JP6915041B2 - 表面反応炭酸カルシウムを製造するための方法 - Google Patents

表面反応炭酸カルシウムを製造するための方法 Download PDF

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Description

本発明は、表面反応炭酸カルシウムを製造するための方法、前記方法により得られる表面反応炭酸カルシウム及びその使用、並びにBET表面積を調整するための方法の使用に関する。
実際には、炭酸カルシウムは、紙、塗料、ゴム及びプラスチック産業において、製紙用コーティング、充填剤、増量剤及び顔料、並びに水性ラッカー及び塗料等の様々な目的のために、また水処理において大量に使用され、特に、重金属等の無機材料、並びに/又は多環式化合物、コレステロール及び/若しくは内分泌攪乱化合物(EDC)等の医薬廃棄物を除去する手段として使用される。
炭酸カルシウム粒子の凝集を排除し、これらの粒子に、例えば充填剤又は凝集剤として添加されている物質との親和性を高めることに関して、そのような炭酸カルシウム粒子の表面の物理的及び化学的性質は、炭酸カルシウムを脂肪酸若しくは脂肪酸のナトリウム塩、樹脂酸又は他の酸で処理することによって修正される。
当該技術分野において、炭酸カルシウムの化学的及び物理的特性を改善するためのいくつかのアプローチが提案されている。例えば、US4,219,590Aには、炭酸カルシウム粒子を炭酸カルシウムと反応することができる酸性ガスと接触反応させて粒径を微細単分散に近似させると同時に、炭酸カルシウム粒子の表面を酸性ガスの酸のカルシウム塩でコーティングすることにより、炭酸カルシウムを改良するための方法が記載されている。US6,666,953B1は、Hイオンの1種以上の供与体及び気体状COで処理された天然炭酸カルシウムを含有する顔料、増量剤又は鉱物に関し、これは、紙の顔料又はコーティング用充填剤として使用された場合、物理的性質を損なうことなく一定の表面積に対して紙の重量を減少させる。WO99/02608A1は、耐酸性沈降炭酸カルシウムの高固体スラリーを製造する方法を記載しており、ここで、固体スラリーは、炭酸カルシウムに耐酸性を付与するためにアルミン酸ナトリウム等の化学添加剤で処理される。
さらに、US5,584,923A、US5,647,902A、US5,711,799A、WO97/08247A1及びWO98/20079A1には、それぞれ、中性から弱酸性の紙の作製における充填剤材料としてのその使用を可能にするたに耐酸性である炭酸カルシウム、及びこの耐酸性炭酸カルシウムを製造する方法が記載されている。
さらに、WO2005/121257A2は、炭酸カルシウムの複数の反応により、並びに前記炭酸塩とその場での、及び/又は外部供給からの気体状COとの反応生成物;並びに式R−Xの少なくとも1種の化合物とその場で形成される生成物を含有することを特徴とする、乾燥鉱物顔料を製造するための方法を開示している。WO2004/083316A1は、製紙用途、例えば大量充填及び/又は紙コーティングに使用される、炭酸カルシウムと、前記炭酸塩と1種以上の中程度〜強Hイオン供与体との反応生成物、及び前記炭酸塩とその場で形成された、及び/若しくは外部供給源に由来する気体状COとの反応生成物との間の二重及び/又は多重反応によりその場で形成された生成物、並びに少なくとも1種のケイ酸アルミニウム及び/又は少なくとも1種の合成シリカ及び/又は少なくとも1種のケイ酸カルシウム及び/又は一価塩の少なくとも1種のケイ酸塩、例えばケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸カリウム及び/又はケイ酸リチウム、好ましくは例えばケイ酸ナトリウム及び/又は少なくとも1種の水酸化アルミニウム及び/又は少なくとも1種のアルミン酸ナトリウム及び/又はカリウムを含有する鉱物顔料に言及している。
US5,043,017Aは、カルシウムキレート剤及び共役塩基、例えばヘキサメタリン酸ナトリウムの1つを微粉化炭酸カルシウムに添加し、続いてリン酸等の酸を添加することによって酸安定化された炭酸カルシウムに関する。
EP2264109A1は、表面反応炭酸カルシウムを調製するための方法に関し、炭酸カルシウムは、2.5以下のpKを有する少なくとも1種の酸、並びに少なくとも1種の水溶性非ポリマー有機及び/若しくは無機弱酸、並びに/又はその水素塩で処理され、少なくとも1種の水溶性非ポリマー性有機及び/又は無機弱酸は、2.5超のpKを有し、その対応する酸アニオンは、水不溶性カルシウム塩を形成することができる。
米国特許第4,219,590号明細書 米国特許第6,666,953号明細書 国際公開第99/02608号 米国特許第5,584,923号明細書 米国特許第5,647,902号明細書 米国特許第5,711,799号明細書 国際公開第97/08247号 国際公開第98/20079号 国際公開第2005/121257号 国際公開第2004/083316号 米国特許第5,043,017号明細書 欧州特許出願公開第2264109号明細書
しかしながら、所望の目的のために特定の炭酸カルシウム材料を提供することを可能にする高表面積材料を製造するための経済的な方法に関して、依然として技術的な必要性が存在する。
したがって、表面反応炭酸カルシウムの製造を可能にし、また所定の方法で炭酸カルシウムの比BET表面積を増加させる可能性を提供する利用可能な方法を有することが望ましい。
したがって、本発明の目的は、炭酸カルシウムの比BET表面積を所定の方法で増加させることができる、表面反応炭酸カルシウムを製造するための経済的な方法を提供することである。本発明のさらなる目的は、炭酸カルシウム粒子の比BET表面積が特定のパーセント値だけ増加する、炭酸カルシウムを製造するための方法を提供することである。本発明の別の目的は、表面反応炭酸カルシウムを高収率で製造することができる方法を提供することである。
上記及び他の目的は、独立請求項に定義されている主題によって解決される。
本発明の一態様によれば、表面反応炭酸カルシウムを製造するための方法が提供され、本方法は、
a)炭酸カルシウム含有材料の水性懸濁液を提供するステップ、
b)リン酸を提供するステップ、
c)構造式(I)
Figure 0006915041
(式中、
nは1、2又は3であり、
Xは、−CH−、−CHR−、−CR、又は−CR=CR(cis)−であり、
及びRは、H、OH、OR、−CH、−CHCH、−CHCHCH、−CH(CH、tBu、secBu及びnBuからなる群から独立して選択され、Rは、Li、Na、又はKである。)の少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩を提供するステップ、並びに
d)二酸化炭素の存在下でステップb)のリン酸をステップa)の炭酸カルシウム含有材料にリン酸添加期間Δtにわたって添加して、表面反応炭酸カルシウムの水性懸濁液を形成するステップ
を含み、
二酸化炭素が、リン酸の前記添加によりその場で形成され、及び/又は外部源から供給され、及び
ステップd)において、ステップc)の少なくとも1種のジカルボン酸は、リン酸添加期間Δtの間に添加される。
さらなる態様によれば、本発明による方法によって得ることができる表面反応炭酸カルシウムが提供される。
さらなる態様によれば、ポリマー用途、紙コーティング用途、製紙、塗料、コーティング、シーラント、印刷インク、接着剤、食品、飼料、医薬品、コンクリート、セメント、化粧品、水処理、エンジニアリングウッド用途、石膏ボード用途、包装用途及び/又は農業用途における、本発明による表面反応炭酸カルシウムの使用が提供される。
さらなる態様によれば、本発明による表面反応炭酸カルシウムを含む物品が提供され、物品は、紙製品、エンジニアリングウッド製品、石膏ボード製品、ポリマー製品、衛生製品、医療製品、ヘルスケア製品、フィルタ製品、織物材料、不織物材料、ジオテキスタイル製品、農業製品、園芸製品、衣類、履物製品、手荷物製品、家庭用品、工業製品、包装製品、建築用製品及び建設用製品から選択される。
比表面積に対するジカルボン酸の添加時間の影響を示すグラフ。
本発明の有利な実施形態は対応する従属請求項に定義されている。
一実施形態によれば、ステップc)において、構造式(I)の少なくとも1種のジカルボン酸が提供される。さらなる実施形態によれば、R及びRは、H及びOHからなる群から独立して選択される。
一実施形態によれば、炭酸カルシウム含有材料は、天然粉砕炭酸カルシウム及び/若しくは沈降炭酸カルシウムであり、好ましくは、天然粉砕炭酸カルシウムは、大理石、白亜、石灰石及びそれらの混合物からなる群から選択され、並びに/又は沈降炭酸カルシウムは、アラゴナイト、バテライト若しくはカルサイト結晶形を有する沈降炭酸カルシウム及びそれらの混合物からなる群から選択される。さらなる実施形態によれば、炭酸カルシウム含有材料は、0.05〜10μm、好ましくは0.2〜5.0μm、より好ましくは0.4〜3.0μm、最も好ましくは0.6〜1.2μmの重量中央粒径d50(重量)、及び/又は0.15〜55μm、好ましくは1〜30μm、より好ましくは2〜18μm、最も好ましくは3〜7μmのトップカット粒径d98(重量)を有する粒子の形態である。
一実施形態によれば、リン酸は、炭酸カルシウム含有材料の総重量に基づいて1〜60重量%、好ましくは5〜55重量%、より好ましくは10〜50重量%、最も好ましくは20〜50重量%の量で提供される。さらなる実施形態によれば、構造式(I)の少なくとも1種のカルボン酸は、任意選択で1種以上のメチル及び/又はエチル基で置換されている、マレイン酸、マロン酸、リンゴ酸、酒石酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される、好ましくはリンゴ酸及び/又は酒石酸から選択される。
一実施形態によれば、少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩は、炭酸カルシウム含有材料の総重量に基づいて、0.1〜50重量%、好ましくは0.2〜25重量%、より好ましくは0.5〜10重量%、最も好ましくは1〜5重量%の量で提供される。さらなる実施形態によれば、少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩は、リン酸の総重量に基づいて、1〜25重量%、好ましくは3〜17重量%、より好ましくは6〜14重量%、最も好ましくは9〜11重量%の量で提供される。
一実施形態によれば、ステップd)において、リン酸及び少なくとも1種の弱カルボン酸若しくはその対応する塩は、混合物の形態で一緒に添加される、又は、ステップd)において、リン酸及び少なくとも1種の弱カルボン酸若しくはその対応する塩は、別個の流れの形態で同時に添加される。さらなる実施形態によれば、少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩は、リン酸添加期間Δtの開始時tとリン酸添加期間Δtの60%が経過する前との間に、好ましくはリン酸添加期間Δtの開始時tとリン酸添加期間Δtの50%が経過する前との間に、より好ましくはリン酸添加期間Δtの開始時tとリン酸添加期間Δtの30%が経過する前との間に、さらにより好ましくはリン酸添加期間Δtの開始時tとリン酸添加期間Δtの20%が経過する前との間に、最も好ましくはリン酸添加期間Δtの開始時tとリン酸添加期間Δtの10%が経過する前との間に添加される。
一実施形態によれば、少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩は、ジカルボン酸添加期間ΔtDAにわたって添加され、ΔtDAが、総リン酸添加期間Δtの1〜20%、好ましくは2〜15%、さらに好ましくは3〜10%である。さらなる実施形態によれば、ステップd)は、20〜90℃、好ましくは30〜85℃、より好ましくは40〜80℃、さらにより好ましくは50〜75℃、最も好ましくは60〜70℃の温度で行われる。さらなる実施形態によれば、追加のジカルボン酸は、ステップd)の間に、好ましくは少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩と一緒に添加される。さらなる実施形態によれば、方法は、ステップd)で得られた水性懸濁液から表面反応炭酸カルシウムを分離するステップe)をさらに含み、及び任意選択で、表面反応炭酸カルシウムを乾燥させるステップf)をさらに含む。
一実施形態によれば、表面反応炭酸カルシウムは、窒素及びBET法を用いて測定して、55m/g〜200m/g、好ましくは60m/g〜190m/g、より好ましくは70m/g〜180m/g、さらにより好ましくは80m/g〜170m/g、最も好ましくは100m/g〜170m/gの比表面積(BET)を有する、並びに/又は、重量で1:99〜99:1の範囲内のカルサイトに対するヒドロキシアパタイトの比を有する。
本発明の目的において、以下の用語は以下の意味を有することを理解されたい。
本発明の意味における「炭酸カルシウム含有材料」は、炭酸カルシウム含有材料の総重量に基づいて、少なくとも50重量%、好ましくは75重量%、より好ましくは90重量%、最も好ましくは95重量%の炭酸カルシウム含有量を有する鉱物材料又は合成材料であってもよい。
本出願の目的において、「水不溶性」材料(例えば水不溶性塩)は、100mlの脱イオン水と混合し、20℃で濾過して濾液を回収した場合に、100gの前記濾液を95〜100℃で蒸発させた後に0.1g以下の回収された固体材料を提供する材料として定義される。「水溶性」材料(例えば水溶性塩)は、100gの前記液体濾液を95〜100℃で蒸発させた後に0.1g超の固体材料の回収をもたらす材料として定義される。本発明の意味において材料が不溶性材料であるか可溶性材料であるかを評価するためには、試料サイズは0.1g超、好ましくは0.5g以上である。
本発明の意味における「天然粉砕炭酸カルシウム」(GCC)は、石灰石、大理石、又は白亜等の天然源から得られ、粉砕、篩分け、及び/又はサイクロン若しくは分級機による分別等の湿式及び/又は乾式処理によって処理された炭酸カルシウムである。
本発明の意味における「沈降炭酸カルシウム」(PCC)は、水性、半乾燥若しくは高湿度環境中での二酸化炭素と石灰との反応後の沈降によって、又は水中でのカルシウム及び炭酸イオン源の沈降によって得られる合成材料である。PCCは、バテライト、カルサイト又はアラゴナイト結晶形であってもよい。PCCは、例えば、EP2447213A1、EP2524898A1、EP2371766A1、EP1712597A1、EP1712523A1、又はWO2013/142473A1に記載されている。
本発明の意味において、「表面反応炭酸カルシウム」は、炭酸カルシウムと、上記ステップb)及びc)の前記酸のアニオンの、不溶性、好ましくは少なくとも部分的に結晶性のカルシウム塩とを含む材料である。好ましい態様において、不溶性カルシウム塩は、炭酸カルシウムの少なくとも一部の表面から伸びている。前記アニオンの前記少なくとも部分的に結晶性のカルシウム塩を形成するカルシウムイオンは、主に出発炭酸カルシウム材料に由来する。「塩」は、アニオン及び非水素カチオンから形成される電気的に中性のイオン化合物として定義される。「塩」は、無水形態及び結晶水を含む形態(水和物)を含み得る。「部分的に結晶性の塩」は、XRD分析において、本質的に離散的な回折図を示す塩として定義される。
本明細書で使用される「酸」という用語は、ブレンステッド−ローリーによる定義の意味での酸(例えばHSO、HSO )を指し、ここで「遊離酸」という用語は、完全にプロトン化した形態の酸(例えばHSO)のみを指す。
本明細書における表面反応炭酸カルシウム以外の粒状材料の「粒径」は、その粒径分布dによって記述される。ここで、値dは、粒子のx重量%がd未満の直径を有する直径を表す。これは、例えば、d20値は、全粒子の20重量%がその粒径よりも小さい粒径であることを意味する。したがって、d50値は、重量中央粒径であり、すなわち全粒子の50重量%がこの粒径より小さい。本発明の目的において、粒径は、別段に指定されない限り、重量中央粒径d50(重量)として特定される。粒径は、Micromeritics Instrument CorporationのSedigraph(商標)5100又はSedigraph(商標)5120機器を使用することによって決定された。方法及び機器は当業者に知られており、充填剤及び顔料の粒径を決定するために一般的に使用されている。測定は、0.1重量%のNaの水溶液中で行われた。
本明細書における表面反応炭酸カルシウムの「粒径」は、体積基準の粒径分布として説明される。体積中央粒径d50は、Malvern Mastersizer 2000 Laser Diffraction Systemを用いて評価された。Malvern Mastersizer 2000 Laser Diffraction Systemを使用して測定されるd50又はd98値は、粒子のそれぞれ50体積%又は98体積%がこの値未満の直径を有するような直径値を示す。測定により得られた生データは、1.57の粒子屈折率及び0.005の吸収率でミー理論を使用して分析される。
本明細書を通じて使用される材料の「比表面積」(m/gで表される。)は、吸着ガスとして窒素を使用するBrunauer Emmett Teller(BET)法によって、及びMicromeriticsからのASAP 2460機器の使用によって決定することができる。この方法は当業者には周知であり、ISO 9277:1995において定義されている。試料は、測定前に、真空下、100℃で30分間調整される。前記材料の総表面積(m単位)は、材料の比表面積(m/g単位)及び質量(g単位)との乗算によって得ることができる。
本発明の文脈において、「細孔」という用語は、粒子間及び/又は粒子内に見出される、すなわち、例えば粉末若しくは圧密体内で粒子が最近接接触下で詰まった際に粒子によって形成される空間(粒子間細孔)、及び/又は多孔質粒子内の空隙(粒子内細孔)を説明するものとして理解されるべきであり、液体によって飽和したときに加圧下で液体の通過を可能にし、及び/又は表面湿潤液体の吸収を助ける。
比細孔容積は、0.004μm(約nm)のラプラススロート直径に相当する414MPa(60,000psi)の最大印加圧力を有するMicromeritics Autopore V 9620水銀ポロシメータを使用する水銀圧入多孔度測定を用いて測定される。各圧力ステップで使用される平衡化時間は20秒である。試料材料は、分析のために3cmのチャンバー粉末針入度計内に密封される。データは、ソフトウェアPore−Compを使用して、水銀圧縮、針入度計膨張及び試料材料圧縮について補正される(Gane,P.A.C.,Kettle,J.P.,Matthews,G.P.and Ridgway,C.J.,「Void Space Structure of Compressible Polymer Spheres and Consolidated Calcium Carbonate Paper−Coating Formulations」,Industrial and Engineering Chemistry Research,35(5),1996,p1753−1764)。
累積侵入データに見られる全細孔容積は、214μmから、約1〜4μmまでの侵入データを有する2つの領域に分けることができ、あらゆる凝集構造間の試料の粗充填が強く寄与していることを示している。これらの直径未満では、粒子自体の微細な粒子間充填物が存在する。それらが粒子内細孔も有する場合、この領域は双峰性であるようであり、また水銀によって侵入された比細孔容積を最頻値転換点よりも細かい、すなわち変曲点の双峰性点よりも細かい細孔に入れることによって、特定粒子内細孔容積を定義する。これらの3つの領域の合計は、粉末の全細孔容積を与えるが、その分布の粗い細孔終端における粉末の元の試料圧密/沈降に強く依存する。
累積侵入曲線の一次導関数を取ることによって、必然的に細孔遮蔽を含む同等のラプラス直径に基づく細孔径分布が明らかになる。微分曲線は、存在する場合には、粗い凝集体の細孔構造領域、粒子間の細孔領域及び粒子内の細孔領域を明らかに示す。粒子内細孔直径範囲を知ることで、単位質量当たりの細孔容積(比細孔容積)に関して、内部細孔の所望の細孔容積のみを得るために、全細孔容積から残りの粒子間及び凝集物間細孔容積を差し引くことが可能である。当然のことながら、同じ差し引きの原理が、関心のある他の細孔サイズの領域のいずれかを単離するために適用される。
本発明の目的において、液体組成物の「固体含量」は、全ての溶媒又は水が蒸発した後に残っている材料の量の尺度である。必要に応じて、本発明の意味において重量%で与えられる懸濁液の「固体含量」は、5〜20gの試料サイズで、Mettler−Toledo製Moisture Analyzer HR73(T=120℃、自動スイッチオフ3、標準乾燥)を使用して決定することができる。
別段に指定されない限り、「乾燥(させる)」という用語は、得られた「乾燥した」材料が120℃において不変重量に達するように、乾燥させる材料から水の少なくとも一部が除去される工程を指す。さらに、「乾燥した(された)」又は「乾燥」材料は、別段に指定されない限り、乾燥した材料の総重量に基づいて、1.0重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.2重量%以下、最も好ましくは0.03〜0.07重量%の間である総含水量によって定義され得る。
本発明の意味における「懸濁液」又は「スラリー」は、未溶解の固体及び水、及び任意選択でさらなる添加剤を含み、通常は大量の固体を含有し、したがって、それが形成される液体よりも粘性が高く、また高密度であり得る。
単数名詞を言及する場合に不定冠詞又は定冠詞、例えば「a」、「an」又は「the」が使用されている場合、別段に明記されない限り、これはその名詞の複数形を含む。
「含む(comprising)」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、他の要素を排除するものではない。本発明のために、「からなる(consisting of)」という用語は、「含む(comprising)」という用語の好ましい実施形態であると考えられる。以下において、ある群が少なくとも特定の数の実施形態を含むと定義される場合、これはまた、好ましくはこれらの実施形態のみからなる群を開示するとも理解されるべきである。
「得ることができる」又は「定義することができる」、及び「得られた」又は「定義された」等の用語は、交換可能に使用される。これは、例えば、文脈により別段に明示されない限り、「得られた」という用語は、例えば、実施形態が、例えば「得られた」という用語に続く一連の工程によって得られなければならないことを示すことを意味するものではないが、そのような限定された理解は、好ましい実施形態として「得られた」又は「定義された」という用語に常に含まれることを意味する。
「含む(including)」又は「有する(having)」という用語が使用されるときはいつでも、これらの用語は、上記で定義された「含む(comprising)」と同等であることを意味する。
表面反応炭酸カルシウムを製造するための本発明の方法は、a)炭酸カルシウム含有材料の水性懸濁液を提供するステップ、b)リン酸を提供するステップ、c)構造式(I)の少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩を提供するステップ、並びにd)二酸化炭素の存在下でステップb)のリン酸をステップa)の炭酸カルシウム含有材料にリン酸添加期間Δtにわたって添加して、表面反応炭酸カルシウムの水性懸濁液を形成するステップを含む。二酸化炭素は、リン酸の添加によりその場で形成され、及び/又は外部源から供給され、並びにステップc)の少なくとも1種のジカルボン酸は、ステップd)において、リン酸添加期間Δtの間に添加される。
以下では、本発明の組成物の好ましい実施形態をより詳細に説明する。これらの実施形態及び詳細はまた、本発明の製品及び使用にも適用されることを理解されたい。
<方法ステップa)>
本発明の方法のステップa)によれば、炭酸カルシウム含有材料が提供される。
一実施形態によれば、少なくとも1種の炭酸カルシウム含有材料は、炭酸カルシウム含有材料の総重量に基づいて、少なくとも50重量%、好ましくは75重量%、より好ましくは90重量%、最も好ましくは95重量%の炭酸カルシウム含量を有する。別の実施形態によれば、少なくとも1種の炭酸カルシウム含有材料は、炭酸カルシウムからなる。
炭酸カルシウム含有材料は、天然粉砕炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ドロマイト、又はそれらの混合物から選択され得る。天然粉砕炭酸カルシウムは、好ましくは大理石、石灰石及び/若しくは白亜から選択され得、並びに/又は沈降炭酸カルシウムは、好ましくはバテライト、カルサイト及び/若しくはアラゴナイトから選択され得る。
本発明の一実施形態によれば、炭酸カルシウム含有材料は、天然粉砕炭酸カルシウム及び/若しくは沈降炭酸カルシウムであり、好ましくは、天然粉砕炭酸カルシウムは、大理石、白亜、ドロマイト、石灰石及びそれらの混合物からなる群から選択され、並びに/又は沈降炭酸カルシウムは、アラゴナイト、バテライト若しくはカルサイト結晶形及びそれらを組合せた形を有する沈降炭酸カルシウムからなる群から選択される。
「天然粉砕炭酸カルシウム」(GCC)は、石灰石若しくは白亜等の堆積岩、又は変成大理石、卵殻若しくは貝殻から採掘された、天然に存在する形態の炭酸カルシウムから製造されると理解される。炭酸カルシウムは、カルサイト、アラゴナイト及びバテライトの3種類の結晶多形体として存在することが知られている。最も一般的な結晶多形であるカルサイトは、炭酸カルシウムの最も安定した結晶形であると考えられている。より一般的ではないアラゴナイトは、不連続又はクラスター化された針状斜方晶系結晶構造を有する。バテライトは最も稀な炭酸カルシウム多形であり、一般に不安定である。粉砕炭酸カルシウムは、ほとんどが三方晶−菱面体晶であると言われるカルサイト多形体のみであり、最も安定な形態の炭酸カルシウム多形体を表す。本出願の意味における炭酸カルシウムの「源」という用語は、そこから炭酸カルシウムが得られる天然に存在する鉱物材料を指す。炭酸カルシウム源は、炭酸マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の天然に存在するさらなる成分を含んでもよい。
一般に、天然粉砕炭酸カルシウムの粉砕は、乾式又は湿式粉砕ステップであってもよく、例えば微粉化が主に二次体との衝突から生じるような条件下で、任意の従来の粉砕デバイスを用いて、すなわち、ボールミル、ロッドミル、振動ミル、ロールクラッシャー、遠心衝撃ミル、縦型ビーズミル、アトリションミル、ピンミル、ハンマーミル、破砕機、シュレッダー、解砕機、ナイフカッター、又は当業者に知られている他のそのような機器の1つ以上で行うことができる。炭酸カルシウム含有鉱物材料が湿式粉砕炭酸カルシウム含有鉱物材料を含む場合、粉砕ステップは、自生粉砕が生じるような条件下で、並びに/又は水平ボールミル粉砕及び/若しくは当業者に知られている他のそのような工程により行われてもよい。このようにして得られた湿式処理粉砕炭酸カルシウム含有鉱物材料は、周知の工程により、例えば凝集、濾過又は乾燥前の強制蒸発により洗浄及び脱水され得る。後続の乾燥ステップ(必要な場合)は、噴霧乾燥等の単一ステップで、又は少なくとも2つのステップで行うことができる。そのような鉱物材料が不純物を除去するための選鉱ステップ(浮選、漂白又は磁気分離ステップ等)に処されることも一般的である。
本発明の一実施形態によれば、天然粉砕炭酸カルシウム(GCC)源は、大理石、白亜、石灰石、又はそれらの混合物から選択される。好ましくは、粉砕炭酸カルシウム源は、大理石であり、より好ましくは、ドロマイト大理石及び/又はマグネサイト大理石である。本発明の一実施形態によれば、GCCは、乾式粉砕によって得られる。本発明の別の実施形態によれば、GCCは、湿式粉砕及び後続の乾燥によって得られる。
本発明の一実施形態によれば、炭酸カルシウムは、1種類の天然粉砕炭酸カルシウムを含む。本発明の別の実施形態によれば、炭酸カルシウムは、異なる源から選択された2種類以上の天然粉砕炭酸カルシウムの混合物を含む。
本発明の意味における「沈降炭酸カルシウム」(PCC)は、一般に水性環境中での二酸化炭素と水酸化カルシウムとの反応後の沈降によって、又は溶液からのカルシウムイオン及び炭酸イオン、例えばCaCl及びNaCOの沈降によって得られる合成材料である。PCCを製造するためのさらなる可能な方法は、石灰ソーダ法、又はPCCがアンモニア製造の副生成物であるソルベー法である。沈降炭酸カルシウムは、3つの主要な結晶形、すなわちカルサイト、アラゴナイト及びバテライトとして存在し、これらの結晶形のそれぞれに多くの異なる多形(晶癖)が存在する。カルサイトは、偏三角面体(S−PCC)、菱面体晶(R−PCC)、六角柱状、ピナコイド、コロイド(C−PCC)、立方晶及び角柱(P−PCC)等の典型的な晶癖を有する三方構造を有する。アラゴナイトは、双晶六角柱状結晶の典型的な晶癖を有する斜方晶系構造、並びに薄い細長い角柱状、湾曲した鋭いピラミッド状、チゼル状の結晶、分岐樹及びサンゴ又はワーム状形態の多様な構造を有する。バテライトは六方晶系に属する。得られたPCCスラリーは、機械的に脱水及び乾燥させることができる。
本発明の一実施形態によれば、沈降炭酸カルシウムは、好ましくはアラゴナイト、バテライト若しくはカルサイト鉱物結晶形又はそれらの組合せ結晶形を含む沈降炭酸カルシウムである。
沈降炭酸カルシウムは、二酸化炭素及び少なくとも1種のHイオン供与体での処理の前に、上述のような天然粉砕炭酸カルシウムの粉砕に使用されるものと同じ手段によって粉砕することができる。
本発明の意味における「ドロマイト」は、CaMg(CO(「CaCO・MgCO」)の化学組成を有する炭酸カルシウム含有鉱物、すなわち炭酸カルシウム−マグネシウム鉱物である。ドロマイト鉱物は、ドロマイトの総重量に基づいて、少なくとも30.0重量%のMgCO、好ましくは35.0重量%超、より好ましくは40.0重量%超のMgCOを含有し得る。
本発明の一実施形態によれば、炭酸カルシウム含有材料は、0.05〜10.0μm、好ましくは0.2〜5.0μm、より好ましくは0.4〜3.0μm、最も好ましくは0.6〜1.2μmの重量中央粒径d50を有する粒子の形態である。
本発明のさらなる実施形態によれば、炭酸カルシウム含有材料は、0.15〜55μm、好ましくは1〜30μm、より好ましくは2〜18μm、最も好ましくは3〜7μmのトップカット粒径d98を有する粒子の形態である。
炭酸カルシウム含有材料は、乾燥状態で、又は水性懸濁液の形態で使用することができる。好ましい実施形態によれば、炭酸カルシウム含有材料は、水性懸濁液の重量に基づいて1重量%〜90重量%、好ましくは3重量%〜60重量%、より好ましくは5重量%〜40重量%、最も好ましくは10重量%〜25重量%の範囲内の固体含量を有する水性懸濁液の形態である。
「水性」懸濁液という用語は、液相が水を含む、好ましくは水からなる系を指す。しかしながら、この用語は、水性懸濁液の液相が、メタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン及びそれらの混合物を含む群から選択される少量の少なくとも1種の水混和性有機溶媒を含むことを除外しない。水性懸濁液が少なくとも1種の水混和性有機溶媒を含む場合、水性懸濁液の液相は、水性懸濁液の液相の総重量に基づいて0.1〜40.0重量%、好ましくは0.1〜30.0重量%、より好ましくは0.1〜20.0重量%、最も好ましくは0.1〜10.0重量%の量の少なくとも1種の水混和性有機溶媒を含む。例えば、水性懸濁液の液相は、水からなる。
本発明の好ましい実施形態によれば、水性懸濁液は水及び炭酸カルシウム含有材料からなる。
代替的に、炭酸カルシウム含有材料の水性懸濁液は、さらなる添加剤、例えば分散剤を含んでもよい。適切な分散剤は、ポリリン酸塩から選択され得、特にトリポリリン酸塩である。別の適切な分散剤は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸若しくはイタコン酸をベースとするポリカルボン酸塩及びアクリルアミドのホモポリマー若しくはコポリマー、又はそれらの混合物を含む群から選択され得る。アクリル酸のホモポリマー又はコポリマーが特に好ましい。そのような生成物の重量平均分子量Mは、好ましくは2,000〜15,000g/molの範囲内であり、3,000〜7,000g/mol又は3,500〜6,000g/molの重量平均分子量Mが特に好ましい。例示的な実施形態によれば、分散剤は、2000〜15000g/mol、好ましくは3000〜7000g/mol、最も好ましくは3500〜6000g/molの重量平均分子量Mを有するポリアクリル酸ナトリウムである。
本発明の一実施形態によれば、方法ステップa)で提供される炭酸カルシウム含有材料は、水性懸濁液の重量に基づいて1重量%〜90重量%、好ましくは3重量%〜60重量%、より好ましくは5重量%〜40重量%、最も好ましくは10重量%〜25重量%の範囲内の固体含量を有する天然粉砕炭酸カルシウム及び/又は沈降炭酸カルシウムの水性懸濁液である。
<方法ステップb)>
本発明の方法のステップb)によれば、リン酸が提供される。
一実施形態によれば、リン酸は、水溶液の総重量に基づいて0.1〜95重量%の量、好ましくは1〜85重量%の量、より好ましくは10〜50重量%の量、最も好ましくは20〜40重量%の量のリン酸を含む水溶液の形態で提供される。
別の実施形態によれば、リン酸は、炭酸カルシウム含有材料の総重量に基づいて1〜60重量%、好ましくは5〜55重量%、より好ましくは10〜50重量%、最も好ましくは20〜50重量%の量で提供される。
<方法ステップc)>
本発明の方法のステップc)によれば、構造式(I)
Figure 0006915041
(式中、
nは1、2又は3であり、
Xは、−CH−、−CHR−、−CR、又は−CR=CR(cis)−であり、
及びRは、H、OH、OR、−CH、−CHCH、−CHCHCH、−CH(CH、tBu、secBu及びnBuからなる群から独立して選択され、Rは、Li、Na、又はKである。)の少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩が提供される。
少なくとも1種のジカルボン酸は、無水形態で、又はその対応する塩として提供されてもよい。適切な対応する塩の例は、一ナトリウム水和物、二ナトリウム水和物、一カリウム水和物若しくは二カリウム水和物等の水和物、及び/又はヒドロクロレートである。
一実施形態によれば、少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩は、構造式(I)の1種のみのジカルボン酸又はその対応する塩からなる。代替的に、少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩は、2種以上の、構造式(I)のジカルボン酸の混合物、2種以上の、構造式(I)のジカルボン酸の対応する塩、又は2種以上の、構造式(I)のジカルボン酸若しくは構造式(I)のジカルボン酸の対応する塩の混合物であってもよい。
以下の段落は、構造式(I)の少なくとも1種のジカルボン酸及びその対応する塩を言及することを意図している。
本発明の一実施形態によれば、nは1又は2であり、好ましくはnは1である。
一実施形態によれば、Xは、−CH−、−CHR−、−CR、又は−CR=CR(cis)−であり、
及びRは、H、OH、−CH、及び−CHCHからなる群から独立して選択される。別の実施形態によれば、Xは、−CH−、−CHR−、−CR、又は−CR=CR(cis)−であり、R及びRは、H及びOHからなる群から独立して選択される。
一実施形態によれば、Xは、−CH−、−CHR−、又は−CR=CRb(cis)−であり、
及びRは、H、OH、OR、−CH、−CHCH、−CHCHCH、−CH(CH、tBu、secBu、及びnBuからなる群から独立して選択され、Rは、Li、Na、又はKである。別の実施形態によれば、Xは、−CH−、−CHR−、又は−CR=CR(cis)−であり、R及びRは、H、OH、OR、−CH、−CHCH、−CHCHCH、−CH(CH、tBu、secBu、及びnBuからなる群から独立して選択され、Rは、Li、Na、又はKである。さらに別の実施形態によれば、Xは、−CH−、−CHR−、又は−CR=CR(cis)−であり、R及びRは、H及びOHからなる群から独立して選択される。
好ましい実施形態によれば、nは1又は2であり、Xは、−CH−、−CHR−又は−CR=CR(cis)−であり、R及びRは、H、OH、OR、−CH、−CHCH、−CHCHCH、−CH(CH、tBu、secBu、及びnBuからなる群から独立して選択され、Rは、Li、Na、又はKである。別の好ましい実施形態によれば、nは1又は2であり、Xは、−CH−、−CHR−、又は−CR=CR(cis)−であり、R及びRは、H、OH、−CH、及び−CHCHからなる群から独立して選択される。さらに別の好ましい実施形態によれば、nは1又は2であり、Xは、−CH−、−CHR−、又は−CR=CR(cis)−であり、R及びRは、H及びOHからなる群から独立して選択される。
好ましい実施形態によれば、少なくとも1種のジカルボン酸は、以下の構造式:
Figure 0006915041
(式中、R及びRは、H、OH、OR、−CH、−CHCH、−CHCHCH、−CH(CH、tBu、secBu、及びnBuからなる群から独立して選択され、RはLi、Na、又はKである。)のうちの1つから選択される。一実施形態によれば、R及びRは、H、OH、−CH、及び−CHCHからなる群から独立して選択され、好ましくは、R及びRは、H及びOHからなる群から独立して選択される。
本発明の好ましい実施形態によれば、ステップc)において、構造式(I)の少なくとも1種のジカルボン酸が提供される。一実施形態によれば、少なくとも1種のジカルボン酸は、構造式(I)の1種のみのジカルボン酸又は構造式(I)の2種以上のジカルボン酸の混合物からなる。
一実施形態によれば、少なくとも1種のジカルボン酸は、1つ又は複数のメチル及び/又はエチル基で任意選択で置換された、マレイン酸、マロン酸、リンゴ酸、酒石酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、少なくとも1種のカルボン酸は、リンゴ酸及び/又は酒石酸から選択される。
構造式(I)の少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩は、25℃で、1.8以上の第1の水素に対するpK値を有し得る。一実施形態によれば、構造式(I)の少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩は、25℃で、2.5以上の第1の水素に対するpKを有する弱酸である。好ましくは、構造式(I)の少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩は、25℃で、3.0以上の第1の水素に対するpK値を有し得る。
構造式(I)の少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩は、濃縮溶液又は希釈溶液として提供され得る。当業者には理解されるように、「重量%」で表される構造式(I)の少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩の含量は、常に、無水の純粋な形態の酸又はその対応する塩を指す。
一実施形態によれば、構造式(I)の少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩は、1,000g/mol未満、好ましくは750g/mol未満、より好ましくは500g/mol未満の分子量を有する。
一実施形態によれば、構造式(I)の少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩は、炭酸カルシウム含有材料の総重量に基づいて、0.1〜50重量%、好ましくは0.2〜25重量%、より好ましくは0.5〜10重量%、最も好ましくは1〜5重量%の量で提供される。
一実施形態によれば、構造式(I)の少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩は、リン酸の総重量に基づいて、1〜25重量%、好ましくは3〜17重量%、より好ましくは6〜14重量%、最も好ましくは9〜11重量%の量で提供される。
好ましくは、方法ステップb)のリン酸に対する方法ステップc)の構造式(I)の少なくとも1種のジカルボン酸又は対応する塩の重量比は、重量で1:50〜50:1、好ましくは1:20〜1:1、より好ましくは1:15〜1:5、最も好ましくは1:12〜1:8であってもよい。
<方法ステップd)>
本発明の方法のステップd)によれば、ステップb)のリン酸が、二酸化炭素の存在下でリン酸添加期間Δtにわたって炭酸カルシウム含有材料に添加されて表面反応炭酸カルシウムの水性懸濁液を形成し、二酸化炭素は、リン酸の添加によりその場で形成され、及び/又は外部源から供給され、並びにステップd)において、ステップc)の少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩は、リン酸添加期間Δtの間に添加される。
リン添加期間Δtは、リン酸の添加の開始と共に時間tで始まり、リン酸の総量が添加された時間tで終了する。
一実施形態によれば、リン添加期間Δtは、少なくとも1分、好ましくは少なくとも5分、より好ましくは少なくとも10分、最も好ましくは少なくとも15分である。別の実施形態によれば、リン添加期間Δtは、少なくとも1〜30分、好ましくは2〜20分、より好ましくは5〜15分、最も好ましくは7〜12分である。
ステップd)において、ステップc)のリン酸及び少なくとも1種のジカルボン酸若しくはその対応する塩は混合物の形態で一緒に添加されてもよく、又は、ステップd)において、ステップc)のリン酸及び少なくとも1種のジカルボン酸若しくはその対応する塩は別個の流れの形態で同時に添加されてもよい。
ステップc)の少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩が、別個の流れとして添加される場合、それはリン酸添加期間Δtの開始時に、すなわちtで、又は後の時点で添加されてもよい。
一実施形態によれば、ステップc)の少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩は、tでのリン酸添加期間Δtの開始時とリン酸添加期間Δtの60%が経過する前との間に、好ましくはリン酸添加期間Δtの開始時tとリン酸添加期間Δtの50%が経過する前との間に、より好ましくはリン酸添加期間Δtの開始時tとリン酸添加期間Δtの30%が経過する前との間に、さらにより好ましくはリン酸添加期間Δtの開始時tとリン酸添加期間Δtの20%が経過する前との間に、最も好ましくはリン酸添加期間Δtの開始時tとリン酸添加期間Δtの10%が経過する前との間に添加される。
ステップc)の少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩は、ある特定のジカルボン酸添加期間ΔtDAにわたって添加されてもよい。ジカルボン酸添加期間ΔtDAは、ジカルボン酸の添加の開始と共に時間tで始まり、ジカルボン酸の総量が添加された時間tDAで終了する。ステップc)の少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩が、混合物の形態で一緒に添加される場合、ΔtがΔtDAに等しいことは明らかである。ステップc)の少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩が別個に添加される場合、ΔtはΔtDAと異なってもよい。
一実施形態によれば、ステップc)の少なくとも1種のジカルボン酸は、ジカルボン酸添加期間ΔtDAにわたって添加され、ΔtDAが、総リン酸添加期間Δtの1〜20%、好ましくは2〜15%、さらに好ましくは3〜10%である。
本発明の方法のステップd)によれば、炭酸カルシウム含有材料は、二酸化炭素で処理される。炭酸カルシウム含有材料の処理にリン酸等の強酸が使用される場合、二酸化炭素が自動的に形成され得る。代替的に、又は追加的に、二酸化炭素は外部源から供給されてもよい。
好ましくは、ステップd)において形成された懸濁液中の二酸化炭素ガスの濃度は、体積に関して、(懸濁液の体積):(気体状COの体積)の比が1:0.05〜1:20、さらに好ましくは1:0.05〜1:5であるような濃度である。
好ましい実施形態において、リン酸処理ステップ及び/又はステップd)の二酸化炭素処理は、少なくとも1回、より好ましくは数回繰り返される。
ステップb)のリン酸、ステップc)の少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩、及び二酸化炭素での処理の後、20℃で測定した水性懸濁液のpHは、当然6.0超、好ましくは6.5超、より好ましくは7.0超、さらにより好ましくは7.5超の値に達し、それにより、表面反応させた炭酸カルシウムが、6.0超、好ましくは6.5超、より好ましくは7.0超、さらにより好ましくは7.5超のpHを有する水性懸濁液として調製される。
本発明の一実施形態によれば、ステップd)は、20〜90℃、好ましくは30〜85℃、より好ましくは40〜80℃、さらにより好ましくは50〜75℃、最も好ましくは60〜70℃の温度で行われる。
方法ステップd)は、ステップb)のリン酸及び/又はステップc)の少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩を、炭酸カルシウム含有材料中に単純に添加することによって、例えば注ぐ、放出する、又は注入することによって行うことができる。一実施形態によれば、方法ステップd)は、混合条件下で行われる。適切な混合方法は、当業者に知られている。適切な混合方法の例は、振盪、混合、かき混ぜ、撹拌、超音波処理、又はバッフル若しくは薄板等の手段による乱流若しくは層流の誘発である。適切な混合装置は当業者に知られており、例えば、ロータステータシステム、ブレードスターラー、プロペラスターラー、タービンスターラー、又はアンカースターラー等のスターラー、バッフル又は薄板を含むパイプ等のスタティックミキサーから選択することができる。本発明の例示的実施形態によれば、ロータステータスターラーシステムが使用される。
別の例示的な実施形態によれば、ステップd)において、形成された懸濁液は本質的に層流を発達させるように混合される。当業者は、当業者の処理装置に従って混合速度及び温度等の混合条件を適合させるであろう。
前述の化合物を接触させることによってステップd)中に導入される水の量に応じて、例えば所望の固体含量又は得られる水性懸濁液のブルックフィールド粘度を制御及び/又は維持及び/又は達成するために、方法ステップd)中に追加の水が導入されてもよい。一実施形態によれば、ステップd)において得られた混合物の固体含量は、混合物の総重量に基づいて5〜80重量%、好ましくは20〜78重量%である。得られる水性懸濁液のブルックフィールド粘度は、10〜10000mPa・s、好ましくは50〜1000mPa・sであってもよい。
本発明の方法は、連続法又は回分法の形態で、好ましくは連続法の形態で行うことができる。方法ステップd)は、適切な場合、1回又は数回繰り返されてもよい。
本発明の一実施形態によれば、表面反応炭酸カルシウムを含む得られた懸濁液は、25重量%まで、好ましくは5重量%〜20重量%の固体含量を有する。
一実施形態によれば、得られた表面反応炭酸カルシウムスラリーの水相は、脱イオン水で置換されてもよい。より好ましい実施態様において、前記表面反応炭酸カルシウム懸濁液の水相は、可溶化カルシウムイオンの全部又は一部を提供するための手段として集められ、本発明による方法に再循環される。これは、本発明による方法が連続法である場合に特に興味深い。
本発明の発明者らは、驚くべきことに、本発明の方法により、表面反応炭酸カルシウムの比BET表面積を所定の様式で、例えば炭酸カルシウム含有原料と比較して特定の割合で増加させることができることを見出した。本発明の方法のステップd)の間の構造式(I)の少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩の添加は、増加した比BET表面積を有する表面反応炭酸カルシウム粒子をもたらし得る。さらに、得られた表面反応炭酸カルシウムの粒径は、構造式(I)の少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩の添加によって有意な影響を受けないことが見出された。したがって、本発明の方法は、粒径分布とは無関係に、表面反応炭酸カルシウムの比BET表面積を選択的に増大させる可能性を提供し得る。
一実施形態によれば、本発明の方法は、窒素及びBET法を使用して測定された、ステップa)で提供された炭酸カルシウム含有材料をリン酸のみで処理することによって得られる表面反応炭酸カルシウムの比表面積(BET)よりも少なくとも15%、好ましくは少なくとも25%大きい、より好ましくは少なくとも50%大きい、さらにより好ましくは少なくとも100%大きい、最も好ましくは少なくとも150%大きい比表面積(BET)を有する表面反応反応炭酸カルシウムをもたらす。例えば、本発明の方法は、窒素及びBET法を使用して測定された、ステップa)で提供された炭酸カルシウム含有材料をリン酸のみで処理することによって得られる表面反応炭酸カルシウムの比表面積(BET)よりも25〜49%の間で大きい、好ましくは50〜99%の間で大きい、より好ましくは100〜149%の間で大きい、最も好ましくは150〜200%の間で大きい比表面積(BET)を有する表面反応反応炭酸カルシウムをもたらし得る。
例示的実施形態によれば、ステップc)の少なくとも1種のジカルボン酸はマレイン酸であり、得られた表面反応炭酸カルシウムは、ステップa)で提供された炭酸カルシウム含有材料をリン酸のみで処理することによって得られる表面反応炭酸カルシウムの比表面積(BET)より少なくとも25%大きい比表面積(BET)を有する。別の例示的実施形態によれば、ステップc)の少なくとも1種のジカルボン酸はマロン酸であり、得られた表面反応炭酸カルシウムは、ステップa)で提供された炭酸カルシウム含有材料をリン酸のみで処理することによって得られる表面反応炭酸カルシウムの比表面積(BET)より少なくとも50%大きい比表面積(BET)を有する。さらに別の例示的実施形態によれば、ステップc)の少なくとも1種のジカルボン酸はリンゴ酸であり、得られた表面反応炭酸カルシウムは、ステップa)で提供された炭酸カルシウム含有材料をリン酸のみで処理することによって得られる表面反応炭酸カルシウムの比表面積(BET)より少なくとも100%大きい比表面積(BET)を有する。さらに別の例示的実施形態によれば、ステップc)の少なくとも1種のジカルボン酸は酒石酸であり、得られた表面反応炭酸カルシウムは、ステップa)で提供された炭酸カルシウム含有材料をリン酸のみで処理することによって得られる表面反応炭酸カルシウムの比表面積(BET)より少なくとも100%大きい比表面積(BET)を有する。
一実施形態によれば、表面反応炭酸カルシウムを製造するための方法が提供され、本方法は、
a)天然粉砕炭酸カルシウム及び/又は沈降炭酸カルシウムの水性懸濁液を提供するステップ、
b)リン酸を提供するステップ、
c)任意選択で1つ以上のメチル及び/又はエチル基で置換されたマレイン酸、マロン酸、リンゴ酸、酒石酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される、好ましくはリンゴ酸及び/又は酒石酸から選択される少なくとも1種のジカルボン酸を提供するステップ、並びに
d)二酸化炭素の存在下でステップb)のリン酸をステップa)の炭酸カルシウム含有材料にリン酸添加期間Δtにわたって添加して、表面反応炭酸カルシウムの水性懸濁液を形成するステップを含み、
二酸化炭素が、リン酸の前記添加によりその場で形成され、及び/又は外部源から供給され、並びに
少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩が、tでのリン酸添加期間Δtの開始時とリン酸添加期間Δtの60%が経過する前との間に添加される。
<追加の方法ステップ>
一実施形態によれば、本発明の方法は、工程d)の後に水性懸濁液を撹拌するステップをさらに含む。好ましくは、懸濁液は、少なくとも1分間、好ましくは少なくとも5分間、より好ましくは少なくとも10分間、最も好ましくは少なくとも15分間撹拌される。
一実施形態によれば、追加のジカルボン酸又はジカルボン酸塩が、ステップd)中に添加される。前記追加のジカルボン酸又は酸塩は、ステップc)の少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩と別個に、又は一緒に添加することができる。一実施形態によれば、追加のジカルボン酸又は酸塩は、ステップd)の間に、ステップc)の少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩と一緒に混合物の形態で添加される。追加のジカルボン酸又は酸塩は、25℃で2.5以上のpK、好ましくは25℃で3.0以上のpKを有してもよい。
表面反応炭酸カルシウムの水性懸濁液は、さらに処理されてもよく、例えば、表面反応炭酸カルシウムは、水性懸濁液から分離され、及び/又は乾燥ステップに供されてもよい。
得られた表面反応炭酸カルシウムスラリーは、任意選択で乾燥表面反応炭酸カルシウム生成物が得られる点まで濃縮されてもよい。上記の水性懸濁液が乾燥される場合、得られる固体(すなわち、乾燥しているか、又は流体形態ではないほど少量の水を含む)表面反応炭酸カルシウムは、顆粒又は粉末の形態であってもよい。乾燥生成物の場合、この生成物はさらに脂肪酸で処理されてもよい。乾燥生成物の場合、この生成物はさらに水で洗浄されてもよい。
一実施形態によれば、本発明の方法は、ステップd)で得られた水性懸濁液から表面反応炭酸カルシウムを分離するステップe)をさらに含む。したがって、表面反応炭酸カルシウムを製造するための方法は、
a)炭酸カルシウム含有材料の水性懸濁液を提供するステップ、
b)リン酸を提供するステップ、
c)構造式(I)
Figure 0006915041
(式中、
nは1、2又は3であり、
Xは、−CH−、−CHR−、−CR、又は−CR=CR(cis)−であり、
及びRは、H、OH、OR、−CH、−CHCH、−CHCHCH、−CH(CH、tBu、secBu及びnBuからなる群から独立して選択され、Rは、Li、Na、又はKである。)の少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩を提供するステップ、
d)二酸化炭素の存在下でステップb)のリン酸をステップa)の炭酸カルシウム含有材料にリン酸添加期間Δtにわたって添加して、表面反応炭酸カルシウムの水性懸濁液を形成するステップであって、
二酸化炭素が、リン酸の前記添加によりその場で形成され、及び/又は外部源から供給され、及び
ステップd)において、ステップc)の少なくとも1種のジカルボン酸は、リン酸添加期間Δtの間に添加されるステップ、並びに
e)ステップd)から得られた水性懸濁液から、表面反応炭酸カルシウムを分離するステップ
を含む。
ステップd)から得られた表面反応炭酸カルシウムは、当業者に知られている任意の従来の分離手段によって水性懸濁液から分離することができる。本発明の一実施形態によれば、方法ステップe)において、表面反応炭酸カルシウムは、機械的及び/又は熱的に分離される。機械的分離方法の例は、例えばドラムフィルタ若しくはフィルタプレス、ナノ濾過、又は遠心分離による濾過である。熱分離工程の例は、例えば蒸発器内での加熱による濃縮工程である。好ましい実施形態によれば、方法ステップe)において、表面反応炭酸カルシウムは、好ましくは濾過及び/又は遠心分離によって機械的に分離される。
分離後、表面反応炭酸カルシウムを乾燥させて、乾燥した表面反応炭酸カルシウムを得ることができる。一実施形態によれば、本発明の方法は、ステップd)の後、又は存在する場合にはステップe)の後に、好ましくは表面反応炭酸カルシウムの含水量が乾燥した表面反応炭酸カルシウムの総重量に基づいて0.01〜5重量%の間となるまで、60〜600℃の範囲内の温度で表面反応炭酸カルシウムを乾燥させるステップf)をさらに含む。
本発明の一実施形態によれば、乾燥表面反応炭酸カルシウムを製造するための方法が提供され、本方法は、
a)炭酸カルシウム含有材料の水性懸濁液を提供するステップ、
b)リン酸を提供するステップ、
c)構造式(I)
Figure 0006915041
(式中、
nは1、2又は3であり、
Xは、−CH−、−CHR−、−CR、又は−CR=CR(cis)−であり、
及びRは、H、OH、OR、−CH、−CHCH、−CHCHCH、−CH(CH、tBu、secBu及びnBuからなる群から独立して選択され、Rは、Li、Na、又はKである。)の少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩を提供するステップ、
d)二酸化炭素の存在下でステップb)のリン酸をステップa)の炭酸カルシウム含有材料にリン酸添加期間Δtにわたって添加して、表面反応炭酸カルシウムの水性懸濁液を形成するステップであって、
二酸化炭素が、リン酸の前記添加によりその場で形成され、及び/又は外部源から供給され、及び
ステップd)において、ステップc)の少なくとも1種のジカルボン酸が、リン酸添加期間Δtの間に添加されるステップ、
e)ステップd)から得られた水性懸濁液から表面反応炭酸カルシウムを分離するステップ、並びに
f)表面反応炭酸カルシウムを乾燥させるステップ
を含む。
一般に、乾燥ステップf)は、任意の適切な乾燥機器を使用して行うことができ、例えば熱乾燥、及び/又は蒸発器、フラッシュ乾燥機、オーブン、スプレー乾燥機、ジェット乾燥機等の機器を使用した減圧乾燥、及び/又は真空チャンバー内での乾燥を含み得る。乾燥ステップf)は、減圧、周囲圧力又は加圧下で行われてもよい。100℃未満の温度では、減圧下で乾燥ステップを行うことが好ましい場合がある。
1つの好ましい実施形態によれば、分離は、熱的方法によって行われる。これにより、表面反応した炭酸カルシウムをその後機器を変更することなく乾燥させることができる。
一実施形態によれば、方法ステップf)において、表面反応炭酸カルシウムは、形成された表面反応炭酸カルシウムの含水量が乾燥した表面反応炭酸カルシウムの総重量に基づいて1.0重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.2重量%以下となるまで乾燥される。別の実施形態によれば、ステップd)において、表面反応炭酸カルシウムは、形成された表面反応炭酸カルシウムの含水量が、乾燥した表面反応炭酸カルシウムの総重量に基づいて0.01〜0.15重量%の間、好ましくは0.02〜0.10重量%の間、より好ましくは0.03〜0.07重量%の間となるまで乾燥される。
<表面反応炭酸カルシウム>
本発明のさらなる態様によれば、表面反応炭酸カルシウムが提供され、表面反応炭酸カルシウムは本発明の方法によって得ることができる。
したがって、表面反応炭酸カルシウムは、
a)炭酸カルシウム含有材料の水性懸濁液を提供するステップ、
b)リン酸を提供するステップ、
c)構造式(I)
Figure 0006915041
(式中、
nは1、2又は3であり、
Xは、−CH−、−CHR−、−CR、又は−CR=CR(cis)−であり、
及びRは、H、OH、OR、−CH、−CHCH、−CHCHCH、−CH(CH、tBu、secBu及びnBuからなる群から独立して選択され、Rは、Li、Na、又はKである。)の少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩を提供するステップ、並びに
d)二酸化炭素の存在下でステップb)のリン酸をステップa)の炭酸カルシウム含有材料にリン酸添加期間Δtにわたって添加して、表面反応炭酸カルシウムの水性懸濁液を形成するステップ
を含み、
二酸化炭素が、リン酸の前記添加によりその場で形成され、及び/又は外部源から供給され、及び
ステップd)において、ステップc)の少なくとも1種のジカルボン酸が、リン酸添加期間Δtの間に添加される
方法により得ることができる。
表面反応炭酸カルシウムは、例えばバラ、ゴルフボール及び/又は脳の形状等、異なる粒子形状を有してもよい。
一実施形態によれば、表面反応炭酸カルシウムは、窒素及びBET法を用いて測定して、55m/g〜200m/g、好ましくは60m/g〜190m/g、より好ましくは70m/g〜180m/g、さらにより好ましくは80m/g〜170m/g、最も好ましくは100m/g〜170m/gの比表面積(BET)を有する。
一実施形態によれば、表面反応炭酸カルシウムは、1〜75μm、好ましくは2〜50μm、より好ましくは3〜40μm、さらにより好ましくは4〜30μm、最も好ましくは5〜15μmの体積測定中央粒径d50(体積)を有し、及び/又は2〜150μm、好ましくは4〜100μm、より好ましくは6〜80μm、さらにより好ましくは8〜60μm、最も好ましくは10〜30μmの体積測定トップカット粒径d98(体積)を有する。
表面反応炭酸カルシウムは、水銀多孔度測定から計算される、0.1〜2.3cm/g、好ましくは0.2〜2.0cm/g、より好ましくは0.4〜1.8cm/g、最も好ましくは0.6〜1.6cm/gの範囲内の粒子内侵入比細孔容積を有してもよい。
表面反応炭酸カルシウムの粒子内細孔径は、水銀多孔度測定により決定される、0.004〜1.6μmの範囲内、より好ましくは0.005〜1.3μmの間、特に好ましくは0.006〜1.15μm、最も好ましくは0.007〜1.0μmの範囲内である。
本発明の方法によって得ることができる表面反応炭酸カルシウムは、表面反応炭酸カルシウムの懸濁液の形態で、分離された表面反応炭酸カルシウムとして、又は乾燥した表面反応炭酸カルシウムとして提供され得る。好ましい実施形態によれば、表面反応炭酸カルシウムは、乾燥した表面反応炭酸カルシウムである。
表面反応炭酸カルシウムが乾燥している場合、乾燥した表面反応炭酸カルシウムの含水量は、乾燥した表面反応炭酸カルシウムの総重量に基づいて0.01〜5重量%の間であってもよい。一実施形態によれば、乾燥した表面反応炭酸カルシウムの含水量は、乾燥した表面反応炭酸カルシウムの総重量に基づいて1.0重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.2重量%以下である。別の実施形態によれば、乾燥した表面反応炭酸カルシウムの含水量は、乾燥した表面反応炭酸カルシウムの総重量に基づいて0.01〜0.15重量%の間、好ましくは0.02〜0.10重量%の間、さらに好ましくは0.03〜0.07重量%の間である。
本発明の方法におけるリン酸の使用は、ヒドロキシルアパタイトの形成をもたらし得る。したがって、表面反応炭酸カルシウムは、重量で1:99〜99:1の範囲内の、カルサイト、アラゴナイト及び/又はバテライトに対するヒドロキシアパタイトの比を提供することができる。一実施形態によれば、表面反応炭酸カルシウムは、重量で1:99〜99:1の範囲内のカルサイトに対するヒドロキシルアパタイトの比を含む。好ましい実施形態によれば、表面反応炭酸カルシウムは、重量で1:9〜9:1、好ましくは1:7〜8:1、より好ましくは1:5〜7:1、最も好ましくは1:4〜7:1の範囲内のカルサイトに対するヒドロキシルアパタイトの比を含む。
表面反応炭酸カルシウムは、様々な用途に使用することができる。
本発明の表面反応炭酸カルシウム又は前記表面反応炭酸カルシウムのスラリーは、紙、ティッシュペーパー、プラスチック、塗料中で、又は制御放出若しくは水処理剤として、(スラリーの形態又は乾燥生成物の形態で)使用することができる。
本発明の方法により得られる表面反応炭酸カルシウムは、当業者に知られている任意の従来の手段により、好ましくは、精製されるべき水、例えば産業廃水、飲料水、都市廃水、醸造所からの廃水、又は製紙業界における水、と接触させる。
表面反応炭酸カルシウムは、水性懸濁液、例えば上述の懸濁液として添加することができる。代替的に、表面反応炭酸カルシウムは、精製される水に任意の適切な固体形態で、例えば顆粒若しくは粉末の形態、又はケーキの形態で添加することができる。
水は、例えば人の排泄物、有機物、土壌、界面活性剤に起因する有機不純物、さらには無機不純物、特に鉄又はマンガン含有化合物等の重金属不純物を含有してもよい。本発明の精製方法を用いて水から除去することができる有害な成分には、細菌、真菌、古細菌、又は原生生物等の微生物も含まれる。
一実施形態によれば、本発明による方法によって得ることができる表面反応炭酸カルシウムは、ポリマー用途、紙コーティング用途、製紙、塗料、コーティング、シーラント、印刷インク、接着剤、食品、飼料、医薬品、コンクリート、セメント、化粧品、水処理、エンジニアリングウッド用途、石膏ボード用途、包装用途及び/又は農業用途において使用される。
さらなる態様によれば、本発明による表面反応炭酸カルシウムを含む物品が提供され、物品は、紙製品、エンジニアリングウッド製品、石膏ボード製品、ポリマー製品、衛生製品、医療製品、ヘルスケア製品、フィルタ製品、織物材料、不織物材料、ジオテキスタイル製品、農業製品、園芸製品、衣類、履物製品、手荷物製品、家庭用品、工業製品、包装製品、建築用製品及び建設用製品から選択される。
本発明の範囲及び関心は、本発明の特定の実施形態を例示することを意図し、また非限定的である以下の実施例に基づいてより良く理解されるであろう。
1.分析方法
以下、実施例において実施される測定方法について説明する。
<固体含量>
懸濁固体含量(「乾燥重量」としても知られる。)は、以下の設定で、Moisture Analyser MJ33(Mettler − Toledo、スイス)を使用して決定された:150℃の乾燥温度、30秒の期間にわたり質量が1mg超変化しない場合自動スイッチオフ、懸濁液5〜20gの標準的な乾燥。
<粒状材料の粒径分布>
体積測定中央粒径d50(体積)及び体積測定トップカット粒径d98(体積)を、Malvern Mastersizer 2000 Laser Diffraction System(Malvern Instruments Plc.、英国)を使用して評価した。d50(体積)又はd98(体積)値は、粒子のそれぞれ50体積%又は98体積%がこの値未満の直径を有するような直径値を示す。測定により得られた生データを、1.57の粒子屈折率及び0.005の吸収率で、ミー理論を使用して分析した。方法及び機器は当業者に知られており、充填剤及び顔料の粒径分布を決定するために一般的に使用されている。
重量測定中央粒径d50(重量)は、重力場における沈降挙動の分析である沈降法によって測定した。測定は、Micromeritics Instrument Corporation(米国)のSedigraph(商標)5100又は5120を用いて行った。方法及び機器は当業者に知られており、充填剤及び顔料の粒径分布を決定するために一般的に使用されている。0.1重量%Naの水溶液中で測定を行った。試料を高速攪拌機を用いて分散させ、超音波処理した。
<ポロシメトリー>
比細孔容積を、0.004μm(〜nm)のラプラススロート直径に相当する414MPa(60,000psi)の最大印加圧力を有するMicromeritics Autopore V 9620水銀ポロシメータを使用する水銀圧入多孔度測定を用いて測定した。各圧力ステップで使用される平衡化時間は20秒である。試料材料は、分析のために3cmのチャンバー粉末針入度計内に密封される。データは、ソフトウェアPore−Compを使用して、水銀圧縮、針入度計膨張及び試料材料圧縮について補正される(Gane,P.A.C.,Kettle,J.P.,Matthews,G.P.and Ridgway,C.J.,「Void Space Structure of Compressible Polymer Spheres and Consolidated Calcium Carbonate Paper−Coating Formulations」,Industrial and Engineering Chemistry Research,35(5),1996,p1753−1764)。
累積侵入データに見られる全細孔容積は、214μmから、約1〜4μmまでの侵入データを有する2つの領域に分けることができ、あらゆる凝集構造間の試料の粗充填が強く寄与していることを示している。これらの直径未満では、粒子自体の微細な粒子間充填物が存在する。それらが粒子内細孔も有する場合、この領域は双峰性であるようであり、また水銀によって侵入された比細孔容積を最頻値転換点よりも細かい、すなわち変曲点の双峰性点よりも細かい細孔に入れることによって、特定粒子内細孔容積が定義される。これらの3つの領域の合計は、粉末の全細孔容積を与えるが、その分布の粗い細孔終端における粉末の元の試料圧密/沈降に強く依存する。
累積侵入曲線の一次導関数を取ることによって、必然的に細孔遮蔽を含む同等のラプラス直径に基づく細孔径分布が明らかになる。微分曲線は、存在する場合には、粗い凝集体の細孔構造領域、粒子間の細孔領域及び粒子内の細孔領域を明らかに示す。粒子内細孔直径範囲を知ることで、単位質量当たりの細孔容積(比細孔容積)に関して、内部細孔の所望の細孔容積のみを得るために、全細孔容積から残りの粒子間及び凝集物間細孔容積を差し引くことが可能である。当然のことながら、同じ差し引きの原理が、関心のある他の細孔サイズの領域のいずれかを単離するために適用される。
<材料のBET比表面積(SSA)>
充填材の比表面積(m/g)は、ISO 9277:2010に従い、BET法(吸着ガスとして窒素を使用)を用いて決定した。次いで、充填材料の全表面積(m)を、処理前の充填材料の比表面積及び質量(g)の乗算によって得た。
<X線回折(XRD)>
回転可能なPMMAホルダーリングを使用して試料に対してXRD実験を行った。試料はブラッグの法則に従ってBruker D8 Advance粉末回折計で分析した。この回折計は、2.2kWのX線管、試料ホルダー、θ−θ−ゴニオメーター、及びVANTEC−1検出器からなる。ニッケルフィルタを通したCuKα線を全ての実験に使用する。プロファイルは、2θで毎分0.7°の走査速度を用いて自動的にチャート記録された。得られた粉末回折パターンは、ICDD PDF 2データベースの参照パターンに基づいて、DIFFRACsuiteソフトウェアパッケージEVA及びSEARCHを使用し、鉱物含量によって容易に分類することができる。回折データの定量分析は、多相試料中の異なる相の量の決定を指し、DIFFRACsuiteソフトウェアパッケージTOPASを用いて行われてきた。詳細には、定量分析は、実験データ自体から定量化可能な数値精度で構造的特徴及び相比率を決定することを可能にする。これは、計算されたパターンが実験的なものと重複するように全回折パターン(リートベルトアプローチ)をモデル化することを含む。リートベルト法は、パターン内の対象となる全ての相のおおよその結晶構造の知識を必要とする。ただし、いくつかの選択ラインではなくパターン全体を使用すると、単一ピーク強度ベースの方法よりもはるかに優れた正確性及び精度が得られる。
2.例
表1に定義された試料X1〜X24は、以下の方法に従って調製された。
水性懸濁液の総重量に基づいて10重量%の固体含量が得られるように、沈降によって決定される2μm未満の90%の質量基準粒径分布を有する、ノルウェーのHustadmarmor A/Sからの粉砕大理石炭酸カルシウムの固体含量を調整することによって、粉砕炭酸カルシウムの水性懸濁液500mlを混合容器中で調製した。このスラリーを70℃±3℃に加熱し、この温度を実験にわたり維持した。
さらに、表1に定義されているように、第1の溶液の総重量に基づいて30重量%のリン酸を含有する第1の溶液、並びに第2の溶液の総重量に基づいて20重量%の1種又は2種の有機酸を含有する第2の溶液を調製した。
炭酸カルシウム懸濁液を混合しながら、リン酸を含有する第1の溶液89gを前記懸濁液に10分間かけて添加した。リン酸を投与しながら、有機酸を含有する第2の溶液をt=Yで約20秒間かけて添加した。ここで、Yは表1に定義され、t=0〜t=10分は、リン酸添加の時間、すなわちΔt=10分である。Yに関して「HPO中に混合」と書かれている場合、有機酸はその添加の前にリン酸に混合された。
最後に、リン酸の添加後、スラリーをさらに5分間撹拌してから、スラリーを容器から取り出して乾燥させた。
測定結果を表1及び2にまとめる。
Figure 0006915041
表1に示した測定結果は、構造式(I)に該当する本発明のジカルボン酸、すなわち、アジピン酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸及び酒石酸のみが、HPOのみ(試料X1、BET=54.3m−1、又は試料X2、BET=51.2m−1)、乳酸(試料X3、BET=50.7m−1)、フマル酸(試料X4、BET=52.3m−1)又はスベリン酸(試料X5、BET=55m−1)を用いて得られた生成物と比較して、BET値の顕著な増加をもたらすことを示している。前記実験データから、BETの増加は特定のジカルボン酸の選択によって制御できることも分かる。
Figure 0006915041
表2に示されている結果はまた、図1に視覚化されている。この図から分かるように、得られた表面反応炭酸カルシウムのBETは、t=0分からt=5分までの間、すなわちtでのリン添加期間Δtの開始からリン酸添加期間Δtの50%が経過する前までの間に別個の流れでリン酸及びジカルボン酸を添加することによってさらに増加させることができる。

Claims (29)

  1. 表面反応炭酸カルシウムを製造するための方法であって、
    a)炭酸カルシウム含有材料の水性懸濁液を提供するステップ、
    b)リン酸を提供するステップ、
    c)構造式(I)
    Figure 0006915041
    (式中、
    nは1、2又は3であり、
    Xは、−CH−、−CHR−、−CR、又は−CR=CR(cis)−であり、
    及びRは、H、OH、OR、−CH、−CHCH、−CHCHCH、−CH(CH、tBu、secBu及びnBuからなる群から独立して選択され、Rは、Li、Na、又はKである。)の少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩を提供するステップ、並びに
    d)二酸化炭素の存在下でステップb)の前記リン酸をステップa)の前記炭酸カルシウム含有材料にリン酸添加期間Δtにわたって添加して、表面反応炭酸カルシウムの水性懸濁液を形成するステップ
    を含み、
    前記二酸化炭素が、リン酸の前記添加によりその場で形成され、及び/又は外部源から供給され、及び
    ステップd)において、ステップc)の前記少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩が、前記リン酸添加期間Δtの間に添加される
    方法。
  2. ステップc)において、前記構造式(I)の少なくとも1種のジカルボン酸が提供される、請求項1に記載の方法。
  3. 及びRが、H及びOHからなる群から独立して選択される、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記炭酸カルシウム含有材料が、天然粉砕炭酸カルシウム及び/若しくは沈降炭酸カルシウムである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記天然粉砕炭酸カルシウムが、大理石、白亜、石灰石及びそれらの混合物からなる群から選択され、並びに/又は前記沈降炭酸カルシウムが、アラゴナイト、バテライト若しくはカルサイト結晶形を有する沈降炭酸カルシウム、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
  6. 前記炭酸カルシウム含有材料が、0.05〜10μmの重量中央粒径d50(重量)、及び/又は0.15〜55μmのトップカット粒径d98(重量)を有する粒子の形態である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記炭酸カルシウム含有材料が、0.2〜5.0μmの重量中央粒径d50(重量)、及び/又は1〜30μmのトップカット粒径d98(重量)を有する粒子の形態である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記リン酸が、前記炭酸カルシウム含有材料の総重量に基づいて、1〜60重量%の量で提供される、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
  9. 前記リン酸が、前記炭酸カルシウム含有材料の総重量に基づいて、5〜55重量%の量で提供される、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
  10. 前記構造式(I)の少なくとも1種のカルボン酸が、任意選択で1種以上のメチル及び/又はエチル基で置換されている、マレイン酸、マロン酸、リンゴ酸、酒石酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記構造式(I)の少なくとも1種のカルボン酸が、リンゴ酸及び/又は酒石酸から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩が、前記炭酸カルシウム含有材料の総重量に基づいて、0.1〜50重量%の量で提供される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩が、前記炭酸カルシウム含有材料の総重量に基づいて、0.2〜25重量%の量で提供される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩が、前記リン酸の総重量に基づいて、1〜25重量%の量で提供される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩が、前記リン酸の総重量に基づいて、3〜17重量%の量で提供される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  16. ステップd)において、前記リン酸及び前記少なくとも1種のカルボン酸若しくはその対応する塩が、混合物の形態で一緒に添加される、又は、ステップd)において、前記リン酸及び前記少なくとも1種のカルボン酸若しくはその対応する塩が、別個の流れの形態で同時に添加される、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩が、前記リン酸添加期間Δtの開始時tと前記リン酸添加期間Δtの60%が経過する前との間に添加される、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩が、前記リン酸添加期間Δtの開始時tと前記リン酸添加期間Δtの50%が経過する前との間に添加される、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩が、ジカルボン酸添加期間ΔtDAにわたって添加され、ΔtDAが、総リン酸添加期間Δtの1〜20%である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩が、ジカルボン酸添加期間ΔtDAにわたって添加され、ΔtDAが、総リン酸添加期間Δtの2〜15%である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  21. ステップd)が、20〜90℃の温度で行われる、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
  22. ステップd)が、30〜85℃の温度で行われる、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
  23. 追加のジカルボン酸が、ステップd)の間に添加される、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 追加のジカルボン酸が、ステップd)の間に、前記少なくとも1種のジカルボン酸又はその対応する塩と一緒に添加される、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
  25. ステップd)で得られた前記水性懸濁液から前記表面反応炭酸カルシウムを分離するステップe)をさらに含み、及び任意選択で、前記表面反応炭酸カルシウムを乾燥させるステップf)をさらに含む、請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記表面反応炭酸カルシウムが、窒素及びBET法を用いて測定して、55m/g〜200m/gの比表面積(BET)を有する、並びに/又は、
    重量で1:99〜99:1の範囲内のカルサイトに対するヒドロキシアパタイトの比を有する、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法
  27. 前記表面反応炭酸カルシウムが、窒素及びBET法を用いて測定して、60m/g〜190m/gの比表面積(BET)を有する、並びに/又は、
    重量で1:99〜99:1の範囲内のカルサイトに対するヒドロキシアパタイトの比を有する、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法
  28. ポリマー用途、紙コーティング用途、製紙、塗料、コーティング、シーラント、印刷インク、接着剤、食品、飼料、医薬品、コンクリート、セメント、化粧品、水処理、エンジニアリングウッド用途、石膏ボード用途、包装用途及び/又は農業用途における、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法により製造された表面反応炭酸カルシウムの使用。
  29. 請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法により表面反応炭酸カルシウムを製造し、並びに前記表面反応炭酸カルシウムを、紙製品、エンジニアリングウッド製品、石膏ボード製品、ポリマー製品、衛生製品、医療製品、ヘルスケア製品、フィルタ製品、織物材料、不織物材料、ジオテキスタイル製品、農業製品、園芸製品、衣類、履物製品、手荷物製品、家庭用品、工業製品、包装製品、建築用製品及び建設用製品から選択される物品において使用する、物品の製造方法
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