JP6887050B1 - 真空凍結乾燥方法および真空凍結乾燥装置 - Google Patents

真空凍結乾燥方法および真空凍結乾燥装置 Download PDF

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Abstract

【課題】原料液の液滴を超高速の冷却速度を維持して、且つ短い落下距離で溶質、分散質の特性を変質することなく凍結させる。【解決手段】本発明の一形態に係る真空凍結乾燥方法は、原料液を真空槽内で噴射ノズルから射出し、噴射ノズルから1m以下の高さ位置で自己凍結による凍結微粒子を生成し、生成された当該凍結微粒子を乾燥させて乾燥粉体を製造する工程を有する真空凍結乾燥方法であって、真空槽内を前記原料液の自発凍結温度に対応する水蒸気分圧に維持した状態で、噴射ノズルからの原料液の射出初速度が6m/秒以上33m/秒以下となるように原料液を噴射ノズルから射出し、生成された凍結微粒子の最大直径が所定値を超え、または、原料液の液滴が未凍結であるときは、最大直径が前記所定値以下の凍結微粒子が生成されるように、噴射ノズルからの原料液の射出流量または噴射ノズルの性状を調整する。【選択図】図1

Description

本発明は、真空中に薬液等の液体を真空槽上部より射出し、自己凍結により凍結微粒子を生成し、その後乾燥させて粉体を製造する真空凍結乾燥方法および真空凍結乾燥装置に関する。
近年、真空凍結乾燥装置として、真空中に噴射ノズルから直接液体を射出し、水分の蒸発による自己凍結で凍結微粒子を生成し、その後乾燥させて粉体を製造する真空凍結乾燥方法および真空凍結乾燥装置が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。この真空凍結乾燥方法では、水分圧が低い真空中で、微小液滴を形成し、蒸発するため、その潜熱により、1秒以下の超高速で凍結が可能であり、その氷結晶も微小化していることが特徴である。
このような真空凍結乾燥技術は、液体から直接凍結乾燥粉体を得ることができることから、種々の粉体を製造することができる。例えば、この凍結乾燥技術は、水分による食品の変質や医薬品の濃縮等を発生させずに、高品質の乾燥物を得ることができる。また、氷を昇華させて乾燥させていることから、温度上昇によって昇華の量も増加する。したがって、従来、乾燥時間を短縮するために凍結粉体を真空槽内において金属トレー上に堆積させ、金属トレーを加熱し凍結粉体を昇温させて乾燥することが行われている。
しかし、このような従来技術では、真空槽内への原料液の射出初速度が大きい場合や、原料液に凝固点降下の著しい溶媒を使用した場合、また、凍結槽内の真空排気が不十分な場合には、溶媒の液滴を凍結させるために長い(高さが大きい)凍結槽が必要となり、その結果、装置が大型化するという問題があった。
例えば、特許文献1には、真空中における、薬液等の微粒化凍結粉体を形成し、昇華乾燥する量産プロセスおよび装置が記載されている。しかしながら、各工程の条件次第では装置が大型化し、装置自体が高額化するうえ、装置洗浄やメンテナンスにかかる費用および時間が増大することで、生産効率が費用および時間の面で低下することが懸念される。
また、特許文献2の真空凍結乾燥方法及び真空凍結乾燥装置には、多少の薬液射出条件が記載されているが、装置を小型化させるための、射出条件、水分圧条件の記載が無く、有効な手段を開示するには至っていない。
特開2004−232883号公報 特開2006−90671号公報
上述のように、特許文献1および特許文献2には原料液の凍結時の変質防止に必要な冷却速度およびそれを実現する原料液の射出条件の記載がなく、装置を小型化に寄与し得る有効な手段を開示するには至っていない。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、原料液の液滴を超高速の冷却速度を維持して、且つ短い飛行距離で溶質、分散質の特性を変質することなく凍結させることができる真空凍結乾燥方法および真空凍結乾燥装置を提供することにある。
本発明の一形態に係る真空凍結乾燥方法は、原料液を真空槽内で噴射ノズルから射出し、前記噴射ノズルから1m以下の高さ位置で自己凍結による凍結微粒子を生成し、生成された当該凍結微粒子を乾燥させて乾燥粉体を製造する工程を有する真空凍結乾燥方法であって、
前記真空槽内を前記原料液の自発凍結温度に対応する水蒸気分圧に維持した状態で、前記噴射ノズルからの原料液の射出初速度が6m/秒以上33m/秒以下となるように前記原料液を前記噴射ノズルから射出し、
生成された凍結微粒子の最大直径が所定値を超え、または、前記原料液の液滴が未凍結であるときは、最大直径が前記所定値以下の凍結微粒子が生成されるように、前記噴射ノズルからの前記原料液の射出流量または前記噴射ノズルの性状を調整する。
本発明の一形態に係る真空凍結乾燥装置は、
自己凍結による凍結微粒子を収容する容器を配置可能な真空槽と、
粘度が純水以上5mPa・s以下の原料液を貯留する原料タンクと、
前記真空槽内に設けられ、前記原料タンクから供給された原料液を射出することで前記原料液の凍結微粒子を生成する噴射ノズルと、
前記真空槽内の水分を除去するためのコールドトラップと、
前記容器に収容された凍結微粒子を乾燥させるための加熱装置と、
前記真空槽内を前記原料液の自発凍結温度に対応する水蒸気分圧に維持するように前記コールドトラップと共に排気量を調整する排気量調整装置と、
前記噴射ノズルから1m以下の高さ位置で、最大直径が200μm以下の凍結微粒子が生成されるように、前記噴射ノズルからの原料液の射出初速度が6m/秒以上33m/秒以下となる条件下において前記噴射ノズルからの前記原料液の射出流量または前記噴射ノズルの性状を調整する射出量調整装置と
を具備する。
本発明によれば、原料液の液滴を超高速の冷却速度を維持して、且つ短い落下距離で溶質、分散質の特性を変質することなく凍結させることができる。
本発明の一実施形態に係る真空凍結乾燥装置の全体を示す概略構成図である。 水、氷温度と飽和水蒸気圧の関係を示すグラフである。 凍結室内の水蒸気分圧を50Paに維持し、噴射ノズルから初速度13m/秒で純水の液滴を形成した場合における、液滴径に対する落下距離と液滴の温度の関係を計算したグラフである。 同条件における液滴落下時間と液滴の温度の関係を計算したグラフである。 噴射ノズルの孔径と平均液滴径との関係を示すグラフである。 孔径100μmの噴射ノズルから、様々な射出流量で純水を射出したときに形成される液滴の、平均液滴径および標準偏差の±2倍をエラーバーとして示したグラフである。 噴射ノズルにおける原料液の射出圧力と射出初速度との関係を示すグラフである。 噴射ノズルの一構成例を示す概略断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る真空凍結乾燥装置1の全体を示す概略構成図である。まず、真空凍結乾燥装置1の全体構成について説明する。
[装置の全体構成]
図1に示すように、本実施形態の真空凍結乾燥装置1は、凍結室2と、凍結室2にゲートバルブ4を介して接続された乾燥室3とを有する真空槽を備える。
凍結室2は、図示しない搬入室に接続され、排気量調整装置13を介して真空排気装置10に接続されている。
乾燥室3には、排気量調整装置16を介して真空排気装置14が接続され、また、復圧(大気開放)用の図示しないベントバルブが設けられている。また、凍結室2および乾燥室3には、その内部の圧力を測定するために、それぞれ真空計11および真空計15が接続されている。
凍結室2の外部には、常温の原料液を蓄える原料タンク9が配置され、凍結室2内の上部には、原料タンク9に接続された噴射ノズル20が設けられている。そして、噴射ノズル20に原料タンク9から原料液供給量調整装置12を介して原料液が供給され、噴射ノズル20の下端部から原料液が真空雰囲気中に下方に液柱状に射出されるようになっている。
図8は、噴射ノズル20の一構成例を示す概略構成図である。噴射ノズル20は、ノズル本体201を有する。ノズル本体201の内部には、円筒空間などで形成された液収容部202を有し、液収容部202の底部には、ノズル孔203が形成される。液収容部202の上部には、原料液供給量調整装置12に連通する配管204が接続される。
ノズル孔203の直径(以下、孔径ともいう)は、例えば、20μm以上100μm以下の範囲で任意に設定可能である。また、ノズル孔203として、孔径の異なる複数のノズル孔(例えば、直径50μmの孔と直径100μmの孔)をあらかじめ準備し、任意のノズル孔を手動または自動で選択的に切り替え可能な機構部を備えてもよい。
ノズル孔203は、一定の直径で液収容部202の底部に垂直に形成された丸孔でもよいし、原料液の流出端に向けて直径が漸次減少するテーパ状の丸孔であってもよい。
さらに、噴射ノズル20は、図示せずとも、ノズル本体201を所定温度に加熱する加熱素子205やノズル本体201を所定周波数で振動させる振動素子206等を備えていてもよい。これにより、原料液に対するノズル孔203の表面摩擦(ノズル表面における原料液の動粘度)を調整することができる。
なお以下の説明では、噴射ノズル20の孔径、孔形状、ノズル孔203の表面摩擦などを総括して、噴射ノズル20の性状ともいう。また、原料液供給量調整装置12、および、噴射ノズル20の性状を調整する上記機構部あるいは素子は、本実施形態において、原料液の射出流量を調整する射出量調整装置として構成される。
なおまた、噴射ノズル20の性状を、原料液を供給するにあたっての配管抵抗と捉えれば、噴射ノズル20からの原料液の射出初速度および射出圧力と相関するので、これら性状の調整を原料液供給量調整装置12にて統括的に制御できるように構成しても良い。この様な構成とすれば、原料液供給量調整装置12は配管抵抗を制御できる事から、射出初速度および射出圧力をより安定化させた装置とすることが出来る。噴射ノズル20の性状の制御方法の例は、自動制御や、ロット毎に手動での切替が可能な構成が挙げられる。
原料液供給量調整装置12は、典型的には、流量調整弁、送液ポンプ等を含む。原料液供給量調整装置12は、噴射ノズル20から凍結室2内へ射出される原料液の射出流量を調整する。本実施形態において原料液供給量調整装置12は、噴射ノズル20からの原料液の射出初速度が6m/秒以上33m/秒以下となるように、噴射ノズル20に対する原料液の供給量、あるいは、噴射ノズル20からの原料液の射出圧力を調整する。
なお、原料タンク9と原料液供給量調整装置12を一体化する構成としても良い。例としてはシリンジポンプが挙げられる。
図1に示すように、凍結室2の内部の噴射ノズル20の下方には、生成された原料液の凍結微粒子35を収容するトレー7が配置されている。本実施形態では、噴射ノズル20からトレー7までの距離が、1m以内に設置される。つまり、真空凍結乾燥装置1は、噴射ノズル20から1m以下の高さ位置で、原料液の凍結微粒子35を生成することが可能に構成される。
トレー7の近傍には、図示しない冷凍機に接続されたコールドトラップ5が設けられている。凍結微粒子が小さくなると、コールドトラップによる水蒸気の流れにより、凍結微粒子がトレーへ回収される率が低下するため、コールドトラップ5は、トレー付近に設置されるのが好ましい。
トレー7は、図示しないロボット等の搬送機構を用いて凍結室2から乾燥室3内に搬送するように構成されている。
乾燥室3内には、トレー7に収容された凍結微粒子35を乾燥するための、例えば赤外線ヒーターからなる加熱装置8が設けられている。また、乾燥室3内には、図示しない冷凍機に接続されたコールドトラップ6が設けられている。コールドトラップ6は、加熱装置8によって真空中で加熱される凍結微粒子35から昇華した水分を吸着することで、トレー7内の凍結微粒子の乾燥を促進する。
原料液は、溶媒又は分散媒と、溶媒に溶解させた溶質又は分散媒に分散させた分散質を含む。本実施形態では、原料液としては、例えば水からなる溶媒と当該溶媒に溶質を溶解させたものや、水からなる分散媒と当該分散媒に分散した分散質を用いることができる。この場合、溶媒と分散媒に用いる水の濃度は、70重量%以上に設定することが好ましい。
溶媒または分散媒またはこれら両者の合一媒体の粘度は純水以上であり、原料液の粘度は5mPa・s以下であることが好ましい。すなわち本実施形態では、粘度が5mPa・s以下の水からなる溶媒又は分散媒と、この溶媒に溶解させた溶質、又は、この分散媒に分散させた分散質を含む液を原料液として好適に用いることができる。溶質又は分散質としては、真空凍結乾燥の際に細胞が破壊されず且つタンパク質等が変性しないフリーズドライ食品の原材料や、製剤の有効成分としての薬物(薬剤)等があげられる。
[真空凍結乾燥方法]
続いて、以上のように構成される真空凍結乾燥装置1を用いた原料液の真空凍結乾燥方法について説明する。
本実施形態において、凍結乾燥された粉体を製造するには、まず、ゲートバルブ4を閉じた状態で真空排気装置10及びコールドトラップ5を動作させて、凍結室2内の圧力を減圧する。そして、コールドトラップ5と噴射ノズル20を動作させ、噴射ノズル20の先端部から原料液を射出させる。
噴射ノズル20から射出された原料液は、図1に示すように、射出の初期状態では柱状の原料液21になり、その後、その柱状の原料液21に内在する表面張力のゆらぎによって柱状の原料液21から順次切り離されて、原料液の液滴30になる。なお表面張力による切り離しである為、柱状すなわち円柱状から球状への変化は、当初射出時の円柱径(略ノズル孔203の孔径と同様)より大きな径をもった球(液滴31)へと変化していく。
さらに、この原料液は、凍結室2内への射出後の飛行中に、主にコールドトラップ5によって排気かつ制御された凍結室2内の水蒸気分圧の影響を受ける(例えば図2の関係に基づく)。柱状すなわち円柱状から球状へ変化する迄(液滴30の範囲)は全域で液相を保っているが、比表面積が増大する事も相乗効果となり、液滴30の表面から水が気化する事を起因として液滴30は(相変化に伴う熱移動により)抜熱され、これを主因として液滴30の表層は過冷却を経て、自己凍結を開始する自発凍結温度に至り、その後、表層から中心へ向けて自己凍結が急速に進行していく。これ以降を液滴31とする。液滴31は過冷却が破れた後の状態を示しており、液滴31は氷結晶の成長が始まっているので、少なくとも液滴31の表層温度は水の三重点近傍となっていると想定され、その後、凍結室2内の水蒸気分圧に基づく温度へと向かっていく。
なお、純水の自発凍結温度は−40℃と言われており、また原料液は純水では無い為、これ以下に冷却される必要は無い。つまり、原料液は、典型的には−40℃よりも高い温度に自発凍結温度を有するため、その温度に対応する水蒸気分圧に凍結室2が維持されていればよい。例えば、凍結室2内の水蒸気分圧を50Pa以下とする事で十分に液滴30を自発凍結温度へと導く事が出来るが、これに限られず、原料液の種類によっては50Paより高い水蒸気分圧であってもよい。
また、各原料液について(自発凍結のための)結晶核生成温度を実験的に確かめ、その生成温度に対応する飽和蒸気圧の値すなわち凍結室2内の水蒸気分圧を定めても良い。ただし水の相変化を利用した抜熱を用いた液滴30の冷却手法である事から、後述する冷却速度を実現する意味で水蒸気分圧を50Pa以下とする事が望ましい。これにより、原料液の溶質又は分散質を、真空凍結乾燥の際に細胞が破壊されず且つタンパク質等が変性しない速度で凍結させることができる。この場合、水蒸気分圧の下限値は射出時の圧力上昇(水蒸気分圧)によって50Paを上回る事が無い様に定めればよく、つまり装置の排気能力に依存した値を算出または実験的に決定すれば良い。
液滴31の自己凍結が飛行中に進行し、少なくとも液滴31の表層は全て固相へと変化する。これにより凍結微粒子32が形成される。この凍結微粒子32へと変化した後に、トレー7内に着弾し、集積した凍結微粒子35となる。ここで仮に液滴30の表層は全て固相へと変化していない場合は、着弾時の反発が異なり(液相が主体である場合は反発係数が固相主体に比べ非常に小さい為、容易に判別が出来る)、後述するカメラを用いた画像解析でも未凍結の状態か凍結微粒子32の状態であるかの判別(一定以上の高さ迄反発する事が確認できれば凍結状態であるという判別)が出来る。また表層に液相が存在していた場合は、凍結微粒子32同士が接合されてしまう為、これを確認することでも判別は可能である。
なお、噴射ノズル20から射出する原料液は、表面張力等が起因となり、常時同一の射出方向(指向性)が得られない場合があるが、射出方向を重力加速度と同一の方向とする事、およびコールドトラップ5へ吸着される水蒸気のガス流れを作り出す事で、指向性を高め、凍結微粒子32の広がりをトレー7内の範囲に収めた状態として落下させ、収容する事が出来る。
また、凍結微粒子35の形状は、典型的には、球状であるが、これ以外にも、楕円状あるいは紡錘状などの各種形状が含まれてもよい。凍結微粒子35の形状は、例えば、ノズル孔の径、射出流量(あるいは射出圧力)、射出初速度、飛行時間(落下時間)、原料液の粘度などで定まる。従って、これらの条件を調整することで、所望とする形状の凍結微粒子35を生成することも可能である。
その後、図示しないロボット等の搬送機構を用いて、トレー7を、あらかじめ真空排気装置14により減圧しておいた乾燥室3内に搬入する。加熱装置8は、トレー7内の凍結微粒子35を真空中で加熱し、凍結微粒子35に残留している氷を昇華させることで、凍結微粒子35を乾燥させる。コールドトラップ6は、凍結微粒子35から昇華した水分を吸着する。
なお、この乾燥室3内における凍結微粒子35の乾燥工程は、ゲートバルブ4が閉じられた状態で行われる。これにより、凍結室2は乾燥室3と雰囲気的に分離されるため、凍結室2において次の原料液の射出の工程および、凍結、乾燥の工程を連続して実施することができる。
(凍結微粒子の評価及び調整)
本実施形態の真空凍結乾燥方法は、トレー7に収容された凍結微粒子35を評価する評価工程を有する。この評価工程では、トレー7内に収容された微粒子が凍結微粒子35であるか否か、トレー7内に収容された凍結微粒子35の最大直径が所定値以下かの観点で、凍結微粒子35が評価される。
評価方法は特に限定されず、例えば、トレー7内の収容物、あるいはトレー7に向けて落下する微粒子を撮影するカメラ(図示略)の画像等が用いられてもよい。当該カメラは、例えば、凍結室2の所定の位置に設置された観察窓17を介して凍結室2内を撮影可能な位置に設置される。当該カメラの画像を処理することで、トレー7内の微粒子が凍結微粒子35か否か、凍結微粒子35の最大直径が所定値以下であるか否かを評価することができる。
上記所定値は、原料液の液滴あるいは微粒子の体積あるいは比表面積に応じて定められる。本実施形態では、上記所定値は、1m以下の飛行距離で表面全域を凍結させることができる大きさであり、具体的には、後述するように、例えば、200μm以下、より好ましくは、95μm以下である。
本実施形態の真空凍結乾燥方法は、上記評価工程の結果、生成された凍結微粒子35の最大直径が200μmを超え、または、原料液の液滴が未凍結であると評価されたときは、最大直径が200μm以下の凍結微粒子が生成されるように、噴射ノズル20からの原料液の射出流量または噴射ノズル20の性状を調整する調整工程をさらに有する。この調整工程では、噴射ノズルからの原料液の射出初速度が6m/秒以上33m/秒以下となる条件下において、噴射ノズル20からの原料液の射出初速度(射出圧力)、噴射ノズル20の孔径の調整などが行われる。
[凍結微粒子の最大直径について]
本明細書において凍結微粒子35の最大直径(あるいは最大液滴径)とは、JIS Z8819−2に準拠して求められた平均粒子径に、JIS Z8819−2に準拠して求められた標準偏差の2倍を加えた値をいう。
また、上記最大直径は、上記カメラの撮影画像を用いて測定された飛行中の凍結微粒子32の液滴径であってもよい。
この場合における凍結微粒子32の最大直径の計測方法としては、JIS Z8827−1に準拠した画像解析法を用い、射出方向(飛行方向)に対して垂直な液滴径をフェレー径としてサンプリングして粒子径の標本群を作成する。これにより、原料液の射出初速度に対応する高速なフレームレートを必要としないという利点がある。標本数は、統計的に有意な数を確保できれば特に限定されず、例えば、200である。
続いて、作成した標本群に対し、JIS Z8819−2に準拠して平均粒子径および標準偏差を求め、この平均粒子径に標準偏差の2倍を加えた値を、凍結微粒子32の最大直径とする。
なお、最大直径の測定は、上述のオンラインでの工程で行われる例に限られず、オフラインでの工程で行われてもよい。この場合、例えば凍結微粒子35を乾燥させたもの(乾燥微粒子)を測定対象とすることができる。測定方法としては、上記以外にも、液相重力沈降法や沈降質量法、液相遠心沈降法等を用いることができる。また、オフライン工程で得られた測定値を利用して、上述の画像解析手法による最大直径の算出値に乗じられる補正係数を生成してもよい。これにより、オンラインでの測定精度の向上を図ることができる。
[凍結微粒子の生成条件]
本実施形態の真空凍結乾燥装置1は、原料液を凍結槽2内で噴射ノズル20から射出し、噴射ノズル20から1m以下の高さ位置で自己凍結による凍結微粒子を生成することが可能に構成される。特に、粘度が5mPa・s以下の水からなる溶媒又は分散媒を含む原料液を噴射ノズル20から射出させた場合に、凍結するまでの距離を従来技術に比べて小さくするために、以下のような条件で、凍結微粒子35を生成するようにしている。
(凍結室内における水蒸気分圧)
噴射ノズル20から原料液を射出すると、凍結室2内の圧力が上昇する。そのため、あらかじめ真空計11によって測定したデータ等に基づいて、原料液の射出時における凍結室2内の水蒸気分圧を調整する。本実施形態では、凍結室2内の水蒸気分圧が50Pa以下に維持されるように、凍結室2の排気量が調整される。
図2は、水あるいは氷の温度に対する飽和水蒸気圧の関係を示すグラフである。これに代えて、JIS Z8806に準拠して求められた水、氷の飽和水蒸気圧の関係が用いられてもよい。
図2に示すように、凍結室2内の水蒸気分圧が50Pa以下であれば、噴射ノズル20から射出された水の液滴の温度が−40℃程度となり、その結果、水からなる原料液の液滴は確実に自発凍結温度に到達する。本実施形態においては、真空計11にて得られた結果に基づいて凍結室2内の水蒸気分圧が50Pa以下に維持されるように、排気量調整装置13及びコールドトラップ5によって排気量が調整される。
なお、水からなる液滴の径が大きい場合であっても、図2に示す関係はほとんど変わらない。ただし、液滴の径が大きくなるに従い、所定温度までの冷却時間が長くなるため、冷却されて−25℃に到達するまでの液滴の飛行距離が大きくなる。これは比表面積から見て、液滴の体積が増大することに起因する。
(原料液の液滴径)
図3は、凍結室2内の水蒸気分圧を50Paに維持し、噴射ノズル20から初速度13m/秒で純水を重力加速度方向へ射出して液滴を形成した場合における、液滴径に対する飛行距離である落下距離と液滴の温度の関係を計算したグラフである。図4は、同条件における液滴落下時間と液滴の温度の関係を計算したグラフである。
なお、ここでいう液滴径とは、液滴の最大直径を意味する。液滴径は、典型的には、噴射ノズル20の孔径により調整可能である。
図3に示すように、液滴径が500μmの場合(図中、一点鎖線で示すグラフ)は、液滴の温度が−25℃に到達するまでに250mm以上の落下距離が必要となるのに対し、液滴径が95μmの場合(図中、実線で示すグラフ)は、落下距離が50mm程度で液滴の温度が−25℃に到達して凍結することが理解される。
また、図4からは、液滴径が小さくなるほど、温度低下速度(冷却速度)が上昇することが理解できる。例えば、20℃から−25℃まで冷却される過程では、液滴径が200μmの場合における冷却速度は約5,900℃/秒、液滴径が95μmの場合における冷却速度は約12,000℃/秒である。これは、原料液の溶質や分散質の変性が生じにくい冷却速度である。つまり、当該冷却速度を実現するように噴射ノズル20からの原料液の射出流量あるいは噴射ノズル20の性状を調整すれば、原料液の溶質又は分散質を、真空凍結乾燥の際に細胞が破壊されず且つタンパク質等が変性しない速度で凍結させることができる。
したがって、噴射ノズル20から射出される原料液の液滴径が200μm以下、より好ましくは95μm以下であれば、溶質、分散質の変性を生じることのない液滴の凍結速度を維持でき、その落下距離を確実に短縮することができる。
[液滴径の調整方法]
本実施形態において、液滴径の大きさを調整するには、例えば、原料液を射出する噴射ノズル20のノズル孔の直径(孔径)を調整すればよい。図5は、噴射ノズル20の孔径と平均液滴径との関係を示すグラフである。
図5に示すように、平均液滴径は、噴射ノズル20の孔径に大きく依存し、典型的には、平均液滴径は、前述したように孔径よりも大きい値となる。
なお、液滴径は射出条件によって異なる分布をもち、平均液滴径よりも大きい液滴も存在する。
図6は、孔径100μmの噴射ノズルから、様々な射出流量で純水を射出したときに形成される液滴の、平均液滴径および標準偏差の±2倍をエラーバーとして示したグラフである。
平均液滴径に標準偏差の2倍を足したものを最大液滴径とすれば、射出条件により異なるものの、最大液滴径はノズル径のおよそ2倍から5倍となることが理解される。
上述したように、噴射ノズル20から原料液を射出することで形成される液滴径が200μm以下、より好ましくは95μm以下であれば、溶質、分散質の変性を生じることのない液滴の凍結速度が維持でき、その落下距離を確実に短縮することができる。
したがって、噴射ノズル20の孔径を例えば40μmに設定した場合には、最大液滴径を200μm以下にすることができ、これにより溶質、分散質の変性を生じることのない液滴の凍結速度が維持でき、その落下距離を確実に短縮することができる。なお、射出条件によっては、噴射ノズル20の孔径を50μmに設定した場合でも、最大液滴径を95μmにすることも可能である。
本実施形態では、噴射ノズル20から射出される原料液の射出初速度が6m/秒以上33m/秒以下となるように調整される。
本発明者は、噴射ノズルの孔径を50μmに設定した場合でも、原料液の射出初速度が33m/秒より大きいと、液滴が完全に凍結する前にトレー7に到達してしまうことを経験的に見出している。なお、孔径が100μm以上のノズルを使用した場合、原料液の射出初速度が23m/秒になるように制御を行っても、凍結に必要な落下距離は1m以上となっていた。
一方、原料液の射出初速度が6m/秒より小さいと、噴射ノズル孔内の原料液が凍結すること、またはノズル出口付近に固着した乾燥物を原料液が吹き飛ばせないことにより、噴射ノズル孔の閉塞が発生しやすいという不都合がある。原料液の射出初速度を6m/秒以上とすることにより、ゼロ℃以上常温以下の原料液を噴射ノズル孔射出部近傍にて固相へと転換し成長する前に吹き飛ばし、ノズル孔の閉塞を防ぐことができる。
図7は、噴射ノズル20における原料液の射出圧力と射出初速度との関係を示すグラフである。このグラフは、孔径が100μm、長さ0.5mmのノズル孔203内の原料液に対し、原料液の表面張力より大きい力を加えた場合の結果を示すデータである。
ノズル孔203の孔径や孔形状によって、所望する射出初速度を達成する射出圧力は異なるが、原料液供給量調整装置12によって噴射ノズル20に対する原料液の供給量(送液圧力)を調整すれば、噴射ノズル20からの原料液の射出初速度を6m/秒以上33m/秒以下を達成できる。
例えば、原料液の粘度が水と同様の場合、射出初速度6m/秒以上33m/秒以下を実現する射出圧力は、0.03MPa以上0.6MPa以下である。
一方、粘度が水より高い原料液の場合、より射出圧力が必要となる。例えば、粘度5mPa・sの溶液を孔径50μmの噴射ノズル20で射出する場合、射出圧力は、0.05MPa以上0.7MPa以下となる。
以上を踏まえ、本実施形態の真空凍結乾燥装置1においては、噴射ノズル20からの原料液の射出圧力を0.03MPa以上0.7MPa以下の範囲で調整可能に、原料液供給量調整装置12が構成される。
なお、射出圧力の調整に代えて、又はこれに加えて、噴射ノズル20のノズル孔の孔径や形状を調整したり、噴射ノズル20を所定温度に加熱したり、噴射ノズル20に適宜の振動を印加したりしてもよい。このようにノズル孔の性状を変化させることによっても、原料液の射出流量を最適化することができる。
以上説明した条件の下で原料液の射出を行うと、例えば図1に示すように、噴射ノズル20から射出された原料液が、射出の初期状態では柱状の原料液21になり、その後、その表面張力によって柱状の原料液21から切り離されて、滴状(紡錘状)の液滴30になる。
さらに、上述のように、この原料液の液滴30は、表層が自己凍結を開始した液滴31を経て、少なくとも表層が凍結した粒子状の液滴32となり、最終的に、全体またはほぼ全体が凍結した凍結微粒子35となる。
これら凍結微粒子35は、トレー7内に収容される。
以上述べた本実施の形態によれば、凍結室2内の水蒸気分圧を50Pa以下に維持した状態で、凍結微粒子35の最大直径が200μm以下、好ましくは95μm以下となるように、且つ、原料液の射出初速度が6m/秒以上33m/秒以下となるように調整することにより、短時間且つ従来技術に比べて短い飛行距離(1m以下)で原料液の凍結微粒子35を製造することができる。これにより小型で量産可能な真空凍結乾燥装置1を提供することができる。
(株)アルバック製の微噴凍結乾燥装置「マイクロパウダードライシステム」を用い、トレー7を噴射ノズル20の直下1mの高さに設置し、凍結室2内の水蒸気分圧を50Pa以下に維持して、以下の実験を行った。
(実施例1)
原料液としてアルブミン溶液(7wt%)を孔径50μmの噴射ノズルから所定条件で射出して凍結微粒子の生成を試みたところ、表1に示す結果が得られた。
なお、原料液の射出を安定化させる目的で、射出開始時には、原料液を0.5mlのみ射出流量10.0ml/minで射出して、その後狙いの射出流量で射出を継続した。
射出流量はシリンジポンプで任意の値に設定した。射出初速度は射出流量およびノズルの孔径から算出した。
Figure 0006887050
射出流量が1.5ml/min(射出初速度13m/秒)の条件では、最大直径が約200μmの凍結微粒子が生成されたことを確認した。
一方、射出流量が1.0ml/min(射出初速度8.5m/秒)の条件では、噴射ノズルの出口で原料液が凍結し、ノズル孔が閉塞することが確認された。
また、射出流量が2.5ml/min(射出初速度21m/秒)の条件では、トレー7上に未凍結の液滴が確認された。
そこで、射出流量を調整して射出初速度を17m/秒に調整したところ、最大直径が約200μm以下の凍結微粒子が生成されたことを確認した。
(実施例2)
原料液としてアルブミン溶液(5wt%)を孔径50μmの噴射ノズルから所定条件で射出して凍結微粒子の生成を試みたところ、表2に示す結果が得られた。
Figure 0006887050
射出流量が1.0ml/min(射出初速度8.5m/秒)の条件では、ノズル出口に少量の凍結物の付着が確認されたが、最大直径が約100μmの凍結微粒子が生成されたことを確認した。
一方、射出流量が0.5ml/min(射出初速度4.5m/秒)の条件では、ノズル出口に凍結物が付着し、その凍結物により射出方向が大きく曲がり、凍結槽内壁面に未凍結の液滴が付着したことが確認された。
また、射出流量が4.0ml/min(射出初速度34m/秒)の条件では、トレー7上に未凍結の液滴が確認された。
そこで、射出流量を調整して射出初速度を25m/秒に調整したところ、最大直径が約100μmの凍結微粒子が生成されたことを確認した。
(実施例3)
原料液としてマンニトール溶液(5wt%)を孔径100μmの噴射ノズルから所定条件で射出して凍結微粒子の生成を試みたところ、表2に示す結果が得られた。
Figure 0006887050
射出流量が3.0ml/min(射出初速度6.4m/秒)の条件では、最大直径が約200μmの凍結微粒子が生成されたことを確認した。
一方、射出流量が1.0ml/min(射出初速度2.1m/秒)の条件では、噴射ノズルの出口で原料液が凍結し、ノズル孔が閉塞することが確認された。
また、射出流量が2.0ml/min(射出初速度が4.2m/秒)の条件では、ノズル出口に凍結物が付着し、その凍結物により射出方向が大きく曲がり、凍結槽内壁面に未凍結の液滴が付着したことが確認された。
さらに、射出流量が6.0ml/min(射出初速度21m/秒)の条件では、トレー7上に未凍結の液滴が確認された。
そこで、射出流量を調整して射出初速度を11m/秒に調整したところ、最大直径が約200μm以下の凍結微粒子が生成されたことを確認した。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば以上の実施形態では、原料液を凍結室2内で噴射ノズル20から重力加速度方向へ射出するようにしたが、本発明はこれに限られず、例えば重力加速度と逆向きの方向へ射出するような構成、つまり原料液が射出初速度から重力加速度によって増速するのではなく減速するような構成としてもよい。この場合、図4の落下時間と同等の滞在時間を確保し、かつ重力加速度の影響を図3の落下距離から差し引く事が出来る為、結果として原料液の液滴の飛行距離が短くなり、さらなる小型の真空凍結乾燥装置を実現する事が出来る。
また、噴射ノズルの性状を調整し、最大直径が200μm以下の凍結微粒子が生成される様になる状況下であっても、例えば各凍結微粒子の円形度の値の分布を1に近づけたい場合(例えば粒度分布を、真球を中心とする正規分布として、求める分散範囲に収めたい場合)は、図6と同様の確認を行うことで、円形度の分布状態についても調整を行う事が出来る。一般的には液滴31の状態を示す時間が長いほど、表面張力を起因として紡錘形状から真球形状へと変化でき、かつ表層の振動が収まると考えられる為、射出初速度と比表面積の関係から調整が可能となる。つまり、射出初速度あるいは射出圧力の範囲について更に限定した方法を用いても良い。例えば当該範囲を二分し、いずれかの範囲を前記の確認により選択し、その範囲を用いる事で前記の調整を実現出来る。
また、以上の実施形態では、凍結室2と乾燥室3をゲートバルブ4を介して接続するようにしたが、本発明はこれに限られず、一つの真空槽内に凍結微粒子を乾燥させる加熱装置を設けることもできる。
なお、この場合には、液体を射出している間の水蒸気分圧を50Pa以下に抑えるため、射出中は凍結微粒子を収容するトレーの温度を低温に維持し、凍結微粒子から発生する昇華ガスの量を減少させるように構成するとよい。
また、上記実施の形態では、コールドトラップ5および6をそれぞれ凍結室2および乾燥室3内に設けるようにしたが、本発明はこれに限られず、コールドトラップを凍結室および乾燥室と別の室内に配置し、この室と凍結室とを接続するように構成することもできる。
この場合、凍結室および乾燥室にそれぞれ複数のコールドトラップを接続し、いずれかのコールドトラップが吸着できる水分の上限に達した際に、別のコールドトラップに切り替えて運転を続け、同時にそれまで使用していたコールドトラップに吸着した水分を除くという工程を繰り返すことで、連続運転できる処理量をさらに増大させることもできる。
1…真空凍結乾燥装置
2…凍結室
3…乾燥室
4…ゲートバルブ
5,6…コールドトラップ
7…トレー
8…加熱装置
9…原料タンク
10,14…真空排気装置
11,15…真空計
12…原料液供給量調整装置(射出量調整装置)
13,16…排気量調整装置
20…噴射ノズル
21…柱状の原料液
30,31,32…液滴または凍結微粒子
35…凍結微粒子

Claims (6)

  1. 原料液を真空槽内で噴射ノズルから射出し、前記噴射ノズルから1m以下の高さ位置で自己凍結による凍結微粒子を生成し、生成された当該凍結微粒子を乾燥させて乾燥粉体を製造する工程を有する真空凍結乾燥方法であって、
    前記真空槽内を前記原料液の自発凍結温度に対応する水蒸気分圧に維持した状態で、前記噴射ノズルからの原料液の射出初速度が6m/秒以上33m/秒以下となるように前記原料液を前記噴射ノズルから射出し、
    最大直径が200μm以下の凍結微粒子が生成されるように前記射出初速度が13m/秒の場合における20℃から−25℃までの冷却速度が5900℃/秒以上となる条件で、前記噴射ノズルからの前記原料液の射出流量または前記噴射ノズルの性状を調整する
    真空凍結乾燥方法。
  2. 請求項1に記載の真空凍結乾燥方法であって、
    前記原料液が、溶媒又は分散媒と、前記溶媒に溶解させた溶質又は前記分散媒に分散させた分散質を含むものであり、前記溶媒または前記分散媒または両者合一媒体の粘度は純水以上であり、前記原料液の粘度は5mPa・s以下である
    真空凍結乾燥方法。
  3. 請求項2に記載の真空凍結方法であって、
    前記水蒸気分圧を50Pa以下に維持し前記原料液の前記溶質又は前記分散質を、真空凍結乾燥の際に細胞が破壊されず且つタンパク質等が変性しない速度で凍結させる
    真空凍結乾燥方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の真空凍結方法であって、
    前記噴射ノズルからの前記原料液の噴射圧力を、0.03MPa以上0.7MPa以下の範囲で調整する
    真空凍結乾燥方法。
  5. 自己凍結による凍結微粒子を収容する容器を配置可能な真空槽と、
    粘度が純水以上5mPa・s以下の原料液を貯留する原料タンクと、
    前記真空槽内に設けられ、前記原料タンクから供給された原料液を射出することで前記原料液の凍結微粒子を生成する噴射ノズルと、
    前記真空槽内の水分を除去するためのコールドトラップと、
    前記容器に収容された凍結微粒子を乾燥させるための加熱装置と、
    前記真空槽内を前記原料液の自発凍結温度に対応する水蒸気分圧に維持するように前記コールドトラップと共に排気量を調整する排気量調整装置と、
    前記噴射ノズルから1m以下の高さ位置で、最大直径が200μm以下の凍結微粒子が生成されるように、前記噴射ノズルからの原料液の射出初速度が6m/秒以上33m/秒以下であり、前記射出初速度が13m/秒の場合における20℃から−25℃までの冷却速度が5900℃/秒以上となる条件下において前記噴射ノズルからの前記原料液の射出流量または前記噴射ノズルの性状を調整する射出量調整装置と
    を具備する真空凍結乾燥装置。
  6. 請求項5に記載の真空凍結乾燥装置であって、
    前記真空槽は、前記原料液の凍結微粒子の生成を行う凍結室と、前記凍結室とゲートバルブを介して接続され、前記容器に収容された凍結微粒子を乾燥させる乾燥室と、を有する
    真空凍結乾燥装置。
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