JP6912807B2 - 真空チャンバー - Google Patents

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Description

本発明は、真空チャンバーに関するものである。
各種の包装形態の一つとして、深絞り型包装体がある。深絞り型包装体は、製品を収納する収納凹部を有する容器本体と、その収納凹部内に製品を収納した状態でその容器本体の開口部を閉塞する蓋部材とを備えた構成を採る。係る構成の深絞り型包装体を製造する深絞り包装機は、以下のような構成をとる。
原反フィルムから連続して引き出された容器本体を形成するための下側フィルムを、水平方向に搬送する。この水平方向に搬送するフィルム搬送装置は、例えば下側フィルムの両端縁を搬送方向に延びるエンドレスチェーンに取り付けた爪部材により把持・クランプする構成をとる。エンドレスチェーンの回転に伴い爪部材も所定の軌跡で公転移動し、爪部にクランプされた下側フィルムを搬送する。
この下側フィルムの搬送途中に配置した成型装置にて、下側フィルムを真空吸引し、下側フィルムの所定位置に下側に突出する収納凹部を成型する。そして、成型装置の下流側の所定位置にて、収納凹部内に製品を自動或いは手動にて供給する。
一方、下側フィルムの搬送ラインの上方には、別の原反フィルムが設置されており、この原反フィルムから連続して蓋部材を形成するための上側フィルムが引き出され、その引き出された上側フィルムは、上記製品の供給地点の下流側所定位置にて下側フィルムの上に重ね合わす。
さらにこの両フィルムの重合地点の下流側には、真空チャンバーが配置され、この真空チャンバーにて下側フィルムに形成される収納凹部内の空気を吸引除去する真空引きが行われるとともに上側フィルムと下側フィルムの接触部位をシールする。これにより、製品が収納凹部内にて密封される。その後、真空チャンバーの下流側に配置されたカッター装置にて、両フィルムのシール部位をカットすることにより、個々の深絞り型包装体ごとに分離製造するようにしている。この種の深絞り包装機は、特許文献1等に開示されている。
上記の真空引きを行うために真空ポンプが稼働すると、ボックス本体の凹部の周囲を区画する周壁の上面に開口する真空引き用配管(排気経路)を介して下側フィルムの収納凹部と上側フィルムとで囲まれる空間の空気が吸引される。そして、周壁の上面に開口する真空引き用配管内には、スプリング並びにそのスプリングの弾性復元力により上方に突出する吸引ノズルを設け、当該吸引ノズルが上側フィルムを押し上げることで、収納凹部内の空気の吸引経路を構成する。
特開2014−114036
例えば、製品が塩気のあるものや調味液に浸漬されているものの場合、真空引きを行うと塩分や液体も吸引されて吸引ノズル内に進入し、その内周面に付着する。そして塩分や調味液等の付着物は、その後に繰り返し行われる真空引きに伴う真空気化により、液体成分が蒸発し、粘度が徐々に増し、塩分が析出したり調味液が凝縮したりして吸引ノズルの内周面に強固に付着する。また、その後に繰り返し行われる真空引きに伴い、都度、新たに塩分や調味液等が吸引ノズル内に進入し、その前に吸い込まれて付着した付着物の表面に付着して留まる。すると、付着物により吸引ノズルの空気の通過領域の一部が遮られ、その遮られる面積が徐々に増加して目詰まりの原因になる。
その結果、こまめに清掃が必要で手間がかかる。すなわち、真空気化により液体成分の蒸発が進むと、例えば吸引ノズルの内周面にこびりつくように塩分や調味液が強固に付着するので、除去しにくくなり、除去作業自体が煩雑となる。一方、そのように強固に付着する前に除去するためには、清掃作業の頻度が増してしまい、包装機の停止を頻繁に行うことになり、生産性を低下する問題も生じる。
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できれば良い。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
上述した課題を解決するために、本発明の真空チャンバーは、(1)フィルム供給装置から連続して供給され、重ね合わされた下側フィルムと上側フィルムを挟んだ状態で対向配置される下側ボックスと上側ボックスを備えた深絞り包装機に用いられる真空チャンバーであって、前記下側ボックスは、前記下側フィルムに形成された収納凹部が挿入される凹所を備えたボックス本体を有し、前記ボックス本体は、前記凹所の周囲の周壁内に上下に延びるように配置される複数の縦孔部を含む前記収納凹部内の空気を真空引きする際の排気経路を備え、前記下側ボックスが相対的に前記上側ボックスに接近・離反し、前記下側ボックスと前記上側ボックスが前記下側フィルムと前記上側フィルムを挟み込んで熱シールする機能と、前記下側ボックスが前記上側ボックスから離反した状態で、前記排気経路の上端開口部から外部に向けてガスを噴射させ、真空引きにより排気経路内に吸い込まれ真空気化が進む前の粘性の低い液体を外部に排出するガス噴射機構を備え、前記ガス噴射機構によるガスの噴射は、前記深絞り包装機の運転中に行うようにした
例えば、収納凹部に収納される製品が、調味液等の液体に浸漬されていたり、製品に塩分が含まれていたりする場合、フィルムのシールに先立ち実行される収納凹部内の空気を吸引する真空引きを行うと、その真空引きに伴い液体等も吸引され排気経路内に至り、その排気経路の内壁面に付着する。この付着した液体等の付着物は、その後の適宜のタイミングで排気経路内を真空引きと逆方向に流れるガスにより内壁面から剥がれてガスの流れ方向に進み、排気経路の上端開口部から外部に向けて吐出される。よって、真空引きにより排気経路内に付着した液体等の付着物が、外部に排出でき、塩分の析出や調味液の凝縮などが抑制される。これにより、清掃をしないで済むか、頻度を減らすことができ、深絞り包装機の真空引き用の排気経路の目詰まりを防止ことができる。
排気経路は、実施形態の第一排気経路に対応する。ガスは、実施形態の圧縮空気等に対応する。排気経路の上端開口部は、実施形態の吸引ノズル48の開口部48bや吸引ノズル55のノズル部55b等に対応する。
(2)前記ガス噴射機構によるガスの噴射は、前記熱シールを行う都度、実行するように制御するとよい。このようにすると、真空引きにより排気経路内に吸い込まれた液体等は、繰り返し行われる真空引きに伴う真空気化が進む前の粘性の低い液体の状態となるので、排気経路の内壁面から容易に剥がれ、ガスにより排気経路の上端開口部側に向けて容易に移動し外部に排出することができるので好ましい。
(3)前記縦孔部内に、吸引ノズルを備え、その吸引ノズルから前記ガスを噴射させるようにするとよい。排気経路の上端開口部は、真空引きにおける吸引ノズルの空気の吸引部であり、吸引ノズルの内壁面に付着した液体等を容易に外部に排出することができる。これにより、清掃作業が煩雑な吸引ノズルの清掃頻度を可及的に抑制できるのでよい。
本発明によれば、真空引き用の排気経路内のガスの流れ方向が切り替わるため、塩分の析出や調味液の凝縮等を抑制し、清掃の頻度を減らすことができる。
本発明に係る真空チャンバーが実装される深絞り包装機の好適な一実施形態を示す正面図である。 本発明に係る真空チャンバーの好適な一実施形態を示す正面一部破断断面図である。 その拡大図である。 その下側ボックス側を示す拡大図である。 (a)は排気経路の上端開口部付近を示す拡大断面図であり、(b)は作用を説明する図である。 変形例を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
図1は、本発明に係る真空チャンバーが実装される深絞り包装機の好適な一実施形態を示している。この深絞り包装機は、上流側に配置される下側フィルム供給装置10と、下側フィルム供給装置10から供給される下側フィルム12を水平方向に搬送するフィルム搬送装置13と、フィルム搬送装置13の搬送途中の上流側に配置した成型装置14と、その成型装置14の下流側に配置する製品供給部(図示省略)と、フィルム搬送装置13の上方所定位置に配置される上側フィルム供給装置15と、その上側フィルム供給装置15から供給される上側フィルム16が下側フィルム12の上に被せる被覆点より下流側に順に配置される真空チャンバー17、横カッター装置18、縦カッター装置19等を備える。
下側フィルム供給装置10は、帯状の下側フィルム12をロール状に巻き取った原反ロール20を支持する回転支持軸21と、その回転支持軸21と一体に回転する原反ロール20から引き出される下側フィルム12を所定の軌跡で繰り出してフィルム搬送装置13に供給する機構を備える。
フィルム搬送装置13は、下側フィルム12の両側縁の外側に配置された左右一対のエンドレスチェーン13aと、そのエンドレスチェーン13aに取り付けられた多数の爪部材13bとを備え、その爪部材13bにて下側フィルム12の長手方向の両側縁を掴んだ状態で間欠的に搬送する。
このフィルム搬送装置13の搬送途中の上流側には、成型装置14が配置される。この成型装置14は、下側フィルム12の所定位置に下側に突出する収納凹部12aを成型する装置である。この成型装置14は、下側フィルムを挟んで上下に配置された上側ボックス14aと下側ボックス14bを有している。そして、下側ボックス14b内に、下側フィルム12に形成する収納凹部12aの外形状に符合する内形状に加工された雌型を配置する。一方、上側ボックス14a内には、熱板が内蔵され、上側ボックス14aと下側ボックス14b間で挟み込まれた下側フィルム12のフィルム部位を加熱軟化させる。そして、係る挟み込んだ状態で、例えば下側ボックス14b内を真空吸引し、下側フィルム12の所定のフィルム部位が雌型の内周面に密着し、その内周面の形状に成型されて収納凹部12aを成型する。本形態では、下側ボックス14bは、横に2個の凹所を備え、一回の成型処理で、下側フィルム12に対して所定数の収納凹部12aを成型するようにしている。
製品供給部は、成型装置14で形成された収納凹部12a内に製品を供給するエリアであり、例えば、図示省略する製品供給装置が配置される。この製品供給装置は、収納凹部12a内に製品を自動供給するもので、例えば、移し替えロボットから構成し、移し替えロボットのマニピュレータとして吸着手段を備える。そして、その吸着手段により、フィルム搬送装置13の横に待機する製品群から、所定の製品を吸着保持するとともに所定軌跡で移動し、製品を収納凹部12a内に供給する。なお、製品供給装置に替えて、人手による供給としても良い。さらに本実施形態では、製品は、例えば塩気のある魚の切り身等や、調味液に浸漬されている食品などである。
上側フィルム供給装置15は、帯状の上側フィルム16をロール状に巻き取った原反ロール22を支持する回転支持軸23と、その回転支持軸23と一体に回転する原反ロール22から引き出される上側フィルム16を所定の軌跡で繰り出してフィルム搬送装置13で搬送される下側フィルム12上に重ね合わせるように供給するための複数のローラ24等を備える。図示省略するが、例えば、上側フィルム16の移動軌跡の途中に、印字装置が配置される。印字装置は上側フィルム16の所定位置に、製品の製造年月日や賞味期限などを印字するものである。
真空チャンバー17は、下側フィルム12と上側フィルム16の所定位置、つまり、収納凹部12aの周囲の両フィルム12,16の接触部位を上下から挟み込むとともに加熱して熱シールする。これにより、製品が収納凹部12a内に密封される。さらにこの真空チャンバー17は、収納凹部12a内の空気を吸引除去する機能を備え、両フィルム12,16を熱シールする前に収納凹部12a内の空気を吸引除去することで、製品が収納凹部12a内にて真空状態で密封する。この真空チャンバー17の具体的な構成は後述する。
横カッター装置18は、フィルムを挟んで上下に配置されるカッター刃18aと、受け板18bと、を備える。それらカッター刃18a,受け板18bはそれぞれに連係させたエアシリンダ18cによりタイミングを合わせて昇降移動するように構成される。この横カッター装置18は、押し切りカッターであり、カッター刃18aの刃部の形状に沿って下側,上側フィルム12,16が切断される。そして、カッター刃は、下側,上側フィルムを横方向(搬送方向に対して直交する方向)に切断するための直線状の刃部を備え、また、最終的な包装体における角に丸みを形成するためのRカット用の刃部を備えるようにしてもよい。
縦カッター装置19は、フィルムの搬送方向に対して直交する方向に回転軸を有する上下一対の円盤型のカッター19aを複数組備え、上下のカッター19aにて下側,上側フィルム12,16を挟み込むことで搬送方向に対して平行にカットする。縦カッター装置19を通過すると、収納凹部12aの周囲が縦横に切断されて、個々の包装体が製造される。また下側,上側フィルム12,16の左右両側縁は、縦カッター装置19にてカットされて分離される。そして、その分離された両側縁は、巻き取りローラ27に巻き取られるようにしている。
真空チャンバー17は、下側,上側フィルム12,16を挟んで上下に対向配置される下側ボックス31と上側ボックス32とを備え、下側ボックス31は、フィルムの搬送タイミングに合わせて昇降移動する。下側ボックス31は、上部開放した箱状のボックス本体33を備える。ボックス本体33は、成型装置14の下側ボックス14bと同様にその上面側にフィルムの搬送方向に対して直交する左右方向に2個、前後方向に4個の凹所35を備える。凹所35は、シール処理工程の際に、成型装置14で形成された下側フィルム12の収納凹部12aが挿入配置される。さらにボックス本体33の上面、すなわち、凹所35の周囲に配置される周壁36の上面には、受けゴム37を貼着する。
一方、上側ボックス32は、上側ボックス本体32aの下面側に凹所32bを有し、その凹所32b内に昇降可能に配置される加熱板38を備える。加熱板38の昇降は、例えば、シリンダー39等の駆動手段により上側ボックス本体32aに対して相対的に昇降する。
そして、下側ボックス31を上昇させて上側ボックス本体32aに近接させ、収納凹部12a内の空気を吸引除去したのちに加熱板38を下降させることで下側,上側フィルム12,16を上下から挟み込む。より具体的には、加熱板38の下面と、それに対向するボックス本体33の上面に設けた受けゴム37との間でフィルムを挟み込む。なお、上側ボックス32は、昇降する構成をとるのも良い。
加熱板38は、例えばアルミ等の熱伝導性の良好な材料から構成され、内蔵するヒータにより所定の温度に加熱される。そして、上述したように上側ボックス32と下側ボックス31との間で下側,上側フィルム12,16を挟んだ状態では、下降した加熱板38がフィルムに接触して当該フィルムを加熱する。特に、受けゴム37との間で挟み込んだフィルム部位は加熱・加圧されるため、下側,上側フィルム12,16の当該フィルム部位が熱シールされる。
下側ボックス31は、上面側に凹所35を備えるボックス本体33と、ボックス本体33の下面に配置したシート状のパッキン40と、そのパッキン40の下側に配置される第一プレート41と、第一プレート41の下側に配置される第二プレート42を備え、ボックス本体33と第二プレート42とでパッキン40・第一プレート41を挟み込むようにして連結一体化する。そして下側ボックス31は、下側フィルム12の収納凹部12a内を真空にするために脱気処理を行うための第一排気経路と、下側ボックス31の凹所35内の空気を脱気処理するための第二排気経路等を備える。具体的には、以下の通りである。
上述したごとくボックス本体33の複数の凹所35を備える。そしてその凹所35の周囲の周壁36のうち、ボックス本体33のフィルム進行方向に沿った左右に位置する周壁36には、上下方向に延びる第一縦孔部43を複数備える。各周壁36にそれぞれ設けた複数の第一縦孔部43は、同一直線上に配置される。第一縦孔部43は、上下に貫通する貫通孔であり、第一縦孔部43の上端は周壁36の上面に開口し、第一縦孔部43の下端はボックス本体33の下面に開口する。
ボックス本体33の下面には、所定のレイアウトの第一凹溝44を形成する。第一縦孔部43の下端は、第一凹溝44に開口し、各第一縦孔部43は、第一凹溝44を介して繋がる。第一凹溝44の開放側はパッキン40により閉じられ、真空引きのための排気経路の一部を構成する。
第一プレート41の所定位置には、上下に貫通する第一貫通孔45を備える。その第一貫通孔45の上端の開口部は、上面所定位置であって第一凹溝44に対向する位置に形成する。パッキン40の第一貫通孔45の上端の開口部に対向する部位は、上下開口する孔部40aが形成される。これにより、第一凹溝44と第一貫通孔45は、当該孔部40aを介して空間的につながる。また、第一貫通孔45の下端の開口部は、第二プレート42に形成した上下に貫通する第二貫通孔56の上端の開口部に一致させる。第二プレート42の上面の所定位置には、第二貫通孔56の外周を囲むようにOリング54を配置する。これにより、第一貫通孔45と第二貫通孔56が気密状態で連結される。
第二プレート42の下面所定位置には、第一配管ブロック57が連結される。この第一配管ブロック57は、第二貫通孔56の下端を閉塞する位置に配置され、その内部には、両端が上面と一側面に開口するように形成されたL字状の第一配管部58を備える。そして、第一配管ブロック57の上面に位置する第一配管部58の開口部と、第二貫通孔56の下端の開口部とを対向させて連結する。また、第一配管部58の他方の開口部には、第一連結管部46が取り付けられる。この第一連結管部46に図示省略する真空ポンプに接続する配管を連結する。
よって、第一縦孔部43、第一凹溝44、パッキン40の孔部40a、第一貫通孔45、第二貫通孔56、第一配管部58、第一連結管部46は、連続してつながった空間となり、その第一連結管部46に接続された真空ポンプが作動して吸引すると、第一縦孔部43の上方開口から吸引する状態になる。
さらに本実施形態では、上述した各第一縦孔部43内には、スプリング47の弾性復元力を利用してボックス本体33の上面よりも上方に突出可能とする吸引ノズル48を備える。吸引ノズル48は、上端が閉塞し下端が開口する円筒状のノズル本体48aを備え、そのノズル本体48aの側面上方に開口部48bを設け、その開口部48bを介してノズル本体48aの内外がつながり、空気等の出し入れがおこなわれる。吸引ノズル48がボックス本体33の上面よりも上方に突出した状態では、開口部48bも当該上面より上方に位置する。
突出した状態の吸引ノズル48が、下側フィルム12に形成した開口部内を通過し、上側フィルム16を押し上げて下側フィルム12と上側フィルム16の間に進入し、開口部48bが両フィルム間の空気、すなわち、収納凹部12a内の空気の吸い込み口となる。そして下側ボックス31がさらに上昇し、下側ボックス31の上面と上側ボックス32の下面・加熱板38で下側フィルム12と上側フィルム16を挟み込んだ状態では、上側ボックス32が上側フィルム16を介して吸引ノズル48を下方に付勢する。これに伴い、吸引ノズル48は第一縦孔部43内に押し込まれる。そして、上述した第一縦孔部43、第一凹溝44、パッキン40の孔部40a、第一貫通孔45、第二貫通孔56、第一配管部58、第一連結管部46並びに吸引ノズル48等により、第一排気経路を構成する。
またボックス本体33には、その凹所35の底面に開口し、上下方向に延びる第二縦孔部50を備える。本形態では、第二縦孔部50は、各凹所35に1個ずつ配置してもよいし、一部の凹所35に配置してもよい。また第二縦孔部50を一部の凹所35に設けた場合、周壁36の下方に厚さ方向に貫通する開口部を設け、隣接する凹所35同士を空間的につなげる。これにより、第二縦孔部50が形成されていない凹所35内の空間も、周壁36に形成した開口部を介して第二縦孔部50が形成される別の凹所35に繋がる。第二縦孔部50の下端は、ボックス本体33の下面に開口する。少なくとも一つの第二縦孔部50の下端開口部に対向するパッキン40の部位には孔部40bが形成され、第一プレート41の所定位置に形成された第三貫通孔51に連係する。すなわち、第一プレート41には、第一貫通孔45とは別に上下に貫通する第三貫通孔51を備える。そして第三貫通孔51の一端の開口部は、上面所定位置であって上述した少なくとも一つの第二縦孔部50に対向する位置に形成する。第二縦孔部50と第三貫通孔51は、パッキン40に形成した孔部40bを介して空間的につながる。また、第三貫通孔51の下端の開口部は、第二プレート42に形成した上下に貫通する第四貫通孔60の上端の開口部に一致させる。第二プレート42の上面の所定位置には、第四貫通孔60の外周を囲むようにOリング61を配置する。これにより、第三貫通孔51と第四貫通孔60が気密状態で連結される。
第二プレート42の下面所定位置には、第二配管ブロック63が連結される。この第二配管ブロック63は、第四貫通孔60の下端を閉塞する位置に配置され、その内部には、両端が上面と一側面に開口するように形成されたL字状の第二配管部65を備える。そして、第二配管ブロック63の上面に位置する第二配管部65の開口部と、第四貫通孔60の下端の開口部とを対向させて連結する。また、第二配管部65の他方の開口部には、第二連結管部52が取り付けられる。この第二連結管部52に図示省略する真空ポンプに接続する配管を連結する。
また、第二縦孔部50を複数設けた場合、例えばボックス本体33の下面或いは第一プレート41の上面に所定パターンの凹溝を形成し、その凹溝を介して上述した一つの第二縦孔部50或いは第三貫通孔51に繋がるように構成するとよい。
よって、第二縦孔部50、パッキン40の孔部40b、第三貫通孔51、第四貫通孔60、第二配管部65、第二連結管部52は、連続してつながった空間となって第二排気経路を構成し、その第二連結管部52に接続された真空ポンプが作動して吸引すると、第二縦孔部50の上方開口から吸引する状態になり、凹所35内の空気が排気される。
上述したように、第一連結管部46,第二連結管部52には、それぞれ図示省略する外部配管等を介して真空ポンプに接続される。そして外部配管の途中には開閉バルブ等を備え、真空ポンプを動作させるとともに開閉バルブを開くと、第一排気経路を介して、上側フィルム16と下側フィルム12の間の空気、すなわち、収納凹部12a内の空気が吸引除去され、第二排気経路を介して凹所35内の空気を吸引除去し、下側フィルム12と凹所35で囲まれる空間を脱気する。
さらに図示省略するが、本実施形態では上側ボックス32側にも当該上側ボックス32内の空気を脱気処理するための排気経路を備え、その排気経路を外部の真空ポンプに接続する。そして、上記の下側ボックス31側で吸引処理するタイミングに合わせて上側ボックス32側も吸引処理し、上側フィルム16と上側ボックスの凹所で囲まれる空間を脱気する。
これにより、下側フィルム12の収納凹部12a内の空気が除去され、製品・収納凹部12aが潰れること無く下側フィルム12の収納凹部12a並びに上側フィルム16が製品の表面に密着する。この状態で、加熱板を下降して下側フィルム12と上側フィルム16の所定部位をシールし、密封する。この密封シールした後に、真空チャンバー17内を大気開放し、下側ボックス31が下降移動して収納凹部12aよりも下方に位置させ、次の真空処理のために待機する。
ここで本実施形態では、第一排気経路に例えば空気を噴射するポンプを接続し、適宜のタイミングで当該ポンプから圧縮空気等を噴射するようにした。この噴射された圧縮空気等は、第一排気経路内を脱気処理時の流れとは逆方向に進み、吸引ノズル48の開口部48bから吸引ノズル48の外に向けて噴射吐出される。
第一排気経路に当該ポンプを接続する方法は、例えば第一プレート41の第一縦孔部43の下方領域に、第五貫通孔66を形成する。この第一縦孔部43と第五貫通孔66は、パッキン40に形成した孔部40cを介して繋がる。そして、第五貫通孔66の下端の開口部は、第一プレート41の下側に取り付けた蓋部材49にて閉塞される。また、吸引ノズル48を付勢するスプリング47は、この第五貫通孔66内に挿入配置され、その下端は、蓋部材49の上面に設けた凹部49a内に位置する。さらに、第一プレート41の下面には、第五貫通孔66の周囲を囲むようにOリング68を配置する。そして、第一プレート41の下面に、所定パターンの第二凹溝69を備える。この第二凹溝69は、複数の第五貫通孔66を繋ぐとともに、第二プレート42形成した第六貫通孔70に繋がるように形成する。そして、この第六貫通孔70に第三連結管部72を連結する。この第三連結管部72に外部配管を介して空気を噴射するポンプを繋げることで第一排気経路に接続するとよい。
また、第一排気経路用の第一連結管部46に接続した外部配管の途中に切替弁などを介して当該ポンプを第一排気経路に接続するようにしてもよい。特に、後者の外部配管に取り付ける構造では、下側ボックス31内での新たな配管は不要であるので、既存の真空チャンバー17をそのまま用いることができるので好ましい。
このポンプを用いた圧縮空気等の噴射は、真空引き並びにシール処理を実行し、下側ボックス31が下降移動して上側ボックス32と離反する都度、毎回、実行する。この空気の噴射時間は、例えば0.2〜0.3秒程度の短時間で良く、また、圧縮空気等と称するも圧力はさほど強くしなくても良い。
本実施形態では、真空・シール処理が実行される都度、第一排気経路を逆流する方向に圧縮空気等を供給し(図5(c)参照)、吸引ノズル48の開口部48bから外部に噴射するようにしたので、吸引ノズル48の内壁面に付着した塩分や調味液等の付着物75は、繰り返し行われる真空引きに伴う真空気化が進む前の粘性の低い液体の状態となるので、付着物は比較的容易に吸引ノズル48の内壁面から剥がれて圧縮空気等の流れ方向に進み、開口部48bから外部に向けて吐出される。よって、真空引き用の第一排気経路内の空気の流れ方向(図5(b),(c)中、矢印方向)が切り替わるため、例えば直前の真空引き工程で吸い込まれて付着した塩分や調味液等の付着物75は、その後に行われる圧縮空気等により吸引ノズル48の外に排出することができる。つまり、図5(d)に示すように、真空気化により粘性が高い塊76ができる前に逆向きの空気により吸引ノズル48の内壁面から剥がし、排出することができ、塩分の析出や調味液の凝縮されることを抑制できる。また、仮に真空引きに伴い吸い込まれて吸引ノズル48の内壁面に付着した付着物の全てを、その後に行われる圧縮空気等により外部に排出することができないとしても、付着物として残る量は軽減されるので、清掃の頻度を減らすことができる。
上述した実施形態では、吸引ノズル48は、上端が閉塞し下端が開口する円筒状のノズル本体48aを備えるタイプのものを用いたが、本発明はこれに限ることはなく、各種の吸引ノズルを用いることができる。図6は、別の形態の吸引ノズル55を示している。この形態の吸引ノズル55は、コイルスプリングと一体に形成している。すなわち、コイルスプリング部55aと、そのコイルスプリング部55aを構成する線状体の一端を略U字状に折り曲げて形成したノズル部55bを備える。
本形態の第一縦孔部43内に収納された吸引ノズル55は、下側ボックス31が下降位置にあり上側ボックス32から離れている状態では、コイルスプリング部55aの弾性復元力により延びて、ノズル部55bが第一縦孔部43の開口から上方に突出する。そして、下側ボックス31が上昇するにつれてノズル部55bが下側フィルム12に形成した開口部内を通過し、上側フィルム16を押し上げて下側フィルム12と上側フィルム16の間に進入する。この状態で真空引きが行われると、両フィルム間の空気、すなわち、収納凹部12a内の空気は、ノズル部55bからコイルスプリング部55aの上方開口から内部に進み吸引除去される。また、下側ボックス31がさらに上昇し、下側ボックス31の上面と上側ボックス32の下面・加熱板38で下側フィルム12と上側フィルム16を挟み込んだ状態では、上側ボックス32が上側フィルム16を介して吸引ノズル55を第一縦孔部43内に押し込む。
この形態においても、真空引きに伴い塩分や調味液等も吸引され、吸引ノズル55内に進入し、ノズル部55bやコイルスプリング部55aの表面に付着したり、第一縦孔部43の内周面に付着したりする。その付着した塩分や調味液等の付着物は、その後に行われる圧縮空気等の噴射処理により、吸引ノズル55・第一縦孔部43の上方より外部に吐出され、第一排気経路内に付着物が留まる事態の発生を可及的に抑制し、掃除を不要或いは掃除の頻度を減少させることができる。
また、上述した実施形態並びに変形例では、いずれも第一縦孔部43内に吸引ノズルを実装するタイプの真空チャンバーについて説明したが、本発明はこれに限ることはなく、第一縦孔部43内に吸引ノズルを設けないタイプの真空チャンバーについても適用できる。
また、上述した実施形態並びに変形例では、圧縮空気等の噴射は、真空引き・シール処理を行う都度、毎回実行するようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、N回に1回など定期的或いは不定期的に噴射するようにしてもよい。但し、実施形態等に示すように毎回行う方が、真空気化により粘性が増加する前に都度除去することができるので好ましい。
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
12 :下側フィルム
12a :収納凹部
17 :真空チャンバー
31 :下側ボックス
32 :上側ボックス
33 :ボックス本体
35 :凹所
36 :周壁
40 :パッキン
40a :孔部(排気経路)
41 :第一プレート
42 :第二プレート
43 :第一縦孔部(排気経路)
44 :第一凹溝(排気経路)
45 :第一貫通孔(排気経路)
46 :第一連結管部(排気経路)
48 :吸引ノズル
48a :ノズル本体
48b :開口部(排気経路の上端開口部)
50 :第二縦孔部
55 :吸引ノズル
55b :ノズル部(排気経路の上端開口部)
56 :第二貫通孔(排気経路)
57 :第一配管ブロック
58 :第一配管部(排気経路)
60 :第四貫通孔
63 :第二配管ブロック
65 :第二配管部
66 :第五貫通孔
69 :第二凹溝
70 :第六貫通孔
72 :第三連結管部

Claims (3)

  1. フィルム供給装置から連続して供給され、重ね合わされた下側フィルムと上側フィルムを挟んだ状態で対向配置される下側ボックスと上側ボックスを備えた深絞り包装機に用いられる真空チャンバーであって、
    前記下側ボックスは、前記下側フィルムに形成された収納凹部が挿入される凹所を備えたボックス本体を有し、
    前記ボックス本体は、前記凹所の周囲の周壁内に上下に延びるように配置される複数の縦孔部を含む前記収納凹部内の空気を真空引きする際の排気経路を備え、
    前記下側ボックスが相対的に前記上側ボックスに接近・離反し、前記下側ボックスと前記上側ボックスが前記下側フィルムと前記上側フィルムを挟み込んで熱シールする機能と、
    前記下側ボックスが前記上側ボックスから離反した状態で、前記排気経路の上端開口部から外部に向けてガスを噴射させ、真空引きにより排気経路内に吸い込まれ真空気化が進む前の粘性の低い液体を外部に排出するガス噴射機構を備え
    前記ガス噴射機構によるガスの噴射は、前記深絞り包装機の運転中に行うことを特徴とする真空チャンバー。
  2. 前記ガス噴射機構によるガスの噴射は、前記熱シールを行う都度、実行するように制御することを特徴とする請求項1に記載の真空チャンバー。
  3. 前記縦孔部内に、吸引ノズルを備え、その吸引ノズルから前記ガスを噴射させるようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の真空チャンバー。
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