JP6898113B2 - 微粒子製造装置 - Google Patents

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Description

この発明は、微細繊維の粉砕とその表面の機能化及びコーティングに関する。
粒子を細かく粉砕し、ナノサイズの微粒子を得るための湿式微粒子製造方法としては、湿式ボールミル法、超高圧水法、気液二流体アトマイズ法が主に使われている。
湿式ボールミル法は、数十ミクロンの媒体ボールメディアが充填された容器内で、スラリー溶液が摩砕により微粒子化される。この方法を運用するにあたっては、メディアの摩耗によるコンタミネーションが発生し、メディアとスラリーの分離が困難であるという問題点がある。
超高圧水法は、プランジャーポンプにより増圧した200MPa以上の高圧水を微細孔から水中へ対向噴射または衝突板へ衝突させることで微粒化する方法である。この手法は、高圧に耐えるだけのシールが難しく、装置コストが高くなってしまうという問題がある。また、仕組み上高温になってしまい、粉砕対象が意図せず変性を起こしてしまう可能性がある。さらに、微細孔の噴射ノズルの目詰まりが問題となる。
気液二流体アトマイズ法は、高速気流中へスラリー溶液を側方から供給するため十分加速して微粒子化されていない。また微細孔ノズルのため、目詰まりを起こしやすい。
また、スラリー中の微粒子を液滴中で高速衝撃粉砕させる方法として、超高圧水の代わりに圧縮空気を利用した手法もある。実際に、微粒子を含む液体供給ノズル及び圧縮空気を超音速まで加速させるノズルを同軸上に設けた微粒化装置が開発・市販されている(特許文献1)。液体が高速気流との衝突でアトマイズされマイクロ液滴となり、そのマイクロ液滴が加速された状態で衝突板との衝突で高速衝撃粉砕が行われる原理である。類似の方式による微粒子製造装置と方法が特許文献2にも開示されている。
特開2009-154146号公報 特許第5652779号公報
特許文献1に記載の方式では、マイクロミストの加速が十分とはいえなかった。これは、スロート部から加速部分内に溶液供給部が設けられている為、気流流れは膨張不足となり、亜音速まで速度が落ちることによる。また、溶液供給口がラバールノズルの最もノズル径を絞られたスロート部の下流側に設けられている為供給管の中心位置決めが困難である。この方法でも供給されるスラリー溶液のノズル孔径は細く、0.数ミリの微細ノズルを単数または複数装着することになる。
さらに、特許文献2に記載の方式でも、特許文献1の方式や超高圧水での衝突手法と同様に、水溶液中にノズル口径より大きな固形分が含まれていることで目詰まりが頻発する。ノズルへ供給する前にラインフィルター等を設けて大きな固形分を除去しようとしても、完全に除去することは困難である。特に固形分が短径と長径の比(アスペクト比)が大きな粒子の場合、ラインフィルターが直ぐに目詰まりを起こす。さらに、装置系内の異物(錆等)により、目詰まりを引き起こすトラブルも発生していた。
そこでこの発明は、目詰まりを起こすことなく、安定してスラリー水溶液を高圧気流の気流へ供給できるようにし、安定して粒子の粉砕を行えるようにすることを目的とする。
この発明は、加圧した気体を超音速ノズルに供給して超音速に加速し、この加速された気流をケーシング内の衝突部材に衝突させることで、加速された気流中へ供給するスラリー状の固体粒子を粉砕して微粒子化する微粒子製造装置において、
上記衝突部材は、上記超音速ノズルの吹出口に向かって頂点が突き出た円錐状衝突部と、この円錐状衝突部の裾部から径方向に広がった平板部とを有し、
上記円錐状衝突部の裾部と上記平板部との間には、全周に亘る隙間が設けてあり、上記固体粒子を含むスラリーを、上記衝突部材の内部から上記隙間を通って全周方向に供給可能である微粒子製造装置により上記の課題を解決したのである。
超音速ノズルから吹き出した超音速ジェットは、円錐状衝突部の外周に沿って広がり、裾部まで到達して上記平板部に衝突する。この衝突が起こる部分である裾部と上記平板部との不連続部分では、超音速気流に強い剪断作用が働く。この剪断作用が働く部分である不連続部分に、全周に亘る隙間を設け、この隙間に上記スラリーを供給すると、スラリーは微小な液滴にアトマイズされることとなる。スラリーの供給箇所が、超音速ジェットが超音速に加速された後の衝突を起こす箇所にあり、全周に亘るため、スラリー供給のためのノズルの径を極端に絞らなくてもよい。このため、スラリーに大きな固形分が含まれていても、目詰まりを起こしにくく、供給を続けることができるので、安定した粒子の粉砕が可能となる。
さらに目詰まりを起こしにくく、スラリーの供給をスムーズにするには、上記隙間の全周に亘る面積である送出面積P1に対する、上記円錐状衝突部の先端の真下方向から上記衝突部材の内部へスラリーを上昇させて供給するスラリー供給路の流路断面積P2の比(P1/P2)を、0.2以上30以下であるようにすると、スラリーの供給が留まることなく、かつ、滞留しすぎないようにすることができる。
またさらに目詰まりを起こしにくく、スラリーの供給をスムーズにするには、上記円錐状衝突部の先端の真下方向から上記衝突部材の内部へ上記スラリーを上昇させて供給するスラリー供給路の周囲を囲み上記円錐状衝突部を支える円錐固定部に、2箇所の通過口が中心に対して点対称に空けてあり、この通過口によって前記隙間に通じるスラリー溜部と前記スラリー供給部とを繋げ、上記通過口は中心から水平方向扇形に広がり、それぞれの中心角θが45度以上150度以下であるようにすることで、スラリーが広がりやすくなり、目詰まりを起こしにくくすることができる。
上記微粒子製造装置は、単体の粉砕装置として用いるだけでなく、循環機構と一体化した循環型で繰り返し微細化を行う装置とするとより好ましい。この循環機構は、上記衝突部材を設けた粉砕室に繋がる下部貯蔵槽を上記衝突部材の下部に設け、上記衝突部材の周囲でアトマイズされた液滴を凝集させてスラリーとして回収可能にし、上記スラリーを上記下部貯蔵槽から再び上記衝突部材の内部へ供給する還流路を設けて、繰り返し粉砕して徹底した微細化を行えるようにしてもよい。またこのような環流路を備えた微粒子製造装置を用いて、上記スラリーにヒドロシランなどのシラン系高分子や触媒を混合すると、粉砕された微粒子にシラン系高分子を付加することができる。この付加反応は、攪拌される下部貯蔵槽と、超音速ジェットに曝されることで反応性が高まる上記隙間からの供給部で特に進行する。なお、この環流路を設けることによる繰り返しの粉砕や付加反応の進行は、上記の隙間からスラリーを供給する微粒子製造装置に限らず、他の形態の微粒子製造装置について、上記下部貯蔵槽や環流路を設けても同様に行うことができる。
上記微粒子製造装置を用いて粉砕し、又は粉砕して機能化される材料としては、例えばセルロースナノファイバーが挙げられる。
この発明にかかる微粒子製造装置により、目詰まりの発生を抑制して、安定して固体粒子の粉砕を行うことができる。また、環流路を備えた循環型として連続運転が可能になる。これにより、気流式の粉砕機では到達できない粒子径域まで粉砕させることが出来る。
またこの発明にかかる微粒子製造装置は、湿式ビーズミルで問題となる摩耗による製品へのコンタミネーションがほとんど起こらず、耐久性が高い。また、高圧水を発生させるための高度なシール技術や増圧技術を必要とせず、1MPa以下の通常の圧力下条件で微粒子化が可能であるため、安全面にも優れている。
全体を密閉系で行うことができるため、高圧気体と液体の選択範囲が広く、かつ、それぞれの流体をリサイクルできるため、環境負荷を小さくできる。特に、高圧気体としてヘリウムガスをリサイクルして使用できるため、超音速気流をさらに高速化して粉砕能力を向上させることもできる。さらに、微粒子や流体が装置周辺の空気中に浮遊することがなく、作業者に悪影響が及ぶことを防止できる。加えて、密閉系であるため周囲への運転音の漏れも小さい。
さらに、環流路により循環させて微粒子製造装置によって連続運転を行うと、粉砕装置側で目詰まりしにくいため、粉砕を徹底して繰り返しながら、粉砕した微粒子にさらに付加反応を起こさせても、循環させる流れが停滞せず、安定に付加反応を進行させることができる。また、スラリー同士を衝突させる手法と違って、スラリーは加熱されにくく、低温のまま1μm未満にまで微細化するナノ微粒子化を進めることができる。
この発明の第一の実施形態にかかる微粒子製造装置の粉砕装置の中核部分の拡大断面図 図1の粉砕装置の全体図 この発明の第二の実施形態にかかる微粒子製造装置の粉砕装置の中核部分の拡大断面図 (a)図3の粉砕装置の通過口の形状を示す水平断面図、(b)(a)の正面断面図 図2の粉砕装置と循環機構を備えた微粒子製造装置の構成図 粉砕装置と循環機構を備えた別の微粒子製造装置の構成図 この発明にかかる循環機構の例を示す模式図 この発明にかかる循環機構の別の例を示す模式図 実施例1におけるサンプルの電子顕微鏡写真 実施例2におけるサンプルの電子顕微鏡写真 (a)実施例3におけるサンプルの電子顕微鏡写真、(b)実施例3における撥水状況を確認する写真 実施例4における粉砕及び疎水化されたCNFスラリーの状態を示す写真 実施例4における粉砕及び疎水化されたCNFの撥水状態を示す写真 実施例4における粉砕及び疎水化されたCNFの電子顕微鏡写真 実施例5における粉砕及び疎水化されたCNFスラリーの状態を示す写真 実施例5における粉砕及び疎水化されたCNFスラリーの分離状態を示す写真 実施例5における粉砕及び疎水化されたCNFの電子顕微鏡写真 (a)実施例6における疎水化修飾されたCNFの撥水状態を示す写真、(b)(a)を表面に沿って撮影した写真 実施例6における疎水化修飾されたCNFの電子顕微鏡写真 (a)実施例7における疎水化修飾されたCNFの撥水状態を示す写真、(b)(a)を表面に沿って撮影した写真 実施例7における疎水化修飾されたCNFの電子顕微鏡写真 実施例8の粉砕後のサンプルの電子顕微鏡写真 (a)実施例9における粉砕前のサンプルの電子顕微鏡写真、(b)粉砕後のサンプルの電子顕微鏡写真 (a)実施例10における変性前のサンプルの電子顕微鏡写真、(b)変性後のサンプルの電子顕微鏡写真、(c)粉砕後のサンプルの電子顕微鏡写真
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1にこの発明にかかる微粒子製造装置の第一の実施形態における粉砕装置本体の、主に粉砕に関する中核部分を示す。複数の部材から構成されるケーシング1の上部に、圧縮した空気やヘリウムなどのガスGが供給されるガス供給口2が下向きに設けられている。
ガス供給口2の下方側は、超音速までガスGを加速して粉砕室4へ噴射する超音速ノズル3となっている。この超音速ノズル3は、具体的には、徐々に縮径される縮径部3aと、その先にある流路径が最も小さく絞られたスロート部3bと、そこから拡径するダイバージェント部3cとからなる。超音速ノズル3より下は、円筒状の粉砕室4となっている。ガスGはスロート部3bでは流れは臨界状態(M1=1)となり、下流側のダイバージェント部3cで等エントロピ的に膨張加速される。これにより、ガスGは超音速ジェットJとなって粉砕室4へと吹き下ろされる。
この鉛直方向へと吹き下ろす超音速ジェットを衝突させる衝突部材5が、超音速ノズル3の真下に配置されている。衝突部材5は、超音速ノズル3の吹出口に向かって頂点が突き出た円錐状衝突部5aと、この円錐状衝突部5aの裾部6から径方向に鍔状に広がった平板部5bとを有する。円錐状衝突部5aにぶつかった超音速ジェットは、円錐状衝突部5aの壁面近傍では超音速流れを保ち、円錐状衝突部5aの周壁面に沿って流れながら拡径され、平板部5bに速度を落とすことなく、スムーズに衝突する。
この円錐状衝突部5aの先端部分の角度θは粉砕する固体粒子にもよるが、40度以上であると望ましく、45度以上であるとより望ましい。一方で、65度以下であると望ましく、60度以下であるとより望ましい。角度が広すぎるとなだらかで超音速ジェットが減速しやすくなってしまう。一方で角度が狭すぎると後述する隙間7に対してエアカーテンを生じてしまい、粉砕が思うように進まなくなるおそれがある。
円錐状衝突部5aの裾部6と平板部5bとの間には、全周に亘る隙間7が設けてある。この隙間を通じて円錐状衝突部5aの内部からスラリーが供給されると、平板部5bに衝突する超音速ジェットJによって剪断作用が働き、スラリーがマイクロミスト化されながら平板部5bのさらに外周へと吹き飛ばされ、粉砕室4の内周壁面9(ケーシング1の一部)に衝突させられる。このとき、スラリーに含まれる固体粒子も粉砕されて微細化していく。
この発明にかかる粉砕装置は、圧縮したガスGの断熱膨張とミスト気化熱の為、粉砕装置内、及び後述するように循環するスラリーの温度が低下する。このため、スラリー同士を衝突させる手法と違って加熱されず、低温にて不測の変性を起こさせることなく固体粒子のナノ粒子化が可能である。
円錐状衝突部5aの内部からスラリーを供給する仕組みは特に限定されないが、例えば次のような構成が挙げられる。円錐状衝突部5aの先端の真下方向から、平板部5bを貫通してスラリーが上昇してくるスラリー供給路10が設けてある。このスラリー供給路10は隙間7よりやや上の高さまで到達しており、周囲は円錐状衝突部5aを支える円錐固定部11で囲まれている。スラリー供給路10の周囲を囲む円錐固定部11には少なくとも2箇所以上の通過口12が周方向等間隔に設けてある。この実施形態ではそれぞれ垂直な位置関係となるように4箇所の通過口12が管状に空けてある。4方向以上に通過口12が空けてあることで、スラリーの供給が隙間7の全周に亘って偏りにくくなる。円錐状衝突部5aの下方部分には、スラリーを蓄える空間であるスラリー溜部13が形成されている。スラリー供給路10から供給されたスラリーは通過口12を通ってスラリー溜部13へ供給される。
スラリー溜部13は、外周へ向かって同じ高さの空間が広がった等高部13aの先で、裾部6の先端に向かって徐々に低くなる傾斜部13bが設けてある。これにより、スラリーは等高部13aへ一旦広がりやすくなるため、スラリーの供給がスムーズになる。供給されたスラリーは隙間7から全周方向へ薄膜状に押し出されて行く。この隙間7の幅は、内部送液ノズルの高さを調整して、スラリー固形分のサイズ、アスペクト比、及び濃度によって適宜決定する。
図2に、粉砕室4や衝突部材5の周囲を含めた粉砕装置本体の断面図を示す。装置の外部に設けたポンプ27(図5,図6に示す)から、粉砕装置本体へ導入するスラリー供給部15を介して、水平に装置の軸中心方向へ延びる水平供給路14を通じて、スラリー供給路10へスラリーSが送り込まれる。
このスラリーSには、粉砕しようとする固体粒子が液体中に分散されている。固体粒子の種類は、粉砕室4の内周壁面9の硬度に適した範囲の成分であれば特に限定されるものではない。例えば、セルロース、キチン、キトサンなどの有機高分子でもよいし、その他の無機物でもよい。液体は水が使用しやすいが、密閉系であるため有機溶媒を用いてもよいし、有機溶媒と水との混合溶媒でもよい。さらに、粉砕する固体粒子を変性させるためのその他の化合物を含有させてもよい。
一方、平板部5bの周囲は、粉砕室4の外周のケーシング1から衝突部材5を支える橋部17を除いて、下方へと開放されている。なお、橋部17の内部には水平供給路14が通っている。超音速ジェットJによってマイクロミスト化されたスラリーは、気流によって下方の排出管19へ押し流される。このとき、ミストの一部は凝集して液滴となって落ちやすくなる。
次に、図3にこの発明にかかる微粒子製造装置の第二の実施形態における粉砕装置本体の、主に粉砕に関する中核部分を示す。基本的な構成は図1に示す第一の実施形態と同じである。第二の実施形態における、第一の実施形態との相違点を述べる。
この実施形態では、スラリーの送出面積P1と、スラリー供給路10の流路断面積P2との比を規定する。この発明にかかる微粒子製造装置は、セルロースのような微細繊維の粉砕に用いることができるが、微細繊維を含むスラリーである以上、送出する際にどうしても内部で繊維が引っ掛かり、詰まり、閉塞などを起こす可能性がある。また、微細化しなければならないため隙間7の上下幅には限界があり、時間あたり送出量にも限界がある。このため、隙間7に送り込む供給元のスラリー量を適切な範囲に調整することで、このような詰まりが起こる可能性を大きく減少させることができる。
まず、円錐状衝突部5aの中心軸から裾部6の先端までの半径rと、隙間7の上下幅pとから、スラリーを送出する送出面積P1は、隙間7の全周に亘る面積であるから、P1=2πr×pとなる。一方、スラリーの供給量はスラリー供給路10の流路断面積P2に依存する。このP2はスラリー供給路10が円筒状である場合、その半径qに対してP2=πqとなる。なおこの半径qは、スラリー供給路10が通過口12aに到達するまでの途中で縮径している場合は、通過口12aの直前の最も狭まった部分の半径である。
上記の送出面積P1に対する上記の流路断面積P2の比(P2/P1)は、0.2以上であると好ましく、1以上であるとより好ましい。0.2未満では供給が追いつかなくなる。ある程度圧力を強めて押し出す方が効率がよいため、2以上であるとより好ましくなる。一方、30以下であると好ましく、20以下であるとより好ましい。流路断面積P2が大きすぎても、隙間7から出られないスラリーが滞留し、引っ掛かりやすくなり、閉塞しやすくなってしまうためである。
なお、スラリー供給路10の半径qが最小値となる1cmのとき、上下幅pを0.1cm以上3cm以下と設計すると好ましい。
また、この第二の実施形態では、円錐固定部11に空けられた、スラリー供給路10からスラリー溜部13へと通じる通過口12aの形状が異なる。第一の実施形態では前後左右四方向に管状の通過口12が空けられている。これに対して第二の実施形態では、図4(a)の水平断面図、(b)の垂直断面図に示すように、前後(又は左右)二方向に、平面扇形となって広がっていく形状の通過口12aとなっている。すなわち、二つの扇形の通過口12aが中心軸に対して点対称に形成されている。扇形に広がっていることで、四方向管状である第一の実施形態よりも、固形分が多いスラリーであっても目詰まりしにくくなる。それぞれの扇形に空けられた通過口12aの中心角θは45度以上であるとよい。45度未満では管状である第一の実施形態に比べてスラリー閉塞を抑止する効果がはっきりしなくなるおそれがある。また、狭すぎると通過口12aの向いていない方向へスラリーが回り込みにくくなり、偏りが生じる可能性が無視できなくなる。なお、好ましくは60度以上である。一方で、中心角θは150度以下であるとよい。150度を超えると円錐固定部11の強度が低下しすぎてしまうからである。好ましくは120度以下である。
次に、粉砕装置と組み合わせ可能な循環機構について説明する。上記の第一及び第二の実施形態のいずれであっても、これらの粉砕装置の排出管19の下には、液滴となったスラリーを蓄える下部貯蔵槽21を設けてある。下部貯蔵槽21は粉砕装置のケーシング1と一体になっており、一部の穴を除いて全体は密封されている。密封しつつ流体を循環可能にする循環機構の全体図を図5に示す。
下部貯蔵槽21は上方が広がった逆円錐形であり、ここにスラリーを貯蔵する。粉砕工程の開始時点でもここにスラリーを導入しておく。スラリーには固体粒子が分散されており、この分散状態を均一に維持するために、攪拌機23が取り付けられている。攪拌機23の先端には回転する攪拌翼24が取り付けられており、スラリーの液中に沈めて回転させ、スラリーをかき回すことができる。攪拌機23を内部へ挿入する挿入孔25は、ミストや気体が抜け出ないように密封されている。
下部貯蔵槽21のさらに下は環流路26に接続されている。環流路26を通るスラリーは、ポンプ27により加圧されて再びスラリー供給部15から粉砕装置本体へと送り込まれ、上記のような超音速ジェットJによる固体粒子の粉砕及びマイクロミスト化が行われる。そうして固体粒子が粉砕されたマイクロミストが凝集してスラリーの液滴となり、再び下部貯蔵槽21に戻る。この一連の循環を繰り返すことで、固体粒子は繰り返し粉砕されて、微細化が進む。これを、所望の粒子径になるまでこの循環粉砕工程を繰り返す。たとえば固体粒子がセルロースである場合、セルロースを微細化することでセルロースナノファイバーを得ることもできる。
なお、マイクロミストのほとんどは排出管19を通るまでに液滴となるが、一部はガスとともにミストのままで排出口34から粉砕装置の外部へ排出される。収率向上と環境保護の面から、この排出されたミストに含まれる液体と固体粒子を回収することが望ましい。サイクロン32でトラップしてもよいし、冷却水Cによる冷却管内で凝縮させるコンデンサー37で凝縮させてもよい。特にコンデンサー37を使うと効果が高く、サイクロン32とコンデンサー37とを併用するとさらに望ましい。図5の実施形態では、排出口34から出たガスとミストを、循環配管33を通してまずサイクロン32にてトラップする。サイクロン32でトラップされたミストは循環口31から微粒子製造装置の内部へ再度戻され、下部貯蔵槽21へと落下し、再び循環粉砕工程に戻る。サイクロン32でミストをトラップした残りのガスには、さらにまだ微量の液体と固体粒子が含有されている。さらに徹底してこれらを回収するために、冷却水Cで冷却するコンデンサー37へ導入して液体を結露させる。結露させた凝縮液Lは、いずれかのラインを通じて微粒子製造装置の内部へ再び戻される。一方、コンデンサー37を通過したガスはミストセパレータ38へ導入するとよい。これらを経て、液体と固体粒子を除去してクリーンになったガスを排気すると、環境上好ましい。また、ヘリウムを使う場合は排気せずに回収する。また、サイクロン32でトラップするミストを、コンデンサー37で結露させる凝縮液Lとともに循環させることも可能である。
また、循環機構の別の実施形態を図6に示す。この実施形態では、下部貯蔵槽21aの底部が丸底となっている。スラリーの粘度がそれほど高く無い場合に、この実施形態であると、図5の実施形態に比べて、高さを抑えながら貯蔵量を大きく増やすことができる。また、攪拌機23を深く差し込みやすくなるとともに、攪拌翼24の径を拡大することができるため、撹拌の速度、勢いを増加させることができる。これにより、特に混合と反応を促進させやすくなる。一方、極端に粘度が高いスラリーの場合は図5の実施形態のような逆円錐状である方が、環流路26への供給がスムーズになるため好ましくなる。
上記の図5又は図6のような循環機構は、下部貯蔵槽21と連結させる粉砕装置が、上記のような隙間7からスラリーを供給する機構でなくても同様に利用することができる。すなわち、上記の構成を持つ粉砕装置のケーシング1とは異なる粉砕装置1aであっても、図7に示すように下部貯蔵槽21を下部に有してスラリーの粉砕工程を循環させることで、徹底した微細化を行うことができる。ただし、上記の粉砕装置を用いると、装置の冷却を行いながら目詰まりを起こさずに微細化を進行させることができる点で好ましい。
また、上記のような循環機構は、図8(図8中は粉砕装置1aであるが粉砕装置1でもよい。)に示すようにサイクロン32を省いてコンデンサー37のみでも利用可能である。
この発明にかかる粉砕装置と上記循環機構を用いることで、プロセス系内を全て密閉状態で粉砕を行うことができる。液体として発火性の高い溶媒を使用する場合、微粒子が微粒化することで活性を帯びる危険性がある場合であっても、適宜液体または高圧気体を選択することが可能である。
また、プロセス系内は完全密閉状態であるため、高圧気体としてヘリウムガスを使用することが可能である。ヘリウムガスは気体密度が小さい為、音速が1000m/sであり、容易に空気のマッハ3程度を得ることが可能であり、またそのほぼ全量を回収してリサイクルすることが可能である。
さらに、このような環流路を備えた上記循環機構は、粉砕だけでなく、循環により徹底した反応を進行させる反応装置として用いることができる。上記スラリーを蓄える下部貯蔵槽21に、固体粒子と反応する反応添加物や触媒を加えて循環させることで、下部貯蔵槽21での滞留時、衝突部材5での剪断応力下、内周壁面9への衝突時などに、変性反応を進行させることができる。これにより、化学変性した変性微粒子を得ることができる。上記の反応添加物等の添加は、一旦循環機構を循環させて十分に上記固体粒子を微細化した後に行うと、微細化されることで拡大した表面積に対して反応を進行させやすく、また、均一性の高い変性微粒子が得られるため好ましい。
例えばボラン触媒と反応する上記反応添加物として、ヒドロシランモノマーやポリメチルヒドロシロキサン(PMHS)などを反応させたヒドロシランポリマーを用いて、微粒子上に種々のヒドロシランとの共有結合を形成させた複合体を得ることができる。セルロースナノファイバーのような親水性の高分子の表面を疎水化し、耐久性を向上するといった効果が得られる。これに限らず、親水性高分子を付加することで微細粒子を親水化したり、逆に疎水性高分子を付加することで微細粒子を疎水化させることもできる。また、高分子に限らず、その他の物性を付加するための化合物を適宜選択できる。
上記触媒としては、用いる上記反応添加物に適したものを選択する。例えばヒドロシラン化合物との反応を行う場合、触媒としてはホウ素化合物を選択することができる。
上記循環機構を反応装置として用いる場合、上記粉砕装置が冷却効果を持つため、反応の際に高温になることを防止し、低温での反応を進めることができる。反応は、攪拌される下部貯蔵槽21と、剪断応力を受ける裾部6から内周壁面9の間で特に進行しやすい。また、攪拌機23を備えてスラリーとしての分散状態を維持しながら循環させるため、固体粒子が凝集しにくく、反応の均一性を確保しやすい。
次に、この発明にかかる循環機構を備えた粉砕装置を用いて、粉砕及び付加反応を実際に行った実施例を示す。
(実施例1)
粉砕する固体粒子として、パルプを原料とした微小繊維状セルロースである、ダイセルファインケム社製商品名:セリッシュFD100Fを使用した。この微小繊維状セルロースを水中に投下して2質量%含有液1Lを作製し、これを高速ホモジナイザー(IKA社製T25)により10krpmで5分間分散してスラリーを得た。このスラリー1Lを、図5の構成である粉砕装置と循環機構を備えた微粒子製造装置の下部貯蔵槽に供給し、下部貯蔵槽内には攪拌機を設け、常にタンク内の溶液が均一になるようにした。この下部貯蔵槽から、ポンプとしてチューブポンプ(マスターフレックス社製L/S)を用いて120ml/minで衝突部材内部へ定量送液した。衝突部材における円錐状衝突部(θ=54度)と平板部との隙間の大きさは0.5mmとした。
一方、超音速ジェットに用いるガスとしては、コンプレッサーおよび冷凍式ドライヤーを通過させた圧縮空気を用い、減圧弁等で常に0.6MPaとした。この時の流量は0.41m3/minであった。本プロセスにて、18時間連続運転を行ったところ、目詰まりを起こすことなく、安定して連続しての粉砕を続けることができた。
ホモジナイザーにかけた後の粉砕開始の微小繊維状セルロースと、6時間経過時点、12時間経過時点、18時間粉砕完了後の生成物とについて電子顕微鏡(日立ハイテクノロジー社製:SU1510)で観察した。その二千倍拡大写真を図9に示す。循環しながら粉砕を繰り返すことで、微細化が徹底されていくことが確認された。
(実施例2)
粉砕する固体粒子として、結晶性セルロースである旭化成ケミカルズ社製商品名:セオラスDF17を使用した。予め気流式ジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製:衝突式ジェット粉砕機型式:IJT-2)で粒状原料から約5μmに微粉砕した後、水中に投下して2質量%の含有液1Lを作製し、これを超音波分散機で15分間分散してスラリーを得た。このスラリー1Lを、図5の構成である粉砕装置と循環機構を備えた微粒子製造装置の下部貯蔵槽に供給し、下部貯蔵槽内には攪拌機を設け、常にタンク内の溶液が均一になるようにした。この下部貯蔵槽から、ポンプとしてチューブポンプ(マスターフレックス社製L/S)を用いて100ml/minで衝突部材の内部へ定量送液した。衝突部材における円錐状衝突部と平板部との隙間の大きさは、0.5mmとした。
一方、超音速ジェットについては実施例1と同様にし、同様に18時間連続の粉砕運転を行った。粉砕開始前と作業終了後に、同様に電子顕微鏡にて観測した結果を図10に示す。循環粉砕により十分に微細化されていることが確認された。
(実施例3)
粉砕する固体粒子として、微小繊維状セルロースであるダイセルファインケム社製:セリッシュを用い、2質量%の含有液を調製し、実施例2と同様に分散してスラリーを得た。これを、実施例2と同様の手順で、6時間かけて微細化した。実施例2と同様に電子顕微鏡にて観測した結果を図11(a)に示す。十分に微細化されていることが確認された。また、スラリーを脱水して得られたセルロースナノファイバーについて、水滴を落としたところ、全体に浸透していった。この状況の写真を図11(b)に示す。
(実施例4)
実施例1で用いたセリッシュ(ダイセルファインケム社:セルロース)の2%水溶液500gに、シクロヘキサン500 mLとメチルハイドロジェンポリシロキサン(信越化学工業社製、KF-9901)100gと、さらに触媒としてトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン15質量%トルエン溶液(東ソーファインケム社製)5mLを添加した混合溶液を、図5の構成である粉砕装置と循環機構を備えた微粒子製造装置の下部貯蔵槽に供給した。すぐに激しく反応が始まり、粉砕装置において水素ガスの発生とともに、シクロヘキサンのミストが発生した。シクロヘキサンの飛散に伴い12分後および24分後にシクロヘキサンをそれぞれ500mL追加し、36分後に微粒子製造装置内での反応を終了し、スラリー状の溶液を取り出した。
そのスラリーに水150mLおよびシクロヘキサン800mLを追加して、空気下にてさらにメカニカルスターラーを用いて回転数700rpmで3時間攪拌した。その後、15分間静置した。その溶液の状態を図12に示す。下層の水層は、ほぼ透明で、上層のシクロヘキサン層に多量の疎水化CNF(セルロースナノファイバー)の存在が確認された。その上層の一部を抜き取りシクロヘキサンにて洗浄後、スライドガラス上に広げて60℃で30分真空乾燥後、水に対する表面接触角を測定したところ、112度を示し疎水化されたCNF(元はセリッシュ)を得た。その撥水状態を図13に示す。また、その表面の電子顕微鏡写真を図14に示す。
(実施例5)
実施例1で用いたセリッシュ(ダイセルファインケム社)の2%水溶液505gに、シリコーン(信越化学工業社製、KF-96L-2cs)501g、ドデシル変性メチルハイドロジェンポリシロキサン(信越化学工業社製、KF-99の半数のヒドロシリル基をドデシル基に置換し、半数のヒドロシリル基を残存させたメチルハイドロジェンポリシロキサン)207gと、さらに触媒としてトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン15質量%トルエン溶液(東ソーファインケム社製)5mLを混合した混合溶液を、図5の構成である粉砕装置と循環機構を備えた微粒子製造装置の下部貯蔵槽に供給した。すぐに激しく反応が始まり、粉砕装置において水素ガスの発生とともにシリコーンミストが発生した。その後、微粒子製造装置内での反応を1時間継続し反応を終了させた。得られたスラリー状の溶液を取り出したスラリーの画像を図15に示す。
そのスラリーの一部を試験管に抜き取り、シクロヘキサンと水を加えて激しく攪拌して放置すると、すぐに二層に分離し上部のシクロヘキサン層は疎水化されたセリッシュで白濁し、下層の水層は透明になった。この分離状態を図16に示す。次に、そのシクロヘキサン層を抜き取りスライドガラスに広げて60℃で30分真空乾燥後、電子顕微鏡写真を撮影した。その電子顕微鏡写真を図17に示す。その結果、ドデシル変性メチルハイドロジェンポリシロキサンによって修飾された疎水化セルロースナノファイバーが観測された。
(実施例6)
実施例3において製造したセルロースナノファイバーの2%水溶液3g、ヘキサン3 mL、メチルハイドロジェンポリシロキサン(信越化学工業社製、KF-9901)0.6gをナスフラスコに入れ室温で5分間攪拌した。その後、触媒としてトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン15質量%トルエン溶液(東ソーファインケム社製)0.8mLを加え、マグネチックスターラーで3時間激しく攪拌した。反応終了後、混合溶液へ5mLのヘキサンを加え水層洗浄する操作を5回繰り返した。得られたCNF分散溶液を,桐山ロートを用いて濾紙上で5分間減圧濾過した。この濾紙をナスフラスコに入れ,60℃にて4時間真空乾燥を行った。その後得られた修飾CNFを濾紙から剥がし,1mLシリンジにて水を1滴,滴下したところ,図18(a)(b)に示すような撥水性を確認した。その接触角は105度を示した。また、得られた修飾CNFの電子顕微鏡写真を図19に示す。
(実施例7)
実施例3において製造したセルロースナノファイバーの2%水溶液 3 g,ヘキサン 3 mL,ドデシル変性メチルハイドロジェンポリシロキサン(信越化学工業社製、KF-99の半数のヒドロシリル基をドデシル基に置換し、半数のヒドロシリル基を残存させたメチルハイドロジェンポリシロキサン)0.6 gをナスフラスコに入れ室温で5分間攪拌した。その後、触媒としてトリス(フルオロフェニル)ボラン15質量%トルエン溶液(東ソーファインケム社製)0.8 mLを加えマグネチックスターラーで3時間激しく攪拌した。反応終了後、混合溶液へ5mLのヘキサンを加え水層洗浄する操作を5回繰り返した。得られたCNF分散溶液を,桐山ロートを用いて濾紙上で5分間減圧濾過した。この濾紙をナスフラスコに入れ,60 ℃にて4時間真空乾燥を行った。その後得られた修飾CNFを濾紙から剥がし,1 mLシリンジにて水を1滴,滴下したところ,図20(a)(b)に示すような撥水性を確認した。その接触角は106度を示した。また、得られた修飾CNFの電子顕微鏡写真を図21に示す。
(小括)
この発明にかかる循環機構を備えた微粒子粉砕装置で修飾した実施例4のCNFの撥水性は、フラスコ内で修飾した実施例6、7のCNFに比べて、高い値を示すことが確認された。
(実施例8)
パルプ原料をコロイドミル(IKA社製ラボパイロット2000/04)により、ローター周速30m/sの条件で1時間かけて一旦砕いた後、さらに、実施例3と同様の条件で粉砕装置と循環機構を用いて20時間かけて粉砕した。同様に電子顕微鏡を用いて状況を観測した写真を図22に示す。元々が微細でないパルプ原料であっても、一旦コロイドミルなどでプレ粉砕を行った後に、この発明にかかる微粒子製造装置を用いることで、十分に微細化したセルロース材料を得ることができることが確認された。
(実施例9)
粉砕する固体粒子として、ナカライテスク社製キチン(C18H13NO5粉末)を用い、1質量%の水分散液であるスラリーを調製して、実施例1と同様の循環機構を備えた粉砕装置にて、6時間かけて粉砕を行った。粉砕前の電子顕微鏡写真を図23(a)に、粉砕後の電子顕微鏡写真を図23(b)に示す。キチンであっても同様に微細化が可能であることが確かめられた。
(実施例10)
固体粒子の原料として、甲陽ケミカル社製キトサン(SK-10)を用いた。この原料の2万倍の電子顕微鏡写真を図24(a)に示す。水と酢酸との混合溶液下で、CH2=CHCOOCH2CH2N(CH3)3 +Cl-による4級アンモニウム化反応を起こさせて、キトサンのNH基の一部に4級アンモニウム基を導入したキトサン誘導体を得た。これを中和し、透析した物について、2万倍の電子顕微鏡写真を図24(b)に示す。反応によりある程度の微細化は進んでいるが、平均繊維径は1μm程度であるが繊維径にムラがあり十分な微細化はされていない。この4級アンモニウム誘導体を含むスラリーを実施例1で用いた循環機構付き粉砕装置にて、3時間かけて粉砕した。その後の電子顕微鏡写真を図24(c)に示す。全体が均一に微細化していることが確認された。
1 (粉砕装置の)ケーシング
1a 粉砕装置
2 ガス供給口
3 超音速ノズル
3a 縮径部
3b スロート部
3c ダイバージェント部
4 粉砕室
5 衝突部材
5a 円錐状衝突部
5b 平板部
6 裾部
7 隙間
9 内周壁面
10 スラリー供給路
11 円錐固定部
12,12a 通過口
13 スラリー溜部
13a 等高部
13b 傾斜部
14 水平供給路
15 スラリー供給部
17 橋部
19 排出管
21、21a 下部貯蔵槽
23 攪拌機
24 攪拌翼
25 挿入孔
26 環流路
27 ポンプ
28 圧力計
31 循環口
32 サイクロン
33 循環配管
34 排出口
37 コンデンサー
38 ミストセパレータ
p 幅
q (スラリー供給路の)半径
r 裾部の半径
C 冷却水
G ガス
J 超音速ジェット
L 凝縮液
S スラリー
θ 中心角

Claims (5)

  1. 加圧した気体を超音速ノズルに供給して超音速に加速し、この加速された気流をケーシング内の衝突部材に衝突させることで、加速された気流中へ供給するスラリー状の固体粒子を粉砕して微粒子化する粉砕装置を備えた微粒子製造装置であって、
    上記衝突部材は、上記超音速ノズルの吹出口に向かって頂点が突き出た円錐状衝突部と、この円錐状衝突部の裾部から径方向に広がった平板部とを有し、
    上記円錐状衝突部の裾部と上記平板部との間には、全周に亘る隙間が設けてあり、
    上記固体粒子を含むスラリーを、上記衝突部材の内部から上記隙間を通って全周方向に供給可能である微粒子製造装置。
  2. 上記粉砕装置の上記衝突部材を有する粉砕室に繋がり上記スラリーを貯蔵する下部貯蔵槽を有し、上記衝突部材の周囲でアトマイズされたミスト由来の液滴を上記下部貯蔵槽へ回収可能であり、
    上記スラリーを上記下部貯蔵槽から上記衝突部材の内部へ供給する還流路を有し、
    上記粉砕装置と上記下部貯蔵槽との間に上記スラリーを、上記環流路を通じて循環させ、繰り返し上記固体粒子の粉砕を行うことができる請求項1に記載の微粒子製造装置。
  3. 請求項1又は2に記載の微粒子製造装置を用いて、上記固体粒子を粉砕する微粒子の製造方法。
  4. 請求項2に記載の微粒子製造装置を用い、上記スラリーに、微細化された上記固体粒子を変性させる反応添加物及び触媒を添加して循環させることで、上記スラリーに含まれる微粒子を変性させる変性微粒子の製造方法。
  5. 請求項2に記載の微粒子製造装置の構成を有し、
    上記スラリーに、微細化された上記固体粒子を変性させる反応添加物及び触媒を添加して、上記環流路を通じて循環させることで、
    上記衝突時、上記下部貯蔵槽での滞留時、又はその両方のときに、上記スラリーに含まれる微粒子を変性させる微粒子反応装置。
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