JP6897596B2 - 車両の制御装置 - Google Patents
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Description
この発明は、運転者によるペダルの踏み込み操作に対応して車両の駆動力および制動力を制御する制御装置に関し、特に、一つのペダル(アクセルペダル)の操作によって車両の駆動力および制動力の両方を制御して走行すること(1ペダルモード)が可能な車両の制御装置に関するものである。
特許文献1には、コースト走行時に回生制動(コースト回生制動)を行う車両の制動制御装置が記載されている。この特許文献1に記載された制動制御装置は、車両がコースト走行する際に、回生ブレーキ装置によって回生制動トルクを発生させるコースト回生制動制御を実行する。そのコースト回生制動制御の実行時に、駆動輪に設定値を越えるスリップが発生していることを検出した場合には、回生ブレーキ装置による回生制動トルクを減少させる回生制動トルク減少制御を実行する。それと共に、摩擦制動装置による摩擦制動トルクを増加させる摩擦制動トルク補填制御を実行する。
一方、特許文献2には、一つのペダル(具体的には、アクセルペダル)の操作量に応じて車両の加速および減速を制御すること(いわゆる、1ペダルモード)を可能にする車両用制御システムが記載されている。この特許文献2に記載された車両用制御システムは、相対的に小さいアクセルペダルの操作量に対応する減速領域、および、相対的に大きいアクセルペダルの操作量に対応する加速領域を設定する。減速領域では、アクセルペダルの操作量が減少するほど車両の減速度が大きくなるように制御し、加速領域では、アクセルペダルの操作量が増加するほど車両の加速度が大きくなるように制御する。そして、車輪が滑り易い状態であることを検出した場合には、減速領域において発生可能な最大減速度を減少させる。
上記の特許文献1に記載された制動制御装置では、コースト回生制動制御の実行時に、駆動輪におけるスリップの有無を判断している。具体的には、駆動輪の車輪速センサ値と従動輪の車輪速センサ値との差に基づいて、駆動輪のスリップ量(スリップ率)が算出される。そのようなスリップ量またはスリップ率を基に駆動輪のスリップを検出した場合に、上記のような回生制動トルク減少制御が実行される。そのため、例えば車輪速センサに異常が生じ、駆動輪のスリップを適切に検出できない場合は、上記のような回生制動トルク減少制御を実施することができないおそれがある。また、上記の特許文献2に記載された車両用制御システムにおいても、車輪速センサに異常が生じた場合は、車輪のスリップ状態を適切に検出することができず、上記のような減速領域における最大減速度を減少させる制御を実施することができないおそれがある。したがって、特許文献1に記載された制動制御装置、および、特許文献2に記載された車両用制御システムのいずれにおいても、上記のような車輪のスリップを抑制するための制御が実施されない場合には、運転者が自らのペダル操作によってスリップに対応しなければならない状況が想定される。
上記の特許文献2に記載されているような1ペダルモードで駆動力および制動力を制御する車両では、アクセルペダルをOFFにする場合に、従来の車両よりも大きな制動力を発生するように設定されている。上記のように、例えば車輪速センサの異常により、スリップが発生しているにもかかわらず、スリップを抑制するための制御が実施されない場合には、運転者がアクセルペダルを踏み込むことによって制動力を低減させ、車輪のスリップを抑制しなければならない。そのような状況の下では、運転者は、車輪のスリップを迅速に制止させようとし、咄嗟に、アクセルペダルを急速にかつ大きな操作量で操作してしまう可能性がある。そのため、アクセルペダルの操作量が減速領域を超えて加速領域に達してしまい、運転者の制動意図に反して車両が加速してしまうおそれがある。
この発明は上記の技術的課題に着目して考え出されたものであり、1ペダルモードで駆動力および制動力の両方を制御する車両を対象にして、車輪のスリップが発生した際に、スリップを抑制する制御が実施されない場合であっても、運転者のアクセルペダルの操作によって容易にスリップを抑制することが可能な車両の制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、車輪の回転速度を検出する検出部と、前記検出部で検出した前記回転速度に基づいて前記車輪のスリップの有無を判断するとともに、前記スリップが発生した場合に制動力を低下させて前記スリップを抑制するスリップ制御を実行するコントローラとを備え、運転者によるアクセルペダルの操作量に基づいて駆動力および前記制動力を制御して走行することが可能な車両の制御装置において、前記コントローラは、前記操作量が0から切り替え操作量までの減速領域にある状態では、前記操作量が減少するほど前記制動力を増大し、前記操作量が前記切り替え操作量から最大操作量までの加速領域にある状態では、前記操作量が増加するほど前記駆動力を増大し、前記検出部の異常の有無を判断し、前記異常が発生した場合に、前記スリップ制御の実行を禁止するとともに、前記切り替え操作量を前記最大操作量側に変更して前記減速領域を拡大することを特徴とするものである。
この発明の車両の制御装置では、運転者によるアクセルペダルの踏み込み操作に基づいて、車両の駆動力および制動力の両方を制御する、いわゆる1ペダルモードで車両を走行させることが可能である。また、従来と同様に、車輪にスリップが発生した場合には、制動力を低下してスリップを抑制するスリップ制御が実行される。車輪のスリップの有無は、車輪の回転速度の検出値に基づいて判断されるため、例えば車輪速センサなどの検出部に異常が発生した場合、従来は、スリップ制御を適切に実行できない可能性がある。あるいは、スリップ制御の実行が禁止される。それに対して、この発明の車両の制御装置では、検出部に異常が発生した場合には、スリップ制御の実行を禁止するとともに、1ペダルモードにおいて、アクセルペダルの操作量の減速領域と加速領域とを区画する切り替え操作量が、最大操作量側に大きくなるように変更される。したがって、検出部に異常が発生していない通常時の減速領域に比較して、異常発生時の減速領域が拡大される。減速領域が拡大される分、異常発生時の加速領域は縮小される。
上記のような1ペダルモードで車両の駆動力および制動力を制御している際に車輪のスリップが発生した場合は、スリップ制御が実行されることにより、スリップが抑制され、車両の走行安定性が保たれる。ただし、検出部に異常が生じたことなどに起因してスリップ制御を適切に実行できない場合には、運転者自らのアクセルペダルの操作により、スリップを抑制しなければならない状況がある。そのような状況の下では、運転者は、咄嗟に、アクセルペダルを急速にかつ大きな操作量で操作してしまう可能性がある。それに対して、この発明の車両の制御装置では、検出部の異常発生時には、上記のように切り替え操作量を最大操作量側に変更して1ペダルモードの減速領域が拡大される。すなわち、スリップ制御を実行できない場合には、通常時よりも大きな操作量でアクセルペダルを踏み込まなければ駆動力を発生しない状態になる。
したがって、この発明の車両の制御装置によれば、検出部の異常発生時に、スリップの発生によって運転者がアクセルペダルを急速にかつ大きな操作量で操作したとしても、アクセルペダルの操作量が減速領域を超えて加速領域に達してしまうことを回避または抑制することができる。その結果、運転者の制動意図に反して車両が加速してしまうことを回避または抑制することができる。そのため、車輪のスリップが発生した際に、スリップを抑制するスリップ制御が実施されない場合であっても、運転者のアクセルペダルの操作によって容易にスリップを抑制し、安定して車両を走行させることができる。
この発明の実施形態を、図を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態は、この発明を具体化した場合の一例に過ぎず、この発明を限定するものではない。
図1に、この発明の実施形態で制御対象とする車両Veの駆動系統および制御系統の一例を示してある。図1に示す車両Veは、代表的に、駆動力源(PWR)1、前輪2、後輪3、アクセルペダル4、ブレーキ装置(BK)5、検出部6、および、コントローラ(ECU)7を備えている。
駆動力源1は、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関であり、出力の調整、ならびに、始動および停止などの作動状態が電気的に制御されるように構成されている。駆動力源1がガソリンエンジンであれば、スロットルバルブの開度、燃料の供給量または噴射量、点火の実行および停止、ならびに、点火時期などが電気的に制御される。また、駆動力源1がディーゼルエンジンであれば、燃料の噴射量、燃料の噴射時期、または、EGR[Exhaust Gas Recirculation]システムにおけるスロットルバルブの開度などが電気的に制御される。あるいは、この発明の実施形態における駆動力源1は、例えば、永久磁石式の同期モータ、もしくは、誘導モータなどの電気モータであってもよい。その場合の電気モータは、例えば、電力が供給されることにより駆動されてモータトルクを出力する原動機としての機能と、外部からのトルクを受けて駆動されることにより電気を発生する発電機としての機能とを兼ね備えている。すなわち、電気モータは、発電機能を有するモータ(いわゆる、モータ・ジェネレータ)であり、回転数やトルク、あるいは原動機としての機能と発電機としての機能との切り替えなどが電気的に制御される。
車両Veは、駆動力源1が出力する駆動トルクを、変速機(図示せず)を介して、前輪(駆動輪)2へ伝達するように構成してもよい。変速機は、駆動トルクが伝達される入力軸(図示せず)の回転数を変速し、駆動トルクを駆動輪側へ伝達する。変速機としては、例えば、有段式の自動変速機や無段変速機が用いられる。なお、図1には、前輪2が駆動輪となる前輪駆動車の構成を示しているが、この発明の実施形態における車両Veは、後輪3が駆動輪となる後輪駆動車であってもよい。あるいは、前輪2および後輪3の両方を駆動輪とする四輪駆動車であってもよい。
この発明の実施形態で制御対象とする車両Veは、従来一般的な構成であって、運転者が駆動力を調整して車両Veの加速操作を行うためのアクセルペダル4が設けられている。アクセルペダル4が踏み込まれることにより、そのアクセルペダル4の操作量(踏み込み量、もしくは、アクセル開度またはアクセルポジション)に対応してスロットルポジション(例えば、ガソリンエンジンのスロットルバルブの開度、あるいは、ディーゼルエンジンの燃料噴射量)が増大する。その結果、駆動トルクが増大し、車両Veの駆動力が増大する。反対に、アクセルペダル4の踏み込みが戻される(操作量が低減される、もしくは、アクセル開度またはアクセルポジションが低下する)ことにより、そのアクセルペダル4の操作量に対応してスロットルポジションが低下する。その結果、駆動トルクが減少し、車両Veの駆動力が減少する。また、駆動力が減少することに伴い、車両Veの制動力が増大する。すなわち、アクセルペダル4の踏み込みが戻されることにより、いわゆるエンジンブレーキが作用し、車両Veの制動力が増大する。例えば、内燃機関のフリクショントルクやポンピングロスが駆動トルクに対する抵抗力(制動トルク)となり、車両Veに制動力が発生する。あるいは、駆動力源1として電気モータを搭載している場合は、電気モータが回生ブレーキとして機能し、車両Veに制動力が発生する。
上記のように、アクセルペダル4は、運転者の操作によって車両Veの駆動力および制動力を調整する。後述するように、このアクセルペダル4には、運転者によるアクセルペダル4の操作量および操作速度を検出するためのアクセルポジションセンサ6bが設けられている。アクセルポジションセンサ6bにより、アクセルペダル4の操作量(すなわち、アクセル開度またはアクセルポジション)を検出することができる。また、アクセルポジションセンサ6bによってアクセルペダル4の操作速度を検出することにより、運転者によるアクセルペダル4の操作状態および操作方向を判断することができる。すなわち、運転者によってアクセルペダル4が踏み込まれている状態であるか、あるいは、運転者によってアクセルペダル4の踏み込みが戻されている状態であるかを判断することができる。
ブレーキ装置5は、車両Veの制動力を発生する装置であり、例えば、油圧式のディスクブレーキやドラムブレーキなど、従来一般的な構成が用いられる。この発明の実施形態における車両Veでは、ブレーキ装置5は、コントローラ7によって制御され、例えば、後述するようなスリップ制御の実行に伴って作動する。また、後述するような1ペダルモードにおいて、運転者によるアクセルペダル4の操作状態および操作量に応じて制動力を発生するように作動する。なお、車両Veは、運転者が制動力を調整して車両Veの制動操作を行うためのブレーキペダル8を備えていてもよい。その場合、ブレーキ装置5は、運転者によるブレーキペダルの踏み込み操作によって作動し、車両Veの制動力を発生する。したがって、車両Veは、後述するような通常モードおよび1ペダルモードの二つのドライブモードを設定することが可能になる。ブレーキペダル8には、運転者によるブレーキペダル8の踏み込み操作におけるストロークおよび踏力を検出するためのブレーキストロークセンサ6cが設けられる。ブレーキストロークセンサ6cの代わりに、運転者によるブレーキペダル8の操作状態(ブレーキ装置5のON・OFF、あるいは、ブレーキペダル8の操作量)を検出するブレーキスイッチ(図示せず)を用いることもできる。
車両Veは、車両Veの各部を制御するためのデータを取得する検出部6を備えている。検出部6は、車両Veを制御するための各種データを検出するセンサや機器を総称している。検出部6は、少なくとも、前輪2および後輪3の回転速度をそれぞれ検出する車輪速センサ6a、および、アクセルペダル4の操作量(すなわち、アクセルポジション、または、アクセル開度)および操作速度を検出するアクセルポジションセンサ6bを有している。その他に、例えば、ブレーキペダル8の操作量や踏力を検出するブレーキストロークセンサ(または、ブレーキスイッチ)6c、および、車両Veの前後加速度を検出する加速度センサ6dなどを有している。検出部6は、後述するコントローラ7と電気的に接続されており、上記のような各種センサや機器等の検出値に応じた電気信号を検出データとしてコントローラ7に出力する。
上記のような車両Veを制御するためのコントローラ7が設けられている。コントローラ7は、例えばマイクロコンピュータを主体にして構成される電子制御装置である。コントローラ7には、上記の検出部6で検出された各種データが入力される。コントローラ7は、上記のような入力された各種データ、および、予め記憶させられているデータや計算式等を使用して演算を行う。それとともに、その演算結果を制御指令信号として出力し、車両Veを制御するように構成されている。
例えば、コントローラ7は、アクセルポジションセンサ6bで検出したアクセルペダル4の操作量、および、車輪速センサ6aの検出値から算出した車速に基づいて、駆動力源1の目標駆動トルクを算出する。そして、その目標駆動トルクに基づいて、駆動力源1の出力を制御する。また、コントローラ7は、変速機で設定する変速比(もしくは、変速段)を制御する。また、コントローラ7は、アクセルポジションセンサ6bで検出したアクセルペダル4の操作量および操作速度に対応させて、車両Veに発生させる駆動力および制動力を制御する。あるいは、ブレーキペダル8の操作量や踏力に対応させて、車両Veに発生させる制動力を制御する。なお、図1では一つのコントローラ7が設けられた例を示しているが、コントローラ7は、例えば制御する装置や機器毎に、あるいは制御内容毎に、複数設けられていてもよい。
この発明の実施形態における車両Veは、運転者による車両Veの駆動力および制動力の制御の形態として、運転者によるアクセルペダル4の操作量に基づいて駆動力および制動力の両方を制御する、いわゆる1ペダルモードで走行することが可能である。なお、図1に示す例のように、車両Veが従来と同様のブレーキペダル8を備えている場合は、アクセルペダル4およびブレーキペダル8のそれぞれの操作量に基づいて駆動力および制動力を制御する通常モードで走行することも可能である。したがって、通常モードおよび1ペダルモードの二つのドライブモードを設定することが可能である。そして、それら通常モードと1ペダルモードとを、選択的に適宜切り替えて走行することが可能である。
通常モードでは、従来一般的な車両Veと同様に、運転者によるアクセルペダル4およびブレーキペダル8の操作により、車両Veの加速および減速が行われる。なお、この発明の実施形態における車両Veは、必ずしも通常モードおよび1ペダルモードの二つのドライブモードを設定することが可能な構成ではなくともよい。ブレーキペダルを設けず、アクセルペダル4だけで車両Veの駆動力および制動力の両方を制御する構成、すなわち、1ペダルモードのみで車両Veを走行させる構成であってもよい。
1ペダルモードでは、運転者によるアクセルペダル4のみの操作により、車両Veの加速および減速が行われる。具体的には、この発明の実施形態における車両Veでは、例えば、前述した特許文献2に記載されている車両と同様に、アクセルペダル4の操作量の範囲に対して、相対的に大きい操作量に対応する加速領域と、相対的に小さい操作量に対応する減速領域とが設定されている。この発明の実施形態における車両Veの制御装置では、アクセルペダル4の操作量に対する減速領域と加速領域とを区画する切り替え操作量が設定されている。アクセルペダル4の操作量が0から切り替え操作量までの領域が減速領域となる。アクセルペダル4の操作量が減速領域にある状態では、操作量が減少するほど車両Veの制動力が増大する。アクセルペダル4の操作量が切り替え操作量から最大操作量までの領域が加速領域になる。アクセルペダル4の操作量が加速領域にある状態では、操作量が増加するほど車両Veの駆動力が増大する。アクセルペダル4の最大操作量は、例えばアクセルペダル4の操作量をアクセル開度で表した場合、アクセル全開の状態、すなわち、アクセル開度が100%の状態となる。
したがって、1ペダルモードにおける加速領域では、アクセルペダル4は通常の状態(すなわち、通常モードの状態)のアクセルペダルとして機能する。すなわち、加速領域では、アクセルペダル4の操作量の増加に対応して車両Veの駆動力が増大するように制御される。例えば、アクセルペダル4の操作量が大きくなるほど、車両Veの駆動力が増大するように制御される。
一方、1ペダルモードにおける減速領域では、アクセルペダル4の操作量の減少に対応して車両Veの制動力が増大するように制御される。例えば、アクセルペダル4の操作量が小さくなるほど、車両Veの制動力が増大するように制御される。この場合の制動力は、前述したようなエンジンブレーキ力、および、ブレーキ装置5を作動させることにより発生させる制動力の両方を含んでいる。また、駆動力源1としてモータ・ジェネレータを備えている場合は、モータ・ジェネレータで発生する回生トルクによる制動力も含まれる。要求される制動力を満たすように、上記のような各種の制動力がそれぞれ協調して制御される。
前述したように、この発明の実施形態における車両Veの制御装置は、上記のような1ペダルモードで走行することが可能な車両Veを対象にして、駆動輪(図1に示す例では、前輪2)のスリップが発生した際に、運転者のアクセルペダル4の操作によって容易にスリップを抑制することを目的として構成されている。そのような目的を実現するためにコントローラ7で実行する制御の一例を、図2のフローチャートに示してある。
図2のフローチャートに示す制御は、車両Veのドライブモードが1ペダルモードである場合に実行される。車両Veが、通常モードおよび1ペダルモードの二つのドライブモードを設定することが可能な構成である場合は、車両Veのドライブモードが1ペダルモードであると判断された場合に実行される。
図2のフローチャートにおいて、先ず、ステップS1で、車輪速センサ6aに異常が発生しているか否かが判断される。例えば、少なくともいずれか一つの車輪に設定された車輪速センサ6aが、基準値を超える大きな異常値を出力している場合に、車輪速センサ6aに異常が発生していると判断される。あるいは、少なくともいずれか一つの車輪に設定された車輪速センサ6aが、基準値を下回る低い異常値を出力している場合、もしくは、少なくともいずれか一つの車輪に設定された車輪速センサ6aの出力がない場合に、車輪速センサ6aに異常が発生していると判断される。
車輪速センサ6aに異常が発生していることにより、このステップS1で肯定的に判断された場合は、ステップS2へ進む。
ステップS2では、スリップ制御の実行が禁止される。前述したように、この発明の実施形態における車両Veの制御装置は、車輪(駆動輪)にスリップが発生した場合に、制動力を低下させてスリップを抑制するスリップ制御を実行する。駆動輪(前輪)2のスリップは、車輪速センサ6aの検出値に基づいて判断される。したがって、車輪速センサ6aに異常が発生した場合は、スリップ制御を適切に実行できない可能性がある。そのため、このステップS2では、車輪速センサ6aに異常が発生しており、スリップ制御を適切に実行できない可能性があるので、スリップ制御を実行することが禁止される。
続いて、ステップS3では、アクセル開度に対する制動力および駆動力の設定が変更される。具体的には、図3に示すように、アクセルペダル4のアクセル開度(操作量)に対する切り替え操作量が、最大操作量側(図3の右側)に大きくなるように変更される。図3に示す例では、アクセル開度α%であった変更前・切り替え操作量が、アクセル開度β%(β>α)の変更後・切り替え操作量に変更される。
切り替え操作量は、アクセルペダル4の操作量に対する減速領域と加速領域とを区画する操作量のポイントであり、図3に示すように、アクセル開度(操作量)に応じて決まる駆動力および制動力の大きさが0になるアクセル開度(操作量)である。したがって、車両Veは、1ペダルモードにおいて、この切り替え操作量を境にして、駆動力を発生する状態と制動力を発生する状態とが切り替わる。アクセル開度が切り替え操作量よりも大きい加速領域では、車両Veは、アクセル開度が増加するほど駆動力が増大するように制御される。アクセル開度が切り替え操作量よりも小さい減速領域では、車両Veは、アクセル開度が減少するほど制動力が増大するように制御される。
上記のように切り替え操作量が最大操作量側に変更されることにより、変更前の通常時と比較して、減速領域が拡大され、加速領域が縮小される。そのため、車両Veは、通常時よりもアクセル開度が大きくならないと駆動力を発生しない状態になる。すなわち、運転者が、通常時よりもアクセルペダル4をより多く踏み込まないと駆動力を発生しない状態になる。
また、図3に示す例では、変更前の通常時に、アクセル開度(操作量)に応じた駆動力または制動力を決めるマップが、図3に一点鎖線で示すように、アクセル開度(操作量)が0%から100%(最大操作量)に至る領域で直線となるように設定されている。それに対して、変更後の異常時には、アクセル開度(操作量)に応じた駆動力または制動力を決めるマップが、図3に実線で示すように、アクセル開度(操作量)が0%から100%(最大操作量)に至る領域で、変更前の直線に対して高アクセル開度側かつ低駆動力(高制動力)側に湾曲する曲線となるように設定されている。
したがって、車輪速センサ6aの異常発生時に、上記の図3に示すように切り替え操作量およびマップを変更することにより、車両Veは、運転者が通常時よりもアクセルペダル4をより多く踏み込まないと駆動力を発生しない状態になる。また、運転者がアクセルペダル4を踏み込んだ場合には、通常時よりも緩やかに制動力が減少し、かつ、通常時よりも緩やかに駆動力が増大する状態になる。
上記のように車輪速センサ6aに異常が生じている状態で、仮に、駆動輪(前輪)2のスリップが発生した場合は、車輪速センサ6aの異常によってスリップ制御の実行が禁止されているため、運転者のアクセルペダル4の操作によってスリップを抑制しなければならない状況になる。具体的には、運転者は、スリップを抑制するために、アクセルペダル4の踏み込みを戻して(アクセルペダル4の操作量を減少させて)制動力を発生させていた状態から、アクセルペダル4を踏み込んで(アクセルペダル4の操作量を増加させて)制動力を低下させる必要がある。そのような状況の下では、運転者は、咄嗟に、アクセルペダル4を急速にかつ大きな操作量で操作してしまう可能性がある。それに対して、この発明の実施形態における車両Veの制御装置では、上記のように切り替え操作量およびマップが変更されていることにより、車両Veは、通常時よりも大きな操作量でアクセルペダル4を踏み込まないと駆動力を発生せず、また、通常時よりも緩やかに制動力が減少し、かつ、通常時よりも緩やかに駆動力が増大する状態になっている。そのため、スリップに対処するため、運転者がアクセルペダル4を急速にかつ大きな操作量で操作したとしても、アクセルペダル4の操作量が減速領域を超えて加速領域に達してしまうことを回避または抑制することができる。
上記のステップS3で、制動力および駆動力の設定が変更されると、すなわち、1ペダルモードにおける切り替え操作量、ならびに、減速領域および加速領域を規定するマップが変更されると、次のステップS4へ進む。なお、車輪速センサ6aに異常が発生していないことにより、前述のステップS1で否定的に判断された場合には、上記のステップS2およびステップS3を飛ばして、このステップS4へ進む。
ステップS4では、アクセル開度が検出される。具体的には、アクセルポジションセンサ6bの検出値に基づいて、アクセルペダル4の操作量(すなわち、アクセル開度またはアクセルポジション)が求められる。
ステップS5では、車体速度(車速)が検出される。この場合は車輪速センサ6aに異常が生じているため、例えば、加速度センサ6dによって検出した車両Veの前後加速度を基に、車体速度が算出される。
ステップS6では、制動力および駆動力の指令値が決定される。上記のステップS4およびステップS5でそれぞれ求めたアクセル開度および車体速度に基づいて、出力する制動力の指令値および駆動力の指令値がそれぞれ決定される。
ステップS7では、上記のステップS6で決定された制動力の指令値および駆動力の指令値に基づいて、駆動力源1から、制動力を発生するための制動トルク、または、駆動力を発生するための駆動トルクが出力される。もしくは、ブレーキ装置5から制動トルクが出力される。そしてその後、このルーチンを一旦終了する。
以上のように、この発明の実施形態における車両Veの制御装置によれば、車輪速センサ6aに異常が発生し、スリップ制御実行が禁止される場合に、車両Veは、通常時よりも大きな操作量でアクセルペダル4を踏み込まないと駆動力を発生せず、また、通常時よりも緩やかに制動力が減少する状態に変更される。そのため、スリップの発生によって運転者がアクセルペダル4を急速にかつ大きな操作量で操作したとしても、アクセルペダル4の操作量が減速領域を超えて加速領域に達してしまうことを回避または抑制することができる。その結果、スリップ発生時に、運転者の制動意図に反して車両Veが加速してしまうことを回避または抑制することができる。したがって、駆動輪(前輪)2のスリップが発生した際に、スリップを抑制するスリップ制御が実施されない場合であっても、運転者のアクセルペダル4の操作によって容易にスリップを抑制し、安定して車両Veを走行させることができる。
1…駆動力源(PWR)、 2…前輪、 3…後輪、 4…アクセルペダル、 5…ブレーキ装置、 6…検出部、 6a…車輪速センサ、 6b…アクセルポジションセンサ、 6c…ブレーキストロークセンサ(ブレーキスイッチ)、 6d…加速度センサ、 7…コントローラ(ECU)、 8…ブレーキペダル、 Ve…車両。
Claims (1)
- 車輪の回転速度を検出する検出部と、前記検出部で検出した前記回転速度に基づいて前記車輪のスリップの有無を判断するとともに、前記スリップが発生した場合に制動力を低下させて前記スリップを抑制するスリップ制御を実行するコントローラとを備え、運転者によるアクセルペダルの操作量に基づいて駆動力および前記制動力を制御して走行することが可能な車両の制御装置において、
前記コントローラは、
前記操作量が0から切り替え操作量までの減速領域にある状態では、前記操作量が減少するほど前記制動力を増大し、
前記操作量が前記切り替え操作量から最大操作量までの加速領域にある状態では、前記操作量が増加するほど前記駆動力を増大し、
前記検出部の異常の有無を判断し、
前記異常が発生した場合に、前記スリップ制御の実行を禁止するとともに、前記切り替え操作量を前記最大操作量側に変更して前記減速領域を拡大する
ことを特徴とする車両の制御装置。
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