以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
<第1の実施形態>
図1は、情報処理装置100の機能の概要について説明する図である。情報処理装置100は、パーソナルコンピュータ(PC)等の情報処理装置である。
情報処理装置100は、CADソフト110と、CADソフト110のプラグインとして機能する避難シミュレーションソフト120と、を含む。本実施形態における情報処理装置100はPCであり、CADソフト110は情報処理装置にインストールされている3次元CADアプリケーションソフトウェアである。また、避難シミュレーションソフト120は、CADアプリケーションソフトウェアのプラグインとして機能するソフトウェア(避難シミュレーションツール)である。
避難シミュレーションソフト120は、シミュレーションエンジンを含み、そのシミュレーションエンジンを用いて、災害の発生を想定し、CADソフト110により作成された地図上に配置された歩行者のアイコンを避難場所(目的地)に避難させるシミュレーション処理を行う。より具体的には、避難シミュレーションソフト120は、シミュレーション上での時刻を、一定の間隔毎に進ませ、時間の経過に伴い、当該歩行者を避難場所に向けて移動させるシミュレーション処理を行う。避難シミュレーションソフト120は、様々な災害の発生を想定した避難シミュレーションができる。例えば、避難シミュレーションソフト120は、津波、洪水、川の氾濫等の水災害、火災、土砂災害等の発生を想定した避難シミュレーションを行うことができる。
本実施形態では、避難シミュレーションソフト120は、津波発生の際の浸水被害が発生した場合の避難シミュレーションを行うこととする。
また、本実施形態では、避難シミュレーションソフト120は、避難場所の候補を図2で後述するディスプレイ装置210等に表示させることで、ユーザに避難場所の候補から最終的な避難場所を選択させる処理を行う。
次に、図2を参照して本発明の実施形態における、情報処理装置100のハードウェア構成等の一例について説明する。情報処理装置100は、CPU201、ROM202、RAM203、入力コントローラ205、ビデオコントローラ206、メモリコントローラ207、通信I/Fコントローラ208を含む。CPU201、ROM202、RAM203、入力コントローラ205、ビデオコントローラ206、メモリコントローラ207、通信I/Fコントローラ208は、システムバス204を介して、相互に接続されている。
CPU201は、システムバス204を介して接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御する中央演算装置である。ROM202は、CPU201の制御プログラムであるBIOS(Basic Input / Output System)等の各種プログラム、各種データ等を記憶する記憶装置である。
RAM203は、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する記憶装置である。CPU201は、処理の実行に際して必要なプログラム等をROM202又は外部メモリ211からRAM203にロードして、ロードしたプログラムを実行することで各種動作を実現する。
入力コントローラ205は、入力装置209からの入力を制御するコントローラである。入力装置209は、キーボード(KB)やマウス等のポインティングデバイス等の入力装置である。ビデオコントローラ206は、ディスプレイ装置210への表示を制御するコントローラである。ディスプレイ装置210は、CRTディスプレイ(CRT)等の表示器である。ディスプレイ装置210は、CRTだけでなく、液晶ディスプレイ等の他の表示器であってもよい。
メモリコントローラ207は、外部メモリ211へのアクセスを制御するコントローラである。外部メモリ211は、オペレーティングシステムプログラム(以下、OS)、各種設定情報等を記憶するハードディスク(HD)や、フレキシブルディスク(FD)等の記憶装置である。また、外部メモリ211は、ブートプログラム、各種のアプリケーションのプログラム、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、各種データ等を記憶する。また、メモリコントローラ207は、PCMCIAカードスロットにアダプタを介して接続されるフラッシュメモリ型メモリカード等の外部メモリ211へのアクセスを制御することもできる。
通信I/Fコントローラ208は、LANやインターネット等のネットワークを介した外部装置との接続・通信に利用されるコントローラであり、ネットワークを介した通信処理を実行する。通信I/Fコントローラ208は、例えば、TCP/IPを用いた外部装置との通信等が可能である。
CPU201は、例えばRAM203内の表示情報用領域へアウトラインフォントの展開(ラスタライズ)処理を実行することにより、ディスプレイ装置210上での表示を可能としている。また、CPU201は、ディスプレイ装置210上のマウスカーソル等を介したユーザの指示を受け付けることができる。
本実施形態の処理を実現するための各種プログラムは、外部メモリ211に記憶されているとするが、ROM202に記憶されているものとしてもよい。また、上記プログラムの実行時に用いられる定義ファイル及び各種情報テーブル等も、外部メモリ211に記憶されているとするが、ROM202に記憶されているものとしてもよい。
なお、ディスプレイ装置210は、CADソフト110により生成される地図、避難シミュレーションソフト120による避難シミュレーション処理の結果、避難シミュレーションにおける避難場所の候補のメッシュ等が表示される出力部の一例である。以上が図2の説明である。
CPU201が、ROM202又は外部メモリ211に記憶されたプログラムに基づき処理を実行することによって、図3で後述する情報処理装置100の機能及び図6、8、10で後述するフローチャートの処理が実現される。
図3は、情報処理装置100の機能構成の一例を示す図である。情報処理装置100は、CADソフト110、避難シミュレーションソフト120を備える。CADソフト110は、地図データ読込部311、オブジェクト作成指示受付部312、オブジェクト作成部313を備える。避難シミュレーションソフト120は、線分属性取得部321、線分取得部322、オブジェクト作成指示部323、被害地域情報取得部324、重なり判定部325、避難場所候補表示部326、避難場所決定部327、避難場所座標記憶部328を備える。
地図データ読込部311は、地図データを読込む。本実施形態では、地図データ読込部311は、外部メモリ211から、外部メモリ211に記憶されている地図データを読込むこととするが、ROM202や外部のサーバ等から読込むこととしてもよい。本実施形態では、地図データ読込部311は、Shapeデータ等、地図上の線分に属性が付与されている地図データを読込むこととする。即ち、地図データ読込部311は、属性が付与されている線分の情報の集合である地図データを読込む。線分に属性が付与されているとは、線分の情報と紐付いて、その線分の属性を示す属性情報が記憶されていることを示す。そして、地図データ読込部311は、読込んだ地図データに含まれる線分の情報に応じた線分を表示することで、地図をディスプレイ装置210に表示する。図4(a)は、地図データ読込部311により表示される地図の一例を示す図であり、建物や道がある様子が示されている。地図上の線分に付与される属性情報には、例えば、その線分が道、建物等、何の形状(例えば矩形等)を構成する線分であるのかを示す情報がある。建物属性の線分で囲まれた領域は、建物であることを示す。道属性の線分で囲まれた領域は、道であることを示す。
オブジェクト作成指示受付部312は、避難シミュレーションソフト120のオブジェクト作成指示部323からのオブジェクトの作成指示を受付ける。
オブジェクト作成部313は、オブジェクト作成指示受付部312により受け付けられたオブジェクトの作成指示に応じてオブジェクト(矩形や円等で示されるオブジェクト)を地図上に作成する。例えば、オブジェクト作成指示受付部312により道オブジェクトの作成指示が受け付けられた場合、オブジェクト作成部313は、道のオブジェクトであることを示す属性情報を有するオブジェクトを作成する。
線分属性取得部321は、地図データ読込部311により読込まれた地図データ上の線分の属性情報をCADソフト110の備えるAPI(アプリケーションインターフェース)を用いて取得する。
線分取得部322は、線分属性取得部321により取得された属性に基づいて、地図データ読込部311により読込まれた地図データから、設定された属性情報を有する線分の情報を取得する。例えば、線分取得部322は、道であることを示す属性情報を有する線分を取得する。
オブジェクト作成指示部323は、線分取得部322により取得された線分からオブジェクトの形状を特定して、特定した形状のオブジェクトを作成するようCADソフト110の備えるAPIに指示する。より具体的には、オブジェクト作成指示部323は、特定したオブジェクトの形状の情報を、オブジェクト作成指示受付部312に送信し、オブジェクトの作成をCADソフト110に指示する。
被害地域情報取得部324は、地図上に重ね合わされる被害地域を示す情報である被害地域情報を取得する。被害地域情報取得部324は、外部メモリ211等に予め記憶されている被害地域情報を取得する。なお、外部メモリ211に被害地域情報が記憶されていない場合、被害地域情報取得部324は、被害地域情報を記憶する外部のサーバ等から被害地域情報を取得することとしてもよい。被害地域情報取得部324が取得する被害地域情報には、津波や川の氾濫による浸水地域を示す情報、火災による延焼地域や煙が発生する地域を示す情報、土砂災害による土石流の流入地域を示す情報等がある。本実施形態では、被害地域情報取得部324は、被害地域情報である浸水域情報を取得する。
浸水域情報は、地図を分割した分割領域(以下では、メッシュ/ブロックともいう)のそれぞれについて、津波が発生した時刻から設定された期間経過の際の浸水状況を示す情報を含む。図5(a)は、浸水域情報の一例である浸水域情報500を示す図である。本実施形態では、被害地域情報取得部324は、被害地域情報として、浸水域情報500を取得することとする。浸水域情報500は、メッシュ毎に、津波が発生した時刻から5分後、10分後、15分後・・・のように一定期間毎に、それぞれ何cm浸水しているかの情報を含む。浸水するメッシュについての浸水域情報は、津波発生の時刻から5分後、10分後、15分後・・・に、それぞれ何cm浸水しているかの情報を含む。また、浸水域しないメッシュについての浸水域情報は、津波発生の時刻から5分後、10分後、15分後・・・に、それぞれ何cm浸水しているかの情報として、全て0cmを示す情報を含む。また、浸水域に係らない(浸水しない)メッシュについての浸水域情報は、津波発生の時刻から5分後、10分後、15分後・・・に、それぞれ何cm浸水しているかの情報として、空欄を示す情報を含むこととしてもよい。
避難シミュレーションソフト120は、シミュレーションの実行に際し、どのメッシュが浸水域で、どのメッシュが浸水域でないかを把握できればよい。そのため、避難シミュレーションソフト120は、地図を分割したメッシュのそれぞれについて、時間経過に応じた浸水状況の情報でなく、浸水領域であるか否かを示す2値の情報を含む浸水域情報を取得することとしてもよい。それにより、外部メモリ211は、浸水域情報として、より簡易なデータを保持すればよいため、記憶領域を節約できる。また、避難シミュレーションソフト120は、浸水域情報として、時間経過を考慮せずに、メッシュが浸水域かそうでないかを把握することができ、地図上の浸水域を特定する処理の負担を軽減することができる。
重なり判定部325は、被害地域情報取得部324により取得された被害地域情報が示す被害地域に隣接する地図上のメッシュが歩行領域と重なっているか否かを判定する。歩行領域とは、避難者(歩行者)が歩行可能な領域のことであり、道、建物、公園、空き地等が例として挙げられる。
避難場所候補表示部326は、重なり判定部325により歩行領域と重なっていると判定された被害地域に隣接するメッシュを、選択可能な避難場所(避難目的地)の候補としてディスプレイ装置210の表示画面に表示する。
避難場所決定部327は、避難場所候補表示部326により表示された避難場所の候補から、入力装置209を介したユーザによる操作に応じて、実際に避難場所とするメッシュを決定する。
避難場所座標記憶部328は、避難場所決定部327により避難場所として決定されたメッシュの地図上の座標を、RAM203等に記憶する。以上が図3の説明である。
次に、図6を参照して、本発明の実施形態における歩行領域の設定処理の流れについて説明する。
S601において、CADソフト110は、入力装置209を介したユーザによる操作に応じて、起動する。
S602において、CADソフト110は、入力装置209を介したユーザによる操作に応じて、外部メモリ211等から地図データを読込んで、読込んだ地図データの情報をRAM203上に展開し、記憶する。そして、CADソフト110は、RAM203上に記憶した地図データに応じた地図をディスプレイ装置210に表示されているCADソフト110の表示画面内に表示する。例えば、図7の700に示すように、CADソフトウェアが表示するウインドウ上に地図を表示する。
図7(a)は、CADソフト110がディスプレイ装置210に表示している画面の一例である表示画面700を示す図である。S602では、CADソフト110は、Shapeデータ等、属性情報(オブジェクトが建物、道等であることを示す情報等)が付与されている線分の情報の集合である地図データを読込むものとする。
図5(b)の線分情報510は、S602で読込まれる線分情報の集合である地図データの一例である。線分情報510は、線分IDと、端点座標と、属性と、の項目を含む。線分IDの項目は、線分を一意に特定するためのIDである。端点座標の項目は、地図上での線分の2つの端点の座標を示す。端点座標の項目には、(線分の1つ目の端点のx座標値、線分の1つ目の端点のy座標値、線分の2つ目の端点のx座標値、線分の2つ目の端点のy座標値)の2つの端点の座標のデータが入力される。属性の項目は、線分に付与されている属性を示す。例えば、属性の項目には、道に関する線分については、「道」の属性情報、建物に関する線分については、「建物」の属性情報が入力される。
線分情報510は、複数の点を順番に線分で結んだ線や曲線等の線分以外の線の情報を記憶することもできる。その場合、端点座標の項目には、線が通過する複数の点の情報や、曲線を定義するための情報(曲線の方程式のパラメータ等)等が入力される。
S603において、CADソフト110は、入力装置209を介したユーザの操作に応じて、避難シミュレーションソフト120を起動させる。CADソフト110は、入力装置209を介したユーザの操作に応じて、既に起動している避難シミュレーションソフト120に対して、避難シミュレーションソフト120の設定画面の表示を指示することとしてもよい。
S604において、避難シミュレーションソフト120は、S603でのCADソフト110からの起動指示により起動し、避難シミュレーションソフト120の設定画面をCADソフト110が表示している表示画面上に表示する。また、避難シミュレーションソフト120は、既に起動している場合、S603でのCADソフト110からの設定画面表示指示に応じて、避難シミュレーションソフト120の設定画面をCADソフト110が表示している表示画面上に表示することとしてもよい。
図7(b)は、避難シミュレーションソフト120の設定画面720が表示画面700上に表示されている様子を示す図である。S603で表示画面700上の選択画面710で、「避難シミュレーション」が選択されることで、CADソフト110は、避難シミュレーションソフト120に起動指示を出す。そして、起動指示を受けた避難シミュレーションソフト120は、S604で、設定画面720を表示する。
S605において、避難シミュレーションソフト120は、ディスプレイ装置210に表示している画面や入力装置209を介したユーザの操作に基づいて、地図上にオブジェクトを新たに作成する指示を受け付ける。オブジェクトには、道オブジェクトや建物オブジェクト等がある。道オブジェクトとは、道であることを示す属性情報を有するオブジェクトである。建物オブジェクトとは、建物であることを示す属性情報を有するオブジェクトである。例えば、避難シミュレーションソフト120は、入力装置209を介したユーザの操作に基づいて、設定画面720における「避難場所候補」ボタンの選択を受け付けることで、オブジェクトの作成指示を受付ける。当該オブジェクトの作成指示は、例えば、地図上の道の線分の位置に従って道の属性を持つオブジェクトを地図上に作成し、地図上の建物の線分の位置に従って建物の属性を持つオブジェクトを地図上に作成する指示である。
S606において、避難シミュレーションソフト120は、S605で受け付けたオブジェクトの作成指示に基づいて、道オブジェクトを作成するための線分情報(道の属性を持つ線分情報)、建物オブジェクトを作成するための線分情報建物の属性を持つ線分情報)をCADソフト110に要求する。本実施形態では、避難シミュレーションソフト120は、線分情報510を、CADソフト110の備えるAPIを用いてCADソフト110に要求するものとする。
S607において、CADソフト110は、S606で行われた線分情報の要求を受付ける。
S608において、CADソフト110は、地図上に配置されている、S602で読込んだShapeデータ等の線分情報を避難シミュレーションソフト120に送信する。本実施形態では、CADソフト110は、S607で受付けた要求に対応する線分情報として、線分情報510を避難シミュレーションソフト120に送信することとする。
S609において、避難シミュレーションソフト120は、S608で送信された線分情報510を受信してRAM203等に記憶する。本実施形態では、避難シミュレーションソフト120は、CADソフト110から線分情報510を受信することとしたが、外部メモリ211等に線分情報510が記憶されている場合、例えばCADソフト110のAPIを用いてCADソフト110で展開し表示中の地図情報(線分情報)のファイル名及びファイルの保存場所を要求してCADソフト110から取得し、当該ファイル名及びファイルの保存場所に従って、直接、外部メモリ211等の記憶装置から線分情報510を取得することとしてもよい。また、避難シミュレーションソフト120は、外部のサーバ等に線分情報510が記憶されている場合、外部のサーバ等から線分情報510を取得することとしてもよい。
S610において、避難シミュレーションソフト120は、S609で受信した線分情報510に基づいて、道オブジェクト及び建物オブジェクトの形状決定処理を実行する。S610の処理の詳細を、図8を用いて説明する。
図8は、オブジェクト形状の決定処理の一例を示すフローチャートである。
S801において、避難シミュレーションソフト120は、S609で受信した線分情報510に含まれる全ての道属性の線分に対して、S802~S810の処理を実行する制御を行う。
S802において、避難シミュレーションソフト120は、線分情報510から、S802~S810の処理が行われていない道の線分の情報を新たに1つ取得する。
S803において、避難シミュレーションソフト120は、S802で取得した線分の端点座標を1つ取得する。
S804において、避難シミュレーションソフト120は、線分情報510のうち、S802で取得した線分を除く他の道の線分の端点座標を参照して、S803で取得した線分の端点と同じ位置に端点を持つ線分が他にあるか否か判定する。避難シミュレーションソフト120は、S803で取得した線分の端点と同じ位置に端点を持つ線分が他にあると判定した場合、つまり、S802で取得した線分と繋がっている線分があると判定した場合、S809に処理を進め、S803で取得した線分の端点と同じ位置に端点を持つ線分が他にないと判定した場合、S805に処理を進める。
S805において、避難シミュレーションソフト120は、S803で取得した端点が地図の境界線上にあるか否かを判定する。図9を参照して、線分の端点が地図の境界線上にある状況について説明する。図9は、道オブジェクトの形状決定処理の流れを説明する図である。例えば、図9の点Aが、地図の境界線上にある道の線分の端点である。避難シミュレーションソフト120は、S803で取得した端点が例えば図9の点Aのように、地図の境界線上にあると判定した場合、S807に処理を進め、S803で取得した端点が地図の境界線上にないと判定した場合、S806に処理を進める。例えば、避難シミュレーションソフト120は、S803で取得した端点が点Aである場合、S803で取得した端点が地図の境界線上にあるため、S807に処理を進めることになる。
S806において、避難シミュレーションソフト120は、線分情報510に基づいて、S803で取得した端点が建物の線分上にあるか否かを判定する。例えば、図9の点Bが、建物の線分上にある道の線分の端点である。避難シミュレーションソフト120は、S803で取得した端点が例えば図9の点Bのように、建物の線分上にあると判定した場合、S807に処理を進め、S806において、S803で取得した端点が建物の線分上にないと判定した場合、S811に処理を進める。
S807において、避難シミュレーションソフト120は、線分情報510に基づいて、S803で取得した端点が位置する地図の境界線の線分上、又は建物の線分上に他の道の線分の端点があるか否かを判定する。例えば、図9の点Cが、点Bにとっての、点Bが位置する線分上にある他の道の端点となる。避難シミュレーションソフト120は、S803で取得した端点が位置する線分上に他の道の線分の端点があると判定した場合、S808に処理を進め、S803で取得した端点が位置する線分上に他の道の線分の端点がないと判定した場合、S811に処理を進める。
S808において、避難シミュレーションソフト120は、S803で取得した端点から、S807であると判定された他の道の端点までの仮想の線分の情報を作成して、RAM203、外部メモリ211等に記憶する。避難シミュレーションソフト120は、S803で取得された端点が図9の点Bである場合、S807であると判定するのは図9の点Cであるため、点Bと点Cとをつなぐ仮想の線分(図9でいうL0001K)の情報を作成し、RAM203等に記憶する。
S809において、避難シミュレーションソフト120は、S804であると判定した線分、又は、S808で作成した仮想の線分のIDである線分IDを取得する。避難シミュレーションソフト120は、S804であると判定した線分の線分IDを、線分情報510から取得する。また、避難シミュレーションソフト120は、新たに線分IDを決定することで、S808で作成した仮想の線分のIDを取得する。
S810において、避難シミュレーションソフト120は、S809で取得した線分IDを、S802で取得した線分と同一のグループの線分として、RAM203等に記憶する。図5(c)のグルーピング情報520は、S810でグループ毎に記憶される線分情報の一例である。図9の例では、避難シミュレーションソフト120は、S802で取得した線分(点A、Bをつなぐ線分)の線分IDが(L0001)である場合、以下の処理を行う。即ち、避難シミュレーションソフト120は、S808で作成した仮想の線分(点B、Cをつなぐ線分)の線分ID(L0001K)を、線分ID(L0001)と同じグループとしてRAM203等に記憶する。そして、避難シミュレーションソフト120は、S802の処理に戻り、未処理の線分についてS802~S810の処理を繰り返す。
S811において、避難シミュレーションソフト120は、線分情報510に記憶されている全ての道の線分に対して、S802~S810の処理を行ったか否かを判定する。そして、避難シミュレーションソフト120は、線分情報510に記憶されている全ての道の線分に対して、S802~S810の処理を行ったと判定した場合、S812に処理を進める。また、避難シミュレーションソフト120は、線分情報510に記憶されている道の線分の中に、S802~S810の処理を行っていない線分があると判定した場合、S802に処理を進める。
S812において、避難シミュレーションソフト120は、S810でグループ毎に記憶した線分により特定される形状を、グループ毎の道オブジェクトの形状として決定し、決定した道オブジェクトの形状の情報をRAM203、外部メモリ211等に記憶する。
S813において、避難シミュレーションソフト120は、S609で受信した線分情報510に含まれる全ての建物属性の線分に対して、S814~S817の処理を実行する制御を行う。
S814において、避難シミュレーションソフト120は、線分情報510を参照して、未処理の建物の線分を新たに1つ取得する。
S815において、避難シミュレーションソフト120は、S814で取得した建物の線分の端点座標を1つ取得する。
S816において、避難シミュレーションソフト120は、線分情報510から、S815で取得した座標と同じ座標に端点を持つ他の建物の線分の線分IDを取得する。
S817において、避難シミュレーションソフト120は、S816で取得した線分IDを、S814で取得した線分の線分IDと同じグループとしてRAM203、外部メモリ211等に記憶する。
S818において、避難シミュレーションソフト120は、線分情報510に記憶されている全ての建物の線分に対して、S814~S817の処理を行ったか否かを判定する。そして、避難シミュレーションソフト120は、線分情報510に記憶されている全ての建物の線分に対して、S814~S817の処理を行ったと判定した場合、S819に処理を進める。また、避難シミュレーションソフト120は、線分情報510に記憶されている建物の線分の中にS814~S817の処理を行っていない線分があると判定した場合、S814に処理を進める。
S819において、避難シミュレーションソフト120は、S817でグループ毎に記憶した建物の線分から特定される形状を、グループ毎の建物オブジェクトの形状として決定する。そして、避難シミュレーションソフト120は、決定した建物オブジェクトの形状の情報を、RAM203、外部メモリ211等に記憶する。以上が図8の説明である。
図6の説明に戻る。S611において、避難シミュレーションソフト120は、S610で決定した道オブジェクト、建物オブジェクトの形状の情報をCADソフト110の備えるAPIを用いて、CADソフト110に送信し、当該形状のオブジェクトを作成するよう指示する。S610で決定した建物オブジェクトの形状の情報とは、例えば、S810、S817でグループ毎に記憶された線分から形成される形状の頂点座標の情報である。また、避難シミュレーションソフト120は、CADソフト110の備えるAPIを用いて、道オブジェクトとして形状を決定したオブジェクトについては道であることを示す属性を付与するようにCADソフト110に指示する。また、避難シミュレーションソフト120は、CADソフト110の備えるAPIを用いて、建物オブジェクトとして形状を決定したオブジェクトについては建物であることを示す属性を付与するようCADソフト110に指示する。
S612において、CADソフト110は、S611でのオブジェクトの作成指示、作成するオブジェクトへの属性の付与指示を受付ける。
S613において、CADソフト110は、S612で受付けたオブジェクトの作成指示に応じてオブジェクトを作成して、属性の付与指示に応じて、作成した各オブジェクトに道であることを示す属性、又は建物であることを示す属性を付与する。そして、CADソフト110は、作成し、属性を付与した各オブジェクトの情報を、RAM203等に記憶する。例えば、図5(d)に示すようなオブジェクト情報530を生成してRAM203に記憶する。この時点では、後述する歩行領域の属性はオブジェクト情報の属性には記憶されない。
S614において、避難シミュレーションソフト120は、S611でのオブジェクトの作成指示に応じて作成されたオブジェクトに、歩行領域の属性を付与するようCADソフト110に指示する。歩行領域の属性とは、避難シミュレーションソフト120が避難シミュレーションを行うにあたって、避難する人を示す避難者アイコン(歩行者アイコン)が歩行可能な領域として定義される属性である。本実施形態では、避難シミュレーションソフト120は、歩行領域の属性が付与されたオブジェクトの頂点座標によって囲われている領域を歩行領域として決定する。S614での避難シミュレーションソフト120による歩行領域の属性を有する領域の決定処理は、歩行領域決定処理の一例である。
本実施形態では、避難シミュレーションソフト120は、オブジェクトの作成指示と、歩行領域の属性情報を付与する指示と、をS611、S614で別個に行うこととする。しかし、避難シミュレーションソフト120は、S611で、オブジェクトの作成指示と、作成されるオブジェクトへ歩行領域の属性を付与する指示と、を行うこととしてもよい。
また、本実施形態では、避難シミュレーションソフト120は、S611でのオブジェクトの作成指示に応じて作成されたオブジェクト全てについて、歩行領域の属性の付与を指示することとする。しかし、避難シミュレーションソフト120は、例えば、作成を指示したオブジェクトのうち、道オブジェクトのみに歩行領域の属性を付与するよう指示することとしてもよいし、道オブジェクトの中の特定のもののみに歩行領域の属性を付与するよう指示してもよい。
例えば、図7(a)に示すCADソフト110の表示画面に表示された地図上において、マウスのドラッグ操作等による地図上の範囲選択(範囲指定)を受け付けて、範囲選択がされた状態で「避難場所候補」ボタンの押下を受け付けることで、当該範囲選択された範囲内にオブジェクト全体が収まる道オブジェクトのみに対して、S614で歩行領域の属性を付与するようにする。また、当該範囲選択された範囲内にオブジェクトの一部が含まれる道オブジェクトのみに対して、S614で歩行領域の属性を付与するようにしてもよい。
また、S609で受信して記憶した線分の属性に「工事中」や「通行止め」等、歩行者が歩行できない旨を示す属性が付与されている場合、当該「工事中」、「通行止め」の線分を含んで形状決定された道オブジェクトや建物オブジェクトについてはS611で「工事中」、「通行止め」の属性を付与するようCADソフト110に指示し、S614では、「工事中」、「通行止め」の属性を付与するよう指示したオブジェクト以外の道及び建物のオブジェクトに対して、歩行領域の属性の付与を指示するようにしてもよい。
これにより、避難シミュレーションソフト120は、例えば、工事中等で歩行不可な道を歩行領域にしないようにすることができ、避難シミュレーションにおける避難候補となりうるオブジェクトをより適切に決定することができる。S614の処理は、オブジェクトが歩行領域のオブジェクトであることを決定する領域決定処理の一例である。
S615において、CADソフト110は、S614で行われた、道オブジェクト及び建物オブジェクトへの歩行領域の属性付与の指示を受付ける。
S616において、CADソフト110は、S615で受付けた指示に従って、S613で作成した各オブジェクトの情報に、歩行領域の属性情報を付与して、RAM203等に記憶する。図5(d)のオブジェクト情報530は、S616で記憶される情報の一例である。オブジェクト情報530は、オブジェクトIDと、頂点座標と、属性と、の項目を含む。オブジェクトIDの項目は、オブジェクトを一意に特定するためのIDである。端点座標の項目は、地図上でのオブジェクトの各頂点の座標を示す。頂点座標の項目には、(オブジェクトの1つ目の頂点のx座標値、オブジェクトの1つ目の頂点のy座標値、オブジェクトの2つ目の頂点のx座標値、オブジェクトの2つ目の頂点のy座標値・・・・・)という座標のデータが入力される。頂点座標の項目に示される頂点を順番に結んだ形状が、そのオブジェクトの形状となる。属性の項目は、オブジェクトに付与されている属性を示す。例えば、属性の項目には、道オブジェクトについては、「道」の属性情報、建物オブジェクトについては、「建物」の属性情報が付与される。そして、CADソフト110は、記憶した情報(例えば、オブジェクト情報530)をRAM203に読み出し、ディスプレイ装置210に表示しているCADソフト110の画面上に配置する。本実施形態においては、地図情報によって道の線分、建物の線分が既に画面上に表示されているため、道オブジェクト、建物オブジェクトは透明なオブジェクトとして生成され、地図上に配置される。
S617において、CADソフト110は、S614の指示に応じて作成したオブジェクトへの歩行領域の属性の付与の処理を完了した旨、及び、歩行領域の属性を付与したオブジェクトの形状や座標の情報を避難シミュレーションソフト120に送信する。
S618において、避難シミュレーションソフト120は、S617で送信された歩行領域のオブジェクトの形状や座標の情報を受信し、RAM203等に記憶する。例えば、図5(d)のオブジェクト情報530をRAM203上に記憶される場合、RAM203は、歩行領域記憶手段の一例である。なお、避難シミュレーションソフト120は、例えば歩行領域のオブジェクトの形状や座標の情報をCADソフト110から受信できない場合、S611で作成指示してS614で歩行領域の属性付与を指示したオブジェクトの位置・形状を、歩行領域の位置・形状として記憶するようにしてもよい。
情報処理装置100は、図6、図8の処理により、道オブジェクト、建物オブジェクトを容易に作成することができる。本実施形態では、情報処理装置100は、図6、図8の処理で道オブジェクト、建物オブジェクトを作成することとしたが、道、建物以外の公園のオブジェクトや、空き地のオブジェクトを作成することとしてもよい。
避難シミュレーションソフト120は、図6、図8の処理で、道オブジェクト、建物オブジェクトを作成することができるものとしたが、建物オブジェクトと道との間に避難者アイコンが移動可能な小道オブジェクトを作成することもできる。それにより、避難シミュレーションソフト120は、避難者アイコンを、建物オブジェクトと道オブジェクトとの間で移動させることができる。また、避難シミュレーションソフト120は、建物オブジェクトを、道オブジェクトと隣接するように作成することとしてもよい。その場合、避難シミュレーションソフト120は、建物オブジェクトの輪郭の線分の一部又は全部を、避難者アイコンが通過可能な線分であるとして決定することとする。それにより、避難シミュレーションソフト120は、道オブジェクトと建物オブジェクトの線分の一部が重なっている又は密着している場合、道オブジェクトと建物オブジェクトとをつなぐオブジェクトを作成せずに、避難者アイコンを、建物オブジェクトと道オブジェクトとの間で移動させることができる。
また、情報処理装置100は、道オブジェクトや建物オブジェクトのように人が歩行できる場所を示すオブジェクトに対して、容易に歩行領域の属性を設定できる。以上が図6の説明である。
次に、図10を参照して、避難場所の候補の特定処理の流れについて説明する。
S1001において、CADソフト110は、入力装置209を介したユーザ操作に応じて起動する。
S1002において、CADソフト110は、入力装置209やディスプレイ装置210に表示されるCADソフト110の画面を介したユーザ操作に応じて、避難シミュレーションソフト120を起動させる。また、CADソフト110は、入力装置209を介したユーザの操作に応じて、既に起動している避難シミュレーションソフト120に対して、避難シミュレーションソフト120にシミュレーション処理の実行を指示することとしてもよい。
S1003において、避難シミュレーションソフト120は、S1002でのCADソフト110からの指示に応じて起動し、避難シミュレーションソフト120の設定画面をCADソフト110の画面上に表示する。本実施形態では、避難シミュレーションソフト120は、避難シミュレーションソフト120の設定画面として図7に例示する設定画面720を表示するものとする。
また、既に避難シミュレーションツールが起動済みの場合、避難シミュレーションソフト120は、避難場所の候補の特定処理を、S1004から開始することとしてもよい。
S1004において、避難シミュレーションソフト120は、ディスプレイ装置210に表示される画面、及び入力装置209を介したユーザによる操作に基づいて、津波発生の時刻から一定期間経過毎の地図上の各座標における水位の情報である水位情報を読込む。避難シミュレーションソフト120は、例えば、津波が起こった時刻からn(任意の整数、例えば5)分後毎の、地図上の各座標上の水位の情報である水位情報を取得する。水位情報は、予め情報処理装置100の外部メモリ211に記憶されており、避難シミュレーションソフト120は、外部メモリ211から水位情報を取得する。本実施形態では、S1004で取得される水位情報は、地図上に設定された格子形状における縦線と横線との交点それぞれの座標毎に、水位の情報を記憶しているものとする。
S1005において、避難シミュレーションソフト120は、メッシュオブジェクトを作成して、地図を複数のメッシュに分割する処理を行う。本実施形態では、避難シミュレーションソフト120は、矩形のメッシュを作成することとする。避難シミュレーションソフト120は、作成するメッシュそれぞれの中心の位置を、S1004で取得した水位情報内に水位の情報が記憶されている座標のそれぞれに決定する。避難シミュレーションソフト120は、それぞれのメッシュが重ならず、メッシュが地図を覆い尽くすように、各メッシュの辺の長さを決定する。避難シミュレーションソフト120は、決定したメッシュの中心の座標に、決定した長さの辺を有するメッシュオブジェクトを作成するよう、CADソフト110のAPIを用いてCADソフト110に指示する。
また、避難シミュレーションソフト120は、以下のようにしてメッシュオブジェクトの作成をCADソフト110に指示することとしてもよい。避難シミュレーションソフト120は、設定された大きさの矩形オブジェクト(メッシュ)を、地図上を埋め尽くす数だけCADソフト110に作成指示する。避難シミュレーションソフト120は、作成するメッシュオブジェクトの大きさ、地図上の座標値を、CADソフト110に送信し、メッシュオブジェクトの作成を指示する。
CADソフト110は、指示を受け付けて、指示に応じたメッシュオブジェクトを作成し、メッシュID(メッシュオブジェクトのオブジェクトID)を各メッシュに付与する。そして、CADソフト110は、付与したメッシュオブジェクトのID、メッシュオブジェクトの地図上の座標情報を含む情報を避難シミュレーションソフト120に送信する。避難シミュレーションソフト120は、メッシュオブジェクトのID、メッシュオブジェクトの座標情報等を受信して、RAM203等に記憶する。本実施形態では、S1005で記憶される情報は、水位項目501の項目が空欄である浸水域情報500であるとする。CADソフト110は、作成したメッシュオブジェクトをディスプレイ装置210に表示している地図上に表示する。図4(b)は、メッシュオブジェクトが配置された地図の様子を示す図である。
S1006において、避難シミュレーションソフト120は、S1004で取得した水位情報に基づいて、S1005で作成した各メッシュの津波発生から一定期間毎(例えば5分毎)の水位の情報を取得し、S1005で記憶された浸水域情報500の水位項目501に記憶する。避難シミュレーションソフト120は、S1005で作成した各メッシュの中央の座標について、S1004で取得した水位情報に記憶されている水位の情報を、各メッシュの浸水情報として決定する。
また、避難シミュレーションソフト120は、以下のようにしてメッシュ毎の浸水情報を決定し、RAM203等に記憶することとしてもよい。即ち、避難シミュレーションソフト120は、S1005で作成された各メッシュに含まれる座標についての水位情報を取得する。そして、避難シミュレーションソフト120は、取得した水位情報のうち、各時刻で最も高い水位を、各時刻におけるメッシュの水位として決定する。避難シミュレーションソフト120は、決定したメッシュの水位の情報を浸水域情報500の水位項目501に記憶する。
避難シミュレーションソフト120は、浸水域情報500に、メッシュ毎に、津波発生時刻から一定期間毎の水位情報を記憶する。
また、避難シミュレーションソフト120は、浸水域情報500として、津波が発生した時刻から一定期間毎の水位の情報を記憶するのでなく、津波が発生した時刻から設定された期間内に浸水域となるか否かの情報(例えば、フラグ)を記憶することとしてもよい。
S1007において、避難シミュレーションソフト120は、S1006で水位情報が入力された浸水域情報500を読込んで、浸水域を特定し、特定した浸水域をディスプレイ装置210に表示されている地図上に表示する。例えば、避難シミュレーションソフト120は、浸水域情報500に基づいて、各メッシュについて記憶されている中で最も遅い時刻の水位(例えば、津波発生から3時間後等)の情報を取得し、取得した水位の情報に基づいて浸水域にあたるメッシュを特定する。本実施形態では、津波発生後、各メッシュにおける水位は、上昇し続けるものとするため、各メッシュについて浸水域情報500に記憶されている中で最も遅い時刻の浸水域は、最も大きい水位となる。また、浸水している領域は、津波発生時刻から広がり続けるものとする。
本実施形態では、避難シミュレーションソフト120は、津波が発生した時刻から設定された期間内に(例えば各メッシュについて記憶されている中で最も遅い時刻である3時間後まで等に)、水位が、設定された閾値である30cm以上になるメッシュを浸水域のメッシュとして特定する。避難シミュレーションソフト120は、浸水域情報500の水位項目501の情報に基づいて、津波が発生した時刻から設定された期間内に水位が、閾値以上になるメッシュを特定する。しかし、避難シミュレーションソフト120は、津波が発生した時刻から設定された期間内に水位が、30cmより小さい閾値(例えば10cm)以上になるメッシュを浸水域のメッシュとして決定してもよい。また、避難シミュレーションソフト120は、津波が発生した時刻から設定された期間内に水位が、30cmより大きい閾値(例えば50cm)以上になるメッシュを浸水域のメッシュとして特定してもよい。
また、S1006で津波が発生した時刻から設定された期間内に浸水域となるか否かの情報が浸水域情報500として記憶された場合、避難シミュレーションソフト120は、以下のようにして浸水域となるメッシュを特定できる。即ち、避難シミュレーションソフト120は、浸水域情報500に津波が発生した時刻から設定された期間内に浸水域となる旨の情報(例えば、フラグ)が記憶されているメッシュを、浸水域のメッシュとして特定する。そして、避難シミュレーションソフト120は、浸水域情報500に津波が発生した時刻から設定された期間内に浸水域とならない旨の情報が記憶されているメッシュを、浸水域でないメッシュとして特定する。
避難シミュレーションソフト120は、特定した浸水域のメッシュを、CADソフト110によりディスプレイ装置210に表示されている地図上に、表示する。避難シミュレーションソフト120は、例えば、浸水域のメッシュを他のメッシュと異なる色や輝度値や模様で表示することで、浸水域を表示する。
図11(a)は、S1007で地図上に表示された浸水域の一例を示す図である。図11(a)の地図には、他のメッシュと異なる網掛け模様のメッシュが浸水域として表示されている例が示されている。
S1006で、浸水域情報500として、津波が発生した時刻から設定された期間内に浸水域となるか否かを示す情報が記憶されている場合、避難シミュレーションソフト120は、浸水域情報500を参照して、各メッシュが浸水域か否かを決定することができる。避難シミュレーションソフト120は、津波発生の時刻からの一定期間毎の水位情報を参照する必要がなくなるため、浸水域情報500として、津波が発生した時刻から一定期間毎の水位情報が記憶されている場合に比べて、処理の負担を軽減できる。
S1008において、避難シミュレーションソフト120は、歩行領域の属性が付与されているオブジェクトの情報を、CADソフト110の備えるAPIを用いて、CADソフト110から取得する。それにより、避難シミュレーションソフト120は、地図上で、道等の歩行領域がどこにあるのかを把握できる。また、避難シミュレーションソフト120は、CADソフト110により歩行領域のオブジェクトが作成されていない場合、道等の歩行領域の線分の情報を、CADソフト110から取得することとしてもよい。また、避難シミュレーションソフト120は、歩行領域の属性が付与されているオブジェクトとして、建物のオブジェクトの位置情報も、CADソフト110から取得することとしてもよい。
S1009において、避難シミュレーションソフト120は、S1005で作成した全てのメッシュに対してS1010~S1015の処理を実行するよう制御する。
S1010において、避難シミュレーションソフト120は、S1005で作成したメッシュの中からS1010~S1015の処理が行われていないメッシュを1つ取得する。
S1011において、避難シミュレーションソフト120は、S1010で取得したメッシュが浸水している浸水域か否かを判定する。例えば、避難シミュレーションソフト120は、津波発生から設定された期間内にS1010で取得したメッシュにおける水位が30cm以上となる場合、S1010で取得したメッシュが浸水域であると判定する。避難シミュレーションソフト120は、RAM203等に記憶されている浸水域情報500の水位項目501を参照することで、津波発生から一定期間経過毎のメッシュにおける水位の情報を取得できる。
また、避難シミュレーションソフト120は、S1010で取得したメッシュが、S1007で特定した浸水域のメッシュに含まれるか否かを判定することとしてもよい。避難シミュレーションソフト120は、S1010で取得したメッシュが、S1007で特定した浸水域のメッシュに含まれると判定した場合、S1010で取得したメッシュを浸水域であると判定する。また、避難シミュレーションソフト120は、S1010で取得したメッシュが、S1007で特定した浸水域のメッシュに含まれないと判定した場合、S1010で取得したメッシュを浸水域でないと判定する。
避難シミュレーションソフト120は、S1010で取得したメッシュが浸水域であると判定した場合、S1016に処理を進め、S1010で取得したメッシュが浸水域でないと判定した場合、S1012に処理を進める。
S1012において、避難シミュレーションソフト120は、S1010で取得したメッシュがS1007で特定した浸水域に隣接するか否かを判定する。より具体的には、避難シミュレーションソフト120は、S1010で取得したメッシュに隣接するメッシュの何れかが、S1007で特定した浸水域のメッシュに含まれる場合、S1010で取得したメッシュが浸水域に隣接すると判定する。また、避難シミュレーションソフト120は、S1010で取得したメッシュに隣接するメッシュの全てが、S1007で特定した浸水域のメッシュに含まれない場合、S1010で取得したメッシュが浸水域に隣接しないと判定する。
避難シミュレーションソフト120は、S1010で取得したメッシュがS1007で特定した浸水域に隣接すると判定した場合、S1013に処理を進め、S1010で取得したメッシュがS1007で特定した浸水域に隣接しないと判定した場合、S1016に処理を進める。S1012の処理は、地図上の被害地域に隣接する分割領域を特定する特定処理の一例である。
S1013において、避難シミュレーションソフト120は、S1012で浸水域に隣接していると判定したメッシュが、歩行領域と重なっているか否かを判定する。例えば、避難シミュレーションソフト120は、メッシュの占める地図上の領域に、S1008で取得した情報に対応する歩行領域の属性が付与されたオブジェクトの一部又は全部が含まれる場合、メッシュが、歩行領域と重なっていると判定する。また、避難シミュレーションソフト120は、メッシュの占める地図上の領域に、S1008で取得した情報に対応するオブジェクトが含まれない場合、メッシュが、歩行領域と重なっていないと判定する。
また、避難シミュレーションソフト120は、S1008でオブジェクトの情報でなく、例えば、道の線分の情報を取得した場合、以下のような処理を行い、メッシュが、歩行領域と重なっているか否かを判定することとしてもよい。即ち、避難シミュレーションソフト120は、S1008で取得した線分情報に基づいて、道の線分に挟まれた領域を道の領域として決定する。そして、避難シミュレーションソフト120は、メッシュの占める地図上の領域に、決定した道の領域の一部又は全部が含まれる場合、メッシュが、歩行領域と重なっていると判定する。また、避難シミュレーションソフト120は、メッシュの占める地図上の領域に、決定した道の領域が含まれない場合、メッシュが、歩行領域と重なっていないと判定する。これにより、情報処理装置100は、CADソフト110により歩行領域の属性が付与されたオブジェクトが作成されていない場合でも避難場所の候補を決定することができる。また、情報処理装置100は、CADソフト110によるオブジェクトの作成処理の負担を軽減できることとなる。
避難シミュレーションソフト120は、S1012で浸水域に隣接していると判定したメッシュが、歩行領域と重なっていると判定した場合、S1014に処理を進める。また、避難シミュレーションソフト120は、S1012で浸水域に隣接していると判定したメッシュが、歩行領域と重なっていないと判定した場合、S1016に処理を進める。
また、避難シミュレーションソフト120は、S1008で歩行領域の情報として、道オブジェクト、及び建物オブジェクトの情報を取得した場合、以下のような処理を行うこととなる。即ち、避難シミュレーションソフト120は、S1012で浸水域に隣接すると判定したメッシュが、歩行可能な道、又は、歩行可能な建物と重なっているか否かを判定する。例えば、避難シミュレーションソフト120は、メッシュの占める地図上の領域に、S1008で取得した情報に対応する道オブジェクト、又は建物オブジェクトの一部又は全部が含まれる場合、メッシュが、歩行領域と重なっていると判定する。また、避難シミュレーションソフト120は、メッシュの占める地図上の領域に、S1008で取得した情報に対応する道オブジェクト、及び建物オブジェクトが含まれない場合、メッシュが、歩行領域と重なっていないと判定する。これにより、情報処理装置100は、道や建物を避難場所の候補として決定することができるため、道や建物を避難地としたシミュレーションができるようになる。
避難シミュレーションソフト120は、S1012で浸水域に隣接していると判定したメッシュが、歩行可能な道又は建物と重なっていると判定した場合、S1014に処理を進める。また、避難シミュレーションソフト120は、S1012で浸水域に隣接していると判定したメッシュが、歩行可能な道とも建物とも重なっていないと判定した場合、S1016に処理を進める。
また、外部メモリ211は、建物を避難場所の候補とするか否かを示す候補設定情報を記憶することとしてもよい。例えば、候補設定情報は、例えば、1か0の2つの値をとる情報であり、1である場合、建物を避難場所の候補とすることを示し、0である場合、建物を避難場所の候補としないことを示す情報である。CPU201は、入力装置209を介したユーザによる操作に基づいて、外部メモリ211に記憶される候補設定情報の内容を変更することができる。
外部メモリ211が候補設定情報を記憶する場合、避難シミュレーションソフト120は、外部メモリ211から取得した候補設定情報に基づいて、建物を避難場所の候補にするか否かを決定することとしてもよい。そして、避難シミュレーションソフト120は、S1013で、建物を避難場所の候補にすると決定した場合、S1012で浸水域に隣接すると判定したメッシュが、歩行可能な建物を含む歩行領域と重なっているか否かを判定する。また、避難シミュレーションソフト120は、S1013で、建物を避難場所の候補にしないと決定した場合、S1012で浸水域に隣接すると判定したメッシュが、建物を除く歩行領域と重なっているか否かを判定する。
また、避難シミュレーションソフト120は、S1012で浸水域に隣接していると判定したメッシュが、歩行領域と重なっていると判定した場合、S1014の処理行わずに、S1015に処理を進めることとしてもよい。その場合、S1015で、避難シミュレーションソフト120は、S1013で歩行領域と重なっていると判定されたメッシュを避難場所の候補として決定することになる。
本実施形態では、避難シミュレーションソフト120は、S1013で、浸水域に隣接するメッシュが、歩行領域の属性が付与されているオブジェクトと重なっているか否かを判定することで、浸水域に隣接しているメッシュが歩行領域に重なるか否かを判定した。しかし、避難シミュレーションソフト120は、CADソフト110から道オブジェクトの情報を取得することで、以下のような処理を行うこととしてもよい。即ち、S1013で、避難シミュレーションソフト120は、S1012で浸水域に隣接すると判定したメッシュが、道オブジェクトと重なっているか否かを判定することとしてもよい。そして、避難シミュレーションソフト120は、浸水域に隣接すると判定したメッシュが道オブジェクトと重なっていると判定した場合、浸水域に隣接すると判定したメッシュが歩行領域に重なると判定する。また、避難シミュレーションソフト120は、浸水域に隣接すると判定したメッシュが道オブジェクトと重なっていないと判定した場合、浸水域に隣接すると判定したメッシュが歩行領域に重なっていないと判定する。この処理により、避難シミュレーションソフト120は、例えば、S614~S616の処理が行われなかった場合、即ち、地図上のオブジェクトに歩行領域の属性を付与する処理が行われなった場合でも、避難場所の候補を決定することができるようになる。
また、避難シミュレーションソフト120は、CADソフト110から建物オブジェクトの情報を取得することで、以下のような処理を行うこととしてもよい。即ち、S1013で、避難シミュレーションソフト120は、S1012で浸水域に隣接すると判定したメッシュが、建物オブジェクトと重なっているか否かを判定することとしてもよい。その場合、避難シミュレーションソフト120は、浸水域に隣接すると判定したメッシュが建物オブジェクトと重なっていると判定した場合、浸水域に隣接すると判定したメッシュが歩行領域に重なると判定する。また、避難シミュレーションソフト120は、浸水域に隣接すると判定したメッシュが建物オブジェクトと重なっていないと判定した場合、浸水域に隣接すると判定したメッシュが歩行領域に重なっていないと判定する。
また、避難シミュレーションソフト120は、CADソフト110から道オブジェクト、及び建物オブジェクトの情報を取得することで、以下のような処理を行うこととしてもよい。即ち、S1013で、避難シミュレーションソフト120は、S1012で浸水域に隣接すると判定したメッシュが、道オブジェクト、又は建物オブジェクトと重なっているか否かを判定することとしてもよい。また、避難シミュレーションソフト120は、CADソフト110から公園オブジェクト、や空き地オブジェクトの情報を取得することで、以下のような処理を行うこととしてもよい。即ち、S1013で、避難シミュレーションソフト120は、S1012で浸水域に隣接すると判定したメッシュが、公園オブジェクト、又は空き地オブジェクトと重なっているか否かを判定することとしてもよい。
S1014において、避難シミュレーションソフト120は、S1013で歩行領域と重なっていると判定されたメッシュの周囲に、そのメッシュから歩行者が歩行で移動可能な浸水していない他のメッシュがあるか否かを判定する。つまり、避難シミュレーションソフト120は、避難者がS1013で歩行領域と重なっていると判定されたメッシュから、浸水域ではない領域に移動可能か否かを判定する。歩行者は、メッシュ同士をまたがる歩行領域がある場合、現在いるメッシュの上下左右の4つのメッシュに対して歩行で移動可能であるとする。
例えば、避難シミュレーションソフト120は、S1013で歩行領域と重なっていると判定されたメッシュの周囲の領域(以下では、周囲領域)について以下の処理を行う。本実施形態では、避難シミュレーションソフト120は、S1013で歩行領域と重なっていると判定されたメッシュの周囲4マスのメッシュ(周囲領域のメッシュ)それぞれについて、次の処理を行う。即ち、避難シミュレーションソフト120は、処理対象のメッシュが浸水域であるか否か、及び、S1013で歩行領域と重なっていると判定されたメッシュと歩行領域でつながっているか否か、を判定する。つまり、仮にそのメッシュを避難場所の候補に設定した場合に、その避難場所からの避難者の逃げ道を確保できるかを判断するため、浸水領域に隣接するメッシュについて、当該メッシュと重なる歩行領域の先が浸水していないかを判定する処理を行うものである。避難シミュレーションソフト120は、S1007で特定した浸水域に基づいて、処理対象のメッシュが浸水域であるか否か判定する。そして、避難シミュレーションソフト120は、S1008で取得した歩行領域のオブジェクトの情報に基づいて、処理対象のメッシュがS1013で歩行領域と重なっていると判定されたメッシュと歩行領域でつながっているか否か判定する。
避難シミュレーションソフト120は、S1013で歩行領域と重なっていると判定されたメッシュの周囲に、そのメッシュから歩行で移動可能な浸水していない他のメッシュが所定数以上(例えば4マス以上)隣接して続いていると判定した場合、S1015に処理を進める。また、避難シミュレーションソフト120は、S1013で歩行領域と重なっていると判定されたメッシュの周囲に、そのメッシュから歩行で移動可能な浸水していない他のメッシュが所定数以上(例えば4マス以上)隣接して続いていないと判定した場合、S1016に処理を進める。これにより、避難シミュレーションソフト120は、浸水域に含まれていないメッシュであっても、それ以上の避難(移動)が不可能なメッシュについて、避難場所の候補から除外することができる。S1014の処理は、移動可能領域判定処理の一例である。
S1015において、避難シミュレーションソフト120は、S1010で取得したメッシュを避難場所の候補として決定し、決定した候補の情報をRAM203等に記憶する。S1005で作成されたメッシュの大きさが道等の歩行領域の幅よりも小さい場合、複数の隣接するメッシュがそれぞれ別個の避難場所として決定されることがある。そのような場合、避難シミュレーションソフト120は、密集した複数の避難場所の候補を表示することになり、ユーザにとって煩雑な表示となる。そこで、避難シミュレーションソフト120は、以下のような処理を行うこととしてもよい。
即ち、避難シミュレーションソフト120は、S1015で避難場所の候補として決定された隣接し合う複数のメッシュのうち、何れかを代表の候補として決定し、その他のメッシュを避難場所の候補から外すこととしてもよい。これにより、避難シミュレーションソフト120は、隣接し合う複数のメッシュが選択された場合でも、密集した複数の避難場所の候補を表示せずに、代表の避難場所の候補のメッシュのみ表示すればよいため、ユーザにとって見やすい表示とすることができる。
また、避難シミュレーションソフト120は、代表の避難場所の候補として決定されたメッシュを中心に設定された幅を持つメッシュを新たに作成し、作成したメッシュを避難場所の候補として決定することとしてもよい。また、避難シミュレーションソフト120は、S1015で避難場所の候補として決定された隣接し合う複数のメッシュを結合したメッシュ領域を、避難場所の候補として決定し、隣接し合う複数のメッシュの個々を避難場所の候補から外すこととしてもよい。これにより、避難シミュレーションソフト120は、S1005で作成したメッシュの大きさが道等の歩行領域の幅よりも小さい場合でも、避難場所の候補を適切な大きさに決定できる。
図5(e)は、S1015で記憶される避難場所の候補の情報である避難目的地候補情報540の一例を示す図である。避難目的地候補情報540は、避難場所の候補として決定されたメッシュのメッシュIDを記憶する。
S1016において、避難シミュレーションソフト120は、S1005で作成した全てのメッシュに対してS1010~S1015の処理を実行したか否かを判定する。避難シミュレーションソフト120は、S1005で作成した全てのメッシュに対してS1010~S1015の処理を実行したと判定した場合、S1017に処理を進める。また、避難シミュレーションソフト120は、S1005で作成したメッシュの中にS1010~S1015の処理を実行していないメッシュがあると判定した場合、S1010に処理を進める。
S1017において、避難シミュレーションソフト120は、S1015で避難場所の候補として決定したメッシュを選択可能なように、ディスプレイ装置210に表示されている地図上に識別表示する(表示制御する)。例えば、避難シミュレーションソフト120は、ディスプレイ装置210に表示されている地図上に、避難目的地候補情報540が示す避難場所の候補であるメッシュを、他のメッシュと色や模様や輝度値が異なるように表示することで、他のメッシュと識別できるように表示する。また、避難シミュレーションソフト120は、避難場所の候補であるメッシュを、入力装置209を介したユーザによる操作に基づいて、例えば、カーソルを介したクリック操作により選択可能にする。また、避難シミュレーションソフト120は、ディスプレイ装置210に表示されている地図上に、避難場所の候補であるメッシュを、他のメッシュと異なり点滅するように表示することで、他のメッシュと識別できるように表示してもよい。これにより、避難シミュレーションソフト120は、ユーザによる避難場所の候補の視認を容易にすることができる。S1017の処理は、避難場所の候補を出力部に表示する表示処理の一例である。具体的には、例えば、避難シミュレーションソフト120が、CADソフト110のAPIを用いて、S1015で記憶した避難候補地のメッシュのIDをCADソフト110に送信し、CADソフト110に対して当該IDの示すメッシュを識別表示するよう指示する(識別表示の表示制御をする)。CADソフト110は当該メッシュのID及び識別表示指示を受け付け、当該指示に従って、当該IDの示すメッシュを識別表示(例えばメッシュの色を所定の色に変更)する処理を実行する。
図11(a)の地図には、浸水域に隣接し歩行領域である道と重なっている部分に避難場所の候補として決定されたメッシュとして、斜線模様のメッシュが表示されている例を示されている。
避難シミュレーションソフト120は、入力装置209を介したユーザの操作に基づくS1017で表示した避難場所の候補のメッシュの選択を検知した場合、選択されたメッシュを選択状態に決定することになる。例えば、避難シミュレーションソフト120は、選択されたメッシュのメッシュIDと紐付けて、選択状態であることを示す情報をRAM203等に記憶する。
S1018において、避難シミュレーションソフト120は、入力装置209を介したユーザの操作に基づいて、S1017で表示した避難場所の候補の選択を受け付ける。
S1019において、避難シミュレーションソフト120は、S1017で表示された候補のうち何れかの選択を初めて受け付けた場合、避難場所を一括決定するための確認画面をディスプレイ装置210に表示する。S1019の処理は、出力部へ確認画面を表示する画面表示処理の一例である。また、避難シミュレーションソフト120は、S1017で表示された避難場所の候補の何れかが既に選択済みの場合は、S1021に処理を進める。
図11(b)は、S1019で表示される確認画面の一例を示す図である。確認画面は、避難場所の候補全てを避難場所として決定するか否かを問うテキストと、候補全てを避難場所として決定することの選択に利用されるボタン(「はい」ボタン)を含む。また、確認画面は、候補全てを避難場所として決定することの拒否に利用されるボタン(「いいえ」ボタン)を含む。
S1020において、避難シミュレーションソフト120は、S1019で表示される確認画面を介して、全ての避難場所の候補を避難場所として一括確定するか、選択中の避難場所の候補を個別に避難場所として確定するかを選択するユーザによる指示を受け付ける。より具体的には、避難シミュレーションソフト120は、確認画面で「はい」ボタンの押下を受付けた場合に一括確定の指示を受け付けたものと判定し、「いいえ」ボタンの押下を受付けた場合に個別確定の指示を受け付けたものと判定する。
S1021において、避難シミュレーションソフト120は、選択中の避難場所の候補のメッシュを避難場所として決定し、RAM203等に記憶する。
S1022において、避難シミュレーションソフト120は、S1015で記憶された全ての避難場所の候補のメッシュを避難場所として決定し、RAM203等に記憶する。
図5(f)は、S1022で記憶される避難場所として決定されたメッシュの情報の一例である避難目的地情報550を示す図である。避難目的地情報550は、避難場所として決定されたメッシュのメッシュIDと、メッシュの各頂点の地図上の座標の情報を記憶する。
S1023において、避難シミュレーションソフト120は、入力装置209、設定画面720を介したユーザの操作に基づいて、シミュレーションの実行操作を受け付けたか、避難シミュレーションソフト120の終了操作を受け付けたか判定する。より具体的には、避難シミュレーションソフト120は、設定画面720において「実行」ボタンの選択を検知した場合に、シミュレーションの実行操作を受け付けたと判定し、「終了」ボタンの選択を検知した場合に、避難シミュレーションソフト120の終了操作を受け付けたと判定する。避難シミュレーションソフト120は、避難シミュレーションソフト120の終了操作を受け付けた場合、避難シミュレーションの設定画面720を非表示にして図10の処理を終了する。避難シミュレーションソフト120は、シミュレーションの実行操作を受け付けた場合、S1024に処理を進める。
S1024において、避難シミュレーションソフト120は、避難シミュレーションを実行する。例えば、避難シミュレーションソフト120は、CADソフト110が表示する地図データを含むシミュレーション用画面を別途、表示し、表示したシミュレーション用画面の地図上に配置された歩行者アイコン(避難者アイコン)毎に、以下の処理を行う。即ち、避難シミュレーションソフト120は、避難者アイコン毎に、避難者アイコンから最も近いルートで到達できる避難場所を特定して、その避難者アイコンにとっての目的地として決定する。その後、避難シミュレーションソフト120は、歩行者アイコンを、設定された移動速度に基づいて、歩行領域上を、目的地に向けて随時移動させるシミュレーション処理を行う。以上が図10の説明である。
以上、本実施形態の処理により、情報処理装置100は、被害地域と歩行領域の情報とに基づいて、避難場所を容易に設定することができる。
例えば、予め避難場所の候補として登録された施設等の情報がない場合においても、容易に避難場所の候補を決定することができる。
また、情報処理装置100は、道等の避難者が歩行可能なオブジェクトに対して歩行領域を設定し、歩行領域を避難場所の候補とすることで、実際に歩行者が移動可能な場所を避難場所として設定することができる。それにより、情報処理装置100は、より精度の高いシミュレーション処理を実行することができる。
なお、上述した実施形態においては、避難シミュレーションソフト120が、S606で所定の属性を持つ線分情報を要求して、CADソフト110が、S608で当該要求に応じた線分情報を避難シミュレーションソフト120に送信し、避難シミュレーションソフト120がこれを記憶するもとしたが、避難シミュレーションソフト120がCADソフト110に地図データの全ての線分情報を要求して受信し、受信した線分情報の中から所定の属性(例えば道、建物の属性)を持つ線分を抽出して500に示すような線分のリストを作成して、S609でメモリ上に記憶するようにしてもよい。
<その他の実施形態>
本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記憶媒体等としても実装可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムとして実装してもよいし、また、1つの機器からなる装置として実装してもよい。
例えば、本発明は、次のような情報処理システムとして実装することができる。即ち、シミュレーション処理の実行指示を外部装置から受け付け、シミュレーションを実行し、実行結果を指示元に送信するサーバと、サーバにシミュレーション処理の実行を指示し、実行結果を受信する情報処理装置と、を含む情報処理システムとして実装できる。
図12は、情報処理システムのシステム構成の一例である。情報処理システムは、ネットワーク1202を介して相互に接続されるサーバ1201と情報処理装置100とを含む。サーバ1201は、単体のサーバ装置であるとするが、複数の情報処理装置を含むシステムであってもよい。サーバ1201が単体のサーバ装置である場合、サーバ1201のハードウェア構成は、図2と同様である。また、サーバ1201が複数の情報処理装置を含むシステムである場合、サーバ1201に含まれる各情報処理装置のハードウェア構成は、図2と同様である。また、サーバ1201の機能構成は、図3と同様である。本実施形態における情報処理装置100は、情報処理システムにおけるクライアントであるクライアント装置の一例である。
サーバ1201は、情報処理装置100からの指示に応じて避難シミュレーションを開始し、避難場所の候補を決定し、決定した避難場所の候補の情報(例えば避難場所の候補のメッシュID及び座標)を情報処理装置100に表示させるべく送信制御(表示制御)する。そして、情報処理装置100は、表示した避難場所の候補を出力部に表示し、ユーザの操作に基づいて、表示した避難場所の候補の中から避難場所を決定し、決定した避難場所の情報を、サーバ1201に送信する。サーバ1201は、受信した避難場所の情報に基づいて、避難場所を決定し、避難シミュレーションを行う。
サーバ1201が単体のサーバ装置である場合、サーバ1201のCPUが、サーバ1201のROM又は外部メモリに記憶されたプログラムに基づき処理を実行することで、図3の機能及び図6、8、10と同様のフローチャートの処理が実現される。
サーバ1201が複数の情報処理装置を含むシステムである場合、サーバ1201に含まれる各情報処理装置のCPUが、各情報処理装置のROM又は外部メモリに記憶されたプログラムに基づき、連携して処理を実行することで、図3の機能が実現される。また、図6、8、10と同様のフローチャートの処理が実現される。
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、システム又は装置に直接、又は遠隔から供給するものを含む。そして、そのシステム又は装置に含まれるCPUが前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成されることとしてもよい。
したがって、本発明の機能及び処理をコンピュータで実現するために前記コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明には、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD-ROM、CD-R、CD-RW等がある。また、プログラムを供給するための記録媒体としては、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD-ROM,DVD-R)等もある。
その他、プログラムの供給方法としては、次のような方法がある。即ち、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、接続したホームページから本発明のコンピュータプログラムを、ハードディスク等の記録媒体にダウンロードする方法である。また、接続したホームページから本発明のコンピュータプログラムの自動インストール機能を含む圧縮されたファイルをダウンロードする方法である。
また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
また、本発明のプログラムを暗号化してCD-ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、ダウンロードした鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。その他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS等が、実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
更に、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
前述した実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。