JP6903362B1 - 合成宝石用結晶体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体デバイスの製造用として商業的に利用できるSiC単結晶インゴットを用いて、比較的安価で、輝きを有する無色透明な合成宝石を提供する。【解決手段】n型不純物を含むSiC単結晶からなる合成宝石であって、SiC単結晶は、n型不純物の密度よりも多い密度を有する炭素空孔を含み、SiC単結晶は、波長460nmの光吸収係数が2cm−1以下である。【選択図】図9

Description

本発明は、n型不純物を含むSiC単結晶からなる合成宝石用結晶体及びその製造方法に関する。
SiC(炭化珪素)は、半導体デバイスの材料として使用されているが、高い硬度や屈折率を有することから、実用的で、輝きを有する合成宝石としても高く評価されている。
しかしながら、半導体デバイスの製造用として商業的に利用できるSiCウエハの元となるSiC単結晶インゴットは、通常、低抵抗化を図るために、n型不純物である窒素が導入されている。そのため、SiC単結晶は、バンドギャップが広い(Eg=3.26eV)ことから、本来は無色透明であるはずが、n型不純物が導入されたSiC単結晶インゴットでは有色(琥珀色)となる。そのため、このようなSiC単結晶インゴットをカットして作った合成宝石は、本来備えている合成宝石としての価値を十分に発揮することができない。
一方、高純度のSiC単結晶インゴットは、製造が難しく、価格が非常に高くなるため、リーズナブルな価格で合成宝石を提供することが難しい。
特許文献1には、n型不純物が導入されたSiC単結晶に、n型不純物と同程度の密度を有するp型不純物を導入することによって、n型不純物を補償し、これにより、SiC単結晶の無色化を図る方法が開示されている。
特表2000−503968号公報
特許文献1に開示された方法は、n型不純物が導入されたSiC単結晶を無色化することはできるが、n型不純物と同程度の密度のp型不純物を、成長するSiC単結晶全体に再現性よく導入することは技術的に難しい。特に、結晶成長の初期や、長時間に及ぶ結晶成長の後半では、n型不純物、p型不純物ともに取り込み量が大きく変動するため、無色透明化できる領域が限定されるという課題がある。
本発明は、n型不純物を含むSiC単結晶からなり、比較的安価で、輝きを有する無色透明な合成宝石用結晶体、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る合成宝石用結晶体は、SiC単結晶からなる合成宝石用結晶体であって、SiC単結晶は、n型不純物と、該n型不純物の密度よりも多い密度を有する炭素空孔とを含み、SiC単結晶は、波長460nmの光吸収係数が2cm−1以下である。
本発明に係る合成宝石用結晶体の製造方法は、n型不純物を含むSiC単結晶体を用意する工程と、SiC単結晶体に電子線照射することにより、SiC単結晶体内に、炭素空孔を生成する工程とを含み、電子線照射の照射エネルギー及び照射量は、炭素空孔の密度が、n型不純物の密度よりも多くなるように設定される。
本発明によれば、n型不純物を含むSiC単結晶からなり、比較的安価で、輝きを有する無色透明な合成宝石用結晶体、及びその製造方法を提供することができる。
4H−SiC単結晶の光透過スペクトルを測定した結果を示したグラフである。 n型SiC単結晶のバンド構造を示した図である。 DLTS法を用いて、電子線照射した4H−SiC単結晶の欠陥準位を測定した結果を示したDLTSスペクトルである。 電子線照射した後のSiC単結晶のバンド構造を示した図である。 n型不純物を含むSiC単結晶に電子線照射した後の光透過スペクトルを測定した結果を示したグラフである。 ESR法を用いて、電子線照射したSiC単結晶中に生成された結晶欠陥を測定した結果を示したグラフである。 SiC単結晶に電子線照射して、SiC単結晶内に生成された炭素空孔密度の深さ方向の分布を測定して結果を示したグラフである。 電子線照射によりSiC単結晶内に生成された炭素空孔の生成率と、電子線照射の照射エネルギーとの関係を示したグラフである。 SiC単結晶における波長460nmの光吸収係数と、SiC単結晶に導入されたn型不純物の濃度との関係を示したグラフである。 (A)〜(D)は、合成宝石用結晶体の製造方法を示した図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。また、本発明の効果を奏する範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更は可能である。
図1は、4H−SiC単結晶の光透過スペクトルを測定した結果を示したグラフである。測定は分光光度計を用いて行い、縦軸は透過率、横軸は波長を表す。図中の矢印A、B、Cで示したグラフは、それぞれ、n型不純物(窒素)の密度が1×1016cm−3、2×1018cm−3、5×1018cm−3のSiC単結晶の測定結果を表す。なお、半導体デバイスの製造用として商業的に利用できるSiC単結晶インゴットのn型不純物密度は、通常、2×1018cm−3〜8×1018cm−3の範囲にある。
図1に示すように、矢印Aで示したグラフでは、可視領域において光吸収はなかったが、矢印B、Cで示したグラフでは、約460nmの波長において光吸収(透過率減少)があった。また、n型不純物密度が高いほど、光吸収が大きかった。すなわち、n型不純物密度が2×1018cm−3、5×1018cm−3のSiC単結晶では、約460nmの波長で光吸収が起き、これが、琥珀色に着色する原因となる。
図2は、n型4H−SiC単結晶のバンド構造を示した図である。SiC単結晶は、第1伝導帯と、第2伝導帯があり、第1伝導帯には、n型不純物の準位(不図示)から励起された電子eが存在する。
SiC単結晶に入射した光は、第1伝導帯の底近傍に存在する電子を、第2伝導帯の底近傍に励起する。第1伝導帯の底のエネルギー準位Ec1と、第2伝導帯の底のエネルギー準位Ec2とのエネルギーギャップEg2は、約2.7eVである。2.7eVは、波長460nmの光エネルギーに相当する。そのため、n型不純物が導入されたSiC単結晶は、460nmの波長において光吸収が生じることになる。また、n型不純物の密度が高いほど、第1伝導帯の底近傍に存在する電子の数が多くなるため、光吸収も多くなる。
本願発明者等は、SiC単結晶に電子線を照射すると、Si原子とC原子が弾き飛ばされて、空孔と格子間原子の格子欠陥が生成される現象に注目した。C原子の質量は、Si原子の質量よりも小さいため、原子を弾き飛ばすために必要な電子エネルギーは、Si原子よりC原子の方が小さい。そのため、SiC単結晶に電子線を照射した場合、炭素空孔と格子間炭素原子の生成が支配的になる。また、一旦生成された格子間炭素原子は、拡散定数が非常に大きく、電子線照射時の温度上昇や、電子線照射後の意図的な熱処理により、SiC結晶表面まで移動するため、SiC単結晶内には、ほとんど残らない。これにより、SiC単結晶に電子線を照射することによって、ほぼ炭素空孔だけを選択的に生成することができる。
なお、本実施形態で言う「炭素空孔を含むSiC単結晶」は、格子点に1個の炭素空孔がある場合だけでなく、複数の炭素空孔が連なって存在するSiC単結晶も含む。また、炭素空孔と珪素空孔の対で構成される欠陥が存在するSiC単結晶も含む。
図3は、DLTS(Deep Level Transient Spectroscopy)法を用いて、電子線照射した4H−SiC単結晶の欠陥準位を測定した結果を示したDLTSスペクトルで、縦軸はDLTS信号強度、横軸は温度を表す。図中の矢印Aで示したスペクトルは、電子線照射する前の測定結果を示し、矢印Bで示したスペクトルは、電子線照射した後の測定結果を示し、矢印Cで示したスペクトルは、電子線照射後に熱処理したときの測定結果を示す。
ここで、電子線照射は、照射エネルギーを200keV、照射量を1×1016cm−2の条件で行った。また、熱処理は、950℃の窒素雰囲気中で、30分行った。
図3に示すように、電子線照射した後のSiC単結晶のDLTSスペクトルには、矢印P、Pで示した2つのピークが現れている。また、電子線照射後に熱処理しても、2つのピークはほとんど変化しなかった。
これら2つのピークは、電子線照射によりSiC単結晶内に生成された炭素空孔に起因した電子トラップと考えられ、2つのピークが現れる温度から、電子線照射した後のSiC単結晶のバンド構造は、図4に表すように、2つの炭素空孔による欠陥準位ED1(EC1―ED1=0.6eV)、ED2(EC1―ED2=1.5eV)が存在していると考えられる。
従って、図4に示すように、この欠陥準位ED1、ED2に、n型不純物の準位から励起される電子を捕獲させれば、第1伝導帯に存在する電子をなくすことが可能となる。その結果、図2に示したような、第1伝導帯に存在する電子が、第2伝導帯に励起することによって生じる460nmの光吸収をなくすことが可能となる。
本発明は、かかる知見に基づきなされたもので、n型不純物を含むSiC単結晶に、電子線照射することによって、SiC単結晶内に炭素空孔を生成し、この炭素空孔の欠陥準位に、n型不純物の準位から励起される電子を捕獲させることによって、460nmの光吸収をなくし、これにより、n型不純物を含むSiC単結晶の無色化を図るものである。
図5は、n型不純物を含むSiC単結晶に電子線照射した後の光透過スペクトルを測定した結果を示したグラフである。図中の矢印Bで示したグラフは、電子線照射する前のSiC単結晶(n型不純物密度が5×1018cm−3)の測定結果を示し、矢印Cで示したグラフは、電子線照射(照射エネルギー:1MeV、照射量:4.5×1018cm−2)した後の測定結果を示す。なお、図中の矢印Aで示したグラフは、n型不純物が低密度(1×1016cm−3)のSiC単結晶の測定結果を示す。
図5に示すように、矢印Bで示したグラフでは460nmの光吸収が見られたが、矢印Cで示したグラフでは460nmの光吸収は見られなかった。すなわち、一定量のn型不純物を含むSiC単結晶は、電子線照射することによって、460nmの光吸収をなくして無色化を図ることができる。
図2に示したように、n型不純物を含むSiC単結晶において、第1伝導帯に存在する電子密度は、n型不純物密度とほぼ等しい。従って、図4に示したように、炭素空孔の欠陥準位に電子を捕獲することによって、460nmの光吸収をなくして無色化を図るためには、炭素空孔の密度を、少なくともn型不純物の密度よりも多くすることが好ましい。
電子線照射によって生成される炭素空孔の生成量は、電子線照射の照射エネルギー及び照射量が高いほど多い。従って、460nmの光吸収をなくして無色化を図るためには、電子線照射の照射エネルギー及び照射量を、炭素空孔の密度が、少なくともn型不純物の密度よりも多くなるように設定すればよい。
SiC単結晶内に生成される炭素空孔の存在、及び炭素空孔の密度は、炭素空孔密度が低い場合は、DLTS法を用いて測定することができる。また、炭素空孔密度が高い場合は、電子スピン共鳴(ESR:Electron Spin Resonance)法を用いて測定することができる。
図6は、ESR法を用いて、電子線照射したSiC単結晶中に生成された欠陥準位を測定した結果の例を示したグラフで、縦軸はESR信号を表し、横軸は磁束密度を表す。
図6に示すように、電子線照射したSiC単結晶のESRスペクトルには、矢印Q、Qで示した2つのピークが観察され、これらのピークは、電子線照射によりSiC単結晶内に生成された炭素空孔の欠陥準位に起因したものと考えられる。また、2つのピークにおけるESR信号の高さから、生成された炭素空孔密度は、約8×1017cm−3と推定される。
本実施形態によれば、n型不純物が導入された有色のSiC単結晶に電子線照射することによって、SiC単結晶内に一定の密度の炭素空孔を生成し、この炭素空孔の欠陥準位に、n型不純物の準位から励起される電子を捕獲させることによって、n型不純物を含むSiC単結晶に固有の460nmの光吸収をなくすことができ、これにより、無色化されたSiC単結晶を得ることができる。
このようにして得られた無色のSiC単結晶は、合成宝石用結晶体として提供することができ、適当な大きさにカットすることによって、無色透明な合成宝石を作製することができる。また、この方法を用いることにより、半導体デバイスの製造用として商業的に利用できるSiC単結晶インゴットを用いて、輝きを有する無色透明な合成宝石を、比較的安い価格で提供することができる。
ところで、SiC単結晶インゴットは、バルクな単結晶体であるため、SiC単結晶インゴットをカットして、無色透明な合成宝石を得るには、バルクな結晶体全体に、一定の密度の炭素空孔を生成する必要がある。
図7は、SiC単結晶に電子線照射して、SiC単結晶内に生成された炭素空孔密度の深さ方向の分布を測定して結果を示したグラフである。縦軸は、生成された炭素空孔密度を表し、横軸は、表面からの深さを表す。また、測定は、DLTS法を用いて、SiC単結晶を、深さ方向に研磨を繰り返しながら行った。
図中の矢印A、B、C、D、Eで示したグラフは、それぞれ、電子線照射の照射エネルギーを、250eV、500eV、750eV、1.0MeV、3.0MeVとしたときの結果を示す。また、電子線照射の照射量は、全て1×1016cm−3とした。
図7に示すように、照射エネルギーが高いほど、SiC単結晶の奥深くまで炭素空孔を生成させることができる。また、照射エネルギーが高いほど、炭素空孔の生成量も多くなる。なお、図7の測定では、照射量を1×1016cm−3としたが、照射量を多くすることによって、炭素空孔の生成量も多くすることができる。
このように、n型不純物を含むSiC単結晶に電子線照射することによって、SiC単結晶の無色透明化を図るためには、SiC単結晶全体に亘って、460nmの光吸収をなくすために必要な炭素空孔密度になるように、電子線照射の照射エネルギー及び照射量を設定すればよい。
図8は、電子線照射によりSiC単結晶内に生成された炭素空孔の生成率と、電子線照射の照射エネルギーとの関係を示したグラフである。ここで、炭素空孔の生成率は、以下の式(1)により求めた。
Figure 0006903362
ここで、(式1)の分子の炭素空孔密度は、照射したSiC結晶表面近傍の値である。表面から奥深い領域では、図7で示したように、炭素空孔密度は減少する。
図8に示すように、電子線照射の照射エネルギーが高いほど、炭素空孔の生成率は高くなる。ここで、生成される炭素空孔密度は、電子線照射の照射量にほぼ比例するので、460nmの光吸収をなくすために必要な炭素空孔密度が分かれば、図8のグラフから、電子線照射の照射エネルギーに対して必要な照射量を求めることができる。
例えば、密度が5×1018cm−3の炭素空孔を、照射エネルギーが1MeVの電子線照射で生成するのに必要な照射量は、3.9×1018cm−2(5×1018cm−3/1.28cm−1)となる。
図9は、SiC単結晶における波長460nmの光吸収係数と、SiC単結晶に導入されたn型不純物の密度との関係を示したグラフである。測定は分光光度計を用いて行い、縦軸は光吸収係数を表し、横軸はn型不純物密度を表す。
図9に示すように、波長460nmの光吸収係数は、n型不純物密度が7×1016cm−3以上では、n型不純物密度にほぼ比例している。また、n型不純物密度が7×1016cm−3以下のSiC単結晶では、光吸収係数が2cm−1以下あり、厚さ5mmのSiC単結晶でも、光が透過し透明となる。一方、n型不純物密度が1×1017cm−3以上のSiC単結晶では、光吸収係数が5cm−1以上となり、厚さ2mm以上のSiC単結晶では、無色透明にならない。
本発明は、このような有色不透明なSiC単結晶に対して、無色透明化に有効な手段を提供する。すなわち、図9に示すように、Aで示す範囲(n型不純物密度が1×1017cm−2以上)のn型不純物を含むSiC単結晶に、電子線照射することによって、Bで示す範囲のように、波長460nmの光吸収係数が2cm−1以下の無色透明なSiC単結晶に変えることができる。なお、n型不純物密度が5×1017cm−2以上の場合、波長460nmの光吸収係数が10cm−1以上になるため、本発明による効果がより発揮される。
ここで、電子線照射の照射エネルギー及び照射量は、炭素空孔の密度が、n型不純物の密度よりも多くなるように設定すればよい。また、SiC単結晶の厚さに応じて、電子線照射の照射エネルギーは適宜決めればよい。
半導体デバイスの製造用として商業的に利用できるSiC単結晶インゴットは、通常、n型不純物密度が1×1018cm−3以上である。本発明は、特に、このような高密度のn型不純物を含むSiC単結晶インゴットに対して、無色透明化を図るのに有効であり、本発明を適用することによって、無色透明な合成宝石用結晶体を比較的安い価格で提供することが可能になる。
半導体デバイスの製造用のSiC単結晶インゴットは、n型不純物を添加せずに作製することもできる。しかしながら、このような無添加のSiC単結晶インゴットでも、通常、n型不純物となる窒素が、1×1017cm−3〜5×1017cm−3の密度で、残留不純物として存在するため、薄い琥珀色が付いている。このような低密度のSiC単結晶インゴットは、僅かな量の炭素空孔を生成することによって、簡単に無色透明化することができる。そのため、電子線照射の照射量を少なくすることができ、無色透明な合成宝石用結晶体をより安価に提供することが可能になる。
図10(A)〜(D)は、本実施形態における合成宝石用結晶体の製造方法を示した図である。
まず、図10(A)に表すように、n型不純物を含むSiC単結晶体10を用意する。SiC単結晶体10は、例えば、半導体デバイスの製造用として商業的に利用できるSiC単結晶インゴットを用いることができる。
次に、図10(B)に表すように、SiC単結晶体10に電子線照射することにより、SiC単結晶体10内に、炭素空孔を生成する。ここで、電子線照射の照射エネルギー及び照射量は、炭素空孔の密度が、n型不純物の密度よりも多くなるように設定される。これにより、図10(C)に表すように、SiC単結晶体10の表面下に、炭素空孔が生成された欠陥領域10Aが形成される。なお、SiC単結晶体10の厚みが薄い場合は、SiC単結晶体10全体に欠陥領域10Aが形成される。
次に、図10(D)に表すように、SiC単結晶体10の欠陥領域10Aを切り離す。欠陥領域10Aの切り離しは、例えば、欠陥領域10AとSiC単結晶体10の界面を、細いダイヤモンドワイヤソーで切断することによって行うことができる。切り離された欠陥領域10Aは無色透明化された合成宝石用結晶体として提供することができ、これを適当な大きさにカットすることによって、無色透明な合成宝石を作製することができる。なお、残りのSiC結晶体10は原材料として再利用できる。例えば、このSiC結晶体10に電子線照射を施すことによって、表面領域を無色透明化し、この領域を合成宝石用結晶体として提供することができる。また、別の目的(例えば、半導体デバイスの製造用の基板)に再利用することもできる。
なお、SiC単結晶体10に電子線照射したとき、炭素空孔が生成される以外に、格子間炭素原子が僅かに残る場合がある。この場合、格子間炭素原子によって、僅かな光吸収が生じ、透明度が低下することもある。そのため、透明度の低下を防止する目的で、炭素空孔を生成する工程の後、SiC単結晶体10を500℃〜1400℃の温度で熱処理してもよい。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、もちろん、種々の改変が可能である。例えば、上記実施形態では、4H−SiC単結晶について説明したが、6H−SiC単結晶についても、電子線照射により、炭素空孔の生成が可能で、4H−SiC単結晶の場合と炭素空孔の生成量は同一であるため、4H−SiC単結晶と同様の効果を得ることができる。
また、電子線照射により、SiC単結晶に生成された炭素空孔は、必ずしも均一に分布していなくてもよく、460nmの光吸収をなくすために必要な密度の炭素空孔が存在していればよい。
また、電子線照射により生成された炭素空孔は、必ずしもSiC単結晶全体に亘って存在していなくてもよく、SiC単結晶の表面から、一定の深さの領域に存在していればよい。この場合、SiC単結晶の炭素空孔が生成された領域だけを切り出すことによって、無色透明な合成宝石用結晶体を得ることができる。
また、合成宝石用結晶体に用いるSiC単結晶は、必ずしも、半導体デバイスの製造用として商業的に利用できるSiC単結晶インゴットに限らず、他の目的で製造されたSiC単結晶でもよく、勿論、合成宝石用に製造されたSiC単結晶であってもよい。
10 SiC単結晶体
10A 欠陥領域

Claims (5)

  1. n型不純物を含むSiC単結晶体を用意する工程と、
    前記SiC単結晶体に電子線照射することにより、前記SiC単結晶体内に、炭素空孔を生成する工程と、
    を含み、
    前記電子線照射の照射エネルギー及び照射量は、前記炭素空孔の密度が、前記n型不純物の密度よりも多くなるように設定される、合成宝石用結晶体の製造方法。
  2. 前記炭素空孔が生成された前記SiC単結晶体は、波長460nmの光吸収係数が2cm−1以下である、請求項1に記載の合成宝石用結晶体の製造方法。
  3. 前記炭素空孔を生成する工程の後、前記SiC単結晶体を500℃〜1400℃の温度で熱処理する工程をさらに含む、請求項1または2に記載の合成宝石用結晶体の製造方法。
  4. 前記n型不純物の密度は、1×1018cm−3以上である、請求項1〜3の何れかに記載の合成宝石用結晶体の製造方法。
  5. 前記n型不純物は、前記SiC単結晶体に、1×1017cm−3〜5×1017cm−3の密度で、残留不純物として存在する、請求項1〜3の何れかに記載の合成宝石用結晶体の製造方法。
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