この明細書における用語の使い方は次のとおりである。「液晶組成物」および「液晶表示素子」の用語をそれぞれ「組成物」および「素子」と略すことがある。「液晶表示素子」は液晶表示パネルおよび液晶表示モジュールの総称である。「液晶性化合物」は、ネマチック相、スメクチック相などの液晶相を有する化合物および液晶相を有しないが、ネマチック相の温度範囲、粘度、誘電率異方性のような特性を調節する目的で組成物に混合される化合物の総称である。この化合物は、例えば1,4−シクロヘキシレンや1,4−フェニレンのような六員環を有し、分子構造は棒状(rod like)である。「重合性化合物」は、組成物中に重合体を生成させる目的で添加する化合物である。アルケニルを有する液晶性化合物は、その意味では重合性ではない。
液晶組成物は、複数の液晶性化合物を混合することによって調製される。この液晶組成物に、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色素、消泡剤、重合性化合物、重合開始剤、重合禁止剤、極性化合物のような添加物が必要に応じて添加される。液晶性化合物の割合は、添加物を添加した場合であっても、添加物を含まない液晶組成物の重量に基づいた重量百分率(重量%)で表される。添加物の割合は、添加物を含まない液晶組成物の重量に基づいた重量百分率(重量%)で表される。すなわち、液晶性化合物や添加物の割合は、液晶性化合物の全重量に基づいて算出される。重量百万分率(ppm)が用いられることがある。重合開始剤および重合禁止剤の割合は、例外的に重合性化合物の重量に基づいて表される。
「ネマチック相の上限温度」を「上限温度」と略すことがある。「ネマチック相の下限温度」を「下限温度」と略すことがある。「電圧保持率が大きい」は、素子が初期段階において室温だけでなくネマチック相の上限温度に近い温度でも大きな電圧保持率を有し、そして長時間使用したあと室温だけでなくネマチック相の上限温度に近い温度でも大きな電圧保持率を有することを意味する。「誘電率異方性を上げる」の表現は、誘電率異方性が正である組成物のときは、この値が正に増加することを意味し、誘電率異方性が負である組成物のときは、この値が負に増加することを意味する。
「少なくとも1つの‘A’は、‘B’で置き換えられてもよい」の表現は、‘A’の数は任意であることを意味する。‘A’の数が1つのとき、‘A’の位置は任意であり、‘A’の数が2つ以上のときも、それらの位置は制限なく選択できる。このルールは、「少なくとも1つの‘A’が、‘B’で置き換えられた」の表現にも適用される。例えば、「アルキルにおいて、少なくとも1つの−CH2−は、−O−または−S−で置き換えられてもよい」の表現には、−OCH3、−CH2OCH3、−CH2OCH2CH2OCH3、−SCH2CH2CH3、−CH2CH2SCH3、−CH2OCH2CH2SCH3などの基が含まれる。
式(1)から式(4)において、六角形で囲んだA、B、Cなどの記号は環A、環B、環Cなどの環に対応する。式(2)において、環Dの六角形の一辺を横切る斜線は、P1−Sp1基が環上の結合位置を任意に選択できることを意味する。このルールは環JなどのP5−Sp14基などにも適用される。nなどの添え字は、環Jなどに結合する基の数を表す。nが2のとき、環J上に2つのP5−Sp14基が存在する。P5−Sp14が表す2つの基は、同一であってもよいし、または異なってもよい。このルールは、nが2より大きいときの任意の2つにも適用される。このルールは他の基にも適用される。式(1)で表される化合物を化合物(1)と略すことがある。式(1)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を「化合物(1)」と略すことがある。「化合物(1)」は、式(1)で表される1つの化合物、2つの化合物の混合物、または3つ以上の化合物の混合物を意味する。他の式で表される化合物についても同様である。
成分化合物の化学式において、末端基R1の記号を複数の化合物に用いた。これらの化合物において、任意の2つのR1が表す2つの基は同一であってもよく、または異なってもよい。例えば、化合物(1−1)のR1がエチルであり、化合物(1−2)のR1がエチルであるケースがある。化合物(1−1)のR1がエチルであり、化合物(1−2)のR1がプロピルであるケースもある。このルールは、他の末端基などの記号にも適用される。式(1)において、aが2のとき、2つの環Aが存在する。この化合物において、2つの環Aが表す2つの環は、同一であってもよく、または異なってもよい。このルールは、aが2より大きいとき、任意の2つの環Aにも適用される。このルールは、Z1、環Cなどの記号にも適用される。このルールは、化合物(3−27)における2つの−Sp14−P5基などにも適用される。
2−フルオロ−1,4−フェニレンは、下記の2つの二価基を意味する。化学式において、フッ素は左向き(L)であってもよいし、右向き(R)であってもよい。このルールは、テトラヒドロピラン−2,5−ジイルのような非対称の二価基にも適用される。このルールは、カルボニルオキシ(−COO−および−OCO−)のような結合基にも適用される。
本発明は、下記の項などである。
項1. 対向配置されている一対の基板の一方または両方に形成されている電極群と、前記電極群に接続された複数のアクティブ素子と、前記一対の基板の対向しているそれぞれの面に形成された液晶配向膜と、前記一対の基板の間に挟持された液晶組成物とを有し、液晶組成物が、第一添加物として少なくとも1つの極性化合物を含有する高分子支持配向型の液晶表示素子。
項2. 液晶組成物が、第一成分として式(1)で表される化合物から選択された少なくとも1つの化合物、および第一添加物として式(2)で表される極性化合物から選択された少なくとも1つの化合物を含有する、項1に記載の液晶表示素子。
式(1)において、R
1およびR
2は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または炭素数2から12のアルケニルオキシであり;環Aおよび環Cは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられたナフタレン−2,6−ジイル、クロマン−2,6−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられたクロマン−2,6−ジイルであり;環Bは、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−クロロ−3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−5−メチル−1,4−フェニレン、3,4,5−トリフルオロナフタレン−2,6−ジイル、または7,8−ジフルオロクロマン−2,6−ジイルであり;Z
1およびZ
2は独立して、単結合、エチレン、カルボニルオキシ、またはメチレンオキシであり;aは、0、1、2、または3であり、bは0または1であり、そしてaとbとの和は3以下であり;
式(2)において、R
3は、水素、フッ素、塩素、式(P−A)で表される重合性基、または炭素数1から25のアルキルであり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は、−CH=CH−、−NR
0−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、または炭素数3から8のシクロアルキレンで置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの第三級炭素(>CH−)は、窒素(>N−)で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく;
式(P−A)において、Sp
4は、単結合または炭素数1から7のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は、−O−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH
2−CH
2−は、−CH=CH−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく;X
0は、−OR
0または−N(R
0)
2で表される基であり;M
1およびM
2は独立して、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から5のアルキルであり;R
0は、水素または炭素数1から12のアルキルであり;R
4は、酸素原子、硫黄原子および窒素原子の少なくとも1つを有する極性基、または水素であり;環D、環E、および環Fは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−1,2−ジイル、ナフタレン−1,3−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−1,6−ジイル、ナフタレン−1,7−ジイル、ナフタレン−1,8−ジイル、ナフタレン−2,3−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、またはピリジン−2,5−ジイルであり、これらの環において、少なくとも1つの水素は、フッ素、塩素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキルで置き換えられてもよく;Z
3およびZ
4は独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は、−O−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの−CH
2−CH
2−は、−CH=CH−、−C(CH
3)=CH−、−CH=C(CH
3)−、または−C(CH
3)=C(CH
3)−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく;P
1、P
2、およびP
3は独立して、重合性基であり;Sp
1、Sp
2、およびSp
3は独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は、−O−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの−CH
2−CH
2−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく;cおよびdは独立して、0、1、2、3、または4であり、そしてcおよびdの和は、0、1、2、3、または4であり;e、f、およびgは独立して、0、1、2、3、または4であり、R
4が水素であるときのe、f、およびgの少なくとも1つは1、2、3、または4であり、R
4が水素であるときのP
1、P
2、およびP
3の少なくとも1つは、式(P−A)で表される重合性基である。
項3. 式(2)において、R
4が式(A1)から式(A4)のいずれか1つで表される基である、項2に記載の液晶表示素子。
式(A1)から式(A4)において、Sp
5、Sp
7、およびSp
8は独立して、単結合または炭素数1から20のアルキレンであり、このアルキレンにおいて少なくとも1つの−CH
2−は、−O−、−S−、−NH−、−N(R
0)−、−CO−、−CH=CH−、−CH=CR
0−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素、塩素、−CN、または式(P−1)で置き換えられてもよく、
式(P−1)において、Sp
9は単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH
2−CH
2−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく;M
3およびM
4は独立して、水素、フッ素、塩素、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から5のアルキルであり;R
5は、炭素数1から15のアルキルであり、これらの基において、少なくとも1つの−CH
2−は、−O−または−S−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH
2−CH
2−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく;
Sp
6は、>CH−、>CR
6−、または>N−であり;X
1は、−OH、−OR
6、−COOH、−NH
2、−NHR
6、−N(R
6)
2、−SH、−SR
6、
式(P−B)において、Sp
10は、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、これらの基において、少なくとも1つの−CH
2−は、−O−、−NH−、−CO−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH
2−CH
2−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく;M
5およびM
6は独立して、水素、フッ素、塩素、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から5のアルキルであり;X
3は、−OR
0または−N(R
0)
2であり;
X
2は、−O−、−CO−、−NH−、−NR
6−、または−S−であり;Z
5は、炭素数1から15のアルキレンであり、これらの基において、少なくとも1つの水素は、−OH、−OR
6、−COOH、−NH
2、−NHR
6、−N(R
6)
2、フッ素、または塩素で置き換えられてもよく;環Gは、炭素数6から25の芳香族基または炭素数3から25の脂環式基であり、これらの基は縮合環であってもよく、これらの基において、1つから3つの水素はR
Lで置き換えられてもよく;R
Lは、−OH、−(CH
2)
i−OH、フッ素、塩素、−CN、−NO
2、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)N(R
0)
2、−C(=O)R
0、−N(R
0)
2、−(CH
2)
i−N(R
0)
2、−SR
0、炭素数6から20のアリール、炭素数6から20のへテロアリール、炭素数1から25のアルキル、炭素数1から25のアルコキシであり、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく;R
0は、水素または炭素数1から12のアルキルであり;R
6は、炭素数1から15のアルキルであり、これらの基において、少なくとも1つの−CH
2−は、−C≡C−、−CH=CH−、−COO−、−OCO−、−CO−、または−O−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく;iは、1、2、3、または4であり;hは、1、2、3、4、または5であり;vは、0または1である。
項4. 式(2)において、P
1、P
2、およびP
3が独立して式(P−2)から式(P−6)で表される重合性基の群から選択された基であり、R
4が、酸素原子、硫黄原子および窒素原子の少なくとも1つを有する極性基である、項2に記載の液晶表示素子。
式(P−2)から式(P−6)において、M
7、M
8、およびM
9は独立して、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から5のアルキルである。
項5. 液晶組成物が、第一添加物として式(2−1)から式(2−58)で表される極性化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物
を含有する、項1から4のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
式(2−1)から式(2−58)において、R
7は、水素、フッ素、塩素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルであり;R
8は、水素またはメチルであり;Sp
1、Sp
2、Sp
3、Sp
9、Sp
10、Sp
11、およびSp
12は独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は、−O−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの−CH
2−CH
2−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく;Sp
4は、単結合または炭素数1から7のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は、−O−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH
2−CH
2−は、−CH=CH−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよく;Z
3、Z
4、およびZ
6は独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は、−O−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの−CH
2−CH
2−は、−CH=CH−、−C(CH
3)=CH−、−CH=C(CH
3)−、または−C(CH
3)=C(CH
3)−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく;X
0およびX
3は独立して、−OR
0または−N(R
0)
2で表される基であり、ここでR
0は、水素または炭素数1から12のアルキルであり;L
1、L
2、L
3、L
4、L
5、L
6、L
7、L
8、L
9、L
10、L
11、およびL
12は独立して、水素、フッ素、または炭素数1から12のアルキルであり;jは、0、1、2、3、4、5、または6である。
項6. 液晶組成物が、第一成分として式(1−1)から式(1−22)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する、項1から5のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
式(1−1)から式(1−22)において、R
1およびR
2は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または炭素数2から12のアルケニルオキシである。
項7. 第一成分の割合が10重量%から90重量%の範囲である、項2から6のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
項8. 第一添加物の割合が0.03重量%から10重量%の範囲である、項1から7のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
項9. 液晶組成物が、第二添加物として少なくとも1つの重合性化合物を含有する、項1から8のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
項10. 液晶組成物が、第二添加物として式(3)で表される重合性化合物から選択された少なくとも1つの化合物を含有する、項1から9のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
式(3)において、環Iおよび環Kは独立して、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、テトラヒドロピラン−2−イル、1,3−ジオキサン−2−イル、ピリミジン−2−イル、またはピリジン−2−イルであり、これらの環において、少なくとも1つの水素は、フッ素、塩素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキルで置き換えられてもよく;環Jは、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−1,2−ジイル、ナフタレン−1,3−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−1,6−ジイル、ナフタレン−1,7−ジイル、ナフタレン−1,8−ジイル、ナフタレン−2,3−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、またはピリジン−2,5−ジイルであり、これらの環において、少なくとも1つの水素は、フッ素、塩素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキルで置き換えられてもよく;Z
7およびZ
8は独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は、−O−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH
2−CH
2−は、−CH=CH−、−C(CH
3)=CH−、−CH=C(CH
3)−、または−C(CH
3)=C(CH
3)−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく;P
4、P
5、およびP
6は独立して、式(P−7)から式(P−11)で表される重合性基の群から選択された基であり;
式(P−7)から式(P−11)において、M
10、M
11、およびM
12は独立して、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から5のアルキルであり;Sp
13、Sp
14、およびSp
15は独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は、−O−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH
2−CH
2−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく;kは、0、1、または2であり;
m、n、およびpは独立して、0、1、2、3、または4であり、そしてm、n、およびpの和は、1以上である。
項11. 液晶組成物が、第二添加物として式(3−1)から式(3−27)で表される重合性化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する、項1から10のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
式(3−1)から式(3−27)において、P
4、P
5、およびP
6は独立して、式(P−7)から式(P−9)で表される重合性基の群から選択された基であり、
ここで、M
10、M
11、およびM
12は独立して、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から5のアルキルであり;Sp
13、Sp
14、およびSp
15は独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は、−O−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH
2−CH
2−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよい。
項12. 第二添加物の割合が0.03重量%から10重量%の範囲である、項9から11のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
項13. 液晶組成物が、第二成分として式(4)で表される化合物から選択された少なくとも1つの化合物を含有する、項1から12のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
式(4)において、R
9およびR
10は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルであり;環Lおよび環Mは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、または2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり;Z
9は、単結合、エチレン、カルボニルオキシ、またはメチレンオキシであり;qは、1、2、または3である。
項14. 液晶組成物が、第二成分として式(4−1)から式(4−13)で表される化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物を含有する、項1から13のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
式(4−1)から式(4−13)において、R
9およびR
10は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルである。
項15. 第二成分の割合が10重量%から90重量%の範囲である、項13または14に記載の液晶表示素子。
項16. 項9から15のいずれか1項に記載の液晶組成物に含有される第一添加物および第二添加物が重合された、高分子支持配向型の液晶表示素子。
項17. 項1から16のいずれか1項に記載の液晶表示素子に使用される、液晶組成物。
項18. 項17に記載の液晶組成物の、液晶表示素子への使用。
本発明は、次の項も含む。(a)光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色素、消泡剤、重合性化合物、重合開始剤、重合禁止剤、極性化合物などの添加物の少なくとも1つをさらに含有する上記の組成物。(b)上記の組成物を含有するAM素子。(c)重合性化合物をさらに含有する上記の組成物、およびこの組成物を含有する高分子支持配向型のAM素子。(d)上記の組成物を含有し、この組成物中の重合性化合物が重合されている、高分子支持配向型のAM素子。(e)上記の組成物を含有する透過型の素子。(f)上記の組成物を、ネマチック相を有する組成物としての使用。(g)上記の組成物に光学活性化合物を添加することによって光学活性な組成物としての使用。
本発明の液晶表示素子および液晶表示素子に含有される液晶組成物を次の順で説明する。第一に、液晶表示素子の作製方法を説明する。第二に、液晶表示素子に用いられる液晶配向膜を説明する。第三に、組成物の構成を説明する。第四に、成分化合物の主要な特性、およびこの化合物が組成物や素子に及ぼす主要な効果を説明する。第五に、組成物における成分の組み合わせ、成分化合物の好ましい割合およびその根拠を説明する。第六に、成分化合物の好ましい形態を説明する。第七に、好ましい成分化合物を示す。第八に、組成物に添加してもよい添加物を説明する。第九に、成分化合物の合成法を説明する。第十に、組成物の用途を説明する。
第一に、液晶表示素子の作製方法を説明する。本発明の液晶表示素子は、一対の基板に液晶配向膜を形成し、得られた一対の基板を、配向膜を内向きにスペーサーを介して対向させ、基板間に形成された隙間に液晶組成物を封入して液晶層を形成することによって作製される。本発明の液晶表示素子における作製には、必要に応じて基板に偏光フィルムを貼り付ける等のさらなる工程が含まれていてもよい。
基板には、ITO(Indium Tin Oxide)電極等の電極やカラーフィルタ等が設けられていてもよいガラス製の基板が挙げられる。液晶層は、一対の基板の一方の基板における液晶配向膜が形成されている面が他方の基板に向かうように対向する一対の基板間の隙間に密封される液晶組成物によって形成される。電極には、ガラス製の基板に形成されるITO電極を用いることができる。液晶配向膜は、液晶層中の液晶組成物を特定の方向に配向させるための層であり、後述する液晶配向剤により調製される。
第二に、液晶配向膜を説明する。この配向膜は、ポリオルガノシロキサン、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド、またはこれらの重合体の混合物を含有する。ポリオルガノシロキサンは、クロロシラン、アルコキシシランのような有機ケイ素化合物を加水分解することによって生成する。ポリオルガノシロキサンを「ポリシロキサン」と略すことがある。ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、またはポリイミドは、一般にテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの縮合反応によって得られる生成物またはそのエステル誘導体であり、縮合の程度に応じてポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、またはポリイミドと呼ばれる。これらを「ポリアミック酸またはその誘導体」と略すことがある。
好ましいポリシロキサンは、カルボキシル基、ヒドロキシアルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、メルカプト基、エポキシ基、または重合性不飽和結合を有する。カルボキシル基を含有するポリシロキサンの原料は、4−(トリメトキシシリル)ペンタン酸などである。ヒドロキシアルキル基を含有するポリシロキサンの原料は、4−ヒドロキシプロピルトリエトキシシランなどである。アミノ基を含有するポリシロキサンの原料は、3−アミノプロピルトリメトキシシランなどである。アルキルアミノ基を含有するポリシロキサンの原料は、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−1−ブタンアミンなどである。メルカプト基を含有するポリシロキサンの原料は、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどである。エポキシ基を含有するポリシロキサンの原料は、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどである。重合性不飽和結合を含有するポリシロキサンの原料は、メタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル、α-メチレン-γ-ブチロラクトンなどである。
さらに好ましいポリシロキサンは、式(X
1−1)から式(X
1−7)で表される基の群から選択された少なくとも1つの基を含有する。
式(X1−1)から式(X1−7)において、星印は結合する部位を示し;Z10は、−O−または単結合であり;Z11は、単結合、炭素数1から6のアルキレン、または−O−、−S−、−COO−、−OCO−、および−NR11−の群から選択された少なくとも1つの基を有する炭素数1から20の二価基であり、ここでR11は、水素または炭素数1から6のアルキルであり;sは1、2、または3であり、tは、0から6の整数であり、tが0の場合、Z 10 は単結合であり;sは、0から6の整数である。
式(X1−1)または式(X1−2)で表される基を有するポリシロキサンは、このような基を有するクロロシラン、アルコキシシランのようなシランを単独で、または他のシランとの混合物を加水分解することによって生成する。このようなシランの例は、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどである。詳しくは、特開2013−064968号、段落0048から0068などを参照のこと。
好ましい式(X
1−1)または(X
1−2)で表される基は、次のとおりである。
式(X1−3)または式(X1−4)で表される基を有するポリシロキサンは、ジオールに対応するエポキシを有するシラン単独で、または他のシランとの混合物を加水分解し、さらにエポキシを開環させることによって生成される。式(X1−5)で表される基を有するポリシロキサンは、対応する酸無水物から誘導された一価基を有するシランを単独で、または他のシランとの混合物を加水分解し、さらに酸無水物部分を開環させることによって生成される。詳しくは、特開2013−057815号、段落0061から0067などを参照のこと。式(X1−6)で表される基を有するポリシロキサンについては、特開2013−057815号、段落0026から0060などを参照のこと。α−メチレン−γ−ブチロラクトンは重合性である。式(X1−7)で表される基を有するポリシロキサンは、α−メチレン−γ−ブチロラクトンから誘導された一価基を有するシランを単独で、または他のシランとの混合物を加水分解し、さらに酸無水物部分を開環させることによって生成される。
好ましいポリアミック酸またはその誘導体は、脂環式構造を有する。脂環式構造の例は、ビシクロ[2.2.2]オクテンまたはシクロブタンである。脂環式構造を有するポリアミック酸またはその誘導体を合成するには、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物や1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物が出発物として用いられる。1,4−ジアミノシクロヘキサンのような脂環式構造を有するアミンを出発物に用いてもよい。詳しくは、特開2013−080193号、段落0156から0175などを参照のこと。
液晶配向膜は、ポリシロキサン、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、およびポリイミドの群から選択された少なくとも1つの重合体を含有する。好ましい配向膜では、主成分がポリアミック酸またはその誘導体であり、副成分がポリシロキサンである。配向剤を調製するとき、ポリアミック酸またはその誘導体の割合は、50重量%以上であり、ポリシロキサンの割合は、50重量%より小さい。すなわち、割合は、100〜50/0〜50である。好ましい割合は、97〜70/3〜30である。さらに好ましい割合は、95〜80/5〜20である。好ましい配向膜は、式(X1−1)から式(X1−7)で表される基の群から選択された少なくとも1つの基を含有するポリシロキサンを含有する。さらに好ましい配向膜は、式(X1−7)で表される基を含有するポリシロキサンを含有する。
第三に、組成物の構成を説明する。この組成物は、複数の液晶性化合物を含有する。この組成物は、添加物を含有してもよい。添加物は、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色素、消泡剤、重合性化合物、重合開始剤、重合禁止剤、極性化合物などである。この組成物は、液晶性化合物の観点から組成物Aと組成物Bに分類される。組成物Aは、化合物(1)および化合物(3)から選択された液晶性化合物の他に、その他の液晶性化合物、添加物などをさらに含有してもよい。「その他の液晶性化合物」は、化合物(1)および化合物(3)とは異なる液晶性化合物である。このような化合物は、特性をさらに調整する目的で組成物に混合される。
組成物Bは、実質的に化合物(1)および化合物(3)から選択された液晶性化合物のみからなる。「実質的に」の用語は、組成物が添加物を含有してもよいが、その他の液晶性化合物を含有しないことを意味する。組成物Bは組成物Aに比較して成分の数が少ない。コストを下げるという観点から、組成物Bは組成物Aよりも好ましい。その他の液晶性化合物を混合することによって特性をさらに調整できるという観点から、組成物Aは組成物Bよりも好ましい。
第四に、成分化合物の主要な特性、およびこの化合物が組成物や素子に及ぼす主要な効果を説明する。成分化合物の主要な特性を本発明の効果に基づいて表2にまとめる。表2の記号において、Lは大きいまたは高い、Mは中程度の、Sは小さいまたは低い、を意味する。記号L、M、Sは、成分化合物のあいだの定性的な比較に基づいた分類であり、記号0(ゼロ)は、誘電率異方性が極めて小さいことを意味する。
成分化合物の主要な効果は次のとおりである。化合物(1)は誘電率異方性を上げ、そして下限温度を下げる。化合物(4)は、粘度を下げる、または上限温度を上げる。化合物(2)は、極性基の作用で基板表面に吸着し、液晶分子の配向を制御する。所期の効果を得るには、化合物(2)は、液晶性化合物との高い相溶性を有することが必須である。化合物(2)は、1,4−シクロヘキシレンや1,4−フェニレンのような六員環を有し、その分子構造は棒状であるからこの目的に最適である。化合物(2)は、重合によって重合体を与える。この重合体は、液晶分子の配向を安定化するので、素子の応答時間を短縮し、そして画像の焼き付きを改善する。化合物(3)は、重合によって重合体を与え、この重合体は、素子の応答時間を短縮し、そして画像の焼き付きを改善する。
第五に、組成物における成分の組み合わせ、成分化合物の好ましい割合およびその根拠を説明する。組成物における成分の好ましい組み合わせは、第一成分+第一添加物、第一成分+第一添加物+第二成分、第一成分+第一添加物+第二添加物、または第一成分+第一添加物+第二成分+第二添加物である。さらに好ましい組み合わせは、第一成分+第一添加物+第二成分+第二添加物である。
第一成分の好ましい割合は、誘電率異方性を上げるために約10重量%以上であり、下限温度を下げるために約90重量%以下である。さらに好ましい割合は約20重量%から約85重量%の範囲である。特に好ましい割合は約30重量%から約85重量%の範囲である。
第二成分の好ましい割合は、上限温度を上げるために、または粘度を下げるために約10重量%以上であり、誘電率異方性を上げるために約90重量%以下である。さらに好ましい割合は約15重量%から約75重量%の範囲である。特に好ましい割合は約15重量%から約60重量%の範囲である。
化合物(2)は、高分子層の配向力を向上させる目的で、組成物に添加される。この添加物の好ましい割合は、液晶分子を配向させるために約0.03重量%以上であり、素子の表示不良を防ぐために約10重量%以下である。さらに好ましい割合は、約0.1重量%から約7重量%の範囲である。特に好ましい割合は、約0.5重量%から約5重量%の範囲である。
化合物(3)は、高分子支持配向型の素子に適合させる目的で、組成物に添加される。この添加物の好ましい割合は、液晶分子を配向させるために約0.03重量%以上であり、素子の表示不良を防ぐために約10重量%以下である。さらに好ましい割合は、約0.1重量%から約2重量%の範囲である。特に好ましい割合は、約0.2重量%から約1重量%の範囲である。
第六に、成分化合物の好ましい形態を説明する。式(1)および式(4)において、R1およびR2は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、または炭素数2から12のアルケニルオキシである。好ましいR1またはR2は、安定性を上げるために炭素数1から12のアルキルであり、誘電率異方性を上げるために炭素数1から12のアルコキシである。R9およびR10は独立して、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルである。好ましいR9またはR10は、粘度を下げるために、炭素数2から12のアルケニルであり、安定性を上げるために炭素数1から12のアルキルである。アルキルは、直鎖状または分岐状であり、環状アルキルを含まない。直鎖状アルキルは、分岐状アルキルよりも好ましい。これらのことは、アルコキシ、アルケニルなどの末端基についても同様である。
好ましいアルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、またはオクチルである。さらに好ましいアルキルは、粘度を下げるためにメチル、エチル、プロピル、ブチル、またはペンチルである。
好ましいアルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、またはヘプチルオキシである。粘度を下げるために、さらに好ましいアルコキシは、メトキシまたはエトキシである。
好ましいアルケニルは、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、または5−ヘキセニルである。さらに好ましいアルケニルは、粘度を下げるためにビニル、1−プロペニル、3−ブテニル、または3−ペンテニルである。これらのアルケニルにおける−CH=CH−の好ましい立体配置は、二重結合の位置に依存する。粘度を下げるためなどから1−プロペニル、1−ブテニル、1−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ペンテニル、3−ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはトランスが好ましい。2−ブテニル、2−ペンテニル、2−ヘキセニルのようなアルケニルにおいてはシスが好ましい。
好ましいアルケニルオキシは、ビニルオキシ、アリルオキシ、3−ブテニルオキシ、3−ペンテニルオキシ、または4−ペンテニルオキシである。粘度を下げるために、さらに好ましいアルケニルオキシは、アリルオキシまたは3−ブテニルオキシである。
少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられたアルキルの好ましい例は、フルオロメチル、2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、5−フルオロペンチル、6−フルオロヘキシル、7−フルオロヘプチル、または8−フルオロオクチルである。さらに好ましい例は、誘電率異方性を上げるために2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、または5−フルオロペンチルである。
少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられたアルケニルの好ましい例は、2,2−ジフルオロビニル、3,3−ジフルオロ−2−プロペニル、4,4−ジフルオロ−3−ブテニル、5,5−ジフルオロ−4−ペンテニル、または6,6−ジフルオロ−5−ヘキセニルである。さらに好ましい例は、粘度を下げるために2,2−ジフルオロビニルまたは4,4−ジフルオロ−3−ブテニルである。
環Aおよび環Cは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられたナフタレン−2,6−ジイル、クロマン−2,6−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられたクロマン−2,6−ジイルである。「少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた1,4−フェニレン」の好ましい例は、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレンまたは2−クロロ−3−フルオロ−1,4−フェニレンである。好ましい環Aまたは環Cは、粘度を下げるために1,4−シクロヘキシレンであり、誘電率異方性を上げるためにテトラヒドロピラン−2,5−ジイルであり、光学異方性を上げるために1,4−フェニレンである。1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置は、上限温度を上げるためにシスよりもトランスが好ましい。テトラヒドロピラン−2,5−ジイルは、
である。
環Bは、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−クロロ−3−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−5−メチル−1,4−フェニレン、3,4,5−トリフルオロナフタレン−2,6−ジイル、または7,8−ジフルオロクロマン−2,6−ジイルである。好ましい環Bは、粘度を下げるために2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレンである。
環Lおよび環Mは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、または2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンである。好ましい環Lまたは環Mは粘度を下げるために、または上限温度を上げるために、1,4−シクロヘキシレンであり、下限温度を下げるために1,4−フェニレンである。
Z1、Z2、およびZ9は独立して、単結合、エチレン、カルボニルオキシ、またはメチレンオキシである。好ましいZ1またはZ2は、粘度を下げるために単結合であり、下限温度を下げるためにエチレンであり、誘電率異方性を上げるためにメチレンオキシである。好ましいZ9は、安定性を上げるために単結合である。
aは、0、1、2、または3であり、bは、0または1であり、そして、aとbとの和は3以下である。好ましいaは粘度を下げるために1であり、上限温度を上げるために2または3である。好ましいbは粘度を下げるために0であり、下限温度を下げるために1である。qは、1、2、または3である。好ましいqは粘度を下げるために1であり、上限温度を上げるために2または3である。
式(2)において、P
1、P
2、およびP
3は独立して、重合性基であり、R
4が水素であるときのP
1、P
2、およびP
3の少なくとも1つは、式(P−A)で表される重合性基である。好ましいP
1、P
2、またはP
3は、式(P−A)、式(P−2)、式(P−3)、式(P−4)、式(P−5)、または式(P−6)で表される基である。さらに好ましいP
1、P
2、またはP
3は、式(P−A)、式(P−2)、または式(P−3)で表される基である。式(P−A)、式(P−2)、式(P−3)、式(P−4)、式(P−5)、および式(P−6)の波線は、結合する部位を示す。
式(P−A)、式(P−2)、式(P−3)、式(P−4)、式(P−5)、および式
(P−6)において、M1、M2、M7、M8、およびM9は独立して、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から5のアルキルである。好ましいM1、M2、M7、M8、またはM9は、反応性を上げるために水素またはメチルである。
Sp1、Sp2、Sp3、Sp9、Sp10、Sp11、およびSp12は独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの−CH2−は、−O−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの−CH2−CH2−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよい。Sp4は、単結合または炭素数1から7のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの−CH2−は、−O−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH2−CH2−は、−CH=CH−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素で置き換えられてもよい。
X0およびX3は独立して、−OR0または−N(R0)2で表される基であり、ここでR0は、水素または炭素数1から12のアルキルである。極性基は、ガラス基板または金属酸化物膜の表面との非共有結合的な相互作用を有する。液晶組成物への高い溶解度の観点から、X0またはX3は−OHまたは−NH2であることが特に好ましい。−OHは、高いアンカー力を有するので−O−、−CO−、または−COO−よりも好ましい。複数のヘテロ原子(窒素、酸素)を有する基は、特に好ましい。
R3は、水素、フッ素、塩素、式(P−A)で表される重合性基、または炭素数1から25のアルキルであり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの−CH2−は、−CH=CH−、−NR0−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、または炭素数3から8のシクロアルキレンで置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの第三級炭素(>CH−)は、窒素(>N−)で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく、ここでR0は、水素または炭素数1から12のアルキルである。好ましいR3は、水素、式(P−A)で表される重合性基、または炭素数1から12のアルキルである。R4は、酸素原子、硫黄原子および窒素原子の少なくとも1つを有する極性基、または水素である。R7は、水素、フッ素、塩素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、炭素数2から12のアルケニル、少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数2から12のアルケニルである。好ましいR7は、炭素数1から12のアルキルである。R8は、水素またはメチルである。
特に好ましい窒素原子を有する極性基は、−NH2、−NH−(CH2)n4H、−(CH2)n1−NH2、−(CH2)n1−NH−(CH2)n4H、−NH−(CH2)n1−NH2、−NH−(CH2)n1−NH−(CH2)n4H、−(CH2)n2−NH−(CH2)n3−NH2、−(CH2)n2−NH−(CH2)n3−NH−(CH2)n4H、−O−(CH2)n1−NH2、−(CH2)n2−O−(CH2)n1−NH2、−(CH2)n2−NH−(CH2)n3−OH、−O−(CH2)n2−NH−(CH2)n3−NH2、−O−(CH2)n2−NH−(CH2)n3−OH、または−(CH2)n2−NH−(CH2)n3−NH−(CH2)n4Hであり、ここでn1、n2、n3、およびn4は独立して、1から12の整数であり、好ましくは1、2、3、または4である。
特に好ましい酸素原子を有する極性基は、−OH、−(CH2)n1−OH、−O−(CH2)n1−OH、−[O−(CH2)n2−]n3−OH、−COOH、−(CH2)n1−COOH、−O−(CH2)n1−COOH、または−[O−(CH2)n2−]n3−COOHであり、ここでn1、n2、およびn3は独立して、1から12の整数であり、好ましくは1、2、3、または4である。
液晶組成物への高い溶解度の観点から、R4は−OHまたは−NH2であることが特に好ましい。−OHは、高いアンカー力を有するので−O−、−CO−、または−COO−よりも好ましい。複数のヘテロ原子(窒素、酸素)を有する基は、特に好ましい。そのような極性基を有する化合物は、低い濃度であっても有効である。更に好ましいR4は、式(A1)から式(A4)で表される基である。
式(A1)から式(A4)において、Sp
5、Sp
7、およびSp
8は独立して、単結合または炭素数1から20のアルキレンであり、このアルキレンにおいて少なくとも1つの−CH
2−は、−O−、−S−、−NH−、−N(R
0)−、−CO−、−CH=CH−、−CH=CR
0−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、または−C≡C−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素、塩素、−CN、または式(P−1)で置き換えられてもよく、ここでR
0は、水素または炭素数1から12のアルキルである。好ましいSp
5、Sp
7、またはSp
8は、−(CH
2)
p1−、−(CH
2)
p1−O−、−(CH
2)
p1−O−CO−、−(CH
2)
p1−O−CO−O−であり、ここでp1は1から12の整数である。
式(P−1)において、Sp9は単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの−CH2−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH2−CH2−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよい。M3およびM4は独立して、水素、フッ素、塩素、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から5のアルキルである。好ましいM3またはM4は、反応性を上げるために水素またはメチルである。R5は、炭素数1から15のアルキルであり、これらの基において、少なくとも1つの−CH2−は、−O−または−S−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH2−CH2−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよい。
Sp
6は、>CH−、>CR
6−、または>N−である。好ましいSp
6は、>CH−または>CR
6−である。X
1は、−OH、−OR
6、−COOH、−NH
2、−NHR
6、−N(R
6)
2、−SH、−SR
6、
ここでR
0は、水素または炭素数1から12のアルキルである。R
6は、炭素数1から15のアルキルであり、これらの基において、少なくとも1つの−CH
2−は、−C≡C−、−CH=CH−、−COO−、−OCO−、−CO−、または−O−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよい。
X2は、−O−、−CO−、−NH−、−NR6−、または−S−である。Z5は、炭素数1から15のアルキレンであり、これらの基において、少なくとも1つの水素は、−OH、−OR6、−COOH、−NH2、−NHR6、−N(R6)2、フッ素、または塩素で置き換えられてもよい。
式(P−B)において、Sp10は、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、これらの基において、少なくとも1つの−CH2−は、−O−、−NH−、−CO−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH2−CH2−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよい。M5およびM6は独立して、水素、フッ素、塩素、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から5のアルキルである。
環Gは、炭素数6から25の芳香族基または炭素数3から25の脂環式基であり、これらの基は縮合環であってもよく、これらの基において、1つから3つの水素はRLで置き換えられてもよく、RLは、−OH、−(CH2)i−OH、フッ素、塩素、−CN、−NO2、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)N(R0)2、−C(=O)R0、−N(R0)2、−(CH2)i−N(R0)2、−SR0、炭素数6から20のアリール、炭素数6から20のへテロアリール、炭素数1から25のアルキル、炭素数1から25のアルコキシであり、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよく、ここでR0は、水素または炭素数1から12のアルキルである。iは、1、2、3、または4である。
環D、環E、および環Fは独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−1,2−ジイル、ナフタレン−1,3−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−1,6−ジイル、ナフタレン−1,7−ジイル、ナフタレン−1,8−ジイル、ナフタレン−2,3−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、またはピリジン−2,5−ジイルであり、これらの環において、少なくとも1つの水素は、フッ素、塩素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキルで置き換えられてもよい。好ましい環D、環E、または環Fは、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、少なくとも1つの水素が、フッ素、塩素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシで置き換えられた1,4−フェニレンである。
Z3、Z4、およびZ6は独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの−CH2−は、−O−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、そして少なくとも1つの−CH2−CH2−は、−CH=CH−、−C(CH3)=CH−、−CH=C(CH3)−、または−C(CH3)=C(CH3)−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよい。好ましいZ3、Z4、またはZ6は、単結合、−CH2−CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−COO−、または−OCO−である。さらに好ましいZ3、Z4、またはZ6は、単結合である。
cおよびdは独立して、0、1、2、3、または4であり、そしてcおよびdの和は、0、1、2、3、または4である。好ましいcおよびdの和は、液晶組成物への溶解性を上げるために1または2である。e、f、およびgは独立して、0、1、2、3、または4であり、R4が水素であるときのe、f、およびgの少なくとも1つは1、2、3、または4であり、R4が水素であるときのP1、P2、およびP3の少なくとも1つは、式(P−A)で表される重合性基である。好ましいe、f、またはgは、1または2である。hは、1、2、3、4、または5である。jは、0、1、2、3、4、5、または6である。vは、0または1である。
L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L8、L9、L10、L11、およびL12は独立して、水素、フッ素、または炭素数1から12のアルキルである。好ましいL1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L8、L9、L10、L11、またはL12は、水素、フッ素、メチル、またはエチルである。
式(3)において、P
4、P
5、およびP
6は独立して、式(P−7)から式(P−11)で表される重合性基の群から選択された基である。さらに好ましいP
4、P
5、またはP
6は、式(P−7)、式(P−8)または式(P−9)で表される基である。特に好ましいP
4、P
5、またはP
6は、式(P−7)または式(P−8)で表される基である。最も好ましいP
4、P
5、またはP
6は、式(P−7)で表される基である。式(P−7)で表される好ましい基は、−OCO−CH=CH
2または−OCO−C(CH
3)=CH
2である。式(P−7)から式(P−11)の波線は、結合する部位を示す。
式(P−7)から式(P−11)において、M10、M11、およびM12は独立して、水素、フッ素、炭素数1から5のアルキル、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から5のアルキルである。好ましいM10、M11、またはM12は、反応性を上げるために水素またはメチルである。さらに好ましいM10は水素またはメチルであり、さらに好ましいM11またはM12は水素である。
Sp13、Sp14、およびSp15は独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの−CH2−は、−O−、−COO−、−OCO−、または−OCOO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH2−CH2−は、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよい。好ましいSp13、Sp14、またはSp15は、単結合、−CH2−CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−COO−、−OCO−、−CO−CH=CH−、または−CH=CH−CO−である。さらに好ましいSp13、Sp14、またはSp15は、単結合である。
環Iおよび環Kは独立して、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、テトラヒドロピラン−2−イル、1,3−ジオキサン−2−イル、ピリミジン−2−イル、またはピリジン−2−イルであり、これらの環において、少なくとも1つの水素は、フッ素、塩素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキルで置き換えられてもよい。好ましい環Iまたは環Kは、フェニルである。環Jは、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−1,2−ジイル、ナフタレン−1,3−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−1,6−ジイル、ナフタレン−1,7−ジイル、ナフタレン−1,8−ジイル、ナフタレン−2,3−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、またはピリジン−2,5−ジイルであり、これらの環において、少なくとも1つの水素は、フッ素、塩素、炭素数1から12のアルキル、炭素数1から12のアルコキシ、または少なくとも1つの水素がフッ素または塩素で置き換えられた炭素数1から12のアルキルで置き換えられてもよい。好ましい環Jは、1,4−フェニレンまたは2−フルオロ−1,4−フェニレンである。
Z7およびZ8は独立して、単結合または炭素数1から10のアルキレンであり、このアルキレンにおいて、少なくとも1つの−CH2−は、−O−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの−CH2−CH2−は、−CH=CH−、−C(CH3)=CH−、−CH=C(CH3)−、または−C(CH3)=C(CH3)−で置き換えられてもよく、これらの基において、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよい。好ましいZ7またはZ8は、単結合、−CH2−CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−COO−、または−OCO−である。さらに好ましいZ7またはZ8は、単結合である。
kは、0、1、または2である。好ましいkは、0または1である。m、n、およびpは独立して、0、1、2、3、または4であり、そしてm、n、およびpの和は、1以上である。好ましいm、n、またはpは、1または2である。
第七に、好ましい成分化合物を示す。第一成分は、誘電率異方性が負に大きな化合物(1)である。好ましい化合物(1)は、項6に記載の化合物(1−1)から化合物(1−22)である。さらに好ましい化合物(1)は、化合物(1−1)、化合物(1−2)、化合物(1−3)、化合物(1−4)、化合物(1−6)、化合物(1−7)、化合物(1−8)、または化合物(1−10)である。第一成分の少なくとも2つが、化合物(1−1)および化合物(1−6)、化合物(1−1)および化合物(1−10)、化合物(1−3)および化合物(1−6)、化合物(1−3)および化合物(1−10)、化合物(1−4)および化合物(1−6)、または化合物(1−4)および化合物(1−8)の組み合わせであることが好ましい。
第二成分は、誘電率異方性が極めて小さな化合物(4)である。好ましい化合物(4)は、項14に記載した化合物(4−1)から化合物(4−13)である。これらの化合物において、第二成分の少なくとも1つが、化合物(4−1)、化合物(4−3)、化合物(4−5)、化合物(4−6)、または化合物(4−7)であることが好ましい。第二成分の少なくとも2つが化合物(4−1)および化合物(4−3)、または化合物(4−1)および化合物(4−5)の組み合わせであることが好ましい。
第一添加物は、極性基を有する化合物(2)である。好ましい化合物(2)は、項5に記載の化合物(2−1)から化合物(2−58)である。第一添加物の少なくとも1つが、化合物(2−6)、化合物(2−8)、化合物(2−10)、化合物(2−11)、化合物(2−13)、化合物(2−15)、化合物(2−16)、化合物(2−17)、化合物(2−18)、化合物(2−19)、化合物(2−26)、化合物(2−34)、化合物(2−36)、化合物(2−37)、化合物(2−38)、化合物(2−39)、化合物(2−40)、化合物(2−41)、化合物(2−42)、化合物(2−46)、化合物(2−48)、化合物(2−50)、化合物(2−51)、化合物(2−52)、化合物(2−54)、化合物(2−55)、または化合物(2−56)であることが好ましい。第一添加物の少なくとも2つが、化合物(2−1)および化合物(2−11)、化合物(2−3)および化合物(2−8)、化合物(2−16)および化合物(2−17)、化合物(2−17)および化合物(2−19)、化合物(2−37)および化合物(2−38)、化合物(2−37)および化合物(2−40)、化合物(2−46)および化合物(2−50)、化合物(2−48)および化合物(2−50)、または化合物(2−55)および化合物(2−56)の組み合せであることが好ましい。
第二添加物は、重合性の化合物(3)である。好ましい化合物(3)は、項11に記載の化合物(3−1)から化合物(3−27)である。これらの化合物において、第二添加物の少なくとも1つが、化合物(3−1)、化合物(3−2)、化合物(3−24)、化合物(3−25)、化合物(3−26)、または化合物(3−27)であることが好ましい。第二添加物の少なくとも2つが、化合物(3−1)および化合物(3−2)、化合物(3−1)および化合物(3−18)、化合物(3−2)および化合物(3−24)、化合物(3−2)および化合物(3−25)、化合物(3−2)および化合物(3−26)、化合物(3−25)および化合物(3−26)、または化合物(3−18)および化合物(3−24)の組み合わせであることが好ましい。
第八に、組成物に添加してもよい添加物を説明する。このような添加物は、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色素、消泡剤、重合性化合物、重合開始剤、重合禁止剤、極性化合物などである。液晶分子にらせん構造を誘起してねじれ角を与える目的で光学活性化合物が組成物に添加される。このような化合物の例は、化合物(5−1)から化合物(5−5)である。光学活性化合物の好ましい割合は約5重量%以下である。さらに好ましい割合は約0.01重量%から約2重量%の範囲である。
素子を長時間使用したあと、室温だけではなく上限温度に近い温度でも大きな電圧保持率を維持するために、酸化防止剤が組成物に添加される。酸化防止剤の好ましい例は、zが1から9の整数である化合物(6)などである。
化合物(6)において、好ましいzは、1、3、5、7、または9である。さらに好ましいzは7である。zが7である化合物(6)は、揮発性が小さいので、素子を長時間使用したあと、室温だけではなく上限温度に近い温度でも大きな電圧保持率を維持するのに有効である。酸化防止剤の好ましい割合は、この効果を得るために約50ppm以上であり、上限温度を下げないように、または下限温度を上げないように約600ppm以下である。さらに好ましい割合は、約100ppmから約300ppmの範囲である。
紫外線吸収剤の好ましい例は、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾエート誘導体、トリアゾール誘導体などである。立体障害のあるアミンのような光安定剤もまた好ましい。これらの吸収剤や安定剤における好ましい割合は、この効果を得るために約50ppm以上であり、上限温度を下げないように、または下限温度を上げないために約10000ppm以下である。さらに好ましい割合は約100ppmから約10000ppmの範囲である。
GH(guest host)モードの素子に適合させるために、アゾ系色素、アントラキノン系色素などのような二色性色素(dichroic dye)が組成物に添加される。色素の好ましい割合は、約0.01重量%から約10重量%の範囲である。泡立ちを防ぐために、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどの消泡剤が組成物に添加される。消泡剤の好ましい割合は、この効果を得るために約1ppm以上であり、表示不良を防ぐために約1000ppm以下である。さらに好ましい割合は、約1ppmから約500ppmの範囲である。
高分子支持配向(PSA)型の素子に適合させるために重合性化合物が用いられる。化合物(3)はこの目的に適している。化合物(3)と共に、化合物(3)とは異なる、その他の重合性化合物を組成物に添加してもよい。その他の重合性化合物の好ましい例は、アクリレート、メタクリレート、ビニル化合物、ビニルオキシ化合物、プロペニルエーテル、エポキシ化合物(オキシラン、オキセタン)、ビニルケトンなど化合物である。さらに好ましい例は、アクリレートまたはメタクリレートである。化合物(3)の好ましい割合は、重合性化合物の全重量に基づいて約10重量%以上である。さらに好ましい割合は、約50重量%以上である。特に好ましい割合は、約80重量%以上である。特に好ましい割合は、100重量%でもある。化合物(3)の種類を変えることによって、または化合物(3)にその他の重合性化合物を適切な比で組み合わせることによって、重合性化合物の反応性や液晶分子のプレチルト角を調整することができる。プレチルト角を最適化することによって、素子の短い応答時間を達成することができる。液晶分子の配向が安定化されるので、大きなコントラスト比や長い寿命を達成することができる。
化合物(3)のような重合性化合物は紫外線照射によって重合する。光重合開始剤などの適切な開始剤存在下で重合させてもよい。重合のための適切な条件、開始剤の適切なタイプ、および適切な量は、当業者には既知であり、文献に記載されている。例えば光重合開始剤であるIrgacure651(登録商標;BASF)、Irgacure184(登録商標;BASF)、またはDarocur1173(登録商標;BASF)がラジカル重合に対して適切である。光重合開始剤の好ましい割合は、重合性化合物の全重量に基づいて約0.1重量%から約5重量%の範囲である。さらに好ましい割合は約1重量%から約3重量%の範囲である。
化合物(3)のような重合性化合物を保管するとき、重合を防止するために重合禁止剤を添加してもよい。重合性化合物は、通常は重合禁止剤を除去しないまま組成物に添加される。重合禁止剤の例は、ヒドロキノン、メチルヒドロキノンのようなヒドロキノン誘導体、4−t−ブチルカテコール、4−メトキシフェノール、フェノチアジンなどである。
第九に、成分化合物の合成法を説明する。これらの化合物は既知の方法によって合成できる。合成法を例示する。化合物(1−6)は、特開2000−53602号公報に記載された方法で合成する。化合物(2)の合成例は、実施例に記載する。化合物(3−18)は、特開平7−101900号公報に記載された方法で合成する。化合物(4−1)は、特開昭59−176221号公報に記載された方法で合成する。式(6)のzが1である化合物は、アルドリッチ(Sigma-Aldrich Corporation)から入手できる。zが7である化合物(6)などは、米国特許第3660505号明細書に記載された方法によって合成する。
合成法を記載しなかった化合物は、オーガニック・シンセシス(Organic Syntheses, John Wiley & Sons, Inc)、オーガニック・リアクションズ(Organic Reactions, John Wiley & Sons, Inc)、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)などの成書に記載された方法によって合成できる。組成物は、このようにして得た化合物から公知の方法によって調製される。例えば、成分化合物を混合し、そして加熱によって互いに溶解させる。
第十に、組成物の用途を説明する。この組成物は主として、約−10℃以下の下限温度、約70℃以上の上限温度、そして約0.07から約0.20の範囲の光学異方性を有する。この組成物を含有する素子は大きな電圧保持率を有する。この組成物はAM素子に適する。この組成物は透過型のAM素子に特に適する。成分化合物の割合を制御することによって、またはその他の液晶性化合物を混合することによって、約0.08から約0.25の範囲の光学異方性を有する組成物を調製してもよい。さらには、試行錯誤によって約0.10から約0.30の範囲の光学異方性を有する組成物を調製してもよい。この組成物は、ネマチック相を有する組成物としての使用、光学活性化合物を添加することによって光学活性な組成物としての使用が可能である。
この組成物はAM素子への使用が可能である。さらにPM素子への使用も可能である。この組成物は、PC、TN、STN、ECB、OCB、IPS、FFS、VA、FPAなどのモードを有するAM素子またはPM素子への使用が可能である。TN、OCB、IPS、またはFFSのモードを有するAM素子への使用は特に好ましい。IPSモードまたはFFSモードを有するAM素子において、電圧が無印加のとき、液晶分子の配列がガラス基板に対して平行であってもよく、または垂直であってもよい。これらの素子が反射型、透過型または半透過型であってもよい。透過型の素子への使用は好ましい。非結晶シリコン−TFT素子または多結晶シリコン−TFT素子への使用も可能である。この組成物をマイクロカプセル化して作製したNCAP(nematic curvilinear aligned phase)型の素子や、組成物中に三次元の網目状高分子を形成させたPD(polymer dispersed)型の素子にも使用できる。
実施例によって本発明をさらに詳しく説明する。本発明はこれらの実施例によっては制限されない。本発明は、組成例M1と組成例M2との混合物を含む。本発明は、実施例の組成物の少なくとも2つを混合した混合物をも含む。合成した化合物は、NMR分析などの方法によって同定した。化合物、組成物および素子の特性は、下記の方法によって測定した。
NMR分析:測定には、ブルカーバイオスピン社製のDRX−500を用いた。1H−NMRの測定では、試料をCDCl3などの重水素化溶媒に溶解させ、測定は、室温で、500MHz、積算回数16回の条件で行った。テトラメチルシランを内部標準として用いた。19F−NMRの測定では、CFCl3を内部標準として用い、積算回数24回で行った。核磁気共鳴スペクトルの説明において、sはシングレット、dはダブレット、tはトリプレット、qはカルテット、quinはクインテット、sexはセクステット、mはマルチプレット、brはブロードであることを意味する。
ガスクロマト分析:測定には島津製作所製のGC−14B型ガスクロマトグラフを用いた。キャリアーガスはヘリウム(2mL/分)である。試料気化室を280℃に、検出器(FID)を300℃に設定した。成分化合物の分離には、Agilent Technologies Inc.製のキャピラリカラムDB−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm;固定液相はジメチルポリシロキサン;無極性)を用いた。このカラムは、200℃で2分間保持したあと、5℃/分の割合で280℃まで昇温した。試料はアセトン溶液(0.1重量%)に調製したあと、このうちの1μLを試料気化室に注入した。記録計は島津製作所製のC−R5A型Chromatopac、またはこの同等品である。得られたガスクロマトグラムは、成分化合物に対応するピークの保持時間およびピークの面積を示した。
試料を希釈するための溶媒は、クロロホルム、ヘキサンなどを用いてもよい。成分化合物を分離するために、次のキャピラリカラムを用いてもよい。Agilent Technologies Inc.製のHP−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、Restek Corporation製のRtx−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、SGE International Pty. Ltd製のBP−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)。化合物ピークの重なりを防ぐ目的で島津製作所製のキャピラリカラムCBP1−M50−025(長さ50m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)を用いてもよい。
組成物に含有される液晶性化合物の割合は、次のような方法で算出してよい。液晶性化合物(混合物)をガスクロマトグラフ(FID)で検出する。ガスクロマトグラムにおけるピークの面積比は液晶性化合物の割合(重量比)に相当する。上に記載したキャピラリカラムを用いたときは、各々の液晶性化合物の補正係数を1とみなしてよい。したがって、液晶性化合物の割合(重量%)は、ピークの面積比から算出することができる。
測定試料:組成物または素子の特性を測定するときは、組成物をそのまま試料として用いた。化合物の特性を測定するときは、この化合物(15重量%)を母液晶(85重量%)に混合することによって測定用の試料を調製した。測定によって得られた値から外挿法によって化合物の特性値を算出した。(外挿値)={(試料の測定値)−0.85×(母液晶の測定値)}/0.15。この割合でスメクチック相(または結晶)が25℃で析出するときは、化合物と母液晶の割合を10重量%:90重量%、5重量%:95重量%、1重量%:99重量%の順に変更した。この外挿法によって化合物に関する上限温度、光学異方性、粘度、および誘電率異方性の値を求めた。
下記の母液晶を用いた。成分化合物の割合は重量%で示した。
測定方法:特性の測定は下記の方法で行った。これらの多くは、社団法人電子情報技術産業協会(Japan Electronics and Information Technology Industries Association;JEITAという)で審議制定されるJEITA規格(JEITA・ED−2521B)に記載された方法、またはこれを修飾した方法であった。測定に用いたTN素子には、薄膜トランジスター(TFT)を取り付けなかった。
(1)ネマチック相の上限温度(NI;℃):偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、1℃/分の速度で加熱した。試料の一部がネマチック相から等方性液体に変化したときの温度を測定した。ネマチック相の上限温度を「上限温度」と略すことがある。
(2)ネマチック相の下限温度(TC;℃):ネマチック相を有する試料をガラス瓶に入れ、0℃、−10℃、−20℃、−30℃、および−40℃のフリーザー中に10日間保管したあと、液晶相を観察した。例えば、試料が−20℃ではネマチック相のままであり、−30℃では結晶またはスメクチック相に変化したとき、TCを<−20℃と記載した。ネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。
(3)粘度(バルク粘度;η;20℃で測定;mPa・s):測定には東京計器株式会社製のE型回転粘度計を用いた。
(4)粘度(回転粘度;γ1;25℃で測定;mPa・s):測定は、M. Imai et al., Molecular Crystals and Liquid Crystals, Vol. 259, 37 (1995) に記載された方法に従った。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が20μmのVA素子に試料を入れた。この素子に39ボルトから50ボルトの範囲で1ボルト毎に段階的に印加した。0.2秒の無印加のあと、ただ1つの矩形波(矩形パルス;0.2秒)と無印加(2秒)の条件で印加を繰り返した。この印加によって発生した過渡電流(transient current)のピーク電流(peak current)とピーク時間(peak time)を測定した。これらの測定値とM. Imaiらの論文、40頁の計算式(8)とから回転粘度の値を得た。この計算に必要な誘電率異方性は、(6)項で測定した。
(5)光学異方性(屈折率異方性;Δn;25℃で測定):測定は、波長589nmの光を用い、接眼鏡に偏光板を取り付けたアッベ屈折計により行なった。主プリズムの表面を一方向にラビングしたあと、試料を主プリズムに滴下した。屈折率n‖は偏光の方向がラビングの方向と平行であるときに測定した。屈折率n⊥は偏光の方向がラビングの方向と垂直であるときに測定した。光学異方性の値は、Δn=n‖−n⊥、の式から計算した。
(6)誘電率異方性(Δε;25℃で測定):誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。誘電率(ε‖およびε⊥)は次のように測定した。
1)誘電率(ε‖)の測定:よく洗浄したガラス基板にオクタデシルトリエトキシシラン(0.16mL)のエタノール(20mL)溶液を塗布した。ガラス基板をスピンナーで回転させたあと、150℃で1時間加熱した。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が4μmであるVA素子に試料を入れ、この素子を紫外線で硬化する接着剤で密閉した。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。
2)誘電率(ε⊥)の測定:よく洗浄したガラス基板にポリイミド溶液を塗布した。このガラス基板を焼成した後、得られた配向膜にラビング処理をした。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が9μmであり、ツイスト角が80度であるTN素子に試料を入れた。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。
(7)しきい値電圧(Vth;25℃で測定;V):測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプであった。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が4μmであり、ラビング方向がアンチパラレルであるノーマリーブラックモード(normally black mode)のVA素子に試料を入れ、この素子を紫外線で硬化する接着剤を用いて密閉した。この素子に印加する電圧(60Hz、矩形波)は0Vから20Vまで0.02Vずつ段階的に増加させた。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である電圧−透過率曲線を作成した。しきい値電圧は透過率が10%になったときの電圧で表した。
(8)電圧保持率(VHR−1;25℃で測定;%):測定に用いたTN素子はポリイミド配向膜を有し、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)は5μmであった。この素子は試料を入れたあと紫外線で硬化する接着剤で密閉した。このTN素子にパルス電圧(5Vで60マイクロ秒)を印加して充電した。減衰する電圧を高速電圧計で16.7ミリ秒のあいだ測定し、単位周期における電圧曲線と横軸との間の面積Aを求めた。面積Bは減衰しなかったときの面積であった。電圧保持率は面積Bに対する面積Aの百分率で表した。
(9)電圧保持率(VHR−2;80℃で測定;%):25℃の代わりに、80℃で測定した以外は、上記と同じ手順で電圧保持率を測定した。得られた値をVHR−2で表した。
(10)電圧保持率(VHR−3;25℃で測定;%):紫外線を照射したあと、電圧保持率を測定し、紫外線に対する安定性を評価した。測定に用いたTN素子はポリイミド配向膜を有し、そしてセルギャップは5μmであった。この素子に試料を注入し、光を20分間照射した。光源は超高圧水銀ランプUSH−500D(ウシオ電機製)であり、素子と光源の間隔は20cmであった。VHR−3の測定では、16.7ミリ秒のあいだ減衰する電圧を測定した。大きなVHR−3を有する組成物は紫外線に対して大きな安定性を有する。VHR−3は90%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。
(11)電圧保持率(VHR−4;25℃で測定;%):試料を注入したTN素子を80℃の恒温槽内で500時間加熱したあと、電圧保持率を測定し、熱に対する安定性を評価した。VHR−4の測定では、16.7ミリ秒のあいだ減衰する電圧を測定した。大きなVHR−4を有する組成物は熱に対して大きな安定性を有する。
(12)応答時間(τonおよびτoff;25℃で測定;ms):測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプであった。ローパス・フィルター(Low-pass filter)は5kHzに設定した。後述の実施例で作製した素子を用いて測定した。この素子に、15Vの電圧を印加しながら86mW/cm2(365nm)の紫外線を照射し、プレチルト角を1から2°とした。紫外線の照射には、アイグラフィックス株式会社製、紫外硬化用マルチメタルランプM08−L41Cを用いた。更に、2mW/cm2(365nm)の紫外線を120分間照射した。光源はアイグラフィックス株式会社製ブラックライト(ピーク波長335nm)であり、素子と光源の間隔は5.2cmであった。以上の工程で作製したPSA素子に矩形波(60Hz、7.5V、0.5秒)を印加した。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%であるとみなした。応答時間は透過率0%から90%に変化するのに要した時間(立ち上がり時間;rise time;τon;ミリ秒)および透過率90%から0%に変化するのに要した時間(立ち下がり時間;fall time;τoff;ミリ秒)で表した。τonおよびτoffの合計をτtotalとした。
(13)弾性定数(K11:広がり(spray)弾性定数、K33:曲げ(bend)弾性定数;25℃で測定;pN):測定には株式会社東陽テクニカ製のEC−1型弾性定数測定器を用いた。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が20μmである垂直配向素子に試料を入れた。この素子に20ボルトから0ボルト電荷を印加し、静電容量および印加電圧を測定した。測定した静電容量(C)と印加電圧(V)の値を『液晶デバイスハンドブック』(日刊工業新聞社)、75頁にある式(2.98)、式(2.101)を用いてフィッティングし、式(2.100)から弾性定数の値を得た。
(14)比抵抗(ρ;25℃で測定;Ωcm):電極を備えた容器に試料1.0mLを注入した。この容器に直流電圧(10V)を印加し、10秒後の直流電流を測定した。比抵抗は次の式から算出した。(比抵抗)={(電圧)×(容器の電気容量)}/{(直流電流)×(真空の誘電率)}。
(15)重量平均分子量(Mw):ポリアミック酸の重量平均分子量は、2695セパレーションモジュール・2414示差屈折計(Waters製)を用いてGPC法により測定し、ポリスチレン換算することにより求めた。試料は、ポリアミック酸をリン酸−DMF混合溶液(リン酸/DMF=0.6/100:重量比)で希釈し、約2重量%になるように調製した。カラムはHSPgel RT MB−M(Waters製)を使用し、前記の混合溶液を展開剤として、カラム温度50℃、流速0.40mL/minの条件で測定した。標準ポリスチレンは東ソー(株)製TSK標準ポリスチレンを用いた。
(16)プレチルト角(°):プレチルト角の測定には、分光エリプソメータM−2000U(J.A.Woollam Co. Inc.製)を使用した。
(17)AC残像(輝度変化率:%)
後述する液晶表示素子の輝度−電圧特性(B−V特性)を測定し、これをストレス印加前の輝度−電圧特性:B(before)とした。次に、素子に4.5V、60Hzの交流を20分間印加した後、1秒間ショートし、再び輝度−電圧特性(B−V特性)を測定した。これをストレス印加後の輝度−電圧特性:B(after)とした。輝度変化率ΔB(%)は、これらの値から、次の式を用いて算出した。
ΔB(%)=[B(after)−B(before)]/B(before) (式1)
この測定は国際公開2000−43833号を参考に行った。電圧0.75VにおけるΔB(%)の値が小さいほど、AC残像の発生が少ないといえる。
(18)配向安定性(液晶配向角度の変化;°):後述する液晶表示素子の電極側の液晶配向軸の変化を評価した。ストレス印加前の電極側の液晶配向角度φ(before)を測定し、その後、素子に矩形波4.5V、60Hzを20分間印加した後、1秒間ショートし、1秒後および5分後に再び電極側の液晶配向角度φ(after)を測定した。これらの値から、1秒後および5分後の液晶配向角度の変化Δφ(°)を次の式を用いて算出した。
Δφ(°)=φ(after)−φ(before) (式2)
これらの測定はJ. Hilfiker, B. Johs, C. Herzinger, J. F. Elman, E. Montbach, D. Bryant, and P. J. Bos Thin Solid Films, 455-456, (2004) 596-600を参考に行った。Δφが小さいほうが液晶配向軸の変化率が小さく、液晶配向軸の安定性が良いといえる。
(19)体積抵抗率(ρ;25℃で測定;Ω・cm):全面ITO付きガラス基板にポリイミド膜を成膜し、この基板の配向膜面に、Alを蒸着し、上部電極とした(電極面積0.23cm2)。ITO電極と上部電極との間に、3Vの電圧を印加し、300秒後の電流値より体積抵抗率を算出した。
(20)誘電率(ε;25℃で測定)
全面ITO付きガラス基板にポリイミド膜を成膜し、この基板の配向膜面に、Alを蒸着し、上部電極とした(電極面積0.23cm2)。ITO電極と上部電極との間に、1V・周波数1kHzの交流電圧を印加し、この膜の電気容量(C)を測定した。この値から、以下の式を用いてこの膜の誘電率(ε)を計算した。
ε=(C×d)/(ε0×S) (式3)
ここで、dはポリイミド膜の膜厚であり、ε0は真空の誘電率であり、Sは電極面積である。
[合成例1]
下記の方法により化合物(2−37)を合成した。
第1工程
化合物(T−1)(25.0g)、アクリル酸(7.14g)、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP;1.21g)、およびジクロロメタン(300mL)を反応器に入れ、0℃に冷却した。そこへ1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC;24.5g)のジクロロメタン(125mL)溶液をゆっくりと滴下し、室温に戻しつつ12時間攪拌した。不溶物を濾別した後、反応混合物を水に注ぎ込み、水層をジクロロメタンで抽出した。一緒にした有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(容積比、ヘプタン:トルエン=2:1)で精製した。さらにソルミックス(登録商標)A−11からの再結晶により精製して、化合物(T−2)(11.6g;38%)を得た。なお、ソルミックス(登録商標)A−11は、エタノール(85.5%)、メタノール(13.4%)とイソプロパノール(1.1%)の混合物であり、日本アルコール販売(株)から入手した。
第2工程
パラホルムアルデヒド(2.75g)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO;4.62g)、および水(40mL)を反応器に入れ、室温で15分間撹拌した。そこへ化合物(T−2)(6.31g)のTHF(90mL)溶液を滴下し、室温で72時間攪拌した。反応混合物を水に注ぎ込み、水層を酢酸エチルで抽出した。一緒にした有機層を水で洗浄して、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(容積比、トルエン:酢酸エチル=5:1)で精製した。さらに再結晶(容積比、ヘプタン:トルエン=1:1)により精製して、化合物(2−37)(1.97g;29%)を得た。
1H−NMR:化学シフトδ(ppm;CDCl3):6.23(s,1H)、5.79(d,J=1.2Hz,1H)、4.79−4.70(m,1H)、4.32(d,J=6.7Hz,2H)、2.29(t,J=6.7Hz,1H)、2.07−2.00(m,2H)、1.83−1.67(m,6H)、1.42−1.18(m,8H)、1.18−0.91(m,9H)、0.91−0.79(m,5H).
組成物に含まれる化合物は、下記の表3の定義に基づいて記号により表した。表3において、1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置はトランスである。化合物の記号の後にあるかっこ内の番号は、化合物が属する化学式を表す。(−)の記号はその他の液晶性化合物を意味する。液晶性化合物の割合(百分率)は、添加物を含まない液晶組成物の重量に基づいた重量百分率(重量%)である。最後に、組成物の特性値をまとめた。物性は、先に記載した方法にしたがって測定し、測定値を(外挿することなく)そのまま記載した。
[比較組成物M0]
3−HB(2F,3F)−O2 (1−1) 12%
3−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 10%
5−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 4%
3−HDhB(2F,3F)−O2 (1−16) 12%
3−dhBB(2F,3F)−O2 (1−17) 8%
2−HH−3 (4−1) 20%
3−HH−4 (4−1) 6%
3−HB−O2 (4−2) 3%
3−HHB−1 (4−5) 6%
3−HHB−3 (4−5) 6%
3−HHB−O1 (4−5) 3%
3−HBB−2 (4−6) 10%
NI=75.9℃;Δn=0.103;Δε=−2.8.
この組成物に化合物(3−25)を0.2重量%の割合で添加した。
[組成物M1]
3−HB(2F,3F)−O2 (1−1) 12%
3−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 10%
5−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 4%
3−HDhB(2F,3F)−O2 (1−16) 12%
3−dhBB(2F,3F)−O2 (1−17) 8%
2−HH−3 (4−1) 20%
3−HH−4 (4−1) 6%
3−HB−O2 (4−2) 3%
3−HHB−1 (4−5) 6%
3−HHB−3 (4−5) 6%
3−HHB−O1 (4−5) 3%
3−HBB−2 (4−6) 10%
NI=75.9℃;Δn=0.103;Δε=−2.8.
この組成物に化合物(2−37)を3.0重量%、化合物(3−25)を0.2重量%の割合で添加した。
[組成物M2]
3−HB(2F,3F)−O2 (1−1) 7%
5−HB(2F,3F)−O2 (1−1) 7%
3−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 8%
3−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 4%
V−HHB(2F,3F)−O4 (1−6) 5%
3−HH1OB(2F,3F)−O2 (1−8) 5%
2−BB(2F,3F)B−3 (1−9) 4%
2−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 3%
3−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 8%
4−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 5%
5−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 8%
3−HH−V (4−1) 33%
V−HHB−1 (4−5) 3%
NI=74.8℃;Tc<−30℃;Δn=0.104;Δε=−3.2;Vth=2.06V;η=15.5mPa・s.
この組成物に化合物(2−37)を3.0重量%、化合物(3−1)を0.2重量%の割合で添加した。
[組成物M3]
2−H1OB(2F,3F)−O2 (1−3) 6%
3−H1OB(2F,3F)−O2 (1−3) 4%
3−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 3%
V2−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 3%
2−HH1OB(2F,3F)−O2 (1−8) 14%
2−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 7%
3−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 11%
5−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 9%
2−HH−3 (4−1) 5%
3−HH−V (4−1) 27%
1−BB−3 (4−3) 5%
3−HHB−1 (4−5) 3%
3−HBB−2 (4−6) 3%
NI=80.5℃;Tc<−20℃;Δn=0.101;Δε=−3.2;Vth=2.17V;η=21.1mPa・s.
この組成物に化合物(2−17)を3.0重量%、化合物(3−2)を0.2重量%の割合で添加した。
[組成物M4]
3−H2B(2F,3F)−O2 (1−2) 5%
5−H2B(2F,3F)−O2 (1−2) 7%
3−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 8%
3−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 5%
5−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 4%
3−HH1OB(2F,3F)−O2 (1−8) 5%
2−BB(2F,3F)B−3 (1−9) 4%
2−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 3%
3−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 9%
4−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 4%
5−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 8%
3−HH−V (4−1) 27%
3−HH−V1 (4−1) 6%
V−HHB−1 (4−5) 5%
NI=81.5℃;Tc<−20℃;Δn=0.106;Δε=−3.1;Vth=2.11V;η=14.3mPa・s.
この組成物に化合物(2−37)を3.5重量%、化合物(3−24)を0.3重量%の割合で添加した。
[組成物M5]
3−H2B(2F,3F)−O2 (1−2) 7%
3−H1OB(2F,3F)−O2 (1−3) 4%
3−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 8%
3−HH1OB(2F,3F)−O2 (1−8) 5%
2−BB(2F,3F)B−3 (1−9) 7%
2−BB(2F,3F)B−4 (1−9) 7%
5−HDhB(2F,3F)−O2 (1−16) 4%
2−HchB(2F,3F)−O2 (1−19) 8%
2−HH−3 (4−1) 9%
4−HH−V (4−1) 15%
3−HH−V1 (4−1) 6%
V2−BB−1 (4−3) 5%
1V2−BB−1 (4−3) 5%
3−HHB−1 (4−5) 6%
3−HB(F)BH−3 (4−12) 4%
NI=81.7℃;Tc<−30℃;Δn=0.111;Δε=−2.0;Vth=2.82V;η=17.2mPa・s.
この組成物に化合物(2−17)を3.0重量%、化合物(3−25)を0.35重量%の割合で添加した。
[組成物M6]
3−HB(2F,3F)−O4 (1−1) 15%
3−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 8%
5−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 4%
V−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 7%
3−dhBB(2F,3F)−O2 (1−17) 3%
3−chB(2F,3F)−O2 (1−18) 7%
2−HchB(2F,3F)−O2 (1−19) 8%
3−BB(F)B(2F,3F)−O2 (1−21) 3%
3−HH−V (4−1) 18%
5−HH−V (4−1) 5%
7−HB−1 (4−2) 5%
V−HHB−1 (4−5) 7%
V2−HHB−1 (4−5) 7%
3−HBB(F)B−3 (4−13) 3%
NI=84.8℃;Tc<−30℃;Δn=0.105;Δε=−3.1;Vth=2.47V;η=19.0mPa・s.
この組成物に化合物(2−8)を3.0重量%、化合物(3−26)を0.2重量%の割合で添加した。
[組成物M7]
3−H2B(2F,3F)−O2 (1−2) 18%
5−H2B(2F,3F)−O2 (1−2) 17%
3−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 9%
3−HHB(2F,3CL)−O2 (1−12) 5%
3−HBB(2F,3CL)−O2 (1−13) 8%
3−HDhB(2F,3F)−O2 (1−16) 3%
3−HH−V (4−1) 11%
3−HH−VFF (4−1) 7%
F3−HH−V (4−1) 10%
3−HHEH−3 (4−4) 4%
3−HB(F)HH−2 (4−10) 4%
3−HHEBH−3 (4−11) 4%
NI=79.0℃;Tc<−30℃;Δn=0.087;Δε=−2.6;Vth=2.43V;η=20.1mPa・s.
この組成物に化合物(2−52)を3.0重量%、化合物(3−24)を0.4重量%の割合で添加した。
[組成物M8]
3−HB(2F,3F)−O2 (1−1) 5%
3−H2B(2F,3F)−O2 (1−2) 10%
3−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 5%
2O−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 3%
2−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 8%
3−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 7%
2−HHB(2F,3F)−1 (1−6) 5%
2−BB(2F,3F)B−3 (1−9) 6%
2−BB(2F,3F)B−4 (1−9) 6%
2−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 5%
3−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 10%
3−HH1OCro(7F,8F)−5 (1−15) 2%
3−HH−V (4−1) 23%
1−BB−5 (4−3) 5%
NI=70.2℃;Tc<−20℃;Δn=0.119;Δε=−3.4;Vth=2.08V;η=18.4mPa・s.
この組成物に化合物(2−37)を4.0重量%、化合物(3−1)を0.5重量%の割合で添加した。
[組成物M9]
3−HB(2F,3F)−O4 (1−1) 14%
3−H1OB(2F,3F)−O2 (1−3) 3%
3−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 5%
2−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 7%
3−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 7%
3−HH1OB(2F,3F)−O2 (1−8) 6%
3−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 6%
4−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 4%
3−HH−V (4−1) 32%
1−BB−3 (4−3) 3%
3−HHB−1 (4−5) 4%
V−HBB−2 (4−6) 4%
1−BB(F)B−2V (4−8) 3%
1O1−HBBH−5 (−) 2%
NI=77.6℃;Tc<−30℃;Δn=0.097;Δε=−3.3;Vth=2.01V;η=20.3mPa・s.
この組成物に化合物(2−17)を4.0重量%、化合物(3−1)を0.5重量%の割合で添加した。
[組成物M10]
3−HB(2F,3F)−O4 (1−1) 6%
3−H2B(2F,3F)−O2 (1−2) 8%
3−H1OB(2F,3F)−O2 (1−3) 5%
3−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 10%
5−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 7%
V−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 7%
2−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 4%
3−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 7%
5−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 6%
3−HH−V (4−1) 24%
3−HHB−1 (4−5) 4%
3−HHB−O1 (4−5) 4%
3−HBB−2 (4−6) 4%
3−B(F)BB−2 (4−7) 4%
NI=83.0℃;Tc<−30℃;Δn=0.113;Δε=−4.0;Vth=1.93V;η=19.9mPa・s.
この組成物に化合物(2−18)を3.0重量%、化合物(3)を0.2重量%の割合で添加した。
[組成物M11]
3−HB(2F,3F)−O2 (1−1) 10%
5−HB(2F,3F)−O2 (1−1) 7%
2−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 7%
3−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 7%
3−B(2F,3F)B(2F,3F)−O2 (1−5) 3%
2−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 5%
3−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 10%
2−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 8%
3−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 10%
3−HH−V (4−1) 14%
3−HB−O1 (4−2) 5%
3−HHB−1 (4−5) 3%
3−HHB−O1 (4−5) 3%
3−HHB−3 (4−5) 4%
2−BB(F)B−3 (4−8) 2%
2−B2BB−3 (4−9) 2%
NI=74.4℃;Tc<−20℃;Δn=0.114;Δε=−3.9;Vth=2.18V;η=21.2mPa・s.
この組成物に化合物(2−37)を3.0重量%、化合物(3−1)を0.03重量%、化合物(3−25)を0.2重量%の割合で添加した。
[組成物M12]
3−HB(2F,3F)−O4 (1−1) 6%
3−H2B(2F,3F)−O2 (1−2) 8%
3−H1OB(2F,3F)−O2 (1−3) 4%
3−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 7%
2−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 7%
3−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 7%
3−HH2B(2F,3F)−O2 (1−7) 7%
5−HH2B(2F,3F)−O2 (1−7) 4%
2−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 5%
3−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 5%
4−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 6%
2−HH−3 (4−1) 4%
3−HH−V (4−1) 12%
3−HH−V1 (4−1) 4%
1−BB−5 (4−3) 4%
3−HHB−1 (4−5) 4%
3−HHB−O1 (4−5) 3%
3−HBB−2 (4−6) 3%
NI=88.7℃;Tc<−30℃;Δn=0.110;Δε=−4.4;Vth=2.13V;η=20.8mPa・s.
この組成物に化合物(2−17)を3.0重量%、化合物(3−24)を0.45重量%の割合で添加した。
[組成物M13]
3−HB(2F,3F)−O2 (1−1) 9%
5−HB(2F,3F)−O2 (1−1) 8%
3−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 8%
3−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 5%
5−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 4%
3−HH1OB(2F,3F)−O2 (1−8) 4%
2−BB(2F,3F)B−3 (1−9) 5%
3−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 8%
4−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 5%
5−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 8%
3−HH−V (4−1) 27%
1V2−HH−1 (4−1) 3%
1V2−HH−3 (4−1) 3%
V−HHB−1 (4−5) 3%
NI=73.9℃;Tc<−30℃;Δn=0.104;Δε=−3.2;Vth=2.02V;η=15.4mPa・s.
この組成物に化合物(2−56)を3.0重量%、化合物(3−1)を0.3重量%の割合で添加した。
[組成物M14]
3−HB(2F,3F)−O4 (1−1) 6%
3−H2B(2F,3F)−O2 (1−2) 8%
3−H1OB(2F,3F)−O2 (1−3) 4%
V2−BB(2F,3F)−O2 (1−4) 7%
3−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 10%
5−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 8%
2−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 5%
3−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 7%
V−HBB(2F,3F)−O4 (1−10) 5%
2−HH−3 (4−1) 18%
1−BB−3 (4−3) 6%
3−HHB−1 (4−5) 3%
3−HHB−O1 (4−5) 4%
3−HBB−2 (4−6) 6%
3−B(F)BB−2 (4−7) 3%
NI=83.5℃;Tc<−20℃;Δn=0.116;Δε=−4.0;Vth=1.95V;η=21.0mPa・s.
この組成物に化合物(2−37)を4.0重量%、化合物(3−25)を0.2重量%の割合で添加した。
[組成物M15]
3−HB(2F,3F)−O4 (1−1) 8%
V−HB(2F,3F)−O2 (1−1) 5%
3−H2B(2F,3F)−O2 (1−2) 5%
2−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 4%
3−HHB(2F,3F)−O2 (1−6) 7%
3−HHB(2F,3F)−1 (1−6) 6%
2−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 6%
3−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 6%
4−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 5%
5−HBB(2F,3F)−O2 (1−10) 4%
3−HEB(2F,3F)B(2F,3F)−O2 (1−11) 3%
3−H1OCro(7F,8F)−5 (1−14) 2%
2O−B(2F)B(2F,3F)−O2 (1−22) 3%
3−HH−V (4−1) 23%
3−HH−O1 (4−1) 5%
1−BB−5 (4−3) 4%
V−HHB−1 (4−5) 4%
NI=71.0℃;Tc<−30℃;Δn=0.097;Δε=−3.3;Vth=2.35V;η=18.2mPa・s.
この組成物に化合物(2−37)を5.0重量%、化合物(3−24)を0.3重量%の割合で添加した。
[実施例1]
一対の基板に液晶配向膜を形成し、得られた一対の基板を、液晶配向膜を内向きにスペーサーを介して対向させ、基板間に形成された隙間に組成物M1に記載した液晶組成物を封入して液晶層を形成することによって、液晶表示素子を作製し、応答時間を測定した。
[比較例1および実施例2から実施例15]
比較例1では比較組成物M0、実施例2から実施例15では組成物M2から組成物M15をそれぞれ用いて、液晶表示素子を作製し、応答時間を測定した。結果を表4にまとめた。
比較例1の素子の応答時間(τtotal)は、14.8msであった。一方、実施例1から15の素子の応答時間は、11.9msから13.0msであった。このように、実施例の素子は、比較例の素子と比べて、短い応答時間を有している。したがって、本発明の素子は優れた特性を有すると結論される。