JP6887776B2 - 造形物の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、タンク内のスラリーの任意部分をレーザ光等によって露光して硬化させ、タンクの高さを変えた後に、再度レーザ光等で任意部分を硬化させる等の工程を繰り返すタンク方式が知られている。
この塗布方式の技術に関しては、例えばハイドロキシアパタイトからなる人工骨の製造方法として、スラリー状の光造形材料にレーザ光を照射して硬化させて多孔質人工骨を製造する技術が提案されている(特許文献1参照)。
まず、造形ステージ上に、スラリー状の光造形材料を塗布してスラリー層を形成する。次に、このスラリー層に対して、造形物の2次元断面データに基づいて、紫外線レーザ光のスキャンを行って、造形物の一部となる所定の箇所(即ち光を照射した箇所)を硬化させる。これによって、スラリー層の一部に硬化した部分が含まれる複合層が形成される。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ブレードにてスラリーの成形を行う際に、硬化した部分等のズレが生じにくい造形物の製造方法を提供することにある。
(2)本発明の第2局面では、スラリーは感光性を有し、スラリーを露光して硬化させる。
(3)本発明の第3局面では、ベースフィルムのヘーズ値は、30%以上である。
本第4局面では、ベースフィルムの表面の算術平均粗さRaが、2μm以下であるので、ベースフィルムの表面には過度な凹凸が形成されていない。従って、ベースフィルムに接触する部分の造形物の表面の算術平均粗さRaも2μm以下である。そのため、造形物の表面として、凹凸の少ないものが要求される場合、例えば人工骨等の造形物に好適である。
本第5局面では、スラリー中にセラミックスを30体積%以上含むので、造形物を製造する材料であるスラリーとして好適なセラミック濃度を有している。つまり、スラリー中のセラミックスが30体積%未満の場合には、スラリーの粘度が低いため、所望の厚みにスラリーを保持することが困難となる可能性があり、また、造形物を加熱により脱脂処理する際に、クラック等の欠陥が生じやすくなる恐れがあるので、本第5局面の範囲が好適である。
・前記ベースフィルムは、スラリーが供給される薄膜であり、その材料としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂などが挙げられる。
スラリーを構成する液体(即ち硬化する材料)としては、例えば光もしくは熱硬化性樹脂が挙げられる。また、スラリーを構成する固体としては、例えばセラミックスが挙げられる。
[1.実施形態]
ここでは、例えば光硬化性樹脂をレーザ光を用いて硬化させて、所定形状の造形物を製造する方法を例に挙げて説明する。
[1−1.造形物の構成]
まず、本実施形態の造形物の製造方法によって製造される造形物の構成について説明する。
詳しくは、ある層(例えば最下層)5aにおいては、幅100μm×高さ50μm×長さ10mmの角柱3が、300μmの間隔をあけて、複数本(例えば25本)平行に配置されている。
[1−2.造形物の製造方法]
次に、本実施形態の造形体の製造方法について説明する。
<光硬化性スラリー>
まず、光硬化性スラリーの作製方法について説明する。
<実施例及び比較例>
次に、上述したベースフィルム9及び光硬化性スラリーを用いた実施例及び比較例について説明する。
(1)まず、前記光硬化性スラリーを、図示しない光造形装置のスラリー供給装置にセットし、前記図1及び図2に示す造形物1に対応した造形モデルのCADデータから造形用データを準備した。
このサンドブラスト処理を施したPETフィルム(ベースフィルム9)は、厚みが100μm、算術平均表面粗さRaは0.6μm、ヘーズ(HAZE)値は70%である。
(3)次に、第1工程として、スラリー供給装置から、ベースフィルム9上にスラリーを供給して塗布した。
(4)次に、第4工程として、上述した一部が硬化したスラリー層13の表面に対して、スラリーを供給した。
(6)次に、この平坦化されたスラリーの表面に対して、前記第3工程と同様にして、紫外線レーザ光を照射して、照射箇所を硬化させた。
(実施例2)
実施例2では、造形ステージ7に、ベースフィルム9として、ケミカルエッチング処理したPETフィルムをセットし、その他は、前記実施例1と同様にして造形物1を製造した。
本実施例2では、 PETフィルム(即ちベースフィルム9)は、厚みが80μm、算術平均表面粗さRaは0.4μm、ヘーズ値は80%である。
実施例3では、造形ステージ7に、ベースフィルム9として、サンドブラスト処理したPETフィルムをセットし、その他は、前記実施例1と同様にして造形物1を製造した。
(比較例)
比較例では、造形ステージ7に、ベースフィルム9として、未処理のPETフィルムをセットし、その他は、前記実施例1と同様にして造形物1を製造した。
[1−3.評価]
次に、上述した実施例1〜3及び比較例に対する評価について説明する。
ここで、ズレの発生状況は、ズレが発生したか否かを目視により確認した。詳しくは、最下層のスラリー層の上にスラリーを塗布し、ブレードによって表面を平坦化した際に、最下層のスラリー層において、硬化した部分と硬化していない部分との間に隙間(例えば0.1mm以上の隙間)が発生した場合に、ズレが発生したと判断した。
また、実施例1〜3では、ベースフィルムのヘーズ値が30%以上であるので、造形精度が80%以上と高く好適である。
また、比較例では、べースフィルムのヘーズ値が10%であるので、造形精度が67%と低く好ましくない。
[1−4.効果]
次に、本実施形態の効果について説明する。
[1−5.特許請求の範囲との対応関係]
ここで、実施形態と特許請求の範囲との文言の対応関係について説明する。
[2.他の実施形態]
本発明は前記実施形態になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
例えば熱硬化性樹脂を含むスラリーに対して、例えばCO2レーザを用いてレーザ光を照射して加熱し、その熱によって所定部分を硬化させて造形物を製造してもよい。
(4)なお、本実施形態の構成を適宜組み合わせることができる。
3…角柱
7…造形ステージ
9…ベースフィルム
11…ブレード
Claims (5)
- 基台上に配置されたベースフィルムの表面上に、スラリーを供給する第1工程と、
前記スラリー上にて、前記ベースフィルムの表面に沿ってブレードを移動させることにより、前記スラリーの成形を行う第2工程と、
前記成形されたスラリーの一部を硬化させる第3工程と、
前記一部が硬化したスラリーの表面上に、前記スラリーを供給する第4工程と、
を有し、
前記第1工程、前記第2工程、及び前記第3工程の後に、前記第4工程、前記第2工程、及び前記第3工程を、この順番にて1回又は複数回実施して、造形物を製造する造形物の製造方法であって、
前記ベースフィルムの前記表面の算術平均粗さRaが、0.3μm以上であることを特徴とする造形物の製造方法。 - 前記スラリーは感光性を有し、該スラリーを露光して硬化させることを特徴とする請求項1に記載の造形物の製造方法。
- 前記ベースフィルムのヘーズ値は、30%以上であることを特徴とする請求項2に記載の造形物の製造方法。
- 前記ベースフィルムの前記表面の算術平均粗さRaが、2μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の造形物の製造方法。
- 前記スラリー中に、セラミックスを30体積%以上含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の造形物の製造方法。
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