JP6903617B2 - 分子プローブの決定方法 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、分子プローブの決定方法に関する。
化合物の検出の分野においては、検出対象の標的化合物を選択的又は特異的に捕捉する分子プローブがしばしば用いられる。分子プローブによって、例えば標的化合物を標識したり分離したりすることが可能であり、標的化合物の効率的な検出及び分離等に有用である。
そのため、標的化合物の最適な分子プローブが日々探索されている。分子プローブは、例えば様々な候補分子について標的化合物と結合するか否かを調査することによって見つけることができる。そのような方法として、例えば電気泳動や、カラムクロマトグラフィーが用いられている。
電気泳動を用いる方法では、様々な候補分子に標的化合物を接触させて電気泳動する。そして、標的化合物と結合した候補分子が、標的化合物と結合しなかった候補分子と泳動距離が変化することを利用して、標的化合物を捕捉する分子プローブとして決定する。
カラムクロマトグラフィーを用いる方法においては、例えば、標的化合物をカラムの固相に固定し、液相である候補分子をカラムに流す。そして、標的化合物と結合して固相に残った候補分子を、標的化合物の分子プローブとして決定する。
一方、低分子化合物を検出することは、例えば、麻薬捜査、ドーピング検査、医療診断などの様々な分野において非常に有用である。しかしながら低分子化合物は、分子量が小さく構造が単純であるため、似た構造を有する他の化合物と区別して検出することが非常に困難である。そのため、低分子化合物の高感度な検出方法の開発が求められている。
本発明は、より簡便で正確な標的化合物の分子プローブの決定方法を提供することを目的とする。
実施形態に従う分子プローブの決定方法は、標的化合物を捕捉する分子プローブを決定する方法である。当該方法は、(S1)1種類の候補分子に標的化合物を接触させ、得られた混合物をゲル上で電気泳動処理すること、及び(S2)電気泳動後のゲル上で候補分子が複数のバンドに分離された場合、候補分子を、標的化合物を捕捉する分子プローブと決定することを含む。
図1は、実施形態の分子プローブ決定方法を示すフローチャートである。 図2は、実施形態の分子プローブ決定方法の工程を示す模式図である。 図3は、実施形態の分子プローブ決定方法を示すフローチャートである。 図4は、実施形態の分子プローブ決定方法の工程を示す模式図である。 図5は、実施形態の分子プローブ決定方法を示すフローチャートである。 図6は、実施形態の分子プローブ決定方法の工程を示す模式図である。 図7は、実施形態の分子プローブ決定方法を示すフローチャートである。 図8は、実施形態の分子プローブ決定方法を示すフローチャートである。 図9は、実施形態の分子プローブの決定の仕方を説明する模式図である。 図10は、実施形態の分子プローブの決定の仕方を説明する模式図である。
以下に、図面を参照しながら種々の実施形態について説明する。各図は実施形態とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜、設計変更することができる。
第1の実施形態に従う分子プローブの決定方法は、標的化合物を捕捉する分子プローブを決定する方法である。当該方法は、(S1)1種類の候補分子に標的化合物を接触させ、得られた混合物をゲル上で電気泳動処理すること、及び(S2)電気泳動後のゲル上で候補分子が複数のバンドに分離された場合、候補分子を、標的化合物を捕捉する分子プローブと決定することを含む。第2及び第3の実施形態によれば、複数の候補分子から分子プローブを決定する方法が提供される。
以下、第1〜3の実施形態の分子プローブの決定方法について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、実施形態に従う分子プローブの決定方法の概略フローを示す図である。当該方法は、(S1)1種類の候補分子に標的化合物を接触させ、得られた混合物をゲル上で電気泳動処理すること、及び(S2)電気泳動後のゲル上で候補分子が複数のバンドに分離された場合、あるいはバンドが広がった場合、候補分子を、標的化合物を捕捉する分子プローブと決定することを含む。
以下、上記各工程を行うことによって標的化合物を捕捉する分子プローブを決定できる原理について図2を用いて説明する。図2は、分子プローブの決定方法の工程を示す模式図である。
まず、図2の(a)に示す第1のゲル1の一方の端に形成された凹部2に、1種類の候補分子3を含む溶液4と標的化合物5とを添加する。それによって候補分子3及び標的化合物5を接触させる(図2の(b))。候補分子3は、ゲル上で光学的に観察可能なように予め標識することもできる。
次に、第1のゲル1を電気泳動処理する。当該電気泳動の泳動方向は、第1のゲル1の、溶液4を添加した端から他方の端へ向かう方向である。
図2の(c)に示すように、候補分子3が標的化合物5と結合する分子である場合、候補分子3は第1のゲル1上で2つのバンド6a、6bに分離される。あるいはバンドが流動方向に広がる。このようにバンドが2つに分離される、あるいは広がる理由を以下に説明する。
用いられる候補分子3は1種類であり、この1種類の候補分子3が溶液4中に複数含まれている。この候補分子3が標的化合物5に対して結合能を有する分子である場合、標的化合物5と接触した時に、全ての候補分子3が標的化合物5と結合するわけではなく、標的化合物5と結合して複合体7を形成するものと、標的化合物5と結合しないものとが存在する。また、候補分子3と標的化合物5の結合は、候補分子3と標的化合物5との構造、解離定数又は自由エネルギー変化などの要因により可逆的に変化する平衡反応であることが通常のため、結合状態と非結合状態を遷移することも起こりえる。このように、標的化合物5と結合能を有する候補分子3が非結合状態として存在することは、非常に高い確率で存在する。
候補分子3及び標的化合物5からなる複合体7と、標的化合物5と結合しない候補分子3とは、等電点、分子量及び/又は高次構造などが互いに異なる。そのため、これらはそれぞれバンド6a及びバンド6bとして分離される。あるいは、標的化合物5と結合している時間が異なる候補分子3が混在していると、分離されたバンドは、明確に分かれるのではなく、ブロードに広がった形態となる。ここでは、このように広がったバンドもまた分離されたバンドと称する。
従って、図2の(c)のように複数のバンドに分離された候補分子3やバンドが広がった候補分子3を標的化合物5と結合する分子とみなし、標的化合物5を捕捉する分子プローブであると決定することができる。
対して、図2の(d)に示すように候補分子3が標的化合物5と結合しない分子である場合、候補分子3は1つのバンド6cとして泳動し、分離されない。また、バンドの泳動方向の長さが自由拡散で想定される以上に広がることもない。この場合、候補分子3は標的化合物5を捕捉する分子プローブではないと決定することができる。
さらに、候補分子3を標的化合物に接触させずに電気泳動させた結果と比較して、バンドの分離や広がりに違いがあったか否かを判断することも出来る。
以上に説明した方法においては、電気泳動中に、候補分子3が分子プローブとして標的化合物5と結合可能な状態である必要がある。そのため、電気泳動は、例えば、候補分子3が分子プローブとして使用される際の立体構造を維持することができる方法で行うことが好ましい。それによって、変性していない本来の立体構造の候補分子3が標的化合物5と結合するかどうかを検査することが可能であり、標的化合物5を捕捉する分子プローブを正確に決定することができる。
その様な電気泳動法として、等電点電気泳動法(Isoelectric focusing:IEF)又はネイティブ電気泳動法などを用いることができる。ネイティブ電気泳動法は、例えば、BN(Bluenative)電気泳動法であってもよい。
例えば、標的化合物5が電荷を有する化合物である場合、IEFを用いることができる。標的化合物5が結合することによって、立体構造が変化するような分子プローブを決定したい場合、ネイティブ電気泳動法を用いることが好ましい。候補分子3がペプチドあるいはタンパク質であって、標的化合物5も候補分子3も電荷を持たない、あるいは小さな電荷しか持たない場合、BN電気泳動法を用いることができる。
ネイティブ電気泳動法又はBN電気泳動法を用いる場合は、電気泳動を続けるとバンドが移動し続け、ゲルの他方の端まで泳動される。そのため、バンドが観察可能な位置で止まるよう、所望の時間で電気泳動を停止する必要がある。電気泳動を行う時間は、電圧や温度、濃度、分子量などによって変わるが、例えば、20分〜2時間程度かけて電気泳動を行うことができる。
第1のゲル1は、実施形態の方法で用いる電気泳動法で通常用いられるゲルであればよい。例えば、第1のゲル1は、ポリアクリルアミドゲル、アガロースゲルなどである。第1のゲル1は、用いられる電気泳動法の種類に従って選択される。例えば、IEFを用いる場合は、上記ゲルを材料としたpH勾配を有するゲルを用いる。このようなゲルは、両性担体(キャリアアンフォライト)をゲルに添加して電場をかけることによりpH勾配を形成する方法、又は様々なIPの側鎖を有するアクリルアミド誘導体を用いてゲル作製と同時にpH勾配を形成する方法(IPG法)などにより製造することができる。
候補分子3は、標的化合物5の分子プローブとなることが予想される分子である。候補分子3は、例えば、タンパク質、ポリペプチド、核酸又はアプタマーなどである。
候補分子3の標識は、例えば、実施形態の方法で用いる電気泳動法において通常用いられる技術により行われればよい。例えば、標識には、蛍光色素、染料又は放射性同位体等を用いてもよい。候補分子がタンパク質やペプチドである場合、例えばFITCを用いることができる。FITCは蛍光分子であり、そのイソチアネート基を候補分子であるタンパク質やペプチドのN末端の1級アミンと反応させることによって候補分子を標識できる。或いは、タンパク質やペプチドである候補分子3を電気泳動後に銀染色してもよい。BN電気泳動法を用いる場合は、クマシーブリリアントブルーをタンパク質やペプチドである候補分子3に吸着させることによって標識できる。上記のような標識により、バンドは、例えば目視、トランスイルミネータ、又はオートラジオグラフィーにより観察することができる。
溶液4は、候補分子3を適切な溶媒に含ませたものである。溶媒は、例えば、蒸留水、生理食塩水又は緩衝液などである。溶液4は、1種類の候補分子3を含み、分子プローブを決定する工程に悪影響を及ぼす物質を含まない組成である。さらに、溶液4は、候補分子3が分子プローブとして使用される際の溶媒と同じ組成とすることもできる。
標的化合物5は、例えば、低分子化合物、ペプチド、タンパク質、糖タンパク質、ウイルス、又は細胞外小胞などであり、乱用薬物、爆発物、毒薬、農薬、アレルゲン、マイコトキシン、匂い成分、病原体、又は癌を始めとする各種疾病・健康状態を示唆するバイオマーカーなどである。特に、従来は分子プローブを得ることが困難であった、低分子化合物に対して、高性能な分子プローブを得ることが出来る。
例えば、標的化合物5は液体溶媒に含まれる物質であってもよい。液体溶媒は、例えば、水、生理食塩水又は緩衝液などであり、必要に応じて有機溶媒や界面活性剤を含む。標的化合物5を含む液体は、分子プローブを決定する工程に悪影響を及ぼす物質を含まない組成である。さらに、標的化合物5を含む液体は、候補分子3が分子プローブとして使用される際の溶媒と同じ組成とすることもできる。
標的化合物5が液体試薬として調製される場合、工程(S2)の前に候補分子3を含む溶液4と該試薬とを予めに混合しておき、第1のゲル1の凹部2に添加してもよい。或いは、第1のゲル1の凹部2に候補分子3を添加する前、あるいは添加した後に、凹部2、あるいは第1のゲル1全体に試薬を添加してもよい。
或いは、標的化合物5は気体溶媒に含まれる物質であってもよい。気体溶媒は、例えば空気、窒素、酸素、水素又は二酸化炭素などである。標的化合物5を含む気体は、分子プローブを決定する工程に悪影響を及ぼす物質を含まない組成である。さらに、標的化合物5を含む気体は、標的化合物5を検出しようとしている環境の雰囲気と同じ組成とすることもできる。
標的化合物5が気体試薬として調製される場合、予め候補分子3を含む溶液4に試薬を吹き込んで混合し、得られた混合物を第1のゲル1の凹部2に添加してもよい。或いは、第1のゲル1の凹部2に候補分子3を添加した後、該気体試薬で満たした容器にゲルを入れるなどして候補分子3を標的化合物5に曝しながら電気泳動を行えばよい。
さらに、第1のゲル1の凹部2に候補分子3を添加した後、固体または液体の標的化合物5を入れた容器にゲルを入れるなどして、候補分子3を標的化合物5から発生する揮発性物質に晒しながら電気泳動を行うこともできる。この場合、標的化合物5の一部の成分に揮発性がなかったとしても、標的化合物5に特有な揮発性物質(すなわち匂い成分)に結合する候補分子3を決定することができる。
実施形態の方法は、1種の候補分子3を用いて電気泳動を行い、候補分子が複数のバンドに分離される、あるいはバンドが泳動方向に広がることを指標にしている。さらに必要に応じて、標的化合物に接触していない候補分子3の電気泳動の結果と比較することもできる。そのため、標的化合物と結合した候補分子3を容易に識別することができる。
また、実施形態の決定方法によれば、標的化合物を修飾したり固定したりする必要がない。そのため、標的化合物5の本来の構造のままで分子プローブを選別することができ、標的化合物の分子プローブを正確に決定することが可能である。また、修飾や固定を行わないことで、標的化合物の全体を認識して結合する分子プローブを見つけることも可能である。また、実施形態の方法は、操作が非常に簡便である。
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る方法は、複数種類の候補分子を用いて分子プローブを決定する。図3は、第2の実施形態に従う分子プローブの決定方法の概略フローを示す図である。該方法は以下の工程を含む。(S11)複数種類の候補分子をゲル上で電気泳動処理すること(第1泳動)、(S12)第1泳動後のゲル上の複数種類の候補分子に標的化合物を接触させ、得られた混合物を第1泳動の泳動方向と直交する方向に電気泳動処理すること(第2泳動)、及び(S13)第2泳動後のゲル上で、第2泳動の泳動方向に、複数のバンドに分離された候補分子、あるいは第2泳動の泳動方向にバンドが広がった候補分子を、標的化合物を捕捉する分子プローブと決定すること。
以下、上記各工程を行うことによって標的化合物を捕捉する分子プローブを決定できる原理について図4を用いて説明する。図4は、第2の実施形態の方法の工程を示す模式図である。
まず、複数種類の候補分子3を含む溶液4用意する。溶液4は5種類の候補分子3a、3b、3c、3d及び3eを含む。
まず、溶液4を図4(a)に示す第1のゲル1の一方の端に形成された凹部(図示せず)に添加する(図4の(b))。その後、電気泳動処理する(図4(c))。この電気泳動を第1泳動と称する。第1泳動の泳動方向は、第1のゲル1の溶液4を添加した端から他方の端に向かう方向である。
第1泳動によって、候補分子3a、3b、3c、3d及び3eは、用いる電気泳動法の種類に従って、その等電点、分子量、高次構造などの違いによって分離される。この泳動によって、候補分子3a、3b、3c、3d及び3eはそれぞれ、バンド6a、6b、6c、6d及び6eに分離される。
次に、図4の(e)に示すように、第1のゲル1の長手方向の側面を第2のゲル8の端に結合した後、第1のゲル1に標的化合物5を添加し、標的化合物5を候補分子3a、3b、3c、3d及び3eに接触させる(図4の(d))。あるいは、第1のゲル1に標的化合物5を添加して、標的化合物5を候補分子3a、3b、3c、3d及び3eに接触させた後、第1のゲル1の長手方向の側面を第2のゲル8の端に結合する。あるいは、第2のゲル8に予め標的化合物5を添加しておき、第1のゲル1の長手方向の側面を第2のゲル8の端に結合する。例えば、標的化合物5を含む液体試薬を第1のゲル1あるいは第2のゲル8に滴下する。或いは標的化合物5を含む気体試薬を容器中に充填し、該容器に第1のゲル1及び第2のゲルを入れる。あるいは標的化合物5を入れた容器中に、第1のゲル1及び第2のゲルを入れる。標的化合物5が候補分子3と十分に接触するよう、必要に応じて、例えば数分〜数十分放置しても構わない。あるいは、候補分子3を分子プローブとして使用する際の方式に合わせて放置時間を決めてもよい。例えば、極微量の標的化合物を時間をかけて高感度に検出したいのであれば、放置時間は十分長くした方が好ましいし、標的化合物を迅速に検出したいのであれば、放置時間は短くした方が好ましい。
その後、第1泳動の泳動方向と直交する方向に電気泳動処理する。この電気泳動を第2泳動と称する。第2泳動の泳動方向は、第2のゲル8の、第1のゲル1を結合させた端から他方の端に向かう方向である。
第2泳動は、第1泳動と同じ電気泳動法を用いて行われる。
第2泳動によって、候補分子3a、3b、3c、3d及び3eはそれぞれ、泳動方向に向かって第2のゲル8上を移動する。標的化合物5と結合しない候補分子である3a、3c及び3eそれぞれからなるバンド6a、6c及び6eは、分離されず1つのバンドのまま泳動される(それぞれ、図4の(e)のバンド6f、6h及び6j)。またバンドが第1、第2の泳動方向に自由拡散で想定される以上に広がることもない。
一方、標的化合物5と結合する候補分子3b及び3dからなるバンド6b及び6dは、第2泳動の泳動方向に、複数のバンドに分離される。あるいは第2の泳動方向にバンドが広がる。即ち、バンド6bは、標的化合物5と結合していない候補分子3bからなるバンド6g、及び標的化合物5と結合し、複合体を形成した候補分子3bからなるバンド6kに分離される。あるいは、候補分子3が標的化合物5と結合した時間に応じて、バンド6gとバンド6kの間に広いバンドを形成する。候補分子3dのバンド6dも同様に複数のバンド6i及び6lに分離されるか、あるいはバンド6iと6lの間に広いバンドを形成する。
第1泳動と第2泳動とは同じ電気泳動法を用いて行われることから、第1泳動における候補分子3a、3b、3c、3d及び3eの泳動距離と、第2泳動における標的化合物5と結合していない候補分子3a、3b、3c、3d及び3eの泳動距離は同じである。したがって、第2泳動後の標的化合物5と結合していない候補分子3a、3b、3c、3d及び3eそれぞれからなるバンド6f、6g、6h、6i及び6jは、図4の(e)に示すように一直線上に並ぶ。以下、このようなバンド6f、6g、6h、6i及び6jをつなぐ1つの直線を「直線L」と称する。第1泳動の泳動方向が図4(e)における左側から右側へ向かう方向であり、第2泳動の泳動方向が上側から下側へ向かう方向であれば、直線Lは右肩下がりの直線となる。
一方で、バンド6k及び6lは第2泳動の泳動方向に分離されることから直線Lから外れている。複合体からなるバンドの泳動距離は、用いる標的化合物や電気泳動法の種類によって、バンド6kのようにバンド6gよりも長くなる場合もあり、バンド6lのようにバンド6iよりも短くなる場合もある。
以上のことから、第2泳動後の第2のゲル8上で第2泳動の泳動方向に分離された複数のバンドに分離された候補分子3b及び3dを、標的化合物5を捕捉する分子プローブと決定することができる。
第2の実施形態に係る方法によれば、同じ電気泳動法により二次元電気泳動を行うため、標的化合物5と結合していない候補分子からなるバンドを直線L上に配置することが可能である。そして、標的化合物5と結合した候補分子3のバンドは、直線Lの長手方向ではなく第2泳動の泳動方向に分離される、あるいは広がるため、非常に容易に識別できる。故に標的化合物が低分子化合物であっても複数のバンドが形成されたことを容易に識別でき、分子プローブを決定することができる。また、このような方法によれば標的化合物を修飾したり固定したりすることがないため、適切な分子プローブを正確に決定することが可能である。故に標的化合物が低分子化合物であっても、分子プローブを正確に決定することができる。
第1泳動及び第2泳動は、第1の実施形態で説明した何れかの電気泳動法により行うことができる。
第1のゲル1は、用いる電気泳動法に従って選択された第1の実施形態で説明した何れかのゲルを用いることができる。第2のゲル8は、第1のゲル1と同じ組成のゲルである。第1泳動及び第2泳動は、二次元電気泳動が可能な大きさの1つゲルを用いて連続して行ってもよい。
候補分子3として、第1の実施形態で説明した何れかのものを用いることができる。候補分子は、第1の実施形態と同様に光学的に観察可能に標識することが可能である。あるいは第1の実施形態と同様に、電気泳動を行った後に、候補分子を標識しても構わない。
1つの溶液4には数種類〜百万種類以上の候補分子3を含めることができる。例えば、候補分子3が核酸アプタマーの場合、蛍光標識で検出するためには1種類あたり10億個程度の分子数が必要となるが、百万種類の核酸配列、すなわち総計10^15個の核酸であれば、ひとつのゲルで電気泳動を行うことが出来る。あるいは1種類あたりの分子数が少なくても直線Lは検出できるため、最大で10^15種類の核酸配列を含めることもできる。これは25塩基長の核酸配列のすべての組み合わせの数に相当する。ただし、この場合には、直線Lから離れたバンドは分子数が少なすぎて光学的に検出することが出来ないため、直線L以外の部分から盲目的に分子を回収することになる。回収した分子は、その後、PCR等の手法で増幅し、必要に応じて再度電気泳動を実施する。溶液4の溶媒は、例えば、第1の実施形態と同様のものを用いることができる。溶液4は実施形態の方法の各工程に悪影響を及ぼす物質を含まない組成である。さらに、溶液4は、候補分子3が分子プローブとして使用される際の溶媒と同じ組成とすることもできる。
標的化合物5を含む試薬として、第1の実施形態と同様のものを用いることができる。該試薬が液体である場合、第1泳動後の第1のゲル1上のバンド6a、6b、6c、6d及び6eが存在する箇所を含む領域に液体試薬を滴下するなどして接触させればよい。該試薬が気体である場合、該気体試薬で満たした容器に第1のゲル1及び第2のゲル8を結合したものを入れて第2泳動を行えばよい。あるいは、標的化合物5を入れた容器に、第1のゲル1及び第2のゲル8を結合したものを入れて第2泳動を行うこともできる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る方法は、複数種類の候補分子を用いて分子プローブを決定する方法である。この例においては、第1泳動の前に標的化合物を候補分子と接触させる。
図5は、第3の実施形態に従う分子プローブの決定方法の概略フローを示す図である。該方法は以下の工程を含む。(S21)複数種類の候補分子に標的化合物を接触させ、それをゲル上で電気泳動処理すること(第1泳動)、(S22)第1泳動後のゲルにおいて候補分子から標的化合物を解離させ、ゲル上の複数の候補分子を第1泳動の泳動方向と直行する方向に電気泳動処理すること(第2泳動)、及び(S23)第2泳動後のゲル上で、第1泳動の泳動方向に、複数のバンドに分離された候補分子、あるいは第1泳動の泳動方向にバンドが広がった候補分子を、標的化合物を捕捉する分子プローブと決定すること。
以下、上記各工程を行うことによって標的化合物を捕捉する分子プローブを決定できる原理について図6を用いて説明する。図6は、第2の実施形態の方法の工程を示す模式図である。
まず、複数種類の候補分子3を含む溶液4を用意する。溶液4は5種類の候補分子3a、3b、3c、3d及び3eを含む。
まず、溶液4と標的化合物5とを図6(a)に示す第1のゲル1の一方の端に形成された凹部(図示せず)に添加する(図6の(b))。それによって候補分子3a、3b、3c、3d及び3e及び標的化合物5を接触させる。接触によって標的化合物5と結合する候補分子3b及び3dは、その一部が標的化合物5と結合して、それぞれ複合体7b及び7dを形成する。他の候補分子3b及び3dは標的化合物5と結合しないままである。あるいは、結合状態の7b、7dと非結合状態の3d、3dとの間を遷移する。
その後、凹部に添加された混合物を電気泳動する(第1泳動)(図6(c))。第1泳動の泳動方向は、第1のゲル1の溶液4及び標的化合物を添加した凹部から他方の端に向かう方向である。
第1泳動によって、標的化合物5と結合しない候補分子3a、3b、3c、3d及び3eはそれぞれ、バンド6a、6b、6c、6d及び6eに分離される。また、複合体7b及び7dは、それぞれバンド60b及び60dに分離される。あるいは、複合体7b、7dを形成している時間に応じて、バンド60bと6bの間、及びバンド60dと6dの間にブロードにバンドが広がる。バンド60b及び60dの泳動距離は、用いる標的化合物や電気泳動法の種類によって、バンド60bのようにバンド6bよりも長くなる場合もあり、バンド60dのようにバンド6dよりも短くなる場合もある。
次に、第1のゲル1において候補分子3b及び3dから標的化合物5を解離させる(図6の(d))。
次に、図6の(e)に示すように、第1のゲル1の長手方向の側面を第2のゲル8の端に結合する。そして、第1泳動の泳動方向と直交する方向に電気泳動処理する(第2泳動)。第2泳動は、第1泳動と同じ電気泳動法を用いて行われる。第2泳動の泳動方向は、第2のゲル8の、第1のゲル1を結合させた端から他方の端に向かう方向である。
第2泳動によって、バンド6a、6b、6c、6d及び6e、並びにバンド60b及び60dはそれぞれ、泳動方向に向かって移動する。第1泳動と第2泳動とは同じ電気泳動法を用いて行われることから、標的化合物5と結合しなかった候補分子3a、3b、3c、3d及び3eの泳動距離は、第1泳動と第2泳動とで同じである。したがって、バンド6a、6b、6c、6d及び6eをそれぞれ第2泳動した後のバンド6f、6g、6h、6i及び6jは、図4の(d)に示すように一直線上に並ぶ。
一方、バンド60b及び60dは、第1泳動ではバンド6b及び6dと異なる位置に分離されたが、第2泳動時は標的化合物5と結合していない候補分子3b及び3dから構成されるため、バンド6g及び6iと同じ距離泳動される。即ち、図6の(e)のバンド6k及び6lの位置まで泳動される。
したがって、第2泳動後、候補分子3b及び3dはそれぞれ、第1の泳動方向に、複数のバンドに分離されることとなる。あるいはバンド60b、60dが、バンド6b、6dとの間にブロードに広がっていた場合には、第2電気泳動後のバンドは、6gと6kの間、および6lと6iの間にブロードに広がる。故に、第1の泳動方向に複数のバンドに分離された、あるいは第1泳動方向にバンドが広がった候補分子3b及び3dを、標的化合物5を捕捉する分子プローブと決定することができる。
第3の実施形態に係る方法によれば、同じ電気泳動法により二次元電気泳動を行うため、標的化合物5と結合していない候補分子からなるバンドを直線L状に配置することが可能である。そして、標的化合物5と結合した候補分子3のバンドは直線Lの長手方向ではなく第1泳動の泳動方向に分離されるため、非常に容易に識別できる。したがって、標的化合物を修飾したり固定したりすることなく、簡単な操作で所望の標的化合物の分子プローブを正確に決定することが可能である。
標的化合物5を含む試薬が液体である場合、工程(S21)の前に試薬と溶液4とを予めに混合し、第1のゲル1に添加してもよい。或いは、第1のゲル1に候補分子3を添加した後、更にそこに試薬を添加してもよい。該試薬が気体である場合、溶液4に気体試薬を吹き込み、ゲルに添加してもよいし、該気体試薬で満たした容器に第1のゲル1を入れて第1泳動を行ってもよい。
工程(S22)における候補分子3からの標的化合物5の解離は、例えば、第1泳動後、所望の時間ゲルを放置する又は標的化合物との結合を解離させる試薬を第1のゲル1に添加する等の方法によって行うことができる。
更なる実施形態において、第2の実施形態及び第3の実施形態に係る方法はそれぞれ、方法の工程(S13)又は(S23)の後に、分子プローブであると決定された候補分子を同定する工程(S14)又は(S24)を更に含んでもよい。そのような分子プローブ決定方法の概略フローを図7、8に示す。
例えば、泳動される位置や並ぶ順番が既知の複数の候補分子を用いる場合は、工程(S13)又は(S23)を行った後の分子プローブと決定された候補分子からなるバンドの泳動した距離やバンドの並ぶ順番から、候補分子を同定してもよい。バンドの泳動距離から同定する場合は、第2泳動で、泳動距離の指標となるバンドを形成する標準試薬を用いてもよい。標準試薬は、第2のゲル8上の候補分子3のバンドに影響を与えない位置で一緒に電気泳動される。
或いは、候補分子の泳動される位置や並ぶ順番が未知の場合は、工程(S14)又は(S24)は例えば次のように行われる。まず第2泳動後のゲルから、分子プローブであると決定された候補分子からなるバンドを含むゲル片を切り出す。次に、ゲル片から候補分子を抽出し、候補分子の種類に従って選択される何れかの公知の分析方法を用いて候補分子を同定する。
例えば候補分子が核酸である場合は、ゲル片から候補分子である核酸を抽出し、増幅し、配列決定する。或いは、タンパク質又はペプチドである場合、ゲル片から候補分子を抽出し、タンパク質又はペプチドを同定するための公知の方法により分析する。候補分子がタンパク質又はペプチドである場合は、同定工程が核酸よりも煩雑であるため、候補分子を同定する必要のない第1の実施形態の方法を採用することが好ましい。
標的化合物5に対して結合能を有する候補分子3と標的化合物5とが接触した際、上記したように非常に高い確率で標的化合物5と結合しない候補分子3が存在する。しかしながら、ほとんどの候補分子3が標的化合物5と結合し、標的化合物5と結合していない候補分子3のバンドの観察が困難である場合もあり得る。そのような場合の分子プローブ決定方法について図9を用いて説明する。
図9の(a)は、第2の実施形態における工程(S12)の第2泳動後の第2のゲル8を示す。この例では、候補分子3bがほとんどの分子が標的化合物5と結合し、候補分子3bからなるバンド6hが観察しづらい場合を示す。この場合、標的化合物5と結合した候補分子3bからなるバンド6kは、分離されていないバンド6f、6h及び6jをつなぐ直線Lから第2泳動の泳動方向に外れた位置に存在している。このように直線Lから外れたバンドを生じる候補分子3を分子プローブと決定することができる。
図9の(b)は、第3の実施形態における工程(S22)の第2泳動後の第2のゲル8を示す図である。この例においても、分離されていないバンド6f、6h及び6jをつなぐ直線Lから第1泳動の泳動方向に外れたバンドを生じる候補分子3を分子プローブと決定することができる。
直線Lは、例えば、分離されないバンド(例えば、6f、6h又は6j)が2つ以上ある場合、それらをつなぐ直線と決定することができる。或いは、標的化合物と結合する候補分子であっても、標的化合物と結合しない泳動距離でのバンドが出る可能性があるが、そのバンドを直線Lの決定に用いてもよい。
また、第2及び第3の実施形態の方法で、多種類の候補分子を用いる場合は、第2泳動後、標的化合物5と結合しない、即ち分離されない候補分子3からなるバンドが隙間なく並び、それ自体が直線のように観察される場合もある。
そのような例を図10に示す。その場合、第2のゲル8上の観察された直線9から外れた位置に観察されるバンド6kに含まれる候補分子3bを、標的化合物を捕捉する分子プローブと決定することができる。バンド6kは、第2の実施形態の場合第2の泳動方向に外れ、第3の実施形態の場合は第1の泳動方向に外れる。あるいは前記実施形態同様に、候補分子3bと標的化合物5との結合時間の分布に応じて、バンド6kは、第2の実施形態の場合第2の泳動方向に直線として広がり、第3の実施形態の場合は第1の泳動方向に直線として広がる。したがって、一度に多くの候補分子3を用いても標的化合物5と結合した候補分子3を識別することが可能である。
なお、前記実施例において、分子プローブを決定すると説明してきたが、必ずしも最終確定することを意味していない。例えば、分子プローブの有力候補として複数の候補分子が抽出される可能性がある。その場合には、必要に応じて、他の解析手法や評価手法を実施してもよいし、再度前記実施例の方法でより大きな変化を起こす候補分子やより明瞭な変化を起こす候補分子を選んでもよい。また候補分子が核酸の場合には、PCR等の手法で増幅してから、再度前記実施例の方法で分子プローブの候補を決定してもよい。あるいは、他種類の候補分子を、第2あるいは第3の実施形態で少数の候補分子に絞り込んだ後、第1の実施形態で最終決定しても構わない。
また、候補分子が一本鎖核酸の場合、立体構造が不安定で、標的化合物が存在しない状態でもバンドが分離したり、広がったりする場合がある。このような現象は、候補分子を分子プローブとして用いた際にも、ノイズの原因となる可能性があり好ましくないため、例えば、分離や広がりの生じない条件(例えば温度や塩濃度、pHなど)を、事前に標的化合物がない状態で見つけてから、上記実施形態の方法で分子プローブの決定を行うことが出来る。またここで事前確認した条件は、分子プローブとして標的化合物を検出する際の条件としても利用することができる。あるいは、立体構造が不安定な候補分子を事前に削除することも可能である。例えば、事前に標的可能物が存在しない状態で2次元電気泳動を行い、直線L上に並んだ候補分子だけを回収して、本実施形態の電気泳動を実施すればよい。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
標的化合物を捕捉する分子プローブを決定する方法であって、
(i)1種類の候補分子に標的化合物を接触させ、得られた混合物をゲル上で電気泳動
処理すること、及び
(ii)前記電気泳動後の前記ゲル上で、前記候補分子が複数のバンドに分離された場
合、前記候補分子を、前記標的化合物を捕捉する分子プローブと決定すること
を含む分子プローブの決定方法。
[2]
標的化合物を捕捉する分子プローブを決定する方法であって、
(i)複数種類の候補分子をゲル上で電気泳動処理すること(第1泳動)、
(ii)前記第1泳動後の前記ゲル上の前記複数種類の候補分子に前記標的化合物を接触させ、得られた前記ゲル上の混合物を前記第1泳動の泳動方向と直行する方向に電気泳動処理すること(第2泳動)、及び
(iii)前記第2泳動後のゲル上で、前記第2泳動の泳動方向に、複数のバンドに分離された前記候補分子を、前記標的化合物を捕捉する分子プローブと決定すること
を含み、
前記第1泳動と前記第2泳動とは、同じ電気泳動法で行われる
分子プローブの決定方法。
[3]
前記工程(iii)において、前記複数のバンドに分離された前記候補分子は、分離されない前記候補分子からなるバンドをつなぐ直線から前記第2泳動の泳動方向に外れている前記候補分子である
[2]に記載の決定方法。
[4]
標的化合物を捕捉する分子プローブを決定する方法であって、
(i)複数種類の候補分子に前記標的化合物を接触させ、得られた混合物をゲル上で電気泳動処理すること(第1泳動)、
(ii)前記第1泳動後の前記ゲルにおいて前記候補分子から前記標的化合物を解離させ、前記ゲル上の前記複数の候補分子を前記第1泳動の泳動方向と直行する方向に電気泳動処理すること(第2泳動)、及び
(iii)前記第2泳動後の前記ゲル上で、前記第1泳動の泳動方向に、複数のバンドに分離された前記候補分子を、前記標的化合物を捕捉する分子プローブと決定すること
を含み、
前記第1泳動と前記第2泳動とは、同じ電気泳動法で行われる
分子プローブの決定方法。
[5]
前記工程(iii)において、前記複数のバンドに分離された前記候補分子は、分離されない前記候補分子からなるバンドをつなぐ直線から前記第1泳動の泳動方向に外れている前記候補分子である[4]に記載の決定方法。
[6]
前記分子プローブと決定された前記候補分子を同定することを更に含む、[2]〜[5]の何れか1つに記載の方法。
[7]
前記標的化合物は、低分子化合物である[1]〜[6]の何れか1つに記載の方法。
[8]
前記標的化合物は、気体である[1]〜[7]の何れか1つに記載の方法。
[9]
前記候補分子は、蛍光色素、染料又は放射性同位体で標識されている[1]〜[8]の何れか1つに記載の方法。
[10]
前記電気泳動は、等電点電気泳動法又はネイティブ電気泳動法によって行われる[1]〜[9]の何れか1つに記載の方法。
1…第1のゲル
3…候補分子
4…溶液
5…標的化合物
6a,6b,6c,6d,6e,6f,6g,6h,6i,6j,6k,6l…バンド
8…第2のゲル
60b,60d…バンド

Claims (9)

  1. 標的化合物を捕捉する分子プローブを決定する方法であって、
    (i)複数種類の候補分子をゲル上で電気泳動処理すること(第1泳動)、
    (ii)前記第1泳動後の前記ゲル上の前記複数種類の候補分子に前記標的化合物を接触させ、得られた前記ゲル上の混合物を前記第1泳動の泳動方向と直交する方向に電気泳動処理すること(第2泳動)、及び
    (iii)前記第2泳動後のゲル上で、前記第2泳動の泳動方向に、複数のバンドに分離された前記候補分子を、前記標的化合物を捕捉する分子プローブと決定すること
    を含み、
    前記第1泳動と前記第2泳動とは、同じ電気泳動法で行われる
    分子プローブの決定方法。
  2. 前記工程(iii)において、前記複数のバンドに分離された前記候補分子は、分離されない前記候補分子からなるバンドをつなぐ直線から前記第2泳動の泳動方向に外れている前記候補分子である
    請求項1に記載の決定方法。
  3. 標的化合物を捕捉する分子プローブを決定する方法であって、
    (i)複数種類の候補分子に前記標的化合物を接触させ、得られた混合物をゲル上で電気泳動処理すること(第1泳動)、
    (ii)前記第1泳動後の前記ゲルにおいて前記候補分子から前記標的化合物を解離させ、前記ゲル上の前記複数の候補分子を前記第1泳動の泳動方向と直交する方向に電気泳動処理すること(第2泳動)、及び
    (iii)前記第2泳動後の前記ゲル上で、前記第1泳動の泳動方向に、複数のバンドに分離された前記候補分子を、前記標的化合物を捕捉する分子プローブと決定すること
    を含み、
    前記第1泳動と前記第2泳動とは、同じ電気泳動法で行われる
    分子プローブの決定方法。
  4. 前記工程(iii)において、前記複数のバンドに分離された前記候補分子は、分離されない前記候補分子からなるバンドをつなぐ直線から前記第1泳動の泳動方向に外れている前記候補分子である請求項3に記載の決定方法。
  5. 前記分子プローブと決定された前記候補分子を同定することを更に含む、請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
  6. 前記標的化合物は、低分子化合物である請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
  7. 前記標的化合物は、気体に含まれる請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
  8. 前記候補分子は、蛍光色素、染料又は放射性同位体で標識されている請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
  9. 前記電気泳動は、等電点電気泳動法又はネイティブ電気泳動法によって行われる請求項1〜8の何れか1項に記載の方法。
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