以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
(第1実施形態)
図1及び図2は、本発明の第1実施形態に係るドアラッチ装置10を示す。図1に示すように、このドアラッチ装置10は、車体1の後部開口を開閉するバックドア4に配置され、車体1に対してバックドア4を開放可能に閉じた状態に保持する。車体1には、バックドア4との隙間を防水するゴム製のウェザーストリップ3が配置されている。
(ドアラッチ装置の概要)
図2に示すように、ドアラッチ装置10は、フレーム12、ラッチ機構20、電動開閉機構32、及び手動開放機構57を備える。
ラッチ機構20は、車体1に配置されたU字形状のストライカ2を離脱不可能なラッチ状態(図9A及び図9B参照)と、ストライカ2を離脱可能なオープン状態(図14A及び図14B参照)とに切り換えられる。
電動開閉機構32は、車両のバッテリとECU(Electronic Control Unit)に電気的に接続されている。バックドア4に配置された開スイッチ(図示せず)が操作されると、電動開閉機構32は、ECU(制御部)の指令によって開駆動し、ラッチ機構20をオープン状態に開作動させる。開状態のバックドア4が閉じられ、ラッチ機構20にストライカ2が進入すると、電動開閉機構32は、ECUの指令によって閉駆動し、ラッチ機構20をラッチ状態に閉作動させる。
手動開放機構57は、バッテリの電力不足等によって電動でバックドア4を開放できない場合に、手動でラッチ機構20を操作して、バックドア4を開放するものである。
(フレームの概要)
図1から図3に示すように、フレーム12は、ベースプレート13、フェンスブロック14、ラッチベース15、及びラッチカバー16を備える。ベースプレート13には、電動開閉機構32の一部と手動開放機構57とが配置されている。フェンスブロック14には、ラッチ機構20と電動開閉機構32の残りとが配置されている。
ベースプレート13は金属製で、バックドア4のアウターパネル5に沿って配置される。ベースプレート13には、ラッチベース15とラッチカバー16を組み付けるための一対のブラケット13a,13aが設けられている。
フェンスブロック14は樹脂製で、バックドア4の先端パネル6側に配置される。フェンスブロック14は、ラッチベース15とラッチカバー16に挟み込まれた状態で、これらを介してベースプレート13に組み付けられている。フェンスブロック14の先端パネル6側には、ストライカ2を挿通可能な挿通溝14aが設けられている。
ラッチベース15は金属製で、先端パネル6側に位置するフェンスブロック14の下面に配置されている。ラッチベース15の側部には、ベースプレート13に組み付けるための一対のブラケット15a,15aが設けられている。ブラケット15aは、フェンスブロック14の側面を覆うように、屈曲して形成されている。バックドア4を閉じる向きの先端側、つまりバックドア4のインナーパネル7側に位置するラッチベース15の前部には、カバー部15bが設けられている。カバー部15bを含むラッチベース15には、挿通溝14aを露出させる開口15cが形成されている。
ラッチカバー16は金属製で、ラッチベース15の反対側に位置するフェンスブロック14の上面に配置されている。ラッチカバー16には、ベースプレート13に組み付けるための一対のブラケット16a,16aが設けられている。ラッチカバー16とベースプレート13の間には、電動開閉機構32の一部を配置するための隙間が設けられている。
例えば、フレーム12は、次のように組み立てられる。まず、ラッチベース15をベースプレート13の下部に配置し、ラッチベース15のブラケット15aをベースプレート13のブラケット13aの下側に重ねる。次に、ラッチベース15の上部にフェンスブロック14を配置する。その後、ラッチカバー16をフェンスブロック14の上面に配置し、ラッチカバー16のブラケット16aをベースプレート13のブラケット13aの上側に重ねる。最後に、重ねられた3枚のブラケット13a,15a,16aをボルト止めする。
(ラッチ機構の概要)
図2及び図4に示すように、ラッチ機構20は、ストライカ2を離脱可能に保持するフォーク22と、フォーク22を離脱可能に係止するクローレバー26とを備える。フォーク22は、フェンスブロック14の挿通溝14aの一側(図2において右側)に配置され、クローレバー26は、フェンスブロック14の挿通溝14aの他側(図2において左側)に配置されている。
このラッチ機構20では、フルラッチ位置(保持位置)に回転したフォーク22をクローレバー26で係止し、フォーク22をフルラッチ位置に保持する。また、クローレバー26とフォーク22の係止が解除されることで、フォーク22のオープン位置(開放位置)への回転を許容する。以下にラッチ機構20の構成について具体的に説明する。
フォーク22は、フェンスブロック14に配置された回転軸23に軸支されている。フォーク22は、回転軸23を中心として、図9Bに示すフルラッチ位置と、図14Bに示すオープン位置とに回転可能である。フォーク22は、スプリング(第1付勢部材)24によって、フルラッチ位置からオープン位置に向けて反時計回りに付勢されている。
フォーク22には、外周部から回転軸23に向けて、ストライカ2の保持溝22aが形成されている。図9Bのフルラッチ位置では、保持溝22aは、挿通溝14aに対して直交する姿勢になることで、ストライカ2を離脱不可能に保持する。図14Bのオープン位置では、保持溝22aは、先端開口が挿通溝14a上に位置するように、挿通溝14aに沿って延びる姿勢になることで、ストライカ2を離脱可能である。
フォーク22には、オープン位置で挿通溝14a側に位置する外周部に、フルラッチ段部22bとハーフラッチ段部22cが設けられている。フルラッチ位置にフォーク22が回転すると、フルラッチ段部22bにクローレバー26が係止する。フルラッチ位置とオープン位置の間のハーフラッチ位置にフォーク22が回転すると、ハーフラッチ段部22cにクローレバー26が係止する。
クローレバー26は、フェンスブロック14に配置された回転軸29に軸支されている。クローレバー26は、回転軸29を中心として、図9Bに示す係止位置と、図13Bに示す非係止位置とに回転可能である。クローレバー26は、スプリング30によって、非係止位置から係止位置に向けて時計回りに付勢されている。
クローレバー26には、係止位置で挿通溝14a側に位置する端に、係止部27aが設けられている。図9Bの係止位置では、係止部27aは、フォーク22のフルラッチ段部22bとハーフラッチ段部22cに係止可能であり、フォーク22をフルラッチ位置及びハーフラッチ位置に係止する。図13Bの非係止位置では、係止部27aは、フルラッチ段部22b及びハーフラッチ段部22cのいずれにも係止不可能であり、スプリング24の付勢によるフォーク22のオープン位置への回転を許容する。
(電動開閉機構の概要)
引き続いて図2及び図4を参照すると、電動開閉機構32は、アクチュエータ34、セクタギア(回転部材)41、規制部材48、開操作受部53、及び閉操作受部55を備える。アクチュエータ34とセクタギア41は、ベースプレート13に配置されている。規制部材48は、ラッチカバー16に配置されている。開操作受部53は、フェンスブロック14に配置されたクローレバー26に一体に設けられ、閉操作受部55は、フェンスブロック14に配置されたフォーク22に一体に設けられている。
電動開閉機構32は、ECUによって電動モータ35が開駆動されることで、操作部44を備えるセクタギア41が開操作受部53を操作し、クローレバー26を係止位置から非係止位置に回転させて、ラッチ機構20をオープン状態とする。この際、規制部材48によってフォーク22のオープン位置への回転を規制し、フォーク22をオープン位置に向けて徐々に回転させる。また、電動開閉機構32は、ECUによって電動モータ35が閉駆動されることで、操作部44を備えるセクタギア41が閉操作受部55を操作し、フォーク22をフルラッチ位置に回転させて、ラッチ機構20をラッチ状態とする。以下に電動開閉機構32の構成について具体的に説明する。
アクチュエータ34は、正転(開駆動)及び逆転(閉駆動)が可能な電動モータ35と、電動モータ35の出力軸に機械的に接続された出力ギア36とを備える。電動モータ35は、ベースプレート13のアウターパネル5側の面に固定されている。出力ギア36は、ベースプレート13の貫通部13bを通して、ベースプレート13のインナーパネル7側の面に配置されている。
電動モータ35は、電線37によって接続されたコネクタ38を、バックドア4のコネクタ(図示せず)に接続することで、ECUとバッテリに電気的に接続される。コネクタ38には、図9Bに示すスイッチ21、図2に示すフォークスイッチ25、及び図2に示すスイッチ39も、電気的に接続されている。スイッチ21は、クローレバー26によってオンされることで、クローレバー26が非係止位置に回転したことを検出する。フォークスイッチ25は、図示しない検出子を備えた回転スイッチであり、検出子がフォーク22の一部に当接してフォーク22と連動して作動することで、フォーク22がオープン位置、ハーフラッチ位置、及びフルラッチ位置のいずれに移動しているかを検出する。スイッチ39は、セクタギア41の干渉部材43によってオンされることで、セクタギア41が中立位置に回転したことを検出する。
セクタギア41は、ベースプレート13のインナーパネル7側に配置された概ね扇形の板体である。セクタギア41は、ベースプレート13の貫通孔13c(図3参照)に配置された回転軸42に軸支されている。この回転軸42は、フォーク22の回転軸23、及びクローレバー26の回転軸29に対して、直交方向に延びるように配置されている。セクタギア41の外周部には、出力ギア36に噛み合う複数の歯41aが設けられている。
セクタギア41のインナーパネル7側の面には、スイッチ39をオンする干渉部材43が配置されている。また、セクタギア41のインナーパネル7側の面には、規制部材48の操作受部48a、クローレバー26の開操作受部53、及びフォーク22の閉操作受部55を操作するための操作部44が設けられている。この操作部44は、開駆動時に規制部材48とクローレバー26の両方を操作し、閉駆動時にフォーク22のみを操作する。なお、操作部44の具体的構成については後で詳述する。
セクタギア41は、図9A及び図14Aに示す中立位置を起点とし、電動モータ35が正転することで、出力ギア36によって反時計回り(第1の向き)に回転され、電動モータ35が逆転することで、出力ギア36によって時計回り(第2の向き)に回転される。つまり、セクタギア41は、図4に示すように、回転軸42を中心として円弧軌道Aを描くように回転される。
開駆動によりセクタギア41は、第1の回転角度位置である中立位置(第1位置)から第5の回転角度位置(第5位置)まで回転する。図7に示すように、中立位置(第1の回転角度位置)では、操作部44は、規制部材48の操作受部48a、及びクローレバー26の開操作受部53から離反している。第2の回転角度位置(第2位置)では、操作部44が、規制部材48の操作受部48aに当接している。第3の回転角度位置(第3位置)では、図10Aに示すように、操作部44が、規制部材48の操作受部48aとクローレバー26の開操作受部53の両方に当接している。第4の回転角度位置(第4位置)では、図11Aに示すように、規制部材48が規制位置に回転している。第5の回転角度位置(第5位置)では、図13Aに示すように、規制部材48が規制解除位置に回転し、クローレバー26が非係止位置に回転している。また、閉駆動によりセクタギア41は、操作部44が閉操作受部55に当接する回転角度位置を経て、操作部44によって閉操作受部55を押圧した回転角度位置まで、開駆動とは逆向きに回転する。
図5から図7に示すように、規制部材48は、クローレバー26が非係止位置へ回転されるとき(開駆動時の初期)に、フォーク22をフルラッチ位置に保持し、セクタギア41の回転に連動して、スプリング24の付勢によるフォーク22のオープン位置への回転を許容するものである。
規制部材48は、ラッチカバー16の取付孔16b(図3参照)に配置された回転軸49に軸支され、ラッチベース15とラッチカバー16の間の隙間に配置されている。規制部材48は、回転軸49を中心として、フォーク22をフルラッチ位置に保持する規制位置(図11A及び図11B参照)と、スプリング24の付勢によるフォーク22の回転を許容する規制解除位置(図13A及び図13B参照)とに、回転可能である。規制部材48は、スプリング(第2付勢部材)50によって、規制位置から規制解除位置に向けて時計回りに付勢されている。スプリング50によって付勢された規制部材48は、フェンスブロック14の一部(図示せず)に当接して停止している。つまり、フェンスブロック14に当接することで停止する位置が、規制部材48の規制解除位置である。
規制部材48は、操作部44による操作を受ける操作受部48aを備える。この操作受部48aは、規制解除位置から規制位置に向けた向きB1と、規制位置から規制解除位置に向けた向きB2とに、規制部材48を回転させるものである。図7を参照すると、規制部材48が規制解除位置に回転している状態では、操作受部48aは、中立位置のセクタギア41の操作部44の下部(開作動により移動する向きA1)、かつ右側(操作部44の円弧軌道Aの内側)に位置している。なお、規制部材48の具体的構造については後で詳述する。
図4及び図8Aに示すように、開操作受部53は、操作部44による操作を受けて、フォーク22とクローレバー26の係止を解除する向きCへ、クローレバー26を回転させるもので、クローレバー26に一体に設けられている。この開操作受部53は、ベースプレート13とラッチカバー16の隙間から操作部44側に突出している。図7を参照すると、クローレバー26が係止位置に回転している状態では、開操作受部53は、操作部44の下部(開作動により移動する向きA1)、かつ左側(操作部44の円弧軌道Aの外側)に位置している。なお、開操作受部53の具体的構造については後で詳述する。
図2及び図4に示すように、閉操作受部55は、操作部44による操作を受けて、フォーク22をフルラッチ位置へ回転させるもので、フォーク22に一体に設けられている。この閉操作受部55は、屈曲して形成された固定部55aを備え、この固定部55aが、ラッチカバー16から操作部44側へ突出された回転軸23の先端に固定されている。閉操作受部55は、回転軸23に沿って延び、回転軸23を中心とする円弧状に形成されている。図14A及び図14Bを参照すると、フォーク22がオープン位置に回転している状態では、閉操作受部55は、操作部44の右側に位置し、操作部44に向けて湾曲している。
(手動開放機構の概要)
手動開放機構57は、開操作部59cを含むオープンレバー59と、前述した開操作受部53とを備える。つまり、本実施形態の開操作受部53は、電動開閉機構32の操作部44による操作と、手動開放機構57の開操作部59cによる操作の両方を受けるように構成されている。
オープンレバー59は、ベースプレート13の取付孔13d(図3参照)に回転可能に取り付けるための軸部59aを備える。また、オープンレバー59は、軸部59aを中心として径方向に突出するハンドル部59bと開操作部59cを備える。ハンドル部59bは、ラッチ機構20に対して逆向きに突出している。開操作部59cは、開操作受部53を操作することで、クローレバー26を回転させるもので、開操作受部53に向けて突出している。車内側から工具等によってハンドル部54bを操作するために、インナーパネル7のハンドル部54bに対向する部位には、スリットなどの開口部(図示せず)が設けられている。オープンレバー59は、開操作受部53の操作によりクローレバー26を開作動させた操作位置から、開操作受部53から離反した非操作位置に向けて、スプリング60によって付勢されている。
(操作部の詳細)
図4及び図5に示すように、操作部44は、角部を丸面取りした概ね四角柱状の第1ピン45と、円柱状の第2ピン46とを備え、クローレバー26側へ突出している。これらは、セクタギア41の回転により、回転軸42を中心として円弧軌道Aを描くように回転する。
第1ピン45は、電動モータ35の正転によってセクタギア41が開駆動すると、規制部材48の操作受部48aとクローレバー26の開操作受部53とに、当接する向きA1へ回転する。これにより第1ピン45は、操作受部48aを押圧し、スプリング50の付勢力に抗して、規制部材48を規制解除位置から規制位置へ回転(向きB1)させた後(規制作動)、スプリング50の付勢によって規制部材48を規制位置から規制解除位置へ回転(向きB2)させる。これにより、第1ピン45は、規制部材48を介して、フォーク22のオープン位置へ向けた回転を規制した後、セクタギア41の回転に連動してフォーク22をオープン位置へ回転させる。また、第1ピン45は、開操作受部53を押圧することで、スプリング30の付勢力に抗して、クローレバー26を係止位置から非係止位置へ向きCに回転させる(開作動)。
また、第1ピン45は、電動モータ35の逆転によってセクタギア41が閉駆動すると、閉操作受部55に当接する向きA2へ回転する。これにより、第1ピン45で閉操作受部55を押圧し、スプリング24の付勢力に抗してフォーク22を、オープン位置側(ハーフラッチ位置)からフルラッチ位置へ回転させる(閉作動)。
第2ピン46は、第1ピン45に対して、回転軸42から離れる向き(セクタギア41の径方向外側)に間隔をあけて配置されている。この第2ピン46は、電動モータ35の正転によりセクタギア41が開駆動し、第1ピン45が開操作受部53を操作した後、開操作受部53に当接する。つまり、第2ピン46は、第1ピン45によってクローレバー26を所定角度回転させた状態で開操作受部53に当接し、第1ピン45に引き続いてクローレバー26を非係止位置に向けて回転させる。なお、操作受部48aと閉操作受部55の操作は、第2ピン46では行わない。
このように、本実施形態では、セクタギア41の開駆動により第1ピン45は、回転軌道A1の内側に配置された規制部材48の操作受部48aを操作するとともに、回転軌道A1の外側に配置されたクローレバー26の開操作受部53を操作できる。また、第1ピン45と第2ピン46は、開操作受部53を順番に操作するように構成されているため、クローレバー26の回転角度(作動ストローク)を十分に確保でき、開操作受部53の形状を小さくすることができる。また、小型化により開操作受部53の重量を軽くできるため、車両の衝突時に、開操作受部53に作用する慣性力を低減できる。したがって、車両の衝突時に、不意にクローレバー26が係止位置から非係止位置に移動して、フォーク22の係止が解除され、バックドア4が開放することを防止できる。
(規制部材の詳細)
規制部材48は、規制位置に回転されることでフォーク22をフルラッチ位置に保持し、規制解除位置に回転されることでオープン位置へのフォーク22の回転を許容するものである。この規制部材48は、開駆動されたセクタギア41の第1ピン45によって、図9A及び図9Bに示す規制解除位置から、図11A及び図11Bに示す規制位置を経て、図13A及び図13Bに示す規制解除位置に回転される。また、セクタギア41が開駆動位置から中立位置に戻る際には、逆順で、規制解除位置から規制位置を経て規制解除位置に回転される。
図5及び図7に示すように、規制部材48は、セクタギア41のフォーク22側に、セクタギア41と平行に配置された板状の部材である。この規制部材48には、一端(上端)側に回転軸49が取り付けられ、他端(下端)側にフォーク22をフルラッチ位置に保持するための保持部51が設けられている。回転軸49と保持部51の間には、操作部44の操作を受ける操作受部48aが設けられている。
回転軸49は、中立位置の第1ピン45の横に位置するように、ラッチカバー16に配置されている。この回転軸49は、フォーク22の回転軸23及びクローレバー26の回転軸29に対して直交し、セクタギア41の回転軸42に対して平行に位置するように配置されている。
保持部51は、フォーク22に向けて突出する棒状の部材であり、フォーク22の回転軌道面に対して、概ね同一平面上に配置されている。保持部51は、図11Bに示す規制位置ではフォーク22の回転軌道内に位置し、図13Bに示す規制解除位置ではフォーク22の回転軌道外に位置する。保持部51は、規制部材48が規制位置に回転されると、フォーク22のハーフラッチ段部22cに係止するように構成されている。ハーフラッチ段部22cは、フォーク22がフルラッチ位置に回転した状態で、規制部材48が位置するベースプレート13の方に位置する。また、保持部51は、規制部材48が規制解除位置に回転されると、フォーク22の回転範囲外に位置するため、フォーク22には当接不可能である。
図7に最も明瞭に示すように、操作受部48aは、回転軸49側に位置する第1傾斜部48bと、保持部51側に位置する第2傾斜部48cとを備え、操作部44に向けて突出する概ね三角形状に形成されている。第1傾斜部48bと第2傾斜部48cは、第1ピン45に沿って延びる板状に形成されている。第1傾斜部48bと第2傾斜部48cは、円弧状に湾曲した頂部48dによって連続している。
第1傾斜部48bは、規制部材48が規制解除位置へ回転する向きB2に向けて、中立位置の第1ピン45から離れる向きに傾斜している。つまり、第1傾斜部48bは、左下がりの傾斜面によって構成されている。この第1傾斜部48bは、向きA1へ回転した操作部44の摺動により、スプリング50の付勢力に抗して、規制部材48を規制解除位置から規制位置へ回転させる。また、第1傾斜部48bは、向きA2へ回転した操作部44の摺動により、スプリング50の付勢によって、規制部材48を規制位置から規制解除位置へ徐々に回転させる。
第2傾斜部48cは、規制部材48が規制位置へ回転する向きB1へ向けて、中立位置の第1ピン45から離れる向きに傾斜している。つまり、第2傾斜部48cは、右下がりの傾斜面によって構成されている。この第2傾斜部48cは、操作部44との当接によって、規制解除位置へ向けた規制部材48の回転と、オープン位置へ向けたフォーク22の回転とを規制する。また、第2傾斜部48cは、向きA1へ回転した操作部44の摺動に連動して、スプリング50の付勢による規制部材48の規制解除位置への回転と、オープン位置へ向けたフォーク22の回転とを徐々に許容する。さらに、第2傾斜部48cは、向きA2へ回転した操作部44の摺動により、スプリング50の付勢力に抗して、規制部材48を規制解除位置から規制位置へ回転させる。
このように、規制部材48は、異なる向きに傾斜する傾斜部48b,48cを含む操作受部48aを備えている。よって、本実施形態の規制部材48によれば、操作部44(第1ピン45)の一方向の回転によって、規制解除位置から規制位置へ移動させた後、規制位置から規制解除位置に移動させる操作を、簡単かつ確実に実行できる。
(開操作受部の詳細)
図8Aに示すように、クローレバー26は、金属製のレバー本体27と、樹脂(例えばポリアセタール)製の開操作受部53と、を備えるクローアッセンブリである。
レバー本体27の外周部は、樹脂(例えばエレストマ)製の被覆材28によって覆われている。係止部27aは、レバー本体27に形成されており、被覆材28から突出している。レバー本体27には、操作部44に向けて回転軸29に沿って突出する腕部27bが設けられている。腕部27bは、被覆材28から突出している。腕部27bには、開操作受部53の傾斜部53cに対応する傾斜部27cが設けられている。
開操作受部53には、腕部27bの先端に装着する装着穴53aが設けられている。この装着穴53aには、腕部27bに形成された係止段部27dに係止する係止部53bが設けられている。開操作受部53は、セクタギア41の操作部44が当接する傾斜部53cと、オープンレバー59の開操作部59cが当接する当接部53dとを備える。
図7を併せて参照すると、傾斜部53cは、開作動時にクローレバー26が回転する向きCの反対側に向けて、中立位置のセクタギア41の操作部44から離れる向きに傾斜している。つまり、傾斜部53cは、クローレバー26が回転する周方向の円弧軌道に対して接線方向に延びており、スプリング30がクローレバー26を付勢する方に向けて、操作部44が開駆動する下向きA1に傾斜している。これにより、傾斜部53cには、第1ピン45と第2ピン46が交差する姿勢で上方から当接する。また、第1ピン45及び第2ピン46が傾斜部53cを下向きに押圧することで、傾斜部53cの傾斜によってクローレバー26を非係止位置へ回転させることができる。
傾斜部53cの傾斜角度(レバー本体27の上面と傾斜部53cのなす角)が緩すぎると、クローレバー26の回転が困難になり、開操作受部53が大型化してしまう。一方、傾斜部53cの傾斜角度が急すぎると、クローレバー26の作動ストロークが短くなる。よって、開操作受部53を小型化するために傾斜部53cの傾斜角度は、45度以上とすることが好ましく、本実施形態では、45度に設定している。また、電動によるクローレバー26の作動回転角度は、クローレバー26の実際のリリース角度(フォーク22とクローレバー26との係止が解除される角度)が約20度、フルストローク(機械的にクローレバー26が回転できる角度)が約30度であるため、20度以上30度以下とすることが好ましく、本実施形態では25度としている。
図8Bに示すように、クローレバー26の径方向の内側から外側までの傾斜部53cの幅Wが大きすぎると、ベースプレート13とラッチカバー16の隙間を大きくする必要がある。また、傾斜部53cの幅Wが小さすぎると、第1ピン45と第2ピン46の全長を長くしなければ、クローレバー26を非係止位置に回転させるまで、第1ピン45又は第2ピン46を傾斜部53cに当接した状態に維持できない。一方、クローレバー26の腕部27bは、金属製のレバー本体27の一部をクローレバー26の回転軸方向に沿って略直角に屈曲させたものであり、本実施形態においては、レバー本体27の板厚を5mmとしているため、腕部27bの幅も5mmとしている。この腕部27bに開操作受部53を被せることで、傾斜部53cの幅Wを広げて8mmとし、傾斜部53cに第1ピン45又は第2ピン46が当接するための十分な当接代を確保している。
引き続いて図8Bを参照すると、傾斜部53cは、第1ピン45と第2ピン46が延びる方向に沿って、これらのピン45,46に向けて突出する曲面状に形成されている。つまり、傾斜部53cの幅Wに沿った方向の断面形状は、上向きに湾曲している。これにより、第1ピン45と第2ピン46は、傾斜部53cに対して点接触する。よって、傾斜部53cとピン45,46は、ストローク域内にてスムーズな接点移動が可能となり、作動中はスムーズな動摩擦状態により摩擦抵抗を低減し、セクタギア41の駆動によってクローレバー26を確実に回転できる。傾斜部53cの曲率半径rは、クローレバー26が係止位置から非係止位置に回転したときに、操作部44と傾斜部53cとの摺動軌道が傾斜部53cの幅方向の一端側から他端側まで延びるように、つまり摺動距離が長くなるように、傾斜部53cの幅Wに対して摺動点の移動距離が1/2W以上となるように設定することが好ましく、本実施形態では10mmとしている。このように構成すれば、摺動点がよりスムーズな動摩擦状態となり、操作部44と傾斜部53cとの摺動抵抗を小さくでき、傾斜部53cの磨耗を低減できる。
このように、開操作受部53をクローレバー26の腕部27bの先端に設けることで、開操作受部53を操作部44に近づけて配置できるため、セクタギア41の配置の自由度を向上できる。開操作受部53は、樹脂部品であるため、操作部44が当接した際の衝突音と、操作部44が傾斜部53cに摺接する際の作動音とを低減できる。
図8Bを併せて図9Aを参照すると、セクタギア41を正対する方向から見て、傾斜部53cは、セクタギア41の回転軸42と同じ高さに配置されている。つまり、開操作受部53の傾斜部53cとセクタギア41の回転軸42とは、左右に間隔をあけて位置し、ラッチカバー16からの距離が概ね同一になるように設定されている。言い換えれば、傾斜部53cとセクタギア41の回転軸42とは、クローレバー26の回転軸29が延びる方向と直交する方向に、間隔をあけて配置されている。
このようにした傾斜部53cには、セクタギア41の操作部44が鉛直方向の上方から当接する。よって、開操作受部53とセクタギア41の回転軸42とが、クローレバー26の回転軸29に沿って間隔をあけて配置された場合と比べて、セクタギア41の回転角度が少なくても、クローレバー26を長いストロークで作動させることができる。その結果、セクタギア41を小型化できるため、装置全体も小型化できる。
図4を併せて図8Aと図8Bを参照すると、当接部53dは、傾斜部53cに対して、フォーク22から離れる方に位置する板状の部分である。この当接部53dは、オープンレバー59の開駆動によって開操作部59cが回転する向きの先方に位置するように、連結部53eによって傾斜部53cと間隔をあけて設けられている。クローレバー26が係止位置に回転した状態では、当接部53dは、オープンレバー59の軸部59aの軸線に沿って延びている。
(ベースプレートの変形阻止)
前述のように、操作部44を備えるセクタギア41はベースプレート13に配置され、クローレバー26とフォーク22はフェンスブロック14に配置されている。また、電動モータ35の駆動によりセクタギア41は、クローレバー26を開作動させ、フォーク22を閉作動させる。また、開作動時にセクタギア41は、操作部44及び規制部材48を介して、オープン位置へ向けたフォーク22の回転を規制する。特に、フォーク22の回転規制と閉作動には、セクタギア41の回転軸42に大きな荷重が作用するため、ベースプレート13に大きな負荷が加わる。その結果、回転軸42を配置したベースプレート13が下向きに変形する。このベースプレート13の変形を抑制し、長期にわたって開閉機能を維持するために、フレーム12には、変形を阻止するための変形阻止部62が設けられている。
図1及び図3に示すように、変形阻止部62は、ラッチベース15のベースプレート13側の端に位置するように、ラッチベース15の後部に形成されている。変形阻止部62は、ベースプレート13に向けて屈曲した第1部分62aと、この第1部分62aに対して屈曲した第2部分62bとを備える。第2部分62bは、ベースプレート13に対して直交する向きに延び、板状のベースプレート13の下端を覆っている。第2部分62bとベースプレート13の下端とは、ベースプレート13へのラッチベース15の組み付けを阻害しない範囲で、可能な限り近づけて配置されている。
次に、ドアラッチ装置10の動作について説明する。
車体1に対してバックドア4が閉じられた状態では、図9Bに示すように、フォーク22はフルラッチ位置に回転し、クローレバー26は係止位置に回転してフォーク22を係止している。また、フォーク22の保持溝22aにストライカ2を保持し、ストライカ2が挿通溝14aから離脱不可能になっている。図9Aに示すように、セクタギア41は中立位置に位置し、規制部材48は規制解除位置に位置している。
(電動開閉機構による開駆動)
ラッチ状態でバックドア4の開スイッチが操作されると、図9Aに示すように、電動モータ35が正転されることで、出力ギア36が時計回りに回転し、セクタギア41が反時計回りに開駆動される。これにより、図10Aに示すように、セクタギア41の第1ピン45は、規制部材48の第1傾斜部48bに当接するとともに、開操作受部53の傾斜部53cに当接する。詳しくは、第1ピン45は、先に規制部材48の第1傾斜部48bに当接し、後に開操作受部53の傾斜部53cに当接する。よって、図10Aの状態では、第1ピン45による押圧によって、規制位置に向けた規制部材48の回転は開始されている。
引き続いて図10Aに示すように、操作受部48aの第1傾斜部48bの下端に第1ピン45が位置した状態では、図10Bに示すように、規制部材48は概ね規制位置まで回転している。つまり、本実施形態では、規制部材48を概ね規制位置に回転させた状態で、第1ピン45がクローレバー26の開操作受部53の上端に当接するように構成されている。この状態では、クローレバー26は係止位置から未だ回転せず、係止部27aでフルラッチ段部22bを係止された状態を維持している。
図11Aに示すように、セクタギア41の回転が進むと、第1ピン45が操作受部48aの頂部48dに位置する。また、第1ピン45が傾斜部53cの下端に位置するとともに、第2ピン46が傾斜部53cの上端に当接する。この状態では、図11Bに示すように、規制部材48が規制位置に回転することで、保持部51がフォーク22のハーフラッチ段部22cを保持する。また、第1ピン45による傾斜部53cの押圧によって、非係止位置に向けてクローレバー26が回転される。但し、この状態では、係止部27aとフォーク22の係止は未だ解除されていない。
図12Aに示すように、セクタギア41の回転が更に進むと、第1ピン45は、規制部材48の第2傾斜部48cに当接するとともに、クローレバー26の傾斜部53cから離反する。また、第2ピン46は傾斜部53cを押圧する。図12Aのように第2ピン46が傾斜部53cの下端近傍に位置する状態では、図12Bに示すように、非係止位置に向けたクローレバー26の回転により、クローレバー26とフォーク22の係止は解除される。但し、規制部材48の保持部51は、フォーク22のハーフラッチ段部22cを保持した状態を維持している。よって、オープン位置に向けたフォーク22の回転は、未だ規制されている。
セクタギア41の回転が更に進むと、第1ピン45が第2傾斜部48cを摺接することで、規制部材48が規制位置から規制解除位置に向けて、徐々に回転する。その結果、この規制部材48の回転に連動して、オープン位置に向けてフォーク22が徐々に回転し、保持部51によるフォーク22の保持が徐々に解除される。よって、バックドア4が少し開き、ウェザーストリップ3の弾性力によるバックドア4への付勢力が弱まる。
図13Aに示すように、クローレバー26の傾斜部53cの下端に第2ピン46が位置すると、規制部材48の第2傾斜部48cの下端に第1ピン45が位置する。この状態では、図13Bに示すように、クローレバー26は、スプリング30の付勢力に抗して非係止位置まで回転されている。また、規制部材48は、スプリング50の付勢によって第1ピン45に当接した状態で、規制解除位置に回転している。よって、規制部材48の保持部51によるフォーク22の保持は解除され、フォーク22は、スプリング24の付勢力によってオープン位置へ回転する。これにより、ストライカ2は、フォーク22の保持溝22aから離脱する。規制部材48の保持部51とフォーク22のハーフラッチ段部22cとの係止が解除されるときは、上述したようにウェザーストリップ3によるバックドア4への付勢力が弱まっているため、係止解除時のフォーク22の振動を低減でき、異音を低減できる。
電動モータ35は、フォーク22がオープン位置まで移動したことがフォークスイッチ25によって検出されると停止し、正転が停止されると逆転が開始されることで、出力ギア36が反時計回りに回転し、セクタギア41が時計回り回転する。この電動モータ35の逆転は、セクタギア41が中立位置まで回転し、干渉部材43がスイッチ39をオンすることで、停止される。
電動モータ35の逆転により、規制部材48の操作受部48aに対して第1ピン45は、第2傾斜部48c及び第1傾斜部48bの順で摺接し、規制部材48を向きB1,B2の順で回転させた後、操作受部48aから離反する。これにより、図14Aに示すように、規制部材48は、スプリング50の付勢力によって規制解除位置に回転する。このとき、フォーク22はオープン位置に回転し、このオープン位置ではハーフラッチ段部22cを含むほぼ全体が回転軸23を挟んで規制部材48があるベースプレート13側とは反対側に位置するため、規制部材48は、規制位置と規制解除位置との回転範囲においてフォーク22に当接不可能である。よって、規制部材48の復帰作動をフォーク22が妨げることはなく、また、フォーク22はオープン位置にある状態が維持される。また、第1ピン45と第2ピン46は、クローレバー26の傾斜部53cに対する押圧を解除し、傾斜部53cから離反する。これにより、図14Bに示すように、クローレバー26は、スプリング30の付勢力によって非係止位置から係止位置に回転する。
なお、電動モータ35の開駆動は、駆動開始から所定時間が経過するまで正転され、所定時間経過すると逆転されるように構成してもよい。この所定時間は、中立位置から第1ピン45が規制部材48の第2傾斜部48cの下端に達し、中立位置から第2ピン46が傾斜部53cの下端に達するまでの長さに、予め設定することが好ましい。また、スイッチ21の検出結果に基づいて、電動モータ35の正転と逆転を切り換えてもよい。また、電動モータ35の逆転は、スイッチ39によるセクタギア41の中立位置の検出の代わりに、時間によって制御してもよい。
このように、このドアラッチ装置10では、開駆動時にフォーク22は、クローレバー26による係止が解除されても、規制部材48を介してオープン位置に向けた回転が規制されている。よって、スプリング24の付勢にウェザーストリップ3の弾性力が加わり、フォーク22がオープン位置へ勢いよく回転することはない。その結果、バックドア4の開放時の振動と異音の発生を効果的に抑制できる。
フォーク22の回転は、セクタギア41の操作部44によって直接規制されるのではなく、別体の規制部材48を介して規制されるため、セクタギア41の配置位置と大きさをある程度自由に設定でき、装置を小型化できる。
操作部44の回転軌道A1の内側と外側のうち、一方に規制部材48の操作受部48aを配置し、他方にクローレバー26の開操作受部53を配置し、操作部44によって、規制部材48とクローレバー26の両方を操作する。つまり、規制部材48とクローレバー26とを操作部44を挟んで近づけて配置しているため、装置を小型化できる。また、規制部材48によるフォーク22の回転規制と、クローレバー26の係止解除とを、1個のアクチュエータ34で行うことができるため、ドアラッチ装置10の部品点数を削減し、製造コストを低減できる。
フォーク22と規制部材48は異なる面に立体的に配置され、クローレバー26とセクタギア41も異なる面に立体的に配置されている。よって、フォーク22とクローレバー26を配置するラッチベース15及びフェンスブロック14を省スペース化でき、装置全体を小型化できる。
セクタギア41の操作部44は、クローレバー26の開操作受部53を直接操作するため、オープンレバー59の開操作部59cを、開操作受部53と操作部44との間に配置する必要がない。よって、クローレバー26とセクタギア41の間に余計なスペースを確保する必要がないため、部品を集約して配置することができ、この点でも装置全体を小型化できる。
規制部材48は、規制位置においてフォーク22をフルラッチ位置に保持するのみであり、スプリング24の付勢とウェザーストリップ3の弾性力に抗して、フォーク22をクローズ方向に回転させるものではない。よって、規制部材48と、規制部材48を支持するフレーム12に作用する反力を小さくできる。その結果、フレーム12に補強部材などを設ける必要がなく、製造コストを低減でき、軽量化も図ることができる。なお、規制位置において規制部材48がフォーク22のハーフラッチ段部22cを係止している状態では、フォーク22のフルラッチ段部22bとクローレバー26の係止部27aとの間には隙間は形成されない。
(手動開放機構による開駆動)
図2に示すように、ラッチ状態でオープンレバー59のハンドル部59bが時計回りに回転されると、オープンレバー59の開操作部59cは、クローレバー26の当接部53dに当接し、当接部53dを図2において左向きに押圧する。これにより、クローレバー26は、係止位置から非係止位置に回転し、フォーク22の係止が解除される。よって、フォーク22は、スプリング24の付勢力によってオープン位置へ回転する。
オープンレバー59の操作が止められると、スプリング60の付勢力によって、オープンレバー59が操作位置から非操作位置へ回転する。すると、開操作部59cによる当接部53dの押圧が解除されるため、スプリング30の付勢力によって、クローレバー26が非係止位置から係止位置へ回転する。
このように、ドアラッチ装置10では、バッテリの電力不足等の救急時に、オープンレバー59を直接操作することで、ラッチ機構20を開作動できる。また、オープンレバー59は救急時しか使用されないため、機械的強度を低くしても、破損等の不具合が生じることはない。よって、オープンレバー59には焼付け等の熱処理が不要であるため、製造コストを削減できる。
また、セクタギア41が中立位置にある状態では、セクタギア41の操作部44は、フォーク22、クローレバー26、及び規制部材48が作動しても干渉しない位置にあり、規制部材48はフォーク22と当接不可能な規制解除位置にある。よって、フォーク22がフルラッチ位置にある状態で、手動開放機構57によってフォーク22とクローレバー26の係止を解除しても、フォーク22と規制部材48が干渉することはない。そのため、フォーク22は問題なくフルラッチ位置からオープン位置まで移動でき、ラッチ機構20をオープン状態とすることができる。このとき、セクタギア41は中立位置にある状態が維持され、規制部材48は規制解除位置にある状態が維持される。したがって、引き続き、バックドア4を閉じて電動開閉機構32による閉駆動を行うことが可能である。
(電動開閉機構による閉駆動)
図14A及び図14Bに示すように、開状態のバックドア4を閉操作すると、オープン位置に回転したフォーク22の保持溝22aに、ストライカ2が相対的に進入する。そして、バックドア4の回転によるストライカ2の押圧によって、フォーク22がオープン位置からフルラッチ位置に向けて回転する。フォーク22がオープン位置からハーフラッチ位置に回転すると、ハーフラッチ段部22cをクローレバー26の係止部27aで係止する。この際、フォーク22がハーフラッチ位置まで移動したことをフォークスイッチ25が検出する。これにより電動モータ35の逆転が開始される。
電動モータ35の逆転により出力ギア36は反時計回りに回転し、セクタギア41が時計回りに閉駆動される。これにより、セクタギア41の第1ピン45がフォーク22の閉操作受部55に当接する。セクタギア41の回転が進むと、第1ピン45が閉操作受部55を押圧することで、ハーフラッチ位置からフルラッチ位置に向けて、スプリング24の付勢力に抗してフォーク22を回転させる。
フォーク22がフルラッチ位置まで回転すると、フルラッチ段部22bをクローレバー26の係止部27aで係止する。その後、フォーク22がフルラッチ位置まで移動したことをフォークスイッチ25が検出し、かつクローレバー26が係止位置に移動してスイッチ21がオフになると、電動モータ35が正転されることで、出力ギア36が時計回りに回転し、セクタギア41が反時計回り回転する。また、セクタギア41が中立位置まで回転すると、干渉部材43がスイッチ39をオンし、電動モータ35の正転が停止される。
なお、電動モータ35の閉駆動は、駆動開始から所定時間が経過するまで逆転され、所定時間経過すると正転されるように構成してもよい。この所定時間は、第1ピン45が閉操作受部55を押圧することで、フォーク22がハーフラッチ位置からフルラッチ位置に回転するまでの長さに、予め設定することが好ましい。また、スイッチ21の検出結果に基づいて、電動モータ35の逆転と正転を切り換えてもよい。また、電動モータ35の正転は、スイッチ39による中立位置の検出の代わりに、時間によって制御してもよい。
(手動操作による閉駆動)
図14A及び図14Bに示すように、開状態のバックドア4を勢いよく閉操作すると、電動開閉機構32による閉駆動と同様に、オープン位置に回転したフォーク22の保持溝22aに、ストライカ2が相対的に進入し、フォーク22がハーフラッチ位置まで回転する。そして、フォーク22がハーフラッチ位置まで移動したことをフォークスイッチ25が検出し、電動モータ35の逆転が開始される。しかし、バックドア4の回転速度が速いと、電動モータ35の逆転が開始される前、又は電動モータ35の逆転が開始され、セクタギア41の操作部44がフォーク22の閉操作受部55に当接する前に、フォーク22がフルラッチ位置まで移動し、バックドア4が閉じられる。つまり、電動開閉機構32による閉作動力ではなく、手動による力でバックドア4が閉じられる。この場合、途中まで作動したセクタギア41は、フォーク22がフルラッチ位置まで移動したことをフォークスイッチ25が検出し、かつ、クローレバー26が係止位置に移動してスイッチ21がオフとなると、電動モータ35が正転されることで中立位置に戻る。
以上のように、本実施形態のドアラッチ装置10では、電動開閉機構32又は手動開放機構57によって、ラッチ機構20を開作動できる。また、電動開閉機構32によって、ラッチ機構20を閉作動できる。そして、電動開閉機構32による開駆動では、セクタギア41の回転に連動させて、規制部材48を介してフォーク22をフルラッチ位置からオープン位置へ徐々に回転させるため、開放時の振動と異音の発生を効果的に抑制できる。また、セクタギア41と別体の規制部材48を介して、フォーク22の回転を規制するため、セクタギア41の設計の自由度を向上でき、装置の小型化が可能となる。
また、セクタギア41は、中立位置から反時計回り(第1の向き)に回転されることで、操作部44によって規制部材48の規制作動とクローレバー26の開作動とを行った後、中立位置に戻され、中立位置から時計回り(第2の向き)に回転されることで、操作部44によってフォーク22の閉作動を行った後、中立位置に戻される。よって、電動開閉機構32を使用することなく、ラッチ機構20の開閉作動が行われた場合でも、セクタギア41を中立位置から所定の向きに回転させることで、ラッチ機構20の開閉作動を行うことができる。
さらに、セクタギア41が中立位置にある状態では、規制部材48は規制解除位置にあり、規制解除位置の規制部材48は、フォーク22の回転範囲から外れた当接不可能な領域に位置している。よって、電動開閉機構32を使用することなく、ラッチ機構20の開閉作動が行われた場合でも、フォーク22が規制部材48と干渉しないため、ラッチ機構20の開閉作動を問題なく行うことができる。
(第2実施形態)
図15Aから図15Dは第2実施形態のドアラッチ装置10を示す。この第2実施形態では、セクタギア41の操作部44に、規制部材48を規制解除位置から規制位置に移動させる第1傾斜部65と、規制部材48を規制位置から規制解除位置に移動させる第2傾斜部66とを設け、規制部材48の操作受部48aを円柱状とした点で、第1実施形態と相違する。
図15Aに示すように、操作部44は、セクタギア41が中立位置に回転した状態で、操作受部48aの上方に位置している。第1傾斜部65と第2傾斜部66は、クローレバー26側へ突出する板状の部材である。第1傾斜部65と第2傾斜部66は、円弧状に湾曲した頂部67によって連続している。第1傾斜部65は、操作受部48a側に位置し、セクタギア41の径方向の外側から内側に向けて、操作受部48aから離れる向きに傾斜している。つまり、第1傾斜部65は、図15Aにおいて右上がりに傾斜している。第2傾斜部66は、セクタギア41の径方向の内側から外側に向けて、操作受部48aから離れる向きに傾斜している。つまり、第2傾斜部66は、図15Aにおいて左上がりに傾斜している。
操作受部48aは、規制部材48からセクタギア41に向けて突出するように設けられている。
図15Aに示すように、セクタギア41が中立位置に回転した状態でバックドアの開スイッチが操作されると、出力ギア36が時計回りに回転されることで、セクタギア41が時計回りに開駆動する。これにより第1傾斜部65は、操作受部48aに当接して押圧することで、規制位置に向けた規制部材48の回転を開始する。
図15Bに示すように、セクタギア41の回転が進み、第1傾斜部65の端に操作受部48aが位置すると、規制部材48が概ね規制位置まで回転することで、保持部51でフォーク22を保持する。また、第1傾斜部65の端がクローレバー26の開操作受部53に当接する。
図15Cに示すように、セクタギア41の回転が更に進み、操作部44の頂部67に操作受部48aが位置すると、規制部材48が規制位置に至り、保持部51でフォーク22をフルラッチ位置に保持する。また、非係止位置に向けた回転を開始したクローレバー26の開操作受部53に、第2傾斜部66の端が当接する。
セクタギア41の回転が更に進み、第2傾斜部66によって開操作受部53を押圧すると、非係止位置に向けてクローレバー26が更に回転する。これにより、クローレバー26とフォーク22の係止が解除される。但し、オープン位置に向けたフォーク22の回転は、規制部材48の保持部51に保持されることで、規制されている。
図15Dに示すように、セクタギア41の回転が更に進むと、操作部44と操作受部48aが干渉しなくなることで、規制部材48が規制位置から規制解除位置に向けて、スプリング50の付勢力で回転する。つまり、第2実施形態では、頂部67の曲面に従って規制部材48を徐々に規制解除位置へ回転させる。そして、頂部67と操作受部48aが干渉しなくなると、第2傾斜部66によって規制部材48の回転を規制することなく、規制部材48を規制解除位置に向けて回転させる。これにより、規制部材48によるフォーク22の保持が解除されるため、フォーク22がオープン位置に向けて回転する。
このように、規制部材48を規制位置と規制解除位置に移動させるための構造は、操作を受ける規制部材48側に設けてもよいし、操作するセクタギア41側に設けてもよい。そして、いずれの構成としても、上述した第1実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
なお、本発明のドアラッチ装置10は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
例えば、規制部材48を規制位置と規制解除位置に回転させる操作部と、クローレバー26を係止位置から非係止位置に回転させる操作部とは、個別にそれぞれ設けてもよい。また、操作部が開駆動する回転軌道の内側と外側のうち、外側に規制部材48を配置し、内側にクローレバー26を配置してもよい。
セクタギア41の操作部44は、先に規制部材48を操作して規制位置へ移動させ、後にクローレバー26を操作して非係止位置へ移動させたが、規制部材48とクローレバー26の操作は同時に行うようにしてもよい。
アクチュエータ34、操作部44を含むセクタギア41、規制部材48、開操作受部53、及び閉操作受部55の配置は、必要に応じて変更が可能であり、フォーク22、及びクローレバー26の配置も必要に応じて変更が可能である。勿論、フレーム12を構成する部品も、必要に応じて変更が可能である。
クローレバー26に形成する開操作受部53の傾斜部53cは、曲面を備えない平坦面状としてもよい。また、クローレバー26の腕部27bには、傾斜部27cを設けなくてもよい。また、開操作受部53は、金属製のレバー本体27に一体成形してもよい。
セクタギア41の操作部44は、第1実施形態では第1ピン45と第2ピン46とで構成したが、これらを一体化した径方向に長い1個の部材によって構成してもよいし、3個以上のピンによって構成してもよい。
規制部材48の回転軸49は、フォーク22の回転軸23に対して直交する方向に配置したが、交差する方向であれば傾斜角度は必要に応じて変更が可能である。そして、このように構成してもフェンスブロック14を省スペース化でき、装置全体を小型化できる。