JP6896351B2 - 過熱水蒸気を使用した焼成ポケットブレッドの製造方法 - Google Patents
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Description
一般的なポケットブレッドの製造方法として、250℃程度のオーブン中で4分間ほどの短時間で一気に焼成することが行われている。
このとき、生地に大きな空洞ができる。
焼成済みのポケットブレッドは適当にカットされ、開口した空洞からソースや具材などを詰め調理ブレッドとして食されている。
過熱水蒸気を使用したベイキングの方法として、例えば、ピザクラストの製造工程においてピザクラストの製造工程における焼成工程前に過熱水蒸気の温度を140〜26 0℃ にし、処理する時間を3〜15秒にするピザクラストの製造方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
ポケットブレッドは、前記のピザ等のフラットブレッドとは異なり生地に大きな空洞を作ることが特徴であるが、ピザ等では、逆に、空洞ができないよう生地膨張を押さえるためにピケや押さえ蓋をすることがある。
したがって、フラットブレッドとポケットブレッドは全く異なる製品であり、ポケットブレッドの製造方法において、過熱水蒸気を使用することは知られていなかった。
従って、本発明は、焼成前の生地の厚みを5mm以上20mm以下とし、該生地を過熱水蒸気で焼成する焼成ポケットブレッドの製造方法であって、過熱水蒸気による焼成温度が210℃以上320℃以下、焼成時間が120秒以上210秒以下であり、かつ過熱水蒸気の温度(℃)と過熱水蒸気による焼成時間(秒)の積が37200以上50400以下であることを特徴とする焼成ポケットブレッドの製造方法である。
本発明で使用する焼成前の生地は従来のポケットブレッドと同様の生地でよい。
例えば、生地の製造方法として、直捏法、中種法、液種法などが使用できる。
生地の原料としては、穀粉、糖類、油脂、乳製品、卵製品、植物性蛋白、澱粉、発酵物、モルトフラワー、酵素、ビタミンCなどを挙げることができる。
これらの原料を必要に応じて配合し、上記の製造方法により生地を得ることができる。
得られた生地を円形又は楕円形のシート状に成形するが展圧の手段としては、モルダー、めん棒、手で伸ばす方法などを挙げることができる。
本発明で使用する焼成前の生地の厚みは、5mm以上20mm以下である。
生地の厚みが5mm未満では、ポケットブレッドとしては厚みが薄すぎ、空洞ができたとしても脆くて割れやすく、20mmを超えると生地内部全体に空洞が生じにくく、焼成むらが生じるため好ましくない。
過熱水蒸気による焼成は、シート状生地の両面から行う。
例えば、ネットコンベヤに生地を載せ生地の上面と底面から過熱水蒸気を当てて焼成する方法を挙げることができる。
過熱水蒸気による焼成は、過熱水蒸気の温度が210℃以上320℃以下で焼成時間が105秒以上210秒以下で行うことが好ましい。
このとき、さらに、過熱水蒸気の温度(℃)と過熱水蒸気による焼成時間(秒)の積が30000以上60000以下であることが好ましい。
本発明では、過熱水蒸気の温度と焼成時間が重要であり、この焼成時間を外れた場合、例えば、高温短時間による焼成でも低温長時間でも好ましい効果を得ることができない。
過熱水蒸気の温度が210℃未満では、生地表面に必要な焼色が付け難く、320℃を超えると生地表面に焦げが生じ、クラストが破損しやすくなるため、好ましくない。
また、焼成時間は、105秒未満では、加熱不足となりやすく生地中心部に生の状態が残ったり、ねちゃつく食感になりやすく好ましくない。
210秒を超えると水分が蒸発し過ぎ、製品のクラストが硬くなり破損しやすくなるので好ましくない。
なお、上記過熱水蒸気の温度は過熱水蒸気が生地に接するときの温度である。
また、本発明においてクラストとは生地を焼成した際の製品表皮をいい、クラムとは生地を焼成した際の製品内部をいう。
また、得られた焼成ポケットブレッドを半分にカットし、開口した空洞にソースやサラダ、フライ品などを詰め調理ブレッドとして食することができる。
[実施例4〜9、12、参考例1〜3、10〜11、13、比較例1]
強力小麦粉100質量部、食塩2質量部、モルトシロップ0.3質量部、ドライイースト0.6質量部および水69質量部を24℃で低速5分間、中速3分間ミキシングして生地とした後、27℃、湿度80%で60分間発酵し、60gに分割して丸めベンチタイムを20分間とった。
次にモルダーで、長径110mm、短径85mm、厚さ8mmの楕円状の生地に展圧した。
この生地を室温で20分間休ませた後、比較例1以外は連続式過熱蒸気調理機(中西製作所(社)製:製品名小型SVロースター)により過熱水蒸気の供給量を100kg/時間として表1に示す過熱水蒸気温度及び焼成時間で焼成して焼成品を得た。
比較例1は、過熱水蒸気ではなく、乾燥熱風を使用して焼成した。
得られた焼成ポケットブレッドを室温で一時間放置した後、空洞の状態及び長径と短径の長さを測定し、10名のパネラーにより以下の評価基準で外観及び食感を評価した。
・外観
5点・・・表面に光沢があり、乾燥なく、良い。
4点・・・表面にやや光沢があり、乾燥なく、やや良い。
3点・・・表面に乾燥なく普通。
2点・・・表面が乾燥し硬く、焦げがあり、やや悪い。
1点・・・表面が乾燥し硬く、広い範囲に焦げがあり、クラストの一部に穴が開き悪い。
・焼成後の製品内部の空洞
5点・・・内部に大きな空洞が90%以上の面積に拡がっている。
4点・・・内部に大きな空洞が80%以上90%未満の面積に拡がっている。
3点・・・内部に大きな空洞が70以上80%未満の面積に拡がっている。
2点・・・内部に大きな空洞が30%以上70%未満の面積に拡がっている。
1点・・・内部に大きな空洞が30%未満の面積に拡がっている。
・クラムの食感
5点・・・ネチャつかず口溶けが良好で、良い
4点・・・ネチャつきがほとんどなく口溶けはやや良好で、やや良い
3点・・・ネチャつきが少なく口溶けはやや良好で、普通
2点・・・ややネチャつきがあり口溶けがやや良くなく、やや劣る
1点・・・ネチャつきがあり口溶けが良くなく、劣る
・クラストの食感
5点・・・ひきと硬さのバランスが非常に良く、歯切れが非常に良い
4点・・・ひきと硬さのバランスが良く、歯切れが良い
3点・・・ひきと硬さのバランスが普通で、歯切れは普通
2点・・・引きがかなり強すぎるか、又は、かなり弱すぎ、硬さはかなり硬すぎるか、又は、かなり柔らかすぎ、歯切れはやや劣る
1点・・・引きが非常に強すぎるか、又は、非常に弱すぎ、硬さは非常に硬すぎるか、又は、非常に柔らかすぎ、歯切れは劣る
なお、ボリューム評価において、生地体積は空洞が生じるため測定対象としては適当ではないので、長径と短径の長さを測定して評価している。
長径と短径の長さが大きいものは、ボリュームがでていた。
得られた焼成後の長径の長さ及び焼成後の短径の長さの測定結果を表1に、空洞の状態を表2に、外観を表3に、クラムの食感を表4に、クラストの食感を表5に示す。
この冷凍焼成ポケットブレッドを室温で1時間自然解凍して試食したところ良好な食感であった。
冷凍保存によっては、ほとんど食感が低下しなかった。
冷蔵保存によっても、ほとんど食感が低下しなかった。
Claims (1)
- 焼成前の生地の厚みを5mm以上20mm以下とし、該生地を過熱水蒸気で焼成する焼成ポケットブレッドの製造方法であって、過熱水蒸気による焼成温度が210℃以上320℃以下、焼成時間が120秒以上210秒以下であり、かつ過熱水蒸気の温度(℃)と過熱水蒸気による焼成時間(秒)の積が37200以上50400以下であることを特徴とする焼成ポケットブレッドの製造方法。
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JP2018059392A JP6896351B2 (ja) | 2018-03-27 | 2018-03-27 | 過熱水蒸気を使用した焼成ポケットブレッドの製造方法 |
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JP2018059392A JP6896351B2 (ja) | 2018-03-27 | 2018-03-27 | 過熱水蒸気を使用した焼成ポケットブレッドの製造方法 |
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JP2018059392A Active JP6896351B2 (ja) | 2018-03-27 | 2018-03-27 | 過熱水蒸気を使用した焼成ポケットブレッドの製造方法 |
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