JP6916198B2 - 歯科用組成物 - Google Patents

歯科用組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP6916198B2
JP6916198B2 JP2018544908A JP2018544908A JP6916198B2 JP 6916198 B2 JP6916198 B2 JP 6916198B2 JP 2018544908 A JP2018544908 A JP 2018544908A JP 2018544908 A JP2018544908 A JP 2018544908A JP 6916198 B2 JP6916198 B2 JP 6916198B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
formula
groups
monomer
dental
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018544908A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019510747A (ja
Inventor
クレー,ヨアヒム・エー
メイヤー,マクシミリアン
フィック,クリストフ・ペー
ラレヴェ,ジャック
フアシエ,ジャン・ピエール
モルレ−サヴァリー,ファブリス
ディエトラン,セリーヌ
ブーズラチ−ゼレリ,マリエム
Original Assignee
デンツプライ デトレイ ゲー.エム.ベー.ハー.
デンツプライ デトレイ ゲー.エム.ベー.ハー.
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by デンツプライ デトレイ ゲー.エム.ベー.ハー., デンツプライ デトレイ ゲー.エム.ベー.ハー. filed Critical デンツプライ デトレイ ゲー.エム.ベー.ハー.
Publication of JP2019510747A publication Critical patent/JP2019510747A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6916198B2 publication Critical patent/JP6916198B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K6/00Preparations for dentistry
    • A61K6/80Preparations for artificial teeth, for filling teeth or for capping teeth
    • A61K6/884Preparations for artificial teeth, for filling teeth or for capping teeth comprising natural or synthetic resins
    • A61K6/887Compounds obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K6/00Preparations for dentistry
    • A61K6/50Preparations specially adapted for dental root treatment
    • A61K6/54Filling; Sealing
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K6/00Preparations for dentistry
    • A61K6/60Preparations for dentistry comprising organic or organo-metallic additives
    • A61K6/62Photochemical radical initiators
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K6/00Preparations for dentistry
    • A61K6/80Preparations for artificial teeth, for filling teeth or for capping teeth
    • A61K6/884Preparations for artificial teeth, for filling teeth or for capping teeth comprising natural or synthetic resins
    • A61K6/887Compounds obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds
    • A61K6/889Polycarboxylate cements; Glass ionomer cements

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Oral & Maxillofacial Surgery (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Plastic & Reconstructive Surgery (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Dental Preparations (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)

Description

本発明は、ラジカル重合可能な炭素−炭素2重結合およびカチオン重合可能な基が均一相に存在するような、モノマーまたはモノマーの組み合わせを含む特定の均一相を含む歯科用組成物に関する。歯科用組成物は、ラジカル重合およびカチオン重合を開始するための特定の開始剤系をさらに含む。
歯の修復は、フリーラジカル重合可能な化合物を含有する光硬化性歯科用組成物を一般に含む。歯科用組成物の光硬化は、可視光への曝露の際、フリーラジカルを生じる光開始剤系を含む。フリーラジカルは、2つの経路:
(1)光開始剤化合物が、エネルギー吸収による励起を受け、続いて化合物が1つまたは複数のラジカルに分解される(ノリッシュ型I)、または
(2)光開始剤化合物が励起を受け、励起された光開始剤化合物が、エネルギー移動または酸化還元反応のいずれかにより第2の化合物と相互作用して、化合物のいずれかからフリーラジカルを形成する(ノリッシュ型II)
のいずれかにより典型的に生み出され得る。
光開始剤は、歯科用組成物の他の成分との相互作用を与える、放射線の放射線のラジカルへの転化について高量子収率をもたらすことを必要とされる。たとえ良好な量子収率を有したとしても、従来の歯科用組成物の重合における重合可能な基の転化は、たった約70パーセントである。それ故、重合された歯科用組成物の機械的強度は、決して最適ではなく、未反応のモノマーが、重合された歯科用組成物から浸出し得る。浸出する問題は、毒物の問題の原因となり得る。この問題を緩和するために、ポリマー網目構造において含まれる傾向が強い多官能モノマーが頻繁に使用される。
加えて、光開始剤は、歯科用組成物に取り込まれたとき、高い酸耐性、溶解性、熱安定性、および保存安定性を有することが必要とされる。
最終的に、歯科用組成物が、通常、(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリルアミドモノマーを含有すると仮定すると、フリーラジカル光硬化は、酸素の存在により阻害され得る。酸素阻害は、炭素−炭素不飽和2重結合に対して反応性としてではなく、それ故、いずれの光重合反応においても開始しないか、または関与しないペルオキシルラジカルを生じる、伝搬ラジカルの酸素分子との高速反応に起因する。酸素阻害は、早期連鎖停止反応、それ故、不完全な光硬化の原因となり得る。それにもかかわらず、接着層の極表面上でのある程度の酸素阻害が、隣接修復剤への結合に必要である。
したがって、開始剤系は、歯科用材料の質に重大な影響を有する。通常、場合により3級アミンと組み合わせたカンファキノン、または2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィナート(Irgacure(登録商標)TPO)が、光開始剤系として頻繁に使用される。しかしながら、アクリレート含有組成物におけるアミンの存在が、結果として生じる光硬化された組成物における黄変を生じ、望ましくない臭気を生み出し、連鎖移動反応のため硬化された組成物を軟化させ得、それ故、安定剤の使用をしばしば必要とする。さらに、芳香族アミンの使用は、毒物の懸念を生じる。
さらに、光開始剤系の光活性化は、患者の口腔内での歯科用組成物の重合中に軟組織の損傷を回避するために、十分に長い波長を有することが望ましい。したがって、光開始剤系は、400〜800nmの範囲にある所望される波長の光を効率的に吸収する発色団を含有することが必要とされる。しかしながら、光開始剤系の吸収係数の増大は、光開始剤系の着色を増大し、これにより、光硬化前に歯科用組成物の着色を増大する。したがって、開始剤系の着色が、いわゆる「光脱色」により、重合された歯科用組成物において消失するように、発色団が、重合中に効率的に破壊されることが必要である。光の活性化は、未重合の層を覆う重合された層に存在する光開始剤系により、歯科用組成物の未重合の層からシールドされないので、重合中の発色団の破壊はまた、歯科用組成物の硬化の深度を増大する際に有用であり得る。
カチオン重合可能な基はまた、歯科用組成物に存在し得る。フリーラジカル重合可能な基を有する化合物とカチオン重合可能な基を有する化合物の組み合わせを含む歯科用組成物は、いわゆる「相互侵入ポリマー網目構造」(IPN)を形成することが知られている。IPNは、分子スケールで少なくとも部分的に織り合わされるが、互いに結合しておらず、化学結合が破壊されない限り、分離することができない、2つ以上のポリマーを含む。IPNの形成は、硬化された歯科用組成物の化学的特性と機械的特性の両方を調整することを可能にする。
IPNを形成する歯科用組成物が公知である。例えば、国際公開第2015/157329A1号は、IPNを形成する能力がある歯科用組成物を開示し、その歯科用組成物は、(1)少なくとも1つのカチオン反応性化合物;(2)ヨードニウム塩の形態の少なくとも1つのカチオン光開始剤;(3)少なくとも1つの反応性オキシラン、オキセタン、もしくはアルケニルエーテルを含む、有機モノマー、オリゴマーまたはポリマーである少なくとも1つの化合物;(4)少なくとも1つの反応性アクリレートを含む、有機モノマー、オリゴマーまたはポリマーである少なくとも1つの化合物;ならびに(5)芳香族ケトンまたはカンファキノンのようなジケトンの形態の少なくとも1つのフリーラジカル開始剤;ならびに(6)少なくとも1つの反応性アクリレートもしくはメタクリレートおよび少なくとも1つのオキシラン、オキセタン、もしくはアルケニルエーテルを含む、有機モノマー、オリゴマーまたはポリマーである少なくとも1つの化合物を含む。
欧州公開第1905415A1号および欧州公開第2103297A1号は、ラジカル重合モノマーおよび/またはカチオン重合モノマーを含む重合可能な結合剤、ならびにアシルゲルマニウム化合物を含有する光開始剤を含む歯科用組成物を開示する。
−低減された重合収縮および圧力、
−適当な動作時間の組成物をもたらすよう適合し得る、高い転化かつ良好な硬化速度を含む改善された重合効率、
−硬化の改善された深度、
−改善された機械的特性、および
−着色問題がないこと
をもたらす歯科用組成物を提供することが、本発明の課題である。
本発明は、
(a)モノマーの組み合わせ(i)と(ii)、(i)と(iii)、(ii)と(iii)、もしくは(i)と(ii)と(iii)を含む、またはモノマー(iii)を含む均一相であって、ここで、
(i)は、1つまたは複数のラジカル重合可能な炭素−炭素2重結合を有する1つまたは複数の化合物を表し;
(ii)は、1つまたは複数のカチオン重合可能な基を有する1つまたは複数の化合物を表し;
(iii)は、1つまたは複数のラジカル重合可能な炭素−炭素2重結合と1つまたは複数のカチオン重合可能な基の組み合わせを有する1つまたは複数の化合物を表す、均一相;
(b)
(iv)以下の式(I):
Figure 0006916198

(式中、
Mは、GeまたはSiであり:R、RおよびRは、同じであるか、または異なっていてもよく、独立して、有機基を表し、
は、水素原子、有機または有機金属基を表す;但し、Rが水素原子であるとき、開始剤系は、300〜600nmの範囲に光吸収最大値を有する増感剤化合物をさらに含む)
の1つまたは複数のラジカル重合開始剤;
(v)以下の式(II):
Figure 0006916198

(式中、
およびRは、同じであるか、または異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアリール基を独立して表し;
は、アニオンを表す)、
式(III):
Figure 0006916198

(式中、
、RおよびRは、同じであるか、または異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアリール基を独立して表し;
は、アニオンを表す)、
および式(IV):
Figure 0006916198

(式中、
10、R11、R12、およびR13は、同じであるか、または異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキルまたはアリール基を独立して表し;
は、アニオンを表す)
から選択される化合物である、カチオン重合開始剤
を含む開始剤系、を含む歯科用組成物を提供する。
本発明は、均一相(a)と開始剤系(b)の特定の組み合わせを含む歯科用組成物が、低減した重合収縮および圧力をもたらし、かつ同時に、硬化の際に優れた機械的特性に至るより高い程度の転化をもたらすという認識に基づく。特に、開始剤系(b)の存在下でのラジカル重合およびカチオン重合は、互いに干渉しないことが見出された。むしろ、本発明の効果は、フリーラジカル重合が速い速度で進み、カチオン重合がよりゆっくりした速度で進み、これにより、重合収縮および圧力が、有意に低減され得る、重合により達成される。さらに、高い重合効率は、未重合の化合物をほとんど含まない硬化された歯科用組成物をもたらす。さらに、照射の際の望まない変色が効果的に予防されるので、本歯科用組成物は、良好な審美効果をもたらす。したがって、比較的大量の歯科用組成物は、放射線への低減した曝露で光硬化することができる。開始剤系(b)の高い効率のため、酸素の存在は、本発明による歯科用組成物を光硬化する間の重大な損害ではない。
均一相が、モノマーの組み合わせ(i)と(ii)、(i)と(iii)、(ii)と(iii)、または(i)と(ii)と(iii)を含む場合、相互侵入ポリマー網目構造(IPN)がもたらされる。
均一相が、モノマー(iii)のみを含む場合、重合収縮および圧力は、フリーラジカル重合が速い速度で進み、カチオン重合がより遅い速度で進み、これにより、重合収縮および圧力が、有意に低減され得る、重合により低減され得る。
図1は、477nmに中心がある青色歯科用LED(Dentsply De−Trey GermanyのSmartLite(登録商標)Focus、約80mW/cm)である、実施例の光硬化性試料の照射のため使用される放射線源の発光スペクトルを示す。別段示されない限り、青色歯科用LEDは、出力約80mW/cmで適用された。略語「I」は「強度」を表し、略語「a.u.」は「任意の単位」を表す。 図2は、477nmの歯科用LED(SmartLite(登録商標)Focus)への曝露の際に開始剤系カンファキノン(CQ)/水素化トリフェニルゲルマニウム(PhGeH)/ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート(DPI)(1%/1.5%/1.5%w/w)の存在下で薄板中の厚さ25μmの試料において重合されたトリエチレングリコールジビニルエーテル(DVE−3)の光重合特性を示す。図2において点線により示される通り、照射をt=12秒にて開始する。 図3は、477nmの歯科用LED(SmartLite(登録商標)Focus)への曝露の際に開始剤系tert−ブチル(tert−ブチルジメチルシリル)グリオキシラート)(DKSi)/DPI(2%/1%w/w)の存在下で薄板中の厚さ25μmの試料において重合されたDVE−3の光重合特性を示す。図3において点線により示される通り、照射をt=12秒にて開始する。 図4Aは、477nmの歯科用LED(SmartLite(登録商標)Focus)への曝露の際に開始剤系CQ/PhGeH/DPI(2%/1.5%/1.5%w/wの存在下で空気下、厚さ25μmの試料において重合された7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−イルメチル7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボキシレート(EPOX)の光重合特性を示す。図4Aにおいて点線により示される通り、照射をt=10秒にて開始する。 図4Bは、477nmの歯科用LED(SmartLite(登録商標)Focus、300mW/cm)への曝露の際に開始剤系DKSi/4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(PI2074)(2%/2%w/w)の存在下で空気下、厚さ25μmの試料において重合された1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−イル)エチル]ジシロキサン(EPOX−Si)の光重合特性を示す。図4Bにおいて点線により示される通り、照射をt=10秒にて開始する。 図4Cは、照射前および後の波長範囲約2880〜3150cm−1内の図4Bの試料のIRスペクトル部分を示す。図4Cにおける矢印は、EPOX−Siのエポキシ官能基の転化をモニターするための約2980cm−1のピークを示す。 図5は、以下の異なる開始剤系:−曲線(1):DKSi/DPI(1%/1%w/w)−曲線(2):DKSi/PhGeH/DPI(1%/1%/1%w/w)についての、477nmの歯科用LED(SmartLite(登録商標)Focus)への曝露の際に空気下、厚さ25μmの試料において重合されたEPOXの光重合特性を示す。 図5において点線により示される通り、照射をt=10秒にて開始する。 図6は、477nmの歯科用LED(SmartLite(登録商標)Focus、300mW/cm)への曝露の際に開始剤系DKSi/DPI(2%/1%w/w)の存在下での光重合前および後の空気下、厚さ1.4mmの試料において重合された4,4,6,16(または4,6,6,16)−テトラメチル−10,15−ジオキソ−11,14−ジオキサ−2,9−ジアザヘプタデス−16−エン酸2−[(2−メチル−1−オキソ−2−プロペン−1−イル)オキシ]エチルエステル(CAS番号72869−86−4)(UDMA)/DVE−3混合物(60%/40%w/w)のIRスペクトルを示す。光重合後のIRスペクトルは、重合後のメタクリレートおよびビニルエーテル官能基の完全な転化を示す。縦座標を示すために使用される略語「O.D.」は、「吸光度」を意味する。この略語は、図7、11A〜C、13B/Cおよび14Aにおけるのと同じ意味で使用される。 図7は、477nmの歯科用LED(SmartLite(登録商標)Focus)への曝露の際に開始剤系DKSi/DPI(2%/1.5%w/w)の存在下での空気下、厚さ1.4mmの試料における(BisGMA)/DVE−3混合物(50%/50%w/w)の光重合中に記録されたIRスペクトルを示す。IRスペクトルの右にある四角形において、最も早いスペクトルから最も後のスペクトルについての重合時間が、出現順に示される。すなわち、最も早いスペクトルは、重合時間0秒にて得られ、最も後のスペクトルは、重合時間100秒後に得られる。IRスペクトルは、重合後のメタクリレートおよびビニルエーテル官能基の完全な転化を示す。 図8は、477nmの歯科用LED(SmartLite(登録商標)Focus)への曝露の際に開始剤系DKSi/DPI(2%/1.5%w/w)の存在下での空気下、1.4mmの試料において重合されたBisGMA/DVE−3混合物(50%/50%w/w)についての光重合特性を示す。 図9A、9Bおよび9Cは、以下の混合物:−曲線(1):UDMA/ジ(エチレングリコール)ジビニルエーテル(DEGDVE)(75%/25%w/w);−曲線(2):UDMA/DEGVE(75%/25%w/w);および−曲線(3):UDMA/DVE−3(75%/25%w/w)についての、メタクリレート官能基の光重合特性(図9Aを参照)、ビニルエーテル官能基の光重合特性(9Bを参照)ならびに全体的なメタクリレートおよびビニルエーテル官能基の光重合特性(9Cを参照)を示す。 同上。 同上。 これらの混合物は、477nmの歯科用LED(SmartLite(登録商標)Focus、300mW/cm)への曝露の際に開始剤系DKSi/DPI(1.2%/1.2%w/w)の存在下での空気下、厚さ1.4mmの試料において重合された。 図10は、477nmの歯科用LED(SmartLite(登録商標)Focus)への曝露の際に開始剤系CQ/PhGeH/DPI(1%/2%/1%w/w)の存在下での空気下、20μmの試料において重合されたBisGMA/トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)/EPOX混合物(75%/50%w/w)の光重合特性を示す。 図11Aおよび11Bおよび11Cは、光重合前および後の図10の試料のIRスペクトルを示す。特に、図11Aは、EPOXのエポキシド官能基の転化をモニターするためのIRスペクトル範囲775〜900cm−1を示し、図11Bは、BisGMAおよびTEGDMAのメタクリレート官能基の転化をモニターするためのIRスペクトル範囲1,500〜1,700cm−1を示し、図11Cは、PhGeHのヒドリド官能基Ge−Hの転化をモニターするためのIRスペクトル範囲1,900〜2,250cm−1を示す。 同上。 同上。 図12Aは、477nmの歯科用LED(SmartLite(登録商標)Focus)への曝露の際に開始剤系CQ/PhGeH/DPI(1%/2%/1%w/w)の存在下での空気下、厚さ1.4mmの試料において重合されたBisGMA/TEGDMA/EPOX(35%/15%/50%w/w)混合物の光重合特性を示す。 図12Bは、光重合の前および後の図12Aの試料のIRスペクトルを示し、ここで、波長範囲内で、重合の前および後のメタクリレート官能基の転化がモニターされ得る。 図13Aは、477nmの歯科用LED(SmartLite(登録商標)Focus)への曝露の際に開始剤系CQ/PhGeH/PI2074(2%/2%/2%w/w)の存在下での空気下、厚さ1.4mmの試料において重合されたUDMA/EPOX−Si混合物(50%/50%w/w)についての光重合特性を示す。具体的には、図13Aは、重合の前および後のエポキシ官能基(曲線(1)を参照)、メタクリレート官能基(曲線(2)を参照)、およびヒドリド(Ge−H)官能基(曲線(3)を参照)についての転化の別々の曲線を示す。 図13B、および13Cは、図13Aの試料のIRスペクトルの異なる部分を示す。具体的には、図13Bは、IRスペクトル範囲約2,000〜7,000cm−1を示し、ここで、PhGeHのGe−H結合、エポキシドEPOX−SiおよびメタクリレートUDMの転化をモニターするための範囲が、楕円で示される。図13Cは、IRスペクトル範囲約3,500〜6,500cm−1を示し、ここで、エポキシドEPOX−SiおよびメタクリレートUDMAの転化をモニターするための範囲が、楕円で示される。 同上。 図14Aは、図12において得られたポリマーの異なる保存時間について得られたエポキシピークを含有するIRスペクトル部分を示す。IRスペクトルの右にある四角形において、最も早いスペクトルから最も後のスペクトルについての保存時間が、出現順に示される。すなわち、最も早いスペクトルは、保存時間t=0について得られ、最も後のスペクトルは、37℃にて8時間プラス22℃にて22時間プラス22℃にて108時間プラス37℃にて6時間の保存時間について得られる。 図14Bは、保存時間0〜10時間、30〜50時間および143〜150時間内の37℃の加熱期間での、図12において得られたポリマーについてのエポキシ官能基転化対保存時間を示す。 図15は、開始剤系DKSi/DPI(1.2wt%/1.2wt%)またはCQ/DMABE(0.35%/0.49%w/w)の存在下で光重合されたUDMA/グリセリンジメタクリレート(GDM)/DEGVEの示差走査熱量測定(differential scanning calometry)図を示す。 図16は、477nmの歯科用LED(SmartLite(登録商標)Focus;300mW/cm)への曝露の際に異なる開始剤系の存在下での空気下、厚さ20μmの試料において重合されたエポキシモノマーEPOXについての光重合特性を示す。具体的には、図16は、以下の開始剤系の存在下での重合についての別々の曲線:−曲線(1):CQ/DPI(2%/1.5%w/w);−曲線(2):CARET/DPI(1.2%/1.5%w/w);−曲線(3):CQ/CARET/DPI(2%/1.2%/1.5%w/w)、および−曲線(4):CQ/CARET/DPI(2%/2.4%/1.5%w/w)を示す。 図17Aは、477nmの歯科用LED(SmartLite(登録商標)Focus;300mW/cm)への曝露の際に開始剤系CQ/CARET/PI2074(2%/2%/2%w/w)の存在下での空気下、厚さ1.4mmの試料において重合されたUDMA/EPOX−Si混合物(50%/50%w/w)についての光重合特性を示す。曲線(1)は、メタクリレート官能基についての転化であり、曲線(2)は、重合中のエポキシ官能基についての転化である。 図17Bは、保存時間0〜7時間、および23〜30時間内の37℃の加熱期間での、図17Aにおいて得られたポリマーについてのエポキシ官能基転化対保存時間を示す。 図18は、477nmの歯科用LED(SmartLite(登録商標)Focus;300mW/cm)への曝露の際に開始剤系DKSi/PI2074/CARET(1.2%/1.1%/1%w/w)の存在下での空気下、厚さ1.4mmの試料において重合されたUDMA/VEEM(64%/36%w/w)混合物についてのメタクリレート官能基(曲線(1)を参照)、ビニルエーテル官能基(曲線(2)を参照)、および全体的なメタクリレートおよびビニルエーテル官能基(曲線(3)を参照)の光重合特性を示す。照射をt=10秒にて開始する。 図19は、477nmの歯科用LED(SmartLite(登録商標)Focus、300mW/cm)への曝露の際に開始剤系DKSi/PI2074/CARET(1.2%/1.1%/1%w/w)(曲線(1)を参照)またはDKSi/PI2074(1.2%/1.1%w/w)の存在下での空気下、厚さ1.4mmの試料において重合されたUDMA/VEEM(64%/36%w/w)混合物についてのビニルエーテル官能基の光重合特性を示す。照射をt=10秒にて開始する。
用語「均一相」は、モノマーの組み合わせ(i)と(ii)、(i)と(iii)、(ii)と(iii)、もしくは(i)と(ii)と(iii)、またはモノマー(iii)が、単一相内に検出可能な相境界を有しない単一相に存在することを意味する。
本明細書において使用される用語「モノマー」は、重合可能な基を有する化合物を意味する。
本明細書において使用される用語「相互侵入ポリマー網目構造(IPN)」は、2つ以上のポリマーが、分子スケールで少なくとも部分的に織り合わされるが、互いに共有結合しておらず、化学結合が破壊されない限り、分離することができないことを意味する。2つ以上の予め形成されたポリマーの混合物は、IPNを示さない。IPNの2つ以上のポリマーが、2つ以上の重合可能な基を有する化合物から形成されるなら、そのとき、IPNは、公式IUPAC定義:「分子スケールで少なくとも部分的に織り合わされるが、互いに共有結合しておらず、化学結合が破壊されない限り、分離することができない2つ以上の網目構造を含むポリマー」によるものである。1つまたは複数のポリマーが、2つ以上の重合可能な基を有する化合物から形成され、1つまたは複数のポリマーが、単一の重合可能な基を有する化合物から形成されるなら、そのとき、IPNは、IUPAC定義、いわゆる「半相互侵入ポリマー網目構造(SIPN)」:「分岐高分子の直鎖の少なくとも幾つかによる網目構造の少なくとも1つの分子スケールでの侵入により特徴付けられる1つまたは複数の網目構造および1つもしくは複数の線状または分岐ポリマーを含むポリマー」によるものである。IPNの現在の一般的な定義は、IUPAC定義によるIPNおよびSIPNを含むが、分子スケールで少なくとも部分的に織り合わされるが、互いに共有結合しておらず、化学結合が破壊されない限り、分離することができない2つ以上の線状または分岐ポリマーも含む。
用語「重合」および「重合可能な」は、より大きな分子、すなわち、高分子もしくはポリマーを形成するためにモノマーのような、多数のより小さな分子の共有結合により化学結合するかまたは化学結合する能力に関する。モノマーは、化学結合されて線状高分子のみを形成し得るか、またはそれらは、化学結合されて、架橋結合ポリマーとして一般に言及される3次元高分子を形成し得る。例えば、単官能モノマーは線状ポリマーを形成し、一方、少なくとも2つの官能基を有するモノマーは、網目構造としても公知の架橋結合ポリマーを形成する。より高い転化率の重合可能なモノマーの場合、多官能モノマーの量は低減され得るか、または浸出する問題が緩和され得る。
用語「硬化」および「光硬化」は、官能モノマー、オリゴマーまたはさらにポリマーの、ポリマー網目構造、具体的には、IPNへの重合を意味する。
用語「光硬化性」および「硬化性」は、例えば、紫外線(UV)、可視光、または赤外線放射のような化学線で照射されるとき、ポリマー網目構造に重合する歯科用組成物を指す。
用語「量子収率」を本明細書において使用して、光化学プロセスの効率を示す。より具体的には、量子収率は、光量子の吸収後の特定の分子の励起の可能性の測定値である。用語は、吸収された光子当たりの光化学現象の数を表す。
「化学線」は、光化学作用を生じる能力があり、少なくとも150nmかつ1250nm以下、および典型的には、少なくとも300nmかつ750nm以下の波長を有し得る、任意の電磁放射線である。
用語「共開始剤」は、式(I)〜(IV)の開始剤のような別の分子において化学変化を生じる分子を指す。共開始剤は、例えば、Si−HまたはGe−H結合を有する化合物、電子供与体、カルバゾール化合物、および式(I)〜(IV)の化合物のいずれか1つ以外の光開始剤からなる群から選択されてもよい。
本明細書において使用される用語「電子供与体」は、光化学プロセスにおいて電子に関与する能力がある化合物を意味する。適当な例は、電子孤立対を有するヘテロ原子を有する有機化合物、例えば、アミン化合物を含む。
本発明は、歯科用組成物に関する。歯科用組成物は、歯科修復組成物または歯科補綴組成物であってもよい。より好ましくは、歯科用組成物は、歯科用接着性組成物、結合剤、小窩裂溝封鎖材、歯科用知覚鈍麻組成物、歯髄覆罩組成物、歯科用コンポジット、流動性歯科用コンポジット、歯科用グラスアイオノマーセメント、歯科用セメント、樹脂修飾グラスアイオノマー、または歯科用根管シーラー組成物からなる群から選択される。歯科用組成物は、化学線の照射により硬化されてもよい。
均一相(a)
歯科用組成部は、(a)モノマー組み合わせ(i)と(ii)、(i)と(iii)、(ii)と(iii)、もしくは(i)と(ii)と(iii)を含むか、またはモノマー(iii)を含む均一相を含み、ここで、
(i)は、1つまたは複数のラジカル重合可能な炭素−炭素2重結合を有する1つまたは複数の化合物を表し;
(ii)は、1つまたは複数のカチオン重合可能な基を有する1つまたは複数の化合物を表し;
(iii)は、1つまたは複数のラジカル重合可能な炭素−炭素2重結合と1つまたは複数のカチオン重合可能な基の組み合わせを有する1つまたは複数の化合物を表す。
ラジカル重合可能な炭素−炭素2重結合およびカチオン重合可能な基は、特に制限されない。好ましくは、ラジカル重合可能な炭素−炭素2重結合は、(メタ)アクリロイル基および(メタ)アクリルアミド基、好ましくは(メタ)アクリロイル基の炭素−炭素2重結合から選択される。さらに、カチオン重合可能な基は、エポキシド基、オキセタン基、ビニルエーテル基、アジリジン基、およびアゼチジン基から、好ましくは、エポキシド基、ビニルエーテル基およびオキセタン基から、最も好ましくは、エポキシド基およびビニルエーテル基から選択されることが好ましい。
1つまたは複数のラジカル重合可能な炭素−炭素2重結合を有する化合物(i)は、特に制限されない。しかしながら、好ましくは、それらのラジカル重合可能な炭素−炭素2重結合は、(メタ)アクリロイル基および(メタ)アクリルアミド基の炭素−炭素2重結合から選択される。
化合物(i)の適当な例は、(メタ)アクリレート、アクリル酸またはメタクリル酸のアミド、ウレタンアクリレートまたはメタクリレート、およびポリオールアクリレートまたはメタクリレートからなる群から選択されてもよい。
(メタ)アクリレートは、以下の式(A)、(B)ならびに(C):
Figure 0006916198

(式中、R20、R 20、R** 20、R*** 20は、独立して、水素原子、−COOM、C3−6シクロアルキル基、C6−14アリールもしくはC3−14ヘテロアリール基、−COOM、−POM、−O−POまたは−SOにより置換されていてもよい線状C1−18あるいは分岐C3−18アルキル基、C1−16アルキル基、C6−14アリールもしくはC3−14ヘテロアリール基、またはC〜C18アリールもしくはC〜C18ヘテロアリール基、−COOM、−POM、−O−POあるいは−SOにより置換されていてもよいC〜C18シクロアルキル基を表し、
21は、水素原子、C3−6シクロアルキル基、C6−14アリールもしくはC3−14ヘテロアリール基、−COOM、−POM、−O−POまたは−SOにより置換されていてもよい線状C1−18あるいは分岐C3−18アルキル基あるいはC〜C18アルケニル基、C1−16アルキル基、C6−14アリールもしくはC3−14ヘテロアリール基、−COOM、−POM、−O−POまたは−SOにより置換されていてもよいC〜C18シクロアルキル基、あるいはC〜C18アリールまたはC〜C18ヘテロアリール基を表し、
22は、1〜45個の炭素原子を有する2価の有機残基を表し、これにより、2価の有機残基は、1〜7個のC3−12シクロアルキレン基、1〜7個のC6−14アリーレン基、1〜7個のカルボニル基、1〜7個のカルボキシル基(−(C=O)−O−もしくは−O−(C=O−))、1〜7個のアミド基(−(C=O)−NH−もしくは−NH−(C=O)−)または1〜7個のウレタン基(−NH−(C=O)−O−もしくは−O−(C=O)−NH−)、ならびに酸素、窒素および硫黄から選択される1〜14個のヘテロ原子の少なくとも1つを含有してもよく、2価の有機残基は、ヒドロキシル基、チオール基、C6−14アリール基、−COOM、−POM、−O−POもしくは−SOからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく;好ましくは、R22は、1つまたは複数の−OH基により置換されていてもよいC〜C18アルキレン基であり、アルキレン基は、1〜4個のC6−10アリーレン基、1〜4個のウレタン基(−NH−(C=O)−O−または−O−(C=O)−NH−)、および1〜8個の酸素原子の少なくとも1つを含有してもよく;
23は、飽和の2もしくは多価の置換されているかまたは置換されていないC〜C18炭化水素基、飽和の2もしくは多価の置換されているかまたは置換されていない環状C〜C18炭化水素基、2もしくは多価の置換されているかまたは置換されていないC〜C18アリールあるいはヘテロアリール基、2もしくは多価の置換されているかまたは置換されていないC〜C18アルキルアリールあるいはアルキルヘテロアリール基、2もしくは多価の置換されているかまたは置換されていないC〜C30アラルキル基、あるいは1〜14個の酸素原子を有する2もしくは多価の置換されているかまたは置換されていないC〜C45モノ−、ジ−、またはポリエーテル残基を表し、
mは整数であり、好ましくは、1〜10の範囲にある整数であり、
ここで、R20、R 20、R** 20、R*** 20、R21、およびR22のいずれか1つのMは、互いに独立し、それぞれが、水素原子または金属原子を表し、
20、R 20、R** 20、R*** 20、R21、およびR22のいずれか1つのMは、そのMは互いに独立し、それぞれが、金属原子を表す)
の化合物から好ましくは選択されてもよい。
20、R 20、R** 20およびR*** 20について、線状C1−18または分岐C3−18アルキル基は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、ペンチルまたはヘキシルであってもよい。R21およびR 21について、C1−18アルキル基またはC2−18アルケニル基は、例えば、エチル(エテニル)、n−プロピル(プロペニル)、i−プロピル(プロペニル)、n−ブチル(ブテニル)、イソブチル(イソブテニル)、tert−ブチル(ブテニル)、sec−ブチル(ブテニル)、ペンチル(ペンテニル)またはヘキシル(ヘキセニル)であってもよい。
20、R 20、R** 20、R*** 20およびR21について、アリール基は、例えば、フェニル基またはナフチル基であってもよく、C3−14ヘテロアリール基は、窒素、酸素および硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を含有してもよい。
22について、語句「2価の有機残基は、...の少なくとも1つを含有してもよい」において、2価の有機残基において含有されてもよい基は、共有結合により、2価の有機残基において取り込まれることを意味する。例えば、BisGMAにおいて、フェニルの形態の2つのアリール基および酸素の形態の2つのヘテロ原子は、R22の2価の有機残基に取り込まれる。または、さらなる例として、UDMAにおいて、2つのウレタン基(−NH−(C=O)−O−または−O−(C=O)−NH−)は、R22の2価の有機残基において取り込まれる。
式(B)において、点で描かれた結合は、R20およびR*** 20が、COについてシスまたはトランス配座であってもよいことを示す。
好ましくは、式(A)、(B)および(C)において、R20、R 20、R** 20およびR*** 20は、独立して、水素原子、C3−6シクロアルキル基、C6−14アリールもしくはC3−14ヘテロアリール基により置換されていてもよい線状C1−16または分岐C3−16アルキル基、C1−16アルキル基、C6−14アリールまたはC3−14ヘテロアリール基、C6−14アリールまたはC3−14ヘテロアリール基により置換されていてもよいC3−6シクロアルキル基を表す。より好ましくは、式(B)において、R20、R 20、R** 20およびR*** 20は、独立して、水素原子、C4−6シクロアルキル基、C6−10アリールもしくはC4−10ヘテロアリール基により置換されていてもよい線状C1−8または分岐C3−8アルキル基、C1−6アルキル基、C6−10アリールもしくはC4−10ヘテロアリール基またはC6−10アリール基により置換されていてもよいC4−6シクロアルキル基を表す。なおより好ましくは、R20、R 20、R** 20およびR*** 20は、独立して、水素原子、シクロヘキシル基もしくはフェニル基により置換されていてもよい線状C1−4あるいは分岐CまたはCアルキル基、あるいはC1−4アルキル基により置換されていてもよいシクロヘキシル基を表す。最も好ましくは、R20、R 20、R** 20およびR*** 20は、独立して、水素原子、あるいは線状C1−4もしくは分岐CまたはCアルキル基を表す。
好ましくは、式(A)において、R21は、水素原子、C3−6シクロアルキル基、C6−14アリールもしくはC3−14ヘテロアリール基により置換されていてもよい線状C1−16または分岐C3−16アルキル基あるいはC2−16アルケニル基、C1−16アルキル基、C6−14アリールまたはC3−14ヘテロアリール基、C6−14アリールまたはC3−14ヘテロアリール基により置換されていてもよいC3−6シクロアルキル基を表す。より好ましくは、R21は、水素原子、C4−6シクロアルキル基、C6−10アリールもしくはC4−10ヘテロアリール基により置換されていてもよい線状C1−10または分岐C3−10アルキルあるいはC2−10アルケニル基、C1−6アルキル基、C6−10アリールもしくはC4−10ヘテロアリール基またはC6−10アリール基により置換されていてもよいC4−6シクロアルキル基を表す。なおより好ましくは、R21は、水素原子、シクロヘキシル基もしくはフェニル基により置換されていてもよい線状C1−10または分岐C3−10アルキル基あるいは線状C2−10または分岐C3−10アルケニル基、あるいはC1−4アルキル基により置換されていてもよいシクロヘキシル基を表し、それである。さらになおより好ましくは、R21は、置換されていないC1−10アルキル基またはC2−10アルケニル基を表し、まだなおより好ましくは、置換されていないC2−6アルキル基またはC3−6アルケニル基を表し、最も好ましくは、エチル基またはアリル基を表す。
式(A)、(B)および(C)の(メタ)アクリレート化合物は、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ビスフェノールAグリセロラートジメタクリレート(「ビス−GMA」、CAS番号1565−94−2)、4,4,6,16(または4,6,6,16)−テトラメチル−10,15−ジオキソ−11,14−ジオキサ−2,9−ジアザヘプタデス−16−エン酸2−[(2−メチル−1−オキソ−2−プロペン−1−イル)オキシ]エチルエステル(CAS番号72869−86−4)_(UDMA)、1,3−グリセロールジメタクリレート(GDM)のようなグリセロールモノ−およびジ−アクリレート、グリセロールモノ−およびジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート(反復エチレンオキシド単位の数が2〜30で変動する場合)、ポリエチレングリコールジメタクリレート(反復エチレンオキシド単位の数が2〜30で変動する場合、特に、トリエチレングリコールジメタクリレート(「TEGDMA」))、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリトリトールおよびジペンタエリトリトールのモノ−、ジ−、トリ−、ならびにテトラ−アクリレートならびにメタクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジ−2−メタクリロイルオキシエチルヘキサメチレンジカルバメート、ジ−2−メタクリロイルオキシエチルトリメチルヘキサンエチレンジカルバメート、ジ−2−メタクリロイルオキシエチルジメチルベンゼンジカルバメート、メチレン−ビス−2−メタクリルオキシエチル−4−シクロヘキシルカルバメート、ジ−2−メタクリルオキシエチル−ジメチルシクロヘキサンジカルバメート、メチレン−ビス−2−メタクリルオキシエチル−4−シクロヘキシルカルバメート、ジ−1−メチル−2−メタクリルオキシエチル−トリメチル−ヘキサメチレンジカルバメート、ジ−1−メチル−2−メタクリルオキシエチル−ジメチルベンゼンジカルバメート、ジ−1−メチル−2−メタクリルオキシエチル−ジメチルシクロヘキサンジカルバメート、メチレン−ビス−1−メチル−2−メタクリルオキシエチル−4−シクロヘキシルカルバメート、ジ−1−クロロメチル−2−メタクリルオキシエチル−ヘキサメチレンジカルバメート、ジ−1−クロロメチル−2−メタクリルオキシエチル−トリメチルヘキサメチレンジカルバメート、ジ−1−クロロメチル−2−メタクリルオキシエチル−ジメチルベンゼンジカルバメート、ジ−1−クロロメチル−2−メタクリルオキシエチル−ジメチルシクロヘキサンジカルバメート、メチレン−ビス−2−メタクリルオキシエチル−4−シクロヘキシルカルバメート、ジ−1−メチル−2−メタクリルオキシエチル−ヘキサメチレンジカルバメート、ジ−1−メチル−2−メタクリルオキシエチル−トリメチルヘキサメチレンジカルバメート、ジ−1−メチル−2−メタクリルオキシエチル−ジメチルベンゼンジカルバメート、ジ−1−メチル−2−メタ−クリルオキシエチル−ジメチルシクロヘキサンジカルバメート、メチレン−ビス−1−メチル−2−メタクリルオキシエチル−4−シクロヘキシルカルバメート、ジ−1−クロロメチル−2−メタクリルオキシエチル−ヘキサメチレンジカルバメート、ジ−1−クロロメチル−2−メタクリルオキシエチル−トリメチルヘキサメチレンジカルバメート、ジ−1−クロロメチル−2−メタクリルオキシエチル−ジメチルベンゼンジカルバメート、ジ−1−クロロメチル−2−メタクリルオキシエチル−ジメチルシクロヘキサンジカルバメート、メチレン−ビス−1−クロロメチル−2−メタクリルオキシエチル4−シクロヘキシルカルバメート、2,2’−ビス(4−メタクリルオキシフェニル)プロパン、2,2’ビス(4−アクリルオキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス[4(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシ−フェニル)]プロパン、2,2’−ビス[4(2−ヒドロキシ−3−アクリルオキシ−フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−メタクリルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アクリルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−メタクリルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アクリルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−メタクリルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アクリルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス[3(4−フェノキシ)−2−ヒドロキシプロパン−1−メタクリレート]プロパン、ならびに2,2’−ビス[3(4−フェノキシ)−2−ヒドロキシプロパン−1−アクリレート]プロパンからなる群から選択されてもよい。
最も好ましくは、式(B)の化合物は、
Figure 0006916198

からなる群から選択される。
特に好ましいモノ−またはビス−または(メタ)アクリルアミドおよびポリ[(メタ)アクリルアミド]は、以下の式(D)、(E)および(F):
Figure 0006916198

(式中、R24、R 24、R** 24、R*** 24は、式(A)、(B)および(C)について上で定義されたR20、R 20、R** 20、R*** 20と同じ意味を有し、R25、R 25は、独立して、式(A)について上で定義されたR21と同じ意味を有する残基を表し、R27およびm’は、式(C)について上で定義されたR23およびmと同じ意味を有する)を有する。
式(E)において、R26は、1〜45個の炭素原子を有する2価の置換されたまたは置換されていない有機残基を表し、これにより、当該有機残基は、1〜7個のC3−12シクロアルキレン基、1〜7個のC6−14アリーレン基、1〜7個のカルボニル基、1〜7個のカルボキシル基(−(C=O)−O−もしくは−O−(C=O−))、1〜7個のアミド基(−(C=O)−NH−もしくは−NH−(C=O)−)、1〜7個のウレタン基(−NH−(C=O)−O−もしくは−O−(C=O)−NH−)、ならびに酸素、窒素および硫黄から選択される1〜14個のヘテロ原子の少なくとも1つを含有してもよく、2価の有機残基は、ヒドロキシル基、チオール基、C6−14アリール基、−COOM、−POM、−O−POもしくは−SOからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく;好ましくは、R26は、1〜4個のC6−10アリーレン基およびC3−8シクロアルキレン基、1〜4個のウレタン基(−NH−(C=O)−O−もしくは−O−(C=O)−NH−)、ならびに1〜8個の酸素原子もしくは窒素原子の少なくとも1つを含有してもよいC〜C18アルキレン基またはC〜C18アルケニレン基である。
26について、語句「...の少なくとも1つを含有してもよい2価の有機残基」は、式(B)の化合物のR22について上で定義されたのと類似の意味を有する。
式(D)、(E)、(F)において、点で描かれた結合は、R24およびR*** 24が、COについてシスまたはトランス配座であってもよいことを示す。
式(D)の化合物において、R25およびR25 は、共同して環を形成し、ここで、R25およびR25 は、C−C結合、またはエーテル基、チオエーテル基、アミン基およびアミド基からなる群から選択される官能基により結合される。
式(D)、(E)、(F)による好ましいメタクリルアミドは、以下の式:
Figure 0006916198

を有する。
式(D)、(E)、(F)による好ましいアクリルアミドは、以下の式:
Figure 0006916198

を有する。
ビス−(メタ)アクリルアミド:
構造式
Figure 0006916198

を有するN,N’−ジアリル−1,4−ビスアクリルアミド−(2E)−ブタ−2−エン(BAABE)
および
構造式
Figure 0006916198

を有するN,N’−ジエチル−1,3−ビスアクリルアミド−プロパン(BADEP)
が最も好ましい。
少なくとも1つの重合可能な2重結合を有するリン酸エステル基含有重合可能な化合物からまた好ましくは選択される(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリルアミド基を有する化合物は、好ましくは、以下の式(G):
Figure 0006916198

(式中、
互いに独立した部分Yは、水素原子、または以下の式(Y)、(Y**)もしくは(Y***):
Figure 0006916198

(式中、
は、COORα、COSRβ、CON(Rα、CONRαβ、またはCONHRαであり、ここで、RαおよびRβは、独立して、水素原子、C3−8シクロアルキル基により場合により置換されているC1−18アルキル基、場合により置換されているC3−8シクロアルキル基、場合により置換されているC4−18アリールもしくはヘテロアリール基、場合により置換されているC5−18アルキルアリールもしくはアルキルヘテロアリール基、または場合により置換されているC7−30アラルキル基を表し、これにより、2つのR13残基は、それらが結合している隣接の窒素原子と一緒になって、窒素原子または酸素原子をさらに含有してもよい、5〜7員の複素環を形成してもよく、これにより、場合により置換されている基は、1〜5個のC1−5アルキル基により置換されていてもよく;
およびRは、独立して、水素原子、場合により置換されているC1−18アルキル基、場合により置換されているC3−18シクロアルキル基、場合により置換されているC5−18アリールまたはヘテロアリール基、場合により置換されているC5−18アルキルアリールまたはアルキルヘテロアリール基、場合により置換されているC7−30アラルキル基を表し、これにより、場合により置換されている基は、1〜5個のC1−5アルキル基により置換されていてもよく;
は、2〜45個の炭素原子、ならびに場合により、酸素、窒素および硫黄原子のようなヘテロ原子、1級および2級脂肪族炭素原子、2級脂環式炭素原子、ならびに芳香族炭素原子から選択されるa+b炭素原子を含む炭素原子を含有する(a+b)−価の有機残基(これにより、式(D)におけるYが丸括弧内であるとき、bは1である)を表し、a+b炭素原子のそれぞれが、式(Y)、(Y**)および(Y***)のいずれか1つのリン酸塩または部分に結合し;aは、1〜10、好ましくは1〜5の整数であり;bは、1〜10、好ましくは1〜5の整数であり;但し、少なくとも1つのYは、水素ではない)の部分を表す)を有する。かかる化合物(式中、Y=Yが、欧州公開第1548021A1号から公知である)の調製。
さらに、(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリルアミド基を有する化合物はまた、以下の式(H):
Figure 0006916198

(式中、
部分Yは、以下の式(Y **)または(Y ***):
Figure 0006916198

は、独立して、Zについて定義されたのと同じ意味を有し;
およびRは、独立して、RおよびRについて定義されたのと同じ意味を有し;
は、2〜45個の炭素原子、ならびに場合により、酸素、窒素および硫黄のようなヘテロ原子、1級および2級脂肪族炭素原子、2級脂環式炭素原子、ならびに芳香族炭素原子から選択されるc+d炭素原子を含む炭素原子を含有する(c+d)価の有機残基を表し、c+d炭素原子のそれぞれが、ホスホナート、または式(Y )、(Y1**)および(Y ***)のいずれか1つの部分と結合し;
cおよびdは、独立して、1〜10の整数を表す)
の部分を表す)
のホスホン酸基含有重合可能酸性化合物から選択されてもよい。
式(G’)の化合物から、以下の式:
Figure 0006916198

(式中、Zは、上で定義され、Lは、場合により置換されているアルキレン基である)が特に好ましい。より好ましくは、Zはメチルであり、Lは、C〜C16アルキレン基である。なおより好ましくは、Lは、C〜C12アルキレン基である。
さらに、1つまたは複数のラジカル重合可能な炭素−炭素2重結合を有する化合物(i)は、欧州公開第2705827号および欧州公開第2727576号において開示される加水分解安定性多官能重合可能モノマーから選択されてもよい。
1つまたは複数のラジカル重合可能な炭素−炭素2重結合を有する特に好ましい化合物(i)は、式(A)、(B)、(C)、(G)、(H)の化合物から選択され、より好ましくは、式(A)、(B)、(C)の化合物から選択され、最も好ましくは、式(B)の化合物から選択される。
1つまたは複数のカチオン重合可能な基を有する化合物(ii)は、特に制限されない。しかしながら、好ましくは、それらのカチオン重合可能な基は、エポキシド基、オキセタン基、ビニルエーテル基、アジリジン基、およびアゼチジン基から、好ましくは、エポキシド基、オキセタン基およびビニルエーテル基から、最も好ましくは、エポキシド基およびビニルエーテル基から選択される。
エポキシドおよび/またはオキセタン基の形態の1つまたは複数のカチオン重合可能な基を有する化合物は、好ましくは、式(J)、(K)、(L):
Figure 0006916198

(式中、
Aは、単結合、メチレン(−CH−)基または−R28**CR29**−(式中、R28**およびR29**は、R28およびR29について以下で定義されたのと同じ意味を有し、好ましくは、Aは、単結合またはメチレン(−CH−)基であり、最も好ましくは、Aは、単結合であり、
Hetは、酸素原子または窒素原子であり、好ましくは、酸素原子であり、
28、R29、R30、R28*、R29*、R30*、R31は、独立して、水素原子、−COOM、あるいはC3−6シクロアルキル基、C6−14アリールもしくはC3−14ヘテロアリール基、−COOM、−POM、−O−POまたは−SOにより置換されていてもよい線状C1−18あるいは分岐あるいは環状C3−18アルキル基、線状C1−16または分岐もしくは環状C3−16アルキル基、C6−14アリールまたはC3−14ヘテロアリール基、−COOM、−POM、−O−POあるいは−SOにより置換されていてもよいC〜C18シクロアルキル基、あるいは−COOM、−POM、−O−POもしくは−SOにより置換されていてもよいC〜C18アリールまたはC〜C18ヘテロアリール基からなる群から選択される有機部分を表し、その有機部分は、
32は、1〜45個の炭素原子を有する2価の有機残基を表し、これにより、当該有機残基は、1〜7個のC3−12シクロアルキレン基、1〜7個のC6−14アリーレン基、1〜7個のカルボニル基、1〜7個のカルボキシル基(−(C=O)−O−または−O−(C=O−))、1〜7個のアミド基(−(C=O)−NH−または−NH−(C=O)−)、1〜7個のウレタン基(−NH−(C=O)−O−または−O−(C=O)−NH−)、ケイ素、酸素、窒素および硫黄から選択される1〜14個のヘテロ原子の少なくとも1つを含有してもよく;好ましくは、R32は、1〜4個のカルボキシル基(−(C=O)−O−あるいは−O−(C=O−))の少なくとも1つまたは少なくとも1つの部分−SiR −O−SiR −(式中、Rは、独立して、線状C1−4または分岐CもしくはCアルキル基を表す)を含有してもよいC〜C18アルキレン基であり、その2価の有機残基は、−OH、−SH、−COOM、−POM、−O−POもしくは−SOからなる群から選択される1つまたは複数の基で置換されていてもよく;
33は、飽和の2もしくは多価の置換されているかまたは置換されていない線状C〜C18炭化水素基、飽和の2もしくは多価の置換されているかまたは置換されていない分岐あるいは環状C〜C18炭化水素基、2もしくは多価の置換されているかまたは置換されていないC〜C18アリールあるいはヘテロアリール基、2もしくは多価の置換されているかまたは置換されていないC〜C18アルキルアリールあるいはアルキルヘテロアリール基、2もしくは多価の置換されているかまたは置換されていないC〜C30アラルキル基、あるいは1〜14個の酸素原子もしくは硫黄原子を有する2または多価の置換あるいは置換されていないC〜C45モノ−、ジ−、あるいはポリエーテル残基を表す、からなる群から選択される1つあるいは複数の置換基で置換されていてもよく、
m’’は整数であり、好ましくは、1〜10の範囲にある整数であり、
ここで、いずれか1つのR28、R29、R30、R28*、R29*、R30*、R31およびR32のMは、互いに独立し、それぞれが、水素原子または金属原子を表し、
いずれか1つのR28、R29、R30、R28*、R29*、R30*、R31およびR32のMは、そのMは互いに独立し、それぞれが、金属原子を表す)
の化合物から選択されてもよい。
式(J)、(K)および(L)の化合物において、R28、R30およびR28*、R30*は、独立して、環を共同して形成してもよく、ここで、R28、R30およびR28*、R30*は、C−C結合またはエーテル基、チオエーテル基、アミン基およびアミド基からなる群から選択される官能基により結合される。好ましくは、R28、R30およびR28*、R30*は、C−C結合により結合され、R28、R30およびR28*、R30*の間に位置するC−C結合と一緒になって、3〜8員環、好ましくは、5〜7員環、最も好ましくは、C環を形成する。
32について、語句「...の少なくとも1つを含有してもよい2価の有機残基」は、式(B)の化合物のR22について上で定義されたのと類似の意味を有する。
式(J)において、Hetは酸素であり、R28およびR29は、独立して、1つもしくは複数の−OH基で置換されていてもよい線状C1−8あるいは分岐または環状C3−8アルキル基を表すことが好ましい。より好ましくは、式(J)において、Hetは酸素であり、R28およびR29は、独立して、1つまたは複数の−OH基で置換されていてもよい線状C1−8アルキル基を表し、R30およびR31は、水素原子を表す(式中、Aは、好ましくは、メチレン(−CH−)基である)。
式(K)において、Aは単結合であり、Hetは酸素であり、R28、R30およびR28*、R30*は、独立して、環を共同して形成し、ここで、R28、R30およびR28*、R30*は、C−C結合により結合され、R32は、1〜4個のカルボキシル基(−(C=O)−O−もしくは−O−(C=O−))の少なくとも1つまたは少なくとも1つの部分−SiR −O−SiR −(式中、Rは、独立して、線状C1−4または分岐CもしくはCアルキル基を表す)を含有してもよいC〜Cアルキレン基であることが好ましい。
好ましくは、式(J)および(K)の化合物は、
Figure 0006916198

からなる群から選択される。
EPOXおよび/またはEPOX−Siである式(K)の化合物が、最も好ましい。
ビニルエーテル基の形態の1つまたは複数のカチオン重合可能な基を有する化合物は、好ましくは、式(M)、(N)、(O):
Figure 0006916198
34は、式(A)について上で定義されたR21と同じ意味を有するか、あるいは代わりに、1〜14個の酸素原子を有する1価の置換もしくは置換されていないC〜C45モノ−、ジ−、またはポリエーテル残基を表し、R35は、式(B)について上で定義されたR22と同じ意味を有し、R36およびm’’’は、式(C)について上で定義されたR23およびm’と同じ意味を有する。
好ましくは、式(M)の化合物において、Hetは酸素原子であり、R34は、線状C1−14または分岐もしくは環状C3−14アルキル基、あるいは式−[−O−CH−CH−]−Rγ(但し、n=1〜9、Rγは、水素またはOHである)のエチレングリコール部分を表す。
好ましくは、式(N)の化合物において、HetおよびHet##は、酸素原子であり、R35は、1〜4個のC3−8シクロアルキレン基または1〜9個の酸素原子の少なくとも1つを含有してもよいC〜C18アルキレン基を表し、ここで、酸素原子は、式−[−O−CH−CH−]−(但し、n=1〜9)のエチレングリコール部分が形成されるように、含有されてもよい。
最も好ましくは、式(M)および(N)の化合物は、
Figure 0006916198

からなる群から選択される。
1つまたは複数のカチオン重合可能な基を有する特に好ましい化合物(ii)は、式(J)、(K)、(M)および(N)の化合物から、より好ましくは、式(K)、(M)および(N)の化合物から選択される。
化合物(iii)は、特に制限されない。しかしながら、好ましくは、化合物(iii)において、ラジカル重合可能な炭素−炭素結合は、(メタ)アクリロイル基および(メタ)アクリルアミド基から選択され、カチオン重合可能な基は、エポキシド基、オキセタン基、ビニルエーテル基、アジリジン基、およびアゼチジン基から選択される。
より好ましくは、化合物(iii)において、ラジカル重合可能な炭素−炭素結合は、(メタ)アクリルアミド基であり、カチオン重合可能な基は、ビニルエーテル基、エポキシド基およびオキセタン基から選択される。最も好ましくは、カチオン重合可能な基は、ビニルエーテル基および/またはエポキシド基である。
1つまたは複数のラジカル重合可能な炭素−炭素2重結合と1つまたは複数のカチオン重合可能な基の組み合わせを有する化合物(iii)は、好ましくは、式(P):
Figure 0006916198

(R37、R38、R39は、式(J)、(K)および(L)について上で定義されたR28、R29、R30と同じ意味を有し、R40、R40*は、式(A)、(B)および(C)について上で定義されたR20およびR20 と同じ意味を有し、R41は、式(C)について上で定義されたR23と同じ意味を有し、
jは、0〜6、好ましくは、1〜3の整数であり、
kは、0〜6、好ましくは、0〜3の整数であり、
jは、0〜6、好ましくは、0〜3の整数であり、
但し、j+k+l≧2)
の化合物から選択されてもよい。
式(P)において、点で描かれた結合は、R40が、COについてシスまたはトランス配座であってもよいことを示す。
式(P)において、R37およびR39は、式(G)および(H)のR28ならびにR30について上で定義された環を共同して形成してもよい。
最も好ましくは、化合物(iii)において、ラジカル重合可能な炭素−炭素結合は、(メタ)アクリルアミド基であり、カチオン重合可能な基は、ビニルエーテル基である。
式(P)の化合物において、j=1〜3、k=0、j=1〜3、R40は水素原子であり、R40*は、線状C1−8または分岐もしくは環状C3−8アルキル基であり、R41は、1〜9個の酸素原子を含有してもよいC〜C18アルキレン基を表し、ここで、酸素原子は、式−[−O−CH−CH−]−(但し、n=1〜9)のエチレングリコール部分が形成されるように、含有されてもよいことが、好ましい。
式(P)の特に好ましい化合物は、以下の構造式:
Figure 0006916198

を有する2−ビニルオキシエトキシエチルメタクリレート(VEEM)である。
好ましくは、歯科用組成部は、(a)モノマー組み合わせ(i)と(ii)、(i)と(iii)、(ii)と(iii)、または(i)と(ii)と(iii)を含む均一相、最も好ましくは、モノマー組み合わせ(i)と(ii)、(i)と(iii)、または(i)と(ii)と(iii)を含む均一相を含む。
好ましくは、均一相(a)は、1つもしくは複数の化合物(i)および/あるいは2つ以上の重合可能な炭素−炭素2重結合またはカチオン重合可能な基を有する(ii)、および/あるいは1つもしくは複数の重合可能な炭素−炭素2重結合および1つまたは複数のカチオン重合可能な基を有する1つまたは複数の化合物(iii)を含む。これが、架橋結合ポリマー網目構造の形成をもたらす。架橋結合ポリマー網目構造の形成は、それらが、形成されたIPNにさらなる次元/機械的安定性を与えるので、有利である。より好ましくは、均一相(a)は、式(B)および(E)の化合物からなる群から選択される2つ以上のラジカル重合可能な炭素−炭素結合を有する化合物(i)、ならびに/または式(K)および(O)の化合物からなる群から選択される2つ以上のカチオン重合可能な基を有する化合物(ii)、ならびに/または1つもしくは複数の重合可能な炭素−炭素2重結合および1つもしくは複数のカチオン重合可能な基を有する化合物(iii)を含む。
化合物(i)を含む均一相(a)について、均一相(a)が、成分(i)、(ii)および(iii)を重量比(i)/((ii)+(iii))0.1〜10で含有することが、好ましい。
開始剤系(b)
歯科用組成物は、以下の式(I):
Figure 0006916198

(式中、
Mは、GeまたはSiであり;
、RおよびRは、同じであるか、または異なっていてもよく、独立して、有機基を表し、Rは、水素原子、有機または有機金属基を表す;
但し、Rが水素原子であるとき、開始剤系は、増感剤化合物をさらに含む)
の化合物である、(iv)ラジカル重合開始剤を含む開始剤系(b)をさらに含む。
歯科用組成物は、式(I)の1つまたは複数の化合物を含んでもよい。
式(I)の化合物が、1つまたは複数のラジカル重合可能な炭素−炭素2重結合を有するポリマー重合可能な化合物に特に適当であるラジカル重合開始剤を表すことは驚くべきことであった。式(I)の化合物で、高い重合効率が達成され、着色の問題が生じないか、またはカンファキノンのような従来の光開始剤を含む重合系において、着色が効率的に抑制され得る。さらに、式(I)の化合物は、歯科適用において典型的に適用される波長範囲内の光吸収を有し、それらは、歯科用組成物の成分と適合し、それにまた、それらは、生理的に無害とみなされる。
式(I)の化合物と関連して、本明細書において使用される用語「置換されている」は、R、R、R、RおよびR’が、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基および−NR基(式中、RおよびRは、互いに独立して、C1−6アルキル基を表す)からなる群から選択される置換基により置換されていてもよいことを意味する。ここで、ハロゲン原子の実例は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素であり得る。C1−6アルキル基は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルおよびn−ブチルである。C1−6アルコキシ基の実例は、例えば、メトキシ、エトキシおよびプロポキシである。これらの置換基におけるアルキル部分は、線状、分岐または環状であり得る。好ましくは、置換基は、塩素原子、ニトロ基、C1−4アルコキシ基および−NR基(式中、RおよびRは、互いに独立して、C1−4アルキル基を表す)から選択される。
、RおよびRが置換されているなら、次に、それらは、1〜3個の置換基、より好ましくは、1個の置換基で置換されていることが、好ましい。
式(I)の化合物において、部分R、RおよびRは、以下の通り定義され得る。
好ましくは、RおよびRは、互いに独立して、置換されているかもしくは置換されていないヒドロカルビルまたはヒドロカルビルカルボニル基を表し、Rは、置換されているかまたは置換されていないヒドロカルビル基を表す。
ヒドロカルビル基は、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリールアルキル基またはアリール基であってもよい。
アルキル基は、線状C1−20または分岐C3−20アルキル基、典型的には、線状C1−8または分岐C3−8アルキル基であってもよい。C1−6アルキル基についての例は、1〜6個の炭素原子、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有する線状または分岐アルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチルおよびn−ヘキシルを含むことができる。
シクロアルキル基は、C3−20シクロアルキル基、典型的には、C3−8シクロアルキル基であってもよい。シクロアルキル基の例は、3〜6個の炭素原子を有するもの、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを含むことができる。
シクロアルキルアルキル基は、4〜20個の炭素原子を有してもよく、1〜6個の炭素原子を有する線状または分岐アルキル基と3〜14個の炭素原子を有するシクロアルキル基の組み合わせを含んでもよい。シクロアルキルアルキル(−)基の例は、例えば、メチルシクロプロピル(−)メチルシクロブチル(−)、メチルシクロペンチル(−)、メチルシクロヘキシル(−)、エチルシクロプロピル(−)、エチルシクロブチル(−)、エチルシクロペンチル(−)、エチルシクロヘキシル(−)、プロピルシクロプロピル(−)、プロピルシクロブチル(−)、プロピルシクロペンチル(−)、プロピルシクロヘキシル(−)を含むことができる。
アリールアルキル(−)基は、C7−20アリールアルキル(−)基、典型的には、1〜6個の炭素原子を有する線状または分岐アルキル基と6〜10個の炭素原子を有するアリール(−)基の組み合わせであってもよい。アリールアルキル(−)基の具体例は、ベンジル(−)基またはフェニルエチル(−)基である。
アリール基は、6〜10個の炭素原子を有するアリール基を含むことができる。アリール基の例は、フェニルおよびナフチルである。
およびRのヒドロカルビルカルボニル基は、アシル基(Rorg−(C=O)−)(式中、有機残基Rorgは、上で定義されたヒドロカルビル残基である)を表す。
式(I)の化合物は、1つまたは2つのヒドロカルビルカルボニル基を含有してもよく、すなわち、RもしくはRのいずれか1つは、ヒドロカルビルカルボニル基であるか、またはRとRの両方が、ヒドロカルビルカルボニル基である。好ましくは、式(I)の化合物は、1つのヒドロカルビルカルボニル基を含有する。
好ましくは、ヒドロカルビルカルボニル基は、アリールカルボニル基であり、より好ましくは、ベンゾイル基である。
好ましくは、RおよびRは、独立して、線状C1−6または分岐C3−6アルキル基、ならびにハロゲン原子、ニトロ基、C1−4アルコキシ基および−NR基(式中、RおよびRは、互いに独立して、C1−4アルキル基を表し、Rは、線状C1−6もしくは分岐C3−6アルキル基またはフェニル基である)から選択される1〜3個の置換基により場合により置換されていてもよいフェニルまたはベンゾイル基からなる群から選択される。
最も好ましくは、RおよびRは、独立して、線状C1−4または分岐CもしくはCアルキル基、ならびにハロゲン原子、ニトロ基、C1−4アルコキシ基および−NR基(式中、RおよびRは、互いに独立して、C1−4アルキル基を表し、Rは、線状C1−4または分岐CもしくはCアルキル基である)から選択されるからなる群から選択される1個の置換基で場合により置換されていてもよいフェニルまたはベンゾイル基からなる群から選択される。
第1の好ましい実施形態によると、Rは、以下の式(V):
Figure 0006916198

(式中、Rは、(i)式(VI):
Figure 0006916198

(式中、M、R、RおよびRは、式(I)について上で定義されたのと同じ意味を有し、これにより、式(I)の化合物は、対称であるか、もしくは非対称であってもよい)
を有するか;あるいは
(ii)以下の式(VII):
Figure 0006916198

(式中、
Xは、単結合、酸素原子または基NR’(式中、R’は、置換されているかもしくは置換されていないヒドロカルビル基を表す)を表し;Rは、置換されているかまたは置換されていないヒドロカルビル基、トリヒドロカルビルシリル基、モノ(ヒドロカルビルカルボニル)ジヒドロカルビルシリル基またはジ(ヒドロカルビルカルボニル)モノヒドロカルビルシリル基を表す)
の基であるか;あるいは
(iii)MがSiであるとき、Rは、置換されているかまたは置換されていないヒドロカルビル基であってもよい)
の基を表す。
トリヒドロカルビルシリル基、モノ(ヒドロカルビルカルボニル)−ジヒドロカルビルシリル基またはジ(ヒドロカルビルカルボニル)モノヒドロカルビルシリル基である式(VII)のRについて、ヒドロカルビルとヒドロカルビルカルボニル基のそれぞれは、R、RおよびRについて定義されたのと同じ意味を有し、独立して、それらから選択される。
式(VII)において、R’は、Rにおいて定義されたのと同じ意味を有し、独立して、それらから選択される。
第2の好ましい実施形態によると、Rは、水素原子を表す。したがって、開始剤系は、増感剤化合物をさらに含む。増感剤化合物は、好ましくは、範囲300〜500nmに光吸収最大値を有するアルファ−ジケトン増感剤化合物である。アルファ−ジケトン増感剤は、可視光を吸収し、式(I)の化合物を供与する水素と光励起複合体を形成する能力がある。アルファ−ジケトン光開始剤化合物は、カンファキノン、1,2−ジフェニルエタン−1,2−ジオン(ベンジル)、1,2−シクロヘキサンジオン、2,3−ペンタンジオン、2,3−ヘキサンジオン、3,4−ヘキサンジオン、2,3−ヘプタンジオン、3,4−ヘプタンジオングリオキサル、ビアセチル、3,3,6,6−テトラメチルシクロヘキサンジオン、3,3,7,7−テトラメチル−1,2−シクロヘプタンジオン、3,3,8,8−テトラメチル−1,2−シクロオクタンジオン;3,3,18,18−テトラメチル−1,2−シクロオクタデカンジオン;ジピバロイル;フリル、ヒドロキシベンジル、2,3−ブタンジオン、2,3−オクタンジオン、4,5−オクタンジオン、および1−フェニル−1,2−プロパンジオンから選択されてもよい。カンファキノンは、最も好ましいアルファ−ジケトン光開始剤である。好ましい実施形態によると、重合可能な基材は、アルファ−ジケトン増感剤を量0.05〜5モルパーセントで含有する。
式(I)の化合物においてMがSiであるなら、Rはまた、置換されているかまたは置換されていないヒドロカルビル基であってもよく、ここで、ヒドロカルビル基は、Rについて上で定義されたのと同じ意味を有し、独立して、それらから選択される。
好ましくは、式(I)の化合物において、MはSiである。
例えば、式(I)(式中、Rは、式(VI)を有し、対称である)の化合物は、以下の構造式:
Figure 0006916198

を有してもよい。
例えば、式(I)(式中、Rは、式(VII)(式中、Xは、結合、酸素原子またはNR’基であり、Rは、置換されているかまたは置換されていないヒドロカルビル基を表す)の基を表す)の化合物は、以下の構造式:
Figure 0006916198

を有してもよい。
例えば、式(I)(式中、Rは、式(VII)(式中、Rは、トリヒドロカルビルシリル基を表す)の基を表す)化合物は、以下の構造式:
Figure 0006916198

を有する。
例えば、式(I)(式中、MはSiであり、Rは、置換されているかまたは置換されていないヒドロカルビル基を表す)の化合物は、以下の構造式:
Figure 0006916198

を有してもよい。
好ましくは、式(I)の化合物は、
Figure 0006916198

からなる群から選択され、
ここで、M=Siを有する式(I)の化合物が特に好ましい。
より好ましくは、式(I)の化合物は、
Figure 0006916198

からなる群から選択され、
M=Siが特に好ましい。
最も好ましくは、式(I)の化合物は、tert−ブチル(tert−ブチルジメチルシリル)グリオキシラート)(DKSi)である。
式(I)の化合物は、市販されている公知の化合物であってもよいか、または公開された手法により調製されてもよい。
式(I)(式中、MはSiであり、Rは、置換されているかまたは置換されていないヒドロカルビル基を表す)の化合物は、例えば、Yamamoto K.et al.,J.Tetrahedron Lett,1980,vol.21,pages 1653 to 1656により記載されるジシランとの一段階Pd触媒反応:
Figure 0006916198

により容易に例えば調製されてもよい。
スキーム1において、反応は、ジシランとしてヘキサメチルシランで典型的に描写され、これにより、式(I)(式中、R、RおよびRは、メチル基を表す)の化合物が得られる。R、RおよびRは、メチル以外の炭化水素置換基を有するジシランを適用することにより、変動し得ることは理解される。
式(I)(式中、Rは、式(VII)(式中、Xは酸素原子であり、Rは、ヒドロカルビル基を表す)の基を表す)の化合物は、例えば、Nicewicz D.A.et al.in Org.Synth.,2008,85,pages 278 to 286により記載される三段階合成により調製されてもよい。この三段階合成において、アセト酢酸塩は、アジド化合物に変換され、次に、トリヒドロカルビルシリルトリフルオロメタン−スルホネートと反応して、トリヒドロカルビルシリルジアゾアセテートを得て、最後に、ペルオキシモノ硫酸カリウムと反応して、標的化合物に至る:
Figure 0006916198
スキーム2において、式(I)(式中、基(VII)のRは、tert−ブチルの形態のヒドロカルビル基を表す)の化合物を得るための反応が、典型的に描写される。Rは、tert−ブチルアセトアセテート以外のアセトアセテートを適用することにより、変動することができることが、理解される。
あるいは、式(I)(式中、MはSiであり、Rは、式(VII)の基を表し、Xは、酸素原子を表す)の化合物は、Nicewicz D.A.in J.Am.Chem.Soc,2005,127(17),pages 6170 to 6171により記載される、ZnIおよびEtNの存在下での、シリルグリオキシラート、最終的なアルキンおよびアルデヒドの単一容器3成分カップリング反応により調製されてもよい。シリルグリオキシラート化合物のさらなる合成は、例えば、Boyce G.R.et al.in J.Org.Chem.,2012,77(10),pages 4503 to 4515およびBoyce G.R.et al.in Org.Lett.,2012,14 (2),pages 652 to 655により記載される。
例えば、式(I)の以下の化合物が、公知であり、市販されており、それらのケミカルアブストラクツ(CAS)番号が、括弧内に与えられる:ベンゾイルトリフェニルシラン(1171−49−9)、ベンゾイルトリメチルシラン(5908−41−8)、1−[(トリメチルシリル)カルボニル]−ナフタレン(88313−80−8)、1−メトキシ−2−[(トリメチルシリル)−カルボニル]−ベンゼン(107325−71−3)、(4−クロロベンゾイル)(トリフェニル)シラン(1172−90−3)、(4−ニトロベンゾイル)(トリフェニル)シラン(1176−24−5)、(メチルジフェニルシリル)フェニル−メタノン(18666−54−1)、(4−メトキシベンゾイル)トリフェニルシラン(1174−56−7)およびtert−ブチル(tert−ブチルジメチルシリル)グリオキシラート(852447−17−7)。
式(I)の全ての化合物は、以下の構造式:
Figure 0006916198

(式中、M、R、RおよびRは、上で定義され、ここで、カルボニル基は、式(V)の基を表すRから派生する)を有する部分を含む。Mの選択に依存して、上述の部分は、アシルシランまたはアシルゲルマン基を表す。UV−VIS−光への曝露の際、Mとアシル基の間の結合が開裂され、これにより、シリル/ゲルマニルおよびアシルラジカルが、重合開始構造として形成され得るが、ラジカルへの開裂の競合において、カルベン構造が形成され得る:
Figure 0006916198
重合開始ラジカルの形成とカルバン形成の間のこの競合は、アシルシランについて、El−Roz, M. et al. in Current Trends in Polymer Science, 2011, vol. 15, pages 1 to 13により記載される。
加えて、式(I)(式中、Rは、式(VI)の基または式(VII)の基である)の化合物の場合、1,2−ジケトン部分(−C(=O)−C(=O)−)のC−C結合は、UV−VIS−光への曝露の際に2つのアシルラジカルに開裂され得る。この開裂は、式(I)(式中、Rは、式(VII)の基であり、Xは酸素原子である)の化合物について、すなわち、グリオキシラート(−O−C=O)−C(=O)−)化合物について例示的に示される:
Figure 0006916198
加えて、式(I)の化合物において、式(VII)(式中、Xが酸素原子であり、Rが、置換されているかまたは置換されていないヒドロカルビル基である)の化合物である場合において、ラジカル開裂の第3の可能性が存在する。すなわち、水素ラジカルが引き抜かれる場合、分子内または分子間水素引き抜きが生じ得る:
Figure 0006916198
グリオキシラート基の開裂と水素引き抜き機序の両方が、エチルフェニルグリオキシラート(Irgacure(登録商標)MBF)のような、ケイ素またはゲルマニウムを含有しない光開始剤について公知である。
(b)による開始剤系は、以下の式(II):
Figure 0006916198

(式中、
およびRは、同じであるか、または異なっていてもよく、独立して、置換基を有していてもよいアリール基を表し;
は、アニオンを表す);
式(III):
Figure 0006916198

(式中、
、RおよびRは、同じであるか、または異なっていてもよく、独立して、置換基を有していてもよいアリール基を表し;
は、アニオンを表す);
および式(IV):
Figure 0006916198

(R10、R11、R12、およびR13は、同じであるか、または異なっていてもよく、独立して、置換基を有していてもよいアルキルまたはアリール基を表し;
は、アニオンを表す)
から選択される化合物である、カチオン重合開始剤をさらに含む。
式(II)、(III)および(IV)の化合物において、RおよびR、R、R、R、R10、R11、R12およびR13は、アリール基、好ましくは、C6−10アリール基を表す。好ましくは、アリール基は、フェニル基である。アリール基は、1つもしくは複数の線状C1−6または分岐C3−6、線状C1−6または分岐C3−6アルコキシ基、アリール基またはアリールオキシ基のような芳香族基、3〜6個の炭素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、またはアミノ基を有する脂環式基により置換されていてもよい。
さらに、式(IV)において、R10、R11、R12、R13はまた、アルキル基を表してもよい。好ましいアルキル基は、1つまたは複数の芳香族基、3〜6個の炭素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基もしくはアミノ基を有する脂環式基により置換されていてもよい線状C1−6または分岐C3−6アルキル基である。脂環式基は、1つもしくは複数の芳香族基、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基またはアミノ基により置換されていてもよい3〜6個の炭素原子を有する基であってもよい。
好ましい実施形態によると、式(II)のヨードニウム化合物は、(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムテトラフルオロボレートを含む(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウム(DPI)テトラフルオロボレート、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウム(Me2−DPI)テトラフルオロボレート、フェニル−4−メチルフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジ(4−ヘプチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ジ(3−ニトロフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−クロロフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(ナフチル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、DPIヘキサフルオロホスフェート、Me2−DPIヘキサフルオロホスフェート;DPIヘキサフルオロアルセナート、ジ(4−フェノキシフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボラート、フェニル−2−チエニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、3,5−ジメチルピラゾリル−4−フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、DPIヘキサフルオロアンチモネート、2,2’−DPIテトラフルオロボレート、ジ(2,4−ジクロロフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−ブロモフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−メトキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(3−カルボキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(3−メトキシカルボニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(3−メトキシスルホニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−アセタミドフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(2−ベンゾチエニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、およびDPIヘキサフルオロホスフェートからなる群から選択される。
式(II)の特に好ましいヨードニウム化合物は、ジフェニルヨードニウム(DPI)ヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウム(Me2−DPI)ヘキサフルオロホスフェート、ジアリールヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート(Irgacure(登録商標)250、BASF SEから入手可能な市販品)、(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムテトラフルオロボレート、4−オクチルオキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−ヒドロキシテトラデシルオキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、および4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムボレート(PI2074)を含む。
特に好ましい実施形態によると、式(II)のヨードニウム化合物は、DPIヘキサフルオロホスフェートおよび/または4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(PI2074)である。
式(III)において、R、RおよびRのアリール基は、アルキレン、酸素−またはチオ−エーテル結合を介して互いに結合されてもよい。式(III)の好ましいスルホニウム化合物は、以下の式:
Figure 0006916198

のS−(フェニル)チアントレニウムヘキサフルオロホスフェートである。
式(IV)のホスホニウム化合物について、R10、R11、R12およびR13は、独立して、脂肪族基を表すことが好ましい。式(IV)の特に好ましいホスホニウム化合物は、テトラキス−(ヒドロキシメチル)−ホスホニウム(THP)塩またはテトラキス−(ヒドロキシメチル)−ホスホニウムヒドロキシド(THPOH)塩であり、ここで、アニオンAは、ギ酸塩、酢酸塩、リン酸塩、硫酸塩、フッ化物、塩化物、臭化物およびヨウ化物からなる群から選択される。
式(II)〜(IV)のいずれか1つの化合物の塩において、アニオンは、塩化物、臭化物およびヨウ化物のようなハロゲン化物、ヘキサフルオロホスフェート、テトラフルオロボレート、テトラフェニルボレート、ヘキサフルオロアンチモネート、トリフルオロメチルスルホネート、ギ酸塩、酢酸塩、リン酸塩、硫酸塩、フッ化物から選択されるアニオンであってもよい。
開始剤系(b)は、場合により、(vi)共開始剤を含んでもよい。共開始剤は、Si−HまたはGe−H結合を有する化合物、電子供与体、カルバゾール化合物および式(I)〜(IV)の化合物のいずれか1つ以外の光開始剤からなる群から選択される少なくとも1つであってもよい。
好ましくは、Si−HまたはGe−H結合を有する共開始剤化合物は、トリヒドロカルビルシランまたはトリヒドロカルビルゲルマンであり、ここで、3つのヒドロカルビル基は、R、RおよびRについて定義されたのと同じ意味を有する。より好ましくは、Si−HまたはGe−H結合を有する化合物は、水素化トリフェニルケイ素(PhSiH)、水素化トリフェニルゲルマニウム(PhGeH)およびトリス(トリメチルシリル)シラン((TMS)SiH)であり、最も好ましくは、PhGeHおよび(TMS)SiHである。
電子供与体の形態の共開始剤化合物は、例えば、アミン、アミド、エーテル、チオエーテル、ウレア、チオウレア、フェロセン、スルフィン酸およびそれらの塩、フェロシアン化物の塩、アスコルビン酸およびその塩、ジチオカルバミン酸およびその塩、キサントゲン酸の塩、エチレンジアミンテトラ酢酸の塩、ならびにテトラフェニルボロン酸の塩を含んでもよい。特に好ましい供与体は、窒素、酸素、リン、または硫黄原子のような電子供与体原子、および炭素またはケイ素原子アルファに結合した、電子供与体原子に引き抜き可能な水素原子を含有する。
特に好ましいアミン化合物は、トリエタノールアミン、4−N,N−ジメチルアミノベンゾニトリル、メチルN,N−ジメチルアミノベンゾエート、エチルΝ,Ν−ジメチルアミノベンゾエート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートおよびイソアミル4−N,N−ジメチルアミノベンゾエート、Ν,Ν−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルトルイジン、N,N−ジエタノールトルイジン、ジメチルアミノアニソール、1または2−ジメチルアミノナフタレンからなる群から選択される3級アミンである。特に、3級アミンは、トリエタノールアミン、メチル4−N,N−ジメチルアミノベンゾエート、エチル4−Ν,Ν−ジメチルアミノベンゾエート、4−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートおよびイソアミル4−Ν,Ν−ジメチルアミノベンゾエートからなる群から選択される。
カルバゾール化合物はまた、共開始剤化合物として使用されてもよい。例えば、J.Lalevee et al.,“N−Vinylcarbazole:An Additive for Free Radical Promoted Cationic Polymerization upon Visible Light”,ACS Macro Lett,1,pages 802−806,2012から、N−ビニルカルバゾールが、エポキシモノマーのカチオン光重合のための強力な添加剤として使用され得ることが公知である。しかしながら、N−ビニルカルバゾールは、比較的毒性である。この理由のため、本発明者らは、生理的に無害であり、IPN合成のためカチオン重合可能なモノマーとモノマー混合物、例えば、メタクリレート/エポキシまたはメタクリレート/ビニルエーテル混合物のようなカチオン重合可能なモノマーとラジカル重合可能なモノマーの混合物の両方のカチオン重合を改善する、カルバゾール化合物について探索した。これにより、発明者らは、驚くべきことに、構造式:
Figure 0006916198

を有する9H−カルバゾール−9−エタノール(CARET)が、上述の要件を満たすことを見出した。
理論に結び付けられることは望まないが、CARETは、陽子を供与するその能力のおかげで、カチオン重合を改善すると考えられる。提案された水素引き抜き機序が、スキーム6:
Figure 0006916198

において示される。
スキーム6より見られる通り、CARETは、CQ/DPIまたはDKSi/DPIのような開始剤系において光開始剤/ヨードニウム塩相互作用から生成されたアリールラジカル(Ar)を、カチオン重合を開始するのに非常に効率的に思われるカチオン種CARET(−H) に転換してもよい。アリールラジカルは、カチオン重合のための開始種ではないので、このAr→CARET(−H) 転換は、CARETのようなカルバゾール化合物が共開始剤として加えられるときの、開始剤系(c)のより良好な性能を説明する。さらに、上で提案された機序から、カルバゾール化合物が、水素のラジカルArへの可能性のある供与を与えるため、水素供与特性を必要とすることが明らかである。
好ましくは、水素供与特性を有するカルバゾール化合物は、9H−カルバゾール−9−エタノール(CARET)である。
共開始剤はまた、式(I)〜(IV)の化合物以外の光開始剤であってもよい。かかる光開始剤を、例えば、加えて、歯科用LEDの発光スペクトルの光開始系の吸収との整合を改善してもよい。例えば、式(I)の化合物が、範囲450〜500nm内の光を吸収しないか、または十分に吸収しないなら、式(I)におけるRが水素原子であるときの場合においてのように、この範囲内で良好な吸収を有する増感剤を加えることが好ましく、Rが水素原子であるときの場合において、この範囲内で良好な吸収を有する増感剤を加えることが必須である。
式(I)〜(IV)の化合物のいずれか1つ以外の光開始剤の形態の増感剤(vi)は、ノリッシュI型またはII型光開始剤のものであってもよい。
ノリッシュI型光開始剤は、トリアジン誘導体、2,4−6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキシド(Irgacure(登録商標)TPO)、2,4−6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィナート(Irgacure(登録商標)TPO−L、TPO−L)、ビス(2,4−6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(Irgacure(登録商標)BAPO−X)からなる群から選択されてもよい。好ましくは、ノリッシュI型光開始剤は、トリアジン誘導体であり、好ましくは、トリス(トリハロアルキル)−トリアジンであり、より好ましくは、トリス(トリハロメチル)−トリアジン、なおより好ましくは、トリス(トリクロロメチル)−トリアジンおよび特に2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンである。
典型的なノリッシュII型光開始剤は、例えば、1,2−ジケトンまたは1,3ジケトンである。適当な1,2−ジケトンの例は、カンファキノン、ベンジル、2,2’−3 3’−および4,4’−ジヒドロキシルベンジル、2,3−ブタンジオン、2,3−ペンタンジオン、2,3−ヘキサンジオン、3,4−ヘキサンジオン、2,3−ヘプタンジオン、3,4−ヘプタンジオン、2,3−オクタンジオン、4,5−オクタンジオンフリル、ビアセチル、1,2−シクロヘキサンジオン、1,2−ナフタキノン、およびアセナフタキノンである。適当な1,3−ジケトンの例は、ジベンゾイルメタン、ベンゾイルアセトンおよびアセチルプロピオニルメタンである。
好ましくは、増感剤は、ノリッシュII型光開始剤であり、より好ましくは、1,2−ジケトンであり、最も好ましくは、カンファキノンである。
カンファキノンのような光開始剤を増感剤として加えることにより、式(I)の化合物を含む開始剤系の吸収の照射源の発光スペクトルとの整合は、従来のノリッシュI型またはII型光開始剤に基づく従来の開始剤系と比較して、改善され得る。
(iv)式(I)の化合物および場合による共開始剤(vi)を含む開始剤系(b)を、(v)式(II)、(II)および(IV)の選択された化合物と一緒に用意することは、特に、開始剤系が、式(II)のヨードニウム塩を含む場合において、相乗効果をもたらし得る。
好ましくは、開始剤系(b)は、式(II)の化合物を含む。
より好ましくは、開始剤系(b)は、
(iv)式(I)の化合物、
(v)式(II)の化合物、および
(vi)アミン化合物、Si−HまたはGe−H結合を有する化合物、およびカルバゾール化合物、ならびに追加で、1,2ジケトン増感剤である共開始剤からなる群から選択される少なくとも1つの共開始剤
を含む。
最も好ましくは、開始剤系(b)は、
(iv)ベンゾイルジフェニルメチルシラン(BDMSi)、ベンゾイルトリメチルシラン(BTMSi)およびtert−ブチル(tert−ブチルジメチルシリル)グリオキシラート)(DKSi)からなる群から好ましくは選択され、より好ましくはDKSiである、式(I)の化合物、
(v)ジフェニルヨードニウム(DPI)塩、好ましくは、DPIヘキサフルオロホスフェートおよび/または4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(PI2074)、
ならびに
(vi)水素化トリフェニルゲルマニウム(PhGeH)、トリス(トリメチルシリル)シラン((TMS)SiH)および9H−カルバゾール−9−エタノール(CARET)、ならびに場合により、追加で、カンファキノン(CQ)からなる群から選択される、少なくとも1つの共開始剤
を含む。
成分(iv)、(v)と(vi)の間での相乗効果のおかげで、より高い転化率および重合時間に関してより有利な動態が、成分(iv)および(v)からなる開始剤系と比較し、均一相(a)について得ることができることは、驚くべきことであった。さらに、成分(iv)、(v)および(vi)を含む開始剤系は、接着フィルムのような、最大0.1mmの比較的薄いフィルムを重合するのに、ならびに充填材および補綴材のような、厚さ約1〜2mmまたはそれ以上を有する比較的厚い試料に特に適している。加えて、成分(iv)、(v)および(vi)を含む開始剤系は、良好な漂白をもたらし、すなわち、無色のポリマーが得られる。カンファキノン(CQ)が、追加の共開始剤として使用されるとき、成分(iv)、(v)および(vi)を含む開始剤系について、上述の効果は、成分(v)および(vi)との組み合わせで重合開始剤としてカンファキノン(CQ)からなる従来の開始剤系と比較して、有意に改善し得る。
開始剤系のさらなる成分として、開始剤系は、場合により、
(vii)以下の式(VIII):
Figure 0006916198

(式中、Zは、以下の式(IX)
Figure 0006916198

(式中、
15は、置換されているかまたは置換されていないヒドロカルビル基を表し;
Arは、置換されているかもしくは置換されていないアリールまたはヘテロアリール基を表す)
の基であり;
14は、置換されているかもしくは置換されていないヒドロカルビル基または基LZ’(式中、
Lは、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、およびウレタン結合から選択される結合を含有してもよい、置換されているかまたは置換されていない2価のヒドロカルビル基であり、
Z’は、Zと同じ意味を有し、これにより、ZおよびZ’は、同じであるか、または異なっていてもよい)
の芳香族3級ホスフィン化合物を含み;
ここで、基R15およびArは、ヒドロキシル基、オキソ基、−NR1617基(式中、R16およびR17は、同じであるか、または異なっていてもよく、水素原子およびC1−6アルキル基から選択される)、カルボキシル基、ならびに重合可能な2重結合を有する基から選択される1つまたは複数の基により置換されていてもよく、
14およびLは、ヒドロキシル基、オキソ基、−NR1617基(式中、R16およびR17は、同じであるか、または異なっていてもよく、水素原子およびC1−6アルキル基から選択される)、カルボキシル基、ならびに重合可能な2重結合を有する基から選択される1つまたは複数の基により置換されていてもよい。
式(VIII)の芳香族3級ホスフィン化合物は、式(VIII)の芳香族3級ホスフィン化合物を含まない開始剤系を含む歯科用組成物と比較して、より速い重合率に関して有利な効率とより高い最終転化率の両方をもたらし得る。有利には、重合率は、歯科用組成物を患者の歯に適用するとき、または補綴を形成するとき、修正を依然もたらす範囲内で調整されてもよい。光重合は、より高い重合率および転化率で達成されてもよいが、本開始剤系のおかげで、例えば、硬化された歯科用組成物の変色において生じる所望されない当該反応が、効率的に抑制され得る。
式(VIII)の芳香族3級ホスフィン化合物において、部分Z、R14、Ar、R15、L、Z、Z’は、以下の通り定義され得る。
15について、1価ヒドロカルビル基は、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリールアルキル基またはアリール基であってもよい。
Arは、置換されているかもしくは置換されていないアリールまたはヘテロアリール基を表す。アリール基は、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、およびスチリル基から選択されてもよい。ヘテロアリール基は、ピリジル基であってもよい。
Lは、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、およびウレタン結合から選択される結合を含有してもよい、置換されているかまたは置換されていない2価のヒドロカルビル基である。Lについて、2価ヒドロカルビル基は、アルキルジイル基、シクロアルキルジイル基、シクロアルキルアルキル−ジイル基、アリールアルキル−ジイル基またはアリールジイル基であってもよい。シクロアルキルアルキル−ジイルにおいて、1つの原子価は、シクロアルキル部分もしくはアルキル部分のそれぞれに結合され得るか、または両方の原子価は、シクロアルキル部分もしくはアルキル部分のいずれかに結合され得る。アリールアルキル−ジイル基において、アリール部分もしくはアルキル部分のいずれかは、それぞれ、1価であり得るか、またはアリール部分もしくはアルキル部分のいずれかは、2価であり、一方、他の部分は無価である。シクロアルキル部分またはアルキル部分のいずれかは、それぞれ、1価であり得るか、またはシクロアルキル部分またはアルキル部分のいずれかは、2価であり、一方、他の部分は無価である。
以下の定義を、1価と2価ヒドロカルビル基の両方について適用し、それ故、2価ヒドロカルビル基の定義について、接尾辞「ジイル」および「−ジイル」が、括弧に入れられる。
アルキル(ジイル)基は、線状C1−20または分岐C3−20アルキル(ジイル)基、典型的には、C1−8アルキル(ジイル)基であってもよい。C1−6アルキル(ジイル)基の例は、1〜6個の炭素原子、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有する線状または分岐アルキル(ジイル)基、例えば、メチル(ジイル)、エチル(ジイル)、n−プロピル(ジイル)、イソプロピル(ジイル)、n−ブチル(ジイル)、イソブチル(ジイル)、sec−ブチル(ジイル)、tert−ブチル(ジイル)、n−ペンチル(ジイル)、イソペンチル(ジイル)およびn−ヘキシル(ジイル)を含み得る。
シクロアルキル(ジイル)基は、C3−20シクロアルキル(ジイル)基であってもよい。シクロアルキル(ジイル)基の例は、3〜14個の炭素原子を有するもの、例えば、シクロプロピル(ジイル)、シクロブチル(ジイル)、シクロペンチル(ジイル)およびシクロヘキシル(ジイル)を含み得る。シクロアルキルアルキル(ジイル)基は、4〜20個の炭素原子を有するものを含み得る。
シクロアルキルアルキル(−ジイル)基は、1〜6個の炭素原子を有する線状または分岐アルキル(ジイル)基と3〜14個の炭素原子を有するシクロアルキル(ジイル)基の組み合わせを含むことができる。シクロアルキルアルキル(−ジイル)基の例は、例えば、メチルシクロプロピル(−ジイル)メチルシクロブチル(−ジイル)、メチルシクロペンチル(−ジイル)、メチルシクロヘキシル(−ジイル)、エチルシクロプロピル(−ジイル)、エチルシクロブチル(−ジイル)、エチルシクロペンチル(−ジイル)、エチルシクロヘキシル(−ジイル)、プロピルシクロプロピル(−ジイル)、プロピルシクロブチル(−ジイル)、プロピルシクロペンチル(−ジイル)、プロピルシクロヘキシル(−ジイル)を含みことができる。
アリールアルキル(−ジイル)基は、C7−20アリールアルキル(−ジイル)基、典型的には、1〜6個の炭素原子を有する線状または分岐アルキル(ジイル)基と6〜10個の炭素原子を有するアリール(−ジイル)基の組み合わせであってもよい。アリールアルキル(−ジイル)基の具体例は、ベンジル(−ジイル)基またはフェニルエチル(−ジイル)基である。
アリール(ジイル)基は、6〜10個の炭素原子を有するアリール(ジイル)基を含むことができる。アリール(ジイル)基の例は、フェニル(ジイル)およびナフチル(ジイル)である。アリール(ジイル)基は、1〜3個の置換基を含有してもよい。かかる置換基の例は、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、C1−6アルキル基およびC1−6アルコキシ基を含むことができる。ここで、ハロゲン原子の実例は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素であり得る。C1−4アルキル(ジイル)基は、例えば、メチル(ジイル)、エチル(ジイル)、n−プロピル(ジイル)、イソプロピル(ジイル)およびn−ブチル(ジイル)である。C1−4アルコキシ(ジイル)基の実例は、例えば、メトキシ(ジイル)、エトキシ(ジイル)およびプロポキシ(ジイル)である。これらの置換基におけるアルキル(ジイル)部分は、線状、分岐または環状であり得る。
好ましくは、ヒドロカルビル基は、フェニル(ジイル)基およびナフチル(ジイル)基から選択されるアリール(ジイル)基であり、その基は、場合により、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、ヒドロキシ基、C1−6アルキル基およびC1−6アルコキシ基から選択される1〜3個の基により置換されていてもよいか、またはここで、ヒドロカルビル基は、直鎖もしくは分岐アルキル基、直鎖もしくは分岐アルケニル基、または直鎖もしくは分岐アルキニル基から選択される非芳香族ヒドロカルビル基である。
1−8アルキル(ジイル)基およびC3−14シクロアルキル(ジイル)基は、場合により、C1−4アルキル基、C1−4アルコキシ基、フェニル基、およびヒドロキシ基から選択される基の1つまたは複数のメンバーにより置換されていてもよい。C1−4アルキル基の例は、1〜4個の炭素原子を有する線状または分岐アルキル基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルを含むことができる。C1−4アルコキシ基の例は、1〜4個の炭素原子を有する線状または分岐アルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、およびtert−ブトキシを含むことができる。
さらに、式(VII)において、ヒドロカルビル基のいずれかは、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基もしくはヒドロキシ基から選択される1つまたは複数の基により置換されていてもよい。したがって、ヒドロカルビル基において、幾つかまたは全ての水素原子は、ハロゲン原子(例えば、フルオロ、ブロモ、クロロ)により置換され、例えば、クロロメチル、クロロプロピル、ブロモエチルおよびトリフルオロプロピル、ならびにシアノエチルのようなハロ−置換されたアルキル基である。
ヒドロカルビル基がアルキル(ジイル)鎖を含有する場合において、アルキル(ジイル)鎖における1つまたは複数の炭素原子は、酸素原子、硫黄原子、アミド基、エステル基、またはウレタン基により置換されていてもよい。ヒドロカルビル基が、1つより多くの炭素原子を有するアルキル基である場合において、アルキル基はアルキレンを含有する。したがって、ヒドロカルビル基がn−ヘキシル基である場合において、末端のメチル基を除きアルキレン鎖の炭素原子が、酸素原子、硫黄原子、アミド基、エステル基、ウレタン基またはNH基により置換されてもよい。それ故、以下の基は、1つまたは複数の酸素原子の場合における具体例として与えられ得る:
Figure 0006916198
式(VIII)において、基R15および/またはAr、ならびにR14および/またはは、重合可能な2重結合、好ましくは、炭素−炭素2重結合で置換されていてもよい。重合可能な炭素−炭素2重結合の例は、ビニル、共役ビニル、アリル、アクリル、メタクリルおよびスチリルを含む。好ましくは、重合可能な2重結合は、メタクリル、アクリルおよびスチリルからなる群から選択される。より好ましくは、2重結合は、スチリルである。
好ましくは、R15およびArは、独立して、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、およびスチリル基から選択される芳香族ヒドロカルビル基である。
14に関して、この部分は、好ましくは、ヒドロキシル基、アミノ基、−NR1617基(式中、R16およびR17は、同じであるか、もしくは異なっていてもよく、C1−6アルキル基から選択される)、カルボキシル基、および重合可能な2重結合を有する基から選択される1つまたは複数の基により置換されていてもよいアリール基である。あるいは、R14は、好ましくは、基LZ’(式中、Z’およびZは同じである)である。
より好ましくは、R14は、C1−6アルキル基またはC1−6アルケニル基であり、その基は、ヒドロキシル基、アミノ基、−NR1617基(式中、R16およびR17は、同じであるか、もしくは異なっていてもよく、C1−6アルキル基から選択される)、カルボキシル基、および重合可能な2重結合を有する基から選択される1つまたは複数の基により置換されていてもよい。重合可能な2重結合を有する基は、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイルオキシ基または(メタ)アクリロイルアミド基であってもよい。
なおより好ましくは、芳香族ホスフィン化合物は、式(VIII)(式中、Zは、以下の式(V’):
Figure 0006916198

の基である)の化合物である。
式(VIII)の化合物の具体例は、トリフェニルホスフィン(TPP)、4−(ジフェニルホスフィノ)スチレン(DPPS)、4−(ジフェニルホスフィノ)安息香酸、4−(ジフェニルホスフィノ)安息香酸、3−(ジフェニルホホニノ)プロピオン酸、(4−(ジフェニルホスフィノ)Ν,Ν’−ジメチルアニリン、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゾフェノン(BDPPEP)、ビス[2−(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテル(BDPPE)、(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルホスフィン、アリルジフェニルホスフィンを含む。好ましくは、式(I)の化合物は、トリフェニルホスフィン(TPP)または4−(ジフェニルホスフィノ)スチレン(DPPS)であり、より好ましくは、4−(ジフェニルホスフィノ)スチレン(DPPS)である。
本開始剤系は、接着フィルムのような最大0.1mmの比較的薄いフィルムに有利であるばかりでなく、充填材および補綴材のような、厚さ約1〜2mmまたはそれ以上を有する歯科用組成物の比較的厚い試料を重合するのに特に適している。
理論に結び付けられることは望まないが、式(iv)および(v)の化合物と場合による成分(vi)および/または(vii)の組み合わせに起因した相乗効果は、本発明によりもたらされると考えられる。
式(VIII)の3級ホスフィンの適用と関連するさらなる正の効果は、式(VIII)の3級ホスフィンのおかげで、本組成物は、有利な保存安定性を発揮し得、すなわち、組成物は、長期保存時間、例えば、約2カ月後でさえ、より高い重合率に関して有利な効率およびより高い最終的な転化率の上記特徴を維持する。
式(VIII)の上で挙げられた芳香族3級化合物から、4−(ジフェニルホスフィノ)スチレン(DPPS)は、この化合物が、トリフェニルホスフィン(TPP)で得られた既に有利な結果と比較して、特に改善された光脱色結果をもたらすので、特に好ましい。加えて、DPPSは、厚さ約1〜2mmの厚い試料の重合を開始するのに特に適している。加えて、DPPSは、改善された転化率をもたらすばかりでなく、DPPSで、歯科用組成物の転化率は、保存時間2週間以上の後でさえ維持され得る。
好ましくは、本歯科用組成物において、開始剤系は、成分(iv)、(v)、(vi)および(vii)を、モル比((iv):(v):(vi):(vii))1:(0.1〜3.0):(0.1〜3.0):(0.0〜3.0)、より好ましくは、1:(0.1〜2.0):(0.1〜2.0):(0.0〜2.0)、なおより好ましくは、1:(0.2〜1.0):(0.2〜1.0):(0.0〜1.0)で含む。
歯科用組成物は、0.1〜5重量パーセントの開始剤系を含有することが、好ましい。
さらなる成分
場合により、本発明の歯科用組成物は、安定剤、溶媒、硬化指示薬、放射線乳白剤および/または例えば、着色のための色素のような微粒子充填剤をさらに含んでもよい。
歯科用組成物は、1つまたは複数の安定剤を含んでもよい。
本明細書において使用される用語「安定剤」は、歯科用組成物において含有される重合可能な化合物が、保存中に自然発生的に重合するのを防ぐ能力がある任意の化合物を意味する。しかしながら、安定剤は、適用中に歯科用組成物の意図される重合硬化を妨げないか、または防がない。
例えば、安定剤は、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、tert−ブチル−ヒドロキノン、tert−ブチルヒドロキシアニソール、プロピルガレートおよび2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールからなる群から選択される従来の安定剤であってもよい。これらの従来の安定剤から、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールが好ましい。
好ましくは、安定剤は、以下の式(X)および/または(XI):
Figure 0006916198

(式中、
18は、同じであるか、または異なっていてもよく、独立して、分岐C3−8アルキル基またはアルケニルもしくはC3−8シクロアルキルもしくはシクロアルケニル基を表し、
19は、C1−6アルキルもしくはC2−6アルケニル基、またはC1−6フルオロアルキルもしくはC2−6フルオロアルケニル基を表し、
は、C1−8アルキル基またはC3−8シクロアルキル基から選択される基を表し、
nは、0、1または2である)
の化合物である。
驚くべきことに、式(X)および/または(XI)の安定剤の種類が、保存の際および/または光硬化中に変色の完全な回避または少なくとも実質的な回避をもたらすことが見出された。特に、この種類の安定剤は、保存の際に変色を有しないか、または実質的に有さず、早すぎる重合に対する改善された耐性に起因して優れた保存安定性を有する、pH7未満を有する歯科用組成物が提供されるように、酸性の水性混合物において驚くべき安定化効果をもたらす。
より好ましくは、安定剤は、式(X)および/または(XI)(式中、R18は、同じであるか、または異なっていてもよく、独立して、分岐C3−8アルキル基またはC3−8シクロアルキル基を表し、R19は、C1−6アルキル基またはC1−6フルオロアルキル基を表し、nは、0または1である)の化合物である。なおより好ましくは、安定剤は、式(IX)および/または(X)(式中、R18は、同じであるか、または異なっていてもよく、独立して、分岐C3−8アルキル基を表し、R19は、C1−6アルキル基を表し、nは0である)の化合物である。最も好ましくは、安定剤は、以下の式(Xa)、(Xb)または(XIa):
Figure 0006916198

(式中、R’、R’’、R’’’、R、R##およびR###は、同じであるか、または異なっていてもよく、独立して、メチルまたはエチル基を表す)の化合物である。式(Xa)、(Xb)または(XIa)の安定剤は、以下の式:
Figure 0006916198

の化合物、好ましくは、DTBHQであることが、特に好ましい。
安定剤DTBHQは、実験的試験から、この安定剤が、変色の問題を考慮して、最善の結果をもたらすことが明らかである、すなわち、50℃で30日間の保存の際に歯科用組成物の変色が存在しないか、またはほとんど存在しないので、特に好ましい。
保存の際および/または光硬化中の変色は、ISO7491:2000(en)に従い決定され得る。
本発明による歯科用組成物は、組成物の総重量に基づき、0.001〜1重量パーセント、好ましくは、0.005〜0.8重量パーセントの量で安定剤を含有してもよい。安定剤の量が、上で示された下限0.001より下であるとき、次に、歯科用組成物の保存安定性は、安定剤の量が、安定化効果をもたらすにはあまりに少ないので、不十分であるかもしれない。しかしながら、安定剤の量が、最大閾値1重量パーセントより上であるとき、次に、歯科用組成物の適用性は、より多い量の安定剤が、適用中に歯科用組成物の意図される重合硬化を妨げるか、またはなお実質的に防ぎ得るので、負に影響するかもしれない。
適当な溶媒は、水、メタノール、エタノール、プロパノール(n−、i−)、ブタノール(n−、イソ−、tert−)のようなアルコール、アセトンのようなケトンなどから選択されてもよい。
本発明の歯科用組成物は、好ましくは、組成物の総重量に基づき、5〜75重量パーセントの溶媒を含む。
適当な微粒子充填剤は、歯科用組成物において現在使用される充填剤から選択されてもよい。充填剤は、微細に分割されるべきであり、好ましくは、最大粒子径約100μm未満かつ平均粒子径約10μm未満を有する。最も好ましくは、充填剤は、平均粒子径1μm未満を有する。充填剤は、単峰型または多峰型(例えば、二峰性)粒子サイズ分布を有してもよい。
充填剤は、有機物質であることができる。それはまた、重合可能な樹脂において不溶性であり、場合により、無機充填剤で充填される、架橋結合有機物質であることもできる。充填剤は、放射線不透過性であることができる。有機充填剤中の適当な微粒子の例は、天然に生じる物質または合成物質、例えば、石英、窒化ケイ素のような窒化物、例えば、Ce、Sb、Sn、Zr、Sr、BaおよびAlからもたらされるガラス、コロイドシリカ、長石、ホウケイ酸ガラス、カオリン、タルク、チタニア、および亜鉛ガラス、ならびに焼成シリカのようなサブミクロンシリカ粒子である。適当な非反応性有機充填剤粒子の例は、充填されたかもしくは充填されていない粉砕ポリカーボネートまたはポリエポキシドを含む。好ましくは、充填剤粒子の表面は、充填剤と基材の間の結合を増強するために、カップリング剤で処理される。適当なカップリング剤の使用は、ガンマ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ガンマ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、ガンマ−アミノプロピルトリメトキシシランなどを含む。
微粒子充填剤はまた、
(a)平均粒子サイズ(D50)1〜1200nmを有する微粒子充填剤を、微粒子充填剤の表面上でコーティング層を形成するフィルム形成剤を含有するコーティング組成物でコーティングすること、当該コーティング層は、コーティング層の表面上に反応基を提示し、当該反応基は、追加重合可能な基および段階的成長の重合可能な基から選択され、これにより、コーティングされた微粒子充填剤を形成する;
続いてまたは継続して
(b)コーティングされた微粒子充填剤を、場合により、さらなる架橋剤の存在下、および場合により、反応基を提示しないさらなる微粒子充填剤の存在下で、コーティングされた微粒子充填剤の造粒をもたらすため、凝集させること、ここで、造粒は、少なくとも1つのコーティング層により分離され、互いに結び付けられた、コーティングされた微粒子充填剤粒子および場合によるさらなる微粒子充填剤粒子を含有し、これにより、少なくとも1つのコーティング層は、反応基および場合によりさらなる架橋剤を反応させることにより得られる架橋結合基により架橋結合され得る;
(c)場合により、コーティングされた微粒子充填剤の粒子を粉砕すること、分類すること、および/または篩にかけること;ならびに
(d)平均粒子サイズ(D50)1〜70μmを有する合成充填剤粒子をもたらすため、場合により、コーティングされた微粒子充填剤の粒子をさらに架橋結合させること、ここで、反応基が、反応基および場合により、さらなる架橋結合剤を反応させることにより得られる架橋結合基に変換され、ここで、微粒子充填剤が、欧州公開第A2604247号においてさらに記載される合成充填剤粒子の体積によって主な成分である、
を含む、合成充填剤粒子の調製のためのプロセスにより得られ得る充填剤であってもよい。
本発明の歯科用組成物は、好ましくは、組成物の総重量に基づき、0.1〜85重量パーセントの微粒子充填剤を含む。
本発明の歯科用組成物は、保存剤、色素、フリーラジカルスカベンジャー、反応性および非反応性希釈剤、充填剤の反応性を増強するためのカップリング剤、レオロジー調節剤、ならびに界面活性剤をさらに含んでもよい。
適当な保存剤は、ビタミンCのような還元剤、無機硫化物およびポリ硫化物などから選択されてもよい。
特に好ましい実施形態
特に好ましい実施形態具体的によると、本発明による歯科用組成物は、
(a)モノマーの組み合わせ(i)と(ii)、(i)と(iii)、(ii)と(iii)、もしくは(i)と(ii)と(iii)を含む、またはモノマー(iii)を含む均一相、ここで、
(i)は、1つまたは複数のラジカル重合可能な炭素−炭素2重結合を有する1つまたは複数の化合物、好ましくは、式(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)および(H)の化合物の少なくとも1つ、より好ましくは、式(A)、(B)、(C)、(D)、(E)および(F)の化合物の少なくとも1つ、なおより好ましくは、式(B)および(E)の化合物の少なくとも1つ、さらになおより好ましくは、式(B)の化合物の少なくとも1つ、最も好ましくは、
Figure 0006916198

からなる群から選択される式(B)の化合物を表し;
(ii)は、1つまたは複数のカチオン重合可能な基を有する1つまたは複数の化合物、好ましくは、式(J)、(K)、(L)、(M)、(N)、(O)の化合物の少なくとも1つ、より好ましくは、式(J)、(K)および(L)(式中、Hetは、酸素原子である)の化合物ならびに式(M)、(N)、(O)(式中、HetおよびHet♯♯は、酸素原子である)の化合物の少なくとも1つ、なおより好ましくは、式(J)(式中、Aは、メチレン基(−CH−CH−)であり、Hetは、酸素原子である)の化合物の少なくとも1つ、(K)(式中、Aは、単結合であり、Hetは、酸素原子である)の化合物、ならびに式(M)および(N)(式中、Hetは、酸素原子であり、R34は、式−[−O−CH−CH−]−Rγ(但し、n=1〜9、Rγが、水素またはOHである)のエチレングリコール部分であり、R35が、式−[−O−CH−CH−]−(但し、n=1〜9)のエチレングリコール部分である)の化合物、さらになおより好ましくは、
Figure 0006916198

からなる群から選択される、式(J)および(K)の化合物、
最も好ましくは、EPOXまたはEPOX−Siを表し;
(iii)は、1つまたは複数のラジカル重合可能な炭素−炭素2重結合と1つまたは複数のカチオン重合可能な基の組み合わせを有する1つまたは複数の化合物、好ましくは、式(P)の化合物の少なくとも1つ、最も好ましくは、以下の構造式:
Figure 0006916198

を有する2−ビニルオキシエトキシエチルメタクリレート(VEEM)を表し;
(b)
(v)以下の式(I):
Figure 0006916198

(式中、
Mは、GeまたはSiであり;
、RおよびRは、同じであるか、または異なっていてもよく、独立して、直鎖または分岐C1−4アルキル基、ならびにハロゲン原子、ニトロ基、C1−4アルコキシ基および−NR基(式中、RおよびRは、互いに独立して、C1−4アルキル基を表し、Rは、以下の式(V):
Figure 0006916198

(式中、Rは、(i)以下の式(VI):
Figure 0006916198

(式中、M、R、RおよびRは、式(I)について定義されたのと同じ意味を有し、これにより、式(I)の化合物は、対称または非対称なヒドロカルビル基であり得る)
を有するか;または
(ii)以下の式(VII):
Figure 0006916198

(式中、
Xは、単結合、酸素原子または基NR’(式中、R’は、Rと同じ意味を有し、それらから独立して選択される)を表し;
は、Rと同じ意味を有し、トリヒドロカルビルシリル基、モノ(ヒドロカルビルカルボニル)ジヒドロカルビルシリル基またはジ(ヒドロカルビルカルボニル)モノヒドロカルビルシリル基、それらから独立して選択される)
の基であり:または
(iii)MがSiであるとき、Rは、置換されているかもしくは置換されていないヒドロカルビル基であり得る、
好ましくは、Rは、(ii)式(VII)の基であり、
より好ましくは、Rは、(ii)式(VII)(式中、Xは、酸素原子であり、Rは、Rと同じ意味を有し、それらから独立して選択される)の基であり、
なおより好ましくは、式(I)の化合物は、
Figure 0006916198

(式中、Mは、Siである)
からなる群から選択され、
最も好ましくは、式(I)の化合物は、tert−ブチル(tert−ブチルジメチルシリル)グリオキシラート)(DKSi)である)
を有する)からなる群から選択される1つの置換基で場合により置換されていてもよいフェニルまたはベンゾイル基からなる群から選択される)
化合物である、ラジカル重合開始剤;
(v)式(II)、(III)および(IV)の化合物から選択される、カチオン重合開始剤、
ここで、式(II)の化合物は、(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムテトラフルオロボレートを含む(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウム(DPI)テトラフルオロボレート、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウム(Me2−DPI)テトラフルオロボレート、フェニル−4−メチルフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジ(4−ヘプチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ジ(3−ニトロフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−クロロフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(ナフチル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、DPIヘキサフルオロホスフェート、Me2−DPIヘキサフルオロホスフェート;DPIヘキサフルオロアルセナート、ジ(4−フェノキシフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボラート、フェニル−2−チエニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、3,5−ジメチルピラゾリル−4−フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、DPIヘキサフルオロアンチモネート、2,2’−DPIテトラフルオロボレート、ジ(2,4−ジクロロフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−ブロモフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−メトキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(3−カルボキシフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(3−メトキシカルボニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(3−メトキシスルホニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−アセタミドフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(2−ベンゾチエニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、およびDPIヘキサフルオロホスフェートからなる群から選択され;
より好ましくは、式(II)の化合物は、ジフェニルヨードニウム(DPI)ヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウム(Me2−DPI)ヘキサフルオロホスフェート、ジアリールヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート(Irgacure(登録商標)250、BASF SEより市販されている)、(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムテトラフルオロボレート、4−オクチルオキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−(2−ヒドロキシテトラデシルオキシフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、および4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムボレート(PI2074)からなる群から選択され;
最も好ましくは、式(II)の化合物は、DPIヘキサフルオロホスフェートおよび/または4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(PI2074)であり;
式(III)の化合物は、以下の式:
Figure 0006916198

のS−(フェニル)チアントレニウムヘキサフルオロホスフェートであり;
式(IV)の化合物は、テトラキス−(ヒドロキシメチル)−ホスホニウム(THP)塩またはテトラキス−(ヒドロキシメチル)−ホスホニウムヒドロキシド(THPOH)塩(式中、アニオンAは、ギ酸塩、酢酸塩、リン酸塩、硫酸塩素、フッ化物、塩化物、臭化物およびヨウ化物からなる群から選択される)である;
好ましくは、カチオン重合開始剤は、式(II)の化合物であり、最も好ましくは、DPIヘキサフルオロホスフェートおよび/または4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(PI2074)であり;
(vi)場合により、開始剤系(b)は、アミン化合物、Si−HまたはGe−H結合を有する化合物、カルバゾール化合物、および式(I)〜(IV)の化合物以外の光開始剤からなる群から選択される少なくとも1つの共開始剤をさらに含み;
好ましくは、共開始剤は、トリエタノールアミン、4−N,N−ジメチルアミノベンゾニトリル、メチルN,N−ジメチルアミノベンゾエート、エチルΝ,Ν−ジメチルアミノベンゾエート(EDB)、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートおよびイソアミル4−Ν,Ν−ジメチルアミノベンゾエート、N,N−ジメチルアニリン、Ν,Ν−ジメチルトルイジン、N,N−ジエタノールトルイジン、ジメチルアミノアニソール、1または2−ジメチルアミノナフタレン、水素化トリフェニルゲルマニウム(PhGeH)、トリス(トリメチルシリル)シラン(TMS)SiH)、9H−カルバゾール−9−エタノール(CARET)、およびカンファキノン(CQ)からなる群から選択される;
より好ましくは、共開始剤は、EDB、PhGeH、(TMS)SiH、2、4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、CARETおよびCQからなる群から選択される少なくとも1つ;最も好ましくは、共開始剤は、PhGeH、(TMS)SiHまたはCARETであり、任意でCQと組合せられる、
を含む開始剤系を含む。
本発明は、以下の実施例によりここでさらに説明されるだろう。
調製実施例1:アシルシランラジカル重合開始剤の調製
アシルシランの調製の一般的手法[1]。磁気攪拌棒を有する10mLのスクリューキャップガラス管に、ジクロロ(η−アリル)ジパラジウム(II)0.054g(0.3mmol)、亜リン酸トリエチル0.1g(0.6mmol)を、N下で充填した。ヘキサメチルジシラン(0.96g、6.6mmol)を加え、混合物を5分間室温にて撹拌した。その後、ベンゾイルクロリド6mmolを、黄色の溶液にゆっくり加えた。反応混合物を、110℃にて2.5時間加熱した。室温まで冷却後、反応混合物を、先行する精製工程なしで、勾配溶出を使用したカラムクロマトグラフィーにより精製した。[1] Yamamoto, K.; Suzuki, S.; Tsuji, J. Tetrahedron Lett. 1980, 21, 1653.
調製実施例1a:フェニル(トリメチルシリル)メタノン
表題化合物を、ベンゾイルクロリド0.84g(6mmol)、ジクロロ(η−アリル)ジパラジウム(II)0.054g(0.3mmol)、亜リン酸トリエチル0.1g(0.6mmol)およびヘキサメチジルシラン0.96g(6.6mmol)を使用して一般的な手法に従い調製した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィーにより精製し、透明な黄色の油状物を得た。
Figure 0006916198

1H-NMR [ppm]: (300 MHz, CDCI3) δ 7.85 - 7.82 (m, 2H, Pos. 4, 6), δ 7.57 - 7.44 (m, 4H, Pos. 1, 2, 3), δ 0.38 (s, 9H, Pos. 10, 11 , 12)
13C-NMR [ppm]: (75 MHz, CDCI3) δ235.94 (Pos. 7); δ 141.48 (Pos. 5); δ 132.84 (Pos. 2); δ 128.80 (Pos. 4, 6); δ 127.63 (Pos. 1 , 3); δ -1.21 (Pos. 10, 11 , 12)
2,2−ビス[4−[2−ヒドロキシ−3メタクリロイルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン(Bis−GMA)5.000g(9.7656mmol)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TGDMA)1.1983g(4.1853mmol)、ベンゾイルトリメチルシラン(BTMS)0.0497g(0.2790mmol)、ジメチルアニリン0.0999g(0.6696)および2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.0047g(0.0212mmol)を均一に混合した。この混合物の重合エンタルピーは、DSC7(パーキンエルマー)で測定し、ΔH=−56.5kJ/molである。
調製実施例1b:4−クロロフェニル(トリメチルシリル)メタノン
表題化合物を、4−クロロベンゾイルクロライド1.05g(6mmol)、ジクロロ(η−アリル)ジパラジウム(II)0.054g(0.3mmol)、亜リン酸トリエチル0.1g(0.6mmol)およびヘキサメチジルシラン0.96g(6.6mmol)を使用して一般的な手法に従い調製した。粗成生物を、酢酸エチル/n−ヘキサン(10:1)を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して、アシルシラン0.215g(17%)を透明の黄色の油状物として得た。
Figure 0006916198

Element, anal.: theor. (C: 56.46%, H: 6.16%) pract. (C: 57.71 %, H: 5.82%)
1H-NMR [ppm]: (300 MHz, CDCI3) δ 7.78 - 7.75 (m, 2H, Pos. 4, 6), δ 7.46 - 7.44 (m, 2H, Pos. 1 , 3), δ 0.37 (s, 9H, Pos. 10, 11 , 12)
13C-NMR [ppm]: (75 MHz, CDCI3) δ234.44 (Pos. 7); δ 139.65 (Pos. 2); δ 139.19 (Pos. 5); δ 129.15 (Pos. 4, 6); δ 129.97 (Pos. 1 , 3); δ -1.28 (Pos. 10, 11 , 12) GC/MS: 212 [M+]
調製実施例1c:3−クロロフェニル(トリメチルシリル)メタノン
表題化合物を、3−クロロベンゾイルクロライド1.05g(3mmol)、ジクロロ(η−アリル)ジパラジウム(II)0.027g(0.15mmol)、亜リン酸トリエチル0.05g(0.3mmol)およびヘキサメチジルシラン0.48g(3.3mmol)を使用して一般的な手法に従い調製した。粗成生物を、酢酸エチル/n−ヘキサン(10:1)を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して、アシルシラン0.220(17%)を透明の黄色の油状物として得た。
Figure 0006916198

Element, anal.: theor. (C: 56.46%, H: 6.16%) pract. (C: 57.83%, H: 6.43%)
1H-NMR [ppm]: (300 MHz, CDCI3) δ 7.76 - 7.75 (m, 1 H, Pos. 4), δ 7.73 - 7.69 (m, 1 H, Pos. 2/6), δ 7.52 - 7.48 (m, 1 H, Pos. 2/6); δ 7.44 - 7.39 (m, 1 H, Pos. 1 ); δ 0.38 (s, 9H, Pos. 10, 11 , 12)
13C-NMR [ppm]: (75 MHz, CDCI3) δ234.30 (Pos. 7); δ 142.63 (Pos. 2); δ 144.82 (Pos. 5); δ 128.27 (Pos. 4, 6); δ 124.27 (Pos. 1 , 3); δ -1.17 (Pos. 10, 11 , 12)
GC/MS: 212 [M+]
調製実施例1d:4−ニトロフェニル(トリメチルシリル)メタノン
表題化合物を、4−ニトロベンゾイルクロライド0.56g(3mmol)、ジクロロ(η−アリル)ジパラジウム(II)0.027g(0.15mmol)、亜リン酸トリエチル0.05g(0.3mmol)およびヘキサメチジルシラン0.48g(3.3mmol)を使用して一般的な手法に従い調製した。粗成生物を、酢酸エチル/n−ヘキサン(10:1)を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して、アシルシラン0.13g(19.5%)を透明の黄色の油状物として得た。
Figure 0006916198

Element, anal.: theor. (C: 53.79%, H: 5.87%, N: 6.27) pract. (C: 52.84%, H: 5.75%, N: 6.29)
1H-NMR [ppm]: (300 MHz, CDCI3) δ 8.35 - 8.32 (m, 2H, Pos. 1 , 3), δ 7.95 - 7.92 (m, 2H, Pos. 1 , 3), δ 0.40 (s, 9H, Pos. 10, 11 , 12)
13C-NMR [ppm]: (75 MHz, CDCI3) δ235.38 (Pos. 7); δ 149.98 (Pos. 2); δ 144.82 (Pos. 5); δ 128.27 (Pos. 4, 6); δ 124.27 (Pos. 1 , 3); δ -1.17 (Pos. 10, 11 , 12)
GC/MS: 223 [M+]
調製実施例1e:3−ニトロフェニル(トリメチルシリル)メタノン
表題化合物を、4−ニトロベンゾイルクロライド0.56g(3mmol)、ジクロロ(η−アリル)ジパラジウム(II)0.027g(0.15mmol)、亜リン酸トリエチル0.05g(0.3mmol)およびヘキサメチジルシラン0.48g(3.3mmol)を使用して一般的な手法に従い調製した。粗成生物を、酢酸エチル/n−ヘキサン(10:1)を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して、アシルシラン0.3g(22%)を黄色の個体として得た。
Figure 0006916198

Element, anal.: theor. (C: 53.79%, H: 5.87%, N: 6.27) pract. (C: 52.73%, H: 5.77%, N: 6.31 )
1H-NMR [ppm]: (300 MHz, CDCI3) δ 8.87 - 8.85 (m, 1 H, Pos. 2), δ 8.41 - 8.37 (m, 1 H, Pos. 4), δ 8.14 - 8.12 (m, 1 H, Pos. 6); δ 7.71 - 7.66 (m, 1 H, Pos. 1 ); δ 0.42 (s, 9H, Pos. 10, 11 , 12)
13C-NMR [ppm]: (75 MHz, CDCI3) δ233.83 (Pos. 7); δ 148.72 (Pos. 3); δ 142.11 (Pos. 5); δ 132.70 (Pos. 6); δ 130.10 (Pos. 1 ); δ 126.97 (Pos. 2), δ 122.60 (Pos. 4), δ -1.44 (Pos. 10, 11 , 12)
GC/MS: 223 [M+]
異なる光開始剤系での光重合試験:
材料
水素化トリフェニルゲルマニウム(PhGeH)、トリス(トリメチルシリル)シラン(TMS)SiH)、ジフェニルヨードニウム(DPI、幾つかの化学反応においてPhとも呼ばれる)、ヘキサフルオロホスフェートおよびカンファキノン(CQ)を、シグマ・アルドリッチから得た。ビスフェノールA−グリシジルメタクリレート(Bis−GMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、ウレタンジメタクリレート4,4,6,16(または4,6,6,16)−テトラメチル−10,15−ジオキソ−11,14−ジオキサ−2,9−ジアザヘプタデス−16−エン酸2−[(2−メチル−1−オキソ−2−プロペン−1−イル)オキシ]エチルエステル(CAS番号72869−86−4)(UDMA)、1,3−グリセロールジメタクリレート(GDM)も、シグマ・アルドリッチから得て、入手可能な最高純度のグレードを使用した。9H−カルバゾール−9−エタノール(CARET)をどこから得たかは不明である。
実施例において適用した化合物の構造式を、以下のスキーム7において示す:
(a)(i):
Figure 0006916198

に記載の化合物:
(a)(ii):
Figure 0006916198

に記載の化合物:
(a)(iii):
Figure 0006916198

に記載の化合物:
(b)(iv):
Figure 0006916198

に記載の化合物:
(b)(v):
Figure 0006916198

に記載の化合物:
(b)(vi):
Figure 0006916198

による共開始剤。
参照実施例におけるラジカル重合開始剤:
Figure 0006916198

スキーム7.実施例において適用した化合物の化学構造
照射源
477nmに中心のある歯科用青色LED(Dentsply SmartLite Focus;照射した試料の表面にて約80mWcm−2)を、試料の照射のため使用した。Dentsply SmartLite Focusの発光スペクトルを、図1において与える。
光重合実験:
光感受性製剤を、LED光での照射のため、BaFペレット上、空気下または薄板中(厚さ25μm)で沈着させた。Bis−GMA、TEGDMAまたはUDMAの2重結合含有量の発生を、継続的に、リアルタイムFTIR分光測定(JASCO FTIR 4100)により、約1630cm−1にて観察した。製剤ベースのPhGeHにおけるGe−H含有量の発生も、2030cm−1にて観察することができる。
厚い試料(1.4mm)について、重合を、空気下、近くの照射した範囲において、6160cm−1のバンドを観察することで評価し、手法はすぐ上に提示したものであった。カチオン重合可能な基エポキシおよびオキセタンを有する化合物/モノマーについて、重合を、それぞれ、790cm−1および880cm−1にて観察し;ビニルエーテル基の重合を、約20μm薄い試料について1618cm−1にて、約1.4mmの厚い試料について6190cm−1にて観察した。
比較実施例1:開始剤系DKSi/DPI、DKSi/PhGeH/DPI、CQ/PhGeH/DPI、CQ/DPI、CARET/DPIおよびCQ/CARET/DPIの存在下でのビニルエーテル、エポキシならびにオキセタンのカチオン重合
開始剤系DKSi/DPIおよびCQ/PhGeH/DPIは、SmartLight Focus LEDの際高い最終転化(>80%)を伴い、DVE−3のカチオン重合を開始するのに非常に効率的であると見出した(図2および3から収集することができる)。タックフリーポリマーを得た。DVE−3は、ラジカル重合により均一重合できないので、ここで得た優れた重合特性は、新たに提案した系が、DVE−3のカチオン重合を開始するのに優れていることを明確に示す。
開始剤系DKSi/PhGeH/DPI、CQ/PhGeH/DPIおよびDKSi/PI2074も、SmartLight Focus LEDの際かつ空気下で、高い最終転化(>60%)を伴い、図4A〜Cおよび図5から収集できる、エポキシモノマーEPOXのカチオン重合を開始するのに非常に効率的であると見出した。PhGeHの存在はまた、重合効率を改善することができ、これは、曲線(1)と(2)を比較するとき、図5から収集することができる通りである。しかしながら、図4Bから収集することができる通り、EPOX−Siについて、PhGeHの添加は、転化の改善に必須ではないことは明らかであり、これは、開始剤系DKSi/PI2074が、既に、EPOX−Siの非常に良好な開始剤系であるためであり、これは、図4Bにより確認される。
さらに、開始剤系CQ/CARET/DPIを、2%/1.2%/1.5%w/wおよび2%/2.4%/1.5%w/wで試験した。図16から収集できる通り、この開始剤系は、エポキシモノマーEPOXのカチオン重合を開始するのに非常に効率的であることが判明し、一方、開始剤系CQ/DPIおよびCARET/DPIは、約5〜15%のみのエポキシ官能基の比較的乏しい転化をもたらした。
結論として、比較実施例1は、エポキシ−、エポキシ−、シリコン−およびビニルエーテル−官能基の重合が、異なる含有量のtert−ブチル(tert−ブチルジメチルシリル)グリオキシラート)(DKSi)/ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート(DPI)を有する開始剤系の存在下で容易に開始され得ることを示す。歯科用LED(vmax=480nm、SmartLite Focus Dentsply DeTrey Germany)での照射の際、空気下と薄板中の両方で、異なる厚さ(20μm〜1.4mm)の試料について、優れた最終転化に至った。
ビニルエーテル−およびエポキシ(−Si)−官能基の重合を開始するそれらの能力について試験した開始剤系DKSi/DPIおよびDKSi/PhGeH/DPIに加えて、ビニルエーテル−およびエポキシ(Si)−官能基ばかりでなく、オキセタン官能基を開始するそれらの適合性についてさらなる試験を、他の開始剤系で行った。オキセタン官能基の重合を試験するためのモデル化合物として、化合物3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタンを適用した。
試験した開始剤系の全体性能を、以下の表1において要約する。
Figure 0006916198
比較実施例1の全ての実施例についての漂白特性、ここで、生じたカチオン重合は常に優れていることを見出した。
実施例1〜11および参照実施例:混合重合
以下の実施例1〜11および参照実施例において、請求項1に記載の歯科用組成物のモノマーの組み合わせ(i)と(ii)、(i)と(iii)、または(i)と(ii)と(iii)を含む均一相(a)の混合重合を、異なる開始剤系(b)の存在下で試験した。
カンファキノン(CQ)ベースの開始剤系も使用した。CQベースの系は、ヨードニウム塩および水素化ゲルマニウム(RGeH)またはシラン(RSiH)の存在を必要とし、すなわち、参照系は、CQ/RGeH/DPIまたはCQ/RSiH/DPIであった。
行った実施例1〜11およびさらなる実施例の試験の結果を、前もって表2において要約する。
Figure 0006916198
表2から、望ましい相互侵入ポリマー網目構造(IPN)をもたらす円滑な混合重合を、実施例1〜11、およびさらなる試験した実施例において達成したことがを収集することができる。対照的に、比較実施例1において試験し、表1において要約したカチオン重合は、満足のいくように重合しなかった。これらの結果は、本発明による均一相(a)と開始剤系(b)の組み合わせのおかげで、相乗効果を達成することを確かにし、そこでは、通常、示した開始剤系で(十分に)重合しない、カチオン重合可能な基を有する化合物が、驚くべきことに、1つまたは複数のラジカル重合可能な炭素−炭素2重結合を有する式(i)の化合物と組み合わせて円滑に重合する。
実施例1〜11の全ての実施例についての漂白特性、ここで、生じた混合重合は常に優れていることを見出した。
実施例1:メタクリレート/ビニルエーテル混合物の混合重合のためのDKSi/DPI
DKSi/DPI系はまた、ラジカル重合とカチオン重合の両方を開始することができ、それ故、それを、ラジカル重合可能な基を有する化合物(例えば、メタクリレート)/カチオン重合可能な基を有する化合物(例えば、ビニルエーテル)混合物の重合を介した相互侵入ポリマー網目構造(IPN)の合成のため使用した。図6において示すUDMA/DVE−3混合物、図7および8において示すBisGMA/DVE−3混合物、ならびに図9において示す300mW/cmの際のUDMA/DEGDVE(またはDEGVEもしくはDVE−3)の重合での実施例をここで提供する。
意外なことに、重合は、むしろ連続であることが見いだされ、すなわち、ラジカル重合がまず開始し、カチオン重合は、阻害期間後にのみ開始し、これは、図7および8から収集することができる通りである。高い光強度(300mW/cm;図9)について、この連続重合は明らかではないが、極度に高いメタクリレートおよびビニルエーテル転化が依然として得られた(>90%)。これは、歯科用材料において全体的なC=C転化を改善する固有の方法であることが明らかとなった。
特に、驚くべきことに、メタクリレートとビニルエーテル官能基の両方について非常に高い最終的転化に達し、それが、純粋なメタクリレート樹脂についてよりずっとより良好であったことが見いだされた。これは、表3から収集することができる:
Figure 0006916198
実施例2および比較実施例2:メタクリレート/ビニルエーテル混合物の混合重合についてのDKSi/(TMS)SiH(またはPhGeH)/DPIおよび参照開始剤系CQ/(TMS)SiH(またはPhGeH)/DPI
(TMS)SiHもしくはPhGeHのような水素化シランまたはゲルマニウムにおける水素供与体の存在下で、メタクリレート/ビニルエーテル混合物の混合重合の動態は改善した。転化>70%に達するのに必要な照射時間を、表4において挙げる。
Figure 0006916198
表4から、水素化シランまたはゲルマニウムをH−供与体として加えることにより、高い転化に達するのに必要な照射時間が有意に低下したことを収集することができる。さらに、表4において挙げた結果は、(TMS)SiHまたはPhGeHの存在が、発明のDKSiベースの開始剤系とCQベースの参照開始剤系の両方について有意に改善した硬化効率をもたらすことを示す。さらに、表4は、発明のDKSiベースの開始剤系の硬化効率が、CQベースの参照開始剤系と比較して、有意に改善することを示す。
実施例3:BisGMA/TEGDMA/EPOX混合物の混合重合についてのCQ/PhGeH/DPI
CQ/PhGeH/DPI系は、ラジカル重合とカチオン重合の両方を開始することができ、それを、ラジカル重合可能な基を有する化合物とカチオン重合可能な基を有する化合物の混合物の重合を介した相互侵入ポリマー網目構造(IPN)の合成のため使用した。典型的には、BisGMA/TEGDMA/EPOX混合物の重合を試験し、結果を、図10〜12において示す。
BisGMA/TEGDMA/EPOX混合物の重合は、連続であることが見いだされた、すなわち、ラジカル重合がまず開始し、カチオン重合は、阻害期間後にのみ開始する。エポキシ基の明確な転化が見いだされ、それは、図10から収集され得る通りである。図11Aにおいてエポキシ官能基について、図11Bにおいてメタクリレート官能基について、および図11CにおいてGeヒドリド官能基について、IR分光測定による、約20μmの薄い試料における重合前および重合後の官能基の転化のモニタリングを示す。
BisGMA/TEGDMA/EPOX混合物の約1.4mmの厚い試料について、メタクリレート官能基について非常に高い最終的な転化率(>90%)に達し、それは、図12Aから収集することができる通りである。図12Bにおいてメタクリレート官能基について、IR分光測定による、これらの厚い試料における重合前および重合後のメタクリレート基の転化のモニタリングを示す。
参照実施例1のBisGMA/TEGDMA/EPOX混合物の薄い試料および厚い試料について達成したこれらの転化率は、その転化率がたった約70%である、純品メタクリレート樹脂についてよりずっと高く、これは、上の表3から収集することができる通りである。
実施例4および実施例5:メタクリレート/EPOX−Si混合物の混合重合についてのDKSi/PI2074および参照開始剤系CQ/PhGeH/DPI(またはPI2074)
DKSi/PI2074は、メタクリレート/EPOX−Si混合物の混合重合について効率的な開始剤系を表すことが見いだされ、これは、上の表2から収集することができる通りである。さらに、参照開始剤系CQ/PhGeH/DPI(またはPI2074)を試験した。
参照開始剤系CQ/PhGeH/DPI(またはPI2074)についての結果を、図13A、BおよびCにおいて示す。SmartLite Focusでの照射の際の50〜90秒後、メタクリレート官能基のほぼ完全な転化を得たが、EPOX−Siのエポキシ基のたった約20〜30%が転化され、これは、図13Aから収集することができる通りである。
意外なことに、保存の際、図12において得たポリマーは、暗所重合を生じる。これにより、エポキシの転化は、保存の際に増大し、約1〜6日後に約40〜50%に達し、これは、図14Bから収集することができる通りである。
純品UDMAについての60〜70%と比較して、90%より大きな転化が得られたので、この混合重合は、メタクリレート転化を増大するのに有用であることが明らかになり、これは、上の表3から収集することができる通りである。
比較実施例2:メタクリレートUDMAの重合についてのCQ/DMABE
4,4,6,16(または4,6,6,16)−テトラメチル−10,15−ジオキソ−11,14−ジオキサ−2,9−ジアザヘプタデス−16−エン酸2−[(2−メチル−1−オキソ−2−プロペン−1−イル)オキシ]エチルエステル(CAS番号72869−86−4)(UDMA)2.0000g(4.2503mmol)、カンファキノン(CQ)0.0071g(0.0425mmol)、4−(ジメチルアミノ)安息香酸エチルエステル(DMABE)0.0099g(0.051mmol)および2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.0017g(0.0079mmol)を均一に混合した。DSC7(パーキンエルマー)で測定した重合エンタルピーは、ΔH=−52.1±1.5kJ/molであった(図15を参照)。
実施例6:メタクリレート/ジビニルエーテル混合物UDMA/GDM/DEGDVEの混合重合についてのDKSI/DPI
11,14−ジオキサン−2,9−ジアザヘプタデス−16−エン酸,4,4,6,16(または4,6,6,16)−テトラメチル−10,15−ジオキソ−,2−[(2−メチル−1−オキソ−2−プロペン−1−イル)オキシ]エチルエステル(UDMA)6.0000g(12.7508mmol)、グリセリンジメタクリレート(GDM)1.50g(6.5717mmol)、ジエチレングリコールジビニルエーテル(DEGDVE)4.00g(25.2845mmol)、tert−ブチル(tert−ブチルジメチルシリル)グリオキシラート(DKSi)0.1413g(0.5781mmol)およびジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート(DPI)0.1410g(0.3309mmol)を均一に混合した。DSC7(パーキンエルマー)で測定した重合エンタルピーは、ΔH=−45.1±0.9kJ/molであり、これは、図15から収集することができる通りである。
図15は、実施例6による光重合が、比較実施例2のフリーラジカル重合と比較して、フリーラジカル重合およびカチオン重合の強力な遅延を示すことを示す。
実施例7:メタクリレート/ラジカル重合可能なメタクリレートおよびカチオン重合可能なジビニルエーテル基を有する化合物混合物UDMA/VEEMの混合重合についてのDKSi/DPI
11,14−ジオキサン−2,9−ジアザヘプタデス−16−エン酸,4,4,6,16(または4,6,6,16)−テトラメチル−10,15−ジオキソ−,2−[(2−メチル−1−オキソ−2−プロペン−1−イル)オキシ]エチルエステル(UDMA)7.5000g(15.9385mmol)、2−ビニルオキシエトキシエチルメタクリレート(VEEM)2.50g(16.0072mmol)、tert−ブチル(tert−ブチルジメチルシリル)グリオキシラート(DKSi)0.1098g(0.4491mmol)およびジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート(DPI)0.1090g(0.2558mmol)を均一に混合した。DSC7(パーキンエルマー)で測定した重合エンタルピーは、ΔH=−44.4±5.6kJ/molであった。重合混合について測定した屈曲強度は、81.7±8.4MPaであり、E−弾性率は、1973±78Mpaであった。
実施例8:メタクリレート/ジビニルエーテル/エポキシド混合物UDMA/DEGDVE/EPOX−Siの混合重合についてのDKSi/PI2074
11,14−ジオキサン−2,9−ジアザヘプタデス−16−エン酸,4,4,6,16(または4,6,6,16)−テトラメチル−10,15−ジオキソ−,2−[(2−メチル−1−オキソ−2−プロペン−1−イル)オキシ]エチルエステル(UDMA)5.0000g(10.6256mmol)、ジエチレングリコールジビニルエーテル(DEGDVE)2.50g(15.8028mmol)、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−イル)エチル]ジシロキサン(EPOX−Si)2.5000g(6.5327mmol)、tert−ブチル(tert−ブチルジメチルシリル)グリオキシラート(DKSi)0.1974g(0.8075mmol)および4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(PI2074)0.3899g(0.3837mmol)を均一に混合した。DSC7(パーキンエルマー)で測定した重合エンタルピーは、ΔH=−30.5±3.3kJ/molであった。
実施例9:メタクリレート/ラジカル重合可能なメタクリレートおよびカチオン重合可能なジビニルエーテル基/ジビニルエーテルを有するモノマー化合物混合物UDMA/GDM/VEEM/DEGDVEの混合重合についてのDKSi/PI2074
11,14−ジオキサン−2,9−ジアザヘプタデス−16−エン酸,4,4,6,16(または4,6,6,16)−テトラメチル−10,15−ジオキソ−,2−[(2−メチル−1−オキソ−2−プロペン−1−イル)オキシ]エチルエステル(UDMA)4.5000g(9.5631mmol)、グリセリンジメタクリレート3.1000g(13.5818mmol)、2−ビニルオキシエトキシエチルメタクリレート(VEEM)1,1000g(7,0432mmol)、ジエチレングリコールジビニルエーテル(DEGDVE)1,3000g(8,2174mmol)、tert−ブチル(tert−ブチルジメチルシリル)グリオキシラート(DKSi)0.0984g(0.4025mmol)および4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(PI2074)0.1933g(0.1902mmol)を均一に混合した。DSC7(パーキンエルマー)で測定した重合エンタルピーは、ΔH=−37.2±2.7kJ/molであった。重合混合について測定した屈曲強度は、57.1±12.6MPaであり、E−弾性率は、1714±14Mpaであった。
実施例10:メタクリレート/エポキシ混合物UDMA/EPOX−Siの混合重合についてのCQ/PhGeH/PI2074
11,14−ジオキサン−2,9−ジアザヘプタデス−16−エン酸,4,4,6,16(または4,6,6,16)−テトラメチル−10,15−ジオキソ−,2−[(2−メチル−1−オキソ−2−プロペン−1−イル)オキシ]エチルエステル(UDMA)2.0000g(4.2503mmol)、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス[2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ−3−イル)エチル]ジシロキサン(EPOX−Si)2.0000g(5.2262mmol)、カンファキノン(CQ)0.0851g(0.5117mmol)、水素化トリフェニルゲルマニウム0.0853g(0.2797mmol)および4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(PI2074)0.1680g(0.1653mmol)を均一に混合した。DSC7(パーキンエルマー)で測定した重合エンタルピーは、ΔH=−51.6±0.8kJ/molであった。
参照実施例1:メタクリレート/EPOX−Si混合物の混合重合についてのUDMA/EPOX−Siおよび参照開始剤系CQ/CARET/PI2074
CQ/CARET/PI2074は、メタクリレート/EPOX−Si混合物の混合重合について効率的な開始剤系を表すことが見いだされ、これは、上の表2から収集することができる通りである。
参照開始剤系CQ/CARET/PI2074についての結果を、図17Aおよび17Bにおいて示す。SmartLite Focusでの照射の際の50〜90秒後、メタクリレート官能基のほぼ完全な転化を得たが、EPOX−Siのエポキシ基のたった約30〜40%が転化され、これは、図17Aから収集することができる通りである。
意外なことに、参照開始剤系CQ/CARET/PI2074で、図17Aにおいて得たポリマーの暗所重合が生じ、それが、37℃にて、約半日から1日半の保存の際に、約50〜55%であるエポキシ官能基の改善した最終的な転化をもたらし、これは、図17Bから収集することができる通りである。
実施例11:メタクリレート/ラジカル重合可能なメタクリレートおよびカチオン重合可能なジビニルエーテル基を有するモノマー化合物混合物UDMA/VEEΜの混合重合についてのDKSi/PI2074/CARET
DKSi/PI2074/CARET系は、ラジカル重合とカチオン重合の両方を開始することができ、それ故、それを、メタクリレートのような、ラジカル重合可能な基を有する化合物とカチオン重合可能な基を有する化合物(例えば、ビニルエーテル)の混合物の重合を介した相互侵入ポリマー網目構造(IPN)の合成のため使用した。図18および19において示すUDMA/VEEM混合物の重合での実施例をここで提供する。
重合は、むしろ連続であることが見いだされ、すなわち、ラジカル重合がまず開始し、カチオン重合は、短い阻害期間後にのみ開始し、これは、図18から収集することができる通りである。さらに、図19から収集することができる通り、開始剤系DKSi/PI2074で得られたビニルエーテル基(VE)の既に良好な転化を、CARETを開始剤系に加えることにより、有意にさらに改善した。
結論:
実施例は、式(I)のラジカル重合開始剤および式(II)のカチオン重合開始剤を含む開始剤系が、驚くべきことに、モノマーの組み合わせ(i)と(ii)、(i)と(iii)、または(i)と(ii)と(iii)を含む均一相(a)の混合重合に適していることを示し、ここで、
(i)は、1つまたは複数のラジカル重合可能な炭素−炭素2重結合を有する1つまたは複数の化合物を表し;
(ii)は、1つまたは複数のカチオン重合可能な基を有する1つまたは複数の化合物を表し;
(iii)は、1つまたは複数のラジカル重合可能な炭素−炭素2重結合と1つまたは複数のカチオン重合可能な基の組み合わせを有する1つまたは複数の化合物を表す。

Claims (17)

  1. (a)モノマーを含む均一相と;
    (b)ラジカル重合開始剤及びカチオン重合開始剤を含む開始剤系と;を含む、歯科用組成物であって、
    前記(a)のモノマーは、
    モノマー(i)とモノマー(ii)、モノマー(i)とモノマー(iii)、モノマー(ii)とモノマー(iii)、もしくはモノマー(i)とモノマー(ii)とモノマー(iii)の組み合わせを含むか、
    または
    モノマー(iii)を含み、
    前記モノマー(i)は、1つまたは複数のラジカル重合可能な炭素−炭素2重結合を有する1つまたは複数の化合物を表し;
    前記モノマー(ii)は、1つまたは複数のカチオン重合可能な基を有する1つまたは複数の化合物を表し;
    前記モノマー(iii)は、1つまたは複数のラジカル重合可能な炭素−炭素2重結合と1つまたは複数のカチオン重合可能な基の組み合わせを有する1つまたは複数の化合物を表し
    前記ラジカル重合開始剤は、
    (iv)以下の式(I):
    Figure 0006916198

    で表わされる1つまたは複数のラジカル重合開始剤であり
    前記カチオン重合開始剤は、
    (v)以下の式(II):
    Figure 0006916198

    以下の式(III):
    Figure 0006916198

    または
    以下の式(IV):
    Figure 0006916198

    で表わされる化合物から選択されるカチオン重合開始剤であり、
    前記式(I)中、
    Mは、GeまたはSiであり;
    、RおよびRは、同じであるか、または異なっていてもよく、互いに独立して、置換されているかまたは置換されていないヒドロカルビル基を表し、
    は、水素原子、または以下の式(V):
    Figure 0006916198

    を有する有機または有機金属基を表
    ここで、式(V)中、Rは、
    )以下の式(VI):
    Figure 0006916198

    を有するか;あるいは
    )以下の式(VII):
    Figure 0006916198

    を有するか、
    前記式(I)中のMがSiであるとき、Rは、置換されているかまたは置換されていないヒドロカルビル基であってもよく、
    但し、Rが水素原子であるとき、開始剤系は、300〜600nmの範囲に光吸収最大値を有する増感剤化合物をさらに含み;
    前記(II)中、
    およびRは、同じであるか、または異なっていてもよく、独立して、置換基を有していてもよいアリール基を表し;
    は、アニオンを表し;
    前記(III)中、
    、RおよびRは、同じであるか、または異なっていてもよく、独立して、置換基を有していてもよいアリール基を表し;
    は、アニオンを表し;
    前記(IV)中、
    10、R11、R12、およびR13は、同じであるか、または異なっていてもよく、独立して、置換基を有していてもよいアルキルまたはアリール基を表し;
    は、アニオンを表し
    前記(VI)中、
    M、R、RおよびRは、前記式(I)について上で定義されたのと同じ意味を有し、これにより、式(I)の化合物は、対称であるか、もしくは非対称であってもよく、
    前記(VII)中、
    Xは、単結合、酸素原子または基NR’(式中、R’は、置換されているかもしくは置換されていないヒドロカルビル基を表す)を表し;
    は、置換されているかまたは置換されていないヒドロカルビル基、トリヒドロカルビルシリル基、モノ(ヒドロカルビルカルボニル)ジヒドロカルビルシリル基またはジ(ヒドロカルビルカルボニル)モノヒドロカルビルシリル基を表す)の基を表す
    歯科用組成物。
  2. MがSiである、請求項に記載の歯科用組成物。
  3. MがGeである、請求項に記載の歯科用組成物。
  4. 前記ラジカル重合可能な炭素−炭素2重結合が、(メタ)アクリロイル基および(メタ)アクリルアミド基の炭素−炭素2重結合から選択される、請求項1〜のいずれか1項に記載の歯科用組成物。
  5. 前記カチオン重合可能な基が、エポキシド基、オキセタン基、ビニルエーテル基、アジリジン基、およびアゼチジン基から選択される、請求項1〜のいずれか1項に記載の歯科用組成物。
  6. 前記カチオン重合可能な基が、エポキシド基、ビニルエーテル基およびオキセタン基から選択される、請求項5に記載の歯科用組成物。
  7. 前記カチオン重合可能な基が、エポキシド基およびビニルエーテル基から選択される、請求項5に記載の歯科用組成物。
  8. 前記モノマー(i)において、前記ラジカル重合可能な炭素−炭素2重結合が、(メタ)アクリロイル基である、請求項1〜のいずれか1項に記載の歯科用組成物。
  9. 前記モノマー(ii)において、前記カチオン重合可能な基が、エポキシド基、オキセタン基およびビニルエーテル基から選択される、請求項1〜のいずれか1項に記載の歯科用組成物。
  10. 前記モノマー(ii)において、前記カチオン重合可能な基が、エポキシド基およびビニルエーテル基から選択される、請求項9に記載の歯科用組成物。
  11. 前記モノマー(iii)において、前記ラジカル重合可能な炭素−炭素2重結合が、(メタ)アクリロイル基の炭素−炭素2重結合であり、前記カチオン重合可能な基が、ビニルエーテル基である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の歯科用組成物。
  12. 前記モノマー(i)が、2つ以上のラジカル重合可能な炭素−炭素2重結合を有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の歯科用組成物。
  13. 前記式(II)の化合物を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の歯科用組成物。
  14. 前記式(III)または(IV)の化合物を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の歯科用組成物。
  15. 歯科用接着性組成物、結合剤、小窩裂溝封鎖材、歯科用知覚鈍麻組成物、歯髄覆罩組成物、歯科用コンポジット、流動性歯科用コンポジット、歯科用グラスアイオノマーセメント、歯科用セメント、樹脂修飾グラスアイオノマー、または歯科用根管シーラー組成物である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の歯科用組成物。
  16. 0.1〜5重量パーセントの前記開始剤系を含有する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の歯科用組成物。
  17. 前記均一相(a)の重量比:モノマー(i)/(モノマー(ii)+モノマー(iii))が0.1〜10となるように、前記モノマー(i)、(ii)および(iii)を含有する、請求項1〜16のいずれか1項に記載の歯科用組成物。
JP2018544908A 2016-04-11 2017-04-07 歯科用組成物 Active JP6916198B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP16164674.0 2016-04-11
EP16164674.0A EP3231413A1 (en) 2016-04-11 2016-04-11 Dental composition
PCT/EP2017/058452 WO2017178383A1 (en) 2016-04-11 2017-04-07 Dental composition

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019510747A JP2019510747A (ja) 2019-04-18
JP6916198B2 true JP6916198B2 (ja) 2021-08-11

Family

ID=55745610

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018544908A Active JP6916198B2 (ja) 2016-04-11 2017-04-07 歯科用組成物

Country Status (7)

Country Link
US (1) US11166883B2 (ja)
EP (1) EP3231413A1 (ja)
JP (1) JP6916198B2 (ja)
CN (1) CN108697587B (ja)
AU (1) AU2017249668B2 (ja)
CA (1) CA3011777C (ja)
WO (1) WO2017178383A1 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108135782B (zh) * 2015-10-08 2022-03-22 登特斯普伊德特雷有限公司 牙科组合物
WO2019123260A2 (en) 2017-12-19 2019-06-27 3M Innovative Properties Company Multi-part composition having staged viscosity prior to hardening
EP3536305A1 (en) * 2018-03-07 2019-09-11 Dentsply DeTrey GmbH Dental impression material
EP3536304A1 (en) 2018-03-07 2019-09-11 Dentsply DeTrey GmbH Dental impression material
EP3632401A1 (en) * 2018-10-01 2020-04-08 Dentsply Sirona Inc. Macromonomer based light-curable dental impression material
US11110039B2 (en) 2018-05-18 2021-09-07 Dentsply Sirona Inc. Macromonomer based light-curable dental impression material
EP3632964B1 (en) * 2018-10-03 2022-09-28 3M Innovative Properties Company Curable precursor of a structural adhesive composition
EP3653194A1 (en) 2018-11-15 2020-05-20 Dentsply DeTrey GmbH Bifunctional and polyfunctional coinitiators in dental compositions
EP3725287A1 (en) * 2019-04-18 2020-10-21 Dentsply DeTrey GmbH Redox curing dental composition

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6306926B1 (en) * 1998-10-07 2001-10-23 3M Innovative Properties Company Radiopaque cationically polymerizable compositions comprising a radiopacifying filler, and method for polymerizing same
DE60312714T2 (de) 2003-12-23 2007-12-06 Dentsply Detrey Gmbh Selbstätzende, selbstgrundierende Einkomponenten-Dentalkleberzusammensetzung
EP1905415B1 (de) 2006-09-27 2009-07-01 Ivoclar Vivadent AG Polymerisierbare Zusammensetzungen mit Acylgermanium-Verbindungen als Initiatoren
EP2103297B1 (de) * 2008-03-20 2012-05-16 Ivoclar Vivadent AG Polymerisierbare Zusammensetzung mit mehrere Germanium-Atome enthaltenden Initiatoren
EP2604247A1 (en) 2011-12-15 2013-06-19 Dentsply DeTrey GmbH Composite filler particles and process for the preparation thereof
EP2705827B1 (en) 2012-09-11 2017-12-27 DENTSPLY DETREY GmbH Dental composition
EP2727576A1 (en) 2012-11-05 2014-05-07 DENTSPLY DETREY GmbH Dental composition
EP2870956A1 (en) * 2013-11-11 2015-05-13 Dentsply DeTrey GmbH Dental composition
EP2923689B1 (en) * 2014-03-27 2020-03-18 DENTSPLY DETREY GmbH Dental composition
US10322069B2 (en) 2014-04-07 2019-06-18 The Board Of Regents Of The University Of Texas System Restorative resin compositions and methods of use
CN108135782B (zh) * 2015-10-08 2022-03-22 登特斯普伊德特雷有限公司 牙科组合物
US10322097B2 (en) * 2015-11-05 2019-06-18 Macau University Of Science And Technology Treatment of subjects with multidrug-resistant cancer

Also Published As

Publication number Publication date
AU2017249668A1 (en) 2018-07-19
WO2017178383A1 (en) 2017-10-19
CN108697587A (zh) 2018-10-23
CN108697587B (zh) 2022-06-17
AU2017249668B2 (en) 2020-11-26
JP2019510747A (ja) 2019-04-18
CA3011777A1 (en) 2017-10-19
US11166883B2 (en) 2021-11-09
EP3231413A1 (en) 2017-10-18
US20190117522A1 (en) 2019-04-25
CA3011777C (en) 2022-08-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6916198B2 (ja) 歯科用組成物
CN108135781B (zh) 牙科组合物
CN108135782B (zh) 牙科组合物
US10532009B2 (en) Dental composition
CN106102690B (zh) 牙科组合物
JP6860591B2 (ja) 歯科用組成物
CN111225648B (zh) 可光固化的牙科用组合物
EP3075372A1 (en) Dental composition
GW et al. WO 2016/1563 63 Al I IIIII IIIIIIII II IIIIII IIIII IIIII IIIII IIII III III lllll lllll lllll lllll lllll llll 1111111111111111111

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190422

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200303

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20200508

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20200729

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201104

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20210201

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210310

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210622

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210715

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6916198

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150