JP6915976B2 - 表刷り用グラビア印刷インキ組成物 - Google Patents
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Description
このような、表刷り用グラビア印刷インキは、樹脂フィルムの表側に印刷されるため、インキ皮膜は外部に直接曝されることになり、強靭な皮膜物性が要求される。
また、食品メーカーやコンバーター等からは樹脂フィルムへの接着性、耐熱性(樹脂フィルムを製袋する時のヒートシールの熱板が当たる部分においてインキ皮膜が熱板に付着しないための性能)、耐油性(食品中に含有される油分が印刷面に触れた場合でも、それに侵されないための性能)、耐ブロッキング性(印刷面同士あるいは印刷面とフィルムの裏面とが密着しても接着しないための性能)、耐塩ビブロッキング性(テーブル上に置かれたときに、印刷面がテーブルクロス等に用いられている軟質塩化ビニルシートと接着しないための性能)、延伸性(袋を開けるときにフィルムが延びてもフィルムに印刷された印刷面が追随する性能)、対防曇フィルム適性(カット野菜や日配品(おにぎり、サンドイッチ)等は、防曇コートされたフィルムに包装されることから防曇コートフィルムへの密着性、ブロッキング性)等が求められている。
特に、近年、コンビニ等においてカット野菜や日配品(おにぎり、サンドイッチ)等が増加してきており、他の適性を低下させることなく、さらなる防曇フィルム適性が要求されるようになってきている。
すなわち、本発明は、
1.顔料、バインダー樹脂、キレート架橋剤、脂肪酸アミド及び有機溶媒を含有する表刷り用グラビア印刷インキ組成物であって、
前記バインダー樹脂が、ウレア結合を有するポリウレタン樹脂、及び、ウレア結合を有さないポリウレタン樹脂を含有し、
ウレア結合を有するポリウレタン樹脂とウレア結合を有さないポリウレタン樹脂との含有比率が、質量換算で、ウレア結合を有するポリウレタン樹脂:ウレア結合を有さないポリウレタン樹脂=90:10〜40:60である表刷り用グラビア印刷インキ組成物。
2.前記バインダー樹脂がセルロース誘導体を含有し、
ウレア結合を有するポリウレタン樹脂とウレア結合を有さないポリウレタン樹脂の合計ポリウレタン樹脂と、セルロース誘導体との含有比率が、質量換算で、合計ポリウレタン樹脂:セルロース誘導体=10:90〜90:10である1に記載の表刷り用グラビア印刷インキ組成物。
3.前記脂肪酸アミドを、表刷り用印刷インキ組成物中に0.1〜3.0質量%含有する1又は2に記載の表刷り用グラビア印刷インキ組成物。
4.前記キレート架橋剤が、ジルコニウムプロピオネート、n−ブチルリン酸エステルチタン及びテトライソプロポキシチタンと2−エチルヘキサン酸の反応物から選択される1種以上であり、
前記キレート架橋剤が、表刷り用グラビア印刷インキ組成物中に0.1〜8質量%含有されている1〜3のいずれかに記載の表刷り用グラビア印刷インキ組成物。
5.前記有機溶媒が、芳香族炭化水素系有機溶媒及び/又はケトン系有機溶媒を含有せず、
表刷り用グラビア印刷インキ組成物中に酢酸プロピルを5質量%以上含有する1〜4のいずれかに記載の表刷り用グラビア印刷インキ組成物。
これは、ウレア結合を有さないポリウレタン樹脂を併用することで、得られる塗膜に柔軟性・タック感を与えるので、未処理フィルムへの密着性を付与でき、柔軟になった塗膜は、脂肪酸アミド等の離型剤の効果を促進させるため、防曇フィルムへの耐ブロッキング性を良化させることができるものと考えられる。
<顔料>
本発明の表刷り用グラビア印刷インキ組成物に使用する顔料としては、一般に有機溶媒を含有するグラビア印刷インキ組成物で使用できる無機、有機あるいは体質顔料が使用できる。例えば、ここで使用可能な無機顔料としては、酸化チタン、ベンガラ、アンチモンレッド、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛など、有機顔料としては、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料等を挙げることができる。さらに使用可能な体質顔料としては、炭酸カルシウム、カオリンクレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルクなどを挙げることができる。これら顔料の含有量としては、本発明の表刷り用グラビア印刷インキ組成物中に0.5〜50質量%が適量である。
本発明の表刷り用グラビア印刷インキ組成物に使用する樹脂としては、ウレア結合を有するポリウレタン樹脂と、ウレア結合を有さないポリウレタン樹脂を含有し、さらにセルロース誘導体も含有することができる。
そして、ウレア結合を有するポリウレタン樹脂とウレア結合を有さないポリウレタン樹脂との含有比率が質量換算で、ウレア結合を有するポリウレタン樹脂:ウレア結合を有さないポリウレタン樹脂=90:10〜40:60である。ウレア結合を有するポリウレタン樹脂の比率が90より高くなると防曇フィルムでの耐ブロッキング性が低下する傾向となり、一方、40より低くなると耐油性が低下する傾向となる。
なかでも、各種樹脂フィルムに対する接着性と耐ブロッキング性や耐熱性、及び耐油性を向上させる点から、ウレア結合を有するポリウレタン樹脂とウレア結合を有さないポリウレタン樹脂を合わせた合計ポリウレタン樹脂と、セルロース誘導体との含有比率が、質量換算で合計ポリウレタン樹脂:セルロース誘導体=10:90〜90:10、好ましくは、50:50〜80:20である。
バインダー樹脂として使用されるウレア結合を有するポリウレタン樹脂としては、従来から印刷インキ組成物、特にグラビア印刷インキ組成物に使用されているもので良く、具体的には、ジイソシアネート化合物とジオール化合物とを反応させイソシアネート末端プレポリマーを得た後、アミン化合物である鎖伸長剤及び/又は反応停止剤等を反応させて得られるものである。
ここで、利用可能なジイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4−シクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート化合物、キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート化合物、トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物を挙げることができる。
ジオール化合物の具体例としては、分子量が100以上のアルキレングリコール化合物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール化合物、および低分子量アルキレングリコールやビスフェノールなどのジオール化合物に酸化エチレン、酸化プロピレン等のオキシアルキレンやテトラヒドロフラン等を重付加させて得られるポリエーテルジオール化合物を挙げることができる。
また、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の直鎖状グリコール類、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、エチルブチルプロパンジオール等の分岐グリコール類、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のエーテル系ジオール類等の低分子ジオール化合物と、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸等の飽和および不飽和脂肪族ジカルボン酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸等のジカルボン酸化合物を、重縮合させて得られるポリエステルジオール化合物、ラクトン等の環状エステル化合物を開環反応させて得られるポリエステルジオール化合物を挙げることができる。
さらに、直鎖状あるいは側鎖を有するポリカーボネート化合物、およびポリブタジエングリコール化合物等も併用することができる。
鎖伸長剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール類、エチレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、イソホロンジアミン、アミノエチルエタノールアミン等のジアミン類等を挙げることができる。
鎖伸長剤としてジアミン類を使用する場合、反応停止剤としては、メタノール、エタノール等のモノアルコール類、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等のアルキルアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン類、エチレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、イソホロンジアミン、アミノエチルエタノールアミン等の脂肪族ジアミン類等を挙げることができる。
また、鎖伸長剤としてグリコール類を使用する場合、反応停止剤としては、必ずn−プロピルアミン、n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等のアルキルアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン類、エチレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、イソホロンジアミン、アミノエチルエタノールアミン等のジアミン類等のアミン化合物を使用し、またメタノール、エタノール等のモノアルコール類も使用できる。
このようにして得られるウレア結合を有するポリウレタン樹脂の質量平均分子量は、10,000〜100,000の範囲内とすることが好ましく、より好ましくは15,000〜80,000の範囲である。
ウレア結合を有さないポリウレタン樹脂は、適度な柔軟性とタック感を高めるための必須成分である。
ウレア結合を有さないポリウレタン樹脂は、例えば、ジイソシアネート化合物、ジオール化合物、及び必要に応じて水酸基を2個以上有する鎖伸長剤を反応させて得ることができる。
ここで、利用可能なジイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4−シクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート化合物、キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート化合物、トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物を挙げることができる。
ジオール化合物の具体例としては、分子量が100以上のアルキレングリコール化合物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール化合物、および低分子量アルキレングリコールやビスフェノールなどのジオール化合物に酸化エチレン、酸化プロピレン等のオキシアルキレンやテトラヒドロフラン等を重付加させて得られるポリエーテルジオール化合物を挙げることができる。
また、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の直鎖状グリコール類、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、エチルブチルプロパンジオール等の分岐グリコール類、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のエーテル系ジオール類等の低分子ジオール化合物と、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸等の飽和および不飽和脂肪族ジカルボン酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸等のジカルボン酸化合物を、重縮合させて得られるポリエステルジオール化合物、ラクトン等の環状エステル化合物を開環反応させて得られるポリエステルジオール化合物を挙げることができる。
さらに、直鎖状あるいは側鎖を有するポリカーボネート化合物、およびポリブタジエングリコール化合物等も併用することができる。
ウレア結合を有さないポリウレタン樹脂の質量平均分子量としては、柔軟性及びタック感の点から、500〜100,000の範囲であることが好ましく、1,000〜10,000の範囲であることがより好ましい。
セルロース誘導体としては、従来から表刷り用グラビア印刷インキ組成物に使用されているセルロース誘導体が使用できる。このようなセルロース誘導体としては、ニトロセルロース(ニトロ基置換体)、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどの低級アシル基置換体、メチルセルロース、エチルセルロースなどの低級アルキル基置換体を挙げることができる。これらセルロース誘導体の分子量や水酸基に対する置換度などは、通常のインキ組成物や塗料で使用される範囲のものが、本発明でも支障なく利用でき、水酸基の置換度は、概ね、1.3〜2.7程度のものが好ましい。また、耐熱性の面からはニトロ基置換体の使用が有利であり、接着性の面からは低級アシル基置換体および低級アルキル基置換体が有利であるため、目的に応じて適宜選択して使用することが好ましい。
セルロース誘導体を含有する場合には、ウレア結合を有するポリウレタン樹脂とウレア結合を有さないポリウレタン樹脂の合計ポリウレタン樹脂と、セルロース誘導体との含有比率が、質量換算で、合計ポリウレタン樹脂:セルロース誘導体=10:90〜90:10となるようにすることが好ましい。
本発明の表刷り用グラビア印刷インキ組成物に必要に応じて使用するバインダー樹脂としては、ポリアミド樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、ダイマー酸系樹脂、ロジン系樹脂、マレイン酸系樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、ダンマル樹脂、コーパル樹脂、塩素化ポリプロピレン、酸化ポリプロピレン等が挙げられる。これらハードレジンを利用すると、特に表面処理の行なわれていない樹脂フィルムに対して、接着性の向上を期待できる。そして、本発明の表刷り用グラビア印刷インキ組成物中におけるハードレジンを含有させる際の含有量は、5.0質量%未満が適量である。
本発明の表刷り用グラビア印刷インキ組成物に使用するキレート架橋剤としては、金属キレート架橋剤である、チタンキレート、ジルコニウムキレート等が使用できる。
チタンキレートとしては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、テトライソプロポキシチタンと2−エチルヘキサン酸の反応物、テトラメチルチタネート、テトラステアリルチタネートなどのチタンアルコキシド、トリエタノールアミンチタネート、チタニウムアセチルアセテート、チタニウムエチルアセトアセテート、チタニウムラクテート、オクチレングリコールチタネート、チタンテトラアセチルアセトナート、n−ブチルリン酸エステルチタン、プロパンジオキスチタンビス(エチルアセチルアセテート)などのチタンキレートを挙げることができる。
ジルコニウムキレートとしては、ジルコニウムプロピオネート、ジルコニウムアセチルアセテート等が例示できる。
環境面の観点からは、キレート架橋剤のなかでも、架橋反応後にアセチルアセトンを発生しないように、配位子としてアセチルアセトナートを有しないキレート架橋剤が好ましい。
本発明の表刷り用グラビア印刷インキ組成物には、耐ブロッキング性の点から、脂肪酸アミドを使用する。脂肪酸アミドとしては、飽和脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、変性脂肪酸アミド等が挙げられ、テーブルクロスに用いられる軟質ポリ塩化ビニルシートへの耐ブロッキング性を向上させるためには、変性脂肪酸アミドを使用することが特に好ましい。脂肪酸アミドを含有させる際の含有量は、表刷り用グラビア印刷インキ組成物中、好ましくは0.1〜3.0質量%、より好ましくは0.5〜2.0質量%である。
含有量が0.1質量%未満であると耐ブロッキング性が低下する可能性があり、3.0質量%を超える場合は、耐油性が低下する可能性がある。
本発明で表刷り用グラビア印刷インキ組成物に使用する有機溶媒としては、環境に配慮して芳香族炭化水素系有機溶媒を含有しない有機溶媒とすることが好ましい。芳香族炭化水素系有機溶媒を含有しない有機溶媒としては、主に、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系有機溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系有機溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル系有機溶媒、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンなどの脂肪族炭化水素系有機溶媒、および、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどの脂環族炭化水素系有機溶媒を挙げることができ、バインダー樹脂の溶解性や乾燥性などを考慮して、混合して利用することもできる。但し、環境上の面を考慮して、上記の有機溶媒の中でも可能な限りケトン系有機溶媒を抑制することが好ましい。
これら有機溶媒の使用量としては、印刷性を考慮して本発明の表刷り用グラビア印刷インキ組成物においては15.0質量%以上含有される。また、印刷適性の点から、酢酸プロピルを表刷り用グラビア印刷インキ組成物中に5.0質量%以上、より好ましくは10.0質量%以上含有させることが好ましい。
さらに、本発明の表刷り用グラビア印刷インキ組成物には、耐摩擦性の向上を目的として、本発明の表刷り用グラビア印刷インキ組成物の性能が低下しない範囲で、ワックスを添加することができる。
ワックスとしては、ポリオレフィンワックス、パラフィンワックスなどの既知の各種ワックスが利用できる。
さらに、本発明の表刷り用グラビア印刷インキ組成物には、顔料分散剤、レベリング剤、界面活性剤、可塑剤等の各種インキ用添加剤を任意に添加できる。
これらの材料を利用して本発明の表刷り用グラビア印刷インキ組成物を製造する方法としては、まず、顔料、バインダー樹脂、有機溶媒、および必要に応じて顔料分散剤、界面活性剤などを撹拌混合した後、各種練肉機、例えば、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、パールミル等を利用して練肉し、さらに、ポリアミド樹脂、脂肪酸アミド、キレート架橋剤及び残りの材料を添加混合する方法が利用される。
以上の材料と製造方法から得られる本発明の表刷り用グラビア印刷インキ組成物は、通常の表刷り印刷方式を利用して印刷が可能で、高速印刷適性、防曇フィルム等の各種樹脂フィルムへの接着性、および、耐熱性、耐油性、延伸性、耐ブロッキング性、耐塩ビブロッキング性、対防曇フィルム適性等の皮膜物性に優れるという効果を発揮する表刷り用グラビア印刷インキ組成物である。
次に、本発明の表刷り用グラビア印刷インキ組成物による表刷りグラビア印刷物について具体的に説明する。
印刷される基材としては、金属、木材、紙及びプラスチックのいずれでも良いが、中でも樹脂フィルムが好ましい。このような樹脂フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの延伸および無延伸ポリオレフィンフィルム、ポリエステル、ナイロン、セロファン、ビニロン等のフィルムを挙げることができる。さらにこれら樹脂フィルムは、予め防曇剤の塗工、練り込み、マット剤の表面塗工、練り込みなど樹脂フィルムを加工して得られるフィルムである。
本発明の表刷りグラビア印刷物は、例えば、上記樹脂フィルムに、上記表刷り用グラビア印刷インキ組成物の単色印刷あるいは各色重ね刷り印刷をグラビア印刷方式で印刷し、ドライヤーで乾燥させることにより得られるものである。そして、印刷により形成されるインキ皮膜は、乾燥皮膜として0.1〜2.0g/m2の塗布量であることが適量である。
<ウレア結合を有さないポリウレタン樹脂ワニスA>I.I=0.5
撹拌機、冷却管および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、平均分子量1000の3−メチル−1,5−ペンチレンアジペートジオール180質量部、平均分子量1000のポリプロピレングリコール20質量部、及びイソホロンジイソシアネート11.1質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100〜105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル148質量部、酢酸プロピル197質量部、イソプロピルアルコール148質量部を加え撹拌し、ウレア結合を有さないポリウレタン樹脂ワニスA(固形分30質量%)を得た。
撹拌機、冷却管および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、平均分子量1000の3−メチル−1,5−ペンチレンアジペートジオール140質量部、平均分子量1000のポリプロピレングリコール60質量部、及びイソホロンジイソシアネート11.1質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100〜105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル148質量部、酢酸プロピル197質量部、イソプロピルアルコール148質量部を加え撹拌し、ウレア結合を有さないポリウレタン樹脂ワニスB(固形分30質量%)を得た。
撹拌機、冷却管および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、平均分子量1000の3−メチル−1,5−ペンチレンアジペートジオール180質量部、平均分子量1000のポリプロピレングリコール20質量部、及びイソホロンジイソシアネート6.7質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100〜105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル145質量部、酢酸プロピル193質量部、イソプロピルアルコール145質量部を加え撹拌し、ウレア結合を有さないポリウレタン樹脂ワニスC(固形分30質量%)を得た。
撹拌機、冷却管および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、平均分子量1000の3−メチル−1,5−ペンチレンアジペートジオール180質量部、平均分子量1000のポリプロピレングリコール20質量部、及びイソホロンジイソシアネート15.5質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100〜105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル151質量部、酢酸プロピル201質量部、イソプロピルアルコール151質量部を加え撹拌し、ウレア結合を有さないポリウレタン樹脂ワニスD(固形分30質量%)を得た。
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに平均分子量200の3−メチル−1,5−ペンチレンアジペートジオール50質量部、平均分子量2000のポリプロピレングリコール150質量部、及びイソホロンジイソシアネート28.9質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100〜105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル172質量部、酢酸プロピル229質量部、イソプロピルアルコール172質量部を加えた後、イソホロンジアミン3.1質量部を加えて鎖伸長させ、さらにモノエタノールアミン0.35質量部を加え反応させ、その後、イソホロンジアミン1.3質量部、ジエチレントリアミン0.6質量部を加えて反応停止させてウレア結合を有するポリウレタン樹脂ワニスA(固形分30質量%)を得た。
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに平均分子量200の3−メチル−1,5−ペンチレンアジペートジオール50質量部、平均分子量2000のポリプロピレングリコール150質量部、及びイソホロンジイソシアネート28.9質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100〜105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル172質量部、酢酸プロピル229質量部、イソプロピルアルコール172質量部を加えた後、イソホロンジアミン3.1質量部を加えて鎖伸長させ、さらにモノエタノールアミン0.7質量部を加え反応させ、その後、イソホロンジアミン0.65質量部、ジエチレントリアミン0.39質量部を加えて反応停止させてウレア結合を有するポリウレタン樹脂ワニスB(固形分30質量%)を得た。
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに平均分子量200の3−メチル−1,5−ペンチレンアジペートジオール100質量部、平均分子量2000のポリプロピレングリコール100質量部、及びイソホロンジイソシアネート28.9質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100〜105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル172質量部、酢酸プロピル229質量部、イソプロピルアルコール172質量部を加えた後、イソホロンジアミン3.1質量部を加えて鎖伸長させ、さらにモノエタノールアミン0.35質量部を加え反応させ、その後、イソホロンジアミン1.3質量部、ジエチレントリアミン0.6質量部を加えて反応停止させてウレア結合を有するポリウレタン樹脂ワニスC(固形分30質量%)を得た。
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに平均分子量200の3−メチル−1,5−ペンチレンアジペートジオール50質量部、平均分子量2000のポリプロピレングリコール150質量部、及びイソホロンジイソシアネート35.4質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100〜105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル172質量部、酢酸プロピル229質量部、イソプロピルアルコール172質量部を加えた後、イソホロンジアミン8.2質量部を加えて鎖伸長させ、さらにモノエタノールアミン0.35質量部を加え反応させ、その後、イソホロンジアミン1.3質量部、ジエチレントリアミン0.6質量部を加えて反応停止させてウレア結合を有するポリウレタン樹脂ワニスD(固形分30質量%)を得た。
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに平均分子量2000の3−メチル−1,5−ペンチレンアジペートジオール50質量部、平均分子量2000のポリプロピレングリコール150質量部、及びイソホロンジイソシアネート40.0質量部、を仕込み、窒素ガスを導入しながら100〜105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル177質量部、酢酸プロピル236質量部、イソプロピルアルコール177質量部を加えた後、イソホロンジアミン7.5質量部、アミノエチルエタノールアミン3.5質量部を加えて鎖伸長させ、さらにモノエタノールアミン0.63質量部を加え反応させ、その後、イソホロンジアミン1.75質量部を加えて反応停止させてウレア結合を有するポリウレタン樹脂ワニスE(固形分30質量%)を得た。
ニトロセルロース(NC RS−2、KOREA CNC社製)20質量部を、メチルシクロヘキサン16質量部、酢酸プロピル24質量部、酢酸エチル24質量部及びイソプロピルアルコール16質量部からなる混合溶媒に溶解させて固形分20%のニトロセルロース溶液を得た。
<脂肪酸アミド>
ラウリン酸アミド
<キレート架橋剤>
アセチルアセトナトチタン
テトラプロポキシチタンと2−エチルヘキサン酸の反応物
<ハードレジン>
商品名:マルキードNo.3、荒川化学工業社製
表1に示す材料をペイントコンディショナーで混練し、実施例1〜21、比較例1〜4の表刷り用グラビア印刷インキ組成物を調製した。なお、表1に記載の数値は質量%である。
実施例1〜21、比較例1〜4の表刷り用グラビア印刷インキ組成物のインキ経時安定性を評価した。
表1中のI.I.は、イソシアネート基:水酸基の当量比率(イソシアネートインデックス)を意味する。
さらに実施例1〜21、比較例1〜4の表刷り用グラビア印刷インキ組成物を、コロナ放電処理した延伸ポリプロピレンフィルム(商品名OPP P−2161、25μm、東洋紡社製)、防曇フィルム(商品名MV2、25μm、グンゼ社製)に、下記条件で印刷、乾燥させ、1日経過させた後、下記の方法で、耐熱性、耐油性、接着性、耐ブロッキング性、印刷適性に関する印刷評価を行った。
塗工機 :グラビア校正機
塗工速度:100m/min
印刷版 :ダイレクト175線ベタ版
乾燥温度:100℃(風量80%)
(インキの経時安定性)
実施例1〜21、比較例1〜4の表刷り用グラビア印刷インキ組成物を、その調製直後の粘度に対する、40℃で7日間経時後の粘度の変化(B型粘度計の30rpmでのインキ粘度測定データ)から経時安定性の評価を行った。
A:経時後/調製直後の粘度比率が1.5未満である
B:経時後/調製直後の粘度比率が1.5以上、2.0未満である
C:経時後/調製直後の粘度比率が2.0以上、3.0未満である
D:経時後/調製直後の粘度比率が3.0以上である
実施例1〜21、比較例1〜4の各印刷面にセロハンテープを貼り付け、これを急速に剥がしたときの印刷皮膜がフィルムから剥離する度合いから、接着性を評価した。
A:印刷皮膜の面積比率として、フィルムからの剥離が5%未満である
B:印刷皮膜の面積比率として、5%以上30%未満がフィルムから剥離する
C:印刷皮膜の面積比率として、30%以上がフィルムから剥離する
実施例1〜21、比較例1〜4の各印刷面と非印刷面を合わせて、バイスでしめこみ、40℃で1日経過後に手で剥がし、インキの剥離の程度と剥離抵抗の強度から耐ブロッキング性を評価した。
A:印刷皮膜の剥離が全くない
B:印刷皮膜が少し剥離し、剥離抵抗が強く感じられる
C:印刷皮膜がほとんど剥離し、剥離抵抗が強く感じられる
実施例1〜21、比較例1〜4の各印刷面に、80〜200℃の熱傾斜を有する熱板を備えたヒートシール試験機を用いて、印刷面とアルミ箔、又は、印刷面と印刷面を2.0kg/cm2の圧力で、1秒間押圧した。
<印刷面のインキがアルミ箔又は他の印刷面に転移する最低温度から耐熱性を評価>
A:160℃以上のもの
B:140℃以上、160℃未満のもの
C:140℃未満のもの
実施例1〜21、比較例1〜4の各印刷物の印刷面を学振型耐摩擦試験機を用いて、サラダ油又はバターをしみ込ませたあて布で200gの荷重下100回摩擦し、印刷面の変化から耐油性を評価した。
A:印刷面に変化がないもの
B:印刷面に筋状の傷が認められるもの
C:印刷面に面状の傷が認められるもの
印刷適性については、印刷終了時の印刷部分における、版にインキが詰まったことに起因するカスレの面積の割合から印刷適性を評価した。
A:カスレが全くみられない
B:カスレが少しみられる
C:カスレが多くみられる
Claims (4)
- 顔料、バインダー樹脂、キレート架橋剤、脂肪酸アミド及び有機溶媒を含有する表刷り用グラビア印刷インキ組成物であって、
前記バインダー樹脂が、ウレア結合を有するポリウレタン樹脂、及び、ウレア結合を有さないポリウレタン樹脂、及びセルロース誘導体を含有し、
ウレア結合を有するポリウレタン樹脂とウレア結合を有さないポリウレタン樹脂との含有比率が、質量換算で、ウレア結合を有するポリウレタン樹脂:ウレア結合を有さないポリウレタン樹脂=90:10〜40:60であり、ウレア結合を有するポリウレタン樹脂とウレア結合を有さないポリウレタン樹脂の合計ポリウレタン樹脂と、セルロース誘導体との含有比率が、質量換算で、合計ポリウレタン樹脂:セルロース誘導体=10:90〜90:10である表刷り用グラビア印刷インキ組成物(但し、分子中に少なくとも1個のケトン基がヒドロキシ基に水素添加されたケトン−アルデヒド樹脂と有機イソシアネートからなるウレタン化合物を含有しない)。 - 前記脂肪酸アミドを、表刷り用印刷インキ組成物中に0.1〜3.0質量%含有する請求項1に記載の表刷り用グラビア印刷インキ組成物。
- 前記キレート架橋剤が、ジルコニウムプロピオネート、n−ブチルリン酸エステルチタン及びテトライソプロポキシチタンと2−エチルヘキサン酸の反応物から選択される1種以上であり、
前記キレート架橋剤が、表刷り用グラビア印刷インキ組成物中に0.1〜8質量%含有されている請求項1又は2に記載の表刷り用グラビア印刷インキ組成物。 - 前記有機溶媒が、芳香族炭化水素系有機溶媒及び/又はケトン系有機溶媒を含有せず、
表刷り用グラビア印刷インキ組成物中に酢酸プロピルを5質量%以上含有する請求項1〜3のいずれかに記載の表刷り用グラビア印刷インキ組成物。
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