JP6889970B1 - 土木工事用不織布およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
従来の土木工事用不織布は白色以外の特別な色彩を付ける必然性がないことから、不織布の原料には白色系の繊維を用い、製造される不織布は外表面だけでなく内部組織も白色となっている。
そこで、不陸に対する追従性をよくするために、様々な延伸構造の不織布が提案されている(特許文献1〜4)。
<1>土木工事用不織布は全体が白色であるため、耐候性と耐摩耗性に問題があることに加えて、施工時に光が反射して眩しく敷設作業を阻害し易い。
<2>土木工事用不織布は全体を引き延ばしながら現場に敷設しているが、不織布の実際の伸び量を把握することができない。
そのため、伸び量にバラツキを生じ、不織布を均一の伸び率で引き延ばしながら敷設することが技術的に難しい。
<3>敷設面に大きな起伏があると、起伏に馴染ませるために不織布がさらに引き伸ばされる。
既述したように不織布の敷設時の実際の伸び具合を把握できないにもかかわらず、さらに起伏箇所で不織布が伸ばされるので不織布が伸長限界を超えて破れ易くなる。
不織布が破れると、破損個所の補修に多くの時間と手数がかかる。
<1>簡易な手法により不織布の伸び具合を把握できること。
<2>不織布の伸び適正に管理しながら敷設できること。
<3>不織布を防砂シートに用いた場合、防砂機能の保証期間を延長できること。
さらに本発明は、ニードルパンチ方式で製造する高伸度の土木工事用不織布の製造方法であって、不織布の繊維原料に着色しない白色繊維と、前記白色繊維と同一繊維を特定色彩の顔料で着色した着色繊維とを使用し、前記白色繊維および着色繊維を混練した後にニードルパンチで交絡させて不織布本体を製造し、前記不織布本体が白色繊維と着色繊維の混合色を有し、かつウェブの外表面に斑模様を形成した。
本発明の他の形態において、前記着色繊維の色彩は黒色系である。
本発明の他の形態において、前記着色繊維の顔料はカーボンブラックである。
本発明の他の形態において、前記着色繊維の混合量は重量比で10〜90%の範囲である。
本発明の他の形態において、前記白色繊維および着色繊維はポリエステル系繊維である。
本発明の他の形態において、不織布の伸び率は150%以上である。
本発明の他の形態において、不織布は防砂シートである。
<1>白色繊維に適量の着色繊維を混入した原料を使用することで、斑模様を有する混合所の不織布を製造することができる。
<2>不織布全体に色彩が付与してあるので、不織布の伸び量に差があるとその差が色彩の濃淡となって表れる。
そのため、不織布の色彩の濃淡によって、不織布の大まかな伸び具合を目視により把握することができる。
<3>不織布の該表面が斑模様を呈することから、特定した複数の斑点間の距離を伸長前と伸長後に実測することで、不織布の伸び率を正確に把握することができる。
<4>不織布の伸びを把握できるので、不織布の伸び適正に管理しながら敷設することができる。
<5>不織布の伸長限界を把握できるので、破損した場合に補修対応を簡単に行える。
<6>着色繊維の顔料にカーボンブラックを用いた場合には、不織布の耐候性および耐摩耗性を高めることができる。
そのため、不織布を防砂シートに用いた場合には、光の反射を抑えて施工性を改善できるだけでなく、紫外線劣化と摩耗劣化を回避して砂防シートの防砂機能を長期間に亘って保証することができる。
図1を参照して本発明に係る土木工事用不織布10(以下「不織布10」という)について説明すると、不織布10は、優れた弾力性,伸長性,および強度を併せ持っており、例えば防砂シート等の埋立護岸の吸出し防止工,洗掘対策工、連接ブロック工,石積み工等の吸出し防止工、各種フィルター工、または遮水シート工の保護材等の土木工事における洗掘対策、吸出し防止用資材として使用する。
不織布10の高い弾性力と伸長性を有していて、各種の敷設面の凹凸等に追従させて敷設できる。
不織布10の物性(目付、伸び率、引張強度、引裂強度)はつぎのとおりである。
不織布10の目付量は特に制限はないが、土木工事用途で使用する場合は200〜2000g/m2であり、実用的には1350g/m2以上が望ましい。
不織布10の伸び率は、たて150×よこ150%以上を有していればよく、たて200×よこ200%以上が望ましい。
不織布10を高伸度にする手段は、公知の各種方法を適用できる。
不織布10の引張強度は、たて900×よこ900N/5cm以上である。
不織布10の引裂強度は、たて500×よこ500N以上である。
不織布10の繊維原料は、白色繊維11と着色繊維12とからなる。
白色繊維11および着色繊維12は同一の繊維素材からなる。
白色繊維11は公知の繊維である。
不織布10を着色繊維12のみで製造すると、不織布全体が単一色となって斑模様が生じない。
本発明では不織布10に斑模様を形成するために、白色繊維11と着色繊維12の組合せを採用した。
不織布10を構成する繊維原料(白色繊維11および着色繊維12)は、ポリエステル系繊維,ポリアミド系繊維,ポリビニルアルコール系繊維,ポリアクリロニトリル系繊維,ポリスチレン系繊維,ポリ塩化ビニル系繊維,アセテート系繊維,ポリエチレン系繊維,ポリプロピレン系繊維等を適用できる。
実用上は、ポリエステルを主体とし、その他にポリプロピレン、アクリル、ナイロン等の繊維が好適である。
繊維の形態は、短繊維(ステープル)と長繊維(フィラメント)を使用できるが、実用上は短繊維が好適である。
白色繊維11および着色繊維12の物性(繊度、繊維強度、伸び率)はつぎのとおりである。
1)繊度(dtex)
白色繊維11および着色繊維12の繊度は3〜20dtexであればよい。
白色繊維11および着色繊維12の繊度強度は、1.5cN/dtex以上であればよい。
3)伸び率(%)
不織布10の伸度要因を繊維素材の伸び率に求める場合、白色繊維11および着色繊維12の繊維素材の伸び率は150%以上または200%以上であればよい。
着色繊維12は特定色の顔料の1種または複数種を含む。
実用的には1種の顔料で十分である。
本例では、顔料として紫外線吸収機能を有するカーボンブラックを採用した形態について説明するが、顔料はカーボンブラック以外の任意の色彩を採用することができる。
顔料にカーボンブラックを用いると、不織布10の耐候性、耐久性および耐摩耗性の向上効果を期待できる。
着色繊維12の着色範囲は、全長に亘って均一に着色してもよい、部分的に着色してもよい。
着色繊維12の着色方法としては、例えば繊維原料に適量のカーボンブラックを投入して混錬することで着色することができる。
着色繊維12の着色方法は混練に限定されず、公知の着色手段が適用可能である。
不織布10の全体繊維量に対する着色繊維12の混合量は、適宜選択が可能である。
本発明では着色繊維12の混合量を10〜90%の範囲とし、実用上は20〜80%の範囲が望ましく、機能的には50%の混合量が最もよい。
着色繊維12の混合量が50%を超えると、不織布10の全体色が濃くなって肉眼で斑を識別することが難しくなる。
本発明の不織布10は例えばニードルパンチ方式で製造できる。
図2を参照して不織布10の製造方法について説明する。
供給ホッパ20内に白色繊維11および着色繊維12を連続して投入する。
供給ホッパ20はその内部に空気流が生じていて、供給ホッパ20に投入した白色繊維11および着色繊維12を開繊および撹拌する。
カード機21において、ドラムの針で繊維原料の一定量を一定方向に送り出してシート状のウェブ22を形成する。
所要数のウェブ22を積層した積層シートに対してニードルパンチ23を高速昇降させる。
ニードルパンチ23が具備する複数の針24を積層シートにまとめて突き刺すことで複数層のウェブ22を構成する白色繊維11および着色繊維12が交絡して一枚ものの不織布10を得る。
図3にニードルパンチ方式で製造した不織布10の平面図を示す。
既述した不織布10の特性について説明する。
本発明では不織布10の全体に色彩が付与してあるので、不織布10の伸び量に差があると、その差は色彩の濃淡となって表れる。
具体的には、伸び量の多い部位の色彩は、伸び量の少ない他の部位と比べて薄くなる。
このように、不織布10の色彩の濃淡によって、不織布10の大まかな伸び具合を目視により把握することができる。
不織布10を敷設面の不陸に沿わせて敷設する際に、不織布10が伸びた部分の色が薄く見えるため、敷設後において不陸部分が分りやすくなる。
そのため、作業者が不織布10の上を歩くときのつまずき等の歩行障害を回避できる。
本発明の不織布10は、以下の簡単な作業で以て実際の伸び率を把握することができる。
そこで、例えば2つの斑点ア、イを選択し、伸長前の斑点ア、イの距離L1と、伸長後の斑点ア、イの距離L2を実測することで、不織布10の伸び率(L1:L2)を正確に把握することができる。
4つ以上の斑点を見つけて、不織布10の縦横方向へ向けた伸び率を計測することも可能である。
敷設面に不陸部があった場合、不織布10を伸長させて敷設面に対して不織布10を隙間なく敷設することが理想であるが、不織布10の斑点の間隔を確認することで、不陸部に対する不織布10の伸長具合をリアルタイムで確認することができる。
着色繊維12がカーボンブラックを含むことで不織布10は、白色繊維単体のみで製造した従来の不織布と比較して、耐候性と耐摩耗性に優れる。
白色繊維単体のみで製造した従来の不織布は、紫外線に対する特別な対策が取られていなので、2,3カ月の間でも屋外に晒されると紫外線劣化が進行する。
白色繊維単体のみで製造した従来の不織布の耐候性を高める手段として、酸化チタンを混錬することが知られている。
しかしながら、酸化チタンの混錬量に比例して光が反射し易くなって、施工時の眩しさの問題が残るだけでなく、耐摩耗性についても顕著な問題となりやすい。
本発明に係る不織布10は色彩がグレーとなるため、不織布10を海洋工事の防砂シート(吸出防止材)として用いた場合に、水分を含んだ箇所と含まない箇所を色の変化で把握できる。
水を含んだ箇所の色は、水を含まないドライの部位と比べて濃いグレー色となって表れる。
したがって、不織布10の色彩の濃淡によって、土砂が吸出され易い部位を把握して、その対策に活用することができる。
黒色繊維の顔料にカーボンブラックを使用した不織布は、白色繊維単体のみで製造した従来の不織布と比較して、耐候性に優れる。
実際の現場では2,3か月程度、不織布が日光に晒される場合がある。
白色繊維単体のみで製造した従来の不織布は、紫外線に対する特別な対策が取られていなので、2,3カ月の間でも屋外に晒されると紫外線劣化が進行する。
白色繊維単体のみで製造した従来の不織布の耐候性を高める手段として、酸化チタンを混錬することが知られている。
しかしながら、酸化チタンの混錬量に比例して光が反射し易くなって、施工時の眩しさの問題が残るだけでなく、次記する耐摩耗性についても顕著な問題となりやすい。
<7>耐摩耗性
カーボンブラックを添加することで、不織布10の耐候性を改善できるだけでなく、耐摩耗性が向上する。
先の「<6>耐候性」で説明したように不織布10の耐候性および耐摩耗性のを向上させた不織布となることで、現場設置後の劣化を抑えることが可能となる。
以上のように、本発明に係る不織布10は、光の反射を抑えて施工性を改善できるだけでなく、砂防シートとして使用した場合は、紫外線劣化と摩耗劣化を回避して砂防シートの防砂機能を長期間に亘って保証することができる。
11・・・白色繊維
12・・・着色繊維
20・・・供給ホッパ
21・・・カード機
22・・・ウェブ
23・・・ニードルパンチ
24・・・ニードルパンチの複数の針
Claims (7)
- ニードルパンチ方式で製造されたたておよびよこの伸び率が150%以上である土木工事用不織布であって、
不織布の繊維原料が白色繊維と、
前記白色繊維と同一繊維を特定色彩の顔料で着色した着色繊維との混合物からなり、
前記白色繊維および着色繊維が化学繊維であり、
前記着色繊維がカーボンブラック製の顔料を含んだ黒色系の色彩を呈し、
不織布本体が白色繊維と着色繊維の混合した鼠色形の色彩を有し、かつ不織布本体の外表面に斑模様を形成していることを特徴とする、
土木工事用不織布。 - 前記着色繊維の混合量が重量比で10〜90%の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の土木工事用不織布。
- 前記白色繊維および着色繊維がポリエステル系繊維であることを特徴とする、請求項1または2に記載の土木工事用不織布。
- 前記不織布が防砂シートであることを特徴とする、請求項1乃至3の何れか一項に記載の土木工事用不織布。
- ニードルパンチ方式で製造するたておよびよこの伸び率が150%以上である土木工事用不織布の製造方法であって、
不織布の繊維原料に白色繊維と、
前記白色繊維と同一繊維を特定色彩の顔料で着色した着色繊維とを使用し、
前記白色繊維および着色繊維が化学繊維であり、
前記着色繊維がカーボンブラック製の顔料を含んだ黒色系の色彩を呈し、
前記白色繊維および着色繊維を混練した後にニードルパンチで交絡させて不織布本体を製造し、
不織布本体が白色繊維と着色繊維の混合した鼠色形の色彩を有し、かつ不織布本体の外表面に斑模様を形成したことを特徴とする、
土木工事用不織布の製造方法。 - 前記着色繊維の混合量が重量比で10〜90%の範囲であることを特徴とする、請求項5に記載の土木工事用不織布の製造方法。
- 前記白色繊維および着色繊維がポリエステル系繊維であることを特徴とする、請求項5または6に記載の土木工事用不織布の製造方法。
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