JP6900923B2 - スラグ材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融状態のスラグからスラグ材を製造するスラグ材の製造方法に関する。
脱炭吹錬によって生じる脱炭スラグは、精錬時に使用した生石灰の一部が未反応で残留したフリーライムを含有するので、水と接触すると膨張するという問題がある。そのため、脱炭スラグを路盤材に使用する場合には、水蒸気エージング処理を行い、フリーライムを水和させてCa(OH)にしておく必要がある。一方、フリーライムを予め低減できれば、水蒸気エージング処理を行なわずに、脱炭スラグをそのまま路盤材にできる可能性がある。
フリーライムを予め低減する技術として、特許文献1には、溶融スラグ中に酸素を吹き込み、スラグ中に含まれるFeOを酸化してFeとし、そのFeを用いて2CaO・Feの形でフリーライムを固定化し、これによりフリーライムを低減できることが記載されている。しかしながら、溶融スラグ中に酸素を吹き込む方法は、溶融スラグ中に酸素を吹き込むので、酸素吹き込み用のランスが必要になる。通常、ランスは、鋼鉄製パイプを用いており、ランスから酸素を高温のスラグに吹き込む際にランス自身が酸化して消耗する。また、溶融スラグ中に酸素を吹き込むとスラグ湯面が大きく変動し容器から溢れてしまう。
溶融スラグ中に酸素を吹き込むことなくフリーライムを低減させる技術として、非特許文献1には、風砕法により溶融スラグを球形状の細粒にし、空気中の酸素によってFeOを酸化させる技術が開示されている。スラグ中に含まれるFeOを空気中で酸化させてFeとし、そのFeを用いて2CaO・Feの形でフリーライムを固定化し、これによりフリーライムを低減できることが記載されている。
特許文献2には、溶融スラグを液滴として飛散させた後に壁に衝突させて、フリーライムが低減され、且つ、運搬が容易な塊状のスラグ材を製造する方法が開示されている。
特開平9−256027号公報 特開2017−81814号公報
今井寮一郎、外4名「風砕による転炉スラグの風化崩壊性の改善について」、鉄と鋼(1979)、S114
スラグに含まれるFeOは、空気中の酸素と接触することで酸化されるので、スラグの液滴の比表面積(単位質量当たりの表面積)が大きいとスラグ中のFeOは酸化されやすくなり、比表面積が小さいとスラグ中のFeOは酸化されにくくなる。また、同じ比表面積のスラグの液滴であれば、液滴の飛散距離が長いと酸化されるFeOは多くなり、液滴の飛散距離が短いと酸化されるスラグ中のFeOは少なくなる。
一方、スラグの流量と、当該スラグに吹き付ける空気の風量および風速と、を一定に維持することは困難であるので、これらの要因によってスラグの液滴の飛散距離は変動する。このように、液滴の飛散距離が変動するので、飛散距離が短い液滴が凝固した凝固スラグでは、Feが生成されないのでフリーライムを2CaO・Feの形で固定できず、凝固スラグに残留する。このフリーライムが残留した凝固スラグが、飛散距離が長くフリーライムが低減された凝固スラグとともに回収されると、回収された凝固スラグ全体の水和膨張の抑制効果が阻害される、という課題があった。
本発明は、このような課題を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、水和膨張リスクの高いスラグまたは水和膨張リスクの低いスラグを用いて、水和膨張が抑制されたスラグ材を製造できるスラグ材の製造方法を提供する点にある。
このような課題を解決するための本発明の特徴は、以下の通りである。
[1]溶融状態の製鋼スラグに外力を加えて、径が10mm以下の液滴にして飛散させる風砕工程と、飛散させた前記製鋼スラグを凝固させて凝固スラグにする凝固工程と、前記凝固工程で得られた前記凝固スラグを破砕してスラグ材とする破砕工程と、を有し、前記製鋼スラグは、前記製鋼スラグに外力が加えられる前の組成が下記(1)式を満足するスラグであり、前記破砕工程では、前記風砕工程で4m以上飛散して凝固した前記凝固スラグを破砕する、スラグ材の製造方法。
5<CaO−(1.87×SiO+0.85×T.Fe+1.10×Al+1.18×P)≦15・・・(1)
但し、前記(1)式のCaOは前記製鋼スラグのCaO濃度(質量%)であり、SiOは前記スラグのSiO濃度(質量%)であり、T.Feは前記製鋼スラグのトータルFe濃度(質量%)であり、Alは前記製鋼スラグのAl濃度(質量%)であり、Pは前記製鋼スラグのP濃度(質量%)である。
[2]溶融状態の製鋼スラグに外力を加えて、径が10mm以下の液滴にして飛散させる風砕工程と、飛散させた前記製鋼スラグを凝固させて凝固スラグにする凝固工程と、前記凝固工程で得られた前記凝固スラグを破砕してスラグ材とする破砕工程と、を有し、前記製鋼スラグは、前記製鋼スラグに外力が加えられる前の組成が下記(2)式を満足するスラグであり、前記破砕工程では、前記風砕工程で2m以上飛散して凝固した前記凝固スラグを破砕する、スラグ材の製造方法。
CaO−(1.87×SiO+0.85×T.Fe+1.10×Al+1.18×P)≦5・・・(2)
但し、前記(2)式のCaOは前記製鋼スラグのCaO濃度(質量%)であり、SiOは前記製鋼スラグのSiO濃度(質量%)であり、T.Feは前記製鋼スラグのトータルFe濃度(質量%)であり、Alは前記製鋼スラグのAl濃度(質量%)であり、Pは前記製鋼スラグのP濃度(質量%)である。
[3]溶融状態の製鋼スラグに外力を加えて、径が10mm以下の液滴にして飛散させる風砕工程と、飛散させた前記製鋼スラグを凝固させて凝固スラグにする凝固工程と、前記凝固工程で得られた前記凝固スラグを破砕してスラグ材とする破砕工程と、を有し、前記製鋼スラグに外力が加えられる前の前記製鋼スラグの組成が下記(1)式を満足する場合は、前記風砕工程で4m以上飛散して凝固した前記凝固スラグを前記破砕工程で破砕し、前記製鋼スラグの組成が下記(2)式を満足する場合は、前記風砕工程で2m以上飛散して凝固した前記凝固スラグを前記破砕工程で破砕する、スラグ材の製造方法。
5<CaO−(1.87×SiO+0.85×T.Fe+1.10×Al+1.18×P)≦15・・・(1)
CaO−(1.87×SiO+0.85×T.Fe+1.10×Al+1.18×P)≦5・・・(2)
但し、前記(1)式および前記(2)式のCaOは前記製鋼スラグのCaO濃度(質量%)であり、SiOは前記製鋼スラグのSiO濃度(質量%)であり、T.Feは前記製鋼スラグのトータルFe濃度(質量%)であり、Alは前記製鋼スラグのAl濃度(質量%)であり、Pは前記製鋼スラグのP濃度(質量%)である。
[4]前記凝固工程では、前記風砕工程の飛散距離が4m以上の前記凝固スラグと、前記風砕工程の飛散距離が4m未満の前記凝固スラグとを壁面または段差を用いて仕切る、[1]に記載のスラグ材の製造方法。
[5]前記凝固工程では、前記風砕工程の飛散距離が2m以上の前記凝固スラグと、前記風砕工程の飛散距離が2m未満の前記凝固スラグとを壁面または段差を用いて仕切る、[2]に記載のスラグ材の製造方法。
[6]前記凝固工程では、前記風砕工程の飛散距離が4m以上の前記凝固スラグと、前記風砕工程の飛散距離が2m以上4m未満の前記凝固スラグと、前記風砕工程の飛散距離が2m未満の前記凝固スラグとを壁面または段差を用いて仕切る、[3]に記載のスラグ材の製造方法。
[7]前記凝固工程では、前記製鋼スラグの液滴の半量以上を融着させて塊成化する、[1]から[6]の何れか1つに記載のスラグ材の製造方法。
本発明に係るスラグ材の製造方法では、スラグの液滴径の上限を定めて、水和膨張リスクの高いスラグおよび水和膨張リスクの低いスラグごとに予め定められた距離以上飛散して凝固した凝固スラグを用いてスラグ材を製造するので、Feが生成されずフリーライムが低減されていない凝固スラグがスラグ材の製造に用いられることがない。これにより、従来よりも水和膨張が抑制されたスラグ材を製造できる。
本発明の実施形態に係る風砕工程および凝固工程が実施できるスラグ風砕設備10の側面模式図である。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る風砕工程および凝固工程が実施できるスラグ風砕設備10の側面模式図である。スラグ風砕設備10は、樋14と、ブロアー16と、回収板22と、3枚の衝立24、26、28と、を有する。
製鋼工場において発生した溶融状態の製鋼スラグは、スラグ鍋12に排滓される。溶融状態の製鋼スラグ30は、スラグ鍋12に装入された状態で搬送され、樋14の上方に設置される。このスラグ鍋12と、樋14と、ブロアー16とを用いて風砕工程が実施される。なお、図1において、スラグ鍋12、樋14およびブロアー16は側面図であり、回収板22および衝立24、26、28および凝固スラグ32、34、36は断面図である。
溶融状態の製鋼スラグ30は、スラグ鍋12が傾動されることでスラグ鍋12から流出される。ここで、製鋼スラグ30は、例えば、転炉を用いた脱炭精錬によって生じたフリーライムを3質量%以上含む脱炭スラグである。なお、脱炭スラグに代えて、脱りん精錬によって生じたフリーライムを3質量%以上含む脱りんスラグを用いてもよい。ここで、フリーライムは、溶鉄の精錬に使用された生石灰の未反応物や高濃度にCaOを含む晶出物であり、「遊離石灰」、「f−CaO」とも呼ばれるものである。
ブロアー16は、ブロアー本体18と、ノズル20を有する。ブロアー本体18は、外部の空気を取り込んで、内部の空気の圧力を高める。圧力の高められた空気は、ノズル20から吹き出される。また、ノズル20は、不図示の風速調整弁を含む。風速調整弁の開度が調整されることでノズル20から吹き出される空気の風速が調整される。
スラグ鍋12から流出された製鋼スラグ30は、樋14を通じてノズル20の前方に流出される。ブロアー16は、ノズル20から溶融状態の製鋼スラグ30に空気を吹き付け、製鋼スラグ30を液滴にして飛散させる。製鋼スラグ30に含まれるFeOは、製鋼スラグ30の液滴が空気中を飛散する過程で空気に含まれる酸素によって酸化されてFeが生成される。酸化によって生成されたFeによりフリーライムは、2CaO・Feの形で固定される。これにより、製鋼スラグ30に含まれるフリーライムは減少する。
このように、製鋼スラグ30を液滴にして空気中を飛散させることで製鋼スラグ30のフリーライムが減少するので、風砕工程が実施された後の製鋼スラグ30は、フリーライムによる水和膨張が抑制されたスラグとなる。なお、ブロアー16から空気を吹き付けることは製鋼スラグ30に外力を加えることの一例であり、ブロアー16から製鋼スラグ30に空気を吹き付けることに代えて、回転体に溶融した製鋼スラグ30流を落下させ、回転体を回転させることで製鋼スラグ30に外力を加えてもよい。
本実施形態では、製鋼スラグ30の液滴の径が10mm以下になるように、樋14から流出される製鋼スラグ30の流量およびブロアー16から吹き付けられる空気の風速を調整している。なお、本実施形態において、液滴の径は、衝立などを設けずに飛散された製鋼スラグの液滴に衝撃を加わらないように凝固させて球状の凝固スラグとし、当該球状の凝固スラグを用いて測定される数平均粒径である。
凝固工程は、回収板22と、衝立24、26、28を用いて実施される。回収板22は、地表面上に設けられた鉄製の板である。衝立24、26、28は、回収板22上に突設されて設けられている。衝立24は、ノズル20の先端から2mとなる位置に設けられ、衝立26は、ノズル20の先端から4mとなる位置に設けられ、衝立28は、ノズル20の先端から7mとなる位置に設けられている。本実施形態において、衝立24、26、28は壁面の一例であり、衝立に代えて傾斜板を設けてもよい。
製鋼スラグ30は、スラグ鍋12が傾動されてスラグ鍋12から流出され、樋14を通じてノズル20の前方に流れるが、傾動角度を制御したとしてもスラグ鍋12から流出される製鋼スラグ30の流量を一定に維持することは困難である。また、ブロアー16から吹き付けられる空気の流量および流速も一定に維持することは困難であり、これらの要因によって風砕工程における製鋼スラグ30の液滴の飛散距離は変動する。本実施形態において、風砕工程の飛散距離は、製鋼スラグ30に外力が加えられるノズル20の先端の位置から液滴が回収板に落下もしくは衝立24、26、28に衝突して融着するまでの距離である。
飛散された製鋼スラグ30の液滴のうち、飛散距離が2m未満の液滴は、ノズル20と衝立24の間に落下し、回収板22または衝立24に融着する。回収板22に融着したスラグは、飛散中は空気に抜熱され、融着後は回収板22および空気に抜熱されて凝固スラグ32となる。また、衝立28に衝突したスラグ液滴は、飛散中は空気に抜熱され、融着後は衝立24および空気に抜熱されて凝固スラグ32となる。凝固スラグの内の一部は液滴同士が融着せずに略球形のまま凝固するが、略球形の形状は固体でも流動し貯蔵と運搬の方法が制約される。略球形の凝固スラグを全体の半量未満とし、半量以上の凝固スラグを液滴同士が融着して塊成化された凝固スラグとすれば略球形の凝固スラグの流動が抑制されて、砕石などと同じ貯蔵方法および運搬方法で扱える。略球形の凝固スラグの比率を下げるには、液滴が着地したり衝突した後に広範囲に散逸しないように回収板22を傾けたり、衝立24、26、28を設ければよい。
また、ノズル20の先端から飛散された製鋼スラグ30の液滴のうち、飛散距離が2m以上4m未満の液滴は、衝立24と衝立26の間に落下し、回収板22または衝立26に融着する。回収板22に融着したスラグは、飛散中は空気に抜熱され、融着後は回収板22および空気に抜熱されて凝固スラグ34となる。また、衝立26に衝突したスラグ液滴は、飛散中は空気に抜熱され、融着後は衝立26および空気に抜熱されて凝固スラグ34となる。
また、ノズル20の先端から飛散された製鋼スラグ30の液滴のうち、飛散距離が4m以上の液滴は、衝立26と衝立28の間に落下して回収板22または衝立28に融着する。回収板22に融着したスラグは、飛散中は空気に抜熱され、融着後は回収板22および空気に抜熱されて凝固スラグ36となる。また、衝立28に衝突したスラグ液滴は、飛散中は空気に抜熱され、融着後は衝立28および空気に抜熱されて凝固スラグ36となる。なお、飛散距離が長いスラグ液滴も衝立28を超えないように、衝立28の高さを他の衝立24、26よりも高くしている。
本実施形態のスラグ材の製造方法では、ブロアー16から空気を吹き付ける前の製鋼スラグ30の組成が下記(1)式を満足するスラグである場合、風砕工程で4m以上飛散した凝固スラグ36を用いてスラグ材を製造し、風砕工程の飛散距離が4m未満の凝固スラグ32および凝固スラグ34はスラグ材の製造に用いない。
5<CaO−(1.87×SiO+0.85×T.Fe+1.10×Al+1.18×P)≦15・・・(1)
但し、上記(1)式のCaOは製鋼スラグ30のCaO濃度(質量%)であり、SiOは製鋼スラグ30のSiO濃度(質量%)であり、T.Feは製鋼スラグ30のトータルFe濃度(質量%)であり、Alは製鋼スラグ30のAl濃度(質量%)であり、Pは製鋼スラグ30のP濃度(質量%)である。(1)式において、係数1.87、0.85、1.10、1.18は、それぞれが掛かる物質とCaOが安定な化合物を生成する場合の重量比から定めた値であり、式(1)の中辺は安定な化合物を生成した後に残るCaO濃度の指標である。
製鋼スラグ30の組成が上記(1)式を満足するスラグは、フリーライムの含有量が多い水和膨張リスクの高いスラグである。このため、上記(1)を満足する製鋼スラグの場合、風砕工程により製鋼スラグ中の2価の鉄原子を、下記(3)式を満たすまで酸化させる必要がある。これにより、風砕工程を実施した後の凝固スラグに含まれるフリーライムの濃度を3質量%未満にでき、製鋼スラグ30を水和膨張が抑制されたスラグ材に改質できる。
Fe3+/(Fe3++Fe2+)≧0.85・・・(3)
上記(3)式においてFe3+は製鋼スラグ中の3価の鉄原子の濃度(質量%)であり、Fe2+は製鋼スラグ中の2価の鉄原子の濃度(質量%)である。3価の鉄原子の濃度および2価の鉄原子の濃度は、例えば、JIS M 8815−1976 に記載の方法を用いて測定できる。
上記(1)式を満足する製鋼スラグを用いて、液滴径を10mmとし飛散距離を変えた風砕実験を行った所、風砕工程が実施された後の凝固スラグの2価および3価の鉄原子の濃度が上記(3)式を満足させるには、製鋼スラグの液滴を4m以上飛散させる必要があることがわかった。この結果から、製鋼スラグ30の組成が(1)式を満足するスラグである場合、風砕工程で4m以上飛散した凝固スラグ36を用いてスラグ材を製造し、風砕工程の飛散距離が4m未満の凝固スラグ32、34を用いないことで、フリーライムの含有割合が3質量%未満に低減され水和膨張が抑制された凝固スラグのみを用いてスラグ材を製造できる。
また、ブロアー16から空気を吹き付ける前の製鋼スラグ30の組成が下記(2)式を満足するスラグである場合、風砕工程で2m以上飛散した凝固スラグ34および凝固スラグ36を用いてスラグ材を製造し、風砕工程の飛散距離が2m未満の凝固スラグ32はスラグ材の製造に用いない。
CaO−(1.87×SiO+0.85×T.Fe+1.10×Al+1.18×P)≦5・・・(2)
但し、上記(2)式のCaOは製鋼スラグ30のCaO濃度(質量%)であり、SiOは製鋼スラグ30のSiO濃度(質量%)であり、T.Feは製鋼スラグ30のトータルFe濃度(質量%)であり、Alは製鋼スラグ30のAl濃度(質量%)であり、Pは製鋼スラグ30のP濃度(質量%)である。
製鋼スラグ30の組成が上記(2)式を満足するスラグは、フリーライムの含有量が少ない水和膨張リスクの低いスラグである。このため、上記(2)を満足するスラグの場合、風砕工程によりスラグ中の2価の原子を、下記(4)式を満たすまで酸化させる必要がある。これにより、風砕工程を実施した後のフリーライムの濃度を3質量%未満にでき、製鋼スラグ30を水和膨張が抑制されたスラグ材に改質できる。
Fe3+/(Fe3++Fe2+)≧0.7・・・(4)
上記(4)式においてFe3+は製鋼スラグ中の3価の鉄原子の濃度(質量%)であり、Fe2+は製鋼スラグ中の2価の鉄原子の濃度(質量%)である。
上記(2)式を満足する製鋼スラグを用いて、液滴径を10mmとし飛散距離を変えた風砕実験を行った所、風砕工程が実施された後の凝固スラグの2価および3価の鉄原子の濃度が上記(4)式を満足させるには、製鋼スラグの液滴を2m以上飛散させる必要があることがわかった。この結果から、製鋼スラグ30の組成が(2)式を満足するスラグである場合、風砕工程で2m以上飛散した凝固スラグ34、36を用いてスラグ材を製造し、風砕工程の飛散距離が4m未満の凝固スラグ32を用いないことで、フリーライムの含有割合が3質量%未満に低減され水和膨張が抑制された凝固スラグのみを用いてスラグ材を製造できる。
凝固工程で凝固した凝固スラグは、破砕工程で破砕されてスラグ材となる。破砕工程では、凝固スラグがクラッシャー等の破砕機で破砕され、その後、スクリーン等の篩を用いて、例えば、路盤材として要求される粒度に調整される。このようにして、本実施形態に係るスラグ材の製造方法でスラグ材が製造される。
以上説明したように、本実施形態に係るスラグ材の製造方法では、スラグの液滴径の上限を定めて、水和膨張リスクの高い上記(1)式を満足するスラグに対しては風砕工程で4m以上飛散して凝固した凝固スラグ36を破砕してスラグ材を製造する。また、水和膨張リスクの低い上記(2)式を満足するスラグに対しては風砕工程で2m以上飛散して凝固した凝固スラグ34、36を破砕してスラグ材を製造する。これにより、製造されたスラグ材は、フリーライムの濃度が3質量%未満に低減されたスラグ材となるので、本実施形態に係るスラグ材の製造方法を実施することで、水和膨張が抑制されたスラグ材を製造できる。
さらに、水和膨張リスクの高いスラグと水和膨張リスクの低いスラグとを上記(1)式と(2)式を用いて特定し、(1)式を満足するスラグに対しては、風砕工程で4m以上飛散された凝固スラグを用いてスラグ材を製造し、(2)式を満足するスラグに対しては、風砕工程で2m以上飛散された凝固スラグを用いてスラグ材を製造する。製鋼スラグを水和膨張リスクの高いスラグと水和膨張リスクの低いスラグとに分けない場合には、水和膨張が抑制されていない凝固スラグを含むリスクから風砕工程の飛散距離が2m以上4m未満の凝固スラグは用いられ得ない所、製鋼スラグを水和膨張リスクの高いスラグと水和膨張リスクの低いスラグとに分け、それぞれのスラグに対してスラグ液滴の飛散距離の閾値を定めることで、飛散距離が2m以上4m未満の凝固スラグであっても上記(2)式を満足するスラグである場合は当該スラグを用いてスラグ材が製造できるようになるので水和膨張が抑制されたスラグ材の製造量を増やすことができる。
なお、本実施形態では、衝立24、26、28を設けたスラグ風砕設備10を用いた例を示したが、これに限られない。例えば、(1)式を満足する製鋼スラグのみを用いるのであれば、少なくともノズル20の先端から4mとなる位置に設けられた衝立26を設ければよい。これにより、水和膨張が抑制された凝固スラグ36と、水和膨張が抑制されていない凝固スラグ32、34とが仕切られ、凝固スラグ36と凝固スラグ32、34とが混合することを防止できる。同様に、(2)式を満足する製鋼スラグのみを用いるのであれば、少なくともノズル20の先端から2mとなる位置に設けられた衝立24を設ければよい。これにより、水和膨張が抑制された凝固スラグ34、36と、水和膨張が抑制されていない凝固スラグ32とが仕切られ、凝固スラグ34、36と凝固スラグ32とが混合することを防止できる。さらに、水和膨張が抑制された凝固スラグと、水和膨張が抑制されていない凝固スラグとの混合を防止できるピットや溝などの段差を回収板22に設ければ、衝立24、26、28を設けなくてもよい。
次に、本実施形態に係るスラグ材の製造方法における風砕工程を実施した実施例を説明する。図1に示したスラグ風砕設備10を用いて、スラグ鍋12から1550〜1700℃の溶融した脱炭スラグAを3t/minの速度で流出させ、ブロアー16から風量が500〜900Nm/minの範囲内、風速が90〜125m/sの範囲内の高速空気を吹き付け、液滴の飛散距離を変えて風砕工程を実施した。脱炭スラグAは、上記(1)式を満足する水和膨張リスクの高い製鋼スラグである。
また、脱炭スラグAとは操業条件が異なる転炉脱炭処理で生じた脱炭スラグBを用いて、脱炭スラグAと同様の風砕工程を実施した。脱炭スラグBは、上記(2)式を満足する水和膨張リスクの低い製鋼スラグである。なお、事前調整として、衝立に衝突する直前の位置で回収された球状の凝固スラグの粒径が0.5〜10mmとなるようにブロアー16の風量と風速を調整した。これにより、風砕工程のスラグの液滴径を0.5〜10mmの範囲内に調整した。
Figure 0006900923
表1の「スラグ組成」の列に示した(1)は、風砕工程に用いた製鋼スラグが、上記(1)式を満足する製鋼スラグであることを示し、(2)は、風砕工程に用いた製鋼スラグが、上記(2)式を満足する製鋼スラグであることを示す。また、「CaO−(1.87×SiO+0.85×T.Fe+1.10×Al+1.18×P)」の列に示した値は、用いた製鋼スラグの組成を用いて「CaO−(1.87×SiO+0.85×T.Fe+1.10×Al+1.18×P)」を計算した値である。
「飛散距離」は、スラグの液滴が飛散した距離を示す。なお、飛散距離0mは、風砕工程を実施せずに凝固させたスラグである。また、「膨張試験」は、JIS A 5015の水和膨張試験に準拠して測定した膨張率の結果を示す。ここで「×」は、膨張率が0.5%より大きかったことを示し、「△」は膨張率が0.3%以上0.5%以下であったことを示し、「○」は膨張率が0.3%未満であったことを示す。
表1に示すように(1)式を満足する脱炭スラグAを用いた場合であって、飛散距離を0〜4mとした比較例1〜4の凝固スラグは水和膨張が大きかった。この結果から、(1)式を満足する製鋼スラグでは、風砕工程における飛散距離が0〜3mであると凝固スラグの水和膨張を0.3%未満に抑制できないことがわかる。
一方、(1)式を満足する脱炭スラグAであっても、飛散距離を4m、5mとした発明例1、2の凝固スラグは、水和膨張を0.3%未満に抑制できた。この結果から、(1)式を満足する製鋼スラグであっても風砕工程における飛散距離が4m以上であれば、凝固スラグの水和膨張を0.3%未満に抑制できることがわかる。なお、飛散距離が2m未満の凝固スラグは、当該スラグの液滴径が小径であっても水和膨張を0.3未満に抑制できず、また、飛散距離が4m以上の凝固スラグは、当該スラグの液滴径が大径であって水和膨張を0.3未満に抑制できた。
これらの結果から、製鋼スラグが(1)式を満足する製鋼スラグである場合、風砕工程における飛散距離が4m以上の凝固スラグを用いてスラグ材を製造することで、水和膨張が抑制されたスラグ材を製造できることが確認された。
また、(2)式を満足する脱炭スラグBを用いた場合であって、飛散距離を0m、1mとした比較例5、6の凝固スラグは、水和膨張が大きかった。この結果から、(2)式を満足する製鋼スラグでは、風砕工程における飛散距離が0〜1mであると凝固スラグの水和膨張を0.3%未満に抑制できないことがわかる。
一方、(2)式を満足する脱炭スラグBであっても、飛散距離を2m、3mとした発明例3、4の凝固スラグは、水和膨張を0.3%未満に抑制できた。この結果から、(2)式を満足する製鋼スラグの場合は、風砕工程における飛散距離が2m以上であれば、凝固スラグの水和膨張を0.3%未満に抑制できることがわかる。
これらの結果から、製鋼スラグが(2)式を満足する製鋼スラグである場合、風砕工程における飛散距離が2m以上の凝固スラグを用いてスラグ材を製造することで、水和膨張が抑制されたスラグ材を製造できることが確認された。
10 スラグ風砕設備
12 スラグ鍋
14 樋
16 ブロアー
18 ブロアー本体
20 ノズル
22 回収板
24 衝立
26 衝立
28 衝立
30 製鋼スラグ
32 凝固スラグ
34 凝固スラグ
36 凝固スラグ

Claims (3)

  1. 製鋼スラグが下記(1)式または下記(2)式のいずれを満足するか否かを判断する判断工程と、
    溶融状態の前記製鋼スラグに外力を加えて、径が10mm以下の液滴にして飛散させる風砕工程と、
    飛散させた前記製鋼スラグを凝固させて凝固スラグにする凝固工程と、
    前記凝固工程で得られた前記凝固スラグを破砕してスラグ材とする破砕工程と、
    を有し、
    前記判断工程において、前記製鋼スラグに外力が加えられる前の前記製鋼スラグの組成が下記(1)式を満足すると判断された場合は、前記風砕工程で4m以上飛散させ前記凝固工程で凝固させた前記凝固スラグを前記破砕工程で破砕して前記スラグ材を製造し
    前記判断工程において、前記製鋼スラグに外力が加えられる前の前記製鋼スラグの組成が下記(2)式を満足すると判断された場合は、前記風砕工程で2m以上飛散させ前記凝固工程で凝固させた前記凝固スラグを前記破砕工程で破砕して前記スラグ材を製造する、スラグ材の製造方法。
    5<CaO−(1.87×SiO+0.85×T.Fe+1.10×Al+1.18×P)≦15・・・(1)
    CaO−(1.87×SiO+0.85×T.Fe+1.10×Al+1.18×P)≦5・・・(2)
    但し、前記(1)式および前記(2)式のCaOは前記製鋼スラグのCaO濃度(質量%)であり、SiOは前記製鋼スラグのSiO濃度(質量%)であり、T.Feは前記製鋼スラグのトータルFe濃度(質量%)であり、Alは前記製鋼スラグのAl濃度(質量%)であり、Pは前記製鋼スラグのP濃度(質量%)である。
  2. 前記凝固工程では、前記風砕工程の飛散距離が4m以上の前記凝固スラグと、前記風砕工程の飛散距離が2m以上4m未満の前記凝固スラグと、前記風砕工程の飛散距離が2m未満の前記凝固スラグとを壁面または段差を用いて仕切る、請求項に記載のスラグ材の製造方法。
  3. 前記凝固工程では、前記製鋼スラグの液滴の半量以上を融着させて塊成化する、請求項1または請求項2に記載のスラグ材の製造方法。
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