本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当する部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
以下においては、本発明の実施の形態として、例えば、宴席装置1(図1、図3、図6等参照)、宴席演出装置6(図2、図4、図7等参照)および、これらの装置を含む宴席システム1A(図5等参照)等を説明する。
[宴席装置の構成]
図1は、宴席システム1Aに含まれる1つの宴席装置1の断面図である。宴席システム1Aにおいては、複数の宴席装置1が設けられる。
図1を参照して、宴席装置1は、宴席部2と移動部3とを含む。宴席部2は、テーブル部材20、浮床部材21、花置台23、座席24、車椅子固定部材25、車輪26、および、発光部27を含む。移動部3は、筐体30、および、駆動輪31を含む。
宴席部2について具体的な構成を説明する。テーブル部材20は、円卓形状の平板であり、例えば、料理、飲料、食器等、式典における提供物を載置することが可能である。テーブル部材20上の中央部には、飾り用の花を配置する花置台23が設けられている。花置台23の内部には、音声出力部41、撮像部51、位置情報検出部35、制御部300、外部記憶部304(図示省略)、および、入出力部36(図示省略)が設けられている。花置台23においては、基本的に花が飾られるため、これらの各種装置の存在は認識されにくい。
音声出力部41は、演出用の音楽等の音声を出力することが可能なスピーカよりなり、演出パターンの進行に応じた出力パターンで音声を出力することが可能である。撮像部51は、宴席装置1に着席した人を動画および静止画で撮像することが可能なカメラよりなり、演出パターンの進行に応じた撮像パターンで撮像が可能である。位置情報検出部35は、宴席装置1の位置情報を検出(測定)するGPS(Global Positioning System)受信機よりなる。制御部300は、宴席装置1を制御するマイクロコンピュータよりなる。外部記憶部304は、宴席装置1の演出パターンデータを記憶するハードディスク装置よりなる。外部記憶部304に記憶された演出パターンデータは、式典で演出を実行するときに、後述するRAM302に読出されて演出に用いられる。入出力部36は、LANケーブル端子等の各種の信号ケーブルを接続して演出パターンのデータ等の各種データの入出力をすることが可能な入出力インタフェースである。
浮床部材21は、テーブル部材20の周囲の床を構成する部材であり、少なくとも式典の参加者の人11が着席する椅子状の座席24および車椅子12を載せることが可能な広さの円形の床と、当該床の中央部において上方にテーブル部材20を取付けるための円筒状の支柱とを含む。円形の床の中央部には、移動部3を浮床部材21の中央部に収容するための穴が形成されている。円筒状の支柱は、テーブル部材20を上に取付けるとともに移動部3を下に取付けるために、上端部が所定厚さの蓋で閉じたような形状とされている。
浮床部材21では、テーブル部材20の周囲の床に複数の座席24を着脱可能な態様で固定することが可能な椅子固定穴部よりなる椅子固定部(図示省略)が複数箇所(例えば6脚分)に設けられている。各椅子固定部は、座席24の脚部を嵌め込むことにより座席24を固定することが可能となる。各椅子固定部には、座席24の代わりに車椅子12を固定することが可能な車椅子固定器具よりなる車椅子固定部材25を取付けることが可能である。これにより、浮床部材21には、基本的に、予め定められた複数の座席24を固定することが可能であり、必要に応じて、各座席24の代わりに車椅子12を固定することが可能である。
浮床部材21の端部においては、所定間隔で、式典の会場の床と浮床部材21の位置との間の段差を示唆するために発光するランプよりなる発光部27が均等な間隔で設けられている。このような段差を示唆する発光部27が設けられていることにより、宴席装置1に向かう人が、段差を容易に認識することが可能となり、バランスを崩したり、足を踏み外したりしないようにすることが可能となり、安全性を高めることができる。
浮床部材21の下部には、回転方向をどの方向にも変化させることが可能なキャスター型の車輪26が複数設けられている。浮床部材21は、このような複数の車輪26が設けられていることにより、式典の会場の床から浮いた状態で移動可能となる。車輪26は、宴席部2の座席数よりも多い複数の人が浮床部材21に載った状態でも浮床部材21の状態が不安定とならないように、浮床部材21の下部において多数が分散して設けられている。浮床部材21の下に複数の車輪26が設けられたことにより、宴席装置1は、浮床部材21上にテーブル部材20および座席24等を固定した状態であらゆる方向に移動することが可能である。
浮床部材21における円筒状の支柱の内部には、下部に複数(例えば4つ)の駆動輪31が設けられた箱型の筐体30よりなる移動部3が、支柱の上端部の下側に筐体30の上端部を取付けた態様で設けられている。移動部3の筐体30内には、制御部300、移動部3等の宴席装置1に設けられた各種電気機器の電源となるバッテリー(図示省略)、移動部3の駆動輪31を回転駆動するモータ(図示省略)、各駆動輪31の転動方向を左右に変化させることにより移動部3の進行方向を変化させるステアリング(舵取り装置)(図示省略)、モータの駆動装置(図示省略)、および、ステアリングの駆動装置(図示省略)等が設けられている。
このような構成の宴席装置1は、外部記憶部304に記憶された演出パターンのデータと、位置情報検出部35により検出された宴席装置1の位置情報のデータとに基づいて、制御部300が、宴席装置1について、現在の位置、移動方向、移動先の位置、および、移動先で向く方向等を確認して、移動部3により駆動輪31を動作させることにより、人を載せた状態で、式典会場内を演出パターンに従って自走し、式典の演出の進行に応じた演出を実行可能である。宴席装置1が移動するときの移動速度は、宴席部2上に載った料理等の提供物が移動時に宴席部2上で動かず、浮床部材21上の人が容易に動かないようなゆっくりとした低速度となるように設定されている。また、宴席装置1が移動するときの移動速度は、会場内の人、人が載った宴席装置1または宴席演出装置6に衝突した場合でも人が怪我等、衝突による影響を受けないような速度に制限されている。
[宴席演出装置の構成]
図2は、宴席システム1Aに含まれる宴席演出装置6の断面図である。図2を参照して、宴席演出装置6は、搭載部7と移動部8とを含む。搭載部7は、台座部材71、車輪76、および、発光部28を含む。移動部8は、筐体80、および、駆動輪81を含む。図2(A)には宴席演出装置6の第1例としてミラーボール型の照明部9を搭載(取付)した例が示される。図2(B)には宴席演出装置6の第2例としてケーキ91を搭載(取付)した例を示す。
搭載部7について具体的な構成を説明する。台座部材71は、上部が閉じた円筒形状の部材であり、下部の周囲に、回転方向をどの方向にも変化させることが可能なキャスター型の車輪76を複数設けるための所定幅の張出部が形成されている。張出部の下部には、回転方向をどの方向にも変化させることが可能なキャスター型の車輪76が複数設けられている。台座部材71は、このような複数の車輪76が設けられていることにより、式典の会場の床から浮いた状態で移動可能となる。台座部材71の張出部上部においては、所定間隔で、会場の床と台座部材71の下部位置との間の段差を示唆するために発光するランプよりなる発光部28が均等な間隔で設けられている。このような段差を示唆する発光部28が設けられていることにより、式典の参加人が台座部材71の下部に足を挟み込んだりする事故の発生を抑制することができる。
車輪76は、台座部材71上に比較的に重い演出手段を載せた状態でも搭載部7の状態が不安定とならないように、搭載部7の下部において多数が分散して設けられている。搭載部7の下部に複数の車輪76が設けられたことにより、宴席演出装置6は、搭載部7上に各種の演出手段(演出用の装置、飾り、食物等)を載せた状態であらゆる方向に移動することが可能である。
台座部材71は、図2(A)のミラーボール型照明の発光態様で発光する照明部9または図2(B)のようなケーキ91を上に取付けるとともに移動部8を下に取付けるために、上端部が所定厚さの蓋で閉じたような円筒形状とされている。
台座部材71の内部には、下部に複数(例えば4つ)の駆動輪81が設けられた箱型の筐体80よりなる移動部8が、台座部材71の上端部の下側に筐体80の上端部を取付けた態様で設けられている。移動部8の筐体80内には、移動部3を構成するモータ(図示省略)、ステアリング(舵取り装置)(図示省略)、モータの駆動装置(図示省略)、および、ステアリングの駆動装置(図示省略)等に加え、音声出力部42、撮像部52、位置情報検出部36、制御部400、外部記憶部404(図示省略)、入出力部46(図示省略)、バッテリー(図示省略)が設けられている。
モータは、駆動輪81を回転駆動するものである。ステアリング(舵取り装置)は、各駆動輪81の転動方向を左右に変化させることにより移動部8の進行方向を変化させるものである。モータの駆動装置は、モータを駆動制御するためのものである。ステアリングの駆動装置は、ステアリングを駆動制御するためのものである。音声出力部42は、搭載部7の外部に向けて設けられ、演出用の音楽等音声を出力することが可能なスピーカよりなる。撮像部52は、搭載部7の外部に向けてレンズ部が設けられ、宴席演出装置6の近傍を動画および静止画で撮像することが可能なカメラよりなる。位置情報検出部45は、GPS(Global Positioning System)受信機よりなる。制御部400は、宴席演出装置6を制御するマイクロコンピュータよりなる。外部記憶部404は、宴席演出装置6の演出パターンデータを記憶するハードディスク装置よりなる。外部記憶部404に記憶された演出パターンデータは、式典で演出を実行するときに、後述するRAM402に読出されて演出に用いられる。入出力部46は、LANケーブル端子等の各種の信号ケーブルを接続して演出データ等の各種データの入出力をすることが可能な入出力インタフェースである。
このような構成の宴席演出装置6は、外部記憶部404に記憶された演出パターンのデータと、位置情報検出部36により検出された位置情報のデータとに基づいて、制御部400が、宴席演出装置6について、現在の位置、移動方向、移動先の位置、および、移動先で向く方向等を確認して、移動部8により駆動輪81を動作させることにより、演出手段を載せた状態で、式典会場内を演出パターンに従って自走し、式典の演出の進行に応じた演出を実行可能である。宴席演出装置6が移動するときの移動速度は、会場内の人または人が載った宴席装置1に衝突した場合でも人が怪我等の衝突による影響を受けないようなゆっくりとした低速度となるように設定されている。
[宴席装置の制御構成]
図3は、宴席装置1の制御構成を示すブロック図である。図3を参照して、制御部300には入出力部36、位置情報検出部35、移動部3、音声出力部41、撮像部51、発光部27、および、外部記憶部304が接続されている。
制御部300は、マイクロコンピュータであり、ROM(Read Only Memory)301と、RAM(Random Access Memory)302と、CPU(Central Processing Unit)303とを含む。CPU303は、ROM301に記憶されたプログラムを実行することにより、制御部300が外部記憶部304に記憶された演出パターンのデータをRAM302に読出すとともに、位置情報検出部35により検出された宴席装置1の位置情報のデータをRAM302に読出す。CPU303は、制御部300が宴席装置1における電源投入時から電源断時までの間において、発光部27に制御信号を送ることにより、会場の床と浮床部材21の位置との間の段差を示唆するための発光が行なわれる。
CPU303は、このように外部記憶部304および位置情報検出部35から読出したこれらのデータに基づいて、宴席装置1について、現在位置、移動方向、移動先の位置、および、移動先で向く方向等を確認して、制御部300から移動部3に制御信号を送り、移動部3により駆動輪31を動作させることにより、人を載せた状態で、式典会場内を演出パターンに従って宴席装置1を自走させ、式典の演出の進行に応じた演出を実行可能である。このような式典の演出の進行に応じた演出としては、CPU303が制御部300から音声出力部41および撮像部51のそれぞれに制御信号を送り、演出の進行に応じて音楽等の音声の出力および動画または静止画の撮像等が実行される。
式典の演出に用いる演出パターンのデータは、式典で実行する演出パターンのプランに基づいて、他のパーソナルコンピュータ等を用いて予め作成しておき、式典が開始される前に、当該パーソナルコンピュータと制御部300とを、LANケーブルで接続する等、データ送信可能な状態とし、入出力部36を介して演出パターンのデータを制御部300に入力し、その演出パターンのデータを外部記憶部304に記憶しておき、CPU303が、その演出パターンのデータを式典の演出時にRAM302に読出して、前述のような演出を実行する。このような演出パターンのデータの入力は、演出に用いられる複数の宴席装置1毎に実行される。また、図示を省略するが、宴席装置1には、記憶された演出パターンのデータに基づき、式典開始時からの経過時間に応じて、演出パターンに応じた演出を実行するために、式典の管理者が式典開始時刻を入力設定することが可能な入力設定部が設けられており、予め定められた入力設定部から入力された式典開始時刻のデータが、外部記憶部304に記憶設定され、各宴席装置1の電源投入時に式典開始時刻のデータがCPU303に読出されることにより、設定された時刻から時間経過に従って、式典の演出パターンに応じた各宴席装置1の演出の実行が開始される。なお、各宴席装置1に無線受信装置を設けておき、各宴席装置1とは別に設けられた無線送信装置から式典の開始を指示する信号を各宴席装置1に送信することにより、各宴席装置1において、記憶された演出パターンのデータに基づく演出を開始するようにしてもよい。また、このような無線送信装置から式典の開始時刻を各宴席装置1に送信することにより、各宴席装置1において、記憶された演出パターンのデータに基づく演出を開始する時刻を設定するようにしてもよい。また、式典の開始時刻のデータは、演出パターンのデータを外部記憶部304に記憶するときに、入出力部36から演出パターンのデータとともに、外部記憶部304に記憶させ、記憶させた式典の開始時刻のデータに基づいて、演出パターンに応じた各宴席装置1の演出の実行が開始されるようにしてもよい。
[宴席演出装置の制御構成]
図4は、宴席演出装置6の制御構成を示すブロック図である。図4では、宴席演出装置6の制御構成の一例として、図2(A)に示す照明部9を載せた宴席演出装置6の制御構成が示されている。図4を参照して、制御部400には入出力部46、位置情報検出部45、移動部8、音声出力部42、撮像部52、発光部28、照明部9、および、外部記憶部404が接続されている。
制御部400は、マイクロコンピュータであり、ROM(Read Only Memory)401と、RAM(Random Access Memory)402と、CPU(Central Processing Unit)403とを含む。CPU403は、ROM401に記憶されたプログラムを実行することにより、制御部400が外部記憶部404に記憶された演出パターンのデータをRAM402に読出すとともに、位置情報検出部45により検出された宴席演出装置6の位置情報のデータをRAM402に読出す。CPU403は、制御部400が宴席演出装置6における電源投入時から電源断時までの間において、発光部28に制御信号を送ることにより、会場の床と台座部材71の最下部位置との間の段差を示唆するための発光が行なわれる。
CPU403は、このように外部記憶部404および位置情報検出部45から読出したデータに基づいて、宴席演出装置6について、現在位置、移動方向、移動先の位置、および、移動先で向く方向等を確認して、制御部400から移動部8に制御信号を送り、移動部8により駆動輪81を動作させることにより、照明部9を載せた状態で、式典会場内を演出パターンに従って宴席演出装置6を自走させ、式典の演出の進行に応じた演出を実行可能である。このような式典の演出の進行に応じた演出としては、CPU403が制御部400から音声出力部42、撮像部52、および、照明部9のそれぞれに制御信号を送り、演出の進行に応じて音楽等の音声の出力、動画または静止画の撮像、および、照明部9の照明の発光等が実行される。
式典の演出に用いる演出パターンのデータは、式典で実行する演出パターンのプランに基づいて、他のパーソナルコンピュータ等を用いて予め作成しておき、式典が開始される前に、当該パーソナルコンピュータと制御部400とを、LANケーブルで接続する等、データ送信可能な状態とし、入出力部46を介して演出パターンのデータを制御部400に入力し、その演出パターンのデータを外部記憶部404に記憶しておき、CPU403が、その演出パターンのデータを式典の演出時にRAM402に読出して、前述のような演出を実行する。また、図示を省略するが、宴席演出装置6には、記憶された演出パターンのデータに基づき、式典開始時からの経過時間に応じて、演出パターンに応じた演出を実行するために、式典の管理者が式典開始時刻を入力設定することが可能な入力設定部が設けられており、予め定められた入力設定部から入力された式典開始時刻のデータが、外部記憶部44に記憶設定され、宴席演出装置6の電源投入時に式典開始時刻のデータがCPU43に読出されることにより、設定された時刻から時間経過に従って、式典の演出パターンに応じた宴席演出装置6の演出の実行が開始される。なお、宴席演出装置6に無線受信装置を設けておき、宴席演出装置6とは別に設けられた無線送信装置から式典の開始を指示する信号を宴席演出装置6に送信することにより、宴席演出装置6において、記憶された演出パターンのデータに基づく演出を開始するようにしてもよい。また、このような無線送信装置から式典の開始時刻を宴席演出装置6に送信することにより、宴席演出装置6において、記憶された演出パターンのデータに基づく演出を開始する時刻を設定するようにしてもよい。また、式典の開始時刻のデータは、演出パターンのデータを外部記憶部404に記憶するときに、入出力部46から演出パターンのデータとともに、外部記憶部404に記憶させ、記憶させた式典の開始時刻のデータに基づいて、演出パターンに応じた宴席演出装置6の演出の実行が開始されるようにしてもよい。
[演出パターン例]
図5は、宴席演出システム1Aの演出における演出パターンの一例を示す会場500内での宴席装置1および宴席演出装置6の配置図である。図5においては、宴席演出装置6として、図2(A)の第1例の宴席演出装置6が用いられる例を示す。図5に示すように、宴席演出システム1Aの演出における演出パターンは、複数の演出シーンを含んでいる。演出パターンにおける特定のシーンでは、複数の宴席装置1が同時に移動したり、さらに宴席演出装置6も合せて同時に移動したりするが、そのような複数の装置の移動時にいずれの装置も衝突しないように移動ルートを設定する必要がある。
図5(A)のように、開宴前時には、主賓の宴席装置1(以下、宴席装置1Sと称する)Sと、来賓の宴席装置1(以下、宴席装置1Rと称する)とが、会場500全体に略同じ間隔で広がった基本配置形で配置され、宴席演出装置6が、会場500の隅部に配置されている。このような宴席装置1の配置によれば、来賓が着席すべき宴席が設けられた宴席装置1を容易に見つけることができるようになる。
そして、図5(B)のように、主賓の入場時には、主賓の宴席装置1Sの位置は変更されず、すべての来賓の宴席装置1Rが、図中の白抜き矢印に示す主賓の入場経路の両側に2列で整列するような、予め設定された入場時演出シーンの配置となるように、移動部3の駆動輪31が動作して宴席装置1Rが移動する。入場時演出シーンでは、このような配置により、主賓の入場経路に沿って来賓の宴席装置1Rが2列で並んで主賓を迎えるような演出が実行されることとなる。このような宴席装置1の配置によれば、入場する主賓を来賓がより近い位置で見ることができるようになる。このような入場時演出シーンにおいては、宴席装置1Sおよび宴席装置1Rのそれぞれにおいて、音声出力部41から入場用の音楽が出力され、撮像部51により入場時の様子を撮像する演出が実行される。
その後、図5(B)の白抜き矢印の方向に主賓が入場を開始してから主賓の宴席装置1Sに着席可能な予め定められた時間が経過すると、通常時の演出シーンの演出タイミングとなり、図5(C)のように、すべての来賓の宴席装置1Rが、予め設定された入場後における通常時演出シーンの配置となるように、各宴席装置1Rの移動部3の駆動輪31が動作してすべての宴席装置1Rが元の位置まで移動する。
そして、通常時の演出シーンの状態で予め定められた時間が経過すると、催し物時の演出シーンの演出タイミングとなり、図5(D)のように、会場500の中央部の領域で所定の催し物が実行されるが、主賓の宴席装置1Sおよび来賓の宴席装置1Rが、催し物の実行される領域を囲むような配置となるように、宴席装置1Sおよび宴席装置1Rのすべてについて、移動部3の駆動輪31が動作して宴席装置1Sおよび宴席装置1Rが移動する。このような移動中においては、図5(D)に示すように、宴席演出装置6が催し物の実行される領域に到達するように、移動部8の駆動輪81が動作して宴席演出装置6が移動する。そして、宴席演出装置6では、催し物の実行される領域に到達すると、照明部9による催し物用の発光をする照明演出が実行されるとともに、音声出力部42から催し物用の音楽が出力され、撮像部52により催し物時の様子を撮像する演出が実行され、これにより、催し物時において、宴席演出装置6により、催し物の演出を盛り上げる演出が実行される。催し物が終了すると、宴席演出装置6は、移動動部8の駆動輪81が動作して元の待機場所に戻る。催し物の演出シーンにおいては、宴席装置1Rをゆっくりとした低速度でその場で回転させる制御がされることにより、式典のすべての参加者が催し物を明確に見ることができる。
催し物の演出シーンが終了した後は、映像の上映時の演出シーンの演出タイミングとなる。上映時の演出シーンでは、図5(E)のように、会場500の左端部に映像の上映用のスクリーン90が設けられ、そのスクリーン90が見やすいような位置において主賓の宴席装置1Sおよび来賓の宴席装置1Rが配置されるように、移動部3の駆動輪31が動作して宴席装置1Sおよび宴席装置1Rが移動する。その場合においては、来賓の宴席装置1Rが主賓の宴席装置1Sの周りを取り囲むような態様で宴席装置1Rおよび宴席装置1Sが配置されることより、温かい雰囲気に包まれる空間を生み出すことができる。
このような上映時の演出シーンでの移動の途中においては、図5(E)に示すように、宴席演出装置6が、スクリーン90の近傍まで到達するように、移動部8の駆動輪81が動作して移動する。そして、スクリーン90の近傍まで移動した宴席演出装置6では、上映前において、照明部9による上映前用の発光をする照明演出が実行されるとともに、音声出力部42から上映前用の音楽が出力され、上映が開始されると宴席演出装置6は、移動動部8の駆動輪81が動作して元の待機場所に戻る。上映時の演出シーンでは、スクリーン90で上映される画像に合せて編集された音声が、音声出力部42から出力される。なお、スクリーン90で上映される画像に合せて編集された音声は、主賓の宴席装置1Sおよび来賓の宴席装置1Rのそれぞれの音声出力部41から出力されるようにしてもよい。
映像の上映時の演出シーンが終了した後は、特別演出時の演出シーンの演出タイミングとなる。特別演出時の演出シーンでは、図5(F)のように、会場500の中央部に主賓の宴席装置1Sが配置され、主賓の宴席装置1Sの周囲に来賓の宴席装置1Rが配置されるように、移動部3の駆動輪31が動作して宴席装置1Sおよび来賓の宴席装置1Rが移動する。このような移動の途中においては、図5(E)に示すように、宴席演出装置6が、会場500の入り口側の隅部まで到達するように、移動部8により駆動輪81が動作させられて移動する。そして、会場500の入り口側の隅部まで移動した宴席演出装置6では、特別演出時において、照明部9による特別演出用の照明演出が実行されるとともに、音声出力部42から特別演出用の音楽が出力される。なお、特別演出用の音楽は、主賓の宴席装置1Sおよび来賓の宴席装置1Rのそれぞれの音声出力部41から出力されるようにしてもよい。
特別演出においては、特別演出用の音楽に合わせて、主賓の宴席装置1Sおよび来賓の宴席装置1Rのすべてが予め定められた回転動作等の特別の演出動作をするように、移動部3の駆動輪31が動作して主賓の宴席装置1Sおよび来賓の宴席装置1Rが移動する。例えば、特別演出においては、特別演出用の音楽に合わせて、主賓の宴席装置1Sおよび来賓の宴席装置1のそれぞれが回転しながら移動することにより、式典の参加者全員に特別な楽しさを感じさせることができる。また、特別演出においては、宴席装置1Sおよび宴席装置1Rのそれぞれにおいて、撮像部51により入場時の様子を撮像する演出が実行される。これにより、特別演出を楽しむ式典の参加者の自然な笑顔を撮像することが可能となる。
特別演出時の演出シーンが終了した後は、通常時の演出シーンの演出タイミングとなり、図5(G)のように、主賓の宴席装置1Sおよび来賓の宴席装置1Rのすべてが、予め設定された特別演出後における通常時演出シーンの配置となるように、移動部3の駆動輪31が動作して主賓の宴席装置1Sおよび来賓の宴席装置1Rのすべてが通常時の位置まで移動する。
そして、通常時の演出シーンの状態で所定時間が経過すると、主賓の退場時シーンの演出タイミングとなり、図5(H)のように、来賓の宴席装置1Rのすべてが、予め設定された退場時演出シーンの配置(図5(B)の主賓の入場時演出シーンと同様の配置)となるように、移動部3の駆動輪31が動作して移動する。退場時演出シーンでは、このような配置により、図中の白抜き矢印の退場経路に沿って地上する主賓を来賓の宴席装置1Rが2列に並んで見送るような演出が実行されることとなる。このような退場時演出シーンにおいては、宴席装置1Sおよび宴席装置1Rのそれぞれにおいて、音声出力部41から退場用の音楽が出力され、撮像部51により退場時の様子を撮像する演出が実行される。このような退場時演出シーンが終了すると、式典の全演出パターンが終了する。なお、退場時演出シーンにおいては、主賓の退場時において、前述の特別演出時に撮像された参加者の自然な笑顔等の画像を所定のスクリーンに表示することにより、表示された参加者の笑顔に見送られて主賓が退場することとなるような演出をしてもよい。
以上に説明したような演出パターンで宴席装置1および宴席演出装置6を動作させることにより、式典の演出の進行に合わせて円滑、安全、および、劇的に複数の宴席装置1の配置を変更することができる。
図1に示すように、宴席装置1に、宴席部に着席した人を撮像可能な撮像部51と、音声を出力することが可能な音声出力部41とが設けられ、図5で説明したように、撮像部51が演出パターンの進行に応じた撮像パターンで撮像をし、音声出力部41が演出パターンの進行に応じた出力パターンで音声を出力することにより、演出パターンに応じた宴席装置1の移動に加えて、演出パターンに応じた音声出力および撮像により、宴席装置1の宴席に座る人にとって、演出をより楽しみやすいものにすることができる。
また、宴席装置1および宴席演出装置6のそれぞれは、従来から遊戯用乗物の誘導に使用されているような軌道を用いない、無軌道式の走行装置である移動部3,8を用いているため、従来の軌道式の移動部を用いる場合と比べて、演出の自由度が高くなるようにすることができ、また、一会場で実行可能な演出パターンのバリエーションを豊富化することができる。
[宴席装置1の演出制御フローチャート例]
図6は、図5に示したような演出パターンでの演出が実行されるときに制御部300のCPU303で実行される宴席装置制御処理のフローチャートである。宴席装置制御処理においてCPU303は、以下のような処理を実行する。
まず、RAM302から、現時点での実行中の演出パターンのデータが読出される(ステップS1)。そして、位置情報検出部35から、現時点での宴席装置1の位置検出データが読出される(ステップS2)。
次に、S1,S2で読出したデータに基づいて、宴席装置1について、現在位置、移動方向、移動先の位置、および、移動先で向く方向等を確認して、制御部300から移動部3に制御信号を送り、移動部3の駆動輪31を動作させる制御をすることにより、式典会場内で演出パターン(演出シーン)に従って宴席装置1を自走させ、式典の演出の進行に応じた演出制御を実行させる(ステップS3)。これにより、宴席装置1が、現在の位置情報を確認しながら、図5に示したような演出パターンの進行に応じて移動する制御が実行され、宴席部2を演出パターンの各演出シーンに応じた状態とすることができる。
次に、S1で読出した演出パターンデータに基づいて、音声出力部41から演出パターンに対応した出力パターンで音声を出力させる制御が実行される(ステップS4)。そして、S1で読出した演出パターンデータに基づいて、撮像部51で演出パターンに対応した撮像パターンで撮像をする制御が実行され(ステップS5)、リターンする。これにより、宴席装置1において、図5に示したような演出パターンの進行に応じた音声が出力されるとともに、図5に示したような演出パターンの進行に応じた撮像パターンで撮像がされる。
図6のS3に示すように、宴席装置1が、宴席装置1の演出パターンのデータと、現時点での宴席装置1の位置検出データとに基づいて、宴席装置1について、現在位置、移動方向、移動先の位置、および、移動先で向く方向等を確認して、移動部3を制御することで、宴席装置1の宴席部2を演出パターンにおける各演出シーンに応じた状態とすることにより、演出パターンにおける各演出シーンに応じた位置に宴席装置1が移動して、演出内容に応じて座席の位置等が変化するので、宴席装置1の宴席に座る人にとって、演出を楽しみやすいものにすることができる。
[宴席演出装置6の演出制御フローチャート例]
図7は、図5に示したような演出パターンでの演出が実行されるときに制御部400のCPU403で実行される宴席演出装置制御処理のフローチャートである。宴席演出装置制御処理においてCPU403は、以下のような処理を実行する。
まず、RAM402から、現時点での実行中の演出パターンのデータが読出される(ステップS11)。そして、位置情報検出部45から、現時点での宴席演出装置6の位置検出データが読出される(ステップS12)。
次に、S11,S12で読出したデータに基づいて、宴席演出装置6について、現在位置、移動方向、移動先の位置、および、移動先で向く方向等を確認して、制御部400から移動部8に制御信号を送り、移動部8の駆動輪81を動作させる制御をすることにより、式典会場内で演出パターン(演出シーン)に従って宴席演出装置6を自走させ、式典の演出の進行に応じた演出制御を実行させる(ステップS13)。これにより、宴席演出装置6が、現在の位置情報を確認しながら、図5に示したような演出パターンの進行に応じて移動する制御が実行され、宴席部2を演出パターンの各演出シーンに応じた状態とすることができる。
次に、S11で読出した演出パターンデータに基づいて、音声出力部42から演出パターンに対応した出力パターンで音声を出力させる音出力制御が実行される(ステップS14)。そして、S11で読出した演出パターンデータに基づいて、撮像部52で演出パターンに対応した撮像パターンで撮像をする撮像制御が実行される。次に、S11で読出した演出パターンデータに基づいて、照明部9で演出パターンに対応した発光パターンで発光をする照明制御が実行され(ステップS16)、リターンする。これにより、宴席演出装置6において、図5に示したような演出パターンの進行に応じた音声が出力され、図5に示したような演出パターンの進行に応じた撮像パターンで撮像がされ、図5に示したような演出パターンの進行に応じた撮像パターンで照明演出がされる。
図7のS13に示すように、宴席演出装置6が、宴席演出装置6の演出パターンのデータと、現時点での宴席演出装置6の位置検出データとに基づいて、宴席演出装置6について、現在位置、移動方向、移動先の位置、および、移動先で向く方向等を確認して、移動部8を制御することで、宴席演出装置6を演出パターンにおける各演出シーンに応じた状態とすることにより、演出パターンにおける各演出シーンに応じた位置に宴席演出装置6が移動して、演出内容に応じて宴席演出装置6が移動するので、宴席装置1の宴席に座る人にとって、演出をより一層楽しみやすいものにすることができる。
[本実施形態により得られる主な効果]
(1) 図6のS3に示すように、宴席装置1の演出パターンのデータと、現時点での宴席装置1の位置検出データとに基づいて、宴席装置1について、現在位置、移動方向、移動先の位置、および、移動先で向く方向等を確認して、移動部3を制御することで、宴席装置1の宴席部2を演出パターンにおける各演出シーンに応じた状態とすることにより、演出パターンにおける各演出シーンに応じた位置に宴席装置1が移動することにより、演出内容に応じて座席の位置等が変化するので、宴席装置1の宴席に座る人にとって、演出を楽しみやすいものにすることができる。
(2) 図1に示すように、宴席装置1に、宴席部に着席した人を撮像可能な撮像部51と、音声を出力することが可能な音声出力部41とが設けられ、図5で説明したように、撮像部51が演出パターンの進行に応じた撮像パターンで撮像をし、音声出力部41が演出パターンの進行に応じた出力パターンで音声を出力することにより、演出パターンに応じた宴席装置1の移動に加えて、演出パターンに応じた音声出力および撮像により、宴席装置1の宴席に座る人にとって、演出をより楽しみやすいものにすることができる。
(3) 図1に示すように、浮床部材21の段差を示唆することが可能な発光部27と、浮床部材21に車椅子12を固定可能な車椅子固定部材25とが設けられたことにより、宴席装置1に向かう人が段差を容易に認識することが可能となり、バランスを崩したり、足を踏み外したりしないようにすることが可能となり、安全性を高めることができる。
(4) 宴席装置1および宴席演出装置6を含む宴席システム1Aにおいて、宴席装置1が、図6のS3に示すように、宴席装置1の演出パターンのデータと、現時点での宴席装置1の位置検出データとに基づいて、宴席装置1について、現在位置、移動方向、移動先の位置、および、移動先で向く方向等を確認して、移動部3を制御することで、宴席装置1の宴席部2を演出パターンにおける各演出シーンに応じた状態とすることにより、演出パターンにおける各演出シーンに応じた位置に宴席装置1が移動することにより、演出内容に応じて座席の位置等が変化するので、宴席装置1の宴席に座る人にとって、演出を楽しみやすいものにすることができる。また、宴席演出装置6が、図7のS13に示すように、宴席演出装置6の演出パターンのデータと、現時点での宴席演出装置6の位置検出データとに基づいて、宴席演出装置6について、現在位置、移動方向、移動先の位置、および、移動先で向く方向等を確認して、移動部8を制御することで、宴席演出装置6を演出パターンにおける各演出シーンに応じた状態とすることにより、演出パターンにおける各演出シーンに応じた位置に宴席演出装置6が移動することにより、演出内容に応じて宴席演出装置6が移動するので、宴席装置1の宴席に座る人にとって、演出をより一層楽しみやすいものにすることができる。
[実施の形態の変形性]
次に、本実施の形態の変形例を説明する。
(1) 発光部27および発光部28は、段差を示唆する目的以外にも、演出パターンデータに基づいて、演出の進行に合わせて発光する制御を実行するようにしてもよい。
(2) 座席24は、座面の高さを調整可能なものとしてもよい。また、座席24は、浮床部材21に完全に固定されているものではなく、前後方向等の所定方向に所定距離だけスライド可能とし、着席および離席を容易化するものであってもよい。
(3) 座席24は、宴席装置1の移動時に座席24から人が落ちにくくするために、着席者を保護するシートベルトを設けてもよい。車椅子固定部材25においても同様に、車椅子12から人が落ちにくくするために、着席者を保護するシートベルトを設けてもよい。
(4) 車椅子固定部材25は、固定した車椅子固定部材25の高さを調整可能なものとしてもよい。また、車椅子固定部材25は、車椅子12を完全に固定するものではなく、前後方向等の所定方向に所定距離だけスライド可能とし、テーブル部材20との距離を調整可能とするものであってもよい。
(5) 演出パターンのデータは、式典の毎に作成した1種類の演出パターンのデータを外部記憶部304(404)に記憶し、当該式典の演出実行時にRAM302(402)に読出して、演出に使用する例を示した。しかし、これに限らず、式典の種類別に、典型的な演出パターンのデータを複数種類ずつ記憶しておき、式典の開始前において、その複数種類の演出パターンのデータのうちから演出に使用する演出パターンのデータを選択して演出に用いるようにしてもよい。
(6) 演出パターンのデータを、宴席装置1および宴席演出装置6に入力する方法としては、1装置ごとに個別に演出パターンのデータを入力する方法を用いてもよく、全宴席装置1および宴席演出装置6にLANケーブルを接続し、接続した複数の宴席装置1および宴席演出装置6について略同時に、演出パターンのデータを入力するようにしてもよい。また、演出パターンのデータは、LANケーブル等のケーブルを用いて入力するようにしてもよく、無線LAN等の無線を用いて入力するようにしてもよい。
(7) 宴席システム1Aにおいては、宴席装置1および宴席演出装置6について、図5に示すように、演出の実行時において複数の宴席装置1に加えて宴席演出装置6を演出に用いてもよく、演出の実行時において宴席演出装置6を用いずに、複数の宴席装置1のみを演出に用いてもよい。
(8) 宴席演出装置6を演出に用いる場合については、図5に示すように1つの宴席演出装置6を演出に用いてもよく、例えば、図3(A),(B)のような複数種類の宴席演出装置6を演出に用いてもよい。このように、演出パターンに基づく演出においては、少なくとも1つの宴席演出装置6を演出に用いてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。