JP6887955B2 - 組換え体発現系のアッセイ - Google Patents

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Description

本発明は、組換え体発現系のタンパク質発現レベルを決定するアッセイの分野に関する。
組換え体発現は、分子生物学において基本的な技術である。これは、天然に存在するものと異なる状況にある遺伝子からのタンパク質の発現である。得られたタンパク質は、一般に、組換えタンパク質と呼ばれる。
組換えタンパク質の発現の存在又は非存在は、そのタンパク質を発現する発現系からのサンプルのSDS−PAGEゲル上でバンドを検出することにより評価することができる。組換え体発現のレベルの定量測度は、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)[1、2]を用いることによって取得される。ELISAは、発現系で発現されるタンパク質に対する選択的且つ特異的抗体(典型的には、モノクローナル抗体)の良好な産生に依存するところが大きい。しかしながら、これらの抗体の産生は、往々にして扱いにくく、労力及びコストがかかり、且つ好適に特異的な抗体を常に産生し得るとは限らない。
定量分析のためにELISAに代わるものとして、フローサイトメトリー(例えば、蛍光活性化細胞選別(FACS))[3]があるが、この技術も抗体の使用を必要とする。
タンパク質の定量方法における抗体への依存には、定量されるサンプルが、高い配列同一性を有するタンパク質を含むという欠点がある。この場合、多くの抗体は、高度に関連するタンパク質を識別することができず、一部の事例では、抗体がこれらの抗体依存的アッセイにおいて有効な試薬となるうえで、抗原に対して十分な特異性及び親和性を有する抗体を産生することすらできないこともある。組換え体発現系において多くの高度に関連するタンパク質が一緒に発現され得る1つの具体的状況は、核酸ワクチン組成物及びベクターワクチン組成物の効力試験時に起こる。
従って、組換え体発現系において組換え体発現のレベルを評価するための別の改善された代替法が依然として求められている。
タンパク質を定量する確立された抗体依存的方法とは反対に、本発明者らは、核酸ワクチン組成物及びベクターワクチン組成物の効力試験時に用いられる細胞培養物などの発現系で組換えタンパク質の発現を定量するための質量分析法に基づく手法を開発した。従って、本発明は、組換え体発現系によるタンパク質発現のレベルを決定する方法を提供し、これは、質量分析法を用いて、発現系により発現される組換えタンパク質を定量するステップを含む。
ワクチン接種は、免疫応答を誘導するために、もはや被験者に対する抗原の直接送達のみに重点を置いてはいない。第1世代ワクチンは、弱毒化又は死滅させた全生物に依存していた。免疫系が投与された生物を直接認識すると、それに対する免疫応答が増大される。第2世代ワクチンは、規定のタンパク質又は炭水化物成分に基づく。第1世代ワクチンの場合と同様に、免疫系が投与された成分を直接認識すると、免疫応答が増大される。
第3世代のワクチンは、タンパク質をコードする遺伝子改変核酸を被験者に導入することに基づく(DNA及びRNAワクチンの両方が作製されている[4])。核酸が被験者に導入されると、被験者の細胞内のタンパク質合成機構が核酸中の1つ又は複数のプロモータを認識して、上記核酸によりコードされたタンパク質を被験者においてin situで産生し始める。次に、発現されたタンパク質は、細胞によりプロセシングされ、これらの細胞内でタンパク質が発現され、細胞表面上に提示され、その結果、これは被験者の免疫細胞により検出されることができるため、免疫応答を誘導する。従って、この場合、被験者に投与されて、免疫応答を直接増大するのは組成物ではなく、投与された核酸によりコードされるタンパク質である。いくつかの異なるタンパク質を産生する核酸ワクチン組成物を作製することができる。これは、いくつかのタンパク質をコードする単一の核酸成分を使用することによって達成することができる。或いは、各々が異なるタンパク質をコードする様々な核酸成分を組み合わせて、核酸ワクチン組成物を作製することもできる。ワクチンの核酸成分によりコードされるタンパク質は、典型的に、病原生物由来の抗原であるが、ワクチンを用いて、腫瘍抗原を発現し、被験者の免疫系を刺激して悪性腫瘍を攻撃することもできる。核酸ワクチンは、優れたB及び優れたT細胞応答を誘導することができる点で有利である。
細胞への核酸の導入を促進するためのベクターワクチン組成物が開発されており、その結果、核酸は、前段落で論じた核酸ワクチンと同様に作用する。最も一般的には、被験者において発現させるためのタンパク質をコードする遺伝子を含有するウイルスベクター成分が使用されており、これは、複製欠損又は弱毒化ウイルスであることが多い。この場合、ウイルスベクターワクチン組成物が被験者に投与されると、ウイルスベクター成分は、被験者の細胞に感染し、これによって核酸を被験者の細胞に導入する。
従って、核酸ワクチン及びベクターワクチンは、免疫応答が、ワクチン成分自体に対してではなく、in situで産生されるワクチン成分によりコードされるタンパク質に対して起こるため、第1及び第2世代ワクチンで経験されなかった課題をもたらす。そのため、臨床試験前にこれらのワクチン組成物の免疫原性を試験することは不可能である。従って、こうしたワクチン組成物の試験の最初のステップとして、取締当局は、ワクチン組成物が、その成分によりコードされるタンパク質の発現をどの程度効果的に引き起こすか、すなわち、ワクチン組成物のin vitro効力の決定を求めている。これは、ワクチン組成物が、被験者に投与された場合、免疫応答を誘発するのに十分なタンパク質を細胞内に産生し得ることを示すであろう。ウイルスベクターワクチン組成物の場合、その効力は、コードされたタンパク質の発現が起こる前であっても、どの程度効果的にウイルスベクター成分が細胞に感染し得るかにも左右される。核酸又はベクターワクチン組成物の発現の有効性を決定するために、ワクチン成分を組換え体発現系、例えば、細胞培養物に導入した後、ワクチン成分によりコードされたタンパク質の発現を決定する。多くの場合、細胞培養物は、ウイルスベクターワクチン又は核酸ワクチンが複製することができない細胞(例えば、ウイルスベクターワクチンは感染することのみできるが、複製することはできない細胞である)から構成される。
本発明者らは、質量分析法が、核酸又はベクターワクチン組成物の成分によりコードされるタンパク質など、組換え体発現系におけるタンパク質の発現を決定するうえで特に有利であることを見出した。これらの利点は、主として、MSが高度に感受性であること、高度に関連するタンパク質のレベルを個別に検出するために用い得ること、さらには同じサンプルから複数のタンパク質を同時にスクリーニングするのが非常に容易であることによる。従って、本発明者らは、MSに基づく方法が、単一の核酸ワクチン組成物又はウイルスベクターワクチン組成物から、高度に関連するタンパク質であってもその発現を決定するのに特に好適であると判断した。この状況は、核酸及びウイルスベクターワクチンで見受けられることが多く、この場合、単一のワクチンが、いくつかの高度に関連するタンパク質、例えば、感染因子の様々な株(例えば、インフルエンザの様々な株若しくは様々なHIV株)由来の同じタンパク質をコードする遺伝子を含有し得る。
この問題は、第2世代(例えば、サブユニット)ワクチンでは起こらない。なぜなら、ワクチン中に一緒に合わされた関連タンパク質の各々は、被験者に投与されるタンパク質ベースのワクチン組成物中で合わされる前に個別に発現され、個別に試験される(例えば、ELISAにより定量される)からである。対照的に、高度に関連するタンパク質の各々が同じ核酸ワクチン組成物又はウイルスベクターワクチン組成物においてコードされる場合、ワクチン組成物が被験者に投与されると、これらは必然的に全て一緒に発現される。従って、様々なタンパク質が混合物中に一緒に存在する(そのため、ワクチンが被験者に投与されたときに起こる状況を模倣する)場合、異なるタンパク質の各々の発現を測定する技術を使用する必要がある。
例えば、本発明者らは、MSが、同じウイルスワクチンベクター組成物中でコードされる、高度に類似する2つの遺伝子を有利に定量し得ることを見出した(以下の実施例1を参照)。HIV[5]のGag及びPolタンパク質からのエピトープのモザイクを含む、2つのタンパク質Mos1GagPol及びMos2GagPolは、89%の配列同一性を有する。タンパク質配列の相違は、単一のアミノ酸変化として、配列全体を通して広がる。これらの単離された配列の相違は、各タンパク質について特異的且つ選択的である抗体を増大するための特有のエピトープが存在する可能性が低いことを意味しており、抗体を使用した場合、検出された結果は、両者の濃度に依存し得る。2つのタンパク質を識別することができる抗体の非存在下では、従来の方法を用いて各タンパク質を個別に定量することは不可能であろう(同様に、ワクチン中の各成分の効力の十分な評価を実施するのも不可能であろう)。本発明の方法(組換え体発現系によるタンパク質発現のレベルを決定する方法であって、質量分析法を用いて、発現系により発現された組換えタンパク質を定量するステップを含む方法)の使用により、こうした高度に関連するタンパク質の正確な定量が可能になる。
本発明の方法は、例えば、細胞培養物において、核酸ワクチン組成物又はウイルスベクターワクチン組成物により発現される(ウイルスベクターワクチン組成物が、複数の異なるアデノウイルスベクターワクチン成分を含む、例えば、各アデノウイルスベクターワクチン成分が、1つのトランスジーンをコードする場合など、組成物の成分が複数の組換えタンパク質をコードするか、又は組成物がそれぞれ異なる組換えタンパク質をコードする複数の異なる成分を含むために)組換え体発現系からの複数の組換えタンパク質の発現レベルを同時に定量するマルチプレックスアッセイであってよい。一部の実施形態では、細胞培養物は、ウイルスベクターワクチン又は核酸ワクチンは、複製することができない細胞から構成される。従って、本発明は、複数の組換えタンパク質を発現する組換え体発現系のタンパク質発現を定量する方法も提供し、これは、質量分析法を用いて、発現系により発現された組換えタンパク質を定量するステップを含む。従って、一部の実施形態では、本方法を用いて、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、又は少なくとも100の組換えタンパク質を同時に定量する。本発明は、質量分析解析の対象である同じサンプル中の他のタンパク質と高度に類似する組換えタンパク質を定量するうえで特に有用である。定量しようとする組換えタンパク質は、質量分析解析の対象である同じサンプル中の別のタンパク質とxの配列同一性を有してよく、ここで、xは、≧60%、≧70%、≧80%、≧90%、≧95%、≧98%又は≧99%であってよい。他のタンパク質は、以下のものであってもよい:(i)同じ発現構築物(例えば、核酸ワクチン成分、ウイルスベクターワクチン成分若しくは発現プラスミド)から発現された別の組換えタンパク質、(ii)組換えタンパク質が発現される細胞由来のタンパク質、(iii)混入タンパク質、又は(iv)第2の若しくは別の発現構築物(例えば、別の核酸ワクチン成分、ウイルスベクターワクチン成分若しくは発現プラスミド)を使用して、細胞培養物中に発現される組換えタンパク質をコードする別の遺伝子をコードする場合、第2の若しくは別の発現構築物由来のタンパク質。
さらに、MSは、細胞タンパク質マトリックスの複合体(別の組換えタンパク質若しくは細胞ゲノム由来のタンパク質、及び/又は細胞由来のタンパク質を含有する)内で目的のタンパク質を同定及び定量することができるため、核酸又はウイルスベクターワクチン成分及び組成物を評価する従来の方法に対しても有利である。従って、一部の実施形態では、組換えタンパク質系が細胞培養物であり、細胞培養物が溶解されて細胞溶解物を形成し、細胞溶解物が質量分析法によって分析されて組換えタンパク質を定量し、その際、任意選択で、細胞溶解物は清澄化された細胞溶解物である。従って、細胞溶解物を分析する場合、これは、多くの細胞タンパク質を含有しており、組換えタンパク質が、MSに付したサンプル中の数千のタンパク質のうちの唯一のものであるとき、そのタンパク質を定量し得ることから、本発明の方法は有利である。細胞溶解物中の他のタンパク質から組換えタンパク質を精製するための追加ステップは必要ない。この能力は、ウイルスベクターワクチン又は核酸ワクチンが、野生型タンパク質の突然変異型(例えば、ヒト細胞株で発現されるp53などのヒトタンパク質の突然変異型)を提示する腫瘍抗原を含むときに特に役立つ。
免疫試薬を含まない(例えば、抗体のない)MSに基づく手法を用いるさらなる利点は、組換えタンパク質の発現を評価する、さらに頑健な手法を提供することである。モノクローナル抗体は、単一のエピトープのみを認識するため、定量の精度は、抗体の特異性及び感度に大きく依存する。対照的に、本発明のMSに基づく手法は、タンパク質からの複数の断片を評価することから、これは組換えタンパク質を同定する、従って、定量する精度を高める。このように、一部の実施形態では、本発明の方法は免疫試薬を含まない。免疫試薬を含まない方法は、従来の方法で必要となるような同じ抗原に対してさらに抗体を作製する追加コスト(費用及び時間の両方)なしに、複数の目的の遺伝子の定量を同時に可能にする。
直ちに明らかになるように、本発明は、上述した通りの核酸ワクチン成分及びベクターワクチン成分によりコードされるタンパク質の発現の評価に特に用途を有するが、この技術は、あらゆる組換え体発現系における任意の組換えタンパク質の評価に適用可能である。
核酸及びベクターワクチンの効力試験
本発明の方法により、ユーザは、核酸ワクチン組成物、ウイルスベクターワクチン組成物など(例えば、細菌又は酵母ベクターワクチン)が細胞内でタンパク質発現を誘導する能力を評価し、これにより、ワクチン組成物を医薬剤として生存被験者に投与した場合、それがどれ程度有効となるかを推測することができる。
上で指摘したように、これらのベクターワクチン組成物の効力は、2つの重要な特徴:ベクター成分が、それが含む核酸をどの程度効果的に細胞に輸送するか(ウイルスベクターワクチンの場合、ウイルスベクター成分が細胞にどの程度効果的に感染するか)、及びベクター成分によりコードされるタンパク質が、その後、どの程度良好に発現されるかから構成されるため、効力試験は、ベクターワクチン組成物の場合に特に重要である。ウイルスベクター成分の感染力及びコードされるタンパク質の発現の有効性は、ウイルスベクターワクチン成分を生産する方法、例えば、ウイルスベクターワクチン成分を生産する場合、ウイルスベクターワクチン成分を生産するのに使用される細胞株のパッケージング、若しくはパッケージング細胞株を増殖させる培養条件、又はベクターワクチン成分の完全性に影響を与える特定の精製ユニット操作によって影響を及ぼされ得る。また、長期の貯蔵中及び貯蔵期間の終了時にも、ウイルスベクターワクチン成分の品質を保証するために効力試験が必要であり、これにより、ワクチン成分生産工程のバッチ間変動を確認してもよい。
典型的には、ワクチン成分の製造中、複数の生産工程から同じ又は異なる生産容器内で生成物が生産される。従って、本発明の方法は、異なるバッチからのサンプルを分析する際に有用である。核酸ワクチン組成物でトランスフェクト/形質転換された、又はウイルスベクターワクチン組成物(例えば、そのワクチンの特定のバッチ)に感染した細胞から構成される組換え体発現系に本発明の方法を実施することにより、及び既知の効力のワクチンの標準若しくは基準バッチを用いて得られたものと結果を比較することにより、ワクチンの試験バッチの相対効力を決定することが可能である。この値は、ワクチンの製造バッチが公衆への販売に適しているかどうか、又はそれが生産不良を被っており、使用すべきではないかどうかを決定するためのパラメータとして使用することができる。或いは、タンパク質発現の絶対レベルを公衆に対するワクチンの発売のための基準として設定してもよい。
従って、本発明は、核酸ワクチン組成物又はウイルスベクターワクチン組成物の効力を試験する方法を提供し、これは、本発明に従いタンパク質発現を決定するMSに基づく方法を用いて、ワクチン組成物によりコードされたタンパク質の発現を決定するステップを含む。本発明は、核酸ワクチン組成物の効力を試験する方法を提供し、これは、(i)細胞培養物にワクチン組成物を導入するステップと;(ii)質量分析法により、ワクチン組成物によりコードされた組換えタンパク質の発現のレベルを定量するステップとを含む。本発明は、ウイルスベクターワクチン組成物の効力を試験する方法を提供し、これは、(i)細胞培養物をウイルスベクターワクチン組成物に感染させるステップと;(ii)質量分析法により、ワクチン組成物によりコードされた組換えタンパク質の発現のレベルを定量するステップとを含む。本明細書に記載する方法は、多価組成物の単一成分を混合して多価組成物を形成する前に、これらの単一成分の効力を個別に試験するために使用することもできる。一部の実施形態では、細胞培養物は、ウイルスベクターワクチンが複製することができない細胞から構成される。
本発明はまた、複製欠損ウイルスベクター成分などのウイルスベクター成分に感染した組換え体発現系(例えば、細胞培養物)中のウイルスベクター成分からタンパク質の細胞内レベルを定量することにより、ウイルスベクター成分の感染力を決定する方法も提供する。ここで、ウイルスベクターが細胞内で複製され得ない場合、ウイルスベクター成分のタンパク質(例えば、ウイルス粒子中に担持される核酸によりコードされるタンパク質ではなく、ウイルス粒子自体を構成するキャプシドタンパク質)の細胞内レベルが、組換え体発現系内に感染細胞を有するウイルス粒子の数の測度である。細胞内発現レベルは、細胞ペレットを調製する、例えば、細胞を洗浄し(例えば、氷冷PBSで3回)、次に、遠心分離後に細胞培養物の上清を廃棄することにより、決定することができる。ウイルスベクター成分の感染力を決定する方法は、上の段落及び本明細書の他の箇所で論じた通り、ウイルスベクターワクチン組成物の効力を決定する本発明の方法の一部を含み得る。効力及び感染力は、同じ方法で(例えば、ウイルスベクター成分によりコードされた組換えタンパク質の発現を決定する場合、ウイルスベクター成分の細胞内タンパク質レベルを定量することにより)決定することができる。
従って、本発明は、ウイルスベクターワクチン組成物の感染力を決定する方法を提供し、これは、(i)細胞培養物をウイルスベクターワクチン組成物に感染させるステップと;(ii)質量分析法により、細胞培養物中のウイルスベクターワクチン組成物のウイルスベクター成分のタンパク質の細胞内レベルを定量するステップとを含む。本発明はまた、ウイルスベクターワクチン組成物の効力を試験する方法も提供し、これは、(i)細胞培養物をウイルスベクターワクチン組成物に感染させるステップと;(ii)質量分析法により、細胞培養物中のウイルスベクターワクチン組成物のウイルスベクター成分のタンパク質の細胞内レベルを定量するステップと;(iii)質量分析法により、ワクチン組成物によりコードされた組換えタンパク質の発現レベルを定量するステップとを含む。この場合、同じMS分析が(ii)及び(iii)の両方の結果を提供することができる。一部の実施形態では、感染力を決定するために定量されるウイルスベクター成分由来のタンパク質は、キャプシドタンパク質である。例えば、アデノウイルスベクターを使用する場合、キャプシドタンパク質は、Hexon、VII又はIX(例えば、IX1、IX2、若しくはIX8)である。本明細書に記載する方法は、多価組成物の単一成分を混合して多価組成物を形成する前に、これらの単一成分の感染力を個別に試験するために使用することもできる。一部の実施形態では、細胞培養物は、ウイルスベクターワクチンが複製することができない細胞から構成される。
ウイルスベクターワクチン組成物の感染力に関する情報は、本発明の方法を用いて、ウイルスベクターワクチン成分のタンパク質(キャプシドタンパク質など)の絶対レベル、例えば、1細胞当たりのμg又はy個の細胞当たりのμg(ここで、yは、細胞培養物中の細胞の総数であってよい)を決定することによって取得することができる。1ウイルス粒子当たりのキャプシドタンパク質のコピーの量がわかれば、1細胞当たりのウイルス粒子の数を決定することができる。感染力を決定するために定量されるウイルスベクター成分のタンパク質レベルを細胞タンパク質のレベルと比較することができる。
また、有用な感染力情報は、細胞培養物に添加されるウイルスベクター成分の量と、培養物中の細胞に実際に感染したウイルスベクター成分の量との比を決定することによって取得することもできる。このように、一部の実施形態では、ウイルスベクターワクチン組成物の感染力を決定する方法は、ウイルスベクター成分(例えば、キャプシドタンパク質)の細胞内タンパク質レベルを、細胞培養物中のそのタンパク質の総レベル(感染段階で細胞培養物に添加されたウイルス粒子の数から計算され得る)と比較するステップを含む。従って、これらの実施形態では、本発明の方法は、質量分析法により細胞培養物中のウイルスベクターワクチン組成物のウイルスベクター成分のタンパク質のレベルを定量するステップをさらに含む。
核酸ワクチン又はベクターワクチンの意図される被験者は哺乳動物(典型的にはヒト)であるため、細胞培養物は、典型的に哺乳動物細胞からなる。好適な哺乳動物細胞として、ハムスター、畜牛、霊長類(ヒト及びサルなど)及びイヌ細胞が挙げられる。特定の実施形態では、細胞は、ヒト細胞である。腎細胞、線維芽細胞、網膜細胞、肺細胞などの多様な細胞型を使用することができる。一部の実施形態では、細胞は、ヒト細胞株(例えば、A549細胞株)などの安定な哺乳動物細胞である。一部の実施形態では、細胞培養物は、ウイルスベクターワクチン又は核酸ワクチンが複製することができない細胞から構成される。例えば、ウイルスベクターワクチンが複製欠損性である場合、細胞培養物の細胞は、細胞培養物の欠損複製機構を補完する遺伝子を含有すべきではない。実施例1に示すように、本発明は、3つの異なるアデノウイルスベクターワクチン成分(1番目はEnvをコードし、2番目はMos1GagPolをコードし、3番目はMos2GagPolをコードする)のブレンドを含むアデノウイルスベクターワクチン組成物にヒト細胞株が感染すると、この組成物からのHIVタンパク質の発現の効力を問題なく分析することができる。
細胞培養物は、典型的に、既定量の核酸又はウイルスベクターワクチン組成物に感染させる。この既定量は、典型的に、質量分析計のダイナミックレンジ内で目的のタンパク質の発現レベルの有用な読み取りをもたらす量である。この量は、例えば、一連の既知の量(例えば、階段希釈)の核酸又はウイルスベクターワクチン組成物を用いた検量線に基づいて決定することができる。例えば、ウイルスベクターワクチン組成物の場合、細胞培養物は、典型的に、既定の感染多重度(MOI)値で感染させる。この既定MOI値は、細胞培養物が、一連の既知のMOI値でワクチン組成物に感染したとき、発現される組換えタンパク質のレベルから作成される標準曲線に基づいて決定することができる。一部の実施形態では、ウイルスベクターワクチン組成物を用いて、100以上、200以上、500以上、1000以上、5000以上、10000以上、25000以上又は50000以上のMOI値で細胞培養物を感染させる。
典型的には、ワクチン組成物の製造中、ワクチン組成物をバルク組成物として調製し、このバルクを最終製剤に希釈させる。従って、本発明の方法は、ワクチン組成物を含むサンプルの効力を試験するステップを含み、ここで、サンプルは、(i)ワクチンの製造中の任意の段階、(ii)最終製剤への希釈前のバルク、又は(iii)最終製剤から得られる。
本発明はまた、ワクチン用量を製造する方法も提供し、これは、(i)前述した通りにバルク中のワクチンの相対効力をアッセイするステップと;ステップ(i)の結果が許容可能な相対効力を示す場合、(ii)バルクワクチンを用量に分配するステップとを含む。
本発明はまた、ワクチンのバッチを分析する方法も提供し、これは、(i)前述した通りにバッチからのワクチンの相対効力をアッセイするステップと;ステップ(i)の結果が許容可能な相対効力を示す場合、(ii)バッチからワクチンをin vivoでの使用のために放出するステップとを含む。
アッセイの分散を決定するために、相対効力の試験を複数回、例えば、単一のサンプルに対して複数回(2回、3回など)実施することができ、及び/又は同じバルク/バッチからの複数のサンプルについて実施することができる。本発明は、こうした複数のアッセイにおける変動(例えば、変動係数)を有用なパラメータとして決定するステップを含むことができ、一部の実施形態では、変動が、例えば、<15%の許容限度内にある場合に限り、アッセイの結果を有用なものとみなす。場合により、試験が、実験セッション内(アッセイ内)又は異なる実験セッション(アッセイ間)で実施されたかどうかに応じて、より広い変動(例えば、<20%)が許容される。相対効力の決定を容易にするために、発現レベルは、細胞培養物に導入されたワクチン組成物に対する線形応答を示すべきである(すなわち、ワクチン組成物の希釈は、検出される組換えタンパク質の量の対応する低減をもたらすべきである)。線形性は、線形回帰により評価することができ、例えば、R>0.95を有するようにする。
効力について評価されるワクチン組成物は、1価(すなわち、単一の組換えタンパク質をコードする)又は多価(すなわち、2つ以上の組換えタンパク質をコードする)であってよい。一部の実施形態では、ワクチン組成物は多価である。ワクチン組成物は、各々が異なる組換えタンパク質をコードする異なる成分(例えば、タンパク質Aをコードする第1ワクチン成分、タンパク質Bをコードする第2ワクチン成分、タンパク質Cをコードする第3ワクチン成分など)を含有するため、又は1成分のコピーを含むが、その単一成分が異なる組換えタンパク質をコードする(例えば、タンパク質A、B及びCをコードするワクチン成分)ため、多価であり得る。一部の実施形態では、ワクチン組成物は、ベクターワクチン組成物、例えば、アデノウイルスベクターワクチン成分又はポックスウイルスベクターワクチン成分を含有するものなどのウイルスベクターワクチン組成物である。一部の実施形態では、ワクチン組成物は、多価アデノウイルスベクターワクチン組成物である。このようなワクチン組成物は、異なる組換えタンパク質をコードする複数のアデノウイルスベクターワクチン成分及び/又は2つ以上の組換えタンパク質をコードするアデノウイルスベクターワクチン成分を含み得る。具体的なウイルスベクターについて以下に述べるが、これは、ベクターによりコードされ得る例示的な組換えタンパク質である。
定量対象の組換えタンパク質
細胞ベースの組換え体発現系には、組換えタンパク質が、蓄積し得る2つのおおまかな箇所:細胞の一部として、又は細胞の外部(すなわち、培地中)がある。細胞内部では、タンパク質は、細胞質、又は膜タンパク質などにおける可溶性タンパク質であり得る。本発明の方法による分析の対象である発現された組換えタンパク質は、当技術分野で公知の方法に従って細胞から回収することができる。
核酸ワクチン成分又はウイルスベクターワクチン成分によりコードされるタンパク質に典型的であるように、組換えタンパク質が細胞の一部として蓄積する実施形態では、細胞を溶解させて、細胞溶解物を採取する。典型的には、細胞溶解物は、タンパク質のマトリックスを含有しており、これは、組換え体発現系から発現された組換えタンパク質及びいずれかの他のタンパク質、並びに細胞由来の細胞タンパク質を含む。この溶解物は、粗細胞溶解物である。
一部の実施形態では、変性条件下で細胞を回収する。一部の実施形態では、膜タンパク質を含む全ての細胞タンパク質の完全な溶媒和を確実にするために、苛酷な変性条件を使用する。細胞を採取するためのこのような変性条件は、当技術分野では公知であり、例えば、2%SDS及び8M尿素である。次に、溶解したタンパク質を細胞残屑から分離して、清澄化された細胞溶解物を形成することができる。このために、例えば、遠心分離などのあらゆる好適な技術を使用することができる。こうして得られた清澄化されたタンパク質溶液(上清)を、前述した技術を用いるMS分析に使用する。
組換えタンパク質を細胞から分泌させる実施形態では、細胞培養物の上清を回収する。例えば、遠心分離により、可溶性タンパク質を細胞残屑から分離する。得られた清澄化されたタンパク質溶液(上清)を、前述した技術を用いるMS分析に使用する。処理を促進するために、培養物の上清を任意選択の濃縮ステップに付してもよい。
MSを用いた組換えタンパク質のレベルの定量
本発明は、MSに基づく手法を使用して、核酸ワクチン成分若しくは組成物又はウイルスベクターワクチン成分若しくは組成物が導入された細胞培養物などの組換え体発現系中のタンパク質の発現レベルを評価する。本発明は、任意の発現系により発現されるいずれの組換えタンパク質にも適用することができ、本明細書で論じる方法をどのように組換え体発現系に一般的に適用し得るかは直ちに明らかになるであろう。本発明で使用されるMSに基づく手法の原理を以下に説明する。
あらゆるタンパク質は固有のアミノ酸配列を有しており、ペプチダーゼ(例えば、トリプシン、キモトリプシンなど)によりタンパク質をペプチドに切断すると、質量分析法によって同定及び定量することができるペプチド断片のセットが得られる。タンパク質が消化されて、生成されたペプチド断片の一部は、そのタンパク質に固有の配列を有する。従って、ペプチドを検出するとき、それが由来するタンパク質が分析対象のサンプル中に存在したと推測することができる。それが由来するタンパク質を同定するために用いることができるペプチドは、タンパク質特異的ペプチドと呼ばれる。理想的には、タンパク質特異的ペプチドは、複数の実験にわたっても確実に観察されるはずである。各タンパク質は、典型的に、いくつかのこうした識別子ペプチドを有する。このように、単一タンパク質を独自に同定する、タンパク質特異的ペプチドの質量、保持時間及び断片化挙動をモニターすることにより、分析対象のサンプル中のタンパク質の量を評価することができる。タンパク質の配列をペプチドに分解することにより、MSを用いて、配列に相違を含むペプチドに焦点を絞ることができるため、互いに高い配列同一性を有するタンパク質を容易に識別することができる。
本発明の質量分析法を用いて、組換えタンパク質を定量するプロセスを図1にまとめる。定量は、2つの段階:段階1及び段階2を含み得る。
段階1は、半定量法であり、これにより、サンプル中の他のタンパク質と比較した組換えタンパク質の相対発現、例えば、核酸ワクチン又はウイルスベクターワクチンによりコードされるタンパク質の発現レベルに基づく組換えタンパク質の発現の推定値が得られる。段階1は、典型的に、(a)質量分析解析の対象のサンプル中のタンパク質を同定するステップと;(b)組換えタンパク質を含む同定された各タンパク質の相対発現レベルを決定するステップとを含む。
段階2は、組換えタンパク質発現の絶対定量を達成する。段階1は、いずれのタンパク質特異的ペプチドが組換えタンパク質を最もよく代表するかを決定し、これらのペプチドを段階2でさらに分析することができるため、段階2は、一般に、段階1後に実施する。段階2は、典型的に、(c)組換えタンパク質のタンパク質特異的ペプチドを検出するステップと;(d)タンパク質特異的ペプチドの検出量を既知の標準と比較することにより、組換えタンパク質の絶対発現レベルを決定するステップとを含む。
従って、組換えタンパク質の相対発現レベルを決定する本発明の実施形態では、ステップ(a)及び(b)を実施する。組換えタンパク質の絶対発現レベルを決定する本発明の実施形態では、一般に全ステップ(a)〜(d)を実施するが、ステップ(c)及び(d)のみを実施する場合もある。
段階1
この段階は、ボトムアッププロテオミクスアプローチであり、全サンプル中で可能な限り多くのペプチドを同定する。次に、MS分析からのデータを使用して、目的の組換えタンパク質を含む同定された各タンパク質の相対発現レベルを確立する。このようにして、組換えタンパク質の相対発現レベルを推定することができ、これは、本明細書の他の箇所で論じるように、特定のワクチンの効力評価に特に有用である。段階1は、例えば、核酸ワクチン又はウイルスベクターワクチンの様々なバッチ同士で、ワクチンの様々なバッチの発現挙動を比較するうえで特に有用である。
(a)サンプル中のタンパク質の同定
このステップは、検査対象のサンプルにおける広範囲のペプチド同定を達成するために、高速ボトムアッププロテオミクス技術を使用する。このステップは、サンプル中のタンパク質の全部又は実質的に全部のタンパク質の同定を可能にする。
様々なタンデム質量分析(MS/MS)計器がこのステップに適している。質量分析計は、イオントラップ、又は好適な質量分解能及び感度のいずれか他の計器であってよく、ハイスループットペプチドシーケンシングを提供する。一部の実施形態では、Orbitrap(商標)[6]、又は類似の計器などのオービタルイオントラップ質量分析装置を使用する。一部の実施形態では、Q−Exactive Orbitrap(商標)(Thermo Scientific)を使用することができる。或いは、ESI−Q−TOF計器などの飛行時間型質量分析(TOF)計を使用することができる。Q−Exactive Orbitrap(商標)計器は、本発明で特に有用な市販の計器である。
典型的に、上に説明した通りに調製した後、MS分析の前にサンプルをペプチダーゼ消化に付す。これは、MS分析に付しやすいペプチドを生成することを目的とする。次に、さらなる濃縮及び/又は免疫試薬の使用なしに、サンプルをMS分析に直接使用してよい。この分析のためのサンプルとして、どのようなものを使用し得るかについてのさらに詳細な説明は以下に論じる。従って、一部の実施形態では、本方法は、MS分析ステップの前にペプチダーゼでサンプルを消化するステップを含む。一部の実施形態では、細胞溶解物をペプチダーゼで消化する(すなわち、清澄化された溶解物を生成するのに必要なもの以外、細胞溶解と消化との間に精製及び/又は濃縮ステップ、例えば、樹脂クロマトグラフィー又はアフィニティ精製ステップは一切行われない)。一部の実施形態では、清澄化された細胞溶解物は、粗細胞溶解物を遠心分離した後、上清を取得することにより調製される。清澄化された分解物は、MS分析の前にペプチダーゼ消化に付す。
任意の好適な消化プロトコルを使用することができる。好適なペプチダーゼは、トリプシン、エンドプロテイナーゼLysC、エンドプロテイナーゼLysN及びキモトリプシンからなるリストのいずれか1つ又は組合せを含む。エンドプロテイナーゼLysC及びトリプシンの組合せは、有用なペプチダーゼの組合せである。従って、一部の実施形態では、本方法は、MS分析の前に、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種又は少なくとも5種のペプチダーゼなど、複数のペプチダーゼでサンプルを消化するステップを含む。一部の実施形態では、サンプルは、2種のペプチダーゼ、例えば、エンドプロテイナーゼLysC、次にトリプシンでサンプルを消化する。一部の実施形態では、複数の実験を並行して実施することができ、その際、様々なペプチダーゼによってサンプルを個別に消化する。
MSによる分析のためにサンプルを調製するプロセシングステップ(分解、ペプチダーゼ消化など)は自動化することができる。プロセシングは、96ウェルプレートフォーマットで実施することができる。このハイスループットスクリーニング手法により、複数のサンプルの自動化分析が可能であり、例えば、ワクチン組成物のバッチの反復サンプルをランするか、又は様々なワクチン組成物を試験するか、又は細胞培養物に導入するための核酸又はウイルスベクターワクチン組成物の最適量を決定する(すなわち、最適MOI若しくはMOI範囲を決定する)場合に可能である。
ペプチダーゼによる消化から得られるペプチドは、サンプル中のペプチドを同定するための分解能を向上させることから、MS分析の前にクロマトグラフィーにより分離してもよい。
例えば、このために液体クロマトグラフィーが特に好適である。従って、一部の実施形態の方法は、分離クロマトグラフィーステップを実施することをさらに含む。一部の実施形態では、クロマトグラフィーステップは、液体クロマトグラフィー、例えば、高性能液体高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)又は超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)である。一部の実施形態では、逆相HPLCを実施してペプチドを分離する。質量分析計を液体クロマトグラフィー装置、例えば、ナノフローUPLC装置に直接接続してもよい。Thermo Q−Exactive Orbitrap質量分析計のESI源に直接接続したnano−UPLC(Thermo Ultimate3000)が本発明に特に有用である。
典型的に、適切な溶媒に溶解させたサンプルを逆相カラム(例えば、C18カラム)にロードする。次に、カラムを洗浄し、ペプチドを溶離バッファーで溶離する。適切なバッファー及び条件は、当技術分野で標準的な技術に従って決定及び最適化することができる。次に、例えば、エレクトロスプレーイオン化(ESI)によりペプチドをイオン化し、イオン化ペプチドの質量を検出する。
標準的データベース検索を用いて可能な範囲までのMSスペクトルにより、サンプル中のタンパク質を同定する。例えば、Sequest[7]又はMASCOT[8]などの任意の好適なデータベース検索アルゴリズムを用いることができる。
典型的に、MSスペクトルは、サンプル中に存在する可能性があるタンパク質の配列を含むデータベースに対して検索する。これらは、タンパク質を発現させるのに使用する組換え体発現系の組換えタンパク質及びその他のタンパク質、例えば、細胞の全プロテオームの配列;1つ又は複数のペプチダーゼを用いてサンプルを消化する場合、これらのペプチダーゼの配列を含む。また、一般的な混入タンパク質を含むことも当技術分野では標準的である。例えば、組換えタンパク質をヒト細胞で発現させる場合、一般的な非ヒト混入タンパク質の配列が含まれる。
多くのタンパク質配列及びプロテオームデータベースが当技術分野で入手可能である。例えば、UniProt/SwissProtから高品質データベースを取得することができる。これらのデータベースは、常に見直しされているため、最新である。或いは、データベースは、NCBIデータベースからのデータ抽出などの常用の手順を用いて編集することができる。
偽発見率(False discovery rate)もPercolator[9]などの好適なアルゴリズムによって推定することができる。典型的に、好適な偽陽性のレベル、例えば、同定されたMS/MSスペクトルレベルで1%までデータをフィルタリングする。
(b)同定されたタンパク質の相対発現レベルの決定
それぞれ同定されたタンパク質の相対発現レベルを取得するために、MSスペクトルデータ特性を変換して、準絶対(semi−absolute)発現レベルを表示する。例えば、あるタンパク質の分子量に対するその同定MS/MSスペクトルの比など、当技術分野で公知の複数の方法を使用することができる。続いて、これらの比をデータセットにおける全ての比の合計に正規化し、百万分率(ppm)で表すことができる。
例えば、質量スペクトルからのデータを用いて、下記の式に基づくそれぞれ同定されたタンパク質の相対発現指数を形成してもよい。相対発現は、所与のタンパク質iの同定スペクトル(SC)の量をタンパク質iの分子量で割り、これをデータセット内の各タンパク質のこうした商の全ての和で正規化した後、1,000,000ppmの分数として表すことによって計算することができる(参照文献[10]を参照)。
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さらに、他のスペクトル特性(例えば、MS強度、MS/MS強度、固有のペプチドカウント数、スペクトルカウント数、iBAQなど、例えば、参照文献10、11、12、13、14を参照)並びに他のフィルタ及び正規化手順(例えば、Top3[15]、TopN[16]又はタンパク質毎の全強度)に基づく準絶対定量の他の形態を使用することもできる。
組換えタンパク質の相対発現レベルは、その発現をサンプル中の他のタンパク質、例えば、細胞マーカタンパク質と比較することにより決定することができる。また、発現レベルを互いに比較することにより、複数の組換えタンパク質の相対発現レベルを決定することもできる。このようにして、バッチ、培養条件、感染率などを比較するための重要な効力情報を取得することができ、これらは、発現構築物(例えば、核酸ワクチン又はウイルスベクターワクチン)自体の生産に使用されるプロセス、例えば、生産細胞型、増殖条件などにフィードバックすることができる。
段階1で得られた情報は、一貫し且つ頑健であるが、ペプチダーゼにより、MSに基づく配列分析に付しやすい十分なペプチドに切断されるタンパク質の能力にある程度影響される。いくつかの事例では、これは十分であり得る。しかしながら、多数の組換えタンパク質の発現を比較する場合又はより正確な発現推定値が必要な場合、段階1に加えて、本方法の段階2を実施することができる。
段階2
段階2では、段階1で得られたデータを用いて、目的の組換えタンパク質を明瞭に同定する特定のタンパク質特異的ペプチをマイニングする。続いて、これらのペプチドを用いて、タンパク質発現の絶対定量(例えば、ng/細胞又はng/mL)のためのMSに基づくアッセイを開始する。段階2は、複数の組換えタンパク質の発現を比較するうえで特に有用であり、又はより正確な定量情報が必要な場合、トリプル四重極計器がこの段階で有用である。
段階2は、目的の組換えタンパク質の絶対定量を提供する。上で説明したように、この段階のステップは、典型的に、(c)組換えタンパク質のタンパク質特異的ペプチドを検出するステップと;(d)組換えタンパク質の絶対発現レベルを決定するステップとを含む。これらのステップを以下にさらに詳細に説明する。
(c)組換えタンパク質のタンパク質特異的ペプチドの検出
段階1で得られた詳細な配列情報をマイニングする。このステップの目標は、目的の組換えタンパク質のみに固有のタンパク質特異的ペプチド(すなわち、サンプル中に存在するいずれか他のタンパク質中に存在しないペプチドの配列)を同定することである。
目的の遺伝子の同定を達成する正確なペプチド同定結果を強度、再現性及び断片化挙動について詳しく調べる。例えば、特定の強度を有するペプチドを選択してよい。一部の実施形態では、最高強度を有するタンパク質特異的ペプチドを選択する(例えば、オービタルイオントラップ質量分析装置での走査毎に>1eカウント数)ことから、これらのペプチドは、最も頑健であると思われ、且つ繰り返し検出される可能性がある。場合により、特定の残基(例えば、メチオニン残基)を有するペプチド及び/又は特定の配列を有するペプチド(例えば、グリコシル化共通配列)を省いてもよい。さらに、長さに基づいてペプチドを選択してもよく、例えば、7アミノ酸より短く、25アミノ酸より長いペプチドを省いてもよい。これらの特徴は、手動で、又はSkylineなどのソフトウェアパッケージを用いてスクリーニングすることができる。
固有のタンパク質特異的ペプチドが同定されると、これらを用いて絶対定量のためのMSに基づくアッセイを形成することができる。このために、典型的には、トリプル四重極又は四重極イオントラップ質量計を使用する。
最初のステップは、目的のタンパク質特異的ペプチドのみをモニターするように計器を設定することである。これは、単一反応モニタリング(SRM)と呼ばれ、又は場合により多重反応モニタリング(MRM)と呼ばれることもある。この方法は、小分子[17、18]及び複合マトリックス中のタンパク質[19、20、21]を広範に定量するために開発された。これは、高感度、高度選択性であり、且つ容易に多重化されるという利点を有する。
SRM作動モードでは、各タンパク質特異的ペプチドのインタクトな質量をモニターするために第1四重極(Q)を設定し、コリジョンセルとして第2四重極(Q)を用いてペプチドを断片化し、第3四重極(Q)では特徴的な断片イオンの選択セットのみをモニターする。Q1での前駆体質量と、Q3での予測断片質量との組合せはトランジションとして知られており、1セットのトランジションが、断片が由来するタンパク質を同定するのに役立つ。
(d)組換えタンパク質の絶対発現レベルの決定
目的のタンパク質特異的ペプチドの検出及びモニタリングが確立されると、同位体希釈手法などのペプチド定量技術を使用することができる。これは、当技術分野で十分に確立されている技術である[22、23]。同位体希釈手法は、目的のペプチドに相同的な既知の濃度の同位体標識ペプチドを添加することに基づく。リシン又はアルギニンアミノ酸残基の「重い」バージョン(例えば、13C、15Nなど)は、ペプチド合成中に組み込まれて、内在性形態のペプチドに対し、それぞれ8及び10Daの質量差を生じる。従って、「重い」ペプチドは化学的に同一であり、クロマトグラフィー、イオン化及び断片化に関して同様に挙動することになる。これは、検査対象のタンパク質特異的ペプチドの有用な定量内標準であることを意味する。重いペプチド同士の唯一の違いは、その前駆体質量(Qでの)及びその断片質量(Qでの)であることから、サンプル中の組換えタンパク質に由来する「軽い」バージョンとは別にモニターすることができる。
「重い」及び「軽い」バージョンのペプチドは、逆相液体クロマトグラフィーにより分離する際に同時に溶離し、これにより、サンプルマトリックスからのイオン化又は干渉のために限定的なバイアスで同時検出及び定量を可能にする。次に、「重い」ペプチド及び「軽い」ペプチドのピーク面積比を測定して、サンプル中のペプチド濃度を計算する。この手法は、ペプチド濃度を算出するが、アッセイの濃度範囲にわたる測定の精度及び検出器応答の線形性についての情報は一切提供しない。従って、サンプルに、既知の濃度の「重い」ペプチドがスパイクされている場合、サンプル中の組換えタンパク質の量は、「重い」ペプチドの出力シグナルを参照することにより、絶対的な方法で決定することができる。
従って、絶対定量を可能にするために、ステップ(c)で検出するために選択されるタンパク質特異的ペプチドも、定量のための標準として作用するのに必要な「重い」ペプチドを作製することができるように化学合成に付しやすいものであるべきである。
ウイルスベクターワクチン
本発明の方法は、ウイルスベクターワクチン組成物又は成分からの発現を定量し、その効力を評価するうえで特に有用である。この目的のために多くの異なるウイルスがベクターとして採用されており、本発明の方法は、それらの全てに適用することができる。
アデノウイルスベクター
ウイルスベクターは、アデノウイルスベクター(rAd)であってよい。アデノウイルスベクターは、細胞免疫応答の強力な誘導物質であることから、ウイルスベクターワクチン中の有用な成分として役立つようになり、レンチウイルス及びフィロウイルス、並びにその他の非ウイルス病原体からのタンパク質抗原をコードするのに使用されている[例えば、58、59、24、25、26、27を参照]。
アデノウイルスベクターワクチン成分は、ヒトアデノウイルス、又は他の種に感染するアデノウイルス、例えば、ウシアデノウイルス(例えば、ウシアデノウイルス3、BAdV3)、イヌアデノウイルス(例えば、CAdV2)、ブタアデノウイルス(例えば、PAdV3若しくは5)、又はシミアンアデノウイルス(チンパンジーアデノウイルスを含むサルアデノウイルス及びサル(ape)アデノウイルス)に由来するものであってよい。一部の実施形態では、アデノウイルスベクターワクチン成分は、ヒトアデノウイルス(HAdV、若しくはAdHu)又はチンパンジーアデノウイルスなどのシミアンアデノウイルス(ChAd、AdCH、若しくはSAdV)に由来する。ヒト及び非ヒトアデノウイルスの大部分の配列は知られており、その他の配列は、常用の手順を用いて取得することができる。
本発明を用いて評価することができるアデノウイルスベクターワクチン成分の例として、血清型26(rAd26)又は血清型35(rAd35)由来の組換えアデノウイルスが挙げられる[28]が、本発明の方法を用いてあらゆるアデノウイルス血清型を評価することができる。
典型的に、パッケージング細胞株を用いて、十分な量のアデノウイルスベクターワクチン成分を産生させる。パッケージング細胞は、発現しようとするタンパク質をコードする複製欠損ベクターにおいて欠失しているか、又は不活性化されている遺伝子を含む細胞である。従って、ウイルスのタンパク質サブユニットの全部がパッケージング細胞株に発現されて、ウイルス粒子がアセンブリングし、複製欠損ベクターをウイルス粒子に組み込み、これにより、ウイルスベクターワクチン成分を形成することを可能にする。好適な細胞株として、例えば、PER.C6、911、293及びE1 A549などが挙げられる。
多様なタンパク質をアデノウイルスベクターから発現させることができる。典型的に、目的の遺伝子をアデノウイルスゲノムのE1及び/又はE3領域にクローニングする。
組換えタンパク質をコードする遺伝子は、アデノウイルス由来のプロモータ(例えば、Major Late Promotor)の制御下に置いて(すなわち、作動可能に連結して)もよく、又は異種プロモータの制御下に置いてもよい。好適な異種プロモータの例として、CMVプロモータCMV−プロモータ[29]、例えば、CMV最初期遺伝子エンハンサー/プロモータからのnt.−735〜+95を含む、CMV最初期プロモータ及びRSVプロモータが挙げられる。
アデノウイルスベクター、その構築方法、及びその増殖方法は、当技術分野で公知である(例えば、参照文献30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41を参照)。典型的に、アデノウイルスベクターの構築は、標準的な分子生物学的技術の使用を含む[42、43、44]。
一部の実施形態では、本発明は、アデノウイルスベクターにおいてコードされる組換えエボラ(Ebola)ウイルス抗原のタンパク質発現レベルを定量する。一部の実施形態では、組換えタンパク質は、GP、SGP及びNPからなる群から選択されるエボラ(Ebola)ウイルス抗原である。本発明の一部の実施形態では、エボラ(Ebola)ウイルス抗原は、ザイール(Zaire)株のGP、ザイール(Zaire)株のSGP、ザイール(Zaire)株のNP、スーダン(Sudan)株のGP、スーダン(Sudan)株のSGP、スーダン(Sudan)株のNP、アイボリーコーストエボラ(Ivory Coast Ebola)株のGP、アイボリーコーストエボラ(Ivory Coast Ebola)株のSGP及びアイボリーコーストエボラ(Ivory Coast Ebola)株のNPからなる群から選択される。
一部の実施形態では、本発明は、アデノウイルスベクターにおいてコードされる組換えHIV抗原のタンパク質発現レベルを定量する。一部の実施形態では、HIV抗原は、GAG、POL、ENV及びNEFからなる群から選択される。
ウイルスベクターワクチンから発現させることができ、且つ本発明の方法を用いて定量することができる他の好適な抗原について以下に論じる。
アデノ関連ウイルスベクター
ウイルスベクターは、アデノ関連ウイルス(AAV)ベクターであってよい。AAVは、複製するために別のウイルス(アデノウイルス及び特定のヘルペスウイルス)の存在に依存するウイルスである。これは、極めて軽度の免疫応答を起こす(病原性の欠如を示す)小さいウイルスである。AAVは、分裂及び静止細胞の両方に感染することができ、宿主細胞のゲノムに組み込まれることなく染色体外状態で残存する。
ウイルスが小さいため、ベクターのクローニング能力は、比較的限定されており、ほとんどの治療遺伝子は、ウイルスの4.8キロベースゲノムの完全な置換を必要とする。そのため、大きい遺伝子は、標準的なAAVベクターでの使用には適していない。
AAVの11の異なる血清型が報告されている[45]。
ポックスウイルスベクター
ウイルスベクターは、ポックスウイルスベクターであってもよい。ポックスウイルスは、大きいゲノムを有し、複数の遺伝子を含む多様な遺伝子材料を送達する(すなわち、多価ベクターとして作用させる)ために容易に使用することができる。
ポックスウイルスベクターは、アビポックスウイルス(avipoxvirus)(例えば、鶏痘、カナリア痘、鳩痘、シチメンチョウ痘、ウズラ痘)、カプリポックスウイルス(capripoxvirus)(例えば、ヒツジ若しくはヤギポックスウイルス)、オルソポックスウイルス(orthopoxvirus)(例えば、ワクシニア、牛痘、マウス痘(欠肢症)、ウサギ痘、アライグマ痘、及びサル痘)又はスイポックスウイルス(suipoxvirus)(例えば、ブタ痘)に由来するものでよい。
ポックスウイルスは、例えば、選択又は化学的若しくは遺伝子突然変異により、病原性を低減するように、弱毒化して(すなわち、弱めて)もよく、例えば、ワクシニアのNYVAC株[46]及びMVA株[47]を参照されたい。
目的配列の遺伝子を含む組換えポックスウイルスを調製する基本的な技術は、当技術分野で公知である。例えば、一方法は、ドナープラスミド中のDNA配列にフランキングするウイルスDNA配列と、親ウイルスに存在する相同的配列との間の相同組換えを含む[48、49]。他の方法は、天然に存在するか、又は親ウイルスベクターに人工的に挿入された制限エンドヌクレアーゼ部位を使用して異種DNAを挿入することを含む[50]。
典型的に、目的の遺伝子を、得られる組換えウイルスのウイルス生存能に実質的に影響しない部位で組換えポックスウイルスに挿入する。例えば、チミジンキナーゼ(TK)遺伝子は、好適な挿入部位である。ワクシニアでは、TK領域に加えて、他の挿入部位、例えば、HindIIIM断片を使用することができる。鶏痘では、TK領域に加えて、他の挿入部位、例えば、BamHIJ断片、EcoRI−V7c/III断片、EcoRV−HindIII断片、BamHI断片又はHindIII断片を使用することができる[51]。
目的の遺伝子は、ポックスウイルス由来のプロモータの制御下にあって(すなわち、作動可能に連結されて)もよい。例えば、ワクシニア7.5K若しくは40Kなどのネイティブプロモータ、又はFPV C1などの鶏痘プロモータに基づくプロモータを使用してもよい。また、発現のレベルを増大するために、エンハンサーエレメントをプロモータと組み合わせて使用してもよい。
他のベクターワクチン
本発明の方法は、細菌若しくは酵母ベクターワクチン組成物又は成分などの他のベクターワクチン組成物又は成分からの発現を定量し、その効力を評価するうえでも有用である。
典型的に、細菌ベクターは、突然変異体又は遺伝子修飾細菌に由来する。細菌は、任意選択で弱毒化する。例えば、フレキシナ赤痢菌(Shigella flexneri)、大腸菌(E.coli)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、エルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、チフス菌(Salmonella typhi)又はマイコバクテリウム属(mycobacterium)[52、53、54、55]など、いくつかの細菌種がベクターワクチンとしての使用のために開発されている。細菌ベクターは、通性嫌気性、細胞内細菌ベクターであってもよい。ベクターワクチンとして有用な細菌の調製は当技術分野で公知である。
酵母ベクターは、任意の酵母株に由来するものであってよい[56]。一部の実施形態では、酵母ベクターは、非病原性酵母株に由来する。酵母ベクターは、サッカロミセス・セレビシエ(S.cerevisiae)、カンジダ・アルビカンス(C.albicans)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(H.polymorpha)、ピキア・パストリス(P.pastoris)及び分裂酵母(S.pombe)に由来するものであってよい。相対的に操作が容易であるため、サッカロミセス・セレビシエ(S.cerevisiae)がベクターワクチンとして特に有用であり、これはGRAS[57]である。ベクターワクチンとして有用な酵母の調製は当技術分野で公知である。
遺伝子療法
多くのウイルスベクターワクチン成分が複製欠損であり、これらがコードする遺伝子は、被験者に投与されたときに一時的にのみ発現される。これは、ワクチンによりコードされるタンパク質に対して短時間の曝露のみが必要とされる状況において、例えば、ワクチン接種スケジュールの一環としてタンパク質標的に対して免疫応答を生成する目的で有用である。しかしながら、一部の事例では、遺伝子療法として知られるプロセスにおいて、被験者の欠損遺伝子を補完するために、タンパク質の持続的な発現が要望される。遺伝子療法構築物は、前述したウイルスベクターワクチンと全く同じように本発明の方法を用いて試験することができる。
多くの場合、遺伝子療法用の核酸を細胞に導入するために、ウイルスベクターが用いられ、これは、以下のタイプのウイルス:レトロウイルス、アデノウイルス、レンチウイルス、単純ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、及びアデノ関連ウイルスを含む。長期治療の場合、ウイルスベクターに含まれる核酸は、治療対象の被験者の細胞の染色体(及び従ってその効力試験の一環として遺伝子療法構築物が試験される任意の細胞の染色体)への組込みのためにターゲティングされる。しかし、これとは別に、前述したように、ウイルスワクチンベクター組成物及び成分に関して効力試験を実施することができる。
本発明の例示的特徴
本発明は、組換え体発現系によるタンパク質発現のレベルを決定する方法を提供し、これは、質量分析法を用いて、発現系により発現された組換えタンパク質を定量するステップを含み、任意選択で、組換え体発現系は細胞培養物であり、細胞培養物が溶解されて細胞溶解物を形成し、この細胞溶解物が質量分析法によって分析されて組換えタンパク質を定量し、任意選択で、細胞溶解物は清澄化された細胞溶解物である。組換え体発現系は、(i)組換えタンパク質をコードするウイルスベクターワクチン組成物に感染した細胞培養物、又は(ii)組換えタンパク質をコードする核酸ワクチン組成物により形質転換した細胞培養物であってよく、任意選択でウイルスベクターワクチン組成物は、組換えタンパク質をコードするアデノウイルスベクターワクチン成分を含み、例えば、ウイルスベクターワクチン組成物は、少なくとも2つの組換えタンパク質をコードし、例えば、ウイルスベクターワクチン組成物は、(i)少なくとも2つの組換えタンパク質をコードするアデノウイルスベクターワクチン成分及び/又は(ii)異なる組換えタンパク質をコードする複数の異なるアデノウイルスベクターワクチン成分を含む。場合により、ウイルスベクターワクチン組成物は、組換えタンパク質をコードするポックスウイルスベクターワクチン成分を含む。場合により、質量分析法を用いて2つ以上の組換えタンパク質を定量する。場合により、組換え体発現系中の別のタンパク質は、組換えタンパク質に対して少なくとも85%の同一性を有する。この方法は、質量分析法により組換えタンパク質を定量するステップの前に、組換えタンパク質をコードする遺伝子を細胞培養物に導入して組換え体発現系を生成し、組換えタンパク質を発現するステップを含み、任意選択で、この定量は、組換えタンパク質の相対又は絶対発現レベルを決定することであり、任意選択で、この決定は、(i)組換えタンパク質の相対発現レベルを決定することであって、(a)質量分析解析によりサンプル中のタンパク質を同定するステップと;(b)組換えタンパク質を含む同定された各タンパク質の相対発現レベルを決定するステップとを含み、任意選択で、相対的な決定は、細胞マーカタンパク質に対して組換えタンパク質の発現を決定することにより実施される、決定すること;又は(ii)組換えタンパク質の絶対発現レベルを決定することであって、(a)質量分析解析によりサンプル中のタンパク質を同定するステップと;(b)組換えタンパク質を含む同定された各タンパク質の相対発現レベルを決定するステップと;(c)組換えタンパク質のタンパク質特異的ペプチドを検出するステップと;(d)タンパク質特異的ペプチドの検出量を既知の標準と比較することにより、組換えタンパク質の絶対発現レベルを決定するステップとを含む、決定することである。
本発明により検出可能である例示的ワクチンによりコードされる組換えタンパク質
被験者において免疫応答を誘発することができる抗原、又はその抗原決定基を発現するために、核酸及びウイルスベクター(すなわち、前述した通りの核酸及びウイルスベクターワクチン)が最もよく使用される。この抗原は、感染因子由来であってもよく、又は腫瘍に特有のものであってもよい。しかし、場合により、ベクターは、別の治療目標を達成するために、別のタンパク質をコードするように設計される。同様に、遺伝子療法構築物によりコードされたタンパク質は、これらの構築物の目標が安定的な長期発現をもたらすことであるため、ワクチンによりコードされたものと異なる。そのため、ここでは、組換えタンパク質は、治療対象の被験者に不足している細胞酵素であることが多い。
感染因子
抗原は、感染症を引き起こし得る細菌、ウイルス、酵母又は寄生体に由来するものでよい。
例えば、抗原は、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)などのマラリア病原生物、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)などの結核病原生物、酵母、又はウイルスに由来するものであってよい。フラビウイルス(例えば、ウエストナイルウイルス(West Nile Virus)、C型肝炎ウイルス(Hepatitis C Virus)、日本脳炎ウイルス(Japanese Encephalitis Virus)、デングウイルス(Dengue Virus))、エボラ(Ebola)ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus)(HIV)、及びマーブルグ(Marburg)ウイルスなどのウイルス由来の抗原を用いてもよい。
以下の抗原の例は、本発明に特に有利となり得る。
GP、SGP及びNPからなる群から選択されるエボラ(Ebola)ウイルス抗原[58、59、60]。これらの抗原は、ザイール(Zaire)、スーダン(Sudan)又はアイボリーコーストエボラ(Ivory Coast Ebola)株由来のものでよい。
gag、pol、env、nef、又はその変異体などのHIV由来の抗原[61、62、63、64、65]。
結核菌(M.tuberculosis)、例えば、Ag85A、Ag85B及び/又はTB10.4タンパク質由来の抗原。
HA、NA、M、又はNPタンパク質などのインフルエンザウイルス由来の抗原[66、67、68]。
麻疹ウイルス、例えば、HAタンパク質由来の抗原[69]。
狂犬病ウイルス糖タンパク質由来の抗原[70]。
マラリア、ポリオウイルス、破傷風(例えば、破傷風トキソイド)、ジフテリア(例えば、ジフテリアトキソイド)、又は百日咳菌(Bordetella pertussis)若しくは呼吸器合胞体ウイルス(respiratory syncytial virus)(RSV)由来の抗原。
腫瘍抗原
開発中の分野は、身体の免疫系を刺激して癌細胞を見出し、殺傷することを目的とするワクチンの使用に関する。従って、腫瘍抗原核酸又はウイルスベクターワクチン成分は、腫瘍細胞に発現されるが、正常細胞には発現されない腫瘍抗原(典型的には、タンパク質若しくはタンパク質の変異体)をコードする。この手法の目標は、免疫系を初期免疫して癌細胞を攻撃する(通常、免疫応答を促進するために他の薬剤、例えば、抗CTLA4抗体などの投与と一緒に)ことである。
例示的な腫瘍抗原としては、TAG−72、BING−4、カルシウム活性化クロライドチャネル2、サイクリンB1、Ep−CAM、EphA3、Her2/neu、テロメラーゼ、メソテリン、SAP−1、サバイビング(surviving)、NY−ESO−1/LAGE−1、PRAME、SSX−2、Melan−A/MART−1、Gp100/pmel17、チロシナーゼ、TRP−1/−2、MC1R、β−カテニン、CDK4、CML66、MART−2、p53、Ras、TGF−βRII及びMUC1が挙げられる。
遺伝子療法のためのタンパク質
典型的な組換えタンパク質としては、アデノシンデアミナーゼ、IX因子、β−グロビン、リポタンパク質リパーゼ、ドーパミン、及びIL2RGが挙げられる。
タンパク質生産のための組換え体発現系
前述したように、本発明の方法は、核酸ワクチン及びベクターワクチンの発現を定量するために特に有用であるが、任意の組換え体発現系により組換えタンパク質発現を定量するために適用することもできる。
組換え体発現系は、通常、タンパク質を生産するために使用され、これらのタンパク質は、後に他の目的(本明細書の他の箇所で論じる核酸ワクチン又はベクターワクチンの場合のように、組換えタンパク質をコードする遺伝子構築物の効果をin vivoで試験するための代用物として用いられるのとは対照的に)のために使用される。タンパク質、例えば、抗体などの生物製剤の生産のために使用される組換え体発現系は、今日、商業的に極めて重要である。本発明の方法を用いて検出することができる特定の生物製剤を以下に論じる。
従って、前述した効力試験系に対する、生産発現系での組換えタンパク質発現の定量の違いの1つは、はるかに多様な発現宿主を使用し得ることである(典型的に、効力試験アッセイでは、細胞型は、核酸ワクチン/ウイルスベクターワクチンを投与しようとするヒト又は哺乳動物由来のものとなる)。一般的に使用されるタンパク質発現系としては、細菌、酵母、バキュロウイルス/昆虫、及び哺乳動物細胞に由来するものが挙げられる。組換え体発現系は、細胞ベース又は無細胞であってよいが、最も一般的には細胞ベースである。
以下に論じるように、生産組換え体発現系を設定することができる多くの方法があり、これらの様々な系の全てによるタンパク質発現を本発明の方法で評価することができる。組換え体発現系は、プロモータと遺伝子の天然に存在する組合せの使用を含むが、非天然の状況、例えば、ヒトゲノムに見出されるが、自律複製発現プラスミド上、又は細胞内では複製しない環状若しくは線状遺伝子エレメント(例えば、一過性発現系の場合に一般的であるように)上に位置するプロモータと組み合わせたヒト遺伝子からの発現も含む。タンパク質の発現を最大にするために、プロモータを強力な構成性プロモータであるものに取り換えてもよい。一部の事例では、細胞が遺伝子を発現するように、遺伝子とプロモータとの組合せを細胞のゲノムに組み込んでもよい。場合により、染色体における遺伝子とプロモータとの組合せは、既に染色体中にある遺伝子に隣接する位置で細胞のゲノムに非天然プロモータを挿入して、その発現を駆動することにより達成する。場合により、非天然遺伝子は、プロモータが遺伝子の発現を駆動することができるように、宿主細胞のゲノム中のプロモータの隣に挿入する。
遺伝子は、それから発現されるタンパク質(組換えタンパク質)が野生型タンパク質と異なる特性、例えば、異なる活性、異なる発現レベル及び/又は異なる立体配座を有するように修飾してもよい。これは、タンパク質をコードする核酸配列及び/又はタンパク質の発現を調節する転写制御エレメントを改変するなど、当技術分野で一般的な技術によって達成することができる。例えば、これらの配列は、修飾又は置換することができる。例えば、コード配列を修飾する、例えば、コドン最適化することにより、遺伝子を発現させようとする細胞における適正な発現を確実にすることができる。コドン最適化は、当技術分野で広く適用されている技術である。一部の実施形態では、組換えタンパク質の毒性が低減するようにコード配列を突然変異させてもよい。
典型的には、これらのタンパク質の発現のために、例えば、CHO細胞、COS細胞、NS0細胞又はヒト細胞系(例えば、HEK293細胞)などの哺乳動物細胞といった細胞ベースの発現系を使用する。こうしたタンパク質の例として、インスリン、抗体、受容体融合タンパク質、EPOなどが挙げられる。生産組換え体発現系で発現することができ、本発明の方法により分析することができる例示的タンパク質のより詳細なリストを以下に記載する。
生物製剤の生産のための組換え体発現系の望ましい特徴は、高い生産性及び安定性である。従って、本発明の方法は、他の細胞タンパク質と比較して目的のタンパク質の相対生産を決定し、これにより、細胞の生産性の優れた測度を提供し得ることから、生産組換え体発現系による組換えタンパク質の発現を測定するうえで有用である。本方法は、産生されるタンパク質が抗体などの他成分タンパク質である場合にも特に有用である。この場合、タンパク質の個々のサブユニットの発現レベルを個別にモニターすることができ、産生されるタンパク質の発現を最大にするうえで適切な比で個々の成分が産生されるように、個々の成分の発現を改変することも可能となり得る。組換えタンパク質が抗体であり、これが、個別に転写され、且つ翻訳された軽鎖及び重鎖サブユニットから構成されている場合に有用となり得る。MSに基づく方法はまた、グリコシル化及びタンパク質構造における他の翻訳後変化(例えば、アスパラギンの翻訳後脱アミド又はアスパラギン酸塩異性化[71、72])をモニターすることができるという利点も有する。
本発明の方法により検出される組換えタンパク質をコードする核酸の具体的な形態は重要ではない。核酸は、環状又は線状であってよい。組換えタンパク質をコードする核酸配列を含む核酸分子は、一般に、発現ベクターと呼ばれる。
発現ベクターは、ウイルスベクターであってよい。ウイルスベクターは、核酸ワクチン又はベクターワクチンなどの組換え体発現構築物の効力試験に関する実施形態でより一般的に使用されているため、上に比較的詳しく論じたが、他の細胞培養技術での一過性発現の誘導において、又は組換えタンパク質をコードする遺伝子を細胞のゲノムに導入するための手段としての用途も有する。
発現ベクターは、非ウイルスベクターであってもよい。微生物学で使用される非ウイルスベクターの例としては、プラスミドベクター、例えば、大腸菌(Escherichia coli)由来のプラスミド(pBR322、pUC18、pUC19、pUC118、pUC119、pBluescriptなどのColE−シリーズプラスミド)、アクチノマイセス属(Actinomyces)由来のプラスミド(例えば、pIJ486)、枯草菌(Bacillus subtilis)由来のプラスミド(例えば、pUB110、pSH19)、酵母由来のプラスミド(例えば、YEp13、YEp24、Ycp50)、並びに人工プラスミドベクターが挙げられる。組換えタンパク質、例えば、mAbの発現のための有用な真核生物ベクターの例としては、pcDNAI及びpcDM8(フナコシ株式会社(Funakoshi Corporation)により製造)、pAGE107[73]、pAS3−3[74]、pcDNAI/Amp(Invitrogenにより製造)、pcDNA3.1(Invitrogenにより製造)、pREP4(Invitrogenにより製造)、pKANTEX93[75]、pCI、pAdVAntage、pCMVTnT及びpTargetベクター(全てPromeg製)が挙げられる。
発現ベクターが染色体外で自律的に複製可能である(すなわち、複製起点を含む)場合、ベクターは、プラスミドが時間の経過により細胞培養物から消失しないことを確実にするために、選択マーカを含有してもよい。選択マーカの例として、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子、グルタミンシンテターゼ遺伝子、又は分裂酵母(Schizosaccaromyces pombe)TP1遺伝子、並びにアンピシリン、カナマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、若しくはヒグロマイシンなどの薬剤耐性遺伝子が挙げられる。他の好適なマーカが当業者に直ちに明らかになるであろう。
好適な哺乳動物宿主細胞株の例としては、サル腎臓由来のCOS細胞、マウスL細胞、マウスC127乳房表皮細胞、マウスBalb/3T3細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、ヒト293EBNA及びヒーラ細胞、骨髄腫、及びベビーハムスター腎臓(BHK)細胞が挙げられる。
当業者には周知のいずれかの技術を用いて発現構築物を細胞に導入することができ、例えば、参照文献42及び他の実験マニュアルを参照されたい。例えば、リン酸カルシウム又は塩化カルシウム共沈法、リポフェクション、エレクトロポレーションなどのトランスフェクションプロトコルを使用することができる。
上に指摘したように、本発明の方法を用いて、組換え体発現系から発現されたあらゆる組換えタンパク質を定量することができる。従って、具体的な組換えタンパク質は本発明の重要な要素ではない。
本発明の方法により検出することができる、組換え体発現系により発現された一般的タンパク質としては、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−17、IL−18、IL−20、IL−21、IL−22、IL−23、IL−24、IL−25、IL−26、IL−27、IL−28、IL−31及びIL−35などのインターロイキン、及びそれらの受容体、TNFαR、RGFβR、TSHR、VEGFR/VPFR、FGFR、EGFR、PTHrPR、PDGFRファミリー、EPO−R、GCSF−R及びその他の造血因子受容体などのTNFα、増殖因子受容体;補体C3b、補体C5a、補体C5b−9、Rh因子、フィブリノーゲン、フィブリン、及びミエリン関連増殖阻害剤などのインターフェロン受容体、Ig受容体、血液因子;コレステロールエステル転移タンパク質、膜結合マトリックスメタロプロテアーゼ、及びグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)などの酵素;並びにガングリオシドGD3、ガングリオシドGM2、LMP1、LMP2、好酸球主要塩基性タンパク質、好酸球カチオン性タンパク質、pANCA、アマドリタンパク質、IV型コラーゲン、糖化脂質、v−インターフェロン、A7、及びFas(AF0−1)及び酸化LDL、CD2、CD3、CD4、CD5、CD6、CD7、CD8、CDlla、b、c、CD13、CD14、CDl5、CD19、CD20、CD22、CD23、CD27及びそのリガンド、CD2S及びそのリガンドB7.1、B7.2、B7.3、CD29及びそのリガンド、CD30及びそのリガンド、CD40及びそのリガンドgp39、CD44、CD45及びイソ型、CD56、CD58、CD69、CD72、CTLA−4、PD−1、PD−L1、PD−L2、LFA−1などの白血球マーカ、並びにMHCクラスI若しくはIIなどのTCR組織適合性抗原、ルイスY抗原、Slex、Sley、Slea、及びSelbを含む多種多様な抗原;VLA−1、VLA−2、VLA−3、VLA−4、VLA−5、VLA−6、LFA−1、Mac−1、Vβ3などのインテグリン、L−セレクチン、E−セレクチン、及びP−セレクチンなどのセレクチン及びそれらの対抗受容体VCAM−1、ICAM−1、ICAM−2及びLFA−3を含む接着分子;PF4、RANTES、MIPla、MCPl、IP−10、ENA−78、NAP−2、Groα、Groβ、及びIL−8などのケモカイン;TNFα、TGFβ、TSH、VEGF/VPF、PTHrP、EGFファミリー、EGF、PDGFファミリー、エンドセリン、フィブロシン、ラミニン、及びガストリン放出ペプチドなどの増殖因子が挙げられる。
いずれの抗原に対する、例えば、これらの標的のいずれに対する抗体も本発明の方法による検出に適している。組換え体発現系により発現される場合、本発明の方法により検出することができる具体的な抗体として、以下のものが挙げられる:アバゴボマブ、アブシキシマブ、アブリルマブ、アクトクスマブ、アダリムマブ、アデカツムマブ、アヅカヌマブ、アフェリモマブ、アフツズマブ、アレムツズマブ、アリロクマブ、アマツキシマブ、アニフロルマブ、アンルキンズマブ、アポリズマブ、アルシツモマブ、アセリズマブ、アチヌマブ、アトロリムマブ、バピネウズマブ、バシリキシマブ、バビツキシマブ、ベクツモマブ、ベリムマブ、ベンラリズマブ、ベルチリムマブ、ベシレソマブ、ベバシズマブ、ベズロトクスマブ、ビシロマブ、ビマグルマブ、ブリナツモマブ、ブロソズマブ、ブリアキヌマブ、ブロダルマブ、カナキヌマブ、カプラシズマブ、カルルマブ、カツマキソマブ、セデリズマブ、セルトリズマブ、セツキシマブ、シクスツムマブ、クラザキズマブ、クレノリキシマブ、コナツムマブ、コンシズマブ、クレネズマブ、ダセツズマブ、ダクリズマブ、ダロツズマブ、ダラツムマブ、デムシズマブ、デノスマブ、デツモマブ、ジヌツキシマブ、ジリダブマブ、ドロジツマブ、デュリゴツマブ、デュピルマブ、デュバルマブ、デュシギツマブ、エクロメキシマブ、エクリズマブ、エドバコマブ、エドレコロマブ、エファリズマブ、エフングマブ、エルデルマブ、エロツズマブ、エルシリモマブ、エミベツズマブ、エナバツズマブ、エノキズマブ、エノチクマブ、エンシツキシマブ、エプラツズマブ、エルリズマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、エトロリズマブ、エビナクマブ、エボロクマブ、エクスビビルマブ、ファノレソマブ、ファラリモマブ、ファルレツズマブ、ファシヌマブ、フェルビズマブ、フェザキヌマブ、フィクラツズマブ、フィギツムマブ、フランボツマブ、フレチクマブ、フォントリズマブ、フォラルマブ、フォラビルマブ、フレソリムマブ、フルラヌマブ、フツキシマブ、ガリキシマブ、ガニツマブ、ガンテネルマブ、ガビリモマブ、ゲボキズマブ、ギレンツキシマブ、ゴリムマブ、ゴミリキシマブ、グセルクマブ、イバリズマブ、イクルクマブ、イゴボマブ、イムシロマブ、イムガツズマブ、インクラクマブ、インフリキシマブ、インテツムマブ、イノリモマブ、イピリムマブ、イラツムマブ、イトリズマブ、イキセキズマブ、ケリキシマブ、ラベツズマブ、ラムブロリズマブ、ラムパリズマブ、レブリキズマブ、レマレソマブ、レルデリムマブ、レキサツムマブ、リビビルマブ、リゲリズマブ、リンツズマブ、リリルマブ、ロデルシズマブ、ルカツムマブ、ルミリキシマブ、マパツムマブ、マージツキシマブ、マスリモマブ、マブリリムマブ、マツズマブ、メポリズマブ、メテリムマブ、ミラツズマブ、ミンレツモマブ、ミツモマブ、モガムリズマブ、モロリムマブ、モタビズマブ、ナミルマブ、ナルナツマブ、ナタリズマブ、ネバクマブ、ネシツムマブ、ネレリモマブ、ネスバクマブ、ニモツズマブ、ニボルマブ、オビロトキサキシマブ、オカラツズマブ、オクレリズマブ、オデュリモマブ、オファツムマブ、オララツマブ、オロキズマブ、オマリズマブ、オナルツズマブ、オンツキシズマブ、オレゴボマブ、オルチクマブ、オテリキシズマブ、オトレルツズマブ、オキセルマブ、オザネズマブ、オゾラリズマブ、パギバキシマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、パンコマブ、パノバクマブ、パルサツズマブ、パスコリズマブ、パテクリズマブ、パトリツマブ、ペムブロリズマブ、ペムツモマブ、ペラキズマブ、ペルツズマブ、ペキセリズマブ、ピジリズマブ、ピンツモマブ、プラクルマブ、ポネズマブ、プリリキシマブ、プリトキサキシマブ、プリツムマブ、クイリズマブ、ラコツモマブ、ラドレツマブ、ラァフィビルマブ、ラムシルマブ、ラニビズマブ、ラキシバクマブ、レガビルマブ、レスリズマブ、リロツムマブ、リツキシマブ、ロバツムマブ、ロレデュマブ、ロモソズマブ、ロンタリズマブ、ロベリズマブ、ルプリズマブ、サマリズマブ、サリルマブ、セクキヌマブ、セリバンツマブ、セトキサキシマブ、セビルマブ、シブロツズマブ、シファリムマブ、シルツキシマブ、シムツズマブ、シプリズマブ、シルクマブ、ソラネズマブ、ソリトマブ、ソネプシズマブ、ソンツズマブ、スタムルマブ、スレソマブ、スビズマブ、タバルマブ、タドシズマブ、タネズマブ、タレクスツマブ、テフィバズマブ、テナツモマブ、テネリキシマブ、テプリズマブ、テプロツムマブ、チシリムマブ、チルドラキズマブ、チガツズマブ、トシリズマブ、トラリズマブ、トシツモマブ、トベツマブ、トラロキヌマブ、トラスツズマブ、トレガリズマブ、トレメリムマブ、ツビルマブ、ウブリツキシマブ、ウレルマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、バンチクツマブ、バパリキシマブ、バルリルマブ、バテリズマブ、ベドリズマブ、ベルツズマブ、ベパリモマブ、ベセンクマブ、ビシリズマブ、ボロシキシマブ、ボツムマブ、ザルツムマブ、ザノリムマブ、ザツキシマブ、及びジラリムマブ。エンタネルセプト(entanercept)、アバテルセプト(abatercept)などの受容体融合タンパク質の発現も本発明の方法により定量することができる。
概要
「含む」という用語は、「含む」並びに「構成される」を包含し、例えば、X「を含む」組成物は、Xのみから構成される場合もあり、又はさらに別のもの、例えば、X+Yを含む場合もある。
「実質的に」という語は、「完全に」を排除せず、例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まない場合もある。必要であれば、「実質的に」という語は、本発明の定義から省いてもよい。
数値xに関連して「約」という用語は、任意選択であり、例えば、x±10%を意味する。
ポリペプチド配列同士の同一性は、一部の実施形態において、パラメータ:ギャップオープンペナルティ=12及びギャップエクステンションペナルティ=1を用いるアフィンギャップ検索により、MPSRCHプログラム(Oxford Molecular)に実装されるSmith−Waterman相同性検索アルゴリズムにより決定される。
本明細書に引用される全ての刊行物、特許及び特許出願は、その全体を参照により本明細書に組み込むものとする。
Figure 0006887955
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本発明の典型的な方法のステップを示す。 A549細胞で発現された三価アデノウイルスベースのHIVワクチン製剤の質量スペクトルデータを示す。「PSMs」はMS/MSスペクトルに対応し;「タンパク質」はタンパク質の量に対応する。 A549細胞プロテオームに関連して、HIVウイルスベクターワクチン組成物からの3つの組換えタンパク質(「Env」、「Mos1GagPol」及び「Mos2GagPol」)を示す。A549細胞由来のアクチンは、7712ppmで第1位にランクし;Envは、802ppmで第338位にランクし;Mos1GagPolは、304ppmで第867位にランクし;Mos2GagPolは289ppmで第902位にランクし;アデノウイルスベクター(Ad26)由来のHexonは、102ppmで第1557位にランクする。 HIVウイルスベクターワクチン組成物からの3つの組換えタンパク質(「Env」、「Mos1GagPol」及び「Mos2GagPol」)の相対発現を示す。 図4のデータからの3つの組換えタンパク質の正規化相対発現を示す。発現をMos1GagPol発現に正規化する。 A549プロテオームに関連して、エボラ(Ebola)ウイルスベクターワクチン組成物(「EboTransgene」)からの組換えタンパク質を示す。EboTransgeneは、1027ppmで第247位にランクする。 ウイルスベクターワクチン組成物の異なるバッチによるエボラ(Ebola)ウイルス組換えタンパク質のタンパク質発現レベルを比較する。 配列番号1に基づくペプチドIEPLGVAPTK(配列番号25)を用いて分析したHIVトランスジーンMos1.Env(左側のグラフ)、及び配列番号26に基づくペプチドTTLF[C]ASDAK(配列番号27)を用いて分析したMos2S.Env(右側のグラフ)の発現を示す([C]は、システインが合成後カルバミドメチル化されたことを意味する)。 細胞接種濃度(凡例を参照;24ウェル細胞プレート内で1ウェル当たりの細胞数で表す)及びウイルス負荷(1ウェル当たり1.5e4細胞の接種から72時間後の細胞密度に基づくMOIで表す)の関数としてのMos1.Envトランスジーン(配列番号1)の発現を示す。MOIは、1細胞当たりのウイルス粒子の数で表す。
実施例1:質量分析法による三価アデノウイルスベースのHIVワクチンからの組換えタンパク質発現の同時分析
HIVワクチン製剤(Ad26.HIV DP)は、3つの異なるAd26アデノウイルスのブレンドから構成され、これらの各々は、投与時にヒト細胞に発現され、続いて免疫応答を誘導するように設計された異なるトランスジーンをコードする。この実施例では、最終Ad26.HIV DP中において、Ad26.Env、Ad26.Mos1GagPol及びAd26.Mos2GagPolのブレンドがウイルス粒子の量に基づいて2:1:1の比で存在した。これらのトランスジーンから発現される組換えタンパク質の配列は、配列表に記載されている:Env(配列番号1)、Mos1GagPol(配列番号2)及びMos2GagPol(配列番号3)。Mos1GagPol(配列番号2)及びMos2GagPol(配列番号3)の両方とも、HIV Gag及びPolタンパク質に基づくエピトープのモザイクを含み、Env(配列番号1)は、HIV Envに基づくエピトープのモザイクを含む[5]。
Mos1GagPol又はMos2GagPolトランスジーンのいずれかによりコードされる組換えタンパク質に特異的な抗体(すなわち、一方のタンパク質を認識するが、他方を認識しない抗体)の取得は、両者の高い類似性のために非常に困難であることが証明された。これらの2つの組換えタンパク質は、配列が89%同一であり、その相違は、単一アミノ酸の変化として配列全体にわたって広がっている。これらの配列の相違は、異なるエピトープが各タンパク質に特異的且つ選択的な抗体を増加するために存在する可能性は低く、従って、2つの組換えタンパク質を識別する抗体が得られないことを意味する。
サンプルの調製
4.5×10の密度まで増殖したA549細胞(ヒト肺胞基底上皮腺癌細胞)を50,000のMOIでAd26.HIV DPに感染させた。感染から48時間後に細胞を採取した。実験は2回繰り返して実施した。接着細胞を氷冷PBSで3回洗浄した後、50mM重炭酸アンモニウム及びロシュ(Roche)コンプリートミニプロテアーゼインヒビターカクテル中の8M尿素で溶解させた。溶解物を音波処理してから遠心分離した。上清を回収し、清澄化された細胞溶解物(250μgの全タンパク質)をLys−C(1:100w/w)での溶液中消化に37℃で4時間付した後、2M尿素まで4×希釈し、トリプシン(1:100w/w)を添加した。得られたペプチド混合物をC18 Seppakカラムで脱塩した後、真空下で乾燥させた。
LC−MS/MSの設定
Acclaim PepMap100 C18(3μm、100Å;Thermo Scientific)を充填したNano Trap pre−Columnと、EASY−Spray Column(PepMap RSLC、C18、2μm、100Å、75μm×50cm)とを装備したUltimate3000 nanoLC(Thermo Scientific)をqExactive Orbitrap質量分析計(Thermo Scientific)に直接接続した。それぞれ500ngの前述した完全細胞消化物を、100%バッファーA(0.1%ギ酸)を用いてプレカラムに5μL/分の流量で10分間ロードした。続いて、200nL/分で作動するnanoLCに対する以下の勾配設定を用いてペプチドをプレカラムから分析EASY−Sprayカラムへと溶離した:1%バッファー(80%アセトニトリル、0.1%FA)で0〜15分、8〜19.2%バッファーBの勾配で15〜120分、19.2〜40%バッファーBで120〜165分;40〜80%バッファーBで165〜168分、80%バッファーBで168〜169、80〜1%バッファーBで169〜170分、及び1%バッファーBで170〜185分。これは、参照文献76から改変した。上記のLC−MS/MS設定で各消化物を2回繰り返して分析した。
バイオインフォマティクス
これにより、8つのデータセットが得られ、これらを組換えタンパク質発現について分析した。各データセットにおいて、MSデータを用いて、データベース検索アルゴリズム(例えば、Sequest[7])によりサンプル中に存在するタンパク質を同定した。MS及びMS/MSモードでの精度の点から、典型的なq−Exactive検索パラメータを用いて、アデノウイルスタンパク質及び3つの異なる組換えタンパク質の配列を補足した全ヒトプロテオームに対してデータを検索した。また、偽発見率も好適なアルゴリズム(例えば、Percolator[9])によって推定した。好適な偽陽性のレベル、この場合、同定されたMS/MSスペクトルレベルで1%までデータをフィルタリングした。
データセットに存在する各タンパク質の発現レベルを取得するために、MSデータ特性を変換して、準絶対発現レベルを表示する。タンパク質の分子量に対するその同定MS/MSスペクトルの比を計算した。続いて、これらの比をデータセットにおける全ての比の和に正規化し、ppmで表した。
結果
MSに基づく定量の精度を高めるために、各サンプルの2回のLC−MS/MSランの結果を組み合わせた。これにより、図2に示す2つのデータセットが得られた(ラン1及び2)。これらの2つのデータセットは、同定されたタンパク質の量及びMS/MSスペクトル(PMS)に関して、極めて同等であることを示した。観測されたわずかな差異はこの手法に典型的であり、本方法の検出限界に近い差が認められた。
3つの組換えタンパク質は、各ランで容易に観察され(図3及び4)、トランスジーンの正規化された発現比は、2つの実験においてほぼ一致した(Ad26.Mos1GagPol発現に対する正規化、図5)。発現比を正規化することにより、Env、Mos1GagPol及びMos2GagPolの組換えタンパク質発現が、Ad26.HIV DP中のブレンド比(2:1:1)とほぼ一致することが明らかにされた。
さらに、アデノウイルスベクター、例えば、Hexonからのタンパク質のレベル(図3を参照)は、特に細胞タンパク質のレベルと比較すると、アデノウイルスベクターの感染効率の指標を提供する。相対発現比を提供する以外に、上に示したデータから、各組換えタンパク質のタンパク質特異的ペプチドをマイニングすることができた。これらは、単一反応モニタリング(SRM)に基づくより正確な定量アッセイへと向上させることができる。
実施例2:質量分析法に基づく組換えトランスジーン発現分析による効力のバッチ間比較
アデノウイルス26ウイルスにおいてエボラ(Ebola)株由来の単一組換えタンパク質をコードする一価エボラ(Ebola)(Ad26.ZEBOV)ワクチンのいくつかのバッチの効力を試験した。
方法
A549細胞をAd26.ZEBOVワクチンの5つの異なるバッチに25,000のMOIで3回繰り返して感染させた。感染から48時間後に細胞を採取し、実施例1に記載した方法で溶解させた。q−Exactive Orbitrapに対するサンプルワークアップを実施例1と同様に実施した。実施例1と同じプロトコルを用いて、ペプチド混合物を分析した。Orbitrap LC−MS/MSデータを、異なるエボラ(Ebola)株由来の組換えタンパク質の3つのバージョンを補足したヒトデータベースに対して検索した。
結果
データベース検索後、他の類似エボラ(Ebola)タンパク質の同定を妨害することなく、Ad26ウイルスによりコードされたエボラ(Ebola)組換えタンパク質をいくつかの固有のペプチド配列によって容易に同定することができ、これは、本手法の特異性を示すものである。続いて、スペクトルカウントに基づく相対定量を用いて、細胞溶解物に関連してエボラ(Ebola)トランスジーンの発現レベルを推定した(図6及び7)。平均して、組み合わせたデータの全てが1027ppmの発現レベルを示し、エボラ(Ebola)組換えタンパク質をA549細胞培養物において300番目に最も豊富に発現されたタンパク質の間にランク付けした(ランク#247)。
5つの3回反復実験を個別に調べると、3回反復実験内にわずかな変動が認められた(すなわち、4.9〜10.2%の相対標準偏差(RSD))。これらの変動は、サンプル調製及びLC−MS/MS分析全体を通して起こる変動を表すものである。
実施例3:質量分析法によるタンパク質の絶対定量のために有用なタンパク質特異的ペプチドの同定
この実施例の目標は、MSによるタンパク質の絶対定量のための内部基準としての安定した同位体標識類似体の合成のために有用なタンパク質特異的ペプチドを同定することである。
実施例1のMS分析から、目的のタンパク質を一貫して同定するうえで有用なタンパク質特異的ペプチドである、いくつかのペプチドを選択した。表1及び2は、陰イオンモード及び陽イオンモードのそれぞれについて、多重反応モニタリング(MRM)−トランジションにおけるこれらのタンパク質特異的ペプチドの特徴を示す。ペプチドの平均分子量(MW)、第1四重極(Q;m/z)での前駆体質量、第3四重極(Q;m/z)での推定断片質量を記載する。最高の特異性及び感度で最良のトランジション(Q1−Q3組合せ)をモニターすることができるように、四重極イオントラップにおける各ペプチドの断片化挙動を最適化するために、上の実施例1で同定した各タンパク質特異的ペプチドの合成バージョンを用いていくつかのパラメータを最適化した。保持時間(Rt;分)、微分パルスボルタンメトリー(DPV)、衝突エネルギー(CE)及びCXPを、陰イオンモード(表1)及び陽イオンモード(表2)の両方で、それぞれモニター/最適化した。
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較正用サンプルの調製
表1及び2からの合成ペプチドをJPT Peptide Technologies(Berlin,Germany)から取得した。ペプチドを10%ギ酸に溶解させて、0.1mg/mLのストック濃度を取得した。10%ギ酸中に合わせた希釈標準溶液を、全てのペプチドについて推定出発濃度1000ng/mLで調製した。0.1〜1000ng/mLの検量線を作成した。
サンプル調製及びMS分析
上記の各タンパク質特異的ペプチドについて決定したSRMパラメータを用いて、トランスジーン発現の最初の推定を実施することができる。実施例1に記載したように、HIVワクチン製剤Ad26.HIV DPの異なるバッチによるサンプル(実施例1を参照;サンプル1及び2)でA549細胞を個別にトランスフェクトした。空のアデノウイルスベクター(すなわち、いずれの組換えタンパク質もコードしない相同性アデノウイルスベクター)でトランスフェクトしたA549細胞、同じプロトコルを用いたAd26.DE3.5ORF6(対照1)及び非感染A549細胞抽出物(対照2)を負の対照として使用した。本方法が、高度に類似する組換えタンパク質を特異的且つ正確に定量し得ることを証明するために、Envのみ、Mos1GagPolのみ及びMos2GagPolのみをコードするアデノウイルスベクターも対照(それぞれ対照3〜5)として使用した。
細胞を採取し、実施例1に記載したように、MS分析のために細胞溶解物を調製した。サンプルを10%ギ酸で1/2及び1/10に希釈した。
MS分析
サンプルをトリプル四重極質量分析計API−6500(AB Sciex)に注入し、陰イオン及び陽イオンモードのTurbo−Ionspray(商標)Interface(AB Sciex)を用いてデータを分析した。表1に記載するSRM設定を使用した。
結果
細胞タンパク質及びウイルスベクタータンパク質(ウイルス粒子のキャプシドタンパク質)の組換えタンパク質(ENV、Mos1GagPol及びMos2GagPol)のタンパク質特異的ペプチドの量を決定し、その結果を表3〜7に示す。
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論考及び結論
この実施例は、多くの選択されたタンパク質特異的ペプチドのトランジションが、目的のタンパク質を同定し、定量するのに高度に特異的であることを証明している。特に、トランスフェクト細胞中には具体的な組換えタンパク質をそれぞれ検出したが、ウイルス空ベクター構築物でトランスフェクトした細胞中に組換えタンパク質は全く検出されなかった。表3〜5の対照3〜5は、個別に発現されたとき、それらのタンパク質特異的ペプチドに基づく関連組換えタンパク質の特異的検出を示す。ウイルスタンパク質は、全てのトランスフェクト細胞に検出された。
希釈されたサンプル(1/2及び1/10)について決定された量は、陽イオンで分析したほとんどのペプチドについて優れた相関を示したのに対し、陰イオンモードで分析したペプチドの一部については、これまでのところ、はるかに低い相関が観察された。
細胞タンパク質は、全てのサンプル中に高い濃度レベルで検出されたが、濃度レベルは、サンプル間で3の係数で変動した。これは、合成ペプチドの純度又は溶解度に関する詳細な情報が全く提供されていなかったことから、検量線の不正確さに起因すると考えられる。また、この段階で、消化プロセス中のペプチダーゼ消化効率又は個々のペプチドの安定性のいずれも評価されなかったため、サンプル間に変動が生じ得ることも認められた。これらのパラメータは、将来の実験において制御し及び最適化することができる。
いくつかのペプチドについて、較正範囲が最適ではなかったため、読み取りは、定量限界を超えるか、又は定量限界未満であった。例えば、一部のサンプルは、1/10希釈で定量上限を超える濃度レベルを示した(Env2、Act、G3P、IX1)。読み取りを改善するために、将来の実験では、較正範囲、並びにこれらのペプチドを測定しようとする最適希釈度を拡大することができる。
さらに、較正用サンプルを合成により調製したため、較正用サンプルのマトリックスが試験サンプルのマトリックスと相違したことも認められた。潜在的マトリックス効果を評価するために、ブランク細胞溶解物(すなわち、この細胞はいずれのウイルスベクターにも感染していない)のペプチダーゼ消化物を使用した(対照2)。ほとんどのペプチドについて、精度は許容可能であった。
この実施例の結果から、以下のタンパク質特異的ペプチドが、MS分析によるタンパク質の絶対定量(上のMS分析の段階2で説明した通り)のための安定した同位体標識類似体の合成に有用であると考えられる:
・Env:Env1及びEnv2。
・Mos1GagPol:Mos1.4、及びMos1.2又はMos1.3。
・Mos2GagPol:Mos2.4、及びMos2.5又はMos2.3。
・ウイルスベクタータンパク質:Hex1。
・細胞タンパク質:Act及びG3P2。
従って、Env、Mos1GagPol及びMos2GagPolのタンパク質特異的ペプチドは、細胞溶解物中の組換えタンパク質の各々のレベルの絶対定量を達成することができる。これは、ワクチン組成物が、ウイルスベクター成分によりコードされた組換えタンパク質の発現をどの程度効果的に引き起こすか、従って、ワクチン組成物のin vitro効力についての情報を提供する。
ウイルスベクタータンパク質のタンパク質特異的ペプチドは、細胞溶解物中のタンパク質のレベルの絶対定量を達成することができる。これは、ワクチン組成物のアデノウイルスベクターの感染性に関する情報を提供する。
実施例4:Envタンパク質の絶対定量のためのタンパク質特異的ペプチド
実施例3に記載した方法により、トランスジーン発現の定量を達成した。
この実施例では、2つの異なるアデノウイルスベクターにより発現された2つのHIVワクチントランスジーンのレベルを、アデノウイルスベクターが複製することができないA549細胞において決定した。A549細胞を24ウェル細胞増殖プレート上に接種し、密集まで72時間増殖させた。次に、細胞を2つの異なるアデノウイルスベクターから構成されるHIV製剤ブレンドに感染させたが、両ベクターは、それぞれエンベロープタンパク質;Mos1.Env(配列番号1)及びMos2S.Env(配列番号26)に基づく異なるHIVトランスジーンを含有した。ブレンド比は、1mL当たりのウイルス粒子に基づいて1:1であった。各トランスジーンは、単一のタンパク質特異的ペプチド(Mos1.Envについて配列番号25、Mos2S.Envについて配列番号27)によって呈示された。
1細胞当たり70,000〜3250ウイルス粒子の範囲で様々な感染多重度(MOI)を使用した。各MOIを3回繰り返して実施した。感染から48時間後に細胞を氷冷PBSで3回洗浄した。次に、細胞を8M尿素で溶解させた。溶解物を96ウェルプレートに移し、これを音波処理して溶解物中の各タンパク質の溶解度を改善した。DTT中での還元及びヨードアセトアミドを用いたアルキル化後、LysC(4時間)及びトリプシン(18時間)を順次用いて、サンプルを96ウェルプレートフォーマット内で消化した。得られたペプチド混合物に重い標識内標準タンパク質特異的ペプチドを添加してから、脱塩し、真空下で乾燥させた後、AB−Sciex Q−Trap 6500でのLC−MRM−MS分析まで−20℃で保存した。
1トランジションを用いて各ペプチドを定量した(表2)。スパイクした重い標識タンパク質特異的ペプチドを用いてラン同士の平衡を実施した。平衡後、軽いペプチドトランジションの曲線下の面積を、軽いペプチドの合成バージョンの標準曲線を用いて定量した。Mos1.Env及びMos2S.Envトランスジーン発現の両方についての結果を同じMSランから分析し、発現レベル(pmol/細胞のウェル)を図8に表示する。いずれのトランスジーン(Mos1.Envについて図8の左側グラフ、Mos2S.Envについて図8の右側グラフ)も、各MOIについて単に等しい発現レベルを示すに過ぎないと結論付けられ得る。また、MOIと発現との相関は、試験した範囲内で線形である。エラーバーは、細胞感染レベルでの3回反復実験を示す。これは、単一のワクチン組成物中のいくつかのトランスジーンの発現が高い選択性及び精度で広範囲に決定され得ることを示している。
実施例5:アデノウイルスベクターワクチン成分のための細胞密度及びMOIの最適化
この実施例では、24ウェルプレートでの細胞密度の影響、及びHIVトランスジーンMos1.Env(配列番号1)を担持するアデノウイルスベクターワクチン成分を含むアデノウイルスウイルスワクチン組成物の感染多重度をさらに調べるために、実施例3及び4に記載した方法を修正した。この実施例では、24ウェルプレート内に3つの異なる密度、すなわち7500/ウェル、15,000/ウェル又は1ウェル当たり30,000で細胞を接種した。接種後、細胞を放置して72時間増殖させてから、3つの異なるMOI、すなわち30,000ウイルス粒子(VP)/細胞、50,000VP/細胞又は75,000VP/細胞(72時間後、15,000細胞/ウェルで達成された細胞数に基づく)で感染させた。換言すると、細胞密度とは関係なく、等量のウイルス粒子/ウェルに細胞を感染させた。実施例4と同様に、これらの実験も細胞感染のレベルで3回繰り返して実施した。実施例4に記載したのと同じサンプル調製後、実施例4で使用したのと同じMS設定を用いて各ウェルからのスパイクペプチド混合物を分析した。結果を図9に表示する。発現レベルは、1ウェル(サンプル)当たりpmolのトランスジーンで表す。これらのデータは、細胞密度がトランスジーン発現レベルに明らかな影響をもたらすことを示している。これらの実験から、ウェル内で同数のウイルス粒子に曝露された場合、細胞密度が高いほど発現も高くなると結論付けた。このような実験は、試験品目を基準バッチと比較する相対効力実験のために最適な細胞接種及び感染条件を設定するうえで有用である。
本発明は例として説明されてきたに過ぎず、本発明の範囲及び趣旨を逸脱することなく改変形態がなされ得ることは理解されるであろう。

本発明は以下の態様を含む。
<1>
組換えタンパク質をコードするウイルスベクターワクチン組成物又は組換えタンパク質をコードする核酸ワクチン組成物の効力を試験する方法であって、
(i)細胞培養物を前記ウイルスベクターワクチン組成物又は核酸ワクチン組成物に感染させるステップと;
(ii)質量分析法を用いて、細胞培養物に発現される、前記ウイルスベクターワクチン組成物又は前記核酸ワクチン組成物によりコードされた前記組換えタンパク質を定量するステップと
を含む方法。
<2>
前記細胞培養物が溶解されて細胞溶解物を形成し、前記細胞溶解物が質量分析法によって分析されて前記組換えタンパク質を定量し、任意選択で、前記細胞溶解物が清澄化された細胞溶解物である、<1>に記載の方法。
<3>
前記ウイルスベクターワクチン組成物が、前記組換えタンパク質をコードするアデノウイルスベクターワクチン成分を含み、例えば、前記ウイルスベクターワクチン組成物が少なくとも2つの組換えタンパク質をコードする、<1>又は<2>に記載の方法。
<4>
前記ウイルスベクターワクチン組成物が、(i)少なくとも2つの組換えタンパク質をコードするアデノウイルスベクターワクチン成分及び/又は(ii)異なる組換えタンパク質をコードする複数の異なるアデノウイルスベクターワクチン成分を含む、<3>に記載の方法。
<5>
前記ウイルスベクターワクチン組成物が、前記組換えタンパク質をコードするポックスウイルスベクターワクチン成分を含む、<1>又は<2>に記載の方法。
<6>
(i)質量分析法を用いて2つ以上の組換えタンパク質が定量され;
(ii)前記細胞培養物中の別のタンパク質が前記組換えタンパク質と少なくとも85%の同一性を有し、例えば、前記別のタンパク質も前記ウイルスベクターワクチン組成物若しくは前記核酸ワクチン組成物によりコードされるか、又は前記ウイルスベクターワクチン組成物若しくは前記核酸ワクチン組成物に感染した前記細胞培養物中の細胞由来のタンパク質であり;及び/又は
(iii)前記定量が前記組換えタンパク質の相対又は絶対発現レベルを決定することである、<1>〜<5>のいずれかに記載の方法。
<7>
ステップ(iii)の前記決定が、
(i)前記組換えタンパク質の前記相対発現レベルを決定することであって、(a)質量分析解析によりサンプル中のタンパク質を同定するステップと;(b)前記組換えタンパク質を含む同定された各タンパク質の前記相対発現レベルを決定するステップとを含み、任意選択で、前記相対的な決定が細胞マーカタンパク質に対して前記組換えタンパク質の発現を決定することによって実施される、決定すること;又は
(ii)前記組換えタンパク質の前記絶対発現レベルを決定することであって、(a)質量分析解析によりサンプル中のタンパク質を同定するステップと;(b)前記組換えタンパク質を含む同定された各タンパク質の前記相対発現レベルを決定するステップと;(c)前記組換えタンパク質のタンパク質特異的ペプチドを検出するステップと;(d)前記タンパク質特異的ペプチドの検出量を既知の標準と比較することにより、前記組換えタンパク質の前記絶対発現レベルを決定するステップとを含む、決定すること
である、<6>に記載の方法。
<8>
ウイルスベクターワクチン組成物の感染力を決定する方法であって、
(i)細胞培養物をウイルスベクターワクチン組成物に感染させるステップと;
(ii)質量分析法を用いて、前記細胞培養物中の前記ウイルスベクターワクチン組成物のウイルスベクター成分のタンパク質の細胞内レベルを定量するステップと
を含む方法。
<9>
前記細胞培養物が溶解されて細胞溶解物を形成し、前記細胞溶解物が質量分析法によって分析されてウイルスベクター成分の前記タンパク質を定量し、任意選択で、前記細胞溶解物が清澄化された細胞溶解物である、<8>に記載の方法。
<10>
前記ウイルスベクターワクチン成分がアデノウイルスベクターワクチン成分である、<8>又は<9>に記載の方法。
<11>
前記ウイルスベクターワクチン組成物が、(i)少なくとも2つの組換えタンパク質をコードするアデノウイルスベクターワクチン成分及び/又は(ii)異なる組換えタンパク質をコードする複数の異なるアデノウイルスベクターワクチン成分を含む、<10>に記載の方法。
<12>
前記ウイルスベクターワクチン成分がポックスウイルスベクターワクチンである、<8>又は<9>に記載の方法。
<13>
(i)質量分析法を用いて2つ以上の組換えタンパク質が定量され;
(ii)前記細胞培養物中の別のタンパク質がウイルスベクターワクチン成分の前記タンパク質と少なくとも85%の同一性を有し、例えば、前記別のタンパク質が前記ウイルスベクターワクチン組成物の別のウイルスベクターワクチン成分のタンパク質であるか、前記ウイルスベクターワクチン組成物によりコードされるか、又は前記ウイルスベクターワクチン組成物に感染した前記細胞培養物中の細胞由来のタンパク質であり;及び/又は
(iii)前記定量がウイルスベクターワクチン成分の前記タンパク質の相対又は絶対発現レベルを決定することである、<8>〜<12>のいずれかに記載の方法。
<14>
ステップ(iii)の前記決定が、
(i)ウイルスベクターワクチン成分の前記タンパク質の前記相対発現レベルを決定することであって、(a)質量分析解析によりサンプル中のタンパク質を同定するステップと;(b)ウイルスベクターワクチン成分の前記タンパク質を含む同定された各タンパク質の前記相対発現レベルを決定するステップとを含み、任意選択で、前記相対的な決定が細胞マーカタンパク質に対して前記組換えタンパク質の発現を決定することにより実施される、決定すること;又は
(ii)ウイルスベクターワクチン成分の前記タンパク質の前記絶対発現レベルを決定することであって、(a)質量分析解析によりサンプル中のタンパク質を同定するステップと;(b)ウイルスベクターワクチン成分の前記タンパク質を含む同定された各タンパク質の前記相対発現レベルを決定するステップと;(c)ウイルスベクターワクチン成分の前記タンパク質のタンパク質特異的ペプチドを検出するステップと;(d)前記タンパク質特異的ペプチドの検出量を既知の標準と比較することにより、ウイルスベクターワクチン成分の前記タンパク質の前記絶対発現レベルを決定するステップとを含む、決定すること
である、<13>に記載の方法。
<15>
ウイルスベクターワクチン組成物の効力及び感染力を試験する方法であって、<1>〜<7>のいずれかに記載の方法により効力を決定するステップと、任意選択で同じ質量分析法において、<8>〜<14>のいずれかに記載の方法により前記感染力を決定するステップとを含む方法。
<16>
組換えタンパク質をコードするウイルスベクターワクチン組成物又は組換えタンパク質をコードする核酸ワクチン組成物を製造する方法であって、<1>〜<7>のいずれかに記載の方法を用いてワクチンの効力を試験するステップ、<8>〜<14>のいずれかに記載の方法を用いてウイルスベクターワクチン組成物の感染力を決定するステップ、又は<15>に記載の方法を用いてウイルスベクターワクチン組成物の効力及び感染力の両方を決定するステップを含む方法。
<17>
組換えタンパク質をコードするウイルスベクターワクチン組成物又は組換えタンパク質をコードする核酸ワクチン組成物の単回用量ワクチン製剤を製造する方法であって、(i)<1>〜<7>のいずれかに記載の方法を用いてワクチンのバルク中の前記ワクチンの相対効力をアッセイするステップ、<8>〜<14>のいずれかに記載の方法を用いてワクチンのバルク中のウイルスベクターワクチンの感染力を決定するステップ、又は<15>に記載の方法を用いてワクチンのバルク中のウイルスベクターワクチンの効力及び感染力の両方を決定するステップと;ステップ(i)の結果が許容可能な相対効力及び/又は感染力を示す場合、(ii)前記バルクワクチンを1回用量に分配するステップとを含む方法。
<18>
<16>に記載の方法に従って調製されるワクチン又は<17>に記載の方法に従って調製される単回用量ワクチン製剤。
参照文献
[1]Have et al.,2012,Biologicals,40(1):84−7.
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Claims (24)

  1. 組換えタンパク質をコードするウイルスベクターワクチン組成物又は組換えタンパク質をコードする核酸ワクチン組成物の効力を試験する方法であって、
    (i)細胞培養物を前記ウイルスベクターワクチン組成物又は核酸ワクチン組成物に感染させるステップと;
    (ii)前記細胞培養物を溶解することにより細胞溶解物を形成するステップと;
    (iii)質量分析法を用いて、細胞培養物に発現される、前記ウイルスベクターワクチン組成物又は前記核酸ワクチン組成物によりコードされた前記組換えタンパク質を定量するステップと
    を含み、
    前記方法が、組換え体発現系からの複数の組換えタンパク質の発現レベルを同時に定量することができ、
    前記方法は、前記細胞溶解物中の他のタンパク質から組換えタンパク質を精製するための追加ステップを必要としない、
    方法。
  2. 前記細胞溶解物が清澄化された細胞溶解物である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ウイルスベクターワクチン組成物が、前記組換えタンパク質をコードするアデノウイルスベクターワクチン成分を含み、前記ウイルスベクターワクチン組成物が少なくとも2つの組換えタンパク質をコードする、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記ウイルスベクターワクチン組成物が、(i)少なくとも2つの組換えタンパク質をコードするアデノウイルスベクターワクチン成分及び/又は(ii)異なる組換えタンパク質をコードする複数の異なるアデノウイルスベクターワクチン成分を含む、請求項3に記載の方法。
  5. 前記ウイルスベクターワクチン組成物が、前記組換えタンパク質をコードするポックスウイルスベクターワクチン成分を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. (i)質量分析法を用いて2つ以上の組換えタンパク質が定量され;
    (ii)前記細胞培養物中の別のタンパク質が前記組換えタンパク質と少なくとも85%の同一性を有し;及び/又は
    (iii)前記定量が前記組換えタンパク質の相対又は絶対発現レベルを決定することである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記別のタンパク質もまた、前記ウイルスベクターワクチン組成物若しくは前記核酸ワクチン組成物によりコードされるか、又は前記ウイルスベクターワクチン組成物若しくは前記核酸ワクチン組成物に感染した前記細胞培養物中の細胞由来のタンパク質である、請求項6に記載の方法。
  8. ステップ(iii)の前記決定が、
    (i)前記組換えタンパク質の前記相対発現レベルを決定することであって、(a)質量分析解析によりサンプル中のタンパク質を同定するステップと;(b)前記組換えタンパク質を含む同定された各タンパク質の前記相対発現レベルを決定するステップとを含定すること;又は
    (ii)前記組換えタンパク質の前記絶対発現レベルを決定することであって、(a)質量分析解析によりサンプル中のタンパク質を同定するステップと;(b)前記組換えタンパク質を含む同定された各タンパク質の前記相対発現レベルを決定するステップと;(c)前記組換えタンパク質のタンパク質特異的ペプチドを検出するステップと;(d)前記タンパク質特異的ペプチドの検出量を既知の標準と比較することにより、前記組換えタンパク質の前記絶対発現レベルを決定するステップとを含む、決定すること
    である、請求項6又は7に記載の方法。
  9. 前記相対的な決定が、細胞マーカタンパク質に対して前記組換えタンパク質の発現を決定することによって実施される、請求項8に記載の方法。
  10. ウイルスベクターワクチン組成物の感染力を決定する方法であって、
    (i)細胞培養物をウイルスベクターワクチン組成物に感染させるステップと;
    (ii)前記細胞培養物を溶解することにより細胞溶解物を形成するステップと;
    (iii)質量分析法を用いて、前記細胞培養物中の前記ウイルスベクターワクチン組成物のウイルスベクター成分のタンパク質の細胞内レベルを定量するステップと
    を含み、
    前記方法が、組換え体発現系からの複数の組換えタンパク質の発現レベルを同時に定量することができ、
    前記方法は、前記細胞溶解物中の他のタンパク質から組換えタンパク質を精製するための追加ステップを必要としない、
    方法。
  11. 前記細胞溶解物が清澄化された細胞溶解物である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記ウイルスベクターワクチン成分がアデノウイルスベクターワクチン成分である、請求項10又は11に記載の方法。
  13. 前記ウイルスベクターワクチン組成物が、(i)少なくとも2つの組換えタンパク質をコードするアデノウイルスベクターワクチン成分及び/又は(ii)異なる組換えタンパク質をコードする複数の異なるアデノウイルスベクターワクチン成分を含む、請求項12に記載の方法。
  14. 前記ウイルスベクターワクチン成分がポックスウイルスベクターワクチン成分である、請求項10又は11に記載の方法。
  15. (i)質量分析法を用いて2つ以上の組換えタンパク質が定量され;
    (ii)前記細胞培養物中の別のタンパク質がウイルスベクターワクチン成分の前記タンパク質と少なくとも85%の同一性を有し、;及び/又は
    (iii)前記定量がウイルスベクターワクチン成分の前記タンパク質の相対又は絶対発現レベルを決定することである、請求項1014のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記別のタンパク質が前記ウイルスベクターワクチン組成物の別のウイルスベクターワクチン成分のタンパク質であるか、前記ウイルスベクターワクチン組成物によりコードされるか、又は前記ウイルスベクターワクチン組成物に感染した前記細胞培養物中の細胞由来のタンパク質である、請求項15に記載の方法。
  17. ステップ(iii)の前記決定が、
    (i)ウイルスベクターワクチン成分の前記タンパク質の前記相対発現レベルを決定することであって、(a)質量分析解析によりサンプル中のタンパク質を同定するステップと;(b)ウイルスベクターワクチン成分の前記タンパク質を含む同定された各タンパク質の前記相対発現レベルを決定するステップとを含む、決定すること;又は
    (ii)ウイルスベクターワクチン成分の前記タンパク質の前記絶対発現レベルを決定することであって、(a)質量分析解析によりサンプル中のタンパク質を同定するステップと;(b)ウイルスベクターワクチン成分の前記タンパク質を含む同定された各タンパク質の前記相対発現レベルを決定するステップと;(c)ウイルスベクターワクチン成分の前記タンパク質のタンパク質特異的ペプチドを検出するステップと;(d)前記タンパク質特異的ペプチドの検出量を既知の標準と比較することにより、ウイルスベクターワクチン成分の前記タンパク質の前記絶対発現レベルを決定するステップとを含む、決定すること
    である、請求項15又は16に記載の方法。
  18. 前記相対的な決定が細胞マーカタンパク質に対して前記組換えタンパク質の発現を決定することにより実施される、請求項17に記載の方法。
  19. ウイルスベクターワクチン組成物の効力及び感染力を試験する方法であって、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法により効力を決定するステップと、請求項1018のいずれか一項に記載の方法により前記感染力を決定するステップとを含む方法。
  20. 前記効力を決定するステップと前記感染力を決定するステップが、同じ質量分析法において実施される、請求項19に記載の方法。
  21. 組換えタンパク質をコードするウイルスベクターワクチン組成物又は組換えタンパク質をコードする核酸ワクチン組成物を製造する方法であって、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法を用いてワクチンの効力を試験するステップ、請求項1018のいずれか一項に記載の方法を用いてウイルスベクターワクチン組成物の感染力を決定するステップ、又は請求項19又は20に記載の方法を用いてウイルスベクターワクチン組成物の効力及び感染力の両方を決定するステップを含む方法。
  22. 組換えタンパク質をコードするウイルスベクターワクチン組成物又は組換えタンパク質をコードする核酸ワクチン組成物の単回用量ワクチン製剤を製造する方法であって、(i)請求項1〜のいずれか一項に記載の方法を用いてワクチンのバルク中の前記ワクチンの相対効力をアッセイするステップ、請求項1018のいずれか一項に記載の方法を用いてワクチンのバルク中のウイルスベクターワクチンの感染力を決定するステップ、又は請求項19又は20に記載の方法を用いてワクチンのバルク中のウイルスベクターワクチンの効力及び感染力の両方を決定するステップと;ステップ(i)の結果が許容可能な相対効力及び/又は感染力を示す場合、(ii)前記バルクワクチンを1回用量に分配するステップとを含む方法。
  23. 請求項21に記載の方法に従って調製されるワクチン組成物
  24. 請求項22に記載の方法に従って調製される単回用量ワクチン製剤。
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