JP6897797B2 - 質量分析データ取得方法 - Google Patents

質量分析データ取得方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6897797B2
JP6897797B2 JP2019560792A JP2019560792A JP6897797B2 JP 6897797 B2 JP6897797 B2 JP 6897797B2 JP 2019560792 A JP2019560792 A JP 2019560792A JP 2019560792 A JP2019560792 A JP 2019560792A JP 6897797 B2 JP6897797 B2 JP 6897797B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
ions
data acquisition
acquisition method
charge ratio
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019560792A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020519870A (ja
Inventor
ユンチン ホアン
ユンチン ホアン
ウェンジャン スン
ウェンジャン スン
シャオチィアン チャン
シャオチィアン チャン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimadzu Corp
Original Assignee
Shimadzu Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimadzu Corp filed Critical Shimadzu Corp
Publication of JP2020519870A publication Critical patent/JP2020519870A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6897797B2 publication Critical patent/JP6897797B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J49/00Particle spectrometers or separator tubes
    • H01J49/26Mass spectrometers or separator tubes
    • H01J49/34Dynamic spectrometers
    • H01J49/40Time-of-flight spectrometers
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J49/00Particle spectrometers or separator tubes
    • H01J49/0027Methods for using particle spectrometers
    • H01J49/0031Step by step routines describing the use of the apparatus
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J49/00Particle spectrometers or separator tubes
    • H01J49/004Combinations of spectrometers, tandem spectrometers, e.g. MS/MS, MSn
    • H01J49/0045Combinations of spectrometers, tandem spectrometers, e.g. MS/MS, MSn characterised by the fragmentation or other specific reaction
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J49/00Particle spectrometers or separator tubes
    • H01J49/02Details
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J49/00Particle spectrometers or separator tubes
    • H01J49/26Mass spectrometers or separator tubes
    • H01J49/34Dynamic spectrometers
    • H01J49/42Stability-of-path spectrometers, e.g. monopole, quadrupole, multipole, farvitrons
    • H01J49/426Methods for controlling ions
    • H01J49/427Ejection and selection methods

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Other Investigation Or Analysis Of Materials By Electrical Means (AREA)
  • Electron Tubes For Measurement (AREA)

Description

本発明は、質量分析データ取得の分野、特に、高いイオンデューティサイクルを有し、プロダクトイオンのイオン電流クロマトグラムを使用することによって定量的解析を実施し得る質量分析データ取得方法に関する。
高感度および優れた選択性という特徴のために、質量分析装置は複雑な試料の分析に広く適用されてきた。特に、エレクトロスプレーイオン化に代表されるソフトイオン化技術が発明されて以来、質量分析装置は有機化合物の分析においてより広く適用されている。
質量分析装置によって定性的および定量的に分析することができる一般的な有機化合物には、タンパク質、ポリペプチド、代謝産物、医薬品、麻薬、農薬などが含まれる。複雑な試料には膨大な数の物質が含まれているため、高分解能質量分析装置とタンデム質量分析装置は、それらの高い解析能力のためにますます使用されている。
高分解能質量分析とタンデム質量分析の両方の利点を活かして、高分解能タンデム質量分析技術はすべての質量分析装置の中で最も高い解析能力を備える。一例として、LC−MS分析中、プロダクトイオンのイオン電流クロマトグラムは、より高いシグナル/ノイズ比およびより良好な耐不純物干渉性を有し、一方、プロダクトイオンのスペクトルは、被分析物の構造解析のための有効な参考情報を提供し得る。現在、一般的な高分解能タンデム質量分析には、タンデム四重極飛行時間型(QTOF)質量分析、タンデムイオントラップ飛行時間型(IT−TOF)質量分析、タンデム四重極オービトラップ質量分析、タンデムイオントラップオービトラップ質量分析などが含まれる。
オミックス研究は、生物の動作原理の理解を大いに高め、したがって新たな医療スキームおよび新しい薬剤の開発を促進し得る。現在、オミックス解析は主にゲノム解析、プロテオーム解析およびメタボローム解析を含み、ゲノム解析は主に遺伝子配列決定法に依存し、プロテオーム解析およびメタボローム解析は共に、解析能力の高い質量分析法に依存する。
質量分析装置の分解能およびタンデム質量分析において急速な進歩が達成されてきたが、質量分析装置は、オミックス解析において膨大な数の物質に直面したとき、依然としてすべての困難を克服することはできない。複雑な試料では、質量分析装置のデータ取得戦略を改善することが非常に重要である。プロテオーム解析におけるポリペプチドの適用範囲を増加させるために、Ducretらは1998年にデータ依存型取得スキームを提案した(非特許文献1)。このスキームは以下の工程を含む:1)コリジョンセルを低衝突エネルギーモードで動作させて、タンデム四重極飛行時間型質量分析装置の前段質量分析器では質量選択を行わず、飛行時間型質量分析器では目的質量範囲内でプリカーサイオンをスキャンする;2)プリカーサイオンスキャン工程で測定されたプリカーサイオン情報に従って、最も高い存在率を有するいくつかのプリカーサイオンの質量電荷比チャネルが、候補イオン質量電荷比チャネルとされる;1つの質量電荷比チャネル内のプリカーサイオンがコリジョンセルの前段にある四重極質量分析器によって毎回選択され、コリジョンセルに送り込まれる;コリジョンセルを高断片化エネルギーモードで動作させて、プリカーサイオンは断片化され、生成されたプロダクトイオンのマススペクトルが飛行時間型質量分析器によって記録される;複数の候補イオン質量電荷比チャネルを完全にモニタリングするためには何回もの断片化およびプロダクトイオンスキャンが必要である;(3)1つのプリカーサイオンスキャンイベントと数個のプロダクトイオンスキャンイベントが1サイクルを形成し、1サイクル終了後に次のサイクルが実行される。
このデータ依存型取得方法は、タンデム質量分析を用いた解析の被分析物の適用範囲が低いという問題をある程度解決する。しかしながら、1回のプロダクトイオンスキャンによって1つのプリカーサイオン質量電荷比チャネルのプロダクトイオン情報しかモニターすることができないため、タンデム質量分析を用いた解析についてのデューティサイクルおよびスループットは低い。多数の被分析物がクロマトグラフィカラムから溶出する場合、量が少ない方の多くのプリカーサイオンはまだモニターされていない。また、各サイクルにおけるプロダクトイオンスキャンイベントに対応するプリカーサイオンの質量電荷比チャネルが絶えず変化するため、クロマトグラフィ溶出時間内に被分析物のプロダクトイオンが複数回均等に検出されることが保証されず、プロダクトイオンのイオン電流クロマトグラムではなく被分析物のプリカーサイオンのイオン電流クロマトグラムを使用することによってしか定量的解析を行うことができず、そのためオミックス研究における定量的解析の選択性および精度が低下する。
データ依存型取得方法の改良として、多重プリカーサイオン反応モニタリング(PRM)が提案されており、ここでは複数の質量電荷比チャネルのプリカーサイオンが断片化のために連続的にコリジョンセルに送り込まれ、複数の質量電荷比チャネルのプリカーサイオンのプロダクトイオンがコリジョンセル内で混合され、その後、次段の高分解能質量分析器によって質量電荷比で分析される(非特許文献2)。得られたプロダクトイオンのマススペクトルは、複数の質量電荷比チャネルに対応するプリカーサイオンの混合スペクトルであるため、単一ペプチドのプロダクトイオンのマススペクトルを復元するためには、ペプチドの2つの相補的プロダクトイオンの質量と、このペプチドのプリカーサイオンの質量との関係を用いてデコンボリューションを行う必要がある。使用されるデコンボリューション工程に制約されるため、この方法はメタボロミクス研究よりもむしろプロテオミクス研究に適する。さらに、各スキャンサイクルにおけるプロダクトイオンスキャンイベントに対応するプリカーサイオンの選択はデータ依存型取得法のものと同様であり、そのためPRMは、プロダクトイオンのイオン電流クロマトグラムを使用することによる定量的解析には適さない。
Wilsonらによって提案されたデータ非依存型取得戦略(非特許文献3)は、プロダクトイオンのイオン電流クロマトグラムを定量的解析に使用することができないという困難をうまく解決する。データ非依存型取得方法は、初期のうちはイオントラップで実行されているが、この方法は、後にはタンデム四重極飛行時間型質量分析装置によるオミックス解析において主に使用されている(非特許文献4、特許文献1)。データ非依存型取得戦略では、プリカーサイオンの全質量電荷比範囲を、それぞれ10〜30amuの幅を有する多数の質量電荷比ウィンドウに均等に分け、各質量電荷比ウィンドウについてプリカーサイオンの断片化とプロダクトイオンスキャンを実施する。従来のデータ依存型取得方法と比較して、この方法では、被分析物のクロマトグラフィ溶出時間中にプリカーサイオンのプロダクトイオンを複数回均一に取得することができ、そのためプロダクトイオンのイオン電流クロマトグラムを定量的解析に使用し得る。しかしながら、この方法では、プロダクトイオンスキャンは、プリカーサイオンを含まない質量電荷比ウィンドウを含むすべての質量電荷比ウィンドウに対して無差別に実施される。そのため、質量分析装置のスキャン能力が十分に利用されず、デューティサイクルにはまださらに改善の余地がある。
米国特許第8809772号明細書
Protein Sci.1998,7(3),706−719 Analytical Chemistry 2011,83(20),7651−7656 Analytical Chemistry 2004,76(24),7346−7353 Nat Meth 2015,(12),1105−1106
先行技術の欠点を踏まえた本発明の目的は、先行技術の問題を解決するための新規な質量分析データ取得方法を提供することである。
この目的および他の関連する目的を達成するために、本発明は、主に以下の工程を含む、質量分析装置のためのデータ取得方法を提供する:a.イオンを生成するための少なくとも1つのイオン源を提供する工程;b.コリジョンセルが第1の動作モードにして、イオンを断片化しないかまたはあまり断片化しない工程;c.第1の動作モードで生成されたイオンのマススペクトルを第1の断片化スペクトルとして記録する工程;d.イオンから、複数の不連続な質量電荷比チャネルに分布している2つ以上のイオンを選択する工程;e.コリジョンセルが第2の動作モードにして、不連続な質量電荷比チャネルに分布している選択されたイオンの少なくとも一部を断片化する工程;f.第2の動作モードで生成されたイオンのマススペクトルを第2の断片化スペクトルとして記録する工程;およびg.工程b〜fを数回繰り返し実行し、前の工程dで選択されたイオンに対応する質量電荷比チャネルを、イオン源によって生成されたイオンのイオン強度が設定された閾値を下回るまで、その後の繰り返し実行において常に選択する工程。
一つの好ましい解決策として、このデータ取得方法はクロマトグラフィ−質量分析システムのデータ取得に適用される。さらに、第1の断片化スペクトルに存在するイオンと第2の断片化スペクトルに存在するイオンとは、生じるクロマトグラフのピークの溶出時間に従って互いに関連付けられる;または、第1の断片化スペクトルに存在するイオンと第2の断片化スペクトルに存在するイオンとは、クロマトグラフのピークの形状に従って互いに関連付けられてもよい;または、第1の断片化スペクトルに存在するイオンと第2の断片化スペクトルに存在するイオンとは、クロマトグラフのピークの溶出時間および形状の両方に従って互いに関連付けられてもよい。
別の好ましい解決策として、選択されたイオンに対応する質量電荷比チャネルの数は設定された数値以下である。さらに、設定される数値は、分析対象試料の複雑さに応じてリアルタイムで変更される。さらに、選択されたイオンの質量電荷比チャネル数がそれ以上増加しないかまたは設定数値に達したとき、工程b〜fをさらに予め設定された回数繰り返し実行した後にその選択を終了し、次に新たな選択が行われて、工程b〜fがさらに実行される。
別の好ましい解決策として、工程b〜fの1回の繰り返し実行中に:工程dは、複数のバッチで生成されたイオンから2つ以上のイオンを選択する工程をさらに含み;工程fは、各バッチ中の断片化に由来するイオンのマススペクトルをその第2の断片化スペクトルとしてそれぞれ記録する工程をさらに含む。さらに、複数のバッチでの選択において、それぞれのバッチで選択されたイオンの質量電荷比チャネルは異なる。さらに、あるバッチの選択中に、選択されたイオンの質量電荷比チャネルの数がそれ以上増加しないかまたは設定された数値に達したとき、工程b〜fをさらに予め設定された回数繰り返し実行した後にこのバッチにおける選択を終了してもよい。さらに、生成されたイオンの質量電荷比チャネルは、異なるバッチの選択において均一に分布していてもよい。
別の好ましい解決策として、質量電荷比チャネルは1amuより大きい質量電荷比幅を有する。
別の好ましい解決策として、選択されたイオンは、同時にコリジョンセルに入るか、または異なる質量電荷比チャネルに応じて連続的にコリジョンセルに入る。
この目的および他の関連する目的を達成するために、本発明はさらに、主に以下の工程を含む、質量分析装置のための第2のデータ取得方法を提供する:a.イオンを生成するための少なくとも1つのイオン源を提供する工程;b.イオンから、複数の不連続な質量電荷比チャネルに分布している2つ以上のイオンを選択する工程;c.選択されたイオンを、コリジョンセルを通過させて少なくとも部分的に断片化させる工程;d.工程cで生成されたイオンのマススペクトルを記録する工程;およびe.工程b〜dを予め設定された回数、繰り返し実行し、工程bを実行するたびに、前の工程bで選択された、不連続な質量電荷比チャネルに分布しているイオンを常に選択する工程。
第2のデータ取得方法の一つの好ましい解決策として、工程b〜dを予め設定された回数繰り返し実行した後に選択が終了し、次に新たな選択が行われて、工程b〜dが繰り返し実行される。
第2のデータ取得方法の一つの好ましい解決策として、工程b〜dの1回の繰り返し実行中に、工程bは、複数のバッチで生成されたイオンから2つ以上のイオンを選択する工程をさらに含み;工程dは、各バッチ中の断片化に由来するイオンのマススペクトルをそれぞれ記録する工程をさらに含む。さらに、複数のバッチでの選択において、それぞれのバッチで選択されたイオンの質量電荷比チャネルは異なる。さらに、複数のバッチでの選択のうち、あるバッチでの選択が予め設定された回数だけ繰り返し実行された後に、このバッチにおける選択を終了してもよい。さらに、複数のバッチでの選択において、選択されたイオンの質量電荷比チャネルは、データベースに従って事前に決定しておいてもよい。また、複数のバッチでの選択において、各バッチの繰り返し回数および開始/終了時間は、データベースに従って事前に決定しておいてもよい。また、データベースは、シミュレーションソフトウェアによって作成されるか、または事前に実施されたクロマトグラフィ−質量分析を用いた解析によって作成されてもよい。
第2のデータ取得方法の一つの好ましい解決策として、質量電荷比チャネルは1amuより大きい質量電荷比幅を有する。
第2のデータ取得方法の一つの好ましい解決策として、選択されたイオンは、同時にコリジョンセルに入るか、または異なる質量電荷比チャネルに応じて連続的にコリジョンセルに入る。
第2のデータ取得方法の一つの好ましい解決策として、マススペクトルが得られた後、既知の物質の予め保存されたマススペクトルを含むデータベースを検索して、取得されたマススペクトルが1つまたは複数の既知の物質に対応するかどうかを判断する。さらに、検索のプロセスは以下の工程を含む:a)データベースから、既知の物質のマススペクトルを得る工程;b)既知の物質のマススペクトル中に存在するプロダクトイオンから時変イオン電流クロマトグラムを作成する工程;およびc)得られたイオン電流クロマトグラムと既知の物質のマススペクトルに従って、既知の物質が検出されたか否かを判断するためのスコアを算出する工程。さらに、イオン電流クロマトグラムに従って既知の物質の定量的数値を算出する。
この目的および他の関連する目的を達成するために、本発明はさらに、主に以下の工程を含む、質量分析装置のための第3のデータ取得方法を提供する:a.イオンを生成するための少なくとも1つのイオン源を提供する工程;b.イオンを、断片化されないかまたは部分的に断片化されるようにコリジョンセルを迂回させる工程;c.イオンのマススペクトルを第1の断片化スペクトルとして記録する工程;d.イオンから、複数の不連続な質量電荷比チャネルに分布している2つ以上のイオンを選択する工程;e.選択されたイオンを、コリジョンセルを通過させて少なくとも部分的に断片化させる工程;f.工程eで生成されたイオンのマススペクトルを第2の断片化スペクトルとして記録する工程;およびg.工程b〜fを数回繰り返し実行し、工程dを繰り返し実行するときに、前の工程dで選択された、不連続な質量電荷比チャネルに分布しているイオンを、選択されたイオンのイオン強度が設定された閾値を下回るまで常に選択する工程。
第3のデータ取得方法の一つの好ましい解決策として、工程b〜fの1回の繰り返し実行中に、工程dは、複数のバッチで生成されたイオンから2つ以上のイオンを選択する工程をさらに含み;工程fは、各バッチ中の断片化に由来するイオンのマススペクトルをその第2の断片化スペクトルとしてそれぞれ記録する工程をさらに含む。さらに、複数のバッチでの選択において、それぞれのバッチで選択されたイオンの質量電荷比チャネルは異なる。さらに、あるバッチの選択中に、選択されたイオンの質量電荷比チャネルの数がそれ以上増加しないかまたは設定された数値に達したとき、工程b〜fをさらに予め設定された回数繰り返し実行した後にこのバッチにおける選択を終了してもよい。さらに、イオンの質量電荷比チャネルは、異なるバッチでの選択において均一に分布していてもよい。
第3のデータ取得方法の一つの好ましい解決策として、選択されたイオンは、同時にコリジョンセルに入るか、または異なる質量電荷比チャネルに応じて連続的にコリジョンセルに入る。
上述したように、本発明の質量分析データ取得方法は次のような有益な効果をもたらす;タンデム質量分析においてより高いイオンデューティサイクルが実現される;さらに、質量分析データ取得方法では、イオン電流クロマトグラムを使用することによって定量的解析を行うことができ、従来のデータ依存型取得方法よりも高い定量精度を有する。
図1は、本発明による質量分析データ取得方法を実施することができる一つの好ましい質量分析装置の構造図を示す。 図2は、本発明による一つの好ましい質量分析データ取得方法の模式図を示す。 図3は、図2の質量分析データ取得方法に対応する作業フローチャートを示す。 図4は、本発明による別の好ましい質量分析データ取得方法の模式図を示す。 図5は、図4の質量分析データ取得方法に対応する作業フローチャートを示す。 図6は、図2および図3の質量分析データ取得方法に対応する、プロダクトイオンスキャンイベントにプリカーサイオンを割り当てるための一つの好ましいスキームの模式図を示す。 図7は、先行技術におけるデータ依存型取得方法の模式図を示す。 図8は、先行技術におけるプリカーサイオンスキャンを含むデータ非依存型取得方法の模式図を示す。 図9Aは、図2および図3の質量分析データ取得方法に対応するデータインスタンスの解析チャートを示す。 図9Bは、図2および図3の質量分析データ取得方法に対応するデータインスタンスの解析チャートを示す。
本発明の実施は、特定の実施形態によって以下に説明され、本発明の他の利点および効果は、本明細書に開示される内容から当業者によって容易に理解され得る。本発明はまた、追加の異なる特定の実施形態によって実施または適用され得る。本明細書における詳細は、異なる観点および用途に基づいてもよく、本発明の精神から逸脱することなく、細部に対して様々な修正または変更を加え得る。以下の実施形態および実施形態における特徴は、矛盾しない場合は組み合わせてもよいことに留意されたい。
なお、以下の実施形態における図面は、単に本発明の基本概念を例示的に説明するためのものであることに留意されたい。したがって、本発明に関連する構成要素のみが図面に示されており、それらは実際の実施における構成要素の数、形状およびサイズに従って描かれていない。一方、構成要素の形状、数および規模は、実際の実施において任意に変更されてもよく、構成要素のレイアウト形態はより複雑になり得る。
本発明の目的は、タンデム質量分析を用いた解析の際のイオン利用効率および定量能力を有意に改善するための新規なマススペクトルデータ収集方法を提供することである。本発明を、図1〜図9Bを参照して以下で詳細に説明する。
図1は、本発明による質量分析データ取得方法を実施することができる一つの好ましい質量分析装置100を示す。質量分析装置100は、イオン源110、イオン集束装置120、イオン輸送装置130、第1段階質量分析器140、コリジョンセル150、直交加速反射型飛行時間型質量分析器160および検出器170を含む。
一つの好ましい実施形態では、質量分析装置100はクロマトグラフと共に使用され、ここでクロマトグラフは、液体クロマトグラフ、ガスクロマトグラフ、キャピラリー電気泳動装置などであり得る。本発明の質量分析データ取得方法を、LC−MSを例にとって以下で詳細に説明する。
液体クロマトグラフからの溶離液は、イオン化のためにイオン源110に供給される。一つの好ましい解決策として、イオン源110はエレクトロスプレーイオン源である。被分析物はイオン化され、次いでイオン集束装置120によって集束され、イオン輸送装置130に供給される。イオンは、その後、第1段階質量分析器140に供給される。
一つの好ましい解決策として、第1段階質量分析器140は四重極場に基づく質量分析器であり、一組の四重極ロッド、三次元イオントラップ、線形イオントラップなどであり得る。第1段階質量分析器140は、TTI(全透過イオン)モードで動作し得る。すなわち、全質量電荷比範囲内のイオンは無差別にコリジョンセル150に供給され、次いで生成されたイオンは次段の質量分析器160に輸送される。第1段階質量分析器140はまた、イオン選択モードでも動作し得る。すなわち、イオンはコリジョンセル150を介して次段の質量分析器160に識別的に輸送される。
被分析物が主に低質量イオンである分析タスク、例えばメタボノミクス分析の場合、全質量電荷比の範囲は一般に、m/z 100〜m/z 800の質量電荷比に対応する。被分析物が主にポリペプチドである分析タスク、例えばプロテオミクス分析の場合、全質量電荷比選択は一般に、m/z 400〜m/z 1400の質量電荷比に対応する。
第1段階質量分析器140を出た後、イオンはコリジョンセル150に入る。コリジョンセル150は、低断片化モード(第1の動作モード)または高断片化モード(第2の動作モード)で動作し得る。コリジョンセル150が低断片化モードで動作するとき、コリジョンセル150に入るイオンは、断片化されていないかまたはあまり断片化されていない。コリジョンセル150が高断片化モードで動作するとき、より多くのイオンが断片化される。コリジョンセル150を出た後、イオンは直交イオン加速領域に入る。加速されたイオンは、飛行時間型質量分析器160内の質量電荷比に従って分離され、次いで連続的に検出器170に到達する。検出器170はイオンのマススペクトルを記録し得る。このとき、低断片化モードで記録されたイオンのマススペクトルが低断片化スペクトル(第1の断片化スペクトル)として、および高断片化モードで記録されたイオンのマススペクトルが高断片化スペクトル(第2の断片化スペクトル)として使用される。
本発明の質量分析データ取得方法を実施することができる一つの好ましい質量分析装置として、イオン切換装置がコリジョンセルの前面にさらに設けられてもよく、イオンが平行なイオンチャネルによって断片化されにくいように、コリジョンセルと平行なイオンチャネルが追加的に設けられる。イオン切換装置は、第1段階質量分析器を出るプリカーサイオンをコリジョンセルまたはコリジョンセルと平行なイオンチャネルに誘導し得る。低断片化スペクトルが記録されるべきである場合、プリカーサイオンはコリジョンセルと平行なイオンチャネルに誘導される;しかしながら、高断片化スペクトルが記録されるべき場合は、プリカーサイオンはコリジョンセルに誘導される。このとき、コリジョンセルは常に高断片化モードで動作するため、より多くのプリカーサイオンが断片化される。本発明における質量分析データ取得方法は、上述した2種類の質量分析装置で実施され得る。
図2は、すべてのプリカーサイオンを網羅するようにタンデム質量分析のために複数のプリカーサイオンを同時に複数回選択する、多重データ依存型取得と呼ばれる一つの好ましい質量分析データ取得方法を示しており、複数の選択されたプリカーサイオンは複数の不連続な質量電荷比チャネルに分布し、選択されたプリカーサイオンの質量電荷比チャネルの数は予め設定された数値を超えない。予め設定された数値は、分析される試料の複雑さに応じてリアルタイムで変化する。具体的な説明は以下の通りである。図2の横軸は、スキャン回数280を表す。スキャン回数280は、LC−MS分析における溶出時間に対応する。1回のスキャンは1つのスキャンイベントに対応し、分析時間が増えるとスキャン回数も増加する。一般に、1回のスキャンにかかる時間は0.02秒から1秒であり、QTOF(四重極飛行時間型)質量分析装置の被分析物の濃度によって異なる。一つの好ましい解決策として、1回のスキャンのスキャン時間を0.05秒に設定し得る。図2の縦軸は質量電荷比210を表し、縦軸の全範囲は全質量電荷比範囲に対応する。図2において、縦軸と同じ高さの二重矢印を有する線分は、全質量電荷比範囲内のスキャンプリカーサイオンに対する1つのスキャンイベント230を表す;二重矢印を有する線分の右側の全質量電荷比範囲内にランダムに分布する円の組み合わせは、複数の質量電荷比チャネル内のプリカーサイオンに対応する1つのプロダクトイオンスキャン240を表し、質量電荷比チャネルの幅は1〜3amuである;また、円の組み合わせの右側にある三角形の組み合わせおよび星印の組み合わせは、プロダクトイオンスキャン240と同様であり、異なる質量電荷比チャネルの組み合わせに対応する2つのプロダクトイオンスキャン250および260を別々に表す。一例として、1つのサイクル270は1つのプリカーサイオンスキャンイベントと3つのプロダクトイオンスキャンイベントのみを含むと仮定する。1つのサイクルが終了すると、次のサイクルに進む。一つの好ましい解決策として、各サイクルに含まれるスキャンイベントの数は一定である。
図3は、図2のデータ取得方法の詳細なフローチャートを示しており、LC−MSを使用することによる多重データ依存型取得の全プロセスを示す。第1の工程はプリカーサイオンスキャン320である。タンデム質量分析装置における第1段階または第2段階質量分析器は、全質量電荷比範囲内のプリカーサイオンの質量を測定し、得られたプリカーサイオンのマススペクトルを記録するために使用され得る。一つの好ましい解決策として、第2段階質量分析器は高分解能質量分析器、例えば飛行時間型質量分析器である。プリカーサイオンスキャン320の工程で得られたスペクトルに従って、検出されたプリカーサイオンから、タンデム質量分析装置のコリジョンセルの前段にある質量分析器を使用することによって、2つ以上の質量電荷比チャネルに対応するプリカーサイオンが選択される。選択されたプリカーサイオンは、同時にコリジョンセルに入るか、または異なる質量電荷比チャネルに応じて連続的にコリジョンセルに入る。プリカーサイオンはコリジョンセル内で断片化され(330)、複数の質量電荷比チャネル内のプリカーサイオンに由来するプロダクトイオンがコリジョンセル内で混合される。生成されたプロダクトイオンは、質量分析のために第2段階質量分析器に供給され、得られたプロダクトイオンのマススペクトルが記録される。これがプロダクトイオンスキャン工程340である。1つのプリカーサイオンスキャン−プロダクトイオンスキャンサイクル350を完了するために、プリカーサイオンスキャンイベントに続いて、プリカーサイオンスキャンイベント320で検出された特定の存在率を有するプリカーサイオンの質量電荷比チャネルに対応するすべてのプロダクトイオンがカバーされるまで、2つ以上のプリカーサイオン断片化‐プロダクトイオンスキャンイベントが連続的に実施される。1サイクルの終わりに、プロダクトイオンスキャンの時系列順に従ってこのサイクルのプロダクトイオンスキャンイベントに番号が付けられる。液体クロマトグラフィ分離プロセス全体において被分析物を記録するためには、プリカーサイオンスキャン−プロダクトイオンスキャンサイクル360を繰り返し実施することが必要である。被分析物の定量的分析を実現するために、クロマトグラフのピーク全体の範囲内で同じ被分析物に対応するプリカーサイオンに対してプロダクトイオンスキャンが複数回実施される。
スキャンサイクル360の繰り返し中に、特定の質量電荷比チャネル内のプリカーサイオンがそのサイクルに入ると、プリカーサイオンは常に、後続のサイクルで同じシリアル番号を有するプロダクトイオンスキャンイベントに割り当てられる。特定のスキャンイベントの対応する被分析物がクロマトグラフィカラムから完全に溶出すると(例えばプリカーサイオンのイオン強度が設定された閾値を下回ると)、このスキャンイベントは終了し、次のサイクルで、このスキャンイベントは新しく検出されたプリカーサイオンの質量電荷比チャネルに付与される。1回の試料注入についてのクロマトグラフィ分離が終了するまで、プリカーサイオンスキャン−プロダクトイオンスキャンサイクル370が繰り返される。
図4は、別の好ましい質量分析データ取得方法を示しており、図2の方法とはわずかに異なる別のデータ取得方法400を表示し、ここでは、複数の質量電荷比チャネル内のプリカーサイオンは、異なる質量電荷比チャネルにおいて検出されたすべてのプリカーサイオンを網羅するためにタンデム質量分析によって同時に複数回選択される。具体的な説明は以下の通りである。
図4の横軸はスキャン回数460を表す。スキャン回数460は、LC−MS分析における溶出時間に対応する。1回のスキャンは1つのスキャンイベントに対応し、スキャン回数は溶出時間と共に増加する。一般に、タンデム四重極飛行時間型質量分析装置が使用される。1回のスキャンの時間は0.02秒から1秒であり、被分析物の濃度によって異なる。一つの好ましい解決策として、1回のスキャン(すなわち1つのスキャンイベント)のスキャン時間を0.05秒に設定し得る。図4の縦軸は質量電荷比410を表す。縦軸410の右側の全質量電荷比範囲内の円の組み合わせは、それぞれ幅が1〜3amuの複数の質量電荷比チャネル内のプリカーサイオンに対応する1つのプロダクトイオンスキャン420を表す;ならびに、円の組み合わせの右側にある三角形の組み合わせおよび星印の組み合わせは、プロダクトイオンスキャン420と同様であり、プリカーサイオンの異なる質量電荷比チャネルの組み合わせに対応する2つのプロダクトイオンスキャン430および440を別々に表す。一例として、1つのサイクル450は1つのプリカーサイオンスキャンイベントと3つのプロダクトイオンスキャンイベントのみを含むと仮定する。1つのサイクルが終了すると、次のサイクルに進む。一つの好ましい解決策として、各サイクルに含まれるスキャンイベントの数は一定であり、各スキャンイベントに対応するプリカーサイオンの質量電荷比チャネルの数は一定である。図2の方法とは異なり、この方法におけるスキャンサイクルは、プリカーサイオンスキャンイベント230を含まない。
図5は、図4のデータ取得方法の詳細なフローチャートを示しており、LC−MSを使用することによる別の好ましい多重データ依存型取得の全プロセス500を示す。第1の工程では、被分析物データベース520が、シミュレーションソフトウェアまたは他の方法によって確立される。被分析物データベースは、データ依存型取得(DDA)による1回のクロマトグラフィ−質量分析を用いた解析を実施して、複数の物質のプリカーサイオン質量電荷比、プロダクトイオン質量電荷比および保持時間を取得し、次いで得られた情報を分類することによって形成され得る;または、被分析物データベースは、理論計算によって複数の潜在的被分析物のプリカーサイオン質量電荷比、保持時間およびプロダクトイオン質量電荷比を予測し、次いで得られた情報を分類することによって形成され得る;または、被分析物データベースは、フルプリカーサイオンスキャンによる1回のクロマトグラフィ−質量分析を用いた解析を実施して、プリカーサイオンの質量電荷比および保持時間情報を取得し、次いで得られた情報を分類することによって形成され得る。データベース内の被分析物のプリカーサイオン質量電荷比および保持時間情報に従って、被分析物の溶出時間内に、タンデム質量分析装置のコリジョンセルの前段にある質量分析器を使用することによって異なる質量電荷比チャネル内の複数のプリカーサイオンが選択され、その結果、プリカーサイオンは同時にコリジョンセルに入るか、または異なる質量電荷比に従って連続的にコリジョンセルに入る。プリカーサイオンはコリジョンセル内で断片化され(530)、複数の質量電荷比チャネル内のプリカーサイオンからのプロダクトイオンがコリジョンセル内で混合される。生成されたプロダクトイオンは、質量分析のために第2段階質量分析器に供給され、得られたプロダクトイオンのマススペクトルが記録される。これがプロダクトイオンスキャン工程540である。1つのサイクル550は、1つまたは複数のプリカーサイオン断片化‐プロダクトイオンスキャンイベントを含む。対応する保持時間内に溶出した被分析物のプリカーサイオンは異なるスキャンイベントに均一に割り当てられ、プロダクトイオンスキャンイベントはプロダクトイオンスキャンの時系列順に従って番号付けされる。液体クロマトグラフィ分離プロセス全体において被分析物を記録するために、プリカーサイオン断片化‐プロダクトイオンスキャンサイクル506を繰り返し実施することが必要である。被分析物の定量的分析を実現するために、クロマトグラフのピーク全体の範囲内で同じ被分析物に対応するプリカーサイオンに対してプロダクトイオンスキャンが複数回実施される。次のサイクルにおいても、同じシリアル番号を有するスキャンイベントに対応するプリカーサイオンの質量電荷比チャネルは不変のままである。一方、スキャンサイクルの進行と共にスキャンイベントが一定回数繰り返された後、このスキャンイベントは終了し、このシリアル番号は他のプリカーサイオンの質量電荷比チャネルに付与される。特定のクロマトグラフィ溶出時間内のプリカーサイオンチャネルの配分は、データベース内のプリカーサイオンのクロマトグラフィ保持時間に依存する。1回の試料注入のクロマトグラフィ分離が終了するまで、プリカーサイオン断片化‐プロダクトイオンスキャンサイクル570が繰り返される。
図2および図3のデータ取得方法が質量分析装置によって実施される場合、異なる質量電荷比チャネル内のプリカーサイオンをリアルタイムでプロダクトイオンスキャンイベントに動的に割り当てることが必要とされる。より有効な配分を実現し、一方で複数の質量電荷比チャネルにおけるプリカーサイオンのプロダクトイオンの相互干渉を最小限に抑えるために、図6は、別の好ましい解決策としてプリカーサイオンをプロダクトイオンスキャンイベントに割り当てるためのスキーム600を示す。
説明の便宜上、1サイクル中のプリカーサイオン断片化‐プロダクトイオンスキャンイベントの数は3と設定し、各プロダクトイオンスキャンイベントに対応するプリカーサイオン質量電荷比チャネルの数は最大で3である。図6中の単一矢印を有する直線は、液体クロマトグラフの溶出時間610を表し、ここで、溶出時間は左から右へ徐々に増加する。各中空円は、1つの質量電荷比チャネルにおけるプロダクトイオン分析を待っているプリカーサイオン620を表す。図6の各例示的マススペクトル630は、1つのプロダクトイオンスキャンイベントの出力に対応する。図6の中実三角形は、1つのプリカーサイオンスキャンイベント640を示す。配分スキーム600から、1つのサイクルが1つのプリカーサイオンスキャンイベントおよび3つのプロダクトイオンスキャンイベントを含み、1つのプリカーサイオンマススペクトル(図示していない)および3つのプロダクトイオンマススペクトル630が対応して出力されることが分かる。
第1サイクルのプリカーサイオンスキャンイベント650中に3つの質量電荷比チャネル内の異なるプリカーサイオン620が検出されると仮定した場合、これらのプリカーサイオンの3つの質量電荷比チャネルは3つのプロダクトイオンスキャンイベントに割り当てられ、それらは、図中の3つのプロダクトイオンマススペクトル630にそれぞれ対応して、この図では上から下へプロダクトイオンスキャンイベント1、2、および3としてそれぞれ番号付けされる。後続のサイクル660ではこの番号付け規則に従う。次に、第1サイクルに続いて、第2サイクルのプリカーサイオンスキャンイベント660の間に2つの新しい質量電荷比チャネル内のプリカーサイオンが検出される。前のサイクルで既に検出されたプリカーサイオンの質量電荷比チャネルの配分順序は不変のままであり、新しく検出されたプリカーサイオンの2つの質量電荷比チャネルは、それぞれ1と2の番号が付されたプロダクトイオンスキャンイベントに割り当てられる。3つの新しい質量電荷比チャネル内のプリカーサイオンは、第3の円670のプリカーサイオンスキャンイベント中に検出される。最初の5つのプリカーサイオン質量電荷比チャネルについての配分ルールは変更されないままであり、3つの新しく検出されたプリカーサイオン質量電荷比チャネルは、それぞれ3、1および2と番号付けされた3つのプロダクトイオンスキャンイベントにそれぞれ割り当てられる。任意のシリアル番号のプロダクトイオンスキャンイベントによって受け入れられたイオン質量電荷比チャネルの数が上限(3)に達した後、このスキャンイベントは新しい質量電荷比チャネルのプリカーサイオンをそれ以上受け入れない。このイベントは、サイクルの進行と共に1つのクロマトグラフのピーク幅時間(通常30秒)継続して実行された後に終了し、次のサイクルでこのシリアル番号を有するイベントは、新しく検出されたプリカーサイオン質量電荷比チャネルを受け入れるのに使用される。分析される試料中に物質がほとんど存在せず、プロダクトイオンスキャンイベントの全部または一部に割り当てられるプリカーサイオン質量電荷比チャネルの数が上限(3)に達しないと仮定した場合、プロダクトイオンスキャンイベントに含まれるプリカーサイオン質量電荷比チャネルの数がそれ以上増加することはなく、このイベントは、サイクルの進行と共に1回のクロマトグラフのピーク幅時間(通常30秒)継続して実行された後に終了し、次のサイクルでこのシリアル番号を有するイベントは、新しいプリカーサイオン質量電荷比チャネルを受け入れるのに使用される。
上記の配分スキーム600では、同時に存在する異なる質量電荷比チャネル内のプリカーサイオンは、異なるプロダクトイオンスキャンイベントに最大限に割り当てられ、その結果、異なる被分析物間の相互干渉が減少し、その後のデータ分析がより有効になる。
図4および図5のデータ取得方法が質量分析装置によって実施される場合、プリカーサイオン質量電荷比チャネルは確立されたデータベースから導かれ、各プリカーサイオン質量電荷比チャネルの出現順序は既知であるので、配分はより単純になる。一つの好ましい実施形態として、配分の基本原理は図6の方法と同じである。すなわち、プロダクトイオンスキャンイベントを最大限に活用し、異なる質量電荷比チャネル内の同時に存在するプリカーサイオン間の相互干渉を低減するために、プリカーサイオン質量電荷比チャネルは異なるプロダクトイオンスキャンイベントに均一に割り当てられる。
従来のデータ依存型取得方法と比較して、本発明の多重データ依存型取得方法は、より高いイオン利用効率およびより良好な定量能力を有する。具体的な説明は以下の通りである。図7は、縦軸が質量電荷比710を表し、横軸がスキャン回数770を表す、従来のデータ依存型取得方法の模式図を示す。質量分析装置がデータ依存型取得を実施する場合、1回のプリカーサイオンスキャン720が最初に実施される;次いで、測定されたプリカーサイオンの質量電荷比およびイオン強度情報に従って、いくつかの質量電荷比チャネルにおいてより高い強度を有するプリカーサイオン730、740および750が、連続断片化およびプロダクトイオンスキャンのために選択され、ここで、1つの質量分析データ取得サイクル760は、一般に、1つのプリカーサイオンスキャンイベントおよび複数のプロダクトイオンスキャンイベントを含む。測定されたプリカーサイオンの存在率は各プリカーサイオンスキャンの間一貫しないので、各サイクルにおけるプロダクトイオンスキャンイベントに対応するプリカーサイオン質量電荷比チャネルは異なる。そのため、被分析物のプロダクトイオンのマススペクトルがクロマトグラフィ溶出時間内に複数回均一に取得されることは保証されない。したがって、この方法では、プロダクトイオンのイオン電流クロマトグラムではなく、被分析物のプリカーサイオンのイオン電流クロマトグラムを用いることによってのみ定量的分析が行われる。
しかしながら、本発明の質量分析データ取得方法によれば、複数の質量電荷比チャネルにおけるプリカーサイオンのプロダクトイオン応答が各プロダクトイオンスキャン中に同時にモニターされるので、データ依存型取得方法と比較してイオンデューティサイクルが有意に改善される。一方、被分析物のプロダクトイオンはクロマトグラフィ溶出時間内に複数回均一に取得され、プロダクトイオンのイオン電流クロマトグラムを用いて定量的分析を実施し得る。したがって、より優れた耐干渉性能およびより高いシグナル/ノイズ比が実現される。
さらに、既存のデータ非依存型取得方法と比較して、本発明の質量分析データ取得方法はより高いイオン利用効率を有する。具体的な説明は以下の通りである。図8は、既存のデータ非依存型取得方法の模式図を示しており、縦軸は質量電荷比810を表し、横軸はスキャン回数850を表す。質量分析装置は、最初に全質量電荷比範囲内で1回のプリカーサイオンスキャン820を実施し、次いで全質量電荷比選択を、それぞれ一般に10−30amuの幅を有するいくつかの質量電荷比ウィンドウ830に均一に分け、各ウィンドウ内のすべてのプリカーサイオンに対してプリカーサイオンの断片化およびプロダクトイオンスキャンを連続的に実施する。1回のプリカーサイオンスキャンおよび数回のプロダクトイオンスキャンが1回のスキャンサイクル840を形成する。従来のデータ依存型取得方法と比較して、この方法では、被分析物のクロマトグラフィ溶出時間中にプリカーサイオンのプロダクトイオンを複数回均一に取得することができ、プロダクトイオンのイオン電流クロマトグラムを定量的分析に使用し得る。しかしながら、この方法では、プリカーサイオンを含まない質量電荷比ウィンドウを含むすべての質量電荷比ウィンドウ内のプロダクトイオンが各スキャンサイクルにおいて無差別に1回スキャンされるので、質量分析装置のスキャン能力が十分に利用されず、デューティサイクルは減少する。
本発明の質量分析データ取得方法によって、プリカーサイオンスキャン中に検出されたイオンに従ってプリカーサイオン質量電荷比チャネルをリアルタイムで選択することができ、プリカーサイオンのデューティサイクルは大幅に改善される。
図9A〜9Bは、図2および図3のデータ取得方法に適用される一つの好ましいデータ処理インスタンスの三次元グラフである。図9Aは、101サイクル目から114サイクル目までの例示的なプリカーサイオンスペクトルを示し、図9Bは、101サイクル目から114サイクル目までのプロダクトイオンスペクトルを示し、ここで、三次元グラフのx軸はスキャンの繰り返し回数920および970、すなわちサイクル数を表す;y軸930および980はイオンの質量電荷比を表す;z軸910および960は、質量分析装置の検出器上のイオンの応答を表す。
図9Aにおいて、水平軸上の点と交差し、xz平面に平行な部分に存在するバーは、イオン電流サイクルにおけるプリカーサイオンのマススペクトルを表す。一例として、陰影940で示されている部分内のバーは、104サイクル目のプリカーサイオンスキャンによって得られたマススペクトルを表す。同様に、図9Bにおいて、水平軸上の点と交差し、xz平面に平行な部分に存在するバーは、イオン電流サイクルにおける1つのプロダクトイオンスキャンイベントによって得られたプロダクトイオンのマススペクトルを表す。一例として、陰影990で示されている部分内のバーは、102番目のサイクルにおいて1として番号付けされたプロダクトイオンスキャンイベントによって得られたマススペクトルを表す。
本発明の質量分析データ取得方法によって得られるプロダクトイオンのマススペクトルは、一般に、複数の質量電荷比チャネル内のプリカーサイオンの混合マススペクトルである。その後の定性的および定量的分析を実施するために、一つの好ましい解決策として、保持時間およびクロマトグラフのピークの形状がデコンボリューションの基準として使用される。単一の物質に対応するプロダクトイオンのマススペクトルは、デコンボリューションによって復元され得る。図9Bから、m/z 210、m/z 311およびm/z 408の質量電荷比を有するプロダクトイオンは、105サイクル目から112サイクル目までの間にかなりのイオン強度変化則951を示す、すなわち同じクロマトグラフのピークおよび溶出時間を有することがわかる。したがって、3つのプロダクトイオンは同じ物質に由来すると判断することができる。一方、図9Aに示すように、m/z 721の質量電荷比を有するプリカーサイオンは、105サイクル目から112サイクル目までの間に3つのプロダクトイオンと同じイオン強度変化則950を示す。したがって、m/z 210、m/z 311およびm/z 408の質量電荷比を有する3つのプロダクトイオンは、m/z 721の質量電荷比を有するプリカーサイオンと関連付けられ、それによって単一物質に対応するプロダクトイオンの新しい純粋なマススペクトルが再構築された。また、クロマトグラフのピーク1050および1100の強度またはそれらのピーク面積は、質量電荷比m/z 721のプリカーサイオンを有する物質の定量的分析に使用し得る。
結論として、本発明の質量分析データ取得方法は、先行技術における様々な不利点を有効に克服し、高い工業的利用価値を有する。
実施形態は、単に本発明の原理と効果を説明するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、実施形態に修正または変更を加え得る。したがって、本発明の精神および技術的思想から逸脱することなく当業者によって行われるすべての等価の修正または変更は、本発明の特許請求の範囲によって組み込まれるものとする。

Claims (34)

  1. 以下の工程:
    a.イオンを生成するための少なくとも1つのイオン源を提供する工程;
    b.コリジョンセルが第1の動作モードにして、前記イオンが断片化されないかまたは部分的に断片化される工程;
    c.前記第1の動作モードで生成されたイオンのマススペクトルを第1の断片化スペクトルとして記録する工程;
    d.前記イオンから、複数の不連続な質量電荷比チャネルに分布している2つ以上のイオンを選択する工程;
    e.前記コリジョンセルが第2の動作モードにして、前記選択された2つ以上が少なくとも部分的に断片化される工程;
    f.前記第2の動作モードで生成されたイオンのマススペクトルを第2の断片化スペクトルとして記録する工程;および
    g.前記工程b〜fを数回繰り返し実行し、前記工程dを繰り返し実行するときに、前の工程dで選択された、前記不連続な質量電荷比チャネルに分布しているイオンを、前記選択されたイオンのイオン強度が設定された閾値を下回るまで常に選択する工程
    を含む、質量分析データ取得方法。
  2. クロマトグラフィ−質量分析システムのデータ取得に適用される、請求項1に記載の質量分析データ取得方法。
  3. 前記第1の断片化スペクトルに存在するイオンと前記第2の断片化スペクトルに存在するイオンとが、クロマトグラフのピークの溶出時間に従って互いに関連付けられる、請求項2に記載の質量分析データ取得方法。
  4. 前記第1の断片化スペクトルに存在するイオンと前記第2の断片化スペクトルに存在するイオンとが、クロマトグラフのピークの形状に従って互いに関連付けられる、請求項2に記載の質量分析データ取得方法。
  5. 前記第1の断片化スペクトルに存在するイオンと前記第2の断片化スペクトルに存在するイオンとが、クロマトグラフのピークの溶出時間および形状の両方に従って互いに関連付けられる、請求項2に記載の質量分析データ取得方法。
  6. 前記選択されたイオンに対する前記質量電荷比チャネルの数が設定された数値以下である、請求項1に記載の質量分析データ取得方法。
  7. 前記設定された数値が、分析される試料の複雑さに応じてリアルタイムで変更される、請求項6に記載の質量分析データ取得方法。
  8. 前記選択されたイオンの前記質量電荷比チャネルの数がそれ以上増加しないかまたは設定された数値に達したとき、前記工程b〜fが予め設定された回数だけさらに実行された後に前記選択が終了し、次に新たな選択が行われて、前記工程b〜fがさらに実行される、請求項6に記載の質量分析データ取得方法。
  9. 前記工程b〜fの1回の繰り返し実行中に、前記工程dが、複数のバッチによって前記イオンから2つ以上のイオンを選択する工程をさらに含み;前記工程fが、各バッチ中の断片化に由来するイオンのマススペクトルをその第2の断片化スペクトルとしてそれぞれ記録する工程をさらに含む、請求項1に記載の質量分析データ取得方法。
  10. 複数のバッチによる前記選択において、それぞれのバッチで選択された前記イオンに対する前記質量電荷比チャネルが異なる、請求項9に記載の質量分析データ取得方法。
  11. あるバッチでの選択中に、前記選択されたイオンに対する前記質量電荷比チャネルの数がそれ以上増加しないかまたは設定された数値に達したとき、前記工程b〜fを予め設定された回数さらに実行した後にこのバッチにおける選択が終了する、請求項9に記載の質量分析データ取得方法。
  12. 前記生成されたイオンの前記質量電荷比チャネルが、異なるバッチでの選択において均一に分布する、請求項9に記載の質量分析データ取得方法。
  13. 前記質量電荷比チャネルが、1amuより大きい質量電荷比幅を有する、請求項1に記載の質量分析データ取得方法。
  14. 前記選択されたイオンが、同時に前記コリジョンセルに入るか、または異なる質量電荷比チャネルに応じて連続的に前記コリジョンセルに入る、請求項1に記載の質量分析データ取得方法。
  15. 以下の工程:
    a.イオンを生成するための少なくとも1つのイオン源を提供する工程;
    b.前記イオンから、複数の不連続な質量電荷比チャネルに分布している2つ以上のイオンを選択する工程;
    c.前記選択されたイオンを、コリジョンセルを通過させて少なくとも部分的に断片化させる工程;
    d.前記工程cで生成されたイオンのマススペクトルを記録する工程;および
    e.前記工程b〜dを予め設定された回数、繰り返し実行し、前記工程bを実行するたびに、前の工程bで選択された、前記不連続な質量電荷比チャネルに分布しているイオンを常に選択する工程
    を含む、質量分析データ取得方法。
  16. 前記工程b〜dを前記予め設定された回数だけ繰り返し実行した後に、この選択が終了し、次に新たな選択が行われて、前記工程b〜dが繰り返し実行される、請求項15に記載の質量分析データ取得方法。
  17. 前記工程b〜dの1回の繰り返し実行中に、前記工程bが、複数のバッチによって前記イオンから2つ以上のイオンを選択する工程をさらに含み;前記工程dが、各バッチ中の断片化に由来するイオンのマススペクトルをそれぞれ記録する工程をさらに含む、請求項15に記載の質量分析データ取得方法。
  18. 複数のバッチでの前記選択において、それぞれのバッチで選択された前記イオンに対する前記質量電荷比チャネルが異なる、請求項17に記載の質量分析データ取得方法。
  19. 複数のバッチにおける選択のうちで、あるバッチでの選択が予め設定された回数だけ繰り返し実行された後に、このバッチでの選択が終了する、請求項17に記載の質量分析データ取得方法。
  20. 複数のバッチでの前記選択において、前記選択されたイオンの前記質量電荷比チャネルがデータベースに従って事前に決定される、請求項17に記載の質量分析データ取得方法。
  21. 複数のバッチでの前記選択において、各バッチの繰り返し回数および開始/終了時間がデータベースに従って事前に決定される、請求項17に記載の質量分析データ取得方法。
  22. 前記データベースがシミュレーションソフトウェアによって作成される、請求項20〜21のいずれか一項に記載の質量分析データ取得方法。
  23. 前記データベースが、事前に実施されたクロマトグラフィ−質量分析を用いた解析によって作成される、請求項20〜21のいずれか一項に記載の質量分析データ取得方法。
  24. 前記質量電荷比チャネルが1amuよりも大きい質量電荷比幅を有する、請求項15に記載の質量分析データ取得方法。
  25. 前記選択されたイオンが、同時に前記コリジョンセルに入るか、または異なる質量電荷比チャネルに応じて連続的に前記コリジョンセルに入る、請求項15に記載の質量分析データ取得方法。
  26. 前記マススペクトルが得られた後、既知の物質の予め保存されたマススペクトルを含むデータベースを検索して、前記取得されたマススペクトルが1つまたは複数の既知の物質に対応するかどうかを判断する工程をさらに含む、請求項15に記載の質量分析データ取得方法。
  27. 前記検索のプロセスが、以下の工程:
    a)前記データベースから、前記既知の物質のマススペクトルを得る工程;
    b)前記既知の物質のマススペクトル中に存在するプロダクトイオンから時変イオン電流クロマトグラムを作成する工程;および
    c)得られた前記イオン電流クロマトグラムおよび前記既知の物質のマススペクトルに従って、前記既知の物質が検出されたか否かを判断するためのスコアを算出する工程
    を含む、請求項26に記載の質量分析データ取得方法。
  28. 前記イオン電流クロマトグラムに従って、前記既知の物質の定量的数値を算出する、請求項27に記載の質量分析データ取得方法。
  29. 以下の工程:
    a.イオンを生成するための少なくとも1つのイオン源を提供する工程;
    b.前記イオンを、断片化されないかまたは部分的に断片化されるようにコリジョンセルを迂回させる工程;
    c.前記イオンのマススペクトルを第1の断片化スペクトルとして記録する工程;
    d.前記イオンから、複数の不連続な質量電荷比チャネルに分布している2つ以上のイオンを選択する工程;
    e.前記選択されたイオンを、前記コリジョンセルを通過させて少なくとも部分的に断片化させる工程;
    f.前記工程eで生成されたイオンのマススペクトルを第2の断片化スペクトルとして記録する工程;および
    g.前記工程b〜fを数回繰り返し実行し、工程dを繰り返し実行するときに、前の工程dで選択された、前記不連続な質量電荷比チャネルに分布している前記イオンを、前記選択されたイオンのイオン強度が設定された閾値を下回るまで常に選択する工程
    を含む、質量分析データ取得方法。
  30. 前記工程b〜fの1回の繰り返し実行中に、前記工程dが、複数のバッチにおいて前記イオンから2つ以上のイオンを選択する工程をさらに含み;前記工程fが、各バッチ中の断片化に由来するイオンのマススペクトルをその第2の断片化スペクトルとしてそれぞれ記録する工程をさらに含む、請求項29に記載の質量分析データ取得方法。
  31. 複数のバッチでの前記選択において、それぞれのバッチで選択された前記イオンに対する前記質量電荷比チャネルが異なる、請求項30に記載の質量分析データ取得方法。
  32. あるバッチでの選択中に、前記選択されたイオンに対する前記質量電荷比チャネルの数がそれ以上増加しないかまたは設定された数値に達したとき、前記工程b〜fを予め設定された回数だけさらに繰り返し実行した後にこのバッチにおける選択が終了する、請求項30に記載の質量分析データ取得方法。
  33. 前記イオンが、異なるバッチでの前記選択において均一に分布する、請求項30に記載の質量分析データ取得方法。
  34. 選択されたイオンが、同時に前記コリジョンセルに入るか、または異なる質量電荷比チャネルに応じて連続的に前記コリジョンセルに入る、請求項29に記載の質量分析データ取得方法。
JP2019560792A 2017-05-15 2017-05-30 質量分析データ取得方法 Active JP6897797B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
CN201710337936.7 2017-05-15
CN201710337936.7A CN108878253B (zh) 2017-05-15 2017-05-15 质谱数据采集方法
PCT/JP2017/019990 WO2018211714A1 (en) 2017-05-15 2017-05-30 Mass spectrometry data acquisition method

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020519870A JP2020519870A (ja) 2020-07-02
JP6897797B2 true JP6897797B2 (ja) 2021-07-07

Family

ID=59071039

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019560792A Active JP6897797B2 (ja) 2017-05-15 2017-05-30 質量分析データ取得方法

Country Status (5)

Country Link
US (1) US11031216B2 (ja)
EP (1) EP3625817A1 (ja)
JP (1) JP6897797B2 (ja)
CN (1) CN108878253B (ja)
WO (1) WO2018211714A1 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110455907B (zh) * 2019-07-04 2022-04-19 昆山禾信质谱技术有限公司 基于飞行时间质量分析器的串联质谱数据分析方法
CN111446147B (zh) * 2020-03-20 2023-07-04 北京雪迪龙科技股份有限公司 基于飞行时间质谱仪的气体成分测量方法、电子设备
US20230204548A1 (en) * 2020-05-28 2023-06-29 Shimadzu Corporation Peak tracking device, peak tracking method and peak tracking program
JP7400698B2 (ja) * 2020-11-16 2023-12-19 株式会社島津製作所 クロマトグラフ質量分析装置
CN114564999B (zh) * 2022-04-27 2022-08-26 西湖欧米(杭州)生物科技有限公司 用于质谱数据的降噪方法、装置和存储介质

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20060154318A1 (en) * 2004-06-09 2006-07-13 Anderson Norman L Stable isotope labeled polypeptide standards for protein quantitation
JP2009068981A (ja) 2007-09-13 2009-04-02 Hitachi High-Technologies Corp 質量分析システム及び質量分析方法
JP4929149B2 (ja) 2007-12-27 2012-05-09 株式会社日立ハイテクノロジーズ 質量分析スペクトル分析方法
JP5170650B2 (ja) * 2008-02-29 2013-03-27 株式会社リガク ガス定量分析方法及びガス定量分析装置
CN105869981B (zh) 2010-09-08 2018-04-13 Dh科技发展私人贸易有限公司 用于在串联质谱分析中使用可变质量选择窗宽度的系统及方法
US9366678B2 (en) 2012-10-25 2016-06-14 Wisconsin Alumni Research Foundation Neutron encoded mass tags for analyte quantification
JP6044385B2 (ja) 2013-02-26 2016-12-14 株式会社島津製作所 タンデム型質量分析装置
EP3204740B1 (en) * 2014-10-08 2021-06-02 DH Technologies Development PTE. Ltd. Improving information dependent analysis (ida) spectral output for database searches
US10163613B2 (en) * 2015-08-13 2018-12-25 Dh Technologies Development Pte. Ltd. Deconvolution of mixed spectra
US10139379B2 (en) * 2016-06-22 2018-11-27 Thermo Finnigan Llc Methods for optimizing mass spectrometer parameters

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020519870A (ja) 2020-07-02
US11031216B2 (en) 2021-06-08
US20200135440A1 (en) 2020-04-30
WO2018211714A1 (en) 2018-11-22
CN108878253A (zh) 2018-11-23
CN108878253B (zh) 2020-06-23
EP3625817A1 (en) 2020-03-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6897797B2 (ja) 質量分析データ取得方法
JP7014293B2 (ja) 質量スペクトルデータの取得および解析方法
JP5214607B2 (ja) 質量分析計での解離型のデータ依存式選択
CN108389772A (zh) 基于高分辨率ms1的量化
JP4704034B2 (ja) クロマトグラフィ/分光測定データの解析でデータビンニングを用いる方法
JP2008542739A (ja) 質量スペクトル測定における複数イオン注入
EP3399540B1 (en) Variable data-dependent aquisition and dynamic exclusion method for mass spectrometry
US11699578B2 (en) Method of mass spectrometry
US20090299671A1 (en) Intelligent saturation control for compound specific optimization of mrm
US11232936B2 (en) Absolute quantitation of a target analyte using a mass spectrometer
JP2017181404A (ja) 分析用試料の調製方法、maldi−ms用サンプルプレート、および分析方法
US10748752B2 (en) Data independent acquisition with variable multiplexing degree
JP4239513B2 (ja) 質量分析システム、質量分析方法、質量分析装置
US10768151B2 (en) Techniques for display and processing of mass spectral data
WO2018163926A1 (ja) タンデム型質量分析装置及び該装置用プログラム
CN116263442A (zh) 提高效率的质谱法数据非依赖性分析方法
US20230307220A1 (en) Method for Extracting cIEF-MS Profiles from m/z versus Time Arrays
JPH03165446A (ja) 質量分析方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191105

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201013

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201210

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210511

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210524

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6897797

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151