JPH11248679A - キャピラリーゾーン電気泳動装置 - Google Patents

キャピラリーゾーン電気泳動装置

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JPH11248679A
JPH11248679A JP10062291A JP6229198A JPH11248679A JP H11248679 A JPH11248679 A JP H11248679A JP 10062291 A JP10062291 A JP 10062291A JP 6229198 A JP6229198 A JP 6229198A JP H11248679 A JPH11248679 A JP H11248679A
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JP
Japan
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peak
capillary
mic
charge amount
function
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JP10062291A
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English (en)
Inventor
Tetsuro Iwata
哲朗 岩田
Jun Koshobu
純 小勝負
Yasuyuki Kurosu
泰行 黒須
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Jasco Corp
Original Assignee
Jasco Corp
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Publication date
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Publication of JPH11248679A publication Critical patent/JPH11248679A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明はキャピラリーゾーン電気泳動装置か
ら得られるエレクトロフェログラムの表記方法を改良す
ることによって泳動時間の再現性の向上、及び定性定量
精度を向上できる装置を提供することを目的とする。 【解決手段】 二つの電極槽内の緩衝溶液間を連通する
キャピラリー10と、二つの電極槽内の緩衝溶液間に電
位差を生じさせる電圧供給手段4と、前記キャピラリー
10において分離された試料を検出する検出手段12
と、前記緩衝溶液に流れる電流を検出する電流検出手段
14と、前記電流検出手段14の出力を、時間で積分し
電荷量に変換し、前記検出手段12の出力を前記電荷量
の関数としてエレクトロフェログラムを作成する演算手
段20を備えたことを特徴とするキャピラリーゾーン電
気泳動装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、キャピラリーゾー
ン電気泳動装置、特にリテンションタイムの再現性、及
び成分の定性定量分析精度の向上に関する。
【0002】
【従来の技術】液体中にあるコロイド粒子や浮遊粒子に
電場を与えた場合に粒子が移動する現象を電気泳動と言
い、電気泳動法はこの現象を応用して、溶液中の荷電粒
子の分離分析を行うものである。電気泳動法は、移動界
面電気泳動法とゾーン電気泳動法に大別され、さらにゾ
ーン電気泳動法は、毛細管を用いたキャピラリー電気泳
動法と平盤な支持体を用いた支持体ゾーン電気泳動法に
分類される。
【0003】キャピラリー電気泳動法には、キャピラリ
ー等速電気泳動法、等電点電気泳動法、ゲル電気泳動
法、動電クロマトグラフィー、キャピラリーゾーン電気
泳動法などがあり、これらは、試料を直接検出できる、
泳動管の再使用が可能、揮発性試料の分析が可能などの
利点があり、今後の発展が期待されている。この中で、
キャピラリーゾーン電気泳動法は、質量感度、分離効
率、解析における速さに於いて他の分離技術よりも優れ
ていると言われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、キャピラリー
ゾーン電気泳動法には、濃度感度を向上するために注入
体積及び泳動時間の再現性を改良しなければならないと
いう克服すべき問題があった。これらは従来、キャピラ
リーゾーン電気泳動装置を用いて得られたエレクトロフ
ェログラムを、縦軸に検出器によって得られた検出出力
をとり、横軸に時間をとることによっていたために、緩
衝溶液への印加電圧、キャピラリーの長さ、キャピラリ
ーの内径、及び溶液の粘性係数の温度依存性によって、
検出される泳動時間が異なってしまい、このため泳動時
間の再現性が悪化してしまい、結果として定性定量分析
の精度を落としてしまうというものであった。
【0005】本発明は上記課題に鑑みなされたものであ
り、キャピラリーゾーン電気泳動装置から得られるエレ
クトロフェログラムの表記方法を改良することによって
泳動時間の再現性の向上、及び定性定量精度を向上でき
る装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明にかかるキャピラリーゾーン電気泳動装置
は、二つの電極槽内の緩衝溶液間を連通するキャピラリ
ーと、二つの電極槽内の緩衝溶液間に電位差を生じさせ
る電圧供給手段と、前記キャピラリーにおいて分離され
た試料を検出する検出手段と、前記緩衝溶液に流れる電
流を検出する電流検出手段と、前記電流検出手段の出力
を、時間で積分し電荷量に変換し、前記検出手段の出力
を前記電荷量の関数としてエレクトロフェログラムを作
成する演算手段を備えたことを特徴とする。
【0007】また本発明において、前記検出出力と電荷
量の関数として得られたエレクトロフェログラムから分
離ピークの面積を算出し、ピーク面積で定量を行うこと
が好適である。また本発明において、緩衝溶液に中性マ
ーカー試料を導入することによって、前記検出出力と電
荷量の関数から、試料の検出ピークにおける電荷量と、
中性マーカーの検出ピークにおける電荷量を導き出し、
前記二つの電荷量から規格化された泳動指標(AMI)
を計算することが好適である。
【0008】
【発明の実施形態】本発明を為すに至る背景には、Ye
ungとLeeによってキャピラリーゾーン電気泳動法
に取り入れられた、MI(migration ind
ex)とAMI(adjusted migratio
n index)がある。
【0009】キャピラリーゾーン電気泳動法におけるネ
ット(正味の)泳動速度νmは、電気浸透流速度を
νeo、試料の電気泳動速度をνaとすると、 νm=νeo+νa と表され、これらはさらに、
【数1】 と表される。ここでεは電極間に存在する物質の誘電
率、Eは、印加電圧V、キャピラリーの全長Lによっ
て、E=V/Lで表される電界強度、ηは粘性係数、ζ
cは、キャピラリー内壁のζポテンシャル、ζaは試料の
ζポテンシャル、κは試料の電気的二重層厚さの逆数、
aは試料半径、そしてf(κa)は、緩衝液中の試料の
外形とκaに依存する関数である。
【0010】そして、泳動時間tmは、
【数2】 と表される。電流と電場の関係から、E=i/k(iは
電流密度、kは伝導率)が成り立つから、(2)式及び
(1)式から、
【数3】 と変形できる。xはキャピラリーの軸方向距離、tは時
間である。そしてkηはワルデン積と呼ばれる積であ
り、この積は、適当な条件下では、温度依存性が非常に
小さくなることが報告されている。
【0011】ワルデンの法則を受け入れ、MIを、
【数4】 ように定義する。すると、(5)式からMIは、ζ
cと、ζaf(κa)に依存していることがわかる。
【0012】本発明者は、(4)式から、MIは、電荷
量に比例することを見出し、この電荷量をMIC(mi
gration index with quanti
taty of electric charge)と
名付けた。さらにMICは、キャピラリー内を通る電流
を一定時間間隔で検出し、積分することによって容易に
計算できるものであることを見出した。
【0013】さらに本発明者らが定義したMICによっ
て、YeungとLeeが提唱したAMIは、次のよう
に表せる。
【数5】 ここで、MICeoとは、中性マーカー試料のMIC値で
あり、次式によって与えられる。
【数6】 式(7)からわかるように、AMIは、試料の性質によ
って決まるζaf(κa)にのみに依存していることが
理解できる。
【0014】MIを使用すると、印加電圧、キャピラリ
ー長、キャピラリー内径、緩衝溶液の粘性係数とその温
度依存性の影響をキャンセルすることができ、さらに中
性マーカーを導入し、AMIを使用すればキャピラリー
管壁と緩衝溶液管のζポテンシャルの影響もキャンセル
される。
【0015】本発明者は、使用するキャピラリーゾーン
電気泳動装置を同一にすると言う前提で、通常は横軸が
時間でプロットされるエレクトロフェログラムを、電荷
量でプロットすることを提案した。前述したように電荷
量とMIは比例関係にあり、同一のキャピラリー電気泳
動装置を使用する限り電荷量とMIは同様の意味を持
つ。従って印加電圧、キャピラリー長、キャピラリー内
径、緩衝溶液の粘性係数とその温度依存性の影響をキャ
ンセルすることができるため、定性定量分析の精度の向
上が期待される。以上のような理論に基づき、本発明者
らの鋭意研究の結果、本発明を為すに至ったものであ
る。
【0016】以下、実施例を用いて本発明をさらに詳し
く説明する。
【実施例】図1は、本発明による一実施例を示した装置
概要図である。このキャピラリーゾーン電気泳動装置2
は、キャピラリーカラム10を介して連通された二つの
電極槽である容器6、8内の緩衝溶液に電位差を生じさ
せる電圧供給手段としての高電圧電源4、緩衝溶液中の
混合された試料を分離する分離手段としてのキャピラリ
ーカラム10、分離手段において分離された試料を検出
する検出手段としてのUV検知器12と、緩衝溶液に流
れる電流値を検出する電流検出手段としての電流計1
4、検出手段及び電流検出手段からの出力を時分割で取
り込み可能にするマルチプレクサー16と、アナログ信
号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換器
18、演算手段であるコンピューター20を備える。
【0017】高電圧電源4は電極の一端を容器6内に、
他端を容器8内に浸漬されることによって両容器6、8
内の緩衝溶液に電位差を与える。容器6、容器8内の緩
衝溶液はキャピラリーカラム10を介して連通されてい
る。このような構成によって電気的ループが形成され、
緩衝溶液に電流が流れる。緩衝溶液に流れる電流は、前
記ループにおいて容器8内に浸漬された電極と高電圧電
源4との間の導線に取り付けられた電流計14によって
測定される。測定対象となる混合試料はキャピラリーカ
ラム10の高電圧電源のプラス側に注入され、緩衝溶液
に生じた電気浸透流のもとで、それぞれの試料の移動度
の差異から分離され、キャピラリーカラム10に取り付
けられたUV検出器12によって検出される。
【0018】電流計14によって測定された電流値とU
V検出器12によって検出された検出出力は、マルチプ
レクサー16によってほぼ同時にアナログ−デジタル変
換器18を通してデジタル信号に変換されコンピュータ
ー20に送信される。コンピューター20は、電流値と
時間から電荷量を算出し、さらに時間の関数である検出
出力を、電荷量の関数に変換し、検出出力と電荷量の関
数のエレクトロフェログラムを作成する。
【0019】また、コンピューター20は、電荷量の関
数として得られたエレクトロフェログラムから分離ピー
クの面積を算出し、ピーク面積で定量を行うこと、また
緩衝溶液に中性マーカー試料を導入することによって、
検出出力と電荷量の関数から、試料の検出ピークにおけ
る電荷量と、中性マーカーの検出ピークにおける電荷量
を導き出し、二つの電荷量からAMIを計算することも
できるようにもプログラムされている。
【0020】この装置を用いてベンジルアルコール(B
A)、ピリドキサール(PL)、アデノシン−5’−一
リン酸(AMP)、ピリドキサミン(PM)、アデノシ
ン3’:5’−環状一リン酸(c−AMP)を混合した
試料を用いて実験を行った。使用した水は、脱イオン化
された蒸留水を用い、緩衝液は、pH8.0のリン酸ナ
トリウムを用いた。
【0021】この電気泳動装置2は、完全に自動化され
ており、キャピラリーカラムは、外径375μm、内径
50μm、全長60cm(有効長Leff=45cm)の
未溶解シリカキャピラリーを使用している。キャピラリ
ーカラム10は、使用に先立ち、2000mbar下で
1分間緩衝液に浸けられ、次いで1分間0.1M水酸化
ナトリウム溶液に浸けられ、再び1分間緩衝液に浸けら
れて、さらに30秒間5kVの電圧下で使用するという
標準洗浄過程を四度繰り返してある。さらに実験前、及
び実験の合間にもその標準洗浄過程を繰り返した。実験
中には、容器6、8の温度を10℃に保った。そして、
キャピラリーカラム10の有効長45cmの内のおよそ
20cmを35℃から60℃の間で一定温度に保てるよ
うに調整できるようになっている。ピークの検出には、
JASCO製のUV/VIS(紫外線−可視光)検知器
CE−970(12)を使用した。
【0022】データ収集は、システムからの混合試料注
入信号によって開始され、0.1秒ごとにコンピュータ
20にデータが取り込まれるようになっている。試料の
注入はハイドロダイナミックコンプレッション法によっ
て行った。その条件は20mbar、6秒間である。試
料のそれぞれの濃度は、2%(v/v)(BA)、0.
83mg/ml(PL)、0.33mg/ml(AM
P)、2.5mg/ml(PM)、0.33mg/ml
(c−AMP)であった。
【0023】[実験1]実験1では、キャピラリー温度
を35℃に保ったまま、キャピラリーカラム間の印加電
圧を5kVから30kVまで5kVごとに変化させた。
実験によって、現れたピークごとに、測定された泳動時
間tmと分離ピークから計算されたMIC値を印加電圧
ごとにまとめたものが次の表1である。
【表1】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ピーク1 ピーク2 ピーク3 ピーク4 ピーク5 電圧 tm MIC tm MIC tm MIC tm MIC tm MIC ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 30 86 0.994 92 1.068 115 1.351 136 1.612 181 2.169 30 86 0.996 92 1.069 114 1.341 136 1.616 180 2.166 25 117 0.947 131 1.064 153 1.247 195 1.602 260 2.150 25 117 0.950 131 1.068 153 1.252 195 1.604 260 2.150 20 164 0.925 190 1.073 214 1.211 284 1.615 380 2.167 20 164 0.925 188 1.070 213 1.214 282 1.614 378 2.171 15 250 0.940 289 1.088 324 1.221 435 1.643 587 2.222 15 252 0.945 291 1.092 327 1.228 438 1.649 592 2.232 10 386 0.924 454 1.088 503 1.206 683 1.641 918 2.210 10 393 0.923 463 1.088 512 1.204 699 1.648 940 2.221 5 775 0.905 923 1.073 1011 1.180 1388 1.618 1855 2.160 5 771 0.906 913 1.078 1003 1.179 1371 1.613 1827 2.192 RSD 74.5% 3.0% 76.5% 0.9% 74.4% 4.1% 76.6% 1.0% 76.4% 1.3% ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0024】なお表1の電圧とは、印加電圧を示してお
り、tmの単位はsec、MICの単位は×10-2Cで
ある。またそれぞれのピークは、ピーク1がPM、ピー
ク2がBA、ピーク3がPL、ピーク4がc−AMP、
ピーク5がAMPによるものである。そして、印加電圧
の最下段にあるRSDは、それぞれのピークのtm、M
ICの相対標準偏差である。
【0025】表1を見てわかるとおり、それぞれどのピ
ークを見ても印加電圧が変わると、泳動時間tmも大き
く変わってしまっており相対標準偏差も75%近くに及
んでいるが、MICにおいては、印加電圧を変えてもな
お、ほぼ一定の値を得ることができており、相対標準偏
差も5%以下になっている。
【0026】さらに図2にはこの実験によって得られた
エレクトロフェログラムが時間の関数で示されており、
図3には、実験中、図2のデータと同時に収集された電
気泳動電流の変動が時間の関数で示されている。この二
つの図を見ると印加電圧が増加するに従って、電流値が
増加しており、泳動時間も短くなっていることが見て取
れる。
【0027】図4には、図2、3に示されたデータを使
うことによって、式(4)に従って横軸がMICに変形
されたエレクトロフェログラムが示されている。これを
見ると印加電圧に影響されることなく、どのピークもだ
いたい符合していることがわかる。よって印加電圧に対
する定性分析の精度が向上されているのがわかる。
【0028】次に、それぞれのピークについて、時間の
関数で示されたエレクトロフェログラム、MICの関数
で示されたエレクトロフェログラムからピーク面積を計
算した。その結果を示したものが次の表2である。
【表2】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ピーク1 ピーク2 ピーク3 ピーク4 ピーク5 電圧 A(tm) A(MIC) A(tm) A(MIC) A(tm) A(MIC) A(tm) A(MIC) A(tm) A(MIC) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 30 1.52 1.862 0.86 1.054 1.24 1.534 2.55 3.130 3.05 3.764 30 1.53 1.873 0.96 1.178 1.27 1.569 2.11 2.629 2.71 3.398 25 2.24 1.866 1.55 1.288 1.70 1.425 3.59 3.016 4.50 3.824 25 2.22 1.849 1.30 1.106 1.71 1.417 3.28 2.757 4.43 3.716 20 3.37 1.923 2.18 1.257 2.12 1.215 4.99 2.871 6.33 3.650 20 3.31 1.908 2.31 1.332 2.05 1.193 4.92 2.867 6.32 3.680 15 4.49 1.697 3.09 1.174 3.52 1.333 7.77 2.966 9.53 3.645 15 4.98 1.877 3.03 1.144 3.62 1.360 7.30 2.761 9.64 3.646 10 7.27 1.743 5.13 1.231 5.13 1.241 11.95 2.883 15.56 3.753 10 7.59 1.793 5.37 1.270 5.49 1.293 12.47 2.967 16.33 3.917 5 15.67 1.819 11.35 1.322 11.54 1.336 26.96 3.112 34.04 3.945 5 16.15 1.902 10.69 1.218 11.55 1.350 26.52 3.175 34.85 4.111 RSD 77.8% 5.5% 81.7% 6.7% 80.1% 9.4% 81.5% 6.0% 81.9% 4.7% ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0029】なお表2の電圧とは、表1同様、印加電圧
を示しており、A(tm)が時間の関数で示されたエレ
クトロフェログラムからのピーク面積、A(MIC)が
MICの関数で示されたエレクトロフェログラムからの
ピーク面積である。この表2におけるA(MIC)の値
は、すべて×10-4が省略されているので注意された
い。印加電圧の最下段にあるRSDは、それぞれのピー
クのA(tm)、A(MIC)の相対標準偏差である。
【0030】表2を見てわかるとおり、それぞれどのピ
ークを見ても印加電圧が変わると、泳動時間tmが表す
ピーク面積も大きく変わってしまっており相対標準偏差
も80%越えるものがほとんどであるが、MICが表す
ピーク面積は、印加電圧を変えてもなお、ほぼ一定の値
を得ることができており、相対標準偏差も10%以下に
なっている。このことから印加電圧変動に対する定量分
析の精度が向上されているのがわかる。
【0031】さらに、式(7)によってピーク2を中性
マーカーとして使い、それぞれのAMIの値を計算した
ものが次の表3である。
【表3】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ピーク1 ピーク3 ピーク4 ピーク5 電圧 AMI AMI AMI AMI ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 30 1.443×10-1 -5.095×10-2 -3.166×10-2 -2.104×10-2 30 1.446×10-1 -5.276×10-2 -3.162×10-2 -2.112×10-2 25 8.628×10-2 -7.227×10-2 -3.165×10-2 -2.105×10-2 25 8.645×10-2 -7.244×10-2 -3.191×10-2 -2.121×10-2 20 6.676×10-2 -9.441×10-2 -3.203×10-2 -2.127×10-2 20 7.155×10-2 -9.005×10-2 -3.170×10-2 -2.108×10-2 15 6.927×10-2 -1.002×10-1 -3.223×10-2 -2.132×10-2 15 7.009×10-2 -9.852×10-2 -3.233×10-2 -2.138×10-2 10 6.155×10-2 -1.111×10-1 -3.228×10-2 -2.142×10-2 10 6.076×10-2 -1.130×10-1 -3.201×10-2 -2.132×10-2 5 5.667×10-2 -1.240×10-1 -3.226×10-2 -2.150×10-2 5 5.814×10-2 -1.188×10-1 -3.203×10-2 -2.139×10-2 RSD 36.2% 23.4% 0.9% 0.7% ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ なお表3の電圧とは、前記の表1、2同様、印加電圧を
示している。印加電圧の最下段にあるRSDは、それぞ
れのピークのAMIの相対標準偏差である。
【0032】表3を見てわかるとおり、ピーク4、5に
ついては、MICで得られたものよりも印加電圧の依存
性がさらに除かれており、相対標準偏差も1%以下に抑
えられており、きわめて精度が高い。しかしピーク1、
3についてはMICで得られたものよりも数値のばらつ
きが大きくなり、相対標準偏差については、ピーク1は
30%を越えてしまい、ピーク2は20%を越えてしま
った。この原因は、ピーク1、3は共にピーク2近傍に
出現したため、式(6)の分母であるMICeo−MIC
が0に近づくためと、試料の解離度はキャピラリーカラ
ム内の局部温度変化によって変動するため、緩衝溶液と
試料溶液のpH値が関係しているためと推定される。こ
の温度変化は、印加電圧を高くするほどジュール熱の発
生などによって大きくなる。このようなケースの場合、
試料のζポテンシャルζaが変動し、結果としてMIや
AMIを使うことを無効にしてしまうことが考えられ
る。それでもなお、中性マーカーから離れたピークにつ
いては、格段によい結果が得られることがわかり、これ
らについての定性精度は極めて高いことがわかる。
【0033】[実験2]実験2では、キャピラリーカラ
ム間に印加する電圧を15kVに保ったまま、キャピラ
リー温度を10℃ごとに40℃から60℃に変化させて
実験した。実験によって、現れたピークごとに、測定さ
れた泳動時間tmと分離ピークから計算されたMIC値
を印加電圧ごとにまとめたものが次の表4である。
【表4】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 温度 ピーク1 ピーク2 ピーク3 ピーク4 ピーク5 ℃ tm MIC tm MIC tm MIC tm MIC tm MIC ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 60 210 0.916 243 1.077 275 1.203 365 1.628 486 2.142 50 221 0.907 259 1.065 288 1.186 389 1.609 519 2.154 40 234 0.909 277 1.061 305 1.187 417 1.604 558 2.184 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0034】なお表4の温度とは、キャピラリー温度を
示しており、tmの単位はsec、MICの単位は×1
-2Cである。それぞれのピークは、ピーク1がPM、
ピーク2がBA、ピーク3がPL、ピーク4がc−AM
P、ピーク5がAMPによるものであることは実験1と
同じである。
【0035】表4を見てわかるとおり、それぞれどのピ
ークを見てもキャピラリー温度が変わると、泳動時間t
mも大きく変わってしまっているが、MICにおいて
は、キャピラリー温度を変えてもなお、ほぼ一定の値を
得ることができている。
【0036】さらに図5にはこの実験によって得られた
エレクトロフェログラムが時間の関数で示されており、
図6には、実験中、図2のデータと同時に採取された電
気泳動電流の変動が時間の関数で示されている。この二
つの図を見るとキャピラリー温度が増加するに従って、
電流値が増加しており、泳動時間も短くなっていること
が見て取れる。
【0037】図7には、図5、6に示されたデータを使
うことによって、式(4)に従って横軸がMICに変形
されたエレクトロフェログラムが示されている。これを
見るとキャピラリー温度に影響されることなく、どのピ
ークもだいたい符合していることがわかる。よって温度
変動に対する定性分析の精度が向上されていることがわ
かる。
【0038】次に、それぞれのピークについて、時間の
関数で示されたエレクトロフェログラム、MICの関数
で示されたエレクトロフェログラムからピーク面積を計
算した。その結果を示したものが次の表5である。
【表5】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 温度 ピーク1 ピーク2 ピーク3 ピーク4 ピーク5 ℃ A(tm) A(MIC) A(tm) A(MIC) A(tm) A(MIC) A(tm) A(MIC) A(tm) A(MIC) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 60 4.76 2.108 2.93 1.300 3.18 1.408 7.44 3.308 9.14 4.081 50 4.49 1.876 2.96 1.233 2.84 1.186 7.51 3.143 9.12 3.835 40 4.76 1.863 3.17 1.246 2.95 1.164 7.78 3.064 10.04 3.946 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ なお表5の温度とは、表4同様、キャピラリー温度を示
しており、A(tm)が時間の関数で示されたエレクト
ロフェログラムからのピーク面積、A(MIC)がMI
Cの関数で示されたエレクトロフェログラムからのピー
ク面積である。この表5におけるA(MIC)の値は、
すべて×10-4が省略されているので注意されたい。
【0039】表5を見てわかるとおり、それぞれどのピ
ークを見てもキャピラリー温度が変わると、泳動時間t
mが表すピーク面積も変わってしまっているが、MIC
が表すピーク面積は、キャピラリー温度を変えても、泳
動時間によって表されたピーク面積のものより変化の小
さい値を得ることができている。このことから温度変動
に対する定量精度が向上されているのがわかる。
【0040】さらに、式(7)によってピーク2を中性
マーカーとして使い、それぞれのAMIの値を計算した
ものが次の表6である。
【表6】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 温度 ピーク1 ピーク3 ピーク4 ピーク5 ℃ AMI AMI AMI AMI ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 60 6.665×10-2 -9.014×10-2 -3.138×10-2 -2.103×10-2 50 6.115×10-2 -1.044×10-1 -3.150×10-2 -2.107×10-2 40 5.806×10-2 -1.165×10-1 -3.183×10-2 -2.126×10-2 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ なお表6の温度とは、前記の表4、5同様、キャピラリ
ー温度を示している。
【0041】表6を見てわかるとおり、ピーク4、5に
ついては、MICで得られたものよりも印加電圧の依存
性がさらに除かれており、きわめて精度が高い。しかし
ピーク1、3についてはMICで得られたものよりも数
値のばらつきが大きくなってしまった。この原因につい
ては表3で述べたものと同様である。しかし、中性マー
カーから離れたピークについては、格段によい結果が得
られることがわかり、これらについての定性精度は極め
て高いことがわかる。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
電荷量の関数として表したエレクトロフェログラムを作
成することができることによって、キャピラリーゾーン
電気泳動法の問題点であった、温度依存性や印加電圧、
キャピラリーの長さや、キャピラリー内径による影響を
解消でき、定量定性分析の精度を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による一実施例を示した装置概要図であ
る。
【図2】実験1の結果を、時間の関数で表したエレクト
ロフェログラムである。
【図3】実験1の泳動電流を、時間の関数で表したグラ
フである。
【図4】実験1の結果を、電荷量の関数で表したエレク
トロフェログラムである。
【図5】実験2の結果を、時間の関数で表したエレクト
ロフェログラムである。
【図6】実験2の泳動電流を、時間の関数で表したグラ
フである。
【図7】実験2の結果を、電荷量の関数で表したエレク
トロフェログラムである。
【符号の説明】
2:キャピラリーゾーン電気泳動装置 4:高電圧電源 6、8:容器 10:キャピラリーカラム 12:UV検知器 14:電流計 16:マルチプレクサー 18:アナログ−デジタル変換器 20:コンピューター

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二つの電極槽内の緩衝溶液間を連通する
    キャピラリーと、 二つの電極槽内の緩衝溶液間に電位差を生じさせる電圧
    供給手段と、 前記キャピラリーにおいて分離された試料を検出する検
    出手段と、 前記緩衝溶液に流れる電流を検出する電流検出手段と、 前記電流検出手段の出力を、時間で積分し電荷量に変換
    し、前記検出手段の出力を前記電荷量の関数としてエレ
    クトロフェログラムを作成する演算手段を備えたことを
    特徴とするキャピラリーゾーン電気泳動装置。
  2. 【請求項2】 前記検出出力と電荷量の関数として得ら
    れたエレクトロフェログラムから分離ピークの面積を算
    出し、ピーク面積で定量を行うことを特徴とする請求項
    1記載のキャピラリーゾーン電気泳動装置。
  3. 【請求項3】 緩衝溶液に中性マーカー試料を導入する
    ことによって、前記検出出力と電荷量の関数から、試料
    の検出ピークにおける電荷量と、中性マーカーの検出ピ
    ークにおける電荷量を導き出し、前記二つの電荷量から
    規格化された泳動指標(AMI)を計算することを特徴
    とする請求項1又は2記載のキャピラリーゾーン電気泳
    動装置。
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