JP6915886B2 - 探査装置および探査方法 - Google Patents
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Description
なお特許文献2には、ヘリコプターに搭載されるディッピングソナーに関連する技術が開示されている。
・ヘリコプターの滞空時間が3〜4時間に制限されるため、長時間にわたって連続的に水中探査することが難しい。
・ヘリコプターは、飛行する都度に長時間の整備が必要になり、常時水中航走体を監視し、検出することが難しい。
・ヘリコプターが低空で長時間ホバリングしながらディッピングソナーを使用する飛行方法は、風の影響を受けるため、定位置に留まることが難しく、探査結果と探査領域の座標との正確な紐付けが難しい。
さらに、船舶から水中航走体を検出するためのえい航式のソナーを水中に展張する方法もあるが、ヘリコプターに搭載されたディッピングソナーとは別にえい航式ソナーを装備する以上、船舶自身にソナーを搭載することに変わりはなく、著しいコスト低減効果を期待することは難しい。
第2の移動体2は、センサ吊り下げケーブル4を巻き出すことによって、自身に搭載されたセンサ3を第1の移動体Vの下方へ沈下させる。なお前記第1の移動体Vには、喫水より下方に位置する下面(船底)より下方の水中と、喫水より上方に位置する上面(甲板)より上方の大気中とを連通させる管(図示略)が設けられていて、この管を介して前記センサ3が第1の移動体Vを貫通して下方へ降下することができる。一方、センサ収容体5は、センサ収容体吊り下げケーブル6を巻き出してアーム7を下降させることにより、前記センサ3の下降に先立って、あるいは、前記センサ3の下降に同期して、第1の移動体Vの下方の水中に配置される。
このようにして水中に配置されたセンサ3は、前記第1の移動体Vを移動させながら、あるいは前記第1移動体Vを停止させた状態で、例えば水中を伝播する音波を検出することにより探査を行うことができる。
図2及び図3において、センサ3としてのディッピングソナーを第1の移動体Vとしての航走中の船舶から吊下する装置の概要を説明する。
図2は、航走中の船舶Vの格納庫1に格納された第2の移動体2としてのヘリコプターからディッピングソナー3を吊り下げた状態を示している。前記ディッピングソナー3は、図示例では、センサ収容体5としてのソナードームに収容され、センサ収容体吊り下げケーブル(ソナードーム吊り下げケーブル)6、上側アーム71、及び下側アーム72で支持しながら水中に吊下した状態を示す。
また前記ソナードーム5は、ソナードーム巻き上げ機8によってソナードーム吊り下げケーブル6を巻き出し、巻き取ることによって昇降操作を行い、フィンスタビライザー15により、俯角(船舶Vが進行する水平方向に対する角度)を調整することができる。
前記下側アーム72は、詳細には、主アーム72aと、副アーム72bとを有し、この副アーム72bの一端は、前記主アーム72aに軸72cを中心として回動自在に支持されている。前記副アーム72bは、互いに並行に一対設けられていて、前記ソナードーム5を両側から挟むように配置されている。前記副アーム72bの他端には、軸72dが設けられていて、前記ソナードーム5に回動自在に連結されている。なお、図4、5の紙面の奥側に配置された副アーム72bは、手前側に配置された副アーム72bと同様に、図示しない軸によって前記ソナードーム5に回動自在に連結されている。
まず、ヘリコプター2に搭載するディッピングソナー3を船舶Vの船体から吊下して使用する際に考慮すべき事項は、次の3件である。
・ヘリコプター2の格納庫1及び発着甲板1A(格納庫1より後方の上方が開放された領域)は、船舶Vの後部に位置するので、船舶Vを推進するスクリュープロペラの回転による騒音の影響を軽減するため、ディッピングソナー3をスクリュープロペラから50m以上離隔することが望ましい。また離隔の方向は、図示例のように、重力に逆らわず吊下する方向(水平方向ではなく鉛直方向)が現実的である。
・船舶Vは、時速30km程度の速力で航走しながらディッピングソナー3を使用可能にする必要がある。その理由は、船舶Vがディッピングソナー3を使用するため停止すると、探査の対象である、移動中の水中航走体を追跡しながら検出することが困難になるためである。
・ディッピングソナー3が探信音波を送信する際に生じるキャビテーション(気泡)により、内蔵された電歪振動子の損傷を回避するため、ディッピングソナーは水深50mよりも深い深度に吊下する必要がある。
図3の格納状態から、アーム吊り下げケーブル巻き上げ機77により、下側アーム吊り下げケーブル76、上側アーム吊り下げケーブル73を所定の比の巻き出し量で巻き出しながら、ソナードーム巻き上げ機148によりソナードーム吊り下げケーブル6を巻き出し、ソナードーム5を水中に降下させ、さらに、ディッピングソナー吊り下げケーブル4を巻き出して行くと、図2に示すように、ソナードーム5にディッピングソナー3が収容された状態で、ディッピングソナー3による音響探査が行われる。
船舶Vがディッピングソナー3を使用して探査を行う場合、最初に船舶内部の格納庫1に格納されたヘリコプター2からディッピングソナー3を船舶V内部に揚収したソナードーム5の上部にある挿入孔51に吊下する。
次に、アーム吊下ケーブル巻き上げ機77、及びヘリコプター2に搭載したディッピングソナーの巻き上げ機(図示略)が、ソナードーム5及びディッピングソナー3を前泊Vの外部に吊下げ、所定の降下レートで上側アーム吊下ケーブル73、下側アーム吊下ケーブル76及びディッピングソナー吊下ケーブル4を繰り出す。このとき、図6に示すように、フィンスタビライザー15により、ソナードーム5の姿勢が水流により(a)のように傾くことを補正して(b)のような水平な姿勢を保つ制御を開始する。具体的には、フィンスタビライザー15の後端を持ち上げることにより、図中矢印で示すように上方へ向かう水流が生じてソナードーム5の後部に下向きの力が作用し、ソナードーム5が水平な姿勢に維持される。また、ソナードーム巻き上げ機8は、自由に巻き出されることが可能なニュートラル(駆動源から切り離された)状態とし、ソナードーム5の吊下に伴いソナードーム吊下ケーブル6が繰り出されるのを妨げないよう制御する。
このように支持されたソナードーム5の内部では、船舶の航走による水流の影響を受けず姿勢が安定した状態が維持されたディッピングソナー3は、必要により水中航走体を捜索するため探信音波を送信するとともに、水中航走体が放出する音波を受波する。このとき、図2に示すように騒音源となる船舶Vの推進器であるスクリュープロペラとディッピングソナー3の位置関係が上下(深さ)方向の角度として、例えば40度以上離隔していれば、ディッピングソナー3の受波器アレイの垂直指向性により、スクリュープロペラから発生する騒音を除去する効果を発揮することができる。
ソナードーム5を船舶Vの下部まで揚収した後、ソナードーム巻き上げ機8によりソナードーム吊下ケーブル6を巻き上げ、図3及び図5に示すようにソナードーム5を船舶V内部に収納する。ソナードーム5を船舶Vの船体内部に収納した後、ヘリコプター2に搭載したディッピングソナー3の巻き上げ機(図示略)により、ディッピングソナー3をヘリコプター2の機内に揚収する。また、ソナードーム5の姿勢を制御する必要がなくなるので、フィンスタビライザー15の作動を停止する。
第1の効果は、ヘリコプター2に搭載用のディッピングソナー3を航走中の船舶Vから吊下して使用することができることができる。もしディッピングソナー3により水中の物体を探知した場合は、ヘリコプター2を直ちに離陸させて、ホバリング飛行しているヘリコプター2からディッピングソナー3を吊下して水中の物体を追跡することができる。すなわち、探査の対象を発見するまではヘリコプター2を船舶Vに搭載した状態で探査を行い、対象を発見した後はヘリコプター2を離艦させて探査を行うことにより、飛行時間が制限されたヘリコプター2による探査の時間を最小限として、効果的な探査を行うことができる。
第2の効果は、ディッピングソナー3を使用しない場合は、ソナードーム5、上側アーム71及び下側アーム72を船舶Vの船体内部に収納し、船舶Vの航走時において船底の突起物をなくし、航走時の水流の抵抗を軽減することができる。
第3の効果は、格納庫1に格納されたヘリコプター2からディッピングソナー3を吊り下げて探査を行うから、風雨が強い気象条件下でも、探査への影響を最小限にすることができる。
この第2実施形態は、格納庫1から、その後方の発着甲板1Aに引き出されたヘリコプター2に設けられたディッピングソナー3を用いて探査を行うための構成を示している。
すなわち、ヘリコプター2の待機位置が船舶Vの船体後方側へずれていることに対応して、ソナードーム巻き上げ機8、アーム吊り下げアーム77、前方滑車74、後方滑車75も船舶Vの船体後方側へずれた位置に配置されている。また上側アーム71、下側アーム72は、第1実施形態と同一の長さに構成され、上側アーム71の船舶Vへの取り付け位置が船舶Vの船体後方側へずれた位置に配置されている。
また実施形態では、フィンスタビライザーの角度を制御する構成としたが、例えば、探査の際の速度が既知でソナードームへ一定の力を与えれば足りる場合には、一定の角度で固定されていて安定させる構成であっても良い。
また実施形態では、ディッピングソナーの周囲をソナードームによって囲む構成としたが、ソナードームの外周にも連通口を設けて、水中を伝播する音波を直接検出するようにしても良い。
また、上側アーム、下側アーム等のアームの数、長さの比、昇降駆動方式は実施形態に限定されるものではなく、船舶の構成、センサ、センサ収容体の構成に応じて適宜変更してもよいのはもちろんである。
1A 発着甲板
2 第2の移動体(ヘリコプター)
3 センサ(ディッピングソナー)
4 センサ吊り下げケーブル(ディッピングソナー吊り下げケーブル)
5 センサ収容体(ソナードーム)
6 センサ収容体吊り下げケーブル(ソナードーム吊り下げケーブル)
7 アーム
8 駆動部(ソナードーム巻き上げ機)
15 フィンスタビライザー
51 挿入孔
71 上側アーム
72 下側アーム
72a 主アーム
72b 副アーム
72c 軸
72d 軸
73 上側アーム吊り下げケーブル
74 前方滑車
75 後方滑車
76 下側アーム吊り下げケーブル
77 アーム吊り下げケーブル巻き上げ機
V 第1の移動体(船舶)
Claims (9)
- 水上を移動可能な第1の移動体の下方に該第1の移動体の移動方向に沿って延び、上下方向に移動可能に支持されたアームと、
このアームを前記第1の移動体の下方で上下方向へ移動させる駆動部と、
前記アームによって前記第1の移動体の下方に支持されるセンサ収容体と、
前記第1の移動体に対して移動可能に搭載された第2の移動体から、前記センサ収容体と平面視で重なる位置で昇降可能に吊り下げられたセンサと、
を有し、
前記第1の移動体は船舶であり、前記第2の移動体はヘリコプターである探査装置。 - 前記アームは前記第1の移動体の幅方向に向けて配置された第1の軸を中心として回動可能に支持され、前記アームの先端に前記センサ収容体が固定された、
請求項1に記載の探査装置。 - 前記駆動部は、前記第1の移動体から巻き出し、巻き取られるワイヤであって、前記アームの一部に連結されて巻き出し、巻き取られることによって前記アームを昇降させる、
請求項1または2のいずれか1項に記載の探査装置。 - 前記センサ収容体の上部には、前記センサの平面形状より大きな開口部が設けられ、
前記センサ収容体は、前記センサと接触しない状態で前記センサを収容する請求項1〜3のいずれか1項に記載の探査装置。 - 前記アームは、前記第1の移動体の幅方向に沿う第2の軸を中心として互いに回転可能な上側アームと、下側アームとを有し、前記上側アームが第1の軸によって前記第1の移動体に支持され、前記センサ収容体が前記下側アームに支持された請求項2〜4のいずれ1項に記載の探査装置。
- 前記センサ収容体には、前記第1の移動体の進行方向へ延在し、前記第1の移動体の幅方向へ所定の長さを有するフィンが設けられた請求項1〜5のいずれか1項に記載の探査装置。
- 前記センサ収容体は、前記船舶の格納庫の下方位置で前記センサを収容することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の探査装置。
- 前記センサ収容体は、前記船舶の発着甲板の下方位置で前記センサを収容することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の探査装置。
- 水上を移動可能な船舶の下方に該船舶の移動方向に沿って延びるアームによって前記船舶の下方にセンサ収容体を支持する工程と、
前記船舶に対して移動可能なヘリコプターから、前記センサ収容体と平面視で重なる位置からセンサを吊り下げてセンサ収容体へ収容する工程と、
前記センサによって前記船舶の下方の領域を探査する工程と、
を有する探査方法。
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