[第1実施形態]
図1に第1実施形態に係るシステム10を示す。システム10は、例えば発電所に設けられた設備(発電プラント)11と、この設備11に接続された情報生成装置12とを備えている。設備11は、制御装置14、燃料供給部15、ガスタービン16、発電機19、及び記録部21を備えている。ガスタービン16は、バルブ16a、タービン16b、回転計16c、タービン16b内の燃焼器(図示省略)等を備えている。このガスタービン16は、燃料供給部15からの燃料の供給を受け、燃焼器での燃料の燃焼で生成される高温ガスでタービン16bを回転させ、その回転を発電機19に伝達して発電を行う。なお、設備11は、ガスタービン16以外の機器を備えるが、説明を簡単にするために、図1ではガスタービン16だけを描いてある。
バルブ16aは、燃焼器への燃料供給量を調整するものであり、燃料供給部15と燃焼器との間に設けられている。このバルブ16aは、アクチェータを有しており、制御装置14からの制御指令信号によってアクチェータが作動して弁開度が変化する。タービン16bは、バルブ16aによる燃料供給量の調整でその回転数(回転速度)が変化する。回転計16cは、タービン16bの回転数を計測回転数として計測する。回転計16cは、計測回転数を制御装置14に送る。
制御装置14は、設備11の指示装置(図示省略)によって設定される設定回転数と、回転計16cで計測する計測回転数との差を基に制御指令信号を生成して、生成した制御指令信号をバルブ16aに出力する。これにより、制御装置14は、バルブ16aで燃料供給量を増減し、タービン16bの回転数が設定回転数となるようにガスタービン16をフィードバック制御する。制御装置14は、PI(Proportional-Integral)制御によってフィードバック制御する。
制御装置14は、上記フィードバック制御のための減算部14aとPI演算部14bとを備えている。減算部14aは、設定回転数に対する計測回転数の差を算出し、算出した差をPI演算部14bに送る。PI演算部14bは、減算部14aから入力される差を用いて比例積分演算を行い、バルブ16aの弁開度を示す制御指令信号を生成する。制御指令信号は、PI演算部14bからバルブ16aに送られる。この制御装置14の構成は、従来のPI制御によるフィードバック制御を行う制御装置と同様である。
この実施形態におけるフィードバック制御では、ガスタービン16が機器、タービン16bが制御対象、タービン16bの回転数が制御装置14によって制御される制御量である。また、バルブ16aは、制御量を調整するために制御指令信号によって直接に操作される操作端であり、バルブ16aの弁開度が操作量である。また、回転計16cは、制御量を計測する計測部であり、この回転計16cで計測される計測回転数が計測値である。さらに、制御装置14に設定される設定回転数が目標値(出力目標値)である。
記録部21は、操作量の履歴を記録するものであり、PI演算部14bからの制御指令信号と、設定回転数とが入力される。この記録部21は、所定のサンプリング周期で、制御指令信号をサンプリングし、その制御指令信号に示される操作量としての弁開度を取得し、弁開度を日時の情報とともに設定回転数ごとに記録して保持する。なお、バルブ16aに、その弁開度を検出する検出器を設ける場合には、制御指令信号から弁開度を取得することに代えて、検出器からの出力信号から弁開度を取得して記録部21に記録してもよい。
記録部21は、発電プラント等に一般的に設けられているものである。後述するように情報生成装置12は、このように発電プラント等に一般的に設けられている記録部21で記録されている弁開度を利用する。このため、設備11には、例えば新たなセンサを追加する等の変更は必要がなく、記録部21にアクセスできるようにするだけの軽微な変更で済むという利点がある。なお、記録部21を情報生成装置12に設けてもよい。
情報生成装置12は、操作量に基づいて設備11の異常に関する判断情報を生成する。設備11の異常は、ガスタービン16をはじめとする設備11を構成する機器の異常である。また、設備11を構成する機器の異常は、制御装置14からバルブ16a、タービン16b、回転計16cを経て制御装置14に戻る制御ループ上に何らかの不具合があると発生する。このような不具合としては、バルブ16aの固着、バルブ16aや燃料を供給するための配管の狭窄あるいは閉塞、回転計16cの接続不良や故障、制御装置14の制御異常、燃料供給の障害、燃料の品質不良、ガスタービン16の過負荷等が挙げられる。
上記情報生成装置12は、操作量取得部としてインタフェース部12aと、情報生成部12bと、報知部としてのモニタ12cとを備えている。インタフェース部12aは、情報生成部12bの制御下で、記録部21にアクセスし、記録部21に記録されている弁開度を取得して、取得した弁開度を情報生成部12bに送る。
情報生成部12bは、インタフェース部12aを介して記録部21に記録されている各弁開度を取得し、取得した弁開度を基に設備11の異常の有無を調べる。この情報生成部12bは、設備11の異常を検知したときに異常を検知したことを示す判断情報を生成して、モニタ12cに出力する。モニタ12cは、通常、例えば設備11の動作状態を表示している。このモニタ12cは、判断情報が入力されると、その判断情報を表示することによって設備11の異常を報知する。これにより、モニタ12cを通して設備11の異常が作業者に提示される。
上記情報生成部12bは、最新の弁開度を、例えば所定時間ごとに、インタフェース部12aを介して記録部21から取得する。また、情報生成部12bは、記録部21から過去の弁開度(注目する弁開度よりも前の弁開度)を取得し、取得した過去の弁開度から、設定回転数ごとに基準となる弁開度(以下、基準値と称する)を生成する。基準値は、設定回転数ごとに生成される。各基準値は、情報生成部12b内のメモリにそれぞれ記憶される。ここで、設定回転数についての基準値は、設備11に異常が生じていないときの当該設定回転数の過去の複数の弁開度から算出した弁開度の平均値や中央値を用いることができる。このような基準値は、弁開度が正常か否か、すなわち設備11に異常が発生しているか否かの目安として用いることができる。
情報生成部12bは、最新の弁開度を記録部21から取得すると、当該最新の弁開度の設定回転数と同じ設定回転数における基準値をメモリから読み出し、当該基準値と最新の弁開度とを照合することによって、設備11に異常が生じているか否かを判断する。情報生成部12bは、例えば、基準値と最新の弁開度との差が所定値以上であるか否かを判断し、基準値と最新の弁開度との差が所定値以上となったときに、設備11に異常が生じていると判断する。なお、基準値を基にした異常の判断手法は、これに限定されず、例えば、所定期間、弁開度が基準値よりも低くなったときや、弁開度が基準値よりも高くなったときに設備11に異常が生じていると判断してもよい。情報生成部12bは、基準値と弁開度との照合から、設備11に異常が生じていると判断すると、設備の異常に関する判断情報を生成する。
なお、この実施形態においては、所定の基準値が情報生成部12bに予め記憶されているが、本発明はこれに限らず、記録部21から最新の弁開度を取得するたびに基準値を更新してもよい。また、情報生成部12bで基準値を算出することなく、設備11での過去の弁開度から別のコンピュータ等で算出した基準値を情報生成部12bに記憶させてもよい。さらに、この実施形態においては、基準値として、平均値や中央値を基準値としているが、本発明はこれに限らず、注目する弁開度の設定回転数と同じ設定回転数の過去のある時点での弁開度を基準値として、その都度、記録部21から取得し、当該基準値と、注目する弁開度と、を照合して設備11に異常が生じているか否かを判断するようにしてもよい。基準値を算出する際には、過去の任意の一定期間の弁開度の平均値や中央値として算出された基準値を用いてもよい。
また、この実施形態では、最新の弁開度を利用して、現時点における設備11の異常の有無を判断しているが、同様な手法によって、設備11の過去の異常を判断することもできる。この場合、情報生成部12bは、例えば、指定した過去の日時と、それより以前の過去の弁開度から算出された基準値とを照合すればよい。さらには、異常を判断する際に、一定期間における各弁開度から算出される例えば平均値や中央値を注目する弁開度として、この注目する弁開度と基準値とを照合することによって設備11の異常の有無を判断することもできる。注目する弁開度や基準値を算出する際には、外れ値を除外することが好ましい。
判断情報は、弁開度の変化を基に生成されて異常や異常の兆候を把握することができるものであれば、異常を検知したことを示す情報に限らない。例えば、設定回転数に対して予め決められた正常な弁開度の範囲を逸脱したか否かの情報であってもよい。また、情報生成部12bは、現時点に至るまでの弁開度の分布状態を示す情報や、標準偏差、最新の弁開度の偏差値等の統計情報を、設備の異常に関する判断情報として生成してもよい。このような統計情報を判断情報として、モニタ12cに表示すれば、作業者は、設備11の異常の有無や異常の兆候の把握が容易になる。
次に上記構成の作用について説明する。なお、設定回転数は、適宜に変更されるものであるが説明を簡単にするために、以下では設定回転数は一定なものとして説明する。設備11が稼働している間では、ガスタービン16は、制御装置14によってフィードバック制御されている。例えば、タービン16bの回転数を計測している回転計16cからの計測回転数が設定回転数に対して低下している場合には、制御装置14は、その差に応じて弁開度を大きくする制御指令信号を生成してバルブ16aに出力する。これにより、バルブ16aは、その制御指令信号によって弁開度が大きくなるので、ガスタービン16への燃料供給量が増加してタービン16bの回転数が高くなる。
一方、計測回転数が設定回転数に対して高い場合には、制御装置14は、その差に応じて弁開度を小さくする制御指令信号を生成してバルブ16aに出力する。このため、バルブ16aは、その制御指令信号によって弁開度が小さくなり、ガスタービン16への燃料供給量が減少するから、結果としてタービン16bの回転数が低くなる。このようにして、タービン16bは、設定回転数とほぼ同じ回転数で一定に保たれる。
上記のように制御を行っている制御装置14からの制御指令信号は、記録部21にも出力されている。そして、記録部21は、所定のサンプリング周期で制御指令信号をサンプリングすることによって取得した弁開度(操作量)を順次に蓄積している。
情報生成装置12の情報生成部12bは、所定時間ごとに設備11から最新の弁開度を取得し、その最新の弁開度と、それ以前の過去の弁開度から決まる基準値とを照合し、基準値と最新の弁開度との差が所定値以上であるか否かを判断している。そして、最新の弁開度と基準値との差が所定値以上である場合には、情報生成部12bによって、設備11に異常があると判断され、異常を検知したことを示す判断情報が生成されてモニタ12cに出力される。これにより、モニタ12cには、その判断情報が表示され、作業者に設備11の異常が報知される。
ここで、設備11が正常である場合、ガスタービン16のタービン16bの回転数は、図2に実線で示すように、設定回転数にほぼ保たれる。このときに、弁開度の変動は、特に大きな外乱等がなければ小さい。
一方、例えばガスタービン16の燃料の配管が狭窄した状態になり、設備11に異常が生じた場合では、バルブ16aの弁開度が同じに保たれていても、ガスタービン16への燃料の供給が少なくなり、設定回転数に対してタービン16bの回転数が低下する。このようにタービン16bの回転数の低下が生じた場合には、計測回転数が設定回転数よりも低くなる。このため、制御装置14は、大きな弁開度を指示する制御指令信号を生成してバルブ16aに出力し、バルブ16aの弁開度を大きくする。配管の狭窄が悪化するにしたがって、制御装置14によって、バルブ16aの弁開度は、図2に二点鎖線で示すように、徐々に大きくなる。これにより、設備11では、タービン16bの回転数が設定回転数にほぼ保たれる。
上記のように、配管の狭窄が悪化しても、タービン16bの回転数が設定回転数とほぼ同じで一定に保たれるので、計測回転数に基づいて異常を検知、把握することは、作業者でも、コンピュータでも困難である。
これに対して、この実施形態の構成では、情報生成部12bが最新の弁開度と、基準値とを照合している。基準値と照合される弁開度は、上記のように配管の狭窄の悪化に応じて大きくなる。そして、配管の狭窄がさらに悪化すると、バルブ16aの弁開度がさらに大きくなる。このため、基準値と最新の弁開度との差が所定値以上になり、情報生成部12bによって、異常を検知したことを示す判断情報が生成され、これがモニタ12cに出力される。これにより、モニタ12cには、ガスタービン16に異常が検知された旨が表示され、異常が作業者に報知される。このようにして、タービン16bの回転数からは判別が困難な異常についても検知されて報知される。なお、設備11の異常として配管の狭窄を例にしたが、その他の異常についても同様に検知することができる。
以上のように、情報生成装置12では、設備11の異常な状態が反映されるバルブ16aの弁開度を基に、判断情報を生成する。これにより、情報生成装置12では、フィードバック制御されているタービン16bの回転数には現われない設備11の異常や異常の兆候であっても、判断情報を基に当該異常を作業者に対して把握させることができる。
上記実施形態では、ガスタービン16を用いた設備11の例について説明したが、設備11としては、その他の火力発電設備、水力・原子力の発電設備、化学プラント等の工業プラント、エンジン等であってもよい。もちろん、操作端、制御対象、計測部、操作量、制御量についても上記のものに限定されるものではない。さらに、操作量に代えて、PI演算の際に得られる差の積分値の変化に基づいても、同様に異常を検知して判断情報を生成することができる。
[第2実施形態]
この第2実施形態は、設備に異常が生じると、その異常が目標値(出力目標値)の変化に応答した操作量の変化に現われることに着目したものである。図3に第2実施形態に係るシステム30を示す。システム30は、設備31と、情報生成装置32とを備える。情報生成装置32は、操作量の変化を解析して得られる操作量の過渡応答における周波数を用いて設備31の異常に関する判断情報を生成する。なお、以下に説明する構成及び処理手順は、一例であり、その構成及び処理手順に限定するものではない。また、設備31としては、水力・原子力の発電設備、合成プラントをはじめとする化学プラント等の工業プラント、エンジン等であってもよい。
設備31は、例えば発電プラントである。この設備31は、指示装置33、複数の制御装置34a、34b、34c・・・及び機器35a、35b、35c・・・、記録ユニット36を備えている。以下では、制御装置34a、34b、34c・・・を特に区別する必要がない場合には、単に制御装置34という。また、機器35a、35b、35c・・・を特に区別する必要がない場合には、単に機器35という。設備31の異常は、設備31を構成する機器35の異常である。この第2実施形態においても、機器35の異常は、第1実施形態と同様に、制御装置34と対応する機器35とで形成される制御ループ上で不具合があると発生する。
指示装置33は、指標値を制御装置34に送る。指標値は、設備31の目標状態を定めるマスター指令であって、機器35の制御のよりどころとなる値である。例えば設備31が発電プラントである場合には、指標値は、電力需要に応じた目標発電量(MWD:Mega Watt Demand)であり、合成プラントであれば目標合成量、エンジンであれば目標出力(仕事率)等である。
制御装置34は、指示装置33から受け取った指標値に基づいて、対応する機器35についての目標値を設定する。この制御装置34は、当該機器35の制御量が目標値となるようにフィードバック制御する。例えば、機器35は、ガスタービンや、蒸気タービン、潤滑油の循環装置等であり、上記のように制御装置34でフィードバック制御される。フィードバック制御を行うために、制御装置34は、対応する機器35に操作量を示す制御指令信号を送り、機器35は、制御量として計測した計測値を対応する制御装置34に送る。
記録ユニット36は、指標値記録部36a、操作量記録部36b(図6参照)を備えている。指標値記録部36aは、所定のサンプリング周期で指示装置33からの指標値をサンプリングし、サンプリングした指標値と、当該指標値をサンプリングした日時とを1つの指標値レコードRa(図6参照)として格納して蓄積する。また、操作量記録部36bは、各制御装置34からの制御指令信号を所定のサンプリング周期でそれぞれサンプリングすることによって、各制御指令信号に示される操作量を取得する。操作量記録部36bは、サンプリングで取得した操作量と、操作量(制御指令信号)をサンプリングした日時と、いずれの機器35に対応する操作量であるかを示す機器IDとを1つの操作量レコードRb(図6参照)に格納して蓄積する。
情報生成装置32は、操作量の過渡応答における周波数を用いて、機器35の異常に関する判断情報を生成する。操作量の過渡応答における周波数は、機器35の目標値(制御装置34が指標値に基づいて設定したもの)が変化するときに生じる操作量の変化から得る。この情報生成装置32は、指示装置33から出力される指標値と、各制御装置34から出力される操作量(制御指令信号)とを記録ユニット36から取得する。なお、指標値については、指標値が変化する期間(漸増期間、漸減期間)の開始日時及び終了日時と、変化開始時及び変化終了時の各指標値とだけを蓄積してもよい。さらに、操作量としては、第1実施形態と同様に、例えばバルブに設けた検出器から得られる弁開度等を記録してもよい。
上記記録ユニット36は、指標値、操作量を履歴情報として記録する装置として発電プラント等に一般的に設けられているものである。情報生成装置32は、このように発電プラント等に設けられた既存の記録ユニット36から指標値、操作量を取得する。このため、例えば設備31に新たなセンサを追加する必要がなく、記録ユニット36にアクセスできるようにすればよい等のように、設備31の変更が軽微になるという利点がある。なお、記録ユニット36を情報生成装置32に設けてもよい。
図4に示すように、制御装置34は、目標値演算部41、減算部42、及びPI演算部43を有している。目標値演算部41は、指示装置33からの指標値が入力される。この目標値演算部41は、指標値から対応する機器35についての目標値(出力目標値)を算出し、算出した目標値を減算部42に入力する。目標値演算部41は、一般的なプラントと同様に、指標値を一次変換することによって目標値を求めている。したがって、指標値を値X、制御対象の機器35の目標値を値Yとし、値a、値bをそれぞれ制御対象の機器35に応じて予め決められた定数としたときに、指標値Xと目標値Yとは「Y=aX+b」の関係がある。
図5に示すように、指示装置33から制御装置34に送られる指標値は、その値が変更される際、例えば一定に維持されていた所定の値から直線的に増加し、或いは、直線的に減少して、異なる値に変更され、当該値が一定に維持される。上記のように目標値は、指標値を一次変換することによって算出される。したがって、指標値が変化する各期間(以下、指標値変化期間という)と、その指標値変化期間に対応して目標値が変化する期間(目標値変化期間)とは、一致し、目標値は、指標値と同様に直線的に変化する。1個の機器35に注目した場合、各指標値変化期間における指標値の開始値及び終了値が同じであれば、それらに対応して変化する目標値の各期間における開始値及び終了値も同じになる。同一の機器35について、指標値変化期間の期間長と開始値及び終了値とによって決まる指標値の変化態様が同じ各指標値変化期間に対応した目標値の各変化態様(期間長、開始値、終了値)は同じになる。例えば、図5に示されるように、指標値変化期間(a)と指標値変化期間(b)との開始値及び終了値が同じであり、それらの期間長が同じであれば、指標値変化期間(a)と指標値変化期間(b)の指標値の各変化態様は同じであり、それらに対応した目標値の各変化態様(期間長、開始値、終了値)も同じである。
図4において、減算部42は、目標値演算部41からの目標値に対する機器35からの計測値の差を算出し、算出した差をPI演算部43に送る。PI演算部43は、減算部42からの差を用いて比例積分演算を行い、操作端44に対する操作量を示す制御指令信号を生成する。制御指令信号は、PI演算部43から操作端44に送られる。この制御装置34によるフィードバック制御は、従来のPI制御によるフィードバック制御と同様である。
機器35は、制御量を調整するために制御装置34からの制御指令信号によって直接に操作される操作端44、操作端44の操作で制御される制御対象45、制御対象45の制御量を計測値として計測して制御装置34に送る計測部46を有している。例えば、機器35が第1実施形態のようにガスタービンであり、そのタービンの回転数を制御する場合は、燃料供給量を調整するバルブが操作端44、タービンが制御対象45、タービンの回転数を計測する回転計が計測部46となる。また、加熱炉を制御対象45として、その炉内温度を制御する場合は、例えば炉内を加熱するヒータへの供給電力を調整する電力調整器が操作端44、炉内温度を計測する温度センサが計測部46となる。
図6において、情報生成装置32は、インタフェース50a、50bと、情報生成部51とを備えている。情報生成部51は、指標値抽出部52、操作量抽出部53、周波数算出部54、傾向分析部55、及び第1〜第3格納部57〜59を備える。この情報生成部51には、モニタ60が接続されている。
指標値取得部としてのインタフェース50aは、指標値記録部36aに接続されている。このインタフェース50aは、指標値抽出部52の制御下で、指標値記録部36aにアクセスし、指標値記録部36aに記録されている指標値レコードRaを取得して、取得した指標値レコードRaを指標値抽出部52に送る。操作量取得部としてのインタフェース50bは、操作量記録部36bに接続されている。このインタフェース50bは、操作量抽出部53の制御下で、操作量記録部36bにアクセスし、操作量記録部36bに記録されている操作量レコードRbを取得して、取得した操作量レコードRbを操作量抽出部53に送る。
指標値抽出部52は、指標値記録部36aに順次格納される指標値レコードRaの指標値をインタフェース50aを介して監視し、指標値が変化する指標値変化期間の開始及び終了を検知する。すなわち、一定であった指標値が変化を開始するタイミングである指標値変化期間の開始と、増加または減少していた指標値が一定になるタイミングである指標値変化期間の終了とを検知する。指標値抽出部52は、指標値変化期間の終了を検知すると、基準レコード生成処理を実行し、基準レコードR1を生成する。基準レコードR1は、指標値変化期間の開始日時及び終了日時とからなる変化期間情報と、当該指標値変化期間の指標値の開始値及び終了値とからなる開始終了値情報を含んでおり、それらの各日時、各値は指標値レコードRaから取得する。指標値抽出部52は、生成した基準レコードR1を第1格納部57に格納する。基準レコードR1は、後述するように、指標値の変化態様が同じになる期間を抽出し、また周波数を算出するのに必要な算出期間を設定するために用いられる。なお、基準レコード生成処理の手法、基準レコード生成処理のタイミング及びそのタイミングを取得する手法は、上記のものに限定されない。
第1格納部57には、指標値変化期間ごとの基準レコードR1が格納される。なお、既存の指標値記録部36aを使用する場合には、情報生成装置32の導入時に、指標値記録部36aに格納されている指標値レコードRaを順次に情報生成装置32で読み出し、上記と同様にして指標値変化期間ごとに基準レコードR1を生成しておけばよい。
操作量抽出部53は、例えば第1格納部57を監視しており、第1格納部57に新たな基準レコードR1が格納されることに応答して、第1抽出処理と、第2抽出処理とを行って操作量変化レコードR2を生成する。操作量変化レコードR2には、機器IDと、指標値変化期間を示す変化期間情報と、操作量データとが記録される。操作量データは、変化期間情報に示される指標値変化期間に対応して設定される算出期間における操作量の変化を示すものである。
第1及び第2抽出処理は、機器35ごとすなわち機器IDごとに行われるが、説明を簡単にするために、ここでは1つの機器IDに対する処理ついて説明する。第1抽出処理では、新たに格納された基準レコードR1に示される指標値の変化態様と同じ変化態様を示す基準レコードR1(指標値変化期間)を抽出する。操作量抽出部53は、第1格納部57にアクセスして、新たに格納された基準レコードR1と、この基準レコードR1と指標値が同じ変化態様の指標値変化期間を示す基準レコードR1とをそれぞれ抽出する。操作量抽出部53は、基準レコードR1の変化期間情報に示される指標値変化期間の長さと、開始終了値情報に示される指標値の開始値及び終了値とがそれぞれ一致する場合に、基準レコードR1に記録されている指標値の変化態様が同じであると判断する。上記の説明からわかるように、指標値の変化態様が同じになる指標値変化期間を抽出(特定)することは、目標値の変化態様が同じになる目標値変化期間を抽出(特定)することに相当する。
第2抽出処理では、操作量変化レコードR2を生成する。この操作量変化レコードR2は、第1抽出処理で抽出した基準レコードR1のそれぞれについて生成され、算出期間についての操作量データと、当該操作量データの生成元になった基準レコードR1の変化期間情報と、機器IDとが記録されている。操作量抽出部53は、生成した操作量変化レコードR2を第2格納部58に格納する。
図7に示すように、操作量抽出部53は、第1抽出処理で抽出した基準レコードR1における指標値変化期間の開始日時を、算出期間の開始日時(期間開始時)とし、当該指標値変化期間の終了日時からオフセット時間経過後を、算出期間の終了日時(期間終了時)として、当該指標値変化期間についての算出期間を設定する。算出期間は、指標値が変化したとき、すなわち目標値が変化したときの操作量の過渡応答における周波数を算出する期間となる。なお、算出期間は、オフセット時間を設けずに指標値変化期間と同じにしてもよく、指標値変化期間内の一部期間としてもよい。
操作量データは、上記のように算出期間における操作量の変化を示しており、例えば各操作量を時系列に並べて1つのデータにしたものである。この操作量データは、操作量記録部36bに蓄積されている操作量レコードRbから操作量データを作成する。操作量抽出部53は、インタフェース50bを介して操作量記録部36bにアクセスし、算出期間内の各操作量レコードRbから操作量を取得して操作量データを生成する。なお、算出期間内の操作量レコードRbとは、それに記録されている操作量のサンプリング日時が算出期間内にある操作量レコードRbである。
なお、この例では、操作量抽出部53は、指標値変化期間の終了日時よりもオフセット時間だけ遅い日時を算出期間の終了日時に規定しているから、指標値変化期間の終了を検知したタイミングよりも少なくとも当該オフセット時間だけ遅延したタイミングで、操作量変化レコードR2の生成を開始することはいうまでもない。
上記のように、この実施形態では、算出期間を設定する際の基準として指標値を使用している。このように、発電プラントや工業プラント等の設備において記録されている指標値を基準に用いることによって、例えば操作量データを解析してそれが変化している期間を特定する等の処理を必要とすることなく、容易に算出期間の設定が行える。もちろん、指標値と同様に目標値を記録するようにし、算出期間を設定する際に、指標値に代えて目標値を利用することもできる。
周波数算出部54は、操作量変化レコードR2の操作量データに基づいて、目標値の変化ごと、すなわち指標値変化期間ごとに、操作量の過渡応答における周波数を算出する。この周波数算出部54は、操作量変化レコードR2から操作量データを取り出して、操作量データをフーリエ変換することにより、操作量の過渡応答における周波数を算出する。フーリエ変換としては、高速フーリエ変換を用いている。周波数算出部54による周波数の算出は、第2格納部58に格納されている操作量変化レコードR2のそれぞれについて行われる。周波数算出部54は、操作量変化レコードR2から算出した周波数と、当該操作量変化レコードR2に記録されている機器ID及び変化期間情報と、を記録した周波数レコードR3を生成して、これを第3格納部59に格納する。なお、周波数レコードR3の変化期間情報は、周波数を算出した操作量データが記録されている操作量変化レコードR2のものが用いられる。
傾向分析部55は、第3格納部59に格納されている各周波数レコードR3にアクセスし、各周波数レコードR3に記録されている周波数を、機器IDごとに分析して、機器35ごとに判断情報を生成する。傾向分析部55によって生成される判断情報は、指標値が同じ変化態様を示す指標値変化期間について、操作量の過渡応答における周波数の経年変化と、その傾向とを示す情報になっている。判断情報は、傾向分析部55からモニタ60に送られて、このモニタ60に表示される。
なお、この例では、上記第2格納部58は、例えば新たな基準レコードR1が第1格納部57に格納されると、それまでに格納していた各操作量変化レコードR2を消去し、新たな基準レコードR1が第1格納部57に格納されることに応答して新たに生成される各操作量変化レコードR2を格納し、周波数算出部54は、それらの新たな操作量変化レコードR2から周波数レコードR3を生成する。これにより、最新の指標値変化期間とそれと同じ変化態様を示す指標値変化期間についての判断情報をモニタ60に表示する。この例では、新たな基準レコードR1が格納されるごとに、操作量変化レコードR2や周波数レコードR3を生成しているが、一度生成された操作量変化レコードR2や周波数レコードR3を保持しておき、同じ変化態様となる指標期間となる場合に再利用してもよい。
この第2実施形態では、操作量の過渡応答における周波数の経年変化とその変化傾向とを示す情報を判断情報としているが、判断情報は、異常や異常の兆候を把握することができれば、これに限るものではない。例えば、操作量の過渡応答における周波数自体を判断情報としたり、現時点に至るまでの周波数の標準偏差、最新の周波数の偏差値等の統計情報を判断情報としたりしてもよい。また、判断情報の出力態様は、モニタ60への表示に限定するものではない。情報生成装置32によって、判断情報に基づいて異常や異常の兆候を検知したり、その異常や異常の兆候を報知したりしてもよい。また、このときに判断情報と、過去の経験則から予め決めた所定の基準値とを照合して、異常や異常の兆候を検知したり、その異常や異常の兆候を報知してもよい。
なお、周波数算出部54によって、操作量の過渡応答における周波数として、異なる複数の周波数が算出されることもある。このような場合には、例えば最も強度(振幅)が大きい周波数を用いればよい。また、周波数算出部54によって算出される複数の周波数のばらつき(標準偏差)を用いて判断情報を生成したり、それ自体を判断情報としたりしてもよい。
上記構成の作用について説明する。設備31では、指示装置33からの指標値が各制御装置34a、34b、34c・・・の各目標値演算部41によって目標値にそれぞれ変換されている。そして、各制御装置34a、34b、34c・・・は、対応する機器35a、35b、35c・・・からの制御量が目標値となるように、対応する機器35a、35b、35c・・・をフィードバック制御している。指示装置33が指標値を変化させると、これに追従して目標値も変化し、変化後の目標値となるように制御装置34a、34b、34c・・・は、対応する機器35a、35b、35cをフィードバック制御する。
指示装置33からの指標値と、機器35a、35b、35c・・・をフィードバック制御するための制御装置34a、34b、34c・・・からの制御指令信号は、それぞれ記録ユニット36にも送られる。記録ユニット36は、所定のサンプリング周期で、指標値と、各制御指令信号に示される操作量とを取得して、指標値レコードRa、操作量レコードRbを生成して指標値記録部36a、操作量記録部36bに記録している。この指標値レコードRa、操作量レコードRbの記録は継続して行われるため、指標値記録部36a、操作量記録部36bには、指標値レコードRa、操作量レコードRbが蓄積される。
一方、指示装置33が、一定な値にある指標値を増加または減少させて異なる値の指標値に変更し、変更後の指標値の値を一定にすると、指標値を監視している指標値抽出部52は、基準レコード生成処理を行う。指標値抽出部52は、指標値記録部36aに格納されている各指標値レコードRaを調べて、今回指標値が変化した指標値変化期間を特定する。そして、指標値抽出部52は、特定した指標値変化期間の開始日時、終了日時、及びその指標値変化期間の開始値と終了値を得て、これらを1つの基準レコードR1とする。この基準レコードR1は、指標値抽出部52によって第1格納部57に格納される。
指標値抽出部52は、上記のように、指標値が変化するごとに基準レコードR1を生成して第1格納部57に格納する。これにより、指標値が変化した指標値変化期間ごとの基準レコードR1が第1格納部57に蓄積されていく。
上記のようにして、新たな基準レコードR1が格納されると、第1格納部57を監視している操作量抽出部53は、まず第1抽出処理を行い、最初に第1格納部57から新たな基準レコードR1を抽出する。次に、操作量抽出部53は、第1格納部57にアクセスして、抽出した新たな基準レコードR1に示される指標値と同じ変化態様を示す基準レコードR1を検索して抽出する。すなわち、新たな基準レコードR1に示される指標値変化期間の長さと指標値の開始値及び終了値とがそれぞれ一致する、過去の基準レコードR1を抽出する。これにより、今回の指標値変化期間と、この今回の指標値変化期間と同じ指標値の変化態様を示す過去の各指標値変化期間の各基準レコードR1とが操作量抽出部53によって抽出される。
続いて、操作量抽出部53は、第2抽出処理を行う。操作量抽出部53によって、まず第1格納部57から抽出した複数の基準レコードR1から1つの基準レコードR1が選択され、その選択された基準レコードR1に示される指標値変化期間に対して算出期間が設定される。この算出期間の開始日時は、選択した基準レコードR1に示される指標値変化期間の開始日時であり、算出期間の終了日時は、当該基準レコードR1に示される指標値変化期間の終了日時からオフセット時間だけ遅い日時になっている。なお、以下では、基準レコードR1を特に区別する場合に、基準レコードR1を選択した順番に序数(1番目、2番目・・・)を付す。また、算出期間についても、特に区別する場合には、同様に基準レコードR1と同じ序数を付す。
次に、操作量抽出部53は、操作量記録部36bから1番目の算出期間内の各操作量レコードRbを検索して抽出し、抽出した各操作量レコードRbに記録されている操作量を取得する。そして、取得した各操作量から操作量データを生成し、その操作量データと、元になった指標値変化期間と、機器IDとを記録した操作量変化レコードR2を生成し、これら操作量変化レコードR2を第2格納部58に格納する。この操作量変化レコードR2の生成は、機器IDごとに行われる。したがって、抽出された1つの基準レコードR1から機器35の個数と同じ操作量変化レコードR2が第2格納部58に格納される。なお、以降の処理においても、同様に機器IDごとに行われるが、以下では特に言及しない限り1つの機器IDに対する処理に着目して説明をする。
続いて、操作量抽出部53は、第1格納部57から抽出した複数の基準レコードR1から、1番目の基準レコードR1とは異なる2番の基準レコードR1を選択し、この2番目の基準レコードR1に示される指標値変化期間に対して2番目の算出期間を設定する。2番目の算出期間は、1番目の算出期間と期間自体は異なるが、期間の長さは同じになる。操作量抽出部53は、2番目の算出期間内の各操作量レコードRbに記録されている操作量を取得して、取得した操作量から操作量データを生成する。そして、操作量抽出部53は、生成した操作量データと、元になった指標値変化期間の開始日時及び終了日時と、機器IDとを記録した操作量変化レコードR2を生成し、これら操作量変化レコードR2を第2格納部58に格納する。
抽出した他の基準レコードR1についても同様にして、操作量抽出部53は、算出期間を設定し、算出期間内の各操作量レコードRbから得られる操作量データを用いて操作量変化レコードR2を生成し、これら操作量変化レコードR2を第2格納部58に格納する。
抽出した全ての基準レコードR1に基づいた操作量変化レコードR2の生成が完了すると、周波数算出部54は、周波数の算出を開始する。まず、各操作量変化レコードR2を第2格納部58から取り出して、各操作量変化レコードR2に記録されている操作量データを順次に高速フーリエ変換する。これにより、1つの機器35について、今回の指標値変化期間と、この今回の指標値変化期間と同じ変化態様を示す過去の指標値変化期間とのそれぞれおける操作量の過渡応答における周波数が算出される。周波数算出部54は、算出した各周波数と、当該操作量変化レコードR2に記録されている機器ID及び指標値変化期間とを記録した周波数レコードR3を生成して第3格納部59に格納する。他の機器IDの周波数レコードR3についても、周波数算出部54は、同様に生成して第3格納部59に格納する。
図7に示すように、指標値変化期間では、指標値が変化したときには、それに応じて目標値が変化する。そして、変化する目標値に応じて制御装置34が操作量を変化させ、制御量が目標値となるようにフィードバック制御する。この結果、例えば実線で示すように、操作量が変化する。このとき、操作量は、制御特性に応じた周波数で変化し、最終的にほぼ一定になる。このような操作量の過渡応答における周波数は、指標値が同じ変化態様を示す場合では、機器35の制御特性に変化がなければ同じになる。
しかし、指標値が同じ変化態様を示す場合であっても、例えば機器35に異常が生じた場合には、その制御特性が変化する。このように機器35の制御特性が変化すると、操作量の過渡応答における周波数が変化する。したがって、1つの機器IDに対して上記のように周波数算出部54で算出される各周波数を参照することで、機器35の状態の変化を知ることが可能になり、機器35を含む設備31の異常や異常の兆候の把握が可能になる。
例えば、操作端44としてのバルブが経時的な劣化でスティックするようになった状態では、正常な状態に比べて操作量が増大する等の影響があるが、このようなバルブが作動し始めると、操作量は、正常な状態に比べてあまり変わらなくなる。したがって、操作量の変化量からはバルブがスティックするようになっているか否かの判別がしづらい。しかしながら、バルブがスティックを生じるような場合でも、バルブの作動開始までの僅かな遅れ等が、操作量の過渡応答における周波数の変化に大きく影響を与える。そこで、操作量の過渡応答における周波数の変化傾向を分析すれば、設備31の異常や、異常の兆候を容易に把握できるようになる。
全ての周波数レコードR3が第3格納部59に格納された後、傾向分析部55によって各周波数レコードR3が第3格納部59から読み出される。そして、傾向分析部55は、例えば、機器IDごとに各周波数レコードR3に記録されている周波数を分析し、その分析で得られる周波数の経年変化と変化傾向を示す情報を判断情報としてモニタ60に表示する。図8に一例を示すように、モニタ60には、操作量の過渡応答における周波数の経年変化と変化傾向を示すグラフ63が、機器ID、すなわち機器35a、35b、35c・・・ごとに表示される。グラフ63は、縦軸が操作量の過渡応答の周波数、横軸が時間軸となっており、新たな指標値変化期間に対応した周波数を示すドット64と、過去の指標値変化期間に対応した周波数を示すドット65が示されている。これらドット64、65によって、操作量の過渡応答の周波数の経年変化が示される。また、グラフ63には、全ての周波数を要素として、それらの周波数の変化を近似する直線67や、時間経過と周波数との相関性が高い同士でグループ化したときの、各グループにおける周波数の変化を近似する直線68、69が表示される。これら直線67〜69により、操作量の過渡応答における周波数の変化傾向が示される。そして、これら操作量の過渡応答における周波数の経年変化と変化傾向が示されることによって、作業者は異常や異常の兆候を把握できる。
以上のように、情報生成装置32では、出力目標値の変化ごとの操作量の過渡応答における周波数に基づいた判断情報を生成し、この生成した判断情報を用いることにより、フィードバック制御されている計測値には現われない設備の異常、異常の兆候を含め、設備の種々の異常を作業者に把握させることができる。
上記実施形態では、目標値が変化する機器35のみの場合について説明したが、設備31が、上記のように目標値が変化する機器35とともに、変化しない目標値(一定な目標値)が設定される機器(以下、目標値固定機器という)を備える場合には、その目標値固定機器についても、目標値が変化する機器35と同様にして、判断情報を生成することができる。これは、上記のように機器35に対する目標値の変化に応じて当該機器35の動作状態が変化すると、その動作状態の変化が目標値固定機器の動作に影響を与えてその操作量を変化させるためである。
上記各実施形態では、PI制御によってフィードバック制御を行う例について説明したが、制御方式はこれに限定されるものではなく、例えばPID(Proportional-Integral-Derivative)制御でもよい。また、上記各実施形態では、操作量を基に判断情報の生成を行っているが、操作量に代えて、制御量や制御量と目標値との差、PI演算等の際に得られる差の積分値を用いて過渡応答における周波数を算出してもよい。