以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、以下に述べる構成は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。また、以下の説明において参照する図面において、各構成部材の大きさや厚みは説明の便宜上のものであり、必ずしも実際の寸法や比率を示すものではない。
図1は、第1実施形態に係るアクティブバッファパルス管冷凍機(以下では単に、パルス管冷凍機ともいう)の全体構成を概略的に示す図である。図2は、第1実施形態に係るアクティブバッファパルス管冷凍機の作動ガス回路構成を示す概略図である。
パルス管冷凍機10は、圧縮機12と、コールドヘッド14とを備える。コールドヘッド14は、パルス管16、蓄冷器18、被冷却物19を冷却する冷却ステージ20、フランジ部22、バルブ部24、および少なくとも1つのバッファタンク26を備える。パルス管冷凍機10は、単段式のパルス管冷凍機である。ただし、パルス管冷凍機10は、あるいは多段式(例えば二段式)のパルス管冷凍機とすることも可能である。
詳しくは後述するが、バルブ部24は、主圧力切替バルブ28、第1バッファ開閉バルブ30、およびバッファ圧力制御バルブ32を備える。バッファタンク26は、第1バッファ容積B1を有する。第1実施形態に係るパルス管冷凍機10においては、バッファタンク26は唯一のバッファタンクであり、すなわち、パルス管冷凍機10は、バッファタンク26以外にはバッファ容積を有しない。圧縮機12、バッファタンク26、およびバッファ圧力制御バルブ32によって、圧力可変バッファ容積が構成される。
圧縮機12および主圧力切替バルブ28によって、パルス管冷凍機10の振動流発生源34が構成される。振動流発生源34は、圧縮機12が生み出す作動ガスの定常流から、主圧力切替バルブ28の切替動作によって蓄冷器18を通じてパルス管16内に作動ガスの圧力振動を生成するように構成されている。また、バッファタンク26および第1バッファ開閉バルブ30によって、パルス管冷凍機10の位相制御機構36が構成される。位相制御機構36は、第1バッファ開閉バルブ30の開閉動作によって、作動ガスの圧力振動に対しパルス管16内のガス要素(ガスピストンとも呼ばれる)の変位振動の位相を遅らせるように構成されている。適切な位相遅れは、パルス管16の低温端でのPV仕事を生じさせ、作動ガスを冷却することができる。冷却された作動ガスとの熱交換により冷却ステージ20が冷却される。
圧縮機12は、圧縮機吐出口12aと圧縮機吸入口12bとを有し、回収した低圧PLの作動ガスを圧縮して高圧PHの作動ガスを生成するよう構成されている。圧縮機吐出口12aから蓄冷器18を通じてパルス管16に作動ガスが供給され、パルス管16から蓄冷器18を通じて圧縮機吸入口12bへと作動ガスが回収される。圧縮機吐出口12aおよび圧縮機吸入口12bはそれぞれ、パルス管冷凍機10の高圧源および低圧源として機能する。作動ガスは、冷媒ガスとも称され、例えばヘリウムガスである。
パルス管冷凍機10には、高圧ライン13aおよび低圧ライン13bが設けられている。高圧ライン13aは、圧縮機吐出口12aをコールドヘッド14のバルブ部24に接続する。高圧ライン13aを通じて、高圧PHの作動ガスが圧縮機12からコールドヘッド14に流れる。低圧ライン13bは、圧縮機吸入口12bをコールドヘッド14のバルブ部24に接続する。低圧ライン13bを通じて、低圧PLの作動ガスがコールドヘッド14から圧縮機12に流れる。
パルス管16は、パルス管高温端16aと、パルス管低温端16bとを有し、パルス管高温端16aからパルス管低温端16bへと延在する。パルス管高温端16aおよびパルス管低温端16bはそれぞれ、パルス管16の第1端および第2端とも称しうる。同様に、蓄冷器18は、蓄冷器高温端18aと、蓄冷器低温端18bとを有し、蓄冷器高温端18aから蓄冷器低温端18bへと延在する。蓄冷器高温端18aおよび蓄冷器低温端18bはそれぞれ、蓄冷器18の第1端および第2端とも称しうる。
パルス管低温端16bと蓄冷器低温端18bは冷却ステージ20によって構造的に接続され熱的に結合されている。冷却ステージ20には冷却ステージ連通路38が形成されている。冷却ステージ連通路38を通じて、パルス管低温端16bは、蓄冷器低温端18bと流体的に連通している。したがって、圧縮機12から供給される作動ガスは、蓄冷器低温端18bから冷却ステージ連通路38を通じてパルス管低温端16bへと流れることができる。パルス管16からの戻りガスは、パルス管低温端16bから冷却ステージ連通路38を通じて蓄冷器低温端18bへと流れることができる。
例示的な構成においては、パルス管16は内部を空洞とする円筒状の管であり、蓄冷器18は内部に蓄冷材を充填した円筒状の管であり、両者は互いに隣り合って各々の中心軸を平行として配置されている。パルス管16および蓄冷器18は、冷却ステージ20から同方向に延びており、パルス管高温端16aおよび蓄冷器高温端18aは、冷却ステージ20に対して同じ側に配置されている。このようにして、パルス管16、蓄冷器18、および冷却ステージ20は、U字状に配置されている。
被冷却物19は、冷却ステージ20上に直接設置され、または冷却ステージ20に剛性または可撓性の伝熱部材を介して熱的に結合されている。パルス管冷凍機10は、冷却ステージ20からの伝導冷却によって被冷却物19を冷却することができる。なおパルス管冷凍機10によって冷却される被冷却物19は、超伝導電磁石またはその他の超伝導装置、あるいは赤外線撮像素子またはその他のセンサなど固形物には限られない。言うまでもなく、パルス管冷凍機10は冷却ステージ20に接触する気体または液体を冷却することもできる。
一方、パルス管高温端16aと蓄冷器高温端18aはフランジ部22によって接続されている。フランジ部22は、パルス管冷凍機10が設置される支持台または支持壁などの支持部40に取り付けられる。支持部40は、冷却ステージ20および被冷却物19を(蓄冷器18およびパルス管16とともに)収容する断熱容器または真空容器の壁材またはその他の部位であってもよい。
フランジ部22の一方の主表面から蓄冷器18およびパルス管16が冷却ステージ20へと延び、フランジ部22の他方の主表面にはバルブ部24が設けられている。したがって、支持部40が断熱容器または真空容器の一部を構成する場合には、フランジ部22が支持部40に取り付けられるとき、蓄冷器18、パルス管16、および冷却ステージ20は、当該容器内に収容され、バルブ部24は、容器外に配置される。このようにして、圧縮機12、バルブ部24、およびバッファタンク26は周囲環境(例えば、室温大気圧環境)に配置され、蓄冷器18、パルス管16、および冷却ステージ20は周囲環境から隔離された環境(例えば、極低温真空環境)に配置される。
なお、バルブ部24は、フランジ部22に直接取り付けられている必要はない。バルブ部24は、パルス管冷凍機10のコールドヘッド14から分離して配置され、剛性または可撓性の配管によりコールドヘッド14に接続されてもよい。こうして、パルス管冷凍機10の振動流発生源34および位相制御機構36がコールドヘッド14から分離して配置されてもよい。
また、パルス管冷凍機10は、パルス管連通路42、蓄冷器連通路44、およびバッファライン46を有する。パルス管連通路42はパルス管高温端16aから延び、第1バッファ開閉バルブ30を介してバッファライン46に接続される。蓄冷器連通路44は蓄冷器高温端18aから延び主圧力切替バルブ28を介して高圧ライン13aと低圧ライン13bに分岐している。バッファライン46は、バッファタンク26をバルブ部24(具体的には、バルブ部24のうち第1バッファ開閉バルブ30およびバッファ圧力制御バルブ32)に接続する。また、バッファライン46は、バッファ圧力制御バルブ32を介して高圧ライン13aと低圧ライン13bに分岐している。バッファライン46は、バッファタンク26と第1バッファ開閉バルブ30との間で、または、バッファタンク26とバッファ圧力制御バルブ32との間で、作動ガスを流すことができる。
このようにして、振動流発生源34は蓄冷器連通路44を通じて蓄冷器高温端18aに接続される。位相制御機構36は、パルス管連通路42を通じてパルス管高温端16aに接続され、バッファライン46およびバッファ圧力制御バルブ32を通じて圧縮機12に接続される。
パルス管冷凍機10はアクティブバッファ型であるから、パルス管高温端16aと蓄冷器高温端18aを流体的に連通させるバイパス路は設けられていない。したがって、パルス管高温端16aと蓄冷器高温端18aの間で作動ガスが直接流れることはできない。上述のように、パルス管16と蓄冷器18の間で流れる作動ガスはすべて冷却ステージ連通路38を通る。しかし、もし必要とされる場合には、パルス管冷凍機10は、パルス管高温端16aと蓄冷器高温端18aを流体的に連通させるバイパス路を備えてもよい。
バルブ部24の例示的な構成を述べる。主圧力切替バルブ28は、蓄冷器高温端18aを圧縮機吐出口12aおよび圧縮機吸入口12bに交互に接続するように構成されている。主圧力切替バルブ28は、圧縮機吐出口12aを蓄冷器高温端18aに接続する主吸気開閉バルブV1と、圧縮機吸入口12bを蓄冷器高温端18aに接続する主排気開閉バルブV2とを備える。
主圧力切替バルブ28は、主吸気開閉バルブV1および主排気開閉バルブV2がそれぞれ排他的に開放されるよう構成されている。すなわち、主吸気開閉バルブV1および主排気開閉バルブV2が同時に開くことは禁止されている。主吸気開閉バルブV1が開いているとき主排気開閉バルブV2は閉じられ、主排気開閉バルブV2が開いているとき主吸気開閉バルブV1は閉じられる。なお主吸気開閉バルブV1および主排気開閉バルブV2は一時的にともに閉じられてもよい。
主吸気開閉バルブV1が開いているとき、矢印A1で示されるように、圧縮機吐出口12aから高圧ライン13a、主吸気開閉バルブV1、蓄冷器連通路44、および蓄冷器高温端18aを通じて蓄冷器18に作動ガスが供給される。一方、主排気開閉バルブV2が開いているとき、矢印A2で示されるように、蓄冷器18から蓄冷器高温端18a、蓄冷器連通路44、主排気開閉バルブV2、および低圧ライン13bを通じて圧縮機吸入口12bに作動ガスが回収される。
第1バッファ開閉バルブ30は、第1バッファ容積B1すなわちバッファタンク26をパルス管高温端16aに接続する。第1バッファ開閉バルブ30が開いているとき、第1バッファ容積B1の圧力がパルス管16の圧力よりも高ければ、矢印A3で示されるように、第1バッファ容積B1から第1バッファ開閉バルブ30、パルス管連通路42およびパルス管高温端16aを通じてパルス管16に作動ガスが供給される。一方、第1バッファ容積B1の圧力がパルス管16の圧力よりも低ければ、矢印A4で示されるように、パルス管16からパルス管高温端16a、パルス管連通路42、第1バッファ開閉バルブ30を通じて第1バッファ容積B1に作動ガスが回収される。説明の便宜上、第1バッファ開閉バルブ30をバルブV3と表記する場合がある。
バッファ圧力制御バルブ32は、第1バッファ容積B1の圧力を制御するように圧縮機吐出口12aまたは圧縮機吸入口12bのいずれかを第1バッファ容積B1に選択的に連通させるように構成されている。バッファ圧力制御バルブ32は、第1バッファ容積B1を圧縮機吐出口12aおよび圧縮機吸入口12bに交互に接続するように構成されている。バッファ圧力制御バルブ32は、圧縮機吐出口12aを第1バッファ容積B1に接続するバッファ吸気開閉バルブV4と、圧縮機吸入口12bを第1バッファ容積B1に接続するバッファ排気開閉バルブV5とを備える。
バッファ圧力制御バルブ32は、バッファ吸気開閉バルブV4およびバッファ排気開閉バルブV5がそれぞれ排他的に開放されるよう構成されている。すなわち、バッファ吸気開閉バルブV4およびバッファ排気開閉バルブV5が同時に開くことは禁止されている。バッファ吸気開閉バルブV4が開いているときバッファ排気開閉バルブV5は閉じられ、バッファ排気開閉バルブV5が開いているときバッファ吸気開閉バルブV4は閉じられる。なおバッファ吸気開閉バルブV4およびバッファ排気開閉バルブV5が一時的にともに閉じられてもよい。
バッファ吸気開閉バルブV4が開いているとき、矢印A5で示されるように、圧縮機吐出口12aから高圧ライン13a、バッファ吸気開閉バルブV4、およびバッファライン46を通じて第1バッファ容積B1に作動ガスが供給される。よって、第1バッファ容積B1は昇圧される。一方、バッファ排気開閉バルブV5が開いているとき、矢印A6で示されるように、第1バッファ容積B1からバッファライン46、バッファ排気開閉バルブV5、および低圧ライン13bを通じて圧縮機吸入口12bに作動ガスが回収される。よって、第1バッファ容積B1は降圧される。したがって、バッファ圧力制御バルブ32は、圧縮機12が提供する高圧PHと低圧PLの間の所望の圧力に第1バッファ容積B1の圧力を制御することができる。
また、バッファ圧力制御バルブ32は、第1バッファ開閉バルブ30が閉じているとき圧縮機吐出口12aまたは圧縮機吸入口12bのいずれかを第1バッファ容積B1に選択的に接続する。バッファ圧力制御バルブ32は、第1バッファ開閉バルブ30が開いているとき圧縮機吐出口12aおよび圧縮機吸入口12bのいずれも第1バッファ容積B1に接続しない。すなわち、バッファ吸気開閉バルブV4およびバッファ排気開閉バルブV5はいずれも、第1バッファ開閉バルブ30が閉じているときにのみ開かれる。よって、パルス管高温端16aは、蓄冷器18を経由することなく圧縮機12に接続されることはない。なお必要とされる場合には、バッファ吸気開閉バルブV4またはバッファ排気開閉バルブV5のいずれかと第1バッファ開閉バルブ30とが一時的に同時に開かれてもよい。
例示的なバルブタイミングにおいては、バッファ圧力制御バルブ32は、主圧力切替バルブ28が蓄冷器高温端18aを圧縮機吐出口12aに接続していないとき圧縮機吐出口12aを第1バッファ容積B1に連通させる。よって、バッファ吸気開閉バルブV4は、主吸気開閉バルブV1が閉じているときに開かれ、圧縮機吐出口12aを第1バッファ容積B1に接続する。
このようにして、主圧力切替バルブ28およびバッファ圧力制御バルブ32は、圧縮機吐出口12aが蓄冷器18とバッファタンク26の両方に同時に連通しないように構成される。よって、圧縮機12からの吐出流量は、蓄冷器18とバッファタンク26のいずれか一方にのみ供給される。吐出流量を蓄冷器18とバッファタンク26で分け合う必要がない。圧縮機吐出口12aが蓄冷器18とバッファタンク26の両方に同時に連通するバルブタイミングに比べて、圧縮機12の負荷を低減することができる。圧縮機12として、より小型の圧縮機を採用することが可能となり、これはパルス管冷凍機10の設置スペースを小さくすることに役立つ。
同様に、例示的なバルブタイミングにおいては、バッファ圧力制御バルブ32は、主圧力切替バルブ28が蓄冷器高温端18aを圧縮機吸入口12bに接続していないとき圧縮機吸入口12bを第1バッファ容積B1に連通させる。よって、バッファ排気開閉バルブV5は、主排気開閉バルブV2が閉じているときに開かれ、圧縮機吸入口12bを第1バッファ容積B1に接続する。このようにして、主圧力切替バルブ28およびバッファ圧力制御バルブ32は、圧縮機吸入口12bが蓄冷器18とバッファタンク26の両方に同時に連通しないように構成される。圧縮機12への回収流量を蓄冷器18とバッファタンク26で分け合う必要がなく、圧縮機12の負荷を低減することができる。
バルブ部24の具体的構成は種々ありうる。一群のバルブ(V1〜V5)は、機械的に定められたバルブタイミングで動作するように構成されていてもよい。例えば、バルブ部24は、ロータリーバルブの形式をとってもよい。この場合、一群のバルブ(V1〜V5)がバルブ部24に組み込まれており、同期して駆動される。バルブ部24は、バルブ本体(またはバルブステータ)に対するバルブディスク(またはバルブロータ)の回転摺動によってバルブ(V1〜V5)が適正に切り替わるよう構成されている。一群のバルブ(V1〜V5)は、パルス管冷凍機10の運転中に同一周期で切り替えられ、それにより5つの開閉バルブ(V1〜V5)は周期的に開閉状態を変化させる。5つの開閉バルブ(V1〜V5)はそれぞれ異なる位相で開閉される。
ある実施形態においては、一群のバルブ(V1〜V5)は、複数の個別に制御可能なバルブの形式をとってもよい。各バルブ(V1〜V5)は、電磁開閉弁であってもよい。一群のバルブ(V1〜V5)は、予め定められたバルブタイミングで自動的に開閉動作をするように構成されていてもよい。
ある実施形態においては、一群のバルブ(V1〜V5)は、ロータリーバルブと個別に制御可能なバルブの組み合わせであってもよい。例えば、主圧力切替バルブ28およびバッファ圧力制御バルブ32(つまりV1、V2、V4、V5)がロータリーバルブとして構成され、第1バッファ開閉バルブ30がロータリーバルブとは別の開閉弁であってもよい。
図3は、第1実施形態に係るアクティブバッファパルス管冷凍機に適用可能である例示的なバルブタイミングと圧力波形を示す概略図である。図3の上部には各バルブ(V1〜V5)のバルブタイミングをパルス管冷凍機10の冷凍サイクルの一周期にわたって示し、図3の下部には第1バッファ容積B1の圧力PB1をパルス管16の圧力PCとともに示す。
ここで、パルス管冷凍機10の冷凍サイクルの一周期は、第1期間T1、第2期間T2、第3期間T3、および第4期間T4の4つの期間に区分けされる。第2期間T2は第1期間T1に後続し、第3期間T3は第2期間T2に後続し、第4期間T4は第3期間T3に後続し、冷凍サイクルの次の一周期の第1期間T1が第4期間T4に後続する。
第1期間T1と第2期間T2は、パルス管冷凍機10の吸気工程にあたる。第2期間T2において圧縮機12から蓄冷器18を通じてパルス管16への吸気(主吸気)が行われる。これに先行して、第1期間T1においてはバッファタンク26からパルス管16への予備的な吸気が行われる。第3期間T3と第4期間T4は、パルス管冷凍機10の排気工程にあたる。第4期間T4においてパルス管16から蓄冷器18を通じて圧縮機12への排気(主排気)が行われる。これに先行して、第3期間T3においてはパルス管16からバッファタンク26への予備的な排気が行われる。
よって、主吸気開閉バルブV1は、第2期間T2において開かれ、それ以外の期間は閉じている。主排気開閉バルブV2は、第4期間T4において開かれ、それ以外の期間は閉じている。第1バッファ開閉バルブ30(V3)は、第1期間T1と第3期間T3で開かれる。また第1バッファ開閉バルブ30(V3)は、第2期間T2と第4期間T4でも開かれる。図3に示されるバルブタイミングでは、第2期間T2において主吸気開閉バルブV1と第1バッファ開閉バルブ30(V3)が同時に開かれ同時に閉じているが、これは必須ではない。また、第4期間T4において主排気開閉バルブV2と第1バッファ開閉バルブ30(V3)が同時に開かれ同時に閉じることも、必須ではない。
パルス管16の吸排気のための各期間(T1〜T4)に先行して、バッファ圧力制御期間(C1〜C4)が設けられている。これらバッファ圧力制御期間(C1〜C4)も加えると、パルス管冷凍機10の冷凍サイクルの一周期は、8つの期間、すなわち、第1バッファ圧力制御期間C1、第1期間T1、第2バッファ圧力制御期間C2、第2期間T2、第3バッファ圧力制御期間C3、第3期間T3、第4バッファ圧力制御期間C4、および第4期間T4に区分けされる。パルス管冷凍機10の運転中、これら8つの期間が順番に繰り返される。
第1バッファ圧力制御期間C1においては、バッファ圧力制御バルブ32は、第1バッファ容積B1の圧力PB1を第1中間圧PM1に制御する。バッファ吸気開閉バルブV4が開かれ、第1バッファ容積B1の圧力PB1は、低圧PLから第1中間圧PM1へと昇圧される。それ以外のバルブ(V1〜V3、V5)は、第1バッファ圧力制御期間C1において閉じている。
こうして、第1バッファ圧力制御期間C1に後続する第1期間T1において、第1バッファ容積B1は、第1中間圧バッファ容積として作動することができる。第1期間T1では上述のように第1バッファ開閉バルブ30(V3)が開かれ、低圧PLのパルス管16に第1バッファ容積B1から作動ガスが供給される。それにより、パルス管16の圧力PCは、第1バッファ容積B1の圧力PB1へと昇圧される。第1バッファ容積B1の圧力PB1は第1中間圧PM1からいくらか低下する。このとき第1バッファ容積B1の圧力PB1は、例えば、第1中間圧PM1と第2中間圧PM2の間にあってもよい。
第2バッファ圧力制御期間C2においては、バッファ圧力制御バルブ32は、第1バッファ容積B1の圧力PB1を高圧PHに制御する。バッファ吸気開閉バルブV4が開かれ、第1バッファ容積B1の圧力PB1は、高圧PHへと昇圧される。それ以外のバルブ(V1〜V3、V5)は、第2バッファ圧力制御期間C2において閉じている。
こうして、第2バッファ圧力制御期間C2に後続する第2期間T2において、第1バッファ容積B1は、高圧バッファ容積として作動することができる。第2期間T2では上述のように主吸気開閉バルブV1が開かれ、圧縮機12から蓄冷器18を通じてパルス管16に作動ガスが供給される。第1バッファ開閉バルブ30(V3)も開かれ、パルス管16に第1バッファ容積B1から作動ガスが供給される。パルス管16の圧力PCは、高圧PHへと昇圧される。第1バッファ容積B1の圧力PB1は、第1バッファ開閉バルブ30(V3)の開放直後は若干低下するが、その後は、主吸気開閉バルブV1が開いているので、高圧PHに維持される。
第3バッファ圧力制御期間C3においては、バッファ圧力制御バルブ32は、第1バッファ容積B1の圧力PB1を第2中間圧PM2に制御する。バッファ排気開閉バルブV5が開かれ、第1バッファ容積B1の圧力PB1は、第2中間圧PM2へと降圧される。それ以外のバルブ(V1〜V4)は、第3バッファ圧力制御期間C3において閉じている。第2中間圧PM2は、第1中間圧PM1と等しくてもよいし、異なっていてもよい。
こうして、第3バッファ圧力制御期間C3に後続する第3期間T3において、第1バッファ容積B1は、第2中間圧バッファ容積として作動することができる。第3期間T3では上述のように第1バッファ開閉バルブ30(V3)が開かれ、高圧PHのパルス管16から第1バッファ容積B1に作動ガスが回収される。それにより、パルス管16の圧力PCは、第1バッファ容積B1の圧力PB1へと降圧される。第1バッファ容積B1の圧力PB1は第2中間圧PM2からいくらか高まる。このとき第1バッファ容積B1の圧力PB1は、例えば、第1中間圧PM1と第2中間圧PM2の間にあってもよい。
第4バッファ圧力制御期間C4においては、バッファ圧力制御バルブ32は、第1バッファ容積B1の圧力PB1を低圧PLに制御する。バッファ排気開閉バルブV5が開かれ、第1バッファ容積B1の圧力PB1は、低圧PLへと降圧される。それ以外のバルブ(V1〜V4)は、第4バッファ圧力制御期間C4において閉じている。
こうして、第4バッファ圧力制御期間C4に後続する第4期間T4において、第1バッファ容積B1は、低圧バッファ容積として作動することができる。第4期間T4では上述のように主排気開閉バルブV2が開かれ、パルス管16から蓄冷器18を通じて圧縮機12に作動ガスが回収される。第1バッファ開閉バルブ30(V3)も開かれ、パルス管16から第1バッファ容積B1に作動ガスが回収される。パルス管16の圧力PCは、低圧PLへと降圧される。第1バッファ容積B1の圧力PB1は、第1バッファ開閉バルブ30(V3)の開放直後は若干増加するが、その後は、主排気開閉バルブV2が開いているので、低圧PLに維持される。
図において同時に描かれているバルブタイミングは、厳密に同時である必要はなく、いくらかずれていてもよい。例えば、バッファ吸気開閉バルブV4が閉じる第1バッファ圧力制御期間C1の終了時点が、第1バッファ開閉バルブ30(V3)が開く第1期間T1の開始時点と同時であることは必須ではない。第1期間T1の開始時点が、第1バッファ圧力制御期間C1の終了時点からいくらか遅延してもよい。逆に、第1バッファ圧力制御期間C1の終了時点が、第1期間T1の開始時点からいくらか遅延し、第1バッファ開閉バルブ30(V3)とバッファ吸気開閉バルブV4が一時的に同時に開いてもよい。
第1バッファ圧力制御期間C1と第1期間T1のように連続する二期間の間に、あらゆるバルブが閉鎖された移行期間が設けられてもよい。なお、そのような移行期間が、例として、第2バッファ圧力制御期間C2と第2期間T2の間に設けられているが、これも必須ではない。
このような構成により、パルス管冷凍機10は、パルス管16内に高圧PHと低圧PLの作動ガス圧力振動を生成する。圧力振動と同期して適切な位相遅れをもって、パルス管16内で作動ガスの変位振動すなわちガスピストンの往復動が生じる。ある圧力を保持しながらパルス管16内を上下に周期的に往復する作動ガスの動きは、しばしば「ガスピストン」と称され、パルス管冷凍機10の動作を説明するためによく用いられる。ガスピストンがパルス管高温端16aまたはその近傍にあるときパルス管低温端16bで作動ガスが膨張し、寒冷が発生する。このような冷凍サイクルを繰り返すことにより、パルス管冷凍機10は、冷却ステージ20を冷却することができる。したがって、パルス管冷凍機10は、被冷却物19を冷却することができる。
第1実施形態に係るパルス管冷凍機10によれば、バッファ圧力制御バルブ32が圧縮機吐出口12aまたは圧縮機吸入口12bのいずれかを第1バッファ容積B1に選択的に連通させ、それにより第1バッファ容積B1の圧力PB1が制御される。このようにして、パルス管冷凍機10は、バッファタンク26の圧力を所望の値に制御することができる。パルス管冷凍機10は、既存のアクティブバッファパルス管冷凍機に比べて、より少数のバッファタンクを有するだけでよいので、パルス管冷凍機10の設置に必要なスペースを小さくすることができる。アクティブバッファパルス管冷凍機の大型化が抑制され、冷凍機の設置が容易となり、より多くの適用分野に利用可能となる。
また、第1実施形態に係るパルス管冷凍機10においては、バッファ圧力制御バルブ32は、第1バッファ容積B1が、パルス管冷凍機10の冷凍サイクルの一周期のうち第1期間T1で第1中間圧バッファ容積、第2期間T2で高圧バッファ容積、第3期間T3で第2中間圧バッファ容積、第4期間T4で低圧バッファ容積として周期的に作動するように第1バッファ容積B1の圧力PB1を制御する。
このようにして、パルス管冷凍機10は、バッファタンク26を1つだけしか持たないにもかかわらず、いわゆる3バッファ方式のアクティブバッファパルス管冷凍機と同様に動作することができる。一般に、3バッファ方式のアクティブバッファパルス管冷凍機では、1つのパルス管に3個のバッファタンクが並列接続され、一つ目のバッファタンクが高圧バッファ、二つ目のバッファタンクが中圧バッファ、三つ目のバッファタンクが低圧バッファとして用いられる。
第1実施形態に係るパルス管冷凍機10は、3バッファ方式のパルス管冷凍機に比べてバッファの総容積が1/3でよいことになる。パルス管冷凍機10の設置に必要なスペースを格段に小さくすることができる。アクティブバッファパルス管冷凍機の大型化が抑制され、冷凍機の設置が容易となり、より多くの適用分野に利用可能となる。
第1実施形態に係るパルス管冷凍機10は、バッファ容積からのガス流出入を位相制御に利用している点では既存のアクティブバッファパルス管冷凍機と共通する。したがって、アクティブバッファパルス管冷凍機としての優れた冷凍機の効率という利点は、パルス管冷凍機10においても失われない。
第1実施形態に係るパルス管冷凍機10は、圧縮機12に4つのバルブ(V1、V2、V4、V5)が接続されている点で、既存の4バルブ型のパルス管冷凍機と構成上の類似がある。しかし、パルス管冷凍機10は、4バルブ型のパルス管冷凍機とはバルブタイミングがかなり異なる。
4バルブ型のパルス管冷凍機ではふつう、一時的に2つの吸気バルブ(または2つの排気バルブ)が同時に開き、そのとき圧縮機の負荷が比較的大きくなる。これに対して、パルス管冷凍機10では上述のように、バッファ圧力制御バルブ32は、主圧力切替バルブ28が蓄冷器高温端18aを圧縮機吐出口12aに接続していないとき圧縮機吐出口12aを第1バッファ容積B1に連通させ、主圧力切替バルブ28が蓄冷器高温端18aを圧縮機吸入口12bに接続していないとき圧縮機吸入口12bを第1バッファ容積B1に連通させる。パルス管冷凍機10においては、2つの吸気バルブ(V1、V4)が同時に開くことはなく、2つの排気バルブ(V2、V5)が同時に開くことはない。したがって、パルス管冷凍機10は、4バルブ型のパルス管冷凍機に比べて圧縮機の負荷が低減され、冷凍機の効率が高まる。
図4は、第1実施形態に係るアクティブバッファパルス管冷凍機に適用可能である例示的なバルブタイミングと圧力波形を示す概略図である。パルス管冷凍機10は、バッファタンク26を1つだけしか持たないにもかかわらず、いわゆる2バッファ方式のアクティブバッファパルス管冷凍機と同様に動作することもできる。2バッファ方式のアクティブバッファパルス管冷凍機では、1つのパルス管に2個のバッファタンクが並列接続され、一つ目のバッファタンクが高圧バッファ、二つ目のバッファタンクが低圧バッファとして用いられる。
2バッファ方式では3バッファ方式とは異なり、中間圧バッファが無い。よって、図3に示されるバルブタイミングとは異なり、図4に示されるバルブタイミングにおいては、第1バッファ圧力制御期間C1、第1期間T1、第3バッファ圧力制御期間C3、第3期間T3は、設定されない。パルス管冷凍機10の冷凍サイクルの一周期は、4つの期間、すなわち、第2バッファ圧力制御期間C2、第2期間T2、第4バッファ圧力制御期間C4、および第4期間T4に区分けされる。パルス管冷凍機10の運転中、これら4つの期間が順番に繰り返される。
第2バッファ圧力制御期間C2においては、バッファ圧力制御バルブ32は、第1バッファ容積B1の圧力PB1を高圧PHに制御する。バッファ吸気開閉バルブV4が開かれ、第1バッファ容積B1の圧力PB1は、高圧PHへと昇圧される。それ以外のバルブ(V1〜V3、V5)は、第2バッファ圧力制御期間C2において閉じている。こうして、第1バッファ容積B1は、第2バッファ圧力制御期間C2に後続する第2期間T2において高圧バッファ容積として作動することができる。
第4バッファ圧力制御期間C4においては、バッファ圧力制御バルブ32は、第1バッファ容積B1の圧力PB1を低圧PLに制御する。バッファ排気開閉バルブV5が開かれ、第1バッファ容積B1の圧力PB1は、低圧PLへと降圧される。それ以外のバルブ(V1〜V4)は、第4バッファ圧力制御期間C4において閉じている。こうして、第1バッファ容積B1は、第4バッファ圧力制御期間C4に後続する第4期間T4において低圧バッファ容積として作動することができる。
このようにして、バッファ圧力制御バルブ32は、第1バッファ容積B1が、パルス管冷凍機10の冷凍サイクルの一周期のうち第2期間T2で高圧バッファ容積、第4期間T4で低圧バッファ容積として周期的に作動するように第1バッファ容積B1の圧力PB1を制御する。
この場合、パルス管冷凍機10は、2バッファ方式のパルス管冷凍機に比べてバッファの総容積が1/2でよいことになる。パルス管冷凍機10の設置に必要なスペースを格段に小さくすることができる。アクティブバッファパルス管冷凍機の大型化が抑制され、冷凍機の設置が容易となり、より多くの適用分野に利用可能となる。
図5は、第2実施形態に係るアクティブバッファパルス管冷凍機の全体構成を概略的に示す図である。図6は、第2実施形態に係るアクティブバッファパルス管冷凍機の作動ガス回路構成を示す概略図である。図7は、第2実施形態に係るアクティブバッファパルス管冷凍機に適用可能である例示的なバルブタイミングと圧力波形を示す概略図である。第2実施形態は、位相制御機構36の構成を除いて、第1実施形態と共通する。以下では、両者の異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。
バッファタンク26および第1バッファ開閉バルブ30に加えて、位相制御機構36は、第2バッファタンク50および第2バッファ開閉バルブ52を備える。バッファタンク26は、説明の便宜上、第1バッファタンクとも称しうる。第2バッファタンク50は、中間圧バッファ容積としての第2バッファ容積B2を有する。第2バッファ開閉バルブ52は、第2バッファ容積B2を第1バッファ容積B1と並列にパルス管高温端16aに接続する。第2バッファタンク50は、圧縮機12から独立して設けられている。第2バッファタンク50は、第2バッファ開閉バルブ52を介してパルス管高温端16aのみに接続されている。
第2バッファ開閉バルブ52が開いているとき、第2バッファ容積B2の圧力がパルス管16の圧力よりも高ければ、第2バッファ容積B2から第2バッファ開閉バルブ52を通じてパルス管16に作動ガスが供給される。一方、第2バッファ容積B2の圧力がパルス管16の圧力よりも低ければ、パルス管16から第2バッファ開閉バルブ52を通じて第2バッファ容積B2に作動ガスが回収される。説明の便宜上、第2バッファ開閉バルブ52をバルブV6と表記する場合がある。
パルス管冷凍機10の冷凍サイクルの一周期は、第1期間T1、第2期間T2、第3期間T3、および第4期間T4の4つの期間に区分けされる。パルス管冷凍機10の運転中、これら4つの期間が順番に繰り返される。
第1期間T1においては第2バッファタンク50からパルス管16への予備的な吸気が行われ、それに続いて、第2期間T2において圧縮機12から蓄冷器18を通じてパルス管16への吸気(主吸気)が行われる。第2期間T2においては、第1バッファタンク26からパルス管16への吸気も行われる。第3期間T3においてはパルス管16から第2バッファタンク50への予備的な排気が行われ、それに続いて、第4期間T4においてパルス管16から蓄冷器18を通じて圧縮機12への排気(主排気)が行われる。第4期間T4においてはパルス管16から第1バッファタンク26への排気も行われる。
よって、主吸気開閉バルブV1は、第2期間T2において開かれ、それ以外の期間は閉じている。主排気開閉バルブV2は、第4期間T4において開かれ、それ以外の期間は閉じている。第1バッファ開閉バルブ30(V3)は、第2期間T2と第4期間T4で開き、第1期間T1と第3期間T3で閉じている。第2バッファ開閉バルブ52(V6)は、第1期間T1と第3期間T3で開き、第2期間T2と第4期間T4で閉じている。
第2バッファ圧力制御期間C2および第4バッファ圧力制御期間C4が設定されている。第2バッファ圧力制御期間C2は第1期間T1と時間的に重なって設定され、第4バッファ圧力制御期間C4は第1期間T1と時間的に重なって設定されている。
第2バッファ圧力制御期間C2においては、バッファ圧力制御バルブ32は、第1バッファ容積B1の圧力PB1を高圧PHに制御する。バッファ吸気開閉バルブV4が開かれ、第1バッファ容積B1の圧力PB1は、高圧PHへと昇圧される。第2バッファタンク50からパルス管16への予備的な吸気のために第2バッファ開閉バルブ52(V6)は開いているので、パルス管16の圧力PCは、低圧PLから中間圧ゾーンPMへと昇圧される。第2バッファ容積B2の圧力PB2は、中間圧ゾーンPMに保たれている。それ以外のバルブ(V1〜V3、V5)は、第2バッファ圧力制御期間C2において閉じている。
こうして、第1バッファ容積B1は、第2バッファ圧力制御期間C2に後続する第2期間T2において高圧バッファ容積として作動することができる。第2期間T2では上述のように主吸気開閉バルブV1が開かれ、圧縮機12から蓄冷器18を通じてパルス管16に作動ガスが供給される。第1バッファ開閉バルブ30(V3)も開かれ、パルス管16に第1バッファ容積B1から作動ガスが供給される。パルス管16の圧力PCは、高圧PHへと昇圧される。第1バッファ容積B1の圧力PB1は、第1バッファ開閉バルブ30(V3)の開放直後は若干低下するが、その後は、主吸気開閉バルブV1が開いているので、高圧PHに維持される。
第4バッファ圧力制御期間C4においては、バッファ圧力制御バルブ32は、第1バッファ容積B1の圧力PB1を低圧PLに制御する。バッファ排気開閉バルブV5が開かれ、第1バッファ容積B1の圧力PB1は、低圧PLへと降圧される。パルス管16から第2バッファタンク50への予備的な排気のために第2バッファ開閉バルブ52(V6)は開いているので、パルス管16の圧力PCは、高圧PHから中間圧ゾーンPMへと降圧される。第2バッファ容積B2の圧力PB2は、中間圧ゾーンPMに保たれている。それ以外のバルブ(V1〜V4)は、第4バッファ圧力制御期間C4において閉じている。
こうして、第1バッファ容積B1は、第4バッファ圧力制御期間C4に後続する第4期間T4において低圧バッファ容積として作動することができる。第4期間T4では上述のように主排気開閉バルブV2が開かれ、パルス管16から蓄冷器18を通じて圧縮機12に作動ガスが回収される。第1バッファ開閉バルブ30(V3)も開かれ、パルス管16から第1バッファ容積B1に作動ガスが回収される。パルス管16の圧力PCは、低圧PLへと降圧される。第1バッファ容積B1の圧力PB1は、第1バッファ開閉バルブ30(V3)の開放直後は若干増加するが、その後は、主排気開閉バルブV2が開いているので、低圧PLに維持される。
このようにして、バッファ圧力制御バルブ32は、第1バッファ容積B1が、パルス管冷凍機10の冷凍サイクルの一周期のうち第2期間T2で高圧バッファ容積、第4期間T4で低圧バッファ容積として周期的に作動するように第1バッファ容積B1の圧力PBを制御する。パルス管冷凍機10は、第1バッファタンク26および第2バッファタンク50の2つしかバッファタンクを持たないにもかかわらず、いわゆる3バッファ方式のアクティブバッファパルス管冷凍機と同様に動作することができる。
この場合、パルス管冷凍機10は、3バッファ方式のパルス管冷凍機に比べてバッファの総容積が2/3でよいことになる。パルス管冷凍機10の設置に必要なスペースを小さくすることができる。アクティブバッファパルス管冷凍機の大型化が抑制され、冷凍機の設置が容易となり、より多くの適用分野に利用可能となる。
なお、第2実施形態においては、中間圧バッファを圧縮機12から独立したバッファ容積とし、高圧バッファと低圧バッファを切替可能とする圧力可変バッファが設けられているが、これに限られない。高圧バッファを圧縮機12から独立したバッファ容積とし、中間圧バッファと低圧バッファを切替可能とする圧力可変バッファを設けることも可能である。あるいは、低圧バッファを圧縮機12から独立したバッファ容積とし、中間圧バッファと高圧バッファを切替可能とする圧力可変バッファを設けることも可能である。
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上記実施形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。