13は、透明蛍光体の光源側のみにガラス体が接合された積層透明蛍光体に、波長450nmのs偏光を垂直に入射させた場合の、透過光、透過方向への回折光、およびそれらの合計の強度と、突条の間隔dとの関係を示すグラフである。同グラフから、間隔dが340nm〜900nmの場合に、回折光の強度が大きくなり、間隔dが405nm〜450nmの場合に、回折光の強度がさらに大きくなり、特に、間隔d=440nmの場合に、回折光の強度が最大になっている。
図14は、透明蛍光体の光源の反対側のみにガラス体が接合された積層透明蛍光体に、波長450nmのs偏光を垂直に入射させた場合の、透過光、透過方向への回折光、および全光量の強度と、突条の間隔dとの関係を示すグラフである。同グラフから、405nm〜450nmの場合に、回折光の強度がさらに大きくなり、特に、間隔d=440nmの場合に、回折光の強度が最大になっている。
図15は、透明蛍光体の光源の反対側のみにガラス体が接合された積層透明蛍光体に、波長550nmのs偏光を垂直に入射させた場合の、透過光、透過方向への回折光、および全光量の強度と、突条の間隔dとの関係を示すグラフである。同グラフから、間隔dが450nm〜1250nmの場合に、回折光の強度が大きくなり、特に、間隔d=600nmの場合に、回折光の強度が最大になっている。
図13〜図15から、回折光の強度を大きくするためには、入射光の波長がλであるとすると、突条の間隔dが0.75×λ≦d≦2.00×λであることが好ましく、0.95×λ≦d≦0.97×λであることが特に好ましいことが分かる。
(電場分布シミュレーション)
図16は、透明蛍光体の光源と反対面に接合されたガラス体の出射面における光の電場分布シミュレーション結果を示す図である。ガラス体の出射面には、480nmの間隔で突条が形成されており、光の波長は450nmである。図16から、光のエネルギーは突条の表面に集中し、外部にあまり放出されていないことが分かる。つまり、突条が形成されていることで、光の大半が反対面において反射し、空間にあまり抜けていない。
[実施例3]
(シミュレーション条件)
実施例3では、複数の突条を有する回折構造が形成されたガラス体が透明蛍光体の一方面に接合された平板状の積層透明蛍光体に、所定の波長の光を入射させたときの光の挙動をシミュレーションによって解析した。これにより、突条の間隔と回折効率(蛍光強度)との関係が、突条の高さおよび積層透明蛍光体の屈折率によって、どのように変化するのかを検証した。本実施例では、上述の実施例2と同様、DiffractMod(RSoft製)のソフトウェアによる厳密結合波解析(Rigorous Coupled Wave Analysis, RCWA)を用いて解析した。
(透明蛍光体の屈折率と回折効率との関係)
図17は、透明蛍光体の光源側のみにガラス体が接合された積層透明蛍光体に、波長450nmのs偏光を垂直に入射させた場合の、入射光への回折効率と突条の間隔dとの関係を示すグラフである。回折構造の突条の高さは180nmであり、突条の断面形状は幅がd/2の正弦波状であり、積層透明蛍光体の屈折率をn=1.9、1.7および1.5の3段階に変化させてシミュレーションを行った。同グラフから、屈折率n=1.9のとき、回折効率が最大となる間隔dは440nmであり、屈折率n=1.7のとき、回折効率が最大となる間隔dは430nmであり、屈折率n=1.5のとき、回折効率が最大となる間隔dは420nmであった。入射光への回折効率が大きいほど、光が積層透明蛍光体の内部を通過せずに戻るため、実質的な光路長が増加する。通常のガラスの屈折率は1.5〜2.0程度であるため、回折効率を大きくするためには、間隔dを405nm〜450nmとすればよいことが確認できた。
図18は、透明蛍光体の光源の反対側のみにガラス体が接合された積層透明蛍光体に、波長450nmのs偏光を垂直に入射させた場合の、出射光への回折効率と突条の間隔dとの関係を示すグラフである。回折構造の突条の高さは180nmであり、積層透明蛍光体の屈折率をn=1.9、1.7および1.5の3段階に変化させてシミュレーションを行った。同グラフから、屈折率n=1.9のとき、回折効率が最大となる間隔dは450nmであり、屈折率n=1.7のとき、回折効率が最大となる間隔dは440nmであり、屈折率n=1.5のとき、回折効率が最大となる間隔dは440nmであった。出射光への回折効率が大きいほど、光が積層透明蛍光体の内部を通過せずに戻るため、実質的な光路長が増加する。通常のガラスの屈折率は1.5〜2.0程度であるため、回折効率を大きくするためには、間隔dを405nm〜450nmとすればよいことが確認できた。
図17および図18に示す結果から、実用上は、入射光の波長がλである場合、突条の間隔dは0.90×λ≦d≦λとすることが好ましいことが分かった。また、屈折率が高いほど、入射光への回折効率は高くなる一方、出射光への回折効率は低くなることが分かった。
(突条の高さと回折効率との関係)
図19は、透明蛍光体の光源側のみにガラス体が接合された積層透明蛍光体に、波長405nmのs偏光を垂直に入射させた場合の、回折効率と突条の間隔dとの関係を示すグラフである。ガラス体および透明蛍光体の屈折率は1.6であり、回折構造の突条の高さhは90nm、180nmおよび360nmの3段階で変化させた。同グラフから、高さh=90nmのとき、回折効率が最大となる間隔dは400nmであり、高さh=180nmのとき、回折効率が最大となる間隔dは390nmであり、高さh=360nmのとき、回折効率が極大となる間隔dは490nmであった。通常のガラスの屈折率は1.5〜2.0程度であるため、回折効率を大きくするためには、間隔dを365nm〜405nmとすればよいことが確認できた。
図20は、透明蛍光体の光源の反対側のみにガラス体が接合された積層透明蛍光体に、波長405nmのs偏光を垂直に入射させた場合の、回折効率と突条の間隔dとの関係を示すグラフである。ガラス体および透明蛍光体の屈折率は1.6であり、回折構造の突条の高さhは90nm、180nmおよび360nmの3段階で変化させた。同グラフから、高さh=90nmのとき、回折効率が最大となる間隔dは400nmであり、高さh=180nmのとき、回折効率が最大となる間隔dは390nmであり、高さh=360nmのとき、回折効率が極大となる間隔dは370nmであった。通常のガラスの屈折率は1.5〜2.0程度であるため、回折効率を大きくするためには、間隔dを365nm〜405nmとすればよいことが確認できた。
図19から、突条の高さを大きくするほど、全体的には回折効率が大きくなっているが、実際のナノインプリント成型加工では、突条の高さhを大きくすることは容易ではなく、間隔dよりも大きくすることは困難である。そのため、実用的には高さは90nm〜360nm程度に設計される。そのため、図19および図20に示す結果から、実用上は、入射光の波長がλである場合、突条の間隔dは0.90×λ≦d≦λとすることが好ましいことが分かった。
1 透明蛍光体
1’ 透明蛍光体
1” 透明蛍光体
1a 上面
1b 下面
2 ガラス体
2a 反対面
2b 接合面
3 回折構造
3a 突条
4 光源
5 偏光板
6 検出器
7 積分半球
10 積層透明蛍光体
10’ 積層透明蛍光体
10” 積層透明蛍光体
11 透明蛍光体
12 ガラス体
100 照明装置
100’ 照明装置

Claims (8)

  1. 波長がλ(350nm≦λ≦470nm)の励起光を照射すると蛍光を発する平板形状の透明蛍光体と、
    前記透明蛍光体の一方の平板面に接合された光を透過する平板形状のガラス体と、を備え、
    前記ガラス体の前記透明蛍光体と接合している接合面の反対面には、前記励起光を回折させる回折構造が形成され、
    前記励起光は前記反対面に入射し、
    前記蛍光は前記透明蛍光体の他方の平板面から出射し、
    前記回折構造は、所定の方向に配列された複数の突条であり、
    前記突条の間隔dは0.75×λ≦d≦2.00×λである、積層透明蛍光体。
  2. 前記突条の間隔dは0.90×λ≦d≦λである、請求項に記載の積層透明蛍光体。
  3. 前記励起光の波長が400nm〜410nmであり、
    前記突条の間隔は300nm〜800nmである、請求項に記載の積層透明蛍光体。
  4. 前記励起光の波長が400nm〜410nmであり、
    前記突条の間隔は365nm〜405nmである、請求項に記載の積層透明蛍光体。
  5. 前記励起光の波長が450〜470nmであり、
    前記突条の間隔は340nm〜900nmである、請求項に記載の積層透明蛍光体。
  6. 前記励起光の波長が450〜470nmであり、
    前記突条の間隔は405nm〜450nmである、請求項に記載の積層透明蛍光体。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の積層透明蛍光体と、
    前記積層透明蛍光体に前記励起光を照射する光源と、を備えた、照明装置。
  8. 前記励起光の前記反対面に対する入射角は、10°〜40°である、請求項に記載の照明装置。
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