JP6910800B2 - Gdf15調節剤を用いたうっ血性心不全及びその他の心機能不全の治療 - Google Patents

Gdf15調節剤を用いたうっ血性心不全及びその他の心機能不全の治療 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本願は、2014年6月20日に提出された米国仮特許出願第62/015,093号明細書に対する優先権を請求する。尚、この文献は、参照によりその全体を本明細書に組み込むものとする。
本発明は、心臓疾患若しくは心機能不全、例えば、うっ血性心不全、慢性心不全及び急性心臓病(心筋梗塞など)を有する被験者を治療するためのGDF15調節剤を用いる方法、及びそれを含有する組成物に関する。
うっ血性心不全とも呼ばれる心不全は、一般的で、しかも費用のかかる疾病であり、高度に衰弱性で、死に至る可能性がある。これは、年齢が65歳を超える人が入院する主要な原因となっている。心不全は、急激な発症(「急性心不全」と呼ばれる)によるものか、又は長期にわたって発生し得る(「慢性心不全」と呼ばれる)。
心不全は、いくつかの他の心臓病、障害及び機能不全を伴う場合があり、そのようなものとして、以下のものが挙げられる:心停止若しくは心拍停止;心筋梗塞(心臓発作とも呼ばれる)、これは、心筋障害を指し、通常、不十分な血液供給、例えば、冠動脈閉塞に起因する;並びに心筋への障害を指す心筋症、これは、遺伝性若しくは後天性のいずれの場合もあり、拡張型、肥大型若しくは拘束型であり得る。拡張型心筋症の原因は、主として遺伝性であり、通常、左室において、筋肉の伸張及び菲薄化を伴う。これが起こると、心筋は、身体全体に血液を効率的に送り出すことができなくなり、肺、足首、腹部及びその他の臓器に体液貯留を招くと共に、息切れの感覚を引き起こし得る。肥大型心筋症は、心筋の肥厚を伴い、これは、細胞構造の錯綜配列、心筋の硬化及び高血圧を引き起こし得る。拘束型心筋症は、心室壁の硬化を伴い、そのため、心室は、血液の正常な充填に抵抗する。拘束型心筋症は、過剰量の鉄が体内に沈着して、心臓を障害しうるヘモクロマトーシス;異常な炎症によって、細胞の塊が、心臓を含む身体の臓器内に形成されるサルコイドーシス;並びに異常なレベルのタンパク質(アミリンなど)が、心臓を含む臓器内に沈着するアミロイドーシスのようないくつかの原因により起こり得る。
心不全に関連すると考えられるその他の心臓関連の病状として、心臓肥大、虚血性/再灌流傷害、呼吸困難、特発性肺動脈性高血圧、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)、及び心血管機能障害が挙げられる。
増殖分化因子15(GDF15)は、タンパク質のトランスフォーミング増殖因子−β(TGF−β)スーパーファミリーのメンバーであり、細胞増殖及び分化の調節因子の役割を果たす多機能タンパク質の大きな群を含む。このファミリーの重要なメンバーとしては、TGF−β1〜5、アクチビン、骨、軟骨及びその他の組織タイプの調節因子の役割を果たす骨形成タンパク質(BMP)、並びに細胞調節に関与する他のタンパク質、例えば、グリア細胞株由来の神経栄養因子(GDNF)、及びミオスタチン(GDF−8としても知られる)が挙げられる。GDF15は、初め、前立腺癌及び胎盤などの組織から単離されたが、別名:マクロファージ阻害サイトカイン1(若しくはMIC1)、NSAID活性化遺伝子1タンパク質(若しくはNAG1)、NSAID調節遺伝子1タンパク質(若しくはNRG−1)、胎盤TGF−β(若しくはPTGFB)、胎盤骨形成タンパク質(若しくはPLAB)、及び前立腺分化因子(若しくはPDF)によって知られている。
心臓傷害を有する被験者におけるGDF15の活性の報告は、矛盾しており、結論に到達していない。Kempf et al.は、内在性GDF15が、虚血性/再灌流傷害から心臓を保護すると報告し(Kempf et al.,2006,CIRCULATION RESEARCH,98:351−360);後に、GDF15は、心筋梗塞及び心不全時に心臓保護サイトカインとして機能すると報告した(Kempf et al.,2007,CLINICAL CHEMISTRY,53:284−291)。また、Tobin及びCeleste,2006,DRUG DISCOVERY TODAY,11:405−411;Lajer et al.,2010,DIABETES CARE,33:1567−1572も参照されたい。Breit及びBrown、米国特許第7,919,084号明細書は、GDF15の活性若しくは発現を阻害するか、又は増大するかのいずれかによる心血管疾患の治療を前提とするものである。さらに近年の研究は、GDF15レベルと心不全との間に原因となる関係が存在するか否かについてさらなる研究が必要であるとしている。Bonica et al.,2011,ARTERIOSCLEROSIS,THROMBOSIS AND VASCULAR BIOLOGY,31:203−210;Wallentin et al.,2013,EUR.HEART J.,34(suppl.):P4048を参照されたい。
これまで達成された進歩にもかかわらず、心臓病及び障害を検出、予防、及び治療する優れた方法が依然として求められている。
本発明者らは、うっ血性心不全などの心臓病及び障害を有し、現在利用可能な方法で有効又は最適に治療されていない被験者が、意外なことに、GDF15の活性を選択的に低減又は阻害する組成物で有効に治療され得ることを見出した。これは、被験者のGDF15の発現、レベル若しくは量、又は生物学的活性を低減することによって実施され得るが、これらは、例えば、被験者の血清又は血漿中で測定することができる。
本発明は、心血管疾患、うっ血性若しくは慢性心不全、心筋肥大若しくは縮小、急性冠症候群、狭心症、又はその他の心臓障害若しくは病状を有する被験者、あるいは、心筋梗塞などの心臓事象を患ったことのある被験者、あるいは、経皮的冠動脈形成術、冠動脈バイパス術、冠動脈血管形成術又はステント留置術などの心臓介入治療を受けたことがあるか、又はその必要があると診断された被験者を治療するための方法及び組成物を提供する。
本発明は、例えば、GDF15が内在性結合パートナー(また、同族受容体若しくは結合パートナーとも呼ばれる)に結合する能力を低減することにより、例えば、GDF15若しくは内在性結合パートナーに競合的に結合することにより、又はGDF15の活性を中和することにより、GDF15の活性を低減若しくは阻害する組成物を含む。いくつかの実施形態では、こうした組成物は、GDF15若しくは内在性結合パートナーに結合する抗体、並びにそのような抗体を含むペプチド又は融合分子を含み得る。いくつかの実施形態では、組成物は、例えば、GDF15又は内在性結合パートナーに競合的に結合して、例えば、GDF15がその内在性結合パートナーに結合する能力を低減若しくは阻害するか、あるいはそうでなければ、GDF15の活性を中和することにより、GDF15の活性を低減若しくは阻害するペプチド又は小分子を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、本発明は、1つ又は複数の心臓関連特徴を呈示する被験者を治療する方法を含み、こうした心臓関連特徴は、心血管疾患若しくは機能障害、うっ血性若しくは慢性心不全、心筋症、心臓肥大、虚血性/再灌流傷害、特発性肺動脈高血圧、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)、又はその他の心臓障害若しくは病状の症状であり得る。
こうした心臓関連特徴として、以下のものが挙げられる:
(1)被験者が、低い、若しくは正常に満たない最大酸素摂取量(VO)を呈示する;
(2)被験者が、高い、若しくは正常レベルを超える脳性ナトリウム利尿タンパク質(BNP)又はN末端断片(NT−ProBNP)を有する;
(3)被験者が、高い、若しくは正常レベルを超えるトロポニンを有する;
(4)被験者が、高い、若しくは正常レベルを超えるC反応性タンパク質(CRP)を有する;
(5)被験者が、心電図検査に異常を有するか、又は生理的心臓活性異常、例えば、心房若しくは心室駆出量減少を有すると診断されたことがある;
(6)被験者が、胸痛若しくは不快感(狭心症)、息切れ、及び活動若しくは運動に伴う疲労の徴候若しくは症状を呈示する;又は被験者が、6分間歩行テスト(6MWT)若しくは漸増シャトルウォーキングテスト(SWT)などの体力テストにおいて体力の低下を呈示する;
(7)被験者が、低い正常レベルの、若しくは正常レベルに満たない心臓由来脂肪酸結合タンパク質(hFABP)を有する;
(8)被験者が、心臓肥大又は心臓縮小を呈示する;
(9)被験者が、心筋梗塞、又は血栓塞栓性脳卒中を経験したことがあるか、又は経験するリスクがあると診断されている;
(10)被験者が、経皮的冠動脈形成術、冠動脈バイパス術、冠動脈血管形成術、ステント留置術、心臓移植、又は除細動器留置などの冠動脈介入治療を受けたことがあるか、又はその必要があると診断されている。
前述の心臓関連特徴はまた、本発明のGDF15調節剤による治療に対する被験者の応答の経過をモニターするために、また、臨床的に適切と考えられる場合、投与計画を変更するために使用することもできる。いくつかの実施形態では、うっ血性若しくは慢性心不全(CHF)などの心血管疾患又は心臓障害を有する被験者は、以前既知の治療を受けたことがあるが、前述した特徴の少なくとも1つを依然として呈示している。そのような症例において、本発明は、前述した心臓関連特徴の少なくとも1つの発生及び/又は重症度を回避若しくは軽減するための方法及び組成物を提供し、さらに本発明は、前述した心臓介入治療の1つの必要を回避又は軽減し得る。
一態様では、本発明は、治療を必要とする被験者の心臓機能を改善又は増大する方法を提供し、この方法は、被験者の心臓機能を改善又は増大するために、GDF15調節剤を含む組成物を有効量で投与するステップを含む。心臓機能は、以下に論じる生化学的及び生理学的パラメータのいずれかを含み得る。
別の態様では、本発明は、心臓障害又は機能不全を有する被験者を治療する方法を提供し、この方法は、被験者の心臓障害又は機能不全の症状を改善するために、GDF15調節剤を含む組成物を有効量で投与するステップを含む。症状は、以下に論じる生化学的及び生理学的パラメータのいずれかを含み得る。
別の態様では、本発明は、うっ血性心不全の1つ又は複数の症状を呈示する被験者の心臓縮小を軽減又は逆転する方法を提供し、この方法は、GDF15調節剤を含む組成物を有効量で投与するステップを含み、ここで、組成物は、被験者の心臓縮小の少なくとも1つの症状を改善する。症状は、以下に論じる生化学的及び生理学的パラメータのいずれかを含み得る。
別の態様では、本発明は、治療を必要とする被験者のうっ血性心不全を治療又は予防する方法を提供し、この方法は、被験者のCHFを治療又は予防するために、被験者におけるGDF15活性を低減若しくは阻害する組成物を有効量で投与するステップを含む。症状は、以下に論じる生化学的及び生理学的パラメータのいずれかを含み得る。
別の態様では、本発明は、うっ血性心不全の1つ又は複数の症状を呈示する被験者の心臓縮小を軽減又は逆転する方法を提供し、この方法は、GDF15活性を調節し、これによって、被験者の心臓縮小を軽減する組成物を有効量で投与するステップを含む。症状は、以下に論じる生化学的及び生理学的パラメータのいずれかを含み得る。
いくつかの実施形態では、被験者は、体液、例えば、血清又は血漿中に高いGDF15活性を有する。いくつかの実施形態では、高いGDF15活性とは、高いGDF15レベルを意味する。いくつかの他の実施形態では、被験者は、14mL/kg/分未満の最大VO、40%未満のLVEF、100pg/ml超のBNPレベル、1.5ng/mL超の心臓トロポニンI(cTnI)レベル、又はこれらのいずれかの組み合わせを呈示する。いくつかの実施形態では、被験者は、既にうっ血性心不全を有すると診断されている。
いくつかの実施形態では、本発明のGDF15調節剤は、被験者のGDF15活性を低減又は阻害することができる。一部の実施形態では、GDF15調節剤は、GDF15の活性、発現又はその同族受容体との結合を阻害する。一部の実施形態では、GDF15調節剤はGDF15を結合する。GDF15調節剤は、抗GDF15抗体であってよく、これは、ヒト化又はヒト抗体のいずれであってもよい。
いくつかの実施形態では、被験者は、正常レベルを超える、心臓由来トロポニンI、心臓由来トロポニンT、脳性ナトリウム利尿タンパク質(BNP)、BNP由来のN末端ペプチド(NT−proBNP)、及び心臓由来脂肪酸結合タンパク質(cFABP)からなる群から選択されるバイオマーカを呈示する。
本発明の方法は、GDF15媒介経路を阻害する組成物を有効量で投与し、これによって、以下に挙げる特徴の1つ又は複数を治療するステップを含み得る:心臓肥大又は心臓縮小;胸痛若しくは不快感(狭心症)、息切れ、及び活動若しくは運動に伴う疲労の徴候又は症状;最大VO;高い、若しくは正常レベルを超えるトロポニン;高い、若しくは正常レベルを超える脳性ナトリウム利尿タンパク質(BNP)若しくはそのN末端由来断片(NT−ProBNP);低い正常レベルの、若しくは正常レベルを下回る心臓由来脂肪酸結合タンパク質(cFABP);心電図検査の異常又は心臓の生理機能若しくは活性異常、例えば、心房若しくは心室駆出量減少;狭心症、心筋梗塞、又は血栓塞栓性卒中を経験したことがあるか、そのリスクがあると診断されている;あるいは、経皮的冠動脈形成術、冠動脈バイパス術、冠動脈血管形成術、ステント留置術、心臓移植、又は除細動器留置などの冠動脈介入治療を受けたことがあるか、又はその必要があると診断されている。
本明細書に記載するGDF15調節剤の使用は、被験者における以下の特徴の少なくとも1つを改善又は軽減するために使用することができ、ここで、被験者は、CHF、心筋症、又は心不全を発症していると診断されているか、又はそれを発症するリスクがあると考えられる:
(1)被験者が、低い、若しくは正常に満たない最大酸素摂取量(VO)を呈示する;
(2)被験者が、高い、若しくは正常レベルを超える脳性ナトリウム利尿タンパク質(BNP)又はN末端断片(NT−ProBNP)を有する;
(3)被験者が、高い、若しくは正常レベルを超えるトロポニンを有する;
(4)被験者が、高い、若しくは正常レベルを超えるC反応性タンパク質(CRP)を有する;
(5)被験者が、心電図検査に異常を有するか、又は心臓の生理機能若しくは活性異常、例えば、心房若しくは心室駆出量減少を有すると診断されたことがある;
(6)被験者が、胸痛若しくは不快感(狭心症)、息切れ、及び活動若しくは運動に伴う疲労の徴候若しくは症状を呈示するか、又は被験者が、6分間歩行テスト(6MWT)若しくは漸増シャトルウォーキングテスト(SWT)などの体力テストにおいて体力の低下を呈示する;
(7)被験者が、低い正常レベルの、若しくは正常レベルに満たない心臓由来脂肪酸結合タンパク質(hFABP)を有する;
(8)被験者が、心臓肥大又は心臓縮小を呈示する;
(9)被験者が、心筋梗塞、又は血栓塞栓性脳卒中を経験したことがあるか、又は経験するリスクがあると診断されている;
(10)被験者が、経皮的冠動脈形成術、冠動脈バイパス術、冠動脈血管形成術、ステント留置術、心臓移植、又は除細動器留置などの冠動脈介入治療を受けたことがあるか、又はその必要があると診断されている。
前述の特徴はまた、本発明のGDF15調節剤での治療に対する被験者の応答を確認するために、また、臨床的に適切と考えられる場合、投与計画を変更するために、モニターすることができる。いくつかの実施形態では、CHFなどの心血管疾患又は心臓障害を有する被験者は、以前既知の治療を受けたことがあるが、前述した特徴の少なくとも1つを依然として呈示している。そのような症例において、本発明は、前述した心臓関連特徴の少なくとも1つの発生及び/又は重症度を回避若しくは軽減するための方法及び組成物を提供し、さらに本発明は、前述した冠動脈介入治療の1つの必要を回避するか、軽減することができる。特定の実施形態では、被験者は、被験者がCHFを有するか、又はそれに罹患していると考えられ、従って、被験者が本発明の治療から利益を受け得るような以下の特徴の1つ又は複数を呈示する。本願全体を通して使用されるとき、「CHFを有すると考えられる」又は「CHFに罹患していると考えられる」という用語は、本願の開示内容に従って、当業者が、本発明のGDF15阻害剤の投与から被験者が利益を受けるであろうと予想し得ることを意味する。被験者はまた、資格を持つ臨床専門家が、被験者に関する情報を調べた後、被験者が、現時点でCHFに罹患していると専門的な判断又は診断をした場合に、「CHFを有すると考えられる」か、又は「CHFに罹患していると考えられる」。「CHFを有すると考えられる」又は「CHFに罹患していると考えられる」という用語は、本願の開示内容に従って、当業者が、本発明のGDF15阻害剤の予防的又は治療的投与から利益を受けるであろうと予想し得ることを意味する。被験者はまた、資格を持つ臨床専門家が、被験者に関する情報を調べた後、被験者が、現時点で予防的又は治療的介入の根拠となるのに十分なCHFを発症するリスクがあると専門的な判断又は診断をした場合に、「CHFを発症するリスクがあると考えられる」。
うっ血性心不全に罹患していないヒト被験者(「非CHF」);悪液質を伴わないうっ血性心不全の症状を呈示する被験者(「CHF」);及び悪液質を伴ううっ血性心不全の症状を呈示する被験者(「CHF Ca」)におけるGDF15レベルを示すグラフである。 GDF15レベルとうっ血性心不全の重症度の間の相関を示すグラフである。NYHAは、ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)分類システムを指す(Iは最も重症度が低く、IVは最も高い)。 GDF15レベルと、心臓機能のマーカである最大酸素量(VO)との間の相関を示すグラフである。最大VOレベルは、CHFを有する200人の被験者(図3A)においてGDF15レベルの増加と共に減少し、これらの被験者は、CHFの共存症として、悪液質を伴う33人の被験者(図3B)と、悪液質を伴わない167人の被験者(図3C)を含む。 GDF15レベルと、心不全の一般的共存症である貧血の指標のトランスフェリン飽和(TSAT)との間の相関を示すグラフである。添付の表は、トランスフェリンレベル;鉄レベル;ヘモグロビンレベル(「Hbg/dl」)、赤血球レベル及びフェリチンレベルを示す。 GDF15レベルと、CHFの一般的共存症である腎機能低下の各種マーカとの間の相関を示すグラフである。図5Aは、CHFを有する200人の被験者において、クレアチニンレベルが、GDF15レベルの増加と共に増加することを示し;図5Bは、CHFと悪液質共存症を有する33人の被験者において、尿素レベルが、GDF15レベルの増加と共に増加することを示し;図5Cは、クレアチニンレベルが、悪液質共存症を伴わないCHFを有する167人の被験者においてGDF15レベルの増加と共に増加することを示す。 CHFステージI〜III(被験者の数が少ないために、ステージIVは含まれない)を有する患者において、GDF15レベルと、CHFの一般的共存症である腎臓疾患の各種マーカとの間の相関を示すグラフであり、マーカは尿素(図6A)(尿素レベルは、GDF15レベルの増加と共に増加する);尿酸(図6B)(尿酸レベルは、GDF15レベルの増加と共に増加する);クレアチニン(図6C)(クレアチニンレベルは、GDF15レベルの増加と共に増加する);及び糸球体濾過量(GFR)(図6D)(GFRは、GDF15レベルの増加と共に減少する)を含む。 HT−1080繊維肉腫腫瘍異種移植片モデルを担持する免疫不全マウス(ICR−SCID)において、2mg/kgで投与される抗GDF15抗体01G06(■)の活性を立証する実験からの結果をまとめたグラフである。抗体01G06での処置は、陰性対照(マウスIgG(●))及びベースライン(1日目)と比較して、体重減少を逆転し(図7A)、臓器重量(肝臓、心臓、脾臓及び腎臓)の増加を誘導すると共に、組織重量(生殖腺及び腓腹筋)の増加を誘導した(図7B)。鉛直方向の矢印は、抗体を腹腔内注射により試験マウスに投与した日を示す(図7A)。 ヒト腫瘍異種移植片を担持する悪液質マウス(▲)の体重に対する、ヒトGDF15に結合してこれを阻害するモノクローナル抗体(Hu01G06−127)の全身投与の効果を、ヒトIgGの投与を受けた後の類似マウス(■)又は偽(sham)マウス(腫瘍なし)(●)と比較して示すグラフである。
本発明は、心臓関連の疾患又は障害を有する被験者、例えば、うっ血性若しくは慢性心不全、急性心筋梗塞、心筋肥大、及び心筋縮小を有する被験者を治療するための方法及び組成物を提供する。これらの方法及び組成物は、以下に挙げる1つ又は複数を含む、心筋症又はその他の心不全の症状である少なくとも1つの特徴を呈示する被験者を治療する上で有用である:
(1)被験者が、低い、若しくは正常に満たない最大酸素摂取量(VO)を呈示する;
(2)被験者が、高い、若しくは正常レベルを超える脳性ナトリウム利尿タンパク質(BNP)又はN末端断片(NT−ProBNP)を有する;
(3)被験者が、高い、若しくは正常レベルを超えるトロポニンを有する;
(4)被験者が、高い、若しくは正常レベルを超えるC反応性タンパク質(CRP)を有する;
(5)被験者が、心電図検査(ECG)に異常を有するか、又は心臓の生理機能若しくは活性異常、例えば、心房若しくは心室駆出量減少を有すると診断されたことがある;
(6)被験者が、胸痛若しくは不快感(狭心症)、息切れ、及び活動若しくは運動に伴う疲労の徴候若しくは症状を呈示するか、又は被験者が、6分間歩行テスト(6MWT)若しくは漸増シャトルウォーキングテスト(SWT)などの体力テストにおいて体力の低下を呈示する;
(7)被験者が、低い正常レベルの、若しくは正常レベルに満たない心臓由来脂肪酸結合タンパク質(hFABP)を有する;
(8)被験者が、心臓肥大又は心臓縮小を呈示する;
(9)被験者が、心筋梗塞、又は血栓塞栓性脳卒中を経験したことがあるか、又は経験するリスクがあると診断されている;
(10)被験者が、経皮的冠動脈形成術、冠動脈バイパス術、冠動脈血管形成術、ステント留置術、心臓移植、又は除細動器留置などの冠動脈介入治療を受けたことがあるか、又はその必要があると診断されている。
本明細書に記載する方法及び組成物による治療は、前述した特徴若しくは症状の1つ又は複数を改善又は軽減することができる。本明細書で使用されるとき、「治療する」、「治療すること」及び「治療」は、哺乳動物、例えば、ヒトの疾患の治療を意味する。これは、(a)疾患を阻害すること、すなわち、その発症を停止すること;並びに(b)疾患を軽減する、すなわち、病態の退行を起こすことを包含する。
I.心臓機能アッセイ
心臓機能は、心機能の生理学的及び生化学的パラメータ、症状、機能マーカ及びバイオマーカを含む様々な手法を用いて、評価及びモニターすることができる。心機能の生理学的かつ生化学的パラメータとしては、糸球体濾過量(GFR);頸動脈超音波評価;頸動脈IMT(内膜中膜複合体厚)及び頸動脈プラーク量;左心室(LV)形状及び機能;LV重量係数;拡張末期径及びLV駆出率(心エコー検査);前腕の内皮依存性及び非依存性血管拡張などの前腕血流量測定値;血流依存性血管拡張反応;並びに上腕動脈超音波検査が挙げられる。評価のための別のパラメータとしては、心エコー検査により測定される心機能不全又は律動異常;胸部X線により測定される肺うっ血;運動能力の低下;安静時の血行動態異常;心拍出量;全身血管抵抗;左室1回拍出量;大動脈圧;左室圧;等容性収縮及び弛緩時の左室圧の最大変化速度;左室拡張末期圧;心筋酸素摂取量;並びに冠動脈血流予備能が挙げられる。
うっ血性心不全などの心臓障害の症状としては、胸痛、又は狭心症;心雑音又はその他の異常な音;速脈又は不整脈;心電図又は心エコー図検査の異常;並びにストレステスト及び心電図の異常が挙げられる。うっ血性心不全などの心臓障害のバイオマーカとしては、脳性ナトリウム利尿タンパク質(BNP)及びBNPプロペプチドのN末端断片(NT−ProBNP);トロポニン、特に、トロポニンI及び心臓トロポニンI(cTnI)などの心臓トロポニン(cTn);トロポニンT及び心臓トロポニンT(cTnT);トロポニンC(TnC);心臓由来脂肪酸結合タンパク質(hFABP);ノルエピネフリン;動脈ナトリウム利尿ペプチド(ANP);ガレクチン−3;C−反応性タンパク質;腫瘍壊死因子α(TNF−α);インターロイキン−1;並びにインターロイキン−6が挙げられる。
以上各々挙げた以外に、被験者は、心臓障害又は機能不全のない被験者に存在するベースライン活性レベルに対して高レベルのGDF15活性も呈示し得る。
高レベルのGDF15活性は、被験者からのサンプル中のGDF15のレベルを測定することによって決定することができる。「高レベル」のGDF15とみなされる量は、目的とする特定の組織又は体液、並びに使用する特定のアッセイに応じて変動し得る。一般に、「高レベル」のGDF15は、被験者、例えば、心臓疾患又は機能不全、例えば、CHFのない被験者の対照分布と比較して決定することができ、例えば、75パーセンタイル(すなわち、上位四分位点又は25%);90パーセンタイル(すなわち、上位10%);又は95パーセンタイル(すなわち、上位5%)の事前に指定したカットオフで決定してもよい。「高レベル」のGDF15はまた、平均を超える事前に指定されたGDF15レベル、例えば、平均を超える1つの標準偏差、又は心臓疾患又は機能不全、例えば、CHFのない対照被験者の群の平均GDF15レベルを超える2つの標準偏差で決定してもよい。例えば、Brown et al.,2002,THE LANCET 359:2159−2163;Kempf et al.,2011,NATURE MEDICINE,17:581−588を参照されたい。
好ましい身体サンプルは、体液、例えば、血漿のサンプルであるが、羊水、胎盤抽出物、全血、血清、バフィーコート、尿、脳脊髄液、精液、滑液、又は組織生検も好適であり得る。体液(例えば、血漿)中>600pg/ml、任意選択で>850pg/ml、任意選択で>1000pg/ml、任意選択で>1200pg/ml、任意選択で>1500pg/ml、任意選択で>1700pg/ml、任意選択で>1900pg/ml、任意選択で>2000pg/ml、任意選択で>2500pg/ml、及び任意選択で>3000pg/mlのGDF15濃度が、高レベルのGDF15を代表し得る。米国特許第7,919,084号明細書及びKempf et al.,2007,J.AM.COLL.CARDIOL.50:1054−1060を参照されたい。
身体サンプル中に存在するGDF15の量は、例えば、抗GDF15抗体を用いた免疫アッセイ(例:体液を用いた)又は免疫組織化学(例:組織生検のサンプル切片を用いた)により容易に決定することができる。Tsai et al.,2013,PLOS ONE,8:e55174を参照されたい。
被験者は、被験者の酸素摂取量の最大測定値(最大VO)が、正常値、例えば、14mL/kg/分を下回る場合、うっ血性心不全に罹患していると考えられる。(Wilson et al.,1995,J.AM.COLL.CARDIOL.,26:429−435;Lanier et al.,2012,J.EXERCISE SCIENCE & FITNESS,10:23−27を参照)。しかし、最大VOの「正常範囲」が、具体的な実験室及び検査に応じて変動し得ることは理解されよう。
被験者は、被験者の左心室駆出率(LVEF)が、正常値、例えば、40%を下回る場合、うっ血性心不全に罹患していると考えられる。LVEFが40〜55%の被験者は、正常を下回るLVEFを有すると考えられ、CHFのリスクがあると考えられる。LVEFは、例えば、経胸壁心エコー検査を用いて試験することができる。(Cattadori et al.,2011,J.CARDIAC FAILURE,17:916−922を参照)。しかし、LVEFの「正常範囲」が、具体的な実験室及び検査に応じて変動し得ることは理解されよう。
被験者は、被験者の血清BNPレベルが、100pg/mlを超える場合(軽度のCHF);又は約500pg/mlを超える/下回る場合(重度のCHF)、うっ血性心不全に罹患していると考えられる。被験者は、被験者の血清BNPレベルが、高い正常値であるか、又は正常範囲を超える、すなわち50pg/ml以上のレベルである場合、CHFのリスクがあると考えられる。正常BNP範囲は、50pg/ml以下である。「高い正常」濃度は、正常範囲の上位四分位点(25%);好ましくは、正常範囲の上位10番目(10%)であると考えられる。例えば、Strunk et al.,2006,AM.J.MED.,119:69e1−11;Clerico et al.,2012,CLIN.CHIM.ACTA,414:112−119を参照されたい。しかし、BNPの「正常範囲」が、具体的な実験室及び検査に応じて変動し得ることは理解されよう。
被験者は、被験者の血清心臓トロポニンI(cTnI)レベルが、1.5ng/mLを超える(軽度のCHF)か、又は3.1ng/mLを超える(重度のCHF)場合、うっ血性心不全に罹患していると考えられる。被験者は、被験者の血清トロポニンレベルが、高い正常値であるか、又は正常範囲を超える、すなわち、1.5ng/ml以上のレベルである場合、CHFのリスクがあると考えられる。「高い正常」濃度は、正常範囲の上位四分位点(25%);好ましくは、正常範囲の上位10番目(10%)であると考えられる。例えば、Galvani et al.,1995,CIRCULATION,95:2053−2059を参照されたい。しかし、トロポニンの「正常範囲」が、具体的な実験室及び検査に応じて変動し得ることは理解されよう。さらに、当業者であれば、トロポニンの定量に基づいて、慢性又はうっ血性心不全の診断のために他の検査が利用可能であることは認識されよう、こうした検査は、cTnI、全TnI、全心臓トロポニン、高感受性TnT(hsTnT)を含むトロポニンT(TnT)、トロポニンC及び/又はその他のトロポニンを定量する他の検査を包含する。Heringlake et al.,2013,J.AM.COLL.CARDIOL.61:672−68を参照されたい。
特定の実施形態において、被験者は、運動又は運動能力のテストにおける被験者の成績が、例えば、6マイル歩行テスト(6MWT)又はシャトルウォーキングテスト(SWT)において、最大VOの低下を示す場合、うっ血性心不全に罹患していると考えられる。Pulz et al.,2008,CANADIAN J.CARDIOLOGY,24:131−135;Green et al.,2001,J.SCIENCE AND MEDICINE IN SPORTS 4:292−300を参照されたい。例えば、6MWTにおいて約500m以下の距離を歩行するか、又は6MWTで約16.5ml/kg以下の最大VOを呈示する被験者は、CHFに罹患していると考えられる。Faggiano et al.,1997,AMERICAN HEART JOURNAL,134:203−206を参照されたい。SWTにおいて約450m以下の距離を歩行するか、又はSWTで約14ml/kg以下の最大VOを呈示する被験者は、CHFに罹患していると考えられる。Morales et al.,1999,American Heart Journal,138:291−298を参照されたい。
典型的に、被験者は、基礎疾患に起因する病的心臓肥大、又は心臓重量の増加を経験する場合、うっ血性心不全に罹患していると考えられる。病的心臓肥大は、心筋組織の機能性の低下に応答して、心筋が肥大することから、「代償性心臓肥大」と呼ばれることが多い。病的又は代償性心臓肥大は、長期にわたる運動又は運動計画に応答して、心筋が肥大する生理的心臓肥大、又は「スポーツ心臓」とは異なる。心臓肥大は、公知の技術及び指数を用いて診断することができる。例えば、左室肥大(LVH)は、心エコー検査を用いて診断することができる。左室心筋は、通常、拡張末期に約0.6〜1.1cmの厚さである。心筋が、1.1cm超の厚さである場合、LVHの診断をすることができる。心筋肥大は、拡張型心筋症(DCM)からも起こり得るが、この場合、心筋の一部が、はっきりした理由もなく拡張し得る。DCMは、胸部X線、心電図又は心エコー図の検査により診断することもできる。(myclevelandclinic.org/heart/disorders/hcm/default.aspx.を参照されたい)
同様に、被験者は、病的心臓縮小、又は心臓重量の有意な減少を経験するか、又はそれらを有すると診断された場合、うっ血性心不全に罹患していると考えられる。心筋縮小は、多くの場合、左室重量(LVM)の減少に起因する。臨床的に、LVMは、神経性食欲不振の患者に観察されることが多く、心エコー図により診断することができる。Romano et al.,2003,AM.J.CLIN.NUT.,77:308−313;Meczekalski et al.,2013,MATURITAS,75:215−220を参照されたい。本発明の方法及び組成物は、これらの方法及び条件が、各々の疾患状態の症状を緩和して、正常な心臓構造、心臓生理、及び/又は心臓機能の回復を助けるため、心臓肥大又は心臓縮小の治療に有用となり得ることは理解されよう。
前述したパラメータは、GDF15調節剤による治療前、治療中及び治療後に容易に測定することができる。
一部の実施形態では、被験者の治療は、左室駆出率を少なくとも1%(治療前の左室駆出率と比較して)改善し得る。例えば、被験者の治療は、左室駆出率を少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも12%、少なくとも14%、少なくとも16%、少なくとも18%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、又は少なくとも50%改善し得る。治療は、被験者が、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、又は少なくとも50%の左室駆出率を達成するまで継続してよい。治療は、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも10日、少なくとも14日、少なくとも21日、又は少なくとも28日にわたって左室駆出率に残余の改善をもたらし得る。
いくつかの実施形態では、被験者の治療は、心拍出量を少なくとも1%(治療前の心拍出量と比較して)改善し得る。例えば、被験者の治療は、心拍出量を少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも12%、少なくとも14%、少なくとも16%、少なくとも18%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、又は少なくとも50%改善し得る。治療は、被験者が、少なくとも2.5L/分、少なくとも3.0L/分、少なくとも3.5L/分、少なくとも4.0L/分、少なくとも4.5L/分、少なくとも5.0L/分、又は少なくとも5.25L/分を達成するまで、継続してよい。治療は、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも10日、少なくとも14日、少なくとも21日、又は少なくとも28日にわたって心拍出量に残余の改善をもたらし得る。
一部の実施形態では、被験者の治療は、左室1回拍出量を少なくとも1%(治療前の左室1回拍出量と比較して)改善し得る。例えば、被験者の治療は、左室1回拍出量を少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも12%、少なくとも14%、少なくとも16%、少なくとも18%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、又は少なくとも50%改善し得る。治療は、被験者が、少なくとも27ml、少なくとも30ml、少なくとも35ml、少なくとも40ml、少なくとも45ml、少なくとも50ml、少なくとも55ml、少なくとも60ml、少なくとも65ml、又は少なくとも70mlの左室1回拍出量を達成するまで継続してよい。治療は、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも10日、少なくとも14日、少なくとも21日、又は少なくとも28日にわたって左室1回拍出量に残余の改善をもたらし得る。
いくつかの実施形態では、被験者の治療は、全身血管抵抗を少なくとも1%(治療前の全身血管抵抗と比較して)低減し得る。例えば、被験者の治療は、全身血管抵抗を少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも12%、少なくとも14%、少なくとも16%、少なくとも18%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、又は少なくとも50%低減し得る。治療は、被験者が、3500dyn・s/cm以下、3000dyn・s/cm以下、2500dyn・s/cm以下、2000dyn・s/cm以下、又は1600dyn・s/cm以下の全身血管抵抗を達成するまで、継続してよい。治療は、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも10日、少なくとも14日、少なくとも21日、又は少なくとも28日にわたって全身血管抵抗に残余の改善をもたらし得る。
II.慢性又はうっ血性心不全の共存症
慢性心不全は、共存症の発生により悪化することが多く、共存症は、程度が軽度から重度まで多様であり得る。GDF15の阻害によって、1種又は複数種のCHFの一般的共存症の軽減も促進し得ることが、本発明の利点である。CHFに関連する一般的共存症の中でも、悪液質、慢性腎臓疾患、貧血、鉄欠乏症及び高血圧が挙げられる。従って、本発明は、それを必要とする被験者の心臓機能を高める方法を包含し、この方法は、1種又は複数種のCHFの共存症を呈示する被験者の心臓機能を高めるために、GDF15阻害剤を含む組成物を有効量で投与するステップを含む。例えば、心臓機能不全又はCHFに罹患している被験者は、悪液質、慢性腎臓疾患、貧血、鉄欠乏症又は高血圧の共存症を呈示し得る。
III.GDF15調節剤
本明細書で使用されるとき、「GDF15調節剤」は、GDF15活性を低減又は阻害する薬剤を意味すると理解され、これは、GDF15の発現、量、又は生物学的活性若しくは機能の低下の結果起こり得る。本発明の実施に有用なGDF15調節剤又は調節物質は、抗GDF15抗体、抗GDF15応答抗体、GDF15がその同族受容体結合パートナーに結合するのを阻止する可溶性GDF15模倣物若しくは類似物を含み得る。別の例示的GDF15調節物質としては、GDF15若しくはGDF15受容体の小分子阻害剤、内在性GDF15若しくはGDF15受容体の発現を干渉する干渉核酸(例えば、干渉RNA又はアンチセンス核酸(例えば、アンチセンスDNA若しくはRNA)が挙げられる。
好ましい実施形態では、GDF15調節物質は、抗GDF15抗体を含んでよく、これは、ヒト化又はヒト抗体である。本明細書で使用されるとき、別に記載のない限り、用語「抗体」は、インタクトな抗体(例えば、インタクトなモノクローナル抗体)又は抗体の抗原結合断片を意味し、最適化、改変若しくは化学的に結合された抗体のインタクトな抗体若しくは抗原結合断片(例:完全ヒト抗体、半合成抗体又は完全合成抗体を含むファージディスプレイ抗体)が含まれる。最適化された抗体の例は、親和性成熟抗体である。改変された抗体の例は、Fc最適化抗体、及び多重特異性抗体(例:二重特異性抗体)である。抗原結合断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、単鎖抗体(例:scFv)、ミニボディ及びダイアボディが挙げられる。毒素部分に結合した抗体は、化学的に結合した抗体の一例である。
いくつかの実施形態では、抗体は、以下:(a)構造CDRH1−CDRH2−CDRH3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域と(b)免疫グロブリン軽鎖可変領域を含み、ここで、重鎖可変領域と軽鎖可変領域は一緒に、GDF15若しくはGDF15受容体に結合するための単一結合部位を画定する。CDRH1、CDRH2、及びCDRH3配列は、免疫グロブリンフレームワーク(FR)配列の間に挿入されている。いくつかの他の実施形態では、抗体は、以下:(a)構造CDRL1−CDRL2−CDRL3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域と(b)免疫グロブリン重鎖可変領域を含み、ここで、IgG軽鎖可変領域とIgG重鎖可変領域は一緒に、GDF15若しくはGDF15受容体に結合するための単一結合部位を画定する。CDRL1、CDRL2、及びCDRL3配列は、免疫グロブリンフレームワークFR配列の間に挿入されている。いくつかの他の実施形態では、抗体は、以下:(a)構造CDRH1−CDRH2−CDRH3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域と(b)構造CDRL1−CDRL2−CDRL3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含み、ここで、重鎖可変領域と軽鎖可変領域は一緒に、GDF15若しくはGDF15受容体に結合するための単一結合部位を画定する。例示的抗GDF15抗体は、例えば、米国特許出願公開第2014−0193427−A1号明細書に記載されており、その開示内容は、あらゆる目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明の方法及び組成物に有用な例示的抗GDF15抗体は、例えば、以下の表1に記載するCDRH1、CDRH2、及びCDRH3領域配列の9つのセットのいずれか1つを含む重鎖可変領域を含む。
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本発明の方法及び組成物に有用な例示的GDF15抗体は、例えば、以下の表2に記載するCDRL1、CDRL2、及びCDRL3領域配列の4つのセットのいずれか1つを含む軽鎖可変領域を含む。
Figure 0006910800
本発明の実施に有用な例示的抗GDF15抗体は、米国特許出願公開第2014−0193427−A1号明細書に記載されており、01G06、03G05、04F08、06C11、08G01、14F11、17B11、並びにそのヒト又はヒト化形態を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗体(例えば、01G06、03G05、04F08、06C11、08G01、14F11、若しくは17B11、又はそのヒト化形態)を用いて、CHFの症状を提示するか、又はCHFを有する、若しくはCHFを有するリスクがあると診断されているCHF又は別の心臓関連疾患若しくは障害を治療する。一部の実施形態では、抗体は、CHF又は別の心臓関連疾患若しくは障害の症状又は特徴を少なくとも2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%若しくは35%逆転する。
好ましい実施形態では、本発明の実施に有用な例示的抗GDF15抗体は、米国特許出願公開第2014−0193427−A1号明細書に01G06として示されている。01G06抗体のヒト化形態は、それぞれの重鎖及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列と一緒に記載されている。例示的ヒト化抗GDF15抗体としては、以下のものが挙げられる:Hu01G06−1;Hu01G06−46;Hu01G06−52;Hu01G06−100;Hu01G06−101;Hu01G06−102;Hu01G06−103;Hu01G06−104;Hu01G06−105;Hu01G06−106;Hu01G06−107;Hu01G06−108;Hu01G06−109;Hu01G06−110;Hu01G06−111;Hu01G06−112;Hu01G06−113;Hu01G06−114;Hu01G06−122;Hu01G06−127;Hu01G06−135;Hu01G06−138;Hu01G06−146;Hu06C11−1;Hu06C11−27;Hu06C11−30;Hu14F11−1;Hu14F11−23;Hu14F11−24;Hu14F11−39;及びHu14F11−47。前述した抗体各々の重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列を以下の表3に記載する。
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本明細書に記載する抗体は、当技術分野で公知の技術を用いて、設計、試験、及び製剤化し得ることは理解されよう。
配列番号25
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配列番号26
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配列番号27
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配列番号29
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配列番号28
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配列番号32
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配列番号33
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配列番号35
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配列番号36
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配列番号37
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配列番号30
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配列番号38
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配列番号39
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配列番号40
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配列番号41
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配列番号43
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配列番号42
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配列番号44
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配列番号45
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配列番号46
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配列番号47
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配列番号48
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配列番号49
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配列番号38
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配列番号51
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配列番号52
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配列番号54
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配列番号55
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配列番号56
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配列番号57
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配列番号50
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配列番号31
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配列番号53
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配列番号34
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抗体は、GDF15活性を低減する中和抗体であってもよい。例えば、抗体は、抗体の非存在下、同じ条件下で同じアッセイにより測定したGDF15活性と比較して、in vivoアッセイ(例えば、Johnen et al.,2007,NATURE MEDICINE 13:1333−1340を参照)において、GDF15活性を少なくとも10%、好ましくは20%、30%又は40%、より好ましくは少なくとも約50%、60%、80%、又は90%低減し得る。抗体は、GDF15とその内在性受容体の結合を選択的及び/若しくは有意に低減又は阻害し得る。本明細書で使用されるとき、GDF15とその受容体の「結合を有意に低減又は阻害する」という用語は、抗体が、前記抗体の非存在下でのGDF15(血清レベル/活性)の少なくとも10%、好ましくは20%、30%又は40%、より好ましくは少なくとも約50%、60%、80%、又は90%を示す能力又は阻害率(%)で、GDF15結合を阻害することを意味すると理解される。結合は、例えば、Tsai et al.,2013,PLOS ONE,8:e55174に記載されているように、直接又はサンドイッチ酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)を用いて測定することができる。本明細書で使用されるとき、GDF15又はGDF15受容体に結合する抗体に関連する用語「選択的に」は、抗体が、機能的に無関係なタンパク質又はTGF−βスーパーファミリーの別のメンバー若しくはTGF−βスーパーファミリーのメンバーの受容体に比して、少なくとも2、3、4、5若しくは10倍高い結合親和性で、GDF15又はGDF15受容体に結合することを意味すると理解される。
抗体及び抗体断片の抗原性を低減又は排除する方法は、当技術分野で公知である。抗体をヒトに投与しようとするとき、ヒトにおける抗原性を低減又は排除するために、抗体を「ヒト化する」のが好ましい。好ましくは、ヒト化した抗体は各々、それが由来する非ヒト化マウス抗体と同じ若しくは実質的に同じ親和性を有する。
1つのヒト化手法では、マウス免疫グロブリン定常領域がヒト免疫グロブリン定常領域で置換されたキメラタンパク質を作製する。例えば、Morrison et al.,1984,PROC.NAT.ACAD.SCI.81:6851−6855,Neuberger et al.,1984,NATURE 312:604−608;米国特許第6,893,625号明細書(Robinson);同第5,500,362号明細書(Robinson);及び同第4,816,567号明細書(Cabilly)を参照されたい。
CDR移植として知られる手法では、軽鎖及び重鎖可変領域のCDRを別の種からのフレームワークに移植する。例えば、マウスCDRをヒトFRに移植することができる。一部の実施形態では、抗GDF15抗体の軽鎖及び重鎖可変領域のCDRをヒトFR又は共通ヒトFRに移植する。共通ヒトFRを作製するために、複数のヒト重鎖又は軽鎖アミノ酸配列由来のFRをアラインメントして、共通アミノ酸配列を見出す。CDR移植は、以下の文献に記載されている:米国特許第7,022,500号明細書(Queen);同第6,982,321号明細書(Winter);同第6,180,370号明細書(Queen);同第6,054,297号明細書(Carter);同第5,693,762号明細書(Queen);同第5,859,205号明細書(Adair);同第5,693,761号明細書(Queen);同第5,565,332号明細書(Hoogenboom);同第5,585,089号明細書(Queen);同第5,530,101号明細書(Queen);Jones et al.,1986,NATURE 321:522−525;Riechmann et al.,1988,NATURE 332:323−327;Verhoeyen et al.,1988,SCIENCE 239:1534−1536;及びWinter,1998,FEBS LETT 430:92−94。
「SUPERHUMANIZATION(商標)」と呼ばれる手法では、ヒトCDRとヒト化しようとするマウス抗体のそれとの構造的類似性に基づいて、ヒトCDR配列をヒト生殖系列遺伝子から選択する。例えば、米国特許第6,881,557号明細書(Foote);及びTan et al.,2002,J.IMMUNOL.169:1119−1125を参照されたい。
免疫原性を低減するその他の方法として、「再構成(reshaping)」、「超キメラ化(hyperchimerization)」、及び「ベニヤリング(veneering)/表面再構成(resurfacing)」が挙げられる。例えば、Vaswami et al.,1998,ANNALS OF ALLERGY,ASTHMA,& IMMUNOL.81:105;Roguska et al.,1996,PROT.ENGINEER 9:895−904;及び米国特許第6,072,035号明細書(Hardman)を参照されたい。ベニヤリング(veneering)/表面再構成(resurfacing)手法では、マウス抗体における表面接触可能アミノ酸残基が、ヒト抗体における同じ位置で、より頻繁に見出されるアミノ酸残基によって置換される。このタイプの抗体表面再構成は、例えば、米国特許第5,639,641号明細書(Pedersen)に記載されている。
ヒトへの医療用途に好適な形態にマウス抗体を変換する別の手法は、ACTIVMAB(商標)技術(Vaccinex,Inc.,Rochester,NY)であり、これは、哺乳動物細胞に抗体を発現するためのワクシニアウイルスベースのベクターを含む。IgG重鎖及び軽鎖の高レベルの組み合わせ多様性が得られると記載されている。例えば、米国特許第6,706,477号明細書(Zauderer);同第6,800,442号明細書(Zauderer);及び同第6,872,518号明細書(Zauderer)を参照されたい。
ヒトに使用するのに好適な形態にマウス抗体を変換する別の手法は、KaloBios Pharmaceuticals,Inc.(Palo Alto,CA)により商業的に実施される技術である。この技術は、抗体選択のために「エピトープフォーカス」ライブラリーを作製するための、専売のヒト「アクセプター」ライブラリーの使用を含む。
ヒトへの医療用途に好適な形態にマウス抗体を修飾する別の手法は、HUMAN ENGINEERING(商標)技術であり、これは、XOMA(US)LLCにより商業的に実施される。例えば、国際公開第93/11794号パンフレット及び米国特許第5,766,886号明細書(Studnicka);同第5,770,196号明細書(Studnicka);同第5,821,123号明細書(Studnicka);及び同第5,869,619号明細書(Studnicka)を参照されたい。
抗体のヒト免疫原性を低減又は排除するために、前記手法のいずれかを含む任意の好適な手法を用いることができる。
さらに、マウスにおいて完全ヒト抗体を作製することも可能である。いずれかの非ヒト配列を欠失した完全ヒトmAbは、例えば、Lonberg et al.,NATURE 368:856−859,1994;Fishwild et al.,NATURE BIOTECHNOLOGY 14:845−851,1996;及びMendez et al.,NATURE GENETICS 15:146−156,1997で参照される技術によりヒト免疫グロブリントランスジェニックマウスから調製することができる。完全ヒトmAbは、例えば、Knappik et al.,J.MOL.BIOL.296:57−86,2000;Krebs et al.,J.IMMUNOL.METH.254:67−84 2001)に参照されている技術によりファージディスプレイライブラリーから調製及び最適化することもできる。
おとりとして作用するGDF15の変異体及び誘導体は、本発明の実施に有用であり得ると考えられる。例えば、欠失分析により、その同族受容体について内在性GDF15と競合するGDF15のより小さな生物活性断片を見出すことも可能であろう。同様に、利用可能なGDFの内在性GDF15受容体と競合するGDF15受容体の可溶性生物活性断片を作製することもできる。例えば、「生物活性断片」として、限定はしないが、同族結合パートナー(例えば、それぞれGDF15受容体又はGDF15)との結合について、それぞれ内在性GDF15又は内在性GDF15受容体と競合する天然GDF15(若しくは相同体)又はGDF15受容体(若しくは相同体)の断片が挙げられる。
当技術分野で公知の技術を用いて、アンチセンス核酸(DNA及びRNA)並びに干渉核酸(例えば、siRNA)を設計及び使用できることが考えられる。GDF15の例示的siRNA阻害剤としては、以下のものが挙げられる:Santa Cruz Biotech製のsiRNA(カタログ番号sc−39799、マウスGDF15をターゲティング;及びカタログ番号sc−39798、ヒトGDF15をターゲティング)、Life Technologies製のsiRNA(カタログ番号AM16708、4392420、及び1299001,ヒトGDF15をターゲティング;並びにカタログ番号1320001及び4390771、マウスGDF15をターゲティング;並びにカタログ番号1330001及び4390771、ラットGDF15をターゲティング)、Fisher Scientific製のsiRNA(カタログ番号NC0683807、ヒトGDF15をターゲティング)、Origene(カタログ番号SR306321、ヒトGDF15をターゲティング)、amsbio製のsiRNA(カタログ番号SR509800、ラット(rate)GDF15をターゲティング)、Dharmacon製のsiRNA(カタログ番号D−019875−02、ヒトGDF15をターゲティング)、Sigma−Aldrich製のsiRNA(カタログ番号EHU052901、ヒトGDF15をターゲティング)、並びにKim et al.,2005,MOLECULAR CANCER THERAPEUTICS,4:487−493,Chang et al.,2007 MOL.CANCER THERAPEUTICS,6:2271−2279、及びBoyle et al.,2009,J.INVEST.DERMATOL.,129:383−391に記載のsiRNA。
IV.GDF15調節剤の製剤化及び送達
本明細書に開示するものなどのGDF15調節剤を含有する医薬組成物は、標準的製剤化技術を用いて、剤形又は投与単位に製剤化することができる。しかし、医薬組成物は、意図する投与経路と適合性であるように製剤化すべきである。
本明細書に記載する組成物は、限定はしないが、以下に挙げるいずれかの経路で被験者に投与することができる:静脈内(例えば、輸液ポンプ)、腹腔内、眼内、動脈内、肺内、経口、吸入、膀胱内、筋肉内、気管内、皮下、眼内、髄腔内、経皮、経胸膜、動脈内、局所、吸入(例えば、噴霧スプレーとして)、粘膜(鼻粘膜など)、皮下、経皮、胃腸、関節内、大槽内、心室内、直腸(すなわち、座薬により)、膣(すなわち、ペッサリーにより)、頭蓋内、尿道内、肝臓内、及び腫瘍内。一部の実施形態では、組成物を全身投与する(例えば、静脈内注射により)。一部の実施形態では、組成物を局所投与する(例えば、動脈内又は眼内注射により)。抗体などのGDF15調節剤の好ましい投与経路は、静脈内注入によるものである。
有用な製剤は、薬学の分野で公知の技術によって調製することができる。例えば、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,18th ed.(Mack Publishing Company,1990)を参照されたい。非経口投与に好適な製剤成分としては、注射用静菌水、生理学的食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又はその他の合成溶媒などの滅菌希釈剤;ベンジルアルコール又はメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;EDTAなどのキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩などのバッファー;並びに塩化ナトリウム又はデキストロースなどの張性の調節のための薬剤が挙げられる。担体は、製造及び貯蔵の条件下で安定性であり、且つ、微生物から保護されなければならない。一部の実施形態では、組成物(例えば、抗体)を凍結乾燥し、投与時に、緩衝食塩水中で再構成する。
治療用途の場合、組成物(例えば、抗体)を薬学的に許容される担体と組み合わせるのが好ましい。本明細書で用いる場合、「薬学的に許容される担体」は、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、又はその他の問題若しくは合併症を起こすことなく、ヒト及び動物の組織と接触させる用途に好適で、妥当な受益度/危険度比に相応するバッファー、担体、及び賦形剤を意味する。担体は、製剤の他の成分と適合性であり、且つレシピエントに対して有害ではないという意味で、「許容される」ものでなければならない。薬学的に許容される担体としては、医薬品投与と適合性のバッファー、溶媒、分散媒、コーティング剤、等張及び吸収遅延剤などが挙げられる。薬学的に活性の物質のためのこうした媒体及び薬剤の使用は当分野において公知である。
医薬組成物は、滅菌されているのが好ましい。滅菌は、例えば、滅菌濾過膜を介した濾過により達成することができる。組成物が凍結乾燥されている場合、凍結乾燥及び再構成の前、又は後にフィルター滅菌を実施することができる。
一般に、治療有効量の活性成分は、0.1mg/kg〜100mg/kg、例えば、1mg/kg〜100mg/kg、1mg/kg〜10mg/kgの範囲である。投与する量は、治療しようとする疾患若しくは適応症の種類及び程度、患者の全身の健康状態、組成物(例えば、抗体)のin vivo効力、医薬製剤、及び投与経路に応じて変動し得る。最初の投与量は、所望の血液レベル又は組織レベルを迅速に達成するために、上限レベルを超えて増加することができる。あるいは、最初の投与量は、最適より少なくしてもよく、1日用量を治療の過程で段階的に増加させてもよい。ヒト投与量は、0.5mg/kgから20mg/kgまで実施するように設計された従来の第I相用量漸増試験で最適化することができる。投与頻度は、投与経路、投与量、組成物(例えば、抗体)の血清半減期、及び治療対象の疾患などに応じて変動し得る。例示的投与頻度は、1日1回、週1回及び隔週1回である。
組成物の最適な有効量は、実験により決定することができ、疾患の種類及び重症度、投与経路、疾患の進行及び被験者の健康状態、重量及び身体部位に応じて変動し得る。こうした決定は、当業者の技術の範囲内である。本明細書に記載する方法に用いることができるGDF15調節剤分子の投与量の例として、限定はしないが、約0.01μg/kg〜約300mg/kg、若しくは約0.1μg/kg〜約40mg/kgの任意の用量範囲内、又は約1μg/kg〜約20mg/kgの範囲内、又は約1μg/kg〜約10mg/kgの範囲内の有効量が挙げられる。例えば、皮下投与される場合、組成物は、約0.1μg/kg以下、約0.05μg/kg以下、又は約0.01μg/kg以下などの低いマイクログラム範囲で投与してよい。
いくつかの実施形態では、被験者に投与するGDF15調節剤の量は、1用量当たり約10μg〜約500mg、例えば、1用量当たり約10μg〜約50μg、約50μg〜約100μg、約100μg〜約200μg、約200μg〜約300μg、約300μg〜約500μg、約500μg〜約1mg、約1mg〜約10mg、約10mg〜約50mg、約50mg〜約100mg、約100mg〜約200mg、約200mg〜約300mg、約300mg〜約400mg、又は約400mg〜約500mgを含む。いくつかの実施形態では、GDF15調節剤は、約0.025mg〜約4mg、約0.035mg〜約2mg、約0.05mg〜約2mg、約0.1mg〜約2mg、約0.2mg〜約1mg、又は約0.2mg〜約0.8mgのGDF15調節剤を投与することができる。一実施形態では、0.5mgのGDF15調節剤を局所投与する。いくつかの実施形態では、約0.05mg〜約2mg、約0.2mg〜約2mg、約0.05mg〜約1.5mg、約0.15mg〜約1.5mg、約0.4mg〜約1mg、又は約0.5mg〜約0.8mgのGDF15調節剤を局所投与する。
GDF15調節剤は、1日の単一用量として投与してもよいし、又は1日の総用量を1日2回、3回、又は4回の分割用量として投与してもよい。組成物はまた、毎日より少ない頻度で、例えば、週6回、週5回、週4回、週3回、週2回、週1回、2週間ごとに1回、3週間毎に1回、月1回、2ヵ月に1回、3ヵ月に1回、又は6ヵ月に1回投与することもできる。さらに、組成物は、特定の時間にわたって使用する組成物を徐々に放出するインプラントなどの持続的放出製剤として投与してもよく、これにより、組成物を投与する頻度を、例えば、月1回、2〜6ヵ月に1回、年1回、又は単一回投与のように減らすことができる。持続的放出デバイス(ペレット、ナノ粒子、ミクロ粒子、ナノスフィア、マイクロスフィアなど)は、注射により投与してもよいし、又は身体の様々な位置に外科的に埋め込んでもよい。
本発明のいくつかの実施形態では、GDF15調節剤の投与は、用量が有害な作用を軽減又は阻止し、しかも、GDF15の活性を完全若しくは部分的に阻害するのに十分であるように滴定する。
一部の態様では、GDF15調節剤の活性は、アンチセンス核酸又は低分子干渉核酸を用いて、標的細胞中で調節することができる。調節は、当技術分野で公知の発現構築物、例えば、抗GDF15siRNA又はアンチセンス分子をコードする核酸を発現するためのネイキッドDNA構築物、DNAベクターベースの構築物、並びに/又はウイルスベクター及び/若しくはウイルスベースの構築物を用いて達成することができる。
こうした構築物の例示的DNA構築物及び治療への使用は、当業者には周知である(例えば、Chiarella et al.,2008,RECENT PATENTS ANTI−INFECT.DRUG DISC.,3:93−101;Gray et al.,2008,EXPERT OPIN.BIOL.THER.,8:911−922;Melman et al.,2008,HUM.GENE THER.,17:1165−1176)。ネイキッドDNA構築物は、典型的に、1種又は複数種の治療用核酸(例えば、GDF15調節剤)とプロモータ配列を含む。ネイキッドDNA構築物は、一般にpDNAと呼ばれるDNAベクターであってよい。ネイキッドDNAは、典型的に、染色体DNAに組み込まれない。概して、ネイキッドDNA構築物は、脂質、ポリマー、又はウイルスタンパク質の存在を必要としないか、又はそれらと一緒に使用されない。こうした構築物は、本明細書に記載する非治療成分の1つ又は複数を含んでもよい。
DNAベクターは、当技術分野で公知であり、典型的に、環状二本鎖DNA分子である。DNAベクターは、通常、3〜5キロ塩基対の範囲のサイズ(例えば、挿入された治療核酸を含む)である。ネイキッドDNAと同様に、DNAベクターは、1種又は複数種の治療用タンパク質を標的細胞に送達及び発現させるために使用することができる。DNAベクターは、染色体DNAに組み込まれない。
一般に、DNAベクターは、標的細胞における複製を可能にする少なくとも1つのプロモータ配列を含む。DNAベクターの取り込みは、DNAベクターを例えばカチオン性脂質と組み合わせて、DNA複合体を形成することにより、促進することができる。典型的に、ウイルスベクターは、ウイルスに由来する二本鎖環状DNA分子である。ウイルスベクターは、典型的に、ネイキッドDNA及びDNAベクター構築物よりサイズが大きく、外来(すなわち、ウイルスによりコードされていない)遺伝子の導入のために、より大きな容量を有する。ネイキッドDNA及びDNAベクターと同様に、ウイルスベクターを用いて、1種又は複数種の治療用核酸を標的細胞に送達及び発現させることもできる。ネイキッドDNA及びDNAベクターとは異なり、いくつかのウイルスベクターは、それ自体が染色体DNAに安定に組み込まれる。典型的に、ウイルスベクターは、宿主細胞において、ベクターによりコードされた1つ又は複数の核酸、例えば、治療用核酸の複製を可能にする少なくとも1つのプロモータ配列を含む。ウイルスベクターは、任意選択で、本明細書に記載する1つ又は複数の非治療成分を含んでもよい。有利なことに、標的細胞へのウイルスベクターの取り込みは、追加成分、例えば、カチオン性脂質を必要としない。むしろ、ウイルスベクターは、標的細胞との接触後直ちに細胞をトランスフェクトするか、又は細胞に感染する。
本明細書に記載する手法は、特にヒトへの、in vivoでの外性遺伝子の移入のための組換え遺伝子送達系として、レトロウイルスベクター、アデノウイルス由来のベクター、及び/又はアデノ−関連ウイルスベクターの使用を含む。組換えレトロウイルスを生成するプロトコル、及びこうしたウイルスに細胞をin vitro又はin vivoで感染させるプロトコルは、CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,Ausubel,F.M.et al.(eds.)Greene Publishing Associates,(1989),Sections 9.10−9.14、並びにその他の標準的実験マニュアルに見出すことができる。
DNAベクター及びウイルスベクターのDNAの形質導入因子として用いられるウイルス、例えば、アデノウイルス、レトロウイルス、及びレンチウイルスなどを本発明の実施に使用してもよい。例示的レトロウイルスとして、限定はしないが、以下のものが挙げられる:モロニーマウス白血病ウイルス(Moloney murine leukemia virus)(M−MuLV)、モロニーマウス肉腫ウイルス(Moloney murine sarcoma virus)(MoMSV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス(Harvey murine sarcoma virus)(HaMuSV)、マウス乳癌ウイルス(murine mammary tumor virus)(MuMTV)、テナガザル白血病ウイルス(gibbon ape leukemia virus)(GaLV)、ネコ白血病ウイルス(feline leukemia virus)(FLV)、スプマウイルス(spumavirus)、フレンドマウス白血病ウイルス(Friend murine leukemia virus)、マウス幹細胞ウイルス(Murine Stem Cell Virus)(MSCV)及びラウス肉腫ウイルス(Rous Sarcoma Virus(RSV))並びにレンチウイルス(lentivirus)。本明細書で使用されるとき、用語「レンチウイルス(lentivirus)」は、複合型レトロウイルスの群(又は属)を指す。例示的レンチウイルスとして、限定はしないが、以下のものが挙げられる:HIV(ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus);HIV1型、及びHIV2型を含む);ビスナ・マエディウイルス(visna−maedi virus)(VMV);イヌ関節炎−脳炎ウイルス(caprine arthritis−encephalitis virus)(CAEV);ウマ感染性貧血ウイルス(equine infectious anemia virus)(EIAV);ネコ免疫不全ウイルス(feline immunodeficiency virus)(FIV);ウシ免疫不全ウイルス(bovine immune deficiency virus)(BIV);及びサル免疫不全ウイルス(simian immunodeficiency virus)(SIV)。
いくつかの実施形態では、アデノウイルスは、本明細書に記載する方法に従って用いることができる。アデノウイルスのゲノムは、それが、目的の遺伝子産物をコードして、発現するが、正常な溶菌ウイルス生活環で複製するその能力に関して不活性化されるように、操作することができる。アデノウイルス株Ad5型dl324又はその他のアデノウイルス株(例えば、Ad2、Ad3、Ad7など)は、当業者には周知である。組換えアデノウイルス株は、それらが、非分裂細胞に感染することができず、また、上皮細胞を含む多種の細胞型を感染させるために用いることができるという点で、特定の状況では有利となり得る。さらに、ウイルス粒子は、比較的安定しており、精製及び濃縮させやすく、前述したように、感染性のスペクトルに影響するように修飾することができる。さらに、導入されたアデノウイルスDNA(及びそこに含まれる外来DNA)は、宿主細胞のゲノム中に組み込まれていないが、エピソームのままであるため、導入されたDNAが宿主細胞(例えば、レトロウイルスDNA)に組み込まれているin situでの挿入突然変異誘発によって起こり得る潜在的問題が回避される。さらに、外来DNAについてアデノウイルスゲノムの輸送量は、他の遺伝子送達ベクターと比較して大きい(最大8キロバイト)。
アデノ関連ウイルスは、効率的複製及び生産的生活環のためのヘルパーウイルスとして、アデノウイルス又はヘルペスウイルスなどの別のウイルスを必要とする、天然の欠損ウイルスである。これはまた、そのDNAを非分裂細胞に組み込むことができ、高頻度の安定な組み込みを呈示する少数のウイルスの1つでもある。
様々な実施形態では、治療用トランスジーン又はGDF15調節剤をコードするトランスジーンを発現する1つ又は複数のウイルスベクターを、被験者の細胞、組織、若しくは臓器への直接注射によりin vivoで投与する。様々な他の実施形態では、ウイルス中に包膜されたベクターをin vitro若しくはex vivoで細胞に形質導入し、任意選択で、ex vivoで増殖させる。その後、形質導入した細胞を被験者に投与する。形質導入に好適な細胞として、限定はしないが、幹細胞、前駆細胞、及び分化細胞が挙げられる。いくつかの実施形態では、形質導入細胞は、胚性幹細胞、骨髄幹細胞、臍帯血幹細胞、胎盤幹細胞、間葉系幹細胞、神経幹細胞、肝幹細胞、膵幹細胞、心臓幹細胞、腎幹細胞、又は造血幹細胞である。
特定の実施形態では、1つ又は複数のポリペプチドを発現する本発明のウイルスベクターを形質導入した宿主細胞を、被験者に投与して、聴覚疾患、障害、若しくは病状を治療及び/又は予防する。本発明のいくつかの実施形態に従って使用され得る、ウイルスベクターの使用に関連する他の方法は、以下の文献に見出すことができる:Kay,1997,CHEST,111(6 Supp.):138S−142S;Ferry et al.,1998,HUM.GENE THER.,9:1975−81;Shiratory et al.,1999,LIVER,19:265−74;Oka et al.,2000,CURR.OPIN.LIPIDOL.,11:179−86;Thule et al.,2000,GENE THER.,7:1744−52;Yang,1992,CRIT.REV.BIOTECHNOL.,12:335−56;Alt,1995,J.HEPATOL.,23:746−58;Brody et al.,1994,ANN.N.Y.ACAD.SCI.,716:90−101;Strayer,1999,EXPERT OPIN.INVESTIG.DRUGS,8:2159−2172;Smith−Arica et al.,2001,CURR.CARDIOL.REP.,3:43−49;及びLee et al.,2000,NATURE,408:483−8。
本発明のいくつかの実施形態は、目的のポリヌクレオチドの条件付発現を可能にする。例えば、ポリヌクレオチドを発現させるか、又は目的のポリヌクレオチドによりコードされるポリヌクレオチドの発現に増大若しくは低減を引き起こす処置又は条件に、細胞、組織、生物などを付すことによって、発現を制御する。誘導性ポリマー/誘導系の実例として、限定はしないが、以下のものが挙げられる:グルココルチコイド若しくはエストロゲン受容体をコードする遺伝子のプロモータなどのステロイド誘導性プロモータ(対応するホルモンでの処理により誘導可能)、メタロチオニンプロモータ(様々な重金属での処置により誘導可能)、MX−1プロモータ(インターフェロンにより誘導可能)、「GeneSwitch」ミフェプリストン調節系(Sirin et al.,2003,GENE,323:67)、クメート(cumate)誘導性遺伝子スイッチ(国際公開第2002/088346号パンフレット)、テトラサイクリン依存性調節系など。
条件付発現はまた、部位特異的DNAリコンビナーゼを用いることによって達成することもできる。本発明のいくつかの実施形態によれば、ベクターは、部位特異的リコンビナーゼにより媒介される組換えのための、少なくとも1つ(典型的には2つ)の部位を含む。本明細書で使用するとき、用語「リコンビナーゼ」又は「部位特異的リコンビナーゼ」は、1つ又は複数の組換え部位(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、7つ、10、12、15、20、30、40など)を含む組換え反応に関与する切断若しくは組み込みタンパク質、酵素、補因子又は結合タンパク質を包含し、これらは、野生型タンパク質(Landy,1993,CURRENT OPINION IN BIOTECHNOLOGY,3:699−707を参照)、又は突然変異体、誘導体(例えば、組換えタンパク質配列若しくはその断片を含有する融合タンパク質)、及びその変異体であってもよい。本発明の具体的な実施形態での使用に好適なリコンビナーゼの例として、限定はしないが、Cre、Int、IHF、Xis、Flp、Fis、Hin、Gin、OC31、Cin、Tn3レゾルバーゼ、TndX、XerC、XerD、TnpX、Hjc、Gin、SpCCEl.及びParAが挙げられる。
ベクターは、非常に多様な部位特異的リコンビナーゼのいずれかの1つ又は複数の組換え部位を含んでもよい。部位特異的リコンビナーゼの標的部位が、ベクター(例えば、レトロウイルスベクター若しくはレンチウイルスベクター)の組換えに必要ないずれかの部位に加えて存在することは理解すべきである。
いくつかの実施形態では、ベクターは、選択マーカとも呼ばれる選択遺伝子を含む。典型的選択遺伝子は、下記のタンパク質をコードする:(a)抗生物質若しくはその他の毒素、例えば、アンピシリン、ネオマイシン、ヒグロマイシン、メトトレキサート、ゼオシン(Zeocin)、ブラストシジン(Blastocidin)、若しくはテトラサイクリンを付与するタンパク質、(b)栄養要求性欠失を補足するタンパク質、又は(c)複合培地から得られない重要な栄養素、例えば、バチルス属(Bacilli)の場合、D−アラニンラセマーゼをコードする遺伝子を供給するタンパク質。形質転換した細胞株を回収するために、いくつの選択系を使用してもよい。こうした系として、限定はしないが、単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus)チミジンキナーゼ(Wigler et al.,1977,CELL,11:223−232)及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy et al.,1990,CELL,22:817−823)遺伝子が挙げられ、これらは、それぞれ、tk−又はaprt−細胞で使用することができる。
本明細書に記載する発現構築物を作製するために必要な分子生物学的技術は全て、標準的技術であり、当業者により認識されるであろう。
いくつかの実施形態では、DNA送達は、例えば、米国特許第5,543,158号明細書;同第5,641,515号明細書;及び同第5,399,363号明細書(各々、その全体を参照により本明細書に組み込む)に記載されているように、非経口、静脈内、筋肉内、あるいは腹腔内でも実施することができる。遊離塩基又は薬学的に許容される塩としての活性化合物の溶液は、好適には、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と好適に混合した水を用いて調製することができる。分散液はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物並びに油を用いて調製することもできる。貯蔵及び使用の通常の条件下で、これらの調製物は、微生物の増殖を阻止するために防腐剤を含有する。
いくつかの実施形態では、DNA送達は、好適な宿主細胞への本発明の組成物の導入を目的とする、リポソーム、ナノカプセル、ミクロ粒子、ミクロスフィア、脂質粒子、小胞体の使用により、任意選択で、細胞貫通ポリペプチドなどとの混合によって実施してもよい。特に、本発明の組成物は、脂質粒子、リポソーム、小胞体、ナノスフィア、ナノ粒子などのいずれかに包膜して、送達のために製剤化することができる。こうした送達ビヒクルの製剤化及び使用は、公知で一般的技術を用いて実施することができる。
ex vivoDNA送達のための例示的製剤はまた、リン酸カルシウム、エレクトロポレーション、熱ショック及び様々なリポソーム製剤(すなわち、脂質媒介トランスフェクション)など、当技術分野で公知の各種トランスフェクション剤の使用も含み得る。本発明の具体的な実施形態は、薬学の分野でよく知られているものなど、その他の製剤を含んでもよく、これらは、例えば、REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY,20th Edition.Baltimore,MD:Lippincott Williams & Wilkins,2000に記載されている。
いくつかの実施形態では、GDF15活性は、GDF15調節剤がGDF15活性を低減又は阻害することを可能にする条件下で、GDF15調節剤を含む組成物と体液をex vivoで接触させることによって阻害される。好適な体液として、血液、血漿、又はリンパ液など、個体に戻すことができるものが挙げられる。アフィニティ吸着アフェレーシスについては、Nilsson et al.,1988,BLOOD,58(1):38−44;Christie et al.,1993,TRANSFUSION,33:234−242;Richter et al.,1997,ASAIO J.,43(1):53−59;Suzuki et al.,1994,AUTOIMMUNITY,19:105−112;米国特許第5,733,254号明細書;Richter et al.,1993,METABOL.CLIN.EXP.,42:888−894;及びWallukat et al.,1996,INT’L J.CARD.,54:1910195に概要が記載されている。
従って、本発明は、被験者における本明細書に記載の1つ又は複数の疾患を治療する方法を含み、この方法は、調節剤が被験者の血液中のGDF15活性を低減又は阻害することを可能にする条件下で、GDF15調節剤を含む組成物で、被験者の血液を体外(すなわち、身体外部若しくはex vivoで)処置するステップを含む。
実施例1.うっ血性心不全を有する被験者及びうっ血性心不全のない被験者におけるGDF15レベル
245人の被験者からの血漿のサンプルを検査し、結果を図1〜6にまとめる。DuoSet ELISA Development Kit(R&D Systems,#DY957)を用いて、製造者の推奨に従い、1:50血漿希釈度でGDF15を評価した。アッセイ間変動係数(CV)は、5.6%であり、アッセイ内CVは、2.9%であった。
GDF15レベルは、CHFを有すると診断された被験者(n=200;悪液質を伴わないCHFの場合、平均約1900pg/mlのGDF15;悪液質を伴うCHFの場合、平均約3000pg/mlのGDF15)の方が、CHFではない被験者(n=45;平均約1000pg/ml)よりも有意に高いことが判明した(図1)。GDF15レベルは、悪液質共存症を呈示する(n=33;平均約3000pg/mlのGDF15)又は呈示しない(n=167;平均約1900pg/mlのGDF15)にかかわらず、CHFを有する被験者の方が有意に高かった(図1)。平均GDF15レベルは、CHFの重症度が高くなるにつれて増加した(図2)。
CHFの機能性マーカである最大VOの分析から、最大VOは、GDF15レベルの増加と共に減少した(CHFの重症度が高くなった)ことが明らかである(図3A〜3C)。
CHFの一般的共存症である貧血の機能性マーカ、トランスフェリン全飽和度(TSAT)の分析から、TSATは、GDF15レベルの増加と共に減少した(貧血の重症度が高くなった)ことが明らかである(図4)。
CHFのもう一つの一般的共存症、腎機能のマーカであるクレアチニン及び尿素レベルの分析から、クレアチニンレベルは、GDF15レベルの増加と共に、CHF(悪液質の有無にかかわらず)を有する被験者において増加する(腎障害の重症度が高くなる)ことが明らかである(図5A及び5B)。また、尿素レベルも、GDF15レベルの増加と共に、悪液質のないCHFを有する被験者において増加した(腎障害の重症度が高くなった)(図5C)。
CHFを有する200人の被験者における腎機能マーカの分析から、尿素、尿酸及びクレアチニンのレベルは全て、GDF15レベルの増加と共に増加した(腎障害が増大した)のに対し(図6A、6B及び6C)、腎機能の尺度である糸球体濾過量(GFR)は、GDF15レベルの増加と共に減少したことが明らかである(図6D)。
実施例2.HT−1080異種移植片腫瘍モデルにおける心臓縮小の治療
この実施例では、HT−1080繊維肉腫異種移植片モデルにおける抗GDF15抗体01G06による心臓縮小(心臓重量減少により示される)の治療を明らかにする。
HT−1080細胞を、10%FBSを含有するイーグル最小必須培地(ATCC、カタログ番号30−2003)を用いて、5%COを含有する大気下、37℃での培養で増殖させた。細胞は、50%マトリゲル中マウス当たり5×10個の細胞で、8週齢雌ICR SCIDマウスの脇腹に皮下接種した。体重を毎日測定した。体重が80%に達したら、マウスを5匹ずつの2群にランダムに分けた。各群は、次の処置の1つを受けた:腹腔内注射により、1日目及び7日目に、2mg/kgでマウスIgG対照(「mIgG」)、又は01G06を投与。抗体01G06を用いた処置によって、体重は初期体重、すなわち100%まで増加した(p<0.001)(図7A)。
図7A〜Bのデータは、抗GDF15抗体の投与によって、HT−1080繊維肉腫異種移植片モデルにおける心臓重量減少を逆転することができることを示している。
この実験では、5匹のマウスの群を投与の時点(ベースラインすなわち80%体重減、処置なし)と試験終了時(mIgG若しくは01G06いずれかの投与から7日後)に犠牲にした。肝臓、心臓、脾臓、腎臓、生殖腺脂肪及び腓腹筋を外科的に摘出し、計量した。図7Bに示すように、mIgGの投与から7日後、肝臓、心臓、脾臓、腎臓、生殖腺脂肪及び腓腹筋重量に有意な減少が観察されたが、抗体01G06による処置群には観察されなかった。
これらの結果は、抗GDF15抗体の投与が、HT−1080異種移植腫瘍モデルにおける心臓などの主要臓器重量減少、筋肉重量減少、脂肪の減少及び不随意の体重減少を保存する(reserves)ことを示している。
類似の実験において、ヒト腫瘍異種移植片を担持する悪液質マウスの体重に対する、ヒトGDF15(Hu01G06−127)に結合してこれを阻害するモノクローナル抗体の全身投与の効果を、ヒトIgGを受けた類似動物又は偽(sham)マウス(すなわち、腫瘍なし)と比較した。抗GDF15抗体の投与により、腫瘍のないマウスと比較して、体重の保持又は増加がもたらされたが、ヒトIgGを注射したマウスは、体重の有意な減少を呈示した(図8)。
実施例3.圧力誘起による心臓肥大のin vitroモデル
Rockman et al.,1991,PROC.NATL ACAD.SCI.,88:8277−8291に記載されているように、65〜70%の再現性大動脈狭窄をマウスに実施する。マウスから抜管して、回復させた後、左右の頸動脈内の血圧を測定する。続いて、マウスに抗GDF15抗体又は対照のいずれかを投与する。7日後、心臓肥大の存在及び/又は程度について、心臓のサイズ及び重量を評価する。
実施例4.慢性体液過剰による心不全のin vivoモデル
Scheuermann−Freestone et al.,2001,EUR.J.HEART FAILURE,3:535−543に記載されているように、大動脈シャントをマウスに埋め込む。マウスに抗GDF15抗体又は対照のいずれかを投与する。30日後、死亡率、心筋肥大の発生、血液動態パラメータ、及びBNP−mRNAの発現レベルについて、マウスを評価する。
実施例5.以前他の心臓介入治療を受けた被験者の処置
以前既知の心臓介入治療を受けたことがあるが、うっ血性心不全の少なくとも1つの特徴を呈示する、心臓縮小を呈する被験者に抗GDF15抗体を投与する。抗GDF15抗体による処置は、3ヵ月の期間にわたって継続し、その間、一定の間隔で心臓サイズ、最大VO、トロポニンレベル及びBNPレベルをモニターする。
参照による組み込み
本明細書で参照される特許文献及び科学論文の各々の全開示内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込むものとする。
同等物
本発明は、その精神又は本質的特徴から逸脱することなく、他の具体的な形態で具現化され得る。そのため、前述した実施形態は、あらゆる点で、本明細書で説明する発明を制限するのではなく、例示するものと考えるべきである。従って、本発明の範囲は、以上の説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、請求項の意味及び同等物の範囲内で生じる変更は全て、本発明の範囲に含まれるものとする。
本発明の態様として、以下のものが挙げられる。
[1]治療を必要とする被験者の心臓機能を高める方法であって、前記被験者の心臓機能を高めるために、GDF15調節剤を含む組成物を有効量で投与するステップを含む方法。
[2]前記被験者が、体液中に高いGDF15活性を有する、[1]に記載の方法。
[3]心臓障害又は機能不全を有する被験者を治療する方法であって、前記心臓障害又は機能不全の症状を改善するために、GDF15調節剤を含む組成物を有効量で投与するステップを含む方法。
[4]前記被験者が、体液中に高いGDF15活性を有する、[3]に記載の方法。
[5]うっ血性心不全の1つ又は複数の症状を呈示する被験者における心臓縮小を軽減又は逆転する方法であって、GDF15調節剤を含む組成物を有効量で投与するステップを含み、ここで、前記組成物が、前記被験者における心臓縮小の少なくとも1つの症状を改善する方法。
[6]前記被験者が、体液中に高いGDF15活性を有する、[5]に記載の方法。
[7]治療を必要とする被験者のうっ血性心不全(CHF)を治療又は予防する方法であって、前記被験者のCHFを治療又は予防するために、前記被験者のGDF15活性を低減又は阻害する組成物を有効量で投与するステップを含む方法。
[8]前記被験者が、体液中に高いGDF15活性を有する、[7]に記載の方法。
[9]うっ血性心不全の1つ又は複数の特徴を呈示する被験者の心臓縮小を軽減する方法であって、前記被験者の心臓縮小を軽減するために、GDF15の活性を調節する組成物を有効量で投与するステップを含む方法。
[10]前記被験者が、体液中に高いGDF15活性を有する、[9]に記載の方法。
[11]前記被験者が、14mL/kg/分未満の最大VO を呈示する、[1]〜[10]のいずれか1項に記載の方法。
[12]前記被験者が、40%未満のLVEFを呈示する、[1]〜[11]のいずれか1項に記載の方法。
[13]前記被験者が、100pg/mlを超えるBNPレベルを呈示する、[1]〜[12]のいずれか1項に記載の方法。
[14]前記被験者が、1.5ng/mLを超える血清心臓トロポニンI(cTnI)レベルを呈示する、[1]〜[13]のいずれか1項に記載の方法。
[15]前記被験者が、うっ血性心不全を有すると診断されている、[1]〜[14]のいずれか1項に記載の方法。
[16]前記GDF15調節剤が、被験者におけるGDF15活性を低減又は阻害する、[1]〜[15]のいずれか1項に記載の方法。
[17]前記GDF15調節剤が、GDF15に結合する、[16]に記載の方法。
[18]前記GDF15調節剤が、抗GDF15抗体である、[17]に記載の方法。
[19]前記抗体が、ヒト化又はヒト抗体である、[18]に記載の方法。
[20]前記被験者が、正常レベルを超える、心臓由来トロポニンI、心臓由来トロポニンT、脳性ナトリウム利尿タンパク質(BNP)、BNP由来のN末端ペプチド(NT−proBNP)、及び心臓由来脂肪酸結合タンパク質(cFABP)からなる群から選択されるマーカを呈示する、[1]〜[19]のいずれか1項に記載の方法。
[21]前記体液が、血漿又は血清である、[2]、[4]、[6]、[8]、又は[10]のいずれか1項に記載の方法。

Claims (10)

  1. 心臓障害又は機能不全を有しかつ高いGDF15活性を有する被験者におけるGDF15活性を低減又は阻害するための組成物であって、抗GDF15抗体を含み、それにより前記被験者におけるGDF15活性を低減又は阻害するものであり、前記抗体は、
    (a)(i)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDRH1、配列番号4のアミノ酸配列を含むCDRH2、および配列番号13のアミノ酸配列を含むCDRH3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域、ならびに(ii)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDRL1、配列番号18のアミノ酸配列を含むCDRL2、および配列番号21のアミノ酸配列を含むCDRL3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む抗体;
    (b)(i)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDRH1、配列番号8のアミノ酸配列を含むCDRH2、および配列番号13のアミノ酸配列を含むCDRH3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域、ならびに(ii)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDRL1、配列番号18のアミノ酸配列を含むCDRL2、および配列番号21のアミノ酸配列を含むCDRL3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む抗体;
    (c)(i)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDRH1、配列番号7のアミノ酸配列を含むCDRH2、および配列番号13のアミノ酸配列を含むCDRH3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域、ならびに(ii)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDRL1、配列番号18のアミノ酸配列を含むCDRL2、および配列番号22のアミノ酸配列を含むCDRL3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む抗体;
    (d)配列番号38のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖および配列番号26のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖を含む抗体;
    (e)配列番号39のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖および配列番号27のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖を含む抗体;
    (f)配列番号40のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖および配列番号27のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖を含む抗体;
    (g)配列番号41のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖および配列番号27のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖を含む抗体;
    (h)配列番号44のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖および配列番号27のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖を含む抗体;
    (i)配列番号41のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖および配列番号28のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖を含む抗体;
    (j)配列番号44のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖および配列番号28のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖を含む抗体;
    (k)配列番号41のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖および配列番号29のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖を含む抗体;
    (l)配列番号44のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖および配列番号29のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖を含む抗体;
    (m)配列番号47のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖および配列番号30のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖を含む抗体;ならびに
    (n)配列番号48のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖および配列番号29のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖を含む抗体
    から選択される、組成物。
  2. 前記被験者が、14mL/kg/分未満の最大VOを呈示する、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記被験者が、40%未満のLVEFを呈示する、請求項1に記載の組成物。
  4. 前記被験者が、100pg/mlを超えるBNPレベルを呈示する、請求項1に記載の組成物。
  5. 前記被験者が、1.5ng/mLを超える血清心臓トロポニンI(cTnI)レベルを呈示する、請求項1に記載の組成物。
  6. 前記被験者が、うっ血性心不全を有すると診断されている、請求項1に記載の組成物。
  7. 前記抗GDF15抗体が、ヒト化又はヒト抗体である、請求項1に記載の組成物。
  8. 前記被験者が、正常レベルを超える、心臓由来トロポニンI、心臓由来トロポニンT、脳性ナトリウム利尿タンパク質(BNP)、BNP由来のN末端ペプチド(NT−proBNP)、及び心臓由来脂肪酸結合タンパク質(cFABP)からなる群から選択されるマーカーを呈示する、請求項1に記載の組成物。
  9. 前記抗GDF15抗体が、配列番号48のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖および配列番号29のアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖を含む、請求項1に記載の組成物。
  10. 前記抗GDF15抗体が、(i)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDRH1、配列番号8のアミノ酸配列を含むCDRH2、および配列番号13のアミノ酸配列を含むCDRH3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域、ならびに(ii)配列番号16のアミノ酸配列を含むCDRL1、配列番号18のアミノ酸配列を含むCDRL2、および配列番号21のアミノ酸配列を含むCDRL3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の組成物。
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