以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る駐車形態判定装置を含む駐車支援システムの要部を示すブロック図である。図1を参照して、実施の形態1に係る駐車形態判定装置を含む駐車支援システムについて説明する。
図1に示す如く、車両1に距離センサ2が設けられている。距離センサ2は、超音波、電波又は光など(以下総称して「探査波」という。)を送信自在なものである。距離センサ2は、車両1の周囲における障害物等の物体(以下総称して「障害物」という。)により探査波が反射されたとき、当該反射された探査波(以下「反射波」ということがある。)を受信自在なものである。障害物は、駐車中の他車両Vを含むものである。
具体的には、例えば、距離センサ2は、車両1の左側面部に設けられている。または、例えば、距離センサ2は、車両1の右側面部に設けられている。または、例えば、距離センサ2は、車両1の左側面部及び右側面部の各々に設けられている。
車両1の左側面部に設けられた距離センサ2は、車両1の左方に探査波を送信自在なものである。また、かかる距離センサ2は、車両1の左方における障害物により探査波が反射されたとき、かかる障害物による反射波を受信自在なものである。
車両1の右側面部に設けられた距離センサ2は、車両1の右方に探査波を送信自在なものである。また、かかる距離センサ2は、車両1の右方における障害物により探査波が反射されたとき、かかる障害物による反射波を受信自在なものである。
以下、車両1の左側面部に距離センサ2が設けられている例を中心に説明する。
車両1に第1センサ類3が設けられている。第1センサ類3は、例えば、車輪速センサ及びシフトポジションセンサを含むものである。
車両1に第2センサ類4が設けられている。第2センサ類4は、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機、ヨーレートセンサ及びジャイロセンサを含むものである。
車両1に第1制御装置5が設けられている。第1制御装置5は、例えば、ECU(Electronic Control Unit)により構成されている。第1制御装置5は、速度判定部11、距離測定部12、位置算出部13、グループ化部14、角度演算部15、長さ演算部16及び駐車形態判定部17を有している。グループ化部14、角度演算部15、長さ演算部16及び駐車形態判定部17により、駐車形態判定装置100の要部が構成されている。
車両1に第2制御装置6が設けられている。第2制御装置6は、例えば、ECUにより構成されている。
このようにして、駐車支援システム200の要部が構成されている。
次に、図2〜図9を参照して、第1制御装置5内の各部により実行される処理について説明する。また、第2制御装置6により実行される制御について説明する。
速度判定部11は、第1センサ類3による出力信号を取得する。速度判定部11は、当該取得された信号を用いて、車両1が所定速度(例えば30キロメートル毎時)未満の速度にて走行中であるか否かを判定する。以下、速度判定部11により実行される処理を総称して「速度判定処理」という。
距離測定部12は、車両1が所定速度未満の速度にて走行しているとき、所定の時間間隔にて距離センサ2に電気信号(以下「送信信号」という。)を供給する。これにより、距離センサ2は、所定の時間間隔にて探査波を送信する。距離センサ2は、障害物による反射波を受信したとき、当該受信された反射波に対応ずる電気信号(以下「受信信号」という。)を出力する。距離測定部12は、当該出力された受信信号を取得する。
距離測定部12は、探査波の送信時刻及び反射波の受信時刻に基づき、探査波の往復伝搬時間RPTを算出する。距離測定部12には、空気中の探査波の伝搬速度PVが予め記憶されている。距離測定部12は、これらの値を用いて、以下の式(1)により距離Dを算出する。すなわち、距離Dは、探査波の送信タイミングにおける車両1と障害物間の距離に対応するものである。
D=(PV×RPT)/2 (1)
以下、距離測定部12により実行される処理を総称して「距離測定処理」という。
位置算出部13は、第2センサ類4による出力信号を取得する。位置算出部13は、当該取得された信号を用いて、探査波の送信タイミングにおける車両1の位置(以下「自車位置」という。)を算出する。自車位置は、例えば、基準時刻(例えば距離測定処理の開始時刻)における車両1の左右方向に沿うX軸を有し、かつ、基準時刻における車両1の進行方向(すなわち車両1の前後方向)に沿うY軸を有する座標系CSにおける座標値により表される。
位置算出部13は、当該算出された自車位置に基づき、探査波の送信タイミングにおける距離センサ2の位置(以下「センサ位置」という。)Psを算出する。センサ位置Psは、例えば、座標系CSにおける座標値により表される。なお、位置算出部13には、車両1における距離センサ2の設置位置を示す情報が予め記憶されている。センサ位置Psの算出には、当該記憶されている情報が用いられる。
位置算出部13は、当該算出されたセンサ位置Ps及び距離測定部12により測定された距離Dに基づき、探査波が反射された地点(以下「反射点」という。)Pの位置を算出する。反射点Pの位置は、例えば、座標系CSにおける座標値により表される。
具体的には、例えば、位置算出部13は、いわゆる「二円交点処理」又は「合成開口処理」を実行することにより、反射点Pの位置を算出する。図2は、二円交点処理又は合成開口処理の例を示している。図中、RPは、車両1の走行軌跡を示している。
図2に示す如く、探査波が2回送信されることにより、距離D_1,D_2が測定されたものとする。このとき、位置算出部13は、円C_1,C_2の交点の位置を算出することにより、反射点Pの位置を算出する。すなわち、円C_1は、第1回目の探査波の送信タイミングにおけるセンサ位置Ps_1に対応する中心を有し、かつ、第1回目の探査波の送信により測定された距離D_1に対応する半径を有するものである。また、円C_2は、第2回目の探査波の送信タイミングにおけるセンサ位置Ps_2に対応する中心を有し、かつ、第2回目の探査波の送信により測定された距離D_2に対応する半径を有するものである。
ここで、図5Aは、障害物が駐車中の他車両Vであり、かつ、駐車形態が縦列駐車であるときの、位置算出部13により算出された反射点Pの位置の例を示している。図5Aに示す例においては、9個の反射点Pの位置が算出されている。
また、図6Aは、障害物が駐車中の他車両Vであり、かつ、駐車形態が並列駐車であるときの、位置算出部13により算出された反射点Pの位置の例を示している。図6Aに示す例においては、7個の反射点Pの位置が算出されている。
また、図7A及び図8Aの各々は、障害物が駐車中の他車両Vであり、かつ、駐車形態が斜め駐車であるときの、位置算出部13により算出された反射点Pの位置の例を示している。図7Aに示す例においては、10個の反射点Pの位置が算出されている。図8Aに示す例においては、7個の反射点Pの位置が算出されている。
図中、φsは、Y軸に沿う方向に対する他車両Vの左側面部又は右側面部(以下総称して「サイド面部」ということがある。)の角度を示している。また、φnは、Y軸に沿う方向に対する他車両Vの前面部又は後面部(以下総称して「ノーズ面部」ということがある。)の角度を示している。
以下、角度φs,φnのうちのより小さい角度に対応する面部を「基準面部」ということがある。例えば、図7Aに示す例においては、φs<φnであるため、サイド面部が基準面部である。他方、図8Aに示す例においては、φs>φnであるため、ノーズ面部が基準面部である。
通常、角度φs,φnの合計値は90度である。したがって、角度φsが45度よりも小さいときは、角度φnが45度よりも大きい(図7A参照)。このため、サイド面部による反射波に比して、ノーズ面部による反射波が受信され難くなる。この結果、サイド面部に対応する反射点Pの個数に比して、ノーズ面部に対応する反射点Pの個数が少なくなる(図7A参照)。
他方、角度φnが45度よりも小さいときは、角度φsが45度よりも大きい(図8A参照)。このため、ノーズ面部による反射波に比して、サイド面部による反射波が受信され難くなる。この結果、ノーズ面部に対応する反射点Pの個数に比して、再度面部に対応する反射点Pの個数が少なくなる(図8A参照)。
以下、位置算出部13により実行される処理を総称して「位置算出処理」という。
グループ化部14は、位置算出部13により複数個の反射点Pの位置が算出されたとき、当該複数個の反射点Pをグループ化することにより、1個又は複数個のグループGを設定する。具体的には、例えば、グループ化部14は、当該複数個の反射点Pのうちの互いに隣接する各2個の反射点Pについて、当該2個の反射点P間の距離が所定距離未満である場合、当該2個の反射点Pを互いに同一のグループGに含める。他方、当該2個の反射点P間の距離が所定距離以上である場合、グループ化部14は、当該2個の反射点Pを互いに異なるグループGに含める。これにより、原則、1個又は複数個の障害物と一対一に対応する1個又は複数個のグループGが設定される。
図5Aは、障害物が駐車中の他車両Vであり、かつ、駐車形態が縦列駐車であるときの、他車両Vに対応するグループGの例を示している。図5Aに示す例においては、9個の反射点Pを含むグループGが設定されている。
図6Aは、障害物が駐車中の他車両Vであり、かつ、駐車形態が並列駐車であるときの、他車両Vに対応するグループGの例を示している。図6Aに示す例においては、7個の反射点Pを含むグループGが設定されている。
図7Aは、障害物が駐車中の他車両Vであり、かつ、駐車形態が斜め駐車であり、かつ、基準面部がサイド面部であるときの、他車両Vに対応するグループGの例を示している。図7A示す例においては、10個の反射点Pを含むグループGが設定されている。
図8Aは、障害物が駐車中の他車両Vであり、かつ、駐車形態が斜め駐車であり、かつ、基準面部がノーズ面部であるときの、他車両Vに対応するグループGの例を示している。図8A示す例においては、7個の反射点Pを含むグループGが設定されている。
以下、グループ化部14により実行される処理を総称して「グループ化処理」という。
角度演算部15は、個々のグループGに含まれる複数個の反射点Pのうちの互いの隣接する各2個の反射点Pを結ぶ線分SLについて、座標系CSにおける個々の線分SLの傾き角度(以下「線分角度」という。)θを演算する。線分角度θは、例えば、Y軸に沿う方向に対する線分SLの傾き角度である(図3参照)。
または、角度演算部15は、個々の線分SLに対する法線ベクトルNVを演算する。角度演算部15は、座標系CSにおける個々の法線ベクトルNVの傾き角度(以下「法線角度」という。)θを演算する。法線角度θは、例えば、X軸に沿う方向に対する法線ベクトルNVの傾き角度である(図4参照)。
通常、個々の線分角度θの値は、対応する法線角度θの値と同一である。以下、線分角度θ及び法線角度θを総称して単に「角度」ということがある。
長さ演算部16は、個々の線分SLの長さ(以下「線分長さ」という。)Lを算出する。
図5Bは、図5Aに示すグループGにおける法線角度θ及び線分長さLの演算結果の例を示している。図5Bに示す例においては、8個の法線角度θ_1〜θ_8及び8個の線分長さL_1〜L_8が演算されている。
図6Bは、図6Aに示すグループGにおける法線角度θ及び線分長さLの演算結果の例を示している。図6Bに示す例においては、6個の法線角度θ_1〜θ_6及び6個の線分長さL_1〜L_6が演算されている。
図7Bは、図7Aに示すグループGにおける法線角度θ及び線分長さLの演算結果の例を示している。図7Bに示す例においては、9個の法線角度θ_1〜θ_9及び9個の線分長さL_1〜L_9が演算されている。
図8Bは、図8Aに示すグループGにおける法線角度θ及び線分長さLの演算結果の例を示している。図8Bに示す例においては、6個の法線角度θ_1〜θ_6及び6個の線分長さL_1〜L_6が演算されている。
以下、角度演算部15により実行される処理を総称して「角度演算処理」という。また、長さ演算部16により実行される処理を総称して「長さ演算処理」という。
駐車形態判定部17は、角度演算部15による演算結果及び長さ演算部16による演算結果に基づき、他車両Vの駐車形態を判定する。具体的には、例えば、駐車形態判定部17は、以下のようにして他車両Vの駐車形態を判定する。
以下、線分角度θ又は法線角度θについて、所定幅を有する角度θの範囲を「角度範囲」又は「角度ビン」という。まず、駐車形態判定部17は、角度演算部15による演算結果及び長さ演算部16による演算結果に基づき、個々のグループGにおける角度ビンB毎の線分長さLの和ΣLを算出する。これにより、駐車形態判定部17は、個々のグループGにおける角度ビンB毎の和ΣLを示す分布D1を演算する。
図5Cは、図5Bに示す演算結果に基づく分布D1の例を示している。図5Cに示す例において、角度ビンB_3における和ΣL_3、角度ビンB_4における和ΣL_4、及び角度ビンB_5における和ΣL_5は、以下の式(2)〜式(4)によりそれぞれ算出されたものである。ここで、L_1〜L_8は、図5Bに示すものである。
ΣL_3=L_8 (2)
ΣL_4=L_2+L_3+L_4+L_5+L_6
+L_7 (3)
ΣL_5=L_1 (4)
図6Cは、図6Bに示す演算結果に基づく分布D1の例を示している。図6Cに示す例において、角度ビンB_3における和ΣL_3、角度ビンB_4における和ΣL_4、及び角度ビンB_5における和ΣL_5は、以下の式(5)〜式(7)によりそれぞれ算出されたものである。ここで、L_1〜L_6は、図6Bに示すものである。
ΣL_3=L_6 (5)
ΣL_4=L_2+L_3+L_4+L_5 (6)
ΣL_5=L_1 (7)
図7Cは、図7Bに示す演算結果に基づく分布D1の例を示している。図7Cに示す例において、角度ビンB_3における和ΣL_3、角度ビンB_4における和ΣL_4、及び角度ビンB_5における和ΣL_5は、以下の式(8)〜式(10)によりそれぞれ算出されたものである。ここで、L_1〜L_9は、図7Bに示すものである。
ΣL_3=L_8+L_9 (8)
ΣL_4=L_7 (9)
ΣL_5=L_1+L_2+L_3+L_4+L_5
+L_6 (10)
図8Cは、図8Bに示す演算結果に基づく分布D1の例を示している。図8Cに示す例において、角度ビンB_3における和ΣL_3、角度ビンB_4における和ΣL_4、及び角度ビンB_5における和ΣL_5は、以下の式(11)〜式(13)によりそれぞれ算出されたものである。ここで、L_1〜L_6は、図8Bに示すものである。
ΣL_3=L_5+L_6 (11)
ΣL_4=L_4 (12)
ΣL_5=L_1+L_2+L_3 (13)
次いで、駐車形態判定部17は、分布D1のピークトップPTにおける和ΣLの値(以下「ピーク値」という。)ΣLpを算出する。
例えば、図5C及び図6Cの各々に示す分布D1においては、角度ビンB_4における和ΣL_4の値がピーク値ΣLpであると算出される。他方、図7C及び図8Cの各々に示す分布D1においては、角度ビンB_5における和ΣL_5の値がピーク値ΣLpであると算出される。
次いで、駐車形態判定部17は、分布D1のピークトップPTにおける角度θの平均値、中央値又は加重平均値(以下総称して「ピーク角度」という。)θpを算出する。
例えば、図5Cに示す分布D1において、駐車形態判定部17は、以下の式(14)により、法線角度θ_2〜θ_7の平均値を算出する。または、駐車形態判定部17は、以下の式(15)により、法線角度θ_2〜θ_7の中央値を算出する。または、駐車形態判定部17は、以下の式(16)により、法線角度θ_2〜θ_7の加重平均値を算出する。ここで、θ_2〜θ_7は、図5Bに示すものである。また、L_2〜L_7は、図5Bに示すものである。また、median()は、括弧内の中央値を算出する関数である。
θp=(θ_2+θ_3+θ_4+θ_5+Lθ_6
+θ_7)/6 (14)
θp=median(θ_2,θ_3,θ_4,
θ_5,θ_6,θ_7) (15)
θp=(θ_2×L_2+θ_3×L_3+θ_4
×L_4+θ_5×L_5+θ_6×L_6
+θ_7×L_7)/(L_2+L_3+L_4
+L_5+L_6+L_7) (16)
また、例えば、図6Cに示す分布D1において、駐車形態判定部17は、以下の式(17)により、法線角度θ_2〜θ_5の平均値を算出する。または、駐車形態判定部17は、以下の式(18)により、法線角度θ_2〜θ_5の中央値を算出する。または、駐車形態判定部17は、以下の式(19)により、法線角度θ_2〜θ_5の加重平均値を算出する。ここで、θ_2〜θ_5は、図6Bに示すものである。また、L_2〜L_5は、図6Bに示すものである。
θp=(θ_2+θ_3+θ_4+θ_5)/4 (17)
θp=median(θ_2,θ_3,θ_4,
θ_5) (18)
θp=(θ_2×L_2+θ_3×L_3+θ_4
×L_4+θ_5×L_5)/(L_2
+L_3+L_4+L_5) (19)
また、例えば、図7Cに示す分布D1において、駐車形態判定部17は、以下の式(20)により、法線角度θ_1〜θ_6の平均値を算出する。または、駐車形態判定部17は、以下の式(21)により、法線角度θ_1〜θ_6の中央値を算出する。または、駐車形態判定部17は、以下の式(22)により、法線角度θ_1〜θ_6の加重平均値を算出する。ここで、θ_1〜θ_6は、図7Bに示すものである。また、L_1〜L_6は、図7Bに示すものである。
θp=(θ_1+θ_2+θ_3+θ_4+θ_5
+Lθ_6)/6 (20)
θp=median(θ_1,θ_2,θ_3,
θ_4,θ_5,θ_6) (21)
θp=(θ_1×L_1+θ_2×L_2+θ_3
×L_3+θ_4×L_4+θ_5×L_5
+θ_6×L_6)/(L_1+L_2+L_3
+L_4+L_5+L_6) (22)
また、例えば、図8Cに示す分布D1において、駐車形態判定部17は、以下の式(23)により、法線角度θ_1〜θ_3の平均値を算出する。または、駐車形態判定部17は、以下の式(24)により、法線角度θ_1〜θ_3の中央値を算出する。または、駐車形態判定部17は、以下の式(25)により、法線角度θ_1〜θ_3の加重平均値を算出する。ここで、θ_1〜θ_3は、図8Bに示すものである。また、L_1〜L_3は、図8Bに示すものである。
θp=(θ_1+θ_2+θ_3)/3 (23)
θp=median(θ_1,θ_2,θ_3) (24)
θp=(θ_1×L_1+θ_2×L_2+θ_3
×L_3)/(L_1+L_2+L_3) (25)
次いで、駐車形態判定部17は、基準角度θrefに対するピーク角度θpのずれ量Δθを算出する。基準角度θrefは、例えば、0度に設定されている。
次いで、駐車形態判定部17は、ずれ量Δθを所定量Δθthと比較する。ずれ量Δθが所定量Δθth以下である場合、駐車形態判定部17は、ピーク値ΣLpを所定の閾値(以下「第1閾値」ということがある。)ΣLth1と比較する。他方、ずれ量Δθが所定量Δθthよりも大きい場合、駐車形態判定部17は、ピーク値ΣLpを所定の閾値(以下「第2閾値」ということがある。)ΣLth2と比較する。
図9は、駐車形態判定部17における駐車形態判定用のテーブルT1の例を示している。図9に示す如く、ずれ量Δθが所定量Δθth以下である場合において、ピーク値ΣLpが第1閾値ΣLth1よりも大きいとき、駐車形態判定部17は、駐車形態が縦列駐車であると判定する。また、この場合において、ピーク値ΣLpが第1閾値ΣLth1以下であるとき、駐車形態判定部17は、駐車形態が並列駐車であると判定する。
すなわち、駐車形態が縦列駐車であるときはφs=0又はφs≒0であり、かつ、駐車形態が並列駐車であるときはφn=0又はφn≒0である。このため、駐車形態が縦列駐車又は並列駐車であるときは、駐車形態が斜め駐車であるときに比して、ずれ量Δθが小さくなる蓋然性が高い。この結果、Δθ≦Δθthとなる蓋然性が高い。ここで、通常、サイド面部の面積はノーズ面部の面積に比して大きい。このため、駐車形態が縦列駐車であるときは、駐車形態が並列駐車である場合に比して、ピーク値ΣLpが大きくなる蓋然性が高い。そこで、駐車形態判定部17は、ずれ量Δθが所定量Δθth以下であるとき、ピーク値ΣLpと第1閾値ΣLth1との大小関係に基づき、駐車形態が縦列駐車であるか並列駐車であるかを判定するのである。換言すれば、第1閾値ΣLth1は、駐車形態が縦列駐車であるか並列駐車であるかを識別可能な値に設定されている。
また、図9に示す如く、ずれ量Δθが所定量Δθthよりも大きい場合において、ピーク値ΣLpが第2閾値ΣLth2よりも大きいとき、駐車形態判定部17は、駐車形態が斜め駐車であり、かつ、基準面部がサイド面部であると判定する。また、この場合において、ピーク値ΣLpが第2閾値ΣLth2以下であるとき、駐車形態判定部17は、駐車形態が斜め駐車であり、かつ、基準面部がノーズ面部であると判定する。
すなわち、駐車形態が斜め駐車であるときはφs≠0かつφn≠0である。このため、駐車形態が斜め駐車であるときは、駐車形態が縦列駐車又は並列駐車であるときに比して、ずれ量Δθが大きくなる蓋然性が高い。この結果、Δθ>Δθthとなる蓋然性が高い。ここで、通常、サイド面部の面積はノーズ面部の面積に比して大きい。このため、基準面部がサイド面部であるときは、基準面部がノーズ面部であるときに比して、ピーク値ΣLpが大きくなる蓋然性が高い。そこで、駐車形態判定部17は、ずれ量Δθが所定量Δθthよりも大きいとき、ピーク値ΣLpと第2閾値ΣLth2との大小関係に基づき、基準面部がサイド面部であるかノーズ面部であるかを判定するのである。換言すれば、第2閾値ΣLth2は、基準面部がサイド面部であるかノーズ面部であるかを識別可能な値に設定されている。
次いで、駐車形態判定部17は、駐車形態が斜め駐車であると判定された場合、ピーク角度θpに基づき、他車両Vの駐車角度λを判定する。
具体的には、例えば、駐車形態判定部17は、基準面部がサイド面部であると判定された場合、Y軸に沿う方向に対するサイド面部の角度(すなわちφsに対応する角度)λがθpと同等の値であると判定する。他方、基準面部がノーズ面部であると判定された場合、駐車形態判定部17は、Y軸に沿う方向に対するノーズ面部の角度(すなわちφnに対応する角度)λがθpと同等の値であると判定する。すなわち、駐車形態判定部17は、ピーク角度θpに対応する駐車角度λにて他車両Vが駐車中であると判定する。
以下、実施の形態1において、駐車形態判定部17により実行される処理を総称して「駐車形態判定処理」という。
第1制御装置5は、位置算出処理の結果を示す情報、グループ化処理の結果を示す情報、及び駐車形態判定処理の結果を示す情報など(以下総称して「駐車支援用情報」という。)を出力する。第2制御装置6は、当該出力された駐車支援用情報を取得する。第2制御装置6は、当該取得された駐車支援用情報を用いて、いわゆる「自動駐車」を実現するための制御を実行する。
具体的には、例えば、第2制御装置6は、位置算出処理の結果及びグループ化処理の結果などに基づき、車両1用の駐車区画の位置及び幅などを算出する。第2制御装置6は、駐車形態判定処理の結果などに基づき、車両1のアクセル、ブレーキ及びステアリングなどを制御することにより、かかる駐車区画に車両1を誘導する。これにより、自動駐車が実現される。
以下、第2制御装置6により実行される制御を総称して「駐車支援制御」という。駐車支援制御には、公知の種々の技術を用いることができる。これらの技術についての詳細な説明は省略する。
次に、図10を参照して、第1制御装置5の要部のハードウェア構成について説明する。
図10Aに示す如く、第1制御装置5は、プロセッサ21及びメモリ22を有している。メモリ22には、速度判定部11、距離測定部12、位置算出部13、グループ化部14、角度演算部15、長さ演算部16及び駐車形態判定部17の機能を実現するためのプログラムが記憶されている。当該記憶されているプログラムをプロセッサ21が読み出して実行することにより、速度判定部11、距離測定部12、位置算出部13、グループ化部14、角度演算部15、長さ演算部16及び駐車形態判定部17の機能が実現される。
または、図10Bに示す如く、第1制御装置5は、処理回路23を有している。この場合、速度判定部11、距離測定部12、位置算出部13、グループ化部14、角度演算部15、長さ演算部16及び駐車形態判定部17の機能が専用の処理回路23により実現される。
または、第1制御装置5は、プロセッサ21、メモリ22及び処理回路23を有している(不図示)。この場合、速度判定部11、距離測定部12、位置算出部13、グループ化部14、角度演算部15、長さ演算部16及び駐車形態判定部17の機能のうちの一部の機能がプロセッサ21及びメモリ22により実現されるとともに、残余の機能が専用の処理回路23により実現される。
プロセッサ21は、1個又は複数個のプロセッサにより構成されている。個々のプロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ又はDSP(Digital Signal Processor)を用いたものである。
メモリ22は、1個又は複数個の不揮発性メモリにより構成されている。または、メモリ22は、1個又は複数個の不揮発性メモリ及び1個又は複数個の揮発性メモリにより構成されている。個々の揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)を用いたものである。個々の不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、SSD(Solid State Drive)又はHDD(Hard Disk Drive)を用いたものである。
処理回路23は、1個又は複数個のデジタル回路により構成されている。または、処理回路23は、1個又は複数個のデジタル回路及び1個又は複数個のアナログ回路により構成されている。すなわち、処理回路23は、1個又は複数個の処理回路により構成されている。個々の処理回路は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)、SoC(System−on−a−Chip)又はシステムLSI(Large−Scale Integration)を用いたものである。
次に、図11のフローチャートを参照して、第1制御装置5の動作について、速度判定部11、距離測定部12及び位置算出部13の動作を中心に説明する。
まず、ステップST1にて、速度判定部11が速度判定処理を実行する。車両1が所定速度未満の速度にて走行中であると判定された場合(ステップST2“YES”)、次いで、ステップST3にて、距離測定部12が距離測定処理を開始する。次いで、ステップST4にて、位置算出部13が位置算出処理を開始する。速度判定処理、距離算出処理及び位置算出処理の具体例については既に説明したとおりであるため、再度の説明は省略する。
次いで、ステップST5にて、速度判定部11が速度判定処理を実行する。車両1が基準速度以上の速度にて走行中であると判定された場合(ステップST6“NO”)、又は車両1が停止中であると判定された場合(ステップST6“NO”)、次いで、ステップST7にて、距離測定部12が距離測定処理を終了する。また、ステップST8にて、位置算出部13が位置算出処理を終了する。
次に、図12のフローチャートを参照して、第1制御装置5の動作について、グループ化部14、角度演算部15、長さ演算部16及び駐車形態判定部17の動作を中心に説明する。また、第2制御装置6の動作について説明する。
ステップST3,ST7間にて、距離Dが1回以上測定されることにより、1個以上の距離Dが測定される。また、ステップST4,ST8間にて、反射点Pの位置が1回以上算出されることにより、1個以上の反射点Pの位置が算出される。複数個の反射点Pの位置が算出されたとき、ステップST11の処理が開始される。
まず、ステップST11にて、グループ化部14がグループ化処理を実行する。次いで、ステップST12にて角度演算部15が角度演算処理を実行する。次いで、ステップST13にて、長さ演算部16が長さ演算処理を実行する。次いで、ステップST14にて、駐車形態判定部17が駐車形態判定処理を実行する。グループ化処理、角度演算処理、長さ演算処理及び駐車形態判定処理の具体例については既に説明したとおりであるため、再度の説明は省略する。
次いで、ステップST15にて、第1制御装置5が駐車支援用情報を出力する。次いで、ステップST16にて、第2制御装置6が駐車支援制御を実行する。駐車支援制御の具体例については既に説明したとおりであるため、再度の説明は省略する。
次に、図13のフローチャートを参照して、駐車形態判定部17の詳細な動作について説明する。すなわち、ステップST14の詳細な処理内容について説明する。
まず、ステップST21にて、駐車形態判定部17は、角度ビンB毎の線分長さLの和ΣLを算出する。これにより、ステップST22にて、駐車形態判定部17は、角度ビンB毎の和ΣLを示す分布D1を演算する。
次いで、ステップST23にて、駐車形態判定部17は、分布D1におけるピーク値ΣLpを算出する。また、駐車形態判定部17は、分布D1におけるピーク角度θpを算出する。また、駐車形態判定部17は、基準角度θrefに対するピーク角度θpのずれ量Δθを算出する。ピーク値ΣLp、ピーク角度θp及びずれ量Δθの算出方法については既に説明したとおりであるため、再度の説明は省略する。
次いで、ステップST24にて、駐車形態判定部17は、ずれ量Δθ及びピーク値ΣLpに基づき、他車両Vの駐車形態を判定する。駐車形態の判定方法については既に説明したとおりであるため、再度の説明は省略する。
駐車形態が斜め駐車であると判定された場合(ステップST25“YES”)、次いで、ステップST26にて、駐車形態判定部17は、ピーク角度θpに基づき、他車両Vの駐車角度λを判定する。駐車角度λの判定方法については既に説明したとおりであるため、再度の説明は省略する。
次に、駐車形態判定装置100の効果について説明する。併せて、特許文献1記載の駐車形態判定装置(以下「従来の駐車形態判定装置」という。)の課題について説明する。
距離測定処理及び位置算出処理は、車両1が基準速度(例えば30キロメートル毎時)未満の速度にて走行しているときに実行される。ここで、車両1の走行速度が高いときは、車両1の走行速度が低いときに比して、個々のグループGに含まれる反射点Pの個数が減少する。これにより、個々のグループGにおける角度θの演算値の個数も減少する。他方、車両1の走行速度が高いときは、車両1の走行速度が低いときに比して、個々の線分長さLの値が大きくなる傾向がある。
従来の駐車形態判定装置は、角度ビン毎の線分角度又は法線角度の演算値の個数を示す分布、すなわち角度ビン毎の度数を示す分布を用いて駐車形態を判定するものであった(特許文献1の図9〜図11等参照。)。このため、車両1の走行速度が高いとき、個々の角度ビンにおける分布値が小さくなることにより、角度ビン間の分布値の差分値も小さくなる。この結果、閾値を用いた駐車形態の判定精度が低下する問題があった。
これに対して、駐車形態判定装置100は、角度ビンB毎の和ΣLを示す分布D1を用いるものである。すなわち、駐車形態判定装置100は、線分角度θ又は法線角度θに対する線分長さLの分布D1を用いるものである。このため、車両1の走行速度が高いときであっても、個々の角度ビンBにおける分布値が小さくなるのを回避することができる。この結果、閾値ΣLth1,ΣLth2を用いた駐車形態の判定精度が低下するのを回避することができる。換言すれば、駐車形態の判定精度を向上することができる。
また、通常、サイド面部においては、角度φsに応じた方向に探査波が反射される。また、ノーズ面部においては、角度φnに応じた方向に探査波が反射される。これに対して、他車両Vの角部においては、角度φs,φnにかかわらず、種々の方向に探査波が反射される(以下「乱反射」という。)。乱反射により、角部に対応する位置に密集するようにして、多数の反射点Pが検出されることがある。この場合、当該多数の反射点Pのうちの互いに隣接する各2個の反射点Pについて、線分角度θ又は法線角度θが演算されるとともに、線分長さLが演算される。この結果、種々の値を有する多数の線分角度θ又は法線角度θが演算されるとともに、小さい値を有する多数の線分長さLが演算される。
ここで、縦列駐車においてはサイド面部による反射が支配的であり、並列駐車においてはノーズ面部による反射が支配的である。これに対して、サイド面部を基準とする斜め駐車においては、サイド面部及び角部による反射が支配的である。また、ノーズ面部を基準とする斜め駐車においては、ノーズ面部及び角部による反射が支配的である。上記のとおり、従来の駐車形態判定装置は、角度ビン毎の度数を示す分布を用いて駐車形態を判定するものであった。このため、駐車形態が斜め駐車であるとき、乱反射に係る線分角度又は法線角度の値の影響により、当該分布の形状が不安定になる。この結果、駐車形態の判定精度が低下する問題があった。
これに対して、駐車形態判定装置100は、角度ビンB毎の和ΣLを示す分布D1を用いるものである。しがたって、乱反射に係る個々の線分長さLの値が小さいことにより、乱反射に係る線分角度θ又は法線角度θの値の影響を低減することができる。このため、駐車形態が斜め駐車であるときであっても、分布D1の形状を安定させることができる。この結果、駐車形態の判定精度が低下するのを回避することができる。換言すれば、駐車形態の判定精度を向上することができる。
次に、図14及び図15を参照して、駐車形態判定装置100の変形例について説明する。
図14に示す如く、線分角度θは、X軸に沿う方向に対する線分SLの傾き角度を示すものであっても良い。図15に示す如く、法線角度θは、Y軸に沿う方向に対する法線ベクトルNVの傾き角度を示すものであっても良い。この場合、基準角度θrefは、例えば、90度に設定されたものであっても良い。
以上のように、駐車形態判定装置100は、距離センサ2により得られた複数個の反射点Pをグループ化することにより、障害物に対応するグループGを設定するグループ化部14と、グループGに含まれる複数個の反射点Pのうちの互いに隣接する反射点Pを結ぶ個々の線分SLについて、線分角度θ又は法線角度θを演算する角度演算部15と、個々の線分SLについて、線分長さLを演算する長さ演算部16と、線分角度θ又は法線角度θに対する線分長さLの分布D1に基づき、グループGに対応する他車両Vの駐車形態が縦列駐車、並列駐車又は斜め駐車のうちのいずれであるかを判定する駐車形態判定部17と、を備える。これにより、他車両Vの駐車形態を判定することができる。特に、従来の駐車形態判定装置に比して駐車形態の判定精度を向上することができる。この結果、駐車形態判定装置100が駐車支援システム200に用いられる場合において、車両1が駐車をするとき、いわゆる「切り返し」の発生回数を低減することができる。
また、分布D1は、角度範囲(角度ビンB)毎の線分長さLの和ΣLを示すものである。これにより、例えば、図5C、図6C、図7C及び図8Cに示す分布D1を実現することができる。
また、駐車形態判定部17は、基準角度θrefに対する分布D1におけるピーク角度θpのずれ量Δθが所定量Δθth以下である場合において、分布D1におけるピーク値ΣLpが第1閾値ΣLth1よりも大きいとき、駐車形態が縦列駐車であると判定する。これにより、縦列駐車の判定をすることができる。
また、駐車形態判定部17は、基準角度θrefに対する分布D1におけるピーク角度θpのずれ量Δθが所定量Δθth以下である場合において、分布D1におけるピーク値ΣLpが第1閾値ΣLth1以下であるとき、駐車形態が並列駐車であると判定する。これにより、並列駐車の判定をすることができる。
また、駐車形態判定部17は、基準角度θrefに対する分布D1におけるピーク角度θpのずれ量Δθが所定量Δθthよりも大きい場合、駐車形態が斜め駐車であると判定する。これにより、斜め駐車の判定をすることができる。
また、駐車形態判定部17は、分布D1におけるピーク値ΣLpが第2閾値ΣLth2よりも大きいとき、駐車形態が他車両Vの左側面部又は右側面部を基準とする斜め駐車であると判定して、ピーク値ΣLpが第2閾値ΣLth2以下であるとき、駐車形態が他車両Vの前面部又は後面部を基準とする斜め駐車であると判定する。これにより、斜め駐車における基準面部の判定をすることができる。
また、駐車形態判定部17は、ピーク角度θpに対応する駐車角度λにて他車両Vが駐車中であると判定する。これにより、駐車角度λの判定をすることができる。
実施の形態2.
図16は、実施の形態2に係る駐車形態判定装置を含む駐車支援システムの要部を示すブロック図である。図16を参照して、実施の形態2に係る駐車形態判定装置を含む駐車支援システムについて説明する。なお、図16において、図1に示すブロックと同様のブロックには同一符号を付して説明を省略する。
第1制御装置5aは、速度判定部11、距離測定部12、位置算出部13、グループ化部14、角度演算部15、長さ演算部16及び駐車形態判定部17aを有している。グループ化部14、角度演算部15、長さ演算部16及び駐車形態判定部17aにより、駐車形態判定装置100aの要部が構成されている。
このようにして、駐車支援システム200aの要部が構成されている。
次に、図17〜図21を参照して、駐車形態判定部17aにより実行される処理について説明する。
駐車形態判定部17aは、角度演算部15による演算結果及び長さ演算部16による演算結果に基づき、他車両Vの駐車形態を判定する。具体的には、例えば、駐車形態判定部17aは、以下のようにして他車両Vの駐車形態を判定する。
まず、駐車形態判定部17aは、長さ演算部16による演算結果に基づき、個々のグループGにおける線分長さLの総和ΣLaを算出する。次いで、駐車形態判定部17aは、角度演算部15による演算結果及び長さ演算部16による演算結果に基づき、個々のグループGにおける角度ビンB毎の線分長さLの和ΣLを算出する。次いで、駐車形態判定部17aは、個々のグループGにおける総和ΣLaに対する角度ビンB毎の和ΣLの比Rを算出する。これにより、駐車形態判定部17aは、個々のグループGにおける角度ビンB毎の比Rを示す分布D2を演算する。
図17は、図5Bに示す演算結果に基づく分布D2の例を示している。図17に示す例において、総和ΣLaは、以下の式(26)より算出されたものである。また、角度ビンB_3における比R_3、角度ビンB_4における比R_4、及び角度ビンB_5における比R_5は、以下の式(27)〜式(29)によりそれぞれ算出されたものである。ここで、L_1〜L_8は、図5Bに示すものである。
ΣLa=L_1+L_2+L_3+L_4+L_5
+L_6+L_7+L_8 (26)
R_3=L_8/ΣLa (27)
R_4=(L_2+L_3+L_4+L_5+L_6
+L_7)/ΣLa (28)
R_5=L_1/ΣLa (29)
図18は、図6Bに示す演算結果に基づく分布D2の例を示している。図18に示す例において、総和ΣLaは、以下の式(30)より算出されたものである。また、角度ビンB_3における比R_3、角度ビンB_4における比R_4、及び角度ビンB_5における比R_5は、以下の式(31)〜式(33)によりそれぞれ算出されたものである。ここで、L_1〜L_6は、図6Bに示すものである。
ΣLa=L_1+L_2+L_3+L_4+L_5
+L_6 (30)
R_3=L_6/ΣLa (31)
R_4=(L_2+L_3+L_4+L_5)/ΣLa (32)
R_5=L_1/ΣLa (33)
図19は、図7Bに示す演算結果に基づく分布D2の例を示している。図19に示す例において、総和ΣLaは、以下の式(34)より算出されたものである。また、角度ビンB_3における比R_3、角度ビンB_4における比R_4、及び角度ビンB_5における比R_5は、以下の式(35)〜式(37)によりそれぞれ算出されたものである。ここで、L_1〜L_9は、図7Bに示すものである。
ΣLa=L_1+L_2+L_3+L_4+L_5
+L_6+L_7+L_8+L_9 (34)
R_3=(L_8+L_9)/ΣLa (35)
R_4=L_7/ΣLa (36)
R_5=(L_1+L_2+L_3+L_4+L_5
+L_6)/ΣLa (37)
図20は、図8Bに示す演算結果に基づく分布D2の例を示している。図20に示す例において、総和ΣLaは、以下の式(38)より算出されたものである。また、角度ビンB_3における比R_3、角度ビンB_4における比R_4、及び角度ビンB_5における比R_5は、以下の式(39)〜式(41)によりそれぞれ算出されたものである。ここで、L_1〜L_6は、図8Bに示すものである。
ΣLa=L_1+L_2+L_3+L_4+L_5
+L_6 (38)
R_3=(L_5+L_6)/ΣLa (39)
R_4=L_4/ΣLa (40)
R_5=(L_1+L_2+L_3)/ΣLa (41)
次いで、駐車形態判定部17aは、分布D2のピークトップPTにおける比Rの値(以下「ピーク値」という。)Rpを算出する。
例えば、図17及び図18の各々に示す分布D2においては、角度ビンB_4における比R_4の値がピーク値Rpであると算出される。他方、図19及び図20の各々に示す分布D2においては、角度ビンB_5における比R_5の値がピーク値Rpであると算出される。
次いで、駐車形態判定部17aは、分布D2におけるピーク角度θpを算出する。分布D2におけるピーク角度θpの算出方法は、分布D1におけるピーク角度θpの算出方法と同様である。このため、詳細な説明は省略する。
次いで、駐車形態判定部17aは、基準角度θrefに対するピーク角度θpのずれ量Δθを算出する。基準角度θrefは、例えば、0度に設定されている。
次いで、駐車形態判定部17aは、ずれ量Δθを所定量Δθthと比較する。ずれ量Δθが所定量Δθth以下である場合、駐車形態判定部17は、ピーク値Rpを所定の閾値(以下「第1閾値」ということがある。)Rth1と比較する。他方、ずれ量Δθが所定量Δθthよりも大きい場合、駐車形態判定部17aは、ピーク値Rpを所定の閾値(以下「第2閾値」ということがある。)Rth2と比較する。
図21は、駐車形態判定部17aにおける駐車形態判定用のテーブルT2の例を示している。図21に示す如く、ずれ量Δθが所定量Δθth以下である場合において、ピーク値Rpが第1閾値Rth1よりも大きいとき、駐車形態判定部17aは、駐車形態が縦列駐車であると判定する。また、この場合において、ピーク値Rpが第1閾値Rth1以下であるとき、駐車形態判定部17aは、駐車形態が並列駐車であると判定する。すなわち、第1閾値Rth1は、駐車形態が縦列駐車であるか並列駐車であるかを識別可能な値に設定されている。
また、図21に示す如く、ずれ量Δθが所定量Δθthよりも大きい場合において、ピーク値Rpが第2閾値Rth2よりも大きいとき、駐車形態判定部17aは、駐車形態が斜め駐車であり、かつ、基準面部がサイド面部であると判定する。また、この場合において、ピーク値Rpが第2閾値Rth2以下であるとき、駐車形態判定部17aは、駐車形態が斜め駐車であり、かつ、基準面部がノーズ面部であると判定する。すなわち、第2閾値Rth2は、基準面部がサイド面部であるかノーズ面部であるかを識別可能な値に設定されている。
次いで、駐車形態判定部17aは、駐車形態が斜め駐車であると判定された場合、ピーク角度θpに基づき、他車両Vの駐車角度λを判定する。駐車角度λの判定方法は、実施の形態1にて説明したものと同様である。このため、詳細な説明は省略する。
以下、実施の形態2において、駐車形態判定部17aにより実行される処理を総称して「駐車形態判定処理」という。
第1制御装置5aの要部のハードウェア構成は、実施の形態1にて図10を参照して説明したものと同様である。このため、図示及び説明を省略する。すなわち、速度判定部11、距離測定部12、位置算出部13、グループ化部14、角度演算部15、長さ演算部16及び駐車形態判定部17aの機能は、プロセッサ21及びメモリ22により実現されるものであっても良く、又は専用の処理回路23により実現されるものであっても良い。
第1制御装置5aにおいて、ステップST1〜ST8の処理が実行される。ステップST1〜ST8の処理内容は、実施の形態1にて図11を参照して説明したものと同様である。このため、図示及び説明を省略する。
次に、図22のフローチャートを参照して、第1制御装置5aの動作について、グループ化部14、角度演算部15、長さ演算部16及び駐車形態判定部17aの動作を中心に説明する。また、第2制御装置6の動作について説明する。なお、図22において、図12に示すステップと同様のステップには同一符号を付して説明を省略する。
ステップST3,ST7間にて、距離Dが1回以上測定されることにより、1個以上の距離Dが測定される。また、ステップST4,ST8間にて、反射点Pの位置が1回以上算出されることにより、1個以上の反射点Pの位置が算出される。複数個の反射点Pの位置が算出されたとき、ステップST11の処理が開始される。
まず、ステップST11〜ST13の処理が実行される。次いで、ステップST14aにて、駐車形態判定部17aが駐車形態判定処理を実行する。駐車形態判定処理の具体例については既に説明したとおりであるため、再度の説明は省略する。次いで、ステップST15,ST16の処理が実行される。
次に、図23のフローチャートを参照して、駐車形態判定部17aの詳細な動作について説明する。すなわち、ステップST14aの詳細な処理内容について説明する。
まず、ステップST31にて、駐車形態判定部17aは、線分長さLの総和ΣLaを算出する。次いで、ステップST32にて、駐車形態判定部17aは、角度ビンB毎の線分長さLの和ΣLを算出する。次いで、ステップST33にて、駐車形態判定部17aは、総和ΣLaに対する角度ビンB毎の線分長さLの比Rを算出する。これにより、ステップST34にて、駐車形態判定部17aは、角度ビンB毎の比Rを示す分布D2を演算する。
次いで、ステップST35にて、駐車形態判定部17aは、分布D2におけるピーク値Rpを算出する。また、駐車形態判定部17aは、分布D2におけるピーク角度θpを算出する。また、駐車形態判定部17aは、基準角度θrefに対するピーク角度θpのずれ量Δθを算出する。ピーク値Rp、ピーク角度θp及びずれ量Δθの算出方法については既に説明したとおりであるため、再度の説明は省略する。
次いで、ステップST36にて、駐車形態判定部17aは、ずれ量Δθ及びピーク値Rpに基づき、他車両Vの駐車形態を判定する。駐車形態の判定方法については既に説明したとおりであるため、再度の説明は省略する。
駐車形態が斜め駐車であると判定された場合(ステップST37“YES”)、次いで、ステップST38にて、駐車形態判定部17aは、ピーク角度θpに基づき、他車両Vの駐車角度λを判定する。駐車角度λの判定方法については既に説明したとおりであるため、再度の説明は省略する。
次に、駐車形態判定装置100aの効果について説明する。
駐車形態判定装置100aは、角度ビンB毎の比Rを示す分布D2を用いるものである。すなわち、駐車形態判定装置100aは、線分角度θ又は法線角度θに対する線分長さLの分布D2を用いるものである。このため、駐車形態判定装置100と同様に、従来の駐車形態判定装置に比して駐車形態の判定精度を向上することができる。
また、駐車形態判定装置100aは、複数台の他車両Vが駐車中であり、かつ、当該複数台の他車両Vのうちの互いに隣接する各2台の他車両V間の間隔が小さいとき、駐車形態判定装置100に比して駐車形態の判定精度を更に向上することができる。
すなわち、グループ化部14において、原則、1個又は複数個の障害物と一対一に対応する1個又は複数個のグループGが設定される。しかしながら、複数台の他車両Vが駐車中であり、かつ、当該複数台の他車両Vのうちの互いに隣接する各2台の他車両V間の間隔が小さいとき、当該複数台の他車両Vのうちの2台以上の他車両Vに対応する反射点Pが1個のグループGに含まれることがある。これにより、当該複数台の他車両Vのうちの1台の他車両Vに対応する反射点Pのみが当該1個のグループGに含まれる場合に比して、個々の角度ビンBにおける和ΣLの値が大きくなる。この結果、和ΣLに対する閾値ΣLth1,ΣLth2を用いた場合、駐車形態の判定精度が低下する可能性がある。
これに対して、比Rに対する閾値Rth1,Rth2を用いることにより、2台以上の他車両Vに対応する反射点Pが1個のグループGに含まれる場合であっても、駐車形態の判定精度が低下するのを回避することができる。換言すれば、駐車形態の判定精度を更に向上することができる。
なお、駐車形態判定装置100aは、実施の形態1にて説明したものと同様の種々の変形例を採用することができる。
以上のように、駐車形態判定装置100aは、距離センサ2により得られた複数個の反射点Pをグループ化することにより、障害物に対応するグループGを設定するグループ化部14と、グループGに含まれる複数個の反射点Pのうちの互いに隣接する反射点Pを結ぶ個々の線分SLについて、線分角度θ又は法線角度θを演算する角度演算部15と、個々の線分SLについて、線分長さLを演算する長さ演算部16と、線分角度θ又は法線角度θに対する線分長さLの分布D2に基づき、グループGに対応する他車両Vの駐車形態が縦列駐車、並列駐車又は斜め駐車のうちのいずれであるかを判定する駐車形態判定部17aと、を備える。これにより、他車両Vの駐車形態を判定することができる。特に、従来の駐車形態判定装置に比して駐車形態の判定精度を向上することができる。
また、分布D2は、線分長さLの総和ΣLaに対する角度範囲(角度ビンB)毎の線分長さLの和ΣLの比Rを示すものである。これにより、例えば、図17〜図20に示す分布D2を実現することができる。この結果、駐車形態判定装置100に比して駐車形態の判定精度を更に向上することができる。
また、駐車形態判定部17aは、基準角度θrefに対する分布D2におけるピーク角度θpのずれ量Δθが所定量Δθth以下である場合において、分布D2におけるピーク値Rpが第1閾値Rth1よりも大きいとき、駐車形態が縦列駐車であると判定する。これにより、縦列駐車の判定をすることができる。
また、駐車形態判定部17aは、基準角度θrefに対する分布D2におけるピーク角θp度のずれ量Δθが所定量Δθth以下である場合において、分布D2におけるピーク値Rpが第1閾値Rth1以下であるとき、駐車形態が並列駐車であると判定する。これにより、並列駐車の判定をすることができる。
また、駐車形態判定部17aは、基準角度θrefに対する分布D2におけるピーク角度θpのずれ量Δθが所定量Δθthよりも大きい場合、駐車形態が斜め駐車であると判定する。これにより、斜め駐車の判定をすることができる。
また、駐車形態判定部17aは、分布D2におけるピーク値Rpが第2閾値Rth2よりも大きいとき、駐車形態が他車両Vの左側面部又は右側面部を基準とする斜め駐車であると判定して、ピーク値Rpが第2閾値Rth2以下であるとき、駐車形態が他車両Vの前面部又は後面部を基準とする斜め駐車であると判定する。これより、斜め駐車における基準面部の判定をすることができる。
また、駐車形態判定部17aは、ピーク角度θpに対応する駐車角度λにて他車両Vが駐車中であると判定する。これにより、駐車角度λの判定をすることができる。
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。