(本開示の基礎となった知見)
例えば、特許文献1には、周囲温度に相当する赤外線を放射する黒体部と、既知の温度の熱を発生する発熱部と、測定対象物からの赤外線を通過させる透明部とを有する校正部を赤外線検知装置に設け、校正作業が必要なときには、校正部の黒体部及び発熱部を用いて、校正作業を行うことが記載されている。
また、例えば、特許文献2には、中央部に被験者である人の顔面サイズの空洞を設けた額縁状フレームを形成し、温度測定をする領域を定める黒体被覆をフレームの少なくとも一部に設け、被験者である人の顔面又は毛髪のない頭部の温度の変化を測定するサーモグラフィは、黒体被覆が示す周辺温度を参考にして人の顔面又は毛髪のない頭部の温度の校正を行うことが記載されている。
また、例えば、特許文献3には、赤外線センサの測定視野内に置かれている既知の所定温度の試料に対する検出温度に基づいて当該赤外線センサのサーモパイルの各素子の検出による温度データを校正し、既知の所定温度の試料は、氷を溶解した直後の0℃の水、又は氷水である電子レンジが記載されている。
しかしながら、特許文献1では、校正作業は常時必要な作業ではないため、通常測定時に不要な校正部を赤外線検知装置に設けるのは赤外線検知装置のコストアップにつながるという問題点がある。
また、特許文献2では、人の顔面サイズの空洞を設けた額縁状フレームを専用に作る必要があり、かつ、額縁状フレームを測定場所に設置する必要があり、校正作業としては大掛かりな装置になり、手間がかかるという問題点がある。
また、特許文献3では、電子レンジの庫内には既知の所定温度の試料しか存在しないので、当該試料を用いて校正作業を行うのは可能であるが、人が日常生活している部屋には複数の熱源が存在するため、どの熱源が既知の所定温度の試料であるかを検出するのは困難であるという問題点がある。
以上の課題を解決するために、本開示の一態様に係る情報処理方法は、携帯端末の赤外線放射エネルギー量を測定することにより得られる測定情報を取得し、基準温度を示す情報を取得し、前記測定情報から前記携帯端末の赤外線放射エネルギー分布領域を検出し、検出された前記赤外線放射エネルギー分布領域における赤外線放射エネルギー量と、前記基準温度とに基づいて、赤外線放射エネルギー量を温度値に変換するための変換テーブルを校正する。
この構成によれば、携帯端末の赤外線放射エネルギー量を測定することにより得られる測定情報が取得される。基準温度を示す情報が取得される。測定情報から携帯端末の赤外線放射エネルギー分布領域が検出される。検出された赤外線放射エネルギー分布領域における赤外線放射エネルギー量と、基準温度とに基づいて、赤外線放射エネルギー量を温度値に変換するための変換テーブルが校正される。
したがって、携帯端末の赤外線放射エネルギー分布領域が検出され、検出された赤外線放射エネルギー分布領域における赤外線放射エネルギー量と、基準温度とに基づいて、赤外線放射エネルギー量を温度値に変換するための変換テーブルが校正されるので、実際に使用される環境における赤外線検知装置の温度校正を低コストかつ容易に行うことができる。それにより、赤外線検知装置が多数存在するシステムあってもそれらの温度校正が可能となり、システムにおける検知精度を全体的に向上させることができる。
また、上記の温度校正方法において、さらに、前記携帯端末の大きさを示す情報を取得し、前記携帯端末の赤外線放射エネルギー分布領域を検出することは、前記測定情報の測定範囲のうちの前記携帯端末の大きさの第1領域を検出することを含んでもよい。
この構成によれば、携帯端末の大きさを示す情報が取得される。測定情報の測定範囲のうちの携帯端末の大きさの第1領域が検出される。
したがって、測定情報の測定範囲のうちの携帯端末の大きさの第1領域を検出することにより、携帯端末の赤外線放射エネルギー分布領域を検出することができる。
また、上記の情報処理方法において、前記携帯端末の赤外線放射エネルギー分布領域を検出することは、前記測定情報が示す赤外線放射エネルギー量の測定範囲の中から、所定の周期で赤外線放射エネルギー量が変化する第2領域を検出することを含み、前記変換テーブルを校正することは、検出された前記第2領域における赤外線放射エネルギー量と前記基準温度との対応関係に基づき、前記変換テーブルを校正することを含んでもよい。
この構成によれば、測定情報が示す赤外線放射エネルギー量の測定範囲の中から、所定の周期で赤外線放射エネルギー量が変化する第2領域が検出される。検出された第2領域における赤外線放射エネルギー量と基準温度との対応関係に基づき、変換テーブルが校正される。
したがって、携帯端末の温度を所定の周期で変化させることにより、赤外線放射エネルギー量の測定範囲の中から、所定の周期で赤外線放射エネルギー量が変化する第2領域を容易に検出することができ、第2領域における赤外線放射エネルギー量と基準温度との対応関係に基づき、変換テーブルを校正することができる。
また、上記の情報処理方法において、前記携帯端末の赤外線放射エネルギー分布領域を検出することは、前記第1領域であって、所定の周期で赤外線放射エネルギー量が変化する第2領域を検出することを含み、前記変換テーブルを校正することは、検出された前記第2領域における赤外線放射エネルギー量と前記基準温度との対応関係に基づき、前記変換テーブルを校正することを含んでもよい。
この構成によれば、第1領域であって、所定の周期で赤外線放射エネルギー量が変化する第2領域が検出される。検出された第2領域における赤外線放射エネルギー量と基準温度との対応関係に基づき、変換テーブルが校正される。
したがって、携帯端末の温度を所定の周期で変化させることにより、赤外線放射エネルギー量の測定範囲の中から、携帯端末の大きさであり、所定の周期で赤外線放射エネルギー量が変化する第2領域を容易に検出することができ、第2領域における赤外線放射エネルギー量と基準温度との対応関係に基づき、変換テーブルを校正することができる。
また、上記の情報処理方法において、前記基準温度は、第1の基準温度と、前記第1の基準温度より低い第2の基準温度とを含み、前記変換テーブルを校正することは、前記所定の周期における赤外線放射エネルギー量が高い時点の前記第2領域における前記赤外線放射エネルギー量と前記第1の基準温度との対応関係と、前記所定の周期における赤外線放射エネルギー量が低い時点の前記第2領域における前記赤外線放射エネルギー量と前記第2の基準温度との対応関係とに基づき、前記変換テーブルを校正することを含んでもよい。
この構成によれば、基準温度は、第1の基準温度と、第1の基準温度より低い第2の基準温度とを含む。所定の周期における赤外線放射エネルギー量が高い時点の第2領域における赤外線放射エネルギー量と第1の基準温度との対応関係と、所定の周期における赤外線放射エネルギー量が低い時点の第2領域における赤外線放射エネルギー量と第2の基準温度との対応関係とに基づき、変換テーブルが校正される。
したがって、2つの対応関係に基づいて変換テーブルが校正されるので、より正確に赤外線検知装置の温度を校正することができる。
また、上記の情報処理方法において、前記携帯端末の赤外線放射エネルギー分布領域を検出することは、前記測定情報が示す赤外線放射エネルギー量の測定範囲の中から、所定の移動パターンで移動する第3領域を検出することを含み、前記変換テーブルを校正することは、検出された前記第3領域における赤外線放射エネルギー量と前記基準温度との対応関係に基づき、前記変換テーブルを校正することを含んでもよい。
この構成によれば、測定情報が示す赤外線放射エネルギー量の測定範囲の中から、所定の移動パターンで移動する第3領域が検出される。検出された第3領域における赤外線放射エネルギー量と基準温度との対応関係に基づき、変換テーブルが校正される。
したがって、赤外線放射エネルギー量の測定範囲の中から、所定の移動パターンで移動する第3領域を容易に検出することができ、第3領域における赤外線放射エネルギー量と基準温度との対応関係に基づき、変換テーブルを校正することができる。
また、上記の情報処理方法において、前記携帯端末の赤外線放射エネルギー分布領域を検出することは、前記第1領域であって、所定の移動パターンで移動する第3領域を検出することを含み、前記変換テーブルを校正することは、検出された前記第3領域における赤外線放射エネルギー量と前記基準温度との対応関係に基づき、前記変換テーブルを校正することを含んでもよい。
この構成によれば、第1領域であって、所定の移動パターンで移動する第3領域が検出される。検出された第3領域における赤外線放射エネルギー量と基準温度との対応関係に基づき、変換テーブルが校正される。
したがって、携帯端末を所定の移動パターンで移動させることにより、赤外線放射エネルギー量の測定範囲の中から、携帯端末の大きさであり、所定の移動パターンで移動する第3領域を容易に検出することができ、第3領域における赤外線放射エネルギー量と基準温度との対応関係に基づき、変換テーブルを校正することができる。
また、上記の情報処理方法において、前記基準温度は、第1の基準温度と、前記第1の基準温度より低い第2の基準温度とを含み、前記移動パターンは、第1の移動パターンと、前記第1の移動パターンとは異なる第2の移動パターンとを含み、前記携帯端末の赤外線放射エネルギー分布領域を検出することは、前記測定情報が示す赤外線放射エネルギー量の測定範囲の中から、前記第1の移動パターンで移動する前記第3領域を検出し、前記測定情報が示す赤外線放射エネルギー量の測定範囲の中から、前記第2の移動パターンで移動する前記第3領域を検出することを含み、前記変換テーブルを校正することは、検出された前記第1の移動パターンで移動する前記第3領域における赤外線放射エネルギー量と前記第1の基準温度との対応関係と、検出された前記第2の移動パターンで移動する前記第3領域における赤外線放射エネルギー量と前記第2の基準温度との対応関係とに基づき、前記変換テーブルを校正することを含んでもよい。
この構成によれば、基準温度は、第1の基準温度と、第1の基準温度より低い第2の基準温度とを含む。移動パターンは、第1の移動パターンと、第1の移動パターンとは異なる第2の移動パターンとを含む。測定情報が示す赤外線放射エネルギー量の測定範囲の中から、第1の移動パターンで移動する第3領域が検出される。測定情報が示す赤外線放射エネルギー量の測定範囲の中から、第2の移動パターンで移動する第3領域が検出される。検出された第1の移動パターンで移動する第3領域における赤外線放射エネルギー量と第1の基準温度との対応関係と、検出された第2の移動パターンで移動する第3領域における赤外線放射エネルギー量と第2の基準温度との対応関係とに基づき、変換テーブルが校正される。
したがって、2つの対応関係に基づいて変換テーブルが校正されるので、より正確に赤外線検知装置の温度を校正することができる。
また、上記の情報処理方法において、前記携帯端末の赤外線放射エネルギー分布領域を検出することは、前記第1領域であって、周辺に特定の形状の赤外線放射エネルギー分布領域が存在する第4領域を検出することを含み、前記変換テーブルを校正することは、検出された前記第4領域における赤外線放射エネルギー量と前記基準温度との対応関係に基づき、前記変換テーブルを校正することを含んでもよい。
この構成によれば、第1領域であって、周辺に特定の形状の赤外線放射エネルギー分布領域が存在する第4領域が検出される。検出された第4領域における赤外線放射エネルギー量と基準温度との対応関係に基づき、変換テーブルが校正される。
したがって、携帯端末が特定の形状で把持されることにより、赤外線放射エネルギー量の測定範囲の中から、携帯端末の大きさであり、周辺に特定の形状の赤外線放射エネルギー分布領域が存在する第4領域を容易に検出することができ、第4領域における赤外線放射エネルギー量と基準温度との対応関係に基づき、変換テーブルを校正することができる。
本開示の他の態様に係る情報処理システムは、携帯端末と、赤外線検知装置とを備え、前記携帯端末は、前記携帯端末の温度を測定する温度測定部と、前記携帯端末の温度が所定の基準温度となるように、演算処理量を制御することにより前記携帯端末の発熱量を制御する処理実行部と、を備え、前記赤外線検知装置は、前記携帯端末の赤外線放射エネルギー量を測定する赤外線測定部と、前記基準温度を示す情報を記憶する記憶部と、測定された前記赤外線放射エネルギー量から前記携帯端末の赤外線放射エネルギー分布領域を検出する検出部と、検出された前記赤外線放射エネルギー分布領域における赤外線放射エネルギー量と、前記基準温度とに基づいて、赤外線放射エネルギー量を温度値に変換するための変換テーブルを校正する校正部と、を備える。
この構成によれば、携帯端末において、携帯端末の温度が測定される。携帯端末において、携帯端末の温度が所定の基準温度となるように、演算処理量を制御することにより携帯端末の発熱量が制御される。赤外線検知装置において、携帯端末の赤外線放射エネルギー量が測定される。赤外線検知装置の記憶部は、基準温度を示す情報を記憶する。赤外線検知装置において、測定された赤外線放射エネルギー量から携帯端末の赤外線放射エネルギー分布領域が検出される。赤外線検知装置において、検出された赤外線放射エネルギー分布領域における赤外線放射エネルギー量と、基準温度とに基づいて、赤外線放射エネルギー量を温度値に変換するための変換テーブルが校正される。
したがって、携帯端末の赤外線放射エネルギー分布領域が検出され、検出された赤外線放射エネルギー分布領域における赤外線放射エネルギー量と、基準温度とに基づいて、赤外線放射エネルギー量を温度値に変換するための変換テーブルが校正されるので、実際に使用される環境における赤外線検知装置の温度校正を低コストかつ容易に行うことができる。それにより、赤外線検知装置が多数存在するシステムあってもそれらの温度校正が可能となり、システムにおける検知精度を全体的に向上させることができる。
本開示の他の態様に係る携帯端末は、赤外線検知装置と処理の開始を示す情報を通信する通信部と、携帯端末の温度を測定する温度測定部と、前記処理の開始を示す情報の通信後に、前記携帯端末の温度が所定の基準温度となるように、演算処理量を制御することにより前記携帯端末の発熱量を制御する処理実行部と、
を備える。
この構成によれば、赤外線検知装置と処理の開始を示す情報が通信される。携帯端末の温度が測定される。処理の開始を示す情報の通信後に、携帯端末の温度が所定の基準温度となるように、演算処理量が制御されることにより携帯端末の発熱量が制御される。
したがって、携帯端末の赤外線放射エネルギー分布領域が検出され、検出された赤外線放射エネルギー分布領域における赤外線放射エネルギー量と、基準温度とに基づいて、赤外線放射エネルギー量を温度値に変換するための変換テーブルが校正されるので、実際に使用される環境における赤外線検知装置の温度校正を低コストかつ容易に行うことができる。それにより、赤外線検知装置が多数存在するシステムあってもそれらの温度校正が可能となり、システムにおける検知精度を全体的に向上させることができる。
本開示の他の態様に係る赤外線検知装置は、赤外線放射エネルギー量を測定する赤外線測定部と、前記基準温度を示す情報を記憶する記憶部と、測定された前記赤外線放射エネルギー量から前記携帯端末の赤外線放射エネルギー分布領域を検出する検出部と、検出された前記赤外線放射エネルギー分布領域における赤外線放射エネルギー量と、前記基準温度とに基づいて、赤外線放射エネルギー量を温度値に変換するための変換テーブルを校正する校正部と、を備える。
この構成によれば、赤外線放射エネルギー量が測定される。記憶部は、基準温度を示す情報を記憶する。測定された赤外線放射エネルギー量から携帯端末の赤外線放射エネルギー分布領域が検出される。検出された赤外線放射エネルギー分布領域における赤外線放射エネルギー量と、基準温度とに基づいて、赤外線放射エネルギー量を温度値に変換するための変換テーブルが校正される。
したがって、携帯端末の赤外線放射エネルギー分布領域が検出され、検出された赤外線放射エネルギー分布領域における赤外線放射エネルギー量と、基準温度とに基づいて、赤外線放射エネルギー量を温度値に変換するための変換テーブルが校正されるので、実際に使用される環境における赤外線検知装置の温度校正を低コストかつ容易に行うことができる。それにより、赤外線検知装置が多数存在するシステムあってもそれらの温度校正が可能となり、システムにおける検知精度を全体的に向上させることができる。
本開示の他の態様に係るプログラムは、携帯端末が備えるコンピュータを、赤外線検知装置と処理の開始を示す情報を通信する通信部と、前記携帯端末の温度を測定する温度測定部と、前記処理の開始を示す情報の通信後に、前記携帯端末の温度が所定の基準温度となるように、演算処理量を制御することにより前記携帯端末の発熱量を制御する処理実行部として機能させる。
この構成によれば、赤外線検知装置と処理の開始を示す情報が通信される。携帯端末の温度が測定される。処理の開始を示す情報の通信後に、携帯端末の温度が所定の基準温度となるように、演算処理量が制御されることにより携帯端末の発熱量が制御される。
したがって、携帯端末の赤外線放射エネルギー分布領域が検出され、検出された赤外線放射エネルギー分布領域における赤外線放射エネルギー量と、基準温度とに基づいて、赤外線放射エネルギー量を温度値に変換するための変換テーブルが校正されるので、実際に使用される環境における赤外線検知装置の温度校正を低コストかつ容易に行うことができる。それにより、赤外線検知装置が多数存在するシステムあってもそれらの温度校正が可能となり、システムにおける検知精度を全体的に向上させることができる。
また、上記のプログラムにおいて、前記処理実行部は、前記演算処理量を増加させることにより前記携帯端末を所定の上限温度まで発熱させた後に前記演算処理を停止させること又は前記演算処理量を減少させることにより前記携帯端末を所定の下限温度まで冷却させる処理を所定の周期で繰り返した後、前記携帯端末の温度が前記基準温度を維持するように前記演算処理量を制御する。
この構成によれば、演算処理量を増加させることにより携帯端末を所定の上限温度まで発熱させた後に演算処理を停止させること又は演算処理量を減少させることにより携帯端末を所定の下限温度まで冷却させる処理を所定の周期で繰り返した後、携帯端末の温度が基準温度を維持するように演算処理量が制御される。
したがって、携帯端末の温度を周期的に変化させることにより、赤外線放射エネルギー量の測定範囲の中から携帯端末に対応する領域を容易に検出することができ、当該領域における赤外線放射エネルギー量と基準温度との相対関係に基づき、変換テーブルを校正することができる。
以下本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は、本開示を具体化した一例であって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1にかかる赤外線検知システムにおける温度校正処理を説明するための図である。本実施の形態1における温度校正処理では、ユーザが携帯端末100を持ち、赤外線検知装置110が携帯端末100から放射される赤外線を検知する。なお、赤外線検知システムは、例えば高齢者などの特定の人の見守り又は監視に利用される。
携帯端末100は、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレットコンピュータ又はノート型パーソナルコンピュータである。赤外線検知装置110は、測定対象物の赤外線放射エネルギー量を測定し、測定した赤外線放射エネルギー量を温度値に変換する。赤外線検知装置110は、赤外線放射エネルギー量と温度値とを対応付けた変換テーブルを記憶しており、測定した赤外線放射エネルギー量を変換テーブルに基づいて温度値に変換する。
温度校正処理において、携帯端末100は、内部のCPU(中央演算処理装置)に演算処理を実行させることにより、CPU及び/又はバッテリを発熱させる。また、携帯端末100は、温度センサを備えており、携帯端末100の温度が所定の基準温度となるように管理される。赤外線検知装置110は、基準温度で発熱する携帯端末100の赤外線放射エネルギー量を測定し、測定した携帯端末100の赤外線放射エネルギー量と、基準温度とに基づいて、変換テーブルを校正する。
なお、携帯端末100は、必ずしもユーザ10が持つ必要はなく、赤外線検知装置110によって赤外線放射エネルギー量が測定可能な場所に載置されていてもよい。
図2は、本実施の形態1にかかる赤外線検知システムの構成を示す図である。図2に示す赤外線検知システムは、携帯端末100及び赤外線検知装置110を備える。
携帯端末100は、校正開始指示部101と、処理実行部102と、温度測定部103と、上限温度保持部104と、上限温度検出部105と、校正用基準温度保持部106と、校正用基準温度検出部107と、温度変化周期保持部108とを備える。CPUは、メモリに記憶されている温度制御プログラムを実行することにより、校正開始指示部101、処理実行部102、上限温度検出部105及び校正用基準温度検出部107として機能する。
校正開始指示部101は、携帯端末100を校正モードに切り替え、赤外線検知装置110の校正を開始するための校正開始指示を処理実行部102に送信する。例えば、携帯端末100は、赤外線検知装置110を校正するためのアプリケーションを、ユーザからの操作に応じて起動し、校正モードに切り替える。
処理実行部102は、校正開始指示を受信すると、携帯端末100の温度を変化させる温度制御処理を実行する。処理実行部102は、携帯端末100の温度が所定の校正用基準温度となるように、演算処理量を増加又は減少することにより携帯端末100の発熱量を制御する。処理実行部102は、演算処理量を増加することで携帯端末100の発熱量を増加させ、演算処理量を減少することで携帯端末100の発熱量を減少させる。また、処理実行部102は、演算処理を停止することにより、携帯端末100を自然冷却する。
温度測定部103は、携帯端末100自身の温度を測定する。なお、温度測定部103は、CPUの温度を携帯端末100の温度として測定してもよいし、バッテリの温度を携帯端末100の温度として測定してもよいし、CPUの温度とバッテリの温度との平均を携帯端末100の温度として測定してもよい。さらに、温度測定部103は、CPUの温度とバッテリの温度とから携帯端末100の表面の温度を算出してもよい。
上限温度保持部104は、携帯端末100の上限温度を予め保持する。上限温度検出部105は、携帯端末100の温度が上限温度に達したことを検出する。校正用基準温度保持部106は、携帯端末100の校正用基準温度を予め保持する。校正用基準温度検出部107は、携帯端末100の温度が校正用基準温度に達したことを検出する。
温度変化周期保持部108は、演算処理量を増加させることにより携帯端末100を所定の上限温度まで発熱させた後、演算処理を停止させることにより所定の閾値温度より低くなるように携帯端末100を冷却する温度変化処理を繰り返し行う周期を予め保持する。すなわち、温度変化周期保持部108は、温度変化処理を行う所定の時間と、温度変化処理を行う所定の回数とを示す温度変化周期を予め保持する。本実施の形態1では、携帯端末100の温度を周期的に変化させることにより、赤外線検知装置110の撮像領域において赤外線放射エネルギー量が周期的に変化する温度変化領域を特定することが可能となり、当該温度変化領域を携帯端末100の位置として特定することが可能となる。
処理実行部102は、演算処理量を増加させることにより携帯端末100を所定の上限温度まで発熱させた後、演算処理を停止させることにより所定の閾値温度より低くなるように携帯端末100を冷却する温度変化処理を所定の周期で繰り返し行った後、携帯端末100の温度が校正用基準温度を維持するように演算処理量を増加又は減少する。
処理実行部102は、演算処理量を増加させることにより携帯端末100を所定の上限温度まで発熱させた後に演算処理を停止させること又は演算処理量を減少させることにより携帯端末100を所定の下限温度まで冷却させる処理を所定の周期で繰り返した後、携帯端末100の温度が校正用基準温度を維持するように演算処理量を制御する。
赤外線検知装置110は、対象物から出ている赤外線放射エネルギー量を検出し、検出した赤外線放射エネルギー量を見かけの温度に変換して、温度分布画像を表示する。赤外線検知装置110は、校正開始指示部111と、赤外線測定部112と、閾値保持部113と、閾値検出部114と、エネルギー量変化周期保持部115と、画素群保持部116と、周期判定部117と、遅延時間保持部118と、第1変換テーブル保持部119と、変換テーブル生成部120と、第2変換テーブル保持部121とを備える。
校正開始指示部111は、赤外線検知装置110を校正モードに切り替え、赤外線検知装置110の校正を開始するための校正開始指示を赤外線測定部112に送信する。例えば、赤外線検知装置110は、ユーザからの操作に応じて赤外線検知装置110を校正するための校正モードに切り替える。
赤外線測定部112は、例えば、赤外線センサ、サーモグラフィ又は熱画像センサであり、校正開始指示を受信すると、対象物から出ている赤外線放射エネルギー量を測定する。赤外線測定部112は、撮像素子の画素毎に赤外線放射エネルギー量を測定する。赤外線測定部112は、校正用基準温度で発熱する携帯端末100の赤外線放射エネルギー量を測定する。
閾値保持部113は、赤外線測定部112によって測定される赤外線放射エネルギー量の閾値を予め保持する。赤外線放射エネルギー量の閾値は、例えば常温よりも高い温度に対応する赤外線放射エネルギー量であり、対象物が発熱しているか否かを判断することが可能な赤外線放射エネルギー量である。
閾値検出部114は、赤外線測定部112によって測定される各画素の赤外線放射エネルギー量が、閾値保持部113に保持されている閾値を超えているか否かを検出する。
エネルギー量変化周期保持部115は、閾値検出部114によって赤外線放射エネルギー量が閾値を超えたことが検出されるエネルギー量変化周期を予め保持する。すなわち、携帯端末100は、温度変化周期保持部108に保持されている温度変化周期に基づいて、温度変化処理を所定の時間間隔で所定の回数行う。そのため、エネルギー量変化周期保持部115は、測定される赤外線放射エネルギー量が閾値温度に対応する赤外線放射エネルギー量の閾値を超えた後、測定される赤外線放射エネルギー量が閾値温度に対応する赤外線放射エネルギー量の閾値を次に超えるまでの時間間隔と、測定される赤外線放射エネルギー量が閾値温度に対応する赤外線放射エネルギー量の閾値を超える回数とをエネルギー量変化周期として保持する。
画素群保持部116は、赤外線放射エネルギー量が閾値を超えており、携帯端末100に対応する画素群の面積を示す端末面積を予め保持する。
遅延時間保持部118は、携帯端末100が所定の周期で温度を変化させてから、携帯端末100の温度が校正用基準温度になるまでの時間を示す遅延時間を予め保持する。
周期判定部117は、携帯端末100の赤外線放射エネルギー量を測定することにより得られる測定情報を赤外線測定部112から取得する。周期判定部117は、携帯端末100の赤外線放射エネルギー量を測定することにより得られる測定情報から携帯端末100の赤外線放射エネルギー分布領域を検出する。
周期判定部117は、携帯端末100の大きさを示す情報を取得する。周期判定部117は、測定情報の測定範囲のうちの携帯端末100の大きさの温度変化領域(第1領域)を検出する。また、周期判定部117は、測定情報が示す赤外線放射エネルギー量の測定範囲の中から、所定の周期で赤外線放射エネルギー量が変化する温度変化領域(第2領域)を検出する。周期判定部117は、測定情報が示す赤外線放射エネルギー量の測定範囲の中から、携帯端末100の大きさの温度変化領域であって、所定の周期で赤外線放射エネルギー量が変化する温度変化領域を検出する。
周期判定部117は、赤外線放射エネルギー量の測定範囲の中から、所定の周期で温度が変化する温度変化領域を検出する。周期判定部117は、閾値検出部114によって検出された赤外線放射エネルギー量が閾値を超えている画素群の面積が、画素群保持部116に保持されている端末面積と一致するか否かを判断する。閾値検出部114によって検出された画素群の面積が、画素群保持部116に保持されている端末面積と一致すると判断した場合、周期判定部117は、当該画素群を温度変化領域として特定する。
周期判定部117は、温度変化領域の赤外線放射エネルギー量の変化がエネルギー量変化周期保持部115に保持されているエネルギー量変化周期であるか否かを判定する。周期判定部117は、温度変化領域の赤外線放射エネルギー量の変化がエネルギー量変化周期保持部115に保持されているエネルギー量変化周期であると判定した場合、遅延時間保持部118に保持されている遅延時間が経過した時点で、変換テーブルの生成を指示する変換テーブル生成信号を変換テーブル生成部120へ出力する。
第1変換テーブル保持部119は、赤外線検知装置110の工場出荷時における校正によって生成された第1変換テーブルを保持する。第1変換テーブルは、赤外線放射エネルギー量と、温度値とを対応付けている。
変換テーブル生成部120は、検出された赤外線放射エネルギー分布領域における赤外線放射エネルギー量と、校正用基準温度とに基づいて、赤外線放射エネルギー量を温度値に変換するための第1変換テーブルを校正する。変換テーブル生成部120は、測定された携帯端末100の赤外線放射エネルギー量と、校正用基準温度とに基づいて、赤外線放射エネルギー量を温度値に変換するための第1変換テーブルを校正する。変換テーブル生成部120は、検出された温度変化領域における赤外線放射エネルギー量と校正用基準温度との対応関係に基づき、第1変換テーブルを校正する。変換テーブル生成部120は、周期判定部117からの変換テーブル生成信号が入力されると、温度変化領域のうちの1の画素の赤外線放射エネルギー量と、校正用基準温度との対応関係に基づき第1変換テーブルを校正し、第2変換テーブルを生成する。
第2変換テーブル保持部121は、変換テーブル生成部120によって生成された第2変換テーブルを保持する。
なお、対象物の温度を測定する温度測定モードにおいて、第2変換テーブル保持部121に第2変換テーブルが保持されている場合は、第2変換テーブルを用いて赤外線放射エネルギー量が温度値に変換され、第2変換テーブル保持部121に第2変換テーブルが保持されていない場合は、第1変換テーブルを用いて赤外線放射エネルギー量が温度値に変換される。
続いて、本実施の形態1の赤外線検知システムにおける温度校正方法について説明する。
図3は、本実施の形態1の赤外線検知システムの携帯端末における温度校正方法について説明するための第1のフローチャートであり、図4は、本実施の形態1の赤外線検知システムの携帯端末における温度校正方法について説明するための第2のフローチャートである。
まず、ステップS1において、校正開始指示部101は、赤外線検知装置110の校正を開始するための校正開始指示を処理実行部102に送信する。
次に、ステップS2において、上限温度検出部105は、上限温度保持部104から上限温度を読み出し、校正用基準温度検出部107は、校正用基準温度保持部106から校正用基準温度を読み出し、処理実行部102は、温度変化周期保持部108から温度変化周期を読み出す。
次に、ステップS3において、処理実行部102は、演算処理量を増加する。演算処理量が増加することにより、CPU及び/又はバッテリの温度が上昇し、携帯端末100の表面の温度が上昇する。
次に、ステップS4において、上限温度検出部105は、温度測定部103によって測定された携帯端末100の現在の温度が上限温度であるか否かを判断する。現在の温度が上限温度であると判断した場合、上限温度検出部105は、携帯端末100の温度が上限温度に達したことを検出し、携帯端末100の温度が上限温度に達したことを処理実行部102に通知する。
ここで、現在の温度が上限温度ではないと判断された場合(ステップS4でNO)、ステップS3の処理に戻り、処理実行部102は、演算処理量を増加する。
一方、現在の温度が上限温度であると判断された場合(ステップS4でYES)、ステップS5において、処理実行部102は、演算処理を停止する。演算処理が停止することにより、CPU及び/又はバッテリの温度が下降し、携帯端末100の表面の温度が下降する。
次に、ステップS6において、処理実行部102は、所定の時間が経過したか否かを判断する。処理実行部102は、携帯端末100の温度が所定の閾値温度を超えた時点からの経過時間が所定の時間に達したか否かを判断する。所定の閾値温度は、携帯端末100の温度が上昇していることを測定可能な温度であり、例えば、上限温度及び校正用基準温度よりも低く、常温よりも高い温度である。また、所定の時間は、携帯端末100の温度が閾値温度よりも低くなるまでの時間である。ここで、経過時間が所定の時間に達していないと判断された場合(ステップS6でNO)、経過時間が所定の時間に達するまでステップS6の処理が繰り返し行われる。
一方、経過時間が所定の時間に達したと判断された場合(ステップS6でYES)、ステップS7において、処理実行部102は、携帯端末100の温度を上限温度まで上昇させた後、携帯端末100の温度を下降させた処理の回数が所定の回数に達したか否かを判断する。ここで、処理の回数が所定の回数に達していないと判断された場合(ステップS7でNO)、ステップS3の処理に戻り、処理実行部102は、演算処理量を増加する。
一方、処理の回数が所定の回数に達したと判断された場合(ステップS7でYES)、ステップS8において、処理実行部102は、演算処理量を増加する。
次に、ステップS9において、校正用基準温度検出部107は、温度測定部103によって測定された携帯端末100の現在の温度が校正用基準温度であるか否かを判断する。現在の温度が校正用基準温度であると判断した場合、校正用基準温度検出部107は、携帯端末100の温度が校正用基準温度に達したことを検出し、携帯端末100の温度が校正用基準温度に達したことを処理実行部102に通知する。
ここで、現在の温度が校正用基準温度ではないと判断された場合(ステップS9でNO)、ステップS8の処理に戻り、処理実行部102は、演算処理量を増加する。
一方、現在の温度が校正用基準温度であると判断された場合(ステップS9でYES)、ステップS10において、処理実行部102は、演算処理を停止する。演算処理が停止することにより、携帯端末100の表面の温度が校正用基準温度より高くならないように制御される。
次に、ステップS11において、校正用基準温度検出部107は、温度測定部103によって測定された携帯端末100の現在の温度が校正用基準温度であるか否かを判断する。現在の温度が校正用基準温度であると判断した場合、校正用基準温度検出部107は、携帯端末100の温度が校正用基準温度に達したことを検出し、携帯端末100の温度が校正用基準温度に達したことを処理実行部102に通知する。
ここで、現在の温度が校正用基準温度ではないと判断された場合(ステップS11でNO)、ステップS8の処理に戻り、処理実行部102は、演算処理量を増加する。
一方、現在の温度が校正用基準温度であると判断された場合(ステップS11でYES)、ステップS12において、処理実行部102は、校正を終了するか否かを判断する。このように、演算処理量を増加させる処理と、現在の温度が校正用基準温度であるか否かを判断する処理と、演算処理を停止する処理とが繰り返されることにより、携帯端末100の温度が校正用基準温度になるように維持される。なお、例えば、処理実行部102は、赤外線検知装置110を校正するためのアプリケーションを、ユーザからの操作に応じて終了することで、校正を終了すると判断する。また、処理実行部102は、現在の温度が校正用基準温度であると判断されてから、所定時間経過した後、校正を終了すると判断してもよい。
ここで、校正を終了しないと判断された場合(ステップS12でNO)、ステップS11の処理に戻り、校正用基準温度検出部107は、温度測定部103によって測定された携帯端末100の現在の温度が校正用基準温度であるか否かを判断する。
一方、校正を終了すると判断された場合(ステップS12でYES)、処理実行部102は、携帯端末100における温度校正処理を終了する。
図5は、本実施の形態1の赤外線検知システムの赤外線検知装置における温度校正方法について説明するための第1のフローチャートであり、図6は、本実施の形態1の赤外線検知システムの赤外線検知装置における温度校正方法について説明するための第2のフローチャートである。
まず、ステップS21において、校正開始指示部111は、赤外線検知装置110の校正を開始するための校正開始指示を赤外線測定部112に送信する。
次に、ステップS22において、閾値検出部114は、閾値保持部113から赤外線放射エネルギー量の閾値を読み出し、周期判定部117は、エネルギー量変化周期保持部115からエネルギー量変化周期を読み出し、遅延時間保持部118から遅延時間を読み出し、画素群保持部116から端末面積を読み出す。
次に、ステップS23において、閾値検出部114は、赤外線測定部112によって測定された各画素の赤外線放射エネルギー量を取得する。
次に、ステップS24において、閾値検出部114は、赤外線放射エネルギー量が閾値を超えた画素が存在するか否かを判断する。閾値は、閾値温度に対応する赤外線放射エネルギー量である。ここで、赤外線放射エネルギー量が閾値を超えた画素が存在しないと判断された場合(ステップS24でNO)、ステップS23の処理に戻り、閾値検出部114は、赤外線測定部112によって測定された各画素の赤外線放射エネルギー量を取得する。
一方、赤外線放射エネルギー量が閾値を超えた画素が存在すると判断された場合(ステップS24でYES)、ステップS25において、周期判定部117は、温度変化領域が存在するか否かを判断する。周期判定部117は、閾値検出部114によって検出された赤外線放射エネルギー量が閾値を超えている画素群の面積が、画素群保持部116に保持されている端末面積と一致するか否かを判断する。閾値検出部114によって検出された画素群の面積が、画素群保持部116に保持されている端末面積と一致すると判断した場合、周期判定部117は、当該画素群を温度変化領域として特定し、温度変化領域が存在すると判断する。
なお、閾値検出部114によって検出された画素群の面積と端末面積とは、完全に一致している必要はなく、実質的に一致していればよい。また、携帯端末100に対応する画素群の面積は、赤外線検知装置110と携帯端末100との距離によって変化するため、赤外線検知装置110と携帯端末100との距離は、予め決められた所定の距離であることが好ましい。
また、画素群保持部116は、赤外線放射エネルギー量が閾値を超えており、携帯端末100に対応する画素群の形状を端末形状として予め保持してもよい。周期判定部117は、閾値検出部114によって検出された赤外線放射エネルギー量が閾値を超えている画素群の形状が、画素群保持部116に保持されている端末形状と一致するか否かを判断してもよい。この場合、閾値検出部114によって検出された画素群の形状が、画素群保持部116に保持されている端末形状と一致すると判断した場合、周期判定部117は、当該画素群を温度変化領域として特定する。
ここで、温度変化領域が存在しないと判断された場合(ステップS25でNO)、ステップS23の処理に戻り、閾値検出部114は、赤外線測定部112によって測定された各画素の赤外線放射エネルギー量を取得する。
一方、温度変化領域が存在すると判断された場合(ステップS25でYES)、ステップS26において、周期判定部117は、温度変化領域のうちの1の画素の赤外線放射エネルギー量が閾値を超えた回数が所定の回数であるか否かを判断する。温度変化領域のうちの1の画素は、例えば温度変化領域の中心の画素である。
ここで、1の画素の赤外線放射エネルギー量が閾値を超えた回数が所定の回数ではないと判断された場合(ステップS26でNO)、ステップS23の処理に戻り、閾値検出部114は、赤外線測定部112によって測定された各画素の赤外線放射エネルギー量を取得する。
一方、1の画素の赤外線放射エネルギー量が閾値を超えた回数が所定の回数であると判断された場合(ステップS26でYES)、ステップS27において、周期判定部117は、所定の遅延時間を経過したか否かを判断する。
ここで、遅延時間を経過していないと判断された場合(ステップS27でNO)、遅延時間を経過するまで、ステップS27の処理を繰り返し行う。
一方、遅延時間を経過したと判断された場合(ステップS27でYES)、ステップS28において、閾値検出部114は、赤外線測定部112によって測定された各画素の赤外線放射エネルギー量を取得する。
次に、ステップS29において、閾値検出部114は、赤外線放射エネルギー量が閾値を超えた画素が存在するか否かを判断する。ここで、赤外線放射エネルギー量が閾値を超えた画素が存在しないと判断された場合(ステップS29でNO)、ステップS28の処理に戻り、閾値検出部114は、赤外線測定部112によって測定された各画素の赤外線放射エネルギー量を取得する。
一方、赤外線放射エネルギー量が閾値を超えた画素が存在すると判断された場合(ステップS29でYES)、ステップS30において、周期判定部117は、温度変化領域が存在するか否かを判断する。周期判定部117は、閾値検出部114によって検出された赤外線放射エネルギー量が閾値を超えている画素群の面積が、画素群保持部116に保持されている端末面積と一致するか否かを判断する。閾値検出部114によって検出された画素群の面積が、画素群保持部116に保持されている端末面積と一致すると判断した場合、周期判定部117は、当該画素群を温度変化領域として特定し、温度変化領域が存在すると判断する。
ここで、温度変化領域が存在しないと判断された場合(ステップS30でNO)、ステップS28の処理に戻り、閾値検出部114は、赤外線測定部112によって測定された各画素の赤外線放射エネルギー量を取得する。
一方、温度変化領域が存在すると判断された場合(ステップS30でYES)、ステップS31において、変換テーブル生成部120は、第1変換テーブル保持部119から第1変換テーブルを読み出す。
次に、ステップS32において、変換テーブル生成部120は、温度変化領域のうちの1の画素の赤外線放射エネルギー量と、校正用基準温度とに基づいて、赤外線放射エネルギー量を温度値に変換するための第1変換テーブルを校正し、第2変換テーブルを生成する。変換テーブル生成部120は、生成した第2変換テーブルを第2変換テーブル保持部121に記憶する。
図7は、本実施の形態1において、携帯端末の温度が上限温度である場合に赤外線測定部によって測定された温度分布画像と、携帯端末の温度が閾値温度より低い温度である場合に赤外線測定部によって測定された温度分布画像との一例を示す図である。
図7に示す温度分布画像301は、携帯端末100の温度が上限温度である場合に赤外線測定部112によって測定された温度分布画像であり、携帯端末100に対応する部分の画素の温度が高いことが、ハッチングで示されている。また、温度分布画像302は、携帯端末100の温度が閾値より低い温度である場合に赤外線測定部112によって測定された温度分布画像であり、携帯端末100に対応する部分の画素の温度が低いことが、ハッチングで示されている。温度分布画像301,302では、温度分布が色の違いで表される。図7では、温度分布がハッチングで表されている。温度分布画像301の温度変化領域201は、上限温度を示す赤外線放射エネルギー量が測定された画素群であり、温度分布画像302の温度変化領域202は、閾値より低い温度を示す赤外線放射エネルギー量が測定された画素群である。
本実施の形態1では、温度分布画像301と温度分布画像302とが所定の回数交互に測定されることにより、温度分布画像中の携帯端末100に対応する温度変化領域を特定することができる。そして、携帯端末100の温度が校正用基準温度になるように制御された後、特定した温度変化領域の赤外線放射エネルギー量と、校正用基準温度とに基づいて、赤外線放射エネルギー量を温度値に変換するための第1変換テーブルが校正される。
図8は、本実施の形態1において、携帯端末の温度と時間との関係を示す図である。図8において、横軸は時間を示し、縦軸は温度を示す。
図8に示すように、本実施の形態1では、演算処理量を増加させることにより携帯端末100を上限温度まで発熱させた後、演算処理を停止させることにより携帯端末100を冷却する温度変化処理が3回行われる。その後、携帯端末100の温度が校正用基準温度を維持するように演算処理量が制御される。なお、上限温度は、例えば45℃であり、校正用基準温度は、例えば40℃である。
まず、処理実行部102は、演算処理量を増加し、携帯端末100の温度は上昇する。携帯端末100の温度が閾値温度に達した時刻をt0とする。現在の温度が上限温度になると、処理実行部102は、演算処理を停止し、携帯端末100の温度は低下する。そして、時刻t0から所定時間経過した時刻t1において、処理実行部102は、演算処理量を再度増加し、携帯端末100の温度は再度上昇する。温度変化処理が3回行われた時刻t3において、処理実行部102は、演算処理量を増加し、携帯端末100の温度は上昇する。携帯端末100の温度が校正用基準温度になると、処理実行部102は、校正用基準温度が維持されるように、演算処理量を制御する。そして、校正動作点である時刻t4において、赤外線検知装置110によって変換テーブルの校正が行われる。
なお、図8では、温度変化処理が行われる周期は3回であるが、本開示は特にこれに限定されず、温度変化処理が行われる周期は、2回又は4回以上などの他の回数であってもよい。
また、赤外線検知装置110の赤外線測定部112で測定される携帯端末100から放射された赤外線放射エネルギー量は、図8と同じグラフとなる。
図9は、本実施の形態1における第1変換テーブルの一例を示す図である。図9に示すように、第1変換テーブルは、赤外線放射エネルギー量と温度値とを対応付けている。なお、図9では、赤外線測定部112の出力分解能は8ビットである。第1変換テーブルは、赤外線検知装置110の工場出荷時の校正によって生成される。図9に示すように、例えば、0x50の赤外線放射エネルギー量は、40℃の温度値に変換される。
図10は、本実施の形態1において、赤外線測定部の出力値と、第1変換テーブル使用後の温度出力値との関係を示す図である。図10において、横軸は、第1変換テーブル使用後の温度値を示し、縦軸は、赤外線測定部によって測定される赤外線放射エネルギー量を示す。
工場出荷時から赤外線測定部112の出力値に変更がない場合は、40℃の校正用基準温度で発熱する携帯端末100を赤外線測定部112によって測定すると、赤外線測定部112によって測定される赤外線放射エネルギー量は0x50となり、第1変換テーブルを用いて赤外線放射エネルギー量を温度値に正しく変換することができる。
図11は、本実施の形態1において、工場出荷時から経時変化した赤外線測定部の出力値と、第1変換テーブル使用後の温度出力値との関係を示す図である。
40℃の校正用基準温度で発熱する携帯端末100を赤外線測定部112によって測定した場合に、赤外線測定部112によって測定される赤外線放射エネルギー量が0x60であったとする。この場合、第1変換テーブルを用いて赤外線放射エネルギー量を温度値に変換すると、温度値は48℃となり、実際の温度値とは異なる温度値に変換されてしまう。本来であれば、測定されるべき赤外線放射エネルギー量は0x50であるので、測定された赤外線放射エネルギー量が正しい温度値に変換されるように第1変換テーブルを校正する必要がある。
図12は、本実施の形態1において、赤外線測定部の出力値と、第2変換テーブル使用後の温度出力値との関係を示す図である。
図12に示すように、変換テーブル生成部120は、赤外線測定部112の出力値である赤外線放射エネルギー量が0x60である場合に、温度値が40℃となるように、第1変換テーブルを校正し、第2変換テーブルを生成する。このとき、第1変換テーブルの赤外線放射エネルギー量と温度値との関係を示す関数の傾きと、第2変換テーブルの赤外線放射エネルギー量と温度値との関係を示す関数の傾きとは、同じになる。
校正用基準温度である40℃で発熱した携帯端末100を赤外線測定部112で測定した際の赤外線放射エネルギー量に対応する第1変換テーブルの温度値をT1とし、校正用基準温度である40℃をT2とすると、変換テーブル生成部120は、下記の式(1)に基づいて、第2変換テーブルの温度値を算出する。
第2変換テーブルの温度値=第1変換テーブルの温度値+(T2−T1)・・・(1)
図13は、本実施の形態1における第2変換テーブルの一例を示す図である。図13に示す第2変換テーブルは、図9に示す第1変換テーブルと同様に、赤外線放射エネルギー量と温度値とを対応付けている。
本実施の形態において、校正用基準温度である40℃で発熱した携帯端末100を赤外線測定部112で測定した際の赤外線放射エネルギー量に対応する第1変換テーブルの温度値T1は、48℃であり、T2は、校正用基準温度である40℃であるので、上記の式(1)より、第2変換テーブルの温度値は、第1変換テーブルの温度値から8℃減算した値となる。
以上のように、本実施の形態1では、携帯端末100を校正の基準となる熱源として用い、基準となる熱源の温度を周期的に変化させることで、赤外線検知装置110は基準となる熱源の位置を特定でき、赤外線放射エネルギー量を温度値に変換する変換テーブルを容易に校正することができる。
(実施の形態2)
続いて、実施の形態2にかかる赤外線検知システムについて説明する。上記の実施の形態1では、赤外線検知装置110は、基準となる熱源である携帯端末100の温度の周期的な変化を検知することにより、熱源の位置を特定しているが、実施の形態2では、赤外線検知装置110は、基準となる熱源である携帯端末100が移動するパターンを認識することにより、熱源の位置を特定する。
図14は、本実施の形態2にかかる赤外線検知システムの構成を示す図である。図14に示す赤外線検知システムは、携帯端末400及び赤外線検知装置410を備える。なお、実施の形態2において、実施の形態1と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
携帯端末400は、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレットコンピュータ又はノート型パーソナルコンピュータである。携帯端末400は、校正開始指示部101と、処理実行部401と、温度測定部103と、校正用基準温度保持部402と、校正用基準温度検出部403とを備える。
処理実行部401は、校正開始指示を受信すると、携帯端末400の温度を変化させる温度制御処理を実行する。処理実行部401は、携帯端末400の温度が所定の基準温度となるように、演算処理量を増加又は減少することにより携帯端末400の発熱量を制御する。処理実行部401は、演算処理量を増加することで携帯端末400の発熱量を増加させ、演算処理量を減少することで携帯端末400の発熱量を減少させる。また、処理実行部401は、演算処理を停止することにより、携帯端末400を自然冷却する。
校正用基準温度保持部402は、携帯端末100の校正用基準温度を予め保持する。校正用基準温度検出部403は、携帯端末100の温度が校正用基準温度に達したことを検出する。
赤外線検知装置410は、対象物から出ている赤外線放射エネルギー量を検出し、検出した赤外線放射エネルギー量を見かけの温度に変換して、温度分布画像を表示する。赤外線検知装置410は、校正開始指示部111と、赤外線測定部112と、閾値保持部411と、閾値検出部412と、移動パターン保持部413と、画素群保持部414と、動体認識部415と、第1変換テーブル保持部119と、変換テーブル生成部416と、第2変換テーブル保持部417とを備える。
閾値保持部411は、赤外線測定部112によって測定される赤外線放射エネルギー量の閾値を予め保持する。
閾値検出部412は、赤外線測定部112によって測定される各画素の赤外線放射エネルギー量が、閾値保持部411に保持されている閾値を超えているか否かを検出する。
移動パターン保持部413は、閾値検出部412によって赤外線放射エネルギー量が閾値を超えていると判断された画素群の移動パターンを予め保持する。
画素群保持部414は、赤外線放射エネルギー量が閾値を超えており、携帯端末400に対応する画素群の面積を示す端末面積を予め保持する。
動体認識部415は、赤外線放射エネルギー量の測定範囲の中から、所定の移動パターンで移動する携帯端末400に対応する温度変化領域(第3領域)を検出する。動体認識部415は、携帯端末400の大きさの温度変化領域であって、所定の移動パターンで移動する温度変化領域を検出する。本実施の形態2では、動体認識部415は、ユーザが携帯端末400を所定の移動パターンで移動させることにより、赤外線放射エネルギー量の測定範囲の中から、移動パターンで移動する携帯端末400に対応する温度変化領域を検出する。ユーザは、校正用基準温度で発熱した携帯端末400を持った状態で、所定の移動パターンで移動させる。動体認識部415は、閾値検出部412によって検出された赤外線放射エネルギー量が閾値を超えている画素群の面積が、画素群保持部414に保持されている端末面積と一致するか否かを判断する。閾値検出部412によって検出された画素群の面積が、画素群保持部414に保持されている端末面積と一致すると判断した場合、動体認識部415は、当該画素群を温度変化領域として特定する。
なお、本実施の形態2では、ユーザが携帯端末400を所定の移動パターンで移動させているが、本開示は特にこれに限定されず、ロボットが携帯端末400を所定の移動パターンで移動させてもよい。
動体認識部415は、携帯端末400に対応する温度変化領域の移動パターンが、予め保持されている移動パターンと一致するか否かを判断する。動体認識部415は、温度変化領域の移動パターンが移動パターン保持部413に保持されている移動パターンであることを認識する。動体認識部415は、温度変化領域の移動パターンが移動パターン保持部413に保持されている移動パターンであることを認識した場合、変換テーブルの生成を指示する変換テーブル生成信号を変換テーブル生成部416へ出力する。
変換テーブル生成部416は、測定された携帯端末100の赤外線放射エネルギー量と、校正用基準温度とに基づいて、赤外線放射エネルギー量を温度値に変換するための第1変換テーブルを校正する。変換テーブル生成部416は、検出された温度変化領域における赤外線放射エネルギー量と校正用基準温度との対応関係に基づき、第1変換テーブルを校正する。変換テーブル生成部416は、動体認識部415からの変換テーブル生成信号が入力されると、温度変化領域のうちの1の画素の赤外線放射エネルギー量と、校正用基準温度との対応関係に基づき第1変換テーブルを校正し、第2変換テーブルを生成する。
第2変換テーブル保持部417は、変換テーブル生成部416によって生成された第2変換テーブルを保持する。
図15は、本実施の形態2にかかる移動パターンの認識を説明するための図である。
図15に示す温度分布画像501は、校正用基準温度で発熱している携帯端末400をユーザが縦に持った状態で赤外線測定部112によって測定された温度分布画像であり、携帯端末400に対応する部分の画素の温度が校正用基準温度であることが、ハッチングで示されている。また、温度分布画像502は、校正用基準温度で発熱している携帯端末400をユーザが横に持った状態で赤外線測定部112によって測定された温度分布画像であり、携帯端末400に対応する部分の画素の温度が校正用基準温度であることが、ハッチングで示されている。温度分布画像501,502では、温度分布が色の違いで表される。図15では、温度分布がハッチングで表されている。温度分布画像501,502の温度変化領域511は、閾値より高い赤外線放射エネルギー量が測定された画素群である。
本実施の形態2では、温度変化領域511が縦状態と横状態とに繰り返し変化する移動パターンが認識されることにより、温度分布画像中の携帯端末400に対応する温度変化領域511を特定することができる。
すなわち、ユーザは、校正用基準温度で発熱している携帯端末400の持ち方を縦状態、横状態、縦状態及び横状態と繰り返す動作を行う。赤外線検知装置410の動体認識部415は、縦状態と横状態とに繰り返し変化する移動パターンを認識することで、校正用基準温度の温度変化領域511を特定する。
図16は、本実施の形態2の第1の変形例にかかる移動パターンの認識を説明するための図である。
図16に示す温度分布画像521〜524は、校正用基準温度で発熱している携帯端末400をユーザが縦に持った状態で赤外線測定部112によって測定された温度分布画像であり、携帯端末400に対応する部分の画素の温度が校正用基準温度であることが、ハッチングで示されている。温度分布画像521〜524では、温度分布が色の違いで表される。図16では、温度分布がハッチングで表されている。図16では、円を描くように携帯端末400を移動させたユーザの動作を赤外線検知装置410で認識することで、校正用基準温度で発熱する携帯端末400の位置を特定する。温度分布画像521〜524の温度変化領域531は、閾値より高い赤外線放射エネルギー量が測定された画素群である。
本実施の形態2の第1の変形例では、温度変化領域531が円を描くように変化する移動パターンが認識されることにより、温度分布画像中の携帯端末400に対応する温度変化領域531を特定することができる。
すなわち、ユーザは、校正用基準温度で発熱している携帯端末400で円を描く動作を行う。赤外線検知装置410の動体認識部415は、円を描いて変化する移動パターンを認識することで、校正用基準温度の温度変化領域531を特定する。
なお、本実施の形態2では、携帯端末400を縦状態と横状態とに変化させる移動パターン及び携帯端末400で円を描く移動パターン以外に、携帯端末400でアルファベットなどの特定の文字又は特定の図形を描く移動パターンを赤外線検知装置410で認識させてもよい。
続いて、本実施の形態2の赤外線検知システムにおける温度校正方法について説明する。
図17は、本実施の形態2の赤外線検知システムの携帯端末における温度校正方法について説明するためのフローチャートである。
まず、ステップS41において、校正開始指示部101は、赤外線検知装置410の校正を開始するための校正開始指示を処理実行部401に送信する。
次に、ステップS42において、校正用基準温度検出部403は、校正用基準温度保持部402から校正用基準温度を読み出す。
次に、ステップS43において、処理実行部401は、演算処理量を増加する。演算処理量が増加することにより、CPU及び/又はバッテリの温度が上昇し、携帯端末400の表面の温度が上昇する。
次に、ステップS44において、校正用基準温度検出部403は、温度測定部103によって測定された携帯端末400の現在の温度が校正用基準温度であるか否かを判断する。現在の温度が校正用基準温度であると判断した場合、校正用基準温度検出部403は、携帯端末400の温度が校正用基準温度に達したことを検出し、携帯端末400の温度が校正用基準温度に達したことを処理実行部401に通知する。
ここで、現在の温度が校正用基準温度ではないと判断された場合(ステップS44でNO)、ステップS43の処理に戻り、処理実行部401は、演算処理量を増加する。
一方、現在の温度が校正用基準温度であると判断された場合(ステップS44でYES)、ステップS45において、処理実行部401は、演算処理を停止する。演算処理が停止することにより、携帯端末400の表面の温度が校正用基準温度より高くならないように制御される。
次に、ステップS46において、校正用基準温度検出部403は、温度測定部103によって測定された携帯端末400の現在の温度が校正用基準温度であるか否かを判断する。現在の温度が校正用基準温度であると判断した場合、校正用基準温度検出部403は、携帯端末400の温度が校正用基準温度に達したことを検出し、携帯端末400の温度が校正用基準温度に達したことを処理実行部401に通知する。
ここで、現在の温度が校正用基準温度ではないと判断された場合(ステップS46でNO)、ステップS43の処理に戻り、処理実行部401は、演算処理量を増加する。
一方、現在の温度が校正用基準温度であると判断された場合(ステップS46でYES)、ステップS47において、処理実行部401は、校正を終了するか否かを判断する。このように、演算処理量を増加させる処理と、現在の温度が校正用基準温度であるか否かを判断する処理と、演算処理を停止する処理とが繰り返されることにより、携帯端末400の温度が校正用基準温度になるように維持される。なお、例えば、処理実行部401は、赤外線検知装置410を校正するためのアプリケーションを、ユーザからの操作に応じて終了することで、校正を終了すると判断する。また、処理実行部401は、現在の温度が校正用基準温度であると判断されてから、所定時間経過した後、校正を終了すると判断してもよい。
ユーザは、携帯端末400が校正用基準温度で発熱している間に、携帯端末400を所定の移動パターンで移動させる動作を行う。なお、携帯端末400は、現在の温度が校正用基準温度に達した場合に、携帯端末400が校正用基準温度で発熱していることを、音声又は画像によりユーザに通知してもよい。
ここで、校正を終了しないと判断された場合(ステップS47でNO)、ステップS46の処理に戻り、校正用基準温度検出部403は、温度測定部103によって測定された携帯端末400の現在の温度が校正用基準温度であるか否かを判断する。
一方、校正を終了すると判断された場合(ステップS47でYES)、処理実行部401は、携帯端末400における温度校正処理を終了する。
図18は、本実施の形態2の赤外線検知システムの赤外線検知装置における温度校正方法について説明するためのフローチャートである。
まず、ステップS61において、校正開始指示部111は、赤外線検知装置410の校正を開始するための校正開始指示を赤外線測定部112に送信する。
次に、ステップS62において、閾値検出部412は、閾値保持部411から赤外線放射エネルギー量の閾値を読み出し、動体認識部415は、移動パターン保持部413から、赤外線放射エネルギー量が閾値より大きい画素群の移動パターンを示す移動パターン情報を読み出し、画素群保持部414から端末面積を読み出す。
次に、ステップS63において、閾値検出部412は、赤外線測定部112によって測定された各画素の赤外線放射エネルギー量を取得する。
次に、ステップS64において、閾値検出部412は、赤外線放射エネルギー量が閾値を超えた画素が存在するか否かを判断する。ここで、赤外線放射エネルギー量が閾値を超えた画素が存在しないと判断された場合(ステップS64でNO)、ステップS63の処理に戻り、閾値検出部412は、赤外線測定部112によって測定された各画素の赤外線放射エネルギー量を取得する。
一方、赤外線放射エネルギー量が閾値を超えた画素が存在すると判断された場合(ステップS64でYES)、ステップS65において、動体認識部415は、温度変化領域が存在するか否かを判断する。動体認識部415は、閾値検出部412によって検出された赤外線放射エネルギー量が閾値を超えている画素群の面積が、画素群保持部414に保持されている端末面積と一致するか否かを判断する。閾値検出部412によって検出された画素群の面積が、画素群保持部414に保持されている端末面積と一致すると判断した場合、動体認識部415は、当該画素群を温度変化領域として特定し、温度変化領域が存在すると判断する。
なお、閾値検出部412によって検出された画素群の面積と端末面積とは、完全に一致している必要はなく、実質的に一致していればよい。また、携帯端末400に対応する画素群の面積は、赤外線検知装置410と携帯端末400との距離によって変化するため、赤外線検知装置410と携帯端末400との距離は、予め決められた所定の距離であることが好ましい。
また、画素群保持部414は、赤外線放射エネルギー量が閾値を超えており、携帯端末400に対応する画素群の形状を端末形状として予め保持してもよい。動体認識部415は、閾値検出部412によって検出された赤外線放射エネルギー量が閾値を超えている画素群の形状が、画素群保持部414に保持されている端末形状と一致するか否かを判断してもよい。この場合、閾値検出部412によって検出された画素群の形状が、画素群保持部414に保持されている端末形状と一致すると判断した場合、動体認識部415は、当該画素群を温度変化領域として特定する。
ここで、温度変化領域が存在しないと判断された場合(ステップS65でNO)、ステップS63の処理に戻り、閾値検出部412は、赤外線測定部112によって測定された各画素の赤外線放射エネルギー量を取得する。
一方、温度変化領域が存在すると判断された場合(ステップS65でYES)、ステップS66において、動体認識部415は、温度変化領域の移動パターンを認識したか否かを判断する。すなわち、動体認識部415は、赤外線放射エネルギー量の測定範囲内において、温度変化領域が移動する移動パターン(温度変化領域の軌跡)が、移動パターン保持部413から読み出した移動パターン情報で示される移動パターンに一致する場合、温度変化領域の移動パターンを認識したと判断する。
ここで、温度変化領域の移動パターンを認識していないと判断された場合(ステップS66でNO)、ステップS63の処理に戻り、閾値検出部412は、赤外線測定部112によって測定された各画素の赤外線放射エネルギー量を取得する。
一方、温度変化領域の移動パターンを認識したと判断された場合(ステップS66でYES)、ステップS67において、変換テーブル生成部416は、第1変換テーブル保持部119から第1変換テーブルを読み出す。
次に、ステップS68において、変換テーブル生成部416は、温度変化領域のうちの1の画素の赤外線放射エネルギー量と、校正用基準温度とに基づいて、赤外線放射エネルギー量を温度値に変換するための第1変換テーブルを校正し、第2変換テーブルを生成する。変換テーブル生成部416は、生成した第2変換テーブルを第2変換テーブル保持部417に記憶する。なお、実施の形態2における第2変換テーブルの生成方法は、実施の形態1における第2変換テーブルの生成方法と同じであるので説明を省略する。
以上のように、本実施の形態2では、携帯端末400を基準となる熱源として用い、基準となる熱源である携帯端末400の移動パターンを赤外線検知装置410で認識することで、赤外線検知装置410は基準となる熱源の位置を特定でき、赤外線放射エネルギー量を温度値に変換する第1変換テーブルを校正することができる。
なお、本実施の形態2では、携帯端末400を移動させた移動パターンを赤外線検知装置410で認識しているが、本開示は特にこれに限定されず、携帯端末400を所持するユーザの手の形状を赤外線検知装置410で認識してもよい。
図19は、本実施の形態2の第2の変形例にかかる所持形状の認識を説明するための図である。
図19に示す温度分布画像541は、校正用基準温度で発熱している携帯端末400をユーザが2本の指を立てて所持している状態を、赤外線測定部112によって測定した温度分布画像であり、携帯端末400に対応する部分の画素の温度が校正用基準温度であることが、ハッチングで示されている。温度分布画像541では、温度分布が色の違いで表される。図19では、温度分布がハッチングで表されている。温度分布画像541の温度変化領域551は、閾値より高い赤外線放射エネルギー量が測定された画素群である。
本実施の形態2の第2の変形例では、温度変化領域551の近傍で特定の形状が認識されることにより、温度分布画像中の携帯端末400に対応する温度変化領域551を特定することができる。
この場合、動体認識部415は、携帯端末400の大きさの温度変化領域であって、周辺に特定の形状の赤外線放射エネルギー分布領域が存在する温度変化領域(第4領域)を検出する。変換テーブル生成部416は、検出された温度変化領域における赤外線放射エネルギー量と校正用基準温度との対応関係に基づき、第1変換テーブルを校正する。
すなわち、ユーザは、校正用基準温度で発熱している携帯端末400を、2本の指を立てた状態で所持する。赤外線検知装置410の動体認識部415は、2本の指が立てられた形状を認識することで、認識した形状の近傍に存在する校正用基準温度の温度変化領域551を特定する。
図20は、本実施の形態2の第3の変形例にかかる所持形状の認識を説明するための図である。
図20に示す温度分布画像542は、校正用基準温度で発熱している携帯端末400をユーザが両手で輪を作った状態で所持している状態を、赤外線測定部112によって測定した温度分布画像であり、携帯端末400に対応する部分の画素の温度が校正用基準温度であることが、ハッチングで示されている。温度分布画像542では、温度分布が色の違いで表される。図20では、温度分布がハッチングで表されている。温度分布画像542の温度変化領域552は、閾値より高い赤外線放射エネルギー量が測定された画素群である。
本実施の形態2の第3の変形例では、温度変化領域552の近傍で特定の形状が認識されることにより、温度分布画像中の携帯端末400に対応する温度変化領域552を特定することができる。
すなわち、ユーザは、校正用基準温度で発熱している携帯端末400を、両手で輪を作った状態で所持する。赤外線検知装置410の動体認識部415は、温度変化領域552の両端に存在する略円形状の領域を認識することで、認識した略円形状の領域の近傍に存在する校正用基準温度の温度変化領域552を特定する。
(実施の形態3)
続いて、実施の形態3にかかる赤外線検知システムについて説明する。上記の実施の形態1,2では、赤外線検知装置は、1つの校正用基準温度と、校正用基準温度で発熱した携帯端末の赤外線放射エネルギー量とに基づいて第1変換テーブルを校正しているが、実施の形態3では、赤外線検知装置は、2つの校正用基準温度と、2つの校正用基準温度で発熱した携帯端末の2つの赤外線放射エネルギー量とに基づいて第1変換テーブルを校正する。
図21は、本実施の形態3にかかる赤外線検知システムの構成を示す図である。図21に示す赤外線検知システムは、携帯端末600及び赤外線検知装置610を備える。なお、実施の形態3において、実施の形態1と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
携帯端末600は、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレットコンピュータ又はノート型パーソナルコンピュータである。携帯端末600は、校正開始指示部101と、温度測定部103と、上限温度保持部104と、上限温度検出部105と、第1校正用基準温度保持部601と、第2校正用基準温度保持部602と、校正用基準温度検出部603と、処理実行部604と、温度変化周期保持部108とを備える。
第1校正用基準温度保持部601は、携帯端末100の第1校正用基準温度を予め保持する。第2校正用基準温度保持部602は、携帯端末100の第2校正用基準温度を予め保持する。第1校正用基準温度と第2校正用基準温度とは互いに異なる温度であり、例えば、第2校正用基準温度は、第1校正用基準温度よりも低い。なお、第2校正用基準温度は、第1校正用基準温度より高くてもよい。
校正用基準温度検出部603は、携帯端末600の温度が第1校正用基準温度に達したことを検出するとともに、携帯端末600の温度が第2校正用基準温度に達したことを検出する。
処理実行部604は、校正開始指示を受信すると、携帯端末600の温度を変化させる温度制御処理を実行する。処理実行部604は、携帯端末600の温度が第1校正用基準温度又は第2校正用基準温度となるように、演算処理量を増加又は減少することにより携帯端末600の発熱量を制御する。処理実行部604は、演算処理量を増加することで携帯端末600の発熱量を増加させ、演算処理量を減少することで携帯端末600の発熱量を減少させる。また、処理実行部604は、演算処理を停止することにより、携帯端末600を自然冷却する。
処理実行部604は、演算処理量を増加させることにより携帯端末600を所定の上限温度まで発熱させた後、演算処理を停止させることにより所定の閾値温度より低くなるように携帯端末600を冷却する温度変化処理を所定の周期で繰り返し行う。処理実行部604は、温度変化処理を所定の周期で繰り返し行った後、携帯端末600の温度が第1校正用基準温度を所定の期間維持するように演算処理量を制御し、第1校正用基準温度を所定の期間維持した後、携帯端末600の温度が第2校正用基準温度を所定の期間維持するように演算処理量を制御する。
赤外線検知装置610は、対象物から出ている赤外線放射エネルギー量を検出し、検出した赤外線放射エネルギー量を見かけの温度に変換して、温度分布を示す画像を表示する。赤外線検知装置610は、校正開始指示部111と、赤外線測定部112と、閾値保持部113と、閾値検出部114と、エネルギー量変化周期保持部115と、画素群保持部116と、第1遅延時間保持部611と、第2遅延時間保持部612と、周期判定部613と、第1変換テーブル保持部119と、変換テーブル生成部614と、第2変換テーブル保持部121とを備える。
第1遅延時間保持部611は、携帯端末600が所定の周期で温度を変化させてから、携帯端末600の温度が第1校正用基準温度になるまでの時間を示す第1遅延時間を予め保持する。
第2遅延時間保持部612は、第1遅延時間が経過した時点から、携帯端末600の温度が第2校正用基準温度になるまでの時間を示す第2遅延時間を予め保持する。
周期判定部613は、赤外線放射エネルギー量の測定範囲の中から、所定の周期で温度が変化する温度変化領域を検出する。周期判定部613は、閾値検出部114によって検出された赤外線放射エネルギー量が閾値を超えている画素群の面積が、画素群保持部116に保持されている端末面積と一致するか否かを判断する。閾値検出部114によって検出された画素群の面積が、画素群保持部116に保持されている端末面積と一致すると判断した場合、周期判定部613は、当該画素群を温度変化領域として特定する。
周期判定部613は、温度変化領域の赤外線放射エネルギー量の変化がエネルギー量変化周期保持部115に保持されているエネルギー量変化周期であるか否かを判定する。周期判定部613は、温度変化領域の赤外線放射エネルギー量の変化がエネルギー量変化周期保持部115に保持されているエネルギー量変化周期であると判定した場合、第1遅延時間保持部611に保持されている第1遅延時間が経過した時点で、第1遅延時間が経過したことを通知する第1経過通知信号を変換テーブル生成部614へ出力する。周期判定部613は、第1遅延時間が経過した時点から、第2遅延時間保持部612に保持されている第2遅延時間が経過した時点で、第2遅延時間が経過したことを通知する第2経過通知信号を変換テーブル生成部614へ出力する。
変換テーブル生成部614は、測定された携帯端末600の赤外線放射エネルギー量と、第1校正用基準温度と、第2校正用基準温度とに基づいて、赤外線放射エネルギー量を温度値に変換するための第1変換テーブルを校正する。変換テーブル生成部614は、携帯端末600の温度が第1校正用基準温度である際の温度変化領域における第1赤外線放射エネルギー量と第1校正用基準温度との対応関係と、携帯端末600の温度が第2校正用基準温度である際の温度変化領域における第2赤外線放射エネルギー量と第2校正用基準温度との対応関係とに基づき、第1変換テーブルを校正する。
変換テーブル生成部614は、所定の周期における赤外線放射エネルギー量が高い時点の温度変化領域(第2領域)における赤外線放射エネルギー量と第1校正用基準温度との対応関係と、所定の周期における赤外線放射エネルギー量が低い時点の温度変化領域(第2領域)における赤外線放射エネルギー量と第2校正用基準温度との対応関係とに基づき、第1変換テーブルを校正する。
変換テーブル生成部614は、周期判定部613からの第1経過通知信号が入力されると、温度変化領域のうちの1の画素の第1赤外線放射エネルギー量を記憶する。変換テーブル生成部614は、周期判定部613からの第2経過通知信号が入力されると、記憶した第1赤外線放射エネルギー量と第1校正用基準温度との対応関係と、温度変化領域のうちの1の画素の第2赤外線放射エネルギー量と第2校正用基準温度との対応関係とに基づき第1変換テーブルを校正し、第2変換テーブルを生成する。
図22は、本実施の形態3において、携帯端末の温度と時間との関係を示す図である。図22において、横軸は時間を示し、縦軸は温度を示す。
図22に示すように、本実施の形態3では、演算処理量を増加させることにより携帯端末600を上限温度まで発熱させた後、演算処理を停止させることにより携帯端末600を冷却する温度変化処理が3回行われる。その後、携帯端末600の温度が第1校正用基準温度を維持するように演算処理量が制御される。さらに、携帯端末600の温度が第2校正用基準温度を維持するように演算処理量が制御される。なお、上限温度は、例えば45℃であり、第1校正用基準温度は、例えば40℃であり、第2校正用基準温度は、例えば35℃である。
まず、処理実行部604は、演算処理量を増加し、携帯端末600の温度を上昇させる。携帯端末600の温度が閾値温度に達した時刻をt0とする。現在の温度が上限温度になると、処理実行部604は、演算処理を停止し、携帯端末100の温度を低下させる。そして、時刻t0から所定時間経過した時刻t1において、処理実行部604は、演算処理量を再度増加し、携帯端末600の温度を再度上昇させる。温度変化処理が3回行われた時刻t3において、処理実行部604は、演算処理量を増加し、携帯端末600の温度を上昇させる。携帯端末600の温度が第1校正用基準温度になると、処理実行部604は、第1校正用基準温度が維持されるように、演算処理量を制御する。そして、第1の校正動作点である時刻t4において、赤外線検知装置610によって温度変化領域の赤外線放射エネルギー量が取得される。
続いて、第1校正用基準温度が所定期間維持された後、処理実行部604は、演算処理を停止し、携帯端末600の温度を低下させる。携帯端末600の温度が第2校正用基準温度になると、処理実行部604は、第2校正用基準温度が維持されるように、演算処理量を制御する。そして、第2の校正動作点である時刻t5において、赤外線検知装置610によって温度変化領域の赤外線放射エネルギー量が取得され、変換テーブルの校正が行われる。
図23は、本実施の形態3において、工場出荷時から経時変化した赤外線測定部の出力値と、第1変換テーブル使用後の温度出力値との関係を示す図である。なお、本実施の形態3における工場出荷時の第1変換テーブルは、図9及び図10に示す第1変換テーブルと同じである。
40℃の第1校正用基準温度で発熱する携帯端末600を赤外線測定部112によって測定した場合に、赤外線測定部112によって測定される赤外線放射エネルギー量が0x60であったとする。この場合、第1変換テーブルを用いて赤外線放射エネルギー量を温度値に変換すると、温度値は48℃となり、実際の温度値とは異なる温度値に変換されてしまう。本来であれば、測定されるべき赤外線放射エネルギー量は0x50であるので、測定された赤外線放射エネルギー量が正しい温度値に変換されるように第1変換テーブルを校正する必要がある。
また、35℃の第2校正用基準温度で発熱する携帯端末600を赤外線測定部112によって測定した場合に、赤外線測定部112によって測定される赤外線放射エネルギー量が0x54であったとする。この場合、第1変換テーブルを用いて赤外線放射エネルギー量を温度値に変換すると、温度値は42℃となり、実際の温度値とは異なる温度値に変換されてしまう。そのため、測定された赤外線放射エネルギー量が正しい温度値に変換されるように第1変換テーブルを校正する必要がある。
図24は、本実施の形態3において、赤外線測定部の出力値と、第2変換テーブル使用後の温度出力値との関係を示す図である。
図24に示すように、変換テーブル生成部614は、赤外線測定部112の出力値である赤外線放射エネルギー量が0x60である場合に、温度値が40℃となり、赤外線放射エネルギー量が0x54である場合に、温度値が35℃となるように、第1変換テーブルを校正し、第2変換テーブルを生成する。このとき、第1変換テーブルの赤外線放射エネルギー量と温度値との関係を示す関数の傾きと、第2変換テーブルの赤外線放射エネルギー量と温度値との関係を示す関数の傾きとは、異なる。このように、変換テーブル生成部614は、横軸(x軸)の値が40℃であり、縦軸(y軸)の値が0x60である座標点と、横軸(x軸)の値が35℃であり、縦軸(y軸)の値が0x54である座標点とを結ぶ直線で表される第2変換テーブルを生成する。
以上のように、本実施の形態3では、携帯端末600を校正の基準となる熱源として用い、基準となる熱源の温度を周期的に変化させることで、赤外線検知装置610は基準となる熱源の位置を特定でき、赤外線放射エネルギー量を温度値に変換する変換テーブルを容易に校正することができる。
また、携帯端末600は、第1校正用基準温度と、第1校正用基準温度とは異なる第2校正用基準温度との2つの温度で発熱するように制御される。そして、赤外線検知装置610は、第1校正用基準温度で発熱する携帯端末600からの第1赤外線放射エネルギー量を測定するとともに、第2校正用基準温度で発熱する携帯端末600からの第2赤外線放射エネルギー量を測定する。赤外線検知装置610は、第1赤外線放射エネルギー量と第1校正用基準温度との対応関係と、第2赤外線放射エネルギー量と第2校正用基準温度との対応関係とに基づき、第1変換テーブルを校正し、第2変換テーブルを生成する。
したがって、2つの対応関係に基づいて第1変換テーブルが校正されるので、より正確に赤外線検知装置610の温度を校正することができる。
なお、本実施の形態3は、実施の形態2に示す赤外線検知システムに適用することも可能である。すなわち、移動パターンは、第1校正用基準温度で発熱する携帯端末400が移動する第1の移動パターンと、第1校正用基準温度とは異なる第2校正用基準温度で発熱する携帯端末400が移動する第1の移動パターンとは異なる第2の移動パターンとを含んでもよい。この場合、動体認識部415は、赤外線放射エネルギー量の測定範囲の中から、第1の移動パターンで移動する携帯端末400に対応する第1の温度変化領域を検出するとともに、赤外線放射エネルギー量の測定範囲の中から、第1の移動パターンで移動した後に第2の移動パターンで移動する携帯端末400に対応する第2の温度変化領域を検出する。変換テーブル生成部416は、検出された第1の温度変化領域における赤外線放射エネルギー量と第1の基準温度との対応関係と、検出された第2の温度変化領域における赤外線放射エネルギー量と第2の基準温度との対応関係とに基づき、第1変換テーブルを校正してもよい。
動体認識部415は、測定情報が示す赤外線放射エネルギー量の測定範囲の中から、第1の移動パターンで移動する温度変化領域(第3領域)を検出してもよい。また、動体認識部415は、測定情報が示す赤外線放射エネルギー量の測定範囲の中から、第2の移動パターンで移動する温度変化領域(第3領域)を検出してもよい。そして、変換テーブル生成部416は、検出された第1の移動パターンで移動する温度変化領域(第3領域)における赤外線放射エネルギー量と第1校正用基準温度との対応関係と、検出された第2の移動パターンで移動する温度変化領域(第3領域)における赤外線放射エネルギー量と第2校正用基準温度との対応関係とに基づき、第1変換テーブルを校正してもよい。
(実施の形態4)
続いて、実施の形態4にかかる赤外線検知システムについて説明する。上記の実施の形態1〜3では、赤外線検知装置と携帯端末とは、独立して校正処理を開始すると説明したが、本実施の形態4では、赤外線検知装置と携帯端末とが連携して校正処理を開始する。
図25は、本実施の形態4にかかる赤外線検知システムの構成を示す図である。図25に示す赤外線検知システムは、携帯端末700及び赤外線検知装置710を備える。なお、実施の形態4において、実施の形態1〜3と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
携帯端末700は、校正開始指示部101と、処理実行部102と、温度測定部103と、上限温度保持部104と、上限温度検出部105と、校正用基準温度保持部106と、校正用基準温度検出部107と、温度変化周期保持部108と、通信部701とを備える。
通信部701は、赤外線検知装置710と通信する。具体的には、通信部701は、無線通信方式又は有線通信方式を用いて校正処理に関する情報を通信する。例えば、通信部701は、WiFi(登録商標)又はBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信を用いて赤外線検知装置710と通信する。また、無線通信又は有線通信は通信路の途中にアクセスポイントなどの中継器を経由してもよい。校正処理に関する情報としては、例えば校正開始指示がある。通信部701は、赤外線検知装置710と処理の開始を示す情報を通信する。
校正開始指示部101は、通信部701が受信した情報に基づいて携帯端末700を校正モードに切り替え、赤外線検知装置710の校正を開始するための校正開始指示を処理実行部102に送信する。例えば、校正開始指示部101は、通信部701が校正開始指示を受信すると、携帯端末700を校正モードに切り替える。なお、校正開始指示部101は、実施の形態1と同様にユーザからの操作に応じて携帯端末700を校正モードに切り替え、通信部701に校正開始指示を赤外線検知装置710へ送信させてもよい。
処理実行部102は、処理の開始を示す情報の通信後に、携帯端末700の温度が所定の校正用基準温度となるように、演算処理量を制御することにより携帯端末700の発熱量を制御する。
赤外線検知装置710は、校正開始指示部111と、赤外線測定部112と、閾値保持部113と、閾値検出部114と、エネルギー量変化周期保持部115と、画素群保持部116と、周期判定部117と、遅延時間保持部118と、第1変換テーブル保持部119と、変換テーブル生成部120と、第2変換テーブル保持部121と、通信部711とを備える。
通信部711は、携帯端末700と通信する。具体的には、通信部711は、無線通信方式又は有線通信方式を用いて校正処理に関する情報を通信する。例えば、通信部711は、WiFi(登録商標)又はBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信を用いて赤外線検知装置710と通信する。
校正開始指示部111は、赤外線検知装置710を校正モードに切り替え、赤外線検知装置710の校正を開始するための校正開始指示を赤外線測定部112に送信する。さらに、校正開始指示部111は、校正開始指示を通信部711に携帯端末700へ送信させる。なお、校正開始指示部111は、通信部711が受信した情報に基づいて赤外線検知装置710を校正モードへ切り替えてもよい。例えば、校正開始指示部111は、通信部711が携帯端末700から校正開始指示を受信すると、赤外線検知装置710を校正モードへ切り替える。
以上のように、本実施の形態4では、通信を用いて携帯端末700および赤外線検知装置710の校正処理を制御する。このため、携帯端末700および赤外線検知装置710の一方を操作するのみで赤外線検知装置710の校正を開始させることが可能となる。したがって、ユーザの作業負担を軽減することができる。また、校正処理のタイミングを合わせることができるため、携帯端末700を効率よく発熱させることができる。したがって、携帯端末700の省電力が可能となる。
なお、上記の実施の形態4では、赤外線検知システムが実施の形態1の構成をベースにしたシステムである例を説明した。しかし、本実施の形態4に係る赤外線検知システムは、実施の形態2又は3の構成をベースとしたシステムであってもよい。
本開示において、ユニット、装置、部材又は部の全部又は一部、又は図に示されるブロック図の機能ブロックの全部又は一部は、半導体装置、半導体集積回路(IC)、又はLSI(Large Scale Integration)を含む一つ又は複数の電子回路によって実行されてもよい。LSI又はICは、一つのチップに集積されてもよいし、複数のチップを組み合わせて構成されてもよい。例えば、記憶素子以外の機能ブロックは、一つのチップに集積されてもよい。ここでは、LSIやICと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、若しくはULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるものであってもよい。LSIの製造後にプログラムされる、Field Programmable Gate Array(FPGA)、又はLSI内部の接合関係の再構成又はLSI内部の回路区画のセットアップができるReconfigurable Logic Deviceも同じ目的で使うことができる。
さらに、ユニット、装置、部材又は部の全部又は一部の機能又は操作は、ソフトウエア処理によって実行することが可能である。この場合、ソフトウエアは一つ又は複数のROM、光学ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録され、ソフトウエアが処理装置(Processor)によって実行されたときに、そのソフトウエアで特定された機能が処理装置(Processor)および周辺装置によって実行される。システム又は装置は、ソフトウエアが記録されている一つ又は複数の非一時的記録媒体、処理装置(Processor)、及び必要とされるハードウエアデバイス、例えばインターフェース、を備えていてもよい。