そして、本願発明者らは、小型の吸引装置を利用した下記に示す表土種子採取装置を用いて、例えばドングリの自生地において地表面に落下させた落下種子の吸取り試験を行い、落下種子及び表土(以下、表土種子という)の吸引収集が可能であることを確認した。即ち、前記表土種子採取装置として、表土種子を導入する吸引力を発生させる吸引装置の前段(上流側)にプレボックスを接続し、さらに、プレボックスに吸引管の下流部を接続し、プレボックスの隣り合う側面のうち、一方に吸引管の下流部が接続される吸引口を設け、他方に吸引装置側に接続される排気口を設けたものを用い、さらに、排気口をプレボックス底面からある程度離れた高さ位置に設けたもので試験を行ったのである。しかし、この場合、プレボックス内に、採取物として、ドングリなどの堅果、落葉落枝(リター)及び表層土壌(腐葉土)が採取できるものの、以下の課題が生じた。(1)比較的重量のあるドングリなどの堅果は排気口から下流側へと向かうことができずプレボックス内に留まることになるが、舞い上がって排気口の高さを越えた採取物は排気口から吸引装置に至り、ここで粉砕され、結局、プレボックス外部へ排出されることになる。したがって、(2)1回の採取作業において、吸引管を通った採取物はプレボックス内においてほぼ100%の回収(採取)は望めず回収(採取)効率が悪い(プレボックス内における1回の採取量が制限される)。
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、表土種子の採取(回収)効率を向上することができる表土種子採取方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明は、箱状部材と、この箱状部材に表土種子を導入する吸引力を発生させる吸引装置と、前記箱状部材に対して吸引方向の上流側に設けられた吸引管とを具備し、さらに、前記箱状部材は、前記吸引管を接続するため形成された吸引口および前記吸引装置へ延びる排気管を接続するため形成された排気口を有する一方、前記箱状部材内に、前記吸引装置の吸引力によって移動する表土種子を採取する採取袋が前記排気口の上流側に設けられているとともに、前記吸引装置の吸引力によって移動する表土種子が前記排気口から排出されることを阻止する仕切り板が前記排気口の上流側に設けられている表土種子採取装置を用いて前記採取袋内に表土種子を採取することを特徴とする表土種子採取方法を提供する。この場合、前記箱状部材は、例えば図1に示すように、前記吸引口および前記排気口を上部に備えているのが好ましい(請求項2)。本発明において、箱状部材とは、立方体形状、直方体形状、筒形状(平面視円形状のみならず、平面視楕円形状等も含む)などの中空の筐体を意味する。また、仕切り板は、板体であってもよいし、一定以上の大きさの種子、落葉落枝(リター)及び表層土壌(腐葉土)を通さない目合を持つメッシュを備えるもの(例えば、網体、パンチングメタルなどの有孔板)であってもよい。例えば図1は、箱状部材3が直方体形状である一方、仕切り板6が縦断面L字型の板体である場合の箱状部材3に対する仕切り板6の好ましい取付状態の一例を示している。図1においては、排気口2の直下で、かつ、排気口2の大きさ以上の大きさを有する状態で、箱状部材3における排気口2寄りの三つの内側面(上面Aの内面部分a・後面Gの内面部分g・左側面Fの内面部分f)に対し仕切り板6が例えば溶接等の接合手段により取り付けられている。さらに、通気性を有し表土種子を収容する土のう袋(採取袋の一例)を吸引口に連通するよう着脱自在に取り付けてある。また、前記採取袋は、一定以上の大きさの種子、落葉落枝(リター)及び表層土壌(腐葉土)を通さない目合を持つメッシュ製のものであってもよい。
仕切り板6は、例えば図2に示すように、箱状部材3の上蓋15の内面15aに例えば溶接等の接合手段により設けてもよく、また、例えば図3に示すように、箱状部材本体3aの内側面(内面部分)j(箱状部材本体4aの前面の箱状部材本体3aにおける排気口寄りの内面部分、箱状部材本体3aの後面の箱状部材本体3aにおける排気口寄りの内面部分のうち何れか一方、あるいは、箱状部材本体3aにおける排気口寄りの二つの内面部分、例えば、左側面の内面部分・後面の内面部分、または、左側面の内面部分・前面の内面部分)に排気口2の位置に応じて例えば溶接等の接合手段により設けてもよい。そして、前記上蓋は、上方開口に着脱自在に設けてもよい(例えば、上蓋15を、上方開口10を備えた箱状部材本体3aに対して凹凸等の係止手段を用いて嵌込むように構成してもよい)。また、前記上蓋を、蝶番などを使用して上方開口に対し片開きに構成してもよい。また、前記上蓋を、蝶番などを使用して観音開きに構成してもよい。また、前記上蓋を、上方開口に対してスライドさせるよう構成してもよい。そして、装置使用時には、上方開口10を上蓋15で閉じてなる閉塞状態の箱状部材内に表土種子が採取されうる。さらに、通気性を有し表土種子を収容する土のう袋(採取袋の一例)を吸引口に連通するよう着脱自在に取り付けてもよい。
また、図4において、箱状部材には側部開口が設けられており、この側部開口とは、例えば立方体形状、直方体形状の箱状部材においては、箱状部材の上下面を除いた隣接する四つの側面の何れかに形成されうる側方開口を意味する。例えば図1における箱状部材3は前方開口4を有しており、この前方開口4が側部開口に相当する。また、図4における箱状部材3は右側方開口20を有しており、この右側方開口20が側部開口に相当する。また、筒形状の箱状部材における側部開口とは、箱状部材の側周面部に形成されうる適宜の大きさの開口を意味する。さらに、通気性を有し表土種子を収容する土のう袋(採取袋の一例)を吸引口に連通するよう着脱自在に取り付けてもよい。また、前記採取袋は、一定以上の大きさの種子、落葉落枝(リター)及び表層土壌(腐葉土)を通さない目合を持つメッシュ製ものであってもよい。また、横蓋を、箱状部材の側部開口に着脱自在に設けてもよい(例えば、横蓋5を、側部開口(前方開口)4、側部開口(右側方開口)20に対して凹凸等の係止手段を用いて嵌込むように構成してもよい)。また、前記横蓋を、蝶番などを使用して片開きに構成してもよい。例えば図1における箱状部材3においては前記側部開口(前方開口)4を覆う横蓋5が蝶番などを使用して片開きに構成されている。また、前記横蓋を、蝶番などを使用して観音開きに構成してもよい。また、前記横蓋を、側部開口に対してスライドさせるよう構成してもよい。そして、装置使用時には、前記側部開口4,20を横蓋5で閉じてなる閉塞状態の箱状部材内に表土種子が採取されうる。
また、図5において、通気性を有し表土種子を収容する土のう袋(採取袋の一例)を吸引口に連通するよう着脱自在に取り付けてもよい。この場合、前記土のう袋は箱状部材に備わっている、箱状部材本体の側方から出し入れ自在な抽出し体内に収容されている。また、前記採取袋は、一定以上の大きさの種子、落葉落枝(リター)及び表層土壌(腐葉土)を通さない目合を持つメッシュ製ものであってもよい。そして、装置使用時において抽出し体21内に採取された表土種子は、その後、抽出し体21を引き抜くことで、抽出し体21と共に側方から取り出すことができる。
本願発明では、表土種子の採取(回収)効率を向上することができる表土種子採取方法が得られる。
本願の請求項1に係る発明では、吸引装置の吸引力によって移動する表土種子が、排気口の上流側に設けられている仕切り板に当たって下方に戻るので、吸引管を通った採取物は箱状部材内においてほぼ100%の回収(採取)が可能であり、回収(採取)効率を向上できる。
さらに、本願の請求項1に係る発明では、採取袋に表土種子の大半を収集(収容)することで、詰め替え等の作業を排除できる。すなわち、採取袋に溜まった表土種子を採取袋ごと取り出すことができる。そのため、表土種子の詰め替え作業を不要にできる。また、取り出した採取袋ごと冷蔵庫に保管しておくことにより、表土種子を長持ちさせることができるとともに、表土種子が溜まった採取袋を必要なときはいつでも持ち運びできる。
以下、図面を用いて、本発明の実施形態を説明する。
図1は、吸引口および排気口を上部に有するとともに前方開口(箱状部材の側部開口の一例)を有し、さらに、前方開口を開閉自在に覆う横蓋を含む直方体形状の箱状部材を設けるとともに、排気口の上流側に採取袋および仕切り板を設けた本発明の第1の実施形態を示す。
図1において、表土種子採取装置Dは、表土種子(現地の森林表土及び現地種子を含む。図示せず)を収容するとともに、箱状部材本体3aの上部(上面)Aに吸引管に連通する吸引口1および排気管に連通する排気口2を備えてなる中空の直方体形状の箱状部材3を備えている。また、箱状部材3は、前方開口4およびこの前方開口4を覆うよう例えば蝶番などを使用して箱状部材本体3aに開閉自在に装着される横蓋5を含んでいる。さらに、表土種子採取装置Dは、箱状部材3内に吸引口1を介して表土種子を導入する吸引力を発生させるとともに排気口2から排気するための軽量のエンジンブロア(吸引装置の一例:図示せず)と、排気口2の上流側に設けられ前記吸引装置の吸引力によって移動する表土種子が排気口2から排出されることを阻止する仕切り板6と、排気口2の上流側に設けられ前記吸引装置の吸引力によって移動する表土種子を採取する採取袋9とを主として具備している。採取袋9は、通気性を有し表土種子を収容する土のう袋、あるいは、通気性を有しており、一定以上の大きさの種子、落葉落枝(リター)及び表層土壌(腐葉土)を通さない目合を持つメッシュ製のものであってもよい。なお、Kは吸引方向を示す。
前記箱状部材3は、前記箱状部材本体3aと前記横蓋5から構成されている。そして、箱状部材本体3aは、上部(上面)A、下部(下面)B、三つの側部(三つの側面:すなわち、後面G、右側面E、左側面F)および一つの前方開口(側部開口の一例)4を有している。吸引口1と排気口2は前記上部Aに形成されていればよく、前記上部Aにおける吸引口1と排気口2の位置は適宜設定できるものである。そして、箱状部材3(箱状部材本体3a)に対して吸引方向の上流側に設けられた適宜の長さの可撓管(吸引管の一例:図示せず)が前記上部Aに形成された吸引口1に接続されている。一方、前記吸引装置へ延びる短い長さに形成された軽量の排気管(図示せず)が前記上部Aに形成された排気口2に接続されている。また、この実施形態では、前方開口4を覆う横蓋5が蝶番などを使用して片開きに構成されている。横蓋5は前方開口4を閉塞しうる大きさに形成されており、横蓋5側と箱状部材本体3a側に対向する形で設けた係止手段によって前方開口4が横蓋5によって閉じられるように構成されている。
前記仕切り板6は、この実施形態では縦断面L字型の板体で構成されており、排気口2の大きさ以上の大きさを有する平面視矩形の水平面部7と、水平面部7の一辺7aから適宜の高さhだけ上方に垂直に立設された側面視矩形の垂直面部8とよりなる。そして、箱状部材本体3aにおける排気口2寄りの三つの内側面(上面Aの内面部分a、後面Gの内面部分g、左側面Fの内面部分f)に対し仕切り板6が例えば溶接等の接合手段により取り付けられている。すなわち、上面Aの内面部分a(例えば図4参照)と垂直面部8におけるY方向に延びる水平な上辺8aとが接合され、後面Gの内面部分gと垂直面部8におけるZ方向に延びる垂直な後辺8bとが接合され、後面Gの内面部分gと水平面部7のX方向に延びる水平な後辺7bとが接合され、左側面Fの内面部分f(例えば図4参照)と水平面部7のY方向に延びる水平な左辺7cとが接合されており、前方開口4を横蓋5で覆う閉塞空間が形成された箱状部材3の使用状態では仕切り板6(水平面部7の手前側の横辺7dおよび垂直面部8の手前側の縦辺8c)と横蓋5との間に、吸引口1と排気口2を連通させる隙間Sおよび隙間S’が形成されている。なお、隙間の位置は適宜設定されうる。例えば、図1において、左側面Fの内面部分fと水平面部7のY方向に延びる水平な左辺7cとの間にも隙間を設けることができる。また、仕切り板6の板体形状は、この実施形態で示した縦断面L字型の板体形状以外のものでも、吸引装置の吸引力によって移動する表土種子が排気口2から排出されることを阻止する形状のものであれば本発明に適用可能である。また、仕切り板6が、一定以上の大きさの種子、落葉落枝(リター)及び表層土壌(腐葉土)を通さない目合を持つメッシュを備えるもの(例えば、網体、パンチングメタルなどの有孔板)であってもよい。
この実施形態では、採取袋9は、吸引口1に連通するよう着脱自在に取り付けられている。すなわち、図1に示すように、採取袋9は、例えば、吸引口1の下流端部1aに着脱自在に取り付けられるよう形成された取付口9aを有しており、取付口9aを介して採取袋9は、吸引口1に着脱自在に接続されており、この接続形態は、一例を挙げると、大型の電気掃除機に採用される公知の大型フィルタに形成された流入口部を掃除機の吸引口部に着脱自在に接続する構成と同様のものであり、取付口9aを少ない力で差し込み・取り外すだけの簡易な構成であるので、着脱動作は人力で容易に行える。また、採取袋9としては、例えば一辺に開放口を有するように構成したもの(例えば図2参照)を挙げることができ、採取袋9は開放口9bを有しており、この開放口9bを吸引口1の下流端部1aの外側から下流端部1aに束ねた状態で、束ねた部分を例えば紐体を用いて下流端部1aに縛りつけることで採取袋9を吸引口1に接続するようにしてもよく、この場合はより簡易な構成で着脱動作ができる。
また、前記側部開口は前方開口4に限られるものではなく、前記側部開口を、箱状部材本体3aの例えば三つの側部(三つの側面:すなわち、後面G、右側面E、左側面F)の何れに設けてもよい。
而して、表土種子採取装置Dは、装置全体を例えばドングリの自生地等、表土種子の採取が可能なエリアまで運搬した後、主として可撓管(吸引管の一例)のみを手に持って(あるいは抱えて)表土種子の採取作業にあたることを想定したものであり、装置D全体の運搬も比較的容易に行えるように、箱状部材3、すなわち、箱状部材本体3aと横蓋5を例えばアルミニウムやアクリル等の比較的軽い素材で構成することが好ましく、前述した軽量のエンジンブロア(吸引装置の一例)と、前述した軽量の排気管と、箱状部材3と、前述した可撓性の前記吸引管とを用いる簡易な構成によって、人力移動が可能な表土種子採取装置Dを得ることができる。また、この実施形態では、電源ケーブルやエアホース等の採取作業に支障をきたすおそれのある部材を使用しなくてもよく作業を向上できる。また、この実施形態では、横蓋5を開いて前方開口4から箱状部材本体3a内に溜まった表土種子を取り出すことができる。
図2は、上方開口を覆うよう開閉自在に装着される上蓋を含む箱状部材を用いる本発明の第2の実施形態を示す。なお、図2において、図1に示した符号と同一のものは同一又は相当物である。図2において、表土種子採取装置Dは、平面視矩形の上方開口10を覆うよう開閉自在に装着される縦断面逆U字型で平面視矩形の上蓋15を含む直方体形状の箱状部材3と、箱状部材3に表土種子(現地の森林表土及び現地種子を含む。図示せず)を導入する吸引力を発生させる軽量のエンジンブロア(吸引装置の一例)16と、箱状部材3に対して吸引方向の上流側に設けられた適宜の長さの可撓管(吸引管の一例)17とを主として具備している。この実施形態では、箱状部材本体3aが、上方開口10、下部(下面)Bおよび四つの側部(側面)を有している。なお、Kは吸引方向を示す。
さらに、上蓋15は、吸引管17を接続するため形成された吸引口1を有するとともに吸引装置16へ延びる短い長さに形成された軽量の排気管18を接続するため形成された排気口2を有する。上蓋15は、平面視矩形の上面部Hと、上面部Hの四つの端辺から下方に垂下して延設形成された側面部Iよりなる。吸引口1と排気口2は上蓋15の上面部Hに形成されていればよく、上面部Hにおける吸引口1と排気口2の位置は適宜設定できるものである。さらに、上蓋15には、吸引装置16の吸引力によって移動する表土種子が排気口2から排出されるのを阻止する仕切り板6が排気口2の上流側に設けられている。採取袋9は、吸引口2に着脱自在に接続されておらず、箱状部材本体3a内において一面に広げて配置してある。仕切り板6は、上記第1の実施形態で用いたものと同一のものであり、縦断面L字型の板体で構成されており、排気口2の大きさ以上の大きさを有する平面視矩形の水平面部7と、水平面部7の一辺7a(図1参照)から適宜の高さhだけ上方に垂直に立設された側面視矩形の垂直面部8とよりなる。この実施形態では、上蓋15の内面(裏面)部分15aにおける排気口2の直下に、排気口2の大きさ以上の大きさを有して水平面部7が位置している。この実施形態では、例えば上蓋15の上面部Hの内面部分a’(15a)と垂直面部8におけるY方向(図1参照)に延びる水平な上辺8aとが例えば溶接等の接合手段により接合されており、例えば左側面Fの内面部分fと水平面部7のY方向に延びる水平な左辺7cとの間に吸引口1と排気口2を連通させる一つの隙間Mが形成されている。なお、排気口2の位置に応じて接合位置を変更することにより、吸引口1と排気口2を連通するための一つの隙間だけを設けるか、二つの隙間を設けるか、三つの隙間を設けるかが適宜設定されうる。
而して、表土種子採取装置Dは、装置全体を例えばドングリの自生地等、表土種子の採取が可能なエリアまで運搬した後、主として可撓性の吸引管17のみを手に持って(あるいは抱えて)表土種子の採取作業にあたることを想定したものであり、吸引管5の長さは例えば3m程度とすることができる。ここで、吸引管17の直径をあまりに大きくし過ぎると吸引管17自体が重くなって機動性が低下してしまい、逆に小さくし過ぎると必要な吸引力(流量)が得られない。具体的には、吸引管17の先端部17a以外の直径を100mm程度とし、吸引管17内の風速が50m/min程度となるようにしている。なお、吸引管17の先端部17aは例えば100mmよりも大きな直径を持つ筒体に形成されている。そして、前記エンジンブロア(吸引装置の一例)16および前記可撓管(吸引管の一例)17とそれぞれ同一形状の吸引装置および吸引管を上記第1の実施形態でも用いている。さらに、装置D全体の運搬も比較的容易に行えるように、箱状部材3、すなわち、箱状部材本体3aと上蓋15を例えばアルミニウムやアクリル等の比較的軽い素材で構成することが好ましく、軽量のエンジンブロア(吸引装置の一例)16と、軽量の排気管18と、箱状部材3と、可撓性の吸引管17を用いる簡易な構成によって、人力移動が可能な表土種子採取装置Dを得ることができる。また、この実施形態でも、電源ケーブルやエアホース等の採取作業に支障をきたすおそれのある部材を使用しなくてもよく作業を向上できる。また、この実施形態では、上蓋15を開いて上方開口10から採取袋9を含む箱状部材本体3a内に溜まった表土種子を取り出すことができる。
図3は、上方開口10を覆うよう開閉自在に装着される上蓋15を含む箱状部材3を用い、さらに、縦断面L字型の板体よりなる仕切り板6を上蓋15の裏面15aではなく、箱状部材本体3aの内側面(内面部分)jにおける上部に例えば溶接等の接合手段により設けた設けた本発明の第3の実施形態を示す。なお、図3において、図1、図2に示した符号と同一のものは同一又は相当物である。この実施形態でも、上蓋15を開いて上方開口10から箱状部材本体3a内に溜まった表土種子を取り出すことができる。また、この実施形態では、仕切り板6は、上記第1の実施形態で用いたものと同一のものであり、縦断面L字型の板体で構成されており、箱状部材本体3aの四つの側面部(前面、裏面、右側面、左側面)のうち例えば前記前面の排気口2寄りの内面部分jの上部において、前記前面の内面部分jと仕切り板6の水平面部7の一辺7c(図1参照)とが接合されている。
図4は、吸引口1および排気口2を上部に有するとともに右側方開口(側部開口の一例)20を有し、さらに、右側方開口20を開閉自在に覆う横蓋5を含む直方体形状の箱状部材3を設けるとともに、排気口2の上流側に仕切り板6(上記第1の実施形態で用いたものと同一のもの)を設けた本発明の第4の実施形態を示す。なお、図4において、図1、図2、図3に示した符号と同一のものは同一又は相当物である。
図4において、表土種子採取装置Dは、上記第1の実施形態と同様に上面(上部)Aに吸引管17に連通する吸引口1および排気管18に連通する排気口2を備えた中空の箱状部材3と、この箱状部材3の右側方開口20(箱状部材の側部開口の一例)に設けた横蓋5と、箱状部材3内に吸引口1を介して表土種子を導入するとともに排気口2から排気するための吸引装置16と、排気口2の上流側に設けられ吸引装置16の吸引力によって移動する表土種子が排気口2から排出されるのを阻止する仕切り板6とを具備している。前記箱状部材3は、箱状部材本体3aと前記横蓋5から構成されている。この実施形態では、横蓋5を、右側方開口20に対して凹凸等の係止手段を用いて嵌込むように構成しており、横蓋5を外して箱状部材本体3a内に溜まった表土種子を右側方開口20から取り出すことができる。また、仕切り板6は、排気口2が備わっている箱状部材本体3aの上面Aの内面(裏面)部分における排気口2の直下に、排気口2の大きさ以上の大きさを有して設けられている。この実施形態における仕切り板6の取付け方は、上記第1の実施形態における取付け方に基づいており、例えば左側面Fの内面部分fと仕切り板6の水平面部7の一辺7cとの間に少なくとも一つの隙間(吸引口1と排気口2を連通させる隙間)Nが形成されている。なお、上面Aに替えて第2の実施形態で示した上蓋15を設け、この上蓋15に吸引口1、排気口2、仕切り板6を設けてもよく、また、上面Aに替えて第3の実施形態で示した上蓋15を設け、仕切り板6を上蓋15の裏面15aではなく、箱状部材本体の内側面における上部に設けてもよい。
図5は、上部に吸引管17に連通する吸引口1および排気管18に連通する排気口2を備えるとともに、直方体形状の箱状部材本体3aの側方から出し入れ自在な抽出し体21を備えた箱状部材3と、排気口2の上流側に設けられ吸引装置16の吸引力によって移動する表土種子が排気口2から排出されることを阻止する仕切り板6とを設けた本発明の第5の実施形態を示す。なお、図5において、図1〜図4に示した符号と同一のものは同一又は相当物である。
図5において、表土種子採取装置Dは、箱状部材本体3aの上面A(上部)に吸引管17に連通する吸引口1および排気管18に連通する排気口2を備えており、抽出し体21内に吸引口1を介して表土種子を導入するとともに排気口2から排気するための吸引装置16を備え、さらに、吸引装置16の吸引力によって移動する表土種子が排気口2から排出されるのを阻止する仕切り板6が排気口2の上流側に設けられている。抽出し体21は、平面視矩形の上方開口30を有する直方体形状をなし、平面視矩形の下面部31と、背面部32および前面部33を含む四つの側面部より構成されている。一方、箱状部材本体3aの例えば右側面部Rには、箱状部材本体3aに対し抽出し体21が側方から出し入れ自在な開口34が設けられている。抽出し体21の前面部33の外側には出し入れに便利な把手35が形成されている。そして、箱状部材3は、平面視矩形の箱状部材本体3aと、平面視矩形の抽出し体21の把手付き前面部33とより構成される。
また、仕切り板6は、上記第1の実施形態で用いたものと同じ構造のものであり、排気口2が備わっている箱状部材本体3aの上面Aの内面(裏面)部分aにおける排気口2の直下に、排気口2の大きさ以上の大きさを有して設けられている。この実施形態における仕切り板6の取付け方は、上記第1の実施形態における取付け方にもとづいており、上記第4の実施形態における取付け方と同じである。そして、この実施形態では、抽出し体21を引き出すことで、抽出し体21内に溜まった表土種子を上方開口30から取り出すことができる。なお、上面Aに替えて第2,3の実施形態で示した上蓋15を設けてもよく、また、仕切り板6を前記内面(裏面)部分aではなく、上記第3の実施形態のように、箱状部材本体3aの内側面jにおける上部に設けてもよい。
なお、図3〜図5の各実施形態では、いずれも仕切り板6のみを設けた例を図示したが、図3〜図5の各実施形態でも、仕切り板6と、表土種子を収容する土のう袋等の採取袋9の両方を設けている。