以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
図1乃至図3を参照して、本発明の実施の形態に係るゲート装置1を説明する。図1は、ゲート装置1の概略構成を示す斜視図である。図2は、ゲート装置1の退場側入口TEの側から見た正面図である。図3は、ゲート装置1の一態様である主機1Aの概略構成を示す側面図である。本実施の形態では、主機1Aと、ゲート装置1の別の態様である従機1Bと、の2台のゲート装置1が協働して1つのゲートGを形成している。ゲートGは、通過体としての通行者Mの通過の可否に応じて開閉する入退場口となっている。通行者Mは、本実施の形態では、ゲートGの通行の可否が判断される管理対象者となっている。通行者MがゲートGの通行を許可された者であるか否かは、本実施の形態では、通行者Mが所持している非接触型ICカードC(以下、単に「カードC」という。)に記録されている情報に基づいて判断される。カードCは、ゲートGの通過の可否に関する情報が記録された記録媒体として機能する。このようなゲートGは、好適には、商用ビル、図書館、大学、交通機関等に設置される。
まず、主機1Aの構成を説明する。主機1Aは、ゲートGの通路Wを形成するように空間を区画する仕切部材10と、仕切部材10を支持する筐体21と、光を出射する発光装置31と、カードCと無線通信する認証器41と、通行者MによるゲートGの通過を検知する検知部45と、通路Wを遮断可能な扉51と、主機1Aの動作を制御する制御部60とを備えている。
仕切部材10は、本実施の形態では、透過発光板11と、区画板16とを有している。透過発光板11は、光透過性を有する板状部材で形成されており、光透過性板状部材に相当する。ここで、光透過性を有するとは、透明(透過率が極めて高く物質を通してその向こう側が透けて見える状態の性質)及び透光性(透明と同様に光が透過する性質を有しているが、透過する光が拡散されるため、又は透過率が低いために、透明と違ってその材質を通して向こう側の形状等を明確に又はまったく認識できない状態の性質)の総称である。透過発光板11は、本実施の形態では、主機1Aを極力目立たないようにして周辺の景観を損なわないようにする観点から、透明アクリル樹脂で形成されている。
透過発光板11は、表面15の基本形状が概ね台形状に形成されている。透過発光板11の概ね台形状の表面15の形状は、上辺14a及び下辺14bが一組の平行な対辺を構成している。本実施の形態では、上辺14aは、下辺14bよりも長くなっている。概ね台形状の表面15の形状の、上辺14a及び下辺14bの間に存在する別の一組の対辺のうち、入場側入口NEの側に配置される方の透過発光板11の端面を入口端面12といい、入口端面12に対向する方の端面を入光端面13ということとする。入口端面12は、入場側入口NEに面している。透過発光板11は、表面15の概ね台形状の、一組の平行な対辺のうちの下辺14bと入光端面13とが交差する角部が、長方形状に切り欠かれている。この長方形に切り欠かれる前の台形で見たときに、入光端面13は、上辺14a及び下辺14bに直交している。
透過発光板11は、ゲートGとしての機能を効果的にする観点から、標準的な成人が容易に跨ぐことができない高さに形成されていることが好ましく、本実施の形態では高さが1m程度となっている。また、透過発光板11の厚さは、強度と軽量化とを勘案して適宜決定するとよい。透過発光板11は、表面15の垂線が水平となり、上辺14aが上、下辺14bが下で、上辺14a及び下辺14bが水平になるように、配置されている。したがって、入口端面12は、上方から下方に行くに連れて、入光端面13に近づくように斜めに延びている。
区画板16は、板状の部材で形成されており、本実施の形態では、透過発光板11と同様に、主機1Aを極力目立たないようにして周辺の景観を損なわないようにする観点から、透明アクリル樹脂で形成されている。このように、区画板16は、透過発光板11と同じ材料で形成されたものであるが、後述するように、透過発光板11が入口端面12を光らせることを予定しているのに対し、区画板16は端面を光らせる予定がないという機能上の相違に鑑みて、透過発光板11と区画板16とを区別することとしている。区画板16は、本実施の形態では、透過発光板11と同じ厚さに形成されている。区画板16は、表面の基本形状が概ね台形状に形成されている。区画板16は、一組の平行な対辺が鉛直上下になるように配置されている。区画板16の概ね台形状の、一組の平行な対辺の間に存在する別の一組の対辺のうち、一方の辺である垂直辺16spは一組の平行な対辺の双方に対して垂直になっており、他方の辺である傾斜辺16sdは斜めになっている。区画板16は、垂直辺16spが透過発光板11の入光端面13に隣接しつつ、区画板16の表面が透過発光板11の表面15と面一になるように配置されている。
透過発光板11の入光端面13と区画板16の垂直辺16spとの間には、中間支持部材29が設けられている。中間支持部材29は、仕切部材10を補強する機能を有していると共に、透過発光板11及び区画板16を含む仕切部材10の組立性の向上に寄与している。中間支持部材29は、水平断面が矩形に形成された中空の角筒状に形成されている。中間支持部材29は、鉛直上下に細長くなるように配置され、入光端面13及び垂直辺16spを挟み込んで支持している。中間支持部材29は、典型的には透明ではない材料で形成されており、本実施の形態では金属材料で形成されている。中間支持部材29は、極力周辺の景観を損なわないようにする観点から、極力小型に形成されていることが好ましい。
筐体21は、ベース部22と、上部24と、筐体中間部26(以下、単に「中間部26」という。)とを有している。ベース部22は、筐体21の最下部に設けられる部分である。ベース部22は、ゲートGの通路Wが形成される床に固定されている。ベース部22は、細長い厚板状に形成されており、透過発光板11及び区画板16の厚さに相当する溝が上面に形成されている。ベース部22は、上面に形成された溝に透過発光板11の下辺14b及び区画板16の下端を嵌め込むことで、透過発光板11及び区画板16(仕切部材10)を支持しており、下端支持部材に相当する。ベース部22は、仕切部材10や扉51等の荷重に耐えることができるように、本実施の形態では金属で形成されている。また、ベース部22には、長手方向(通路Wが延びる方向)の中央部に、発光装置31の一部を収納すると共に扉51の回転軸53を駆動する駆動装置55を収納する収納部23が設けられている。収納部23は、中間支持部材29の下方で、透過発光板11の切り欠かれた長方形状の部分に設けられている。
上部24は、透過発光板11及び区画板16の上端に取り付けられている。上部24には、認証器41と検知部45とが組み込まれている。上部24は、極力周辺の景観を損なわないようにする観点から、認証器41及び検知部45を組み込むことができる範囲内で極力小さく形成されており、本実施の形態では細長い厚板状に形成されている。また、外観重視(意匠性重視)の観点から、上部24の上面を平面状として、ゲート装置1の高さを抑えている。このため、本実施の形態では、上部24に、認証器41及び検知部45以外の機器の収納スペースを確保するのが困難になっている。上部24は、透過発光板11及び区画板16の厚さに相当する溝が下面に形成されている。上部24は、下面に形成された溝に透過発光板11の上辺14a及び区画板16の上端を嵌め込むことで、透過発光板11及び区画板16(仕切部材10)を支持しており、上端支持部材に相当する。上部24の天板などは、軽量化の観点から、本実施の形態では合成樹脂で形成されている。
中間部26は、退場側入口TEの側の端部で、ベース部22と上部24とを繋ぐように設けられている。すなわち、退場側入口TEの側の仕切部材10の端部に、換言すれば、中間支持部材29が配置されている側とは反対側の区画板16の端部に、中間部26が設けられている。このように、本実施の形態では、中間部26は、透過発光板11の入口端面12の側には設けられておらず、筐体21は通路Wが延びる方向に非対称に構成されている。中間部26は、制御部60等の機器を収納することができるように、上部24よりも内部の空間が広く形成されている。このように、中間部26は、比較的大きく形成されているため、極力周辺の景観を損なわないようにする観点から、本実施の形態では、入口端面12の側には設けずに、退場側入口TEの側の仕切部材10の端部に設けることとしている。
発光装置31は、入口端面12を光らせるための光を出射する装置である。発光装置31は、本実施の形態ではLEDが用いられている。発光装置31としてLEDを採用すると、LEDは小型で消費電力が少ないので発光装置31及び電源(不図示)の設置スペースが小さくて済み、収納スペースが小さいゲート装置1に有利であると共に、発光色を適宜変えることができるという利点がある。発光装置31は、入口端面12に対向する端面、すなわち入光端面13に沿って配置されている。発光装置31は、入口端面12に向けて光が照射される向きで、入光端面13に沿って配置されている。なお、本実施の形態では、入光端面13が中間支持部材29及び収納部23の内部に存在しているため、発光装置31は中間支持部材29及び収納部23の内部に配置されている。
認証器41は、カードCと通信する機器である。認証器41は、カードCに記録された情報を読み取ると共にカードCに対して情報を書き込むICカードリーダライタで構成されている。認証器41が行う情報の書き込みは、新たな情報を追加することの他、既存の情報を新たな情報に書き換える上書きすることを含む。認証器41は、筐体21の上部24の、入場側入口NEの側の端部に配置されている。また、認証器41は、カードCに対して無線通信可能な距離が限られているため、カードCを翳す目安となる場所を表示する案内部42を有している。案内部42は、筐体21の上部24の上表面に表されたマーク(しるし)で構成されている。案内部42は、所定の条件のときに入口端面12と同期して光るように構成されている。ここで、所定の条件は、典型的には、通行者M(カードCとの通信)を待機している状態である。認証器41は、案内部42の他に、通行者Mが必要な動作を音声で案内する音声部(不図示)を有していてもよい。なお、上部24の入場側入口NEの側の端部(認証器41を設置しようとする場所)にスペースの制約がある場合は、少なくとも認証器41のアンテナが上部24の入場側入口NEの側の端部に配置されていればよく、アンテナ以外の認証器41の構成を別の場所(例えば制御部60の収納場所)に配置してもよい。
検知部45は、通路Wを通る通行者Mを検知する機器である。検知部45は、筐体21の上部24の、通路W上の空間の側の側面に設けられている。また、検知部45は、扉51に対して、入場側入口NEの側及び退場側入口TEの側の双方に設けられている。検知部45は、典型的には赤外線や超音波を用いた人感センサで構成されている。
扉51は、通路W上の空間を遮る部材である。扉51は、本実施の形態では、極力目立たないようにして周辺の景観を損なわないようにする観点から、板状の透明アクリル樹脂で形成されている。扉51は、側面の1つが、鉛直に延びた棒状の回転軸53に、扉取付部52を介して固定されている。扉取付部52の内部には、回転軸53に隣接する扉51の端面から、その対向する端面に向けて光を入射させる不図示の光源(典型的にはLED)が設けられている。光源(不図示)から発せられた光は、回転軸53とは反対側の扉51の端辺を光らせる。これにより、透明アクリル樹脂で形成された扉51の存在を、通行者Mに認識させることができる。扉51は、典型的には、所定の条件のときに入口端面12と同期して光るように構成されている。ここで、所定の条件は、典型的には案内部42における所定の条件と同じである。所定の条件以外のときは、入口端面12とは別の態様で光らせるようにしてもよい。回転軸53は、下端に取り付けられた駆動装置55によって、軸線回りに回転することができるように構成されている。駆動装置55は、収納部23に収納されている。回転軸53は、中間支持部材29に沿って配置されている。回転軸53の上端は、筐体21の上部24に設けられた軸受け部24tに、回転可能に支持されている。扉51の高さ寸法は、本実施の形態では、概ね筐体21の高さ寸法と同じに構成されているが、ゲートGを通過する予定の通行者Mの特徴等を勘案して適宜決定することができる。扉51は、通路Wの床から浮かせて取り付けられているため、扉51の最高点は筐体21の最高点よりも高くなっている。この構成により、乗り越え防止効果を高めている。扉51の幅は、従機1Bと協働してゲートGを形成する主機1Aでは、通路Wの幅の概ね半分の長さに形成されている。扉51の幅が通路Wの幅の概ね半分に形成されていることにより、概ね通路Wの幅と同じに形成されている場合に比べて扉51を回転させる際の駆動装置55の負荷を低減することができる。
制御部60は、本実施の形態では、筐体21の中間部26内に収納されている。制御部60は、発光装置31、認証器41(案内部42を含む)、検知部45、扉51の光源(不図示)、駆動装置55及び従機1Bのそれぞれに対して電気的に接続されており、制御信号を受信及び/又は送信することができるように構成されている。より詳細には、制御部60は、発光装置31が出射する光の色や点灯時間等の発光態様を制御することができるように構成されている。また、制御部60は、認証器41で読み取ったカードCの情報に基づいてそのカードCを翳した通行者MのゲートG通過の可否を判断すると共に、判断した結果を認証器41に送信することができるように構成されている。また、制御部60は、案内部42及び扉51の光源の発光態様(光の色や点灯時間等)を制御することができるように構成されている。また、制御部60は、検知部45で通行者Mが検知されたか否かを受信することができるように構成されている。また、制御部60は、認証器41で読み取った情報の判定結果に基づいて駆動装置55を駆動させて扉51を開け閉めすることができるように構成されている。また、制御部60には、発光装置31、案内部42、及び扉51の光源の、ゲート装置1の状態に応じた発光態様が記憶されている。また、制御部60は、従機1Bの制御部60と接続されており、従機1Bの動作と同期させることができるように構成されている。また、制御部60は、ゲート装置1をシステムとして管理するホストコンピュータ等の上位装置(不図示)と通信部(不図示)を介して接続されている。
次に、従機1Bの構成を説明する。従機1Bは、概ね主機1Aと同様に構成されているが、以下の点で主機1Aとは異なっている。従機1Bは、認証器41が、筐体21の上部24に配置されている点は主機1Aと同様であるが、主機1Aが入場側入口NEの側の端部に配置されているのに対し、従機1Bでは退場側入口TEの側の端部に配置されている点で主機1Aとは異なっている。また、従機1Bは、筐体21の中間部26の退場側入口TEの側に面する部分に、退場側発光部27(図2参照)が設けられている点で主機1Aとは異なっている。退場側発光部27は、中間部26の当該箇所が、入口端面12と同様の大きさで上下に細長く切り欠かれることで形成されている。退場側発光部27の光源は、典型的にはLEDが用いられており、中間部26の内部に収容されている。退場側発光部27の光源は、制御部60と電気的に接続されており、制御部60からの指令信号を受信して発光態様を制御することができるように構成されている。なお、ホストコンピュータ等の上位装置(不図示)との通信が主機1Aを介して行われる場合は、通信部(不図示)を省略すると共に上位装置(不図示)と接続されていなくてもよい。従機1Bの上記以外の構成は、主機1Aと同様である。
主機1Aと従機1Bとは、それぞれのベース部22が、通路Wの幅をあけて平行になるようにして、床に固定されている。換言すれば、通路Wの幅は、主機1Aと従機1Bとの間隔を調節することで適宜決定することができる。主機1A及び従機1Bは、それぞれの入口端面12が入場側入口NEの側に面し、それぞれの中間部26が退場側入口TEの側に面するように配置されている。また、主機1A及び従機1Bは、入場側入口NEの側から見て右側が主機1Aで左側が従機1Bに、換言すれば退場側入口TEの側から見て左側が主機1Aで右側が従機1Bになるように配置されている。このように配置されていると、認証器41に対して通行者Mが右手で持ったカードCを翳すのに便利となる。
引き続き図1乃至図3を参照して、ゲート装置1(本実施の形態では主機1A及び従機1B)の作用を説明する。以下の説明において、主機1Aの構成部材と従機1Bの構成部材とを区別する必要がある場合は、主機1Aの構成部材には接頭語「主」を付すと共に符号の末尾に欧文字「A」を付し、従機1Bの構成部材には接頭語「従」を付すと共に符号の末尾に欧文字「B」を付すこととする。また、特に言及がない場合は、主機1A及び従機1Bそれぞれの構成部材が同じ動作をするものとする。
ゲート装置1は、通行者Mの通行がない場合、通行者Mの通過を待機する状態となっている。待機状態では、扉51は閉じた状態(通路Wを遮った状態)となっている。また、待機状態では、発光装置31から青色の光が出射されている。発光装置31から出射された光は、透過発光板11内を全反射により伝搬し、入口端面12において発光して、入口端面12全体が青色に点灯する。このように入口端面12が発光することで、周囲の景観に溶け込んで認識しにくい透過発光板11の存在を通行者Mに認知させることができ、通行者Mに入場側入口NEの場所を明示することができる。また、待機状態では、従機1Bの退場側発光部27が青色に点灯している。入口端面12が青色に点灯していることにより、入場側入口NEからの進入が可能な状態であることを示し、退場側発光部27が青色に点灯していることにより、退場側入口TEからの進入が可能な状態であることを示している。このように、発光する入口端面12は、通行者Mに対して、入場側入口NEの場所を明示するだけでなく、入場の可否やゲート装置1の状態を分かりやすく示すこともできる。このことを別の視点から見れば、入場の可否やゲート装置1の状態を表示する表示手段を筐体21の上部に設置することが周囲の景観を損なう等の理由で制限される場合に、発光する入口端面12によって周囲の景観を損なわせずに表示手段の機能を実現することができるといえる。また、待機状態では、案内部42と、回転軸53とは反対側の扉51の端辺とが、青色に明滅している。案内部42が明滅することで、通行者MにカードCを翳す場所を明示することができる。回転軸53とは反対側の扉51の端辺が明滅することで、透明アクリル樹脂で形成されて目立たない扉51の存在を、極力周辺の景観を損なわないようにしつつ通行者Mに認識させることができ、通行者Mが意図せずに扉51に衝突してしまうことを抑制することができる。
ゲート装置1が待機状態のときに、通行者Mが入場側入口NEからゲートGに入ろうとして主案内部42AにカードCを翳すと、主認証器41Aは、翳されたカードCに記録されている情報を読み取る。このとき、主認証器41Aは、情報を読み取った旨を知らせる「ピッ」という電子音が鳴ることとしてもよい。主認証器41Aは、カードCから読み取った情報を信号として主制御部60Aに送信する。主制御部60Aは、主認証器41Aから受信した情報に基づいて、そのカードCを翳した通行者Mが入場を許可された者か否かを判断する。
主制御部60Aは、通行者Mが入場を許可された者ではないと判断した場合、ゲート装置1を以下のように作動させる。扉51については、閉じた状態(通路Wを遮った状態)を維持する。主案内部42Aについては、最大明るさの赤色で点滅させる。主案内部42Aが赤色で点滅していることにより、主認証器41Aで読み取ったカードCの判定結果としてゲートGの通行を許可できないことを示している。従案内部42Bについては、完全消灯させる。従案内部42Bが消灯していることにより、従認証器41BではカードCとの通信を行うことができない状態であることを示している。主機1A及び従機1B双方の入口端面12については、青色に点灯させる。入口端面12が青色に点灯していることにより、入場が許可されなかった通行者Mが入場側入口NEへ戻ることができると共に、入場側入口NEからの進入が可能であることを示している。退場側発光部27については、赤色に点灯させる。退場側発光部27が赤色に点灯していることにより、退場側入口TEからの進入ができないことを示している。なお、閉じた扉51を赤色に点灯させてもよい。制御部60は、上述の状態を、別のカードCが主案内部42Aに翳されるまで、あるいは、通路Wに進入した通行者Mが入場側入口NEから通路Wの外に出たことを検知部45が検知するまで維持する。
主制御部60Aは、通行者Mが入場を許可された者であると判断した場合、ゲート装置1を以下のように作動させる。なお、主制御部60Aは、必要に応じて、主認証器41Aを介してカードCに情報を書き込むこととしてもよい。主案内部42Aについては、青色で1回点灯させる。1回点灯は、数秒間(典型的には2〜3秒)点灯した後に消灯した状態を維持するものである。主案内部42Aが青色で点灯することにより、主認証器41Aで読み取ったカードCの判定結果としてゲートGの通行を許可することを示しつつ、その後消灯することで主認証器41AではカードCとの通信を行うことができない状態であることを示している。従案内部42Bについては、完全消灯させる。従案内部42Bが消灯していることにより、従認証器41BではカードCとの通信を行うことができない状態であることを示している。主機1A及び従機1B双方の入口端面12については、青色に点灯させる。入口端面12が青色に点灯していることにより、ゲートGの通行を許可することを示している。退場側発光部27については、赤色に点灯させる。退場側発光部27が赤色に点灯していることにより、退場側入口TEからの進入ができないことを示している。また、制御部60は、駆動装置55を作動させることで扉51を退場側入口TEの方向に回動させて、扉51を開いた状態(通路Wを遮っていない状態)にする。
扉51が開いた状態になったら、主制御部60Aは、ゲート装置1を以下のように作動させる。主案内部42Aについては、消灯させる。主案内部42Aが消灯することにより、主認証器41Aでは次の通行者MのカードCとの通信を行うことができない状態であることを示している。従案内部42Bについては、完全消灯を継続する。主機1A及び従機1B双方の入口端面12については、赤色に点灯させる。入口端面12が赤色に点灯していることにより、入場側入口NEから次の通行者Mが進入できないことを示している。退場側発光部27については、赤色の点灯を継続する。制御部60は、上述の状態を、所定の時間が経過するまで、あるいは、通行者Mが通路Wの外に出たことを検知部45が検知するまで維持する。制御部60は、扉51が開いた状態になってから所定の時間が経過したときに通行者Mが通路W内にいない場合、あるいは所定時間が経過した後で通行者Mが通路Wの外に出た場合に、前述した待機状態に、ゲート装置1を作動させる。
次に、通行者Mが退場側入口TEからゲートGに入る場合のゲート装置1の作用を説明する。ゲート装置1が待機状態のときに、通行者Mが退場側入口TEからゲートGに入ろうとして従案内部42BにカードCを翳すと、従認証器41Bは、翳されたカードCに記録されている情報を読み取り、読み取った情報を信号として従制御部60Bに送信する。従制御部60Bは、従認証器41Bから受信した情報に基づいて、そのカードCを翳した通行者Mが退場を許可された者か否かを判断する。従制御部60Bは、通行者Mが退場を許可された者ではないと判断した場合、扉51については閉じた状態(通路Wを遮った状態)を維持し、従案内部42Bについては最大明るさの赤色で点滅させ、主案内部42Aについては完全消灯させ、退場側発光部27については青色に点灯させ、入口端面12については赤色に点灯させる。各部における発光した色及び消灯の意味は、前述の、入場側入口NEからゲートGに入ろうとした通行者Mが入場を許可されなかった場合に準ずる。制御部60は、上述の状態を、別のカードCが従案内部42Bに翳されるまで、あるいは、通路Wに進入した通行者Mが退場側入口TEから通路Wの外に出たことを検知部45が検知するまで維持する。
従制御部60Bは、通行者Mが退場を許可された者であると判断した場合、まず、従案内部42Bについては青色で1回点灯させ、主案内部42Aについては完全消灯させ、退場側発光部27については青色に点灯させ、入口端面12については赤色に点灯させ、同時に、制御部60は、駆動装置55を作動させることで扉51を入場側入口NEの方向に回動させて、扉51を開いた状態(通路Wを遮っていない状態)にする。その後、従制御部60Bは、従案内部42Bについては消灯させ、主案内部42Aについては完全消灯を継続し、退場側発光部27については赤色に点灯させ、入口端面12については赤色の点灯を継続する。各部における発光した色及び消灯の意味は、入場側入口NEからゲートGに入ろうとした通行者Mが入場を許可された場合に準ずる。制御部60は、上述の状態を、所定の時間が経過するまで、あるいは、通行者Mが通路Wの外に出たことを検知部45が検知するまで維持する。制御部60は、扉51が開いた状態になってから所定の時間が経過したときに通行者Mが通路W内にいない場合、あるいは所定時間が経過した後で通行者Mが通路Wの外に出た場合に、前述した待機状態に、ゲート装置1を作動させる。
なお、ゲート装置1に異常が発生した場合、制御部60(主制御部60A及び従制御部60B)は、ホストコンピュータ等の上位装置(不図示)からの指令あるいは手動操作による指令を受けて、案内部42(主案内部42A及び従案内部42B)については消灯させて、カードCとの通信を行うことができない状態であることを示し、入口端面12及び退場側発光部27については赤色に点灯させて、入場側入口NE及び退場側入口TE双方からの進入ができないことを示す。このとき、扉51は閉じた状態(通路Wを遮った状態)にして、通行者MがゲートGを通過できないようにする。また、災害等が発生した場合、入口端面12については赤色に点灯させ、退場側発光部27については青色に点灯させ、扉51を開放状態にして、通行者MがゲートGを通過して退出するように案内することもできる。
以上で説明したように、本実施の形態に係るゲート装置1によれば、仕切部材10が光透過性を有する板状部材で形成されているので、周辺の景観が損なわれることを抑制することができ、入口端面12を光らせることで、周囲の景観に溶け込んで認識しにくい透過発光板11の存在を通行者Mに認知させることができる。また、筐体21を、退場側入口TEの側の仕切部材10の端部に中間部26を設け、通路Wが延びる方向に非対称に構成することで、入場側入口NEの側の景観が損なわれることを抑制しつつ、制御部60等の機器を収納するスペースを確保することができる。
なお、図4に示すように、表面15に面発光部15pが設けられた透過発光板11Aを、透過発光板11(図3参照)に代えてゲート装置1に採用してもよい。図4は、変形例に係る透過発光板11Aの側面図である。面発光部15pは、表面15の任意の部分に、面発光加工が施されて形成されている。面発光加工の例として、表面15にメンディングテープを貼付することや、表面15をブラスト加工すること等が挙げられる。面発光部15pは、透明アクリル樹脂のつやが失われ、つや消しとなっている。面発光部15pが形成された透過発光板11Aでは、発光装置31から出射されて入光端面13から入った光が、透過発光板11A内を全反射により伝搬する際に、面発光部15pに侵入したものがそこで乱反射することで面発光部15pを光らせると共に、入口端面12に到達したものがそこで発光する。このように、透過発光板11Aによれば、入口端面12と面発光部15pとを光らせることができ、極力周囲の景観を損なわないように目立たないように設置されている中で、光を認識できる範囲を拡大させることができて、通行者Mによる透過発光板11への衝突を防ぐ効果を高めることができる。面発光部15pとしてメッセージ性のある表示をした場合は、宣伝効果を期待することもできる。なお、面発光部15pは、表面15の一部のみならず、表面15全体に形成されていてもよい。
また、図5に示すように、主機1A及び/又は従機1Bに、補強部材としての補強棒39を設けてもよい。補強棒39は、典型的には、クロームめっきが施された丸棒、又はステンレス丸棒が用いられる。クロームめっきが施された丸棒は、鏡面反射するように構成されている。ステンレス丸棒は、光を散乱させるように構成されている。補強棒39は、透過発光板11の入口端面12の近傍に、入口端面12に沿って配置され、両端がそれぞれ筐体21のベース部22及び上部24に支持されている。入口端面の近傍とは、補強の目的を達成できると共に散乱光が実用的な照度を有する近さである。補強棒39が設けられていると、筐体21がなく比較的強度が低い入口端面12を補強することができ、外部からの衝撃(例えば台車等の衝突)から入口端面12を保護することができると共に、入口端面12から放たれた光が補強棒39の表面で反射して周囲に放射されるので、通行者Mに入場側入口NEの場所を明示することができる。なお、図5に示す例示では、1つのゲート装置1につき補強棒39が1つ設置されているが、1つのゲート装置1につき複数の補強棒39が設置されていてもよい。特に入口端面12を挟むように補強棒39を2本設置すると、入口端面12の保護を強化することができると共に、光を反射、散乱する補強棒39の間から発光する入口端面12が見えるようになり、ゲートGの入り口を目立たせる効果を高めることができる。仮に、補強棒39の存在によって、入場側入口NEから入口端面12が見えにくい場合であっても、ゲートGに侵入した通行者Mに対しては、入口端面12の視認に補強棒39が邪魔にならず、入場の可否やゲート装置1の状態を表示する案内として入口端面12は有用である。
以上の説明では、主機1A及び従機1Bの2台のゲート装置1が協働して1つのゲートGを形成しているとしてが、主機1A1台を壁際に設置して壁と主機1Aとで1つのゲートGを形成することとしてもよく、あるいは、図6に示すように、主機1Aと従機1Bとの間に共機1Cを追加して、複数のゲートGを構成することとしてもよい。共機1Cは、主機1Aと比較して、以下の点が異なっている。共機1Cは、案内部42を含む認証器41が、筐体21の上部24の、入場側入口NEの側の端部のみならず、従機1Bと同様に退場側入口TEの側の端部にも設けられている。また、筐体21の中間部26には、従機1Bと同様に、退場側入口TEの側に面する部分に退場側発光部27が設けられている。また、筐体21の上部24には、軸受け部24tが両側面に合計2箇所設けられており、回転軸53、扉取付部52、扉51、駆動装置55も、それぞれ、仕切部材10の両側に合計2箇所設けられている。また、検知部45も、筐体21の上部24の両側面に設けられている。共機1Cの上記以外の構成は、主機1Aと同様である。共機1Cは、待機状態のときは主機1A及び従機1Bと同様に作動し、入場側入口NEの側の案内部42にカードCが翳された場合は主機1Aと同様に作動し、退場側入口TEの側の案内部42にカードCが翳された場合は従機1Bと同様に作動する。主機1Aと従機1Bとの間に設置する共機1Cは、図6に例示するような1台のみならず、複数台であってもよい。共機1Cを1台設置した場合は2つのゲートGができ、共機1Cを2台設置した場合は3つのゲートGができ、共機1Cをn台設置した場合は(n+1)個のゲートGができる。
以上の説明では、通過体が通行者Mであるとしたが、搬送ロボット等の機械体でもよく、人間以外の動物であってもよい。
以上の説明では、仕切部材10が、透過発光板11と区画板16とを有しているとしたが、区画板16に代えて、全体が透過発光板11で構成されていてもよい。この場合、発光装置31を筐体21(中間部26)の内部に設けるとよい。あるいは、仕切部材10は、透過発光板11及び区画板16に加えて他の板状部材や枠体等を有していてもよい。
以上の説明では、入場側入口NEの端部には筐体21が設けられずに退場側入口TEの端部に筐体21の中間部26が設けられることとしたが、設置方向を逆にして、退場側入口TEの端部には筐体21が設けられずに入場側入口NEの端部に筐体21の中間部26が設けられることとしてもよい。この場合、少なくとも退場側入口TEの側に透過発光板11を設置して、退場側の入口端面12を光らせることができる。
以上の説明では、入場側入口NEの端部には筐体21が設けられずに退場側入口TEの端部に筐体21の中間部26が設けられることで、通路Wが延びる方向に筐体21が非対称に構成されているとしたが、中間部26を省略して退場側入口TEの端部にも筐体21を設けないこととしてもよい。この場合、区画板16に代えて透過発光板11を設けること、すなわち、中間支持部材29から見て入場側入口NEの側及び退場側入口TEの側の双方に透過発光板11を設けることとしてもよく、中間支持部材29の内部に設置した発光装置31から双方に光を出射して入場側の入口端面12及び退場側の入口端面12の双方を光らせるようにしてもよい。
以上の説明では、透過発光板11が透明アクリル樹脂で形成されていることとしたが、透明ガラスで形成されていてもよく、透明ではなく半透明の樹脂又はガラスで形成されていてもよい。
以上の説明では、区画板16が光透過性を有する材料で形成されているとしたが、光透過性を有さない部材で形成されていてもよい。しかしながら、周囲の景観を極力損なわせず、また、透過発光板11との調和を図る観点から、光透過性を有する部材で形成されていることが好ましく、透明な材料で形成されていることがより好ましい。
以上の説明では、認証器41がカードリーダライタで構成されているとしたが、顔認証装置や指紋認証装置等の、カードリーダライタ以外の装置で構成されていてもよい。また、認証が不要な場合は認証器41を設けなくてもよい。