JP6904780B2 - 金属インターコネクタとこれを備えた固体酸化物形燃料電池スタック - Google Patents

金属インターコネクタとこれを備えた固体酸化物形燃料電池スタック Download PDF

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Description

本発明は、金属インターコネクタとこれを備えた固体酸化物形燃料電池スタックに関する。詳しくは、アンモニアを燃料とする固体酸化物形燃料電池スタックに用いられる金属インターコネクタ、および、当該金属インターコネクタを備えた固体酸化物形燃料電池スタックに関する。
固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)は、種々のタイプの燃料電池のなかでも発電効率が高く、また多様な燃料が使用可能であること等から、環境負荷の少ない次世代の発電装置として開発が進められている。SOFCのセルは、燃料極(アノード)と固体電解質と空気極(カソード)とがこの順に積層された構造を有する。SOFCのセルは、出力密度や発電効率を向上する観点から、実用的には複数個が金属インターコネクタを介して電気的に接続されたSOFCスタックとして使用されている。
SOFCの作動時には、空気極にO(酸素)含有ガスが供給され、燃料極に燃料ガスが供給される。SOFCの燃料ガスとしては、従来からH(水素)や天然ガス等の水蒸気改質ガスが広く使用されている。また近年では、これに替わる燃料ガスとして、非炭化水素系で二酸化炭素排出量の削減効果が大きいアンモニアの使用が検討されている(非特許文献1参照)。
特開2008−248379号公報 国際公開2005/124910号
京都大学、科学技術振興機構(JST)、株式会社ノリタケカンパニーリミテド、共同プレスリリース、「アンモニアを直接燃料とした燃料電池による発電」、平成27年7月22日、[2016年12月13日検索]、インターネット<http://www.noritake.co.jp/company/press/files/ammonia_fuelcell.pdf>
しかしながら、アンモニアを燃料ガスとして用いるSOFCスタックは、起動と停止を繰り返した場合に発電性能が低下することがあった。そこで、本発明者らが検討を重ねたところ、この発電性能低下の一因が金属インターコネクタの劣化にあることが判明した。つまり、アンモニアを燃料として用いる場合、金属インターコネクタの燃料極と接する側の面は、アンモニアと接触し、pH11〜12程度の強塩基性の雰囲気に曝されている。この状態でSOFCの起動と停止、すなわち室温から高温域(例えば600℃以上)までのヒートサイクルを繰り返すと、金属インターコネクタの抵抗が増大してSOFCスタックの発電性能が低下することが判明した。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、アンモニアに対する耐久性(耐アンモニア性)の向上した金属インターコネクタとこれを備えたSOFCスタックを提供することにある。
本発明により、アンモニアを燃料とする固体酸化物形燃料電池スタックに用いられる金属インターコネクタが提供される。この金属インターコネクタは、フェライト系ステンレス鋼で構成されている基部と、上記基部の表面に形成され、FeNとCrNとを含んだ窒化層と、を備える。
上記金属インターコネクタは、従来の金属インターコネクタ(例えば、基部がフェライト系ステンレス鋼以外で構成されている金属インターコネクタや、FeNとCrNとを含んだ窒化層を有しない金属インターコネクタ)に比べて、室温〜高温域の温度範囲における耐アンモニア性が向上しており、化学的安定性に優れるものである。このため、上記金属インターコネクタを備えたSOFCスタックは、室温〜高温域のヒートサイクルを繰り返した場合に劣化を生じ難く、ヒートサイクル特性を向上することができる。
なお、特許文献1、2には、固体高分子電解質型燃料電池(PEFC)のセパレータの表面に窒化層を形成する技術が開示されている。例えば特許文献1には、オーステナイト系ステンレス鋼を含む基部と、その表面に形成された遷移金属窒化物層とを備える燃料電池用セパレータが開示されている。また、特許文献1には、固体高分子電解質膜が強酸性であるため、PEFC用のセパレータにはpH2〜3程度の硫酸酸性に対する耐食性が要求される旨が記載されている。しかしながら、本発明者らの調査によれば、特許文献1、2のセパレータは、例えばアンモニアのようなpH11〜12程度の強塩基性に対する腐食性が十分といえるものではなかった。
ここで開示される好適な一態様では、上記窒化層において、FeNとCrNとの含有比率が、モル基準で、FeN:CrN=50:50〜95:5である。これにより、金属インターコネクタの耐アンモニア性をより良く向上すると共に、窒化層の電子伝導性を高めることができる。
ここで開示される好適な一態様では、上記窒化層の平均厚みが、5μm以上100μm以下である。これにより、金属インターコネクタの耐アンモニア性をより高いレベルで向上することができる。その結果、例えば、アンモニアに曝された状態で室温〜高温域を昇降温する場合にも、金属インターコネクタの基部を長期にわたって安定的な状態で維持することができる。
また、本発明の他の側面として、燃料極と固体電解質層と空気極とを備える複数の固体酸化物形燃料電池のセルと、上記複数のセルの間に配置されている金属インターコネクタと、を備え、上記燃料極にはアンモニアが供給されるように構成されている固体酸化物形燃料電池スタックが提供される。かかるSOFCスタックでは、金属インターコネクタの耐アンモニア性が高められている。このため、ヒートサイクルを繰り返しても、高い発電性能を安定的に発揮することができる。
一実施形態に係るSOFCスタックを模式的に示す分解斜視図である。 一実施形態に係る金属インターコネクタを模式的に示す断面図である。 一例に係る金属インターコネクタの窒化層のXRDチャートである。
以下、適宜図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば金属インターコネクタ)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、本発明を特徴付けないSOFCのセルの構成材料や、SOFCの製造プロセス等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚みなど)は必ずしも実際の寸法関係を反映するものではない。また、本明細書において「A〜B(ただし、A,Bが任意の値)」とは、特に断らない限りA,Bの値(下限値および上限値)を包含するものとする。
<SOFCスタック>
まず、固体酸化物形燃料電池(SOFC)スタック1について説明する。
図1は、SOFCスタック1を模式的に示す分解斜視図である。SOFCスタック1は、アンモニアを燃料ガスとして、当該アンモニアを燃料極12に直接供給する、所謂、アンモニア直接供給型のSOFCスタックである。図1に示すように、SOFCスタック1は、複数のSOFCのセル10A、10Bと、複数の金属インターコネクタ20、20Aとを備えている。SOFCスタック1は、SOFCのセル10A、10Bが、金属インターコネクタ20、20Aを介して積み重ねられているスタック構造を有する。SOFCスタック1は、従来公知の製造方法に準じて製造することができる。
セル10A、10Bの構成は従来と同様でよく、特に限定されない。この実施形態では、セル10A、10Bは、それぞれ、燃料極(アノード)12と、固体電解質層14と、空気極(カソード)16と、を備えている。燃料極12は、例えば、ニッケル系の金属材料(例えばNiO)や、ニッケル系の金属材料と安定化ジルコニア(例えば、イットリア安定化ジルコニア)とのサーメットである。固体電解質層14は、燃料極12と空気極16との間に介在する。固体電解質層14は、酸素イオン伝導する役割と、燃料極12側のガスと、空気極16側のガスとを分離する役割と、を併せ持つ。固体電解質層14は、例えば、イットリア等の安定化剤で安定化されたジルコニア(例えば、YSZ:Yttria stabilized zirconia)や、ガドリニア等のドープ剤がドープされたセリア(例えば、GDC:Gadolinia doped ceria)等の、酸化物イオン伝導体である。空気極16は、例えば、ランタンコバルトネート(LaCoO)系やランタンマンガネート(LaMnO)系のペロブスカイト型酸化物である。
なお、この実施形態では、燃料極12と固体電解質層14と空気極16とがそれぞれ単層構造であり、セル10A、10Bがそれぞれ3層構造を有しているが、これには限定されない。燃料極12と固体電解質層14と空気極16とは、それぞれ独立して、2層以上の複層構造であってもよい。また、セル10A、10Bは、上記以外の層を有していてもよい。例えば、固体電解質層14と空気極16との間に、両者の界面を安定化させるための層、例えばYSZやGDCからなる反応抑止層をさらに備えていてもよい。また、燃料極12の下側(固体電解質層14から離れた側)に、多孔質な金属シートをさらに備えていてもよい。
セル10A、10Bでは、固体電解質層14や空気極16に比べて燃料極12が厚めに形成されている。セル10A、10Bは、燃料極12が支持体としての機能を併せ持つ、所謂、燃料極支持型(ASC:Anode-Supported Cell)のセルである。ただし、セル10A、10Bは、例えば、固体電解質層14を厚くした、所謂、電解質支持型(ESC:Electrolyte-Supported Cell)のセルであってもよく、空気極16を厚くした、所謂、空気極支持型(CSC:Cathode-Supported Cell)のセルであってもよい。また、セル10A、10Bは、燃料極12の下側に多孔質な金属シートを備えたメタルサポートセル(MSC:Metal-Supported Cell)であってもよい。
金属インターコネクタ20、20Aは、複数のセル10A、10Bを相互に電気的に接続するためのものである。図1の中央に位置する金属インターコネクタ20Aは、2つのセル10A、10Bの間に介在している。セル10A、10Bは、金属インターコネクタ20Aによって直列に接続されている。ただし、セル10A、10Bは、並列に接続されていてもよい。なお、金属インターコネクタ20、20Aの構成については、後に詳しく説明する。
セル10A、10Bの対向面と、金属インターコネクタ20、20Aのセル対向面21、25との間には、それぞれ接合材を付与してなる導電性の封止部(図示せず)が形成されている。金属インターコネクタ20、20Aの空気極16に対向する側のセル対向面21には、複数の溝部が形成され酸素含有ガス流路22を構成している。酸素含有ガス流路22は、図示しない酸素含有ガスの供給源と接続されている。また、金属インターコネクタ20、20Aの燃料極12に対向する側のセル対向面25には、複数の溝部が形成され燃料ガス流路26を構成している。燃料ガス流路26は、図示しない燃料ガスの供給源と接続されている。
SOFCスタック1の発電時には、SOFCスタック1が600℃以上、例えば600〜900℃程度の高温域まで昇温される。また、酸素含有ガス流路22には、酸素含有ガス、例えば空気(Air)が供給される。燃料ガス流路26には、燃料ガス、ここではアンモニア(NH)ガスが直接供給される。SOFCのセル10A、10Bでは、空気極16において酸素が還元され、酸化物イオンとなる。該酸化物イオンが固体電解質層14を介して燃料極12に到達し、アンモニアを酸化して電子を放出する。これにより電気エネルギーが発生する。すなわち、発電が行われる。
<金属インターコネクタ>
次に、アンモニア直接供給型のSOFCスタック1に用いられる金属インターコネクタ20、20Aについて説明する。金属インターコネクタ20、20Aには、通常のSOFCスタック1に要求される性質、例えば、電子導電性が大きいこと、高温域で化学的に安定であること、熱膨張性が小さいこと等に加えて、室温〜高温域の温度範囲にわたって燃料ガス流路26の部分が耐アンモニア性に優れることが求められる。
図2は、金属インターコネクタ20Aを模式的に示す断面図である。図2に示すように、金属インターコネクタ20Aは、基部23と、基部の表面に形成された窒化層24と、を備えている。本実施形態において、窒化層24は、金属インターコネクタ20Aの燃料極12に対向する側のセル対向面25を覆うように、セル対向面25の全面に形成されている。ただし、窒化層24は、少なくともアンモニアと接触する燃料ガス流路26の部分に形成されていればよく、必ずしもセル対向面25の全面を覆っていなくてもよい。また、窒化層24は、セル対向面25のみならず、金属インターコネクタ20Aの表面全体、例えば空気極16に対向する側のセル対向面21をも覆うように形成されていてもよい。
基部23は、フェライト系ステンレス鋼で構成されている。フェライト系ステンレス鋼は、例えば特許文献1、2に記載されているようなPEFC用のセパレータに用いられるオーステナイト系ステンレス鋼に比べて、相対的に電気抵抗が低く、熱膨張性が小さい。さらに、熱伝導性にも優れている。したがって、SOFCスタック1のように高温で作動するタイプの燃料電池に好適である。フェライト系ステンレス鋼の線熱膨張係数は特に限定されないが、概ね5〜15ppm/K、例えば8〜12ppm/Kであるとよい。
フェライト系ステンレス鋼としては、フェライト相で構成され、オーステナイト相を有していないものが好ましい。これにより、FeNとCrNとを備えた窒化層24をより良く形成することができる。フェライト系ステンレス鋼の一例として、所謂、クロム系と呼ばれている400系のものが挙げられる。クロム系の一好適例として、SUS403、SUS405、SUS410L、SUS429、SUS430、SUS430F、SUS430LX、SUS430J1L、SUS434、SUS436L、SUS443J1、SUS444、SUS445J1、SUS445J2、SUS447J1、SUSXM27、SUH409、SUH409L等が挙げられる。
フェライト系ステンレス鋼は、鉄(Fe)とクロム(Cr)とを含む合金である。Feはフェライト系ステンレス鋼の主成分(最も多く含まれる成分)であり、通常は概ね50質量%以上を占め、典型的には60〜90質量%、例えば70〜87質量%を占める。Crは、Feに次いで多く含まれる成分であり、典型的には10〜40質量%、例えば13〜30質量%を占める。FeとCrの含有比率をそれぞれ上記範囲とすることで、FeNとCrNとを好適なバランスで備えた窒化層24をより良く形成することができる。また、高温域における化学的安定性を向上することができる。
フェライト系ステンレス鋼は、FeとCrとの2成分で構成されていてもよく、その他の成分を、不可避的な不純物として、あるいは添加的に(例えば5質量%以下の割合で)含んでいてもよい。不可避的に含まれ得る成分としては、例えば、炭素(C)が挙げられる。添加的に含まれ得る成分としては、フェライト系ステンレス鋼の特性改善に有効なことが知られている成分、例えば、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、ニオブ(Nb)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)等が挙げられる。
好適な一態様では、フェライト系ステンレス鋼がニッケルを含まないか、含んでも僅か(例えば3質量%未満)である。これにより、広範な温度域における耐アンモニア性をより良く向上することができる。
窒化層24は、基部23(フェライト系ステンレス鋼)の表面に、基部23と一体的に形成されている。ここに開示される窒化層24は、MN型の結晶構造を有するFeNと、NaCl型の結晶構造を有するCrNと、を共に含んでいる。このような窒化層24を基部23の表面に備えることで、金属インターコネクタ20Aの耐アンモニア性を広範な温度域において向上することができる。
さらに、窒化層24は、例えば特許文献1、2に開示されるようなPEFC用のセパレータの表面に形成されている遷移金属窒化層と比べて、相対的に基部23との結合性が高められている。このことにより、窒化層24の剥離が生じ難くなり、金属インターコネクタ20Aとしての一体性が高められている。したがって、優れた耐アンモニア性を長期にわたって安定的に実現することができる。
窒化層24は、FeNとCrNとで構成されていてもよく、その他の化合物をさらに含んでいてもよい。窒化層24に含まれ得る成分としては、例えば、CrN、FeN、FeN等が挙げられる。なお、窒化層24に含まれる化合物の種類は、X線回折(X-Ray Diffraction:XRD)に基づく定性分析(化合物相の同定)によって把握することができる。
好適な一態様では、窒化層24において、FeNの含有比率とCrNの含有比率との合計が、モル基準で、窒化層24の全体(100%)に対して、概ね50%以上、典型的には80%以上、例えば90%以上を占める。これにより、ここに開示される技術の効果をより高いレベルで発揮することができる。
また、好適な一態様では、FeNの含有比率とCrNの含有比率との合計を100%としたときに、モル基準で、FeNが概ね50%以上、例えば60%以上であって、概ね95%以下、例えば80%以下である。好適な他の一態様では、CrNが概ね5%以上、典型的には10%以上、例えば20%以上であって、概ね50%以下、例えば40%以下である。なお、窒化層24に含まれる化合物の含有比率は、X線回折(X-Ray Diffraction:XRD)に基づく定量分析(各化合物相の比率)によって把握することができる。また、FeNとCrNとの含有比率は、例えば、基部23を構成するステンレス鋼の種類(成分比)や、後述する窒化処理の窒化条件(例えば窒化温度や窒化雰囲気等)によって調整することができる。
窒化層24の厚みは特に限定されないが、概ね0.5μm以上、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、特には10μm以上、例えば50μm以上であるとよい。窒化層24の厚みを所定値以上とすることで、耐アンモニア性向上の効果をより良く発揮することができ、SOFCスタック1のヒートサイクル特性を一層向上することができる。また、窒化層24の厚みの上限値は、低コスト化や電子伝導性を向上する観点等から、概ね500μm以下、典型的には300μm以下、例えば100μm以下であるとよい。
窒化層24は、基部23となるフェライト系ステンレス鋼を窒化処理することによって形成することができる。窒化処理の方法としては、例えば、ガス窒化法、イオン窒化法、塩浴窒化法、プラズマ窒化法等が挙げられる。なかでも、ガス窒化法が好ましい。
ガス窒化法を用いる場合、一好適例では、アンモニアガス100%の雰囲気中で、フェライト系ステンレス鋼を所定の窒化温度まで加熱し、当該窒化温度で所定の時間保持する。このことにより、アンモニアの窒素がフェライト系ステンレス鋼のCrと結合し、CrNが生成される。また、アンモニアの窒素がフェライト系ステンレス鋼のFeと結合し、FeNが生成される。
窒化温度は、FeNとCrNとを好適なバランスで生成させて、窒化層24として着実に定着させる観点から、SOFCスタック1の作動温度よりも低く設定するとよい。具体的には、概ね300℃以上、例えば500℃以上であって、概ね700℃以下、例えば600℃以下とするとよい。また、窒化温度での保持時間は特に限定されないが、例えば数時間程度とするとよい。窒化温度での保持時間によって窒化層24の厚みを好適に調整することができる。
窒化処理に用いるガスとしては、従来、例えば窒素ガスや、窒素ガスとアンモニアガスとの混合ガスが使用されていた(特許文献2の段落0031参照)。しかしながら、本発明者らの検討によれば、アンモニアガス100%を用いることで、窒化速度が速められ、FeNを短い時間で効率的に生成させることができる。そして、FeNとCrNとを好適なバランスで備えた窒化層24を好適に形成することができる。
以上のような構成の金属インターコネクタ20は、例えば特許文献1、2に記載されるようなPEFC用の金属インターコネクタに比べて、室温〜高温域の温度範囲における耐アンモニア性が向上し、化学的安定性に優れるものである。また、電子伝導性に優れると共に、熱膨張性が小さいものである。このため、金属インターコネクタ20を備えたSOFCスタック1では、室温〜高温域のヒートサイクルを繰り返した場合にも劣化を生じ難くなり、ヒートサイクル特性を向上することができる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
〔金属インターコネクタの用意〕
まず、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)製の金属インターコネクタを複数用意した。このうち一つは窒化処理を行わず、そのまま比較例1の金属インターコネクタとした。残りは、600℃の環境下においてアンモニア100%の雰囲気中で5〜10時間熱処理した。このようにして、アンモニアが熱分解して生じた窒素(N)によって、フェライト系ステンレス鋼の表面に窒化層を形成し、比較例2および例1〜5の金属インターコネクタとした。
また、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS310)製の金属インターコネクタを用意し、上記と同様に窒化処理して、オーステナイト系ステンレス鋼の表面に窒化層を形成し、比較例3、4の金属インターコネクタとした。
〔窒化層の厚み測定〕
上記形成した窒化層について、SEM−EDX(Scanning Electron Microscope - Energy Dispersive X-ray Spectroscope)と微小硬度計を用いて厚みを測定した。厚みの測定は複数点で行い、その値を算術平均して平均厚みとした。結果を表1に示す。
表1に示すように、比較例2および例1〜5の窒化層は、平均厚みが0.1〜100μmであり、比較例3、4の窒化層は、平均厚みが5〜10μmであった。
〔窒化層のXRD測定〕
上記形成した窒化層について、Cu−Kα線を用いたXRDにより、2θ=20〜80°の範囲におけるピークを評価した。一例として比較例1および例5に係る結果(XRDチャート)を図3に示す。
図3および表1に示すように、フェライト系ステンレス鋼の表面に形成された窒化層(比較例2および例1〜5の窒化層)では、FeN、CrNの位置に化合物相のピークが検出された。一方、オーステナイト系ステンレス鋼の表面に形成された窒化層(比較例3、4の窒化層)では、FeNiN、CrN、(Cr,Fe,Ni)スピネルの位置に化合物相のピークが検出された。
また、窒化層のXRDチャートに基づいて、WPF(Whole Pattern Fitting)法により、FeNの化合物相とCrNの化合物相との比を算出した。結果を表1に示す。
表1に示すように、比較例2および例1〜5の窒化層では、FeNとCrNとの含有比率が、モル基準で、FeN:CrN=80:20だった。また、FeNとCrNとの含有比率の合計は、モル基準で、窒化層全体の95%以上を占めていた。
Figure 0006904780
〔SOFCスタックの構築〕
先ず、燃料極と固体電解質層と反応抑止層と空気極とがこの順に積層されている構成のSOFCセルを複数用意した。次に、上記で用意した各金属インターコネクタを介して、複数個のSOFCセルを電気的に接続し、それぞれSOFCスタックを構築した。
〔発電性能(ヒートサイクル特性)の評価〕
上記で構築したSOFCスタックを700℃まで昇温し、電流密度0.5A/cmで作動させて、初期の出力電圧(W)を測定した。なお、燃料極供給ガスは、100%アンモニアガス(50ml/min)とし、空気極供給ガスは、空気(100ml/min)とした。次いで、いったん室温(25℃)まで降温した後、再び700℃まで昇温し、初期の出力電圧と同様にして、ヒートサイクル後の出力電圧(W)を測定した。そして、次の式:〔(初期の出力電圧−ヒートサイクル後の出力電圧)/初期の出力電圧〕×100;から、劣化率(%)を算出した。結果を表1に示す。
表1に示すように、表面に窒化層を備えていない金属インターコネクタを使用した「比較例1」は、ヒートサイクル後の劣化率が最も高かった。また、本発明者らが、比較例1の金属インターコネクタについてヒートサイクル後に窒化層のXRD測定を行ったところ、モル基準で、その95%超をCrNが占めており、FeNのピークは殆ど確認されなかった。つまり、SOFCの構築前に窒化処理によってあらかじめ生成された窒化層と、SOFCのヒートサイクルによって生成された窒化層とでは明らかに組成が異なっていた。以上のことから、比較例1で劣化率が高くなった原因としては、ヒートサイクルにより金属インターコネクタの抵抗が増大したことが考えられる。例えば、金属インターコネクタのアンモニアガスと接触する側の表面に高抵抗な皮膜(例えば、FeNを含まない窒化層)が形成されたことや、金属インターコネクタのアンモニアガスと接触する側の表面が腐食されたこと等が考えられる。
これに対して、フェライト系ステンレス鋼(SUS430)の表面に窒化層を備える金属インターコネクタを使用した「比較例2および例1〜5」では、窒化層の厚みが厚くなるほど、ヒートサイクル後の劣化率が低く抑えられていた。なかでも、窒化層の厚みが0.5μm以上、さらには1μm以上、特には50μm以上であると、劣化率を低減する効果が顕著であった。
このように、フェライト系ステンレス鋼の表面に所定の窒化層を備えることで、室温〜高温域のヒートサイクルを繰り返した場合にも劣化を抑えることができ、ヒートサイクル特性に優れたSOFCスタックを実現することができる。
なお、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS310)の表面に窒化層を備える金属インターコネクタを使用した「比較例3、4」では、フェライト系ステンレス鋼製の金属インターコネクタを用いた場合に比べて、相対的にヒートサイクル後の劣化率が高かった。言い換えれば、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS310)製の金属インターコネクタでは、ここに開示される窒化層を形成することの効果が低かった。このことから、フェライト系ステンレス鋼の表面に上記した窒化層を備える構成は、ヒートサイクル特性を向上する観点から非常に有利であるといえる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、図1に示すSOFCのセル10A、10Bは平型(Planar)であるが、これには限定されない。SOFCのセルは、他にも種々の形状とすることができる。例えば、従来公知の多角形型、円筒型(Tubular)、あるいは円筒の周側面を垂直に押し潰した扁平円筒型(Flat Tubular)等とすることができる。また、金属インターコネクタ20、20Aの形状やサイズも、セル10A、10Bの形状等に応じて適宜に変更することができる。
1 SOFCスタック
10A、10B SOFCの単セル
20、20A 金属インターコネクタ
23 基部
24 窒化層

Claims (4)

  1. アンモニアを燃料とする固体酸化物形燃料電池スタックに用いられる金属インターコネクタであって、
    フェライト系ステンレス鋼で構成されている基部と、
    前記基部の表面に形成され、FeNとCrNとを含んだ窒化層と、
    を備える、金属インターコネクタ。
  2. 前記窒化層において、FeNとCrNとの含有比率が、モル基準で、FeN:CrN=50:50〜95:5である、請求項1に記載の金属インターコネクタ。
  3. 前記窒化層の平均厚みが、5μm以上100μm以下である、請求項1または2に記載の金属インターコネクタ。
  4. 燃料極と固体電解質層と空気極とを備える複数の固体酸化物形燃料電池のセルと、
    前記複数のセルの間に配置されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の金属インターコネクタと、
    を備え、
    前記燃料極にはアンモニアが供給されるように構成されている、固体酸化物形燃料電池スタック。
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