JP6890508B2 - 細胞処理方法およびそのシステム - Google Patents

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Description

本発明は、細胞処理方法およびそのシステムに関する。
近年、損傷した組織等の修復のために、種々の細胞を移植する試みが行われている。例えば、狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患により損傷した心筋組織の修復のために、胎児心筋細胞、骨格筋芽細胞、間葉系幹細胞、心臓幹細胞、ES細胞、心筋細胞等の利用が試みられている。このような試みの一環として、スキャフォールドを利用して形成した細胞構造物や、細胞をシート状に形成したシート状細胞培養物が開発されてきた。
これらの細胞培養物は、従来、細胞培養センター(CPC : Cell Processing Center)と呼ばれるクリーンルームにおいて専門の知識を有する作業者による手作業で製造されており、このような細胞培養物の製造費用および製造にかかる労力は大きく、その効率化が望まれている。そこで、これらの細胞の培養に関する作業を多関節型ロボットにより行う自動細胞培養装置が提案されている(特許文献1)。しかしながら、細胞培養において作業者の手技に依存するような高度な作業を自動化することは困難であるなどの問題がある。
国際公開2016/104666
このような中、本発明者らは、自動細胞培養装置を開発するにあたり、作業者の手技に依存する培地交換プロセスを、効率よく自動的に実施することは困難であるなど問題に直面した。したがって、本発明の目的は、そのような問題を解決し、単純な構成でかつ合理的な細胞処理方法およびシステムを実現することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を進める中で、液体の排出作業を迅速に行う場合に液だれが発生することに着眼した。さらに研究を進めた結果、容器の回転のさせ方を工夫することで、上記問題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、以下に関する。
[1]液体を収容した収容容器を収容容器の長軸に垂直な軸周りに回転させることで、収容容器内の液体を回収容器に排出することができるロボットシステムであって、
第1の所定の軸周りに、収容容器を回転させる排出制御、および
第2の所定の軸周りに、収容容器を回転させる退避制御、
を実行し、
排出制御における回転方向と、退避制御における回転方向が同じであり、第1の所定の軸が、収容容器の開口部の一側に設定され、第2の所定の軸が、前記開口部の一側に対向する開口部の他側に設定されることを特徴とする、
前記ロボットシステム。
[2]前記第1の所定の軸上に、収容容器の位置・姿勢制御の第1の座標系を設定し、
前記第2の所定の軸上に、収容容器の位置・姿勢制御の第2の座標系と設定したことを特徴とする、[1]に記載のロボットシステム。
[3]収容容器を回収容器に対して倒立させた状態を保持する滴下制御をさらに含むことを特徴とする、[1]または[2]に記載のロボットシステム。
[4]第2の所定の軸周りの回転角速度が、第1の所定の軸周りの回転角速度以上であることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載のロボットシステム。
[5]退避制御における回転において、第2の所定の軸を回収容器の上方位置へ並進移動させる回避制御をさらに含むことを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載のロボットシステム。
[6]収容容器が、接着細胞用の細胞培養フラスコであり、回転が、該細胞培養フラスコの培養面を上にして行われることを特徴とする、[1]〜[5]のいずれかに記載のロボットシステム。
[7]排出制御が、第1角度θにおいて第1角速度で収容容器を回転させる第1制御、第2角度θにおいて第2角速度で収容容器を回転させる第2制御、および第3角度θにおいて第3角速度で収容容器を回転させる第3制御をさらに含み、第1角速度および第3角速度が第2角速度以上であることを特徴とする、[1]〜[6]のいずれかに記載のロボットシステム。
[8]液体を収容した収容容器を収容容器の長軸に垂直な軸周りに回転させることで、収容容器内の液体を回収容器に排出することができるロボットを制御する、ロボット制御方法であって、
第1の所定の軸周りに、収容容器を回転させる排出制御ステップ、および
第2の所定の軸周りに、収容容器を回転させる退避制御ステップ、
を含み、
排出制御における回転方向と、退避制御における回転方向が同じであり、第1の所定の軸が、収容容器の開口部の一側に設定され、第2の所定の軸が、前記開口部の一側に対向する開口部の他側に設定されることを特徴とする、
前記ロボット制御方法。
[9]前記第1の所定の軸上に、収容容器の位置・姿勢制御の第1の座標系を設定し、
前記第2の所定の軸上に、収容容器の位置・姿勢制御の第2の座標系と設定したことを特徴とする[8]に記載のロボット制御方法。
[10]収容容器を回収容器に対して倒立させた状態を保持する滴下制御をさらに含むことを特徴とする、[8]または[9]に記載のロボット制御方法。
[11]第2の所定の軸周りの回転角速度が、第1の所定の軸周りの回転角速度以上であることを特徴とする、[8]〜[10]のいずれかに記載のロボット制御方法。
[12]退避制御における回転において、第2の所定の軸を回収容器の上方位置へ並進移動させる回避制御をさらに含むことを特徴とする、[8]〜[11]のいずれかに記載のロボット制御方法。
[13]収容容器が、接着細胞用の細胞培養フラスコであり、回転が、該細胞培養フラスコの培養面を上にして行われることを特徴とする、[8]〜[12]のいずれかに記載のロボット制御方法。
[14]排出制御が、第1角度θにおいて第1角速度で収容容器を回転させる第1制御、第2角度θにおいて第2角速度で収容容器を回転させる第2制御、および第3角度θにおいて第3角速度で収容容器を回転させる第3制御をさらに含み、第1角速度および第3角速度が第2角速度以上であることを特徴とする、[8]〜[13]のいずれかに記載のロボット制御方法。
[15]液体を収容した収容容器を収容容器の長軸に垂直な軸周りに回転させることで、収容容器内の液体を回収容器に排出することができるロボットを制御するためのプログラムであって、
第1の所定の軸周りに、収容容器を回転させる排出制御処理、および
第2の所定の軸周りに、収容容器を回転させる退避制御処理、
をコンピュータに実行させ、
排出制御における回転方向と、退避制御における回転方向が同じであり、第1の所定の軸が、収容容器の開口部の一側に設定され、第2の所定の軸が、前記開口部の一側に対向する開口部の他側に設定されることを特徴とする、
前記プログラム。
[16]前記第1の所定の軸上に、収容容器の位置・姿勢制御の第1の座標系を設定し、
前記第2の所定の軸上に、収容容器の位置・姿勢制御の第2の座標系と設定したことを特徴とする[15]に記載のプログラム。
[17]収容容器を回収容器に対して倒立させた状態を保持する滴下制御をさらに含むことを特徴とする、[15]または[16]に記載のプログラム。
[18]第2の所定の軸周りの回転角速度が、第1の所定の軸周りの回転角速度以上であることを特徴とする、[15]〜[17]のいずれかに記載のプログラム。
[19]退避制御における回転において、第2の所定の軸を回収容器の上方位置へ並進移動させる回避制御をさらに含むことを特徴とする、[15]〜[18]のいずれかに記載のプログラム。
[20]収容容器が、接着細胞用の細胞培養フラスコであり、回転が、該細胞培養フラスコの培養面を上にして行われることを特徴とする、[15]〜[19]のいずれかに記載のプログラム。
[21]排出制御が、第1角度θにおいて第1角速度で収容容器を回転させる第1制御、第2角度θにおいて第2角速度で収容容器を回転させる第2制御、および第3角度θにおいて第3角速度で収容容器を回転させる第3制御をさらに含み、第1角速度および第3角速度が第2角速度以上であることを特徴とする、[15]〜[20]のいずれかに記載のプログラム。
[22]液体を収容した収容容器を収容容器の長軸に垂直な軸周りに回転させることで、収容容器内の液体を回収容器に排出することができるロボットシステムであって、
第1角度θにおいて第1角速度で収容容器を回転する第1制御と、
第2角度θにおいて第2角速度で収容容器を回転する第2制御と、
第3角度θにおいて第3角速度で収容容器を回転する第3制御と、
を実行し、
第1角速度および第3角速度が、第2角速度以上であることを特徴とする、前記ロボットシステム。
[23]第1制御による回転後に、収容容器と回収容器とが略垂直になり、第3制御による回転後に、収容容器が回収容器に対して倒立させた状態になることで、収容容器内の液体が回収容器に排出されることを特徴とする、[22]に記載のロボットシステム。
[24]液体が水である場合に、第3角速度が第1角速度以上であり、液体が培養液である場合に、第1角速度が第3角速度以上であることを特徴とする、[22]または[23]に記載のロボットシステム。
[25]第2角速度が、5〜40[deg/s]であることを特徴とする、[22]〜[24]のいずれかに記載のロボットシステム。
[26]第2角度θが、水平を基準に下方20°〜上方65°の範囲内であることを特徴とする、[22]〜[25]のいずれかに記載のロボットシステム。
[27]第3制御による回転終了後に、収容容器の開口の中心軸と回収容器の開口の中心軸とが略一致するように、軸が設定されることを特徴とする、[22]〜[26]のいずれかに記載のロボットシステム。
[28]収容容器が、接着細胞用の細胞培養フラスコであり、回転が、該細胞培養フラスコの培養面を上にして行われることを特徴とする、[22]〜[27]のいずれかに記載のロボットシステム。
[29]液体を収容した収容容器を収容容器の長軸に垂直な軸周りに回転させることで、収容容器内の液体を回収容器に排出することができるロボットを制御する、ロボット制御方法であって、
第1角度θにおいて第1角速度で収容容器を回転する第1制御ステップと、
第2角度θにおいて第2角速度で収容容器を回転する第2制御ステップと、
第3角度θにおいて第3角速度で収容容器を回転する第3制御ステップと、
を含み、
第1角速度および第3角速度が第2角速度以上であることを特徴とする、前記ロボット制御方法。
[30]第1制御による回転後に、収容容器と回収容器とが略垂直になり、第3制御による回転後に、収容容器が回収容器に対して倒立させた状態になることで、収容容器内の液体が回収容器に排出されることを特徴とする、[29]に記載のロボット制御方法。
[31]液体が水である場合に、第3角速度が第1角速度以上であり、液体が培養液である場合に、第1角速度が第3角速度以上であることを特徴とする、[29]または[30]に記載のロボット制御方法。
[32]第2角速度が、5〜40[deg/s]であることを特徴とする、[29]〜[31]のいずれかに記載のロボット制御方法。
[33]第2角度θが、水平を基準に下方20°〜上方65°の範囲内であることを特徴とする、[29]〜[32]のいずれかに記載のロボット制御方法。
[34]第3制御による回転終了後に、収容容器の開口の中心軸と回収容器の開口の中心軸とが略一致するように、軸が設定されることを特徴とする、[29]〜[33]のいずれかに記載のロボット制御方法。
[35]収容容器が、接着細胞用の細胞培養フラスコであり、回転が、該細胞培養フラスコの培養面を上にして行われることを特徴とする、[29]〜[34]のいずれかに記載のロボット制御方法。
[36]液体を収容した収容容器を収容容器の長軸に垂直な軸周りに回転させることで、収容容器内の液体を回収容器に排出することができるロボットを制御するためのプログラムであって、
第1角度θにおいて第1角速度で収容容器を回転する第1制御処理と、
第2角度θにおいて第2角速度で収容容器を回転する第2制御処理と、
第3角度θにおいて第3角速度で収容容器を回転する第3制御処理と、
をコンピュータに実行させ、
第1角速度および第3角速度が第2角速度以上であることを特徴とする、前記プログラム。
[37]第1制御による回転後に、収容容器と回収容器とが略垂直になり、第3制御による回転後に、収容容器が回収容器に対して倒立させた状態になることで、収容容器内の液体が回収容器に排出されることを特徴とする、[36]に記載のプログラム。
[38]液体が水である場合に、第3角速度が第1角速度以上であり、液体が培養液である場合に、第1角速度が第3角速度以上であることを特徴とする、[36]または[37]に記載のロボット制御方法。
[39]第2角速度が、5〜40[deg/s]であることを特徴とする、[36]〜[38]のいずれかに記載のプログラム。
[40]第2角度θが、水平を基準に下方20°〜上方65°の範囲内であることを特徴とする、[36]〜[39]のいずれかに記載のプログラム。
[41]第3制御による回転終了後に、収容容器の開口の中心軸と回収容器の開口の中心軸とが略一致するように、軸が設定されることを特徴とする、[36]〜[40]のいずれかに記載のプログラム。
[42]収容容器が、接着細胞用の細胞培養フラスコであり、回転が、該細胞培養フラスコの培養面を上にして行われることを特徴とする、[36]〜[41]のいずれかに記載のプログラム。
以上、本発明によれば、比較的単純な構成を有するロボットを単純な制御手順で動作させることで、効率よく迅速な培地交換が可能であり、液だれの発生を防止することができるため、クリーンルームなどにおける細胞培養物の製造に適している。
図1は本発明の第1実施態様にかかるロボットシステムの概要図を示す。 図2A−Dは、本発明の第1実施態様にかかるロボットシステムのグリッパの動作を説明する模式図を示す。 図2E−Hは、本発明の第1実施態様にかかるロボットシステムのグリッパの動作を説明する模式図を示す。 図3は、本発明の第2実施態様にかかるロボットシステムのグリッパの動作を説明する模式図を示す。 図4は、例3における、排出動作と滴下時間の時間配分の図を示す。 図5は、例3における、時間2、時間4、時間6の時間配分の図を示す。 図6は、水道水と培養液における最適速度構成の比較の図を示す。 図7は、培養液量と第2角速度との比較の図を示す。
本発明の一側面は、液体を収容した収容容器を収容容器の長軸に垂直な軸周りに回転させることで、収容容器内の液体を回収容器に排出することができるロボットシステムであって、第1の所定の軸周りに、収容容器を回転させる排出制御、および第2の所定の軸周りに、収容容器を回転させる退避制御、を実行し、排出制御における回転方向と、退避制御における回転方向が同じであり、第1の所定の軸が、収容容器の開口部の一側に設定され、第2の所定の軸が、前記開口部の一側に対向する開口部の他側に設定されることを特徴とする、前記ロボットシステムに関する。
本発明における液体を構成する成分は、例えば、水、生理食塩水、生理緩衝液(例えば、HBSS、PBS、EBSS、Hepes、重炭酸ナトリウム等)、培地(例えば、DMEM、MEM、F12、DMEM/F12、DME、RPMI1640、MCDB、L15、SkBM、RITC80−7、IMDM等)、糖液(スクロース溶液、Ficoll−paque(登録商標)PLUS等)、海水、血清含有溶液、レノグラフィン(登録商標)溶液、メトリザミド溶液、メグルミン溶液、グリセリン、エチレングリコール、アンモニア、ベンゼン、トルエン、アセトン、エチルアルコール、ベンゾール、オイル、ミネラルオイル、動物脂、植物油、オリーブ油、コロイド溶液、流動パラフィン、テレピン油、アマニ油、ヒマシ油などが挙げられる。
本発明における収容容器は、とくに限定されないが、例えば、細胞培養容器、接着細胞用の細胞培養フラスコ、浮遊細胞用の細胞培養フラスコなどが挙げられる。
本発明における回収容器は、とくに限定されないが、例えば、シェイカーフラスコ、三角フラスコ、ローラーボトル、排液ボトル、ビーカー、培地瓶、角型培地瓶などが挙げられる。排液ボトルとしては、シェイカーフラスコ、三角フラスコ、ローラーボトル、排液ボトル、ビーカー、培地瓶、角型培地瓶などが挙げられる。
本発明におけるロボットは、とくに限定されないが、例えば、直動・回転装置、マニピュレータ、多関節ロボットなどが挙げられる。多関節ロボットとしては、2軸多関節ロボット、3軸多関節ロボット、4軸多関節ロボット、5軸多関節ロボット、6軸多関節ロボット、7軸多関節ロボットなどが挙げられる。
本発明において「所定の軸」とは、収容容器を回転する際の回転中心となる軸をいい、収容容器が一般的な縦長の容器の場合は、所定の軸は容器の長軸に垂直な軸として設定される。
本発明において「TCP」とは、ツールセンターポイント(Tool Center Point)をいい、ロボット先端部に位置するツール、グリッパ、作業対象物などの制御対象物の位置、姿勢を表現するための座標系をいう。TCPは、例えば、エンドエフェクタ(グリッパ、ツールなど)や作業対象物(フラスコ、ボトルなど)などの任意の位置、姿勢(動作、制御に都合の良い位置、姿勢)に設定でき、6軸多関節ロボットであれば、通常、ロボット第6軸の座標系に対して定義する。
本発明において「収容容器を所定の軸周りに回転させる」とは、所定の軸を中心に収容容器を回転させることをいう。例えば、所定の軸を収容容器の開口部の一端に設定した場合は、かかる一端を中心にした回転動作だけで、収容容器内の液体の排出を行うことができる。また、例えば、所定の軸を収容容器の中心(重心)に設定した場合であっても、収容容器の中心軸まわりの回転動作と、円弧軌道の並進動作とを組み合わせて、上記のように収容容器の開口部の一端を中心に収容容器を回転させることもできる。
また、例えば、ロボットが、多関節ロボットである場合は、所定の軸と、TCPとを対応させることで、ロボット制御を効率化することができる。ロボットが、例えば6軸多関節ロボットである場合は、第6軸の回転軸と、TCPの回転軸とを平行にすることで、第6軸の回転動作と、第1〜5軸の少しの動作で、上記のように収容容器を回転させることができ、さらに、第6軸の回転軸と、TCPの回転軸とを一致させた場合は、第6軸の回転動作だけで上記のように収容容器を回転させることができる。
本発明における細胞の例としては、限定されずに、接着細胞(付着性細胞)を含む。接着細胞は、例えば、接着性の体細胞(例えば、心筋細胞、線維芽細胞、上皮細胞、内皮細胞、肝細胞、膵細胞、腎細胞、副腎細胞、歯根膜細胞、歯肉細胞、骨膜細胞、皮膚細胞、滑膜細胞、軟骨細胞、筋芽細胞など)および幹細胞(例えば、筋芽細胞、心臓幹細胞などの組織幹細胞、胚性幹細胞、iPS(induced pluripotent stem)細胞などの多能性幹細胞、間葉系幹細胞等)などを含む。体細胞は、幹細胞、特にiPS細胞から分化させたものであってもよい。シート状細胞培養物を形成し得る細胞の非限定例としては、例えば、筋芽細胞(例えば、骨格筋芽細胞など)、間葉系幹細胞(例えば、骨髄、脂肪組織、末梢血、皮膚、毛根、筋組織、子宮内膜、胎盤、臍帯血由来のものなど)、心筋細胞、線維芽細胞、心臓幹細胞、胚性幹細胞、iPS細胞、滑膜細胞、軟骨細胞、上皮細胞(例えば、口腔粘膜上皮細胞、網膜色素上皮細胞、鼻粘膜上皮細胞など)、内皮細胞(例えば、血管内皮細胞など)、肝細胞(例えば、肝実質細胞など)、膵細胞(例えば、膵島細胞など)、腎細胞、副腎細胞、歯根膜細胞、歯肉細胞、骨膜細胞、皮膚細胞等が挙げられる。本発明においては、単層の細胞培養物を形成するもの、例えば、筋芽細胞などが好ましく、とくに好ましくは骨格筋芽細胞である。iPS細胞由来の心筋細胞が好ましい。
以下、本発明の好適な実施態様について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
〔第1実施態様〕
まず、本発明の第1実施態様について説明する。
図1は本発明の第1実施態様にかかるロボットシステムの概要図、図2は、図1のロボットシステムのグリッパの動作を説明する模式図である。なお、本願における各図において、説明を容易とするため、各部材の大きさは、適宜強調されており、図示の各部材は、実際の大きさを示すものではない。
図1に示すロボットシステム1は、収容容器10を用いた細胞の処理に用いられるものであり、特に、収容容器10を用いて細胞を培養し、細胞培養物を得る際に、ロボット20で収容容器10を回転させて、収容容器10から液体Lを排出し、回収容器30に回収するために用いられるものである。本実施態様においては、液体Lは、培地であり、ロボットシステム1は、収容容器10中の培地(液体L)の交換に用いられる、培地交換システムであり、かかる培地交換は、クリーンルーム内で行われるものとして説明する。
本実施態様において、収容容器10は、接着細胞用の細胞培養フラスコであり、開口部12を有する容器本体11と、容器本体11の開口部12に螺合可能に構成され、開口部12を封することのできる蓋13(図示せず)とを備えている。容器本体11は、その側面として、2つの主面14、15を有し、一方の主面14には表面加工が施されており、主面14を下面とした細胞の培養が可能である。開口部12は、対向する他方の主面15に近接して設けられており、収容容器10内の液体Lを排出する際には、主面15を下面にした状態、すなわち、主面14を上面にした状態で収容容器10を傾けることで、主面14への影響を最小限にして、開口12から液体Lを排出することができる。
また、本実施態様において、回収容器30は、比較的大きな容量を有するボトルであり、開口部32を有する容器本体31と、容器本体31の開口部32に螺合可能に構成され、開口32を封することのできる蓋33(図示せず)とを備えている。開口部32の直径は、容器本体31より小さく、ロボット20で収容容器10を回転させて、収容容器10から液体Lを排出して回収容器30に回収する際に、ロボット20に付着した粉塵や摩耗粉等の異物が回収容器30に混入することが防止されるようになっている。
ロボット20は、基台に配置された、6軸垂直多関節型ロボットである。そして、ロボット20は、基台に対して旋回可能なベース21と、ベース21に連結され、ベース21の旋回方向の垂直軸に対して傾倒可能な第1アーム22と、第1アーム22の先端側に連結され、第1アームに対して傾倒可能な第2アーム基端部23と、第2アーム基端部23の先端側に連結され、第2アーム基端部23の軸方向に対して回転可能な第2アーム先端部24と、第2アーム先端部24の先端側に連結され、第2アーム先端部24の軸方向に対して傾倒可能なハンド部25と、ハンド部25に連結された把持具(グリッパ)26とを有している。なお、ハンド部25は、その軸方向に沿って回転可能に構成されている。
また、ロボット20は、ロボット20の制御手順を記述したプログラムを記憶する記憶部41と、かかるプログラムを処理してロボット20を制御する処理部42とを備えた制御装置40に接続され、ロボット20は、制御装置40による制御に従って自動的に動作することが可能である。ロボット20は、このような構成により、把持具26の位置・姿勢決めや、把持具26の回転、開閉を自動で行うことができ、これにより、把持具26により収容容器10を把持することにより、収容容器10の移送、傾斜、回転を自動で行うことができる。
以下、上述したロボットシステム1を用いた、本実施態様の細胞処理方法およびそのシステムについて説明する。なお、ロボットシステム1は、培地の交換に用いられる物であるため、本実施態様においては、排出する液体Lは培地である。また、用いられる収容容器10中には、液体Lによって培養されたシート状の細胞培養物(細胞組織)が、主面14の内壁面において担持されている(付着している)ものとして説明する。
図2の模式図を参照して、まず、ロボットシステム1を使用する場合は、制御装置40を起動して、記憶部41に記憶されたプログラムを処理部42に読み込ませる。処理部42は、プログラムに基づいてロボット20を制御して把持具26により収容容器10の主面14および15を挟み込むようにして把持させる。この際に、細胞の培養が可能である主面14に対向する他方の主面15側が回収容器30の方向に向くようにする(図2A)。
次に、ロボット20を制御して、回転および並進動作を行い、収容容器10の開口部12の一側16を、回収容器30の開口部32の一側36付近に位置決めして、収容容器10の開口部12の一側16を第1軸Aとして設定する。すなわち、収容容器10の開口部12の回収容器30側と、回収容器30の開口部32の収容容器10側とが近接するように位置決めして、収容容器10の開口部12の一側16を第1軸Aとして設定する。この際に、第1軸Aは、収容容器10の長軸に対して垂直に設定する。好ましくは、第1軸Aは、回収容器30の開口部32の上方かつ回収容器30との距離Dを0〜3cmの範囲に設定する(図2B)。
次に、ロボット20を制御して、収容容器10を第1軸A周りに矢印の方向に回転させながら、収容容器10内の液体Lを回収容器30に排出させる(排出制御)。この際に、収容容器10内の液体Lが、収容容器10の開口部12の回収容器30側(一側16)から排出されるように、第1軸A周りの回転方向が主面15から主面14に向かう方向に設定される。第1軸Aは、回収容器30の開口部32の上方に設定されているため、回収容器30から排出された液体Lは回収容器30の開口部32の内側を通る(図2C)。
次に、ロボット20を制御して、収容容器10を回収容器30に対して倒立させた状態で回転を停止して、収容容器10内の液体Lを回収容器30に滴下させる(滴下制御)。すなわち、ステップCで排出されずに残っている収容容器10内の液体Lを、収容容器10を逆さにすることで回収容器30内に滴下させる。滴下時間を短縮するためなどに収容容器10を上下に往復させてもよい(図2D)。したがって、収容容器10を回収容器30に対して倒立させた状態で、収容容器10の開口部12の中心軸と回収容器30の開口部32の中心軸とが一致するように、ステップBおよびCにおける第1軸Aを設定してもよい。
次に、ロボット20を制御して、回転軸の位置を、第1軸Aの位置から、収容容器10の開口部12の一側16に対向する他側17に第2軸Bとして設定する(変更制御)。この際に、回転軸とTCP(座標系)とを一致させた場合は、ロボット20は動作させず、制御的な計算処理のみでTCPの位置を変更するため、実質的な作業時間は発生しない(図2E)。次に、ロボット20を制御して、収容容器10を、ステップCと同様の方向に第2軸B周りに回転させることで、収容容器10を回収容器30から退避させる(退避制御)。これにより、容器10の開口12が上下反転するため、液だれが生じることが防止される(図2F)。
すなわち、ステップCにおいて、液体Lは収容容器10の開口部12の回収容器30側(一側16)から排出されるため、収容容器10を逆回転、すなわちステップBの起点に戻した場合に、かかる一側16に液だれが生じる可能性があるが、上記のように、回転軸の位置を一側16から他側17に変更して回転させることで、下方位置あった一側16が上方位置に反転するため、液だれが生じることが防止される。さらに、この退避動作により、例えば、複数の収容容器10を一方の作業エリアから他方の作業エリアに移送することができるため、容器内の液体の排出と、容器の移送との両方を同時に達成することができる。
また、図2Gに示されるように、収容容器10を回収容器30から退避させる際に、第2軸B周りの回転に加えて、並進動作を伴ってもよい。すなわち、細胞培養フラスコを第2軸B周りに回転した場合は、細胞培養フラスコの培養面(主面14)が回収容器30に衝突する恐れがあるため、ロボットを回収容器30から遠ざける方向に並進動作させることで、衝突を回避する回避動作を行うようにしてもよい(回避制御)。次に、収容容器10を所定の位置に置いて、一連の作業を終了する(図2H)。そして、この一連の作業を繰り返しロボット20にさせることで、複数の収容容器10の培地交換を効率よく行うことができる。
以上、本発明を図示の実施態様について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上記の収容容器10内の液体Lを回収容器30に滴下させるステップDは、省略することができる。すなわち、本実施態様においては、容器10の開口12が上下反転して液だれが生じることが防止されるため、厳密な滴下作業を行う必要がない。また、上記のように、第1軸Aから第2軸Bへの変更、すなわち、ステップEに要する時間は、実質的にゼロであるため、排出制御と退避制御に要する時間は、ステップCおよびステップFに要する時間だけで算出することもできる。
また、ステップFにおいては、液体Lが排出された収容容器10を回転させるだけなので、第2軸B周りの回転角速度を、第1軸A周りの回転角速度以上にしてもよい。これにより、一連の作業時間を短縮することができ、さらに、容器10の開口12の上下反転を速やかに行うことが出来るため、液だれが生じることが確実に防止される。
以上、本発明の第1実施形態に係るロボットシステム1によれば、比較的単純な構成を有するロボットを単純な制御手順で動作させることで、効率よく迅速な培地交換が可能であり、液だれの発生を防止することができるため、クリーンルームなどにおける細胞培養物の製造に適している。
本発明の別の側面は、液体を収容した収容容器を収容容器の長軸に垂直な軸周りに回転させることで、収容容器内の液体を回収容器に排出することができるロボットシステムであって、第1角度θにおいて第1角速度で収容容器を回転する第1制御と、第2角度θにおいて第2角速度で収容容器を回転する第2制御と、第3角度θにおいて第3角速度で収容容器を回転する第3制御と、を実行し、第1角速度および第3角速度が第2角速度以上であることを特徴とする、前記ロボットシステムに関する。
〔第2実施態様〕
次に、本発明の第2実施態様について説明する。
図3は、本発明の第2実施態様にかかるロボットシステムのグリッパの動作を説明する模式図である。なお、本願における各図において、説明を容易とするため、各部材の大きさは、適宜強調されており、図示の各部材は、実際の大きさを示すものではない。
また、図中、第1実施態様に係るロボットシステム1の構成と同一の構成については、同一の符号を付し、以下、第1実施態様との相違点について詳細に説明し、同様の事項については、説明を省略する。
本実施態様においては、培地(液体L)を入れた、接着細胞用の細胞培養フラスコを収容容器10として使用した場合を例に説明を行う。
まず、ロボット20(図示せず)を制御して、回転動作および並進動作を行い、把持した収容容器10の開口部12の一側16を、回収容器30の開口部32の一側36付近に位置決めして、収容容器10の開口部12の一側16を回転軸Cとして設定する(ステップA、図3A)。図5Aから明らかなように、収容容器10の位置決めを行う際は、回転動作および並進動作を適宜行い、収容容器10と回収容器30とが接触しないようにする。
次に、ロボット20を制御して、軸C周りに、第1角度θにおいて第1角速度で収容容器10を回転させる(ステップB、図3B)。ここで、第1角度θは、ステップAにおける回転の始点から第1角度θだけ回転させると、液体Lが収容容器10の開口部12の一側16に到達する、すなわち、おおむね液体Lの収容容器10からの排出が始まる角度である。
次に、ロボット20を制御して、軸C周りに、第2角度θにおいて第2角速度で収容容器10を回転させる(ステップC、図3C)。ここで、第2角度θは、ステップCにおける回転の始点から第2角度θだけ回転させると、液体Lの液量の90%以上%が収容容器10から排出される角度である。また、第1角速度は、第2角速度以上に設定されており、これにより、液体Lの排出を緩やかに行うことができるため、排出された液体Lが液だれすることを防止することができる。
次に、ロボット20を制御して、軸C周りに、第3角度θにおいて第3角速度で収容容器10を回転させる(ステップD、図3D)。ここで、第3角度θは、ステップDにおける回転の始点(ステップCにおける回転の終点)から第3角度θだけ回転させると、収容容器10が回収容器30に対して倒立した状態になる角度である。また、第3角速度は、第2角速度以上に設定されており、これにより、液体Lの排出を速やかに行うことができる。
上記のように第1〜3角速度を設定することにより、第1〜3制御に渡る一連の動作時間を短縮することができる。すなわち、第1角度θにおける回転では、液体Lの排出が始まっていないため比較的速いスピードで収容容器10を回転させることができるが、第2角度θにおける回転では、液体Lを液だれなく排出する必要があるため、第1角速度より比較的遅いスピードで収容容器10を回転させる必要がある。そして、第3角度θにおける回転では、液体Lの大部分が排出され、液だれのリスクが少ないため、第2角速度以上のスピードで収容容器10を回転させることができる。
以上、本発明の第2実施形態に係るロボットシステム1によれば、比較的単純な構成を有するロボットを単純な制御手順で動作させることで、効率よく迅速な培地交換が可能であり、液だれの発生を防止することができるため、クリーンルームなどにおける細胞培養物の製造に適している。
上記の角度や角速度に関して、当業者であれば、収容容器10の容積、形状。液体Lの種類、体積、液体Lの粘度、収容容器10の開口部12の内径・外径、回収容器30の開口部32の内径・外径などを考慮して、適宜設定することができ、例えば、予備実験で最適なパラメータを算出して、かかるパラメータをプログラムに記述しておくこともできる。
例えば、液体Lが水道水(水)または培養液であり、収容容器10が接着細胞用の細胞培養フラスコ(サーモフィッシャー社製、T500)である場合、第1角速度は、16〜81[deg/s]、第2角速度は、5.5〜33[deg/s]、第3角速度は、16〜81[deg/s]の範囲であり、さらに好ましくは、第1角速度は、32〜54[deg/s]、第2角速度は、11〜22[deg/s]、第3角速度は、32〜54[deg/s]の範囲に設定するのが好ましい。第2角度θは、水平を基準に下方20°〜上方65°の範囲内に設定するのが好ましい。さらに好ましくは、第1角度θは、30[deg]、第2角度θは、45[deg]、第3角度θは、45[deg]に設定するのが好ましい。液体Lが水道水であり、75mlである場合、上記の条件が好ましい。また、液体Lが培養液であり、75mlである場合、上記の条件が好ましい。
また、例えば、液体Lが水道水(水)または培養液であり、収容容器10が接着細胞用の細胞培養フラスコ(サーモフィッシャー社製、T500)である場合、第1角速度は、16〜81[deg/s]、第2角速度は、4.3〜72[deg/s]、第3角速度は、16〜81[deg/s]の範囲であり、さらに好ましくは第1角速度は、32〜54[deg/s]、第2角速度は、6.0〜62[deg/s]、第3角速度は、32〜54[deg/s]の範囲に設定するのが好ましい。第2角度θは、水平を基準に下方20°〜上方65°の範囲内に設定するのが好ましい。さらに好ましくは、第1角度θは、30[deg]、第2角度θは、45[deg]、第3角度θは、45[deg]に設定するのが好ましい。液体Lが水道水であり、25〜140mlである場合、上記の条件が好ましい。また、液体Lが培養液であり、25〜140mlである場合、上記の条件が好ましい。
第二角速度と液体Lの量x[ml]について、おおむね下記の式が成立する。
第二角速度=75[ml]×16[deg/second]/x[ml]±50%
さらに、下記の式が好ましい。
第二角速度=75[ml]×16[deg/second]/x[ml]±30%
〔その他の実施態様〕
本発明を図示の第1および第2実施態様について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明は、第1および第2実施態様を組み合わせて実施することもできる。すなわち、第1実施態様のステップCを第2実施態様のステップB、C、Dのように三段階に分けて回転させることで、より効率的で迅速な培地交換が可能である。
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。すなわち、上記の実施態様の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワークや各種の記憶媒体を介してロボットや装置に読み込ませ、ロボットや装置の処理部(CPUやMPUなど)がプログラムを実行する処理である。また、本発明は、プログラムを記憶した記憶部と、プログラムを処理する処理部とを備えた上記のような制御装置から、ロボットや装置に制御信号を送信して動作させることによっても実現される。
以下に、本発明を実施例を参照してより詳細に説明するが、これは本発明の特定の具体例を示すものであり、本発明はこれに限定されるものではない。
収容容器として、接着細胞用の細胞培養フラスコ(サーモフィッシャー社製、T500フラスコ)、液体として75[ml]の培養液または水道水、回収容器として廃液ボトル、使用した。T500フラスコの排出口(開口部)の外径は28.2[mm]、内径は25.8[mm]、厚さは1.2[mm]であった。廃液ボトルの排出口(開口部)外径は34.2[mm]、内径は29.4[mm]、厚さは2.4[mm]であった。
例1 手動による排液作業
廃液作業の作業分析として、細胞処理作業従事者が、実際の培地交換作業においてフラスコ内の培養液75[ml]を排出する廃液作業、および、未経験者が75[ml]の水道水の入ったT500フラスコを把持し、角型の廃液ボトルへ、水道水を排出した時の廃液作業について、ビデオ画像を観察した。その結果、廃液作業は、(1)排出動作、(2)滴下動作、(3)退避動作の3つの動作に分解することができることが分かった。
(1)排出動作はフラスコを上向きに水平から30[deg]程度傾いた初期姿勢からフラスコ回転させ、フラスコ内の培養液または水道水を排出するまでの動作である。(2)滴下動作は、培養液または水道水の排出後、フラスコをほぼ倒立姿勢で滴を滴下させている動作である。(3)退避動作は、滴下が完了し、フラスコをほぼ倒立姿勢から、フラスコを上向きに水平から30[deg]程度(排出動作開始時と同じ姿勢)まで姿勢を誘導する動作である。
表1、表2に、細胞処理作業従事者および未経験者の場合の(1)排出動作、(2)滴下動作、(3)退避動作および廃液作業((1)+(2)+(3))のそれぞれの作業時間を示す。表1、表2とも、廃液動作を8回実施した際の平均値を示している。滴下動作においては、未経験者に比べ細胞処理作業従事者のほうが、培養液の残量をより少なくし、液だれのリスクを低減させるために慎重に滴下作業を行っているが、概ね同等の作業時間となっていることが確認できる。
(1)排出動作の傾向として、排出動作を開始してから培養液または水道水がフラスコから排出し始めるまでの回転動作は比較的速く、排出中は低速の回転動作、さらに、排出が概ね完了する後半から滴下動作開始までは再び回転動作が速くなることが観察された。また、(2)滴下動作においては、フラスコをほぼ倒立姿勢の停止状態にし、滴を滴下させる上下の動作も加えられている。最後の(3)退避動作は、高速の回転動作となっている。
Figure 0006890508
Figure 0006890508
例2 ロボットによる排液作業(水道水)
ロボットとして、6軸垂直多関節型産業用ロボット:安川電機製 MOTOMAN−MH3F(第1アーム:260[mm]、第2アーム:270[mm])を用いた。制御コントローラは、RTLinux(登録商標)環境をベースとしたシステムを使用した。
細胞処理作業従事者および未経験者(両者を合わせて作業者と呼ぶ)の廃液作業の分析を参考に、ロボットで廃液作業を実施する際においても、(1)排出動作、(2)滴下動作、(3)退避動作と対応させることで、廃液作業の基本動作を実現することを検討し、さらに、ロボットと作業者の違いに着目し、廃液作業の効率化の検討を行った。
フラスコの排出口の排出側端部をTCPとし、TCPを中心とした姿勢変化のみで排出動作を行った。さらに、ロボット第6軸の回転軸とTCPを一致させることで、第6軸のみの動作で排出動作を行なった。また、上記の「(1)排出動作の傾向」を参考に、排出動作開始から排出開始までを第1高速回転動作(第1制御、第1角速度)、排出開始から排出前半までを低速回転動作(第2制御、第2角速度)、排出後半から滴下動作開始までを第2高速回転動作(第3制御、第3角速度)に分解した。(2)滴下動作は、フラスコを倒立させた姿勢で停止状態とした。(3)退避動作は、作業者と同様に、滴下が完了し、フラスコをほぼ倒立姿勢から、フラスコを上向きに水平から30[deg]程度(排出動作開始時と同じ姿勢)まで姿勢を誘導する動作で、高速動作とした。
退避方向は、作業者の場合、後方退避動作(初期姿勢方向)しか行うことしかできないが、ロボットの場合、動作範囲(特に第6軸)を360[deg]以上確保することが容易なため、前方退避動作が可能であり、ロボットならではの退避動作である。なお、退避方向が前方の場合、フラスコと廃液ボトルが干渉するため、必要に応じて最小限の並進動作(回避動作)を含めた退避動作を行った。前方退避動作ができることで、次工程への速やかな移行や液だれリスクが低減された。
ロボットによる排出時間が作業者と同程度以下になることを想定し、表3に示すように、第1高速回転動作を32[deg/s]〜54[deg/s]、低速回転動作を11[deg/s]〜22[deg/s]、第2高速回転動作を32[deg/s]〜54[deg/s]の範囲に設定した。
Figure 0006890508
実験計画法における3水準系直交表L(3)を参考に、表4に示す組合せについて水道水75[ml]の排出動作を行った際に滴下完了するまでの時間を計測したところ、第1高速回転動作を32[deg/s]、低速回転動作を16[deg/s]、第2高速回転動作を43[deg/s]とした組合せが、水道水75[ml]の排出動作に対して最も効率的な速度設定であるという結果が得られた。また、廃液作業にかかる時間が最短となるように滴下時間を0[s]、退避速度を108[deg/s]とした場合でも、廃液ボトル外やフラスコの周囲に液だれが生じないことを確認した。
Figure 0006890508
例3 ロボットによる排液作業(培養液)
例2で決定した最適速度構成(第1高速回転動作=32[deg/s]、低速回転動作=16[deg/s]、第2高速回転動作=43[deg/s]、滴下時間=0[s]、退避速度=108[deg/s])を実際の培養液の廃液作業に適用した結果、液だれが発生した。液だれの発生現象は、(A)排出動作時の廃液ボトル外への排出、(B)退避動作時の廃液ボトル外への排出、(C)退避動作時の排出口の淵だれの3種類に分けられた。
(A)排出動作時の廃液ボトル外への排出は、排出動作の勢いで廃液ボトル外へ培養液が飛び散る現象であり、低速回転動作を22[deg/s]に設定した場合に発生した。排出動作による培養液のフラスコ内移動速度に起因するため、低速回転動作の上限を16[deg/s]に設定することで回避可能と考えられる。(B)退避動作時の廃液ボトル外への排出は、前方退避の途中に滴の慣性の影響で廃液ボトルの前方に滴が落ちる現象であり、最適速度構成での前方退避時に発生した。退避動作時の排出口の動作速度による培養液の加速や退避動作開始前の残量に起因するため、退避速度の上限および滴下時間を設定することで回避可能と考えられる。
液だれが発生した速度構成で、退避速度を108[deg/s]から54[deg/s]に変更したところ、液だれが発生しなくなった。(C)退避動作時の排出口の淵だれは、後方退避の途中に滴が内周部、端面部、外周部へ移動する現象であり、最適速度構成での後方退避時に発生した。滴下タイミングに起因するが、前方退避により外周部への滴の移動を阻止することで回避可能と考えられる。それ以外の方法としては、画像処理により滴下タイミングを避けて退避する方法も考えられる。
例2と同様に、表4に示す組合せについて培養液75[ml]の排出動作を行った。培養液は水道水よりも滴下が長時間続くため、表5に示すように、排出動作後に滴下間隔が1[s]になるまでの時間を計測した。表5の結果をもとに排出動作の主効果の速度要因分析を行い、排出動作と滴下動作の時間配分について分析した結果を図4、表6に示す。表6より、排出終了時点での残量が最小となるのは、時間3が最短となる速度構成(第1高速回転動作=54[deg/s]、低速回転動作=11[deg/s]、第2高速回転動作=32[deg/s])であった。その速度構成で、滴下時間を0[s]、退避速度を54[deg/s]にして廃液作業を10回実施したが、液だれは一度も発生しなかった。
Figure 0006890508
次に、上記速度構成と同程度の残量で、時間を短縮する方法を検討した。表6の時間2、時間4、時間6の時間配分を図5に示す。時間1および時間5が最短となる速度構成(第1高速回転動作=54[deg/s]、低速回転動作=22[deg/s]、第2高速回転動作=54[deg/s])が、滴下間隔1秒になるまでの時間が最も短いと言える。しかし、前節の液だれ発生現象の分析結果から、低速回転動作は16[deg/s]に設定する必要がある。また、第2高速回転動作が54[deg/s]と43[deg/s]では廃液作業の合計時間にほとんど差がないことから、液だれリスクを少しでも減らすために43[deg/s]に設定した。
さらに、最小残量になるまでの待ち時間を設定した。時間4の合計時間が0.43[s]となるため、切り上げて0.5[s]を滴下時間とした。したがって、第1高速回転動作を54[deg/s]、低速回転動作を16[deg/s]、第2高速回転動作を43[deg/s]、滴下時間を0.5[s]、退避速度を54[deg/s]とした組合せが、培養液の廃液作業の最適条件となる。その条件で、廃液作業を10回実施したが、液だれは一度も発生しなかった。
Figure 0006890508
廃液作業時間の比較を表7に示す。ロボットの廃液作業時間は、廃液対象が水道水から培養液に変わることで1.3[s]長くなったが、作業者と比較すると3.6〜4.7[s]短かった。上記結果から分かるように、実際の培養液を用いた場合でも、ロボットを適宜制御することで、作業者と比べてより効率的に廃液作業を行うことができた。
なお、滴下動作は、培養液の液だれのリスクを回避させるのが主たる目的であるため、滴下動作によって滴単位で培養液を完全に排出する必要はなく、ロボットによる滴下動作を0〜1[s]程度に設定しても特に問題はなかった。
Figure 0006890508
最適速度構成の比較を図6に示す。図示されるように、水道水を使用した場合における最適速度構成は、第1高速回転動作=32[deg/s]、低速回転動作=16[deg/s]、第2高速回転動作=43[deg/s]、滴下時間=0[s]、退避速度108[deg/s]であった。また、培養液を使用した場合における最適速度構成は、第1高速回転動作=54[deg/s]、低速回転動作=16[deg/s]、第2高速回転動作=43[deg/s]、滴下時間=0.5[s]、退避速度54[deg/s]であった。このように、水道水の場合は、第2高速回転動作における角速度を第1高速回転動作における角速度以上に設定するのが好ましいことが分かった。一方で、培養液の場合は、第1高速回転動作における角速度を第2高速回転動作における角速度以上に設定するのが好ましいことが分かった。
例4 培養液量と第2角速度の関係
培養液の液量を変化させて、低速回転動作(第2制御)における最適な角速度(第2角速度)分析を行い、培養液量と第2角速度の関係を分析した結果を図7に示す。この際に、第1高速回転動作(第1制御)における、角速度(第1角速度)(54[deg/s])、第2高速回転動作(第3制御)における、角速度(第3角速度)(43[deg/s])は変化させなかった。第1角度θは、30[deg]、第2角度θは、45[deg]、第3角度θは、45[deg]に設定した。
例3で決定した最適速度(培養液量75[ml]、低速回転動作=16[deg/s])を基準として、培養液量に反比例した第2角速度を計算した計算値に基づいて実験を行った。例えば、液体量が半分の時は、角速度が2倍になる。
結果(図中、上の線が計算値、下の線が実験値)、培養液量が約49〜141[ml]、第2角速度が約8〜25[deg/s]の場合は、液だれは起こらなかった。一方で、培養液量が25[ml]の場合は、計算で求めた第2角速度付近の49[deg/s]では液だれが起こり、37[deg/s]では液だれは起こらなかった。液体量(培養液量)が25mlから140mlの範囲において、角速度と液体量は、ほぼ、反比例した。

Claims (9)

  1. 液体を収容した収容容器を収容容器の長軸に垂直な軸周りに回転させることで、収容容器内の液体を回収容器に排出することができるロボットシステムであって、
    第1角度θ において第1角速度で収容容器を回転する第1制御と、
    第2角度θ において第2角速度で収容容器を回転する第2制御と、
    第3角度θ において第3角速度で収容容器を回転する第3制御と、
    を実行し、
    第1角速度および第3角速度が第2角速度以上であることを特徴とする、前記ロボットシステム。
  2. 第1制御による回転後に、収容容器と回収容器とが略垂直になり、第3制御による回転後に、収容容器が回収容器に対して倒立させた状態になることで、収容容器内の液体が回収容器に排出されることを特徴とする、請求項1に記載のロボットシステム。
  3. 液体が水である場合に、第3角速度が第1角速度以上であり、液体が培養液である場合に、第1角速度が第3角速度以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載のロボットシステム。
  4. 第2角速度が、5〜40[deg/s]であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のロボットシステム。
  5. 第2角度θ が、水平を基準に下方20°〜上方65°の範囲内であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のロボットシステム。
  6. 第3制御による回転終了後に、収容容器の開口の中心軸と回収容器の開口の中心軸とが略一致するように、軸が設定されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のロボットシステム。
  7. 収容容器が、接着細胞用の細胞培養フラスコであり、回転が、該細胞培養フラスコの培養面を上にして行われることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のロボットシステム。
  8. 液体を収容した収容容器を収容容器の長軸に垂直な軸周りに回転させることで、収容容器内の液体を回収容器に排出することができるロボットを制御する、ロボット制御方法であって、
    第1角度θ において第1角速度で収容容器を回転する第1制御ステップと、
    第2角度θ において第2角速度で収容容器を回転する第2制御ステップと、
    第3角度θ において第3角速度で収容容器を回転する第3制御ステップと、
    を含み、
    第1角速度および第3角速度が第2角速度以上であることを特徴とする、前記ロボット制御方法。
  9. 液体を収容した収容容器を収容容器の長軸に垂直な軸周りに回転させることで、収容容器内の液体を回収容器に排出することができるロボットを制御するためのプログラムであって、
    第1角度θ において第1角速度で収容容器を回転する第1制御処理と、
    第2角度θ において第2角速度で収容容器を回転する第2制御処理と、
    第3角度θ において第3角速度で収容容器を回転する第3制御処理と、
    をコンピュータに実行させ、
    第1角速度および第3角速度が第2角速度以上であることを特徴とする、前記プログラム。
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