JP6886539B1 - 異文化適応力評価システムおよび異文化適応力評価方法 - Google Patents

異文化適応力評価システムおよび異文化適応力評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】日本企業で働こうとする外国人の日本の働く文化への適応力を評価するシステムを提供する。【解決手段】異文化適応力評価システム1は、外国人である応募者の雇用を検討している雇用者へ日本企業への応募者の適応度を提供する。異文化適応力評価システム1は、メインサーバ5と、アダプテーション能力を問う質問に対する模範的な回答を記録したアダプテーション基準データベースを有する。異文化適応力評価システム1はメインサーバ5に、第一群の質問に対する第一群の回答を応募者端末から取得させ、取得した第一群の回答とアダプテーション基準データベースとに基づき、応募者の異文化への適応しやすさを示すアダプテーション指数を算出させ、算出したアダプテーション指数を雇用者端末2へ出力させる。【選択図】図2

Description

本発明は、異文化適応力評価システムおよび異文化適応力評価方法に関する。
特許文献1は、求人者の特性を示す指標値を算出し、この指標値から求人者が必要とする人物要件を示す指標値を決定し、応募者の指標値と人物要件を示す指標値との差により応募者の人物要件への適合度を算出する、人材採用支援システムを提案している。
日本国特開2019-101720号公報
ところで近年は、外国人を採用する日本企業・日系企業が増えてきている。しかしながら、日本企業あるいは日系企業が外国人を採用しても、採用した外国人が日本の働く文化になじめず、また採用した企業がその外国人に適切な支援をすることができず、就職後に早期に離職してしまう問題が生じている。そこで外国人を採用しようとする企業は、採用しようとする外国人が日本の働く文化の中で活躍できるか否かを前もって知りたい。
そこで本発明は、日本企業または日系企業で働こうとする外国人の日本の働く文化への適応力を評価するシステムおよび方法を提供する。
上記目的を達成するために、本発明によれば、
戸籍が外国の外国人である応募者の雇用を検討している雇用者へ、登記が日本である日本企業または前記日本企業が直接または間接的に出資している日系企業への前記応募者の適応度を提供する異文化適応力評価システムであって、
前記異文化適応力評価システムは、
前記応募者の応募者端末および前記雇用者の雇用者端末とインターネットを介して接続されたメインサーバと、
文化の違う人との接し方および受け止め方を客観視する力、異文化に適応しようとする意欲、異文化に適応するように行動を変える力に関する第一群の質問に対する模範的な回答を記録したアダプテーション基準データベースと、を有し、
前記異文化適応力評価システムは前記メインサーバに、
前記第一群の質問に対する前記第一群の回答を、前記応募者端末から取得させ、
取得した前記第一群の回答と、前記アダプテーション基準データベースとに基づき、前記応募者の異文化への適応しやすさを示すアダプテーション指数を算出させ、
算出した前記アダプテーション指数を前記雇用者端末へ出力させる、異文化適応力評価システムが提供される。
上述した異文化適応力評価システムにおいて、
前記第一群の回答を応募者データベースに記録するように構成してもよい。
上述した異文化適応力評価システムにおいて、
調和・帰属・目標・人間関係・権限・処遇・リスクといった項目の少なくとも一つについての好む価値観を示す文化特性と、日本企業が好む行動をとることができるか否かを示す行動特性、の少なくとも一つを含む第二群の質問に対する日本人の典型的な回答パターンを記録した、フィット基準データベースを有し、
前記異文化適応力評価システムは前記メインサーバに、
前記第二群の質問に対する第二群の回答を、前記応募者端末から取得させ、
取得した前記第二群の回答と、前記フィット基準データベースに基づき、前記応募者の日本企業または日系企業の働く文化への適した度合いを示すフィット指数を算出させ、
算出した前記フィット指数を前記雇用者端末へ出力させるように構成してもよい。
上述した異文化適応力評価システムにおいて、
前記第二群の回答を応募者データベースに記録するように構成してもよい。
上述した異文化適応力評価システムにおいて、
前記フィット基準データベースには、前記第二群の質問に対する日本人の標準的な回答パターンが登録されており、
前記フィット指数は、前記応募者の回答と前記回答パターンとの近似度に応じて算出され、
前記フィット基準データベースには、前記回答パターンが複数種類登録されており、
前記異文化適応力評価システムは前記メインサーバに、
前記雇用者端末から、複数種類の前記回答パターンのうちから選択された一つの回答パターンを示す情報を取得したときに、前記応募者データベースから前記第二群の回答を読み出し、前記応募者についての前記フィット指数を再び算出し、算出された前記フィット指数で前記応募者データベースを更新するように構成してもよい。
上述した異文化適応力評価システムにおいて、
前記アダプテーション指数と前記フィット指数に基づき、前記応募者の総合評価を算出し、前記応募者データベースに登録させるように構成してもよい。
上記目的を達成するために、本発明によれば、
戸籍が外国の外国人である応募者の雇用を検討している雇用者へ、登記が日本である日本企業または前記日本企業が直接または間接的に出資している日系企業への前記応募者の適応度を提供する異文化適応力評価方法であって、
前記異文化適応力評価方法は、
前記応募者の応募者端末および前記雇用者の雇用者端末とインターネットを介して接続されたメインサーバと、
文化の違う人との接し方および受け止め方を客観視する力、異文化に適応しようとする意欲、異文化に適応するように行動を変える力、異文化に対する知識に関する第一群の質問に対する模範的な回答を記録したアダプテーション基準データベースと、を用いるものであり、
前記異文化適応力評価方法は前記メインサーバに、
前記第一群の質問に対する第一群の回答を、前記応募者端末から取得させ、
取得した前記第一群の回答と、前記アダプテーション基準データベースとに基づき、前記応募者の異文化への適応しやすさを示すアダプテーション指数を算出させ、
算出した前記アダプテーション指数を前記雇用者端末へ出力させる、異文化適応力評価方法が提供される。
本発明によれば、日本企業または日系企業で働こうとする外国人の日本の働く文化への適応力を評価するシステムおよび方法が提供される。
異文化適応力評価システムのシステム構成図である。 異文化適応力評価システムが実行するフローチャートである。 雇用者入力画面の一例である。 雇用者データベースの一例である。 応募者データベースの一例である。 受検画面の一例である。 応募者評価データベースの一例である。 質問データベースの一例である。 アダプテーション基準データベースの一例である。 フィット基準データベースの一例である。 評価マップの一例である。 報告画面の一例である。
本発明の異文化適応力評価システムは、ある日本企業あるいは日系企業に、外国人である応募者が応募してきた際に、その応募者が日本企業あるいは日系企業に適した性格などを有しているかを、日本企業あるいは日系企業の採用担当者が判断するための判断材料を提供するものである。
ここで、日本企業とは登記が日本である企業のことを意味する。日系企業とは、日本企業が直接または間接的に出資している企業のことを言う。また、外国人とは、戸籍が外国である人のことを言う。
以降の説明において、雇用者とは、外国人の雇用を検討している日本企業あるいは日系企業の担当者のことを意味する。また、応募者とは、日本企業あるいは日系企業への就職を希望している外国人のことを意味する。
次に説明する本発明の本実施形態において、日本の働く文化の中で活躍できるか否かは、まずアダプテーション指数という指数で評価される。このアダプテーション指数とは、応募者の異文化への適応しやすさを示す指数である。アダプテーション指数は、例えば、応募者が異なる文化の環境に置かれたときに、どのくらい迅速にその環境に適応できるか、といったことを示している。このアダプテーション能力が高いほど、その応募者の現在の特性が日本の働く文化と異なっていたとしても、やがてそのギャップを乗り越えて日本の働く文化の中で活躍してくれるだろうことを示している。
なお、本実施形態ではこのアダプテーション指数に加えて、フィット指数という指数でも日本の働く文化の中で活躍できるか否かを評価している。フィット指数とは、応募者の日本企業または日系企業の働く文化への適した度合いを示す指標である。フィット指数は、例えば、その応募者の現在の特性が日本の働く文化とどのくらい一致しているかを示している。
図1は、本発明の異文化適応力評価システム1(以降、単に評価システム1と呼ぶ)のシステム構成図である。図1に示すように、評価システム1は、メインサーバ5と各種のデータベースを記録したデータサーバ6を備えている。メインサーバ5は、インターネットなどのネットワーク4を介して雇用者端末2および応募者端末3に接続されている。
雇用者端末2とは、雇用者によって操作される端末である。雇用者端末2は、雇用者が所有しているパーソナルコンピューターや、携帯電話、タブレット端末などの情報機器である。あるいは雇用者端末2は、雇用者が自身のアカウントでログインしているパーソナルコンピューターや携帯電話、タブレット端末などの情報機器である。
応募者端末3とは、応募者によって操作される端末である。応募者端末3は、応募者が所有しているパーソナルコンピューターや、携帯電話、タブレット端末などの情報機器である。あるいは応募者端末3は、応募者が自身のアカウントでログインしているパーソナルコンピューターや携帯電話、タブレット端末などの情報機器である。
メインサーバ5は単一のサーバで構成してもよいし、複数台のサーバで構成してもよい。メインサーバ5は、プロセッサと、メモリなどの記録手段を備えている。メインサーバ5のプロセッサは、記録手段から読み出したコンピュータ可読命令に従って、後述する異文化適応力評価方法を実行する。メインサーバ5は、後述する各種のデータベースに記録された情報を読み出し可能である。
図2は、メインサーバ5が実行する異文化適応力評価方法のフローチャートを示す。図2に示すように、まずメインサーバ5は、本評価システム1を初めて利用する雇用者端末2からアクセスを受けると、この雇用者について雇用者データベースに新規に登録を行う。具体的には、メインサーバ5は、雇用者端末2へ図3に示した雇用者入力画面を表示させ、雇用者に企業名、担当者名、担当者e−mailアドレス、応募者e−mailアドレスを入力させる。メインサーバ5は雇用者端末2から、企業名、担当者名、担当者e−mailアドレス、応募者e−mailアドレスを取得する(ステップS01)。
なおメインサーバ5が過去に本システムを利用したことがある雇用者からアクセスを受けた場合には、雇用者IDとパスワードで認証するなどの工程を経て、ステップS01のうち新規の応募者のe−mailのみを取得し、ステップS03に進む。
次にメインサーバ5は、この新たに利用を開始する新規の雇用者に雇用者IDを付与する。雇用者IDとは、各々の雇用者を互いに識別するために付される特定桁数の数字やアルファベットである。メインサーバ5は、新規の雇用者に雇用者IDを付与して、図4に示したように、その雇用者IDに関連付けてその雇用者に関する企業名、担当者名、担当者e−mailアドレス、応募者e−mailアドレスなどを雇用者データベースに記録し、雇用者データベースを更新する(ステップS02)。
メインサーバ5は、雇用者端末2から新規の応募者に関する情報を取得すると、新規の応募者に応募者IDを付与し、応募者データベースを更新する(ステップS03)。
図5は応募者データベースの一例を示す。図5に示したように、応募者IDに関連付けて、応募者の氏名、連絡先(e−mailアドレス)、応募先の雇用者IDが応募者データベースに記録されている。
さらにメインサーバ5は、更新された雇用者データベースに記録された新規の応募者e−mailアドレス宛に、受検画面を表示するURL(Uniform Resource Locator)の情報を含むe−mailを送信する(ステップS04)。
応募者が応募者端末3から受検画面を表示するURLにアクセスすると、本実施形態ではまず、メインサーバ5は応募者端末3の画面を応募者の詳細情報を入力させる画面に遷移させる。メインサーバ5は、応募者端末3から、応募者の名前や年齢といった情報を取得し、応募者データベースに記録する(ステップS05)。
なお本実施形態のように、応募者の詳細な情報は応募者端末3から取得することが好ましい。雇用者は、応募者の氏名の正確なスペルや読み方が分かっていないことが多いからである。このため、本実施形態では雇用者からは応募者のe−mailアドレスのみを取得するようにしておき、このe−mailアドレスを使って応募者と直接コンタクトし、応募者から直接応募者の詳細情報を取得するように構成している。これにより、応募者の正確な情報を取得することができる。
応募者から応募者の情報を取得した後、メインサーバ5は、応募者端末3の画面に受検画面を表示させる(ステップS06)。図6は受検画面の一例である。図6に示したように、メインサーバ5は応募者端末3の画面に、複数の質問を表示させる。メインサーバ5は、各々の質問に5段階の評価などで応募者に回答させる。応募者は、回答欄の1〜5の数字のラジオボタンなどをクリックして質問に回答する。応募者は、全ての質問に対して回答を入力した後に、画面右上に表示された「回答完了」のボタンをクリックする。応募者が回答完了のボタンをクリックすると、応募者端末3は全ての質問に対する回答を一斉にメインサーバ5へ送信する。メインサーバ5は、このようにして全ての質問に対する回答を応募者端末3から受領する。メインサーバ5が応募者端末3から全ての質問に対する回答を受領すると、これらの回答を図7に示したように応募者評価データベースに記録する(ステップS07)。また、メインサーバ5は雇用者へ雇用者端末2を通じて応募者の受検が完了したことを示す受検完了通知を通知する(ステップS08)。図7に示した応募者評価データベースは、応募者から取得した質問に対する回答を記録したデータベースである。なお本実施形態では、説明の便宜のために応募者データベースと応募者評価データベースとを分けてデータベースを構築する例を説明しているが、応募者データベースと応募者評価データベースは単一のデータベースとしてまとめて構築してもよい。
図8は、受検画面に表示する質問を記録した質問データベースである。図8に示したように、受検画面で出題した質問は、大きく分けて、アダプテーション指数を算出するために用いられる質問と、フィット指数を算出するために用いられる質問に分類される。図示の例では、質問No.1〜25がアダプテーション指数を算出するために用いられる質問であり、質問No.26〜50がフィット指数を算出するために用いられる質問である。
アダプテーション指数とは、応募者の異文化への適応しやすさを示す指標である。アダプテーション指数は、文化の違う人との接し方および受け止め方を客観視する力、異文化に適応しようとする意欲、異文化に適応するように行動を変える力を評価することにより算出できる。
例えば、質問No.1の「どんなことがあっても、動揺しないか」という質問によって、その応募者の文化の違う人との接し方および受け止め方を客観視する力を評価できる。質問No.2の「常に新しい体験や、刺激を求めているか」という質問、および、質問No.3の「趣味に使う時間もほとんどない日本人は少し変だと思うか」も、その応募者の文化の違う人との接し方および受け止め方を客観視する力を評価するための質問である。
あるいは、質問No.10の「日本もしくは日系企業で働くにあたり、実現したい夢や、目的はあるか」という質問によって、その応募者の異文化に適応しようとする意欲を評価できる。質問No.11の「志を持ち、社会のために役立つことが日本もしくは日系企業で働く目的か」という質問、および、質問No.12の「夢や目的のために、どれくらいのお金や時間を使ってきたと思うか」も、その応募者の異文化に適応しようとする意欲を評価するための質問である。
あるいは、質問No.20の「何か問題があった時、自分の思いを同僚や上司にはっきり伝えるか」という質問によって、その応募者の異文化手に適応するように行動を変える力を評価できる。質問No.21の「困った時、故郷の家族に電話やメールをするか」という質問、および、質問No.22の「うまくいかないようなことがあったら、困ったことについて、何度も繰り返して考えるか」も、その応募者の異文化手に適応するように行動を変える力を評価するための質問である。
フィット指数とは、日本企業または日系企業の働く文化への適した度合いを示す指標である。フィット指数は、調和・帰属・目標・人間関係・権限・処遇・リスクといった項目の少なくとも一つについての好む価値観を示す文化特性と、日本企業が好む行動をとることができるか否かを示す行動特性の少なくとも一つを評価することにより算出できる。
例えば、質問No.26の「社員が穏やかで、自己主張が弱い会社が働きやすいか」という質問によって、その応募者の調和を好む度合いを評価できる。より具体的には、自己主張と自己抑制のどちらを好むかという特性を評価できる。
質問No.28の「ほとんどの仕事を、個人ではなく、チームで行う会社が働きやすいか」という質問は、その応募者の組織への帰属に対する志向性を評価できる。より具体的には、応募者の性格が個人主義か集団主義のどちらか、という特性を評価できる。
質問No.30の「1年以内にできるだけ大きな利益が出ることを大事にする会社が働きやすいか」という質問は、その応募者がある目標を設定する際に、長期的な目標を設定する傾向があるか、短期的な目標を設定する傾向があるか、を評価できる。
質問No.32の「仕事がつまらなくても、人間関係がよい会社が働きやすいか」という質問は、その応募者の人間関係に関する志向性を評価できる。具体的には、その応募者が公私を区別したがるか、それとも、公私一体の付き合いを好むかを評価できる。
質問No.34の「権力は、その人が優秀かどうかによって決まる会社が働きやすいか」という質問は、その応募者の権限に対する志向性を評価できる。具体的には、その応募者がフラット型の組織を好むか、それともピラミッド型の組織を好むかを評価できる。
質問No.36の「業績をあげた人が、会社で昇進していく会社が働きやすいか」という質問は、その応募者の処遇に対する志向性を評価できる。具体的には、その応募者が成果主義を好むか、安定主義を好むかを評価できる。
質問No.38の「新しく、革新的なことをすることを何よりも大事にする会社が働きやすいか」という質問は、その応募者のリスクに対する志向を評価できる。具体的には、その応募者がチャレンジ志向であるか安定志向であるかを評価できる。
次にメインサーバ5は、応募者の質問に対する回答と、アダプテーション基準データベースおよびフィット基準データベースに基づき、アダプテーション指数およびフィット指数を算出する(ステップS09)。
本実施形態では、アダプテーション指数を、次に説明する方法で算出する。図9はアダプテーション基準データベースの一例を示している。アダプテーション基準データベースには、異文化への適応度が最も高い模範的な人がするであろう質問No.1〜25に対する回答が記録されている。
そこで、メインサーバ5は応募者評価データベースとアダプテーション基準データベースとを読み出し、各々の質問ごとに、その応募者の回答結果とアダプテーション基準データベースに記録されている回答結果とを比較する。比較結果、特に、応募者の回答とアダプテーション基準データベースに記録された回答との差分を評価することにより、アダプテーション指数Aを算出することができる。例えばある応募者の質問No.[n](n=1〜25)に対する回答をX[n]と表し、アダプテーション基準データベースに記録されている回答結果をR[n]と表すと、アダプテーション指数Aは、
A=Σ|X[n]−R[n]|)/25 (n=1〜25) 式(1)
あるいは
A=Σ(X[n]−R[n])/25 (n=1〜25) 式(2)
で算出することができる。
本実施形態ではアダプテーション指数Aが小さいほど、その応募者のアダプテーション能力が高いことを示している。すなわち、応募者の回答がアダプテーション基準データベースと完全に一致していればアダプテーション指数Aは0であり、応募者の回答がアダプテーション基準データベースから乖離するほどアダプテーション指数Aは大きくなる。式(2)で算出する場合には、応募者の回答がアダプテーション基準データベースから乖離する度合いが大きいほど、アダプテーション指数Aは顕著に大きくなる。
なお、式(1)や式(2)は単なる例示であって、これとは異なる算出方法でアダプテーション指数を算出してもよい。
次にフィット指数を算出する方法について説明する。図10はフィット指数を算出するために用いられるフィット基準データベースの一例を示している。図10には、質問No.26〜50に対する4つの異なる回答パターンF,G,H,Iが記録されている。
各々の回答パターンF,G,H,Iは、図8の質問データベースに記録された各々の質問に対する、日本企業あるいは日系企業の典型的な回答パターンである。出願人は、本発明を具体化する際に、多数の日本人から質問No.26〜50に関する回答を得て、これらの回答を統計的に分析したところ、おおよそ4つの回答パターンに分類できることを見出した。そこで本実施形態では、フィット基準データベースには4つの回答パターンが記録されている。あらかじめ雇用者から雇用者が所属する企業がおおよそどの回答パターンに分類できるかを選択してもらい、メインサーバ5は雇用者端末2から雇用者の所属する企業が分類される回答パターンを示す情報を取得するように構成されている。
メインサーバ5は、応募者評価データベースとフィット基準データベースとを読み出し、各々の質問ごとに、その応募者の回答結果と、フィット基準データベースに記録されている応募者が応募している企業の回答パターンとを比較する。比較結果、特に、応募者の回答とフィット基準データベースに記録された回答との差分を評価することにより、フィット指数Bを算出することができる。例えば応募者の質問No.[n](n=25〜50)に対する回答をX[n]と表し、フィット基準データベースに記録されている回答結果をR[n]と表すと、フィット指数Bは、
B=Σ|X[n]−R[n]|/25 (n=26〜50) 式(3)
あるいは
B=Σ(X[n]−R[n])/25 (n=26〜50) 式(4)
で算出することができる。
本実施形態ではフィット指数Bが小さいほど、その応募者のフィット能力が高いことを示している。すなわち、応募者の回答がフィット基準データベースの回答パターンと完全に一致していればフィット指数Bは0であり、応募者の回答がフィット基準データベースの回答パターンから乖離するほどフィット指数Bは大きくなる。特に式(4)で算出する場合には、応募者の回答がフィット基準データベースから乖離する度合いが大きいほど、フィット指数Bは顕著に大きくなる。
なお、式(3)や式(4)は単なる例示であって、これとは異なる算出方法でフィット指数を算出してもよい。
なお本実施形態では、あらかじめフィット基準データベースに登録されている回答パターンG〜Iの中から雇用者が一つの回答パターンを選択し、選択された回答パターンに基づいてフィット指数を算出する例を挙げたが、本発明はこれに限られない。例えば、雇用者が属する企業の複数の従業員から質問No.26〜50に対する回答を取得し、得られた回答に基づいて新たな回答パターンをフィット基準データベースに追加し、追加されたフィット基準データベースに基づいて応募者のフィット指数を算出するように構成してもよい。このような構成によれば、応募者が雇用者の企業の働く文化に適しているか否かを評価することができる。
また本実施形態では、アダプテーション指数とフィット指数とに基づき、応募者の総合評価を算出するように構成されている。本実施形態では、総合評価は図11に示した評価マップに基づき算出される。図11の横軸はフィット指数、縦軸はアダプテーション指数である。フィット指数が低いほど図11の左方にプロットされ、アダプテーション指数が低いほど図11の下方にプロットされる。フィット指数の理論上の最大値を4分割、アダプテーション指数の理論上の最大値を4分割し、マップを16のエリアに分割している。その上で、アダプテーション指数とフィット指数の両方が最小のエリアにプロットされる応募者を最も日本の働く文化の中で活躍できる見込みが高いと評価している。なおフィット指数が同程度の場合、アダプテーション指数の低いほうがより日本の働く文化の中で活躍できる見込みが高いと評価している。図11においては、総合評価は1が最もよく、6が最も悪いと評価している。このような評価方法に基づき、メインサーバ5はアダプテーション指数とフィット指数から総合評価を算出する。
なお総合評価の算出方法は本例に限られない。アダプテーション指数とフィット指数の加算や乗算で算出してもよい。
このようにしてメインサーバ5がアダプテーション指数、フィット指数および総合評価を算出したら、これらを対応する応募者IDに関連付けて図5に示した応募者データベースに記録する(ステップS10)。
ステップS08で受検完了通知を受領した雇用者は、その雇用者端末2からメインサーバ5へアクセスし、受検完了した採用を検討している受検者の受検結果を閲覧することができる。メインサーバ5は、雇用者端末から閲覧リクエストを受け取ると、応募者データベースから、該当する受検者の応募者のアダプテーション指数、フィット指数、総合評価を読み出し、図12のように雇用者端末へ出力させる。
なお図12では、雇用者が雇用者端末2を通じて特定のURLへアクセスし、メインサーバ5は雇用者端末2の画面に図12に示す画面を表示させる例を説明したが、本発明はこれに限られない。メインサーバ5は、アダプテーション指数、フィット指数、総合評価などを算出した後に、雇用者のe−mailアドレスに応募者のこれらの評価を送信するように構成してもよい。この場合、ステップS10の受検完了通知とともにこれらの評価を送信してもよいし、受検完了通知を送信しなくてもよい。
また、メインサーバ5は雇用者端末2へアダプテーション指数、フィット指数、総合評価などの他に、応募者の質問に対する回答の傾向から推測した応募者の特性に関するコメントや、このような傾向に基づく将来の行動の予測に基づく応募者にとって将来有用となる企業による支援策などのアドバイスを雇用者端末2に送信してもよい。図12では、このようなコメント・アドバイスがレポートとしてまとめられており、受検結果を表示するURLからダウンロード可能とされている。
以上、本実施形態に係る異文化適応力評価システム1は、
戸籍が外国の外国人である応募者の雇用を検討している雇用者へ、登記が日本である日本企業または日本企業が直接または間接的に出資している日系企業への応募者の適応度を提供する。
この異文化適応力評価システム1は、
応募者端末3および雇用者端末2とインターネットを介して接続されたメインサーバ5と、
文化の違う人との接し方および受け止め方を客観視する力、異文化に適応しようとする意欲、異文化に適応するように行動を変える力に関する第一群の質問に対する模範的な回答を記録したアダプテーション基準データベースと、を有している。
異文化適応力評価システム1はメインサーバ5に、
第一群の質問に対する第一群の回答を、応募者端末3から取得させ(ステップS07)、
取得した第一群の回答と、アダプテーション基準データベースとに基づき、応募者の異文化への適応しやすさを示すアダプテーション指数を算出させ(ステップS09)、
算出したアダプテーション指数を雇用者端末2へ出力させる(ステップS11)。
また本実施形態に係る異文化適応力評価方法は、
戸籍が外国の外国人である応募者の雇用を検討している雇用者へ、登記が日本である日本企業または日本企業が直接または間接的に出資している日系企業への応募者の適応度を提供する異文化適応力評価方法である。
異文化適応力評価方法は、
応募者端末3および雇用者端末2とインターネットを介して接続されたメインサーバ5と、
文化の違う人との接し方および受け止め方を客観視する力、異文化に適応しようとする意欲、異文化に適応するように行動を変える力、異文化に対する知識に関する質問に対する模範的な回答を記録したアダプテーション基準データベースと、を用いるものである。
異文化適応力評価方法はメインサーバ5に、
第一群の質問に対する第一群の回答を、応募者端末3から取得させ(ステップS07)、
取得した第一群の回答と、アダプテーション基準データベースとに基づき、応募者の異文化への適応しやすさを示すアダプテーション指数を算出させ(ステップS09)、
算出したアダプテーション指数を雇用者端末2へ出力させる(ステップS11)。
本実施形態に係る異文化適応力評価システム1および方法によれば、応募者の異文化への適応しやすさを客観的に評価することができ、応募者が日本の働く文化の中で活躍できそうか否かの指標を雇用者へ提供することができる。
上述した本実施形態に係る異文化適応力評価システム1において、
調和・帰属・目標・人間関係・権限・処遇・リスクといった項目の少なくとも一つについての好む価値観を示す文化特性と、日本企業が好む行動をとることができるか否かを示す行動特性、の少なくとも一つを含む第二群の質問に対する日本人の典型的な回答パターンを記録した、フィット基準データベースを有し、
異文化適応力評価システム1はメインサーバ5に、
第二群の質問に対する第二群の回答を、応募者端末3から取得させ(ステップS07)、
取得した第二群の回答と、フィット基準データベースに基づき、応募者の日本企業または日系企業の働く文化への適した度合いを示すフィット指数を算出させ(ステップS09)、
算出したフィット指数を雇用者端末2へ出力させてもよい(ステップS11)。
このような構成によれば、異文化への適応しやすさを示すアダプテーション指数に加えて、日本の働く文化への適した度合いを示すフィット指数でも応募者を評価することにより、日本の働く文化の中で応募者が活躍できる見込みをより正確に見積もることができる。
なお、アダプテーション指数やフィット指数を算出するタイミングは、応募者が質問に対する回答を送信した後に速やかに算出するように構成してもよい。あるいは、メインサーバ5が雇用者端末2へ受検完了通知を送信した後に、雇用者端末2からメインサーバ5へ応募者の受検結果を取得するリクエストを受信した後に各々の指数を算出するように構成してもよい。
あるいは雇用者が図10で示した回答モデルを設定するのは雇用者が受検完了通知を受領した後であって、雇用者が回答モデルを設定する時に、アダプテーション指数やフィット指数を算出するように構成してもよい。あるいは、既に設定した回答モデルが自社の文化などと合っていないと雇用者の採用担当者が振り返った際など、雇用者が設定されていた回答モデルを変更したいときがあり、回答モデルの変更が雇用者データベースに登録された際にメインサーバ5がフィット指数を再計算するように構成してもよい。
このように、本実施形態の異文化適応力評価システム1において、
フィット基準データベースには、第二群の質問に対する日本人の標準的な回答パターンが登録されており、
フィット指数は、応募者の回答と回答パターンとの近似度に応じて算出され、
フィット基準データベースには、回答パターンが複数種類登録されており、
異文化適応力評価システム1はメインサーバ5に、
雇用者端末2から、複数種類の回答パターンのうちから選択された一つの回答パターンを示す情報を取得したときに、応募者データベースから第二群の回答を読み出し、応募者についてのフィット指数を再び算出し、算出されたフィット指数で応募者データベースを更新するように構成されていてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
例えば、上述した説明においては各々のデータベースはそれぞれ名称を付して別のデータベースとして説明したが、各々のデータベースは共通のデータベースとして構築してもよい。例えば応募者データベースと応募者評価データベースは同一のデータベースとしてもよい。
1 異文化適応力評価システム
2 雇用者端末
3 応募者端末
4 ネットワーク
5 メインサーバ
6 データサーバ

Claims (7)

  1. 戸籍が外国の外国人である応募者の雇用を検討している雇用者へ、登記が日本である日本企業または前記日本企業が直接または間接的に出資している日系企業への前記応募者の適応度を提供する異文化適応力評価システムであって、
    前記異文化適応力評価システムは、
    前記応募者の応募者端末および前記雇用者の雇用者端末とインターネットを介して接続されたメインサーバと、
    文化の違う人との接し方および受け止め方を客観視する力、異文化に適応しようとする意欲、異文化に適応するように行動を変える力に関する第一群の質問に対する模範的な回答を記録したアダプテーション基準データベースと、を有し、
    前記異文化適応力評価システムは前記メインサーバに、
    前記第一群の質問に対する前記第一群の回答を、前記応募者端末から取得させ、
    取得した前記第一群の回答と、前記アダプテーション基準データベースとに基づき、前記応募者の異文化への適応しやすさを示すアダプテーション指数を算出させ、
    算出した前記アダプテーション指数を前記雇用者の端末に出力させ
    前記第一群の回答および前記アダプテーション基準データベースは、前記第一群の質問の各々に対する5段階評価などの段階評価として表されており、
    前記アダプテーション指数は、各々の前記第一群の質問に対する、前記第一群の回答である数値と前記アダプテーション基準データベースに登録された数値との相違に基づき算出される、異文化適応力評価システム。
  2. 前記第一群の回答を応募者データベースに記録する、請求項1に記載の異文化適応力評価システム。
  3. 調和・帰属・目標・人間関係・権限・処遇・リスクといった項目の少なくとも一つについての好む価値観を示す文化特性と、日本企業が好む行動をとることができるか否かを示す行動特性、の少なくとも一つを含む第二群の質問に対する日本人の典型的な回答パターンを記録した、フィット基準データベースを有し、
    前記異文化適応力評価システムは前記メインサーバに、
    前記第二群の質問に対する第二群の回答を、前記応募者端末から取得させ、
    取得した前記第二群の回答と、前記フィット基準データベースに基づき、前記応募者の日本企業または日系企業の働く文化への適した度合いを示すフィット指数を算出させ、
    算出した前記フィット指数を前記雇用者の端末に出力させ
    前記第二群の回答および前記フィット基準データベースは、前記第二群の質問の各々に対する5段階評価などの段階評価として表されており、
    前記フィット指数は、各々の前記第二群の質問に対する、前記第二群の回答である数値と前記フィット基準データベースに登録された数値との相違に基づき算出される、請求項1に記載の異文化適応力評価システム。
  4. 前記第二群の回答を応募者データベースに記録する、請求項3に記載の異文化適応力評価システム。
  5. 前記フィット基準データベースには、前記第二群の質問に対する日本人の標準的な回答パターンが登録されており、
    前記フィット指数は、前記応募者の回答と前記回答パターンとの近似度に応じて算出され、
    前記フィット基準データベースには、前記回答パターンが複数種類登録されており、
    前記異文化適応力評価システムは前記メインサーバに、
    前記雇用者端末から、複数種類の前記回答パターンのうちから選択された一つの回答パターンを示す情報を取得したときに、前記応募者データベースから前記第二群の回答を読み出し、前記応募者についての前記フィット指数を再び算出し、算出された前記フィット指数で前記応募者データベースを更新する、請求項4に記載の異文化適応力評価システム。
  6. 前記アダプテーション指数と前記フィット指数に基づき、前記応募者の総合評価を算出し、応募者データベースに登録させる、請求項3に記載の異文化適応力評価システム。
  7. 戸籍が外国の外国人である応募者の雇用を検討している雇用者へ、登記が日本である日本企業または前記日本企業が直接または間接的に出資している日系企業への前記応募者の適応度を提供する異文化適応力評価方法であって、
    前記異文化適応力評価方法は、
    前記応募者の応募者端末および前記雇用者の雇用者端末とインターネットを介して接続されたメインサーバと、
    文化の違う人との接し方および受け止め方を客観視する力、異文化に適応しようとする意欲、異文化に適応するように行動を変える力、異文化に対する知識に関する第一群の質問に対する模範的な回答を記録したアダプテーション基準データベースと、を用いるものであり、
    前記異文化適応力評価方法は前記メインサーバに、
    前記第一群の質問に対する第一群の回答を、前記応募者端末から取得させ、
    取得した前記第一群の回答と、前記アダプテーション基準データベースとに基づき、前記応募者の異文化への適応しやすさを示すアダプテーション指数を算出させ、
    算出した前記アダプテーション指数を前記雇用者端末に出力させ
    前記第一群の回答および前記アダプテーション基準データベースは、前記第一群の質問の各々に対する5段階評価などの段階評価として表されており、
    前記アダプテーション指数は、各々の前記第一群の質問に対する、前記第一群の回答である数値と前記アダプテーション基準データベースに登録された数値との相違に基づき算出される、異文化適応力評価方法。
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