以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
<第1の実施形態>
図1は、情報処理装置100の機能の概要について説明する図である。情報処理装置100は、パーソナルコンピュータ(PC)等の情報処理装置である。
情報処理装置100は、CADソフト110(CAD部/図形作成機能部)と、CADソフト110のプラグインとして機能する避難シミュレーションソフト120(避難シミュレーション機能部)と、を含む。本実施形態における情報処理装置100はPCであり、CADソフト110は情報処理装置にインストールされている3次元CADアプリケーションソフトウェアである。また、避難シミュレーションソフト120は、CADアプリケーションソフトウェアのプラグインとして機能するソフトウェア(避難シミュレーションツール)である。
避難シミュレーションソフト120は、シミュレーションエンジンを含み、そのシミュレーションエンジンを用いて、災害の発生を想定し、CADソフト110により作成された地図上の歩行領域(歩行者アイコンが歩行を許可されている領域)に配置された歩行者のアイコンを、地図上の避難場所(避難目的地)に避難させるシミュレーション処理を行う。より具体的には、避難シミュレーションソフト120は、シミュレーション上での時刻を、一定の間隔毎に進ませ、時間の経過に伴い、当該歩行者を避難場所に向けて移動させるシミュレーション処理を行う。避難シミュレーションソフト120は、様々な災害の発生を想定した避難シミュレーションができる。例えば、避難シミュレーションソフト120は、津波、洪水、川の氾濫等の水災害、火災、土砂災害等の発生を想定した避難シミュレーションを行うことができる。
本実施形態においては、シミュレーションを実施した結果、避難場所に到達できなかった歩行者(避難者)の、元々いた場所を識別表示する処理を行う。
また、シミュレーションを実施した結果、避難場所に到達できなかった歩行者(避難者)の、移動ルート(避難ルート)を識別表示する処理を行う。
難場所に到達できなかった歩行者(避難者)の例としては、例えばシミュレーション途中で津波に飲み込まれてしまった、津波の被害による浸水で動けなくなってしまった歩行者があげられる。以上が図1の説明である。
次に、図2を参照して本発明の実施形態における、情報処理装置100のハードウェア構成等の一例について説明する。情報処理装置100は、CPU201、ROM202、RAM203、入力コントローラ205、ビデオコントローラ206、メモリコントローラ207、通信I/Fコントローラ208を含む。CPU201、ROM202、RAM203、入力コントローラ205、ビデオコントローラ206、メモリコントローラ207、通信I/Fコントローラ208は、システムバス204を介して、相互に接続されている。
CPU201は、システムバス204を介して接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御する中央演算装置である。ROM202は、CPU201の制御プログラムであるBIOS(Basic Input / Output System)等の各種プログラム、各種データ等を記憶する記憶装置である。
RAM203は、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する記憶装置である。CPU201は、処理の実行に際して必要なプログラム等をROM202又は外部メモリ211からRAM203にロードして、ロードしたプログラムを実行することで各種動作を実現する。
入力コントローラ205は、入力装置209からの入力を制御するコントローラである。入力装置209は、キーボード(KB)やマウス等のポインティングデバイス等の入力装置である。ビデオコントローラ206は、ディスプレイ装置210への表示を制御するコントローラである。ディスプレイ装置210は、CRTディスプレイ(CRT)等の表示器である。ディスプレイ装置210は、CRTだけでなく、液晶ディスプレイ等の他の表示器であってもよい。
メモリコントローラ207は、外部メモリ211へのアクセスを制御するコントローラである。外部メモリ211は、オペレーティングシステムプログラム(以下、OS)、各種設定情報等を記憶するハードディスク(HD)や、フレキシブルディスク(FD)等の記憶装置である。また、外部メモリ211は、ブートプログラム、各種のアプリケーションのプログラム、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、各種データ等を記憶する。また、メモリコントローラ207は、PCMCIAカードスロットにアダプタを介して接続されるフラッシュメモリ型メモリカード等の外部メモリ211へのアクセスを制御することもできる。
通信I/Fコントローラ208は、LANやインターネット等のネットワークを介した外部装置との接続・通信に利用されるコントローラであり、ネットワークを介した通信処理を実行する。通信I/Fコントローラ208は、例えば、TCP/IPを用いた外部装置との通信等が可能である。
CPU201は、例えばRAM203内の表示情報用領域へアウトラインフォントの展開(ラスタライズ)処理を実行することにより、ディスプレイ装置210上での表示を可能としている。また、CPU201は、ディスプレイ装置210上のマウスカーソル等を介したユーザの指示を受け付けることができる。
本実施形態の処理を実現するための各種プログラムは、外部メモリ211に記憶されているとするが、ROM202に記憶されているものとしてもよい。また、上記プログラムの実行時に用いられる定義ファイル及び各種情報テーブル等も、外部メモリ211に記憶されているとするが、ROM202に記憶されているものとしてもよい。
なお、ディスプレイ装置210は、避難シミュレーションソフト120による指示に応じてCADソフト110が生成したオブジェクト(例えば、建物と道を繋ぐ新たな道のオブジェクト)を表示出力する出力部の一例である。以上が図2の説明である。
CPU201が、ROM202又は外部メモリ211に記憶されたプログラムに基づき処理を実行することによって、図3で後述する情報処理装置100の機能及び後述する各図のフローチャートの処理が実現される。
図3は、情報処理装置100の機能構成の一例を示す図である。情報処理装置100は、CADソフト110(CAD部)、避難シミュレーションソフト120(避難シミュレーション部)を備える。
地図データ読込部311は、地図データを読込む。本実施形態では、地図データ読込部311は、外部メモリ211から、外部メモリ211に記憶されている地図データを読込むこととするが、ROM202や外部のサーバ等から読込むこととしてもよい。本実施形態では、地図データ読込部311は、地図上の座標を持ち、地図上に配置されたオブジェクトの情報の集合である地図データを読み込むものとする。当該オブジェクトには、図5のオブジェクト情報540に示すように、当該オブジェクトが何のオブジェクトであるかを示す属性が付与されている。なお、オブジェクト情報540にはオブジェクトの識別情報であるID、オブジェクトの頂点座標(x,y座標)と属性が対応付けて記憶される。属性とは、例えば道、建物、障害物、歩行領域等である。歩行領域の属性が付与されているオブジェクトの示す領域は、避難シミュレーションにおいて歩行者(避難者)が歩行可能な領域であることを示す。建物の属性が付与されたオブジェクト(建物オブジェクト)は建物を示す。道の属性が付与されたオブジェクト(道オブジェクト)は道を示す。障害物の属性が付与されたオブジェクト(障害物オブジェクト)は、歩行者が通行できない領域を規定する障害物を示す。歩行領域のオブジェクト同士が接している、又は重なっている場合には、歩行者は、当該接している、又は重なっているオブジェクト間を自由に移動可能である。なお、障害物オブジェクトと歩行者アイコンが重なってしまった場合、歩行者アイコンを移動不可能とし、障害物オブジェクトと重なった位置に固定するものとする。
障害物オブジェクトの例として、津波の浸水域のデータから形状決定された津波オブジェクトがある。津波オブジェクトの一例を図4の410の浸水域に示す。なお、図4の400は浸水する前の地図の状態を示し、図4の410は、シミュレーションを実施することで浸水した後の地図の状態を示している。
また、ここでいう歩行者アイコンとは、CADソフト110により管理されるオブジェクトの一種であり、外部メモリ211に記憶されている。例えば図5の歩行者アイコン情報500に示すような構成で記憶管理されている。
のアイコンIDは、歩行者アイコン(歩行者のオブジェクト)の識別情報である。位置は歩行者アイコンが配置されている地図上の初期位置を示す。属性=歩行者の場合、アイコンIDの示すオブジェクトが歩行者アイコンのオブジェクトであることを示す属性である。速度(m/秒)は、シミュレーションにおいて各歩行者アイコンが目的地に向かって移動する移動速度である。固定フラグは、障害物オブジェクトと重なった場合に当該歩行者を地図上の、障害物オブジェクトと重なったと判定された時点の位置に停止(固定)したことを示すフラグであり、当該歩行者アイコンが障害物オブジェクトと重なっていることを示すフラグである(固定フラグ=1:障害物オブジェクトと重なっている/固定フラグ=1:障害物オブジェクトと重なっていないことを示す)。本実施形態においては、歩行者アイコンは、図4の401等に示すように、既に地図上に配置されている(初期位置が登録されている)ものとする。また、避難目的地(図5の550/避難目的地情報記憶手段の一例)も、避難目的地の属性を持つオブジェクトとして既に地図上に生成・配置されているものとする。
歩行者位置決定部321は、歩行者アイコン情報500をCADソフト110から取得して、シミュレーションの実行に伴い、歩行者の位置と移動速度から、歩行者の移動先の位置を決定する処理を行う。歩行者配置指示部322は、歩行者位置決定部321で決定した移動先の位置に歩行者アイコンを配置するようCADソフト110に指示する指示部である。
なお、歩行者位置決定部321は、シミュレーション内における所定時間ごとに(例えば、シミュレーション開始から5分ごとに)歩行者の次の位置を決定する。また、移動履歴記憶部331は、歩行者位置決定部321で決定された(その後、歩行者配置指示部322により配置の指示がされた)歩行者アイコンごとの位置を、時間ごとに対応付けて、歩行者の移動履歴として外部メモリ211に記憶する。
歩行者配置指示受付部312は、歩行者配置指示部322からの指示を受け付け、歩行者配置部313が、指示された歩行者アイコンを、指示された地図上の位置に配置する。
障害物形状・位置決定部323は、障害物オブジェクトの形状・位置を決定する決定部である。例えば、図5の520に示すような、地図上に敷き詰められたメッシュのオブジェクトごとに、時間ごとの水位の情報が記憶されている浸水域情報520(津波の被害地域とその変化の情報)を外部メモリから読み込む。メッシュIDはメッシュ状のオブジェクトの識別情報である。頂点座標は、メッシュの頂点のx,y座標を示す。水位は、所定時間ごとのメッシュの水位(津波の被害状況の遷移)を示す。ここではシミュレーション開始から5分ごとに、水位の情報が記憶されている。避難シミュレーションソフト120は、水位が30cm以上になったメッシュを、浸水したメッシュと判断する。
障害物形状・位置決定部323は、所定時間ごと(ここでは5分ごと)の浸水しているメッシュを特定して、時間ごとの、浸水域を示すオブジェクトの形状及び位置を決定する。例えば図10の1011は、シミュレーション開始5分後に水位が30cm以上になっている浸水域の形状を示すオブジェクトの形状である。1021は、シミュレーション開始10分後に水位が30cm以上になっている浸水域の形状を示すオブジェクトの形状である。1031は、シミュレーション開始15分後に水位が30cm以上になっている浸水域の形状を示すオブジェクトの形状である。浸水域の形状をしたオブジェクトを津波オブジェクトと呼ぶ。また、決定した各形状の頂点位置(各津波オブジェクトの角に位置するメッシュオブジェクトの頂点座標)を、各津波オブジェクトの頂点座標(位置)として決定する。障害物形状・位置決定部323は、決定した形状、位置の情報(頂点座標の情報)を、時間ごとに外部メモリに記憶する(例えば図5の津波オブジェクト情報530)。津波オブジェクトの実体は、CADソフト110が、避難シミュレーションソフト120からの指示に基づいて生成して外部メモリに記憶する。
障害物配置指示部324は、障害物形状・位置決定部323で決定した形状の津波オブジェクトを、決定した位置に配置するよう指示する。なお、配置指示は津波オブジェクト情報530に記憶されている時間ごとに行われる。
障害物配置指示受付部314は障害物配置指示部324からの指示を受け付け、障害物配置部315は、受け付けた指示に従って、指示された位置に津波オブジェクト(障害物オブジェクト)を配置する。
重なり判定部325は、障害物オブジェクト(津波オブジェクト)と、歩行者アイコンが重なっているか判定する。歩行者特定部326は、重なり判定部325で障害物オブジェクトと重なっていると判定された歩行者アイコンを特定してRAM上に記憶する。障害物オブジェクト(津波オブジェクト)と、歩行者アイコンが重なっている状態とは、例えば図4の410に示すように、歩行者アイコン411と412が、浸水域(浸水域の形状をした津波オブジェクト)と重なる位置にある状態である。一方、歩行者アイコン413、414は、避難目的地に到達しており、浸水域にも重なっていないため、障害物オブジェクト(津波オブジェクト)と重なっていない(避難に成功した/逃げ切ることができた)歩行者の一例を示している。
初期位置特定部327は、歩行者特定部326で特定された歩行者アイコンの初期位置を特定する。つまり、元々どの場所にいた歩行者が逃げ遅れた(避難に失敗した)のか特定する。初期位置識別表示指示部328は、初期位置特定部327で特定した初期位置を地図上で識別表示するようCADソフト110に指示する。
移動ルート特定部329は、歩行者特定部326で特定された歩行者アイコンの、重なり判定部325で障害物オブジェクトと重なっていると判定された位置までの移動ルートを特定する。つまり、どのルートを通った歩行者が逃げ遅れた(避難に失敗した)のか特定する。移動ルート識別表示指示部330は、移動ルート特定部329で特定した移動ルートを地図上で識別表示するようCADソフト110に指示する。
初期位置識別表示指示受付部316は、初期位置識別表示指示部328からの指示を受け付ける。移動ルート識別表示指示受付部317は、移動ルート識別表示指示部330からの指示を受け付ける。識別表示処理部318は、初期位置識別表示指示受付部316で受け付けた指示に従って逃げ遅れた歩行者アイコンの初期位置を識別表示する。また、移動ルート識別表示指示受付部317で受け付けた指示に従って、逃げ遅れた歩行者アイコンの移動ルートを識別表示する。以上が図3の説明である。
次に、図6を参照して、本発明の実施形態における障害物オブジェクトの形状決定処理の流れについて説明する。ここでいう障害物オブジェクトとは津波オブジェクトである。
本発明の説明において、各フローチャートに示す各ステップの処理は、情報処理装置100のCPU201が、CADソフト110又は避難シミュレーションソフト120の機能を用いて実行するものである。
S601において、CADソフト110は、入力装置209を介したユーザによる操作に応じて、起動する。
また、CADソフト110は、入力装置209を介したユーザによる操作に応じて、外部メモリ211等から地図データを読込んで、読込んだ地図データの情報をRAM203上に展開し、記憶する。そして、CADソフト110は、RAM203上に記憶した地図データに応じた地図をディスプレイ装置210に表示されているCADソフト110の表示画面内に表示する。例えば、図9の900に示すように、CADソフトウェアが表示するウインドウ上に地図を表示する。
図9(a)は、CADソフト110がディスプレイ装置210に表示している画面の一例である表示画面900を示す図である。S602では、CADソフト110は、オブジェクト情報540に示すようなオブジェクトの集合である地図データを読込むものとする。
図5のオブジェクト情報540は、外部メモリに記憶される地図データの情報の一例である。オブジェクト情報540は、オブジェクトIDと、頂点座標と、属性の項目を含む。オブジェクトIDの項目の値は、オブジェクトを一意に特定するためのIDである。頂点座標の項目の値は、地図上でのオブジェクトの各頂点の座標を示す。例えば、(オブジェクトの1つ目の頂点のx座標値、オブジェクトの1つ目の頂点のy座標値、オブジェクトの2つ目の頂点のx座標値、オブジェクトの2つ目の頂点のy座標値・・・・・)という座標のデータが入力される。頂点座標の項目に示される頂点を順番に結んだ形状が、そのオブジェクトの形状となる。属性の項目は、オブジェクトに付与されている属性を示す。例えば、属性の項目には、道オブジェクトについては、「道」の属性情報、建物オブジェクトについては、「建物」の属性情報が付与される。津波オブジェクトについては、「障害物」の属性が付与される。地図データを読み込んだ時点においては、図4の400に示すように、津波オブジェクトは地図上に配置されていないものとする。
図9の900においては、CADソフト110が、記憶した情報(例えば、オブジェクト情報540)をRAM203に読み出し、ディスプレイ装置210に表示しているCADソフト110の画面上に、頂点座標の値に従って配置している。
S602において、CADソフト110は、入力装置209を介したユーザの操作に応じて、避難シミュレーションソフト120を起動させる。CADソフト110は、入力装置209を介したユーザの操作に応じて、既に起動している避難シミュレーションソフト120に対して、避難シミュレーションソフト120の設定画面の表示を指示することとしてもよい。
S603において、避難シミュレーションソフト120は、S603でのCADソフト110からの起動指示により起動し、避難シミュレーションソフト120の設定画面をCADソフト110が表示している表示画面上に表示する。また、避難シミュレーションソフト120は、既に起動している場合、S602でのCADソフト110からの設定画面表示指示に応じて、避難シミュレーションソフト120の設定画面をCADソフト110が表示している表示画面上に表示することとしてもよい。
図9(b)は、避難シミュレーションソフト120の設定画面920が表示画面900上に表示されている様子を示す図である。S602で表示画面900上の選択画面910で、「避難シミュレーション」が選択されることで、CADソフト110は、避難シミュレーションソフト120に起動指示を出す。そして、起動指示を受けた避難シミュレーションソフト120は、S603で、設定画面920を表示する。
S604において、避難シミュレーションソフト120は、ディスプレイ装置210に表示している画面や入力装置209を介したユーザの操作に基づいて、津波データの読み込み指示を受け付ける。例えば浸水域情報520の読み込み指示を受け付ける。例えば、避難シミュレーションソフト120は、入力装置209を介したユーザの操作に基づいて、設定画面920における「津波データ読込」ボタンの選択を受け付けることで、浸水域情報520の読み込み指示を受付ける。そして当該指示に従って、浸水域情報520をRAM上に読み込んで展開する。
S605において、避難シミュレーションソフト120は、読み込んだ親水基情報のメッシュの位置と水位の情報から、水位に記憶されている時間ごとの津波オブジェクト(浸水域を示すオブジェクト)の形状を決定する。例えば、各時間において水位が30cm以上のメッシュをその時間において浸水している領域を示すものとして決定し、時間ごとに当該浸水している領域を示す複数のメッシュを1つの津波オブジェクトとすることを決定し、その形状及び位置を特定する。例えば図10の1011は、シミュレーション開始5分後に水位が30cm以上になっている浸水域の形状を示すオブジェクトの形状である。1021は、シミュレーション開始10分後に水位が30cm以上になっている浸水域の形状を示すオブジェクトの形状である。1031は、シミュレーション開始15分後に水位が30cm以上になっている浸水域の形状を示すオブジェクトの形状である。また、決定した各形状の頂点座標(各津波オブジェクトの角に位置するメッシュオブジェクトの頂点座標)を、各津波オブジェクトの頂点座標(位置)として決定する。
S606において、避難シミュレーションソフト120は、S605で決定した形状、位置、及び当該津波オブジェクトを実際に地図上に配置する時間の情報を外部メモリ211に記憶する。例えば図5の津波オブジェクト情報530と同様の項目を備えた情報を記憶する。
津波オブジェクト情報530は、オブジェクトの識別情報であるIDと、S605で決定した、オブジェクトの地図上の頂点座標(頂点を順々に結ぶ線分により形状が表現されるため、頂点座標はオブジェクトの形状を示す情報及び位置を示す情報である)と、属性と、当該津波オブジェクトが示す浸水域が浸水していると判定された時間と、の項目から構成されている。当該時間の項目は、シミュレーションが開始されてから経過するシミュレーション内の時間を示しており、例えばOb0001Tの津波オブジェクトはシミュレーション開始5分後に地図上に配置し、Ob0002Tの津波オブジェクトはシミュレーション開始10分後に地図上に配置することを示している。
S607において、避難シミュレーションソフト120は、津波オブジェクト情報530に示すID、形状、位置、属性のオブジェクト(障害物オブジェクト)をメモリ上に生成するよう指示する。
S608において、CADソフト110はS607からの指示を受け付け、S609において、S608で受け付けた指示に従って指示された形状のオブジェクトをメモリ上に生成し、障害物の属性を付与して記憶する。例えば図10に示す1011、1021、1031の津波オブジェクトをメモリ上に生成する。そして、当該オブジェクトの配置状態を無効化する。つまり、オブジェクトの形状のデータは存在しているが、地図上で有効化されていない状態とする。
S610において、CADソフト110は、津波オブジェクトの生成が完了した旨を避難シミュレーションソフト120に通知し、S611で避難シミュレーションソフト120が当該通知を受け付ける。図6の説明は以上である。
図6の処理によれば、津波データに基づいて障害物オブジェクトの形状を容易に決定することができる。
また、津波データに基づいて障害物オブジェクトの位置を容易に決定することができる。
また、津波データに基づいて障害物オブジェクトを容易に生成することができる。
次に図7を参照して、本発明の実施形態における、シミュレーションによる逃げ遅れ判定処理の流れについて説明する。
S701〜S703の処理はS601〜S603の処理と同様のため、説明は割愛する。
S704において、避難シミュレーションソフト120は、ディスプレイ装置210に表示している画面や入力装置209を介したユーザの操作に基づいて、避難シミュレーションの開始指示を受け付ける。例えば、避難シミュレーションソフト120は、入力装置209を介したユーザの操作に基づいて、設定画面920における「実行」ボタンの選択を受け付けることで、避難シミュレーションの実行指示を受け付ける。
S705において、避難シミュレーションソフト120は、CADソフト110により開かれている地図データ上に配置されている歩行者アイコンの情報を取得する。例えばCADソフト110に、展開中の地図データに含まれる歩行者アイコン情報500を要求する。当該要求を受け付けたCADソフト110が、展開中の地図データに含まれる歩行者アイコン情報500をメモリから取得して避難シミュレーションソフト120に送信し、避難シミュレーションソフト120がこれを受信して取得する。
S706において、避難シミュレーションソフト120は、S607で生成を指示した津波オブジェクト情報530をメモリから取得し、全ての津波オブジェクトに対してS707〜S713の処理を実行する。
S707において、避難シミュレーションソフト120は、S707〜S713の処理を未実行の津波オブジェクトを1つ取得し、S708において、当該津波オブジェクトの配置時間になったかを判定する。例えば、シミュレーション開始から、津波オブジェクト情報530における時間(開始n分後)が経過しているか判定する。
配置時間になっていない場合はS714に処理を進める。配置時間になっている場合、S709に処理を進める。
S709において、避難シミュレーションソフト120は、シミュレーション開始から配置時間が経過した津波オブジェクトを、頂点座標に示す位置に配置する(地図上において有効化する)よう、CADソフト110のAPIを用いて、CADソフト110に指示する(配置制御する)。例えばシミュレーション開始後5分が経過している場合には、図10における1011の津波オブジェクトの配置を指示する。シミュレーション開始後10分が経過している場合には、図10における1021の津波オブジェクトの配置を指示する。シミュレーション開始後15分が経過している場合には、図10における1031の津波オブジェクトの配置を指示する。
S710において、CADソフト110は当該津波オブジェクトの配置指示を受け付け、S711において、S710で指示された位置に、指示された津波オブジェクトを配置する。そしてS712において、当該配置の処理が完了したことを避難シミュレーションソフト120に通知する。避難シミュレーションソフト120は、S713において当該通知を受け付けると、S714において、全ての津波オブジェクトに対してS707〜S713の処理を実行したか判定する。未実行の津波オブジェクトがある場合はS707に処理を進め、未実行の津波オブジェクトを新たに1つ取得する。全ての津波オブジェクトに対してS707〜S713の処理を実行済みの場合はS715に処理を進める。
S715において、避難シミュレーションソフト120は、CADソフト110で展開中の地図データ上に配置されている、未固定の歩行者アイコンを取得する。例えば、CADソフト110のAPIを用いて、CADソフト110に対して、CADソフト110で展開中の地図データの配置されている全ての歩行者アイコンの情報(例:図5の歩行者アイコン情報500)を要求し、これをCADソフト110から受信して、受信した歩行者アイコン情報500の中から、固定フラグ=0の歩行者アイコンを抽出し、リスト化してRAM上に記憶する。そして、S716〜S724の処理を全ての未固定の歩行者アイコンに対して適用する。
S716において、避難シミュレーションソフト120は、未固定の歩行者アイコンのリストから、未処理の歩行者アイコンを1つ取得する。そして、S617において当該歩行者アイコンが障害物オブジェクト(例えば津波オブジェクト)と重なっているか判定する。重なっていると判定された場合、当該性合物オブジェクトと重なっている歩行者アイコンを、逃げ遅れた(避難に失敗した)歩行者(避難者)として特定し、歩行者アイコン情報500中の、当該歩行者に対応する固定フラグを1に変更・更新する。
S617において、歩行者アイコンが障害物オブジェクトと重なっていないと判定された場合、S707で、避難シミュレーションソフト120は、当該歩行者の移動速度(速度(秒/毎)の情報を用いて、所定時間後の歩行者の位置を決定する。例えば避難目的地までの歩行者のルートを特定し、当該ルートを示す線上において、例えば5分後に当該歩行者オブジェクトが位置する移動先の位置を決定して、メモリに記憶する。例えば図5の歩行者アイコン移動履歴510に、歩行者アイコンの識別情報(アイコンID)と、当該歩行者アイコンの位置と、当該位置に歩行者アイコンが位置する時間(n分後)の値を対応付けた、最新のレコードを追加する。
S720において、避難シミュレーションソフト120は、S719で移動履歴に追加した最新のレコードが示す、S717で経過したと判定されたシミュレーション開始後の時間に対応する位置に、歩行者アイコンを移動(移動先に配置)するよう、CADソフト110のAPIを用いて、CADソフト110に指示する(配置制御する)。
S721において、CADソフト110は当該指示を受け付け、S722で、S721で受け付けた指示に従って、指示された歩行者アイコンを、指示された移動先の(地図上の)位置に配置する処理を行う。歩行者アイコンの、時間ごとの移動の様子を図11の1100、1110、1120、1130に示す。そして、S723において、当該配置の処理が完了したことを避難シミュレーションソフト120に通知する。
S724において、避難シミュレーションソフト120は当該通知を受け付け、S725において、S715でメモリ上に生成したリスト内の、全ての未固定の歩行者アイコンに対してS716〜S724の処理を実行したか判定する。実行済みの場合はS726に処理を進める。処理を未実行の歩行者アイコンがある場合には、再度S715に処理を進め、処理を未実行の新たな歩行者アイコンを取得して、S716の処理を開始する。
S726において、避難シミュレーションソフト120は、シミュレーションの終了条件が満たされたか判定する。シミュレーションの終了条件とは、例えばシミュレーション開始後、所定時間(ここではシミュレーション内の時間で1時間)が経過したか否か等の条件である。本実施形態においては、シミュレーション開始後、シミュレーション内で1時間が経過した場合にシミュレーションの終了条件が満たされたと判定する。なお、シミュレーションの終了条件は時間に限るものではない。例えば全ての歩行者アイコンが避難目的地に到達したかを終了条件とし、全ての歩行者アイコンが避難目的地に到達した場合に終了条件を満たしたと判定するようにしてもよい。
終了条件が満たされていない場合には、S706に処理を進め、津波オブジェクトの配置、及び歩行者アイコンの移動の処理(避難シミュレーションの処理)を継続する。終了条件が満たされた場合には図7の処理を終了し、避難シミュレーションを完了する。以上が図7の説明である。
図7の処理によれば、障害物オブジェクトと重なった歩行者を地図上に停止させるシミュレーションが可能となる。
よって、地図上のどの位置で歩行者が、津波の被害地域に入ったかを容易に確認可能となる。
つまり、歩行者が障害物オブジェクトと重なった位置を、歩行者が避難に失敗した位置(逃げ遅れた位置)として決定、確認することができる。
次に図8を参照して、逃げ遅れた歩行者位置の識別表示処理の流れについて説明する。
図8においては、既に避難シミュレーションソフト120が起動され、設定画面920が表示済みであるものとして説明する。
S801において、避難シミュレーションソフト120は、ディスプレイ装置210に表示している画面や入力装置209を介したユーザの操作に基づいて、逃げ遅れた歩行者にかかる位置の表示指示を受け付ける。例えば、避難シミュレーションソフト120は、入力装置209を介したユーザの操作に基づいて、設定画面920における「逃げ遅れ表示」ボタンの選択を受け付けることで、逃げ遅れた歩行者にかかる位置の表示指示として、逃げ遅れた歩行者の元々いた場所(初期位置)の表示、及び、逃げ遅れた歩行者の移動ルートの表示指示を受け付けるものとする。
S802において、避難シミュレーションソフト120は、メモリ上に記憶されている歩行者アイコン情報500の中で、固定フラグ=1の歩行者アイコンを特定して抽出し、メモリ上にリスト化して記憶する。
S803において、避難シミュレーションソフト120は、S802でメモリ上にリスト化した、地図上に固定された(逃げ遅れた)歩行者アイコンの全てに対して、S804〜809の処理を適用する。
S804において、避難シミュレーションソフト120は、逃げ遅れた歩行者アイコン情報をメモリ上のリストから1つ取得する。そして、S805において、当該歩行者アイコンの初期位置を特定する。また、当該歩行者アイコンが津波オブジェクトに重なったと判定された時点の位置までの、当該歩行者アイコンの移動ルートを特定する。
津波オブジェクトに重なったと判定された時点の歩行者アイコンの位置は、歩行者アイコン移動履歴510の情報から特定する。例えば、当該津波オブジェクトに重なった歩行者アイコンの最後の移動履歴の位置を特定する(図7の処理によれば、固定されて以降、新規の移動履歴のレコードの追加をしていないためである)。
なお、移動履歴のみ全ての歩行者アイコンについて記録を継続することが考えられるが、その場合であっても、図7の処理で説明したように、津波オブジェクトと重なると歩行者アイコンの固定フラグを有効にし、歩行者アイコンを移動させないように制御しているため、固定された直後から歩行者の位置は変更されないまま履歴として記憶されているはずである。よって、例えば2レコード以上同じ位置にある移動履歴があった場合には、2レコードのうち先に記録されているレコードの歩行者アイコンの位置を、津波オブジェクトに重なったと判定された時点の歩行者アイコンの位置として特定可能である。
また、歩行者アイコン移動履歴510に記憶されている地図上の位置(x,y座標)の示す点を、先頭のレコードから、5分後、10分後、15分後、というように順々に線分で繋ぎ、初期位置から、上述した津波オブジェクトに重なったと判定された時点の歩行者アイコンの位置までの線分を移動ルートとして特定する。
S807において、避難シミュレーションソフト120は、歩行者アイコンの識別表示(津波オブジェクトに重なったと判定された時点の歩行者アイコンの位置の識別表示)を、CADソフト110のAPIを用いて、CADソフト110に指示する。具体的には、図12の1201に示す、当該歩行者独自のオブジェクトの形状を決定し、オブジェクトの色を所定の色(例えば青色)に決定して、津波オブジェクトに重なったと判定された時点の位置に配置するよう指示する。S811において、CADソフト110は当該指示を受け付け、S812において、S811で指示された形状のオブジェクトを生成して指示された色を設定し、指示された位置に配置して表示することで、例えば図12の1201に示すように歩行者アイコンの識別表示(津波オブジェクトに重なったと判定された時点の歩行者アイコンの位置の識別表示)を行う。
S808において、避難シミュレーションソフト120は、S805で特定した歩行者アイコンの初期位置の識別表示を、CADソフト110のAPIを用いて、CADソフト110に指示する。具体的には、図12の1203に示すように、S807で形状決定した当該歩行者独自のオブジェクトの形状と同じ形状を、初期位置の識別表示用のオブジェクトの形状として決定し、オブジェクトの色を初期位置を示す所定の色(例えば赤色)に決定し、初期位置の示す地図上の位置に配置するよう指示する。S813において、CADソフト110は当該指示を受け付け、S814において、S813で指示された形状のオブジェクトを生成して指示された色を設定し、指示された位置に配置して表示することで、例えば図12の1203に示すように、1201に対応する初期位置が1203であることを識別表示する。
なお、図12において、1202の歩行者に対応する初期位置は1204であり、1201と1202はことなる歩行者(異なる歩行者アイコンの位置)を示すことがわかる。
S809において、避難シミュレーションソフト120は、S806で特定した歩行者アイコンの移動ルートを、地図上に識別表示するように、CADソフト110のAPIを用いて、CADソフト110に指示する。具体的には、S806で特定した時間ごとの歩行者アイコンの移動履歴の位置を線分で繋いだルートオブジェクト(移動ルートを示すオブジェクト)を生成し、当該移動履歴の示す位置に配置するようCADソフト110に指示する。S815において、CADソフト110は当該指示を受け付け、S816において、S815で指示された形状のオブジェクトを生成して、指示された位置に配置して表示することで、例えば図12の1210に示す1211のように、初期位置1203から1201に至るまで歩行者アイコンの移動ルートを識別表示する。図12において、1212は、初期位置1204から1202に至るまで歩行者アイコンの移動ルートである。
S810において、避難シミュレーションソフト120は、S802で特定した全ての歩行者アイコンに対して、S804〜S809の処理を適用したか判定する。未適用の歩行者アイコンがある場合は、S804に処理を進め、処理を未適用のアイコンの中から新たな歩行者アイコンを取得する。S802で特定した全ての歩行者アイコンに対して、S804〜S809の処理を適用済みの場合は、図8に示す処理を終了する。
なお、上述した実施形態の説明においては、避難に失敗した歩行者の初期位置及び移動ルートの識別表示を合わせて行うものとしたが、例えば図12の1200、1210に示すように、どちらか一方を実行するようにしてもよい。初期位置及び移動ルートの識別表示のどちらを実行するか、あるいは両方を実行するかは、避難シミュレーションソフト120が提供する不図示の設定画面において選択され、記憶される設定ファイルによって決定する。例えば、避難シミュレーションソフト120が、外部メモリに記憶されている当該設定ファイルを、S802の直後にメモリ読み出す。そして、初期位置の識別表示のみ実行する設定の場合には、S803〜S810の処理を、S809をスキップして実行する。また、移動ルートの識別表示のみ実行する設定の場合には、S803〜S810の処理を、S808をスキップして実行する。また、初期位置の識別表示、移動ルートの識別表示の両方を行う設定の場合には、S803〜S810の処理を全て実行するものとする。
図8の処理によれば、避難者が避難できなくなるまでの、当該避難者にかかる位置を、ユーザに容易に確認させることができる。
例えば、避難に失敗した歩行者の、元々いた場所(初期位置)を容易に確認させることができる。
例えば、避難に失敗した歩行者の移動ルートを容易に確認させることができる。
以上説明したように、本発明によれば、避難者が避難できなくなるまでの、当該避難者にかかる位置を、ユーザに容易に確認させることができる。
<第2の実施形態>
以下、図13、14を参照して第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と共通の処理については説明を省略する。第2の実施形態においては、避難に失敗した避難者の位置に基づいて、新たな避難目的地の候補をユーザに提示する。
CADソフト110及び避難シミュレーションソフト120は、図6、図7で説明した処理を実行する。その後、図13の処理を開始する。図13においては、避難シミュレーションソフト120は起動済みであり、既に設定画面920(図9)が表示画面に表示されているものとする。
S1301において、避難シミュレーションソフト120は、ディスプレイ装置210に表示している画面や入力装置209を介したユーザの操作に基づいて、新たな避難場所候補(避難目的地の候補)の表示指示を受け付ける。例えば、避難シミュレーションソフト120は、入力装置209を介したユーザの操作に基づいて、設定画面920における「避難候補地表示」ボタンの選択を受け付けることで、新たな避難場所候補の表示指示を受け付けるものとする。
S1302において、避難シミュレーションソフト120は、歩行者アイコン情報500の中から固定フラグ=1の歩行者アイコン(逃げ遅れた歩行者)を特定して、当該歩行者アイコンの初期位置を特定する。
S1303において、避難シミュレーションソフト120は、所定の範囲内にある初期位置をグルーピングし、グルーピングした初期位置の中間地点を特定する。例えば図14でいう1403と1404との中間地点1402を特定する。そして、S1304において、当該中間地点を中心とする所定の範囲(例えば図14の1408の示す範囲)を避難目的地の候補として決定し(候補地特定手段の一例)、決定した避難目的地の候補を示すオブジェクト1408の形状を決定して、S1305において、当該形状のオブジェクトを、当該決定した位置に配置するようCADソフト110に指示する(候補地表示制御手段の一例)。
これは、避難できなかった避難者が密集しているエリアで、各避難者が避難できる候補地を提示するための処理である。
S1312において、CADソフト110は当該指示を受け付け、S1313において、S1312で指示された形状のオブジェクトを生成し、避難目的地候補の属性を付与して、指示された位置と対応付けてメモリ上に記憶する。そして、図14の1408に示すように、指示された位置に当該避難目的地候補のオブジェクトを配置することで、避難目的地候補を識別表示する。
S1306において、避難シミュレーションソフト120は、S1202で特定した避難に失敗した歩行者の移動ルートを特定し、所定数の移動ルートが最も接近した位置を特定する。例えば図14でいう、1405と1406の2つの移動ルートが最も接近した位置1401を特定する。なお、当該所定数の値は、避難シミュレーションソフト120の提供する不図示の設定画面上でユーザ操作により任意に設定変更可能であるものとする。
S1307において、避難シミュレーションソフト120は、S1306で特定した位置を中心とする所定の範囲(例えば図14の1407の示す範囲)を避難目的地の候補として決定し(候補地特定手段の一例)、決定した避難目的地の候補を示すオブジェクト1407の形状を決定して、S1308において、当該形状のオブジェクトを、当該決定した位置に配置するようCADソフト110に指示する(候補地表示制御手段の一例)。
移動ルートの接近具合に応じて避難目的候補を決定することで、シミュレーションにおいて避難に失敗した避難者が、移動途中に効率よく避難できる場所を候補地としてユーザに提示することができる。
S1314において、CADソフト110は当該指示を受け付け、S1315において、S1314で指示された形状のオブジェクトを生成し、避難目的地候補の属性を付与して、指示された位置と対応付けてメモリ上に記憶する。そして、図14の1407に示すように、指示された位置に当該避難目的地候補のオブジェクトを配置することで、避難目的地候補を識別表示する。
S1309において、避難シミュレーションソフト120は、表示画面900においてユーザ操作に基づく指示を受け付ける。具体的には、CADソフト110が、表示画面900において受け付けた操作を避難シミュレーションソフト120に通知することで、避難シミュレーションソフト120が操作に基づいた指示を受付ける。
S1310において、避難シミュレーションソフト120は、S1309で受け付けた指示が避難目的地候補のオブジェクトの選択指示か判定する。避難目的地候補のオブジェクトの選択指示でない場合は処理を終了する。
受け付けた指示が避難目的地候補のオブジェクトの選択指示である場合、S1311において、避難シミュレーションソフト120は、選択された非難目的地候補のオブジェクトを正式な避難目的地として決定して記憶する。例えば、図5に示す避難目的地550にオブジェクトID、頂点座標を追加し、属性を避難目的地候補から避難目的地に変更するようCADソフト110に指示する。CADソフト110が当該指示に従って避難目的地550の情報を追加、更新することでS1311の処理を完了する。
第2の実施形態によれば、避難に失敗した避難者の位置に基づいて、新たな避難目的地の候補をユーザに提示することができる。
例えば、避難に失敗した避難者の初期位置に基づいて、新たな避難目的地の候補をユーザに提示することができる。
また、避難に失敗した避難者の移動ルートに基づいて、新たな避難目的地の候補をユーザに提示することができる。
<第3の実施形態>
第1の実施形態の説明で上述したように、避難シミュレーションの情報に基づいて、歩行者が歩行した軌跡(移動ルート/歩行ルートともいう)を確認したいことがある。また、第1の実施形態の説明で上述したような、避難に失敗した歩行者の軌跡以外も確認したいことがある。
しかし、全ての歩行者の移動軌跡を一律に描画して画面に表示してしまうと軌跡同士が重なり合って、確認したい歩行者の軌跡を確認できないという問題がある。
第3の実施形態の発明は、必要な歩行者の移動の軌跡を、容易に表示画面に表示可能な仕組みを提供することを目的とする。
以下、図16〜20を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、第1〜第2の実施形態と共通する処理については詳細な説明は割愛する。
まず図16を参照して、本発明の第3の実施形態における、ルートオブジェクト作成処理の流れについて説明する。
S1601において、CADソフト110は、ユーザ操作を受け付ける。例えば、図19の900に示す画面においてユーザ操作を受け付ける。図19の900は、図9の(a)における900と同じ画面である。ステップS1601の時点では、CADソフトは、第1の実施形態における地図に相当する、部屋のCAD図面を展開して図19の900に示すように表示している。
1902は歩行者アイコンである。CADソフト110は、例えば任意の歩行者アイコン1902にマウスカーソルを合わせてクリックする操作を受け付けることで、当該クリックされた歩行者の選択を受け付け、当該歩行者アイコン1902を選択状態とする。選択中の歩行者アイコンは、メモリ上に作成する不図示の選択中オブジェクト一覧に記憶し、選択中の歩行者を管理する。
1903は壁の属性を持ったオブジェクト(図形)である。1904は、避難目的地の属性を持ったオブジェクトであり、例えばドアである。
各オブジェクトはCADソフト110がユーザ操作に応じて選択可能である。例えばクリック操作を受け付けることでオブジェクトの選択を受け付ける。
なお、図16のステップS1601の時点においては、既に、図19の900に表示されている図面を使った避難シミュレーションが実行済みであり、その結果のデータが外部メモリ211に記憶されているものとする。シミュレーション結果の一例を図18のルートデータ1800(時間毎位置履歴)に示す。避難シミュレーションの実行(歩行者アイコンの移動や障害物オブジェクトの配置)方法については図7で前述したとおりである。
第3の実施形態においては、避難シミュレーションソフト120が、避難シミュレーション実行の指示を受け付けた時点でCADソフト110が展開・表示している図面と歩行者アイコンに基づいて、仮想で歩行者アイコンの移動を行い、避難シミュレーションの結果を作成しているものとする。そのため、実際の図面上の歩行者アイコンは初期位置(始点)に位置したままである。
また、第3の実施形態においては、避難シミュレーションソフト120は、シミュレーション開始から所定の時間間隔ごと(時間1802ごと)に、各歩行者アイコン(アイコンID1803)のいた位置1804(図面上のX,Y座標)を記憶している。日時1801は、各データ行のデータが記憶された日時である。ルートデータ1800は、避難シミュレーションを実行するごとに新たに作成され、記憶される。
S1602において、CADソフト110は、受け付けたユーザ操作が、移動軌跡のプロットのコマンド実行操作か判定する。
具体的には、図19に示すように、CADソフト110のメニューから、歩行軌跡プロットコマンドのボタン1901の選択の操作を受け付けた場合にコマンド実行操作であると判定する。
S1603において、CADソフト110は、避難シミュレーションソフト120に対してコマンド実行指示をする。S1604において、避難シミュレーションソフト120はコマンド実行指示を受け付ける。
S1605において、避難シミュレーションソフト120は当該コマンド実行指示を受け付け、不図示のルート作成対象の選択画面を表示して、ルートオブジェクト(歩行者の移動軌跡のオブジェクト)の作成をする対象のルートデータを、外部メモリに記憶されている複数のルートデータの一覧から選択するユーザ操作を受け付ける。
そして、当該選択されたルートデータ1800をRAM上に読み出して、当該選択されたルートデータ1800を使って、以降の、歩行者アイコンの過去の位置にかかるオブジェクト(例えば移動軌跡のオブジェクト)の作成処理を実行する。
当該ルートデータ1800の選択受付後、避難シミュレーションソフト120は図19の1910に示すようなダイアログを表示画面に表示する。
S1606において、避難シミュレーションソフト120は、ルートのオブジェクトの作成対象とする歩行者の決定処理を実行する。当該決定処理の詳細を、図17を参照して説明する。
S1701において、避難シミュレーションソフト120は、ダイアログ1910上でのユーザ操作を受け付ける。
S1702において、避難シミュレーションソフト120は、ステップS1701で受け付けた操作が、CADソフト110の図面上で選択中の歩行者(歩行者アイコン)のみを歩行軌跡のオブジェクト(移動ルートを示すルートオブジェクト)の作成の対象とする操作か判定する。
具体的には、ダイアログ内「選択した人のみ描画」のチェックボックス1912のチェック入の操作を受け付けた場合に、選択中の歩行者のみをルート作成の対象とする操作がされたと判定する。
S1703において、避難シミュレーションソフト120は、ステップS1702において、選択中の歩行者のみをルート作成の対象とする操作を受け付けたと判定した場合、当該操作に応じて、図19の1901の選択部を選択状態にする。
S1704において、S1701で受け付けた操作がルート作成の実行操作か判定する。具体的には、ダイアログ内の「OK」ボタン1911の選択の操作を受け付けた場合に、ルート作成(オブジェクト作成)の実行操作がされたと判定する。ルート作成の実行操作がされたと判定した場合は処理をステップS1705に移行する。
S1705において、避難シミュレーションソフト120は、選択中の歩行者のみを対象としたルート作成の実行操作か判定する。具体的には、「選択したひとのみ描画」チェックボックス1912が入状態で「OK」ボタン1911が追うかされた場合に、選択中の歩行者のみを対象としたルート作成の実行操作がされたと判定する。
ステップS1705において、ステップS1701で受け付けた操作が選択中の歩行者のみを対象としたルート作成の実行操作ではないと判定された場合、全歩行者の実行操作であったものと判定し、処理をステップS1709に移行する。
そして、ステップS1709で、全歩行者をルート作成の対象として選択する。具体的には、処理対象の歩行者アイコンとして、全歩行者アイコンのアイコンID一覧をRAM上に保持する。
ここでいう全歩行者とは、選択中および非選択中の全ての歩行者であり、ルートデータ1800のアイコンID1803に含まれる全ての歩行者アイコンである。
ステップS1705において、ステップS1701で受け付けた操作が選択中の歩行者のみを対象としたルート作成の実行操作であると判定された場合、処理をステップS1706に移行する。
ステップS1706において、避難シミュレーションソフト120は、選択中の歩行者があるかCADソフト110に問い合わせる。具体的には、CADソフト110上で選択されている歩行者の探査をCADソフト110に要求し、選択されている歩行者の有無の情報をCADソフト110から取得する。
選択されている歩行者アイコンがある場合には、CADソフトは避難シミュレーションソフト120に対して、選択されている歩行者有の情報として、選択されている歩行者アイコンのアイコンID一覧を送信する。
選択されている歩行者アイコンがない場合には、選択されている歩行者無しの情報として、空のアイコンID一覧を避難シミュレーションソフト120に送信する。
ステップS1707において、避難シミュレーションソフト120は、CADソフト110から取得した歩行者の有無の情報を参照し、選択中の歩行者アイコンがあるか判定する。選択中の歩行者アイコンがない場合は処理をステップS1709に移行する。選択中の歩行者アイコンがある場合は処理をステップS1708に移行する。
ステップS1708において、避難シミュレーションソフト120は、CADソフト110上で選択中の歩行者アイコンのみを、ルートを作成する対象として選択し、決定する。具体的には、処理対象の歩行者アイコンとして、当該歩行者アイコンのアイコンID一覧をRAM上に保持する。以上が図17の説明である。
図16の説明に戻る。ステップS1607において、避難シミュレーションソフト120は、ユーザによって選択されたRAM上のルートデータ1800から、全時刻のルートデータを取得する。
避難シミュレーションソフト120は、当該ルートデータ1800に含まれる全ての歩行者に対して以下の処理を繰り返す。
S1608において、避難シミュレーションソフト120は、未処理の歩行者アイコンのアイコンIDを1つ取得する。
S1609において、避難シミュレーションソフト120は、取得した歩行者のIDが、ルート作成処理対象の歩行者アイコンのIDか判定する。ルート作成対象の歩行者のIDとは、図17のステップS1708又はS1709で処理対象として選択・決定された種類の歩行者のIDである。
なお、図16の以降の説明においては、S1708において、CADソフト110上で選択中の歩行者のみがルート作成対象として選択・決定されているものとして説明する。
取得した歩行者アイコンのアイコンIDが、ルート作成処理対象の歩行者のIDである場合には、処理をステップS1610に移行する。ここでは、CADソフト110上で選択中の歩行者アイコンのアイコンIDである場合に処理をステップS1610に移行する。
具体的には、取得した歩行者アイコンのアイコンIDが、CADソフト110上で選択されている歩行者のいずれかのアイコンIDと一致する場合に、取得した歩行者アイコンのアイコンIDが、CADソフト110上で選択中の歩行者アイコンのアイコンIDであると判定する。
取得した歩行者アイコンのアイコンIDが、ルート作成処理対象のアイコンIDでない場合は、処理をステップS1608の前に戻し、新たに処理未適用の歩行者アイコンを取得する。全ての歩行者アイコンのアイコンIDにステップS1608〜S1614の処理適用済みの場合は、処理をステップ1615に移行する。
S1610において、避難シミュレーションソフト120は、取得した歩行者アイコンのオブジェクトのグループが存在するか判定し、存在しない場合には、当該歩行者の移動ルートのオブジェクトグループを作成するようCADソフト110に指示する。
歩行者の移動ルートのグループとは、例えば図18の1830に示す、ある歩行者のルートデータから作成するすべてのオブジェクトを歩行者ごとにひとまとまりに管理するデータ形式のことである。
移動ルートのグループは、例えば、歩行者アイコン自体に設定されている属性や付加情報(図5の属性、速度等)に基づいて、避難シミュレーションソフトが歩行者アイコンを移動させた移動ルートのオブジェクトと、歩行者アイコンの属性や付加情報によらない他の要因に基づいて避難シミュレーションソフトが歩行者アイコンを移動させた移動ルートのオブジェクトをひとまとまりにしたグループである。
他の要因とは、例えば、不図示のワープ区間の移動ルートである。ワープ区間とは、ワープ領域間の区間である。ワープ領域とは、特に二次元図面上で避難シミュレーションを行う場合に必要とされる図面上の領域であり、ワープ元とワープ先の領域のペアで用いられる。二次元図面の場合、例えば1階と2階の部屋の図面を別々に作図・作成することになる。歩行者アイコンを1階から2階、2階から1階に移動させるためには、例えば各階の図面における階段のオブジェクト上にワープ領域を設定し、ワープ領域に達した歩行者アイコンをもう一方のワープ領域が配置されたフロアの図面に移動させる必要がある。これが、歩行者アイコンの属性や付加情報によらない他の要因に基づいて避難シミュレーションソフトが歩行者アイコンを移動させる場合の一例である。
また、特に多くのフロアや、多くの階段がある図面等においては、どの階段上のワープ領域からどの階段上のワープ領域に歩行者が移動したかを分かり易くするため、歩行者アイコンがどのワープ領域からどのワープ領域に移動されたか(位置変更・更新)されたかを、ルートオブジェクトとして表示することで明確にすることができる。
また、これらの移動ルートのオブジェクトをひとまとまりにすることで、1人の歩行者の移動履歴から作成した複数のオブジェクトを、CADソフト110上において、歩行者毎に一括で選択し、操作することができるようになる。
グループID1831は、歩行者毎の移動ルートのグループの識別IDである。避難シミュレーションソフト120は、グループID1831に当該グループに対応する歩行者アイコンのアイコンIDを挿入し、グループを作成・記憶するようCADソフト110に指示する。グループID1831には、歩行者アイコンのルートデータから作成するすべてのオブジェクトが対応付けて記憶される。
1732は、該当歩行者のルートデータから作成するオブジェクトのIDである。
1733は、オブジェクトを構成する頂点の1区間の座標の組である。ルートオブジェクトの場合、移動軌跡を示す線のオブジェクトの頂点2つの座標が挿入される。
1734は、オブジェクトの頂点1区間の属性である。1734には、例えばオブジェクトの色のRGB値と透明度が挿入される。
ステップS1618において、CADソフト110は歩行者の移動ルートのグループの作成指示を受け付ける。
S1619において、CADソフト110は歩行者の移動ルートのグループを作成する。例えば図18の1830における歩行者U00001の移動ルートのグループを新規に作成し、U00001の値を1831に挿入する。この時点では1832〜1834のデータは空である。
避難シミュレーションソフト120は、ステップS1609で処理対象と判定された歩行者の全ルートデータ1800を取得する。そして、ステップS1611〜S1617までの処理を、ステップS1609で処理対象と判定された歩行者アイコンの時間ごとのルートデータ1800に対して繰り返し実行する。
S1611において、避難シミュレーションソフト120は、歩行者の1区間のルートを特定・取得する。1区間のルートとは、1人の歩行者の記録時間(時間1802又は日時1801)が連続する2つの位置の組ことであり、例えば図18の1800でいうU00001の経過時間0秒と0.1秒のときの位置の組のことである。
S1612において、避難シミュレーションソフト120は、S1611で取得した1区間のルートが、ワープ領域間のルートか判定する。
具体的には、1区間の直線距離が1.5m以上の場合に、S1611で取得した1区間のルートがワープ領域間のルートであると判定する。これは、900に表示しているCADの二次元図面上の距離である。フロアが異なる図面は一定の距離間隔ごと(例えば1.5m以上の距離間隔ごと)に作図することが多いため、1区間の直線距離が1.5m以上の場合に、ワープ領域間を移動していると判定するものである。
S1611で取得した1区間のルートがワープ領域間を移動している位置のペアでない場合(歩行していることを示す位置のペアである場合)、処理をS1613に移行する。S1611で取得した1区間のルートがワープ領域間を移動している位置のペアである場合、処理をS1614に移行する。
S1613において、避難シミュレーションソフト120は、S1611で取得した1区間のルートデータ(位置のペア)を通常区間のルートとしてメモリに記憶する。例えば、図18の通常区間1810における1812に、新規の番号1811を付与して記憶する。
S1614において、避難シミュレーションソフト120は、S1611で取得した1区間のルートをワープ区間のルートとしてメモリに記憶する。例えば、図18のワープ区間1820における1822に、新規の番号1821を付与して記憶する。
避難シミュレーションソフト120は、ステップS1609で処理対象の歩行者と判定された歩行者アイコンの全てのルートデータに対してステップS1613又はS1614までの処理を適用した後、処理をステップS1615に移行する。
ステップS1615において、避難シミュレーションソフト120は、ステップS1613でメモリに記憶した通常区間1810の位置の情報をCADソフト110に受け渡し、時系列順に位置データを頂点として繋いだ1つの多角形図形(多角形オブジェクト)を作図するよう指示する。また、多角形図形の色をグレー1とするよう指示する。また、当該多角形のCADソフト上におけるクラスを「通常区間」に設定するよう指示する。
同時に、ステップS1614でメモリに記憶したワープ区間1820の位置の情報をCADソフト110に受け渡し、多角形の各頂点間のうちワープ区間の位置の頂点間については透明化(透明度を100%に)するよう指示する。
クラスは、CADソフト110上において、複数のオブジェクトをまとめて選択・表示切替することができる単位の1つである。例えばCADソフト110上で「通常区間」のオブジェクトを選択する操作を受け付けると、CADソフト110は、どの歩行者のグループのオブジェクトかに関係なく、自身の管理している全ての「通常区間」のクラスのオブジェクトを一括で選択することができる。
ステップS1616において、避難シミュレーションソフト120は、ステップS1614でメモリに記憶したワープ区間1820の位置の情報をCADソフト110に受け渡し、区間ごとに位置データを頂点とする線分(線分オブジェクト)を作図するよう指示する。また、線分の色をグレー2とするよう指示する。また、当該線分のCADソフト上におけるクラスを「ワープ区間」に設定するよう指示する。
ステップS1620においてCADソフト110はオブジェクトの作成指示を受け付け、ステップS1621において、当該指示に従って通常区間の多角形を作成して、通常区間の多角形のなかでワープ区間の頂点間は透明化して表示画面に表示する。また、ワープ区間の線分を作成して表示する。
ステップS1617において、避難シミュレーションソフト120は、ステップS1615及びS1616で作成指示したオブジェクトを歩行者のグループに登録するようCADソフト110に指示する。
ステップS1622において、CADソフト110は当該指示を受け付け、ステップS1623において、CADソフト110はステップS1621で作成した多角形及び線分のオブジェクトを、図18の1830に示すように、歩行者のグループに追加して記憶する。つまり、オブジェクトを歩行者ごとにグルーピングする処理を行う。以上が図16の説明である。
図20の2020に、ワープ区間の線分と、通常区間の多角形を作成・識別表示した例を示す。
また、図20の2000に、全ての歩行者の移動ルートのオブジェクトを作成・表示した例を示す。図20の2010に、選択されている歩行者アイコンのみ移動ルートのオブジェクトを作成・表示した例を示す。2000に比べて、2010は歩行者アイコンと移動ルートの対応が明瞭であり、その対応関係を確認しやすい。
以上説明したように、本発明の第3の実施形態によれば、必要な歩行者の移動の軌跡を、容易に表示画面に表示可能な仕組みを提供するができる。
つまり、避難シミュレーションにおける歩行者にかかる位置を、ユーザに容易に確認させる仕組みを提供することができる。
また、通常区間のルートとワープ区間のルートのオブジェクトを分けて作成することで、CADソフト110上で、それぞれのオブジェクトの表示・非表示を容易に行うことができる。
また、移動ルートを歩行者ごとにグルーピングすることで歩行者ごとに通常区間およびすべてのワープ区間のルートのオブジェクトを一括で操作することができる。
また、CAD上において通常区間とワープ区間のクラスを分けることでクラスごとに表示状態を管理することができる。
また、CADソフト110上で通常区間またはいずれかのワープ区間のルートのオブジェクトの押下の操作を受け付けることで、押下されたオブジェクトと同一のグループに属する、通常区間とワープ区間のルートオブジェクトを一括で選択可能である。
また、CADソフト110上でワープ区間のクラスの図形を一括選択の操作を受け付けることで、ワープ区間のルートのオブジェクトのみを選択可能である。
また、CADソフト110上で通常区間のクラスの図形を一括選択の操作を受け付けることで、通常区間のルートのオブジェクトのみを選択可能である。
<第4の実施形態>
避難シミュレーション実行後、避難失敗者の位置だけでなく、避難成功者の位置も確認したいことがある。
第4の実施形態においては、避難に成功した避難成功者と、避難に失敗した避難失敗者とで、歩行者アイコンの最終位置(終点)を識別表示し、ユーザに認識可能とする。
また、歩行者の初期位置(始点)を最終位置の識別表示と合わせて表示することで、避難成功者と避難失敗者の初期位置を識別表示し、ユーザに認識可能とする。
なお、第4の実施形態においては、避難シミュレーションソフト120が、避難シミュレーション実行の指示を受け付けた時点でCADソフト110が展開・表示している図面と歩行者アイコンに基づいて、仮想で歩行者アイコンの移動を行い、避難シミュレーションの結果を作成しているものとする。そのため、実際の図面上の歩行者アイコンは初期位置(始点)に位置したままである。
以下、図21〜24を参照して、本発明の第4の実施形態について説明する。なお、第1〜第3の実施形態と共通する処理については詳細な説明は割愛する。
まず図21を参照して、本発明の第4の実施形態における、始点・終点のオブジェクト作成操作の流れについて説明する。
避難シミュレーションソフト120は、ステップS1701〜S1703の処理を実行する。S1701〜S1703の処理は、図17の各処理と同一である。
ステップ1702において、ステップS1701で受け付けた操作が選択中の歩行者アイコンを処理対象とする操作でないと判定した場合に、処理をステップS2101に移行する。
ステップS2101において、避難シミュレーションソフト120は、ステップS1701で受け付けた操作が、歩行者アイコンの始点・終点のオブジェクト作成の操作か判定する。具体的には、図19の1913のチェックボックスにチェックを入れる操作が、歩行者アイコンの始点・終点のオブジェクト作成の操作である。
ステップS1701で受け付けた操作が、歩行者アイコンの始点・終点のオブジェクト作成の操作と判定した場合、処理をステップS2102に移行する。ステップS2102において、避難シミュレーションソフト120は、1913のチェックボックスにチェックを入れ、選択状態とする。
一方、ステップS2101において、ステップS1701で受け付けた操作が、歩行者アイコンの始点・終点のオブジェクト作成の操作と判定された場合、処理をステップS1704に移行する。ステップS1704以降の処理は図17と同じであるため説明は割愛する。以上が図21の説明である。
次に図22を参照して、本発明の第4の実施形態における、始点と終点の識別表示処理の流れについて説明する。
避難シミュレーションソフト120は、図16のステップS1606の処理完了後、図16のステップS1607以降の処理と並行して図22の処理を実行する。
ステップS2201において、避難シミュレーションソフト120は、始点及び終点のオブジェクト作成操作がされたか判定する。具体的には、図22のステップS1704で受け付けた実行操作が、チェックボックス1913にチェックが入れられた状態で行われていた場合に始点及び終点のオブジェクト作成操作がされたと判定する。
ステップS1607において、避難シミュレーションソフト120は、図16のステップS1607と同様に、ユーザによって選択されたRAM上のルートデータ1800から、全時刻のルートデータを取得する。
避難シミュレーションソフト120は、対象の歩行者に対して以下の処理を繰り返す。ここでいう対象の歩行者とは、図16のステップS1609において処理対象の歩行者と判定される歩行者と同じである。つまり、全ての歩行者の中から未処理の歩行者アイコンのアイコンIDを取得して、ステップS1609と同じ条件で処理対象か判定し、処理対象の歩行者の場合には、ステップS2202以降の処理を実行する。本説明においては、例として、ユーザによって選択された歩行者アイコンを対象とする。
S2202において、避難シミュレーションソフト120は、RAM上のルートデータ1800から、未処理の歩行者アイコンのアイコンIDを1つ取得する。
S2203において、避難シミュレーションソフト120は、CADソフト110に対して歩行者の識別表示指示をする。
S2211において、CADソフト110は当該指示を受け付け、S2212において、当該指示に従って全歩行者のアイコンを識別表示する。
S2204において、避難シミュレーションソフト120は、S2202で取得したアイコンIDの歩行者が、避難に失敗した歩行者(避難失敗者)か、避難に成功した歩行者(避難成功者)か判定する。
避難失敗者とは、避難シミュレーション終了時に目的地に達していない歩行者アイコンの歩行者や、津波の障害物オブジェクトと重なる等の原因により、一定時間以上立ち止まっている歩行者アイコンの歩行者である。避難成功者とは、避難シミュレーション終了時までに目的地に到達している歩行者アイコンの歩行者である。
なお、本実施形態において、避難シミュレーションソフト120は、シミュレーション開始から所定の時間の間シミュレーションを継続する。当該所定の時間の情報は予め外部メモリに記憶されている。図18の1802の末尾のデータに示すように、本実施形態における所定の時間(制限時間)は300秒とする。
また、本実施形態において、避難シミュレーションソフト120は、避難シミュレーション実行時、避難目的地に達した歩行者アイコンの位置の記録はそれ以降記憶しない。また、津波に呑まれる等、障害物オブジェクトと重なることで身動きが取れなくなっている歩行者アイコンの時間1802ごとの位置は、避難シミュレーションの終了まで(制限時間の間)、継続して同じ位置を記憶し続けるものとする。
ステップS2204において、避難シミュレーションソフト120は、ステップS2202で取得したアイコンIDの歩行者のルートデータ(時系列の位置データ)の情報を参照し、シミュレーション終了時点(記録されている最終の日時1801)の位置1804が記録されている場合に、当該歩行者を避難失敗者であると判定する。
なお、対象歩行者のシミュレーション終了時点の位置がひとつ前の時刻の位置と同じである場合には、当該歩行者は、津波等の障害物オブジェクトによって避難に失敗した避難失敗者である。
一方、シミュレーション終了時点において位置1804が記録されていない場合は当該歩行者を避難成功者であると判定する。
S2202で取得したアイコンIDの歩行者が避難失敗者であると判定した場合には処理をS2205に移行し、当該歩行者アイコンの最終位置を、当該歩行者の終点として、図23に示す失敗位置2320に示すメモリ上のテーブルに記憶し、処理をS2207に移行する。
S2202で取得したアイコンIDの歩行者が避難成功者であると判定した場合には処理をS2206に移行し、当該歩行者アイコンの最終位置を当該歩行者の終点として、図23の成功位置2310に示すメモリ上のテーブルに記憶し、処理をS2207に移行する。
S2207において、避難シミュレーションソフト120は、歩行者アイコンの初期位置を当該歩行者アイコンの歩行者の始点として、図23の初期位置2300に示すメモリ上のテーブルに記憶する。
なお、2300、2310、2320は避難シミュレーションソフト120により、いずれも処理中の歩行者アイコンのアイコンIDと対応付けて記憶するものとする。
ステップS2208において、避難シミュレーションソフト120はCADソフト110に対して、ステップS2205又はS2206で記憶された終点のオブジェクトの作成指示をする。
具体的には、終点の座標の値(位置1804の値)と、図19の1913においてユーザ操作により入力され指定された円の直径の値とをCADソフト110に受け渡し、当該座標を中心として、当該直径の円形図形(円形オブジェクト)を作成するよう指示する。
なお、避難失敗者の終点のオブジェクト作成指示には、作成後のオブジェクトの色を、避難失敗の最終位置であることを識別可能な色とする指示を含める。本実施形態において避難失敗を識別可能な色とは赤色であるものとする。また、避難シミュレーションソフト120は当該オブジェクトのクラスを「終点(避難失敗者)」とするよう指示する。
また、避難成功者の終点のオブジェクト作成指示には、作成後のオブジェクトの色を、避難成功の最終位置であることを識別可能な色とする指示を含める。本実施形態において避難成功を識別可能な色とは緑色であるものとする。また、避難シミュレーションソフト120は当該オブジェクトのクラスを「終点(避難成功者)」とするよう指示する。
ステップS2213において、CADソフト110は当該終点のオブジェクトの作成指示を受け付け、指示に従って、指定された図面上の位置に終点のオブジェクトを作成する。
そしてS2214において、CADソフト110は、受け付けた指示に含まれる色の情報を、作成後の終点のオブジェクトの属性に挿入して終点のオブジェクトの色を変更し、表示画面に表示する。また、指示されたクラスをオブジェクトに設定する。
終点オブジェクトの一例を図23の2332及び2334に示す。2332は避難成功者の終点のオブジェクトである。2334は避難失敗者の終点のオブジェクトである。
ステップS2209において、避難シミュレーションソフト120はCADソフト110に対して、S2207で記憶された始点位置に、歩行者の始点のオブジェクトの作成するよう指示をする。
具体的には、始点の座標の値と図19の1913においてユーザ操作により入力され指定された円の直径の値とをCADソフト110に受け渡し、当該座標を中心として、当該直径の円形オブジェクトを作成するよう指示する。
なお、始点のオブジェクト作成指示には、当該オブジェクトの色を、当該オブジェクトが始点のオブジェクトであることを識別可能な色とする指示を含める。本実施形態において避難失敗を識別可能な色とは青色であるものとする。また、避難シミュレーションソフト120は当該オブジェクトのクラスを「始点」とするよう指示する。
S1622において、CADソフト110は、当該始点のオブジェクト作成指示を受け付け、指示に従って、指定された座標に始点のオブジェクトを作成する。そして、オブジェクトの色を青に設定、クラスを「始点」に設定し、表示画面に表示する。始点のオブジェクトの一例を図23の2321、2333に示す。
S2210において、避難シミュレーションソフト120は、S2208及びS2209で作成指示した終点及び始点のオブジェクトを、ステップS2202で取得したアイコンIDの歩行者のグループに登録するようCADソフト110に指示する。
ステップS2216において、CADソフト110は当該オブジェクトのグルーピングの指示を受け付ける。ステップS2217において、CADソフト110は、当該グルーピングの指示に従って始点及び終点のオブジェクトを、歩行者のグループに追加登録する。登録後のグループの一例を図23の2330に示す。以上が図22の説明である。
図22の処理を実行することにより、避難に成功した避難成功者と、避難に失敗した避難失敗者とで、歩行者アイコンの最終位置(終点)を識別表示し、ユーザが認識可能となるように提示することができる。
また、図16の処理と図22の処理を両方実行することで、避難失敗を識別可能な終点と始点、避難成功を識別可能な終点と始点がルートの線によってつながる。つまり、避難成功者と避難失敗者の初期位置を識別表示することができ、避難成功者、避難失敗者の初期位置をユーザが認識可能となるように提示することができる。
始点、終点のオブジェクトの表示の一例を図24の900に示す。ここでは津波の障害物オブジェクト2410の存在を説明するために、第3の実施形態とは異なる図面2400を用いて説明している。図面2400は地図であり、複数の道の図形や建物の図形から成る。
2415は各歩行者が目指すべき避難目的地である。2411は避難成功者の終点のオブジェクトである。2412、2416は、避難失敗者の終点のオブジェクトである。
2413は、各歩行者の移動ルートのオブジェクトである。各ルートオブジェクトは、図16のステップS1615〜S1616、S1620〜S1621により作成されている。
2414、2418、2419は、各歩行者の始点のオブジェクトである。
図24に示すように、図22の処理によれば、避難成功者の最終位置と避難失敗者の最終位置を識別可能に表示することができる。
また、避難成功者の終点のオブジェクトと始点のオブジェクトが移動ルートのオブジェクトで繋がるため、避難成功者の初期位置を容易に認識・確認できる。
また、避難失敗者の終点のオブジェクトと始点のオブジェクトが移動ルートのオブジェクトで繋がるため、避難失敗者の初期位置を容易に認識・確認できる。
以上のように、本発明の第4の実施形態によれば、避難に成功した避難成功者と、避難に失敗した避難失敗者とで、歩行者アイコンの最終位置(終点)を識別表示し、ユーザが認識可能となるように提示することができる。
つまり、避難シミュレーションにおける歩行者にかかる位置を、ユーザに容易に確認させる仕組みを提供することができる。
また、第3の実施形態と同じく、歩行者ごとにオブジェクトをグルーピングするため、歩行者ごとのオブジェクトを一括で選択、操作することが可能となる。
当該グルーピングがされることにより、例えば、CADソフト110の図面上にある歩行者の終点のオブジェクトがクリックされた場合、CADソフト110は当該歩行者の終点のオブジェクト、移動ルートのオブジェクト、始点のオブジェクトをまとめて選択状態として、選択状態であることを画面上で識別表示する。
また、CADソフト110上で「終点(避難成功者)」、「終点(避難失敗者)」、「始点」のクラスの図形をそれぞれ一括選択する操作を受け付けることで、避難に成功した歩行者の終点の識別表示のオブジェクトのみ、避難に失敗した歩行者の終点の識別表示のオブジェクトのみ、始点のオブジェクトのみを選択可能である。
<第5の実施形態>
第5の実施形態においては、始点・終点・ルート全てのオブジェクトを表示せずとも、避難成功者と避難失敗者とで始点のオブジェクトをユーザが認識できるようにする。
例えば、歩行者の移動ルートの作成処理と終点のオブジェクト作成処理をスキップして、始点のオブジェクト作成処理のみを行い、避難成功者と避難失敗者とで始点のオブジェクトを識別表示する。
以下、第5の実施形態の処理について説明する。第1〜第4の実施形態の説明で上述した内容、共通する処理については詳細な説明は割愛する。
避難シミュレーションソフト120は、図16の処理を開始する。そして、ステップS1606の実行後、図22の処理を開始する。図16のステップS1607以降の処理はスキップする。
避難シミュレーションソフト120は、図22のステップS2201〜S2204の処理を実行する。避難シミュレーションソフト120は、図22のステップS2205の代わりに、避難失敗者の始点の座標を図23失敗位置2320に登録する。また、ステップS2206の代わりに、避難成功者の始点の座標を図23の成功位置2310に登録する。2300〜2320の各情報は処理中の歩行者のアイコンIDと対応付けて記憶・登録するものとする。
避難シミュレーションソフト120は、ステップS2208を実行し、図22のステップS2209の処理をスキップする。
ステップS2210において、避難シミュレーションソフトは、CADソフト110に対して始点のオブジェクトの作成指示と色の指定を行う。具体的には、避難成功者の始点のオブジェクトの色は緑色にするよう指示する。避難失敗者の始点のオブジェクトの色は赤色にするよう指示する。
また、避難成功者の始点のオブジェクトの場合は「始点(避難成功者)」のクラスを設定するよう指示し、避難失敗者の始点のオブジェクトの場合は「始点(避難失敗者)」のクラスを設定するよう指示する。
ステップS2215において、CADソフト110は当該指示を受け付け、指示に従ってオブジェクトを作成し、色とクラスを設定して、指定された色で各オブジェクトを表示する。
表示後の画面例を図25の2500に示す。2501は避難成功者の始点のオブジェクトであり、2502は避難失敗者の始点のオブジェクトである。
以上説明したように、本発明の第5の実施形態によれば、必ずしも終点のオブジェクトを避難成功者と避難失敗者によって識別表示することなく、避難成功者の初期位置と避難失敗者の初期位置をユーザに識別可能に表示することができる。
つまり、避難シミュレーションにおける歩行者にかかる位置を、ユーザに容易に確認させる仕組みを提供することができる。
<第6の実施形態>
第6の実施形態においては、始点・終点・ルート全てのオブジェクトを表示せずとも、避難成功者と避難失敗者とで終点のオブジェクトをユーザが認識できるようにする。
具体的には、図16のステップS1607以降の処理をスキップし、図22のステップS2210の処理をスキップして、図22の処理を実行する。これにより、終点のオブジェクトのみが表示画面に表示される。
表示後の画面例を図25の2510に示す。2511は避難成功者の終点のオブジェクトであり、2512は避難失敗者の終点のオブジェクトである。
第6の実施形態によれば、必ずしも始点のオブジェクトとルートオブジェクトを表示することなく、避難成功者の最終位置と避難失敗者の最終位置をユーザに識別可能に表示することができる。
つまり、避難シミュレーションにおける歩行者にかかる位置を、ユーザに容易に確認させる仕組みを提供することができる。
<第7の実施形態>
ときには、避難成功者の移動ルートや、最終位置、初期位置のみを見たいことがある。また、避難失敗者の移動ルートや、最終位置、初期位置のみを見たいことがある。
第7の実施形態においては、避難成功者の移動ルートや、最終位置、初期位置のみを容易にユーザに認識可能に表示する仕組みを提供する。
また、避難失敗者の移動ルートや、最終位置、初期位置のみを容易にユーザに認識可能に表示する仕組みを提供する。
以下、第7の実施形態の処理について説明する。第1〜第6の実施形態の説明で上述した内容、共通する処理については詳細な説明は割愛する。
避難シミュレーションソフト120は図16の処理を開始する。避難シミュレーションソフト120は、図16のステップS1605において、図19のダイアログ1910の代わりに図27のダイアログ2700を表示する。
処理をステップS1606に移行し、図17の処理を開始する。ステップS1701でダイアログ2700において操作を受け付け、図26の処理を開始する。
S2601において、避難シミュレーションソフト120は、ステップS1701で受け付けた操作が、避難成功者のみをオブジェクト作成の対象として選択する操作か判定する。
具体的には、「避難に成功したひとのみ描画」チェックボックス2701の選択の操作を受け付けた場合に、避難成功者のみをオブジェクト作成の対象とする操作がされたと判定する。
避難成功者のみをオブジェクト作成の対象とする操作だったと判定された場合、処理をステップS2608に移行し、「避難に成功したひとのみ描画」チェックボックス2701にチェックを入れる。
避難成功者のみをオブジェクト作成の対象とする操作ではなかったと判定された場合、処理をステップS2602に移行し、ステップS1701で受け付けた操作が、避難失敗者のみをオブジェクト作成の対象とする操作か判定する。
具体的には、「避難に失敗したひとのみ描画」チェックボックス2702の選択の操作を受け付けた場合に、避難失敗者のみをオブジェクト作成の対象とする操作がされたと判定する。
避難失敗者のみをオブジェクト作成の対象とする操作だったと判定された場合、処理をステップS2609に移行し、「避難に失敗したひとのみ描画」チェックボックス2702にチェックを入れる。
避難失敗者のみをオブジェクト作成の対象とする操作ではなかったと判定された場合、処理をステップS2603に移行する。ステップS2603の処理は図17のステップS1704の処理と同じである。つまり、ダイアログ内の「OK」ボタンの選択の操作を受け付けることによる、オブジェクト作成の実行操作がされたか判定する。
ステップS1701で受け付けた操作がルート作成の実行操作でない場合、例えば「キャンセル」ボタンの選択操作だった場合には処理を終了する。ステップS1701で受け付けた操作がルート作成の実行操作の場合には処理をステップS2604に移行する。
S2604において、避難シミュレーションソフト120は、ステップS1701で受け付けた操作が、避難成功者のみを対象としたオブジェクト作成の実行操作か判定する。
具体的には、「避難に成功したひとのみ描画」チェックボックス2701にチェックがされている状態で「OK」ボタンの選択操作を受け付けた場合に、避難成功者のみを対象としたオブジェクト作成の実行操作であると判定する。
ステップS1701で受け付けた操作が、避難成功者のみを対象としたオブジェクト作成の実行操作の場合には、処理をステップS2606に移行する。
ステップS2606では、避難シミュレーション結果の移動履歴のデータ上(ルートデータ1800上)で避難に成功している歩行者のみを、ルートを作成する対象として選択し、決定する。具体的には、最終の日時1801において位置が記憶されていない歩行者アイコンのアイコンID一覧を選択・特定して、避難成功者一覧としてRAM上に記憶する。その後、処理を図16の1607に移行する。
ステップS2606で、処理対象の歩行者を避難成功者と決定した場合、後のステップS1609において、避難シミュレーションソフト120は、ステップS1608で取得した歩行者アイコンのアイコンIDが避難成功者のIDか判定し、避難成功者のIDの場合に処理をステップS1610に移行する。つまり、避難成功者の歩行者のみ、オブジェクトの作成を実行する。図22の処理においても同様に、避難成功者のみを対象としてステップS2202以降の処理を実行する。
ステップS1701で受け付けた操作が、避難成功者のみを対象としたオブジェクト作成の実行操作でない場合には、処理をステップS2207に移行する。
ステップS2205において、避難シミュレーションソフト120は、ステップS1701で受け付けた操作が、避難失敗者のみを対象としたオブジェクト作成の実行操作か判定する。
具体的には、「避難に失敗したひとのみ描画」チェックボックス2702にチェックがされた状態で「OK」ボタンの選択操作がされた場合に、避難失敗者のみを対象としたオブジェクト作成の実行操作であると判定する。
ステップS1701で受け付けた操作が、避難失敗者のみを対象としたオブジェクト作成の実行操作の場合には、処理をステップS2207に移行する。
ステップS2607では、避難シミュレーション結果の移動履歴のデータ上(ルートデータ1800上)で避難に失敗している歩行者のみを、ルートを作成する対象として選択し、決定する。具体的には、最終の日時1801において位置が記憶されている歩行者アイコンのアイコンIDを選択・特定して、避難失敗者一覧としてRAM上に記憶するその後、処理を図16の1607に移行する。
ステップS2607で、処理対象の歩行者を避難失敗者と決定した場合、後のステップS1609において、避難シミュレーションソフト120は、ステップS1608で取得した歩行者アイコンのアイコンIDが避難失敗者のIDか判定し、避難失敗者のIDの場合に処理をステップS1610に移行する。つまり、避難失敗者の歩行者のみ、オブジェクトの作成を実行する。図22の処理においても同様に、避難失敗者のみを対象としてステップS2202以降の処理を実行する。
ステップS1701で受け付けた操作が、避難失敗者のみを対象としたオブジェクト作成の実行操作でない場合には、処理を図17のステップS1705に移行する。以上が図26の説明である。
図28の2800に、避難成功者のみのルートオブジェクトを作成した図の一例を示す。2800のルート表示は、例えば、避難に有効な経路の導出を行う際に、避難成功者のルートの例のみ抽出分析するために用いることができ、ユーザが確認したいものである。
図28の2810に、避難失敗者のみのルートオブジェクトを作成した図の例を示す。2810のルート表示は例えば、避難に有効な経路の導出を行う際に、避難失敗者のルートの例のみ抽出分析するために用いることができ、ユーザが確認したいものである。
以上説明したように、本発明の第7の実施形態によれば、避難成功者の移動ルートや、最終位置、初期位置のみを容易に、ユーザに認識可能に表示することができる。
また、避難失敗者の移動ルートや、最終位置、初期位置のみを容易に、ユーザに認識可能に表示することができる。
つまり、避難シミュレーションにおける歩行者にかかる位置を、ユーザに容易に確認させる仕組みを提供することができる。
<その他の実施形態>
上述した実施形態においては、避難シミュレーションソフト120の指示に応じて、CADソフト110が図7のS710〜S712、S721〜S723の処理を行うものとしたが、例えば、避難シミュレーションソフト120が、メモリ上に仮想の地図及び歩行者アイコン、津波オブジェクトを配置することで、S710〜S712、S721〜S723の処理を代替して実行するようにしてもよい。こうすることで、実際にCADソフト110上でオブジェクトの位置を移動することなく、シミュレーションの実行、シミュレーションに伴う歩行者アイコンの固定(避難に失敗した避難者の特定)処理が可能となる。
上述した第2の実施形態においては、所定数以上の移動ルートが接近した場所、及び、初期位置の中間点を新たな避難目的地の候補の中心点とするものとしたが、例えば、所定数以上初期位置が密集している場所(例えば半径10キロ平方メートルあたり50人以上の、避難に失敗した避難者の初期位置が位置する場所)の中心点を、新たな避難目的地の候補の中心点とするようにしてもよい。また、所定の範囲内において所定数以上の移動ルートが重なっている場所(例えば半径10mの範囲において、避難に失敗した避難者の移動ルートの線が10以上重なっている場所)の中心点を、新たな避難目的地の候補の中心点とするようにしてもよい。
また、上述した実施形態においては、避難者=歩行者として説明したが、避難者は必ずしも歩行者に限るものではない。例えば、人のアイコンを乗り物に乗せ移動させる場合において、乗り物に登場している人のアイコンは避難者(避難目的地に向けて移動するオブジェクト/移動体)を示す。
また、上述した実施形態の説明においては、2次元の地図、図面(複数の図形(オブジェクト)から成る)を用いて避難シミュレーションを行うものとしたが、3次元の地図や図面を用いて避難シミュレーションを行い、歩行者ごとの位置の履歴から上述した各実施形態の説明におけるオブジェクトの位置決定、作成及び表示を行うようにしてもよい。
3次元のシミュレーションの場合、ルートデータ1800や歩行者アイコン移動履歴510の位置はXYZの3次元の座標で表される。初期位置、最終位置も同じくXYZ座標で示される。歩行領域のオブジェクトは、歩行者アイコンの代わりに用いられる立体の歩行者のモデルが歩行可能な道、階段等のオブジェクトとする。浸水域を示すメッシュデータは、8つの頂点座標から成る立方体のオブジェクトとして作成され、位置決定される。ルートオブジェクトは歩行者アイコンの位置の履歴に従って3次元方向に伸びる線分として作成し、始点・終点のオブジェクトは指定された直径を持ち、始点・終点の位置を中心位置とした球のオブジェクトとして作成することとなる。
本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記憶媒体等としても実装可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムとして実装してもよいし、また、1つの機器からなる装置として実装してもよい。
例えば、本発明は、次のような情報処理システムとして実装することができる。即ち、シミュレーション処理の実行指示を外部装置から受け付け、シミュレーションを実行し、実行結果を指示元に送信するサーバと、サーバにシミュレーション処理の実行を指示し、実行結果を受信する情報処理装置と、を含む情報処理システムとして実装できる。
図15は、情報処理システムのシステム構成の一例である。情報処理システムは、ネットワーク(例えばLAN)を介して相互に接続されるサーバ200と情報処理装置100とを含む。図15において、情報処理装置100は単体であるものとしているが、複数の情報処理装置を含むシステムであってもよい。また、サーバ200は単体であるものとしているが、複数のサーバを含むシステムであってもよい。なお、サーバ200のハードウェア構成は、図2と同様である。
また、1500におけるサーバ200の機能構成は、図3と同様である。但し、初期位置識別表示指示受付部316、移動ルート識別表示指示受付部317、識別表示処理部318はクライアント装置である情報処理装置が備えるものとし、サーバ200の初期位置識別表示指示部328、移動ルート識別表示指示部330は、クライアント装置の初期位置識別表示指示受付部316、移動ルート識別表示指示受付部317に識別表示の指示をするものとする。
サーバ200のCPUが、サーバ200のROM又は外部メモリに記憶されたプログラムに基づき処理を実行することで、図3の機能及び上述した各図のフローチャートの処理が実現される。
例えば、クライアント装置である情報処理装置100がサーバ200にアクセスし、サーバ200で起動したCADソフト110及び避難シミュレーションソフト120の画面情報(サーバ200で作成された画面の情報)を、例えば情報処理装置100のブラウザソフト等で表示可能なhtml情報としてサーバ200から取得して表示し、表示画面に表示する。同様の方法で、図4、図9、図11、図12、図14等の地図情報を情報処理装置100の表示画面で表示する。その他、津波オブジェクトの配置、歩行者オブジェクトの移動、避難に失敗した避難者の特定・固定、初期位置・移動ルートの特定等の処理は、サーバ200のCADソフト110、避難シミュレーションソフト120が実行する。また、図19、図20、図24、図27、28等の図面、地図の画面のhtml情報をサーバ200が作成し、情報処理装置100がこれを受信してブラウザソフトの機能を用いて表示画面で表示する。
サーバ200が複数の情報処理装置を含むシステムである場合、サーバ200に含まれる各情報処理装置のCPUが、各情報処理装置のROM又は外部メモリに記憶されたプログラムに基づき、連携して処理を実行することで、図3の機能が実現される。また、上述した各図のフローチャートの処理が実現される。
また、例えば、1510に示すように、情報処理装置100にCADソフト110が、サーバ200に避難シミュレーションソフト120がインストールされている場合、上述した各フローチャートで情報処理装置100がそれぞれのソフトの機能を用いて実行している処理を、それぞれの装置が都度通信することで、それぞれの装置にインストールされているソフトの機能を用いて実行するものとする。この場合、図5や図18、図23等に示す各種情報は情報処理装置100及びサーバ200の両方に記憶されているものとし、いずれか一方の装置がデータを更新する都度、両装置間で図5、図18、図23の各種データの同期を取るものとする。
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、システム又は装置に直接、又は遠隔から供給するものを含む。そして、そのシステム又は装置に含まれるCPUが前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成されることとしてもよい。
したがって、本発明の機能及び処理をコンピュータで実現するために前記コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明には、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW等がある。また、プログラムを供給するための記録媒体としては、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)等もある。
その他、プログラムの供給方法としては、次のような方法がある。即ち、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、接続したホームページから本発明のコンピュータプログラムを、ハードディスク等の記録媒体にダウンロードする方法である。また、接続したホームページから本発明のコンピュータプログラムの自動インストール機能を含む圧縮されたファイルをダウンロードする方法である。
また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、ダウンロードした鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。その他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS等が、実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
更に、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
前述した実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。