以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の樹脂層は、炭素数8〜14の分岐したアルキル基をエステル基の末端に有するアルキル(メタ)アクリレート(a1)と、ホモポリマーのTgが炭素数15〜20の分岐したアルキル骨格を有するアルキル(メタ)アクリレート(a2)と、ヒドロキシル基を有するモノマー、カルボキシル基を有するモノマーおよびエポキシ基を有するモノマーから選ばれる1種以上のいずれか少なくとも1つの官能基を有するモノマー(a3)を含むモノマー成分を重合して得られたTgが−40℃以下である(メタ)アクリル系ポリマーを含む樹脂組成物から得られる樹脂層であり、前記アルキル(メタ)アクリレート(a1)と前記アルキル(メタ)アクリレート(a2)の合計100重量部において、前記アルキル(メタ)アクリレート(a1)が56〜95重量部であり、前記アルキル(メタ)アクリレート(a2)が5〜44重量部であり、前記(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分から前記官能基を有するモノマー(a3)を除いたモノマー成分の合計100重量部に対して、前記官能基を有するモノマー(a3)が0.03〜5重量部であり、前記樹脂層のゲル分率が20〜68重量%である。尚、(メタ)アクリレートは、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。
<炭素数8〜14の分岐したアルキル基をエステル基の末端に有するアルキル(メタ)アクリレート(a1)>
本発明の炭素数8〜14の分岐したアルキル基をエステル基の末端に有するアルキル(メタ)アクリレート(a1)としては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート(炭素数8,ホモポリマーのTg=−70℃)、イソオクチルアクリレート(炭素数8,ホモポリマーのTg=−58℃)、イソノニルアクリレート(炭素数9,ホモポリマーのTg=−58℃)、イソデシルアクリレート(炭素数10,ホモポリマーのTg=−60℃)、イソミスチリルアクリレート(炭素数14,Tg=−56℃)、イソウンデシルアクリレート、イソドデシルアクリレート、イソトリデシルアクリレートおよび前記例示のメタクリレートを例示できる。前記アルキル(メタ)アクリレート(a1)は、単独でまたは組み合わせて使用できる。尚、前記アルキル(メタ)アクリレート(a1)は、樹脂層の粘着力を高める観点、重合反応性の観点から、アルキルアクリレートが好適である。
また、前記炭素数8〜14の分岐したアルキル基をエステル基の末端に有するアルキル(メタ)アクリレート(a1)のホモポリマーのTgは、樹脂層の粘着力を高める観点から、−50℃以下が好ましく、−55℃以下がより好ましく、そして、−80℃以上であることが好ましく、−75℃以上であることがより好ましい。
尚、本発明において、各モノマーのホモポリマーのTgは、「Polymer Handbook」(第3版、JohnWiley&Sons,Inc.1989年)に記載の数値である(数値が複数ある場合は、conventionalの値を採用する、記載がない場合はモノマー製造企業のカタログ値を採用する)。
上記文献に記載されていないモノマーのホモポリマーのTgは、以下の測定方法により得られる値である。即ち、温度計、攪拌機、窒素導入管および還流冷却管を備えた反応器に、測定対象のモノマー100重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部および重合溶媒として酢酸エチル200重量部を投入し、窒素ガスを投入しながら1時間攪拌する。このようにして重合系内の酸素を除去した後、60℃に昇温し12時間反応させる。次いで、室温まで冷却し、このホモポリマー溶液を剥離ライナー上に流延塗布し、乾燥して厚さ約50μmの試験サンプル(シート状のホモポリマー)を作製する。得られた試料を2〜3mg採取し、アルミ製容器に入れ、クリンプしDSC測定(TA Instruments製 Q-2000)を行う。温度プログラムは−80℃〜150℃(測定速度10℃/min)、窒素(50ml/min)雰囲気ガス下で測定した。得られたチャートよりTmg(中点ガラス転移温度)の数値を読み取りこの値をホモポリマーのTgとした。
<炭素数が15〜20の分岐したアルキル基をエステル基の末端に有するアルキル(メタ)アクリレート(a2)>
本発明の炭素数が15〜20の分岐したアルキル基をエステル基の末端に有するアルキル(メタ)アクリレート(a2)としては、例えば、イソペンタデシルアクリレート、イソヘキサデシルアクリレート、イソヘプタデシルアクリレート、イソステアリルアクリレート(炭素数18,ホモポリマーのTg=−18℃)、イソノナデシル(メタ)アクリレート、イソエイコシルアクリレートおよび前記例示のメタクリレートを例示できる。前記アルキル(メタ)アクリレート(a2)は、単独でまたは組み合わせて使用できる。尚、前記アルキル(メタ)アクリレート(a2)は、樹脂層の粘着力を高める観点、重合反応性の観点から、アルキルアクリレートが好適である。また、前記炭素数は、15〜18であることが好ましい。
前記アルキル(メタ)アクリレート(a2)は、樹脂層の粘着力を高める観点、樹脂層に適度な凝集力を付与する観点から、前記アルキル(メタ)アクリレート(a2)のホモポリマーのTgは、−30℃以上20℃以下であることが好ましい。前記アルキル(メタ)アクリレート(a2)のTgは、樹脂層の粘着力を高める観点から、15℃以下であることがより好ましく、10℃以下であることがさらに好ましく、そして、−28℃以上であることがより好ましく、−25℃以上であることがさらに好ましい。
<官能基を有するモノマー(a3)>
本発明の官能基を有するモノマー(a3)は、ヒドロキシル基を有するモノマー、カルボキシル基を有するモノマー、およびエポキシ基を有するモノマーから選ばれるいずれか少なくとも1つの官能基を有するモノマーである。官能基を有するモノマー(a3)は、粗面を有する被着体に対する接着力を高める観点から、カルボキシル基を有するモノマーを使用することが好ましく、また、ヒドロキシル基を有するモノマーと、カルボキシル基を有するモノマーとの併用がより好ましい。
前記ヒドロキシル基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリロイル基またはビニル基などの不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつヒドロキシル基を有するものを特に制限なく用いることができる。前記ヒドロキシル基を有するモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキルシクロアルカン(メタ)アクリレートが挙げられる。その他、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルなどが挙げられる。前記ヒドロキシル基を有するモノマーは単独でまたは組み合わせて使用できる。これらのなかでもヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好適であり、特に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好適である。
前記カルボキシル基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリロイル基またはビニル基などの不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつカルボキシル基を有するものを特に制限なく用いることができる。前記カルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イソクロトン酸などが挙げられる。前記カルボキシル基を有するモノマーは単独でまたは組み合わせて使用できる。これらのなかでもアクリル酸、メタクリル酸が好適であり、特にアクリル酸が好適である。
前記エポキシ基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリロイル基またはビニル基などの不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有し、かつエポキシ基を有するものを特に制限なく用いることができる。前記エポキシ基を有するモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルなどが挙げられる。前記エポキシ基を有するモノマーは単独でまたは組み合わせて使用できる。
本発明において、前記アルキル(メタ)アクリレート(a1)は、前記アルキル(メタ)アクリレート(a1)と前記アルキル(メタ)アクリレート(a2)の合計100重量部において、56〜95重量部である。アルキル(メタ)アクリレート(a1)は、粗面を有する被着体に対する接着力および保持力を高める観点から、前記アルキル(メタ)アクリレート(a1)と前記アルキル(メタ)アクリレート(a2)の合計100重量部において、58重量部以上であることが好ましく、60重量部以上であることがより好ましく、そして、98重量部以下であることが好ましく、95重量部以下であることがより好ましい。
本発明において、前記アルキル(メタ)アクリレート(a2)は、前記アルキル(メタ)アクリレート(a1)と前記アルキル(メタ)アクリレート(a2)の合計100重量部において、5〜44重量部である。アルキル(メタ)アクリレート(a2)は、粗面を有する被着体に対する接着力および保持力を高める観点から、前記アルキル(メタ)アクリレート(a1)と前記アルキル(メタ)アクリレート(a2)の合計100重量部において、8重量部以上であることが好ましく、10重量部以上であることがより好ましく、そして、43重量部以下であることが好ましく、40重量部以下であることがより好ましい。
本発明において、前記官能基を有するモノマー(a3)は、前記(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分から前記官能基を有するモノマー(a3)を除いたモノマー成分の合計100重量部に対して、0.03〜5重量部である。官能基を有するモノマー(a3)は、粗面を有する被着体に対する接着力および保持力を高める観点から、前記モノマー成分から前記官能基を有するモノマー(a3)を除いたモノマー成分の合計100重量部に対して、0.05重量部以上であることが好ましく、そして、4重量部以下であることが好ましく、3重量部以下であることがより好ましい。
本発明において、前記官能基を有するモノマー(a3)が前記ヒドロキシル基を有するモノマーを含む場合、前記ヒドロキシル基を有するモノマーは、前記(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分から前記官能基を有するモノマー(a3)を除いたモノマー成分の合計100重量部に対して、凝集力を高める観点から、0.03重量部以上であることが好ましく、0.05重量部以上であることがより好ましい。前記ヒドロキシル基を有するモノマーは、前記(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分から前記官能基を有するモノマー(a3)を除いたモノマー成分の合計100重量部に対して、ポリマーの過度な粘度上昇やゲル化を抑制する観点から、4重量部以下であることが好ましく、3重量部以下であることがより好ましい。
本発明において、前記官能基を有するモノマー(a3)が前記カルボキシル基を有するモノマーを含む場合、前記カルボキシル基を有するモノマーは、前記(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分から前記官能基を有するモノマー(a3)を除いたモノマー成分の合計100重量部に対して、凝集力を高める観点、および被着体表面との分子的な相互作用を付与する観点から、0.1重量部以上であることが好ましく、0.2重量部以上であることがより好ましい。前記カルボキシル基を有するモノマーは、前記(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分から前記官能基を有するモノマー(a3)を除いたモノマー成分の合計100重量部に対して、粗面への追従性を高める観点や低温での粘着力を高く維持する観点から、5重量部以下であることが好ましく、4重量部以下であることがより好ましく、さらに3重量部以下であることがより好ましい。
本発明において、前記官能基を有するモノマー(a3)が前記エポキシ基を有するモノマーを含む場合、前記エポキシ基を有するモノマーは、前記(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分から前記官能基を有するモノマー(a3)を除いたモノマー成分の合計100重量部に対して、凝集力を高める観点から、0.1重量部以上であることが好ましく、0.2重量部以上であることがより好ましい。前記エポキシ基を有するモノマーは、前記(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分から前記官能基を有するモノマー(a3)を除いたモノマー成分の合計100重量部に対して、ゲル化や高粘度化を抑制する観点から、1重量部以下であることが好ましく、0.5重量部以下であることがより好ましい。但し、(メタ)アクリル系ポリマーがグラフト重合体の場合、この限りではない。
本発明において、前記官能基を有するモノマー(a3)として、ヒドロキシル基を有するモノマーと、カルボキシル基を有するモノマーとを併用する場合、ヒドロキシル基を有するモノマーと、カルボキシル基を有するモノマーの重量比(ヒドロキシル基を有するモノマー/カルボキシル基を有するモノマー)は、粗面を有する被着体に対する接着力を高める観点から、0.01以上が好ましく、0.02以上がより好ましく、そして、1.0以下が好ましく、0.50以下がより好ましい。
本発明において、前記アルキル(メタ)アクリレート(a1)および前記アルキル(メタ)アクリレート(a2)の合計の割合は、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分に対して、55重量%以上であることが好ましい。前記アルキル(メタ)アクリレート(a1)および前記アルキル(メタ)アクリレート(a2)の合計の割合は、(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分に対して、粗面を有する被着体に対する接着力および保持力を高める観点から、60重量%以上であることがより好ましく、65重量%以上であることがさらに好ましい。
<エーテル結合を有する(メタ)アクリレート(a4)>
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分には、さらに、一般式(1):CH2=CR1−COO−(AO)n−R2[前記一般式(1)中、R1は水素原子またはメチル基、AOは炭素数2〜3のアルキレンオキシ基、nはアルキレンオキシ基の平均付加モル数を示す1〜8であり、R2は芳香環、または直鎖、分岐鎖、もしくは脂環式アルキル基である。]で表されるエーテル結合を有する(メタ)アクリレート(a4)を含むことができる。
前記エーテル結合を有する(メタ)アクリレート(a4)のホモポリマーのTgは、粗面を有する被着体に対する保持力を高める観点から、−40℃以下であることが好ましく、−50℃以下であることがより好ましく、そして、−90℃以上であることが好ましく、−80℃以上であることがより好ましい。
前記エーテル結合を有する(メタ)アクリレートとしては、平均付加モル数1〜8のオキシエチレン基を有する、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また、平均付加モル数1〜8のオキシプロピレン基を有する、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記一般式(1)中のAOは、適度な極性バランスを有する観点から、炭素数2のアルキレンオキシ基である、オキシエチレン基が好ましい。また、前記一般式(1)中のnは、極性レベルと重合反応性の観点から、2〜8であることが好ましく、2〜5であることがより好ましい。具体的な化合物としては、エチルカルビトールアクリレート(エトキシエトキシエチルアクリレート)(ホモポリマーのTg=−67℃)、メトキシトリエチレングリコールアクリレート(ホモポリマーのTg=−57℃)などが挙げられる。
前記一般式(1)中のR2は、無置換の芳香環、または直鎖、分岐鎖、もしくは脂環式アルキル基であることが好ましい。R2の芳香環としては、フェニル基など、R2の直鎖アルキル基、分岐鎖アルキルとしては、イソプロピル基、エチル基、メチル基など、R2の脂環式アルキル基としてはシクロヘキシル基などが挙げられ、中でも直鎖アルキル基が好ましい。R2は適度な極性を有する観点から、炭素数が1〜6であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。
本発明において、前記エーテル結合を有する(メタ)アクリレート(a4)は、前記(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分から前記官能基を有するモノマー(a3)を除いたモノマー成分の合計100重量部において、5〜45重量部であることが好ましい。前記エーテル結合を有する(メタ)アクリレート(a4)は、前記(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分から前記官能基を有するモノマー(a3)を除いたモノマー成分の合計100重量部において、粗面を有する被着体に対する接着力および保持力を高める観点から、8重量部以上であることが好ましく、10重量部以上であることがより好ましく、そして、40重量部以下であることが好ましく、36重量部以下であることがより好ましい。
<共重合モノマー>
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分には、前記(a1)〜(a4)成分以外の共重合モノマーを含むことができる。前記共重合モノマーとしては、例えば、一般式(2):CH2=CR3−COO−R4(前記R3は水素原子またはメチル基、R4は炭素数1〜24の無置換のアルキル基または置換されたアルキル基を表す。)で表されるモノマー(但し、前記(a1)および(a2)に相当するモノマーを除く。)が挙げられる。共重合モノマーは単独でまたは組み合わせて使用できる。
また、前記共重合モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドンなどのビニル系モノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートや2−メトキシエチルアクリレートなどのアクリル酸エステル系モノマー;アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、イミド基含有モノマー、N−アクリロイルモルホリン、ビニルエーテルモノマーなども使用することができる。
さらに、前記共重合モノマーとしては、ケイ素原子を含有するシラン系モノマーなどが挙げられる。シラン系モノマーとしては、例えば、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4−ビニルブチルトリメトキシシラン、4−ビニルブチルトリエトキシシラン、8−ビニルオクチルトリメトキシシラン、8−ビニルオクチルトリエトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリエトキシシランなどが挙げられる。
本発明において、前記共重合モノマーは、前記アルキル(メタ)アクリレート(a1)と前記アルキル(メタ)アクリレート(a2)の合計100重量部に対して、20重量部以下であることが好ましく、15重量部以下であることがより好ましい。共重合モノマーの含有量が、20重量部を超えると、例えば、粗面への接着性が低下する場合がある。
<多官能性モノマー>
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分には、樹脂層の凝集力を調整するために、必要に応じて多官能性モノマーを含有することができる。多官能性モノマーは単独でまたは組み合わせて使用できる。
前記多官能性モノマーは、(メタ)アクリロイル基またはビニル基などの不飽和二重結合を有する重合性の官能基を少なくとも2つ有するモノマーであり、例えば、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレートなどの多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物;アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのなかでも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが好適である。
前記多官能性モノマーは、前記(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分から前記官能基を有するモノマー(a3)を除いたモノマー成分の合計100重量部において、5重量部以下で用いることができる。前記多官能性モノマーは、その分子量や官能基数などにより異なるが、前記(メタ)アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分から前記官能基を有するモノマー(a3)を除いたモノマー成分の合計100重量部において、3重量部以下が好ましく、さらには2重量部以下が好ましい。多官能性モノマーの含有量が、5重量部を超えると、例えば、樹脂層の弾性率が高くなりすぎ、接着力が低下する場合がある。
<(メタ)アクリル系ポリマーおよびその製造方法>
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーのTgは、−40℃以下である。前記(メタ)アクリル系ポリマーのTgは、粗面を有する被着体に対する接着力を高める観点から、−45℃以下であることが好ましく、−50℃以下であることがより好ましく、そして、−85℃以上であることが好ましく、−80℃以上であることがより好ましい。尚、(メタ)アクリル系ポリマーのTgは、(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー単位とその割合から、以下のFOXの式より算出される理論値である。
FOXの式:1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wn/Tgn
[式中、Tgは(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(単位:K)、Tgi(i=1、2、・・・n)は、モノマーiがホモポリマーを形成した際のガラス転移温度(単位:K)、Wi(i=1、2、・・・n)は、モノマーiの全モノマー成分中の質量分率を表す。]
前記(メタ)アクリル系ポリマーの製造は、溶液重合、電子線やUVなどの放射線重合、塊状重合、乳化重合などの各種ラジカル重合などの公知の製造方法を適宜選択できる。また、得られる(メタ)アクリル系ポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などのいずれでもよい。
前記ラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤などは特に限定されず適宜選択して使用することができる。尚、(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、重合開始剤、連鎖移動剤の使用量、反応条件により制御可能であり、これらの種類に応じて適宜のその使用量が調整される。
前記溶液重合においては、重合溶媒として、例えば、酢酸エチル、トルエンなどが用いられる。具体的な溶液重合例としては、反応は窒素などの不活性ガス気流下で、重合開始剤を加え、通常、50〜70℃程度で、5〜30時間程度の反応条件で行われる。
前記重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート(和光純薬社製、VA−057)などのアゾ系開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド、ジ−n−オクタノイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルハイドロパーオキシド、過酸化水素などの過酸化物系開始剤、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムの組み合わせなどの過酸化物と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
前記重合開始剤は単独でまたは組み合わせて使用できるが、全体としての使用量はモノマー成分100重量部に対して、0.005〜1重量部程度であることが好ましく、0.01〜0.5重量部程度であることがより好ましい。
前記重合開始剤として、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを用いることが好ましい。
前記連鎖移動剤としては、例えば、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグルコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメルカプト−1−プロパノールなどが挙げられる。連鎖移動剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての使用量はモノマー成分の全量100重量部に対して、0.1重量部程度以下である。
前記乳化重合する場合に用いる乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーなどのノニオン系乳化剤などが挙げられる。前記乳化剤は単独でまたは組み合わせて使用できる。
前記反応性乳化剤として、プロペニル基、アリルエーテル基などのラジカル重合性官能基が導入された乳化剤として、具体的には、例えば、アクアロンHS−10、HS−20、KH−10、BC−05、BC−10、BC−20(以上、いずれも第一工業製薬社製)、アデカリアソープSE10N(ADEKA社製)などがある。反応性乳化剤は、重合後にポリマー鎖に取り込まれるため、耐水性がよくなり好ましい。乳化剤の使用量は、モノマー成分の全量100重量部に対して、0.3〜5重量部、重合安定性や機械的安定性から0.5〜1重量部がより好ましい。
前記(メタ)アクリル系ポリマーは、放射線重合により製造する場合には、前記モノマー成分を、電子線、UVなどの放射線を照射することにより重合して製造することができる。前記放射線重合を電子線で行う場合には、前記モノマー成分には光重合開始剤を含有させることは特に必要ではないが、前記放射線重合をUV重合で行う場合には、特に、重合時間を短くすることができる利点などから、モノマー成分に光重合開始剤を含有させることができる。光重合開始剤は単独でまたは組み合わせて使用できる。
前記光重合開示剤としては、光重合を開始するものであれば特に制限されず、通常用いられる光重合開始剤を用いることができる。例えば、ベンゾインエーテル系、アセトフェノン系、α‐ケトール系、光活性オキシム系、ベンゾイン系、ベンジル系、ベンゾフェノン系、ケタール系、チオキサントン系などを用いることができる。光重合開始剤の使用量は、モノマー成分100重量部に対して、0.05〜1.5重量部であり、好ましくは0.1〜1重量部である。
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、35万以上であることが好ましい。前記(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、樹脂層の耐久性および凝集力を高める観点から、40万以上であることがより好ましく、50万以上であることがさらに好ましい。前記(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、粘着力を高める観点、樹脂組成物の過度な粘度上昇を抑制する観点から、300万以下であることが好ましく、250万以下であることがより好ましく、200万以下であることがさらに好ましく、150万以下であることがよりさらに好ましく、120万以下であることがよりさらに好ましい。
前記(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミネーション・クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレン換算により算出できる。サンプルは、試料をテトラヒドロフランに溶解して0.1重量%の溶液とし、これを一晩静置した後、0.45μmのメンブレンフィルターで濾過した濾液を用いた。
・分析装置:東ソー社製、HLC−8120GPC
・カラム:東ソー社製、(メタ)アクリル系ポリマー:GM7000HXL+GMHXL+GMHXL
芳香族系ポリマー:G3000HXL+2000HXL+G1000HXL
・カラムサイズ;各7.8mmφ×30cm 計90cm・溶離液:テトラヒドロフラン(濃度0.1重量%)
・流量:0.8ml/min
・入口圧:1.6MPa
・検出器:示差屈折計(RI)
・カラム温度:40℃
・注入量:100μl
・溶離液:テトラヒドロフラン
・検出器:示差屈折計
・標準試料:ポリスチレン
<架橋剤>
本発明の樹脂組成物は、架橋剤を含有することができる。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、シリコーン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、シラン系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤、過酸化物などの架橋剤が含まれる。前記架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤が好適である。
前記架橋剤は単独でまたは組み合わせて使用できるが、全体としての含有量は、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、前記架橋剤を0.01〜5重量部の範囲で含有することが好ましい。架橋剤の含有量は、0.01〜3重量部含有することがより好ましく、0.02〜2.5重量部含有することがさらに好ましい。
前記イソシアネート系架橋剤は、イソシアネート基(イソシアネート基をブロック剤または数量体化などにより一時的に保護したイソシアネート再生型官能基を含む)を1分子中に2つ以上有する化合物をいう。
前記イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネートなどが挙げられる。
前記イソシアネート系架橋剤としては、より具体的には、例えば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製,商品名コロネートL)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製,商品名コロネートHL)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製,商品名コロネートHX)などのイソシアネート付加物、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井化学社製,商品名:タケネートD110N)、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井化学社製,商品名:タケネートD120N)、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井化学社製,商品名:タケネートD140N)、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井化学社製,商品名:タケネートD160N);ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネート、ならびにこれらと各種のポリオールとの付加物、イソシアヌレート結合、ビューレット結合、アロファネート結合などで多官能化したポリイソシアネートなどを挙げることができる。これらのなかでも芳香族イソシアネートや脂環式イソシアネートを用いることが、粘着力と保持力に関する特性をバランスよく発現させるために好ましい。
前記イソシアネート系架橋剤は単独でまたは組み合わせて使用できるが、全体としての含有量は、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、前記イソシアネート系架橋剤を0.01〜5重量部含有することが好ましく、さらには0.03〜3重量部含有することが好ましく、さらには0.05〜2.5重量部含有することが好ましく、0.08〜2重量部含有することがよりさらに好ましい。凝集力、耐久性試験での剥離の阻止などを考慮して適宜含有させることが可能である。
尚、前記乳化重合にて作製した変性(メタ)アクリル系ポリマーの水分散液では、イソシアネート系架橋剤を用いなくても良いが、必要な場合には、水と反応し易いために、ブロック化したイソシアネート系架橋剤を用いることもできる。
前記エポキシ系架橋剤はエポキシ基を1分子中に2つ以上有する多官能エポキシ化合物をいう。エポキシ系架橋剤としては、例えば、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテルの他、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂などが挙げられる。上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、三菱ガス化学社製、商品名「テトラッドC」、「テトラッドX」などの市販品も挙げられる。
前記エポキシ系架橋剤は単独でまたは組み合わせて使用できるが、全体としての含有量は、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、前記エポキシ系架橋剤を0.005〜1重量部含有することが好ましく、さらには0.01〜0.5重量部含有することが好ましく、さらには0.015〜0.3重量部含有することが好ましい。凝集力、耐久性試験での剥離の阻止などを考慮して適宜含有させることが可能である。
前記過酸化物としては、加熱によりラジカル活性種を発生して樹脂組成物のベースポリマーの架橋を進行させるものであれば適宜使用可能であるが、作業性や安定性を勘案して、1分間半減期温度が80℃〜160℃である過酸化物を使用することが好ましく、90℃〜140℃である過酸化物を使用することがより好ましい。
前記過酸化物としては、例えば、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:90.6℃)、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.1℃)、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.4℃)、t−ブチルパーオキシネオデカノエート(1分間半減期温度:103.5℃)、t−ヘキシルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:109.1℃)、t−ブチルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:110.3℃)、ジラウロイルパーオキシド(1分間半減期温度:116.4℃)、ジ−n−オクタノイルパーオキシド(1分間半減期温度:117.4℃)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(1分間半減期温度:124.3℃)、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド(1分間半減期温度:128.2℃)、ジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期温度:130.0℃)、t−ブチルパーオキシイソブチレート(1分間半減期温度:136.1℃)、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(1分間半減期温度:149.2℃)などが挙げられる。なかでも特に架橋反応効率が優れることから、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.1℃)、ジラウロイルパーオキシド(1分間半減期温度:116.4℃)、ジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期温度:130.0℃)などが好ましく用いられる。
尚、前記過酸化物の半減期とは、過酸化物の分解速度を表す指標であり、過酸化物の残存量が半分になるまでの時間をいう。任意の時間で半減期を得るための分解温度や、任意の温度での半減期時間に関しては、メーカーカタログなどに記載されており、例えば、日本油脂株式会社の「有機過酸化物カタログ第9版(2003年5月)」などに記載されている。
前記過酸化物は単独でまたは組み合わせて使用できるが、全体としての含有量は、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、前記過酸化物0.02〜2重量部であり、0.05〜1重量部含有することが好ましい。加工性、リワーク性、架橋安定性、剥離性などの調整の為に、この範囲内で適宜選択される。
尚、反応処理後の残存した過酸化物分解量の測定方法としては、例えば、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定することができる。具体的には、例えば、反応処理後の樹脂層を約0.2gずつ取り出し、酢酸エチル10mlに浸漬し、振とう機で25℃下、120rpmで3時間振とう抽出した後、室温で3日間静置する。次いで、アセトニトリル10ml加えて、25℃下、120rpmで30分振とうし、メンブランフィルター(0.45μm)によりろ過して得られた抽出液約10μlをHPLCに注入して分析し、反応処理後の過酸化物量とすることができる。
また、前記金属キレート系架橋剤としては、多価金属が有機化合物と共有結合または配位結合している多官能性金属キレートが挙げられる。多価金属原子としては、Al、Cr、Zr、Co、Cu、Fe、Ni、V、Zn、In、Ca、Mg、Mn、Y、Ce、Sr、Ba、Mo、La、Sn、Tiなどが挙げられる。共有結合または配位結合する有機化合物中の原子としては酸素原子などが挙げられ、有機化合物としてはアルキルエステル、アルコール化合物、カルボン酸化合物、エーテル化合物、ケトン化合物などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物には、接着力を向上させるために、(メタ)アクリル系オリゴマーを含有させることができる。前記(メタ)アクリル系オリゴマーは、本発明の(メタ)アクリル系ポリマーよりもTgが高く、重量平均分子量が小さい重合体を用いるのが好ましい。前記(メタ)アクリル系オリゴマーは、粘着付与樹脂として機能し、かつ接着力を向上させることが可能である。
前記(メタ)アクリル系オリゴマーは、Tgが約0℃以上300℃以下、好ましくは約20℃以上300℃以下、さらに好ましくは約40℃以上300℃以下であることが望ましい。Tgが約0℃未満であると樹脂層の室温以上での凝集力が低下し、保持特性や高温での接着性が低下する場合がある。尚、(メタ)アクリル系オリゴマーのTgは、(メタ)アクリル系ポリマーのTgと同じく、Foxの式に基づいて計算した理論値である。
前記(メタ)アクリル系オリゴマーの重量平均分子量は、1000以上30000未満、好ましくは1500以上20000未満、さらに好ましくは2000以上10000未満である。重量平均分子量が30000以上であると、接着力の向上効果が充分には得られない場合がある。また、1000未満であると、低分子量となるため接着力や保持特性の低下を引き起こす場合がある。本発明において、(メタ)アクリル系オリゴマーの重量平均分子量の測定は、GPC法によりポリスチレン換算して求めることができる。具体的には東ソー株式会社製のHPLC8020に、カラムとしてTSKgelGMH−H(20)×2本を用いて、テトラヒドロフラン溶媒で流速約0.5ml/分の条件にて測定される。
前記(メタ)アクリル系オリゴマーを構成するモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレートのようなアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリル酸と脂環族アルコールとのエステル;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートのようなアリール(メタ)アクリレート;テルペン化合物誘導体アルコールから得られる(メタ)アクリレート;などを挙げることができる。このような(メタ)アクリレートは単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記(メタ)アクリル系オリゴマーとしては、イソブチル(メタ)アクリレートやt−ブチル(メタ)アクリレートのようなアルキル基が分岐構造を持ったアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレートや、イソボルニル(メタ)アクリレートジシクロペンタニル(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリル酸と脂環式アルコールとのエステル;フェニル(メタ)アクリレートやベンジル(メタ)アクリレートのようなアリール(メタ)アクリレートなどの環状構造を持った(メタ)アクリレートに代表される、比較的嵩高い構造を有するアクリル系モノマーをモノマー単位として含んでいることが好ましい。このような嵩高い構造を(メタ)アクリル系オリゴマーに持たせることで、樹脂層の接着性をさらに向上させることができる。特に嵩高さという点で環状構造を持ったものは効果が高く、環を複数含有したものはさらに効果が高い。また、(メタ)アクリル系オリゴマーの合成の際や樹脂層の作製の際に紫外線(紫外線)を採用する場合には、重合阻害を起こしにくいという点で、飽和結合を有したものが好ましく、アルキル基が分岐構造を持ったアルキル(メタ)アクリレート、または脂環式アルコールとのエステルを、(メタ)アクリル系オリゴマーを構成するモノマーとして好適に用いることができる。
このような点から、好適な(メタ)アクリル系オリゴマーとしては、例えば、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)とイソブチルメタクリレート(IBMA)の共重合体、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)とイソボルニルメタクリレート(IBXMA)の共重合体、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)とアクリロイルモルホリン(ACMO)の共重合体、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)とジエチルアクリルアミド(DEAA)の共重合体、1−アダマンチルアクリレート(ADA)とメチルメタクリレート(MMA)の共重合体、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)とイソボルニルメタクリレート(IBXMA)の共重合体、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)、イソボルニルメタクリレート(IBXMA)、イソボルニルアクリレート(IBXA)、シクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)とメチルメタクリレート(MMA)の共重合体、ジシクロペンタニルアクリレート(DCPA)、1−アダマンチルメタクリレート(ADMA)、1−アダマンチルアクリレート(ADA)の各単独重合体などを挙げることができる。特に、CHMAを主成分として含むオリゴマーが好ましい。
本発明の樹脂組成物において、前記(メタ)アクリル系オリゴマーを用いる場合、その含有量は特に限定されないが、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して70重量部以下であるのが好ましく、さらに好ましくは1〜70重量部であり、さらに好ましくは2〜50重量部であり、さらに好ましくは3〜40重量部である。(メタ)アクリル系オリゴマーの添加量が70重量部を超えると、弾性率が高くなり過ぎ低温での接着性が悪くなるという不具合の可能性がある。尚、(メタ)アクリル系オリゴマーを1重量部以上配合する場合に、接着力の向上効果の点から有効である。
また、本発明の樹脂組成物には、粘着付与剤(タッキファイヤー)を被着体界面との相互作用を向上させるため、および樹脂組成物バルクの凝集力を付与するために含有する事ができる。例えば、ロジンエステル系のペンセルシリーズ(荒川化学工業社製)やテルペン系タッキファイヤー(ヤスハラケミカル社製)、ハリタックシリーズ(ハリマ化成社製)などが挙げられ、弾性率が高くなりタックが消失しない程度の量を添加できる。粘着付与剤(タッキファイヤー)は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して5〜40重量部添加することが好ましい。
さらに、本発明の樹脂組成物には、被着体との界面での接着信頼性をあげるために、シランカップリング剤を含有することができる。シランカップリング剤の配合量は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して1重量部以下であるのが好ましく、さらに好ましくは0.01〜1重量部、さらに好ましくは0.02〜0.8重量部である。シランカップリング剤の配合が多過ぎると架橋を阻害したり粘着特性を損なわしたりする可能性があり、少なすぎると効果が得られないため好ましくない。
前記シランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有シランカップリング剤、3−アミノプロピルトリメトキシシラン 、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有シランカップリング剤、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどの(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネート基含有シランカップリング剤などが挙げられる。
さらに本発明の樹脂組成物には、その他の公知の添加剤を含有していてもよく、たとえば、着色剤、顔料などの粉体、染料、界面活性剤、可塑剤、粘着性付与剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物などを使用する用途に応じて適宜添加することができる。
<樹脂層>
本発明の樹脂層は、前記樹脂組成物から形成される。樹脂層は、樹脂組成物から形成されたものであれば、その形状は特に限定されず、シート状、円柱状(平面視円形、平面視矩形などを形状を含む)、球状のものであってもよい。樹脂層の厚さは、特に制限されず、例えば、1〜2000μm程度である。樹脂層は、粗面への追従性を高める観点から、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、40μm以上であることがさらに好ましく、そして、1500μm以下であることが好ましく、1200μm以下であることがより好ましく、1000μm以下であることがさらに好ましい。また、樹脂層の厚みのばらつきは、特に限定されず、面内でほぼ均一な(例えば、数μm〜10μm程度)ものでもよい。
前記樹脂層のゲル分率は、20〜68重量%である。樹脂層のゲル分率は、樹脂層の凝集力や保持力を高める観点から、25重量%以上であることがより好ましく、28重量%以上であることがさらに好ましく、30重量%以上であることがよりさらに好ましい。樹脂層のゲル分率は、樹脂層の接着力を高める観点から、65重量%以下であることがより好ましく、62重量%以下であることがさらに好ましく、60重量%以下であることがよりさらに好ましい。尚、前記樹脂組成物が架橋剤を含有する場合には、架橋剤全体の添加量を調整することとともに、架橋処理温度や架橋処理時間の影響を十分考慮して、ゲル分率を制御することができる。
本発明において、前記樹脂層の厚さ(μm)の値を(A)、前記樹脂層のゲル分率(%)の値を(B)としたとき、前記(B)と(A)の比((B)/(A))は、粗面を有する被着体に対する接着力および保持力を高める観点から、2以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましく、1.0以下であることがさらに好ましく、0.7以下であることがよりさらに好ましく、そして、0.05以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましく、0.2以上であることがさらに好ましい。
前記樹脂層は、例えば、前記樹脂組成物を支持体の片面または両面に塗布し、重合溶剤などを加熱乾燥によって除去することにより積層シートとして形成することができる。樹脂組成物の塗布にあたっては、適宜に、重合溶剤以外の一種以上の溶剤を新たに加えてもよい。
前記樹脂組成物の塗布方法としては、各種方法が用いられる。具体的には、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーターなどによる押出しコート法などの方法が挙げられる。
前記加熱乾燥の温度は、好ましくは40〜200℃であり、さらに好ましくは、50〜180℃であり、特に好ましくは70〜170℃である。加熱温度を上記の範囲とすることによって、優れた粘着特性を有する樹脂層を得ることができる。前記加熱乾燥の時間は、好ましくは5秒〜20分、さらに好ましくは5秒〜15分、特に好ましくは10秒〜10分である。
また、前記樹脂層の形成は、本発明の(メタ)アクリル系ポリマーを、モノマー成分を紫外線照射することにより重合して製造する場合には、前記モノマー成分から(メタ)アクリル系ポリマーを製造するとともに、樹脂層を形成することができる。モノマー成分には、適宜に架橋剤などの前記樹脂組成物に配合することができる材料を含有することができる。前記モノマー成分は、紫外線照射にあたり、事前に一部を重合してシロップにしたものを用いることができる。紫外線照射には、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプなどを用いることができる。
前記支持体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルム、ポリアクリルフィルム、紙、布、不織布などの多孔質材料、ネット、ポリエチレンフォームやアクリルフォームなどの発泡シート、金属箔、およびこれらのラミネート体などの各種の支持フィルムを挙げることができる。前記支持フィルムの厚みは、通常5〜3000μm、好ましくは10〜2500μm、さらに好ましくは20〜2000μm程度である。
前記支持フィルムには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などによる離型および防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理もすることもできる。
本発明の積層シートは、前記樹脂層が露出する場合には、実用に供されるまでセパレーターで樹脂層を保護してもよい。実用に際しては、前記セパレーターは剥離される。
セパレーターの構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルム、紙、布、不織布などの多孔質材料、ネット、発泡シート、金属箔、およびこれらのラミネート体などの適宜な薄葉体などを挙げることができる。表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。
前記プラスチックフィルムとしては、前記樹脂層を保護し得るフィルムであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフイルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリアクリルフィルム、ポリイミドフィルムなどが挙げられる。
前記セパレーターの厚みは、通常5〜300μm、好ましくは5〜200μm程度である。前記セパレーターには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などによる離型および防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理もすることもできる。特に、前記セパレーターの表面にシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理などの剥離処理を適宜おこなうことにより、前記樹脂層からの剥離性をより高めることができる。
本発明の樹脂組成物、樹脂層および積層シートは、コンクリ−ト、モルタル、石膏ボード、針葉樹合板、木質系セメント板、およびケイ酸カルシウム板、タイルなどの粗面を有する被着体に貼り付ける用途に用いることが好ましいが、その他の平滑な被着体にも強力に接着可能である。
前記粗面を有する被着体の表面凹凸(表面の粗さ)は、1μm〜数100μm程度のものを対象としている。前記積層シートは、特に、表面凹凸(表面の粗さ)が、1μm〜500μmである粗面を有する被着体に対して、好ましく用いられる。
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。尚、各例中の部および%はいずれも重量基準である。実施例などにおける評価項目は下記のようにして測定を行った。
実施例1
<(メタ)アクリル系ポリマーの調製>
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)80重量部、イソステアリルアクリレート(ISTA)20重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)1重量部、重合開始剤として2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を酢酸エチル105重量部と共に仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して1時間窒素置換した後、フラスコ内の液温を60〜65℃付近に保って10時間重合反応を行い、重量平均分子量53万の(メタ)アクリル系ポリマー溶液を調製した。得られた(メタ)アクリル系ポリマーのTgは−61.1℃であった。
次いで、上記で得られた(メタ)アクリル系ポリマー溶液に、ポリマーの固形分100重量部に対して、架橋剤として、2,4−トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(東ソー社製,商品名コロネートL)を0.14重量部配合して樹脂組成物溶液を調製した。
次いで、得られた樹脂組成物溶液を、シリコーン処理を施した38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムセパレーター(三菱樹脂社製,ダイアホイルMRF)の片面に、乾燥後の樹脂層の厚さが95μmになるように塗布し、130℃で3分間乾燥を行い、樹脂層を形成し、積層シートを作製した。
実施例2〜17、比較例1〜7
実施例1において、(メタ)アクリル系ポリマーの調製に用いたモノマーの種類とその組成比、架橋剤の種類とその配合量を表1に示すように変えたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、積層シートを作製した。得られた(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量、Tgを表1に示す。
上記の実施例および比較例で得られた、積層シート(サンプル)について以下の評価を行った。評価結果を表1に示す。
<ゲル分率の測定>
積層シートにおける樹脂層から所定量(最初の重量W1)を取り出し、酢酸エチル溶液に浸漬して、室温で1週間放置した後、不溶分を取り出し、乾燥させた重量(W2)を測定し、下記のように求めた。
ゲル分率(%)=(W2/W1)×100
<ピール接着力の測定>
実施例および比較例で得られたサンプルの粘着面に厚み25μmのPETフィルム(東レ社製,ルミラーS10)を貼り付けたものを評価用サンプルとした。当該評価用サンプルを、幅20mm×長さ約100mmに裁断した後、前記セパレーター(三菱樹脂社製,ダイアホイルMRF)を剥離して、各種被着体として、石膏ボード(吉野石膏社製、商品名タイガーボード 9.5mm厚)、針葉樹合板(島忠ホームズ入手 12mm厚)、ケイ酸カルシウム板(ケイカル板、島忠ホームズ入手 5mm厚)、またはセメントモルタル(日本テストパネル株式会社製、10.5mm厚)に、2kgのロールを1往復で貼付けた。次いで、室温(23℃)で30分静置した後、剥離角度180°、剥離速度300mm/分でピール接着力(N/20mm)を測定した。尚、前記ピール接着力は、10N/20mm以上であることが好ましく、12N/20mm以上であることがより好ましく、15N/20mm以上であることがさらに好ましい。
<保持力の測定>
実施例および比較例で得られたサンプルの粘着面に厚み25μmのPETフィルム(東レ社製,ルミラーS10)を貼り付けたものを評価用サンプルとした。当該評価用サンプルを、幅10mm×長さ100mmに裁断した後、前記セパレーター(三菱樹脂社製,ダイアホイルMRF)を剥離して、被着体として、針葉樹合板(島忠ホームズ入手 12mm厚)に、貼りつけ面積が幅10mm×長さ20mmになるように2kgのロールを1往復で貼付けた。次いで、室温(23℃)で30分静置した後、針葉樹合板を垂下し、試料片の自由端に500gの荷重を付与した。当該荷重が付与された状態で40℃の環境下に30分間放置し、最初の貼り付け位置からの試料テープのズレ距離(mm)を測定し、保持力(mm/30分)を算出した。尚、前記保持力は、1.0mm/30分以下であることが好ましく、0.9mm/30分以下であることがより好ましく、0.5mm/30分以下であることがより好ましい。
表1中、2EHAは、2−エチルヘキシルアクリレート(東亜合成社製,ホモポリマーのTg=−70℃);
INAは、イソノニルアクリレート(大阪有機化学工業社製,ホモポリマーのTg=−58℃);
IMAは、イソミスチリルアクリレート(共栄社化学株式会社,ホモポリマーのTg=−56℃);
ISTAは、イソステアリルアクリレート(大阪有機化学工業社製、ホモポリマーのTg=−18℃);
CBAは、エチルカルビトールアクリレート(大阪有機化学工業社製,ホモポリマーのTg=−67℃);
4HBAは、4−ヒドロキシブチルアクリレート(大阪有機化学工業社製,ホモポリマーのTg=−32℃);
HEAは、ヒドロキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業社製,ホモポリマーのTg=−15℃);
AAはアクリル酸(東亜合成社製,ホモポリマーのTg=106℃);
BAは、ブチルアクリレート(東亜合成社製,ホモポリマーのTg=−55℃);を示す。
表1中、C/Lは、トリメチロールプロパン/2,4−トリレンジイソシアネート3量体付加物(東ソー社製,商品名コロネートL);
D110Nは、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(三井化学社製,商品名:タケネートD110N);
T/Cは、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(三菱ガス化学社製,商品名テトラッドC);を示す。