JP6885489B1 - 電力変換システムおよび電力変換システムの制御方法 - Google Patents

電力変換システムおよび電力変換システムの制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】モデル予測制御(MPC)を用いた電力変換システムにおいて、高い電流制御性能、低いスイッチング周波数の制御を行う。【解決手段】予測部7において、予測期間中の各出力周期に複数の仮定電圧ベクトルを設定し、検出電流に演算周期中の電流変化量Δidc,Δiqcを加算した補正電流値に基づいて仮定電圧ベクトルの予測電流を算出する。予測部7は、仮定電圧ベクトルと予測電流の評価関数Jを算出し、予測期間における仮定電圧ベクトルの組み合わせの中から評価関数Jが最上位の仮定電圧ベクトルの組み合わせを決定し、評価関数Jが最上位の仮定電圧ベクトルの組み合わせの中から実際に出力する仮定電圧ベクトルを指令電圧ベクトルV*として出力する。ゲート信号決定部8は、指令電圧ベクトルV*で表現される電圧を電力変換器3から出力するためのゲート信号gを出力する。【選択図】図4

Description

本発明は、電力変換器を用いて電圧を出力する電力変換システムにおける電流制御法に関する。
入力された三相交流電圧をレクティファイア(交流−直流変換器)で直流電圧に変換し、直流電圧をインバータ(電力変換器)によって所望の周波数,振幅の交流電圧として出力するシステムを考える。インバータは半導体素子のスイッチングによって出力電圧を制御する。このとき、インバータの出力可能な電圧は離散的な値となる。
このようなシステムでは、出力電流を所望の値とするために電流制御を用いることがある。電流制御の一般的な構成では、まず、ACR(Auto Current Regulator:電流制御器)が連続的な値で指令電圧を決定する。しかし、連続的な電圧値は実際には出力不可能である。そのため、三角波比較PWM(Pulse Width Modulation)を行い、指令電圧を平均的に達成できる離散的な出力電圧を確定する。
しかし、ACRと三角波比較PWMを用いた構成以外にも電流制御の方法は存在する。その一例が、本願の対象とするMPC(Model Predictive Control:モデル予測制御)である。MPCでは、仮定した出力電圧それぞれに対する電流の変化を予測し、出力電流の軌跡が最も指令電流に追従するような電圧を実際の出力として採用する。離散的な出力電圧をあらかじめ考慮しており、瞬時電流を予測できるのがMPCの特長である。
MPCに関しては、非特許文献1、特許文献1が開示されている。非特許文献1においては、MPCの基本的な制御構成、モータの状態方程式を用いた電流の予測方法、そして予測電流と電圧ベクトルの評価方法が述べられている。評価方法に関して、指令電流と各予測電流の偏差、全偏差のうちの最大値、電圧ベクトルの変化回数、といった項目を考慮することで、指令電流と近い出力電流を得られ、かつ、電圧変化回数(スイッチング回数)の少ない出力電圧を決定できる。
特許文献1では、電流の予測演算をi(n+2)まで行うMPCの制御法が述べられている。この特許文献1においては、検出の時刻をnとし、演算時間中の電流変化を予測してi(n+1)を得ている。その後、i(n+1)からインバータの電圧ベクトル分岐を考えてi(n+2)を算出し、i(n+2)の評価で電圧ベクトルを定めている。
特開2010−252433号公報
門田充弘、道木慎二、大熊繁、「永久磁石同期モータの電流制御系に対するモデル予測制御の適用」、電学論C、131巻4号、2011年、pp.861−869
非特許文献1は、演算時間中の電流変化を考慮していない。
特許文献1では、検出電流をi(n)とし、そこから演算時間中の電流変化を予測して電流i(n+1)を算出する。そして、i(n+1)を用いてi(n+2)を算出する。このようにして先の電流の予測電流を得ている。しかし、n+2以降の予測を行う場合、1回の演算で複数周期分の電圧ベクトルを定める場合などの一般的かつ具体的な演算方法について言及していない。
以上示したようなことから、モデル予測制御(MPC)を用いた電力変換システムにおいて、高い電流制御性能、低いスイッチング周波数の制御を行うことが課題となる。
本発明は、前記従来の問題に鑑み、案出されたもので、その一態様は、 指令値に基づいて指令電流を生成する上位制御部と、モデル予測制御により、予測期間中の各出力周期に複数の仮定電圧ベクトルを設定し、検出電流に演算周期中の電流変化量を加算した補正電流値に基づいて前記仮定電圧ベクトルの予測電流を算出し、前記仮定電圧ベクトルと前記予測電流の評価関数を算出し、前記予測期間における前記仮定電圧ベクトルの組み合わせの中から前記評価関数が最上位の前記仮定電圧ベクトルの組み合わせを決定し、前記評価関数が最上位の前記仮定電圧ベクトルの組み合わせの中から実際に出力する仮定電圧ベクトルを指令電圧ベクトルとして出力する予測部と、前記指令電圧ベクトルで表現される電圧を電力変換器から出力するためのゲート信号を出力するゲート信号決定部と、ゲート信号に基づいて駆動制御される電力変換器と、を備えたことを特徴とする。
また、その一態様として、前記演算周期中の電流変化量は、以下の(5)式により算出することを特徴とする。
Figure 0006885489
Figure 0006885489
Δidc:演算周期中の電流変化量(d軸)
Δiqc:演算周期中の電流変化量(q軸)
Tc:出力周期(=演算周期)
id:検出d軸電流
iq:検出q軸電流
vdz:d軸電圧ベクトル前回値
vqz:q軸電圧ベクトル前回値
R:巻線抵抗
Ld:d軸インダクタンス
Lq:q軸インダクタンス
ωr:検出電気角速度
ψ:永久磁石鎖交磁束数。
また、他の態様として、指令値に基づいて指令電流を生成する上位制御部と、1演算周期に複数出力周期の電圧ベクトルを決定するモデル予測制御により、予測期間中の各出力周期に複数の仮定電圧ベクトルを設定し、検出電流に演算周期中の電流変化量を加算した補正電流値に基づいて前記仮定電圧ベクトルの予測電流を算出し、前記仮定電圧ベクトルと前記予測電流の評価関数を算出し、前記予測期間における前記仮定電圧ベクトルの組み合わせの中から前記評価関数が最上位の前記仮定電圧ベクトルの組み合わせを指令電圧ベクトル行列として出力する予測部と、複数出力周期の前記指令電圧ベクトル行列から今回出力周期の電圧ベクトルを選択し、出力電圧ベクトルとして出力する読み出し部と、前記出力電圧ベクトルで表現される電圧を電力変換器から出力するためのゲート信号を出力するゲート信号決定部と、ゲート信号に基づいて駆動制御される電力変換器と、を備えたことを特徴とする。
また、その一態様として、前記演算周期中の電流変化量は、各出力周期中の電流変化量を以下の(21)式により算出し、演算周期中のすべての出力周期の電流変化量を加算した値とすることを特徴とする。
Figure 0006885489
Figure 0006885489
Δidc:出力周期中の電流変化量(d軸)
Δiqc:出力周期中の電流変化量(q軸)
Tc:出力周期
id’:検出d軸電流、または、d軸電流
iq’:検出q軸電流、または、q軸電流
vdz:d軸電圧ベクトル前回値
vqz:q軸電圧ベクトル前回値
R:巻線抵抗
Ld:d軸インダクタンス
Lq:q軸インダクタンス
ωr:検出電気角速度
ψ:永久磁石鎖交磁束数。
また、その一態様として、前記補正電流値は、検出電流に演算周期中の電流変化量、および、電流検出に対する出力電圧変化のタイミングずれ期間における電流変化量を加算した値とすることを特徴とする。
また、その一態様として、前記電流検出に対する出力電圧変化のタイミングずれ期間における電流変化量は、以下の(17)式により算出することを特徴とする。
Figure 0006885489
Figure 0006885489
Δiddel:電流検出に対する出力電圧変化のタイミングずれ期間における電流変化量(d軸)
Δiqdel:電流検出に対する出力電圧変化のタイミングずれ期間における電流変化量(q軸)
Tdel:電流検出に対する出力電圧変化のタイミングずれ期間
id:検出d軸電流
iq:検出q軸電流
vdzz:d軸電圧ベクトル前々回値
vqz:q軸電圧ベクトル前々回値
R:巻線抵抗
Ld:d軸インダクタンス
Lq:q軸インダクタンス
ωr:検出電気角速度
ψ:永久磁石鎖交磁束数。
本発明によれば、モデル予測制御(MPC)を用いた電力変換システムにおいて、高い電流制御性能、低いスイッチング周波数の制御を行うことが可能となる。
実施形態1〜4における電力変換システムの構成図。 2レベルインバータの電圧ベクトルと相電圧の関係を示す図。 検出電流と予測電流の関係を示す図。 実施形態1におけるMPCを示すブロック図。 実施形態1における予測部の処理を示すフローチャート。 実施形態2におけるMPCを示すブロック図。 実施形態2における予測部の処置を示すフローチャート。 実施形態3におけるMPCを示すブロック図。 実施形態3における予測部の処理を示すフローチャート。 実施形態3における読み出し部の処理を示すフローチャート。 実施形態4におけるMPCを示すブロック図。 実施形態4における予測部の処理を示すフローチャート。
以下、本願発明におけるモデル予測制御(MPC)を用いた電力変換システムの実施形態1〜4を図1〜図12に基づいて詳述する。
[実施形態1]
図1に本実施形態1における電力変換システムの構成図を示す。上位制御部1はMPC2より上流に存在する制御を示しており、例えば、盤・パネルの操作量やアクセル開度などの情報に基づく速度指令と検出速度とを用いて速度制御演算を行い、指令電流i*を生成する。
上位制御部1から出力された指令電流i*と、検出電流iと、検出位相θはMPC(モデル予測制御部)2へと入力される。ただし、検出位相θは電気角であり、例えば検出値がモータの機械的な位置である場合、適宜極対数を用いて変換を行うものとする。
MPC2ではモデルパラメータをもとに次回以降の電流を予測する演算を行い、その結果をもとに電圧ベクトルを決定する。MPC2からは決定した電圧ベクトルの通りに出力するためのゲート信号gが出力され、ゲート信号gにより電力変換器(例えばインバータ、以下インバータと称する)3が駆動される。
インバータ3はモータなどの負荷4に接続されており、負荷4にはゲート信号gに応じた電圧が印加される。
図1はMPCによる電力変換システムの代表的なシステム構成例であり、本願発明の適用対象はこれに限らない。例えば、電源に回生を行うDC/AC変換器においてモデル予測に基づき電流制御を行う構成,電気角をPLL(Phase Locked Loop)で推定してMPCで用いる構成,単相の構成,などでもよい。重要なのは、モデル予測制御によって電流予測結果をもとに電圧ベクトルを決定し、その電圧ベクトルで電力変換器を駆動することである。
本明細書での制御に関連する周期・期間などの定義を以下に記す。
予測刻み:電流の予測刻み時間(i(n)の時刻からi(n+1)の時刻までの時間幅)
予測期間:電流を予測する最も先の時刻とi(n)の時刻の時間幅
出力周期:電圧の出力を切り替える周期
演算周期:予測演算を行う周期。
出力周期ごとにスイッチングするかどうかの選択がなされるため、以下では予測刻みと出力周期を同じ時間幅として扱う。また、本実施形態1では演算周期と出力周期を同じとする。
MPC2では、インバータ3の電圧ベクトルを仮定し、その仮定電圧ベクトルを出力した場合の予測電流を求め、最適な予測結果となる電圧ベクトルを採用し、実際の出力とする。
MPC2は予測電流を評価して出力電圧を決定するため、電流の予測精度が重要となる。電流予測演算は状態方程式に基づく。例えば、負荷にPMSM(永久磁石同期電動機)が用いられる場合には(1)式の状態方程式となる。ここで、Ldはd軸インダクタンス、Lqはq軸インダクタンス、Rは巻線抵抗、ψは永久磁石鎖交磁束数、ωrは検出電気角速度である。以下では(1)式、つまりPMSMを基準に説明するが、本願発明の本質から、本願発明は状態方程式が(1)式の場合以外に適用しても構わない。
Figure 0006885489
(1)式は連続的な状態方程式であるが、これを離散的な制御系で扱うために離散状態方程式にすると(2)式になる。(2)式のIは単位行列を示す。また、単に傾きと出力周期Tcの積をとって近似的に変化量として扱い、(3)式としてもよい。
Figure 0006885489
Figure 0006885489
(2)式,(3)式より、出力周期1周期先の電流id(n+1),iq(n+1)を予測するために、現在時刻に相当する電流id(n),iq(n)と電圧vd(n),vq(n)が必要となる。
電圧vd(n),vq(n)については予測演算の前段で仮定した電圧ベクトルを用いる。例えば、直流電圧vdcの2レベルインバータでは電圧ベクトルは図2になるため、(4)式の計算で仮定電圧ベクトルをdq軸上の電圧に変換できる。ここで、θ(n)はモータ位相である。位相は角周波数に応じて進み補償を行ってもよいが、詳細な演算は後述する。
Figure 0006885489
一方、電流id(n),iq(n)については検出値を基準とする。予測途中の電流id(n+a),iq(n+a)から電流id(n+a+1),iq(n+a+1)を求める演算であればn+a番目の予測値を用いることができるが、予測開始点であるn番目の電流id(n),iq(n)に関しては仮定することはできず、検出値を基準にしなければならない。検出値基準の電流id(n),iq(n)を用いるのではなく推定値を用いる構成もあり得るが、実用上、検出値を用いた補正や、複数周期ごとに検出値基準の電流を用いる構成を必要とする。つまり、いずれにしても検出値を基準とすることになる。
ただし、電流id(n),iq(n)には検出値を基準とした値を用いるが、検出値そのものを用いてしまうと予測精度の低下につながる。
図3に検出電流と予測電流の関係を示す。実線で出力電流、点線で予測電流を示した。Tcは出力周期である。予測電流i(n)はd軸,q軸電流であるが、d軸,q軸電流どちらにも当てはまる性質を示しているためd,qの表記を省略した。
2周期目において、1周期目の終わりで検出した電流と仮定した電圧ベクトルをもとに、3周期目以降の電流を予測している。また、仮定する電圧ベクトルは複数種類のため、点線の予測電流は複数に分岐している。
図3(a)は、i(n)に検出値を用いる場合である。図3を見ると、検出時刻とi(n)の時刻に出力周期Tcだけの時間差がある。この時間差は検出値から次回以降の出力電圧を決定するまでの演算時間であり、検出時刻とi(n)の時刻を同時刻とすることは不可能である。
だが、演算時間中には前回出力周期に決定した電圧ベクトルを出力しており、電流は検出時刻からi(n)の時刻までに検出値から変化する。したがって、i(n)に検出値を用いると制御内で用いたi(n)の値とi(n)の時刻の実際の出力電流の値が異なってしまう。これにより、電流予測精度の低下が懸念される。電流予測精度が低下すると、その後の電流評価の妥当性も低下してしまうので、電流リプルの増大やスイッチング周波数上昇の原因となる。
図3(b)は、検出値に演算時間中の電流変化量を加算した値をi(n)として用いる場合である。前回周期に決定した電圧ベクトルを用いて検出時刻からi(n)の時刻までの電流予測演算を行い、演算時間中の電流変化を予測している。破線がその電流変化を示している。これを行うことで正確なi(n)を得ており、電流予測精度が図3(a)よりも向上している。
以上のように、演算時間中の電流変化を予測することで電流予測精度を向上し、電流リプル低減、スイッチング周波数低減といった効果を得られる。
以下では、演算時間中の電流変化を予測するための構成を述べる。図4に本実施形態1におけるMPC2の構成図を示す。指令電流i*は便宜上、指令d軸電流id*、指令q軸電流iq*に分割する。三相二相変換部5は、三相の検出電流iを検出位相θに基づいて、UVW/dq変換し、検出d軸電流id、検出q軸電流iqに変換する。
微分器6は、検出位相θを微分処理、あるいは疑似微分処理して検出電気角速度ωrを出力する。
指令d軸電流id*,指令q軸電流iq*,検出d軸電流id,検出q軸電流iq,検出位相θ,検出電気角速度ωr,指令電圧ベクトル前回値Vz*は予測部7に入力される。予測部7は電流の予測演算と予測結果の評価を行い、次回以降の出力電圧ベクトルである指令電圧ベクトルV*を出力する。指令電圧ベクトルV*は1回遅延を経て指令電圧ベクトル前回値Vz*として予測部7に入力され、次回の予測演算に用いられる。
ゲート信号決定部8ではシステムの回路構成に基づき指令電圧ベクトルV*で表現される電圧をインバータから出力するためのゲート信号gの決定、およびデッドタイムの挿入を行う。そして、ゲート信号gはMPC2の出力となる。本実施形態1では、指令電圧ベクトルV*の通りの電圧が出力される範囲内であればゲート信号決定部8の構成は特に限定しない。
図4で重要なのは、予測部7では動的に電流予測演算を行うことであり構成は図2に限らない。例えば、検出電気角速度ωrを用いず推定電気角速度を用いる構成も許容される。
図5は、予測部7の処理を示すフローチャートである。予測部7は、以下の処理を行う。
(A)演算時間中の電流変化を予測する。
(B)次回以降の出力周期の電圧ベクトルを仮定し、その場合の予測電流を得る。
(C)予測電流と仮定した電圧ベクトルを評価する。
(D)評価結果の良い電圧ベクトルを採用し、出力とする。
(A)の処理は本願発明の本質であり、(B),(C),(D)はMPCにおいて基本的な処理である。
1−1において、指令d軸電流id*,指令q軸電流iq*,検出d軸電流id,検出q軸電流iq,検出位相θ,検出電気角速度ωr,指令電圧ベクトル前回値Vz*を入力する。
1−2において、採用された指令電圧ベクトル前回値Vz*、検出d軸電流id,検出q軸電流iqから演算時間、ここでは出力周期Tc中の電流変化量Δidc,Δiqcを求める。この演算は、(3)式に基づき(5)式のように行えばよい。ただし、行列A,Bとベクトルeψは(1)式と同様であり、vdz,vqzは指令電圧ベクトル前回値Vz*をdq軸電圧に変換した値である。
Figure 0006885489
1−3では、検出d軸電流id,検出q軸電流iqに1−2で求めた演算時間中の電流変化量Δidc,Δiqcを加算し、これを予測演算の始点であるid(n),iq(n)とする。このid(n),iq(n)を補正電流値とする。
1−2,1−3は上記の(A)に相当し、これらの処理により検出時刻からid(n),iq(n)の時刻までの電流変化が考慮され、電流予測演算の精度が向上する。
1−4は予測期間中の各出力周期に仮定電圧ベクトルV’(n+a)を設定する。aは予測開始から何番目の出力周期を考慮しているかを示すカウンタ値であり、演算の進行に合わせて0からN−1まで増大する。Nは予測期間中の出力周期数である。本実施形態1では設定の仕方を特に限定しない。つまり、前回までの出力に応じてスイッチングの少ない変化となる電圧ベクトルとしてもよいし、出力可能なすべての電圧ベクトルの中から1つを選んでもよい。
1−5は仮定電圧ベクトルを出力した場合の電流変化量の予測である。仮定電圧ベクトルV’(n+a),id(n+a),iq(n+a)から出力周期Tc中の電流変化量Δid,Δiqを求める。id(n+a),iq(n+a)は、aが0の時は補正電流値であり、aが1以上の時は予測電流である。1−2と同様に(6)式のような演算とすればよい。
Figure 0006885489
ここで、vd’(n+a),vq’(n+a)は仮定電圧ベクトルv’(n+a)をdq軸上の電圧に変換したものである。ただし、dq軸電圧を得るにはモータ位相が必要となるが、モータ位相については角速度に応じた位相進み補償を行ってもよい。この場合、(7)式の演算となる。
Figure 0006885489
θは検出位相、ωrは検出電気角速度、Tcは出力周期である。また、1+a+Kθは、演算時間(=出力周期)を表す1と、n番目からいくつ先の周期であるかを表すaと、出力周期中の任意の時刻の位相を電圧の基準に用いるための位相調整項Kθと、を加算したものである。なお、Kθは(8)式で定まる。Kθ=Tc/2で出力周期の中間の時刻がdq座標変換の基準となる。
Figure 0006885489
1−6では、id(n+a),iq(n+a)に1−5で求めた演算時間中の電流変化量Δid,Δiqを加算し、1周期先、つまり出力周期Tcだけ先の予測電流id(n+a+1),iq(n+a+1)を算出している。先の分岐がある場合、この電流は次のn+a+2番目の予測電流を得るために用いられる。
1−4〜1−6は上記の(B)の処理に相当する。
1−7は仮定電圧ベクトルV’(n+a)および予測電流id(n+a+1),iq(n+a+1)の評価を行う。本実施形態1は任意の評価方法に適用できるが、例えば以下のように評価すればよい。
仮定電圧ベクトルV’(n+a),予測電流id(n+a+1),iq(n+a+1)を用いて評価関数Jを算出する。評価関数Jは望ましくない予測である場合に大きい値となる損失関数であり、複数の評価基準に重みをつけて算出される。予測電流と指令電流との偏差が小さいことを条件とする(9)式、(10)式、予測電流と指令電流の偏差が一定以上とならないための(11)式、(12)式、スイッチング回数が多くならないよう電圧ベクトル変化にペナルティを与える(13)式がそれぞれの評価基準である。ただし、idmax,iqmaxはそれぞれd軸電流、q軸電流の最大許容誤差である。最終的に重み係数Wid、Wiq、Widmax、Wiqmax、Wvを用いて(14)式によって評価関数Jを求める。
Figure 0006885489
Figure 0006885489
Figure 0006885489
Figure 0006885489
Figure 0006885489
Figure 0006885489
実際の1−7の演算では前回までの評価関数値を保持しておき、今回分である仮定電圧ベクトルV’(n+a),予測電流id(n+a+1),iq(n+a+1)に関する演算のみを行って重みづけして加算すればよい。
上述した評価関数は一例であり、本実施形態1の演算法に限らない。同じ評価内容でも、例えば(11)式、(12)式のQd、Qqを0,1の2値にせず、指令との偏差が大きいほど大きい値になるよう連続的な値を与えてもよい。また、PMSMの場合、(15)式のモータトルクTの導出から、(9)式の代わりに(16)式を評価基準としてもよい。ただし、(15)式のPnは極対数、(16)式のT*は指令トルクである。
Figure 0006885489
Figure 0006885489
以上の評価基準では、予測電流と指令電流との誤差が小さいだけでなく、電圧ベクトルの変更回数、つまりスイッチング回数の少ない電圧ベクトルについて評価関数が小さくなる。したがって、この評価基準によればスイッチング周波数を低減しつつ電流制御を行うことができる。
また、重み係数を調整することで、制御性能を変更できる。例えば、Wvを小さくすればスイッチング周波数を増加する代わりに電流制御性能を向上でき、WidよりもWiqを大きくすればidのリプルを大きくする代わりにiqのリプルを小さくできる。1−7の処理は、上記の(C)に相当する。
1−8は電圧ベクトルをすべて仮定し、演算したかどうかの分岐処理である。予測期間中の出力周期数がNのとき、考慮する電圧ベクトルはV’(n+N−1)までなので、考慮したいV’(n+N−1)すべてについて予測演算と評価を行ったなら分岐をすべて考慮したとして1−9へ進む。まだ考慮すべき電圧ベクトルが残っている場合は1−4へ戻り、次の電圧ベクトルを仮定する。
1−9では、評価結果を比較して最良の電圧ベクトルの組み合わせを定める。(14)式のように評価関数Jを定める場合は、最小のJとなるV’(n)〜V’(n+N−1)が最良の電圧ベクトルの組み合わせV(n)〜V(n+N−1)となる。
1−10では、最良の電圧ベクトルの組み合わせV(n)〜V(n+N−1)から実際に出力する電圧を指令電圧ベクトルV*に代入する。ここでは演算時間中の出力周期数を1としており、1−10ではV(n)のみを代入している。
1−9,1−10は、上記の(D)の処理に相当する。
1−11では、指令電圧ベクトルV*を出力する。以上が図5のフローチャートの動作である。
図5はモデル予測にもとづく電圧ベクトル決定の一例である。本実施形態1の予測部7の詳細な演算手順は図5のフローチャートに限らない。重要なのは、予測電流演算・評価の始点となる電流値id(n),iq(n)に検出値ではなく、検出値に演算周期中の電流変化量を加算した電流値を用いる点である。
以上示したように、本実施形態1によれば、図4,5に基づいて、演算時間中の電流変化を予測するMPCを行うことで、高い電流制御性能、低いスイッチング周波数、を達成した制御を行うことができる。
また、先行文献に対しては、予測期間が一般の場合に適用可能であるという利点がある。
[実施形態2]
実施形態1では、演算時間中の電流変化を考慮して予測演算の始点となる電流id(n),iq(n)を設定し、電流の予測精度を向上させた。
しかし、現実にはゲート信号gを決定してから実際にインバータ3から電圧が出力されるまでには通信等のタイムラグがある。
また、インバータ3のスイッチングの瞬間には高速な電流振動(リンギング)が生じるため、電圧ベクトルの切り替わりである出力周期の割り込みで検出を行うと振動途中の電流を検出する可能性がある。この対策のために電流検出割り込みを出力周期の割り込みからずらしたタイミングに設定する場合がある。
以上の理由から、検出電流と予測電流のタイミングにずれが生じることがある。このずれは上記のように複数の理由からなるが、本明細書では遅れ時間Tdelとしてまとめて呼称する。この場合の遅れとは、検出タイミングに対する予測電流変化の遅れであるが、予測電流変化タイミングは出力電圧の変化タイミングとみなせる。すなわち、電流検出に対する出力電圧変化のタイミングずれ期間が遅れ時間Tdelとなる。
瞬時電流を高度に予測することが求められるMPC2では、遅れ時間Tdelが数μs程度でも電流予測精度が低下するため、本実施形態2ではこの時間中の電流変化の考慮を行う。
図6に本実施形態2におけるMPC2の構成図を示す。遅れ時間Tdel中は前回決定した電圧ではなく前々回決定した電圧が出力されるため、指令電圧ベクトル前々回値Vzz*を予測部7の入力に追加した。それ以外の構成は実施形態1と同等である。
なお、前々回の電圧ベクトルと前回の電圧ベクトルがわかるならば、指令電圧ベクトル前々回値Vzz*と指令電圧ベクトル前回値Vz*でなくても、指令電圧ベクトル前々回値Vzz*と指令電圧ベクトル前々回値Vzz*から指令電圧ベクトル前回値Vz*への変化パターンなど、異なる入力を用いても構わない。
図7に本実施形態2における予測部7のフローチャートを示す。予測演算の始点であるid(n),iq(n)に演算周期中の電流変化量だけでなく電流検出に対する出力電圧変化のタイミングずれ期間(遅れ時間Tdel)中の電流変化量を加算した電流値を用いる点以外は図5と同様の処理である。
すなわち、図5の1−1と1−2の間に新たに2つの処理2−2,2−3が追加されている。ただし、2−4,2−5は追加した2−2,2−3に応じて一部変更している。追加した処理は遅れ時間Tdel中の電流変化量の予測である。
2−2では、指令電圧ベクトル前々回値Vzz*、検出d軸電流id,検出q軸電流iqから遅れ時間Tdel中の電流変化量Δiddel,Δiqdelを演算する。(3)式に基づいて、(17)式のように計算すればよい。ただし、vdzz,vqzzは指令電圧ベクトル前々回値Vzz*のdq軸電圧への変換値である。
Figure 0006885489
2−3では、検出d軸電流id,検出q軸電流iqに電流変化量Δiddel,Δiqdelを加算し、電流値id’,iq’を得る。
2−2,2−3の補正により、検出と出力のタイミングが揃えられたため、2−4,2−5ではこの電流値id’,iq’を用いて演算時間中の電流変化量Δidc,Δiqcおよび予測の始点id(n),iq(n)の算出を行う。
2−4以降は実施形態1の図5と同様に電圧ベクトルの仮定、電流予測演算・評価、最良の電圧ベクトルの採用を行う。以上が図7のフローチャートの動作となる。すなわち、本実施形態2では、検出電流に演算周期中の電流変化量Δidc,Δiqc、および、電流検出に対する出力電圧変化のタイミングずれ期間における電流変化量Δiddel,Δiqdelを加算した値を補正電流値としている。
ところで、位相の進み補正について下記のような修正を行ってもよい。2−4,2−7に用いる補正モータ位相θ’について(18)式、2−7に用いるモータ位相θ(n+a)について(19)式とすることで遅れ時間Tdel分の位相進みを考慮することができる。
Figure 0006885489
Figure 0006885489
以上示したように、本実施形態2によれば、図6,7に基づいて、演算時間中の電流変化を予測し、かつ、電流検出と出力電圧変化のタイミングずれを考慮したMPCを行うことで、高い電流制御性能、低いスイッチング周波数、リンギングの影響を受けないタイミングでの電流検出を達成した制御を行うことができる。
また、先行文献に対しては、予測期間が一般の場合に適用可能である、検出時刻と出力電圧変化時刻の差を考慮しているという利点がある。
[実施形態3]
図8に本実施形態3におけるMPC2の構成図を示す。本実施形態3は予測部7で複数出力周期の電圧ベクトルを決定し、指令とする。そのため、実施形態1と異なり予測部7の出力であるV*は単一の電圧ベクトルではなく指令電圧ベクトル行列となる。同様に前回値であるVz*も指令電圧ベクトル行列前回値となる。
また、予測部7とゲート信号決定部8の間に読み出し部9を設けている。読み出し部9は、複数出力周期分の指令電圧ベクトル行列V*から今回出力周期の電圧ベクトルを選択し、出力電圧ベクトルV**を決定する。読み出し部9の入力は、指令電圧ベクトル行列V*、カウンタ前回値Czであり、出力は出力電圧ベクトルV**、カウンタ値Cである。
ここで注意すべき点として、予測部7は演算周期、読み出し部9は出力周期で動作を行う点がある。1回遅延ブロックも入力先であるそれぞれの周期での1回遅延を意味する。
本実施形態3の重要な点は、実施形態1に対して複数周期分の電圧ベクトルを決定し、読み出す機構を設けた点であり、詳細な実装構成は図8に限らない。
実施形態1,実施形態2は演算周期と出力周期が等しい場合、つまり演算時間中にインバータ3の出力電圧が変わらない場合の電流予測演算法を述べた。
だが、MPC2では出力周期を短くした方が電流制御性能の向上が見込め、かつ、電流予測演算の演算負荷を考えると演算周期を短くすると実装不可能になる恐れがあるため、1回の演算で複数出力周期の電圧ベクトルを決定する構成に対応できることが望ましい。
本実施形態3では、演算周期中の出力周期数がNcalcである場合に演算時間中の電流変化を予測する構成を検討する。Ncalcは予測期間中の出力周期数N以下に設定するので、(20)式の関係がある。
Figure 0006885489
複数周期分の電圧ベクトルを扱うにあたっては、図8に示すように予測部7の出力を複数電圧ベクトルの行列情報とし、予測部7の後段に複数周期分の電圧ベクトル情報から出力周期ごとに1つを読み出す機構を追加する必要がある。また、本願発明の本質である演算時間中の電流変化の考慮も複数周期分の電圧ベクトルに対して行わなければならない。
図9に本実施形態3における予測部7のフローチャートを示す。実施形態1の図5と比べると、予測部7の出力を複数出力周期分の電圧ベクトルとしている点が異なり、それにともない演算時間中の電流変化予測の方法も異なっている。図9は演算周期Tcalcで動作する。
3−1は、図5の1−1と同様である。ただし、指令電圧ベクトル前回値Vz*を指令電圧ベクトル行列前回値Vz*に変更している。
3−2において、演算時間中の電流変化を考慮する繰り返し演算の初期値を定める。繰り返しを管理する変数bは1を、dq軸電流の一時的な値id’,iq’は検出d軸流id,検出q軸電流iqを初期値とする。
3−3では、指令電圧ベクトル行列前回値Vz*のb番目をVz’とする。ここで、指令電圧ベクトル行列前回値Vz*には1〜Ncalc番目までの電圧ベクトルがあり、読み出し部9では指令電圧ベクトル行列前回値Vz*を1番目から順に出力するものとしている。
3−4では、Vz’,id’,iq’から出力周期Tc中の電流変化量Δidc,Δiqcを求める。(3)式に基づいて、(21)式のように計算すればよい。ただし、vdz’,vqz’はVz’のdq軸電圧への変換値である。id’iq’はb=1の時、検出d軸電流,検出q軸電流であり、b=2〜Ncalcの時、前回のサイクルにおいて3−5で算出したd軸電流,q軸電流である。
Figure 0006885489
3−5では、id’,iq’に出力周期Tc中の電流変化量であるΔidc,Δiqcを加算する。
3−6は演算時間中の出力周期をすべて考慮したかどうかの分岐である。bが演算周期中の出力周期数Ncalcに到達していれば、演算周期中の電流変化をすべて加算したということであり3−8へ移行する。bが出力周期数Ncalc未満ならば3−7でbを1だけ増やして3−3に戻り、次の出力周期の電流変化量Δidc,Δiqcを演算する。すなわち、b=1〜Ncalcにおいて、各出力周期Tc中の電流変化量Δidc,Δiqcを算出し、演算周期中のすべての出力周期の電流変化量を加算した値が演算周期中の電流変化量となる。また、b=Ncalcの時の3−5で算出したid’iq’が補正電流値となる。
3−8では予測演算の始点である電流id(n),iq(n)に演算時間中の出力周期すべてについて電流変化量Δidc,Δiqcを加算した補正電流値id’,iq’を代入する。
3−9〜3−14は、実施形態1の1−4〜1−9と同様の処理であり、電圧ベクトルの仮定、電流の予測・評価を決定する。
3−15は、実施形態1から変更される。採用した電圧ベクトルから1番目のV(n)のみを代入するのではなく、演算時間中の出力周期数Ncalc番目までの電圧ベクトルを指令電圧ベクトル行列V*に代入する。以上が、図9のフローチャートの動作である。
図10に本実施形態3における読み出し部9のフローチャートを示す。図10ではカウンタを用いて、複数周期分の電圧ベクトル情報を持つ指令電圧ベクトル行列V*から今回の出力周期の電圧ベクトルである出力電圧ベクトルV**を決定する。複数周期分の電圧ベクトルから今回の出力周期の電圧ベクトルを読み出すことができれば、構成は図10に限らない。
図10の読み出し部9のフローチャートについて説明する。図10は出力周期Tcで動作する。
R−1では、指令電圧ベクトル行列V*,カウンタ前回値Czを入力する。R−2では、カウンタ値Cにカウンタ前回値Czを代入している。R−3では、指令電圧ベクトル行列V*のうちカウンタ値C(C番目)の電圧ベクトルV*[C]を出力電圧ベクトルV**に代入する。
R−4はカウンタ値Cに基づく分岐処理である。カウンタ値Cが演算周期中の出力周期数Ncalcに達していれば、R−5でカウンタ値Cを1に戻す。カウンタ値CがNcalcでなければR−6にてカウンタ値Cを1だけ増加する。
R−7で出力電圧ベクトルV**とカウンタ値Cを出力する。
このようにカウンタ値をループさせつつ指令電圧ベクトル行列のカウンタ値Cの箇所を出力電圧ベクトルV*に設定することで複数周期分の電圧ベクトルから1つの電圧ベクトルを読み出すことができる。
ただし、入力のカウンタ前回値Czが1であるタイミングと指令電圧ベクトル行列V*が更新されるタイミングは同期しているものとする。これを守れない場合、予測部7が想定するのと異なる出力電圧となり予測誤差につながるので注意する。
以上示したように、本実施形態3によれば、図8,9,10に基づいて、演算時間中の電流変化を予測し、かつ、1度の予測演算で複数周期分の電圧ベクトルを決定するMPCを行うことで、高い電流制御性能、低いスイッチング周波数、実施形態1,2よりも長い演算時間の確保を達成した制御を行うことができる。
また、先行文献に対しては、予測期間が一般の場合に適用可能である、電流予測演算により複数周期分の電圧ベクトルを決定する場合を考慮しているという利点がある。
[実施形態4]
図11に本実施形態4におけるMPC2の構成図を示す。本実施形態4は電流検出に対する出力電圧変化のタイミングずれ期間を考慮する構成と、予測部7にて複数周期分の電圧ベクトルを出力する構成を合わせたものである。すなわち、実施形態2の図6、実施形態3の図8を合わせたものである。
実施形態3は実施形態1を複数周期分の電圧ベクトルを扱う場合に対応した構成であった。実施形態3は実施形態2と組み合わせて用いることができ、これを本実施形態4とする。
図11に示すように、予測部7の出力を複数出力周期分の電圧ベクトルである指令電圧ベクトル行列V*にして後段に読み出し部9を設け、かつ、予測部7に指令電圧ベクトル行列前々回値Vzz*を代入している。読み出し部9については実施形態3の図10と同様に動作するものとする。
図12に本実施形態4における予測部7のフローチャートを示す。図12は図7と図9、つまり実施形態2,実施形態3のフローチャートの機能を合わせたものである。
図12に示す予測部7のフローチャートの動作を述べる。図12では演算時間中の電流変化量Δidc,Δiqcを算出する前に遅れ時間Tdel中の電流変化量Δiddel,Δiqdelを考慮する。
4−1では、図9の3−1に対して、指令電圧ベクトル行列前々回値Vzz*を追加して入力している。
4−2では指令電圧ベクトル行列前々回値Vzz*の最終出力周期であるNcalc番目の電圧ベクトルに関して遅れ時間Tdel中の電流変化量Δiddel,Δiqdelを求めている。(3)式に基づいて、(22)式のように計算すればよい。ただし、vdzz1,vqzz1は指令電圧ベクトル行列前々回値Vzz*[Ncalc]のdq軸電圧への変換値である。
Figure 0006885489
4−3では検出d軸電流id,検出q軸電流iqに電流変化量Δiddel,Δiqdelを加算した電流id’,iq’を演算時間中の電流変化を考慮した繰り返しの初期値に設定している。これで、検出からの出力変化の遅れ時間Tdelを考慮したことになる。
ところで、遅れ時間Tdelは出力周期Tc以下であると仮定しており、指令電圧ベクトル行列前々回値Vzz*からはNcalc番目のみを使用した。これに関し、入力情報を減らすために指令電圧ベクトル行列前々回値Vzz*すべてではなくNcalc番目のみを入力としてもよい。
また、遅れ時間Tdelが出力周期Tc以上である場合には、演算時間中の電流変化量演算の繰り返しと同様に、処理を複数に分ければよい。例えば(23)式の条件ならば、(24)式〜(29)式について式番号の順で処理を行えば遅れ時間Tdel中の電流変化量Δiddel,Δiqdelを考慮することができる。ただし、vdzz2,vqzz2はVzz*[Ncalc−1]のdq軸電圧への変換値である。
Figure 0006885489
Figure 0006885489
Figure 0006885489
Figure 0006885489
Figure 0006885489
Figure 0006885489
Figure 0006885489
4−4〜4−17は図9の3−3〜3−16と同様である。
以上示したように、本実施形態4によれば、実施形態2,3を合わせた、つまり、図10,図11,図12に基づいて、演算時間中の電流変化量を予測し、かつ、1度の予測演算で複数周期分の電圧ベクトルを決定し、かつ、電流検出と出力電圧変化のタイミングずれを考慮したMPCを行うことで、高い電流制御性能、低いスイッチング周波数、実施形態1,2よりも長い演算時間の確保、リンギングの影響を受けないタイミングでの電流検出を達成した制御を行うことができる。
また、先行文献に対しては、予測期間が一般の場合に適用可能である、検出時刻と出力電圧変化時刻の差を考慮している、電流予測演算により複数周期分の電圧ベクトルを決定する場合を考慮しているという利点がある。
以上、本発明において、記載された具体例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲で多彩な変形および修正が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変形および修正が特許請求の範囲に属することは当然のことである。
1…上位制御部
2…MPC(モデル予測制御部)
3…電力変換器(インバータ)
4…負荷
5…三相二相変換部
6…微分器
7…予測部
8…ゲート信号決定部
9…読み出し部

Claims (8)

  1. 指令値に基づいて指令電流を生成する上位制御部と、
    モデル予測制御により、予測期間中の各出力周期に複数の仮定電圧ベクトルを設定し、検出電流に演算周期中の電流変化量を加算した補正電流値に基づいて前記仮定電圧ベクトルの予測電流を算出し、前記仮定電圧ベクトルと前記予測電流の評価関数を算出し、前記予測期間における前記仮定電圧ベクトルの組み合わせの中から前記評価関数が最上位の前記仮定電圧ベクトルの組み合わせを決定し、前記評価関数が最上位の前記仮定電圧ベクトルの組み合わせの中から実際に出力する仮定電圧ベクトルを指令電圧ベクトルとして出力する予測部と、
    前記指令電圧ベクトルで表現される電圧を電力変換器から出力するためのゲート信号を出力するゲート信号決定部と、
    ゲート信号に基づいて駆動制御される電力変換器と、
    を備えたことを特徴とする電力変換システム。
  2. 前記演算周期中の電流変化量は、以下の(5)式により算出することを特徴とする請求項1記載の電力変換システム。
    Figure 0006885489
    Figure 0006885489
    Δidc:演算周期中の電流変化量(d軸)
    Δiqc:演算周期中の電流変化量(q軸)
    Tc:出力周期(=演算周期)
    id:検出d軸電流
    iq:検出q軸電流
    vdz:d軸電圧ベクトル前回値
    vqz:q軸電圧ベクトル前回値
    R:巻線抵抗
    Ld:d軸インダクタンス
    Lq:q軸インダクタンス
    ωr:検出電気角速度
    ψ:永久磁石鎖交磁束数
  3. 指令値に基づいて指令電流を生成する上位制御部と、
    1演算周期に複数出力周期の電圧ベクトルを決定するモデル予測制御により、予測期間中の各出力周期に複数の仮定電圧ベクトルを設定し、検出電流に演算周期中の電流変化量を加算した補正電流値に基づいて前記仮定電圧ベクトルの予測電流を算出し、前記仮定電圧ベクトルと前記予測電流の評価関数を算出し、前記予測期間における前記仮定電圧ベクトルの組み合わせの中から前記評価関数が最上位の前記仮定電圧ベクトルの組み合わせを指令電圧ベクトル行列として出力する予測部と、
    複数出力周期の前記指令電圧ベクトル行列から今回出力周期の電圧ベクトルを選択し、出力電圧ベクトルとして出力する読み出し部と、
    前記出力電圧ベクトルで表現される電圧を電力変換器から出力するためのゲート信号を出力するゲート信号決定部と、
    ゲート信号に基づいて駆動制御される電力変換器と、
    を備えたことを特徴とする電力変換システム。
  4. 前記演算周期中の電流変化量は、各出力周期中の電流変化量を以下の(21)式により算出し、演算周期中のすべての出力周期の電流変化量を加算した値とすることを特徴とする請求項3記載の電力変換システム。
    Figure 0006885489
    Figure 0006885489
    Δidc:出力周期中の電流変化量(d軸)
    Δiqc:出力周期中の電流変化量(q軸)
    Tc:出力周期
    id’:検出d軸電流、または、d軸電流
    iq’:検出q軸電流、または、q軸電流
    vdz:d軸電圧ベクトル前回値
    vqz:q軸電圧ベクトル前回値
    R:巻線抵抗
    Ld:d軸インダクタンス
    Lq:q軸インダクタンス
    ωr:検出電気角速度
    ψ:永久磁石鎖交磁束数
  5. 前記補正電流値は、検出電流に演算周期中の電流変化量、および、電流検出に対する出力電圧変化のタイミングずれ期間における電流変化量を加算した値とすることを特徴とする請求項1または3に記載の電力変換システム。
  6. 前記電流検出に対する出力電圧変化のタイミングずれ期間における電流変化量は、以下の(17)式により算出することを特徴とする請求項5記載の電力変換システム。
    Figure 0006885489
    Figure 0006885489
    Δiddel:電流検出に対する出力電圧変化のタイミングずれ期間における電流変化量(d軸)
    Δiqdel:電流検出に対する出力電圧変化のタイミングずれ期間における電流変化量(q軸)
    Tdel:電流検出に対する出力電圧変化のタイミングずれ期間
    id:検出d軸電流
    iq:検出q軸電流
    vdzz:d軸電圧ベクトル前々回値
    vqz:q軸電圧ベクトル前々回値
    R:巻線抵抗
    Ld:d軸インダクタンス
    Lq:q軸インダクタンス
    ωr:検出電気角速度
    ψ:永久磁石鎖交磁束数
  7. ゲート信号に基づいて駆動制御される電力変換器を備えた電力変換システムの制御方法であって、
    上位制御部において、指令値に基づいて指令電流を生成し、
    予測部において、モデル予測制御により、予測期間中の各出力周期に複数の仮定電圧ベクトルを設定し、検出電流に演算周期中の電流変化量を加算した補正電流値に基づいて前記仮定電圧ベクトルの予測電流を算出し、前記仮定電圧ベクトルと前記予測電流の評価関数を算出し、前記予測期間における前記仮定電圧ベクトルの組み合わせの中から前記評価関数が最上位の前記仮定電圧ベクトルの組み合わせを決定し、前記評価関数が最上位の前記仮定電圧ベクトルの組み合わせの中から実際に出力する仮定電圧ベクトルを指令電圧ベクトルとして出力し、
    ゲート信号決定部において、前記指令電圧ベクトルで表現される電圧を前記電力変換器から出力するためのゲート信号を出力する
    ことを特徴とする電力変換システムの制御方法。
  8. ゲート信号に基づいて駆動制御される電力変換器を備えた電力変換システムの制御方法であって、
    上位制御部において、指令値に基づいて指令電流を生成し、
    予測部において、1演算周期に複数出力周期の電圧ベクトルを決定するモデル予測制御により、予測期間中の各出力周期に複数の仮定電圧ベクトルを設定し、検出電流に演算周期中の電流変化量を加算した補正電流値に基づいて前記仮定電圧ベクトルの予測電流を算出し、前記仮定電圧ベクトルと前記予測電流の評価関数を算出し、前記予測期間における前記仮定電圧ベクトルの組み合わせの中から前記評価関数が最上位の前記仮定電圧ベクトルの組み合わせを指令電圧ベクトル行列として出力し、
    読み出し部において、複数出力周期の前記指令電圧ベクトル行列から今回出力周期の電圧ベクトルを選択し、出力電圧ベクトルとして出力し、
    ゲート信号決定部において、前記出力電圧ベクトルで表現される電圧を前記電力変換器から出力するためのゲート信号を出力する
    ことを特徴とする電力変換システムの制御方法。
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