JP6883505B2 - 有端なvベルト、及び、その製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、全長にわたり継手用縦孔を適当な間隔で設け、必要に応じた長さに切断して接合するようにした、動力伝達に使用が可能な有端なVベルトに関する。
本発明のVベルトは、例えば、突然Vベルトが切断して設備が稼動しなくなった場合に、応急的に復旧させうることが可能なVベルトである。取替品が手元になく、すぐに入手が困難な場合、長尺の有端なVベルトを必要な長さに切断して、図3に示すように、Vベルトの両端に設けられた継手用縦孔を継手金具によってジョイントし、無端のVベルトとして応急用に使用される。
このような有端なVベルトの先行技術文献としては、例えば、特許文献1に開示された構成の有端なV型ベルトがある。この有端なV型ベルトは、必要に応じた長さに切断して接合されて使用される。その実施例は、図12に示すように、中心層(1)、外部層(2)、カバーゴム(3)を備え、V型ベルトを縦に貫通する継手孔(4)をV型ベルトの全長にわたり間隔をおいて設けたV型ベルトにおいて、伸びの小さい帆布を渦形に巻いた中心層(1)をその帆布より伸びの大きな帆布を渦形に巻いた外部層(2)で包み込んだことを特徴とするV型ベルトである(ただし、ゴム組成物をフリクション又は積層した布帛のみで構成され、芯体(心線)はない)。
上記のV型ベルトの製造方法としては、紙縒り(こより)の要領で連続した布帛を巻き続けていくが、巻き付け後の長手方向は布帛のバイアス方向となる。巻き付け直後の未加硫ベルトの断面は円形である。未加硫のベルトは、加硫時に嵌め込む金型によってV型に成形する。その後、加硫後のVベルトに外周面から内周面に所定の間隔で継手孔(貫通穴)を開ける(図1参照)。使用する際に、Vベルトを必要な長さにカットして、Vベルトの両端に設けられた継手用縦孔を継手金具(図2参照)によってジョイントし、無端のVベルトに加工する(図3参照)。
実公昭40−5072号公報
しかしながら、上記のような有端Vベルトは継手孔を形成することから、Vベルトの長手方向に沿って設けられる芯体がないので、芯体のあるVベルトに比べ、走行伸びが大きくなってしまう傾向にある。また、走行伸びが大きくなると、Vベルトによる動力伝達能力が低くなってしまう。また、Vベルトの両端に設けられた継手用縦孔に継手金具を取り付けたジョイント部分は曲げ難く耐屈曲性が劣ってしまう。また、ベルト部分に比べて継手金具を取り付けたジョイント部分の強力は低くなってしまう。また、ジョイント部分の強力は低くなってしまうと、スリップや、振れが大きくなってしまう。また、破損の多くはジョイント部分の継手金具が、巻きつけられた布帛を突き破ることによって生じる(図4参照)。即ち、ジョイント部分の耐久性は低く、寿命は通常のエンドレスベルトに比べ短くなる。
そこで、本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、継手用縦孔を有する有端のVベルトについて、走行時の伸びを小さくし、張力の低下も小さくし、継手用縦孔から破断するVベルトの破断現象を防止し、Vベルトの寿命を延ばし、更に、そのVベルトの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための発明の一つは、動力伝達に使用される有端なVベルトであって、
アラミドシート又はカーボンシートが巻かれて形成された第1芯体層を備え、
当該Vベルトの厚み方向に貫通する継手孔が、当該Vベルトの長手方向にわたり間隔をおいて複数形成されていることを特徴としている。
上記構成によれば、アラミドシートは、破断強力・柔軟性が高く、アラミド繊維が折れにくいなどの特長をもつことから、継手孔にジョイント金具のビスが装着されて使用された場合に、継手孔から破断するVベルトの破断現象を防止し、Vベルトの寿命を高めることができる。即ち、走行耐久性を向上させることができる。
また、カーボンシートも、破断強力(継手孔の引張強さ)が高く、カーボン繊維が折れにくいなどの特長をもつことから、継手孔にジョイント金具のビスが装着されて使用された場合に、継手孔から破断するVベルトの破断現象を防止し、Vベルトの寿命を高めることができる。即ち、走行耐久性を向上させることができる。
更に、従来の第1芯体層に綿帆布を使用した場合に比べ、第1芯体層にアラミドシート又はカーボンシートを使用した場合、中間伸び・切断伸びを小さくすることができる。これにより、走行時の伸びを小さくし、張力の低下も小さくすることができる。従って、Vベルト走行途中の張力調整のメンテナンスを減らすことができる。
また、本発明の一つは、上記Vベルトにおいて、前記第1芯体層の外側に、綿製のシートが巻かれて形成された第2芯体層を有することを特徴としている。
上記構成によれば、第1芯体層の外側に綿製のシートを巻いた第2芯体層を設けることにより、綿の柔軟性により、Vベルトの屈曲性を高め、Vベルトが巻き掛けられるプーリともなじみやすくすることができる。これにより、より小径のプーリを使用した場合でもVベルトの伝達性能を保持することができる。
また、本発明の一つは、上記Vベルトにおいて、前記第1芯体層及び前記第2芯体層における、当該Vベルトの幅方向に占める割合が、1〜1.5:1の範囲内であることを特徴としている。
上記構成によれば、Vベルトの両端に形成された継手孔にジョイント金具を装着させた無端のVベルトを最小プーリ(当該Vベルトが使用可能な最小プーリ径:Vベルトの仕様に応じて最小プーリ径が設定されている)に巻き掛け走行させた場合、その最小プーリにも対応する、屈曲性、及び、破断強力(継手孔の引張強さ)を保持させることができる。
また、本発明の一つは、上記Vベルトにおいて、前記アラミドシートは、アラミド繊維束が一方向に配列されており、
前記カーボンシートは、カーボン繊維束が一方向に配列されていることを特徴としている。
上記構成によれば、Vベルトにおいて、繊維束(アラミド繊維束、カーボン繊維束)が配列された方向に対する強度を高めることができる。
また、本発明の一つは、上記Vベルトにおいて、前記アラミドシートのアラミド繊維束の配列方向、又は、前記カーボンシートのカーボン繊維束の配列方向が、当該Vベルト長手方向に対して垂直になるように配列されていることを特徴としている。
上記構成によれば、Vベルト長手方向に対して垂直方向の強度を高めることができる。
また、本発明の一つは、上記Vベルトにおいて、前記アラミドシートは、目付量が230〜830g/m2、引張強度が2060N/mm2以上、厚みが0.16〜0.60mmの条件を満たし、
前記カーボンシートは、目付量が200〜450g/m2、引張強度が2900N/mm2以上、厚みが0.11〜0.35mmの条件を満たすことを特徴としている。
上記構成によれば、破断強力(継手孔の引張強さ)をより高くしたVベルトにすることができる。
また、本発明の一つは、上記Vベルトにおいて、前記アラミドシートは、二方向のアラミド繊維束が交差するように配列されており、
前記カーボンシートは、二方向のカーボン繊維束が交差するように配列されていることを特徴としている。
上記構成によれば、Vベルトにおいて、繊維束(アラミド繊維束、カーボン繊維束)が配列された二方向に対する強度を高めることができる。
また、本発明の一つは、上記Vベルトにおいて、前記アラミドシートのアラミド繊維束の二つの配列方向、又は、前記カーボンシートのカーボン繊維束の二つの配列方向がともに、Vベルト長手方向に対して傾斜角度を有するように配列されていることを特徴としている。
上記構成のように、繊維束の二つの配列方向がともにVベルト長手方向に対して傾斜角度を有するように配列することにより、傾斜角度を有しない場合に比べて、Vベルトの強度を高め、屈曲性を保持し、屈曲疲労による早期クラック、及び、切断による寿命の低下を防ぐことができる。
また、本発明の一つは、上記Vベルトにおいて、前記アラミドシートは、目付量が90〜870g/m2、引張強度が2060N/mm2以上、厚みが0.03〜0.24mmの条件を満たし、
前記カーボンシートは、目付量が200〜300g/m2、引張強度が2900N/mm2以上、厚みが0.05〜0.09mmの条件を満たすことを特徴としている。
上記構成によれば、破断強力(継手孔の引張強さ)をより高くしたVベルトにすることができる。
また、本発明の一つは、動力伝達に使用される有端なVベルトの製造方法であって、
アラミドシート又はカーボンシートを、ロール状に巻き回して第1芯体層を形成する第1芯体層形成工程と、
前記第1芯体層の外周に、カバー層を巻くカバー層形成工程と、
前記第1芯体層の外周に前記カバー層が巻かれたベルトの原型を、V形状の金型に嵌め込み加熱成形する加熱成形工程と、
加熱成形されたVベルトに対して、厚み方向に貫通する継手孔を、当該Vベルトの長手方向にわたり間隔をおいて複数形成する継手孔形成工程と、を含むことを特徴としている。
上記方法によれば、アラミドシートが、破断強力・柔軟性が高く、アラミド繊維が折れにくいなどの特長をもつことから、継手孔にジョイント金具のビスが装着されて使用された場合に、継手孔から破断するVベルトの破断現象を防止可能で、Vベルトの寿命を高めたVベルトを製造することができる。即ち、走行耐久性を向上させたVベルトを製造することができる。
また、カーボンシートも、破断強力(継手孔の引張強さ)が高く、カーボン繊維が折れにくいなどの特長をもつことから、継手孔にジョイント金具のビスが装着されて使用された場合に、継手孔から破断するVベルトの破断現象を防止で、Vベルトの寿命を高めたVベルトを製造することができる。即ち、走行耐久性を向上させたVベルトを製造することができる。
更に、従来の第1芯体層に綿帆布を使用した場合に比べ、第1芯体層にアラミドシート又はカーボンシートを使用した場合、中間伸び・切断伸びを小さくしたVベルトを製造することができる。これにより、走行時の伸びを小さくし、張力の低下も小さくしたVベルトを製造することができる。従って、製造したVベルトでは、Vベルト走行途中の張力調整のメンテナンスを減らすことができる。
また、本発明の一つは、動力伝達に使用される有端なVベルトの製造方法であって、
アラミドシート又はカーボンシートを、ロール状に巻き回して第1芯体層を形成する第1芯体層形成工程と、
前記第1芯体層の外側に、綿製のシートをロール状に巻き回して第2芯体層を形成する第2芯体層形成工程と、
前記第2芯体層の外周に、カバー層を巻くカバー層形成工程と、
前記第1芯体層及び前記第2芯体層の外周に前記カバー層が巻かれたベルトの原型を、V形状の金型に嵌め込み加熱成形する加熱成形工程と、
加熱成形されたVベルトに対して、厚み方向に貫通する継手孔を、当該Vベルトの長手方向にわたり間隔をおいて複数形成する継手孔形成工程と、を含むことを特徴としている。
上記方法によれば、第2芯体層形成工程を経て、第1芯体層の外側に綿製のシートを巻いた第2芯体層を設けることにより、綿の柔軟性により、屈曲性を高め、巻き掛けられるプーリともなじみやすいVベルトを製造することができる。これにより、より小径のプーリを使用した場合でも、伝達性能を保持することができるVベルトを製造することができる。
また、本発明の一つは、上記Vベルトの製造方法の、前記第1芯体層形成工程、及び、前記第2芯体層形成工程において、
前記第1芯体層及び前記第2芯体層における、当該Vベルトの幅方向に占める割合を、1〜1.5:1の範囲内にすることを特徴としている。
上記方法により製造したVベルトの両端に形成された継手孔にジョイント金具を装着させた無端のVベルトを、最小プーリ(当該Vベルトが使用可能な最小プーリ径:Vベルトの仕様に応じて最小プーリ径が設定されている)に巻き掛け走行させた場合、その最小プーリにも対応する、屈曲性、及び、破断強力(継手孔の引張強さ)を保持させることができる。
また、本発明の一つは、上記Vベルトの製造方法の、前記第1芯体層形成工程において、
アラミド繊維束が一方向に配列された前記アラミドシート、又は、カーボン繊維束が一方向に配列された前記カーボンシートを使用し、
前記アラミドシート又は前記カーボンシートをロール状に巻き回す際に、前記繊維束の配列方向に巻き回すことにより、前記繊維束の配列方向が、Vベルト長手方向に対して垂直になるように配列させることを特徴としている。
上記方法によれば、Vベルト長手方向に対して垂直方向の強度を高めたVベルトを製造することができる。
また、本発明の一つは、上記Vベルトの製造方法において、前記アラミドシートは、目付量が230〜830g/m2、引張強度が2060N/mm2以上、厚みが0.16〜0.60mmの条件を満たし、
前記カーボンシートは、目付量が200〜450g/m2、引張強度が2900N/mm2以上、厚みが0.11〜0.35mmの条件を満たすことを特徴としている。
上記方法によれば、破断強力(継手孔の引張強さ)をより高くしたVベルトを製造することができる。
また、本発明の一つは、上記Vベルトの製造方法の、前記第1芯体層形成工程において、
二方向のアラミド繊維束が交差するように配列された前記アラミドシート、又は、カーボン繊維束が交差するように配列された前記カーボンシートを使用し、
前記アラミドシート又は前記カーボンシートをロール状に巻き回す際に、前記繊維束の二つの配列方向がともにVベルト長手方向に対して傾斜角度を有するように巻き回すことにより、前記繊維束の二つの配列方向が、Vベルト長手方向に対して傾斜角度を有するように配列させることを特徴としている。
上記方法のように、繊維束の二つの配列方向がともにVベルト長手方向に対して傾斜角度を有するように配列させることにより、傾斜角度を有しない場合に比べて、Vベルトの強度を高め、屈曲性を保持し、屈曲疲労による早期クラック、及び、切断による寿命の低下を防止可能なVベルトを製造することができる。
また、本発明の一つは、上記Vベルトの製造方法において、前記アラミドシートは、目付量が90〜870g/m2、引張強度が2060N/mm2以上、厚みが0.03〜0.24mmの条件を満たし、
前記カーボンシートは、目付量が200〜300g/m2、引張強度が2900N/mm2以上、厚みが0.05〜0.09mmの条件を満たすことを特徴としている。
上記方法によれば、破断強力(継手孔の引張強さ)をより高くしたVベルトを製造することができる。
継手用縦孔を有する有端のVベルトについて、走行時の伸びを小さくし、張力の低下も小さくし、継手用縦孔から破断するVベルトの破断現象を防止し、Vベルトの寿命を延ばし、更に、そのVベルトの製造方法を提供することができる。
本実施形態に係るVベルトの斜視図である。 継手金具の説明図である。 本実施形態に係るVベルトの使用態様の説明図である。 Vベルトに形成された継手孔の破断現象の説明図である。 本実施形態に係るVベルトの説明図である。 本実施形態に係るアラミドシートの説明図である。 本実施形態に係るVベルトの製造方法の説明図である。 第1芯体層に一方向シートを使用する場合の繊維束の配列方向の説明図である。 本実施形態に係るVベルトの製造方法の説明図である。 第1芯体層に二方向シートを使用する場合の繊維束の配列方向の説明図である。 本実施形態に係るVベルトの製造方法の説明図である。 先行技術文献に係るV型ベルトの説明図である。 第1芯体層及び第2芯体層のVベルトの幅方向に占める割合の説明図である。 実施例の走行試験で使用する縦型の走行試験機の説明図である。
(実施形態)
以下、図面を参照しつつ、本願発明に係るVベルト1、及び、Vベルト1の製造方法について説明する。Vベルト1は、両端部があるオープンエンドベルト(有端Vベルト)である(図1参照)。このVベルト1は、必要な長さに切断されて、図3に示すように、切断されたVベルト1の両端に設けられた継手孔15を継手金具2(図2参照)によってジョイントすることにより、輪状のVベルト1(無端Vベルト)として使用される。例えば、このような輪状のVベルト1は、応急的にプーリ間に巻き掛けられ、動力を伝達するために使用される。
(Vベルト1)
Vベルト1は、図5のVベルト1AやVベルト1Bに示すように、断面視台形状をした、V型のベルトである。
(Vベルト1A)
Vベルト1Aは、図5に示すように、心線11にアラミドシート又はカーボンシートが巻かれて形成された第1芯体層12と、第1芯体層12の外側に綿製のシートが巻かれて形成された第2芯体層13と、第2芯体層13の外周に設けられた綿製のカバー層14によって構成されている。そして、図5に示すように、Vベルト1Aの厚み方向に貫通する継手孔15が、Vベルト1Aの長手方向にわたり所定の間隔をおいて所定数形成されている(図1参照)。
(心線11)
心線11は、第1芯体層12の中心に配置され、アラミドシート又はカーボンシートを巻き付ける芯になっている。心線11には、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、ガラス繊維、カーボン繊維、PBO繊維などで形成された、撚りコードを1本使用している。この心線11は、アラミドシート又はカーボンシートを巻く為の芯(中芯)であり、Vベルト1A自体の強度を上げるために配置される芯体ではないため、心線11自体は無い構成でもよい。
(第1芯体層12:アラミドシート)
第1芯体層12に使用されるアラミドシートは、図6に示すように、アラミド繊維束を一方向に配列させた高強度繊維シート(一方向シート)、又は、二方向のアラミド繊維束が交差するように配列させた高強度繊維シート(二方向シート)である。一方向シートは、アラミド繊維束を一方向(経または緯)に編んだり、アラミド繊維束をバインダ等で結合させて配列したシートなどである。また、二方向シートは、アラミド繊維束が二方向(経と緯)に交差して織られた(又は編まれた)シートなどである。
アラミドシートは、破断強力・柔軟性が高く、アラミド繊維が折れにくいなどの特長をもつことから、継手孔15に継手金具2のビスが装着されて使用された場合に、継手孔15から破断するVベルト1Aの破断現象を防止し、Vベルト1Aの寿命を高めることができる。即ち、走行耐久性を向上させることができる。
また、アラミド繊維束を一方向に配列させた一方向シートを使用した場合、アラミド繊維束が配列された方向に対する強度を高めることができる。また、二方向のアラミド繊維束が交差するように配列させた二方向シートを使用した場合、アラミド繊維束が配列された二方向に対する強度を高めることができる。
また、アラミドシートの一方向シートとしては、目付量が230〜830g/m2、引張強度が2060N/mm2以上、厚みが0.16〜0.60mmの条件を満たしていることが望ましい。これにより、破断強力(継手孔15の引張強さ)をより高くしたVベルト1Aにすることができる。
また、アラミドシートの二方向シートとしては、目付量が90〜870g/m2、引張強度が2060N/mm2以上、厚みが0.03〜0.24mmの条件を満たしていることが望ましい。これにより、破断強力(継手孔15の引張強さ)をより高くしたVベルト1Aにすることができる。
例えば、アラミドシートの一方向シートとしては、表1に示す、ファイベックス製、前田工繊製のものが挙がられる。また、アラミドシートの二方向シートとしては、表2に示す、ファイベックス製、前田工繊製のものが挙がられる。
(表1)
(アラミドシート:一方向シート)
Figure 0006883505
(表2)
(アラミドシート:二方向シート)
Figure 0006883505
また、アラミドシートの一方向シートを巻いて第1芯体層12を形成する場合、図8に示すように、アラミド繊維束の配列方向は、Vベルト1の長手方向に対して側面視で垂直になるように配列することが望ましい。これにより、Vベルト1Aの長手方向に対して垂直方向の強度を高めることができる。
また、アラミドシートの二方向シートを巻いて第1芯体層12を形成する場合、図10に示すように、アラミド繊維束の二つの配列方向がともに、Vベルト1の長手方向に対して側面視で傾斜角度を有するように配列することが望ましい。これにより、傾斜角度を有しない場合に比べて、Vベルト1Aの強度を高め、屈曲性を保持し、屈曲疲労による早期クラック、及び、切断による寿命の低下を防ぐことができる。
(第1芯体層12:カーボンシート)
第1芯体層12に使用されるカーボンシートは、カーボン繊維束を一方向に配列させた高強度繊維シート(一方向シート)、又は、二方向のカーボン繊維束が交差するように配列させた高強度繊維シート(二方向シート)である。一方向シートは、カーボン繊維束を一方向(経または緯)に編んだり、カーボン繊維束をバインダ等で結合させて配列したシートなどである。また、二方向シートは、カーボン繊維束が二方向(経と緯)に交差して織られた(又は編まれた)シートなどである。
カーボンシートは、破断強力(継手孔の引張強さ)が高く、カーボン繊維が折れにくいなどの特長をもつことから、継手孔15に継手金具2のビスが装着されて使用された場合に、継手孔15から破断するVベルト1Aの破断現象を防止し、Vベルト1Aの寿命を高めることができる。即ち、走行耐久性を向上させることができる。
また、カーボン繊維束を一方向に配列させた一方向シートを使用した場合、カーボン繊維束が配列された方向に対する強度を高めることができる。また、二方向のカーボン繊維束が交差するように配列させた二方向シートを使用した場合、カーボン繊維束が配列された二方向に対する強度を高めることができる。
また、カーボンシートの一方向シートとしては、目付量が200〜450g/m2、引張強度が2900N/mm2以上、厚みが0.11〜0.35mmの条件を満たしていることが望ましい。これにより、破断強力(継手孔15の引張強さ)をより高くしたVベルト1Aにすることができる。
また、カーボンシートの二方向シートとしては、目付量が200〜300g/m2、引張強度が2900N/mm2以上、厚みが0.05〜0.09mmの条件を満たしていることが望ましい。これにより、破断強力(継手孔15の引張強さ)をより高くしたVベルト1Aにすることができる。
例えば、カーボンシートの一方向シートとしては、表3に示す、前田工繊製のものが挙がられる。また、カーボンシートの二方向シートとしては、表4に示す、前田工繊製のものが挙がられる。
(表3)
(カーボンシート:一方向シート)
Figure 0006883505
(表4)
(カーボンシート:二方向シート)
Figure 0006883505
また、カーボンシートの一方向シートを巻いて第1芯体層12を形成する場合、図8に示すように、カーボン繊維束の配列方向は、Vベルト1の長手方向に対して側面視で垂直になるように配列することが望ましい。これにより、Vベルト1Aの長手方向に対して垂直方向の強度を高めることができる。
また、カーボンシートの二方向シートを巻いて第1芯体層12を形成する場合、図10に示すように、カーボン繊維束の二つの配列方向がともに、Vベルト1の長手方向に対して側面視で傾斜角度を有するように配列することが望ましい。これにより、傾斜角度を有しない場合に比べて、Vベルト1Aの強度を高め、屈曲性を保持し、屈曲疲労による早期クラック、及び、切断による寿命の低下を防ぐことができる。
(第2芯体層13)
第2芯体層13として使用される綿製のシートは、綿製の帆布素材により構成される織布のシートなどである。第1芯体層12の外側に綿製のシートを巻いた第2芯体層13を設けることにより、綿の柔軟性により、Vベルト1Aの屈曲性を高め、Vベルト1Aが巻き掛けられるプーリともなじみやすくすることができる。これにより、より小径のプーリを使用した場合でもVベルト1Aの伝達性能を保持することができる。
ここで、第1芯体層12及び第2芯体層13における、Vベルト1Aの幅方向に占める割合は、1〜1.5:1の範囲内であることが望ましい(図5参照)。このような範囲内にすることにより、Vベルト1Aの両端に形成された継手孔15に継手金具2を装着させた無端のVベルト1Aを最小プーリ(当該Vベルト1Aが使用可能な最小プーリ径:Vベルト1Aの仕様に応じて最小プーリ径が設定されている)に巻き掛け走行させた場合、その最小プーリにも対応する、屈曲性、及び、破断強力(継手孔の引張強さ)を保持させることができる。
(カバー層14)
カバー層14には、綿帆布を使用している。カバー層14には、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維などのからなる織布を使用してもよい。
なお、第1芯体層12、第2芯体層13、及び、カバー層14は、公知のRFL液、ゴム糊、含浸樹脂などの接着剤(バインダ)により、それぞれの層同士が接着されている。
(Vベルト1B)
Vベルト1Bは、図5に示すように、心線11にアラミドシート又はカーボンシートが巻かれて形成された第1芯体層12と、第1芯体層12の外周に設けられた綿製のカバー層14によって構成されている。そして、Vベルト1Bの厚み方向に貫通する継手孔15が、Vベルト1Bの長手方向にわたり所定の間隔をおいて複数形成されている。即ち、Vベルト1Bは、Vベルト1Aに比べて、第2芯体層13を有さず、カバー層14の下層を第1芯体層12のみの構成としている。その他の構成は、Vベルト1Aと同様である。
(Vベルト1の製造方法)
次に、Vベルト1(Vベルト1A、Vベルト1B)の製造方法について説明する。
(Vベルト1Aの製造方法)
まず、第1芯体層12を構成するアラミドシート又はカーボンシートに一方向シートを使用する場合、図7に示すように、心線11にアラミドシート又はカーボンシートの角部分から紙縒りの要領でロール状に巻き付ける(第1芯体層形成工程)。この際、図7に示すように、繊維束(アラミド繊維束、カーボン繊維束)の配列方向に沿って巻き回すことにより、繊維束の配列方向が、Vベルト1Aの長手方向に対して側面視で垂直になるように配列させる。これにより、アラミドシート又はカーボンシートに一方向シートを使用した、ロール状の第1芯体層12を形成する。
一方、第1芯体層12を構成するアラミドシート又はカーボンシートに二方向シートを使用する場合、図9に示すように、心線11にアラミドシート又はカーボンシートの角部分からロール状に巻き付ける(第1芯体層形成工程)。この際、図9に示すように、繊維束(アラミド繊維束、カーボン繊維束)の二つの配列方向がともにVベルト1Aの長手方向に対して側面視で傾斜角度を有するように巻き回すことにより、繊維束の二つの配列方向が、Vベルト1Aの長手方向に対して傾斜角度を有するように配列させる。これにより、アラミドシート又はカーボンシートに二方向シートを使用した、ロール状の第1芯体層12を形成する。
なお、第1芯体層12には、第2芯体層13との接着性を向上させるため、未加硫ゴム組成物を溶剤に溶かした液状ゴム(ゴム糊)を塗布後、溶剤を蒸発させシートの表面に未加硫ゴム組成物の膜を形成する処理を行う。
次に、図11に示すように、ロール状の第1芯体層12に、綿製のシートをロール状に巻き回して、第1芯体層12の外側に第2芯体層13を形成する(第2芯体層形成工程)。
ここで、第1芯体層形成工程、及び、第2芯体層形成工程において、第1芯体層12及び第2芯体層13における、Vベルト1Aの幅方向に占める割合は、1〜1.5:1の範囲内になるようにすることが望ましい。
なお、第2芯体層13には、カバー層14との接着性を向上させるため、カレンダーロールを用い表面速度の異なるロール間に未加硫ゴム組成物と綿製シートを同時に通過させ、シートの繊維間にまで未加硫ゴム組成物を擦り込むフリクション処理や、シート状の未加硫ゴム組成物(所定の厚さの未加硫ゴム)を同じ表面速度で回転するロール間に通して被着する積層処理などを行う。
次に、第2芯体層13の外周に、シート状の綿帆布をロール状に巻き回して、第2芯体層13の外周にカバー層14を形成する(カバー層形成工程)。
次に、第1芯体層12及び第2芯体層13の外周にカバー層14が巻かれたロール状のベルトの原型を、V形状(断面視台形状)の金型に嵌め込み加熱成形する(加熱成形工程)。これにより、ロール状のベルトの原型が断面視台形状のV形状のベルトに成形されるとともに、各層の接着剤に含まれるゴム成分や樹脂成分が結合して、それぞれの層同士がより強固に接着される。
次に、加熱成形されたV形状のベルトに対して、厚み方向に貫通する継手孔15を、ドリルなどを使用して、Vベルト1Aの長手方向にわたり所定の間隔をおいて所定数形成する(継手孔形成工程)。
上記工程を経ることにより、Vベルト1Aを成形する。なお、一方向シート・二方向シートの選択や、巻き付け幅などは要求されるVベルト1Aの物性(強伸度)や走行条件(張力、負荷、回転数、プーリ径など)により設定される。
(Vベルト1Bの製造方法)
まず、Vベルト1Aの製造方法と同様に、第1芯体層12を構成するアラミドシート又はカーボンシートに一方向シートを使用する場合、図7に示すように、心線11にアラミドシート又はカーボンシートの角部分から紙縒りの要領でロール状に巻き付ける(第1芯体層形成工程)。この際、図7に示すように、繊維束(アラミド繊維束、カーボン繊維束)の配列方向に沿って巻き回すことにより、繊維束の配列方向が、Vベルト1Bの長手方向に対して側面視で垂直になるように配列させる。これにより、アラミドシート又はカーボンシートに一方向シートを使用した、ロール状の第1芯体層12を形成する。
また、第1芯体層12を構成するアラミドシート又はカーボンシートに二方向シートを使用する場合、図9に示すように、心線11にアラミドシート又はカーボンシートの角部分からロール状に巻き付ける(第1芯体層形成工程)。この際、図9に示すように、繊維束(アラミド繊維束、カーボン繊維束)の二つの配列方向がともにVベルト1Bの長手方向に対して側面視で傾斜角度を有するように巻き回すことにより、繊維束の二つの配列方向が、Vベルト1Bの長手方向に対して傾斜角度を有するように配列させる。これにより、アラミドシート又はカーボンシートに二方向シートを使用した、ロール状の第1芯体層12を形成する。
なお、第1芯体層12には、カバー層14との接着性を向上させるため、カレンダーロールを用い表面速度の異なるロール間に未加硫ゴム組成物と綿製シートを同時に通過させ、シートの繊維間にまで未加硫ゴム組成物を擦り込むフリクション処理や、シート状の未加硫ゴム組成物(所定の厚さの未加硫ゴム)を同じ表面速度で回転するロール間に通して被着する積層処理などを行う。
次に、第1芯体層12の外周に、シート状の綿帆布をロール状に巻き回して、第1芯体層12の外周にカバー層14を形成する(カバー層形成工程)。
次に、第1芯体層12の外周にカバー層14が巻かれたロール状のベルトの原型を、V形状(断面視台形状)の金型に嵌め込み加熱成形する(加熱成形工程)。これにより、ロール状のベルトの原型が断面視台形状のV形状のベルトに成形されるとともに、各層の接着剤に含まれるゴム成分や樹脂成分が結合して、それぞれの層同士がより強固に接着される。
次に、加熱成形されたV形状のベルトに対して、厚み方向に貫通する継手孔15を、ドリルなどを使用して、Vベルト1Bの長手方向にわたり所定の間隔をおいて所定数形成する(継手孔形成工程)。
上記工程を経ることにより、Vベルト1Bを成形する。
(実施例1〜12に係るVベルト1Aと比較例に係るVベルトの引張試験)
次に、実施例1〜12に係るVベルト1A及び比較例に係る従来のVベルトに対して、JIS K 6323による引張試験を行い、破断強力等(継手引張り強さ)を測定した。なお、比較例に係る従来のVベルトは、図5の従来の項目に記載したVベルトであり、心線11に綿製のシートが巻かれて形成された第2芯体層13と、第2芯体層13の外周に設けられた綿製のカバー層14によって構成されている(アラミドシート、カーボンシートを使用していない構成)。
具体的には、表5の材料構成に基づき、実施例1〜12に係るVベルト1A、及び、比較例に係る従来のVベルトを作成した。そして、引張試験機によって、240kgの力を加えた時の各Vベルトの伸び(中間伸び:%)、各Vベルトに力を加え切断された時の各Vベルトの伸び(切断時の伸び:%)、各Vベルトの両端を引っ張った際の最大引張強さ(引張り強さ:kgf)、及び、各Vベルトの継手部分を引っ張った際の最大引張強さ(継手引張り強さ:kgf)を測定した。引張試験の結果を表5に示す。
(表5)
(Vベルトの材料構成及び引張試験結果)
Figure 0006883505
Figure 0006883505
Figure 0006883505
Figure 0006883505
※1 表5において、第1芯体層及び第2芯体層の、Vベルト1Aの幅方向に占める割合は、図13に示す、第1芯体層幅(W1)と第2芯体層幅(W2A+W2B)との比率を指標としている。故に、(第1芯体層):(第2芯体層)=(W1):(W2A+W2B)としている。例えば、実施例1〜12で使用したB形のラップドVベルトの場合、カバー層を除くとW1+(W2A+W2B)=14.0mmになる。
※2 表5の積層処理では、シート状の未加硫ゴム組成物(所定の厚さの未加硫ゴム)を同じ表面速度で回転するロール間に通して被着した。なお、ゴムシートの積層面は片側1面とした。
※3 引張試験では、1本の試料(実施例1〜12及び比較例のVベルト)から試験片を採り、引張試験機によって、240kgの力を加えた時(表8のベルト形「B形」参照)の各Vベルトの伸び(中間伸び:%)、各Vベルトに力を加え切断された時の各Vベルトの伸び(切断時の伸び:%)、各Vベルトの両端を引っ張った際の最大引張強さ(引張り強さ:kgf)、及び、各Vベルトの継手部分を引っ張った際の最大引張強さ(継手引張り強さ:kgf)を測定した。
※4 図4に示す継手金具でジョイントされた各Vベルトを引っ張った際の最大引張強さ(継手引張り強さ)を測定した。
(表6)
(フリクションでの配合物)
Figure 0006883505
(表7)
(積層処理での配合物)
Figure 0006883505
(表8)
(伸び測定時に加える力-単位(kN))
Figure 0006883505
(実施例1〜12に係るVベルト1Aと比較例に係るVベルトの走行試験)
走行試験では、実施例1〜12に係るVベルト1Aと比較例に係るVベルトを、図14に示す縦型の走行試験機に巻き掛け、表9に示す走行試験(加速)条件で走行させ、各Vベルトが切断されるまでの時間を計測した。なお、実施例1〜12に係るVベルト1Aと比較例に係るVベルトについて、それぞれ2回の走行試験を行った。走行試験の結果を表10に示す。
(表9)
(走行試験(加速)条件)
Figure 0006883505
(表10)
(走行試験結果)
Figure 0006883505
Figure 0006883505
※5 切断は、図4に示す通り、継手金具のジョイント部分がVベルトを突き破り切断する破断現象である。
表5の引張試験結果によれば、実施例1〜12に係るVベルト1Aは、比較例に係るVベルトに比べ、中間伸び・切断時の伸びを小さくすることができることが分かる。これにより、Vベルト1Aの走行時の伸びを小さくし、張力の低下も小さくすることができる。従って、Vベルト1A走行途中の張力調整のメンテナンスを減らすことができる。
また、実施例1〜12に係るVベルト1Aは、比較例に係るVベルトに比べ、引張り強さ、及び、継手引張り強さを大きくすることができることが分かる。これにより、Vベルト1Aの破断強力・柔軟性を高くすることができる。また、継手孔15に継手金具2のビスが装着されて使用された場合であっても、継手孔15から破断するVベルト1Aの破断現象を防止し、Vベルト1Aの寿命を高めることができる。即ち、Vベルト1Aの走行耐久性を向上させることが可能となる。
表10の走行試験結果の実施例1〜4によれば、第1芯体層のVベルトの幅方向に占める割合が高くなると、クラックの発生が遅れ、切断までの時間が長くなることが分かる。
また、実施例5〜12によれば、第1芯体層に使用される高強力繊維シートの材質では、「カーボンシート」を使用した方が「アラミドシート」を使用した場合に比べてクラックの発生が遅れ、切断までの時間が長くなることが分かる。更に、「カーボンシート」及び「アラミドシート」に関して、「二方向シート」を使用した方が「一方向シート」を使用した場合に比べ、クラックの発生が遅れ、切断までの時間が長くなることが分かる。
上記のように、第1芯体層に、高強力繊維シート(アラミドシート/カーボンシート)を巻き付けて芯とする本発明は、一方向シートの場合は周長に垂直、二方向シートの場合はバイアスで巻き付けることによりVベルトの破断強度が向上する。よって、継手金具のジョイント部分がVベルトを突き破り切断する破断現象に対抗する破断強力も向上する。即ち、破断現象を寿命とするVベルとの耐久性は向上する。
また、第1芯体層に組み込まれる高強力繊維シート(アラミドシート/カーボンシート)の屈曲耐久性により、屈曲疲労が原因のクラックの発生が遅れ寿命の低下を防ぐことができる。
上記のような耐久性を有する、有端なVベルトの両端に設けられた継手孔に継手金具をジョイントした輪状のVベルトは、従来の無端のVベルト(継手がないエンドレスベルト)に近似の耐久性を有する。したがって、例えば、駆動装置等のプーリ間に巻きかけられた、無端のVベルトが突然切断して設備が稼動しなくなった場合に、本発明に係る有端なVベルトを必要な長さに切断して、Vベルトの両端に設けられた継手孔に継手金具をジョイントして輪状のVベルトにすることによって、設備を応急的に復旧させたとしても充分な耐久性を持たせることができる。
(その他の実施形態)
上記実施形態における第1芯体層12には、アラミド繊維束により構成されたアラミドシート、又は、カーボン繊維束により構成されたカーボンシートを使用しているが、アラミド繊維及びカーボン繊維を混合した併用繊維束により構成された繊維シートを使用してもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。
1(1A、1B) Vベルト
2 継手金具
11 心線
12 第1芯体層
13 第2芯体層
14 カバー層
15 継手孔

Claims (8)

  1. 動力伝達に使用される有端なVベルトであって、
    アラミドシート又はカーボンシートが巻かれて形成された第1芯体層と、
    前記第1芯体層の外側に、綿製のシートが巻かれて形成された第2芯体層とを備え、
    前記第1芯体層及び前記第2芯体層における、当該Vベルトの幅方向に占める割合は、1〜1.5:1の範囲内であり、
    当該Vベルトの厚み方向に貫通する継手孔が、当該Vベルトの長手方向にわたり間隔をおいて複数形成されていることを特徴とするVベルト。
  2. 動力伝達に使用される有端なVベルトであって、
    アラミド繊維束が一方向に配列されたアラミドシート又はカーボン繊維束が一方向に配列されたカーボンシートが巻かれて形成された第1芯体層を備え、
    前記アラミドシートのアラミド繊維束の配列方向、又は、前記カーボンシートのカーボン繊維束の配列方向は、当該Vベルト長手方向に対して垂直になるように配列されており、
    当該Vベルトの厚み方向に貫通する継手孔が、当該Vベルトの長手方向にわたり間隔をおいて複数形成されていることを特徴とするVベルト。
  3. 動力伝達に使用される有端なVベルトであって、
    アラミド繊維束が一方向に配列されたアラミドシート又はカーボン繊維束が一方向に配列されたカーボンシートが巻かれて形成された第1芯体層を備え、
    前記アラミドシートは、目付量が230〜830g/m 2 、引張強度が2060N/mm 2 以上、厚みが0.16〜0.60mmの条件を満たし、
    前記カーボンシートは、目付量が200〜450g/m 2 、引張強度が2900N/mm 2 以上、厚みが0.11〜0.35mmの条件を満たし、
    当該Vベルトの厚み方向に貫通する継手孔が、当該Vベルトの長手方向にわたり間隔をおいて複数形成されていることを特徴とするVベルト。
  4. 動力伝達に使用される有端なVベルトであって、
    二方向のアラミド繊維束が交差するように配列されたアラミドシート又は二方向のカーボン繊維束が交差するように配列されたカーボンシートが巻かれて形成された第1芯体層を備え、
    前記アラミドシートは、目付量が90〜870g/m 2 、引張強度が2060N/mm 2 以上、厚みが0.03〜0.24mmの条件を満たし、
    前記カーボンシートは、目付量が200〜300g/m 2 、引張強度が2900N/mm 2 以上、厚みが0.05〜0.09mmの条件を満たし、
    当該Vベルトの厚み方向に貫通する継手孔が、当該Vベルトの長手方向にわたり間隔をおいて複数形成されていることを特徴とするVベルト。
  5. 前記アラミドシートのアラミド繊維束の二つの配列方向、又は、前記カーボンシートのカーボン繊維束の二つの配列方向がともに、Vベルト長手方向に対して傾斜角度を有するように配列されていることを特徴とする、請求項4に記載のVベルト。
  6. 動力伝達に使用される有端なVベルトの製造方法であって、
    アラミドシート又はカーボンシートを、ロール状に巻き回して第1芯体層を形成する第1芯体層形成工程と、
    前記第1芯体層の外側に、綿製のシートをロール状に巻き回して第2芯体層を形成する第2芯体層形成工程と、
    前記第2芯体層の外周に、カバー層を巻くカバー層形成工程と、
    前記第1芯体層及び前記第2芯体層の外周に前記カバー層が巻かれたベルトの原型を、V形状の金型に嵌め込み加熱成形する加熱成形工程と、
    加熱成形されたVベルトに対して、厚み方向に貫通する継手孔を、当該Vベルトの長手方向にわたり間隔をおいて複数形成する継手孔形成工程と、を含み、
    前記第1芯体層形成工程、及び、前記第2芯体層形成工程において、
    前記第1芯体層及び前記第2芯体層における、当該Vベルトの幅方向に占める割合を、1〜1.5:1の範囲内にすることを特徴とする、Vベルトの製造方法。
  7. 動力伝達に使用される有端なVベルトの製造方法であって、
    アラミドシート又はカーボンシートを、ロール状に巻き回して第1芯体層を形成する第1芯体層形成工程と、
    前記第1芯体層の外周に、カバー層を巻くカバー層形成工程と、
    前記第1芯体層の外周に前記カバー層が巻かれたベルトの原型を、V形状の金型に嵌め込み加熱成形する加熱成形工程と、
    加熱成形されたVベルトに対して、厚み方向に貫通する継手孔を、当該Vベルトの長手方向にわたり間隔をおいて複数形成する継手孔形成工程と、を含み、
    前記第1芯体層形成工程において、
    アラミド繊維束が一方向に配列され、目付量が230〜830g/m 2 、引張強度が2060N/mm 2 以上、厚みが0.16〜0.60mmの条件を満たす、前記アラミドシート、又は、カーボン繊維束が一方向に配列され、目付量が200〜450g/m 2 、引張強度が2900N/mm 2 以上、厚みが0.11〜0.35mmの条件を満たす、前記カーボンシートを使用し、
    前記アラミドシート又は前記カーボンシートをロール状に巻き回す際に、前記繊維束の配列方向に巻き回すことにより、前記繊維束の配列方向が、Vベルト長手方向に対して垂直になるように配列させることを特徴とする、Vベルトの製造方法。
  8. 動力伝達に使用される有端なVベルトの製造方法であって、
    アラミドシート又はカーボンシートを、ロール状に巻き回して第1芯体層を形成する第1芯体層形成工程と、
    前記第1芯体層の外周に、カバー層を巻くカバー層形成工程と、
    前記第1芯体層の外周に前記カバー層が巻かれたベルトの原型を、V形状の金型に嵌め込み加熱成形する加熱成形工程と、
    加熱成形されたVベルトに対して、厚み方向に貫通する継手孔を、当該Vベルトの長手方向にわたり間隔をおいて複数形成する継手孔形成工程と、を含み、
    前記第1芯体層形成工程において、
    二方向のアラミド繊維束が交差するように配列され、目付量が90〜870g/m 2 、引張強度が2060N/mm 2 以上、厚みが0.03〜0.24mmの条件を満たす、前記アラミドシート、又は、目付量が200〜300g/m 2 、引張強度が2900N/mm 2 以上、厚みが0.05〜0.09mmの条件を満たすカーボン繊維束が交差するように配列された前記カーボンシートを使用し、
    前記アラミドシート又は前記カーボンシートをロール状に巻き回す際に、前記繊維束の二つの配列方向がともにVベルト長手方向に対して傾斜角度を有するように巻き回すことにより、前記繊維束の二つの配列方向が、Vベルト長手方向に対して傾斜角度を有するように配列させることを特徴とする、Vベルトの製造方法。
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