次に、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態である部品実装システム10の構成の概略を示す構成図である。部品実装システム10は、ネットワークとしてのLAN12に接続され1以上の電子部品(部品P)を基板S上に実装する複数の実装処理装置20と(部品P及び基板Sは後述する図4参照)、LAN12に接続され部品Pの実装状態を検査する1以上の実装検査装置40と、LAN12に接続され各実装処理装置20や各実装検査装置40での処理に関する情報を管理する管理コンピュータ80とを備えている。部品実装システム10は、様々な部品Pを収容したリールなどを装着した複数の実装処理装置20が接続されており、基板Sを搬送すると共に部品Pを実装する実装ラインとして構成されている。図1において、部品実装システム10は、1台の実装処理装置20と1台の検査装置50とを備えているが、更なる実装処理装置20や検査装置50を備えるものとしてもよい。なお、本実施形態において、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、図1に示した通りとする。また、「実装」とは、部品Pを基板S上に配置、装着、挿入、接合、接着することなどを含む。
実装処理装置20は、各種制御を実行する実装制御ユニット21と、基板Sの搬送及び固定を実行する基板処理ユニット30と、部品Pを基板Sに配置する処理を実行する実装処理ユニット32と、を備えている。また、実装処理装置20は、リールやトレイに収容された部品Pを所定の取出位置へ供給する供給ユニット37と、吸着した部品Pを撮影するパーツカメラ38と、LAN12に接続された機器と通信を行う入出力インタフェース(I/F)39と、を備えている。
基板処理ユニット30は、部品Pを配置する所定の実装位置まで基板Sを搬送する基板搬送部と、搬送された基板Sを実装位置で固定する基板保持部とを備えている。基板搬送部は、例えば、ベルトコンベアにより基板Sを搬送する装置として構成されており、1対のサイドフレームの各々に設けられたガイド部材と、1対のサイドフレームの各々に設けられたコンベヤベルトと、コンベヤベルトを周回駆動させるベルト周回装置とを備えている。基板保持部は、所定の実装位置ごとに配設されており、例えば、基板Sを下方から支持する支持装置と、基板Sの縁部をクランプするクランプ装置とを備えている。
実装処理ユニット32は、実装ヘッド33と、実装ヘッド33にノズル保持体を介して装着された吸着ノズル34と、実装ヘッド33をXY方向に移動させるヘッド移動部35と、を備えている。実装ヘッド33は、図示しないZ軸モータを内蔵し、Z軸方向の図示しないボールネジに取り付けられた吸着ノズル34の高さをZ軸モータによって調整する。なお、XY方向は、水平面内で直交する2軸の方向をいい、Z軸は、垂直方向の軸をいう。吸着ノズル34は、圧力を利用して、ノズル先端に部品Pを吸着したり、ノズル先端に吸着している部品Pを離したりするものである。この吸着ノズル34には、図示しない配管が接続されており、ノズル先端に部品Pを吸着する際には配管を介してノズル先端に負圧を供給し、ノズル先端に吸着している部品Pを離す際には配管を介してノズル先端に正圧を供給する。なお、吸着ノズル34は、部品Pの大きさや形状に合ったものに交換することができる。ヘッド移動部35は、図示しないX方向スライダによってX方向に移動可能であると共に、図示しないY方向スライダによってY方向に移動可能となっている。ヘッド移動部35がXY方向に移動するのに伴って、実装ヘッド33もXY方向に移動する。なお、各スライダは、それぞれ駆動モータにより駆動される。
供給ユニット37は、リールから部品Pを供給するリール供給部を備えている。リール供給部は、リールを装着する装着部と、巻回されたリールからテープを吸着位置まで送り出すテープフィーダー部と、部品Pが取り出されたテープを切断除去する切断部とを備えている。このリール供給部により、リールに収容された部品Pが、吸着ノズル34により吸着される取出位置まで送り出される。なお、実装処理装置20には、リール供給部のほか、複数の部品Pを載置したトレイを複数収容したトレイ供給部に交換することができる。このトレイ供給部は、トレイを複数収容したマガジンカセットを装着する装着部と、装着部に装着されたマガジンカセットから所望のトレイを送り出すトレイ移動部とを備えている。
実装制御ユニット21は、CPU22を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶するROM23、作業領域として用いられるRAM24、各種データを記憶するHDD25などを備えており、これらはバスを介して接続されている。実装制御ユニット21は、入出力インタフェース39を介して、基板処理ユニット30,実装処理ユニット32,供給ユニット37,管理コンピュータ80と信号や情報の入出力を行う。また、実装制御ユニット21は、入出力インタフェース39を介して、パーツカメラ38へ撮影信号を出力したり、パーツカメラ38からの画像信号を入力したりする。こうして構成された実装制御ユニット21は、各部品Pの実装に関する条件を含む実装条件情報に基づいて、吸着ノズル34に各部品Pを吸着させ、ヘッド移動部35により実装ヘッド33を移動させて基板S上に各部品Pを実装する処理を実行する。実装条件情報は、管理コンピュータ80で管理されている。
実装検査装置40は、各種制御を実行する検査制御ユニット41と、部品Pが実装された基板Sの搬送及び固定を実行する基板処理ユニット50と、基板Sの検査時に基板Sを撮影する検査処理ユニット52と、表示画面が表示され作業者による各種入力操作が可能な操作パネル56と、LAN12に接続された機器と通信を行う入出力インタフェース(I/F)59と、を備えている。
基板処理ユニット50は、所定の検査位置まで基板Sを搬送する基板搬送部と、搬送された基板を検査位置で固定する基板保持部とを備えている。なお、基板処理ユニット50の構成は、基板処理ユニット30と同様であるためここではその説明を省略する。
検査処理ユニット52は、基板Sを撮影して基板S上の基板ID(基板Sの品種を表すID)や部品P等の画像を含む撮影画像を取得する基板カメラ53と、基板カメラ53をXY方向に移動させて基板Sを撮影可能な位置まで移動させるカメラ移動部54と、を備えている。基板カメラ53は、基板Sに光を照射する照明部と、受光により電荷を発生させ発生した電荷を出力する撮影素子と、出力された電荷に基づいて撮影画像を含む撮影画像データを生成する画像処理部とを備えている。カメラ移動部54は、図示しないX方向スライダによってX方向に移動可能であると共に、図示しないY方向スライダによってY方向に移動可能となっている。カメラ移動部54がXY方向に移動するのに伴って、基板カメラ53もXY方向に移動する。なお、各スライダは、それぞれ駆動モータにより駆動される。
操作パネル56は、画面を表示する表示部57と、作業者からの入力操作を受け付ける操作部58とを備えている。表示部57は、液晶ディスプレイとして構成されており、実装検査装置40の作動状態や設定状態を画面表示する。操作部58は、カーソルを上下左右に移動させるカーソルキー、入力をキャンセルするキャンセルキー,選択内容を決定する決定キーなどを備えており、作業者の指示をキー入力できるように構成されている。
検査制御ユニット41は、CPU42を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶するROM43、作業領域として用いられるRAM44、各種データを記憶するHDD45などを備えており、これらはバスを介して接続されている。検査制御ユニット41は、入出力インタフェース59を介して、基板処理ユニット50,検査処理ユニット52へ制御信号を出力したり、操作パネル56に表示データを出力したり、管理コンピュータ80へ情報を送信したりする。また、検査制御ユニット41は、入出力インタフェース59を介して、基板処理ユニット50からの信号を入力したり、基板カメラ53が撮影した撮影画像データを取得したり、操作パネル56に入力されたデータなどを入力したり、管理コンピュータ80から情報を受信したりする。
管理コンピュータ80は、制御装置81を備え、複数の実装処理装置20や複数の実装検査装置40の情報を管理するコンピュータである。この制御装置81は、CPU82を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶するROM83、作業領域として用いられるRAM84、各種データを記憶するHDD85などを備えており、これらはバスを介して接続されている。また、管理コンピュータ80は、作業者が各種指令を入力するキーボード及びマウス等の入力装置87と、各種情報を表示するディスプレイ88と、外部装置と電気信号のやり取りを行うための入出力インタフェース89と、を備えている。管理コンピュータ80のHDD85には、実装処理装置20での実装や実装検査装置40での検査に用いられる実装条件情報86や、実装検査装置40での検査に用いられる検査条件情報などが記憶されている。図2は、実装条件情報86の説明図である。この実装条件情報86には、例えば、部品Pの実装順序,部品種別,部品サイズ,基板Sにおける配置位置,実装時の基板S上の搬送経路などの情報が含まれており、これらの情報が実装を行う基板Sの基板IDに対応付けられている。なお、部品サイズの情報は、例えば部品Pの縦及び横の長さ(実装時のXY方向長さ)を表す情報である。
また、配置位置の情報は、例えば部品Pの中心のXY座標を表す情報である。搬送経路の情報は、例えば実装ヘッド33が部品Pを配置位置まで移動させるときの、基板S上における部品Pの搬送経路上の複数の点のXY座標を表す情報である。検査条件情報には、図示は省略するが、例えば、検査処理ユニット52の撮像条件や撮影領域(欠品検査領域)、基板カメラ53を移動させる移動条件などの検査条件が基板Sの基板IDに対応付けられている。また、HDD85には、基板Sの実装前の状態を撮影した画像を含む実装前基準画像データや、検査対象の基板Sの実装後の正しい状態を撮影した画像を含む実装後基準画像データが、基板Sの基板IDに対応付けて記憶されている。実装前基準画像データや実装後基準画像データは、例えば基板カメラ53で予め基板Sを撮影して得られた画像のデータである。
次に、こうして構成された本実施形態の実装検査装置40の動作、特に、実装処理装置20により部品Pの実装が完了した基板Sに対して欠品検査及び異物検査を実行する処理について説明する。まず、実装検査装置40が行う欠品検査処理について説明する。図3は、検査制御ユニット41のCPU42により実行される欠品検査処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、実装検査装置40のHDD45に記憶され、実装処理装置20での実装処理が終了した基板Sが実装検査装置40に搬送されると実行される。
このルーチンが開始されると、実装検査装置40のCPU42は、まず、実装条件情報86を管理コンピュータ80から取得し、HDD45に記憶させる(ステップS100)。次に、CPU42は、管理コンピュータ80から検査条件情報を読み出して検査条件(欠品検査領域など)を取得する(ステップS110)。なお、欠品検査領域(撮影領域)の大きさや数は、基板Sの大きさや基板カメラ53の撮影可能な範囲の大きさなどに基づいて予め定められている。図4は、基板Sと欠品検査領域との関係を示す説明図である。図4では、破線枠で囲まれた領域として欠品検査領域を示している。本実施形態では、図示するように、基板Sは左から右に並べられた複数の子基板S1〜S3を有する多面取り基板であるものとした。そして、各子基板S1〜S3を前後方向に3分割(基板Sを9分割)した範囲を1つ1つの欠品検査領域とした。ステップS100では、所定の順序(例えば左後から右前に向かう順序)に従って、この複数の欠品検査領域のうち未検査の1つの欠品検査領域のXY座標などの情報を取得する。
次に、CPU42は、ステップS110で取得した検査条件に基づきカメラ移動部54を制御して、ステップS110で取得した欠品検査領域を撮影可能な位置に基板カメラ53を移動させ、基板カメラ53を制御して基板S上の欠品検査領域を撮影させ、撮影画像を取得する(ステップS120)。次に、CPU42は、欠品検査領域内で実装された部品Pに欠品があるか否かを判定する(ステップS130)。CPU42による欠品の有無の判定は、ステップS120で取得した撮影画像データと、管理コンピュータ80のHDD85に記憶された実装後基準画像データとの比較により行うことができる。なお、実装後基準画像データは、管理コンピュータ80からCPU42が取得する。また、CPU42は、欠品検査領域内のうち部品Pが存在すべき領域を特定し、撮影画像データと実装後基準画像データとのうちその領域の画像について比較を行う。欠品検査領域内に部品Pが複数存在する場合には、各部品Pが存在すべき領域についてそれぞれ比較を行う。部品Pが存在すべき領域は、実装条件情報86から部品Pの配置位置や部品サイズなどの情報を読み出すことでCPU42が特定する。
ステップS130でCPU42が1以上の部品Pの欠品があると判定すると、CPU42は、欠品と判定した部品Pを特定可能な情報を欠品情報としてHDD45に記憶する(ステップS140)。本実施形態では、実装条件情報86に基づいて、欠品と判定した部品Pの実装順序及び実装される基板IDを特定し、これらの情報を欠品情報として記憶するものとした。
ステップS140のあと、又はステップS130でCPU42が欠品がないと判定したあと、CPU42は、欠品検査が完了したか否か、すなわち上述した複数の欠品検査領域の全てについて欠品の有無を検査したか否かを判定する(ステップS150)。そして、未検査の欠品検査領域があるときには、CPU42は、ステップS110以降の処理を実行する。すなわち、CPU42は、次の欠品検査領域の情報などを含む検査情報を読み出し、欠品検査領域の撮影を行って、欠品の有無を検査し、欠品があれば欠品情報を記憶する。ステップS150で欠品検査が完了したとCPU42が判定すると、欠品検査処理ルーチンを終了する。このように、CPU42は、撮影画像データと実装後基準画像データとに基づく画像処理により欠品検査領域の欠品を検査し、これを繰り返すことで基板S上の全ての部品Pについての欠品検査を行う。
次に、実装検査装置40が行う異物検査処理について説明する。図5は、検査制御ユニット41のCPU42により実行される異物検査処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、実装検査装置40のHDD45に記憶され、欠品検査処理により1以上の欠品情報がHDD45に記憶されている基板Sに対して実行される。すなわち、欠品検査処理の結果に基づき、欠品が検出された基板Sに対して異物検査処理が実行される。欠品検査処理で欠品が1つも検出されなかった基板Sに対しては、異物検査処理は行わない。
このルーチンが開始されると、実装検査装置40のCPU42は、まず、欠品検査処理で欠品と判定された部品Pの大きさに関する情報である欠品サイズ情報を取得する(ステップS200)。本実施形態では、CPU42は、欠品検査処理においてHDD45に記憶された実装条件情報86及び欠品情報に基づいて、欠品と判定された部品Pの部品サイズを特定し、これを欠品サイズ情報として取得する。なお、欠品と判定された部品Pが複数ある場合には、CPU42は各部品Pの欠品サイズ情報をそれぞれ取得する。次に、CPU42は、異物を判定するための判定閾値Ethを欠品サイズ情報に基づいて設定する(ステップS210)。本実施形態では、判定閾値Ethは、欠品と判定された部品Pの基板S上に占める面積を画素数に換算した値にマージンを持たせた値(例えば換算値の0.9倍や、換算値から所定値を減算した値など)とした。なお、欠品と判定された部品Pが複数ある場合には、CPU42は複数の部品Pのうち基板S上に占める面積が最も小さい部品Pに基づいて判定閾値Ethを設定する。
次に、CPU42は、基板Sのうち欠品が検出された位置に関する情報である欠品位置情報を取得する(ステップS220)。本実施形態では、CPU42は、欠品検査処理においてHDD45に記憶された実装条件情報86及び欠品情報に基づいて、欠品と判定された部品Pの配置位置を特定し、これを欠品位置情報として取得する。なお、欠品と判定された部品Pが複数ある場合には、CPU42は各部品Pの欠品位置情報をそれぞれ取得する。続いて、CPU42は、取得した欠品位置情報に基づいて、基板S上の欠品位置周辺を含む異物検査領域を設定する(ステップS230)。図6は、欠品位置周辺を含む異物検査領域を設定した様子を示す説明図である。図6では、子基板S2上の部品P1が欠品と判定された場合の異物検査領域を示している。図示するように、CPU42は、部品P1の配置位置(本実施形態では部品P1の中心位置)である欠品位置を中心とした矩形状の領域を異物検査領域に設定する。なお、矩形状の領域のXY方向の大きさは、固定値としてもよいし、例えば部品P1の部品サイズが大きいほど異物検査領域が大きくなるように欠品サイズ情報に基づいて算出する可変値としてもよい。また、異物検査領域の形状は矩形状に限らず例えば円形としてもよい。なお、図6では、部品P1に基づく異物検査領域は部品P1の欠品が検出された子基板S2のみを含んでいるが、部品P1を中心とした矩形状の領域が子基板S2以外の子基板の一部の領域を含む場合は、子基板S2以外のその領域も異物検査領域に含める。また、欠品と判定された部品Pが複数ある場合には、CPU42は各部品Pについて異物検査領域をそれぞれ設定する。すなわちCPU42は複数の異物検査領域を設定する。
続いて、CPU42は、ステップS230で設定した異物検査領域内に判定閾値Eth以上の大きさの異物があるか否かを判定する(ステップS240)。CPU42による異物の有無の判定は、例えば以下のように行う。まず、欠品検査処理ルーチンのステップS120で取得した撮影画像データと、管理コンピュータ80のHDD85に記憶された実装前基準画像データ及び実装後基準画像データとの比較を行って、異物検査領域内で撮影画像と基準画像とが異なるとみなせる1以上の画素を検出し、検出した画素を異物候補画素として特定する。実装前基準画像データ及び実装後基準画像データは、管理コンピュータ80からCPU42が取得する。異物候補画素を特定するにあたり、CPU42は、異物検査領域内のうち欠品が検出されている領域については実装前基準画像データに基づいて比較を行い、それ以外の領域については実装後基準画像データに基づいて比較を行う。なお、CPU42は異物検査領域内のうち欠品が検出されている領域については比較を行わないものとしてもよい。この場合、実装前基準画像データを取得する必要はない。異物検査領域内の異物候補画素を特定すると、CPU42は、X方向及びY方向に連続している異物候補画素を1つの異物候補であるとみなして、異物検査領域内に判定閾値Eth以上の数の異物候補画素を有する異物候補があるか否かを判定する。そして、CPU42は、判定閾値Eth以上の数の異物候補画素を有する異物候補を異物として検出する。なお、CPU42は、判定閾値Eth以上の数の異物候補画素を有する異物候補が複数ある場合には、複数の異物をそれぞれ検出する。また、異物検査領域の端部(外周)の画素を含む異物候補が存在する場合には、CPU42は、異物検査領域の周辺の画素についても比較を行ってもよい。こうすることで、異物候補が異物検査領域の内外にまたがっている場合でも、その異物候補の大きさ(異物候補画素数)を適切に算出して、異物候補が異物であるか否かをより適切に判定できる。また、CPU42は、複数の異物検査領域が設定されているときには、各異物検査領域についてそれぞれ判定閾値Eth以上の大きさの異物があるか否かを判定する。このように、CPU42は、基板Sのうち欠品位置の周辺を異物検査領域とし、この異物検査領域について優先的に異物検査を行う。また、CPU42は、判定閾値Eth未満の異物(異物候補)については無視して異物検査を行う。
ステップS240で1以上の異物があるとCPU42が判定すると、CPU42は、異物を特定可能な情報を異物情報としてHDD45に記憶する(ステップS250)。本実施形態では、CPU42は、検出した異物の基板S上の位置を特定する情報として、異物のXY方向の中心座標を異物情報として記憶する。次に、CPU42は、ステップS240で検出した異物の数が、欠品検査処理で検出された欠品の数以上であるか否かを判定する(ステップS260)。
ステップS240で異物がないとCPU42が判定したあと、又はステップS260で異物数が欠品数未満であるとCPU42が判定したあと、CPU42は、基板Sのうち欠品が検出された部品Pの基板S上の搬送経路に関する情報である欠品搬送情報を取得する(ステップS270)。本実施形態では、CPU42は、欠品検査処理においてHDD45に記憶された実装条件情報86及び欠品情報に基づいて、欠品と判定された部品Pの搬送経路を特定し、これを欠品搬送情報として取得する。なお、欠品と判定された部品Pが複数ある場合には、CPU42は各部品Pの欠品搬送情報をそれぞれ取得する。
次に、CPU42は、取得した欠品搬送情報に基づいて、基板S上の欠品搬送経路を含む異物検査領域を設定する(ステップS280)。図7は、欠品搬送経路を含む異物検査領域を設定した様子を示す説明図である。図7では、図6と同様に子基板S2上の部品P1が欠品と判定された場合の異物検査領域を示している。図示するように、実装時の部品P1の基板S上の搬送経路である欠品搬送経路は、基板Sの前端から右後方に向かう直線と、後方に向かう部品P1までのY方向に沿った直線とを組み合わせた折れ線状の経路である。CPU42は、この欠品搬送経路を含む領域を異物検査領域に設定する。なお、図7では欠品搬送経路を折れ線状としたが、これに限らず一直線状であったり曲線状であったりしてもよい。なお、異物検査領域は、例えば欠品搬送経路を固定値だけXY方向に拡張した領域としてもよいし、部品P1の部品サイズが大きいほど異物検査領域が大きくなるように欠品サイズ情報に基づいて算出する可変値だけXY方向に拡張した領域としてもよい。なお、図7に示すように、CPU42は、基板Sが多面取り基板である場合に、欠品が検出された子基板S2以外の子基板S1についても異物検査領域に含める。また、欠品と判定された部品Pが複数ある場合には、CPU42は各部品Pについて異物検査領域をそれぞれ設定する。すなわちCPU42は複数の異物検査領域を設定する。また、ステップS230で異物検査領域に設定された領域など、ステップS240の判定が行われた領域については、ステップS280で設定する異物検査領域から除外してもよい。
続いて、CPU42は、ステップS280で設定した異物検査領域内に判定閾値Eth以上の大きさの異物があるか否かを判定し(ステップS290)、1以上の異物があると判定すると、異物情報をHDD45に記憶する(ステップS300)。このステップS290,S300の処理は、CPU42がステップS240,S250の処理と同様に行う。このように、CPU42は、基板Sのうち欠品搬送経路を含む領域を異物検査領域とし、この異物検査領域について優先的に異物検査を行う。CPU42がステップS300の処理を行ったあと、CPU42は、ステップS240及びステップS290で検出した異物数(合計数)が、欠品検査処理で検出された欠品数以上であるか否かを判定する(ステップS310)。
ステップS290で異物がないとCPU42が判定したあと、又はステップS310で異物数が欠品数未満であるとCPU42が判定したあと、CPU42は、基板S上で異物検査を行っていない未異物検査領域全体を異物検査領域に設定する(ステップS320)。なお、ステップS280と同様、CPU42は、基板Sが多面取り基板である場合に、欠品が検出された子基板以外の子基板についても異物検査領域に含める。次に、CPU42は、ステップS320で設定した異物検査領域内に判定閾値Eth以上の大きさの異物があるか否かを判定し(ステップS330)、1以上の異物があると判定すると、異物情報をHDD45に記憶する(ステップS340)。このステップS330,S340の処理は、CPU42がステップS240,S250の処理と同様に行う。このように、CPU42は、優先的に異物検査を行った異物検査領域において欠品数以上の異物が検出されなかったときには、基板S上の未異物検査領域全体について異物検査を行う。
ステップS340の処理をCPU42が行ったあと、又はステップS330で異物がないとCPU42が判定したあと、CPU42は、ステップS240,ステップS290及びステップS330で検出した異物数(合計数)が値1以上であるか否かを判定する(ステップS350)。
ステップS260又はステップS310で異物数が欠品数以上であるとCPU42が判定したあと、又はステップS350で異物数が値1以上であるとCPU42が判定したあと、CPU42は、欠品検査処理のステップS140で記憶した欠品情報と、ステップS250,ステップS300及びステップS340のうち1以上で記憶した異物情報とを含む所定の検査結果表示画面を表示部57に表示するよう操作パネル56を制御する(ステップS360)。これにより、欠品及び異物の存在や欠品に関する情報、異物の基板S上の位置情報などが作業者に報知される。
一方、ステップS350で異物数が値0であるとCPU42が判定したあと、CPU42は、欠品検査処理のステップS140で記憶した欠品情報を含む検査結果表示画面を表示部57に表示するよう操作パネル56を制御する(ステップS370)。これにより、欠品の存在や欠品に関する情報などが作業者に報知される。
そして、ステップS360又はステップS370の処理をCPU42が行ったあと、CPU42は、基板Sを製造ラインから外すよう基板処理ユニット50を制御する。作業者は、製造ラインから外れた基板Sについて、適切な処理を行う。例えば、検査結果表示画面に異物の存在や異物の位置が表示されているときには、作業者は、表示された異物の位置情報に基づいて基板S上の異物を除去した上で、実装処理装置20などを用いて欠品が検出された部品Pの再実装などを行い、基板Sを製造ラインに戻す。また、検査結果表示画面に欠品の存在が表示され異物の存在が表示されていないときには、作業者は、実装処理装置20などを用いて欠品が検出された部品Pの再実装などを行い、基板Sを製造ラインに戻す。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の検査制御ユニット41が本発明の欠品検査手段,異物検査手段,報知手段,及び基準画像取得手段に相当する。また、基板カメラ53が撮影画像取得手段に相当する。
以上説明した実装検査装置40によれば、欠品検査の結果に基づいて、実装された部品Pの欠品が検出された基板Sに対して、基板S上の異物検査を行う。こうすることで、欠品となった部品Pが基板S上に存在する場合には、検査制御ユニット41がその部品を異物として検出することができる。そのため、欠品となった部品Pが基板S上に放置されることを抑制でき、欠品の検出された基板Sが不良基板になるのをより抑制できる。なお、欠品となった部品Pが基板S上に存在する場合としては、例えば、部品Pが実装位置への搬送中に基板S上に落下する場合や、基板S状に押圧しすぎることで部品Pが反発して実装位置からずれた位置に移動する場合などが挙げられる。また、実装検査装置40は、欠品検査により欠品が検出されなかった基板Sに対しては異物検査を行わないため、より効率的に基板Sの検査を行うことができる。
また、実装検査装置40は、基板Sのうち欠品が検出された位置に関する情報である欠品位置情報を取得し、基板Sのうち欠品位置情報で特定される欠品位置の周辺に対して優先的に異物検査を行う。欠品となった部品Pは、その部品Pの正しい位置の周辺に存在する可能性が比較的高い。そのため、部品Pの正しい位置の周辺に対して優先的に異物検査を行うことで、欠品となった部品Pをより効率的に検出することができる。
さらに、実装検査装置40は、検出された欠品に係る部品Pを実装する際の基板S上の搬送経路に関する情報である欠品搬送情報を取得し、基板Sのうち欠品搬送情報で特定される領域に対して優先的に異物検査を行う。欠品となった部品Pは、欠品が検出された部品Pの正しい位置までの搬送経路に存在する可能性が比較的高い。そのため、基板Sのうちこの搬送経路を含む領域に対して優先的に異物検査を行うことで、欠品となった部品Pをより効率的に検出することができる。
さらにまた、実装検査装置40は、画像処理に基づいて異物検査を行うものであり、欠品に係る部品Pの大きさに関する情報である欠品サイズ情報を取得し、取得した欠品サイズ情報に基づいて、画像処理に基づいて検出された異物のうち欠品に係る部品Pよりも小さい異物を無視して異物検査を行う。そのため、例えばはんだのずれなど部品Pよりも小さいものを異物として誤検出することをより抑制でき、欠品となった部品Pをより効率的に検出することができる。また、実装検査装置40は、欠品に係る部品Pが複数存在する場合には、欠品に係る部品Pのうち最小の部品Pの欠品サイズ情報に基づいて、画像処理に基づいて検出された異物のうち最小の部品Pよりも小さい異物を無視して異物検査を行う。こうすることで、欠品となった部品Pが複数存在する場合に、欠品となった部品Pをより効率的に検出することができる。
そしてまた、実装検査装置40は、基板Sが多面取り基板である場合に、多面取り基板のうち欠品が検出された子基板以外の子基板に対しても、異物検査を行う。そのため、欠品が検出された子基板以外の子基板に欠品となった部品Pが存在する場合でも、その部品Pを検出することができる。
そしてまた、実装検査装置40は、異物検査で異物が検出されると、異物の存在を表示部57に表示する。しかも、異物の基板S上の位置も表示するため、表示された位置に基づいて基板S上の異物の除去を効率よく行うことができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、実装検査装置40は、欠品位置周辺を含む異物検査領域についての異物検査を最も優先して行い、次に欠品搬送経路を含む異物検査領域についての異物検査を優先して行うものとしたが、これに限られない。例えば、両者の優先順位を逆にしてもよい。あるいは、欠品位置周辺を含む異物検査領域についての異物検査と、欠品搬送経路を含む異物検査領域についての異物検査との1以上を省略してもよい。
上述した実施形態では、実装検査装置40は、欠品に係る部品Pが複数存在する場合には、欠品に係る部品Pのうち最小の部品Pの欠品サイズ情報に基づいて閾値Ethを設定し、この最小の部品Pよりも小さい異物を無視して異物検査を行うものとしたが、これに限られない。例えば、実装検査装置40は、欠品サイズ情報に関わらず予め定められた値を閾値Ethとしてもよい。また、欠品に係る部品Pが複数存在する場合に、各部品Pについて異なる閾値Ethを設定してもよい。例えば、欠品に係る部品P1,P2が存在する場合に、実装検査装置40は、ステップS240において部品P1の欠品位置の周辺の異物検査領域については部品P1に基づく閾値Eth1を用いて異物検査を行い、部品P2の欠品位置の周辺の異物検査領域については部品P2に基づく閾値Eth2を用いて異物検査を行ってもよい。ステップS290における欠品搬送経路を含む異物検査領域においての異物検査についても同様である。
実装検査装置40において、欠品に係る部品Pが複数存在する場合に、欠品位置または欠品搬送経路に基づいて設定された複数の異物検査領域のうち1以上欠品数未満の異物検査領域で異物が検出されたときには、異物が検出されていない異物検査領域に係る部品Pの情報に基づいて以降の異物検査領域を設定してもよい。言い換えると、異物が検出されたときには、異物が検出された異物検査領域に係る部品Pが検出されたものとみなして、以降の処理を行ってもよい。例えば、欠品に係る部品P1,P2が存在する場合に、実装検査装置40がステップS240において部品P1の欠品位置の周辺の異物検査領域で1以上の異物を検出し、部品P2の欠品位置の周辺の異物検査領域では異物を検出しなかったあとには、ステップS280では部品P2の欠品搬送経路に基づく異物検査領域を設定して、部品P1の欠品搬送経路に基づく異物検査領域は設定しないものとしてもよい。この場合、ステップS290で用いる閾値Ethも、部品P2の欠品サイズ情報に基づいて設定し直してもよい。
上述した実施形態では、実装検査装置40は、基板Sが多面取り基板である場合に、多面取り基板のうち欠品が検出された子基板以外の子基板に対しても、異物検査を行うものとしたが、これに限られない。例えば、実装検査装置40は、欠品が検出された子基板に対してのみ異物検査を行ってもよい。あるいは、実装検査装置40は欠品が検出された子基板及びその子基板に隣接する子基板に対してのみ異物検査を行ってもよい。
上述した実施形態では、実装検査装置40は、異物の存在や異物の基板S上の位置を表示部57に表示するものとしたが、報知するものであれば、表示に限られない。例えば、実装検査装置40が音声により作業者に報知してもよい。
上述した実施形態では、実装検査装置40は、欠品検査により欠品が検出されなかった基板Sに対しては異物検査を行わないものとしたが、これに限られない。例えば、検査制御ユニット41が作業者からの異物検査の実行指示を操作部58を介して入力したときには、欠品検査の結果に関わらず異物検査を行ってもよい。
上述した実施形態では、実装検査装置40は、欠品検査において取得した撮影画像データを異物検査においても用いるものとしたが、異物検査用に基板カメラ53により撮影画像データを別に取得してもよい。
上述した実施形態では、基板Sは複数の子基板を含む多面取り基板としたが、これに限らず基板Sは単体の基板であってもよい。
上述した実施形態では、実装検査装置40は、実装前基準画像データや実装後基準画像データと撮影画像データとを比較することで欠品検査や異物検査を行うものとしたが、これに限られない。例えば、撮影画像データにおける各画素の輝度情報などに基づいて、撮影画像データにおけるエッジとなる画素を検出し、検出したエッジに基づいて物体(部品や異物)の輪郭を検出して、検出した物体と実装条件情報86とに基づいて欠品の検査や異物の検査を行ってもよい。また、実装検査装置40は、画像処理以外の方法で欠品検査や異物検査を行ってもよい。
上述した実施形態では、実装ヘッド33の吸着ノズル34が部品Pを吸着するものとしたが、実装ヘッド33が部品Pを保持するものとすれば、吸着するものに限定されない。例えば、実装ヘッド33は、把持部に部品Pを引っかけて保持するものとしてもよい。
上述した実施形態では、本発明の機能を備えた実装検査装置40として説明したが、特にこれに限定されず、実装検査方法やそのプログラムの形態としてもよい。