JP6908807B2 - 木製壁材及びそれを用いた木造建築物 - Google Patents

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Description

本発明は、素人が簡便に車庫、倉庫、小屋などの木造建築物を建築するために、組立や解体を容易にできるとともに、壁内に給排水管や電気配線などの設備を納めることができる木製壁材と、その木製壁材を用いた木造建築物に関する。
従来の木造建築物は、建築士の設計に基づいて、熟練した建築大工が施工している。そして、通常、それらの木造建築物は、耐震性、組立性、強度などを考慮して、最新技術による構造の柱や壁の材料を使用して建築される。
また、個人の自宅の車庫や倉庫などのように比較的小型の木造建築物でも、一般素人が建築することは現実には難しかった。
最近は、素人でも日曜大工として小型の木造建築物を建築することの要望がある。そのような材料や部品を販売する小売店も多くなっている。
一方、建築物には生活に必要な給排水管や電気配線などの設備の配置をしなければならないが、素人が、壁や柱などに、そのために必要な特別の構造や装置を設置することは難しいという問題もある。
比較的小型の木造建築物やその壁材に関する先行技術としては、以下の特許文献がある。
登録実用新案第3030044 号公報 特開平7−82812 号公報 特開2008−95344 号公報 特開平7−158164 号公報 特開2005−220557 号公報
特許文献1には、丸太組構法で建てられるログハウスとそのための丸太組用建材が開示され、各丸太組建材は凸部と凹部を嵌合することによって壁の強度を高めて広い面積の壁を構成している。そして、壁用建材は、一つひとつが長いために重量が重く、クレーン又は多人数で施工する必要がある。また、太い丸太の加工そのものも熟練した技術を要する。更に、電気配線や給水配管をどこに設置するかについては開示されていない。
特許文献2には、木造住宅とそれに使用する壁材の構造と製造方法が開示されている。各壁材は、丸太材から加工された2枚の角材の間に中間体の木板を挟んで構成されている。それらの壁材は長い木材である。それゆえに、各壁材で木造住宅を建築するには、特許文献1の場合と同様に、クレーンや多人数で施工する必要があり、素人が簡単に木造住宅を組み立てることを前提としていない。また、電気配線や給排水管などの設置場所に関しては何らの開示が無い。特に、特許文献2では、2枚の板材の中間に幅が狭い板材を挟んで接合されているが、3枚の板材の長手方向の長さは同じである。そのため、壁材の側面には3枚の木材に挟まれた空間が形成されるが、壁材の両端部では3枚の板材が面一であるので空間が形成されない。つまり、壁材を組み立てて壁を形成しても、水平方向と垂直方向に両方の空間が形成されないことになる。このことは、壁材を用いて組み立てた壁の内部に電気配線や給排水管などの設備を設置するとの思想が存在しないことを意味する。
特許文献3には、ログハウスとそれに使用される柱材や壁材が開示されている。柱材には長手方向に案内溝が設けられ、壁材の端部の「太ぼ」と呼ばれる係合突起が前記柱材の案内溝に係合されることによって、順次積み重ねられて壁が形成されている。
そして、それら壁材は、比較的大きな建築物の他に、小屋や犬小屋等の小型建築物にも、適宜に改良、変更又は追加をしながら実施できると記載されているが、小型建築物に適用できうる改善策については具体的な開示が無い。
また、各壁材の上面には通水溝が形成されていて、部材間に雨水が侵入した際に、この雨水を、通水溝を介して柱材の案内溝内部に導水する。壁材の間に侵入した雨水は、通水溝内に積極的に導かれ、通水溝からログハウスの内側への侵入が阻止される。このように、各壁材の一部に通水溝のように雨水対策は開示されているが、建築物として設置しなければならない電気配線や給排水管の設置のための構造は何ら開示されていない。
特許文献4には、縦に配置された複数の柱の間に、角柱状の複数の木質部材を互いに密着させながら立設し、柱や木質部材の接触面に凹溝を形成し、相対する凹溝間に係合部材を嵌合させて壁を構成することが開示されている。このように、壁材となる木質部材に凹溝を構成して、その中に係合部材を嵌合させる方法は一般的な壁の形成方法である。特に、特許文献4においては、柱と木質部材は、その長手方向が縦方向に配置されていて、しかも、木質部材はかなり長い寸法を有していて大型の運搬機械が必要であり、素人が簡便に組み立てることを想定していない。
また、電気配線や給排水管の配置については何らの開示が無い。
特許文献5には、建築物の壁用部材は、複数の仕切板で分割された中空部を有し、上端面に長手方向に伸びる突状部と下端面に長手方向に伸びる溝部を有し、隣接する壁用部材同士の突状部と溝部を嵌合して壁を構成し、中空部には発砲スチロール又は発砲コンクリートが埋め込まれても良いことが開示されている。これらの建築物としては、ログハウス、コンテナ、車庫、倉庫などがある。この壁用部材は、大型と思われるが、中空にすることで軽量化を図っている。しかし、大型であるので、組立に当たっては、他の公知例と同様に、大型機械や多人数が必要であることには変わりない。
また、建築物として必要な電気配線や給排水管などの設置については、何らの開示が無い。
従来の木製壁材は、上記の特許文献1〜5に開示されるように、それを用いて木造建築物を組み立てるに当たり、木製壁材が比較的大きいことから、クレーンなどの大型機械を用いなければならないとか、多人数によって組み立てざるを得ないゆえに、素人が簡便に組み立てることができない問題があった。
また、素人が建築物に必要な電気配線や給排水管などを建築物に設置することができるとともに、それらの電気配線や給水管などが建築物の内部や外部の人目に触れる場所に目立つことが無く、美観を損なわないで、それらを配置することができるための構造が存在しなかったということが問題である。
即ち、上記の特許文献1〜5には、壁材を組み立てて建築物の壁を建設した場合に、各壁材が隣接する他の壁材との間に、水平方向及び垂直方向に電気配線や給排水管などを設置する空間が形成されない構造になっている。
そこで、本発明者は、素人が、少人数で簡便に、比較的小型の木造建築物を組み立てることができるためには、一つひとつの木製壁材が一人または少人数で運搬機械装置なしに持ち上げることができる程度の大きさにして簡便に組み立てることができることと、木製壁材の構造に工夫をして電気配線や給排水管などを埋め込むことができる木製壁材にすることを鋭意検討した結果、本発明に至ったのである。
そして、発明者は、それを解決するために、木造建築物の全ての壁に共通して用いることができる複数種類の小型の基本的構造の各木製壁材を予め形成し、それらの基本構造の木製壁材には電気配線や給排水管などを簡便に埋め込むことができる特殊の構造とした。それによって、素人が簡便に組み立てることができるとともに、必要な設備を壁の内部に埋め込むことによって美観を損なわない木造建築物を実現することを考えたのである。
更に、発明者は、木製壁材の各基本構造として、間伐材などを利用できるような比較的小型にして、素人が一人または少人数でも運搬し組み立てることができるようにした。そのために、長手方向の長さを短くして小型化を図り、木製壁材を積み重ねて簡便に壁を形成し、木製壁材の上面、下面、側面で囲まれた場所に電気配線や給排水管等の設備が配置できる水平方向及び垂直方向の空間を予め形成しておくことを検討した。
本発明は、素人が簡便に組み立てることができて、建築物に必須の電気配線や給排水管などの設備を美観を損なわずに壁の中に設置できるような木製壁材を提供することを目的とする。
また、本発明は、そのような木製壁材を用いた木造建築物を提供することを目的とする。
本発明の第一の特徴は、
幅が略同一で長さは略同一又は異なる第1及び第2の2枚の四角形状の木製板材と、前記第1及び第2の四角形状の木製板材より幅が狭く長さが前記第1又は第2の木製板材のうちの少なくとも一方の木製板材より短い第3の四角形状の木製板材からなり、
前記第3の木製板材は、前記第1及び第2の四角形状の木製板材の間で幅方向には中央部の位置で、長手方向には前記第1と第2の四角形状の木製板材の少なくとも一方の端部がずれた位置になるように、前記第1、第2及び第3の木製板材の各板面が接合されている
ことを特徴とする少なくとも3枚の四角形状の木製板材からなる木造建築物用の木製壁材
である。
本発明の第一の特徴によって、中間に配置される第3の木製板材の幅が狭く、かつ、長さが同一又は違いがあるので、木造建築物の壁材として積み重ねて使用された場合に、第1、第2及び第3の木製板材に囲まれた空間が垂直方向と水平方向の両方に形成され、その空間を木造建築物に必要な電気配線や給水管などを設置する空間とすることができ、しかも、美観を損なわない木造建築物にすることができるという効果がある。
また、この特徴によって、木製壁材の長さを適切に短くして、素人が少人数で大型の運搬機械無しに多数の木製板材を簡便に積み重ねて組み立てることができるという効果もある。
更には、少なくとも3枚の木製板材の長さや接合位置を適切に変更した複数種類の構造の木製壁材を構成することができる。それにより、それらの複数種類の構造の小型の基本的壁材を、組み立てるべき壁の位置によって適切に採用することができ、素人が、木造建築物を簡便に組み立てることができるという効果がある。
本発明の第二の特徴は、
幅及び長さが略同一の第1及び第2の2枚の四角形状の木製板材と、
前記第1及び第2の四角形状の木製板材より幅が狭く長さが短い第3の四角形状の木製板材からなり、
前記第3の木製板材は前記第1及び第2の木製板材の間に挟まれて前記第1、第2及び第3の木製板材が接合され、
前記第1と第2の木製板材は長手方向にずれた位置にあり、
前記第3の木製板材は前記第1の木製板材の幅方向に略中央に位置し、かつ、前記第1の木製板材と前記第3の木製板材のいずれの端部も面一でないように接合されている
ことを特徴とする少なくとも3枚の四角形状の木製板材からなる木造建築物用の木製壁材
である。
本発明の第二の特徴によって、木造建築物の壁のうち中央部の広い壁を形成するのに好適な壁材を提供することができる。
本発明の第三の特徴は、
幅及び長さが略同一の第1及び第2の2枚の四角形状の木製板材と、
前記第1及び第2の四角形状の木製板材より幅が狭く長さが短い第3の四角形状の木製板材からなり、
前記第3の木製板材は前記第1及び第2の木製板材の間に挟まれて前記第1、第2及び第3の木製板材が接合され、
前記第1と第2の木製板材は長手方向にずれた位置にあり、
前記第3の木製板材は前記第1の木製板材の幅方向に略中央に位置し、かつ、前記第1と第3の木製板材の一端が面一になるように接合されている
ことを特徴とする少なくとも3枚の四角形状の木製板材からなる木造建築物用の木製壁材
である。
本発明の第三の特徴によって、木造建築物の壁の角部の壁材に好適な壁材を提供することができる。
本発明の第四の特徴は、
四角形状の第1の木製板材と、
前記第1の四角形状の木製板材と幅が略同一で長さが前記第1の四角形状の木製板材より長い第2の四角形状の木製板材と、
前記第1及び第2の四角形状の木製板材より幅が狭く前記第2の木製板材より短い第3の四角形状の木製板材からなり、
前記第3の四角形状の木製板材は前記第1及び第2の四角形状の木製板材の間で幅方向に略中央の位置で接合され、
前記第1、第2、及び第3の木製板材の長手方向の各一端は面一であり、各木製板材の他端は長手方向にずれた位置になるように接合されている
ことを特徴とする少なくとも3枚の四角形状の木製板材からなる木造建築物用の木製壁材
である。
本発明の第五の特徴は、
四角形状の第1の木製板材と、
前記第1の四角形状の木製板材と幅が略同一で長さが前記第1の四角形状の木製板材より長い第2の四角形状の木製板材と、
前記第1及び第2の四角形状の木製板材より幅が狭く前記第1の木製板材より長く前記第2の木製板材より短い長さの第3の四角形状の木製板材からなり、
前記第3の四角形状の木製板材は前記第1及び第2の四角形状の木製板材の間で幅方向に略中央の位置で接合され、
前記第1、第2、及び第3の木製板材の長手方向の各一端は面一であり、他端は長手方向にずれた位置になるように接合されており、
前記第1の四角形の木製板材は、前記第1、第2及び第3の木製板材が面一になっている端部において、幅方向の両端に切欠き部が形成されている
ことを特徴とする少なくとも3枚の四角形状の木製板材からなる木造建築物用の木製壁材
である。
本発明の第六の特徴は、
四角形状の第1の木製板材と、
前記第1の四角形状の木製板材と幅が略同一で長さが前記第1の四角形状の木製板材より長い第2の四角形状の木製板材と、
前記第1及び第2の四角形状の木製板材より幅が狭く長さが短い第3の四角形状の木製板材からなり、
前記第3の四角形状の木製板材は前記第1及び第2の四角形状の木製板材の間で幅方向に略中央の位置で接合され、
前記第1、第2及び第3の木製板材の長手方向の各一端は面一の位置にあり、他端は長手方向にずれた位置になるように接合されており、
前記第1の四角形状の木製板材は、前記第1、第2及び第3の木製板材が面一になっている端部において、幅方向の両端に切欠き部が形成されている
ことを特徴とする少なくとも3枚の四角形状の木製板材からなる木造建築物用の木製壁材
である。
本発明の第四乃至第六の特徴によって、木造建築物の壁が交差する角部を形成するのに好適な木製壁材を提供することができる。
この本発明の第一乃至第六の特徴によって、少なくとも3枚の木製板材を接合した基本的な構造の木製壁材を複数種類準備することができ、素人が、いずれかの種類の基本的な構造の木製壁材を適宜採用して、その長さを適切に調整して重量が大きくならず、素人が簡便に運搬して木造建築物を組み立てることができる効果がある。
本発明の第七の特徴は、
少なくとも3枚の四角形状の木製板材が少なくとも一方の一端面が面一でないように接合された第1の木製壁材と、前記第1の木製壁材の前記面一でない一端面で組み合わされて面一の端面にするための第2の木製壁材とからなる木造建築物用の木製壁材であって、
前記第1の木製壁材は、
四角形状の第1の木製板材と、
幅が前記第1の木製板材と略同一の四角形状の第2の木製板材と、
前記第1及び第2の木製板材より幅が狭く、少なくとも前記第2の木製板材より短い長さの第3の四角形状の木製板材からなり、
前記第3の木製板材は前記第1及び第2の木製板材の間で幅方向に略中央の位置で接合され、
前記第1の木製壁材の一端において、長手方向に、前記第3の木製板材の端部が前記第1の木製板材と前記第2の木製板材の中間の位置にあって各木製板材が面一でないように接合されており、
前記第2の木製壁材は、
前記第1及び第2の木製板材の幅と厚さが略同一の第4の木製板材と、
前記第4の木製板材の一面に前記第4の木製板材と同一の幅で形成されて接合されたコの字状の第5の木製板材からなり、
前記第4の木製板材と前記第5の木製板材は一端において面一になるように接合されており、
前記第1の壁材と前記第2の壁材を組み立てることによって、少なくとも一端面が面一の少なくとも3層構造の木製壁材を形成する
ことを特徴とする木造建築物用の木製壁材
である。
本発明の第七の特徴によれば、少なくとも3枚の木製板材によって形成された第1の木製壁材の一端において、それら少なくとも3枚の板材が面一でない場合にも、別の第2の木製壁材と組み合わせることによって、面一の一端を有する新たな壁材が形成される。この新たな壁材は、木造建築物の出入口や窓などと接する場所に使用される木製壁材に好適な壁材になる。
なお、第1の壁材としては第1、第2及び第3の板材の一端が面一でない壁材を対象としているが、他端は面一であっても、面一でなくても良い。
本発明の第八の特徴は、
少なくとも3枚の四角形状の木製板材が少なくとも一方の一端面が面一でないように接合された第1の木製壁材と、前記第1の木製壁材の前記面一でない一端面で組み合わされて面一の端面にするための第2の木製壁材とからなる木造建築物用の壁材であって、
前記第1の木製壁材は、
四角形状の第1の木製板材と、
幅が前記第1の木製板材と略同一の四角形状の第2の木製板材と、
前記第1及び第2の木製板材より幅が狭く長さが短い第3の四角形状の木製板材からなり、
前記第3の木製板材は前記第1及び第2の木製板材の間で幅方向に略中央の位置で接合され、
前記第1の木製板材の一端において前記第1、第2及び第3の木製板材が面一であり、他端において前記第3の木製板材の端部が前記第1及び第2の木製板材のいずれの端部より長手方向に後退した位置にあって、各木製板材が面一でないように接合されており、
前記第2の木製壁材は、
幅と厚さが前記第1の木製壁材の前記第1及び第2の木製板材と略同一の第4の木製板材と、
前記第4の木製板材の一面に前記第4の木製板材と同一の幅で形成されて接合されたコの字状の第5の木製板材とからなり、
前記コの字状の第5の木製板材は、コの字状部分の内側が前記第4の木製板材と実質的に同一長さまで埋められており、
前記第4の木製板材と前記第5の木製板材は一端において面一になるように接合されており、
前記第1の壁材と前記第2の壁材を組み立てることによって、少なくとも一端面が面一の少なくとも3層構造の木製壁材を形成する
ことを特徴とする木造建築物用の木製壁材
である。
本発明の第八の特徴によれば、第七の特徴と同様に、少なくとも3枚の木製板材によって形成された木製壁材の一端において、3枚の板材が面一でない場合にも、別の木製壁材と組み合わせることによって面一の一端を有する新たな壁材が形成される。木造建築物の出入口や窓などと接する場所に使用される木製壁材に好適な壁材を得ることができる。
本発明の第七及び第八の特徴によって、壁に設置される出入口や窓などと接する位置が面一であることが求められる場合に好適な木製壁材を提供することができる。
本発明の第九の特徴は、
幅及び長さが略同一の第1及び第2の2枚の四角形状の木製板材と、
前記第1及び第2の四角形状の木製板材より幅が狭く長さが短い第3の四角形状の木製板材からなり、
前記第3の木製板材は前記第1及び第2の木製板材の間に挟まれて前記3枚の四角形状の木製板材が接合され、
前記第1と第2の木製板材は長手方向及び幅方向にずれた位置にあり、
前記第3の木製板材は前記第1の木製板材の幅方向に略中央に位置し、かつ、前記第1の木製板材と前記第3の木製板材の各一端が面一でないように接合されている
ことを特徴とする少なくとも3枚の四角形状の木製板材からなる木造建築物用の木製壁材
である。
本発明の第九の特徴によれば、木製壁材の3層の板材は、相互に、幅方向と長さ方向にずれているので、木造建築物として積み上げて組み立てた場合には、水平方向と垂直方向の隣接する木製壁材との間の隙間が壁材を貫通して、壁の反対側が見えるとか、空気や光が通過することが無くなる。
また、3枚の木製板材のうちの建築物の外側又は内側の1枚を取り外すことによって、壁材そのものや、隣接する壁材との間に形成する空間に収納したパイプ部材や補強部材の保守点検を容易に行うことができる。
本発明の第十の特徴は、
四角形状の第1の木製板材と、
前記第1の四角形状の木製板材と幅が略同一で長さが前記第1の四角形状の木製板材より長い第2の四角形状の木製板材と、
前記第1及び第2の四角形状の木製板材より幅が狭く長さが短い第3の四角形状の木製板材からなり、
前記第3の木製板材は前記第1及び第2の木製板材の間に挟まれて前記3枚の四角形状の木製板材が接合され、
前記第1と第2の木製板材は、両方の木製板材が所定の角度を有して交差する関係にあり、
前記第3の木製板材は前記第1の木製板材の幅方向に略中央に位置し、かつ、前記第1の木製板材と前記第3の木製板材のいずれの端部も面一でないように接合されている
ことを特徴とする少なくとも3枚の四角形状の木製板材からなる木造建築物用の木製壁材
である。
本発明の第十の特徴によれば、壁材は、3層の板材のうち、両側の第1と第2の板材が長手方向にずれていると共に、所定の角度で傾斜した位置関係にあるので、この壁材同士を垂直方向及び水平方向に隣接して配置して壁を形成すると、壁材同士の隙間が傾斜して見える。そのために、壁に傾斜を有する線の模様が美観を高めるという効果を得ることができる。
本発明の第十一の特徴は、
3枚の板材から構成される壁材であって、前記壁材は、
幅が略同一で長さが略同一又は異なる第1及び第2の2枚の四角形状の木製板材と、 前記第1及び第2の四角形状の木製板材より幅が狭い第3の四角形状の木製板材とからなり、
前記第3の木製板材は前記第1及び第2の木製板材の間に挟まれて前記第1、第2及び第3の木製板材が接合されて構成され、
前記壁材と同じ構造の壁材を隣接して壁を形成した場合に、前記第1、第2及び第3の木製板材で囲まれた水平方向の空間と垂直方向の空間が前記壁材に形成され、それらの空間は隣接する前記壁材に形成される別の水平方向の空間と垂直方向の空間に接続される構造であることを特徴とする木造建築物用の木製壁材。
本発明の第十一の特徴によれば、3枚の板材を接合して、3枚の板材に囲まれた水平方向の空間と垂直方向の空間を形成される構造の壁材であるので、この壁材を利用して壁を組み立てた場合には、壁の内部に水平方向と垂直方向の空間に電気配線や給排水管などの設備を配置することができる効果がある。
本発明の第十二の特徴は、
少なくとも3枚の四角形状の木製板材の広い面同士を接合して少なくとも3層構造の木製壁材を、長手方向を水平方向にして積み重ねることによって壁を形成した木造建築物であって、
前記少なくとも3層構造の木製壁材は、
幅が略同一の第1及び第2の2枚の四角形状の木製板材と、
前記第1及び第2の四角形状の木製板材より幅が狭く長さが前記第1又は第2の木製板材のうちの少なくとも一方の木製板材より短い第3の四角形状の木製板材とからなり、
前記第3の木製板材は、前記第1及び第2の四角形状の木製板材の間で幅方向に前記第1の木製板材の中央部の位置で接合され、かつ、前記第1と第2の四角形状の木製板材は、長手方向にずれた位置になるように、前記第1、第2及び第3の木製板材の各板面が接合されており、
前記第1、第2及び第3の木製板材に囲まれた水平方向に長い複数の空間と垂直方向に長い複数の空間が形成され、そのうちの一部の前記空間には中空のパイプ部材が埋め込まれ、前記パイプ部材の中に電気配線や給排水管などの設備が収納され、前記パイプ部材が埋め込まれない他の前記空間の全部又は一部には壁の強度を補強するための補強部材が埋め込まれている
ことを特徴とする木造建築物
である。
本発明の第十二の特徴により、その長さを適切に調整しうる簡便に運搬できる少なくとも3層構造の木製壁材を積層して組み立てることによって、素人が大型運搬機械を使用せずに、簡便に組み立てることができ、しかも、隣接する3層構造の木製壁材の間に形成される空間の一部に電気配線や給排水管などの設備を配置することによってそれらの設備が建築物内外の外観に露出しないので美観を損なわず、他の空間の一部に補強部材を埋め込むことによって補強された木造建築物を提供できる。
本発明の第十三の特徴は、
少なくとも3枚の四角形状の木製板材の広い面同士を接合して形成した少なくとも3層構造の第1、第2及び第3の木製壁材を、それぞれの長手方向を水平方向にして、積み重ねることによって壁及び壁の角部を形成した木造建築物であって、
所定の壁の中央部に配置される少なくとも3層構造の前記第1の木製壁材は、
幅及び長さが略同一の第6及び第7の2枚の四角形状の木製板材と、
前記第6及び第7の四角形状の木製板材より幅及び長さが短い第8の四角形状の木製板材とからなり、
前記第8の木製板材は、前記第6及び第7の四角形状の木製板材の間で幅方向に前記第6の木製板材の中央部の位置で接合され、かつ、前記第6と第7の四角形状の木製板材は、長手方向にずれた位置になるように、前記第6、第7及び第8の木製板材の各板面が接合されており、
前記所定の壁の角部に配置される少なくとも3層構造の前記第2の木製壁材は、
幅及び長さが略同一の第9及び第10の2枚の四角形状の木製板材と、
前記第9及び第10の四角形状の木製板材より幅が狭く長さが短い第11の四角形状の木製板材からなり、
前記第11の木製板材は前記第9及び第10の木製板材の間に挟まれて前記第9、第10及び第11の木製板材が接合され、
前記第9と第10の木製板材は長手方向にずれた位置にあり、
前記第11の木製板材は前記第9の木製板材の幅方向に略中央に位置し、かつ、前記第9と第11の木製板材の一端が面一になるように接合されており、前記第10の木製板材は 前記第9及び第11の木製板材の面一の面より延びており、
前記第2の壁材と前記角部にてほぼ直角に交差する少なくとも3層構造の前記第3の壁材は、
四角形状の第12の木製板材と、
前記第12の四角形状の木製板材と幅が略同一で長さが前記第12の四角形状の木製板材より長い第13の四角形状の木製板材と、
前記第12及び第13の四角形状の木製板材より幅が狭く前記第13の木製板材より短い第14の四角形状の木製板材からなり、
前記第14の四角形状の木製板材は前記第12及び第13の四角形状の木製板材の間で幅方向に略中央の位置で接合され、
前記第12、第13、及び第14の木製板材の長手方向の各一端は面一であり、他端は長手方向にずれた位置になるように接合されており、
前記第2の木製壁材の前記第10の木製板材の延びた面と前記第3の木製壁材の前記第12、第13及び第14の面一の端面が接しており、
前記第1、第2及び第3の木製壁材の3層の各板材に囲まれた水平方向及び垂直方向に長い複数の空間が形成され、そのうちの一部の前記空間には中空のパイプ部材が埋め込まれ、前記パイプ部材の中に電気配線や給排水管などの設備が収納され、前記パイプ部材が埋め込まれない他の前記空間の全部又は一部には壁の強度を補強するための補強部材が埋め込まれている
ことを特徴とする木造建築物
である。
本発明の第十三の特徴によれば、建築物の壁の中央部と角部における具体的な壁材の組み合わせを示している。
本発明の第十四の特徴は、
少なくとも3枚の四角形状の木製板材の広い面同士を接合して少なくとも3層構造の木製壁材を、長手方向を水平方向にして積み重ねることによって壁を形成した木造建築物であって、
前記少なくとも3層構造の木製壁材は、
幅が略同一で長さが略同一又は異なる第1及び第2の2枚の四角形状の木製板材と、
前記第1及び第2の四角形状の木製板材より幅が狭い第3の四角形状の木製板材とからなり、
前記第3の木製板材は前記第1及び第2の木製板材の間に挟まれて前記第1、第2及び第3の木製板材が接合されて構成され、
前記第1、第2及び第3の木製板材に囲まれた水平方向に長い複数の空間と垂直方向に長い複数の空間が形成され、そのうちの一部の前記空間には中空のパイプ部材が埋め込まれ、前記パイプ部材の中に電気配線や給排水管などの設備が収納され、前記パイプ部材が埋め込まれない他の前記空間の全部又は一部には壁の強度を補強するための補強部材が埋め込まれている
ことを特徴とする木造建築物
である。
本発明の第十四の特徴によれば、本発明による壁材を使用して形成した壁を有する木造建築物を示している。
本発明によれば、木造建築物の壁を、少なくとも3枚の板材の少なくとも3層構造でその板材の形状や位置関係などを工夫することによって、壁の垂直方向や水平方向に少なくとも3枚の板材に囲まれた多数の空間を形成し、その空間の中に、配線や給排水管などの設備を配置し、壁の補強部材を配置することができる壁材を提供できる効果がある。
特に、そのような壁材として、複数種類の基本的な構造の壁材を形成することができる。
更に、その複数種類の壁材を適切に組み合わせて形成した壁を有する木造建築物を提供できる。
本発明によれば、少なくとも3枚の木製板材を重ね合せた基本的な少なくとも3層構造の複数種類の木製壁材をそろえることができ、その長さを適切に調整して重量が大きくならず、素人が少人数で運搬したり組み立てたりすることができる複数種類の木製壁材を提供できるという効果がある。
本発明によれば、その長さを適切に調整することによって簡便に運搬できる基本的な少なくとも3層構造の複数種類の木製壁材から適切に選択して垂直方向に積層するとともに、水平方向に隣接して配置して組み立てることによって、素人が大型運搬機械を使用せずに簡便に組み立てることができ、しかも、垂直方向又は水平方向に隣接する少なくとも3層構造の木製壁材の間に形成される空間の一部に、電気配線や給排水管などの設備を配置することによってそれらの設備が建築物内外の外観に露出しないので美観を損なわず、その他の前記空間の全部又は一部に補強部材を埋め込むことによって強度が補強された木造建築物を提供できる。
図1は、本発明による木製壁材を用いて組み立てられた木造建築物の斜視図である。 図2は、本発明の木製壁材を用いて壁を構成する内容を示す斜視図である。 図3(a)は、本発明の木製壁材の一実施形態を示す斜視図であり、図3(b)は、図3(a)のX―X断面図である。特に、木製板材が水平方向にずれている場合を示す。 図4は、本発明の木製壁材の別の実施形態を示す斜視図である。 図5(a)及び図5(b)は、本発明の木製壁材の更に別の実施形態を示す斜視図である。特に、図5(a)は、3枚の板材のうちの中央の板材の端部が両側の板材の中間にあり、図5(b)では両側の板材より引っ込んだ位置にある場合を示す。 図6は、本発明の木製壁材の更に別の実施形態を示す斜視図である。 図7は、本発明の木製壁材の端部で組み合わせて壁の端部を面一にするコの字状部材の一実施形態を示す斜視図である。 図8は、本発明の木製壁材の端部で組み合わせて壁の端部を面一にするコの字状部材の別の実施形態を示す斜視図である。 図9(a)は、本発明の木製壁材同士を組み合わせるやり方の説明図である。図9(b)(c)(d)は、本発明の木製壁材にコの字状部材を組み合わせるやり方の説明図である。 図10は、本発明の木製壁材で構成した壁に形成された空間にパイプ部材と補強部材を埋め込んだ状態を示す斜視図である。 図11は、本発明の2種類の木製壁材壁を組み合わせて建築物の角部を構成した状態を示す斜視図である。 図12は、本発明の別の実施態様を示す斜視図である。特に、木製板材が水平方向と垂直方向の両方にずれている場合を示す。 図13(a)は、図12に示す壁材を2個、垂直方向に積み上げて組み立てた状態を示す斜視図である。図13(b)は、図13(a)に示す壁材のY―Y断面図である。 図14は、図13(a)に示す2個の壁材を組み立てたものから1枚の板材を取り外した状態を示す説明図である。 図15は、本発明の更に別の実施態様を示す図である。特に、3枚の板材のうち、外の1枚の板材が他の2枚の板材に対して、幅方向、長さ方向、回転方向にずれている場合を示す斜視図である。 図16は、本発明の更に別の実施態様を示す図である。特に、3枚の板材のうち、両側の2枚の板材の長さが同一で、中間の板材が短くてその両端が両側の板材より引っ込んでいる場合を示す斜視図である。 図17は、壁に千鳥足状の模様が形成されない場合を示す壁の一部の斜視図である。 図18は、本発明の更に別の実施態様を示す図である。特に、両側の板材がずれて、中間の板材の両端がともに両側の板材よりも引っ込んでいる場合を示す斜視図である。 図19は、図18に示す実施態様の壁材同士を接続した場合を示す斜視図である。 図20は、本発明の更に別の実施態様を示す図である。特に、中間の板材の両端が両側の板材の端部の中間の位置にある場合を示す斜視図である。 図21は、図20に示す実施態様の壁材と図18に示す実施態様の壁材を接続した場合を示す斜視図である。 図22は、本発明の更に別の実施態様を示す図である。特に、中間の板材の両端が両側の板材の端部の中間に位置する場合を示す斜視図である。 図23は、図22に示す壁材同士を接続した場合を示す斜視図である。 図24は、本発明の更に別の実施態様を示す図である。特に、中間の板材の一端が両側の板材の端部より引っ込み、他端が突出した場合を示す斜視図である。 図25は、図24に示す壁材同士を接続した場合を示す斜視図である。 図26は、本発明の更に別の実施態様を示す図である。特に、両側の2枚の板材が中間の板材に対して傾斜している場合を示す斜視図である。 図27は、図26に示す壁材同士を接続した場合を示す斜視図である。
図1は、本発明の好適な実施形態の木造建築物1の全体構造を示す斜視図である。木造建築物1としては、倉庫、車庫、ツリーハウス、犬小屋などの一般的な、比較的小型の木造建築物である。この木造建築物1は、壁2、屋根3、出入口4、窓5などを備えていても良く、基本的な使用材料は木材である。そして、本発明の特徴部分の対象である壁2は、壁2を構成する一つひとつの長方形状の壁材6が、通常のログハウスのように積み上げられて組み立てられたものである。そして、各壁材6は、素人が大型の運搬機械を使用しないでも少人数で運べる程度の大きさと重量である。
図2は、図1に示す木造建築物1の壁2の角部7の構造を説明するための詳細な斜視図である。
図2において、壁2の広い中央部には3枚の板材からなる3層構造の木製壁材8が用いられる。壁2の両端部に位置する角部7には、複数種類の構造の木製壁材9、10、11、12が用いられる。木製壁材8も木製壁材9、10、11、12も、基本的には、大型重機を用いなくても運搬したり組み立てたりすることが可能な大きさと重量であり、10Kg以下が望ましい。
図2に示す壁2の中央部では、比較的長い長方形状の3層構造の木製壁材8を垂直方向に積み重ねると共に、その端部が水平方向に千鳥状にずれているように配置される。木製壁材8を水平方向に千鳥状に配置することによって、木材の経年変化による変形が生じても壁2の美観を保つことができる。千鳥状にするには、3層構造の木製壁材8の両側の長い2枚の板材が長手方向にずれていることを利用する。隣接する2つの木製壁材8のずれを交互に配置すれば、壁2の外部からは千鳥状に見える。この木製壁材8については、別途、図3及び図9(a)にて詳述する。
なお、この実施形態では木製壁材8を千鳥状に配置したが、言うまでも無く、千鳥状でなくても良い。千鳥状でない実施態様については後述する。
図2に示す各壁2の両端部の角部7は、2つの壁2が直角に交差することが一般的である。その直角の交差部である角部7を構成するのが木製壁材9、10、11、12であり、その長さは、木製壁材8よりも比較的短い。これらの木製壁材9、10、11、12のうち、木製壁材9と木製壁材11は、同一形状であってもよく、木製壁材10と木製壁材12も同一形状であってもよい。この壁2の角部7においても、木製壁材9、10、11、12が水平方向に千鳥状にずれて配置されることにより、木材の経年変化による変形の影響を少なくすることができる。木製壁材9、10、11、12を、後述する図9(a)(b)(c)(d)に示すように、木製壁材同士又は木製壁材とコの字状部材を適切に組み合わせて組み立てることによって、壁2の角部7を構成することができる。
図2で、壁2の端13は、出入口や窓などを構成する場合のように、面一になっていることが望ましい。このため、図9(b)(c)に図示するように、壁材9、10の端部にコの字状壁材14を組み合わせることによって、壁2の端部で各壁材9、10を構成する3枚の木製板材の長手方向のずれが無くなり面一にする。
なお、壁材として図9(d)に示す壁材11を使用した場合には、コの字状壁材15が好ましい。
これらのコの字状壁材14、15については、図7、8にて詳述する。
図2に示す各壁材8、9、10、11、12は、3枚の木製板材からなる3層構造になっており、図3(a)、4、5(a)(b)、6、9(a)(b)(c)(d)に示すように、中間の木製板材の端部が両側の板材のうちの一方又は両方の板材の端部よりも短くなっている。そのために、2つの3層構造の壁材を適切に組み合わせることによって、中間の木製板材と両側の2枚の木製板材に囲まれた空間16が、壁2の垂直方向に多数形成される。
また、中間の板材の幅が両端の板材の幅よりも狭いことから、各壁材の中間の板材と両側の2枚の板材の間にも、多数の空間17が壁2の水平方向に形成される。
その結果、複数種類の基本構造の壁材8、9、10、11、12、14、15を適切に組み合わせることによって、ほとんど全ての壁材の内部に垂直方向の空間16又は水平方向の空間17を形成することができる。そして、空間16と空間17を通じて、壁の内部や木造建築物の外部と内部を自由に通じさせることもできる。
図10に示すように、壁材8を組み立てることによって壁の内部に形成された空間16、17のうちの一部の空間の内部には、パイプ部材18が配置される。パイプ部材18としては、強度を考慮してステンレスや硬質樹脂などが好ましいが、他の材質でも良い。このパイプ部材の中に、建築物に必要な電気配線や給排水管などの設備が通されている。この空間16、17は、壁材8、9、10、11、12に囲まれていて、壁の内部に収納されているために、木造建築物1の内側からも外側からも見えないので、配線や給排水管などの設備が見えることが無く、建築物の美観が損なわれない。
パイプ部材18が設置される空間16、17以外にも多数の空間16、17が水平方向にも垂直方向にも存在する。図10に示すように、それらの空間16、17には、必要に応じて、壁2全体の強度を補強するための強度補強部材19を埋め込むことが望ましい。本発明の対象物が木造建築物であることを考慮すると、壁の強度補強部材19としては木材が妥当である。
図3(a)は、前述の木製壁材8を詳細に説明する斜視図である。図3(b)は、図3(a)に示す木製壁材8のX―X断面図である。
ここで、木製壁材8は、3枚の細長い長方形状の木製板材が接合された3層構造である。3枚の木製板材は、エポキシ樹脂などの接着剤によって接着されるのが望ましいが、この接着剤による接着以外にも、何らかの方法によって接合されればよい。両側の第1の木製板材20と第2の木製板材21は、一例として、長方形状の長手方向の寸法(A)が910mm、短い方向の寸法、即ち、幅(B)が105mm、板厚(C)が37.5mmである。第1の木製板材20と第2の木製板材21の間に挟まれた中間の第3の木製板材22は、長手方向の寸法(D)が870.0mm、短い方向の寸法、即ち、幅(E)が65.0mm、板厚(F)が30.0mmであり、図示されるように、第1の木製板材20の長手方向及び幅方向に中央の位置に接合されている。そのために、第1の木製板材20と第3の木製板材22の端部は面一になっていない。
このように、木製壁材8は、第1の木製板材20と第3の木製板材22の端部が面一になっていないので、壁材8同士が組み合わせられた場合にも、壁材8と図4、5(a)(b)、6に示される別の壁材9、10、11、12が組み合わせられた場合にも、前述のように、壁材8と他の壁材9,10,11,12との間に、3枚の板材に囲まれた垂直方向の空間16が形成され、その空間16が壁2の様々な場所の内部に形成される。この空間16に、後述するように、電気配線や給排水管などの設備を入れるパイプ部材18や壁2の補強用の木材19を埋め込むことができる。
図2の壁2の中央部では壁材8が多数連続して、垂直方向及び水平方向に組み合わされて配置され、それらの壁材8の間に垂直方向の空間16と水平方向の空間17が形成されるが、図10はその状態を示している。
図10において、パイプ部材18として、いわゆる「C型管」を採用する。「C型管」は、4面のうち3面が閉じられたコの字状の管である。「C型管」の場合には、1つの面が開いているので、パイプ部材18が位置する板材を取り外して、パイプ部材18やその中の配線等の保守点検を行うのに好適である。「C型管」に代えて、中空の「丸型管」又は「角型管」でもよい。
図10のパイプ部材18は、壁材8によって形成される垂直方向の空間16と水平方向の空間17との間で方向転換するには、空間16と空間17の交差点に配置した市販のエルボ23を利用することによって簡単に行うことができる。
前述のように、図2の壁2の中央部において、図3(a)に示すように、木製板材20と木製板材21が長手方向にずれている木製壁材8を用いた場合には、図2の壁2には千鳥足状の模様が形成される。一方、図16に示すような木製板材54と木製板材55が長手方向にずれていない木製壁材56を用いた場合には、図17に示すように、壁2に千鳥足状の模様が形成されない。
また、木製板材54と木製板材55の間の幅方向及び長手方向の中央の位置に、木製板材54と木製板材55より幅方向及び長手方向にわずかに短い木製板材57が接合されている。幅方向及び長手方向に短いゆえに、3枚の木製板材54,55,57に囲まれた空間によって水平方向と垂直方向の空間が形成されて、図17に示すように、これらの空間に電気配線や給排水管などの設備が納められるC型管などのパイプ材や壁の補強部材が配置される。
建築物の壁の中央部に用いられる壁材の別の実施態様として、図18に示す壁材58がある。
この壁材58は、図3(a)に示す壁材8と比べて、3枚の木製板材59,60,61のうち、中間の板材61が両端共に、板材59や板材60より引っ込んだ位置にあることだけが異なる。このように、両端ともに中間の板材61が両側の板材59,60よりも引っ込んでいるので、同種の壁材58同士を接続した場合に、その接続部分に形成される垂直方向の空間62が大きくなる。電気配線や給排水管などを納めるパイプ材や補強部材を多めに、集中的に配置したい場合には好適である。
更に、壁の中央部に用いられる壁材の別の実施態様として、図20に示す壁材63がある。
この壁材63は、3枚の木製板材64,65,66のうち、中間の板材66が両端において、両側の板材64,65の中間の位置にある点が、図3(a)や図18に示す実施態様の壁材と異なる。
この壁材63は、図21に示すように、図18に示す壁材58と接続すると、接続部に形成される垂直方向の空間66の大きさを、図19に示す場合に比べて適切な大きさにすることができる。
更に、壁の中央部に用いられる壁材の別の実施態様として、図22に示す壁材67がある。
この壁材67は、3枚の板材68,69,70のうち、両側の板材68,69の長さが異なり、中間の板材70の両端が両側の板材68,69の中間の位置にある点が他の実施態様の壁材と異なる。
この壁材67は、図23に示すように、同種の壁材67同士を裏表反対にして接続することによって、両方の壁材67の間に垂直方向の空間71を形成することができる。
更に、壁の中央部に用いられる壁材の別の実施態様として、図24に示す壁材72がある。
この壁材72は、3枚の板材73,74,75のうち、両側の板材73,74の長さが略同一で、長手方向にずれておらず、中間の板材75はわずかに短く、一端が両側の板材73,74より突出している点が、他の実施態様の壁材と異なる。
この壁材72は、図25に示すように、同種の壁材72同士を接続することによって、両方の壁材72の間に垂直方向の空間76を形成することができる。
図4は、主として、図2に示す壁2の両端部の角部7に使用するのに好適な木製壁材9の詳細を示す斜視図である。木製壁材9の長方形の木製板材24、25、26は、壁2の中央部に使用される壁材8の板材20、21、22よりも比較的短く、その断面形状は、図3(b)に示す木製壁材8の断面形状と同一である。木製板材24、25、26の長さは、それぞれ、417.5mm、522.5mm、502.5mmである。壁材9の一端は、各木製板材24、25、26の端面が面一であるので、壁材9が特定の面に隙間なく接したい場合には好適である。従って、木製壁材9は、別の種類の木製壁材10(図5を参照)と組み立てられて、直角に交差する壁の角部7を形成することができる。
なお、図4の木製板材24の一端側には、2か所の切欠き部27が設けられている。この切欠き部27は、後述する図11に示すように、直交する2つの木製壁材9と壁材10に形成された水平方向の空間17が連通するために必要な構造である。
木製板材26の端部には、壁の角部に垂直に挿入されるボルト35のボルト用穴28(図示せず)が有る。
図5(a)は、図2の壁2の角部7に好適な別の木製壁材10の詳細を示す斜視図である。
木製壁材10は、3枚の長方形状の木製板材29、30、31が接合されており、壁の中央部に使用される壁材8よりも比較的短く、その断面形状は木製壁材8、9の断面形状と同じである。木製板材29と木製板材30は、同じ形状と寸法であり、長さが455mm、幅が105mm、厚さは37.5mmである。一方、中間に挟まれて接着されている木製板材31は、長さが435.0mm、幅が65.0mm、厚さが30.0mmであり、その一端が両側の木製板材29と板材30の一端の中間の位置にあり、他端は木製板材29の一端と面一に接合されている。
図5(a)の木製壁材10は、図2に示されるように、その一端は木製壁材8と組み立てられ、他端は前述の図6の木製壁材11と組み立てられることによって、壁2の角部7を構成している。
図5(b)は、角部7に好適な更に別の木製壁材12を示す斜視図である。図5(b)の壁材12が図5(a)に示す壁材10と異なる点は、3枚の板材32、33、34のうち中間の板材34が短く、両側の板材32、33よりも引っ込んだ位置に存在することだけである。この壁材12は、後述する図8に示すコの字状壁材15と組み合わせることによって、壁2の角部7に近い位置に出入口などがあるために、角部7近くで壁材の端部を面一にしなければならない場合に好適な壁材である。
図4の木製壁材9と図5(a)の木製壁材10を組み立てるやり方は、図11の斜視図に示されている。
図11において、木製壁材10の一端側に木製壁材9の一端側が直交するように接合される。木製壁材10の上部に形成される水平方向の空間17は、木製壁材9の切欠き部27を通じて木製壁材9の上部に形成される空間17に連通される。それらの空間17は、木製壁材9、10の他端側に形成される垂直方向の空間16に連通される。
図11に示す壁の角部に位置する木製壁材9と木製壁材10の接合部近くには、壁2の角部7の強度を補強するために直径12mmの金属ボルト35が貫通するために内径13mmのボルト用穴(図示せず)が開けられている。このボルト用穴は、壁2の角部7に位置する全ての木製壁材の同一の場所に設けられている。
直交する壁2の角部7は、図11に示すような木製壁材9と木製壁材10の組合せ以外に、木製壁材10と図6の木製壁材11でも良い。この場合には、木製壁材11の木製壁材10と反対側の端部は3枚の木製板材36、37、38のうち、中間の板材38が両側の板材36、37より引っ込んだ位置にあるので、この端部に配置する壁材又はコの字状部材15を選択する必要がある。
図6は、図4に示す壁材9及び図5に示す壁材10と同様に、壁2の角部に好適な木製壁材11を示す斜視図である。前述のように、壁材11は、3枚の長方形状の木製板材36、37、38から構成され、壁材11の一端において、3枚の板材36、37、38は面一であり、中間の板材38が両側の板材36、37より後退した位置にある。
木製板材38にはボルト用穴39がある。木製板材36の一端には切欠き部40がある。
図7は、図4に示す壁材9又は図5(a)(b)に示す壁材10、12と組み合わせることによって、壁材9、10、12の一端を面一にするためのコの字状壁材14を示している。このコの字状壁材14は、図1又は図2に示す建築物の出入口4や窓5と接する位置の壁2の端部13を形成するのに好都合である。
コの字状壁材14は、図7に示すように、コの字部41と、コの字部41の側面に組み合わせられた木製板材42とからなる。
コの字状壁材14の木製板材42の厚さは、図4に示す壁材9の木製板材24と25の間の中間板材26の厚さと略同一である。コの字部41が壁材9の中間板材26を挟んで両者が組み合わせられる。そして、その際には、木製板材42は、壁材9の両側の板材24、25のうちの一方の板材24の端部に接する程度の水平方向の長さを有する。
図8は、図7に示すコの字状壁材14と類似するコの字状壁材15を示し、コの字部43の側面の板材44の他に、コの字部43の内側が板材45で埋められている。
図8のコの字状壁材15は、図6に示す壁材11と組み合されて、窓や出入口に接する壁の端部のように、壁の端部が面一である場合に好適である。
なお、図7のコの字状壁材14及び図8のコの字状壁材15において、コの字部41及び43が其々、板材42、44の側面に別体として接合されている例を示しているが、これらが別体で形成されて接合される必要は無く、最終的に板材42、44から垂直方向の空間17に収まる2本の長く伸びた板が存在すればいいのであって、コの字状である必要は無い。一体で構成されていても良いし、他のいかなる構成でも良い。
図9(a)は、図3(a)に示す壁材8に、図4に示す他の壁材9を組み合わせる場合の組み合わせ方を説明するための斜視図である。図9(a)に示すように、壁材8と壁材9は、それぞれの端部の凹凸が適切に嵌め合せるように矢印方向へ移動させて組み合わせる。その結果、壁材9の端部が面一であるゆえに、壁材8と壁材9を組み合わせてできた2つの壁材全体の一端面が面一になり、建築物1の窓5や出入口4に接する部分として好適な構造になる。
このような2つの壁材の組合せ方は、図9(a)の場合に限らず、壁材9に代えて、図5(a)に示す壁材10を壁材8と組み合わせる場合も同様である。
図9(a)において、2つの壁材8、9の両側の板材20、21、24、25と中間の板材22、26の間に垂直方向の空間16が形成される。更に、壁材8の両側の板材20、21と、中間の板材22と、垂直方向に隣接する他の壁材8の3枚の板材20、21、22との間に、水平方向の空間17が形成される。
これらの空間16及び17には、前述のように、配線や給水管などを収納するパイプ材18や壁2を補強する木材などの補強部材19を設置することができる。
図9(b)及び図9(c)は、図4に示す壁材9及び図5(a)に示す壁材10に、図7に示すコの字状壁材14を組み合わせる場合の組み合わせ方を説明するための斜視図である。前述の図9(a)の場合と同様に、壁材9及び壁材10に対してコの字状壁材14を矢印方向へ移動させて組み合わせる。なお、壁材9、10と壁材14を組み合わせた際には、壁材9、10と壁材14の間には空間はできず、両者が密着した状態になる。
図9(d)は、図6に示す壁材11とコの字状壁材15と組み合わせる場合の組み合わせ方を説明するための斜視図である。
更に、図示しないが、図5(b)に示す壁材12とコの字状壁材15を組み合わせることもできる。図9(d)の場合と同様に、壁2の角部7に近い場所で使用するのに好適である。
図12は、本発明の木製壁材の別の実施態様を示す斜視図である。図12の木製壁材46は、3層構造の長方形状の木製板材47、48、49からなり、両側の木製板材47、48が、横方向のみではなく、縦方向にもずれている。縦方向にずれていることは、実際に複数の壁材46を垂直方向に積み上げて組み立てた場合に、垂直方向のずれがあることを意味する。
図13(a)は、図12に示す木製壁材46を、垂直方向に2個の木製壁材46a、46bとして積み上げて組み立てた状態を示す斜視図である。
図13(b)は、図13(a)の2つの壁材46a、46bのY―Y断面図である。2個の木製壁材46aと木製壁材46bに囲まれた水平方向の空間17は、他の水平方向の空間17や他の図に示される垂直方向の空間16に連通する。
なお、この実施態様の壁材46のように、木製板材47、48が長手方向だけでなく幅方向にもずれていることによって、積み上げて組み立てた際に、温度や湿度などの環境変化や経年変化に伴って、垂直方向に隣接する2個の壁材46a、46bの2枚の木製板材48a、48bの間に小さい隙間が生じたとしても、木製板材47bが存在するので、2個の壁材46a、46b全体としては隙間が貫通することが無くて、建築物の壁としては好都合である。
更に、この別の実施態様の壁材46によれば、組み立てた際に垂直方向にもずれているので、例えば、図14に示すように、木製板材48aを矢印の方向に取り外すことによって、2個の壁材46a、46bの間に形成されている水平方向の空間17を容易に外部から見ることができる。その結果、この空間17に設置しているパイプ部材18や補強部材19の状況を観察したり、パイプ部材18の中に配置した電気配線や給排水管などを保守管理することが容易に可能になる。
図15は、更に別の実施態様の壁材50を示す図である。図3(a)に示す壁材8に比べて、長方形状の第1の木製板材51が第2の板材52及び第3の板材53に対してわずかに回転して所定の角度を有する状態になっている。このように回転しても、第1、第2、第3の板材51、52、53に囲まれた空間17や隣接する壁材との間に空間16は形成されるので、この空間16、17内に配線などの設備や補強部材を埋め込むことができる。
なお、第2の板材52は、所定角度をもって第1及び第3の板材51、53と接しているので、垂直方向の全ての空間16が連通して、しかも、隣接する壁材を隙間なく壁を形成することが大切であり、そのためには、図示されるように、平行四辺形であることが望ましい。水平方向の空間17は、第2の板材52の傾斜角度に関係なく形成される。
また、第2の板材52は、回転するのみでなく、図12に示す実施態様のように、第1の板材51に対して、幅方向及び長手方向にもずれていても良い。
これらのように、第2の板材52が第1、2の板材51、53に対して回転している場合には、上述の実施態様が有する効果の他に、組み立てて壁2を形成した場合に、壁2の壁材間にできる隙間による模様が、図1及び図2に示すような垂直方向と水平方向の模様以外に、斜め方向の模様も形成されることになる。これが美観を高めることになる。
図15の実施態様では、壁材50としての長さが、同一となるため、板材52は板材51より長さが長い。
壁の中央部に用いられる壁材として、更に、本発明の別の実施態様による壁材77を図26に示す。
壁材77は、木製板材78と木製板材79の間に木製板材80が接合されて構成される。板材78と板材79は、長さと幅が略同一であり、平行に配置されている。板材80は、板材78,79より短くて幅が狭く、板材78、79に対してわずかに回転していて傾斜した位置関係にある。板材80は長方形であり、板材78、79は傾斜角だけ直角からずれた平行四辺形状である。
図27は、図26に示す壁材77同士を4個接続した場合を示している。
壁材77a、77b、77c、77dを、図27に示すように接続すると、壁材77の板材78、79の傾斜によって、壁に山と谷の傾斜模様が形成されるので、壁の美観が高まる。各板材78、79、80に囲まれた垂直方向の空間82と水平方向の空間83が形成され、それらの空間82、83は相互に連通する。
なお、図27は、壁材77が水平方向にのみ接続されているが、実際に壁を形成する場合には垂直方向にも接続される。それゆえに、板材78、79、80は、垂直方向に接続された壁材77の各板材78、79、80との間に小さい隙間ができて、その隙間が垂直方向の空間82や水平方向の空間83になる。
ここで、本発明の特徴を整理する。
(1)まず、本発明の対象は、木造建築物の壁に使用される壁材であり、壁材は少なくとも3層構造に接合された3枚の木製板材で1つの壁材が形成されている。3層構造の中間に位置する板材の幅は両側の板材の幅よりも狭い。
そして、更なる複数の技術的要素によって実現される本発明の特徴の1つは、「壁材の長手方向及び幅方向の両端部に、3枚の板材で囲まれた垂直方向と水平方向の空間が形成される構造である」ことにある。この空間に、建築物に必要な電気配線や給排水管などの設備を納めるパイプ材や壁の強度を補強する補強部材を配置することができる。これが本発明の本質である。
(2)更に、前述の発明の特徴の1つを実現する壁材の構造として、3枚の木製板材の位置関係や長さ関係などの複数の技術的要素の組合せによって、多くの種類の壁材の構造が存在する。以下に、それらの技術的要素について説明する。
▲1▼まず、「3枚の板材が幅方向にずれるかどうかの位置関係」の技術的要素によって分類する。
(A)3枚のうちの中間の板材が、両側の2枚の板材のいずれとも幅方向の中央部で接合されていない場合の壁材を選択できる。
これに該当する代表的な壁材として、図26に示す実施態様の壁材がある。
(B)3枚のうちの中間の板材が、両側の2枚のうちの1枚の板材のみと幅方向の中央部で接合されている場合の壁材を選択できる。
これに該当する代表的な壁材として、図12、15に示す各実施態様の壁材がある。
そのうち、
(Ba)両側の2枚の板材が幅方向及び長手方向にずれている場合の代表的な壁材は図12に示す実施態様の壁材であり、
(Bb)両側の2枚の板材が相互に傾斜している場合の代表的な壁材は図15に示す実施態様の壁材である。
(C)3枚のうちの中間の板材が、両側の2枚の板材と幅方向の中央部で接合されている場合の壁材を選択できる。
これに該当する代表的な壁材として、図3、4、5(a)、5(b)、6、16、18、20、22、24に示す各実施態様の壁材がある。
▲2▼次に、上記(C)の実施態様を、「両側の板材が長手方向にずれるかどうかの位置関係」の技術的要素によって更に分類する。
(Ca)両側の2枚の板材が、両端ともにずれない場合の壁材を選択できる。これは、両側の板材の長手方向の長さが略同一であることを意味する。
これに該当する代表的な壁材として、図16、24に示す各実施態様の壁材がある。なお、壁材の両端において中間の板材の端部が両側の2枚の板材の端部より突出する場合は、発明の効果の点から選択しない。
そのうち、
(Caa)壁材の一端において、中間の板材の端部が両側の2枚の板材の端部より引っ込んだ位置にあり、壁材の他端において、中間の板材が両側の2枚の板材より突出する場合の代表的な壁材は図24に示す実施態様の壁材であり、
(Cab)壁材の両端において、中間の板材の端部が両側の2枚の板材の端部より引っ込んだ位置にある場合の代表的な壁材は図16に示す実施態様の壁材である。
(Cb)両側の2枚の板材が、壁材の一端のみでずれる場合の壁材を選択できる。これは、両側の板材の長手方向の長さが異なることを意味する。
これに該当する代表的な壁材として、図4、6に示す各実施態様の壁材がある。なお、図4、6の壁材は、いずれも他端における3枚の板材は面一であり、これ以外の場合の壁材は発明の効果の点から選択しない。
図4、6のうち、
(Cba)上記一端において、中間の板材の端部が、両側の2枚の板材の端部の中間に位置する場合の壁材は図4に示す実施態様の壁材である。
(Cbb)上記一端において、中間の板材の端部が、両側の2枚の板材の端部より引っ込んだ位置にある場合の壁材は図6に示す実施態様の壁材である。
(Cc)両側の2枚の板材が、両端においてずれる場合の壁材を選択できる。これは、両側の板材の長手方向の長さが異なる場合も略同一の場合も含むことを意味する。
これに該当する代表的な壁材として、図3、5(a)、5(b)、18、20、22に示す各実施態様の壁材がある。
それらは、更に、以下のように分類される。
(Cca)壁材の一端において、中間の板材の端部が両側の2枚の板材の端部の中間に位置し、壁材の他端において、中間の板材の端部が両側の2枚の板材の端部より引っ込んだ位置にある場合の壁材がある。
これに該当する代表的な壁材として、図3に示す実施態様の壁材がある。
(Ccb)壁材の両端において、中間の板材の端部が両側の2枚の板材の端部の中間に位置にある場合の壁材がある。
これに該当する代表的な壁材として、図20に示す実施態様の壁材がある。
(Ccc)壁材の一端において、中間の板材の端部が両側の2枚の板材の端部の中間に位置し、壁材の他端において、中間の板材の端部が両側の2枚の板材のうちの1枚のみの端部と面一となる位置にあり、両側の板材のうちの他の1枚はその面一の他端よりも突出している場合の壁材がある。
これに該当する代表的な壁材として、図5(a)に示す実施態様の壁材がある。
(Ccd)壁材の3枚の板材の長手方向の長さが異なり、中間の板材の長さは両側の2枚の板材の中間の長さであり、壁材の両端において、中間の板材の端部が両側の2枚の板材の端部の中間に位置する場合の壁材がある。
これに該当する代表的な壁材として、図22に示す実施態様の壁材がある。
(Cce)壁材の両端において、中間の板材の端部が両側の2枚の板材の端部より引っ込んだ位置にある場合の壁材がある。
これに該当する代表的な壁材として、図18に示す実施態様の壁材がある。
(Ccf)壁材の一端において、中間の板材の端部が両側の2枚の板材の端部より引っ込んだ位置にあり、壁材の他端において、中間の板材の端部と両側の2枚の板材のうちの1枚の端部とが面一の関係にある場合の壁材がある。
これに該当する代表的な壁材として、図5(b)に示す実施態様の壁材がある。
以上の各実施態様において、各壁材の3枚の木製板材は長方形に限らない。壁全体として平面を形成できれば良いので、各壁材の木製板材は、平行四辺形を含み、四角形であれば差支えない。
本発明によれば、壁材を少なくとも3枚の四角形の木製板材の少なくとも3層構造とし、その板材の形状や位置関係などを工夫することによって、壁材を組み合わせた際に、隣接する壁材の間に、壁の垂直方向や水平方向の空間が形成され、その空間の中に、配線や給排水管などの設備を配置し、壁の強度補強部材を配置することができる壁材を提供することができる。
更に、本発明によれば、本発明による壁材を組み合わせて形成した壁を有することによって、壁の中に形成した空間の中に配線や給水管などの設備や強度補強部材を配置した木造建築物を提供することができる。
特に、本発明によれば、建築物1の壁2の中央部においては、本発明による少なくとも3枚の木製板材の少なくとも3層構造の基本構造の壁材の一つである、比較的長い壁材8を適宜、組み合わせることによって、配線や給排水管などの設備を内部に配置できるパイプ材や木材などの補強部材を埋め込むための水平方向及び垂直方向の空間を壁材の間に形成することができる。
本発明によれば、建築物の壁の角部においても、本発明による少なくとも3枚の木製板材の少なくとも3層構造の複数種類の基本的構造の壁材のうち、少なくとも3層構造の内容によって異なる種類の壁材を適宜、組み合わせることによって、配線や給排水管などの設備を内部に配置できるパイプ材や木材などの補強部材を埋め込むための水平方向及び垂直方向の空間を壁材の間に形成することができる。
水平方向と垂直方向の空間は建築物の壁の全体又は一部に形成することができるので、壁の全体又は一部の水平方向にも垂直方向にも配線や給排水管などの設備を必要に応じて配置することができるとともに、設備の配置に使用しない空間に壁の補強部材を入れて使用できる。
しかも、そのような設備や補強部材を、壁の内部に格納することができるので、美観に優れている木造建築物を提供できる。
本発明の実施態様では、壁材として、基本的には木材を使用しているが、一部に他の材質の壁材を使用することは何らの問題は無く、本発明の効果が得られることには変わりない。他の材質としては、例えば、強度や重量を考慮して金属や樹脂であってもよい。
また、本発明の実施態様において、壁材は3層構造を示しているが、適宜、4層以上でも良いことは言うまでもない。
本発明の木造建築物においては、壁の中央部においては、図3(a)、12、15、16、18、20、22、24に代表的に示される壁材を垂直方向及び水平方向に隣接して配置し、壁の角部においては、ほぼ直角に交差するために、図4、図5(a)(b)、図6などに代表的に示される壁材を配置し、窓や出入口等のように端面が面一になるべき場合には、各壁材に図7、図8に代表的に示される壁材を採用することによって、本発明の目的を達成することができる。
1‥‥木造建築物
2‥‥壁
3‥‥屋根
4‥‥出入口
5‥‥窓
6‥‥壁材
7‥‥壁の角部
8、9、10、11、12、46、50、56、58、63、67、72、77‥‥壁材
13‥‥壁の端部
14、15‥‥コの字状壁材
16、17、62、71、76、82、83、84‥‥空間
18‥‥パイプ部材
19‥‥補強部材
20、24、29、32、36、47、51、54、59、64、68、73、78‥‥第1の木製板材
21、25、30、33、37、48、52、55、60、65、69、74、79‥‥第2の木製板材
22、26、31、34、38、49、53、57、61、66、70、75、80‥‥第3の木製板材
23‥‥エルボ
41、43‥‥‥コの字部
42、44、45‥‥‥板材
27、40‥‥‥切欠き部
35‥‥‥ボルト
28、39‥‥‥ボルト用穴

Claims (8)

  1. 少なくとも3枚の四角形状の木製板材の広い面同士を接合して形成した少なくとも3層構造の木製壁材を、長手方向を水平方向に積み重ねることによって壁を形成し、前記3枚の木製板材に囲まれた水平方向に長い複数の空間と垂直方向に長い複数の空間が形成され、そのうちの一部の空間には中空のパイプ部材が埋め込まれ、前記パイプ部材の中に電気配線や給排水管などの設備が収納され、前記パイプ部材が埋め込まれない他の前記空間の全部又は一部には壁の強度を補強するための補強部材が埋め込まれている木造建築物用の前記木製壁材であって、
    前記木製壁材は、
    四角形状の第1の木製板材と、
    前記第1の木製板材と幅が略同一で長さが略同一又は異なる第2の四角形状の木製板材と、
    前記第1及び第2の木製板材より幅が狭く前記第1の木製板材より短い第3の四角形状の木製板材からなり、
    前記第3の木製板材は、前記第1及び第2の木製板材の間で幅方向に前記第1の木製板材の中央部の位置で接合され、
    前記第1と第2の木製板材は、それらの両端において長手方向にずれた位置になるように、前記第1、第2及び第3の木製板材の各板面が接合されており、
    複数の前記木製壁材を水平方向及び垂直方向に隣接して組み合わせることによって、前記第1、第2及び第3の木製板材に囲まれた水平方向に長い複数の空間と垂直方向に長い複数の空間が形成され、そのうちの一部の前記空間には中空のパイプ部材が埋め込まれ、前記パイプ部材の中に電気配線や給排水管などの設備が収納され、前記パイプ部材が埋め込まれない他の前記空間の全部又は一部には壁の強度を補強するための補強部材が埋め込まれる
    ことを特徴とする少なくとも3枚の木製板材からなる木造建築物用の木製壁材。
  2. 前記第1の木製板材と前記第2の木製板材の長さが略同一である
    ことを特徴とする請求項1に記載の木造建築物用の木製壁材。
  3. 前記第1と第2の木製板材は、それらの両端において長手方向にずれるとともに、幅方向にもずれた位置になるように、前記第1、第2及び第3の木製板材の各板面が接合されている
    ことを特徴とする請求項2に記載の木造建築物用の木製壁材。
  4. 前記第2の木製板材の長さは、前記第1の木製板材の長さよりも長い
    ことを特徴とする請求項1に記載の木造建築物用の木製壁材。
  5. 前記第1と第2の木製板材は、それらの両端において長手方向にずれるとともに、幅方向にもずれた位置になるように、前記第1、第2及び第3の木製板材の各板面が接合されている
    ことを特徴とする請求項4に記載の木造建築物用の木製壁材。
  6. 前記第2の木製板材の長さは、前記第1の木製板材の長さよりも短い
    ことを特徴とする請求項1に記載の木造建築物用の木製壁材。
  7. 前記第1と第2の木製板材は、それらの両端において長手方向にずれるとともに、幅方向にもずれた位置になるように、前記第1、第2及び第3の木製板材の各板面が接合されている
    ことを特徴とする請求項6に記載の木造建築物用の木製壁材。
  8. 請求項1乃至7のいずれかの請求項に記載の前記壁材を有することを特徴とする木造建築物。
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