JP6909478B2 - ヒュームフード - Google Patents

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Description

本発明は、例えば実験等の作業を行う作業空間を外部から遮蔽するための遮蔽装置を有するヒュームフードに関する。
特許文献1には、調剤用のクリーンベンチが記載されており、このクリーンベンチは、作業テーブルと、この作業テーブルの上側の作業空間を覆うケースを備えたクリーンベンチ本体を有している。クリーンベンチ本体は、ケースに形成された作業用開口と、この作業用開口を開閉可能な透明なガラスの開閉体を有する。
特許第4553358号公報
ところで、特許文献1のクリーンベンチは、透明な開閉体がケースの作業用開口を開閉するようになっているので、常にケースの作業空間内の実験等の作業状況等は、外部から常時見えてしまう。このため、部外者等には作業空間内の実験等の作業状況等や使用している器具等と被処理物を見られたくないにもかかわらず、部外者等がこれらの作業空間内の実験等の作業状況等を見ることができる。このため、実験等の作業状況等の秘密保持の確保ができないという問題がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、作業空間内で行われている実験等の作業状況等の機密保持を確保することができるヒュームフードを提供することにある。
上記課題を達成するため、請求項1に記載のヒュームフードは、作業空間と前記作業空間に通じる開口部を有する本体部と、前記本体部に設けられて前記本体部の前記開口部を開閉でき、前記作業空間内を観察可能な開閉扉と、前記開閉扉に配置され、前記開閉扉を遮蔽するための有機エレクトロルミネッセンスパネルまたは液晶表示パネルである遮蔽装置と、を備え、前記開閉扉が、前記開口部に確保される空気通路の開口面積が最も小さくなるまで閉じられている状態である閉ポジションに位置された際には、作業者の有無にかかわらず、前記遮蔽装置により前記開閉扉が遮蔽状態に保持されることを特徴とする。
請求項1に記載のヒュームフードでは、作業空間内を観察可能な開閉扉には、必要に応じて開閉扉を遮蔽するための遮蔽装置が配置されているので、例えば部外者等が外部から作業空間内の実験等の作業状況や使用している器具等と被処理物(以下、作業状況等という)を見ることができない。このため、作業空間内で行われている実験等の作業状況等の機密保持を確保することができる。
特に、有機エレクトロルミネッセンスパネルまたは液晶表示パネルを用いることで、通電すれば必要に応じて容易にしかも瞬時に開閉扉を遮蔽することができる。
請求項2に記載のヒュームフードでは、前記本体部は、前記開口部の一部分を閉じている固定ガラス部と、移動することで前記開口部の開閉量を変える前記開閉扉としての可動ガラス扉と、を備え、前記固定ガラス部と前記可動ガラス扉とに、前記遮蔽装置が配置されていることを特徴とする。
請求項2に記載のヒュームフードでは、遮蔽装置が、固定ガラス部と可動ガラス部に配置されていることで、作業空間内で行われている実験等の作業状況等の機密保持を確保することができる。
請求項3に記載のヒュームフードでは、前記可動ガラス扉が、前記開口部に確保される空気通路の開口面積が最も小さくなるまで閉じられている状態である閉ポジションに位置されると、前記遮蔽装置を動作させて、前記固定ガラス部と前記可動ガラス扉の少なくとも一方を遮蔽状態に保持させる制御部を有することを特徴とする。
請求項3に記載のヒュームフードでは、制御部は、可動ガラス扉が、閉ポジションに位置されると、遮蔽装置を動作させて、固定ガラス部と可動ガラス扉の少なくとも一方を遮蔽状態に保持させて、作業空間内で行われている実験等の作業状況等の機密保持を確保することができる。
請求項4に記載のヒュームフードでは、前記本体部は、前記制御部の指令により、前記ヒュームフードの動作状態を発光色の違いで表示する状態表示部を備え、前記制御部の指令により、前記固定ガラス部と前記可動ガラス扉の少なくとも一方が、前記遮蔽装置により遮蔽される際の色が、前記状態表示部の前記発光色と同じに設定されていることを特徴とする。
請求項4に記載のヒュームフードでは、制御部の指令により、固定ガラス部と可動ガラス扉の少なくとも一方が、遮蔽装置により遮蔽される際の色が、状態表示部の発光色と同じに設定されている。このため、ヒュームフードが実験等の作業状況等を、見学者等に対して、色を用いて視覚的にしかも効果的に演出することができる。
請求項5に記載のヒュームフードでは、前記本体部は、前記遮蔽装置の遮蔽動作をさせることを許可する前記制御部に対して許可指令部を備えることを特徴とする。
請求項5に記載のヒュームフードでは、作業者が、許可指令部により制御部に対して許可をする。制御部は、許可を受けてから遮蔽装置を動作させて固定ガラス部と可動ガラス扉を遮蔽することができ、遮蔽動作が勝手に行えないようにすることができる。
請求項6に記載のヒュームフードでは、前記本体部は、前記作業空間内の状況をモニタするためのカメラを備えることを特徴とする。
請求項6に記載のヒュームフードでは、遮蔽装置が動作して作業空間内が外部から見えない状態においても、カメラが作業空間内の状況を撮影することで、作業空間の作業状況等を観察することができる。
本発明によれば、作業空間内で行われている実験等の作業状況等の機密保持を確保することができるヒュームフードを提供できる。
本発明の好ましい実施形態であるヒュームフードを示す正面図である。 図1に示すヒュームフードにおける内部構造例を示す縦方向の模式図である。 ヒュームフードの電気的な構成例を示すブロック図である。 図4は、遮蔽装置が可動ガラス扉と固定ガラス部にそれぞれ配置されている例を示す断面図である。 可動ガラス扉の遮蔽装置と固定ガラス部の遮蔽装置がともに不透明になって、作業空間内の作業状況等を遮蔽している状態を斜線でそれぞれ示す図である。 可動ガラス扉の遮蔽装置が不透明になって、作業空間内の作業状況等を遮蔽している状態を斜線で示す図である。 固定ガラス部の遮蔽装置が不透明になって、作業空間内の作業状況等を遮蔽している状態を斜線で示す図である。
以下、図面を用いて、本発明を実施するための形態(以下、実施形態と称する)を説明する。
図1は、本発明の好ましい実施形態であるヒュームフード1を示す正面図である。図2は、図1に示すヒュームフード1における内部構造例を示す縦方向の模式図である。このヒュームフード1は、前面開口部に配置された開閉扉としての可動ガラス扉5等を遮蔽(遮光)するための遮蔽装置を有する封じ込め装置の一例である。
本発明のヒュームフード1は、その前面開口部4には、開閉扉(開閉体ともいう)としての可動ガラス扉5と固定ガラス部6を備えている。この可動ガラス扉5と固定ガラス部6は、ヒュームフード1の作業空間20内の作業状況や使用している器具等と被処理物(以下、作業状況等という)を、外部から見えないように遮蔽(遮光)するための遮蔽装置50,51をそれぞれ有している。
図1と図2に示すヒュームフード1は、研究者や実験者等の作業者が、被処理物としての例えば微生物等の試料の無菌操作作業や各種の化学実験作業等、器具類を用いて実験や処理作業を行うために用いられる。
ヒュームフード1は、被処理物を外部に漏れないように封じ込めながら処理をするために、箱状の囲い部分である本体部2を有する。この本体部2はドラフト庫内19を有する。ドラフト庫内19の内部には、広い作業空間20が確保されている。被処理物を内部の作業空間20において処理する際に、作業者が被処理物の影響を受けないように、ドラフト庫内19は、作業空間20の雰囲気を外部から隔離する構造を有している。
このヒュームフード1は、作業者を有害物質から保護することを目的とした局所排気装置である。作業空間20内における風量は好ましくは可変でき、作業空間20内は、標準風量領域だけでなく、好ましくは低風量領域においても、スムーズな換気を実現して、危険物質や有害物質の封じ込めることができる封じ込め性能を有している。このため、有害な雰囲気が、作業者の側に漏洩しない。
特に、低風量型のヒュームフード1は、エネルギーコスト低減を目的として、少ないランニングコストで運転ができ、低風量型のヒュームフード1の排気風量は、一般的なヒュームフードの排気風量に比較して、例えば40〜60%低減できる。ヒュームフード1内の作業空間20内に低風量ドラフトで空気を送ることで、通常の風量のドラフトを作業空間20内に送る場合に比べて、ヒュームフード1の作動時の省エネルギー化(エコ化)や、低騒音化を図ることができる。
次に、図1と図2を参照して、ヒュームフード1の好ましい構造例を、さらに説明する。
図1と図2に示すヒュームフード1の本体部2は、長方形状の前面部3を有している。この前面部3には、長方形状の前面開口部(開口部の一例)4が設けられている。
この前面開口部4には、開閉扉としての例えば長方形状の可動ガラス扉5と、例えば長方形状の固定ガラス部6が、設けられている。この可動ガラス扉5と固定ガラス部6は、前面開口部4内が見えるように透明板もしくは透光板であり、好ましくは強化ガラスを用いている。この例では、固定ガラス部6の面積は、可動ガラス扉5の面積に比べて小さく、固定ガラス部6は、本体部2に対してはめ込んで固定されていることで、前面開口部4の一部分である上部領域を閉じている。
図1と図2に示すように、可動ガラス扉5が最も下端まで下げられていて、前面開口部4のかなりの部分が閉鎖されている状態でも、可動ガラス扉5の上縁部分7は、固定ガラス部6の下縁部分8と重なっている。これにより、可動ガラス扉5と固定ガラス部6との間の接合部分の隙間を無くしている。可動ガラス扉5が最も下端まで下げられている状態では、前面開口部4における空気通路17が形成されているが、この空気通路17の開口面積は最も小さくなっている。
図1と図2に示すように、本体部2は、前面部3と、左右の側面12,13と、背面部14と、天井面15を有している。図1に示すように、可動ガラス扉5の左右の縁部分5A,5Bは、本体部2の前面部3のガラス案内部11A,11Bにおいて、Z方向(上下方向)に沿って、移動可能にはめ込まれている。可動ガラス扉5の下縁部分には、作業者が手で持って可動ガラス扉5を上げ下げするための把持部5Cが、設けられている。
図2に示すように、可動ガラス扉5の上縁部分7には、吊線材9の一端部が固定されている。この吊線材9は、滑車9A,9Bにかかっており、吊線材9の他端部は、電動モータMの巻き取り車9Hにより巻き取ることで、可動ガラス扉5は、自動で上昇させて、前面開口部4を開けることができる。
図1に示す本体部2の内部には、例えばヒュームフード1の動作を制御するための図3に示すような制御部100や図示しない浄化装置が収容されている。この浄化装置は、例えば排気用のファンと、空気から微粒子を除去する例えばHEPAフィルタ(高性能フィルタ)等を備え、作業空間20内の空気を清浄化して排気し続けるようになっている。
これにより、例えば低風量の空気は、図2に示す前面開口部4の下部に形成されている空気通路17を通じて、図3に示す本体部2の内部の作業空間20に入る。そして、作業空間20内の空気は、作業空間20内にある封じ込めるべき物質を含む雰囲気とともに、作業空間20の背面側の排気孔20Hを通じて背部通路20Fに入り、背部通路20Fから浄化装置のHEPAフィルタに通してろ過された後に、外部に排気されるようになっている。
図1と図2に示すように、本体部2のドラフト庫内19は、作業空間20を有している。この作業空間20は作業面21を有している。ドラフト庫内19の作業空間20は、X方向(左右方向)、Y方向(奥行方向)、Z方向(上下方向)に沿って形成されている、ほぼ直方体形状の閉鎖空間である。図2に示すように、作業空間20の作業面21は、作業空間20の底部を形成している。
この作業面21の高さ位置は、作業者が作業用の椅子に座った状態で、前面開口部4の空気通路17を通じて、手を入れて、作業空間20内で所定の作業ができるように設定されている。また、本体部2の下部には、空間部SPが設けられている。この空間部SPには、作業用の椅子に座った作業者の膝を入れることができる。本体部2には、コンセント102等が設けられている。
図1に示すように、本体部2は、固定ガラス部6の上側の位置に、ヒュームフード1の動作状態を、発光色の違いで表示する状態表示部45を備える。
次に、図3を参照して、ヒュームフード1の電気的な構成例を説明する。図3は、ヒュームフード1の電気的な構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、制御部100は、遮蔽装置50,51と、電動モータMと、状態表示部45と、許可指令部60と、カメラ70と、モニタ用表示装置71と、ストッパ装置80と、遮蔽操作スイッチ90と、記憶媒体接続部130と、そして上昇スイッチ101Aと下降スイッチ101Bや電源コンセント102に、電気的に接続されている。
遮蔽装置50,51と、電動モータMと、状態表示部45と、許可指令部60と、カメラ70と、ストッパ装置80と、遮蔽操作スイッチ90と、上昇スイッチ101Aと下降スイッチ101Bと電源コンセント102は、本体部2に設けられている。
図3に示す状態表示部45は、制御部100の指令により、複数種類の色を選択して発光することができる発光体、例えば複数のLED(発光ダイオード)を配列することで構成されている。この状態表示部45は、例えば、ヒュームフード1の動作状態である、例えば待機状態、運転中、風量低下の警告、異常時等を、制御部100の指令により、異なる発光色で視覚的に表示することができる。これにより、状態表示部45は、作業者に対して、ヒュームフード1の動作状態を、色分けして表示して通知することができる。
図3に示す遮蔽装置50は、可動ガラス扉5の全面領域に配置されている。また、遮蔽装置51は、固定ガラス部6の全面領域に配置されている。遮蔽装置50,51は、シート状の薄型で平坦な(フラット状の)表示装置であり、好ましくは有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示パネルである。
図4は、遮蔽装置50,51が、可動ガラス扉5と固定ガラス部6にそれぞれ配置されている例を示す断面図である。
図4に示すように、遮蔽装置50は、可動ガラス扉5のガラス板5A,5Bの間に挟まれるようにして配置されている。同様にして、図4に示すように、遮蔽装置51は、固定ガラス部6のガラス板6A,6Bの間に挟まれるようにして配置されている。
これらの遮蔽装置50,51は、2枚の対向する透明もしくは透光性を有する薄いガラス基板(もしくはプラスチック基板)の間に、電極と、有機層(発光層)を配置させることで構成されている。作業者が、図3に示す遮蔽操作スイッチ90を押して、遮蔽操作スイッチ90から遮蔽指示信号Cを制御部100に送ると、制御部100が、遮蔽装置50,51の電極に電圧を加えて有機層を発光させる。
これにより、遮蔽装置50を有する可動ガラス扉5と、遮蔽装置51を有する固定ガラス部6は、白黒またはカラーの発色光で、透明な状態から不透明な状態に変えることができる。
また、作業者が、図3に示す遮蔽操作スイッチ90を押して、遮蔽操作スイッチ90から遮蔽解消信号Dを制御部100に送ると、遮蔽装置50を有する可動ガラス扉5と、遮蔽装置51を有する固定ガラス部6は、不透明な状態から透明な状態に戻すことができる。
遮蔽装置50,51では、制御部100から電極に加える電圧を変えると、すぐに反応して、瞬時に発光のオン・オフを変えることができる。電極に対して加える電圧は、例えば数ボルト程度と低く、消費電力のムダが少なく、省エネルギーになる。有機層は、電圧をかけると有機層自体そのものが発光する性質があり、有機ELディスプレイ表示パネルである遮蔽装置50,51は、液晶表示パネルに必要なバックライト等の設置が不要である。
このように、遮蔽装置50は、図3に示す制御部100の指令により、透明な状態から不透明な状態になることで、可動ガラス扉5の全領域を遮蔽(遮光)するようになっている。同様にして、遮蔽装置51は、図3に示す制御部100の指令により、透明な状態から不透明な状態になることで、固定ガラス部6の全領域を遮蔽(遮光)するようになっている。
しかも、好ましくは、遮蔽装置50が透明な状態から不透明な状態になった場合には、遮光装置50が発光する色は、状態表示部45が作業者に対してヒュームフード1の動作状態を通知する際に発光する色と同じか、もしくは違う色に設定することができる。遮蔽装置51が透明な状態から不透明な状態になった場合には、遮蔽装置51が発光する色は、状態表示部45が作業者に対してヒュームフード1の動作状態を通知する際に発光する色と同じか、もしくは違う色に設定することができる。
これにより、状態表示部45が作業者に対してヒュームフード1の動作状態を通知する際に、状態表示部45に比べて広い面積の可動ガラス扉5の遮蔽装置50と、状態表示部45に比べて広い面積の固定ガラス部6の遮蔽装置51の少なくとも一方を利用して、作業者に対してヒュームフード1の動作状態を、色を用いて視覚的にしかも効果的に演出することができる。このため、ヒュームフード1は、可動ガラス扉5と固定ガラス部6の少なくとも一方を利用して、例えばヒュームフード1を見学する見学者に対して、視覚的な演出を行うことができる。見学者は、ヒュームフード1の作業空間20内の作業状況等を機密保持したい部外者の例である。
図3に示す電動モータMは、上述したように、制御部100の指令により、作業状況等に応じて、可動ガラス扉5を自動で昇降させて、前面開口部4を開閉したり、前面開口部4の開度を調整することができる。作業者が、図3の上昇スイッチ101Aを押すと、制御部100は、電動モータMを駆動して可動ガラス扉5をZ1方向に上昇させることができ、下降スイッチ101Bを押すと、制御部100は、電動モータMを駆動して可動ガラス扉5をZ2方向に下降させることができる。
図3に示す許可指令部60は、あらかじめ許可された特定の作業者のみが、ヒュームフード1を操作できるようにするセキュリティ保持のためのインターフェースである。許可指令部60において、ヒュームフード1の操作が許可された場合の許可信号Sは、許可指令部60から制御部100に送られる。
この許可指令部60としては、例えば個人ID(固有の識別名)タグ認証(NFC:13.56帯の無線近距離通信(Near Field Commtion)の規格等)用の装置を用いることができる。
作業者が、許可指令部60において一定の操作を行うこと、例えばIDタグを許可指令部60に近づけることにより、制御部100が許可指令部60から許可信号Sを受ける。このように、制御部100が許可信号Sを受けた場合のみ、作業者は、ヒュームフード1の操作を許可される。ヒュームフード1の操作が許可される例としては、作業者の操作による上昇スイッチ101Aの信号と下降スイッチ101Bの信号が、制御部100に送られると、作業者は、可動ガラス扉5の昇降動作を行うことができる。
図3に示すカメラ70は、作業空間20内に配置されており、カメラ70は、作業空間20内の作業状況等を撮影することができる。カメラ70は、例えばCCD(電荷結合素子)カメラを採用できる。
このようにカメラ70が、作業空間20内に配置されているのは、次の理由からである。すなわち、例えばヒュームフード1を部外者に見学させる場合に、作業空間20内の作業状況等を遮蔽することで、作業空間20内において実施されている実験等の所定の作業状況等を見ることができないようにして、作業空間20内のセキュリティを確実に保持するためである。作業空間20内の作業状況等のセキュリティの保持をしている場合には、遮蔽装置50,51の少なくとも一方が不透明な状態となって、作業空間20内の作業状況等が、可動ガラス扉5と固定ガラス部6を通しては、外部から観察できないようにする。
しかし、このように作業空間20内の作業状況等を、可動ガラス扉5と固定ガラス部6を通しては、外部から観察できないようにしている場合であっても、作業者は、カメラ70を用いて作業状況等を観察できる。
カメラ70は、作業空間20内の作業状況等を撮影する。この撮影した作業空間20内の作業状況等である撮影情報Rは、制御部100に送られて、制御部100はモニタ用表示装置71において、その作業空間20内の撮影情報Rを表示させる。これにより、作業空間20内の作業状況等のセキュリティの保持をしている場合であっても、作業者は、モニタ用表示装置71を見ることで、作業空間20内をいつでもリアルタイムで観察することができる。
また、図3に示す制御部100は、記憶媒体接続部130に接続されている情報記憶媒体140に対して、上述した作業空間20内の作業状況等を撮影した撮影情報Rを直接記憶させることができる。これにより、作業者は、情報記憶媒体140に記憶させた撮影情報Rを、制御部100を通じてモニタ用表示装置71に表示させることで、作業者は、リアルタイムで見なくても、後でも作業空間20内の作業状況等を確認することができる。
なお、記憶媒体140としては、例えばUSB(ユニバーサル・シリアル・バス)や、SDメモリーカード等であるが、特に限定されない。
図3に示すストッパ装置80は、可動ガラス扉5が最も下降の位置である閉ポジションPの位置に位置決めされたときに、制御部100からの指令により、可動ガラス扉5の孔に、ストッパ装置80のピン81を差し込む。これにより、可動ガラス扉5の上昇を止めて可動ガラス扉5が不用意に開けられないようにして、可動ガラス扉5の操作上のセキュリティを保つことができる。
次に、上述したヒュームフード1の使用例を説明する。
作業者が、図1から図3に示すヒュームフード1を用いて所定の作業、実験等を作業空間20内で行う場合には、例えば可動ガラス扉5は、最も下端の位置である閉ポジションPに位置されている状態になっている。
作業者は、許可指令部60において一定の操作を行う。例えば、作業者は、例えばIDタグを許可指令部60に近づけることにより、制御部100が許可指令部60から許可信号Sを受ける。このように、制御部100が許可信号Sを受けた場合のみ、作業者の操作による上昇スイッチ101Aの信号と下降スイッチ101Bの信号が、制御部100に送られる。これにより、作業者は、可動ガラス扉5の昇降動作を行うことができるが、部外者が可動ガラス扉5を昇降動作させることを禁止できるので、ヒュームフード1の操作上のセキュリティを高めることができる。
可動ガラス扉5が最も下端の位置である閉ポジションPの状態になっている場合には、ストッパ装置80は、制御部100からの指令により、可動ガラス扉5にストッパ装置80のピン81を差し込むことで、可動ガラス扉5が閉ポジションPの位置の可動ガラス扉5の上昇を手動であってもできないようにして、可動ガラス扉5が不用意に開けられないようにしている。これにより、可動ガラス扉5の操作上のセキュリティを保つことができる。
ここで、作業空間20内の実験等の作業状況等(操作内容)を、外部から見ることができないようにして、作業状況等のセキュリティを保持する必要がある場合について説明する。
図5は、遮蔽装置50と遮蔽装置51がともに不透明になって作業空間20を遮蔽している状態を斜線でそれぞれ示している。この場合には、作業者が、図3に示す遮蔽操作スイッチ90を押して遮蔽支持信号Gを制御部100に送ると、制御部100が、遮蔽装置50,51の電極に電圧を加えて有機層を発光させる。例えば図5に示すように、遮蔽装置50を有する可動ガラス扉5と、遮蔽装置51を有する固定ガラス部6は、図5において、斜線で示すように、例えばカラーの発色をすることで、透明な状態から不透明な状態に瞬時に変わる。
これにより、可動ガラス扉5と固定ガラス部6は瞬時に不透明になることから、作業空間20内を遮蔽(遮光)することができる。例えばヒュームフード1を部外者である見学者に見学させる場合には、作業空間20内において実施されている実験等の所定の作業等の作業状況等を見ることができないようにして、見学者に対して、作業空間20内の作業状況等のセキュリティを保持することができる。
ここで、図3に示す遮蔽操作スイッチ90を押して遮蔽支持信号Gを制御部100に送ることができるのは、制御部100が許可指令部60から許可信号Sを受けてからである。これにより、部外者が可動ガラス扉5と固定ガラス部6の遮蔽操作を行うことを禁止できるので、ヒュームフード1の操作上のセキュリティを高めることができる。
ところで、好ましくは、図3に示す制御部100の指令により、可動ガラス扉5における遮蔽装置50と固定ガラス部6における遮蔽装置51の少なくとも一方が発光する色は、状態表示部45の発光色と同じ色で発光する。これにより、ヒュームフード1が実験等の作業に用いられていることを、見学者等に対して色を統一して美しく視覚的に演出することができる。
ところで、可動ガラス扉5における遮蔽装置50と固定ガラス部6における遮蔽装置51が、透明な状態から不透明な状態となって、作業空間20内が、可動ガラス扉5と固定ガラス部6を通しては、外部から観察できない場合には、制御部100の指令により、カメラ70が作業空間20内の実験等の作業状況等を撮影することができる。
この撮影した作業空間20内の作業状況等を含む撮影情報Rは、制御部100に送られて、制御部100はモニタ用表示装置71にその作業空間20内の撮影情報Rを表示させる。このため、作業者はモニタ用表示装置71を見て作業空間20内の作業状況等を、リアルタイムで観察できる。
また、作業者は、情報記憶媒体140に記憶させた撮影情報Rを、制御部100を通じてモニタ用表示装置71に表示させることで、作業者は、リアルタイムで見なくても、後でも作業空間20内の作業状況等を観察できる。これにより、遮蔽装置50,51が不透明な状態であって遮蔽しても、作業者は、いつでも作業空間20内の作業状況等の把握が容易に行える。
図6は、可動ガラス扉5の遮蔽装置50が不透明になって、作業空間20内の作業状況等を遮蔽している状態を斜線で示す図である。図7は、固定ガラス部6の遮蔽装置51が不透明になって、作業空間20の作業状況等を遮蔽している状態を斜線で示す図である。
図5では、すでに説明したように、遮蔽装置50と遮蔽装置51がともに不透明になって作業空間20内の全体の作業状況等を遮蔽している状態を斜線でそれぞれ示している。
しかし、これに限らず、場合によっては、図6に例示するように、遮蔽装置50だけが不透明になって、作業空間20の中間部分と下部分を遮蔽したり、図7に例示するように、遮蔽装置51だけが不透明になって作業空間20の上部分を遮蔽するようにしてもよい。
これらの場合であっても、好ましくは、図3に示す制御部100の指令により、可動ガラス扉5における遮蔽装置50と固定ガラス部6における遮蔽装置51が発光する色は、状態表示部45の発光色と同じ色で発光する。これにより、ヒュームフード1が実験等の作業に用いられている状況を、見学者等に対して、色を統一して美しく演出することができる。
以上説明したように、本発明の実施形態のヒュームフード1は、作業空間20と作業空間20に通じる開口部としての前面開口部4を有する本体部2と、本体部2に設けられて本体部2の前面開口部4を開閉でき、作業空間20内を観察可能な開閉扉としての例えば可動ガラス扉5を有する。この開閉扉としての可動ガラス扉5には、可動ガラス扉5を遮蔽するための遮蔽装置50が配置されている。
これにより、作業空間20内を観察可能な開閉扉としての例えば可動ガラス扉5には、必要に応じて可動ガラス扉5を遮蔽するための遮蔽装置50が配置されているので、例えば部外者等が外部から作業空間20内を見ることができない。このため、作業空間20内で行われている実験等の作業状況等の機密保持を確保することができる。
遮蔽装置50は、可動ガラス扉5に配置された有機エレクトロルミネッセンスパネルまたは液晶表示パネルである。これにより、有機エレクトロルミネッセンスパネルまたは液晶表示パネルを用いることで、制御部100から通電すれば必要に応じて容易にしかも瞬時に可動ガラス扉5を遮蔽することができる。
本体部2は、開口部4の一部分を閉じている固定ガラス部6と、移動することで前面開口部4の開閉量を変える開閉扉としての可動ガラス扉5を備える。固定ガラス部6と可動ガラス部5には、遮蔽装置51(50)が配置されている。これにより、作業空間20内で行われている実験等の作業状況等の機密保持を確保することができる。
可動ガラス扉5が、前面開口部4を閉じている状態である閉ポジションに位置されると、遮蔽装置51(50)を動作させて、固定ガラス部6と可動ガラス扉5の少なくとも一方を遮蔽状態に保持させる制御部100を有する。これにより、制御部100は、可動ガラス扉5が、閉ポジションに位置されると、遮蔽装置51(50)を動作させて、固定ガラス部6と可動ガラス扉5の少なくとも一方を遮蔽状態に保持させて、作業空間20内で行われている実験等の作業状況等の機密保持を確保することができる。
本体部2は、制御部100の指令により、ヒュームフード1の動作状態を発光色の違いで表示する状態表示部45を備え、制御部100の指令により、固定ガラス部6と可動ガラス扉5の少なくとも一方が、遮蔽装置51(50)により遮蔽される際の色が、状態表示部45の発光色と同じに設定されている。
これにより、制御部100の指令により、固定ガラス部6と可動ガラス扉5の少なくとも一方が、遮蔽装置51(50)により遮蔽される際の色が、状態表示部45の発光色と同じに設定されているので、ヒュームフード1が実験等の作業に用いられている状況を、見学者等に対して、色を用いて視覚的にしかも効果的に演出することができる。
本体部2は、遮蔽装置50(51)の遮蔽動作をさせることを許可する制御部100に対して許可指令部60を備える。これにより、作業者が、許可指令部60により制御部100に対して許可をする。制御部100は、許可を受けてから遮蔽装置50(51)を動作させて固定ガラス部6と可動ガラス扉5の少なくとも一方を遮蔽することができ、遮蔽動作が勝手に行えないようにすることができる。
本体部2は、作業空間20内の状況をモニタするためのカメラ70を備える。これにより、遮蔽装置50(51)が動作して作業空間20内の作業状況等が外部から見えない状態においても、カメラ70が作業空間20内の状況を撮影することで、作業空間20の作業状況等を観察することができる。
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、各実施形態は一例であり、特許請求の範囲に記載される発明の範囲は、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更できるものである。
本発明の処理装置の実施形態としては、封じ込め装置である上述した低風量型のヒュームフードの他に、通常の風量のヒュームフードであってもよく、他の種類の封じ込め装置等の各種の機器であってもよい。本発明の実施形態の処理装置は、被処理物を処理するための各種の装置を含む。
本発明のヒュームフードとしては、他の種類の装置、例えばドラフトチャンバー、クリーンベンチ、安全キャビネット、そして局所排気装置等の各種の異なる構造(例えば、風向、風量、陰圧、陽圧等の動作条件が異なる構造)の装置であっても構わない。
図2に示すように、この可動ガラス扉5は、作業者が電動モータにより自動で昇降させることで、前面開口部4を開閉できるが、これに限らず、可動ガラス扉5は、作業者が手動で昇降させることで、前面開口部4を開閉できるようにしてもよい。
図3に示すように、開閉扉としての可動ガラス扉5と固定ガラス部6には、それぞれ遮蔽装置50,51が配置されていることで、可動ガラス扉5と固定ガラス部6は、調光ガラスとしての機能を有している。これにより、遮蔽装置50,51は、可動ガラス扉5と固定ガラス部6を遮蔽(遮光)することで、作業空間20内の作業状況等を外部から見ることができないようにして、作業空間20内のセキュリティを保持している。遮光装置50,51としては、制御部100から電気的に駆動することで、可動ガラス扉5と固定ガラス部6における遮蔽動作を行うことができる有機EL表示パネルや液晶表示パネルを用いている。
しかし、遮蔽装置は、電気的に駆動されることで遮蔽機能を発揮する装置に限らず、例えばロールカーテンのような昇降可能な薄いシート状の遮蔽体を用いることもできる。この場合には、昇降可能な遮蔽体は、可動ガラス扉5と固定ガラス部6の表面側(外面側)に配置され、電動モータ等で自動的に昇降させたり、手動で昇降させることができる。
図3に示す許可指令部60としては、例えば個人ID(固有の識別名)タグ認証装置を用いているが、これに限らず、指紋認証装置あるいは電子キー等を用いることができる。
1 ヒュームフード
2 本体部
3 前面部
4 前面開口部(開口部)
5 可動ガラス扉(開閉扉の例)
6 固定ガラス部
20 作業空間
45 状態表示部
50 遮蔽装置
51 遮蔽装置
60 許可指令部
70 カメラ
71 モニタ用表示装置
80 ストッパ装置
90 遮蔽操作スイッチ
100 制御部

Claims (6)

  1. 作業空間と前記作業空間に通じる開口部を有する本体部と、
    前記本体部に設けられて前記本体部の前記開口部を開閉でき、前記作業空間内を観察可能な開閉扉と、
    前記開閉扉に配置され、前記開閉扉を遮蔽するための有機エレクトロルミネッセンスパネルまたは液晶表示パネルである遮蔽装置と、
    を備え、
    前記開閉扉が、前記開口部に確保される空気通路の開口面積が最も小さくなるまで閉じられている状態である閉ポジションに位置された際には、作業者の有無にかかわらず、前記遮蔽装置により前記開閉扉が遮蔽状態に保持されることを特徴とするヒュームフード。
  2. 前記本体部は、前記開口部の一部分を閉じている固定ガラス部と、移動することで前記開口部の開閉量を変える前記開閉扉としての可動ガラス扉と、を備え、
    前記固定ガラス部と前記可動ガラス扉とに、前記遮蔽装置が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のヒュームフード。
  3. 前記可動ガラス扉が、前記開口部に確保される空気通路の開口面積が最も小さくなるまで閉じられている状態である閉ポジションに位置されると、前記遮蔽装置を動作させて、前記固定ガラス部と前記可動ガラス扉の少なくとも一方を遮蔽状態に保持させる制御部を有することを特徴とする請求項2に記載のヒュームフード。
  4. 前記本体部は、前記制御部の指令により、前記ヒュームフードの動作状態を発光色の違いで表示する状態表示部を備え、
    前記制御部の指令により、前記固定ガラス部と前記可動ガラス扉の少なくとも一方が、前記遮蔽装置により遮蔽される際の色が、前記状態表示部の前記発光色と同じに設定されていることを特徴とする請求項3に記載のヒュームフード。
  5. 前記本体部は、前記遮蔽装置の遮蔽動作をさせることを前記制御部に対して許可する許可指令部を備えることを特徴とする請求項3または4に記載のヒュームフード。
  6. 前記本体部は、前記作業空間内の状況をモニタするためのカメラを備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のヒュームフード。
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