JP6917085B1 - 油吸着材及び油吸着マット - Google Patents

油吸着材及び油吸着マット Download PDF

Info

Publication number
JP6917085B1
JP6917085B1 JP2020084305A JP2020084305A JP6917085B1 JP 6917085 B1 JP6917085 B1 JP 6917085B1 JP 2020084305 A JP2020084305 A JP 2020084305A JP 2020084305 A JP2020084305 A JP 2020084305A JP 6917085 B1 JP6917085 B1 JP 6917085B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
fiber
adsorbent
mat
aggregate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020084305A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021178280A (ja
Inventor
魏 呉
魏 呉
友基 竹ノ下
友基 竹ノ下
曽田 浩義
浩義 曽田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
M Techx Inc
Original Assignee
M Techx Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by M Techx Inc filed Critical M Techx Inc
Priority to JP2020084305A priority Critical patent/JP6917085B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6917085B1 publication Critical patent/JP6917085B1/ja
Publication of JP2021178280A publication Critical patent/JP2021178280A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Water Treatment By Sorption (AREA)
  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)

Abstract

【課題】高い油吸着性能及び油保持性能を有する油吸着材を提供する。【解決手段】親油性を有する材料からなり所定の範囲の繊維径を有し且つ繊維同士が不規則に絡み合っている微細な繊維の集積体により油吸着材を構成する。好ましくは中心繊維径が1000〜2500nmである。より好ましくは繊維径の数量分布における変動係数が0.5〜0.65である。更に好ましくは上記集積体の嵩密度は0.01〜0.05g/cm3である。親油性を有する材料からなり液体が通過することが可能なカバーシートによって上記油吸着材を覆い油吸着マットとしてもよい。より好ましくは一対の上記カバーシートによって上記油吸着材をサンドイッチ状に挟み周縁部の少なくとも一部においては一対の上記カバーシートを互いに接着し且つ上記周縁部以外の領域においては互いに接着しない。【選択図】図3

Description

本発明は、油吸着材及び油吸着マットに関する。より具体的には、本発明は、より高い油吸着性能及び油保持性能を発揮することができる油吸着材及び油吸着マットに関する。
例えばタンカー等の船舶に積載されている重油が海難事故等によって海面に流出してしまうと深刻な海洋汚染に繋がる。このように海面に流出した重油を回収する際には、汚染源である船舶の周囲をオイルフェンスによって囲い、オイルフェンス内部の海面に浮遊する重油を微細な繊維の集合体によって吸着して回収・除去している。また、食品業界においては、使用済みの油(廃油)を廃棄する際にも、上記と同様に微細な繊維の集合体によって廃油を吸着して廃棄している。
上記のような微細な繊維の集合体の具体的な形態としては、例えば不織布及び積層体等、微細な繊維の集積体としての形態を挙げることができる。例えば、特許文献1(特開2016−098465号公報)には、耐熱性、難燃性、耐薬品性、絶縁性及び熱圧成形加工性に優れたアラミドポリマーを主成分とする極細径繊維からなり且つ平均繊維直径、平均見掛け密度、平均空隙径、結晶化度及び繊維太径部又は塊部の占める比率が所定の範囲にある均質な不織布が開示されている。特許文献1によれば、電池若しくはキャパシタのセパレータ、燃料電池用の膜材、吸音材、断熱材、防炎材、遮熱材、防護衣料、吸着材、透湿防水シート、壁紙、障子、クリーナー、接着テープ及びフィルター等の種々の用途において当該不織布を好適に用いることができるとされている。
また、特許文献2(特開2013−184095号公報)には、溶融紡糸されたポリプロピレン繊維と交差する方向に高速高温の気流を吹き付けて当該繊維を延伸し、繊維径が100〜500nmであるポリプロピレンのナノファイバーとし、吹き飛ばされた当該ナノファイバーを捕集して積層することによって得られる油吸着材が開示されている。特許文献2によれば、当該積層体は飛躍的に高い油吸着量を有するとされている。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の何れにおいても、それぞれ極細径繊維不織布及びナノファイバー積層体が油吸着材として好適であると記載されているものの、例えば油吸着能力及び油保持能力等の油吸着性能において更なる改善が求められている。
また、非特許文献1には、水を吸わずに油脂類のみを吸着し且つ一度吸着した油脂類を確実に閉じ込めて逃がさない油吸着シートとして一般市場に供されているポリプロピレン製の高性能油吸着材が開示されている。しかしながら、従来技術に係る油吸着材(以降、「従来吸着材」と称呼される場合がある。)は、例えば静水上においては確かに水を吸着せず水面上に浮かぶものの、ある程度以上の水圧が油吸着材にかかる場合においては、油吸着材の内部に水が染み込み、結果として本来の油吸着性能を発揮することが困難である。具体的には、例えば、波立つ水面又は激しい流水に浮かべられる場合及びある程度以上の高さから落下してくる水滴に曝される場合等においては、従来吸着材の内部に水が染み込んでしまい、水面上に浮かんでいる油を十分に吸着することが困難である。また、このように水が染み込んだ従来吸着材が水面下に沈んでしまい、例えばオイルフェンスの下を潜ってオイルフェンスの外部に流れ出て、二次的な汚染の発生に繋がる虞がある。従って、実際の用途において油吸着材が十分な油吸着性能を発揮するためには、油吸着材が高い疎水性又は撥水性を有することが重要である。
ところで、一般的な排出油のための油吸着材については特に定めは無いが、船舶等の油防除資材として使用される油吸着材については、運輸省(現国土交通省)が定める「排出油防除資材の性能試験基準」(非特許文献2)が設けられている。当該基準によれば、振動試験(破損試験及び沈降試験)において油吸着材の繊維が解れて分離したりダンゴ状になったりしないこと及び油を吸着した後のシート(又はマット)の回収時において油を吸着した後の重量の2.5倍の荷重をかけてもシート(又はマット)に破断が生じないことが求められている。
上記のような基準を反映して、非特許文献1に開示されている油吸着材は、図12に示すような形態にて実用に供されている。図12の(a)は油吸着材の全体を示す写真であり、図12の(b)は油吸着材の一部分を示す拡大写真である。上述した特許文献1及び特許文献2においてそれぞれ開示されている極細径繊維不織布及びナノファイバー積層体は綿状であり、これらの集積体を構成する繊維の間隔が油の吸着により広がるため集積体を構成する繊維が解れ易い。これに対し、図12に示した市販の油吸着材においては、千鳥配列のように長さ方向及び幅方向の両方において所定の間隔を空けられた複数の箇所において繊維が熱圧着等によって接着されている。その結果、取り扱い性が向上すると共に、油を吸着した後の振動等による繊維の解れが低減される。
同様に、特許文献3(特開2015−068072号公報)には、ナノファイバー層の両面に不織布層が接着積層された油吸着材が開示されている。ナノファイバー層は、0.5μm〜2μmの平均繊維径を有するナノファイバーによって構成され且つ90%以上の空隙率を有する。また、不織布は、10〜50μmの平均繊維径を有する熱可塑性樹脂繊維によって構成されている。更に、ナノファイバー層と不織布層とは、千鳥配列のように所定の間隔を空けて形成された接着部により接着積層されている。特許文献3によれば、当該油吸着材においては、油吸着性能及び取り扱い性が向上すると共に、上記振動試験において油吸着材の繊維が解れて分解したり油を吸着した後の回収時に油吸着材が破断したりする虞が低減されるとされている。
しかしながら、上記のように複数の接着点によって囲まれる個々の領域(例えば、3つ又は4つの接着点によって囲まれる、接着点が存在しない領域)の面積は自ずと小さくなってしまう。従って、個々の領域に拘束されている集積体は、油を吸着した際に厚み方向に大きく膨らむことが困難であり、集積体自体が本来備える油吸着性能を十分に発揮することができないという課題がある。
特開2016−098465号公報 特開2013−184095号公報 特開2015−068072号公報
モノタロウ、男前モノタロウ 高性能油吸着材(油用)品番「40M−MPCR」、[online]、株式会社MonotaRO、[令和2年2月12日検索]、インターネット〈URL: https://www.monotaro.com/p/7396/9166/〉 「排出油防除資材の性能試験基準」(昭和59年2月2日付、運輸省船舶局長通達舶査52号)
上述したように、当該技術分野においては、より高い油吸着性能及び撥水性を達成しつつ、油吸着時における破断及び繊維の解れを低減することができる油吸着材が求められている。
上記課題に鑑み、本発明者は、鋭意研究の結果、親油性を有する高分子材料からなり所定の繊維径を有する微細な繊維同士が不規則に絡み合った集積体を油吸着材とすることにより、上記課題を解決することに成功した。
具体的には、本発明に係る油吸着材(以降、「本発明吸着材」と称呼される場合がある。)は、親油性を有する高分子材料である第1材料からなり300nm以上であり且つ5000nm未満である繊維径を有する繊維である第1繊維の集積体である繊維集積体を含んでなる油吸着材である。上記繊維集積体においては、第1繊維同士が不規則に絡み合っている。好ましくは、第1繊維の繊維径の数量分布における最頻値である中心繊維径が800nm以上であり且つ2500nm以下である。より好ましくは、第1繊維の繊維径の数量分布における変動係数が0.50以上であり且つ0.65以下である。更に好ましくは、繊維集積体の嵩密度が0.01g/cm以上であり且つ0.05g/cm以下である。
また、本発明に係る油吸着マット(以降、「本発明マット」と称呼される場合がある。)は、親油性を有する高分子材料である第2材料からなり且つ液体が通過し得る複数の間隙を備えるシート状の部材であるカバーシートと上述した本発明吸着材とを含む油吸着マットである。更に、第1繊維が漏出しないように油吸着材の少なくとも一部がカバーシートによって覆われている。好ましくは、一対のカバーシートによってサンドイッチ状に本発明吸着材が挟まれており、一対の前記カバーシートは、一対のカバーシートの周縁部の少なくとも一部においては直接的又は前記繊維集積体を介して間接的に互いに接着されており且つ周縁部以外の領域においては互いに接着されていない。
上記のように、本発明吸着材は、親油性を有する高分子材料からなり所定の繊維径を有する微細な繊維である第1繊維同士が不規則に絡み合った集積体である繊維集積体を含んでなる。好ましくは、第1繊維の繊維径の数量分布における最頻値である中心繊維径が800nm以上であり且つ2500nm以下である。より好ましくは、第1繊維の繊維径の数量分布における変動係数が0.50以上であり且つ0.65以下である。更に好ましくは、繊維集積体の嵩密度が0.01g/cm以上であり且つ0.05g/cm以下である。その結果、本発明吸着材が油を吸着する量が増大し、油を保持する能力も高まる。また、繊維集積体においては、第1繊維同士が不規則に絡み合っている。その結果、油吸着時における繊維の解れが低減される。
また、親油性を有する高分子材料である第2材料からなり且つ液体が通過し得る複数の間隙を備えるシート状の部材であるカバーシートによって本発明吸着材の少なくとも一部を覆うことにより、第1繊維の漏出を防止しつつ、優れた取り扱い性を有する油吸着マットを提供することができる。特に、一対のカバーシートによってサンドイッチ状に本発明吸着材を挟み、周縁部の少なくとも一部においてのみ一対のカバーシートを互いに接着させることにより、油を吸着した際に繊維集積体が厚み方向に大きく膨らむことが容易となり、繊維集積体自体が本来備える油吸着性能を十分に発揮させることができる。
本発明の第1実施形態に係る油吸着材(第1吸着材)を構成する繊維集積体の外観の一例を示す写真である。 第1吸着材の構造の一例を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 本発明の第2実施形態に係る油吸着材(第2吸着材)の繊維集積体を構成する第1繊維の繊維径の数量分布の2つの例を示す模式的なグラフである。 本発明に該当しない油吸着材の繊維集積体を構成する繊維の繊維径の数量分布の2つの例を示す模式的なグラフである。 本発明の第3実施形態に係る油吸着材(第3吸着材)及び従来吸着材に含まれる繊維集積体を構成する繊維の繊維径のバラツキを示す模式的なグラフである。 繊維集積体を構成する第1繊維の中心繊維径と油吸着比との関係の2つの例を示す模式的なグラフである。 繊維集積体の嵩密度と油吸着比との関係を例示する模式的なグラフである。 本発明の第7実施形態に係る油吸着マット(第2マット)の構成の1つの例を示す模式的な平面図(a)及び側断面図(b)、第2マットの構成のもう1つの例を示す模式的な側断面図(c)並びに第2マットの構成の更なる複数の例を示す模式的な平面図(d)である。 油を吸着する前後における第2マットの形状の変化を示す模式的な側断面図である。 本発明の実施例に係る油吸着材(実施例吸着材)を構成する繊維集積体の外観の一例を示す写真である。 本発明の実施例に係る油吸着材(実施例吸着材)及び従来技術に係る比較用の油吸着材(比較例吸着材)における第1繊維の繊維径の数量分布を示すグラフである。 非特許文献1に開示されている油吸着材の形態を示す写真である。
《第1実施形態》
以下、本発明の第1実施形態に係る油吸着材(以降、「第1吸着材」と称呼される場合がある。)について説明する。
〈構成〉
第1吸着材は、親油性を有する高分子材料である第1材料からなり300nm以上であり且つ5000nm未満である繊維径を有する繊維である第1繊維の集積体である繊維集積体を含んでなる油吸着材である。第1材料は、親油性を有する高分子材料であり且つ油吸着材としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り特に限定されない。第1材料の具体例としては、例えばポリオレフィン等を挙げることができる。典型的には、第1材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリブチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種の高分子材料である。また、第1材料は、異なる複数種の親油性を有する高分子材料の組み合わせであってもよい。換言すれば、第1繊維は、異なる複数種の親油性を有する高分子材料からなる繊維の組み合わせであってもよい。更に、繊維集積体の全体としての親油性及び第1吸着材の油吸着性能を損なわない限りにおいて、親油性が低い高分子材料からなる少量の繊維が繊維集積体に含まれていてもよい。
尚、繊維集積体を構成する第1繊維の繊維径は、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)によって撮影された繊維集積体の画像解析等によって測定することができる。例えば、複数の撮影箇所の各々において測定された繊維径の平均値に対する撮影箇所の数の分布を繊維径の数量分布とみなしてもよい。上述したように、第1繊維の繊維径は300nm以上であり且つ5000nm未満である。この範囲内にある繊維径を有する第1繊維は、安定的な生産が可能であり且つ第1吸着材において高い油吸着性能を達成することができる。
更に、繊維集積体においては、第1繊維同士が不規則に絡み合っている。本明細書において、「第1繊維同士が不規則に絡み合っている」状態とは、第1繊維同士の絡み合いが例えば特定の方向への捩れ等による単純な絡み合いではなく、第1繊維同士が三次元的且つ複雑に絡み合っている状態を意味する。これにより、油吸着時において繊維集積体が破断したり第1繊維の絡み合いが解れたりする可能性を低減することができる。
図1は第1吸着材を構成する繊維集積体の外観の一例を示す写真であり、図2は第1吸着材を構成する繊維集積体の構造の一例を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。図1及び図2においては、第1吸着材101を構成する繊維集積体の一例として、300nm乃至5000nmの繊維径を有するポリプロピレン繊維からなる繊維集積体の外観写真及びSEM写真がそれぞれ例示されている。即ち、この例においては、第1材料はポリプロピレンであり、第1繊維は上記繊維径を有するポリプロピレン繊維である。図2から判るように、第1吸着材101を構成する繊維集積体においては、第1繊維同士が不規則に絡み合っている。
以上のように、第1吸着材を構成する繊維集積体は、親油性を有する高分子材料である第1材料からなり300nm以上であり且つ5000nm未満である繊維径を有する繊維である第1繊維同士が不規則に絡まっている。その結果、第1吸着材が油を吸着する量が増大すると共に、油吸着時における繊維の解れが低減される。
尚、第1吸着材を構成する繊維集積体は、例えば所謂「メルトブロー法」及び「乾式紡糸法」等、当該技術分野において広く採用されている微細な繊維の製造方法を応用することによって製造することができる。「メルトブロー法」及び「乾式紡糸法」の詳細については当業者に周知であるので、ここでの説明は省略する。これらの製造方法において、第1材料からなる微細な繊維である第1繊維が生成される過程において、第1繊維同士を不規則に絡み合わせることにより、上述したような繊維集積体を得ることができる。
〈効果〉
以上のように、第1吸着材を構成する繊維集積体は、親油性を有する高分子材料である第1材料からなり300nm以上であり且つ5000nm未満である繊維径を有する繊維である第1繊維同士が不規則に絡まっている。その結果、第1吸着材が単位質量当たりに吸着する油の質量(油吸着比)が増大すると共に、油吸着時における繊維の解れが低減される。即ち、第1吸着材によれば、より高い油吸着性能を達成しつつ、油吸着時における破断及び繊維の解れを低減することができる。
《第2実施形態》
以下、本発明の第2実施形態に係る油吸着材(以降、「第2吸着材」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述したように、第1吸着材を構成する繊維集積体は、親油性を有する高分子材料である第1材料からなり300nm以上であり且つ5000nm未満である繊維径を有する繊維である第1繊維同士が不規則に絡まっている。その結果、第1吸着材が油を吸着する量が増大すると共に、油吸着時における繊維の解れが低減される。本発明者は、更なる研究の結果、繊維集積体を構成する第1繊維の繊維径の数量分布における最頻値が所定の範囲内にある場合に上記効果がより顕著に達成されることを見出した。
〈構成〉
第2吸着材は、上述した第1吸着材であって、繊維集積体を構成する第1繊維の中心繊維径が800nm以上であり且つ2500nm以下であることを特徴とする油吸着材である。ここで、「中心繊維径」は、繊維集積体を構成する第1繊維の繊維径の数量分布における最頻値である。換言すれば、「中心繊維径」は、第1繊維の繊維径の数量分布において出現頻度が最も高い繊維径を意味する。
図3は、第2吸着材の繊維集積体を構成する第1繊維の繊維径の数量分布の2つの例を示す模式的なグラフである。このようなグラフは、繊維集積体の複数の箇所において走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮影し、個々の箇所について画像解析によって測定された繊維径の平均値を個々の箇所における繊維径として算出し、算出された繊維径と出現頻度(撮影箇所の数)との関係をグラフ化することによって得ることができる。即ち、図3に例示するグラフの横軸及び縦軸はそれぞれ出現頻度(撮影箇所の数)及び繊維径を表し、当該グラフは第1繊維の繊維径の数量分布を示す。図3の(a)は、出現頻度(撮影箇所の数)が最も多い繊維径(即ち、第1繊維の繊維径の数量分布における最頻値)である中心繊維径が800nmである第1繊維によって構成される繊維集積体における繊維径の数量分布を示す。図3の(b)は、中心繊維径が1500nmである第1繊維によって構成される繊維集積体における繊維径の数量分布を示す。第2吸着材を構成する繊維集積体においては、上記のようにして特定することができる中心繊維径が800nm以上であり且つ2500nm以下である範囲に入っている。これにより、第2吸着材が単位質量当たりに吸着する油の質量(油吸着比)を更に増大させることができる。
一方、図4は、本発明に該当しない油吸着材の繊維集積体を構成する繊維の繊維径の数量分布の2つの例を示す模式的なグラフである。図4の(a)は、中心繊維径が4500nmである第1繊維によって構成される繊維集積体における繊維径の数量分布を示す。図4の(b)は、20μmの中心繊維径を有する繊維によって構成される市販の油吸着材の繊維集積体における繊維径の数量分布を示す。このように中心繊維径が上述した800nm以上であり且つ2500nm以下である範囲に入っていない繊維集積体においては、第2吸着材のような大きい油吸着比を達成することができない。
尚、第1繊維の「中心繊維径」は、繊維集積体の製造過程において、例えば第1材料を含む液体である第1液の温度及び吐出量並びに吐出された第1液に含まれる第1材料を糸状に延伸しながら下流側へと搬送するガスの温度及び流速等の製造条件を調整することによって変化させることができる。
〈効果〉
以上のように、第2吸着材においては、繊維集積体を構成する第1繊維の中心繊維径が800nm以上であり且つ2500nm以下である。これにより、第2吸着材が単位質量当たりに吸着する油の質量(油吸着比)が更に増大する。
《第3実施形態》
以下、本発明の第2実施形態に係る油吸着材(以降、「第3吸着材」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述したように、第2吸着材においては、繊維集積体を構成する第1繊維の中心繊維径が800nm以上であり且つ2500nm以下である。これにより、第2吸着材が単位質量当たりに吸着する油の質量(油吸着比)が更に増大する。本発明者は、更なる研究の結果、繊維集積体を構成する第1繊維の繊維径のバラツキの度合いがある程度大きい所定の範囲内にある場合に上記効果が更に顕著に達成されることを見出した。
〈構成〉
そこで、第3吸着材は、上述した第2吸着材であって、繊維集積体を構成する第1繊維の繊維径の数量分布における変動係数が0.50以上であり且つ0.65以下であることを特徴とする油吸着材である。ここで言う「変動係数」は、第1繊維の繊維径の数量分布におけるバラツキの大きさを示す指標であり、当業者に周知であるように、第1繊維の繊維径の数量分布の標準偏差を第1繊維の繊維径の平均値によって除算することによって得ることができる。
図5は、本発明の第3実施形態に係る油吸着材(第3吸着材)及び従来吸着材に含まれる繊維集積体を構成する繊維の繊維径の分布を示す模式的なグラフである。図5の(a)は、図3の(b)に例示した1500nmの中心繊維径を有する第1繊維の繊維径の分布を示し、変動係数は0.59である。一方、図5の(b)は図4の(b)に例示した市販の油吸着材の繊維集積体を構成する20μmの中心繊維径を有する繊維の繊維径の分布を示し、変動係数は0.18である。図5の(a)と(b)との比較からも明らかであるように、本発明に係る油吸着材(本発明吸着材)の繊維集積体における繊維径分布の変動係数は市販の油吸着材(従来吸着材)の繊維集積体における繊維径分布の変動係数に比べて大幅に大きい。その結果、本発明吸着材は、従来吸着材に比べて、より優れた油吸着性能を発揮することができる。
尚、上記「変動係数」もまた、上述した第1繊維の「中心繊維径」と同様に、繊維集積体の製造過程において、例えば第1材料を含む液体である第1液の温度及び吐出量並びに吐出された第1液に含まれる第1材料を糸状に延伸しながら下流側へと搬送するガスの温度及び流速等の製造条件を調整することによって変化させることができる。
〈効果〉
以上のように、第3吸着材においては、繊維集積体を構成する第1繊維の繊維径の数量分布における変動係数が0.50以上であり且つ0.65以下である。これにより、第3吸着材が単位質量当たりに吸着する油の質量(油吸着比)が更に増大する。
《第4実施形態》
以下、本発明の第4実施形態に係る油吸着材(以降、「第4吸着材」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述したように、第3吸着材においては、繊維集積体を構成する第1繊維の繊維径の数量分布における変動係数が0.50以上であり且つ0.65以下である。これにより、第3吸着材が単位質量当たりに吸着する油の質量(油吸着比)が更に増大する。本発明者は、更なる研究の結果、繊維集積体の嵩密度が所定の範囲内にある場合に上記効果が更に顕著に達成されることを見出した。
〈構成〉
そこで、第4吸着材は、上述した第3吸着材であって、繊維集積体の嵩密度が0.01g/cm以上であり且つ0.05g/cm以下であることを特徴とする油吸着材である。
当業者に周知であるように、「嵩密度」とは、物体の質量を見掛けの体積によって除算することによって得られる値である。第4吸着材の油吸着性能との強い相関を有する空隙率は、例えば繊維集積体を構成する第1繊維の繊維径の数量分布及び第1繊維同士の絡み合いの程度等の影響を受け、上記「嵩密度」に概ね反比例する。即ち、嵩密度が低いことは空隙率が高いことを示し、嵩密度が高いことは空隙率が低いことを示す。
図6は、繊維集積体を構成する第1繊維の中心繊維径と油吸着比との関係の2つの例を示す模式的なグラフである。図6の(a)は繊維集積体の嵩密度が0.01である場合における中心繊維径と油吸着比(M/m)との関係を示し、図6の(b)は繊維集積体の嵩密度が0.1である場合における中心繊維径と油吸着比(M/m)との関係を示す。図6に示すように、油吸着比(M/m)が最大となる中心繊維径は繊維集積体の嵩密度によって変化する。
図7は、1500nmの中心繊維径を有する第1繊維によって構成された繊維集積体の嵩密度と油吸着比との関係を例示する模式的なグラフである。実線は、JISに定められているISO VG 10の粘度グレードを有する油を使用した場合のデータを示す。一方、一点鎖線は、JISに定められているISO VG 46の粘度グレードを有する油を使用した場合のデータを示す。図7に示すように、繊維集積体の嵩密度が増大するほど油吸着比が減少する。このような知見に基づき、本発明者は、繊維集積体の嵩密度が0.01g/cm以上であり且つ0.05g/cm以下である場合に油吸着比(M/m)が顕著に増大することを見出した。
〈効果〉
以上のように、第4吸着材においては、繊維集積体の嵩密度が0.01g/cm以上であり且つ0.05g/cm以下である。これにより、第4吸着材が単位質量当たりに吸着する油の質量(油吸着比)が更に増大する。より好ましくは、繊維集積体の嵩密度は0.01g/cm以上であり且つ0.03g/cm以下である。
《第5実施形態》
以下、本発明の第5実施形態に係る油吸着材(以降、「第5吸着材」と称呼される場合がある。)について説明する。
前述したように、従来技術に係る油吸着材(従来吸着材)は油のみならず水をも吸着してしまうため、例えば海及び河川等の水面上に浮かんでいる油を回収する場合等において、油吸着材が水を吸着し、油の吸着が困難となったり、水面下に沈んでオイルフェンスの下を潜り抜けてしまったりして、油の回収が困難となる虞がある。このような問題を低減する観点からは、油吸着材が高い親油性を有すると共に、高い疎水性、より好ましくは高い撥水性を有することが好ましい。
〈構成〉
そこで、第5吸着材は、上述した第1吸着材乃至第4吸着材の何れかであって、JIS L 1092:2009に準拠する撥水度試験において繊維集積体が第5級又は第4級の湿潤状態を示すことを特徴とする油吸着材である。
JIS L 1092:2009に準拠する撥水度試験とは、「スプレー試験」とも称呼され、保持枠に固定された試験片に対して所定のノズルから250mLの水を25乃至30秒間の期間に亘って散布した後、試験片の湿潤状態に応じて以下に列挙する等級によって評価する試験法である。
1級:表面全体に湿潤を示すもの。
2級:表面の半分に湿潤を示し,小さな個々の湿潤が布を浸透する状態を示すもの。
3級:表面に小さな個々の水滴状の湿潤を示すもの。
4級:表面に湿潤しないが,小さな水滴の付着を示すもの。
5級:表面に湿潤及び水滴の付着がないもの。
上記スプレー試験において、従来吸着材の湿潤状態が1級又は2級であるのに対し、第5吸着材の湿潤状態は4級又は5級である。即ち、第5吸着材は、従来吸着材に比べて、非常に高い撥水性を有する。
〈効果〉
以上のように第5吸着材は高い撥水性を有するので、例えば海及び河川等の水面上に浮かんでいる油を回収する場合等においても、水を吸着せず油のみを吸着することができる。従って、従来吸着材のように水を吸着して油の吸着が困難となったり水面下に沈んだりして油の回収が困難となる可能性が低い。即ち、第5吸着材によれば、水が併存する環境においても、上述した吸水問題を引き起こす可能性が低く、油を有効に吸着して回収することができる。
《第6実施形態》
以下、本発明の第6実施形態に係る油吸着マット(以降、「第1マット」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述したように、本発明に係る油吸着材(本発明吸着材)を構成する繊維集積体は互いに不規則に絡み合った微細な第1繊維からなる集積体であり、第1繊維の間の空隙に油を吸着した際には繊維集積体の体積が膨張する。従って、繊維集積体が本来備える油吸収能力を最大限に発揮させるためには、油の吸着に伴う繊維集積体の膨張を妨げないことが重要である。しかしながら、上述した「排出油防除資材の性能試験基準」(非特許文献2)を繊維集積体のみで満たすことは困難である。また、繊維集積体のみからなる油吸着材においては、油の吸着に伴って解れた第1繊維が漏出したり、取り扱いが困難であったりする場合がある。
〈構成〉
そこで、第1マットは、上述した第1吸着材乃至第5吸着材を始めとする本発明に係る油吸着材(本発明吸着材)と、親油性を有する高分子材料である第2材料からなり且つ液体が通過し得る複数の間隙を備えるシート状の部材であるカバーシートと、を含む油吸着マットである。本発明吸着材の詳細については、本発明の第1実施形態乃至第5実施形態に関する説明において既に述べたので、ここでは説明を繰り返さない。
第2材料は、親油性を有する高分子材料であり且つ油吸着マットとしての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り特に限定されない。第2材料の具体例としては、例えばポリオレフィン等を挙げることができる。典型的には、第2材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリブチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種の高分子材料である。また、第2材料は、異なる複数種の親油性を有する高分子材料の組み合わせであってもよい。また、第2材料は、上述した第1材料と同じであっても或いは異なっていてもよい。
更に、第1マットにおいては、上述した繊維集積体を構成する第1繊維が漏出しないように油吸着材の少なくとも一部がカバーシートによって覆われている。即ち、繊維集積体を構成する第1繊維の一部が解れた場合であっても解れた第1繊維がカバーシートの外部に漏出しない限り、油吸着材の全部がカバーシートによって覆われていてもよく、或いは油吸着材の一部がカバーシートによって覆われていてもよい。前者の場合、例えば、袋状に加工されたカバーシートの内部に本発明吸着材を収容し、当該袋状のカバーシートの開口部を閉じることにより、本発明吸着材の全部をカバーシートによって覆うことができる。一方、後者の場合は、例えば、一対のカバーシートの間に本発明吸着材を挟み、本発明吸着材を介して一対のカバーシートを少なくとも部分的に互いに接着させることにより、本発明吸着材の一部をカバーシートによって覆うことができる。
尚、カバーシートの形態は、液体が通過し得る複数の間隙を備えるシート状の部材である限り、特に限定されない。カバーシートの形態の具体例としては、例えば、多孔質シート、メッシュ、不織布及び織物等を挙げることができる。好ましくは、カバーシートは、第2材料からなる繊維である第2繊維によって構成された不織布又はメッシュである。
〈効果〉
上記のように、第1マットは、本発明吸着材と、親油性を有する高分子材料である第2材料からなり且つ液体が通過し得る複数の間隙を備えるシート状の部材であるカバーシートと、を含む油吸着マットである。更に、第1マットにおいては、上述した繊維集積体を構成する第1繊維が漏出しないように本発明吸着材の少なくとも一部がカバーシートによって覆われている。その結果、第1マットによれば、運輸省(現国土交通省)が定める「排出油防除資材の性能試験基準」(非特許文献2)を容易に満たすことができる。また、第1繊維の漏出を防止しつつ、より高い取り扱い性を発揮することができる。
《第7実施形態》
以下、本発明の第7実施形態に係る油吸着マット(以降、「第2マット」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述したように、第1マットにおいては、繊維集積体を構成する第1繊維が漏出しないように本発明吸着材の少なくとも一部がカバーシートによって覆われているので、第1繊維の漏出を防止しつつ、より高い取り扱い性を発揮することができる。しかしながら、前述した従来技術に係る油吸着マットのように比較的短い間隔を空けた複数の箇所(接着点)において繊維集積体を介してカバーシートを接着した場合、複数の接着点によって囲まれる個々の領域の面積は自ずと小さくなってしまう。その結果、個々の領域に拘束されている繊維集積体が油を吸着した際に厚み方向に大きく膨らむことが困難となり、繊維集積体が本来備える油吸着性能を十分に発揮することができないという課題がある。
〈構成〉
そこで、第2マットは、上述した第1マットにおいて、一対のカバーシートによってサンドイッチ状に油吸着材が挟まれており、一対のカバーシートは、一対のカバーシートの周縁部の少なくとも一部においては直接的又は繊維集積体を介して間接的に互いに接着されており且つ周縁部以外の領域においては互いに接着されていない、ことを特徴とする油吸着マットである。
カバーシートの形状及び大きさは、第2マットの用途に応じて適宜定めることができる、カバーシートの形状の具体例としては、例えば、正方形、長方形、三角形、多角形、円形及び楕円形等を挙げることができる。
一対のカバーシートは、周縁部においてのみ互いに接着されており、周縁部以外の領域においては互いに接着されていない。また、例えば油を吸着した後の振動等によってカバーシート同士の接着箇所が剥がれて繊維集積体を構成する第1繊維が漏出しない限り、必ずしも周縁部の全体に亘って連続的に一対のカバーシートが接着されている必要は無く、周縁部においてカバーシート同士が接着されていない箇所があってもよい。また、必ずしもカバーシート同士が直接的に接着されている必要は無く、一対のカバーシートの間に繊維集積体が挟まれた状態においてカバーシート同士が接着されていてもよい。即ち、第2マットにおいて、一対のカバーシートは、一対のカバーシートの周縁部の少なくとも一部においては直接的又は繊維集積体を介して間接的に互いに接着されており且つ周縁部以外の領域においては互いに接着されていない。
更に、カバーシート同士を接着するための具体的な手法もまた、油吸着材としての使用環境及び使用条件に耐えることが可能である限り特に限定されない。このような接着手法の具体例としては、例えば熱融着、熱圧着、超音波溶着及び接着剤による接着等を挙げることができる。或いは、一対のカバーシートは、直接的又は繊維集積体を介して間接的に互いに縫い合わされていてもよい。
図8は、第2マットの構成の1つの例を示す模式的な平面図(a)及び側断面図(b)、第2マットの構成のもう1つの例を示す模式的な側断面図(c)並びに第2マットの構成の更なる複数の例を示す模式的な平面図(d)である。平面図(a)及び側断面図(b)に例示する第2マット202aにおいては互いに対向する一対のカバーシート210の間に1つの第1吸着材101が挟まれている。一方、側断面図(c)に例示する第2マット202bは第2マットの1つの変形例である。第2マット202bにおいては、略平行に配置された3枚のカバーシート210の間に形成される2つの空間に第1吸着材101が1つずつ挟まれている。更に、平面図(d)に例示する3つの第2マット202c乃至202eは、それぞれ長方形、三角形及び円形の形状を有する。何れの例においても、第1吸着材101を間に挟んで対向する一対のカバーシート210が、周縁部211においてのみ互いに接着されており、周縁部211以外の領域においては互いに接着されていない。このように周縁部211以外の領域においては、第1吸着材101を間に挟んで対向する一対のカバーシート210が拘束されておらず、一対のカバーシート210が第4マットの厚み方向に自由に動くことができるので、第1吸着材101を構成する繊維集積体の油の吸着に伴う膨張を妨げない。従って、繊維集積体自体が本来備える油吸着性能を十分に発揮させることができる。
図9は、油を吸着する前後における第2マットの形状の変化を示す模式的な側断面図である。図9の(a)は油を吸着する前における第2マットの形状を示し、図9の(b)は油を吸着した後における第2マットの形状を示す。第2マットにおいては、一対のカバーシートによってサンドイッチ状に油吸着材が挟まれており、一対のカバーシートの周縁部以外の領域においては、一対のカバーシートは互いに接着されていない。その結果、油の吸着に伴って、図9の(a)に示す状態から(b)に示す状態へと、繊維集積体が厚み方向に大きく膨らむことが容易となり、繊維集積体自体が本来備える油吸着性能を十分に発揮させることができる。
一方、一対のカバーシートの周縁部の少なくとも一部においては直接的又は繊維集積体を介して間接的に一対のカバーシートが互いに接着されている。これにより、第2マットにおいても、運輸省(現国土交通省)が定める「排出油防除資材の性能試験基準」(非特許文献2)を容易に満たすことができる。また、第1繊維の漏出を防止しつつ、より高い取り扱い性を発揮することができる。
また、本発明マットに内包される繊維集積体においては、図2を参照しながら説明したように、第1繊維同士が不規則に絡まりあっているため、油を吸着して膨らんだ状態においても繊維集積体を構成する第1繊維が解れることなく、安定した状態を保持しることができる。
〈効果〉
上記のように、第2マットにおいては、一対のカバーシートによってサンドイッチ状に本発明吸着材が挟まれており、周縁部の少なくとも一部においてのみ一対のカバーシートが互いに接着されている。その結果、油を吸着した際に繊維集積体が厚み方向に大きく膨らむことが容易となり、繊維集積体自体が本来備える油吸着性能を十分に発揮させることができる。
《第8実施形態》
以下、本発明の第8実施形態に係る油吸着マット(以降、「第3マット」と称呼される場合がある。)について説明する。
上述した第1マット及び第2マットを始めとする本発明マットにおいては、繊維集積体を構成する第1繊維が漏出しないように本発明吸着材の少なくとも一部がカバーシートによって覆われている。本発明吸着材は、親油性を有する高分子材料である第1材料からなり所定の繊維径の範囲及び分布を有する第1繊維が不規則に絡み合った集積体(繊維集積体)を含んでなる。その結果、本発明マットによれば、油吸着時における破断及び繊維の解れを低減しつつ、より高い油吸着性能を発揮することができる。
〈構成〉
そこで、第3マットは、上述した第1マット又は第2マットであって、油吸着比が40以上であり且つ油保持比が40以上であることを特徴とする、油吸着マットである。本明細書において、油吸着比は、第1試験油に油吸着マットの全体を20℃の温度において5分間に亘って浸漬させた後に1mmの線径及び17mmの目開きを有する金網である第1金網の上に5分間に亘って放置したときの油吸着マットの質量の第1試験油に浸漬する前の油吸着マットの質量に対する比として定義される。また、本明細書において、油保持比は、第1試験油に油吸着マットの全体を20℃の温度において5分間に亘って浸漬させた後に第1金網の上に30分間に亘って放置したときの油吸着マットの質量の第1試験油に浸漬する前の油吸着マットの質量に対する比として定義される。尚、本明細書において、第1試験油は、JISに定められているISO VG 22の粘度グレードを有する油である。
尚、上記「油吸着比」及び「油保持比」の定義は、所謂「B重油」に代えて上記「第1試験油」を使用する点を除き、前述した「排出油防除資材の性能試験基準」(非特許文献2)に準ずる。これは、B重油は粘性のバラツキが大きく、油吸着性能を評価するための試験油としては適していないとの判断から、B重油と同等の粘度を有する第1試験油を採用したものである。
〈効果〉
上記のように、第3マットは、油吸着比及び油保持比が何れも40以上であることを特徴とする、油吸着マットである。具体的には、第3マットにおいては、第1試験油に浸漬させた後に第1金網の上に5分間に亘って放置したときの油の吸着量が自重の40倍以上であるのみならず、更に25分間(合計で30分間)放置したときの油の吸着量もまた自重の40倍以上である。即ち、第3マットは、油を吸着する能力のみならず一旦吸着した油を保持する能力も高い、油吸着マットとして非常に優れた油吸着性能を発揮する。
ここで、本発明の実施例に係る油吸着材(以降、「実施例吸着材」と称呼される。)の各種特性につき、従来技術に係る比較用の油吸着材(以降、「比較例吸着材」と称呼される場合がある。)と対比しながら、以下に詳細に説明する。
(1)実施例吸着材及び比較例吸着材の製造
実施例吸着材は、上述したメルトブロー法において第1繊維同士を不規則に絡み合わせる処理を行うことによって得られた本発明に係る油吸着材(本発明吸着材)である。一方、比較例吸着材は、メルトブロー法において繊維同士を絡み合わせる処理を行わない点を除き、上述した実施例吸着材と同様に製造された従来技術に係る比較用の油吸着材(従来吸着材)である。実施例吸着材及び比較例吸着材の何れについても、30cm四方の正方形の外形を有する繊維集積体をそれぞれ製造した。また、第1繊維の繊維径の数量分布における最頻値(中心繊維径)が1500nmとなるように、第1材料としてのポリプロピレンの供給量及びメルトブロー法におけるガスの噴射量等を調整した。図10は、実施例吸着材301の外観を示す写真である。
(2)繊維集積体における第1繊維の繊維径の数量分布
実施例吸着材及び比較例吸着材を構成する繊維集積体を切断して、それぞれ約10mm×5mm四方の大きさを有する試験片を調製し、各々の試験片の異なる300箇所において走査型電子顕微鏡(SEM)による写真撮影を行った。そして、個々の箇所について画像解析によって測定された繊維径の平均値を個々の箇所における繊維径として算出し、当該繊維径の出現頻度(撮影箇所の数)の分布を、それぞれの試験片における第1繊維の繊維径の数量分布として求めた。
図11の(a)及び(b)は、それぞれ上述した実施例吸着材及び比較例吸着材における第1繊維の繊維径の数量分布を示すグラフである。図11の(a)及び(b)の何れにおいても、1本の棒の横軸の幅は120nmである。縦軸は、中心繊維径(最頻値)である1500nmの繊維径を中心とする120nmの繊維径の範囲内(1440〜1560nm)にある繊維径の出現頻度を正規化して1.0とした場合における、繊維径の各範囲内にある繊維径の出現頻度の相対値(正規化値)である。
図11の(a)と(b)との対比から明らかであるように、メルトブロー法において第1繊維同士を不規則に絡み合わせる処理を行って製造された実施例吸着材は、メルトブロー法において繊維同士を絡み合わせる処理を行わずに製造された比較例吸着材に比べて、第1繊維の繊維径の分布域がより広い(変動係数がより大きい)ことが確認された。このことは、メルトブロー法において第1繊維同士を不規則に絡み合わせる処理を行うことにより、第1繊維流における第1繊維の延伸効果が部分的に抑制され、繊維集積体における第1繊維の繊維径の分布域が広がり、より大きい繊維径を有する第1繊維が増大したことを示唆している。
(3)繊維集積体の嵩密度
例えば油吸着材の生産ライン等において上記のように走査型電子顕微鏡(SEM)によって繊維集積体を構成する第1繊維の繊維径の数量分布を測定したり繊維集積体の空隙率を測定したりして油吸着材の油吸着性能の管理指標とすることは現実的ではない。繊維径の数量分布及び空隙率に代わる油吸着性能の管理指標としては「嵩密度」を採用することができる。そこで、以下の手順により、上述した実施例吸着材を構成する繊維集積体の嵩密度を測定した。
1)シート状の繊維集積体を縦に三分割及び横に三分割して10cm四方の正方形の試験片を9つ調製する。
2)得られた9つの試験片の総質量M[g]を測定する。
3)上記9つの試験片を、試験片の1辺の長さよりも1cm長い正方形の底面を有する角柱状の透明なケース内に積み重ねる。
4)積み重ねられた9つの試験片の高さH[cm]及び1つの試験片の面積S[cm]から積み重ねられた9つの試験片の体積V[cm]を算出する。
5)9つの試験片の総質量M[g]及び体積V[cm]から繊維集積体の嵩密度ρ[g/cm](=M/V)を算出する。
上記(1)において製造された実施例吸着材を構成する繊維集積体(89枚)の嵩密度を上記手順に従って測定・算出した結果を以下の表1に示す。
Figure 0006917085
表1に示した結果から、1500nmの中心繊維径を有する実施例吸着材を構成する繊維集積体の嵩密度は、平均値が0.012[g/mm]であり、標準偏差が0.002[g/mm]であった。即ち、実施例吸着材を構成する繊維集積体の嵩密度は極めて安定して低いことが確認された。油吸着材の油吸着性能の管理指標となる空隙率は嵩密度に概ね反比例することから、このように低い嵩密度を有する繊維集積体の空隙率は高く、高い油吸着性能を有するものと期待される。
(4)撥水性試験
上述したJIS L 1092:2009に準拠する撥水度試験により実施例吸着材を構成する繊維集積体及び比較例吸着材を構成する繊維集積体の湿潤状態を比較した。その結果、実施例吸着材を構成する繊維集積体の湿潤状態は第5級又は第4級であったのに対し、比較例吸着材を構成する繊維集積体の湿潤状態は第1級又は第2級であった。
また、実施例吸着材を構成する繊維集積体及び比較例吸着材を構成する繊維集積体のそれぞれに水滴を垂らした結果、実施例吸着材を構成する繊維集積体においては、水滴を垂らす位置の高低に拘わらず水滴が弾かれて吸収されなかった。これに対し、比較例吸着材を構成する繊維集積体においては、水滴を垂らす位置が低い場合は水滴が弾かれて吸収されなかったものの、水滴を垂らす位置を上昇させると水滴が弾かれずに吸収されてしまった。
更に、実施例吸着材を構成する繊維集積体及び比較例吸着材を構成する繊維集積体のそれぞれを所定量の水と共に密閉容器に入れて激しく振った結果、実施例吸着材を構成する繊維集積体は水を吸収せず水面上に浮いていたのに対し、比較例吸着材を構成する繊維集積体は水を吸収して水中に沈んでしまった。
以上の各実験結果から、実施例吸着材を構成する繊維集積体は、比較例吸着材を構成する繊維集積体に比べて、優れた撥水性を有することが確認された。従って、実施例吸着材によれば、水が併存する環境においても、前述した吸水問題を引き起こす可能性が低く、油を有効に吸着して回収することができるものと期待される。
(5)繊維集積体の油吸着性能
そこで、上述した実施例吸着材を構成する繊維集積体の油吸着比(OAR)及び油保持比(OKR)を測定した。前述したように、油吸着比(OAR)は、第1試験油に油吸着マットの全体を20℃の温度において5分間に亘って浸漬させた後に1mmの線径及び17mmの目開きを有する金網である第1金網の上に5分間に亘って放置したときの油吸着マットの質量の第1試験油に浸漬する前の油吸着マットの質量に対する比である。また、油保持比(OKR)は、第1試験油に油吸着マットの全体を20℃の温度において5分間に亘って浸漬させた後に第1金網の上に30分間に亘って放置したときの油吸着マットの質量の第1試験油に浸漬する前の油吸着マットの質量に対する比である。第1試験油は、第1日本産業規格(JIS)に定められているISO VG 22の粘度グレードを有する油である。実施例吸着材を構成する繊維集積体の油吸着比(OAR)及び油保持比(OKR)の測定結果を以下の表2に列挙する。
Figure 0006917085
表2に示されているように、実施例吸着材を構成する繊維集積体の油吸着比(OAR)及び油保持比(OKR)は40倍以上であり、本発明に係る繊維集積体が格段に優れた油吸着性能を有することが確認された。
(6)繊維集積体の機械的強度
次に、実施例吸着材及び比較例吸着材を構成する繊維集積体の機械的強度について評価した。具体的には、引張試験機を用いて、実施例吸着材及び比較例吸着材を構成する8つの繊維集積体につき、破断強度[N]を測定した。先ず、実施例吸着材を構成する繊維集積体の破断強[N]を以下の表3に列挙する。
Figure 0006917085
次に、比較例吸着材を構成する繊維集積体の破断強度[N]を以下の表4に列挙する。
Figure 0006917085
表3及び表4に示した破断強度の平均値から、実施例吸着材を構成する繊維集積体の破断強度が、比較例吸着材を構成する繊維集積体に比べて、縦方向及び横方向において、それぞれ約1.6倍及び約1.8倍に増大していることが確認された。このような結果が得られたのは、実施例吸着材においては繊維集積体を構成する第1繊維同士が不規則に(例えば、三次元的且つ複雑に)絡み合っているのに対し、比較例吸着材においては繊維集積体を構成する繊維同士が絡み合っていないためであると考えられる。
上記のように比較例吸着材に比べて格段に高い機械的強度を有する実施例吸着材によれば、前述した運輸省(現国土交通省)が定める「排出油防除資材の性能試験基準」(非特許文献2)に定められる振動試験(破損試験及び沈降試験)においても、油吸着材の繊維が解れて分離したりダンゴ状になったりせず、油を吸着した後の回収時において油を吸着した後の重量の2.5倍の荷重をかけても破断が生じないことを示唆している。従って、実施例吸着材を構成する繊維集積体によれば、千鳥配列のように長さ方向及び幅方向の両方において所定の間隔を空けられた複数の箇所において熱圧着等によって綿状の繊維集積体を接着しなくても、解れ難い油吸着材を提供することができる。
(7)実施例吸着マットの製造
次に、上述した(1)と同様の手順により、50cm四方の正方形の外形を有する繊維集積体によって構成される実施例吸着材を製造した。図11の(a)を参照しながら上述したように、繊維集積体を構成する第1繊維の繊維径の数量分布における最頻値(中心繊維径)は1500nmである。また、繊維集積体の質量は約40gである。次に、50cm四方の正方形の形状を有する一対のカバーシートによって実施例吸着材の表裏をサンドイッチ状に挟み、周縁部の全周に亘る1cm幅の領域において、繊維集積体を介して一対のカバーシートを互いに接着した。尚、カバーシートとしては、前田工繊株式会社製の不織布シートである「スプリトップ(登録商標)SP−1030」を採用した。「スプリトップ(登録商標)SP−1030」の仕様として記載されている通り、カバーシートの目付は30[g/m]であるので、繊維集積体の表裏を覆う一対のカバーシートの質量はそれぞれ7.5gである。従って、実施例吸着マットの質量は55gである。
上記のように、実施例吸着マットにおいては、一対のカバーシートによってサンドイッチ状に油吸着材が挟まれており、一対のカバーシートの周縁部以外の領域においては、一対のカバーシートは互いに接着されていない。その結果、図9を参照しながら前述したように、油の吸着に伴って、繊維集積体が厚み方向に大きく膨らむことが容易となり、繊維集積体自体が本来備える油吸着性能を十分に発揮させることができる。
(8)実施例吸着マットの油吸着比(OAR)の推定
上述したように、実施例吸着マットにおいては、50cm四方の正方形の形状を有する一対のカバーシートによって実施例吸着材の表裏がサンドイッチ状に挟まれ、周縁部の全周に亘る1cm幅の領域において、繊維集積体を介して一対のカバーシートが互いに接着されている。従って、油を吸着することが可能な繊維集積体の実効面積は48cm四方となり、当該実効面積に対応する繊維集積体の実効質量は40g×(48/50)^2≒36.9gとなる。表2に示したように実施例吸着材を構成する繊維集積体の油吸着比(OAR)の平均値は46.4であり実施例吸着マットにおける当該繊維集積体の実効質量は36.9gであるので、実施例吸着マットによって吸着可能な油の量は36.9g×46.4倍≒1700gであると推定される。上述したように実施例吸着マットの質量は55gであるので、実施例吸着マットとしての油吸着比(OAR)は1700g÷55g≒30倍であると推測される。但し、実際には固着されていない48cm四方の実効面積においても周縁部において一対のカバーシートが接着されている影響を受けることから、実施例吸着マットとしての実際の油吸着比(OAR)は上記よりも20〜30%程度低下するものと推定される。このようにして推定される実施例吸着マットとしての油吸着比(OAR)30×0.7〜0.8=21〜24倍であると推定される。
(9)実施例吸着マットの油吸着比(OAR)の実測
次に、上述した(4)と同様の手順によって実施例吸着マットの油吸着比(OAR)を実測した結果を以下の表5に列挙する。
Figure 0006917085
表5に示す実測結果は、上記(7)における推定値に良好に一致する。このことは、実施例吸着マットにおいては一対のカバーシートによってサンドイッチ状に油吸着材が挟まれているものの周縁部以外の領域においては一対のカバーシートは互いに接着されていないために、繊維集積体の油吸着性能が十分に発揮されたことを意味する。また、例えば非特許文献1において開示されている油吸着材を始めとする現在市販されている油吸着マットの油吸着比(OAR)の公称値は10倍以上である。従って、20倍以上の油吸着比(OAR)を達成する実施例吸着マットは、従来技術に係る油吸着マットに比べて、2倍以上高い油吸着性能を発揮することになる。尚、本実施例においては、油を吸着した後のマット回収に必要な強度を勘案して、50cm四方の質量が7.5gとなる(目付が20g/mである)不織布シートをカバーシートとして採用したが、油を吸着した後のマット回収に必要な強度を達成し得るより軽量な不織布シートを採用すれば更に油吸着比(OAR)を高めることができる。
以上、本発明を説明することを目的として、特定の構成を有する幾つかの実施形態及び実施例につき、時に添付図面を参照しながら説明してきたが、本発明の範囲は、これらの例示的な実施形態及び実施例に限定されると解釈されるべきではなく、特許請求の範囲及び明細書に記載された事項の範囲内で、適宜修正を加えることが可能であることは言うまでも無い。
101…油吸着材(第1吸着材)、202a,202b,202c,202d,202e…油吸着マット(第2マット)、210…カバーシート、211…周縁部、及び301…油吸着材(実施例)。

Claims (10)

  1. 親油性を有する高分子材料である第1材料からなり300nm以上であり且つ5000nm未満である繊維径を有する繊維である第1繊維の集積体である繊維集積体を含んでなる油吸着材であって、
    前記繊維集積体においては、前記第1繊維同士が不規則に絡み合っており、且つ
    前記第1繊維の繊維径の数量分布における最頻値である中心繊維径が800nm以上であり且つ2500nm以下である、
    ことを特徴とする、油吸着材。
  2. 請求項1に記載された油吸着材において、
    前記第1繊維の繊維径の数量分布における変動係数が0.50以上であり且つ0.65以下である、
    ことを特徴とする、油吸着材。
  3. 請求項2に記載された油吸着材において、
    前記繊維集積体の嵩密度が0.01g/cm以上であり且つ0.05g/cm以下である、
    ことを特徴とする、油吸着材。
  4. 請求項3に記載された油吸着材であって、
    JIS L 1092:2009に準拠する撥水度試験において前記繊維集積体が第5級又は第4級の湿潤状態を示す、
    ことを特徴とする、油吸着材。
  5. 請求項1乃至請求項の何れか1項に記載された油吸着材において、
    前記第1材料はポリオレフィンである、
    ことを特徴とする、油吸着材。
  6. 請求項に記載された油吸着材において、
    前記第1材料はポリエチレン、ポリプロピレン及びポリブチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種の高分子材料である、
    ことを特徴とする、油吸着材。
  7. 請求項1乃至請求項の何れか1項に記載された油吸着材と、
    親油性を有する高分子材料である第2材料からなり且つ液体が通過し得る複数の間隙を備えるシート状の部材であるカバーシートと、を含み、
    前記第1繊維が漏出しないように前記油吸着材の少なくとも一部が前記カバーシートによって覆われている、
    ことを特徴とする、油吸着マット。
  8. 請求項7に記載された油吸着マットにおいて、
    一対の前記カバーシートによってサンドイッチ状に前記油吸着材が挟まれており、
    一対の前記カバーシートは、一対の前記カバーシートの周縁部の少なくとも一部においては直接的又は前記繊維集積体介して間接的に互いに固着されており且つ前記周縁部以外の領域においては互いに固着されていない、
    ことを特徴とする、油吸着マット。
  9. 請求項又は請求項に記載された油吸着マットにおいて、
    前記カバーシートは、前記第2材料からなる繊維である第2繊維によって構成された不織布又はメッシュである、
    ことを特徴とする、油吸着マット。
  10. 請求項乃至請求項に記載された油吸着マットであって、
    日本産業規格に定められているISO VG 22の粘度グレードを有する油である第1試験油に前記油吸着マットの全体を20℃の温度において5分間に亘って浸漬させた後に1mmの線径及び17mmの目開きを有する金網である第1金網の上に5分間に亘って放置したときの前記油吸着マットの質量の前記第1試験油に浸漬する前の前記油吸着マットの質量に対する比として定義される油吸着比が40以上であり、
    前記第1試験油に前記油吸着マットの全体を20℃の温度において5分間に亘って浸漬させた後に前記第1金網の上に30分間に亘って放置したときの前記油吸着マットの質量の前記第1試験油に浸漬する前の前記油吸着マットの質量に対する比として定義される油保持比が40以上である、
    ことを特徴とする、油吸着マット。
JP2020084305A 2020-05-13 2020-05-13 油吸着材及び油吸着マット Active JP6917085B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020084305A JP6917085B1 (ja) 2020-05-13 2020-05-13 油吸着材及び油吸着マット

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020084305A JP6917085B1 (ja) 2020-05-13 2020-05-13 油吸着材及び油吸着マット

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6917085B1 true JP6917085B1 (ja) 2021-08-11
JP2021178280A JP2021178280A (ja) 2021-11-18

Family

ID=77172668

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020084305A Active JP6917085B1 (ja) 2020-05-13 2020-05-13 油吸着材及び油吸着マット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6917085B1 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11217510A (ja) * 1997-11-29 1999-08-10 Yasuhiro Miyoshi 吸油シート組成物及びそれを用いた吸油シートの製造方法,吸油フロート,吸油テキスタイルの製造方法,吸油マット
JP4665261B2 (ja) * 2008-06-19 2011-04-06 株式会社北海道エコシス 撥水性を有する油吸着材
JP2013184095A (ja) * 2012-03-06 2013-09-19 Tamaru Seisakusho:Kk 油吸着材
EP3675118A4 (en) * 2017-06-30 2021-08-04 M-Techx Inc. SOUND INSULATION FIBER AGGREGATE, SOUND ABSORPTION / INSULATION MATERIAL AND VEHICLE SOUND ABSORPTION / INSULATION MATERIAL

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021178280A (ja) 2021-11-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20110280660A1 (en) Chemical sorbent article
US8118902B2 (en) Filtering medium and filter unit
US20050193696A1 (en) Composite filter media
AU2005328687B2 (en) Composite filter media
JP2010234285A (ja) エアフイルター用濾材
CN107921337B (zh) 便携式净水袋
CN111629807B (zh) 包含多孔膜的滤袋
JP2014529495A (ja) 多層濾材及び多層濾材から製造される濾過要素
KR20090102835A (ko) 마이크로섬유로 분할된 필름의 필터용 펠트 및 이의 제조 방법
JP2019074751A (ja) 吸音材
US10384156B2 (en) Filter media comprising fibers including charged particles
JP2012125714A (ja) エアフィルター用濾過材及びエアフィルター
WO2016043806A1 (en) Filter material comprising an expanded polytetrafluoroethylene containing layer and a natural fiber containing layer
JP6917085B1 (ja) 油吸着材及び油吸着マット
CN111182958B (zh) 过滤器介质
JP4800306B2 (ja) フィルタ材
JP6493276B2 (ja) 吸音材
JP4342282B2 (ja) フィルター材
JP2010179222A (ja) 油吸着用マット
KR101550758B1 (ko) 유수분리 필터용 여재 및 그의 제조방법
JP2008114177A (ja) 吸気用フィルター不織布
JP6895829B2 (ja) 不織布濾過材およびその製造方法
JP2007105685A (ja) 生分解性エアクリーナー用濾材
JP7415919B2 (ja) 濾材及びフィルターユニット
JP7032032B2 (ja) 吸音フェルト

Legal Events

Date Code Title Description
A80 Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80

Effective date: 20200522

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200915

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20200915

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20201013

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201201

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210127

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210323

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210514

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210630

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210712

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6917085

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150