関連出願
この出願は、2015年11月27日に中華人民共和国国家知識産権局に出願した中国特許出願201510851466.7号の優先権及び利益を主張し、その全体の内容を参照によりここに援用する。
発明の分野
本発明は、グルコピラノシル誘導体とL−ピログルタミン酸の複合体、その結晶形態と調製方法、及び本発明の複合体を含む医薬組成物、並びにナトリウム依存性グルコース輸送体阻害剤としての医薬品の製造における使用に関する。
発明の背景
糖尿病は、高血糖症によって特徴づけられる一般的な慢性疾患である。糖尿病の発症は、抹消組織におけるインスリン抵抗性、生体内でのインスリンの減少及び肝臓における糖新生に関係する。この疾患がダイエット及びエクササイズを通じて効果的に制御され得ないときは、治療のためにインスリン又は経口血糖降下薬が必要とされる。現在、血糖降下薬は、ビグアニド、スルホニル尿素、インスリン抵抗性改善薬、グリニド、α−グルコシダーゼ阻害剤、DPP−IV阻害剤等を含む。しかしながら、これらの現在の血糖降下薬は、欠点を有する。ビグアニドは、乳酸アシドーシスを引き起こし得る。スルホニル尿素は、重度の低血糖症をもたらし得る。グリニドは、不適切に使用されると低血糖をもたらし得る。インスリン抵抗性改善薬は、浮腫、心不全及び体重増加をもたらし得る。α−グルコシダーゼ阻害剤は、腹部膨満及び下痢を引き起こし得る。DPP−IV阻害剤は、血糖降下という所望の効果を達成するために、メトホルミンと組み合わせる必要がある。したがって、新規で、より安全で、より効果的な血糖降下剤を開発するという差し迫ったニーズがある。
研究により、グルコース輸送体タンパク質が、グルコースを輸送するために細胞膜に埋め込まれた担体タンパク質の一つのクラスであることが見いだされた。グルコースは、グルコース輸送体タンパク質により、細胞膜の脂質二重層構造を通過する必要がある。グルコース輸送体タンパク質は、2つのカテゴリーに分けられる。第1のカテゴリーは、ナトリウム依存性グルコース輸送体(SGLT)を含み、他のカテゴリーは、グルコース輸送体(GLUT)を含む。SGLTの2つの主要なファミリーメンバーは、SGLT−1とSGLT−2である。SGLT−1は、主に、小腸、腎臓、心臓及び気管に分布し、多くは腸刷子縁及び腎近位尿細管の遠位S3セグメントにおいて発現し、わずかが心臓及び気管において発現するのであり、グルコースとガラクトースを2:1のナトリウム対グルコース比をもって輸送する。他方、SGLT−2は、主として腎臓に分布し、多くは腎近位尿細管の遠位S1セグメントにおいて発現し、グルコースを1:1のナトリウム対グルコース比をもって輸送する。生体内において、グルコースは、同時のエネルギー消費を伴って、濃度勾配に対して能動輸送を通じてSGLTにより輸送される。一方、グルコースは、輸送プロセスにおけるエネルギー消費なしに、濃度勾配に沿って促進された拡散を通じてGLUTにより輸送される。研究は、通常、血漿グルコースは、腎臓糸球体においてろ過され、そこでは尿細管のアーリーS1セグメントにおけるグルコースの90%がSGLT−2によって上皮細胞へ能動的に輸送され、尿細管の遠位S3セグメントにおけるグルコースの10%がSGLT−1により上皮細胞へ能動的に輸送され、ついで上皮基底膜のGLUTにより抹消毛細管網目構造へ輸送され、尿細管によるグルコースの再吸収を達成する。したがって、SGLTは、細胞におけるグルコース代謝の調節における第1段階であり、糖尿病を効果的に治療するための理想的なターゲットである。研究により、SGLT−2損傷を有する罹患体が大量の尿グルコースを排泄することが見いだされた。このことは、SGLT−2の活性を阻害することを通じてグルコースの摂取を減少させることにより糖尿病を治療することの実際的な基礎を提供する。したがって、SGLT輸送タンパク質の活性を阻害することは、尿細管におけるグルコースの再吸収をブロックし、尿中のグルコースの排泄を増加させて血漿グルコース濃度を正常化し、さらに糖尿病及び糖尿病性合併症を防除することができる。SGLTを阻害することは、低血糖症の危険を引き起こし得る正常なグルコースの反調節機構に影響を与えない。ところで、尿グルコース排泄の増加により血中グルコースを低下させることは、肥満罹患体における体重減少を促進し得る。研究により、SGLT阻害剤の作用の機構は、膵β細胞機能障害又はインスリン抵抗性の程度とは無関係であることも見いだされた。したがって、SGLT阻害剤の有効性は、重度のインスリン抵抗性又はβ細胞不全を伴って減少しないであろう。SGLT阻害剤は、単独で又は他の血糖降下剤との組み合わせで用いることができた。したがってSGLT阻害剤は、理想的であり、新規な血糖降下剤である。
加えて、研究により、SGLT阻害剤が糖尿病関連合併症を治療するために用い得ることも見いだされた。網膜症、神経障害、腎臓疾患、グルコース代謝異常により引き起こされるインスリン抵抗性、高インスリン血症、高脂血症、肥満等である。ところで、SGLT阻害剤は、また、現行の治療計画、例えばスルホンアミド、チアゾリジンジオン、メトホルミン、インスリン等と組み合わせて用いることができ、これは、医薬品の効果に影響を与えることなく用量を減少させ得、それにより副作用を回避又は低減し、罹患体のコンプライアンスを改善することができる。現在、市販のSGLT阻害剤は、カナグリフロジン及びダパグリフロジン等を含み、それらはII型糖尿病及び糖尿病性合併症を治療するために主に使用される。
活性化合物の化学的安定性、固体安定性及び「貯蔵期間」は、薬剤調製における特に重要なファクターである。例えば当該化合物は、一般に、調製プロセスにおける活性化合物の均一な分散を確保するために適切なサイズに粉砕される。粉砕過程における活性化合物の分解を回避するために、活性化合物の高い安定性は、非常に重要である。理想的な薬剤物質及びその組成物は、評価期間中効果的に貯蔵され得、活性成分の物理的及び化学的性質(例えば、化学組成、密度、吸水率、溶解性及び溶解速度等)における明らかな変化がない。既知の非晶質形態の薬剤物質は、上記問題を十分に解決できない。例えば、非晶質形態にある薬剤物質は、管理及び調製することが困難であり、その溶解性は信頼できないものであり、その化学的及び物理的性質は通常不安定である。
薬剤複合体の応用は、医学の分野において幅広い開発展望を示し、共結晶形態としても知られている、複合体の結晶形態は次第に、薬剤調製における活性化合物の固体形態に対する新しい選択肢となっており、化合物の潜在的な固体形態の幅が広がり、共結晶形態の形成は、活性成分の物理的及び化学的性質を変化させるより良好な方法を提供することができ、特定の予期される性質は、活性成分と共結晶化剤(配位子)の共結晶形態を形成することによって実現される。医薬化合物とその共結晶形態の複合体の探求は、医薬品の全体的な性能を改良するためのより多くの機会を提供する。
発明の概要
この出願は、下記問題及び事実の発見に基づく。
出願人は、先の研究活動において化合物「(1R,2S,3S,4R,5S)−5−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−1−(1−ヒドロキシエチル)−6,8−ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,3,4−トリオール」が、SGLTに対して明らかな阻害活性を有するということを見いだしたが、その構造を以下に示す:
さらなる研究において、本出願の出願人は、立体選択的な合成方法によってシンガー(R)−異性体、すなわち(1R,2S,3S,4R,5S)−5−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−1−(1−(1R)−ヒドロキシエチル)−6,8−ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,3,4−トリオールを調製し、該出願人は、化合物の薬物動態活性に関していくつかの性質が、その(S)−異性体及び(R,S)−ジアステレオマー混合物より明らかにより良好であるということを見いだした。
その他、出願人は、既知の合成方法によって調製された化合物の形態は非晶質形態であり、その安定性が貯蔵及び調製の要求を満たすことができないということを見いだし、したがって、本出願の発明者らは活性化合物の固体形態を研究した。多くのスクリーニング実験の後、上記活性化合物とL−ピログルタミン酸によって形成された複合体が、他の複合体と比較してより容易に結晶化しやすい、改良された結晶特性を有し、当該複合体の結晶形態が、生体内で非常に良好な安定性及び代謝性質を有し、種々の薬物製剤を調製するのに非常に適していることを見いだしたことは、驚くべきことである。
本出願は、具体的に(1R,2S,3S,4R,5S)−5−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−1−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−6,8−ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,3,4−トリオール(I−n)とL−ピログルタミン酸の式(IA)を有する複合体、及びその結晶形態、すなわち共結晶形態に関する。本明細書で調製された共結晶形態は、X線単結晶回折、粉末X線回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)、ラマンスペクトル及びフーリエ変換赤外(FT−IR)スペクトルなどによって同定し、他の結晶形態と識別することができる。本発明はまた、式(IA)を有する複合体の調製方法に関し、当該方法は、作業が容易であり、かつ良好な再現性を有し、そして調製方法において容易に制御され、当該方法は、安定的でありかつ高収率を有し、それは工業生産に適している。式(IA)を有する複合体の性質の研究は、式(IA)を有する複合体が、SGLTへの明らかな阻害を有し、当該複合体が、適切な溶解性を有し、特に有意に改良された安定性及び明らかに低下した吸湿性を有するということを明らかにした。さらに、式(IA)を有する複合体はまた、生体内での十分な薬物動態学的特徴、良好な経口吸収、高いバイオアベイラビリティ、長い半減期、永続する効果、及び良好な開発展望を有する。
多くの実験に基づき、1つの側面において、本発明は、式(IA)
を有する複合体を提供し、
当該複合体は、式(I−n)を有する化合物とL−ピログルタミン酸を1:1のモル比で含み、式(I−n)を有する化合物は、(1R,2S,3S,4R,5S)−5−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−1−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−6,8−ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,3,4−トリオールであり、そしてその構造を以下に示す。
本明細書に記載されている式(IA)を有する複合体は、SGLTに対する明らかな阻害を有し、適切な溶解性、有意に改良された安定性、低下した吸湿性、生体内での十分なピログルタミン酸薬物動態学的特徴、良好な経口吸収、高いバイオアベイラビリティ、長い半減期、永続する効果及び良好な開発展望を有する。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されている複合体は、水和物である。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されている複合体は、1.25当量の結晶水を含む水和物であり、すなわち、式(I−n)を有する化合物、L−ピログルタミン酸及び水が、1:1:1.25のモル比である。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されている複合体は、固体形態にある。他のいくつかの実施形態において、本明細書に開示されている複合体は、結晶形態にある。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されている複合体は、3.61°±0.2°、13.35°±0.2°、17.84°±0.2°、18.22°±0.2°、19.92°±0.2°及び21.43°±0.2°の散乱角(2θ)における各ピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されている複合体は、3.61°±0.2°、7.14°±0.2°、13.35°±0.2°、17.84°±0.2°、18.22°±0.2°、19.92°±0.2°、21.43°±0.2°及び22.70°±0.2°の散乱角(2θ)における各ピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されている複合体は、3.61°±0.2°、7.14°±0.2°、11.44°±0.2°、11.84°±0.2°、13.35°±0.2°、16.33°±0.2°、16.71°±0.2°、17.16°±0.2°、17.84°±0.2°、18.22°±0.2°、19.92°±0.2°、21.43°±0.2°、22.70°±0.2°及び22.96°±0.2°の散乱角(2θ)における各ピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されている複合体は、3.61°±0.2°、7.14°±0.2°、11.44°±0.2°、11.84°±0.2°、13.35°±0.2°、16.33°±0.2°、16.71°±0.2°、17.16°±0.2°、17.84°±0.2°、18.22°±0.2°、18.52°±0.2°、19.92°±0.2°、21.43°±0.2°、21.74°±0.2°、22.70°±0.2°、22.96°±0.2°、23.75°±0.2°、24.31°±0.2°、25.07°±0.2°、25.84°±0.2°、26.50°±0.2°、27.75°±0.2°、28.61°±0.2°、29.25°±0.2°、29.44°±0.2°、30.17°±0.2°、30.99°±0.2°、31.59°±0.2°、32.40°±0.2°、32.81°±0.2°、34.32°±0.2°、34.79°±0.2°、35.43°±0.2°、36.09°±0.2°及び38.03°±0.2°の散乱角(2θ)における各ピークを含む粉末X線回折パターンを有する。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されている複合体は、図2に示すものと実質的に同じ粉末X線回折(XRPD)パターンを有する。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されている複合体は、96.9℃±3℃における吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されている複合体は、96.9℃±4℃における吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されている複合体は、96.9℃±5℃における吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されている複合体は、1454.51cm−1±1cm−1、1303.40cm−1±1cm−1、1183.17cm−1±1cm−1、1012.34cm−1±1cm−1及び495.61cm−1±1cm−1における各吸収ピークを含むラマンスペクトログラムを有する。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されている複合体は、3259.22cm−1±5cm−1、2985.55cm−1±5cm−1、2926.65cm−1±5cm−1、1750.08cm−1±2cm−1、1648.90cm−1±2cm−1、1511.90cm−1±2cm−1、1475.81cm−1±2cm−1、1263.43cm−1±2cm−1、1238.92cm−1±2cm−1、1206.04cm−1±2cm−1、1088.08cm−1±2cm−1、1060.72cm−1±2cm−1、1010.97cm−1±2cm−1及び821.26cm−1±2cm−1における各吸収ピークを含む赤外スペクトログラムを有する。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示されている複合体は、下記特徴:
(i)図3に示すものと実質的に同じ示差走査熱量測定サーモグラム;
(ii)図4に示すものと実質的に同じラマンスペクトログラム;
(iii)図5に示すものと実質的に同じフーリエ変換赤外スペクトログラム;及び
(iv)下記単位格子パラメータ:
格子乗数:a=7.4751(2)Å,b=7.8333(3)Å,c=49.4417(19)Å,α=90°,β=90°,γ=90°;
空間群:直交性,P212121;
格子体積:2895.04Å3;及び
単位格子当たりの非対称単位の数(Z):4
の少なくとも1つを有する。
他の側面において、本発明は、本明細書に開示されている複合体を調製する方法に関し、該方法は、
(i)式(I−n)を有する化合物及びL−ピログルタミン酸を溶媒に溶解する工程;
(ii)工程(i)から得られた溶液を冷却して固体を析出させる工程;及び
(iii)工程(ii)から得られた前記固体を分離する工程
を含む。
複合体を調製する方法は、作業が容易であり、かつ良好な再現性を有し、そして調製プロセスにおいて容易に制御され、当該方法は、安定的でありかつ高収率を有し、それは工業生産に適している。調製された複合体は、SGLTに対する明らかな阻害を有し、適切な溶解性、有意に改良された安定性、低下した吸湿性、生体内での十分な薬物動態学的特徴、良好な経口吸収、高いバイオアベイラビリティ、長い半減期、永続する効果及び良好な開発展望を有する。
いくつかの実施形態において、工程(i)における溶媒は、アルコールと水の混合物である。いくつかの実施形態において、当該アルコールは、エタノール又はイソプロパノールである。いくつかの実施形態において、当該溶媒は、体積比(1:1)から(1:2)までのエタノールと水の混合物、又は体積比(1:1)から(1:2)までのイソプロパノールと水の混合物である。他の実施形態において、当該混合物は、(5:6)の体積比のエタノールと水の混合物である。
いくつかの実施形態において、工程(i)における溶媒の量は、(式(I−n)を有する)化合物のグラム当たり1.5mLから5mLまでである。他の実施形態において、工程(i)における溶媒の量は、(式(I−n)を有する)化合物のグラム当たり2mLから3mLまでである。
いくつかの実施形態において、工程(i)における(式(I−n)を有する)化合物とL−ピログルタミン酸のモル比は、(1:2)から(1:5)までである。いくつかの実施形態において、工程(i)における(式(I−n)を有する)化合物とL−ピログルタミン酸のモル比は、(1:3)から(1:4)までである。
いくつかの実施形態において、工程(i)における(式(I−n)を有する)化合物とL−ピログルタミン酸の溶解温度は、50℃から90℃までである。いくつかの実施形態において、溶解温度は70℃から90℃までである。
いくつかの実施形態において、冷却工程(ii)は、10℃から30℃までの温度での自然冷却である。いくつかの実施形態において、冷却工程(ii)は、20℃から30℃までの温度での自然冷却である。
いくつかの実施形態において、溶解工程(i)は撹拌しながら行われる。
いくつかの実施形態において、固体は工程(ii)において撹拌条件下、また放置条件下で析出することができ、撹拌は容器内の溶液の温度を均一にすることができる。
いくつかの実施形態において、工程(ii)における析出時間は、固体の析出を完全に確保するために増加する(式(I−n)を有する)化合物の量に応じて延長される。
いくつかの実施形態において、工程(iii)における分離方法は真空吸引ろ過であり、分離後の固体を洗浄するために用いられる溶媒は、アルコールと水の混合物である。いくつかの実施形態において、分離後の固体を洗浄するために用いられる溶媒は、アルコールと水の混合物であり、当該アルコールはエタノール又はイソプロパノールである。いくつかの実施形態において、分離後の固体を洗浄するために用いられる溶媒は、体積比(1:1)から(1:2)までのエタノールと水の混合物、又は体積比(1:1)から(1:2)までのイソプロパノールと水の混合物である。他の実施形態において、洗浄溶媒は、−20℃〜0℃に予冷される必要がある。別の実施形態において、洗浄溶媒は、−20℃〜−10℃に予冷される必要がある。
いくつかの実施形態において、分離した固体は、当分野における伝統的な乾燥方法、例えば常圧乾燥又は低圧乾燥を用いて乾燥することができ、乾燥温度は40℃〜70℃であり得る。
他の側面において、本発明は、本明細書に開示されている複合体を調製する方法に関し、該方法は、
(i)(式(I−n)を有する)化合物及びL−ピログルタミン酸を溶媒に溶解する工程;
(ii)工程(i)から得られた溶液を冷却して固体を析出させる工程;及び
(iii)工程(ii)から得られた前記固体を分離する工程、
を含み、
工程(i)において、
前記溶媒は、体積比(1:1)〜(1:2)のエタノールと水の混合物、又は体積比(1:1)から(1:2)までのイソプロパノールと水の混合物であり;
前記溶媒の量は、式(I−n)を有する化合物のグラム当たり1.5mLから5mLまでであり、
式(I−n)を有する化合物とL−ピログルタミン酸のモル比は、(1:3)から(1:4)までであり、
溶解温度は、70℃から90℃までであり、
工程(ii)において、
前記冷却は、10℃から30℃までの温度での自然冷却であり、
工程(iii)において、
前記分離は、真空吸引ろ過であり、前記真空吸引ろ過は、さらに分離後の固体の洗浄を含み、ここで前記分離後の固体を体積比(1:1)から(1:2)までのエタノールと水の混合物、又は体積比(1:1)から(1:2)までのイソプロパノールと水の混合物で洗浄し、前記混合物は−20℃〜0℃に予冷される。
複合体を調製する方法は、作業が容易であり、かつ良好な再現性を有し、そして調製プロセスにおいて容易に制御され、当該方法は、安定的でありかつ高収率を有し、それは工業生産に適している。調製された複合体は、SGLTに対する明らかな阻害を有し、適切な溶解性、有意に改良された安定性、低下した吸湿性、生体内での十分な薬物動態学的特徴、良好な経口吸収、高いバイオアベイラビリティ、長い半減期、永続する効果及び良好な開発展望を有する。
他の側面において、本明細書には、本明細書に開示されている複合体を含む医薬組成物が提供される。
いくつかの実施形態において、当該医薬組成物はさらに薬学的に許容され得るアジュバントを含む。
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、追加の治療剤をさらに含み、ここで、その追加の治療剤は、SGLT−2阻害剤以外の抗糖尿病剤、抗高血糖症剤、抗脂肪過多症剤、抗高血圧症剤、抗血小板剤、抗アテローム硬化剤、脂質低下剤、抗炎症剤又はそれらの組み合わせである。
いくつかの実施形態において、SGLT−2阻害剤以外の抗糖尿病剤又は抗高血糖症剤は、ビグアニド、スルホニル尿素、グルコシダーゼ阻害剤、PPARアゴニスト(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体アゴニスト)、αP2阻害剤(脂肪細胞脂肪酸結合タンパク質阻害剤)、PPARα/γデュアルアゴニスト(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体α/γデュアルアゴニスト)、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)阻害剤、メグリチニド、インスリン、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)阻害剤、PTP1B阻害剤(タンパク質チロシンホスファターゼ1B阻害剤)、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース−6−ホスファターゼ阻害剤又はそれらの組み合わせである。
いくつかの実施形態において、脂質低下剤は、MTP阻害剤(ミクロゾームトリグリセリド転送タンパク質阻害剤)、HMGCoAレダクターゼ阻害剤(ヒドロキシメチルグルタリル−CoAレダクターゼ阻害剤)、スクアレンシンターゼ阻害剤、フィブラート脂質低下剤、ACAT阻害剤(アシルコレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤)、リポキシゲナーゼ阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、回腸Na(+)/胆汁酸共輸送体阻害剤、LDL受容体活性のアップレギュレーター(低比重リポタンパク受容体活性のアップレギュレーター)、ニコチン性脂質低下剤、胆汁酸捕捉剤又はそれらの組み合わせである。
他のいくつかの実施形態において、脂質低下剤は、プラバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、アタバスタチン、ロスバスタチン又はそれらの組み合わせである。
他の側面において、本明細書には、SGLT−2を阻害するための医薬品の製造における本明細書に開示した複合体又は医薬組成物の使用が提供される。
他の側面において、本明細書には、SGLT−1を阻害するための医薬品の製造における本明細書に開示した複合体又は医薬組成物の使用が提供される。
他の側面において、本明細書には、高比重リポタンパク(HDL)レベルを増加させるための医薬品の製造における本明細書に開示した複合体又は医薬組成物の使用が提供される。
本発明はまた、疾患を予防若しくは治療し、疾患の症状を緩和し、疾患の進行又は発症を遅延するための医薬品の製造における、本明細書に開示されている複合体又はその医薬組成物の使用を提供し、ここで前記疾患は、糖尿病、糖尿病性合併症例えば糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎障害、インスリン抵抗性、高血糖症、高インスリン血症、脂肪酸又はグリセロールの上昇した血中濃度、高脂血症例えば高トリグリセリド血症、肥満、シンドロームX、アテローム硬化症又は高血圧症である。
他の側面において、本明細書には、SGLT−2を阻害する上での使用のための、本明細書に開示された複合体又は医薬組成物が提供される。
他の側面において、本明細書には、SGLT−1を阻害する上での使用のための、本明細書に開示された複合体又は医薬組成物が提供される。
他の側面において、本明細書には、高比重リポタンパク(HDL)レベルを増加させる上での使用のための、本明細書に開示された複合体又は医薬組成物が提供される。
本発明はまた、疾患を予防若しくは治療し、疾患の症状を緩和し、疾患の進行又は発症を遅延する上での使用のための、本明細書に開示されている複合体又はその医薬組成物を提供し、ここで前記疾患は、糖尿病、糖尿病性合併症例えば糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎障害、インスリン抵抗性、高血糖症、高インスリン血症、脂肪酸又はグリセロールの上昇した血中濃度、高脂血症例えば高トリグリセリド血症、肥満、シンドロームX、アテローム硬化症又は高血圧症である。
他の側面において、本明細書には、罹患体に、治療効果量の、本明細書に開示された複合体又は医薬組成物を投与することを含む、罹患体のSGLT−2を阻害する方法が提供される。
他の側面において、本明細書には、罹患体に、治療効果量の、本明細書に開示された複合体又は医薬組成物を投与することを含む、罹患体のSGLT−1を阻害する方法が提供される。
他の側面において、本明細書には、罹患体に、治療効果量の、本明細書に開示された複合体又は医薬組成物を投与することを含む、罹患体の高比重リポタンパク(HDL)レベルを増加させる方法が提供される。
本発明はまた、罹患体に、治療効果量の、本明細書に開示された複合体又はその医薬組成物を投与することを含む、罹患体における疾患を予防若しくは治療し、疾患の症状を緩和し、疾患の進行又は発症を遅延する方法を提供し、ここで前記疾患は、糖尿病、糖尿病性合併症例えば糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎障害、インスリン抵抗性、高血糖症、高インスリン血症、脂肪酸又はグリセロールの上昇した血中濃度、高脂血症例えば高トリグリセリド血症、肥満、シンドロームX、アテローム硬化症又は高血圧症である。
以上は、本明細書に開示したある側面を単に要約したものであり、本来的に限定することを意図するものではない。これらの側面並びに他の側面及び実施形態は、以下により十分に記載する。
発明の詳細な説明
本発明は、(1R,2S,3S,4R,5S)−5−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−1−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−6,8−ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,3,4−トリオール(式(I−n)を有する)とL−ピログルタミン酸の複合体(式(IA)を有する)と、その共結晶形態と、複合体の調製方法と、複合体を含む医薬組成物と、医薬品の製造における複合体及びその医薬組成物の使用に関する。
特に注目すべきは、全ての類似の置換及び修飾は当業者にとって明らかであり、それらは本発明に含まれるものとみなされる。本発明において、複合体(IA)は、いくつかの場合、溶媒を含み得、複合体に含まれる溶媒は、複合体の結晶形態の内部安定性に寄与し、一般的な溶媒は、水、エタノール、メタノール、イソプロパノール、アセトンなどを含む。一定量の水又は他の溶媒を含む複合体(IA)が、本明細書に開示されている複合体(IA)のいずれかの特徴を有するならば、全てが本発明の範囲内に含まれるとみなされるべきである。
本発明の特徴及び利点は、下記の詳細な説明を読むことによって、当業者によってより容易に理解され得る。理由を明確にするために、別個の実施形態の文脈で記載される本発明の特定の特徴は、単一の実施形態を形成するために組み合わせられ得ることも理解される。反対に、理由を簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で記載される本発明の様々な特徴は、これらのサブコンビネーションを形成するように組み合わせることもできる。
定義及び一般用語
別段の指摘がない限り、本明細書及び請求項中で使用する本発明の用語は、以下の定義を有する。
ここで、本発明の特定の実施形態を詳細に参照し、その例は付随する構造及び式で例示される。本発明は、請求項により定義されたように本発明の範囲内に含まれてもよい全ての代替物、修飾体、及び均等物を含むことが意図されている。当業者は、本発明の実施に使用することができる、本明細書で記載される方法及び物質と類似又は同一の多くの方法及び物質を認識するであろう。本発明は本明細書に記載された方法及び物質に限定されない。多くの組込まれた文献、特許及び類似の資料が、用語の定義、用語の使用、説明された技術等を含んで本出願と異なる又は矛盾する場合は、この出願が支配する。
明確さのために、別個の実施形態の文脈で記載される、本発明の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることもさらに理解される。反対に、簡潔さのために、単一の実施形態の文脈で記載される、本発明の様々な特徴は、別々に又はいずれか適切なサブコンビネーションで提供することもできる。
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で言及される全ての特許及び刊行物は、その全体を参照により援用する。
本明細書で使用するとき、別段の指摘がない限り、下記定義を適用するものとする。本発明の目的のために、化学元素は、元素周期表、CAS版及びHandbook of Chemistry and Physics, 75th Ed.1994.にしたがって同定されている。また、有機化学の一般的原理は、“Organic Chemistry”, Thomas Sorrell, University Science Books, Sausalito: 1999,及び Smith et al., “March’s Advanced Organic Chemistry”, John Wiley & Sons, New York: 2007に記載されるので、全ての内容は参照により本発明に組み込まれている。
本明細書で使用される、文法的冠詞「a」、「an」及び「the」は、本明細書で別段の指摘がない限り又は文脈と明らかに矛盾しない限り、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を含むことが意図される。したがって、冠詞は、1つ又は複数の(すなわち、少なくとも1つの)冠詞の文法的対象を本明細書において指すために用いられる。一例として、「成分(a component)」は1つ以上の成分を意味し、したがって、場合によっては、複数の成分が考慮され、記載された実施形態の実施において使用又は用いることができる。
用語「含む」は開放表現であり、本明細書に開示されている内容を含むが、他の内容を排除するものではないということを意味する。
本明細書で使用される用語「複合体」は、一連の分子(例えば、複合有機化合物、無機化合物)と特定の(生理学的及び化学的)機能又は明らかな(物理学的及び化学的)特性を有する単純な物質によって形成されるアグリゲートをいう。
本明細書で使用される用語「溶媒和物」は、表面上に、格子中に、又は表面上及び格子中に、溶媒例えば水、酢酸、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、1,4−ジオキサン、エタノール、酢酸エチル、ブタノール、tert−ブタノール、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ホルムアミド、ギ酸、ヘプタン、ヘキサン、イソプロパノール、メタノール、メチルエチルケトン、l−メチル−2−ピロリジノン、ニトロメタン、ポリエチレングリコール、プロパノール、2−プロパノン、ピリジン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、それらの混合物等を有することを意味する。溶媒和物の具体例は、水和物であり、ここで表面上、格子中、又は表面上及び格子中の溶媒は、水である。水和物は、物質の表面上、格子中、又は表面上及び格子中に水以外の溶媒を有していても有していなくてもよい。
本明細書に開示されている複合体(IA)が結晶形態にある場合、溶媒は分子の一部として格子に存在する。
本明細書で使用するとき、用語「溶媒」は、別の物質、一般的には固体を完全に又は部分的に溶解可能な物質、一般的には液体を意味する。本発明の実施のための溶媒としては、水、酢酸、アセトン、アセトニトリル、1−ブタノール、2−ブタノール、2−ブタノン、ブチロニトリル、tert−ブタノール、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、ビス(2−ブトキシエチル)エーテル、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,4−ジオキサン、グリコールジメチルエーテル、エタノール、酢酸エチル、エチレングリコール、ギ酸エチル、ギ酸、ヘプタン、イソブタノール、酢酸イソプロピル、イソプロピルアミン、メタノール、アニソール、酢酸メチル、4−メチル−2−ペンタノン、2−メチルテトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル、2−ペンタノン、3−ペンタノン、1−ペンタノール、1,2−プロパンジオール、2−プロパノール、1−プロパノール、プロピオニトリル、ピリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、トルエン、トリエチルアミン、キシレン、それらの混合物等を含むが、それらに限定されるものではない。
用語「当量」又はその略語「eq」は、化学反応における等価な関係にしたがって基本物質の1当量当たりの必要なその他の物質の同当量をいう。
「共結晶」は、活性成分の化学結合を破壊することなく、分子認識及び分子間力、例えば水素結合、ハロゲン結合、πスタッキング相互作用、及びファンデルワールス力を介して、活性成分と適切な共結晶形成剤(配位子とも呼ばれる)によって形成された特定の結晶構造である。共結晶形態の各成分の固定された化学量論比が存在する。共結晶は、多成分結晶であり、2つの中性の固体によって形成された二成分共結晶と、中性の固体を有する塩又は溶媒和物によって形成された多塩基性共結晶の両方を含む。活性成分の結晶形は、多くのその物理化学的性質に影響を与え得るが、これらの性質は薬剤及び対応する最終製剤の加工及び/又は調製に直接的な影響を有し、例えば共結晶は、活性薬品成分の溶解性、吸湿性、安定性及びその調製(例えば、押圧力、流動性、ろ過性)を改良でき、薬剤の安定性、溶解速度及びバイオアベイラビリティにも影響を与える。共結晶は、薬剤の品質、安全性及び効果に影響を与え得る。
結晶形は、本明細書では図「に示すような」グラフデータによって特徴づけられるものとすることができる。これらデータは、例えば、粉末X線回折パターン、ラマンスペクトル、フーリエ変換赤外スペクトル、DSC曲線及び固体NMR分光法を含む。当業者は、データのこのようなグラフ表示が、例えば、機器応答の変動、及び試料濃度及び純度の変動などの要因に起因するピーク相対強度及びピーク位置のような小さな変動に影響を受けやすい可能性があり、これらは当業者によく知られているということを理解するだろう。それにもかかわらず、当業者は、本明細書の図のグラフデータを、未知の結晶形について生成されたグラフデータと容易に比較することができ、2組のグラフデータが同じ結晶形を特徴づけているかどうかを確認する。
「XRPD」は粉末X線回折をいう。
用語「非晶質」又は「非晶質形態」は、問題の物質、成分、又は生成物が、例えばXRPDによって特徴的な結晶形状又は結晶構造を欠いて実質的に結晶として決定されないこと、又はその問題の物質、成分、又は生成物が、例えば偏光顕微鏡を用いて観察したときに複屈折性ではなく、あるいは粉末X線回折パターンが鋭いピークを有さないことを意味することを意図している。いくつかの実施形態において、非晶質物質を含む試料は、他の非晶質形態及び/又は結晶形を実質的に含まない。
本明細書で使用するとき、用語「多形の」又は「多形」は、同じ化学分子のための少なくとも2つの異なる結晶配置の可能性として定義される。
用語「結晶形態」、「結晶形」、「多形体」、「多形体」、「結晶変態」、「結晶性変態」及び「多形形態」は、同義語として理解される。本発明の固形の化合物又は複合体は、単一及び多成分結晶、及び/又は化合物、溶媒和物、水和物、包接化合物、共結晶、塩、塩の溶媒和物、塩の水和物の多形形態を含むが、これらに限定されない。
多形形態の検出、同定、分類及び定性のためのよく知られている技術は、例えば、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、粉末X線回折(XRPD)、X線単結晶回折、振動スペクトル、溶液熱量計、固体核磁気共鳴(SSNMR)、フーリエ変換赤外スペクトル(FT−IRスペクトル)、ラマンスペクトル、ホットステージ光学顕微鏡法、走査型電子顕微鏡法(SEM)、電子線結晶学及び定量分析、粒径分析(PSA)、表面積分析、溶解性、及び溶解速度であるが、それらに限定されるものではない。多形は、同じ化学式を維持しながら、異なる結晶変態において、結晶化する特定の化合物の能力として特徴づけることができる。任意の物質の多形体は、同じように互いに結合した同じ原子を含むことにおいて化学的に同一であるが、それらの結晶変態が異なり、それは1つ以上の物理的性質、例えば溶解速度、融点、かさ密度、安定性、流動特性等に影響を与え得る。データのこのようなグラフ表示が、例えば、機器応答の変動、及び試料濃度及び純度の変動などの要因に起因するピーク相対強度及びピーク位置のような小さな変動に影響を受ける可能性があり、これらは当業者によく知られている。それにもかかわらず、当業者は、本明細書の図のグラフデータを、未知の結晶形について生成されたグラフデータと容易に比較することができ、2組のグラフデータが同じ結晶形又は2つの異なる結晶形を特徴づけているかどうかを確認する。
別段の指摘がない限り、本明細書においてグラフ形態(例えば、XRPD、IR、ラマン及びNMRスペクトル)で表されるスペクトル又はデータを指す場合に使用される、用語「ピーク」は、当業者がバックグラウンドノイズに起因しないと認識するピーク又は他の特別な特徴をいう。用語「有意のピーク」は、スペクトル又はデータにおいて、他のピークの少なくとも平均サイズ(例えば、高さ)、又はスペクトル若しくはデータにおいて、他のピークの平均サイズの少なくとも1.5、2、2.5倍のピークをいう。
使用される装置、湿度、温度、粉末結晶の配向、及び粉末X線回折(XRPD)パターンを得ることに関与する他のパラメータが、回折パターンにおける線の外観、強度、及び位置の多少の変動を引き起こし得ることは、当業者にはよく知られ理解されている。例えば、アメリカ薬局方#23、国民医薬品集#18、1843−1844頁、1995を参照されたい。この場合、2θの±0.2°のピーク位置変動性は、示された結晶形の明確な同定を妨げることなく、これらの潜在的な変動を考慮に入れる。結晶形の確認は、(°2θの単位で)特徴的なピーク、一般的にはより顕著なピークのいずれかのユニークな組み合わせに基づいて行うことができる。したがって、いくつかの実施形態において、いくつかのピーク位置を有するXRPDパターンによって特徴づけられる、本明細書に開示されている結晶性化合物は、本発明の添付の図面に示されるXRPDパターンと本質的に同じ特性を有する。実験機器の状態によれば、各特性ピークの2θにおける許容誤差は、±0.2°である。すなわち、XRPDパターンは、図2のパターンと同一であってもよく、又はそれどころか多少異なってもよい。そのようなXRPDパターンは、必ずしも本明細書に示される回折パターンの各線を示すわけではなく、及び/又はデータの取得に伴う条件の相違に起因する当該線の外観、強度のわずかな変化、又は位置のシフトを示すことができる。当業者は、結晶性化合物の試料は、それらのXRPDパターンの比較によって、本明細書に開示されている形態と同じ形態又は異なる形態を有するかどうかを決定することができる。同様に、当業者は、XRPDパターンから得られた任意の回折角(°2θで表される)が本明細書に示される値とほぼ同じ位置にあるかどうかを決定することができる。本明細書で使用するとき、粉末X線回折(XRPD)パターンのX軸は、2θ度である。
同様に、示差走査熱量測定(DSC)の分野でよく知られているように、DSCサーモグラムの相対的ピーク高さは、試料の調製及び機器の幾何学的図形に関連する多くの要因に依存する一方、ピーク位置は実験の詳細に対しては比較的無感応である。したがって、いくつかの実施形態において、いくつかのピーク位置を有するDSCサーモグラムにより特性決定される、本明細書に開示されている結晶性化合物は、本発明の添付の図面に提示されたDSCサーモグラムと本質的に同じ特性を有する。実験機器の状態又は試料の調製に従い、溶融ピークの許容誤差は、±3°、±4°又は±5°である。
ラマンスペクトルの分野でよく知られているように、ラマンスペクトルの相対的ピーク位置及び形状は、試料分子と光との間の相互作用から形成される散乱光の周波数に依存する。したがって、いくつかの実施形態において、いくつかのピーク位置及び形状を有するラマンスペクトルにより特性決定される、本明細書に開示されている結晶性化合物は、本発明の添付の図面に提示されたラマンスペクトルと本質的に同じ特性を有する。実験機器の状態に従い、吸収ピークの許容誤差は、±1cm−1である。
フーリエ変換赤外スペクトルの分野でよく知られているように、赤外スペクトルの相対的ピーク位置及び形状は、試料分子の共有結合のエネルギー順位の遷移に依存する。したがって、いくつかの実施形態において、いくつかのピーク位置を有するフーリエ変換赤外スペクトルにより特性決定される、本明細書に開示されている結晶性化合物は、本発明の添付の図面に提示されたフーリエ変換赤外スペクトルと本質的に同じ特性を有する。中華人民共和国薬典、2010年、付録IV C−赤外分光光度計、及び実験機器の状態に従い、約3000cm−1における吸収ピークの許容誤差は、±5cm−1であり、約1000cm−1においては±2cm−1である。
本明細書で使用するとき、図に「示すものと実質的に同じ」である粉末X線回折(XRPD)パターン、示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム、ラマンスペクトル又はフーリエ変換赤外スペクトルは、当該図に示される各ピークの少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%を有する粉末X線回折(XRPD)パターン、示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム、ラマンスペクトル又はフーリエ変換赤外スペクトルをいう。
本明細書で使用するとき、用語「組み合わせ」とは、その互変異性体を含有する結晶形態をいう(すなわち、当該結晶形態は、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.6%、少なくとも約99.7%、少なくとも約99.8%、又は少なくとも約99.9%の純度を有する)か、1種又はそれ以上の他の結晶形態を含有する結晶形態をいう(すなわち、当該結晶形態は、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.6%、少なくとも約99.7%、少なくとも約99.8%、又は少なくとも約99.9%の純度を有する)か、又は他の結晶形態を含有する結晶形態をいう(すなわち、当該他の結晶形態は、該結晶形態と1種又はそれ以上の他の結晶形態との合計体積若しくは重量に基づいて、20%未満、10%未満、5%未満、3%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、又は0.01%未満の該結晶形態を有する)。
本明細書で使用するとき、用語「相対強度」は、100%とみなされる粉末X線回折(XRPD)パターンにおける最大ピークの強度に対するピークの強度をいう。
値Nを持つ数が開示されているときはいつも、値N±0.01、N±0.02、N±0.03、N±0.05、N±0.07、N±0.08、N±0.1、N±0.15、N±0.2、N±1、N±1.5、N±2、N±3、N±4、N±5、N±6、N±7、N±8、N±9、又はN±10を持ついずれかの数が具体的に開示され、ここで「±」はプラス又はマイナスをいう。下限RL及び上限RUを有する数値範囲が開示されているときはいつも、当該範囲内に入るいずれかの数が具体的に開示される。
本明細書で提供される(1R,2S,3S,4R,5S)−5−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−1−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−6,8−ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,3,4−トリオールとL−ピログルタミン酸の複合体の結晶形態は、実質的に純粋な結晶形態で存在する。
本明細書で使用するとき、用語「実質的に純粋」は、化学的純度及び結晶純度、より具体的に、1種又はそれ以上の他の結晶形態が実質的にない結晶形態をいい、すなわち当該結晶形態は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.6%、少なくとも約99.7%、少なくとも約99.8%、又は少なくとも約99.9%の純度を有するか、あるいは当該結晶形態は、1種又はそれ以上の他の結晶形態を含むが、その結晶形態のパーセンテージは、当該結晶形態の総体積若しくは総重量において、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満、3%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、又は0.01%未満である。
本発明の結晶の純度は、例えば粉末X線回折法、熱分析等の既知の方法によって決定することができる。本発明の結晶又は混合結晶の純度は、100%である必要はなく、70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上であってもよい。この範囲内の純度は、品質を保証するために好ましい。
本明細書で使用するとき、「約」又は「おおよそ」は、一般に、任意の値又は範囲の10パーセント以内、好ましくは5パーセント以内、及びより好ましくは1パーセントを意味するものとする。あるいは、用語「約」は、当業者によって考慮される場合、平均の許容され得る標準誤差内であることを意味する。
特に明記しない限り、本明細書全体にわたって記載されたパーセンテージは、重量/重量(w/w)パーセンテージである。
用語「自然冷却」は、温度による密度の変化によって生成される流体の循環プロセスによって取り除かれる熱の冷却方法をいう。
用語「アルコール溶媒」は、液体アルコールを溶媒として用いることができることをいい、ここでヒドロカルビルに又はベンゼン環上の側鎖の炭素に結合したヒドロキシを含む化合物をアルコールと呼ぶ。アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、フェニルカルビノール又はエタンジオールを含むが、これらに限定されない。
用語「医薬組成物」は、本明細書に記載された複合体又は共結晶と、他の化学成分、例えばよく使われている、生理学的/薬学的に許容され得る担体、賦形剤、希釈剤、増量剤又は他の賦形剤、及び他の追加の治療剤例えば抗糖尿病剤、抗高血糖症剤、抗脂肪過多症剤、抗高血圧症剤、抗血小板剤、抗アテローム硬化剤、脂質低下剤等との混合物をいう。医薬組成物の目的は、生物への化合物の投与を容易にすることである。
本明細書で使用するとき、用語「治療対象体」は動物をいう。一般的には、動物は哺乳類である。治療対象体はまた、例えば、霊長類(例えば、ヒト、男性又は女性)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、魚類、鳥類等をいう。特定の実施形態において、治療対象体は、霊長類である。さらに他の実施形態において、治療対象体は、ヒトである。
本明細書で使用するとき、「罹患体」はヒト(成人及び子どもを含む)又は他の動物をいう。1つの実施形態において、「罹患体」はヒトをいう。
用語「シンドロームX」は、状態、メタボリックシンドロームの疾患としても知られ、該障害は、JohannssonらのJ. Clin. Endocrinol. Metab., 1997; 82, 727-734に詳しく記載され、これを参照により本明細書に援用する。
本明細書で使用するとき、いずれかの疾患又は障害の「治療し」、「治療する」又は「治療」という用語は、1つの実施形態において、疾患又は障害を改善する(すなわち、疾患又はその臨床症状の少なくとも1つの発達を遅くする又は止める又は低減する)ことをいう。別の実施形態において、「治療し」、「治療する」又は「治療」は、罹患体によって認識できないものを含む少なくとも1つの物理的パラメータを軽減又は改善することをいう。さらに別の実施形態において、「治療し」、「治療する」又は「治療」は、物理学的に(例えば、識別可能な症状の安定化)若しくは、生理学的に(例えば、物理的パラメータの安定化)、又はその両方で疾患又は障害を和らげることをいう。さらに別の実施形態において、「治療し」、「治療する」又は「治療」は、疾患又は障害の発症又は発達又は進行を、予防し又は遅延することをいう。
本発明の複合体の医薬組成物
上に記載したように、本明細書に開示されている薬学的に許容され得る組成物は、さらに、薬学的に許容され得るアジュバント、例えばアジュバントを含み、それは、本明細書で用いるとき、所望の個々の投与形態に適切な、あらゆる溶媒、固体賦形剤、希釈剤、バインダー、崩壊剤、若しくは他の液体賦形剤、分散、矯味剤又は懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘又は乳化剤、保存剤、固体バインダー、流動促進剤、潤滑剤等を含む。下記文献に記載されているように:In Remington:Troyら、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 21st ed., 2005、Lippincott Williams & Wilkins、Philadelphia、及びSwarbrickら、Encyclopedia of Pharmaceutical Technology, eds. 1988-1999、Marcel Dekker、New York(両方をその全体において参照により本明細書に援用する)は、薬学的に許容され得る組成物を配合する際に使用される種々のアジュバント及びその調製のための既知の技術を開示している。いずれかの通常のアジュバントが、例えばいずれかの望ましくない生物学的効果を生じるか又は薬学的に許容され得る組成物のいずれかの他の成分と有害な様式で相互作用することにより、本明細書に開示された化合物と相容性でないことを除いて、その使用が本発明の範囲内であることが企図されている。
薬学的に許容され得るアジュバントとして役立ち得る物質のいくつかの非限定的な例は、イオン交換体;アルミニウム;ステアリン酸アルミニウム;レシチン;血清蛋白例えばヒト血清アルブミン;緩衝物質、例えばホスファート;グリシン;ソルビン酸;ソルビン酸カリウム;飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物;水;塩又は電解質、例えばプロタミン硫酸塩、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム及び亜鉛塩;コロイダルシリカ;三ケイ酸マグネシウム;ポリビニルピロリドン;ポリアクリラート;ワックス;ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー;羊毛脂;糖例えばラクトース、グルコース及びスクロース;スターチ例えばコーンスターチ及びポテトスターチ;セルロース及びその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及びセルロースアセテート;粉末化トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤、例えばココアバター及び座剤ワックス;油、例えば落花生油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及び大豆油;グリコール、例えばプロピレングリコール及びポリエチレングリコール;エステル、例えばオレイン酸エチル及びラウリン酸エチル;寒天;緩衝剤、例えば水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張食塩水;リンガー液;エチルアルコール、及びホスファート緩衝液、並びに他の非毒性相溶性潤滑剤例えばラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウム、並びに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、着香剤及び芳香剤、防腐剤及び抗酸化剤を含む。
本明細書に開示した複合体又は共結晶若しくはその医薬組成物は、単独の活性薬剤として、又は1種以上の他の追加の治療(医薬)剤との組み合わせであってその組み合わせが許容できない有害な効果を引き起こさない場合には、投与することができる。これは、糖尿病、糖尿病性合併症及び他の関連疾患の治療にとって特に関連し得る。これら疾患のいくつかの非限定的な例は、I型糖尿病、II型糖尿病、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎障害、インスリン抵抗性、高血糖症、高インスリン血症、脂肪酸又はグリセロールの上昇した血中濃度、高脂血症、肥満、高トリグリセリド血症、シンドロームX、糖尿病性合併症、アテローム硬化症及び高血圧症を含む。本明細書で用いるとき、追加の治療剤は、SGLT−2阻害剤以外の抗糖尿病剤、抗高血糖症剤、抗脂肪過多薬、抗高血圧症剤、抗血小板剤、抗アテローム硬化薬、脂質低下剤、抗炎症剤又はそれらの組み合わせを含む。
ここで、SGLT−2阻害剤以外の抗糖尿病剤は、ビグアニド(例えば、フェンホルミン及びメトホルミン)、スルホニル尿素(例えば、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、グリベンクラミド、グリピジド、グリクラジド、グリメピリド、グリペンチド、グリキドン、トラザミド及びトルブタミド)、メグリチニド、グリニド(例えば、レパグリニド、ナテグリニド)、グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース、アジポシン、カミグリボース、エミグリテート、ミグリトール、ボグリボース、プラジミシン及びサルボスタチン)、PPARアゴニスト(例えば、バラグリタゾン、シグリタゾン、ダルグリタゾン、エングリタゾン、イサグリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン及びトログリタゾン)、PPARα/γデュアルアゴニスト(例えば、CLX−0940、GW−1536、GW−1929、GW−2433、KRP−297、L−796449、LR−90、MK−0767及びSB−219994)、DPP−IV阻害剤(例えば、シタグリプチン、ビダグリプチン、アログリプチン、リナグリプチン及びサクサグリプチン)、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)アゴニスト(例えば、エキセンジン−3及びエキセンジン−4)、タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤(例えば、トロズスクエミン、ヒルチオサールエキス及び化合物は、Zhang, S.らにより、Drug Discovery Today, 12(9/10), 373-381, 2007に開示されている)、インスリン、インスリンミメティック、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、VPAC2受容体アゴニスト、グルコキナーゼ活性化薬、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤又はグルコース−6−ホスファターゼ阻害剤、αP2阻害剤、アセチル−CoAカルボキシラーゼ−2(ACC−2)阻害剤、ホスホジエステラーゼ(PDE)−10阻害剤、ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT)1又は2阻害剤、グルコース輸送体4(GLUT4)レギュレーター及びグルタミン−フルクトース−6−リン酸アミドトランスフェラーゼ(GFAT)阻害剤を含むが、これらに限定されるものではない。
ここで、抗高血糖症剤は、ビグアニド(例えば、フェンホルミン及びメトホルミン)、スルホニル尿素(例えば、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、グリベンクラミド、グリピジド、グリクラジド、グリメピリド、グリペンチド、グリキドン、トラザミド及びトルブタミド)、メグリチニド、グリニド(例えば、レパグリニド、ナテグリニド)、グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース、アジポシン、カミグリボース、エミグリテート、ミグリトール、ボグリボース、プラジミシン及びサルボスタチン)、PPARアゴニスト(例えば、バラグリタゾン、シグリタゾン、ダルグリタゾン、エングリタゾン、イサグリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン及びトログリタゾン)、PPARα/γデュアルアゴニスト(例えば、CLX−0940、GW−1536、GW−1929、GW−2433、KRP−297、L−796449、LR−90、MK−0767及びSB−219994)、DPP−IV阻害剤(例えば、シタグリプチン、ビダグリプチン、アログリプチン及びサクサグリプチン)、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)アゴニスト(例えば、エキセンジン−3及びエキセンジン−4)、タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤(例えば、トロズスクエミン、ヒルチオサールエキス及び化合物は、Zhang, S.らにより、Drug Discovery Today, 12(9/10), 373-381, 2007に開示されている)、インスリン、インスリンミメティック、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、VPAC2受容体アゴニスト、グルコキナーゼ活性化薬、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤又はグルコース−6−ホスファターゼ阻害剤、αP2阻害剤、アセチル−CoAカルボキシラーゼ−2(ACC−2)阻害剤、ホスホジエステラーゼ(PDE)−10阻害剤、ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT)1又は2阻害剤、グルコース輸送体4(GLUT4)レギュレーター及びグルタミン−フルクトース−6−リン酸アミドトランスフェラーゼ(GFAT)阻害剤を含むが、これらに限定されるものではない。
ここで、脂質低下剤は、MTP阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(ヒドロキシメチルグルタリル−CoAレダクターゼ阻害剤)、スクアレンシンターゼ阻害剤、フィブラート高脂血症剤、ACAT阻害剤(アシルコレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤)、リポキシゲナーゼ阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、回腸Na(+)/胆汁酸共輸送体阻害剤、LDL受容体活性のアップレギュレーター、胆汁酸捕捉剤、又はニコチン性脂質低下剤を含むが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態において、脂質低下剤は、プラバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、アタバスタチン及びロスバスタチンから選ばれる。ここで、抗肥満剤は、CB−1拮抗薬(例えば、リモナバン、タラナバン、スリナバン、オテナバン、SLV319及びAVE1625)、消化管選択的MTP阻害剤(例えば、ジルロタピド、ミトラタピド及びインプリタピド)、CCKaアゴニスト、5−HT2cアゴニスト(例えば、ロルカセリン)、MCR4アゴニスト、リパーゼ阻害剤(例えば、セチリスタット)、PYY3−36、オピオイド拮抗薬(例えば、ナルトレキソン)、オレオイル−エストロン、オビネピチド、プラムリンチド、テソフェンシン、レプチン、リラグルチド、ブロモクリプチン、オルリスタット、エキセナチド、AOD−9604及びシブトラミドを含む。
ここで、好適な抗炎症剤は、生殖路/尿路感染症予防薬、及び治療薬を含む。例示的な剤は、クランベリー(バクシニウム・マクロカルポン)及びクランベリー誘導体、例えばクランベリージュース、クランベリーエキス又はクランベリーのフラボノールを含む。さらに、他の好適な抗炎症剤は、アスピリン、非ステロイド性抗炎症剤、グルココルチコステロイド、スルファサラジン及び選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤等を含むが、これらに限定されるものではない。
本明細書に開示された組成物は、経口で、非経口で、局所で、頬側で、又は移植リザーバを介して投与することができる。本明細書で用いるとき、用語「非経口」は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、眼内、肝内、病変内及び頭蓋内注射及び輸液技術を含む。いくつかの実施形態において、組成物は、経口、腹腔内又は静脈内で投与される。本明細書に開示された組成物の滅菌注射剤形は、水性及び油性懸濁液を含む。これらの懸濁液は、適切な分散若しくは湿潤剤及び懸濁剤を用いて当該分野で知られている技術にしたがって調合することができる。
本発明の薬学的に許容され得る組成物は、カプセル剤、錠剤、水懸濁剤若しくは液剤を含むがこれらに限定されない経口投与のための許容され得る経口製剤であり得る。経口錠剤のために、担体は一般に、ラクトース及びコーンスターチを含む。潤滑剤例えばステアリン酸マグネシウムが、典型的に添加される。経口カプセル剤投与のために、適切な希釈剤は、ラクトース及び乾燥コーンスターチを含む。経口投与が水懸濁である場合、活性成分は乳化及び懸濁化剤から構成され得る。これら製剤のために、甘味剤、着香剤又は着色剤を添加することができる。
経口投与のための液体製剤は、薬学的に許容され得る乳剤、マイクロ乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤及びエリキシル剤を含むが、これらに限定されるものではない。活性化合物に加えて、液体剤形は、当該分野で知られている不活性希釈剤例えば水又は他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤例えばエタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ジメチルホルムアミド、油及び脂肪(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、微生物油、オリーブ油、ひまし油、及びゴマ油)、グリセリン、2−テトラヒドロフランメタノール、ポリエチレングリコール、脱水ソルビトール脂肪酸エステル、並びにそれらの混合物を含んでいてもよい。不活性希釈剤の他に、経口組成物は、また、アジュバント、例えば湿潤剤、乳化剤又は懸濁化剤、甘味剤、着香剤及び芳香剤を含むことができる。
注射例えば滅菌注射又は油性懸濁は、適切な分散剤、湿潤剤及び懸濁化剤を用いる、よく知られている技術によって調製することができる。滅菌注射は、非毒性の局所的許容され得る希釈剤又は溶媒によって塗布位置で調製し、滅菌注射、懸濁又は乳剤、例えば、1,3−ブタンジオール溶液を与えることができる。許容され得る賦形剤及び溶媒は、水、リンガー液、USP及び等張塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌、不揮発性油は、溶媒又は懸濁媒体として使用されている。この目的のために使用されるいずれかの軽度の、不揮発性油は、合成モノ又はジ−グルコシルジアシルグリセロールを含み得る。さらに、脂肪酸、例えばオレイン酸は注射に使用することができ、天然の薬学的に許容され得る油、例えばオリーブ油又はひまし油、特にそれらのポリオキシエチル化バージョンとして使用することができる。これら油剤又は懸濁液はまた、乳剤及び懸濁液を含む薬学的に許容され得る剤形の製剤に一般に用いられる、長鎖アルコール希釈剤又は分散剤、例えばカルボキシメチルセルロース又は類似の分散剤を含み得る。薬学的に許容され得る固体、液体、又は他の剤形の製造に一般に用いられる、他の一般に用いられる界面活性剤、例えばTweens、Spans及び他の乳化剤又はバイオアベイラビリティエンハンサーもまた、製剤の目的のために使用することができる。
注射の滅菌方法は、例えば滅菌フィルタによるろ過、又は滅菌固体組成物の形態での滅菌剤の組み込みが含まれるが、これらに限定されない。滅菌剤は、使用前に、滅菌水又は滅菌注射媒体に溶解若しく分散することができる。本発明の化合物の効果を延長するために、皮下又は筋肉注射を化合物の吸収を遅らせるために使用することができる。結晶又は非晶質物質の難水溶性という問題は、液体懸濁液を用いることによって解決することができる。化合物の吸収速度はその溶解に依存し、次に粒径及び結晶形状に依存する。さらに、当該化合物は油性賦形剤に溶解又は分散され、化合物注射の吸収を遅延させる。
生体内で注射可能な薬剤放出形態は、生分解性ポリマー例えばポリラクチド−ポリクリコリド中の化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって作られる。ポリマーに対する化合物の比及び使用される個々のポリマーの性質に依存して、化合物の放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーのいくつかの非限定的な例は、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)を含む。デポ剤注射製剤は、また、化合物を、身体組織と相溶するリポソーム又はマイクロエマルジョン中に封入することによって調製される。
経口投与のための固形剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤及び顆粒剤を含む。このような固形剤形において、活性化合物は、少なくとも1種の不活性な薬学的に許容され得る賦形剤又は担体例えばクエン酸ナトリウム又はリン酸カルシウム、及び/又はa)フィラー又は増量剤、例えばスターチ、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及びケイ酸;b)バインダー、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギナート、ゼラチン、ポビドン、スクロース、及びアラビアゴム;c)保湿剤、例えばグリセロール;d)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、ポテト又はタピオカスターチ、アルギン酸、ある種のシリケート、及び炭酸ナトリウム;e)溶解遅延剤、例えばパラフィン;f)吸収促進剤、例えば第四級アンモニウム化合物;g)湿潤剤、例えばセチルアルコール及びグリセロールモノステアラート;h)吸収剤、例えばカオリン及びベントナイトクレー;並びにi)潤滑剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、及びそれらの混合物と混合される。カプセル剤、錠剤及び丸剤の場合、当該剤形は、また、緩衝剤を含んでいてもよい。
類似のタイプの固形組成物は、また、ラクトース又は乳糖、さらには高分子量ポリエチレングリコール等のような賦形剤を用いた軟及び硬ゼラチンカプセル中のフィラーとして使用することもできる。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤及び顆粒剤という固形剤形は、剤皮及び外皮例えば腸溶剤皮及び医薬処方の分野でよく知られた他の剤皮をもって調製することができる。それらは、任意に、不透明剤を含むことができ、そしてまた、活性成分を腸管のある部位においてのみか又は優先的に、任意に遅延様態で、放出する組成のものであり得る。使用し得る包埋組成物の例は、ポリマー物質及びワックスを含む。
活性化合物は、また、上に示した通りの1種又はそれ以上の賦形剤を有するマイクロカプセル化形態にあり得る。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤及び顆粒剤という固形剤形は、剤皮及び外皮例えば腸溶剤皮、放出制御剤皮及び医薬処方の分野でよく知られた他の剤皮をもって調製することができる。そのような固形剤形において、活性化合物は、少なくとも1種の不活性希釈剤例えばスクロース、ラクトース又はスターチと混合することができる。かかる剤形は、また、通常のプラクティスであるように、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば打錠滑沢剤及び他の打錠補助剤例えばステアリン酸マグネシウム及び微結晶セルロースを含むことができる。カプセル剤、錠剤及び丸剤の場合、当該剤形は、また、緩衝剤を含むことができる。それらは、任意に、不透明剤を含むことができ、そしてまた、活性成分を、それだけを、又は他の実施形態においては腸管のある部位において、任意に遅延様態で、放出する組成のものであり得る。使用し得る包埋組成物のいくつかの非限定的な例は、ポリマー物質及びワックスを含む。
本明細書に開示されている複合体は、好ましくは、投与の容易さ及び用量の均一性のために、投与単位形態に処方される。表現「投与単位形態」は、治療すべき罹患体に適切な剤の物理的に個別の単位をいう。しかしながら、本明細書に開示されている化合物及び組成物の合計の毎日の使用量は、しっかりした医学的判断の範囲内で主治医により決定されることが理解されるであろう。いずれかの特定の罹患体又は生物についての具体的な効果的用量レベルは、治療すべき疾患及び疾患の重症度、使用する具体的化合物の活性、使用する具体的な組成物、罹患体の年齢、体重、一般的な健康、性別及び食生活、使用する具体的な化合物の投与時期、投与経路及び排泄速度、治療の持続時間、使用する具体的化合物と組み合わせて又は同時に使用される薬剤、及び医学の分野でよく知られている同様の要因を含む種々の要因に依存する。
複合体及び医薬組成物の使用
本明細書に開示されている組成物における複合体又は活性化合物(I−n)の量は、SGLT−1及びSGLT−2活性、特にSGLT−2活性を含む、ナトリウム依存性グルコース輸送体(SGLT)活性を阻害するための効果的で検出可能な量である。SGLT−2は、腎臓球状ろ液からのD−グルコースの再吸収を担っており、これは血管におけるグルコース再吸収を阻害し、血中のグルコース濃度を低下させるのに有益である。それ故、本発明の複合体及び/又は医薬組成物は、II型糖尿病及び関連疾患を予防及び治療し、又はこれら疾患の症状を改善するために使用される。また、本明細書に開示されている組成物における複合体又は活性化合物(I−n)の量は、高比重リポタンパクレベルを高めるための効果的で検出可能な量である。
本明細書に開示された複合体及びその医薬組成物は、罹患体に、効果量の本明細書に開示された複合体及び/又は医薬組成物を投与することによって、罹患体における糖尿病若しくは関連疾患を予防し若しくは治療し、又は糖尿病若しくは関連疾患を緩和し、又は糖尿病若しくは関連疾患の進行若しくは発症を遅延し、又は高比重リポタンパク(HDL)レベルを増加させるために有用であるだろうが、これらに限定されない。このような疾患は、糖尿病、特にII型糖尿病、並びに糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎障害、インスリン抵抗性、高血糖症、高インスリン血症、脂肪酸又はグリセロールの上昇した血中濃度、高脂血症、肥満、高トリグリセリド血症、シンドロームX、糖尿病性合併症、アテローム硬化症及び高血圧症を含むが、これらに限定されない。
さらに、本明細書に開示された複合体又はその医薬組成物は、また、後の段階における糖尿病によるダメージ、例えば、腎臓疾患、網膜症、神経障害、心筋梗塞、抹消動脈疾患、血栓症、動脈硬化症、炎症、免疫疾患、自己免疫疾患例えばAIDS、喘息、骨粗しょう症、癌、乾癬、アルツハイマー病、統合失調症及び感染症を予防し又は治療するためにも適している。
ヒトの治療に有用であることのほか、これらの複合体は、哺乳動物、齧歯動物等を含む動物、例えばコンパニオンアニマル、エキゾチックアニマル及び家畜の獣医学的治療にも有用である。他の実施形態において、本明細書に開示された動物は、ウマ、イヌ、及びネコを含む。
複合体又は薬学的に許容され得る組成物の「有効量」又は「有効用量」は、前述の疾患の1つ以上を治療し、又はその重症度を緩和する上で効果的な量である。複合体及び薬学的に許容され得る組成物は、かなり広い用量範囲で効果的に投与される。例えば、一日量は、一人当たり約0.1mgから1000mgまであり、複合体又は薬学的に許容され得る組成物は、単一投与で、又は1日数回に分けた用量で投与することができる。本明細書に開示された方法に従い、複合体及び組成物は、該障害又は疾患を治療する又はその重症度を軽減するために有効ないずれもの量及びいずれもの投与経路を用いて投与することができる。必要とされる正確な量は、罹患体の種、年齢及び一般的な状態、感染の重症度、個々の薬剤、その投与モード等に依存して、罹患体毎に異なる。複合体又は組成物は、また、上に述べた1つ以上の他の治療剤とともに投与することができる。
図1は、本明細書で調製された(1R,2S,3S,4R,5S)−5−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−1−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−6,8−ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,3,4−トリオール(I−n)とL−ピログルタミン酸の複合体(IA)の単位格子図である。
図2は、本明細書で調製された(1R,2S,3S,4R,5S)−5−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−1−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−6,8−ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,3,4−トリオール(I−n)とL−ピログルタミン酸の複合体(IA)の粉末X線回折(XRPD)パターンである。
図3は、本明細書で調製された(1R,2S,3S,4R,5S)−5−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−1−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−6,8−ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,3,4−トリオール(I−n)とL−ピログルタミン酸の複合体(IA)の示差走査熱量測定(DSC)曲線である。
図4は、本明細書で調製された(1R,2S,3S,4R,5S)−5−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−1−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−6,8−ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,3,4−トリオール(I−n)とL−ピログルタミン酸の複合体(IA)のラマンスペクトルである。
図5は、本明細書で調製された(1R,2S,3S,4R,5S)−5−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−1−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−6,8−ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,3,4−トリオール(I−n)とL−ピログルタミン酸の複合体(IA)のFT−IRスペクトルである。 一般的な調製及び検出方法
本発明を以下の例によりさらに説明するが、それは、本発明の範囲の限定として解されるものではない。
当業者は、本論考から、実験パラメータを適切に改善し、調製方法を実施することを習得することができる。特に注目すべきは、全ての類似の置換及び修飾は当業者にとって明らかであり、それらは本発明の範囲に含まれるものとみなされる。関連する者は、本開示の精神、原理、及び範囲から逸脱することなく、本方法にいくつかの変更、適切な変更又は組み合わせを行うことによって、本明細書に開示された技術を明確に実現及び適用することができる。
化合物の構造は、核磁気共鳴(例えば、1H−NMR及び13C−NMR)により同定した。1H−NMR及び13C−NMR化学シフト(δ)は、ppm(10−6)として記録した。1H−NMR及び13C−NMRの測定は、溶媒として重水素化クロロホルム(CDCl3)、重水素化メタノール(CD3OD)又は重水素化DMSO(DMSO−d6)を用いて、Bruker Ultrashield - 400核磁気共鳴分光計及びBruker Avance III HD 600核磁気共鳴分光計でそれぞれ行なう。TMS(0ppm)又はクロロホルム(7.25ppm)は、参照標準である。ピーク多重度を記録した際に、下記略語を使用した:s(singlet、一重線)、d(doublet、二重線)、t(triplet、三重線)、m(multiplet、多重線)、br(broadened、ブロード)、dd(doublet of doublets、二重の二重線)、dt(doublet of triplets、二重の三重線)。結合定数JはHzで表される。
MSスペクトルは、Agilen-6120四重極LC/MS質量分析計で測定した。
使用した薄層シリカゲルは、Yantai Huanghai HSGF254シリカゲルプレートであった。
カラムクロマトグラフィーで使用したシリカゲルは、一般にQingdao Ocean Chemical F
actoryの300〜400メッシュのシリカゲルであった。
本発明の出発物質は、既知であるか、Shanghai Accela Company、Energy Company、J&K、Alfa Company等から購入したか、あるいはこれらは先行技術における伝統的な合成方法により調製することができた。
別段の記載がない限り、本明細書に開示した反応は、窒素雰囲気中で行なった。
用語「窒素雰囲気」は、反応フラスコが約1Lの窒素で満たされたバルーン又はステンレス鋼製オートクレーブを備えたような雰囲気をいう。
用語「水素雰囲気」は、反応フラスコが約1Lの窒素で満たされたバルーン又はステンレス鋼製オートクレーブを備えたような雰囲気をいう。
別段の記載がない限り、本明細書に開示された例において使用された溶液は、水溶液であった。
別段の記載がない限り、反応温度は室温であり、別段の記載がない限り、室温は20℃から30℃までであった。
別段の記載がない限り、反応温度又は乾燥温度はモニタリング機器に示された温度であり、±5℃の誤差が許容された。
結晶形態は、例えば、適切な溶媒混合物からの結晶化又は再結晶;昇華;別の相からの固体変換;超臨界流体からの結晶化;及びジェットスプレー法を含む様々な方法によって調製することができるが、それらに限定されるものではない。溶媒混合物から結晶形態を結晶化又は再結晶化するための技術は、例えば溶媒の蒸発、溶媒混合物の温度の低下、分子及び/又は塩の過飽和溶媒混合物の結晶播種、溶媒混合物の凍結乾燥、及び溶媒混合物への貧溶媒(逆溶媒(countersolvents))の添加を含む。ハイスループット結晶化技術は、多形体を含む結晶形態を調製するために使用することができる。
多形体を含む薬剤の結晶、調製方法、及び薬剤結晶のキャラクタリゼーションは、Solid-State Chemistry of Drugs, S. R. Byrn, R.R. Pfeiffer, and J.G. Stowell, 2nd Edition, SSCI, West Lafayette, Indiana (1999)で論じられている。
溶媒を使用する結晶化技術において、溶媒は、例えば、化合物の溶解性;利用される結晶化技術;及び溶媒の蒸気圧を含む1つ以上の要因に基づいて一般的に選択されるが、それらに限定されるものではない。溶媒の組み合わせを使用することができる。例えば、化合物を第1の溶媒に溶解して、溶液を得、次いでそこへ貧溶媒を加え、該溶液中における該化合物の溶解性を低下させて、結晶の形成を促進することができる。貧溶媒は、溶媒中において化合物が低い溶解性を有する溶媒である。
種晶を、結晶化を促進するためにいずれかの結晶化混合物に添加することができる。特定の多形体の成長を制御するために、及び/又は結晶性生成物の粒子サイズ分布を制御するために種処理を使用することができる。したがって、必要とされる種の量の計算は、例えばProgrammed Cooling Batch Crystallizers,” J. W. Mullin and J. Nyvlt, Chemical Engineering Science, 1971, 26. 369-377に記載されているような入手可能な種のサイズ及び平均生成物粒子の所望のサイズに依存する。一般に、小サイズの種はバッチ内の結晶成長を効果的に制御するために必要である。小サイズの種は、大きな結晶を篩い分け、粉砕又は微粉化することにより、又は溶液を微結晶化することによって生成することができる。結晶の粉砕又は微粉化において、所望の結晶形態から結晶化度を変化すること(すなわち、非晶質又は他の多形形態に変化すること)を避けるように注意する必要がある。
冷却した結晶化混合物を真空下でろ過して、単離した固体生成物を適切な溶媒、例えば冷再結晶溶媒を用いて洗浄することができる。洗浄後、生成物を窒素パージ下で乾燥して所望の結晶形態を得ることができる。生成物は、例えば、X線単結晶回折、粉末X線回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、フーリエ変換赤外スペクトル(FT−IRスペクトル)及びラマンスペクトルなどを含む適切な分光又は分析技術によって分析することができるが、それらに限定されるものではない。確実にするために化合物の結晶形態を形成している。
本発明は、下記例によってさらに説明されるが、例の特定の工程は、本開示の範囲の限定として理解されるべきではない。
本発明をさらに理解するために、例を通じて以下に、詳細に説明する。
例
説明するために、以下の例では、本出願で保護する必要がある複合体を複合体(IA)で表現し、他の化合物を「化合物化学名(構造コード)」例えば(R)−1−((1R,2S,3S,4R,5S)−2,3,4−トリス(ベンジルオキシ)−5−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6,8−ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン−1−イル)エタノール(I−m)として表現する。
1.調製例
調製例1:(1R,2S,3S,4R,5S)−5−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−1−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−6,8−ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,3,4−トリオール(I−n)
化合物(I−n)の調製方法を上に示したが、化合物(1S,2S,3S,4R,5S)−2,3,4−トリス(ベンジルオキシ)−5−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6,8−ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン−1−カルバルデヒド(I−l)の調製は、特許出願WO2015043511を参照することができ、その全体の内容を参照によりここに援用する。
工程1):(R)−1−((1R,2S,3S,4R,5S)−2,3,4−トリス(ベンジルオキシ)−5−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6,8−ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン−1−イル)エタノール(I−m)
(1S,2S,3S,4R,5S)−2,3,4−トリス(ベンジルオキシ)−5−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6,8−ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン−1−カルバルデヒド(I−l)(82.0g,116mmol,1.0eq)のトルエン(600mL)溶液へ、室温でキラル配位子Cr−サレン(11.0g,17.4mmol,0.15eq)を加えた。その反応混合物をN2下、30分間、室温で撹拌した後、−10℃まで冷却し、ジメチル亜鉛のヘキサン溶液(150.8mL,150.8mmol,1.3eq,1.0M)を1時間かけて加えた。得られた混合物を室温で20時間撹拌した。その反応混合物を−10℃で、水(50mL)でクエンチした。水相を酢酸エチル(100mL×2)で抽出した。合わせた有機相を水(500mL×2)及び飽和ブライン(500mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧濃縮して、粗生成物を赤褐色のオイルとして得た(115g)。
上記赤褐色のオイル(115g)を室温で10時間、PE/EtOAc(v/v=4/1,100mL)で研和した。その混合物をろ過した。そのろ過ケークをPE/EtOAc(v/v=30/1,40mL)で洗浄し、減圧乾燥して、表題の化合物(I−m)を黄色の固体として得た(46.0g,ee:96.7%),収率:53.0%。
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ (ppm): 7.48 (dd, 2H), 7.41 (dd, 1H), 7.37-7.32 (m, 2H), 7.32-7.24 (m, 8H), 7.24-7.16 (m, 3H), 7.05 (d, 2H), 6.85 (d, 2H), 6.75 (d, 2H), 5.04 (s, 1H), 4.79 (m, 4H), 4.26 (d, 1H), 4.12 (d, 1H), 4.00 (dd, 2H), 3.96-3.84 (m, 5H), 3.79 (d, 1H), 3.73 (dd, 2H), 1.29 (t, 3H), 1.15 (d, 3H)。
工程2):(1R,2S,3S,4R,5S)−5−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−1−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−6,8−ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,3,4−トリオール(I−n)
(R)−1−((1R,2S,3S,4R,5S)−2,3,4−トリス(ベンジルオキシ)−5−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−6,8−ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン−1−イル)エタノール(I−m)(46.0g,63.7mmol)のMeOH/THF(v/v=10/1,440mL)溶液へ、室温で濃塩酸(17mL,395mmol,12M)及び10%Pd/C(0.55g,5.2mmol)を加えた。その混合物を水素下、2時間撹拌した。その混合物をろ過して、Pd/Cを除去した。ろ液を減圧濃縮した。残分を酢酸エチル(100mL)に溶解した後、得られた溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でpH=7に調節して、得られた混合物を飽和NaCl水溶液(100mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥して、ろ過した。ろ液を減圧濃縮して、粗生成物(I−n)を得た。粗生成物(I−n)(22.00g,48.84mmol)へ無水エタノール(88mL)を加えた。得られた系を80℃へ温め、粗生成物が完全に溶解するまで攪拌した後、室温まで自然に冷却し、その系を攪拌し続け、固体を析出させた。固体が析出しなくなるまで、その系を吸引ろ過し、ろ過ケークを回収し、減圧乾燥して、化合物(I−n)を白色の固体として得た(18.70g,85%)。
MS (ESI, pos. ion) m/z: 451.2 [M+H]+;及び
1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ (ppm): 7.41 (dd, 2H), 7.35-7.29 (m, 1H), 7.11 (d, 2H), 6.84 (d, 2H), 5.30 (d, 1H), 5.01 (d, 1H), 4.92 (d, 1H), 4.64 (d, 1H), 4.03-3.95 (m, 5H), 3.85 (p, 1H), 3.78 (d, 1H), 3.59-3.53 (m, 1H), 3.44 (dd, 1H), 3.38 (m, 1H), 1.30 (t, 3H), 1.18 (d, 3H)。
調製例2:(1R,2S,3S,4R,5S)−5−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−1−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−6,8−ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,3,4−トリオール(I−n)とL−ピログルタミン酸の複合体(IA)
(1R,2S,3S,4R,5S)−5−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−1−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−6,8−ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,3,4−トリオール(I−n)(5.43g、10.8mmol)、L−ピログルタミン酸(5.60g、43.4mmol)、エタノール(5mL)及び水(6mL)の混合物を80℃へ加熱し、1時間撹拌し、固体を完全に溶解して、無色又は帯黄色の溶液を得た。その溶液を、固体が析出し始めるまで室温で攪拌し、その系を室温で12時間放置し、結晶化させた。その混合物を吸引ろ過し、ろ過ケークを−20℃に予冷したエタノールと水(v/v=2/3,12mL)の混合溶媒で洗浄した。ろ過ケークを回収し、50℃で一定重量まで減圧乾燥して(真空度は−0.098MPa)、生成物を白色の結晶固体として得た(5.50g,87%,HPLC:99.6%)。
複合体(IA)は、調製例2に記載の手順に従って、表1に示す反応条件下で調製することができる。
様々な同定方法で、(1R,2S,3S,4R,5S)−5−(4−クロロ−3−(4−エトキシベンジル)フェニル)−1−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−6,8−ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,3,4−トリオール(I−n)とL−ピログルタミン酸の複合体(IA)の形成を確認することができる。
調製例3:複合体(IA)の単結晶
例2から調製した共結晶試料(250mg)を容器に量りいれ、そこへエタノールと水(0.25mL/0.25mL)の混合溶媒を加えた後、混合物系を50℃に温め、固体が完全に溶解するまで撹拌し、さらに0.5時間撹拌した。その混合物を、加熱を止めた後、室温まで徐々に冷却し、少量の(例2から調製した)種晶を加えた後、得られた系を放置し、小さな棒結晶、すなわち複合体(IA)の単結晶を析出させた。
2.同定例
同定例1:X線単結晶回折の研究
データは、CuKα線(λ=1.5418Å)を用いたアジレント・テクノロジー Gemini A Ultra連続回折計で収集した。測定された強度データの索引付け及び処理は、CrysAlis PRO手順で実施した。単位格子パラメータは、予備実験により測定し、データ収集は、単位格子パラメータに従って設計したデータ収集戦略を用いて実施した。
構造は、SHELX-97(Sheldrick, G. M. SHELXTL-97, Program for Crystal Structure Solution and Refinement; University of Gottingen: Gottingen, Germany, 1997)を用いる直接的な方法によって解析した。派生原子パラメータ(座標系及び温度因子)は、完全行列最小二乗法により精緻なものとした。精緻において最小化された関数は、Σw (|Fo|-|Fc|)2であった。Rは、Σ ||Fo|-|Fc|| / Σ |Fo|と定義し、Rw = [Σw (|Fo|-|Fc|)2 / Σw |Fo|2]1/2とし、ここでwは、観測された強度の誤差に基づく適切な重み関数である。差分マップは、精緻の全ての段階で検査した。窒素上の水素の位置は、フーリエ差電子密度マップに位置していた。全ての他の水素原子は、算出された位置に置かれていた。シミュレーションした粉末X線パターンは、水銀法を用いて生成した。
単結晶は、0.30×0.08×0.08mmの(例3から調製した)単結晶を単結晶回折分析により測定することによって選択した。その選択した結晶を、少量のワセリンを含む薄いガラス繊維に貼り付け、Gemini A Ultra単結晶回折法(アジレント・テクノロジー)に取り付け、約150Kで測定した。結晶格子パラメータを表2に列挙し、原子分率座標系を表3に列挙した。
X線単結晶回折の研究結果によれば、複合体(IA)の単位格子は、4つの化合物(I−n)分子、4つのL−ピログルタミン酸分子及び5つの水分子を含み、したがって、化合物(I−n)、L−ピログルタミン酸及び水のモル比は、1:1:1.25として確認することができる。結晶構造の単位格子図を図1に示す。
同定例2:粉末X線回折(XRPD)の分析
粉末X線回折図は、自動3*15ゼロバックグラウンド試料ホルダを有する透過及び反射試料ステージを備えるオランダのPANalytical EmpyreanX線回折計で記録した。放射線源は、(Cu,kα,Kα1(Å):1.540598;Kα2(Å):1.544426;Kα2/Kα1強度比:0.50)であり、ここで電圧は45KVであり、電流は40mAである。X線ビームの開き、すなわち試料上にX線によって制約される有効寸法は10mmである。3°〜40°の有効2θ範囲は、θ−θ連続走査方式を用いて得られる。適当量の粉末試料を、環境条件(約18℃〜32℃)下、ゼロバックグラウンド試料ホルダの円形溝中に、きれいなスライドガラスを用いて徐々にプレスして平面にし、そのゼロバックグラウンド試料ホルダを固定した。試験試料は、0.0167°のステップサイズで3°から40°までの範囲で分析し、伝統的なXRPD図を作成した。データは、Data Collectorソフトウェアによって収集し、High Score Plusソフトウェアによって処理し、Data Viewerソフトウェアによって読み取った。
調製例2及び調製例3によって提供された複合体(IA)は、実質的に同じ粉末X線回折パターンを有し、同定例1のシミュレーションによって得られた粉末X線回折パターンと実質的に同じである。複合体(IA)の粉末X線回折パターンを図2に示し、特定のデータ結果を表4に示し、そのピーク位置は±0.2°の許容誤差を有する。
同定例3:示差走査熱量測定(DSC)の分析
示差走査熱量測定サーモグラムは、シールディスク装置を用いることによって、熱分析制御装置を備えたTAインスツルメント(商標登録)(TA InstrumentsTM)Q2000モジュールに記録した。調製例2から得られた複合体(IA)試料(約1〜5mg)を、蓋付き特殊アルミニウムるつぼに正確に量り入れ、すなわち正確に0.01mgとし、試料を測定機器に移した。試験期間の間、DSCキャビンを50mL/分の速度の乾燥窒素でパージした。データは、室温から300℃まで10℃/分の加熱速度で収集した。吸収ピークを下向きに描き、データを分析し、TAインスツルメント(TA Instruments)のサーマル・ソリューションズ(Thermal Solutions)に示した。得られた示差走査熱量測定曲線を図3に示したが、それは96.9℃のシフトにおける吸熱ピークを含み、±3℃〜±5℃の許容誤差がある。
同定例4:ラマンスペクトルの分析
ラマンスペクトルは、Thermo DXRレーザー共焦点ラマン分光法で測定した。レーザー波長は780nmであり、レーザーエネルギーは24Mwであり、検出範囲は3500から50cm−1までであり、走査時間は20であり、解像度比率は4.7から8.7cm−1までである。データは、MONICソフトウェアを用いて処理し分析した。複合体(IA)の得られたラマンスペクトルを図4に示したが、それは、1611.92cm−1、1454.51cm−1、1303.40cm−1、1183.17cm−1、1046.89cm−1、1012.34cm−1、875.63cm−1、844.71cm−1、819.49cm−1、692.49cm−1、495.61cm−1、371.38cm−1及び334.03cm−1の特徴的な吸収ピークにおけるシフトを含み、±1cm−1の許容誤差がある。
同定例5:フーリエ変換赤外スペクトル(FT−IRスペクトル)の分析方法
赤外スペクトルは、Bruker TENSOR 27フーリエ変換赤外分光計で測定した。適当量の複合体(IA)試料は、臭化カリウム錠剤法を用いて1:150の比率で乾燥臭化カリウムと混合し、その混合物を粉砕及びプレスし、その試料を4000〜400cm−1の吸収域で測定した。複合体(IA)の得られた各フーリエ変換赤外スペクトルを図5に示したが、それは、3648.57cm−1、3510.87cm−1、3447.81cm−1、3259.22cm−1、2985.55cm−1、2840.73cm−1、2725.55cm−1、2613.90cm−1、2537.12cm−1、2378.06cm−1、1844.06cm−1、1801.40cm−1、1750.08cm−1、1718.01cm−1、1559.73cm−1、1550.05cm−1、1541.26cm−1、1418.35cm−1、1410.08cm−1、1391.46cm−1、1238.92cm−1、1222.27cm−1、1206.04cm−1、1154.11cm−1、1124.46cm−1、1100.65cm−1、1010.97cm−1、888.93cm−1、743.32cm−1、494.50cm−1及び446.82cm−1における特徴的な吸収ピークを含み、中華人民共和国薬典によれば、約3000cm−1において±5cm−1の許容誤差及び、約1000cm−1において±2cm−1の許容誤差がある。
同定例6:熱重量分析(TGA)方法
熱重量分析は、熱分析制御装置を備えたTA Q500モジュールで実施した。(調製例2から調製された)約10mgの複合体(IA)試料を、プラチナ試料ディスクに正確に量り入れた。データは、室温から300℃まで10℃/分の加熱速度で収集した。試験期間の間、TGAオーブンチャンバを50mL/分の窒素でパージした。データを、TAインスツルメント(TA Instruments)のサーマル・ソリューションズ(Thermal Solutions)ソフトウェアを用いて処理及び分析した。
3.性質の測定例
1).溶解性の測定
試験方法:中華人民共和国薬典(2010年)によって規定された試験方法に従って、微粉末状の試験試料(本発明の例2から調製された複合体(IA)試料)を量り、一定量の溶媒に加えた後、その混合物を5分おきに30秒間激しく振盪し、溶解性を30分後に観察し、視認可能な溶質粒子又は液滴がない場合、完全に溶解した。
試験結果:表5に列挙されたデータ分析から、複合体(IA)はアセトニトリル、メタノール、エタノール、DMSO及びDMAにおける良好な溶解性を有する。
2).安定性の測定
(例2から調製された)適当量の複合体(IA)試料を量り、きれいな培養皿上に厚さ≦5mmにタイル状に貼り、下記条件下、分析した。
2.1)高温試験
試験試料を、高温条件(60±2℃)下に10日間置き、相対指数を5日目及び10日目に測定した。試験試料が有意に変化した場合、試験を、同じ方法を用いて40℃で実施した。有意の変化がなければ、40℃での試験は必要ではなかった。
2.2)高湿試験
試験試料を、25℃及びRH90%±5%条件下に10日間置き、試料を5日目及び10日目に測定した。試験項目は、吸湿重量増加を含む。吸湿の増量率が5%を超える場合、試験は同じ方法を用いて25℃及びRH75%±5%条件下で実施しなければならない。吸湿の増量率が5%未満である場合、他の調査項目が要件を満たしていれば試験は必要なかった。恒湿条件は、恒温恒湿チャンバを採用するか、又は飽和食塩水を密閉容器の中に置くことによって実現することができる。湿度の様々な要求に応じて、飽和NaCl水溶液(15.5−60℃,RH75%±14%)又は飽和KNO3水溶液(25℃,RH92.5%)を選択した。
2.3)光安定性試験
試験試料を、4500Lx±500Lxの照明条件下、ライトボックス又は他の適切な照明容器に10日間置き、試料を5日目及び10日目に測定した。
試料の不純物含量は、上記条件下、HPLCクロマトグラフィー機器を用いるピーク領域の正規化方法により算出し、分析条件を以下に示した。
検出は、Agilent 1200DAD高圧液体クトマトグラフィー分光計(Zorbax Eclipse Plus C18 150×4.6 mmクトマトグラフィーカラム)で実施した。
HPLCの試験条件:実行時間は30分(min)であった。カラム温度は35℃であった。検出は波長210nm及び225nmで実施した。
移動相:相C:アセトニトリル 相D:超純水 流量:1.0mL/分
試験結果:210nmの検出波長における純度結果は、無定形形態の化合物(I−n)の外観が、10日間の高温、高湿又は照明条件下で変化し、特に高温条件下において不純度が有意に増加し、低い安定性を有することを示した。複合体(IA)の外観は変化せず、純度はほとんど変化せず、明らかな新規の不純物は生じず、それは良好な安定性を有し薬剤需要を満たす。
3).吸湿性の測定
試験方法:中華人民共和国薬典、2010年、II部、付録XIXJによって規定された方法に従って、栓を有する乾燥ガラスはかり瓶(外径は50mmであり、高さは15mmである)を、実験1日前、25℃±1℃に恒温乾燥器(塩化アンモニウム又は硫酸アンモニウム飽和溶液を底に置いた)内に置き、栓を有する空のガラスはかり瓶を、METTLERTOLEDO XP205DR化学天秤を用いることによって正確に量り、m
1として記録した。(例2から調製された)適当量の複合体(IA)試料を、上記はかり瓶上に厚さ1mmにタイル状に貼り、それを正確に量りm
2として記録した。その瓶を開け、当該瓶を、栓とともに24時間、上記恒温及び恒湿条件下に置いた。栓で瓶を閉じ、その瓶を正確に量り、m
3として記録し、重量増加率(%)を算出した。
試験結果:表7の結果から、複合体(IA)は高湿雰囲気下、少しの重量増加及びわずかな吸湿性を有することが示された。
4.静脈注射及び経口による定量的複合体(IA)の投与後の薬物動態評価
1)ラットにおける薬物動態評価の試験方法
試験試料(本発明の例2から調製された複合体(IA))を、通常生理食塩水(100%)に溶解し、0.06mg/mLの濃度の溶液を得、それを静脈注射により投与した。同じ試験試料を0.5%HPMCに懸濁させ、0.03mg/mL、0.15mg/mL、0.75mg/mLの濃度の懸濁液を得、それらを強制飼養により投与した。ラットを無作為にグループ分けし、各投与グループは6匹のラットを有し、半数はオスであり、半数はメスであり、それらは投与前に12時間絶食させ、自由に飲ませた。投与4時間後、ラットは均一に食べた。単回胃内投与を、経口投与において採用した。強制飼養グループを、3つの投与グループにグループ分けし、それらにそれぞれ強制飼養により試験試料懸濁液を投与したが、投与量はそれぞれ0.3、1.5、及び7.5mg/kgであり、懸濁液の容量は10mL/kgであった。血液試料を、尾静脈から、投与0時間前、並びに投与0.25、0.5、1.0、2.0、4.0、6.0、8.0、10、12及び24時間後に採取し、それらをEDTA−K2抗凝固性のチューブに入れた。静脈注射グループは、1つの投与グループを有し、試験試料溶液を0.3mg/kgの投与量で静脈注射によって投与したが、その溶液の容量は5mL/kgであった。血液試料を、静脈から、投与0時間前、並びに投与5分、15分、0.5、1.0、2.0、4.0、6.0、8.0、10、12及び24時間後に採取し、それらをEDTA−K2抗凝固性のチューブに入れた。血液試料を11000rpmで2分間遠心分離し、血漿試料を単離し、−70±10℃で保存した。
2)ビーグルにおける薬物動態評価の試験方法
試験試料(本発明の例2から調製された複合体(IA))を、通常生理食塩水(100%)に溶解し、0.04mg/mLの濃度の溶液を得、それを静脈注射により投与した。同じ試験試料を0.5%HPMCに懸濁させ、0.02mg/mL、0.10mg/mL、0.50mg/mL、2.00mg/mLの濃度の懸濁液を得、それらを強制飼養により投与した。ビーグルを無作為にグループ分けし、各投与グループは6匹のビーグルを有し、半数はオスであり、半数はメスであり、それらは投与前に12時間絶食させ、自由に飲ませた。投与4時間後、ビーグルは均一に食べた。単回経口投与グループを、4つの投与グループにグループ分けし、それらをそれぞれ強制飼養により試験試料懸濁液を投与したが、投与量はそれぞれ0.1、0.5、2.5及び10mg/kgであり、懸濁液の容量は5mL/kgであった。血液試料を、前肢の側方小伏在静脈又は内頭部静脈から、投与0時間前、並びに投与0.25、0.5、1.0、2.0、4.0、6.0、8.0、10、12及び48時間後に採取し、それらをEDTA−K2抗凝固性のチューブに入れた。静脈注射グループは、1つの投与グループを有し、試験試料溶液を0.1mg/kgの投与量で静脈注射によって投与し、その溶液の容量は2.5mL/kgであった。血液試料を、前肢の側方小伏在静脈又は内頭部静脈から、投与0時間前、並びに投与5分、15分、0.5、1.0、2.0、4.0、6.0、8.0、10、12及び48時間後に採取し、それらをEDTA−K2抗凝固性のチューブに入れた。血液試料を11000rpmで2分間遠心分離し、血漿試料を単離し、−70℃±10℃で保存した。
3)試料の分析方法
血漿中の試験試料の濃度を、LC−MS/MS方法により分析し、薬物動態パラメータを、WinNonlin 6.3ソフトウェアを用いる非房室モデル法により算出し、薬剤−時間曲線をプロットした。
LC/MS/MS系は、Agilent 1200シリーズ真空脱ガス炉、バイナリーポンプ、ウェル−プレート自動試料採取装置、サーモスタット付きカラムコンパートメント、エレクトロスプレーイオン化(ESI)源を有するAPI 4000 QTRAP三連四重極質量分析計を含んだ。定量分析を、MRMモードを用いて実施した。各パラメータを表Dに列挙した。
Waters Xbridge-C18,2.1×30mm,3.5μMのカラムを分析のために使用し、5μLの試料を注入した。分析条件:移動相は、2nMのギ酸アンモニウム+水中0.1%ギ酸(A)及び2mMのギ酸アンモニウム+メタノール中0.1%ギ酸(B)であった。流量は、0.4mL/分であった。移動相のグラジエントを表Eに列挙した。
複合体(IA)の薬物動態特性の試験結果を表8に示した。
試験結果:静脈注射又は経口により投与される場合、複合体(IA)は良好な薬物動態性質を有し、吸収は良好であり、曝露は高く、経口バイオアベイラビリティ(F)は非常に高く、それは長い半減期(T1/2)も有していた。具体的に、複合体(IA)はビーグルにおいて高い曝露(AUClast)を有し、それは、複合体(IA)は容易に吸収され、より良好な安定性を有することを示した。絶対バイオアベイラビリティはビーグルにおいて97.5%に到達し、それは複合体(IA)が特別に高いバイオアベイラビリティを有することを示す。半減期が8.88時間に到達し、それは、複合体(IA)が永続する効果を有し、投与間隔を適切に延長することができ、投与時間を短縮することができるということを示した。
5.SGLT−2及びSGLT−1に対する阻害活性の検出
試験の目的:
下記方法を、SGLT−1及びSGLT−2に対する本発明の化合物の阻害活性を検出するために用いる。
実験材料:
14C-AMG溶液は、PerkinElmer, Cat. No. NEZ080001MCから購入した。
α−メチルグルコピラノシドは、Sigma, Cat. No.M9376-100Gから購入した。
メグルミンは、Sigma, Cat. No.M2004-100Gから購入した。
フロリジンは、Sigma, Cat. No. P3449-1Gから購入した。
96ウェル細胞培養プレートは、Corning, Cat. No. 3903から購入した。
試験方法:
モックトランスフェクトFIP−inCHO細胞(3×104細胞)、及び発現ヒトSGLT1/SGLT2遺伝子CHO細胞を、96ウェル細胞培養プレートに播種した。その細胞を12時間インキュベートした後、各ウェルへ、150μLの無Na緩衝液を加え、細胞を一度洗浄した。次いで、各ウェルへ、50μLの、異なる濃度の化合物を含むNa緩衝液及び0.5μMの[14C]−AMGを加え、プレートを、37℃、1時間、インキュベ−タ−中でインキュベートし、その反応を、150μLの予冷した、Naを含まない緩衝液を加えることによって停止させた。細胞を、Naを含まない緩衝液でさらに3回洗浄し、残留液体を除去した。各ウェルへ、20μLの予冷したNaOH(100nM)を加え、プレートを5分間900rpmで振盪させた。次いで、各ウェルへ、80μLのシンチレーション溶液を加え、プレートを5分間600rpmで振盪させた。そのプレートを、液体シンチレーションカウンター上で分析した。
実験結果は、本明細書に開示されている複合体は、SGLT−2及びSGLT−1阻害活性を有し、SGLT−2に対する阻害活性がSGLT−1に対する阻害活性よりずっと強いということを示す。
この明細書を通じて「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「一つの実施形態」、「他の例」、「例」、「具体例」、もしくは「いくつかの例」というときは、実施形態もしくは例に関して記載される、個々の特徴、構造、材料、もしくは特性が、本開示の少なくとも一つの実施形態もしくは例に含まれることを意味する。すなわち、この明細書を通じて様々な所における「いくつかの実施形態において」、「一つの実施形態において」、「実施形態において」、「別の例において」、「例において」、「具体例において」、もしくは「いくつかの例において」のような語句の出現は、必ずしも、本開示の同じ実施形態もしくは例をいうものではない。さらに、個々の特徴、構造、材料、もしくは特性は、一つ以上の実施形態もしくは例において、いずれもの適切な様態で組み合わせることができる。
例示的な実施形態を示し、記載したが、上記実施形態は本開示を限定するようには解釈され得ず、変更、代替、及び修飾が、本開示の精神、原理、及び範囲を逸脱することなしに、実施形態においてなされ得るということは当業者によって認識されるものである。
本明細書で引用される全ての文献又は特許は、ここに参照により援用される。
[1]式(IA):
を有する複合体であって、
式(I−n)
を有する化合物とL−ピログルタミン酸を1:1のモル比で含む該複合体。
[2]前記複合体が、水和物である[1]に記載の複合体。
[3]前記複合体が、1.25当量の結晶水を含む水和物である[1]に記載の複合体。
[4]前記複合体が、結晶形態にある[1]〜[3]のいずれか1つに記載の複合体。
[5]前記結晶形態が、3.61°±0.2°、13.35°±0.2°、17.84°±0.2°、18.22°±0.2°、19.92°±0.2°及び21.43°±0.2°の散乱角(2θ)における各ピークを含む粉末X線回折パターンを有する[4]に記載の複合体。
[6]前記結晶形態が、3.61°±0.2°、7.14°±0.2°、13.35°±0.2°、17.84°±0.2°、18.22°±0.2°、19.92°±0.2°、21.43°±0.2°及び22.70°±0.2°の散乱角(2θ)における各ピークを含む粉末X線回折パターンを有する[4]に記載の複合体。
[7]前記結晶形態が、3.61°±0.2°、7.14°±0.2°、11.44°±0.2°、11.84°±0.2°、13.35°±0.2°、16.33°±0.2°、16.71°±0.2°、17.16°±0.2°、17.84°±0.2°、18.22°±0.2°、19.92°±0.2°、21.43°±0.2°、22.70°±0.2°及び22.96°±0.2°の散乱角(2θ)における各ピークを含む粉末X線回折パターンを有する[4]に記載の複合体。
[8]前記結晶形態が、3.61°±0.2°、7.14°±0.2°、11.44°±0.2°、11.84°±0.2°、13.35°±0.2°、16.33°±0.2°、16.71°±0.2°、17.16°±0.2°、17.84°±0.2°、18.22°±0.2°、18.52°±0.2°、19.92°±0.2°、21.43°±0.2°、21.74°±0.2°、22.70°±0.2°、22.96°±0.2°、23.75°±0.2°、24.31°±0.2°、25.07°±0.2°、25.84°±0.2°、26.50°±0.2°、27.75°±0.2°、28.61°±0.2°、29.25°±0.2°、29.44°±0.2°、30.17°±0.2°、30.99°±0.2°、31.59°±0.2°、32.40°±0.2°、32.81°±0.2°、34.32°±0.2°、34.79°±0.2°、35.43°±0.2°、36.09°±0.2°及び38.03°±0.2°の散乱角(2θ)における各ピークを含む粉末X線回折パターンを有する[4]に記載の複合体。
[9]前記結晶形態が、図2に示すものと実質的に同じ粉末X線回折パターンを有する[4]に記載の複合体。
[10]前記結晶形態が、下記特徴:
(i)96.9℃±3℃における吸熱ピークを含む示差走査熱量測定サーモグラム;
(ii)1454.51cm −1 ±1cm −1 、1303.40cm −1 ±1cm −1 、1183.17cm −1 ±1cm −1 、1012.34cm −1 ±1cm −1 及び495.61cm −1 ±1cm −1 における各吸収ピークを含むラマンスペクトログラム;及び
(iii)3259.22cm −1 ±5cm −1 、2985.55cm −1 ±5cm −1 、2926.65cm −1 ±5cm −1 、1750.08cm −1 ±2cm −1 、1648.90cm −1 ±2cm −1 、1511.90cm −1 ±2cm −1 、1475.81cm −1 ±2cm −1 、1263.43cm −1 ±2cm −1 、1238.92cm −1 ±2cm −1 、1206.04cm −1 ±2cm −1 、1088.08cm −1 ±2cm −1 、1060.72cm −1 ±2cm −1 、1010.97cm −1 ±2cm −1 及び821.26cm −1 ±2cm −1 における各吸収ピークを含むフーリエ変換赤外スペクトログラムの少なくとも1つを有する[4]に記載の複合体。
[11]前記結晶形態は、下記特徴:
(i)図3に示すものと実質的に同じ示差走査熱量測定サーモグラム;(ii)図4に示すものと実質的に同じラマンスペクトログラム;(iii)図5に示すものと実質的に同じフーリエ変換赤外スペクトログラム;及び(iv)下記単位格子パラメータ:
格子乗数:a=7.4751(2)Å,b=7.8333(3)Å,c=49.4417(19)Å,α=90°,β=90°,γ=90°;
空間群:直交性,P2 1 2 1 2 1 ;
格子体積:2895.04Å 3 ;及び
単位格子当たりの非対称単位の数(Z):4
の少なくとも1つを有する[4]に記載の複合体。
[12] [1]〜[11]のいずれか1つに記載の複合体を調製する方法であって、
(i)式(I−n)を有する化合物及びL−ピログルタミン酸を溶媒に溶解する工程;(ii)工程(i)から得られた溶液を冷却して固体を析出させる工程;及び(iii)工程(ii)から得られた前記固体を分離する工程
を含む該方法。
[13]工程(i)において、前記溶媒は、体積比(1:1)から(1:2)までのエタノールと水の混合物、又は体積比(1:1)から(1:2)までのイソプロパノールと水の混合物である[12]に記載の方法。
[14]工程(i)において、前記溶媒の量は、式(I−n)を有する化合物のグラム当たり1.5mLから5mLまでである[12]又は[13]に記載の方法。
[15]工程(i)における式(I−n)を有する化合物とL−ピログルタミン酸のモル比は、(1:2)から(1:5)までである[12]〜[14]のいずれか1つに記載の方法。
[16]工程(i)における式(I−n)を有する化合物とL−ピログルタミン酸のモル比は、(1:3)から(1:4)までである[12]〜[14]のいずれか1つに記載の方法。
[17]工程(i)における溶解温度は、70℃から90℃までである[12]〜[16]のいずれか1つに記載の方法。
[18]工程(ii)における前記冷却は、10℃から30℃までの温度での自然冷却である[12]〜[17]のいずれか1つに記載の方法。
[19]工程(iii)における前記分離は、真空吸引ろ過であり、前記真空吸引ろ過は、さらに分離後の固体の洗浄を含み、前記分離後の固体を体積比(1:1)から(1:2)までのエタノールと水の混合物、又は体積比(1:1)から(1:2)までのイソプロパノールと水の混合物で洗浄し、前記混合物は−20℃〜0℃に予冷される[12]〜[18]のいずれか1つに記載の方法。
[20] [1]〜[11]のいずれか1つに記載の複合体を調製する方法であって、(i)式(I−n)を有する化合物及びL−ピログルタミン酸を溶媒に溶解する工程;(ii)工程(i)から得られた溶液を冷却して固体を析出させる工程;及び(iii)工程(ii)から得られた前記固体を分離する工程
を含み、
工程(i)において、前記溶媒は、体積比(1:1)〜(1:2)のエタノールと水の混合物、又は体積比(1:1)から(1:2)までのイソプロパノールと水の混合物であり;前記溶媒の量は、式I−nを有する化合物のグラム当たり1.5mLから5mLまでであり、式(I−n)を有する化合物とL−ピログルタミン酸のモル比は、(1:3)から(1:4)までであり、溶解温度は、70℃から90℃までであり、
工程(ii)において、前記冷却は、10℃から30℃までの温度での自然冷却であり、
工程(iii)において、前記分離は、真空吸引ろ過であり、前記真空吸引ろ過は、さらに分離後の固体の洗浄を含み、前記分離後の固体を体積比(1:1)から(1:2)までのエタノールと水の混合物、又は体積比(1:1)から(1:2)までのイソプロパノールと水の混合物で洗浄し、前記混合物は−20℃〜0℃に予冷される該方法。
[21] [1]〜[11]のいずれか1つに記載の複合体を含む医薬組成物。
[22]薬学的に許容され得るアジュバントをさらに含む[21]に記載の医薬組成物。
[23]追加の治療剤をさらに含み、前記追加の治療剤は、SGLT−2阻害剤以外の抗糖尿病剤、抗高血糖症剤、抗脂肪過多症剤、抗高血圧症剤、抗血小板剤、抗アテローム硬化剤、脂質低下剤、抗炎症剤又はそれらの組み合わせである[21]に記載の医薬組成物。
[24]前記SGLT−2阻害剤以外の抗糖尿病剤は、ビグアニド、スルホニル尿素、グルコシダーゼ阻害剤、PPARアゴニスト、αP2阻害剤、PPARα/γデュアルアゴニスト、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、グリニド、インスリン、グルカゴン様ペプチド−1阻害剤、PTP1B阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース−6−ホスファターゼ阻害剤又はそれらの組み合わせであり、
前記抗高血糖症剤は、ビグアニド、スルホニル尿素、グルコシダーゼ阻害剤、PPARアゴニスト、αP2阻害剤、PPARα/γデュアルアゴニスト、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤、グリニド、インスリン、グルカゴン様ペプチド−1阻害剤、PTP1B阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース−6−ホスファターゼ阻害剤又はそれらの組み合わせであり、
前記脂質低下剤は、MTP阻害剤、HMGCoAレダクターゼ阻害剤、スクアレンシンターゼ阻害剤、フィブラート抗高脂血症剤、ACAT阻害剤、リポキシゲナーゼ阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、回腸Na(+)/胆汁酸共輸送体阻害剤、LDL受容体活性のアップレギュレーター、ニコチン性抗高脂血症剤、胆汁酸補足剤又はそれらの組み合わせであり、若しくは
前記脂質低下剤は、プラバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、アタバスタチン、ロスバスタチン又はそれらの組み合わせである[23]に記載の医薬組成物。
[25]SGLT−2を阻害し、SGLT−1を阻害し、高比重リポタンパクレベルを高め、疾患を予防し、治療し、緩和し又は遅延するための医薬品の製造における[1]〜[11]のいずれか1つに記載の複合体又は[21]〜[24]のいずれか1つに記載の医薬組成物の使用であって、
前記疾患は、糖尿病、糖尿病性合併症、インスリン抵抗性、高血糖症、高インスリン血症、脂肪酸又はグリセロールの上昇した血中濃度、高脂血症、肥満、シンドロームX、アテローム硬化症又は高血圧症であり、
糖尿病性合併症は、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎障害の少なくとも1つを含み、
高脂血症は、高トリグリセリド血症を含む使用。
[26]SGLT−2を阻害し、SGLT−1を阻害し、高比重リポタンパクレベルを高め、疾患を予防し、治療し、緩和し又は遅延する上での使用のための[1]〜[11]のいずれか1つに記載の複合体又は[21]〜[24]のいずれか1つに記載の医薬組成物であって、
前記疾患は、糖尿病、糖尿病性合併症、インスリン抵抗性、高血糖症、高インスリン血症、脂肪酸又はグリセロールの上昇した血中濃度、高脂血症、肥満、シンドロームX、アテローム硬化症又は高血圧症であり、
糖尿病性合併症は、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎障害の少なくとも1つを含み、
高脂血症は、高トリグリセリド血症を含む該複合体又は該医薬組成物。
[27]罹患体におけるSGLT−2を阻害し、SGLT−1を阻害し、高比重リポタンパクレベルを高め、疾患を予防し、治療し、緩和し又は遅延する方法であって、
前記罹患体に、治療効果量の[1]〜[11]のいずれか1つに記載の複合体又は[21]〜[24]のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与することを含み、
前記疾患は、糖尿病、糖尿病性合併症、インスリン抵抗性、高血糖症、高インスリン血症、脂肪酸又はグリセロールの上昇した血中濃度、高脂血症、肥満、シンドロームX、アテローム硬化症又は高血圧症であり、
糖尿病性合併症は、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎障害の少なくとも1つを含み、
高脂血症は、高トリグリセリド血症を含む該方法。