JP6906225B2 - 魚類の生産方法および魚類の飼料利用効率向上方法および魚類のプラズマ活性化飼料の製造方法 - Google Patents

魚類の生産方法および魚類の飼料利用効率向上方法および魚類のプラズマ活性化飼料の製造方法 Download PDF

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Description

本明細書の技術分野は、魚類の生産方法および魚類の飼料利用効率向上方法および魚類のプラズマ活性化飼料とその製造方法に関する。
プラズマ技術は、電気、化学、材料の各分野に応用されている。プラズマの内部では、電子やイオン等の荷電粒子の他に、紫外線やラジカルが発生する。これらには、生体組織の殺菌をはじめとして、生体組織に対する種々の効果があることが分かってきている。
例えば、特許文献1には、酵母に大量の大気圧プラズマを照射した場合には酵母の生菌数は減少するが、酵母に少量の大気圧プラズマを照射した場合に酵母の生菌数は増加することが記載されている。このように、プラズマを照射することにより酵母を活性化する可能性および死滅させる可能性について研究されてきている。しかし、その他の生物へのプラズマの影響については必ずしも明らかではない。
特開2014−195450号公報 特開2017−029117号公報
特許文献2には、乳酸リンゲル液にプラズマを照射した溶液を育成水に混ぜることにより魚類の成長を促進することが記載されている。この結果は30mLという非常に小さい容積の水量についての結果である。実験系では、数百L程度の水が使用される。また、実際の魚類の養殖においては、数十トン程度の水が使用される。
このように大量の水の中で魚類を成長させる場合には、多くの問題がある。まず、特許文献2の技術では、実際に、大量の水を要する養殖魚における成長促進効果は確認されていない。また、特許文献2の技術を魚類の養殖に応用しようとすると、大規模なプラズマ照射装置が必要となる。さらに、特許文献2の技術を水系が開放されている養殖形態に実施することは非常に困難である。水系が開放されている養殖形態として、例えば、掛け流し式陸上養殖と、築堤式養殖と、網生簀式海面養殖と、が挙げられる。
本明細書の技術は、前述した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは、水量の多い環境下で魚類の成長を促進させる魚類の生産方法および魚類の飼料利用効率向上方法および魚類のプラズマ活性化飼料とその製造方法を提供することである。
第1の態様における魚類の生産方法は、第1の飼料を含有する第1の飼料水溶液を準備する工程と、第1の飼料水溶液に大気圧プラズマを照射して第2の飼料水溶液を製造する工程と、第2の飼料水溶液の成分を含有する固形飼料を製造する工程と、固形飼料を魚類に供給する工程と、を有する。
この魚類の生産方法は、第1の飼料水溶液に大気圧プラズマを照射したプラズマ活性化飼料水溶液(Plasma Activated Dietary Solution:PADs)の成分(プラズマ活性化飼料(PAD))を魚類に供給する。これにより、魚類の成育を促進する。ここで、プラズマ活性化飼料水溶液(PADs)またはプラズマ活性化飼料(PAD)は、飼料の利用効率を向上させる効果を有する。この方法では、プラズマ活性化飼料水溶液(PADs)の成分を含有する固形飼料を魚類に直接食べさせることができるため、効率よく魚類の成長を促進することができる。また、陸上養殖と海面養殖とを問わず、プラズマ活性化飼料(PAD)を魚類の養殖に適用することができる。
本明細書では、水量の多い環境下で魚類の成長を促進させる魚類の生産方法および魚類の飼料利用効率向上方法および魚類のプラズマ活性化飼料とその製造方法が提供されている。
実施形態のプラズマ発生装置のガス噴出口を走査するロボットアームの構成を説明するための概念図である。 図2.Aは第1のプラズマ発生装置の構成を示す断面図であり、図2.Bは電極の形状を示す図である。 図3.Aは第2のプラズマ発生装置の構成を示す断面図であり、図3.Bはプラズマ領域の長手方向に垂直な断面における部分断面図である。 実施形態における第3のプラズマ発生装置の概略構成を示す図である。 実施形態における第3のプラズマ発生装置の上部構造を示す概略構成図である。 実施形態における第3のプラズマ発生装置の下部構造を示す概略構成図である。 実施形態において第3のプラズマ発生装置がプラズマを照射している場合を説明するための図である。 実施形態におけるプラズマ活性化飼料の製造方法を説明するための図(その1)である。 実施形態におけるプラズマ活性化飼料の製造方法を説明するための図(その2)である。 実施形態におけるプラズマ活性化飼料の製造方法を説明するための図(その3)である。 実施形態におけるプラズマ活性化飼料の製造方法を説明するための図(その4)である。 実施形態におけるプラズマ活性化飼料の製造方法を説明するための図(その5)である。 実施形態におけるプラズマ活性化飼料の製造方法を説明するための図(その6)である。
以下、具体的な実施形態について、魚類の生産方法および魚類の飼料利用効率向上方法および魚類のプラズマ活性化飼料とその製造方法を例に挙げて図を参照しつつ説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態について説明する。第1の実施形態の魚類の生産方法および魚類の飼料利用効率向上方法に用いられる魚類のプラズマ活性化飼料は、後述するように、飼料成分を含有する水溶液に大気圧プラズマを照射したものである。そのため、まず、プラズマを照射するプラズマ照射装置について説明する。
1.プラズマ活性化飼料製造装置
1−1.プラズマ活性化飼料製造装置の構成
本実施形態のプラズマ活性化飼料製造装置PMは、図1に示すように、プラズマ照射装置P1と、アームロボットM1とを有している。プラズマ照射装置P1は、プラズマを発生させるとともに、そのプラズマを溶液に向けて照射するためのものである。
アームロボットM1は、図1に示すように、プラズマ照射装置P1の位置をx軸、y軸、z軸方向のそれぞれの方向に移動させることができるようになっている。なお、説明の便宜上、プラズマを照射する向きを−z軸方向としている。これにより、溶液の液面と、プラズマ照射装置P1との間の距離を調整することができる。また、このプラズマ活性化飼料製造装置PMは、予めプラズマ照射時間を設定することにより、その時間だけプラズマを照射することができるものである。
プラズマ照射装置P1には、後述するように、3種類の方式(第1のプラズマ発生装置P10および第2のプラズマ発生装置P20および第3のプラズマ発生装置P30)がある。そして、いずれの方式を用いてもよい。なお、第3のプラズマ発生装置P30は、図1に示すロボットアームM1等を有していない。
1−2.第1のプラズマ発生装置
図2.Aはプラズマ発生装置P10の概略構成を示す断面図である。ここで、プラズマ発生装置P10は、プラズマを点状に噴出する第1のプラズマ発生装置である。図2.Bは、図2.Aのプラズマ発生装置P10の電極2a、2bの形状の詳細を示す図である。
プラズマ発生装置P10は、筐体部10と、電極2a、2bと、電圧印加部3と、を有している。筐体部10は、アルミナ(Al2 3 )を原料とする焼結体から成るものである。そして、筐体部10の形状は、筒形状である。筐体部10の内径は2mm以上3mm以下である。筐体部10の厚みは0.2mm以上0.3mm以下である。筐体部10の長さは10cm以上30cm以下である。筐体部10の両端には、ガス導入口10iと、ガス噴出口10oとが形成されている。ガス導入口10iは、プラズマを発生させるためのガスを導入するためのものである。ガス噴出口10oは、プラズマを筐体部10の外部に照射するための照射部である。なお、ガスの移動する向きは、図中の矢印の向きである。
電極2a、2bは、対向して配置されている対向電極対である。電極2a、2bの対向面方向の長さは、筐体部10の内径より小さい。例えば1mm程度である。電極2a、2bには、図2.Bに示すように、対向面のそれぞれに凹部(ホロー)Hが多数形成されている。そのため、電極2a、2bの対向面は、微細な凹凸形状となっている。なお、この凹部Hの深さは、0.5mm程度である。
電極2aは、筐体部10の内部であってガス導入口10iの近傍に配置されている。電極2bは、筐体部10の内部であってガス噴出口10oの近傍に配置されている。そのため、プラズマ発生装置P10では、電極2aの対向面の反対側からガスを導入するとともに、電極2bの対向面の反対側にガスを噴出するようになっている。そして、電極2a、2b間の距離は、例えば、24cmである。電極2a、2b間の距離は、これより小さい距離であってもよい。
電圧印加部3は、電極2a、2b間に交流電圧を印加するためのものである。電圧印加部3は、商用交流電圧である、60Hz、100Vを用いて9kVに昇圧するとともに、電極2a、2b間に電圧を印加する。
ガス導入口10iからアルゴンを導入するとともに、電圧印加部3により、電極2a、2b間に電圧を印加すると、筐体部10の内部にプラズマが発生する。図2.Aの斜線で示すように、プラズマが発生する領域をプラズマ発生領域Pとする。プラズマ発生領域Pは、筐体部10に覆われている。
1−3.第2のプラズマ発生装置
図3.Aはプラズマ発生装置P20の概略構成を示す断面図である。ここで、プラズマ発生装置P20は、プラズマを線状に噴出する第2のプラズマ発生装置である。図3.Bは、図3.Aのプラズマ発生装置P20のプラズマ領域Pの長手方向に垂直な断面における部分断面図である。
プラズマ発生装置P20は、筐体部11と、電極2a、2bと、電圧印加部3と、を有している。筐体部11は、アルミナ(Al2 3 )を原料とする焼結体から成るものである。筐体部11の両端には、ガス導入口11iと、多数のガス噴出口11oとが形成されている。ガス導入口11iは、図3.Aの左右方向を長手方向とするスリット形状をしている。ガス導入口11iからプラズマ領域Pの直上までのスリット幅(図3.Bの左右方向の幅)は例えば1mmである。
ガス噴出口11oは、プラズマを筐体部11の外部に照射するための照射部である。ガス噴出口11oは、円筒形状もしくはスリット形状である。円筒形状の場合のガス噴出口11oは、プラズマ領域の長手方向に沿って一直線状に形成されている。ガス噴出口11oの内径は1mm以上2mm以下の範囲内である。また、スリット形状の場合には、ガス噴出口11oのスリット幅を1mm以下とすることが好ましい。これにより、安定したプラズマが形成される。また、ガス導入口11iは、電極2aと電極2bとを結ぶ線と交差する向きにガスを導入するようになっている。
電極2a、2bおよび電圧印加部3については、図1に示したプラズマ発生装置P10と同じものである。そして、同様に、商用交流電圧を用いて、電極2a、2b間に電圧を印加する。これにより、プラズマを一直線状に噴出することができる。
また、この一直線状にプラズマを噴出するプラズマ発生装置P20を図3.Bの左右方向に列状に並べて配置すれば、プラズマをある長方形の領域にわたって平面的に噴出することができる。
1−4.第3のプラズマ発生装置
図4は、第3のプラズマ発生装置P30の概略構成を示す概念図である。プラズマ発生装置P30は、収容している溶液にプラズマを照射するためのものである。
図4に示すように、プラズマ発生装置P30は、第1電極110と、第2電極210と、第1の電位付与部120と、第2の電位付与部220と、第1のリード線130と、第2のリード線230と、ガス供給部140と、ガス管結合コネクター150と、ガス管160と、第1電極保護部材170と、第2電極保護部材240と、第1電極支持部材180と、密閉部材191と、結合部材192と、容器250と、封止部材260と、架台270と、を有している。
1−4−1.電極の概略構成
第1電極110は、筒形状部110aを有している。そして、その筒形状部110aの内部にプラズマガスを供給することができるようになっている。つまり、第1電極110の内部は、ガス供給部140と連通している。第1電極110は、筒形状部110aから第2電極210に向けてガスを吹き出すようになっている。そして、第1電極110の先端部は、注射針形状をしている。つまり、第1電極110の先端部は、第1電極110の軸方向に垂直な方向に対して傾斜する傾斜面を有している。そして、第1電極110の先端部には、マイクロホローが形成されている。
第2電極210は、第1電極110と対向する電極である。第2電極210は、棒状電極である。第2電極210は、円柱形状である。もしくは、多角柱形状であってもよい。もしくは、先端の尖った針形状であってもよい。ここで、第2電極210は、先端部211を有している。第2電極210の先端部211は、イリジウムを含有するイリジウム合金でできている。例えば、イリジウムと白金との合金である。または、イリジウムと白金とオスミウムとの合金である。イリジウム合金は、硬度が高く、耐熱性に優れている。そのため、イリジウム合金は、第2電極210の先端部211に好適である。また、イリジウムの代わりに、白金を用いてもよい。もしくは、パラジウムであってもよい。または、イリジウムと白金とパラジウムとのうちの少なくとも一種類以上を含む金属もしくは合金であるとよい。また、第2電極210の先端部211は金であってもよい。また、放電時には、第2電極210は、容器250に収容されている溶液に浸かっている。
第1の電位付与部120は、第1電極110に周期的に変化する電位を付与するためのものである。第2の電位付与部220は、第2電極210に周期的に変化する電位を付与するためのものである。ここで、第1の電位付与部120と第2の電位付与部220とのうちのどちらか一方は、接地されていてもよい。第1のリード線130は、第1電極110と第1の電位付与部120とを電気的に接続するためのものである。第1のリード線130は、ニッケル合金もしくはステンレスであるとよい。第2のリード線230は、第2電極210と第2の電位付与部220とを電気的に接続するためのものである。第2のリード線230は、ニッケル合金もしくはステンレスであるとよい。これにより、第1電極110と第2電極210との間に高周波の電圧が印加されることとなる。つまり、第1の電位付与部120および第2の電位付与部220は、第1電極110と第2電極210との間に電圧を印加するための電圧印加部である。
1−4−2.ガス供給経路
プラズマ発生装置P30は、前述したように、ガス供給部140と、ガス管結合コネクター150と、ガス管160と、を有している。そのため、ガス供給部140は、ガス管160およびガス管結合コネクター150を介して、第1電極110の筒形状部の内部にプラズマガスを供給する。ここで、ガス供給部160は、例えば、Arガスを供給する。もしくは、その他の希ガスを供給してもよい。もしくは、酸素ガス等その他の微量のガスを含んでいてもよい。そのため、プラズマガスは、第1電極110から溶液250に収容されている溶液に向けて吹き付けられることとなる。
1−4−3.上部構造の構成
図5は、プラズマ発生装置P30の上部構造を示す図である。図5に示すように、第1電極110は、先端部111を有している。先端部111は、図4に示すように、第2電極210に対面する位置に配置されている。第1電極110の先端部111は、傾斜面111aを有している。傾斜面111aは、第1電極110の軸方向に垂直な面に対して傾斜している面である。また、先端部111には、マイクロホロー111bが形成されている。マイクロホロー111bは、長さ0.5mm以上1mm以下、幅0.3mm以上0.5mm以下の微小な凹部である。
また、前述したように、プラズマ発生装置P30は、密閉部材191と、結合部材192と、を有している。密閉部材191は、図4に示す容器250に取り付けるとともに容器250の内部を密閉するためのものである。結合部材192は、第1電極110とガス管結合コネクター150とを、密閉部材191等を介して連結するための部材である。
1−4−4.下部構造の構成
図6は、プラズマ発生装置P30の下部構造を示す図である。前述したように、プラズマ発生装置P30は、容器250と、封止部材260と、架台270と、を有している。容器250は、内部に溶液を収容することができるようになっている。ここで、溶液とは、水溶液や有機溶剤をも含むこととする。また、容器250は、第1電極110および第2電極210を内部に収容している。また、容器250は、目盛を有しているとよい。容器250の内部に収容されている溶液の量を計量するためである。
封止部材260は、第2電極保護部材240と、容器250との間の隙間を塞ぐためのものである。封止部材260として、例えば、オーリングが挙げられる。容器250の密閉性を確保し、溶液が容器250の底部に漏れ出すのを防止するものであれば、これ以外の部材を適用してもよい。架台270は、容器250その他の各部材を支持するためのものである。
2.プラズマ発生装置により発生されるプラズマ
2−1.第1のプラズマ発生装置および第2のプラズマ発生装置
プラズマ発生装置P10、P20により発生されるプラズマは、非平衡大気圧プラズマである。ここで、大気圧プラズマとは、0.5気圧以上2.0気圧以下の範囲内の圧力であるプラズマをいう。
本実施の形態では、プラズマ発生ガスとして、主にArガスを用いる。プラズマ発生装置P10、P20により発生されるプラズマの内部では、もちろん、電子と、Arイオンとが生成されている。そして、Arイオンは、紫外線を発生させる。また、このプラズマは大気中に放出されているため、酸素ラジカルや窒素ラジカル等を発生させる。
このプラズマのプラズマ密度は、1×1014cm-3以上1×1017cm-3以下の範囲内である。なお、誘電体バリア放電により発生されるプラズマにおけるプラズマ密度は、1×1011cm-3〜1×1013cm-3程度である。したがって、プラズマ発生装置P10、P20により発生されるプラズマのプラズマ密度は、誘電体バリア放電により発生されるプラズマのプラズマ密度に比べて、3桁程度大きい。したがって、このプラズマの内部では、より多くのArイオンが生成する。そのため、ラジカルや、紫外線の発生量も多い。なお、このプラズマ密度は、プラズマ内部の電子密度にほぼ等しい。
そして、このプラズマ発生時におけるプラズマ温度は、およそ1000K以上2500K以下の範囲内である。また、このプラズマにおける電子温度は、ガスの温度に比べて大きい。しかも、電子の密度が1×1014cm-3以上1×1017cm-3以下の範囲内の程度であるにもかかわらず、ガスの温度はおよそ1000K以上2500K以下の範囲内である。このプラズマの温度は、プラズマの発生しているプラズマ発生領域Pでの温度である。したがって、プラズマの条件や、ガス噴出口から水面までの距離を異なる条件とすることにより、液面の位置でのプラズマ温度を室温程度とすることができる。
また、三重項酸素原子の密度(ラジカル密度)は、2×1014cm-3以上1.6×1015cm-3以下の範囲内である。アルゴンガスに対して混入する酸素ガスの量を調整することにより、この三重項酸素原子の密度を調整することができる。
2−2.第3のプラズマ発生装置
図7は、プラズマ発生装置P30がプラズマを発生させている様子を模式的に示す図である。プラズマ発生装置P30により発生されるプラズマは、非平衡大気圧プラズマである。
図7に示すように、ガス供給部140から供給されるプラズマガスは、第1電極110から矢印K1の向きに放出される。そして、第1電極110と第2電極210との間に高周波の電圧を印加すると、第1電極110と第2電極210との間にプラズマ発生領域PG1が形成される。図7のプラズマ発生領域PG1は、概念的に描かれている。
第1の電位付与部120および第2の電位付与部220が、第1電極110と第2電極210との間に電圧を印加する電圧印加時には、第2電極210は、液体の内部に配置されている。このように、第1電極110と第2電極210との間には、容器250に収容されている液体と大気とがある。そして、第1電極と第2電極とを結ぶ線が、液体の液面LL1と交差している。
そのため、液体の液面LL1と第1電極110との間にプラズマが発生する。このとき、液体の液面LL1は、第1電極110から矢印K1の向きに放出されるプラズマガスの風圧を受けて、液体の側に向かって凹んでいる。そして、液体の内部では溶液が部分的に電気分解し、気化する。その気化したガスの内部でもプラズマが発生する。また、プラズマ発生領域PG1は、液体の液面LL1に接触している。
以上により、大気もしくは水に由来するラジカルが発生する。そして、溶液にラジカルが照射されることとなる。これにより、ラジカルは、水分子もしくは溶液中の溶質と反応する。
3.プラズマ活性化飼料の製造方法
3−1.飼料浸漬工程(第1の飼料水溶液準備工程)
第1の飼料を準備する。第1の飼料は、粗蛋白質と、粗脂肪と、粗灰分と、を含有する。第1の飼料は、乾物換算値として0%以上100%以下の粗蛋白質と、0%以上100%以下の粗脂質と、0%以上100%以下の粗灰分と、を含有する。望ましくは、第1の飼料は、乾物換算値として10%以上90%以下の粗蛋白質と、1%以上50%以下の粗脂質と、1%以上50%以下の粗灰分と、を含有する。実際には、第1の飼料は、魚粉と魚油と澱粉とを含む。また、第1の飼料は、粗蛋白質と粗脂質と粗灰分の他に、粗繊維と、カルシウムと、りんと、動物性飼料と、を含んでもよい。このように第1の飼料は、養魚用配合飼料であってもよい。
図8に示すように、第1の飼料を第1の水溶液に浸漬させることにより第1の飼料水溶液を製造する。ここで、第1の水溶液は生理食塩水である。第1の飼料は、第1の水溶液に溶解する。このように静置することにより、図9に示すように、第1の飼料が溶けている状態にある第1の飼料水溶液が得られる。
3−2.プラズマ照射工程(第2の飼料水溶液製造工程)
次に、図10に示すように、プラズマ活性化飼料製造装置PMによりプラズマ発生領域に発生させた大気圧プラズマを第1の飼料水溶液に照射する。プラズマの照射により第1の飼料水溶液の成分が局所的に変性するおそれがある。そのため、第1の飼料水溶液に大気圧プラズマを照射している期間内に、第1の飼料水溶液を撹拌する。第1の飼料水溶液の全体にプラズマ生成物を供給するためである。また、プラズマの照射により第1の飼料水溶液の温度がある程度上昇する。そのため、第1の飼料水溶液に大気圧プラズマを照射している期間内に、第1の飼料水溶液を冷却する。第1の飼料水溶液に含まれている蛋白質等が熱により変性することを抑制するためである。これにより、第2の飼料水溶液が製造される。第2の飼料水溶液は、プラズマ活性化飼料水溶液(Plasma Activated Dietary Solution:PADs)である。
プラズマを照射する際における液面とプラズマ噴出口との間の距離は、例えば、3mmである。また、この距離は、例えば、0.1cm以上3cm以下の範囲内で変えてもよい。プラズマ発生領域におけるプラズマ密度は、1×1014cm-3以上1×1017cm-3以下の範囲内である。そして、このプラズマにおけるプラズマ温度は、およそ1000K以上2500K以下の範囲内である。ただし、このプラズマ温度は、液面では、室温程度(300K程度)まで下げることもできる。これらのプラズマ条件を表1に示す。これらの条件は、あくまで一例である。
[表1]
条件 数値範囲
液面−噴出口距離 0.1cm以上 3cm以下
プラズマ密度 1×1014cm-3以上 1×1017cm-3以下
プラズマ温度 1000K以上 2500K以下
第1の飼料水溶液に含まれる第1の飼料は、プラズマから供給されるプラズマ生成物と反応する。プラズマ生成物は、大気中の窒素原子および酸素原子等に由来するラジカルと、窒素および酸素に由来する分子と、光等を含む。第1の飼料水溶液に含まれる第1の飼料の成分は、100種類以上に及ぶ。これらの成分が、上記のラジカルや分子等と反応する。このような反応が生じるため、第2の飼料水溶液の成分は、第1の飼料水溶液の成分とは若干異なっている。前述した第1の飼料の成分(原料となる組成物)の数が多いため、その変化後の成分(効果を奏する組成物)を特定することは、決して容易ではない。
大気圧プラズマを第1の飼料水溶液に照射する照射時間は、例えば、30秒以上1800秒以下である。そのため、プラズマ密度が2×1016cm-3であり、第1の飼料水溶液の体積が8mlであるとすると、単位体積あたりに照射するプラズマ照射量は、7.5×1016s・cm-3ml-1以上4.5×1018s・cm-3ml-1以下である。
3−3.混合工程(固形飼料製造工程)
次に、図11に示すように、プラズマを照射された第2の飼料水溶液と第2の飼料とを混合する。第2の飼料は、固形の配合飼料である。第2の飼料は、粗蛋白質と、粗脂肪と、粗灰分と、を含有する。また、第2の飼料は、粗繊維と、カルシウムと、りんと、動物性飼料と、を含有するとよい。第2の飼料の成分比は、第1の飼料の成分比と同じである。つまり、第2の飼料は、第1の飼料と同じ種類のものである。ここで、第2の飼料の重量と、第2の飼料水溶液に含まれていた第1の飼料の重量とは、同じである。この状態で静置することにより、図12に示すように、第2の飼料は、第2の飼料水溶液の水分を吸収するとともに固化する。これにより、魚類に餌として与えることできる第3の飼料(固形飼料)が得られる。第3の飼料は、プラズマ活性化飼料(PAD)である。プラズマ活性化飼料(PAD)は、プラズマ活性化飼料水溶液(PADs)の成分を含有する。
4.プラズマ活性化飼料を用いた魚類の生産方法(魚類の飼料利用効率向上方法)
4−1.飼料浸漬工程(第1の飼料水溶液準備工程)
前述したように、飼料浸漬工程では、第1の飼料を第1の水溶液に浸漬させて第1の飼料水溶液を製造する。
4−2.プラズマ照射工程(第2の飼料水溶液製造工程)
次に、前述したようにプラズマ照射工程を実施する。第1の飼料水溶液に大気圧プラズマを照射して第2の飼料水溶液を製造する。第2の飼料水溶液は、プラズマ活性化飼料水溶液(PADs)である。
4−3.混合工程(固形飼料製造工程)
次に、第2の飼料と第2の飼料水溶液とを混合して第3の飼料を製造する。第3の飼料は、固形飼料である。また、第3の飼料は、プラズマ活性化飼料水溶液(PADs)の成分を含有する。
4−4.魚類育成工程
次に、魚類育成工程を実施する。図13に示すように、プラズマ活性化飼料である第3の飼料を魚類に供給する。魚類は、この第3の飼料を食べて成長する。
5.プラズマ活性化飼料の効果
本実施形態のプラズマ活性化飼料は、養魚用配合飼料を溶かした飼料水溶液にプラズマを照射したものである。このプラズマ活性化飼料は、魚類の成長を促進する成長促進剤である。つまり、生育期間が同じであれば、このプラズマ活性化飼料を与えた魚類は、通常の配合飼料を与えた魚類よりも大きい。
一般に、成長促進剤には2つの種類がある。第1の種類の成長促進剤は、餌が肉に変換される効率(利用効率)を向上させる利用効率向上剤である。第2の種類の成長促進剤は、餌の嗜好性を高めることにより魚類がより多くの餌を摂取することを促進する。既存の成長促進剤の多くは、餌の嗜好性を高める第2の種類の成長促進剤である。本実施形態の成長促進剤は、餌の利用効率を高める第1の種類の成長促進剤である。つまり、本実施形態の成長促進剤(プラズマ活性化飼料)は、餌が肉に変換される利用効率を高めるという稀な性質を備えている。
前述のように、本実施形態の成長促進剤は、餌が肉に変換される利用効率を高めるものである。したがって、魚類の糞の量が相対的に減少すると考えられる。このため、養殖に用いる水が汚染されることを抑制することができる。海面養殖の場合には、この魚類の糞の抑制効果は、自家環境汚染の防止効果を奏する。陸上養殖の場合には、この魚類の糞の抑制効果は、水の浄化コストを削減する効果を奏する。
6.変形例
6−1.第1の飼料水溶液準備工程
本実施形態では、第1の飼料を第1の水溶液に浸漬させることにより第1の飼料水溶液を製造する。第1の飼料水溶液が第1の飼料の成分を含有していれば、プラズマ活性化飼料を製造することができる。そのため、第1の飼料を第1の水溶液に浸漬させることなく、第1の飼料を含む第1の飼料水溶液を準備してもよい。
6−2.固形飼料製造工程
本実施形態では、第2の飼料と第2の飼料水溶液とを混合することにより固形の第3の飼料を製造する。第2の飼料水溶液(プラズマ活性化飼料水溶液(PADs))を固形飼料にすることができれば、その他の方法であってもよい。第2の飼料水溶液がプラズマ活性化飼料水溶液(PADs)であるためである。そのため、生体に悪影響を及ぼさない固化材料を用いて第2の飼料水溶液を固化してもよい。例えば、カルボキシメチルセルロースを第2の飼料水溶液に添加した後にその水溶液を乾燥させればよい。また、その他の造粒方法を用いてもよい。
6−3.2種類の成長促進剤の使用
餌が肉に変換される利用効率を高める本実施形態のプラズマ活性化飼料(第1の種類の成長促進剤)と、餌の嗜好性を高めることにより魚類がより多くの餌を摂取することを促進する成長促進剤(第2の種類の成長促進剤)と、の両方を用いて魚類を成長させてもよい。
6−4.冷凍工程
また、第2の飼料水溶液(プラズマ活性化飼料水溶液(PADs))を保存するために冷凍工程を実施してもよい。冷凍工程は、あくまで第2の飼料水溶液を保存するためのものである。したがって、この冷凍工程については実施しなくともよい。また、第2の飼料水溶液の代わりに固形飼料であるプラズマ活性化飼料(PAD)を冷凍してもよい。
冷凍工程は、プラズマ照射工程の後であって混合工程の前に実施する。冷凍工程では、第2の飼料水溶液を−196℃以上0℃以下の範囲内で冷凍する。具体的には、冷凍庫に保存する。冷凍庫として例えば、生物実験用冷蔵庫(例えば、日本フリーザー株式会社製のバイオフリーザーGS−5203KHC)を用いることができる。
第2の飼料水溶液の保存温度は、例えば、−196℃以上0℃以下の範囲内である。好ましくは、−196℃以上−10°以下である。より好ましくは、−150℃以上−20℃以下である。さらに好ましくは、−100℃以上―30℃以下である。この冷凍工程を実施することにより、第2の飼料水溶液を保存することができる。そのため、混合工程の前に冷凍状態の第2の飼料水溶液を解凍すればよい。
6−5.増粘剤添加工程
冷凍工程の前に、第2の飼料水溶液に増粘剤を添加してもよい。増粘剤として例えば、カルボキシメチルセルロースが挙げられる。
6−6.飼料の種類
第1の飼料と第2の飼料とは異なる種類であってもよい。また、第1の飼料および第2の飼料は、養魚用の配合飼料であればよい。第1の飼料および第2の飼料は、前述した成分を必ずしも含有していなくともよい。
6−7.第1の水溶液
第1の水溶液は、生理食塩水である。しかし、生理食塩水以外の水または水溶液であってもよい。ただし、養魚用配合飼料が容易に溶解するものであるとよい。
6−8.組み合わせ
上記の変形例を自由に組み合わせてもよい。
7.本実施形態のまとめ
以上詳細に説明したように、本実施形態の魚類の生産方法は、第1の飼料を含有する第1の飼料水溶液を準備する工程と、第1の飼料水溶液に大気圧プラズマを照射して第2の飼料水溶液を製造する工程と、第2の飼料水溶液の成分を含有する固形飼料を製造する工程と、固形飼料を魚類に供給する工程と、を有する。この第2の飼料水溶液は、魚類の成長を促進させる成長促進剤である。
1.実験方法
1−1.魚類
本実験において育成する魚類はチョウザメの稚魚である。チョウザメを第1グループ(実施例)と第2グループ(比較例)とに分けて飼育した。第1グループのチョウザメの尾数は5尾である。第2グループのチョウザメの尾数は5尾である。
1−2.飼育環境
第1グループと第2グループとで異なる点は与えるエサのみである。それ以外の飼育環境は、第1グループと第2グループとで共通である。飼育槽の水量は160Lである。濾過槽の水量は65Lである。そのため、チョウザメを飼育するために用いた水量は225Lである。なお、飼育槽の大きさは900mm×450mm×450mmである。
1−3.プラズマ活性化飼料の製造
本実験で用いた配合飼料は、日清丸紅飼料株式会社製のオトヒメEP2である。この飼料が対応する魚種はまだい等である。飼料の形態は、エクストルーダーにより処理されたペレットである(EP沈降)。飼料の粒径は2.3mmである。オトヒメEP2の原材料は、動物質性飼料と、穀類と、その他の成分である。魚粉、オキアミミール等の動物質性飼料が74%である。小麦粉、馬鈴薯澱粉等の穀類が16%である。精製魚油等のその他の成分が10%である。上記の原材料を元に製造されたオトヒメEP2は、粗蛋白質と、粗脂肪と、粗繊維と、粗灰分と、カルシウムと、りんと、を含有する。粗蛋白質の含有量は48%である。粗脂肪の含有量は12%である。粗繊維の含有量は2%である。粗灰分の含有量は17%である。カルシウムの含有量は2.2%である。りんの含有量は1.7%である。この飼料の組成は、標準的なものである。他のメーカーの飼料における原材料および組成は、オトヒメEP2における原材料および組成とほとんど変わらない。
実施形態の第1の飼料および第2の飼料としてこのオトヒメEP2を用いた。また、実施形態の第1の水溶液としてD−PBS(−)を用いた。
まず、500mlビーカーに300mlのD−PBS(−)を供給した。そして、500mlビーカーのD−PBS(−)にオトヒメEP2を30gだけ浸漬させた。そして、オトヒメEP2を浸漬させたD−PBS(−)を4℃で3時間静置した。オトヒメEP2に含まれる成分をD−PBS(−)に溶出させるためである。その後、浸漬液上清を分取した。
次に、8mlの浸漬液上清をシャーレに入れた。そして、プラズマ発生装置P20を用いて浸漬液上清に大気圧プラズマを照射した。プラズマの照射時間は8分であった。プラズマガスの種類はアルゴンガスであった。プラズマ生成領域と浸漬液上清との間の距離は2mmであった。プラズマ発生装置P20におけるプラズマ密度は、2×1016cm-3であった。プラズマを照射するにあたって、シャーレの下に−30℃に冷却したアルミ板を配置し、浸漬液上清を冷却した。また、プラズマを照射している間、浸漬液上清を撹拌した。このようにして、プラズマ活性化飼料水溶液(PADs)を製造した。
次に、プラズマ活性化飼料水溶液(PADs)にカルボキシメチルセルロース(CMC)を添加してプラズマ活性化飼料水溶液(PADs)に粘性を付与した。そして、プラズマ活性化飼料水溶液(PADs)を冷凍用容器に入れて−80℃で保存した。
そして、冷凍したプラズマ活性化飼料水溶液(PADs)を適宜解凍した。そして、オトヒメEP2を10gに対してプラズマ活性化飼料水溶液(PADs)を10gだけ加えた。そして、オトヒメEP2がプラズマ活性化飼料水溶液(PADs)を吸収しきるまで静置した。これにより、固形状態の第1のエサが製造された。第1のエサは、第1グループのチョウザメに与えるエサである。
なお、第2のエサは、上記のうちプラズマを照射する工程のみを省略して製造されたものである。第2のエサは、第2グループのチョウザメに与えるエサである。
1−4.給餌
そして、第1グループに第1のエサを与えた。第2グループに第2のエサを与えた。飼育開始から28日目までの給餌量(合計)は46.5g程度であった。29日目から56日目までの給餌量(合計)は87g程度であった。そのため、1尾あたりの給餌量(合計)は、これらの数値の1/5である。
[表2]
第1グループ 第2グループ
(プラズマ有り) (プラズマ無し)
給餌量
0−28日目 46.5g 46.7g
29−56日目 86.5g 87.3g
2.実験結果
表3は、チョウザメの平均体重を示す表である。表3に示すように、第1グループのチョウザメは、第2のグループのチョウザメに比べて、大きく成長している。なお、56日経過後においても、第1グループおよび第2グループのチョウザメは全て生存している。
[表3]
第1グループ 第2グループ
(プラズマ有り) (プラズマ無し)
平均体重
0日目 18.7g 18.4g
28日目 34.8g 30.4g
56日目 62.9g 56.1g
表4は、チョウザメの増重率を示す表である。増重率は、(終了時体重/開始時体重)−100により得られる。表4に示すように、0日目から28日目においては、第1グループの増重率が第2グループの増重率より高い。29日目から56日目においては、第2グループの増重率が第1グループの増重率よりもやや高い。0日目から56日目においては、第1グループの増重率が第2グループの増重率よりも十分に高い。0日目から56日目においては、第1グループの増重率が第2グループの増重率よりも15%程度高い。
[表4]
第1グループ 第2グループ
(プラズマ有り) (プラズマ無し)
増重率
0−28日目 86.6% 65.0%
29−56日目 80.7% 84.9%
0−56日目 237.1% 205.1%
表5は、チョウザメの飼料効率を示す表である。飼料効率は、(ある期間の1尾の体重の増加量/ある期間に1尾に与えた飼料の総量)により得られる。表5に示すように、いずれの期間でみても、第1グループの飼料効率が第2グループの飼料効率よりも高い。0日目から56日目においては、第1グループの飼料効率が第2グループの飼料効率よりも18%程度高い。
[表5]
第1グループ 第2グループ
(プラズマ有り) (プラズマ無し)
飼料効率
0−28日目 173.7% 128.2%
29−56日目 162.5% 147.6%
0−56日目 166.4% 140.9%
表6は、チョウザメの増肉係数を示す表である。増肉係数は、(ある期間に1尾に与えた飼料の総量/ある期間の1尾の体重の増加量)により得られる。表6に示すように、いずれの期間でみても、第1グループの増肉係数が第2グループの増肉係数よりも低い。
[表6]
第1グループ 第2グループ
(プラズマ有り) (プラズマ無し)
増肉係数
0−28日目 0.58 0.78
29−56日目 0.62 0.68
0−56日目 0.60 0.71
表7は、チョウザメの肥満度および比肝重および比腸長を示す表である。表7に示すように、肥満度および比肝重および比腸長について、誤差の範囲内で第1グループと第2グループとの間に差異はない。例えば、飼料の消化が悪いと、腸の長さが長くなる。しかし、そのような傾向はみられなかった。つまり、プラズマ活性化飼料(PAD)をチョウザメに与えることによるデメリットは特にみられなかった。
[表7]
第1グループ 第2グループ
(プラズマ有り) (プラズマ無し)
肥満度 42.2±8.4 41.2±8.2
比肝重(%) 4.8±0.2 5.2±0.7
比腸長(%) 75.0±1.5 79.4±5.0
3.実験のまとめ
以上説明したように、本実験では、プラズマ活性化飼料(PAD)を与えたチョウザメは、プラズマ活性化飼料(PAD)を与えなかったチョウザメよりも良く成長した。市販の飼料は、十分に最適化されたものである。そのため、本実験の結果は、非常に好ましい結果であると評価できる。また、プラズマ活性化飼料(PAD)をチョウザメに与えることによるデメリットはみあたらなかった。
本実験では、チョウザメを飼育した。しかし、プラズマ活性化飼料(PAD)をタイ、ヒラメ等のその他の魚類に対して用いてもよい。
A.付記
第1の態様における魚類の生産方法は、第1の飼料を含有する第1の飼料水溶液を準備する工程と、第1の飼料水溶液に大気圧プラズマを照射して第2の飼料水溶液を製造する工程と、第2の飼料水溶液の成分を含有する固形飼料を製造する工程と、固形飼料を魚類に供給する工程と、を有する。
第2の態様における魚類の生産方法においては、第1の飼料水溶液を準備する工程では、第1の飼料を第1の水溶液に浸漬させることにより第1の飼料水溶液を製造する。
第3の態様における魚類の生産方法においては、固形飼料を製造する工程では、第2の飼料と第2の飼料水溶液とを混合することにより固形飼料を製造する。
第4の態様における魚類の生産方法においては、第1の飼料は、粗蛋白質と粗脂質と粗灰分との少なくとも一つを含有する。
第5の態様における魚類の生産方法においては、第1の飼料は、魚粉と魚油と澱粉との少なくとも1つを含む。
第6の態様における魚類の生産方法は、第2の飼料水溶液を冷凍する冷凍工程を有する。冷凍工程では、第2の飼料水溶液を−196℃以上0℃以下の範囲内で冷凍する。
第7の態様における飼料利用効率向上方法は、第1の飼料を含有する第1の飼料水溶液を準備する工程と、第1の飼料水溶液に大気圧プラズマを照射して第2の飼料水溶液を製造する工程と、第2の飼料水溶液の成分を含有する固形飼料を製造する工程と、固形飼料を魚類に供給する工程と、を有する。
第8の態様における魚類のプラズマ活性化飼料は、第1の飼料を含有する第1の飼料水溶液を準備する工程と、第1の飼料水溶液に大気圧プラズマを照射して第2の飼料水溶液を製造する工程と、第2の飼料水溶液の成分を含有する固形飼料を製造する工程と、を経ることにより得られるものである。
第9の態様における魚類のプラズマ活性化飼料においては、第1の飼料は、粗蛋白質と粗脂質と粗灰分との少なくとも一つを含有する。
第10の態様における魚類のプラズマ活性化飼料においては、第1の飼料は、魚粉と魚油と澱粉との少なくとも1つを含む。
第11の態様における魚類のプラズマ活性化飼料の製造方法は、第1の飼料を含有する第1の飼料水溶液を準備する工程と、第1の飼料水溶液に大気圧プラズマを照射して第2の飼料水溶液を製造する工程と、を有する。
第12の態様における魚類のプラズマ活性化飼料の製造方法は、第2の飼料水溶液の成分を含有する固形飼料を製造する工程を有する。
P1…プラズマ照射装置
M1…ロボットアーム
PM…プラズマ活性化飼料製造装置
P10、P20、P30…プラズマ発生装置
10、11…筐体部
10i、11i…ガス導入口
10o、11o…ガス噴出口
2a、2b…電極
P…プラズマ領域
H…凹部(ホロー)
110…第1電極
120…第1の電位付与部
130…第1のリード線
140…ガス供給部
150…ガス管結合コネクター
160…ガス管
170…第1電極保護部材
210…第2電極
220…第2の電位付与部
230…第2のリード線
240…第2電極保護部材
250…容器
260…封止部材
270…架台

Claims (9)

  1. 第1の飼料を含有する第1の飼料水溶液を準備する工程と、
    前記第1の飼料水溶液に大気圧プラズマを照射して第2の飼料水溶液を製造する工程と、
    前記第2の飼料水溶液の成分を含有する固形飼料を製造する工程と、
    前記固形飼料を魚類に供給する工程と、
    を有すること
    を特徴とする魚類の生産方法。
  2. 請求項1に記載の魚類の生産方法において、
    前記第1の飼料水溶液を準備する工程では、
    前記第1の飼料を第1の水溶液に浸漬させることにより前記第1の飼料水溶液を製造すること
    を特徴とする魚類の生産方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の魚類の生産方法において、
    前記固形飼料を製造する工程では、
    第2の飼料と前記第2の飼料水溶液とを混合することにより前記固形飼料を製造すること
    を特徴とする魚類の生産方法。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の魚類の生産方法において、
    前記第1の飼料は、
    粗蛋白質と粗脂質と粗灰分との少なくとも一つを含有すること
    を特徴とする魚類の生産方法。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の魚類の生産方法において、
    前記第1の飼料は、
    魚粉と魚油と澱粉との少なくとも1つを含むこと
    を特徴とする魚類の生産方法。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の魚類の生産方法において、
    前記第2の飼料水溶液を冷凍する冷凍工程を有し、
    前記冷凍工程では、
    前記第2の飼料水溶液を−196℃以上0℃以下の範囲内で冷凍すること
    を特徴とする魚類の生産方法。
  7. 第1の飼料を含有する第1の飼料水溶液を準備する工程と、
    前記第1の飼料水溶液に大気圧プラズマを照射して第2の飼料水溶液を製造する工程と、
    前記第2の飼料水溶液の成分を含有する固形飼料を製造する工程と、
    前記固形飼料を魚類に供給する工程と、
    を有すること
    を特徴とする魚類の飼料利用効率向上方法。
  8. 第1の飼料を含有する第1の飼料水溶液を準備する工程と、
    前記第1の飼料水溶液に大気圧プラズマを照射して第2の飼料水溶液を製造する工程と、
    を有すること
    を特徴とする魚類のプラズマ活性化飼料の製造方法。
  9. 請求項に記載の魚類のプラズマ活性化飼料の製造方法において、
    前記第2の飼料水溶液の成分を含有する固形飼料を製造する工程を有すること
    を特徴とする魚類のプラズマ活性化飼料の製造方法。
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