以下に、添付図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。なお、以下、同じ部材又は要素(若しくは同様の機能を有する部材又は要素)については同じ符号を付して説明する。
図1及び図2に示すレール(分岐レールユニット又は分岐レールセット)1は、概略三角枠状に形成され、かつランナーが走行可能なループ状走行路2と、このループ状走行路のコーナー部と通じて延び、かつランナーが走行可能な分岐走行路3,4,5とを備えており、分岐走行路3,4,5は、三角枠状のループ状走行路2の隣接する両側端部から互い対向して直線的に延びる一対の対向走行路3,4と、三角枠状のループ状走行路2の頂部の端部から、前記対向走行路3,4の軸線方向に対して直交する方向に延びる交差走行路5とを備えている。また、前記ループ状走行路2は、一対の対向走行路3,4と通じて直線的に延びる直線走行路2aと、前記交差走行路5から内方に湾曲して延び、前記分岐走行路である一対の対向走行路3,4(直線走行路2aの両端部)に対して収束する湾曲収束路2b,2cとを含んでいる。また、レール1は、交差走行路5の軸線を中心線として対称形状に形成されている。
なお、前記分岐走行路3,4,5は、前記ループ状走行路2と一体に形成され、かつ前記一対の対向走行路の一部を形成する連絡走行路3a,4a,5aと、この連絡走行路に対して位置決めして連結可能な連結走行路3b,4b,5bとを備えている。
なお、レール1は、アルミニウムなどの金属で形成されており、レール1の湾曲部(湾曲収束路2b,2c及び連絡走行路3a,4a,5a)は曲げ加工により形成され、湾曲収束路2b,2cと連絡走行路3a,4a,5aとは溶接により強固に結合され、かつ表面加工により平滑化されている。この例では、レール1の湾曲部(湾曲収束路2b,2c及び連絡走行路3a,4a,5a)は、R=400〜600mm(例えば、450〜550mm)の曲げ加工により形成されている。
より詳細には、レール(分岐レールユニット又は分岐レールセット)1は、ループ状走行路2及び連絡走行路3a〜5aを形成する第1のレール部材12と、連結走行路3b〜5bを形成する連結レール部材(第2のレール部材)13〜15とを備えており、第1のレール部材12と第2のレール部材13〜15とは、連絡走行路3a〜5aと連結走行路3b〜5bとを突き合わせて、それぞれ連結又は接続可能である。
図3に示すように、第1のレール部材12は、直線走行路2a及び連絡走行路3aに対応する直線レール部12aと、湾曲収束路2b,2c及び連絡走行路4a,5aに対応する湾曲レール部12b,12cとを備えている。また、第1のレール部材12及び第2のレール部材13〜15は、下部壁の幅方向の中央部が開口してスリット状開口部を形成した断面四角形状(又は四角枠状)の形態を有しており、上部壁22の両側部から対向して延びる両側壁(内壁部)23,24のうち一方の内壁部23からは、スリット状開口部を形成する下部壁としての第1の走行壁25が内方に延出し、他方の内壁部24からは、前記第1の走行壁25とは高さ位置を異にして、第2の走行壁26が内方に延出しており(第1の走行壁25よりも上方の内壁部24から第2の走行壁26が延出しており)、これらの走行壁25,26の上面は、それぞれ、内方(延出方向)向かって下方に傾斜した傾斜面25a,26aとして形成されている。これらの傾斜面25a,26aは、ランナー41の回転又は車輪部材が接触して走行する走行面又は走行路を形成する。すなわち、対向する両側壁(内壁部)23,24からは、傾斜面(走行面又は走行路)25a,26aを有する一対の走行壁25,26が、互いに高さ方向の異なる位置から、互いに対向して内方に互い違いに延出している。
また、他方の内壁部24からは、スリット状開口部を形成する下部壁としての突出壁(又は規制壁)27が内方に延出し、突出壁(又は規制壁)27の上面も内方(延出方向)向かって下方に傾斜した傾斜面27aとして形成されている。
なお、一方の下部壁(走行壁)25の傾斜面25aの高さ位置は、他方の下部壁(突出壁又は規制壁)27の傾斜面27aよりも高く形成されているため、前記一方の下部壁25をランナー41の回転又は車輪部材と接触可能な第1の走行壁25として形成でき、前記他方の下部壁27は、回転又は車輪部材と非接触状態でランナー41が走行可能であり、過度にランナー41が傾斜したとき、ランナー41(例えば、ランナー41の軸部材)と接触してランナー41の過度な傾斜や脱輪を規制する突出壁(又は規制壁)27として形成できる。
さらに、前記走行壁25,26と各内壁部23,24とのコーナー部には、ランナー41の回転又は車輪部材が走行路(傾斜面)から過度に位置ずれ(走行ずれ)するのを規制するため、内方に突出して規制壁部(規制段部)25b,26bが形成されている。
前記レール1は、輸送効率を高めるため、所定長さを有しているものの、互いに連結して延長可能である。すなわち、この例のレール1の4つのコーナー部(この例では、上部壁22の両側部内壁、下部走行壁25,27の両側部下部壁)には、連結ピン33で連結するため、開口部が狭まった断面円弧状(又は断面C字状)の接続溝29が形成されている。
さらに、上部壁22と両側壁23,24とのコーナー部の側部外壁には、レール1を所定部位に取り付けるためのブラケットに対して嵌合又は装着可能な断面コ字状の取り付け溝30a,30bが形成されている。
なお、上部壁22の上面(施工部位によっては天井壁や柱部などと接触可能な当接面)には、中空部を通じて天井壁などにネジでレール1を取り付けたとき、被取付部に対してレール1を緊密に取り付けるため、浅溝状の凹部31a,31bが形成されている。
さらに、ループ状走行路2の各コーナー部の内壁には、ループ状走行路2の湾曲及び角度形態を維持するための角度維持部材35a,35b,35cが装着又は固定(レールとの溶接などによる接合又は固定)されているとともに、この角度維持部材には、ループ状走行路2のうち分岐走行路3,4,5と対向する対向域の形態に対応する平面形状(この例では、細長い三角形状)の補強プレート36a,36b,36cが螺合部材37により取り付けられている。なお、前記補強プレート36a,36b,36cは、レール1の湾曲部(湾曲収束路2b,2c及び連絡走行路3a,4a,5a)が分岐走行路3,4,5に合流する合流部に向かって、先端部が鋭角な細長い三角形状の形態を有しており、ランナー41が衝突するのを回避している。
さらには、レール1の所定箇所には、ランナー41の走行を停止させるためのストッパー38が取り付けられている。この例では、図9に示されるように、レール部材1の連結レール部材(第2のレール部材)13〜15の適所(例えば、走行末端部)の両側壁23,24のうちランナー41の回転又は車輪部材(ボールベアリング)に対応する部位には貫通孔が形成され、この貫通孔には、円筒状の緩衝性プラスチックのカラー40が装着されたネジ部材39aが挿入され、ワッシャを介してナット部材39bで締結され、前記ストッパー38を形成している。
一方、前記レール1を走行可能なランナー41は、図3〜図6に示されるように、前記レール1の前記スリット状開口部にスライド自在に配設可能な断面円形状の複数の軸部材42a,42b,42cと、これらの軸部材の上部に間隔をおいて取り付けられ、前記レール1(第1のレール部材12及び第2のレール部材13〜15)の走行路(接触面)と接触して前記軸部材42a〜42cの周方向(図示する例では横方向又は水平方向)に独立して回転自在な上下一対のボールベアリング(第1のボールベアリング43a,43b,43c及び第2のボールベアリング44a,44b,44c)と、前記軸部材42a〜42cが長手方向に間隔をおいて取り付け可能な保持ユニット(又は取り付けユニット)45とを備えている。なお、各軸部材42a〜42cと上下一対のボールベアリング43a〜43c,44a〜44cとで、それぞれ走行ユニットを形成している。
より具体的には、軸部材42a〜42cは、長手方向の両側部に位置し、軸部の長さが大きな一対の第1の軸部材42a,42bと、長手方向の中間部に位置し、軸部の長さが小さな第2の軸部材42cとを備えている。保持ユニット(又は取り付けユニット)45は、第2の軸部材42cが取り付け可能(この例では、螺合可能)な誘導案内部材46と、両側部の一対の第1の軸部材42a,42bが長手方向に間隔をおいて、ワッシャ49a及びナット部材49bにより長手方向の両側部に取り付け可能な細幅の板状軸取付部材47とを備えており、前記第1の軸部材42a,42bの軸部には、前記誘導案内部材46と前記板状軸取付部材47とが、所定の間隔をおいて取り付けられている。前記軸取付部材47の長手方向の中央部に形成された貫通孔には、接続又は連結手段として、移動体又は被搬送体を接続又は取り付けるためのリング状連結部材(リング部材)48の軸部が回転可能(軸線の周方向に回転可能)に装着され、この軸部には、ワッシャ49a及びナット部材49bが螺合され、軸部の抜けを防止している。リング状連結部材(リング部材)48は、螺合などの機構を利用して、軸取付部材47に対して、回転させることなく取り付けてもよい。
前記誘導案内部材46は、走行方向又は長手方向の両側端部(前進及び後退方向の先端部)の幅が緩やかに狭まって湾曲した平面舟形状の形態を有しており、長手方向の両側部に位置する先端部の両側壁(湾曲側壁)は、走行に伴ってレール1の分岐部のスリット状開口部の内壁に対して摺接又は接触可能なガイド壁46aを形成している。さらに、誘導案内部材46の長手方向の両端部は、走行方向(前方方向)にいくにつれて上部が前方に延びた傾斜先端部46b(すなわち、下方から上方に行くにつれて前方に傾斜した傾斜先端部)を備えている。このように、前記誘導案内部材46を、傾斜先端部46bを有する平面舟形状(先頭部が鋭角な形状)の形態(船首の形態)としているため、ランナー41が走行しても前記補強プレート36a,36b,36cの先端部に誘導案内部材46の先頭部が接触又は衝突するのを回避でき、ランナーを円滑に走行させることができる。
なお、誘導案内部材46と軸取付部材47との間に位置する第1の軸部材42a,42bには、軸部材を保護するため、リング状回動部材(カラー)50が装着されている。このリング状回動部材(カラー)50は、誘導案内部材46と軸取付部材47とを所定の間隔に保つためのスペーサとしても機能する。
また、前記補強プレート36a,36b,36c及び誘導案内部材46は、金属(鉄、鋼、アルミニウム又はそれらの合金(ステンレススチールなど)など)、セラミックスなどの種々の材料で形成でき、それぞれ、同じ材料(又は同質の材料)又は異なる材料(硬質又は軟質の材料)で形成してもよい。前記誘導案内部材及び前記補強プレートのうち、一方の部材(例えば、誘導案内部材46)を他方の部材(例えば、補強プレート36a,36b,36c)よりも軟質の材料で形成すると、他方の部材の耐久性を向上させることができる。例えば、補強プレート36a,36b,36cを鋼で形成し、誘導案内部材46をステンレススチールで形成すると、前者の耐久性を向上できる。
さらに、リング状連結部材48には、揺動部材51を介して中空筒体52が取り付けられ、この中空筒体には、把持枠54を有する把持部材(中空把持部材)53が長さ調整可能に取り付けられており、中空筒体52と把持部材(中空把持部材)53とで、把持部を有する棒状体(補助具)を形成している。すなわち、中空筒体52には貫通孔が形成されているとともに、中空筒体52の中空部には、把持部材(中空軸部材、棒状体)53が摺動自在に装着され、この把持部材(棒状体)53には、長手方向(又は軸方向)に所定の間隔をおいて複数の貫通孔53aが形成されている。そのため、中空筒体52に対する把持部材(中空軸部材、棒状体)53の進入長さを調整し、回動操作部を有するボルト(ネジ)57aのネジ部を、中空筒体52の貫通孔及び把持部材(中空軸部材、棒状体)53の所定の貫通孔53aに挿入し、ネジ部に回動操作部付きナット57bを螺合させることにより、把持部材53の長さを調整している。なお、ボルト(ネジ)57aとして蝶ボルト(蝶ネジ)などを用いてもよく、ナット57bとして蝶ナットなどを用いてもよい。
前記把持部材53の把持枠54は、多角枠状(この例では、前記把持部材53との接続部を頂部とする五角枠状)に形成され、把持枠54の下部枠54aに沿って、肘掛け部材55aが取り付けられている。この例では、肘掛け部材55aの底壁には長手方向に沿って装着溝を形成し、この装着溝に下部枠54aを装着した状態で、図示のように、下部枠54aに対して肘掛け部材55aをビス(ネジ部材)56で固定している。また、下部枠54aの下部壁に凹部又は凹溝を形成し、この凹部又は凹溝内でビス(ネジ部材)56を螺合することにより、下部枠54aの下部壁からビスの頭部が突出するのを防止している。また、把持枠54の両側枠54bには滑り止め部材又は緩衝材(若しくはグリップテープ)55bが巻回して取り付けられている。
このようなレール1とランナー41とを利用すると、ランナー41をレール1のループ状走行路2及び分岐走行路3〜5に沿って双方向走行させることができ、ループ状走行路2を利用して走行方向を容易に転換でき、分岐走行路3,4,5に移動させることができる。
また、高さの異なる複数の位置(軸部材の軸方向の異なる部位)で、第1のレール部材12及び第2のレール部材13〜15の走行壁25,26に、ランナー41の回転又は車輪部材(第1のボールベアリング43a〜43c及び第2のボールベアリング44a〜44c)が支持されながら走行するため、荷重が作用しても高い安定性でランナー41を走行可能である。また、前記走行壁25,26では、ランナー41の回転又は車輪部材(ボールベアリング43a〜43c,44a〜44c)が走行面(傾斜面)と接触して摺動しつつ逆方向に回転(又は逆方向に回転しつつ摺動)して円滑に走行可能であるとともに、横方向に回転するため、ランナー41が過度に滑走することがない。
特に、走行路2〜5の分岐部では走行幅が広がるため、ランナー41の走行ユニット(軸部材及びボールベアリング)が脱輪しやすいものの、仮にランナー41の先頭の走行ユニット(例えば、軸部材42a,及びボールベアリング43a,44a)が走行路(開口部)から脱輪しても、後続の2つの走行ユニット(例えば、軸部材42c;42b,及びボールベアリング43c,44c;43b,44b)で荷重を支持し、カバーできる。そのため、ループ状走行路2と分岐走行路3,4,5との分岐部での走行路幅が広がっていても、脱輪するとなく、ランナー41が円滑に方向転換して所定の方向に走行できる。
さらに、走行路2〜5の分岐部(又は交差部)では、先頭の走行ユニット(例えば、軸部材42a,及びボールベアリング43a,44a)の軸部材42aが、第1のレール部材12と第2のレール部材13〜15とが交差する交差突出壁(突出部)(前記三角形状の形態の補強プレート36a,36b,36cのうち、レール1の湾曲部(2b,2c,3a,4a,5a)が分岐走行路3,4,5に合流する合流部に向かって延びる先端部(この例では、鋭角な先端部))に衝突しやすい。しかし、図8に示すように、誘導案内部材46の先頭部が鋭角であり、かつ先頭部の側壁部(ガイド壁)46aが湾曲し、かつ上部が前方に延びた傾斜先端部46bの形態(平面形状及び側面形状が舟形状の形態)を有しているため、傾斜先端部46bの先頭部が交差突出壁と接触しても、この接触部がガイド壁46aの湾曲部に移動して、ガイド壁46aが交差突出壁と摺接(又は接触)するため、傾斜先端部46bの先頭部を所定方向に逃がしつつ方向転換でき、衝突するのを回避できる。そのため、分岐した走行路であっても、利用者の移動又は歩行に連動させて、誘導案内部材46は軸部材42aと交差突出壁(突出部)との衝突を回避し、ランナー41を円滑かつ安定に所定の方向に案内する。
さらに、図10に示されるように、利用者(高齢者、身体障害者など)の歩行に利用すると、利用者が歩行中に左右方向に向いても軸部の回転により円滑に向きを変更でき、円滑に歩行できる。さらに、利用者に応じて把持部材(中空軸部材)53の長さを調整可能であるだけでなく、中空筒体52に把持部材(棒状体)53が装着されているため、把持操作において、把持枠54が逃げることがなく、利用者が把持枠54を円滑に把持できる。さらには、利用者は、把持枠54の両側枠54bを把持しつつ、下部枠54aに身体を寄せて又はもたれながら歩行でき、高い安定感で歩行できる。例えば、利用者は下部枠54aの肘掛け部材55aに肘掛け又はもたれながら(必要に応じて両側枠54bを把持しつつ)、安定して歩行でき、利用者(高齢者、身体障害者)の歩行(移動)を補助(支援)できる。
[レール]
レールは、ランナーが走行可能であり、閉じた形態のループ状走行路と、周方向の間隔をおいて、このループ状走行路から分岐した少なくとも3つの分岐走行路とを備えていればよく、ループ状走行路及び分岐走行路の形態は特に制限されない。例えば、ループ状走行路は、多角枠状(三角枠、四角枠、五角枠、六角枠など)、楕円枠状、円枠状(リング状)などの枠状の形態であってもよい。また、三角枠は、正三角枠、二等辺三角枠、不等辺三角枠であってもよく、少なくとも2つの辺の長さが等しい三角枠(正三角枠、二等辺三角枠)であってもよく、四角枠は、方形枠、例えば、正四角枠、長方形状、菱形状の枠であってもよい。また、ループ状走行路の形態は、これらの枠状の形態を組み合わせた形態であってもよい。ループ状走行路は、直線状走行路を備えていてもよく、屈曲した形態の走行路、湾曲した形態の走行路を有していてもよい。ランナーを円滑に走行させるためには、直線状走行路、湾曲した走行路(例えば、ループ状走行路の外方向に湾曲又は膨らんだ形態の走行路、内方向に湾曲又は膨らんだ形態の走行路(例えば、前記湾曲収束走行路)など)を備えている場合が多く、少なくとも湾曲した走行路を備えている場合が多い。
さらに、分岐走行路は、ループ状走行路から直線的に延びる走行路であってもよく、屈曲(又は湾曲)して延びる走行路であってもよい。分岐走行路は、ループ状走行路の周方向に間隔をおいて、放射状の形態で(例えば、放射方向に)延びていてもよく、ループ状走行路の周方向に間隔をおいて、内方及び/又は外方に延びていてもよく、通常、外方向に延びている場合が多い。また、多角枠状のループ状走行路では、各コーナー部から分岐走行路が延びていてもよく、例えば、前記のように、互いに対向する方向に延びる一対の対向走行路と、この対向走行路の軸線方向に対して交差する方向に延びる1又は複数の交差走行路とを備えていてもよい。また、分岐走行路の数は、特に制限されず、ループ状走行路の形態及び用途に応じて選択でき、例えば、3〜10(好ましくは3〜6、さらに好ましくは3又は4)程度であってもよい。
さらに、分岐走行路において、連絡走行路は必ずしも必要ではなく、前記ループ状走行路に直接的に連結走行路(第2のレール部材)を接続してもよい。ループ状走行路と連結走行路とを位置決めして効率よく連結するためには、ループ状走行路と連結走行路との間に、ループ状走行路に通じて前記ループ状走行路と一体に形成された連絡走行路を介在させる場合が多い。
なお、ループ状走行路と分岐走行路とは交差部で直線的に交差していてもよく、ランナーの走行をより円滑にするため、交差部のコーナー部は湾曲していてもよい。
より具体的には、図11に示すように、レール61は、概略四角枠状のループ状走行路62と、このループ状走行路の各コーナー部から外方向に延びる分岐走行路63〜66とを備えていてもよく、ループ状走行路62は、内側に湾曲し、かつ各分岐走行路63〜66に収束して延びる4つの湾曲収束路62a〜62dとを備えていてもよい。このレール61は、対向する分岐走行路63〜66の軸線を中心線として対称形状に成形されている。
湾曲収束路(又は湾曲走行路)は、ループ状走行路の適所、例えば、互いに対向する走行路に形成してもよいが、互いに隣接する走行路に形成する場合が多い。また、湾曲収束路(又は湾曲走行路)は、湾曲して分岐走行路に収束すればよく、湾曲収束路の湾曲度は、レールの適用部位に応じて選択でき、例えば、100〜1000R(例えば、200〜800R)、好ましくは300〜700R(例えば、400〜600R)程度であってもよい。
ループ状走行路において、湾曲収束路は必ずしも必要ではない。また、第1のレール部材及び/又は第2のレール部材の断面構造は、同一又は異なっていてもよく、レールの走行壁の高さ位置なども特に制限されない。
例えば、図12及び図13に示すように、レール71は、三角枠状のループ状走行路72と、このループ状走行路のコーナー部から延びる分岐走行路73,74,75とを備えており、分岐走行路は、ループ状走行路72の隣接する両側端部から互い対向して延びる一対の対向走行路73,74と、三角枠状のループ状走行路72の頂部の端部から、前記対向走行路73,74の軸線方向に対して直交する方向に延びる交差走行路75とを備えている。レール71は、交差走行路75の軸線を中心線として対称形状に成形されている。なお、前記分岐走行路73,74,75は、前記ループ状走行路72と一体に形成され、前記分岐走行路の一部を形成する連絡走行路73a,74a,75aと、この連絡走行路に対して位置決めして連結可能な連結走行路73b,74b,75bとを備えている。また、ループ状走行路72と分岐走行路73,74,75との交差部のコーナー部は湾曲している。
また、レール71は、ループ状走行路72及び連絡走行路73a〜75aを形成する第1のレール部材82と、連結走行路73b〜75bを形成する連結レール部材(第2のレール部材)83〜85とを備えており、第1のレール部材82と第2のレール部材83〜85とは、連絡走行路73a〜75aと連結走行路73b〜75bとを突き合わせて、前記と同様に、連結ピン33で連結又は接続可能である。
レール71のうち第1のレール部材82及び/又は第2のレール部材83〜85の断面構造は、同一又は異なっていてもよい。この例では、第2のレール部材83〜85は前記図7に示すのと同様の構造を有しており、第1のレール部材82は、前記図7に示す構造とは異なる構造を有している。
すなわち、図14に示すように、レール71のうち第1のレール部材82は、前記と同様に断面四角形状(又は四角枠状)の形態を有しており、上部壁22の両側部から対向して延びる両側壁(内壁部)23,24からは、高さ位置を異にして、互いに対向して二対の走行壁86,87,88,89が内方に延出しており、下方の第1の一対の走行壁86,87の先端部は、互いに離れて、下部壁としてスリット状開口部を形成している。これらの走行壁86〜89の上面は、それぞれ、内方(延出方向)向かって下方に傾斜して傾斜面86a〜89aを形成している。これらの傾斜面86a〜89aは、ランナーの回転又は車輪部材が接触して走行する走行面又は走行路を形成する。
さらに、前記走行壁86〜89と各内壁部23,24とのコーナー部には、前記と同様に、ランナーの回転又は車輪部材の位置ずれ(走行ずれ)を規制するための規制壁部(規制段部)86b〜89bが形成されている。
前記レール81には、前記と同様に、連結ピン33で連結するための断面円弧状(又は断面C字状)の接続溝29が形成されている。また、上部壁22と両側壁23,24とのコーナー部の側部外壁には、付け溝30a,30bが形成され、上部壁22の上面には、浅溝状の凹部31a,31bが形成されている。
第2のレール部材13〜15は、前記図1と同様の内部構造(走行壁及び突出壁)を有していてもよく、前記第1のレール部材82と同様の内部構造(走行壁)を有していてもよい。
さらに、図15に示すように、レール91の走行路は、三角枠状(この例では、二等辺三角枠状)のループ状走行路92と、このループ状走行路のコーナー部と対向辺とを結ぶ垂線上であって、ループ状走行路92のコーナー部から外方向(対角線状)に延びる分岐走行路93〜95とを備えていてもよく、互いに隣接する分岐走行路93,94は、前記互いに隣接するコーナー部を結ぶ辺に対して並行に延びる延出走行路93a,94aを有していてもよい。レール91は、分岐走行路95の軸線を中心線として対称形状に成形されている。
さらに、レールは、複数のループ状走行路を有していてもよい。例えば、図16に示すように、レール101の走行路は、多角枠状(この例では、四角枠状)の第1のループ状走行路102と、この第1のループ状走行路の各辺を共有して隣接する三角枠状の第2のループ状走行路103a〜103dと、これらの第2のループ状走行路の各コーナー部から外方向に延びる分岐走行路104a〜104dとを備えていてもよい。このレール101も、対向する分岐走行路104a〜104dの軸線を中心線として対称形状に成形されている。
レールは、非対称形状に形成してもよいが、通常、対称形状に形成する場合が多い。
前記ループ状走行路及び分岐走行路を形成可能であれば、ランナーが走行可能である限りレールの構造は特に制限されない。例えば、レールは、通常、スリット状開口部を有する断面中空筒状のレール本体と、このレール本体の対向する内壁部から、それぞれ内方に延出し、ランナーが走行可能な走行壁とを備えている。レールの形態は、スリット状開口部を有する断面四角形状(又は四角枠状)の形態に限らず、ランナーが走行可能な走行壁を有する断面中空筒状、例えば、多角形状(多角枠状)、楕円形状(楕円枠状)、円形状(円形枠状)などの形態であってもよい。
前記走行壁は、同じ高さ位置又は異なる高さ位置から、互いに内方(対向する方向)に延出していてもよく、走行壁の走行面の高さ位置も、同じ又は異なっていてもよい。さらに、レール本体の対向する内壁部(双方の内壁部)からは、それぞれ少なくとも1つの走行壁(合計で複数の走行壁)が内方へ延出していればよく、対向する内壁部から少なくとも2つの走行壁が対向して延出している場合が多く、図3及び図4に示されるように、一方の内壁部からは1つの走行壁が内方へ延出していてもよい。
少なくともループ状走行路は、第1のレール部材で形成してもよい。この第1のレール部材は、前記のように、ループ状走行路及び連絡走行路を形成してもよい。また、連結走行路は、第2のレール部材で形成してもよい。このような第1及び第2のレール部材は、前記レール部材の構造のように、レール本体の対向する内壁部の同じ高さ位置又は異なる高さ位置から延出する走行壁(例えば、互いに対向して延び、スリット状開口部を形成する走行壁)を有していてもよい。
ループ状走行路及び分岐走行路(特に分岐部の走行路)に沿ってランナーを安定に走行させるため、第1のレール部材及び第2のレール部材は、同一又は異なる走行壁の構造を有していてもよく、レール本体の対向する内壁部から同じ高さ位置又は異なる高さ位置で、ランナーが走行可能な走行壁又は走行路(例えば、一対又は複数対の走行壁)が互いに対向して内方に延出している場合が多く、対向する内壁部から延びる複数の走行壁又は走行路は高さ位置を異にして形成してもよく、例えば、一対の走行壁は高さ位置を異にして複数対(例えば、二対の走行路)の走行壁を形成してもよい。
前記図14に示す例では、レールの下部(スリット状開口部側)で、走行壁同士又は走行壁と突出壁とが互いに対向して内方に延出しているが、突出壁は必ずしも必要ではなく、突出壁を形成したとしても、突出壁の上面は延出方向に向かって下方に傾斜した傾斜面として形成する必要がない。
また、スリット状開口部は、レールの下方に開口して位置する必要はなく、レールの配設形態に応じて、横方向、上方向、斜め方向などに開口して位置していてもよい。
前記走行壁の上面(又は走行面)は、傾斜面として形成する必要はなく、平坦な平坦面を形成してもよく、走行壁の上面との接触によりランナーの摺接体(回転部材など)と効率よく接触(又は回転)可能とするためには、走行壁の上面は、内方又は外方にいくにつれて下方に傾斜していてもよく、通常、内方(延出方向)にいくにつれて下方(スリット状開口部側)に傾斜しているのが好ましく、走行壁の傾斜面は、連続的に又は段階的(又は階段状)に傾斜していてもよい。大きな荷重を作用させてもランナーを円滑に走行させるためには、走行壁の上面は傾斜面であるのが有利である。
なお、ランナーの走行位置を規制するための規制壁部(規制段部)は必ずしも必要ではないが、長期間に亘りランナーを安定に走行させるためには、レール本体の内壁部と走行壁とのコーナー部には、内方に突出した規制壁部を形成するのが有利である。また、規制壁部は、内壁部から段差状に形成する必要はなく、走行壁から段差部に対応する厚みの側壁を形成してもよい。
さらには、複数のレール又はレール部材を接続又は連結するために接続溝、及び/又はブラケットに対する取り付け溝も必ずしも必要ではないが、これらの溝部及び/又は取り付け溝を形成すると、レール又はレール部材の利用価値を大きく向上できる。
レールは、プラスチックなどで形成してもよいが、通常、金属、例えば、アルミニウム、ステンレススチールなどの金属で形成できる。成形加工性及び経済性の点からはアルミニウムを利用する場合が多い。なお、アルミニウムは比較的軟質であるため、分岐走行路と対向するループ状走行路の対向域(特に、対向域の先端部)が、ランナー(例えば、軸部材)との衝突により摩耗又は変形する可能性がある。このような場合、ループ状走行路のうち分岐走行路と対向する対向域又は分岐域(例えば、湾曲収束路の収束域であって分岐走行路と対向する対向域)には、硬質で強度の高い金属(例えば、ステンレススチール、鋼など)による補強プレートを取り付けるのが好ましい。
補強プレートは、分岐走行路と対向する対向域の少なくとも先端部(対向域の先端部)に対応する平面形状を有していればよく、対向域を含む分岐域の形態に対応する平面形状を有している場合が多い。なお、前記補強プレートのうち、レールの湾曲部(湾曲収束路及び連絡走行路)が分岐走行路に合流する合流部に対して対向する先端部は、前記合流部に向かう方向に対して端面が交差又は直交する方向に延びた形態(平坦な形態)に形成してもよいが、通常、前記のように鋭角な形態、若しくは湾曲した形態(合流部に向かって湾曲して延びた形態)である場合が多い。
ストッパーは、ランナーの走行を停止させるための適所に形成でき、ストッパーは、ランナーの走行を停止可能である限り、前記レールを横断する形態に限らず、レールの内壁に形成した突出部、レールの開口端部に装着可能な閉塞部材などで形成してもよい。
[ランナー]
ランナーの構造はレールの走行路を走行可能な限り特に制限されず、前記スリット状開口部にスライド自在に配設可能(又はスリット状開口部に沿って走行可能)な軸部材と、この軸部材に軸支され(装着又は取り付けられ)、レールの走行面(走行路)に接触して走行路に沿って走行可能な摺接体(回転部材又は車輪部材など)とを備えた走行ユニットを備えていてもよい。摺接体は、走行面(走行路)と接触して少なくとも摺動可能な摺動体又は回転能な回転体とを備えている。軸部材には、摺接体を回転可能に(又は回転することなく)軸支してもよい。すなわち、走行ユニットの摺接体又は回転体は、走行壁に対して縦方向に回転可能であってもよく、横方向に回転可能であってもよく、回転することなく、走行壁を摺動可能であってもよい。摺接体は、(a)レールの走行路と接触して前記軸部材の周方向に回転(又は転動)自在な回転部材(又は転動部材)、又は(b)レールの走行路と接触して摺動可能な1摺動体で形成する場合が多い。前記軸部材の軸方向には、レールの走行壁に対応させて、1又は複数の摺接体を装着又は取り付けてもよく、例えば、所定間隔をおいて複数の摺接体(例えば、上下一対などの形態で2つの摺接体)を装着又は取り付けてもよい。
ランナーは、レールのスリット状開口部に沿って走行可能な単一の走行ユニットを備えていてもよく、荷重が作用しても安定に走行させるため、複数の走行ユニットを備えている場合が多い。1又は複数の走行ユニットの軸部材は、保持ユニットに取付可能であり、複数の走行ユニットの軸部材(例えば、一対の軸部材)は、ランナーの走行方向に所定間隔をおいて保持ユニットに取り付けてもよい。前記軸部材は、保持ユニットに回転可能に(又は回転することなく)取り付けてもよい。
好ましい態様では、レールの分岐部での脱輪を防止するため、保持ユニットには、2以上の複数の走行ユニットの軸部材、特に、3以上(例えば、3〜6、好ましくは3〜5、特に3又は4)の軸部材を、所定間隔をおいて取り付ける場合が多い。特に、保持ユニットは、長手方向に間隔をおいて(例えば、走行方向の両側部に)取り付け可能な少なくとも一対(又は少なくとも2つ)の第1の走行ユニット(又は第1の軸部材)を備えており、このような第1の走行ユニット(又は第1の軸部材)と、一対の走行ユニット(又は第1の軸部材)の間に位置する少なくとも1つの第2の走行ユニット(又は第2の軸部材)とを備えている場合が多い。なお、第1の走行ユニットは、少なくとも一対(又は少なくとも2つ)の走行ユニットで形成でき、例えば、2〜5(例えば、2〜3)程度の走行ユニットで形成でき、通常、一対の走行ユニットで形成できる。一対の第1の軸部材の間には、少なくとも1つ(例えば、1〜3つ、特に1又は2つ)の第2の軸部材が位置する場合が多い。摺接体(車輪部材など)を有する3以上の軸部材を保持ユニットに取り付けると、走行幅が広がった分岐部で先頭の(先行する)走行ユニットの摺接体(車輪部材など)が脱輪しても、後続の複数の走行ユニットの摺接体(車輪部材など)でランナーを支持でき、脱輪を有効に防止できる。
前記保持ユニットは、少なくとも軸部材を保持又は取り付け可能な部材を備えていればよく、軸部材が取り付け可能な部材は、単一の部材で形成してもよく、複数の部材で形成してもよく、例えば、軸取付部材及び/又は誘導案内部材などで形成してもよい。例えば、保持ユニットは、1又は複数の走行ユニットの軸部材が所定の間隔をおいて取り付けられた単一部材(軸取付部材又は誘導案内部材)で形成してもよく、1又は複数の走行ユニットの軸部材が所定の間隔をおいて取り付け可能な複数の部材(軸取付部材及び誘導案内部材)で形成してもよい。
好ましい態様では、ランナー(B1)の態様のように、保持ユニットは、少なくとも誘導案内部材(レールの分岐部での走行方向を誘導可能な誘導案内部材)を備えている場合が多く、この誘導案内部材には、第1の軸部材及び/又は第2の軸部材を取り付けてもよい。具体的には、保持ユニットは、複数の走行ユニットの軸部材が所定の間隔をおいて取り付けられた誘導案内部材で形成してもよく、複数の走行ユニットの軸部材(例えば、第1の走行ユニットの第1の軸部材)が所定の間隔をおいて取り付けられた軸取付部材と、少なくとも1つの走行ユニットの軸部材(例えば、第2の走行ユニットの第2の軸部材)が取り付けられた誘導案内部材とで形成してもよい。なお、誘導案内部材は、軸取付部材の機能を兼ね備えていてもよく(又は軸取付部材と一体に形成してもよく)、例えば、誘導案内部材の長手方向に間隔をおいて、摺接体(回転又は車輪部材(車輪体)若しくは摺動体)が装着された第1の軸部材及び/又は第2の軸部材を取り付け、誘導案内部材に接続又は連結手段を取り付けてもよい。軸取付部材と誘導案内部材とを備えた保持ユニットでは、誘導案内部材がスリット状開口部側に位置し、軸取付部材がスリット状開口部の下方に位置する場合が多く、誘導案内部材は、摺接体(車輪部材又は車輪体など)と軸取付部材との間の第1の軸部材に取り付けてもよい。誘導案内部材には、前記第2の軸部材を取り付ける場合が多く、軸取付部材には、一対の前記第1の軸部材を取り付ける場合が多い。なお、前記第1の軸部材は、前記誘導案内部材を介して(例えば、貫通、又は螺合、溶接などの形態で一体化された誘導案内部材を介して)、軸取付部材に取り付ける場合が多い。
保持ユニット(軸取付部材など)は、細幅の板状の形態に限らず、強度が高く、複数の走行ユニットの軸部材を所定の間隔をおいて取り付け又は固定可能であればよく、保持ユニットに取り付けられる接続又は連結手段に応じて、棒状、厚板状、ボックス状などの形態であってもよく、平坦であってもよく、凹凸状の形態、上向き又は下向きに湾曲した形態などであってもよい。なお、保持ユニット(又は軸取付部材)の幅は、走行路の幅と同一又は走行路の幅よりも小さくてもよく、走行路の幅よりも大きくてもよい。
誘導案内部材は、軸部材の軸方向のうち、レールのスリット状開口部の内壁と接触可能な高さ位置に取り付ける場合が多く、誘導案内部材の少なくとも一部がスリット状開口部内に侵入して位置する場合が多い。例えば、レールへの装着状態において、誘導案内部材の中心高さ(又は厚み)位置は、スリット状開口部に位置してもよく、スリット状開口部よりも下方又は上方に位置してもよい。また、誘導案内部材の幅は、スリット状開口部を走行可能な幅であればよい。通常、誘導案内部材の厚み方向の上部がスリット状開口部内に位置する場合が多い。
誘導案内部材は、レールの分岐部での走行方向を誘導可能な形態を有していればよく、通常、走行方向を誘導するため、レールの分岐部でのスリット状開口部の内壁に対して摺接又は接触可能な両側端部のガイド壁を有していてもよく、このガイド壁を利用して、ランナーの走行方向を誘導可能である。誘導案内部材は、走行方向又は長手方向の両側端部(両先端部又は先頭部)の幅が狭まった形態を有していてもよく、前記両側端部(先端部)の側壁部をガイド壁として形成してもよい。このガイド壁は、長手方向の両側端部の幅が直線的に又は湾曲して狭まった側壁部(例えば、先端部又は先頭部にいくにつれて幅が狭まった側壁部)で形成してもよく、例えば、平面舟形状又は平面紡錘形状の形態(船舶の船首の平面形態など)を有していてもよい。また、走行方向又は長手方向の両側端部の先端部(先頭部)の平面形状は、必要であれば平坦であってもよいが、通常、鋭角であってもよく、湾曲していてもよい(丸みを帯びていてもよい)。
さらに、前記ガイド壁とともに、又はガイド壁の形成とは関係なく、誘導案内部材の長手方向の両側端部(両先端部又は先頭部)の側壁は、垂直方向に延びて立設していてもよく、先端部又は先頭部の側壁は、下方から上方に行くにつれて、下部が前方方向に傾斜していてもよく、上部が前方方向に傾斜していてもよい。好ましい態様では、走行に伴って分岐部のスリット状開口部の内壁に対して摺接又は接触して前記ガイド壁へ案内するため、走行方向に対して上部が前方に延びた傾斜先端部(又は先端側壁)、例えば、下方から上方に行くにつれて上部が前方方向に傾斜した傾斜先端部(又は先端側壁)を有している場合が多く、誘導案内部材の側面形状は舟形状(船舶の船首の形状など)であってもよい。
なお、誘導案内部材の形態によっては、誘導案内部材単独では、走行路の一部が露呈する場合がある。そのため、走行路の幅よりも大きな幅の軸取付部材と組み合わせると、走行路を軸取付部材で遮蔽でき、美観を向上できる。
保持ユニットには、種々の形態で軸部材を取り付けることができ、前記ナットによる締結形態に限らず、溶接、接着などにより軸部材を取り付けてもよい。また、保持ユニット(誘導案内部材及び/又は軸取付部材)に貫通孔を形成し、軸部材のネジ部に第1のナットを螺合して、前記貫通孔にネジ部を挿入し、保持ユニットから突出した前記ネジ部に第2のナットを螺合し、保持ユニットを介して、第1及び第2のナットを締結して保持ユニットを一対のナットで挟圧した形態で軸部材を取り付けてもよい。
摺接体が前記回転又は車輪部材(又は車輪体)(a)である態様(ランナー(B1)の態様)において、回転又は車輪部材(又は転動部材)は、レールの走行壁(走行路又は接触面)と接触して軸部材(第1の軸部材及び第2の軸部材)の周方向に回転可能であればよく、ベアリングに限らず、円盤状の回転部材であってもよく、車輪であってもよい。回転又は車輪部材は、走行路に対して、点接触(例えば、回転部材の接触面に形成された突起部などによる線接触)、線接触(例えば、回転部材の接触面に形成された環状突起部、回転部材及び/又は走行壁の少なくとも一方に形成された傾斜又は湾曲面などによる線接触)、若しくは面接触して回転してもよく、通常、少なくとも線接触する場合が多い。回転部材(又は転動部材)は、(1)ベアリング部材(又はベアリング)、例えば、(2)外輪又は外周部が樹脂で被覆又は形成されたベアリング部材(又はベアリング)、外輪が外周方向(半径方向)に膨出(湾曲して膨出)した形態に形成されたベアリング部材(又はベアリング)などで形成してもよい。好ましい回転部材はベアリングであり、上記のように外輪又は外周部が樹脂で被覆又は形成された形態などである必要はなく、例えば、ラジアル軸受け、転がり軸受(ボールベアリングなど)、磁気軸受、流体軸受などのベアリング(軸受)であってもよい。ベアリングとしては、ボールベアリングを用いる場合が多い。軸部材には、1又は複数の回転部材(ボールベアリングなど)を取り付ければよく、少なくとも2つの回転部材(上下一対の車輪部材、例えば、一対のボールベアリングなど)を取り付ける場合が多い。
複数の回転部材(又は転動部材)の間の軸部材及び/又はスリット状開口部に位置する軸部材には、リング状回動部材又はリング部材(カラー)を装着する必要はないが、このような回動部材(リング部材又はカラー)を利用すると、走行ユニットの走行性を高めることができるとともに、軸部材の損傷も防止できる。回動部材(リング部材又はカラー)は、スペーサーとして機能させるとともに、摩擦抵抗を低減するため、軸部材に回動可能に遊嵌して軸部材の周方向に回動可能であればよく、通常、中空リング部材などの中空円筒状の形態を有している。回動部材は、金属、セラミックス、ポリマーなどで形成でき、ベアリング(例えば、ボールベアリング)で形成してもよい。
図17に示す例では、ランナー111は、一対の第1の軸部材42a,42bの間に位置する第2の軸部材が、単一の軸部材ではなく、2つの軸部材42c,42dで形成されている点を除き、前記図6に示すランナーと同様の形態を有している。なお、中間部に位置する2つの軸部材42c,42dにそれぞれ上下一対のボールベアリング43c,43d,44c,44dが装着されている。このようなランナー111では、レールの分岐部での脱輪をより一層確実に防止でき、幅が拡がった走行路であっても、安定かつ円滑に方向転換できる。
摺接体が前記摺動体(b)である態様(ランナー(B2)の態様)において、摺動体は、レールの走行壁(接触面)と接触して摺動可能であればよく、前記軸部材に対して回転可能であってもよい。そのため、摺動体は、ベアリングなどで形成してもよく、低摩擦性材料、例えば、ポリアセタール系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂などの低摩擦性樹脂、セラミックス、金属などで形成してもよい。
ランナー(B1)の態様と同様に、態様(B2)のランナーも、ループ状走行路及び分岐走行路を備えたレールの走行路を円滑に走行可能である。図18〜図22には、前記図12〜図14に示す構造のレールに沿って走行可能なランナー121が示されている。このランナー121は、スリット状開口部に沿って走行可能な一対の走行ユニットの軸部材122a,122bと、各軸部材の軸方向(図示する例では、縦方向)に所定間隔をおいて、周方向に回転可能に装着又は取り付けられた上下一対のボールベアリング(摺接体又は車輪体)123a,123b,124a,124bと、一対の走行ユニットの軸部材122a,122が走行方向に所定の間隔をおいて取り付けられた細幅の板状保持ユニット(軸取付部材)127を備えている。各ボールベアリング123a,123b,124a,124bの外輪又は外周部は、樹脂で被覆又は形成され、走行音を低減している。これらのボールベアリングの底壁は走行壁25,26(第1のレール部材では突出壁86〜89)の傾斜面と接触して摺動しつつ、前記軸部材122a,122bの周方向に回転しながら、前記レール1(第1のレール部材82)に沿って走行可能である。
前記保持ユニット(軸取付部材)127と第1のボールベアリング123a,123bとの間の軸部材122a,122bには、スリット状開口部を形成する走行壁25,26(第1のレール部材では突出壁86〜89)との接触による損傷を抑制するとともに、消音性を高めるため、塩化ビニル樹脂などのプラスチックで形成され、かつ軸部材122a,122bの周方向に回動可能な第1のリング状回動部材(カラー)125a,125bが装着され、前記第1のボールベアリング123a,123bと第2のボールベアリング124a,124bと間の軸部材122a,122bには、上部の走行壁26(第1のレール部材では第2の走行壁88,89)との接触による損傷を抑制するため、軸部材122a,122bの周方向に回動可能な第2のリング状回動部材(カラー)126a,126bが装着されている。なお、この例では、第2の回動部材は、ステンレススチールなどの金属で形成されている。
この例では、軸部材122a,122bの下端部形成されたネジ部を、保持ユニット(軸取付部材)127の長手方向に所定の間隔をおいて形成されたネジ孔(図示せず)に螺合するとともに、保持ユニット127から突出するネジ部にナット128を螺合することにより、保持ユニット127に一対の走行ユニットを固定可能である。
さらに、図18〜図22に示されるように、保持ユニット127の長手方向の中央部に形成された貫通孔には、接続又は連結部材として、回転軸部材130が回転可能(軸線の周方向に回転可能)に装着され、この回転軸部材の頭部(この例では、回転軸部材の頂部で固着されたナット131)により、貫通孔からの回転軸部の抜けを防止している。前記回転軸部材130の下部には、円筒状リング部130aが固着され、この円筒状リング部は中空円筒状筒体132の中空部に装着された形態で中空円筒状筒体132と一体化(溶接などにより一体化)されている。
上記の構造では、回転軸部材130を介して保持ユニット(又は軸取付部材)127に筒体132が取り付けられているため、保持ユニット(又は軸取付部材)127に対して筒体132が揺動する場合がある。このような過度の揺動を抑制するため、回転軸部材130及び中空円筒状筒体132をカバーして、筒体132に装着された揺れ防止部材133を設けてもよい。この揺れ防止部材133は、回転軸部材130が収容可能な収容部と、筒体132が装着可能な装着凹部とを備えた中空円筒状のゴム弾性体で形成され、頂部が保持ユニット(又は軸取付部材)127と面接触した形態で、筒体132に装着されている。そのため、揺れ防止部材133のゴム弾性を利用して、保持ユニット(又は軸取付部材)127に対して筒体132が大きく揺動するのを抑制できる。
前記中空筒体132には、前記図10に示す中空筒体52を形成してもよく、図10に示す把持部を有する棒状体と同様に、把持枠54を有する把持部材(中空把持部材)53を長さ調整可能に取り付けてもよい。
このようなランナー121でも、ループ状走行路を利用して走行方向を容易に転換でき、ループ状走行路及び分岐走行路に沿って走行させることができる。また、分岐した走行路であっても、ランナー121は、利用者の移動又は歩行に連動させて、円滑かつ安定に走行しつつ方向転換できる。
また、高さの異なる複数の位置(軸部材の軸方向の異なる部位)で、第1のレール部材82の二対の走行壁86〜89及び第2のレール部材83〜85の走行壁25,26に、ランナー121の第1のボールベアリング123a,123b及び第2のボールベアリング124a,124b)が支持されながら走行するため、荷重が作用しても高い安定性でランナー121を走行可能である。また、前記走行壁では、ランナー121の回転部材(ボールベアリング123a〜124b)が走行面(傾斜面)と接触して摺動しつつ逆方向に回転(又は逆方向に回転しつつ摺動)して円滑に走行可能であるとともに、ランナー121が過度に滑走することがない。さらに、ループ状走行路では、二対の走行壁86〜89に、ランナー121の回転部材(ボールベアリング123a〜124b)がそれぞれ接触可能であるため、歩行者は速度を低下させて方向転換でき、分岐走行路では、第2のレール部材83〜85の走行壁25,26に、ランナー121の回転部材が接触可能であるため、歩行者は速度を速めて走行可能である。
さらに、利用者(高齢者、身体障害者など)の歩行に利用すると、利用者が歩行中に左右方向に向いても回転軸部材130の回転軸部により円滑に向きを変更でき、円滑に歩行できる。さらに、利用者は把持部材(中空軸部材)を利用して、高い安定感で歩行できる。また、利用者が把持枠54を解放したとしても、揺れ防止部材133により中空筒体132の過度の揺動を抑制できる。
[保持ユニットに対する接続又は連結手段]
保持ユニット(軸取付部材など)には、移動体又は被搬送体を接続又は取り付けるための接続又は連結手段が直接的又は間接的に取付可能である。例えば、保持ユニットは、接続又は連結手段が取り付け可能な装着部を有していてもよく、この装着部は、保持ユニットから略コ字状又は略U字状の形態で延出して形成してもよい。より具体的には、装着部は、板状の底部壁(前記の形態で延出して形成された底部装着壁)と、この板状底部壁に形成され、ランナーの走行方向に延びるスライド孔とを備えていてもよく、このスライド孔には、中間部材として、スライド孔に沿ってスライド自在及び/又は揺動自在にスライド部材が配設されていてもよい。さらに、スライド部材(例えば、スライド部材の上部)には軸部が回転可能に装着又は取付可能であってもよく、この軸部の両側部には、板状の底部壁を転動可能な転動部(又は回転部)が装着可能であってもよく、前記軸部と転動部とで転動ユニットを形成してもよい。さらに、前記と同様に、走行ユニットの軸部材には、軸部材の周方向に回動(又は回転)自在に回動部材を装着してもよい。
より具体的には、図23〜図25に示す例では、レール151は、前記図3に示す第1のレール部材82において、上方の一対の走行壁88,89がなく、下方の第1の一対の走行壁86,87を有する点を除き、第1のレール部材82と同様に形成されている。すなわち、レール151は、断面中空四角形状の形態を有しており、対向する内壁の下部からは一対の走行壁(走行路)152,153が延出し、スリット状開口部を形成している。また、レール151には、前記と同様に、連結ピンで接続するための接続溝29、及び取り付け溝30a,30bが形成されている。なお、このようなレール151の構造でも、前記と同様に、ループ状走行路及び分岐走行路を有するレールを形成できる。
前記レール151を走行可能な走行ユニットを備えたランナー161は、スリット状開口部に配設可能な軸部材162(162a,162b)と、この軸部材に軸支され、下部走行壁152,153を摺動(走行)可能な略円盤状の摺動本体部(摺動部材)163(163a,163b)と、軸部材162の周方向に回動自在に装着された筒状リング部材(回動部材、カラー)164(164a,164b)とを備えている。この例では、走行ユニットの軸部材162には、摺動本体部163と所定間隔をおいて装着され、走行ユニットの傾斜動に伴って、レール151の下部走行壁152,153に接触可能な傾斜規制部材165(165a,165b)と、傾斜規制部材と板状保持ユニット(又は軸取付部材)168との間の軸部材162に装着されたクッション部材166(166a,166b)とを備えている。
この例では、軸部材162の上端側は、略円盤状の摺動本体部163に固定(摺動本体部163を貫通し、軸部材162の上端にナット167(167a,167b)を螺合した形態で溶接)され、軸部材162の下端側は、板状の保持ユニット168に固定(保持ユニット168に形成された軸取付孔(図示せず)を貫通し、軸部材162の下端がナットなどで固定)されている。
摺動本体部163及び傾斜規制部材165は、摺動性及び耐摩耗性の高い含油ポリアセタール系樹脂(ポリプラスチックス(株)製ジュラコン(登録商標))などで形成されており、筒状リング部材(カラー)164は、金属(例えば、ステンレススチール)などで形成されており、クッション部材166は、弾性を有する樹脂(例えば、ポリウレタン)などで形成されている。
前記2つの走行ユニットの軸部材162(162a,162b)は板状の保持ユニット168に取付可能であり;この保持ユニット168は、両端部からコ字状の形態で延出して形成された装着部(又は装着部材)170と;この装着部の底部壁171に走行ユニットの走行方向(長手方向)に延びて形成されたスライド孔172と;このスライド孔に沿ってスライド自在かつ揺動自在に配設可能な板状のスライド部材(中間部材)173と;このスライド部材に、走行ユニットの走行方向(長手方向)に転動自在に装着された転動ユニット175とを備えている。
転動ユニット175は、スライド部材173の上部に形成された装着孔173aに回転自在に装着された軸部176と、この軸部の両側部に転動自在に装着され、板状底部壁171の上面を転動可能な一対のニードルローラーベアリング(転動部材又は回転部材)177とを備えている。この例では、軸部176の両端部には、リング部材(ワッシャ)178及びナット179が螺合され、軸部176と一対のニードルローラーベアリング177とが固定されている。
スライド部材173の下部に形成された装着孔173bには、開閉ピン180aを備えたワンタッチ式フック180が懸垂状態で着脱自在に装着されている。フック180は、接続又は連結手段して機能させることができる。
このようなランナー161では、走行方向にスライド部材173が揺動することに伴って、転動ユニット175の転動部材177が装着部(又は装着部材)170の底部壁上面を転動し、走行ユニットをランナーの走行方向に推進する。また、ワンタッチ式フック180を装着したスライド部材173が、スライド孔172に沿ってスライドするため、このスライド移動に走行ユニットを連動(追随)させることができる。そして、摺動本体部163が走行面を摺動するとともに、筒状リング部材(回動部材)164がスリット状開口部の両側面(両側壁)と接触して回動する。そのため、このような走行ユニットを備えたランナー161を、介護分野などでの利用者の歩行補助に利用すると、利用者の重心の移動に追随(連動)して、ランナー161の過度な走行を抑制し、ランナー161を円滑に移動(走行)でき、利用者は、直進方向であっても分岐方向であっても円滑に歩行(移動)できる。また、ランナー161は、荷重が作用しても、レール151の走行壁152,153を過度に滑走することなく、緩やかに移動(走行)でき、利用者は、必要な力を最小限に抑えながら円滑かつ安定に歩行できる。
また、2つの走行ユニットの軸部材162が所定間隔をおいて保持ユニット168に取り付けられているため、利用者の移動に伴って先行する走行ユニットが先導し、後方の走行ユニットが誤った方向への移動を修正(規制)するため、利用者の移動(歩行)に合わせて円滑にランナーを連動(追随)させることができる。さらに、ランナーの軸部材162が過度に傾斜しても、傾斜規制部材165がレール151の下部壁152,153に接触可能であるため、ランナー所定の姿勢を維持してレール151の走行壁152,153を安定に走行(移動)でき、万一利用者が姿勢を崩しても、利用者の転倒を防止できる。また、傾斜規制部材165の下部に配設されたクッション部材166により、接触に伴う衝撃を吸収(緩衝)し、ランナーの耐久性を向上できる。
なお、前記ランナーの保持ユニットには、移動体又は被搬送体に接続又は連結するため、種々の接続又は連結手段が取り付け可能である。前記接続又は連結手段(又は連結手段又は連結ユニット)は、移動体又は被搬送体の移動形態などに応じて選択でき、例えば、保持ユニットに対して回転可能に取り付けられた回転軸部又は回転部材;鈎状、略C字状などのフック部材(開閉ピンを備えていてもよいワンタッチ式フック部材など);リング部材(例えば、O−リングなど)などの吊持又は係合手段(又は部材);連結金具などの連結手段(又は部材)などであってもよい。これらの接続手段又は連結手段は単独で又は二種以上組み合わせて利用できる。接続又は連結手段は、移動体又は被搬送体を吊持状態又は懸垂状態で接続してもよい。接続手段又は連結手段は、通常、回転軸部又は回転部材、フック部材、リング部材などの吊持又は係合部材である場合が多く、単独又は複数の部材を組み合わせて、例えば、保持ユニットに対して回転可能に装着してもよく、複数の接続又は連結部材は、互いに揺動可能に連結してもよい。
前記接続手段又は連結手段と前記移動体又は被搬送体とは直接的に接続又は連結してもよく、両者の間には、移動体の移動又は歩行を補助するための補助具、又は被搬送体を搬送するための搬送具と連結可能な中間連結手段(中間部材など)が介在していてもよい。中間連結手段としては、前記スライド部材などの他、紐状体(吊り紐、ロープなどの紐状体、把持部を有していてもよいつり革状紐状体など)、チェインなどの鎖状体、棒状体(例えば、把持部を有していてもよい棒状体など)などであってもよい。中間連結手段としての紐状体は、連結紐(例えば、開閉シートとの連結紐、被移送体との連結紐など)であってもよく、必要であれば工具類(被移送体)などの被搬送体に接続され、前記接続手段又は連結手段(フック部材など)に係止された電源コードなどであってもよい。また、紐状体、鎖状体、棒状体などの中間連結手段(中間部材など)は、長さが調整可能であってもよい。
また、前記接続手段又は連結手段は、中間連結手段(中間部材など)を介して、移動体(高齢者、動物など)の拘束具(例えば、身体拘束具)と接続であってもよい。拘束具(例えば、身体拘束具)は、利用者の身体の一部に装着できればよく、利用者の衣類(パジャマ、ジャンパーなど)であってもよい。
より具体的には、保持ユニット(誘導案内部材及び/又は軸取付部材など)の適所には、前記接続又は連結手段として、リング状部材、フック部材(開閉ピンを備えていてもよい)などの連結手段(又は連結部材)を取り付けてもよい。例えば、図26に示されるように、図18〜図22と同様の保持ユニット(又は軸取付部材)127には、利用者の身体拘束具と接続された紐状体182(中間連結手段)の張力を調整可能な張力制御機構を備えた接続ユニット181が取り付け可能である。この例では、保持ユニット127の長手方向の両側部は、ネジ部材182a〜182dにより、補助具としての接続ユニット181と接続又は連結されており、ボックス状の接続ユニット181は、転倒などに伴って利用者の移動加速度が大きくなったとき、紐状体182を牽引し、利用者の転倒を防止している。
接続ユニットは、紐状体やシート状体を懸垂状態で保持可能なユニットであってもよく、接続ユニットの紐状体は、移動体(高齢者、動物など)の拘束具(例えば、身体拘束具)を懸垂状態で吊持可能であってもよい。特に、接続ユニットとして、移動体(高齢者などの利用者)の補助具(移動補助装置)などが有効に利用でき、このような移動補助装置(接続ユニット)により、移動体(高齢者などの利用者)の転倒などに伴う急激な又は過度な移動を紐状体で牽引して抑制可能である。
なお、保持ユニットと接続ユニットとの接続形態は、前記の例に限定されず、例えば、保持ユニット127の長手方向の中央部で接続ユニットと接続又は連結してもよい。
図27及び図28に示されるように、保持ユニット127の長手方向の中央部には、接続又は連結部材として、O−リング状のリング部材191、三角形状のリング部材192を取り付けてもよく、これらの接続又は連結部材は保持ユニット127に対して回転可能であってもよい。これらの接続又は連結部材には、紐状体、係合部材、締結部材などの中間連結手段が取り付け可能であり、例えば、図28に示されるように、リング部材(この例では、三角形状のリング部材192)に、補助具として、高齢者などの利用者が把持可能な把持部193aを有するつり革状の把持部材193などを揺動可能に接続又は取り付けてもよい。
さらに、図29に示されるように、保持ユニット127の長手方向の中央部に形成された貫通孔には、接続又は連結部材として、回転リング部材191の回転軸部が回転可能(軸線の周方向に回転可能)に装着され、この回転軸部の頭部(この例では、回転軸部の頂部で固着されたナット192)により、貫通孔からの回転軸部の抜けを防止している。前記図10に示す連結構造と同様に、前記回転リング部材191のリング部には逆U字状の揺動部材194が係止され、この揺動部材は、自由端部にリング部(小リング部)を有するU字状の揺動本体部と、前記リング部(小リング部)に回動(又は回転)自在に装着可能な軸部194c(リング部からの抜けを防止するための頭部と、ナット194dが螺合可能なネジ部とが形成されている)とを備えている。このような揺動機構に対して、補助具として、中空円筒状筒体(把持部195aを有する棒状で中空円筒状の把持部材195)などを揺動可能に接続又は取り付けてもよい。例えば、中空円筒状筒体195に形成された装着孔に、逆U字状の揺動部材194を挿入し、筒体195の装着孔を利用して、軸部194cを揺動本体部のリング部に装着し、軸部194cのネジ部にナット194dを螺合することにより、揺動部材194が、補助具としての筒体195に取り付け可能である。
なお、補助具として、つり革状の把持部材193及び棒状の把持部材195は、必ずしも揺動可能に取り付ける必要はなく、これらの把持部材(棒状体)193,195は、紐状体、鎖状体などを介して、保持ユニット127の連結部材に接続又は連結してもよい。さらに、把持部材(棒状体)193,195は、保持ユニット127に対して回転又は回動自在(さらには、必要であれば、揺動自在)であってもよく、伸縮自在又は伸長自在(長さ調整可能)であってもよい。また、連結部材(例えば、リング部材)は、保持ユニット127の長手方向の複数箇所(例えば、両側部など)に取り付けてもよい。
なお、図18〜図29に示されるランナーでは、2つの軸部材が示されているが、3以上の軸部材(長手方向の両側部に位置する一対の第1の軸部材と、中間部に位置する少なくとも1つの第2の軸部材)を保持ユニットに取り付けてもよい。また、保持ユニットとして、軸取付部材が示されているが、ランナー(B1)の態様と同様に、少なくとも誘導案内部材を備えていてもよい。
なお、図30に示されるように、図10に示すのと同様の多角枠状の把持枠54のうち、横方向などに延びる下部枠54aには、肘掛け部材55aに代えて、下部枠54aに沿って緩衝材又はクッション材55cを取り付けてもよい。
このように、保持ユニットに対して回転可能に取り付けられた回転軸部と、この回転軸部に対して揺動可能に取り付けられた揺動部材と、この揺動部材に取り付けられ、利用者の移動を補助するための補助具とを利用すると、介護分野での歩行者の歩行を有効に補助できる。
なお、棒状体は、揺動部材(揺動部材がない場合には、回転軸部)に対して揺動可能に取り付けてもよく、棒状体を揺動することなく一体に取り付けてもよい。棒状体は中空筒体と把持部材とで形成する必要はなく、把持可能な棒状体(把持部を有する棒状体)を備えていればよい。また、把持部材(棒状体)は、直線状に延びる必要はなく、長手方向に湾曲していて波形状の形態で延びていてもよく、長手方向に湾曲しつつ螺旋状の形態で延びていてもよい。
棒状体は一定の長さを有し、長さが調整できなくてもよいが、長さ調整可能(伸縮又は伸長可能)であるのが好ましく、長さ調整可能な棒状体において、前記中空筒体は断面円筒状に限らず、断面中空多角形状であってもよい。棒状体の長さ調整機構は、前記のように、筒体と棒状体とを貫通部材で貫通させて位置決めする機構に限らず、直径の異なる複数の中空筒体(長尺であってもよい中空筒体)が互いにスライド可能に同心円状に収容され、かつ1又は複数の中空筒体が伸長した状態で締結機構などにより固定可能な伸長機構などであってもよく、この伸長機構では、中心となる棒状体は中実又は中空の棒状体であってもよい。
なお、把持操作を円滑に行うためには、保持ユニットと棒状体(又は把持部)との間には、棒状体(又は把持部)との接触に伴って棒状体(又は把持部)を揺動させる柔軟性部材(例えば、種々の方向に(又は過度に)揺動させる自由変形又は屈曲変形可能な紐状体、鎖状体などの部材)が介在していてもよいが、介在しないのが好ましい。保持ユニットと棒状体(又は把持部)との間には、剛直な又は剛性の高い部材(例えば、前記逆U字状の揺動部材などのように、金属、セラミックス、樹脂などの成形体で形成された硬質部材又は機械的強度の高い部材)が介在していてもよい。
なお、ゴム弾性体を保持ユニットと接触した形態で、棒状体に装着すると、棒状体(又は把持部)が過度に揺動するのを防止できる。ゴム弾性体は、通常、前記接続手段又はユニットをカバーした形態で、保持ユニットに対して接触させて棒状体の先端部に装着する場合が多く、ゴム弾性体の肉厚を大きくしたり、保持ユニットに対する接触面積を大きくすることにより、保持ユニットに対する棒状体(又は把持部)の過度な揺動を防止できる。
把持部は、前記のように、棒状体に形成してもよく、逆T字状、コ字状などの形態であってもよく、把持部は、前記のように、棒状体に形成された把持枠であってもよい。この把持枠は、多角枠(例えば、三角枠、四角枠、五角枠、六角枠などの多角枠)であってもよい。
さらに、把持部材(棒状体)は、湾曲又は屈曲形態などの種々の形態の中間部を介して、把持部と接続してもよい。例えば、図31に示すように、ランナーの連結部材に揺動可能に取り付けられた中空筒体52には、長さ調整可能に把持部材(棒状体)53が取り付けられ、この把持部材は、屈曲又は屈曲した形態の把持フレーム部196と、この把持フレーム部の端部に取り付けられた棒状の把持部197とを備えていてもよい。この例では、図31に示すように、前記把持フレーム部196は、把持部材(棒状体)53と把持部197との間で前方方向に屈曲又は湾曲した形態の屈曲又は湾曲部196aを有している。
なお、緩衝材やクッション材、滑り止め部材(グリップテープなど)などは必ずしも必要ではない。また、肘掛け部材には、多角枠状の把持枠の下部枠に対応する凹溝を形成し、この凹溝に下部枠を装着又は嵌合してもよい。また、下部枠と肘掛け部材とは、接着剤、締結具などの慣用の固定具を利用して固定してもよい。肘掛け部材は、金属製、木製、プラスチック製などであってもよい。
また、棒状体、把持部材(把持部を含む)の適所、緩衝材又はクッション材は、テープ又はシート(又はフィルム)で被覆してもよく、シートとして布帛を利用してもよく、シート(又はフィルム)として熱収縮性シート(又はフィルム)を利用して加熱し、緊密に被覆してもよい。また、前記テープやシートでの被覆には、面ファスナーを利用してもよい。例えば、互いに係合可能な面ファスナーを備えたテープ又はシート(又はフィルム)を用いてもよい。また、緩衝材又はクッション材などにテープを螺旋状に巻回し、螺旋状の凹凸部を形成し、グリップ性を高めてもよい。さらに、棒状体、把持部材(把持部を含む)には、必要により接着剤で接着した状態で、中空筒状の緩衝材又はクッション材を装着してもよい。さらには、必要であれば、把持部材(例えば、両側枠54bなどの把持枠の適所、把持フレーム部196の適所)などには、眼鏡、ルームキーやカードなどの物品を収容可能な収容部材を取り付けてもよい。
本発明は、前記ランナーと前記レールとのセットも包含する。レールは、前記のように、ループ状走行路と分岐走行路とを備えており、ランナーが走行可能な走行壁又は走行路を備えている。前記ランナーは、前記態様(B2)のランナー、すなわち、保持ユニットと、この保持ユニットに所定間隔をおいて取り付けられ、レールのスリット状開口部にスライド自在に配設可能な複数の軸部材(例えば、少なくとも一対の第1の軸部材と、必要により少なくとも1つの第2の軸部材)と、これらの軸部材に装着又は取り付けられ、レールの走行路と接触して少なくとも摺動又は軸部材の周方向に回転可能な摺接体(車輪部材又は車輪体など)と、前記保持ユニットに取り付けられ、移動体又は被搬送体が接続又は取付可能な接続又は連結手段とを備えていてもよい。さらに、ランナーは、前記態様(B1)のランナー、すなわち、保持ユニットが少なくとも誘導案内部材を含むランナーであってもよい。
このようなセットにおいて、前記ランナーの摺接体は、前記ランナーの走行に伴って、前記レールの走行壁と接触して少なくとも摺動又は摺接可能(軸部材の周方向に回転可能又は回転することなく摺動可能)である。そのため、過度に滑走することなく、レールのスリット状開口部に沿って、走行路が分岐していても、ランナーは安定かつ円滑に走行可能である。このようなセットは、種々の移動部材の移送又は搬送、移動体(高齢者や身体障害者など)の移動などに利用でき、歩行が困難な利用者の移動を補助するのに有用な移動補助装置を形成してもよい。なお、前記セットは、さらに、前記接続又は連結手段などを備えていてもよく、前記接続又は連結手段は、前記ランナーの支持取付部又は保持ユニット軸取付部材に取り付け可能であり、かつ前記移動部材(被移送体、開閉体など)又は移動体と接続可能であってもよい。